JP2004242581A - 培養装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】培養系で生体に近い網膜障害モデルを生成することができるようにする。
【解決手段】培養細胞を収容するチャンバー2と、チャンバー2内の圧力を変化させる変圧機構10と、チャンバー2内に空気を供給し且つチャンバー2内の酸素濃度を変化させる空気供給機構20と、パーソナルコンピュータ3を備え、チャンバー2内に収容した培養細胞に眼圧上昇や血流障害に相当する網膜障害を生じさせるべく、パーソナルコンピュータ3からの指令に基づいて変圧機構10及び空気供給機構20を作動させてチャンバー2内の圧力及び酸素濃度を段階的に変化させる。
【選択図】 図1
【解決手段】培養細胞を収容するチャンバー2と、チャンバー2内の圧力を変化させる変圧機構10と、チャンバー2内に空気を供給し且つチャンバー2内の酸素濃度を変化させる空気供給機構20と、パーソナルコンピュータ3を備え、チャンバー2内に収容した培養細胞に眼圧上昇や血流障害に相当する網膜障害を生じさせるべく、パーソナルコンピュータ3からの指令に基づいて変圧機構10及び空気供給機構20を作動させてチャンバー2内の圧力及び酸素濃度を段階的に変化させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞に対する障害、例えば、緑内障の網膜障害を生体外において人為的に生じさせるのに用いられる培養装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記緑内障とは、眼圧の上昇及び網膜に栄養を運ぶ血管の血流障害が引き起こす網膜神経細胞の障害による視機能障害を呈する疾患である。
【0003】
従来において、上記したような緑内障の治療薬開発のために用いられている網膜障害モデルとしては、▲1▼眼圧上昇モデル、▲2▼血流障害モデル、▲3▼生体外における圧負荷モデル、▲4▼生体外における低酸素負荷モデルなどが挙げられる。
【0004】
▲1▼眼圧上昇モデルは、動物(猿)の角膜近傍に位置する房水流出路(隅角)の熱焼灼又は結紮により、人為的に動物の眼圧を上昇させて網膜に障害を生じさせて成るものである(例えば、非特許文献1,2参照。)。
【0005】
▲2▼の血流障害モデルは、血流減少に基づく酸素供給量の減少によって網膜に障害を与えるようにしたものであり、具体的には、硝子体内への薬物(血管収縮物質エンドセリン−1)の投与により、血管収縮に基づく血流障害を生じさせるものである(例えば、非特許文献3参照。)。
【0006】
▲3▼の生体外における圧負荷モデルは、マノメータを用いた閉鎖系アクリルボックス内を加圧して、この閉鎖系アクリルボックス内に収容した培養細胞を眼圧上昇状態にしたものである(例えば、非特許文献4参照。)。
【0007】
▲4▼の生体外における低酸素負荷モデルは、インキュベータ内の酸素濃度を下げて、インキュベータ内に収容した培養細胞を眼圧上昇状態にしたものである(例えば、非特許文献5参照。)。
【0008】
【非特許文献1】
WoldeMussie E,Ruiz G,Wijono M,Wheeler LA.Neuroprotection ofretinal ganglion cells by brimonidine in rats with laser−induced chronic ocular hypertension.Investigative Ophthalmology and Visual Science.2001;42:2849−2855.
【0009】
【非特許文献2】
Shareef SR, Garcia−Valenzuela E,Salierno A,Walsh J,Sharma SC.Chronic ocular hypertension following episcleral venous occlusion in rats.Experimental Eye Reseach.1995;61:379−382.
【0010】
【非特許文献3】
杉山哲也.緑内障治療薬開発のための動物実験モデル−乳頭循環障害モデルを中心に−.あたらしい眼科.1997;14:1547−1551.
【0011】
【非特許文献4】
Wax MB,Tezel G,Kobayashi S,Hernandez MR.Responses of deifferent cell lines from ocular tissues to elevated hydrostatic pressure.British Journal of Ophthalmology 2000;84:423−428.
【0012】
【非特許文献5】
Ghiso N,Rohan RM,Amano S,Garland R,Adamis AP.Suppression of hypoxia−associated vascular endothelial growth factor gene expression by nitric oxide via cGMP.Investigative Ophthalmology and Visual Science.1999;40:1033−1039.
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来において、
▲1▼の眼圧上昇モデルの場合、組織破壊を生じさせるため、眼圧上昇以外の障害因子を除去することができない。
▲2▼の血流障害モデルの場合、薬剤による血管以外の組織への作用を除外することができない。
▲3▼の圧負荷モデルの場合、マノメータを用いる都合上、加圧値が正確とは言えないうえ、圧力を変化させることが困難である。また、生体内では、眼圧に日内変動が存在しているが、生体外における圧負荷モデルでは、この状態を表現することができない。さらに、アクリルボックス内が閉鎖系となるため、酸素や二酸化酸素のモニタが不可能であり、制御することができない。
▲4▼の低酸素負荷モデルの場合、インキュベータの内圧を変化させることが不可能。
といった問題があり、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0014】
【発明の目的】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたものであり、培養細胞を収容するチャンバー内の圧力及び酸素濃度を同時にコントロールすることができ、チャンバーの内圧を段階的に変化させることで、培養系で生体に近い状態、すなわち一例として、生体での段階的な眼圧上昇や眼圧日内変動の再現が可能であり、且つ、チャンバー内の酸素濃度を変化させることで、血流障害などの生体でのさまざまな状態を再現することが可能である培養装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、培養細胞を収容するチャンバー内の圧力及び酸素濃度を同時にコントロールすることで、培養系で例えば生体に近い網膜障害モデルを生成可能であることを見出した。
【0016】
そこで、本発明の培養装置では、請求項1として、培養細胞を収容するチャンバーと、このチャンバー内の圧力を変化させる変圧機構と、上記チャンバー内に空気を供給し且つチャンバー内の酸素濃度を変化させる空気供給機構と、上記変圧機構を作動させてチャンバー内の圧力調整を行うと共に上記空気供給機構を作動させてチャンバー内の酸素濃度を調整する制御部を備え、上記チャンバー内に収容した培養細胞に生体における細胞障害に相当する状態を生じさせるべく、上記制御部からの指令に基づいて変圧機構及び空気供給機構を作動させて上記チャンバー内の圧力及び酸素濃度を段階的に変化させることを特徴としており、この培養装置の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0017】
また、本発明の培養装置は、請求項2として、生体における細胞障害に相当する状態が、眼圧上昇や血流障害に相当する網膜障害である請求項1に記載の培養装置の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0018】
さらに、本発明の培養装置は、請求項3として、上記チャンバー内の湿度及び温度を略一定に保つ温湿度コントローラを備えている構成とし、請求項4として、上記チャンバー内に収容した培養細胞を外部からモニタ可能とした構成としている。
【0019】
【発明の効果】
本発明の培養装置によれば、上記した構成としているので、制御部からの指令に基づいて変圧機構及び空気供給機構を作動させてチャンバー内の圧力及び酸素濃度を段階的に変化させると、チャンバー内に収容した培養細胞に、例えば、眼圧上昇や血流障害の状態を生じさせることができ、その結果、培養系において、生体に近い網膜障害モデルの生成を実現することが可能になるという非常に優れた効果がもたらされる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の培養装置において、培養細胞を収容するチャンバーの稼動時における内部圧力を大気圧+60mmHg程度(0〜8kPa)にコントロールし、併せてチャンバー内の酸素濃度を空気と窒素との両方のガス導入比をコントロールすることにより、5%から大気中の酸素濃度(21%)の範囲で制御する。この際、細胞の血流障害を誘発するには、空気と窒素との導入量比を1:9とすることが望ましく、より好ましくは、1:4とする。また培地pHを維持するため、チャンバー内に導入する空気及び窒素は、5%の二酸化炭素を含んだ混合ガスで構成され、培養細胞を収容するチャンバー内の温度を人の体温に近い37±1°に保ちつつ、少なくとも1週間(好ましくは3日間以上)稼働する。
【0021】
また、本発明の培養装置において、培養細胞を収容するチャンバーと、このチャンバー内の圧力を変化させる変圧機構と、上記チャンバー内に空気を供給し且つチャンバー内の酸素濃度を変化させる空気供給機構とで培養ユニットを構成して、複数の培養ユニットと制御部とを接続するようにしてもよく、このように、複数の培養ユニットと制御部とを接続して、培養ユニットの各内部圧力及び酸素濃度を互いに異なるようにすれば、生体でのさまざまな状態を一時に再現することが可能になる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の培養装置の一実施例を示しており、図1に示すように、この培養装置1は、培養細胞を載せた96穴プレートPを複数収容するチャンバー2と、このチャンバー2内の圧力を変化させる変圧機構10と、チャンバー2内に空気を供給し且つチャンバー2内の酸素濃度を変化させる空気供給機構20と、変圧機構10を作動させてチャンバー2内の圧力調整を行うと共に空気供給機構20を作動させてチャンバー2内の酸素濃度を調整するパーソナルコンピュータ(制御部)3を備えており、チャンバー2の内部に収容した96穴プレートP上の培養細胞は、チャンバー2に設けたCCDカメラ又は覗き窓により、外部からモニタすることができるようになっている。
【0024】
上記変圧機構10は、チャンバー2と連通する減圧バルブ11,パージ用バルブ12及び圧力コントローラ13を具備しており、減圧バルブ11及びパージ用バルブ12は、圧力コントローラ13を介してパーソナルコンピュータ3と電気的に接続している。
【0025】
一方、空気供給機構20は、エアガスボンベ21からの空気ガスを減圧バルブ22,圧力計23及び流量コントローラ24を介してチャンバー2に供給する空気ガス供給系統20Aと、窒素ガスボンベ25からの窒素ガスを減圧バルブ26,圧力計27及び流量コントローラ28を介してチャンバー2に供給する窒素ガス供給系統20Bと、チャンバー2内の酸素濃度及びパーソナルコンピュータ3からの指令に基づいて両供給系統20A,20Bの各流量コントローラ24,28を動作させるパックコントローラ29を具備している。
【0026】
また、この培養装置1は、チャンバー2の内部を暖めるヒータ4を備えていると共に、チャンバー2の空気を循環させるファン5を備えており、チャンバー2内の湿度及び温度は、温湿度コントローラを兼ねる空気供給機構20のパックコントローラ29によって、ほぼ一定に保つことができるようになっている。
【0027】
上記した培養装置1において、チャンバー2内の湿度及び温度をほぼ一定に保ちつつ、パーソナルコンピュータ3からの指令に基づいて変圧機構10及び空気供給機構20をそれぞれ作動させて、チャンバー2内の圧力を大気圧+60mmHgの範囲で段階的に変化させると共に、チャンバー2内の酸素濃度を段階的に変化させると、チャンバー2内に収容した培養細胞に眼圧上昇や血流障害に相当する状態が生じることとなり、その結果、培養系において、生体に近い網膜障害モデルの生成が実現することとなる。
【0028】
また、上記した培養装置では、パックコントローラ29によって、チャンバー2内の湿度及び温度をほぼ一定に保つことができるようにしてあると共に、チャンバー2の内部に収容した96穴プレートP上の培養細胞を外部からモニタ可能としてあるので、培養細胞に目的とするストレス以外の変化を生じさせないようにモニタすることができる。
【0029】
さらに、上記した培養装置において、空気供給機構20を作動させて、チャンバー2内の酸素濃度を変化させることで、眼圧上昇による血流障害、眼圧上昇のみ、血流障害のみなどの生体でのさまざまな状態を再現することができる。
【0030】
本発明の培養装置の詳細な構成は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、培養細胞を収容するチャンバー2と、このチャンバー2内の圧力を変化させる変圧機構10と、上記チャンバー2内に空気を供給し且つチャンバー内の酸素濃度を変化させる空気供給機構20とで培養ユニットを構成して、複数の培養ユニットとパーソナルコンピュータ3とを接続するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の培養装置の一実施例を示す概略構成説明図である。
【符号の説明】
1 培養装置
2 チャンバー
3 パーソナルコンピュータ(制御部)
10 変圧機構
20 空気供給機構
29 パックコントローラ(温湿度コントローラ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞に対する障害、例えば、緑内障の網膜障害を生体外において人為的に生じさせるのに用いられる培養装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記緑内障とは、眼圧の上昇及び網膜に栄養を運ぶ血管の血流障害が引き起こす網膜神経細胞の障害による視機能障害を呈する疾患である。
【0003】
従来において、上記したような緑内障の治療薬開発のために用いられている網膜障害モデルとしては、▲1▼眼圧上昇モデル、▲2▼血流障害モデル、▲3▼生体外における圧負荷モデル、▲4▼生体外における低酸素負荷モデルなどが挙げられる。
【0004】
▲1▼眼圧上昇モデルは、動物(猿)の角膜近傍に位置する房水流出路(隅角)の熱焼灼又は結紮により、人為的に動物の眼圧を上昇させて網膜に障害を生じさせて成るものである(例えば、非特許文献1,2参照。)。
【0005】
▲2▼の血流障害モデルは、血流減少に基づく酸素供給量の減少によって網膜に障害を与えるようにしたものであり、具体的には、硝子体内への薬物(血管収縮物質エンドセリン−1)の投与により、血管収縮に基づく血流障害を生じさせるものである(例えば、非特許文献3参照。)。
【0006】
▲3▼の生体外における圧負荷モデルは、マノメータを用いた閉鎖系アクリルボックス内を加圧して、この閉鎖系アクリルボックス内に収容した培養細胞を眼圧上昇状態にしたものである(例えば、非特許文献4参照。)。
【0007】
▲4▼の生体外における低酸素負荷モデルは、インキュベータ内の酸素濃度を下げて、インキュベータ内に収容した培養細胞を眼圧上昇状態にしたものである(例えば、非特許文献5参照。)。
【0008】
【非特許文献1】
WoldeMussie E,Ruiz G,Wijono M,Wheeler LA.Neuroprotection ofretinal ganglion cells by brimonidine in rats with laser−induced chronic ocular hypertension.Investigative Ophthalmology and Visual Science.2001;42:2849−2855.
【0009】
【非特許文献2】
Shareef SR, Garcia−Valenzuela E,Salierno A,Walsh J,Sharma SC.Chronic ocular hypertension following episcleral venous occlusion in rats.Experimental Eye Reseach.1995;61:379−382.
【0010】
【非特許文献3】
杉山哲也.緑内障治療薬開発のための動物実験モデル−乳頭循環障害モデルを中心に−.あたらしい眼科.1997;14:1547−1551.
【0011】
【非特許文献4】
Wax MB,Tezel G,Kobayashi S,Hernandez MR.Responses of deifferent cell lines from ocular tissues to elevated hydrostatic pressure.British Journal of Ophthalmology 2000;84:423−428.
【0012】
【非特許文献5】
Ghiso N,Rohan RM,Amano S,Garland R,Adamis AP.Suppression of hypoxia−associated vascular endothelial growth factor gene expression by nitric oxide via cGMP.Investigative Ophthalmology and Visual Science.1999;40:1033−1039.
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来において、
▲1▼の眼圧上昇モデルの場合、組織破壊を生じさせるため、眼圧上昇以外の障害因子を除去することができない。
▲2▼の血流障害モデルの場合、薬剤による血管以外の組織への作用を除外することができない。
▲3▼の圧負荷モデルの場合、マノメータを用いる都合上、加圧値が正確とは言えないうえ、圧力を変化させることが困難である。また、生体内では、眼圧に日内変動が存在しているが、生体外における圧負荷モデルでは、この状態を表現することができない。さらに、アクリルボックス内が閉鎖系となるため、酸素や二酸化酸素のモニタが不可能であり、制御することができない。
▲4▼の低酸素負荷モデルの場合、インキュベータの内圧を変化させることが不可能。
といった問題があり、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0014】
【発明の目的】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたものであり、培養細胞を収容するチャンバー内の圧力及び酸素濃度を同時にコントロールすることができ、チャンバーの内圧を段階的に変化させることで、培養系で生体に近い状態、すなわち一例として、生体での段階的な眼圧上昇や眼圧日内変動の再現が可能であり、且つ、チャンバー内の酸素濃度を変化させることで、血流障害などの生体でのさまざまな状態を再現することが可能である培養装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、培養細胞を収容するチャンバー内の圧力及び酸素濃度を同時にコントロールすることで、培養系で例えば生体に近い網膜障害モデルを生成可能であることを見出した。
【0016】
そこで、本発明の培養装置では、請求項1として、培養細胞を収容するチャンバーと、このチャンバー内の圧力を変化させる変圧機構と、上記チャンバー内に空気を供給し且つチャンバー内の酸素濃度を変化させる空気供給機構と、上記変圧機構を作動させてチャンバー内の圧力調整を行うと共に上記空気供給機構を作動させてチャンバー内の酸素濃度を調整する制御部を備え、上記チャンバー内に収容した培養細胞に生体における細胞障害に相当する状態を生じさせるべく、上記制御部からの指令に基づいて変圧機構及び空気供給機構を作動させて上記チャンバー内の圧力及び酸素濃度を段階的に変化させることを特徴としており、この培養装置の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0017】
また、本発明の培養装置は、請求項2として、生体における細胞障害に相当する状態が、眼圧上昇や血流障害に相当する網膜障害である請求項1に記載の培養装置の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0018】
さらに、本発明の培養装置は、請求項3として、上記チャンバー内の湿度及び温度を略一定に保つ温湿度コントローラを備えている構成とし、請求項4として、上記チャンバー内に収容した培養細胞を外部からモニタ可能とした構成としている。
【0019】
【発明の効果】
本発明の培養装置によれば、上記した構成としているので、制御部からの指令に基づいて変圧機構及び空気供給機構を作動させてチャンバー内の圧力及び酸素濃度を段階的に変化させると、チャンバー内に収容した培養細胞に、例えば、眼圧上昇や血流障害の状態を生じさせることができ、その結果、培養系において、生体に近い網膜障害モデルの生成を実現することが可能になるという非常に優れた効果がもたらされる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の培養装置において、培養細胞を収容するチャンバーの稼動時における内部圧力を大気圧+60mmHg程度(0〜8kPa)にコントロールし、併せてチャンバー内の酸素濃度を空気と窒素との両方のガス導入比をコントロールすることにより、5%から大気中の酸素濃度(21%)の範囲で制御する。この際、細胞の血流障害を誘発するには、空気と窒素との導入量比を1:9とすることが望ましく、より好ましくは、1:4とする。また培地pHを維持するため、チャンバー内に導入する空気及び窒素は、5%の二酸化炭素を含んだ混合ガスで構成され、培養細胞を収容するチャンバー内の温度を人の体温に近い37±1°に保ちつつ、少なくとも1週間(好ましくは3日間以上)稼働する。
【0021】
また、本発明の培養装置において、培養細胞を収容するチャンバーと、このチャンバー内の圧力を変化させる変圧機構と、上記チャンバー内に空気を供給し且つチャンバー内の酸素濃度を変化させる空気供給機構とで培養ユニットを構成して、複数の培養ユニットと制御部とを接続するようにしてもよく、このように、複数の培養ユニットと制御部とを接続して、培養ユニットの各内部圧力及び酸素濃度を互いに異なるようにすれば、生体でのさまざまな状態を一時に再現することが可能になる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の培養装置の一実施例を示しており、図1に示すように、この培養装置1は、培養細胞を載せた96穴プレートPを複数収容するチャンバー2と、このチャンバー2内の圧力を変化させる変圧機構10と、チャンバー2内に空気を供給し且つチャンバー2内の酸素濃度を変化させる空気供給機構20と、変圧機構10を作動させてチャンバー2内の圧力調整を行うと共に空気供給機構20を作動させてチャンバー2内の酸素濃度を調整するパーソナルコンピュータ(制御部)3を備えており、チャンバー2の内部に収容した96穴プレートP上の培養細胞は、チャンバー2に設けたCCDカメラ又は覗き窓により、外部からモニタすることができるようになっている。
【0024】
上記変圧機構10は、チャンバー2と連通する減圧バルブ11,パージ用バルブ12及び圧力コントローラ13を具備しており、減圧バルブ11及びパージ用バルブ12は、圧力コントローラ13を介してパーソナルコンピュータ3と電気的に接続している。
【0025】
一方、空気供給機構20は、エアガスボンベ21からの空気ガスを減圧バルブ22,圧力計23及び流量コントローラ24を介してチャンバー2に供給する空気ガス供給系統20Aと、窒素ガスボンベ25からの窒素ガスを減圧バルブ26,圧力計27及び流量コントローラ28を介してチャンバー2に供給する窒素ガス供給系統20Bと、チャンバー2内の酸素濃度及びパーソナルコンピュータ3からの指令に基づいて両供給系統20A,20Bの各流量コントローラ24,28を動作させるパックコントローラ29を具備している。
【0026】
また、この培養装置1は、チャンバー2の内部を暖めるヒータ4を備えていると共に、チャンバー2の空気を循環させるファン5を備えており、チャンバー2内の湿度及び温度は、温湿度コントローラを兼ねる空気供給機構20のパックコントローラ29によって、ほぼ一定に保つことができるようになっている。
【0027】
上記した培養装置1において、チャンバー2内の湿度及び温度をほぼ一定に保ちつつ、パーソナルコンピュータ3からの指令に基づいて変圧機構10及び空気供給機構20をそれぞれ作動させて、チャンバー2内の圧力を大気圧+60mmHgの範囲で段階的に変化させると共に、チャンバー2内の酸素濃度を段階的に変化させると、チャンバー2内に収容した培養細胞に眼圧上昇や血流障害に相当する状態が生じることとなり、その結果、培養系において、生体に近い網膜障害モデルの生成が実現することとなる。
【0028】
また、上記した培養装置では、パックコントローラ29によって、チャンバー2内の湿度及び温度をほぼ一定に保つことができるようにしてあると共に、チャンバー2の内部に収容した96穴プレートP上の培養細胞を外部からモニタ可能としてあるので、培養細胞に目的とするストレス以外の変化を生じさせないようにモニタすることができる。
【0029】
さらに、上記した培養装置において、空気供給機構20を作動させて、チャンバー2内の酸素濃度を変化させることで、眼圧上昇による血流障害、眼圧上昇のみ、血流障害のみなどの生体でのさまざまな状態を再現することができる。
【0030】
本発明の培養装置の詳細な構成は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、培養細胞を収容するチャンバー2と、このチャンバー2内の圧力を変化させる変圧機構10と、上記チャンバー2内に空気を供給し且つチャンバー内の酸素濃度を変化させる空気供給機構20とで培養ユニットを構成して、複数の培養ユニットとパーソナルコンピュータ3とを接続するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の培養装置の一実施例を示す概略構成説明図である。
【符号の説明】
1 培養装置
2 チャンバー
3 パーソナルコンピュータ(制御部)
10 変圧機構
20 空気供給機構
29 パックコントローラ(温湿度コントローラ)
Claims (4)
- 培養細胞を収容するチャンバーと、このチャンバー内の圧力を変化させる変圧機構と、上記チャンバー内に空気を供給し且つチャンバー内の酸素濃度を変化させる空気供給機構と、上記変圧機構を作動させてチャンバー内の圧力調整を行うと共に上記空気供給機構を作動させてチャンバー内の酸素濃度を調整する制御部を備え、上記チャンバー内に収容した培養細胞に生体における細胞障害に相当する状態を生じさせるべく、上記制御部からの指令に基づいて変圧機構及び空気供給機構を作動させて上記チャンバー内の圧力及び酸素濃度を段階的に変化させることを特徴とする培養装置。
- 生体における細胞障害に相当する状態が、眼圧上昇や血流障害に相当する網膜障害である請求項1に記載の培養装置。
- 上記チャンバー内の湿度及び温度を略一定に保つ温湿度コントローラを備えている請求項1又は2に記載の培養装置。
- 上記チャンバー内に収容した培養細胞を外部からモニタ可能とした請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の培養装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003035758A JP2004242581A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 培養装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003035758A JP2004242581A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 培養装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004242581A true JP2004242581A (ja) | 2004-09-02 |
Family
ID=33021088
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003035758A Withdrawn JP2004242581A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 培養装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004242581A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006117658A2 (en) * | 2005-05-02 | 2006-11-09 | Verri Lima Gaston Jeronimo | Hyperbaric cryogenesis chamber |
JP2013220090A (ja) * | 2012-04-19 | 2013-10-28 | Tohoku Univ | 眼疾患治療に使用する薬剤スクリーニング方法 |
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JP2018511338A (ja) * | 2015-04-17 | 2018-04-26 | エックスセル・バイオサイエンシズ・インコーポレイテッド | がん細胞濃縮システム |
CN112725178A (zh) * | 2021-02-10 | 2021-04-30 | 上海塔望智能科技有限公司 | 一种细胞低氧高压培养装置 |
JP2023510026A (ja) * | 2020-07-17 | 2023-03-10 | 上海我武幹細胞科技有限公司 | インキュベーター |
-
2003
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