JP2004241169A - 燃料電池システムとそれを用いた携帯機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】妨害成分が含まれていても液体燃料(メタノール)の濃度を最適値に制御することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【解決手段】燃料貯蔵部1に接続され液体燃料を輸送する燃料供給ポンプ2と、この出口が燃料極入口に接続された燃料電池セル3と、燃料電池セル3の燃料極出口に接続された気泡検出手段4を有する配管と、配管の先に接続された気液分離器10と、気液分離器10の液体出口に接続された燃料循環ポンプ11とからなり、燃料循環ポンプ11の出口が燃料供給ポンプ2の出口と合流するように燃料電池セル3の燃料極入口に接続された構成を有し、配管の中を通る液体燃料に含まれる気泡を気泡検出手段4で検出して気泡の量を求め、この気泡の量を生成するのに必要な液体燃料の量を計算しその分だけ燃料供給ポンプ2を駆動するようにしたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料貯蔵部1に接続され液体燃料を輸送する燃料供給ポンプ2と、この出口が燃料極入口に接続された燃料電池セル3と、燃料電池セル3の燃料極出口に接続された気泡検出手段4を有する配管と、配管の先に接続された気液分離器10と、気液分離器10の液体出口に接続された燃料循環ポンプ11とからなり、燃料循環ポンプ11の出口が燃料供給ポンプ2の出口と合流するように燃料電池セル3の燃料極入口に接続された構成を有し、配管の中を通る液体燃料に含まれる気泡を気泡検出手段4で検出して気泡の量を求め、この気泡の量を生成するのに必要な液体燃料の量を計算しその分だけ燃料供給ポンプ2を駆動するようにしたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯または可搬が可能な燃料電池システムとそれを用いた携帯機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯機器に対応した携帯または可搬が可能な燃料電池システムとして、メタノールに代表される液体燃料を直接反応させて電力を得る直接メタノール型燃料電池が提案されている(例えば特許文献1参照)。この燃料電池システムはメタノールを改質するプロセスが不要なため構造が簡単になり、特に小型化が要求される携帯機器用として本命視され、実用化の開発が盛んに行われてきている。
【0003】
このメタノールを直接反応させて発電する燃料電池システムでは、前記従来例に示されているように、反応に必要な水をメタノールと混合して燃料電池に供給する必要がある。この際、混合割合すなわちメタノール濃度は、燃料電池を効率よく発電させるために最適値に制御するのが望ましい。実際、前記従来例においても、燃料電池の出入口に第1および第2の濃度センサを配置し濃度制御を行っている。なお、制御される濃度は通常数%程度としている。これは、燃料電池を構成する高分子電解質膜がメタノールを透過させてしまう性質を有しており、これを低減するためである。従って、前記濃度センサは多くとも10%程度以下のメタノールを精度よく検出する必要がある。
【0004】
また、このような液体濃度センサとしては、液体の濃度に応じた屈折率の変化や静電容量の変化をそれぞれ検出するものなどがある(例えば特許文献2、特許文献3参照)。これらを用いて、燃料電池に供給するメタノールの濃度を検出することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−161810号公報
【特許文献2】
特許第2019470号公報
【特許文献3】
特開平11−352089号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の液体濃度センサを用いると、確かに水中のメタノール濃度を検出することができるが、複数の成分が共存する水溶液中のメタノールのみの濃度を検出することはできない。なぜなら、いずれの液体濃度センサも屈折率や静電容量の出力変化とメタノール水溶液の濃度の相関をあらかじめ求めておき、単に出力変化から濃度を一義的に決定するのみの構成であり、他の成分が混在したときの屈折率や静電容量の変化まで考慮されていないためである。
【0007】
このことから、燃料電池システムに従来の液体濃度センサをそのまま適用するのは困難である。その理由は以下の通りである。直接メタノール型燃料電池システムでは、特許文献1にも示されているようにメタノールを有効利用するために燃料電池から排出される残余のメタノール水溶液を循環して再び燃料電池に供給するシステムが一般的である。しかし、残余のメタノール水溶液中には、メタノールが水と反応して水素と二酸化炭素を生成する際の中間生成物である蟻酸やホルムアルデヒドも含まれてしまう。これらの生成量は燃料電池の発電状態によって変動するため、正確にメタノール濃度を検出しようとすると、刻々と変わるこれら妨害成分の補正を行わなければならない。従来の液体濃度センサは前記補正を行ってメタノールのみの濃度を検出するようには構成されていないため、メタノール水溶液を循環させない燃料電池システムには適用できるが、一般的な循環式の燃料電池システムにおいては誤差が大きくなり、メタノール濃度を最適値に制御するのが困難であると考えられる。
【0008】
以上のことから、本発明は妨害成分が含まれていてもメタノール濃度を最適値に制御することができる燃料電池システムを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものであり、その特徴部分について列挙する。
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明は、液体燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、この燃料貯蔵部に接続され前記液体燃料を輸送する燃料供給ポンプと、この燃料供給ポンプの出口が燃料極入口に接続された燃料電池セルと、この燃料電池セルの燃料極出口に接続された気泡検出手段を有する配管と、この配管の先に接続された気液分離器と、この気液分離器の液体出口に接続された燃料循環ポンプと、前記燃料電池セルの空気極入口に接続された空気を供給するファンとからなり、前記燃料循環ポンプの出口が前記燃料供給ポンプの出口と合流するように前記燃料電池セルの燃料極入口に接続された構成を有し、前記配管の中を通る液体燃料に含まれる気泡を前記気泡検出手段の出力で検出して気泡の量を求め、この気泡の量を生成するのに必要な液体燃料の量を計算し、その分だけ前記燃料供給ポンプを駆動するように構成したものである。このように、液体燃料中の燃料(メタノール)を直接検出するのではなく、反応によって生成した二酸化炭素の気泡の量を検出することで燃料電池により消費されたメタノール量が見積もられるので、使った量だけメタノールを供給することで妨害成分によらず常に最適なメタノール濃度に制御できる上、負荷変動が起こった場合など燃料電池の発電状態に応じて気泡の量も変わるので、発電状態の変動にも素早く対応できる燃料電池システムが実現できるという効果が得られる。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、気泡検出手段として、透明部分とその外側で透明部分を挟んで対向するように配置した前記透明部分の透過波長帯の光を発する発光素子およびこの発光素子の発光波長帯を検出する受光素子とからなる構成とした。これにより気泡を簡単な構成で正確に検出できるという効果が得られる。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、発光素子が発光ダイオードであり、受光素子がフォトトランジスタである構成とした。これにより、いずれの素子も消費電力が小さいので、燃料電池システムで発電された電力消費を最低限にでき効率がよくなるという効果が得られる。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、発光素子および受光素子の前面にはレンズを配置した構成とした。これにより発光素子の光を効率よく受光素子に伝達できるだけでなく外乱光が受光素子に入りにくくなるので、高精度に気泡を検出できるという効果が得られる。
【0014】
本発明の請求項5に記載の発明は、発光素子および受光素子を外光から遮断するように配置した構成とした。これにより発光素子の光の外部への散乱や受光素子への外乱光の侵入がさらに抑えられるので、より高精度に気泡を検出できるという効果が得られる。
【0015】
本発明の請求項6に記載の発明は、発光素子および受光素子の近傍の配管内に温度センサを配置した構成とした。これにより液体燃料の温度変化に伴う密度やモル数計算の補正が可能となるため、より正確に液体燃料の消費量を見積もることができるという効果が得られる。
【0016】
本発明の請求項7に記載の発明は、発光素子および受光素子を透明部分に2組設け、両者の出力から気泡の体積を求め、この気泡の体積を得るのに必要な液体燃料の体積を計算し、その体積分だけ前記液体燃料を供給するように燃料供給ポンプおよび燃料循環ポンプを制御する構成とした。これにより燃料電池システムに接続された負荷が変動しても正確に液体燃料の消費量がわかるので、負荷変動があっても常に液体燃料の濃度を正確に維持できるという効果が得られる。
【0017】
本発明の請求項8に記載の発明は、2組の発光素子および受光素子の間に位置するように配管内に温度センサを配置した構成とした。これにより両者の近傍の平均的温度を検出することができるので、液体燃料の密度やモル数の温度補正に対する誤差を低減することができるという効果が得られる。
【0018】
本発明の請求項9に記載の発明は、温度センサとしてステンレス製のカバーに収納されたサーミスタを用いる構成とした。これにより液体燃料からサーミスタを保護できるだけでなく、発電反応時の中間生成物である蟻酸のような酸に対しても耐久性を確保できるという効果が得られる。
【0019】
本発明の請求項10に記載の発明は、液体燃料を着色剤で着色した。これにより気泡の有無で発光素子の光の透過度に大きな差をつけることができるため、高精度に気泡を検出できるという効果が得られる。
【0020】
本発明の請求項11に記載の発明は、着色剤を発光素子の発光波長帯を吸収する色とした。これにより液体燃料が受発光素子間にあるときは発光素子の光がほとんど吸収されて受光素子に到達しないため、気泡が到達したときの出力に比べて極めて大きな出力差が得られるようになり、結果としてさらに高精度に気泡を検出できるという効果が得られる。
【0021】
本発明の請求項12に記載の発明は、着色剤を染料とした。これにより顔料のように固形物を含まずに着色できるため、固形物による燃料電池セルの劣化を低減できるという効果が得られる。
【0022】
本発明の請求項13に記載の発明は、着色剤として液体燃料より高分子のものを用いた。これにより燃料電池システムの使用環境温度内では、燃料電池セルの触媒上で着色剤が分解することがないため、着色剤に起因した気泡の発生が起こらず高精度に液体燃料の濃度を維持できるという効果が得られる。
【0023】
本発明の請求項14に記載の発明は、燃料電池セルが発電した電力の一部を充電する二次電池を有する構成とした。これにより燃料電池システム起動時や停止時に補機類を駆動できるだけでなく、燃料電池セルの発電が始まるまでの間、接続された携帯機器に電力を供給できるという効果が得られる。
【0024】
本発明の請求項15に記載の発明は、二次電池をリチウムイオン電池とした。これにより低温時の起動性が優れるため、低温起動時から補機類を駆動することができるという効果が得られる。
【0025】
本発明の請求項16に記載の発明は、定常状態で燃料電池セルの発電を終了する前に、充電が完了するまで二次電池を充電し続ける構成とした。これにより次に燃料電池システムを起動する際に補機類を駆動できる可能性が高まるという効果が得られる。
【0026】
本発明の請求項17に記載の発明は、燃料電池セルの発電停止動作として、ファンおよび燃料供給ポンプを停止し燃料循環ポンプは燃料極側の気泡が無くなるまで駆動し、気泡が無くなると前記燃料循環ポンプを停止するとともに、燃料極側が正極に空気極側が負極になるように水の分解電圧以上の電圧を燃料電池セルに印加してから停止動作を終了するようにした。これにより燃料電池システム停止時は常に触媒近傍に水素が存在するので、供給するメタノール水溶液に浸らない状態となり、停止時にメタノールによる高分子電解質膜の劣化を防ぐことができるという効果が得られる。
【0027】
本発明の請求項18に記載の発明は、燃料循環ポンプの停止の際に受光素子の出力により気泡が無いことを判断するようにした。これにより、燃料電池システムの構成部材のみで気泡なしを判断できるため、極めて簡単な構成の燃料電池システムが実現できるという効果が得られる。
【0028】
本発明の請求項19に記載の発明は、燃料電池セルに印加した電圧は受光素子で気泡が検出されるまで行うようにした。これにより燃料極で生成した水素を必要十分な量だけ確実に検知できるようになるため、水素不足の場合に起こりうる残余の液体燃料(メタノール)による高分子電解質膜の劣化を防止できるとともに、水素過剰の場合に起こりうる気液分離器からの水素放出も防止できるという効果が得られる。
【0029】
本発明の請求項20に記載の発明は、温度センサの出力が既定値以上になれば燃料電池セルの発電停止の動作を行うようにした。これは、液体燃料(メタノール)が沸点を超えて蒸気になった場合、高分子電解質膜をさらに劣化させてしまうため、温度を監視することにより劣化を防止できるという効果が得られる。
【0030】
本発明の請求項21に記載の発明は、携帯機器は上記燃料電池システムのいずれか1つを接続もしくは内蔵した構成とした。これにより液体燃料を供給するだけで常に一定の、あるいは負荷変動に応じた電力を得ることができるので、長時間に渡って携帯機器を使い続けられるという効果が得られる。
【0031】
本発明の請求項22に記載の発明は、携帯機器は接続された燃料電池システムの電力仕様が不適切であれば電力供給を受けない構成とした。これにより過剰電力による携帯機器の電気的破損や過小電力による携帯機器の不動作を未然に防止できるという効果が得られる。
【0032】
本発明の請求項23に記載の発明は、携帯機器は表示部を有し、燃料電池の発電状態を燃料電池システムから取得し、前記表示部に表示する構成とした。これにより、ユーザーは燃料残量や燃料電池システムの異常を表示部から知ることができるため、燃料電池システムの不具合に対して素早く対応できるという効果が得られる。
【0033】
本発明の請求項24に記載の発明は、携帯機器は燃料電池の発電状態から予想される燃料電池セルの寿命を表示部に表示するとともに、寿命が近づくと燃料電池システムの交換を促す警告を表示する構成とした。これにより発電ができなくなる前に新しい燃料電池システムと交換できるようになるため、使用中に突然発電が停止するという事態を回避できるという効果が得られる。
【0034】
本発明の請求項25に記載の発明は、携帯機器はインターネットを含む無線通信機能を有する構成とした。これにより無線通信のように大電力を必要とする携帯機器であっても、燃料電池システムで長時間駆動することができるという効果が得られる。
【0035】
本発明の請求項26に記載の発明は、携帯機器は燃料電池システムの交換警告を表示部に表示する際に、無線通信機能により最寄りの燃料電池システムの販売店情報をインターネット上のデータベースから取り寄せて前記表示部に表示する構成とした。これにより地理に不案内な場所で燃料電池システムが寿命を迎えても、すぐに表示された販売店で新しいものが入手できるという効果が得られる。
【0036】
以上の構成、動作により、メタノール水溶液に妨害成分が含まれていてもメタノール濃度を最適値に制御することができるようになる。
【0037】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0038】
図1は本発明の実施の形態1における燃料電池システムのブロック図である。図2は本発明の実施の形態1における燃料電池システムを用いた携帯機器を示す概略図であり、図2(a)は燃料電池システムと携帯機器が別体構造のものを、図2(b)は燃料電池システムを内蔵した携帯機器をそれぞれ示す。図3は本発明の実施の形態1における燃料電池システムの気泡検出手段の出力特性図であり、透明部分がアクリル製の場合を示す。図4は本実施の形態1における燃料電池システムの発電停止動作を示すフローチャートである。
【0039】
図1において、1は燃料貯蔵部であり本実施の形態1では燃料にメタノール水溶液を用いたので、燃料貯蔵部1はメタノールと水をあらかじめ1:1のモル数になるように混合したメタノール水溶液(以下、50モル%メタノール水溶液)を貯蔵したタンクとした。
【0040】
50モル%メタノール水溶液は、着色剤として、たとえばテトラアゾ染料を0.1%混合してある。これにより50モル%メタノール水溶液は黒色に着色される。なお、着色剤に顔料を用いると固形成分が含まれるため、燃料電池システムの長期の使用により燃料電池セル3を構成する触媒近傍に凝集固着するなどして発電効率を劣化させる可能性がある。
【0041】
燃料貯蔵部1には配管チューブを介して50モル%メタノール水溶液を輸送する燃料供給ポンプ2が接続されており、その出口は配管チューブを介して高分子電解質膜と触媒からなる燃料電池セル3の燃料極入口と接続されている。なお、燃料供給ポンプ2は例えばチューブポンプのようなポンプ停止時に液体燃料が逆流しない構成のものを用いた。
【0042】
燃料電池セル3の燃料極出口に接続された配管チューブには気泡検出手段4が設けられている。気泡検出手段4は内壁が撥水加工されたアクリル製の透明部分5を有する配管の外側で、透明部分5を挟んで直角に対向するように発光素子6と受光素子7が配置されている。なお、発光素子6は透明部分5の透過波長を含む光を出力する発光ダイオードからなり、受光素子7は発光素子6の発光波長帯を検出できるフォトトランジスタからなる。発光素子6および受光素子7の前面には樹脂製のレンズが素子の外装と一体成形により構成されている。また、発光素子6および受光素子7はそれぞれ外光から遮断するため、黒色の壁面を有する樹脂製のケース8内に配置してある。
【0043】
ケース8の近傍には配管の内部に突出するように配置したサーミスタからなる温度センサ9が設けられている。温度センサ9のサーミスタを配置した部分には、サーミスタを保護するために表面が黒色クロムメッキで着色されたステンレス製のカバー(図示せず)が設けられている。
【0044】
気泡検出手段4は、気体のみを外部へ排出するとともに燃料電池セル3に供給されるメタノール水溶液(以下、供給メタノール水溶液)を貯えるタンクを兼ねた気液分離器10に接続されている。気液分離器10の液体出口には配管チューブを介して燃料循環ポンプ11が接続されており、燃料循環ポンプ11の出口は燃料供給ポンプ2と燃料電池セル3を接続している配管チューブの一部に合流するように接続されている。
【0045】
一方、燃料電池セル3の空気極入口には外部の空気を供給するためのファン12が接続されている。燃料電池セル3の空気極出口は外部に向かって排気する構成になっている。
【0046】
燃料供給ポンプ2、燃料循環ポンプ11およびファン12の補機類と気泡検出手段4や温度センサ9は、いずれもマイクロコンピュータ13に接続されている。マイクロコンピュータ13は気泡検出手段4や温度センサ9の出力をもとに供給メタノール水溶液の濃度が最適になるように補機類を制御するとともに、燃料電池セル3で発電した電力の一部をリチウムイオン二次電池14に充電するように制御している。
【0047】
燃料電池セル3で発電した電力は、図2に示すように、燃料電池システム16を接続(図2(a))または内蔵(図2(b))した外部負荷、例えば携帯電話などの携帯機器15に供給される。なお、図2(a)では携帯機器15を燃料電池システム16にはめ込んで接続する構成を示したが、これは燃料電池システム16から接続コードを介して携帯機器15に接続してもよい。この場合、両者を分離して携帯できるので、例えば燃料電池システム16を鞄に入れたまま携帯機器15を使えば本来の携帯性を損なわずに長時間携帯機器15を使用できる。
【0048】
次に、燃料電池システムの定常動作について説明する。なお、本実施の形態1では燃料電池システムの用途として、接続される携帯機器の内蔵二次電池の充電用など負荷変動が比較的少ない場合について説明する。
【0049】
通常、供給メタノール水溶液(濃度は高分子電解質膜のクロスオーバーを考慮して約3%とした)は気液分離器10内のタンクに貯えられており、ここから燃料電池セル3の入口に向かって燃料循環ポンプ11により一定流量で一方向に流れる。燃料電池セル3から出た残余の供給メタノール水溶液は気泡検出手段4を通って再び気液分離器10に戻る。気液分離器10では発電の結果生成した二酸化炭素のみを外部に排気し、残余の供給メタノール水溶液は再び貯えられる。このような循環系の中で発電量に応じて供給メタノール水溶液中のメタノールは等モルの水と反応して徐々に消費されていく。
【0050】
一方、燃料電池セル3の空気極側では、ファン12によって外部の空気が燃料電池セル3に導入され、燃料電池セル3の空気出口から外部に排気される。この際、発電の結果生成した水は水蒸気として残余の空気に混じって燃料電池セル3から排出される。
【0051】
発電された電力は、一部を燃料電池システムに内蔵した二次電池14を充電しつつ、外部に接続された携帯機器15に出力される。なお、二次電池14の電力は燃料電池システムの起動、停止時に補機類を動作させるために使用される。
【0052】
燃料電池システムと携帯機器15は両者の接続部分を通して以下のような様々な信号のやり取りを行う。
【0053】
まず、燃料電池システムは携帯機器15に接続されると、電力供給の前に発電できる電力仕様を携帯機器15に送信する。携帯機器15は要求する電力と異なれば電力を受け付けず、その旨を携帯機器15に搭載された表示部に表示してユーザーに知らせる。
【0054】
また、両者の電力仕様が合致すると電力の供給を行うとともに、燃料電池システムの発電状態(燃料残量や温度等の異常表示、必要に応じて出力電力など)を携帯機器15の表示部に表示するよう信号を送る。この際、燃料電池セル3の発電状態や使用経過時間などから予想される燃料電池セル3の寿命も表示部に表示され、寿命が近づくと燃料電池システムの交換を促す警告を表示部に表示するようにしてある。
【0055】
さらに、接続された携帯機器15が携帯電話やPDAのようにインターネットへの無線通信機能を備えている場合は、燃料電池システムの寿命による交換警告を表示部に表示する際に、無線通信機能により最寄りの燃料電池システムの販売店情報をインターネット上のデータベースから取り寄せて表示部に表示する機能が付加される。
【0056】
このような動作で燃料電池システムは発電と携帯機器15との信号のやり取りを行っているが、発電を継続していくと供給メタノール水溶液の濃度は徐々に薄くなっていく。そこで、消費した分のメタノールと水を燃料貯蔵部1に接続された燃料供給ポンプ2により、燃料電池セル3に向かって供給する。この際の供給量はマイクロコンピュータ13の信号に応じた燃料供給ポンプ2の運転量により制御されている。
【0057】
この場合、50モル%メタノール水溶液の供給量をどのようにして決めるかを以下に説明する。
【0058】
直接メタノール型燃料電池システムでの燃料極における反応は(化1)の通りである。
【0059】
【化1】
【0060】
(化1)より、メタノールと水は化学量論的には等モルで反応して等モルの二酸化炭素(CO2)と6倍のプロトンおよび電子を生成する。従って、発電によって消費されたメタノールや水と等モルだけCO2が生成することがわかる。このため、燃料電池セル3の燃料極出口から出てくる供給メタノール水溶液中には必ず発電によって生成したCO2を含むことになる。通常、携帯機器を使用する環境下ではCO2は気体なので、発生したCO2は供給メタノール水溶液の一部に気泡として存在する。そこで、この気泡を気泡検出手段4で検出することにより発生したCO2量を見積もることができる。
【0061】
気泡(CO2)量は次のようにして見積もる。
【0062】
気泡検出手段4は透明部分5を挟むように発光素子6と受光素子7が対向するように配置されている。本実施の形態1では発光素子6の発光波長は940nmの赤外光を用いた。また、受光素子7の受光波長帯域は実用感度下で約750nmから約1000nmのものを用いた。なお、供給メタノール水溶液は黒色に着色されているので、供給メタノール水溶液が透明部分5に存在する時はこれらの波長帯域の光は吸収される。
【0063】
透明部分5に供給メタノール水溶液中の気泡が到達すると、発光素子6から発せられた光の透過度が液体と気体で大きく異なることに起因して受光素子7の出力が変動する。なお、供給メタノール水溶液は黒く着色されているため、気泡が入ると光の透過度はさらに顕著に変化する。その様子を図3に示す。
【0064】
図3において横軸は時間、縦軸は受光素子7の出力(任意単位)を示す。今、時間t1で気泡が気泡検出手段4に到達すると受光素子7の出力は急峻に変化するが、時間t2で気泡がなくなると(供給メタノール水溶液が再び気泡検出手段4に到達すると)受光素子7の出力は元に戻る。従って、受光素子7の出力が変化して元に戻るまでの時間、すなわち気泡透過時間(t2−t1)を測定することでCO2の量を見積もることができる。なぜなら、本実施の形態1では燃料循環ポンプ11の吐出量(流量)は既知一定であり、透明部分5の供給メタノール水溶液が透過する断面積も既知一定であるので、気泡(CO2)の体積は断面積×流量×気泡透過時間(t2−t1)で一義的に決定できるからである。なお、透明部分5の配管内壁は撥水加工がなされているので、供給メタノール水溶液が内壁表面に付着したまま滞ることがなくなる。従って、受発光素子間の光路上に液滴が付着することによる気泡検出誤差が低減できるうえ、着色剤の染料もはじくので透明部分5が黒く着色されることもなくなる。
【0065】
気泡(CO2)の体積がわかれば、温度センサ9で測定した現在の液温から温度補正をすることによりより正確なCO2のモル数がわかる。CO2のモル数は(化1)より消費したメタノールと水のモル数と一致するので、マイクロコンピュータ13は生成したCO2のモル数を計算しそれと同じだけの50モル%メタノール水溶液を供給するよう燃料供給ポンプ2を動かす。この場合、50モル%メタノール水溶液の供給すべきモル数にメタノールと水の総分子量(50)を掛けて50モル%メタノール水溶液の密度(あらかじめ液温毎に測定しておき、温度センサ9の出力によって密度を決定する)で割ると必要な50モル%メタノール水溶液の体積に換算でき、これを燃料供給ポンプ2の定格流量で割ると燃料供給ポンプ2の駆動時間を求めることができる。従って、マイクロコンピュータ13は前記計算で求めた駆動時間分だけ燃料供給ポンプ2をONするように制御する。
【0066】
このような動作により、供給メタノール水溶液には常に発電で消費されたメタノールと水が供給されるので、結果として常に一定濃度で燃料電池システムを動作させることができる。
【0067】
なお、直接メタノール型燃料電池システムの燃料極側の反応は、理想的には(化1)で表されるが実際にはメタノールからの中間生成物として蟻酸(HCOOH)やホルムアルデヒド(HCHO)が供給メタノール水溶液中に遊離してくる。この場合、これらの中間生成物は供給メタノール水溶液中に溶解するため気泡になることはなく、これが原因で気泡体積計算の誤差になることはない。また、中間生成物は循環しているうちにさらに燃料電池セル3の触媒上で酸化され最終的にはCO2とプロトンと電子になるので、その時に気泡量の誤差になると考えられるが、中間生成物はいずれもメタノールから生成したものであるので発生したCO2は全て元々はメタノールから得られたものである。従って、CO2が発生した段階で新たな50モル%メタノール水溶液を供給すればよいということになる。
【0068】
また、供給メタノール水溶液中には低濃度とはいえ着色剤が含まれる。この分子量は、本実施の形態1で用いたテトラアゾ染料の場合、ベンゼン環6個に種々の官能基が付いた構造をしているので、明らかにメタノールより高分子である。従って、燃料電池システムが通常駆動する室温近傍では、着色剤が触媒上で分解されることはほとんどなく安定して存在すると考えられる。従って、着色剤に起因してCO2が発生することはなく、これによる気泡の誤差も起こらないと考えられる。
【0069】
次に、燃料電池システムの発電停止動作について図4を用いて説明する。発電停止動作については、ユーザーにより停止動作を燃料電池システムに指示する以外に、燃料貯蔵部1の残量が既定値以下に減った時および温度センサ9の温度が何らかの理由で規定値を超える高温(例えばメタノールの沸点を超える温度)になった時は、その旨を接続された携帯機器15に送信するとともにマイクロコンピュータ13によって自動的に停止動作を行う。
【0070】
発電を停止する場合は、マイクロコンピュータ13は図4に示すフローチャートに従って動作する。まず、燃料電池システムに内蔵した二次電池14が満充電状態であるかを判断する(S1)。満充電状態でなければ(S1のno)、満充電状態になるまで燃料電池システムを駆動し続ける。これにより、次回燃料電池システムを起動する時に補機類を動かすための電力が得られない可能性を低減できる。
【0071】
満充電状態になれば(S1のyes)外部に接続された携帯機器15などの負荷への電力出力をオフにした(S2)後、ファン12と燃料供給ポンプ2の動作を停止する(S3)。ここで、燃料循環ポンプ11は二次電池14の電力で動作させ続けている。
【0072】
次に気泡検出手段4の出力をモニターして気泡が無くなったか否かを判断する(S4)。これは、気泡が検出されなくなった時点から燃料循環の配管内の全体積分に相当する時間以上、燃料循環ポンプ11を動かし続け、その間に次の気泡が現われなければ気泡が無くなったと判断する。
【0073】
気泡が無くなれば(S4のno)燃料循環ポンプ11をオフにし(S5)、二次電池14の電力から燃料電池セル3に水の分解電圧以上の電圧を印加する(S6)。この際、燃料極側に水素が、空気極側に酸素が発生するように電圧を印加する。この電圧印加により、燃料電池セル3の触媒近傍の水が電気分解され、燃料極側に残存する供給メタノール水溶液中に水素の気泡が発生する。このように制御することで、燃料電池セル3の触媒近傍は水素のみが存在し、供給メタノール水溶液は発生した水素により気液分離器10に向かって押しやられる。なぜなら、気液分離器10は気体の外部排出用にその部分が大気開放されているので、水素発生による供給メタノール水溶液の内圧上昇はここから逃げることができるためである。
【0074】
これにより、燃料電池システム停止時は常に触媒近傍に水素が存在するので、供給メタノール水溶液に浸らない状態となる。その結果、停止時にメタノールによる高分子電解質膜の劣化を防ぐことができる。
【0075】
燃料電池セル3に電圧を印加し続けると、水素の気泡はやがて気泡検出手段4に到る。ここで、気泡検出手段4の出力から気泡を検出したら(S7のyes)燃料電池セル3への電圧印加を停止するとともに、気泡検出手段4をオフにして(S8)燃料電池システムの動作を停止する。
【0076】
以上のような構成、動作により、妨害成分が含まれていても常に適正なメタノール濃度で発電を行うことができる燃料電池システムが得られる。
【0077】
なお、(化1)より、燃料極でのメタノールと水の反応から生成するのはCO2以外にプロトンと電子もあり、これらの量を検出しても理論的にはメタノールと水の消費量がわかる。しかし、プロトン量は高分子電解質中を移動していくので、直接測定するのは困難である。
【0078】
一方、電子については、出力電流を検出することでその量を知ることはできる。出力電流を検知するには燃料電池セル3から負荷に到るまでの配線の一部に低抵抗を直列につなぎ、その両端電圧から電流値を求めるのが一般的だが、この場合低抵抗といえどもそこでの電力消費は必ず存在しその分誤差になるだけでなく、せっかく発電した電力を無駄に消費してしまう。また、電流プローブ等で非接触に電流を計測する方法もあるが、電流プローブが高価であるため、そのまま民生用の燃料電池システムには搭載できない。
【0079】
このような理由から、メタノールと水の消費量は生成したCO2の量から求めるのが最も容易で効果的であると考える。
【0080】
(実施の形態2)
以下、本発明の他の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0081】
図5は本発明の実施の形態2における燃料電池システムのブロック図である。図6は本発明の実施の形態2における燃料電池システムの気泡検出手段の出力特性図であり、透明部分がガラス製の場合を示す。
【0082】
本実施の形態2は基本的な構成が実施の形態1と同等であるので、同一部分には同一番号を付して詳細な説明を省略し特徴となる部分についてのみ説明する。
【0083】
本実施の形態2の特徴は気泡検出手段4に内蔵した発光素子6および受光素子7を2組設け、さらに透明部分5の材質をガラス製にしたことである。このような構成とすることで燃料電池システムに接続された携帯機器15の負荷が変動しても、それに応じて燃料循環ポンプの吐出流量を可変することができるので、実施の形態1で述べた携帯機器15の二次電池充電用だけでなく、直接携帯機器15を駆動することができるようになる。なお、温度センサ9は2組の受発光素子の間に位置するように配置してある。これにより、2組の受発光素子近傍の平均的な温度を得ることができる。
【0084】
ここで、発光素子6と受光素子7を2組にすることで負荷変動に追従できる理由について説明する。
【0085】
実施の形態1では負荷変動が少ない用途のため、発電に必要なメタノール水溶液の供給量は一定でよく、従って燃料循環ポンプ11の吐出流量も既知一定であった。従って、発生したCO2の気泡体積は透明部分5の内部断面積×流量(既知)×気泡透過時間(t2−t1)で一義的に決定できた。
【0086】
しかし、直接携帯機器15に電力を供給する本実施の形態2の場合では、携帯機器15の使用状況により必要な電力量が変化することにより負荷変動が発生する。これにより燃料電池セル3で消費されるメタノール水溶液の消費量も変動するため、負荷変動に応じて燃料循環ポンプ11を制御し燃料電池セル3に供給するメタノール水溶液の流量を可変する必要がある。
【0087】
その結果、上記の気泡体積計算式中の流量の項が既知一定でなくなるため、実施の形態1の方法では正確な気泡量が計算できない。
【0088】
そこで、2組の発光素子6と受光素子7を用いて流量を求めている。まず、第1の発光素子6Aと第1の受光素子7Aから得られる信号が気泡を検出した時から、第2の発光素子6Bと第2の受光素子7Bが気泡を検出するまでの時間tをマイクロコンピュータ13で求める。次に、第1の受光素子7Aと第2の受光素子7Bの間隔および透明部分5の供給メタノール水溶液が流れる断面積は既知であるのでその間の体積もあらかじめわかっており、これを時間tで割ることで流量を求められる。
【0089】
これにより、負荷変動で流量が変化しても気泡の流れる速度から流量がわかることになり、上記の気泡体積計算式から気泡の体積を得ることができる。なお、気泡透過時間(t2−t1)は第1の受光素子7Aの出力から求めている。
【0090】
こうして得られたCO2の体積から実施の形態1と同様の手法によって消費されたメタノール水溶液の量を見積もり、その分だけ燃料供給ポンプ2を駆動して供給する。さらに、現在の流量もわかるので、それに応じて発電に必要な流量になるように燃料循環ポンプ11を制御する。
【0091】
上記のような構成の気泡検出手段4を用いる場合、受光素子7の気泡検出精度が重要となる。図3のような検出特性の場合、気泡の先端が受光素子7に到達した時の出力変化がブロードであり、どこから気泡なのかが曖昧になり、特に本実施の形態2のように2組の受発光素子の間隔が狭いうえ、負荷変動によって流速が変化する場合は時間tの誤差が大きくなる。
【0092】
これは、透明部分5の材質に起因している。すなわち、実施の形態1で示したように透明部分5にアクリル樹脂を用いた場合、樹脂の表面凹凸で乱反射が起こり気泡到達時の気液界面での出力変化が、それ以外の部分の反射光と合成されてしまい曖昧な変化となってしまう。
【0093】
そこで、本実施の形態2では、表面粗度が小さいガラス製の透明部分5を用いている。これにより、例えば第1の受光素子7Aの出力特性は図6に示すように気泡到達とともに極めて鋭く出力が変化し、どこから気泡なのかが正確に検知できる。
【0094】
なお、本実施の形態2の燃料電池システムの動作については、上記負荷変動に対する燃料循環ポンプ11の制御を行う以外は基本的に実施の形態1と同等である。
【0095】
以上のような構成、動作により、負荷変動が発生した場合であっても、妨害成分によらず常に適正なメタノール濃度で発電を行うことができる燃料電池システムが得られる。
【0096】
【発明の効果】
以上のように本発明は液体燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、この燃料貯蔵部に接続され前記液体燃料を輸送する燃料供給ポンプと、この燃料供給ポンプの出口が燃料極入口に接続された燃料電池セルと、この燃料電池セルの燃料極出口に接続された気泡検出手段を有する配管と、この配管の先に接続された気液分離器と、この気液分離器の液体出口に接続された燃料循環ポンプと、前記燃料電池セルの空気極入口に接続された空気を供給するファンとからなり、前記燃料循環ポンプの出口が前記燃料供給ポンプの出口と合流するように前記燃料電池セルの燃料極入口に接続された構成を有し、前記配管の中を通る前記液体燃料に含まれる気泡を前記気泡検出手段の出力で検出して気泡の量を求め、この気泡の量を生成するのに必要な前記液体燃料の量を計算し、その分だけ前記燃料供給ポンプを駆動するようにしたものであるので、液体燃料を使った量だけ供給することで、妨害成分によらず常に最適なメタノール濃度に制御できる燃料電池システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における燃料電池システムのブロック図
【図2】(a)同燃料電池システムと携帯機器が別体構造のものを示す正面図
(b)同燃料電池システムを内蔵した携帯機器の正面図
【図3】同燃料電池システムの気泡検出手段の出力特性図
【図4】同燃料電池システムの発電停止動作を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2における燃料電池システムのブロック図
【図6】同燃料電池システムの気泡検出手段の出力特性図
【符号の説明】
1 燃料貯蔵部
2 燃料供給ポンプ
3 燃料電池セル
4 気泡検出手段
5 透明部分
6 発光素子
7 受光素子
8 ケース
9 温度センサ
10 気液分離器
11 燃料循環ポンプ
12 ファン
13 マイクロコンピュータ
14 二次電池
15 携帯機器
16 燃料電池システム
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯または可搬が可能な燃料電池システムとそれを用いた携帯機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯機器に対応した携帯または可搬が可能な燃料電池システムとして、メタノールに代表される液体燃料を直接反応させて電力を得る直接メタノール型燃料電池が提案されている(例えば特許文献1参照)。この燃料電池システムはメタノールを改質するプロセスが不要なため構造が簡単になり、特に小型化が要求される携帯機器用として本命視され、実用化の開発が盛んに行われてきている。
【0003】
このメタノールを直接反応させて発電する燃料電池システムでは、前記従来例に示されているように、反応に必要な水をメタノールと混合して燃料電池に供給する必要がある。この際、混合割合すなわちメタノール濃度は、燃料電池を効率よく発電させるために最適値に制御するのが望ましい。実際、前記従来例においても、燃料電池の出入口に第1および第2の濃度センサを配置し濃度制御を行っている。なお、制御される濃度は通常数%程度としている。これは、燃料電池を構成する高分子電解質膜がメタノールを透過させてしまう性質を有しており、これを低減するためである。従って、前記濃度センサは多くとも10%程度以下のメタノールを精度よく検出する必要がある。
【0004】
また、このような液体濃度センサとしては、液体の濃度に応じた屈折率の変化や静電容量の変化をそれぞれ検出するものなどがある(例えば特許文献2、特許文献3参照)。これらを用いて、燃料電池に供給するメタノールの濃度を検出することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−161810号公報
【特許文献2】
特許第2019470号公報
【特許文献3】
特開平11−352089号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の液体濃度センサを用いると、確かに水中のメタノール濃度を検出することができるが、複数の成分が共存する水溶液中のメタノールのみの濃度を検出することはできない。なぜなら、いずれの液体濃度センサも屈折率や静電容量の出力変化とメタノール水溶液の濃度の相関をあらかじめ求めておき、単に出力変化から濃度を一義的に決定するのみの構成であり、他の成分が混在したときの屈折率や静電容量の変化まで考慮されていないためである。
【0007】
このことから、燃料電池システムに従来の液体濃度センサをそのまま適用するのは困難である。その理由は以下の通りである。直接メタノール型燃料電池システムでは、特許文献1にも示されているようにメタノールを有効利用するために燃料電池から排出される残余のメタノール水溶液を循環して再び燃料電池に供給するシステムが一般的である。しかし、残余のメタノール水溶液中には、メタノールが水と反応して水素と二酸化炭素を生成する際の中間生成物である蟻酸やホルムアルデヒドも含まれてしまう。これらの生成量は燃料電池の発電状態によって変動するため、正確にメタノール濃度を検出しようとすると、刻々と変わるこれら妨害成分の補正を行わなければならない。従来の液体濃度センサは前記補正を行ってメタノールのみの濃度を検出するようには構成されていないため、メタノール水溶液を循環させない燃料電池システムには適用できるが、一般的な循環式の燃料電池システムにおいては誤差が大きくなり、メタノール濃度を最適値に制御するのが困難であると考えられる。
【0008】
以上のことから、本発明は妨害成分が含まれていてもメタノール濃度を最適値に制御することができる燃料電池システムを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものであり、その特徴部分について列挙する。
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明は、液体燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、この燃料貯蔵部に接続され前記液体燃料を輸送する燃料供給ポンプと、この燃料供給ポンプの出口が燃料極入口に接続された燃料電池セルと、この燃料電池セルの燃料極出口に接続された気泡検出手段を有する配管と、この配管の先に接続された気液分離器と、この気液分離器の液体出口に接続された燃料循環ポンプと、前記燃料電池セルの空気極入口に接続された空気を供給するファンとからなり、前記燃料循環ポンプの出口が前記燃料供給ポンプの出口と合流するように前記燃料電池セルの燃料極入口に接続された構成を有し、前記配管の中を通る液体燃料に含まれる気泡を前記気泡検出手段の出力で検出して気泡の量を求め、この気泡の量を生成するのに必要な液体燃料の量を計算し、その分だけ前記燃料供給ポンプを駆動するように構成したものである。このように、液体燃料中の燃料(メタノール)を直接検出するのではなく、反応によって生成した二酸化炭素の気泡の量を検出することで燃料電池により消費されたメタノール量が見積もられるので、使った量だけメタノールを供給することで妨害成分によらず常に最適なメタノール濃度に制御できる上、負荷変動が起こった場合など燃料電池の発電状態に応じて気泡の量も変わるので、発電状態の変動にも素早く対応できる燃料電池システムが実現できるという効果が得られる。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、気泡検出手段として、透明部分とその外側で透明部分を挟んで対向するように配置した前記透明部分の透過波長帯の光を発する発光素子およびこの発光素子の発光波長帯を検出する受光素子とからなる構成とした。これにより気泡を簡単な構成で正確に検出できるという効果が得られる。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、発光素子が発光ダイオードであり、受光素子がフォトトランジスタである構成とした。これにより、いずれの素子も消費電力が小さいので、燃料電池システムで発電された電力消費を最低限にでき効率がよくなるという効果が得られる。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、発光素子および受光素子の前面にはレンズを配置した構成とした。これにより発光素子の光を効率よく受光素子に伝達できるだけでなく外乱光が受光素子に入りにくくなるので、高精度に気泡を検出できるという効果が得られる。
【0014】
本発明の請求項5に記載の発明は、発光素子および受光素子を外光から遮断するように配置した構成とした。これにより発光素子の光の外部への散乱や受光素子への外乱光の侵入がさらに抑えられるので、より高精度に気泡を検出できるという効果が得られる。
【0015】
本発明の請求項6に記載の発明は、発光素子および受光素子の近傍の配管内に温度センサを配置した構成とした。これにより液体燃料の温度変化に伴う密度やモル数計算の補正が可能となるため、より正確に液体燃料の消費量を見積もることができるという効果が得られる。
【0016】
本発明の請求項7に記載の発明は、発光素子および受光素子を透明部分に2組設け、両者の出力から気泡の体積を求め、この気泡の体積を得るのに必要な液体燃料の体積を計算し、その体積分だけ前記液体燃料を供給するように燃料供給ポンプおよび燃料循環ポンプを制御する構成とした。これにより燃料電池システムに接続された負荷が変動しても正確に液体燃料の消費量がわかるので、負荷変動があっても常に液体燃料の濃度を正確に維持できるという効果が得られる。
【0017】
本発明の請求項8に記載の発明は、2組の発光素子および受光素子の間に位置するように配管内に温度センサを配置した構成とした。これにより両者の近傍の平均的温度を検出することができるので、液体燃料の密度やモル数の温度補正に対する誤差を低減することができるという効果が得られる。
【0018】
本発明の請求項9に記載の発明は、温度センサとしてステンレス製のカバーに収納されたサーミスタを用いる構成とした。これにより液体燃料からサーミスタを保護できるだけでなく、発電反応時の中間生成物である蟻酸のような酸に対しても耐久性を確保できるという効果が得られる。
【0019】
本発明の請求項10に記載の発明は、液体燃料を着色剤で着色した。これにより気泡の有無で発光素子の光の透過度に大きな差をつけることができるため、高精度に気泡を検出できるという効果が得られる。
【0020】
本発明の請求項11に記載の発明は、着色剤を発光素子の発光波長帯を吸収する色とした。これにより液体燃料が受発光素子間にあるときは発光素子の光がほとんど吸収されて受光素子に到達しないため、気泡が到達したときの出力に比べて極めて大きな出力差が得られるようになり、結果としてさらに高精度に気泡を検出できるという効果が得られる。
【0021】
本発明の請求項12に記載の発明は、着色剤を染料とした。これにより顔料のように固形物を含まずに着色できるため、固形物による燃料電池セルの劣化を低減できるという効果が得られる。
【0022】
本発明の請求項13に記載の発明は、着色剤として液体燃料より高分子のものを用いた。これにより燃料電池システムの使用環境温度内では、燃料電池セルの触媒上で着色剤が分解することがないため、着色剤に起因した気泡の発生が起こらず高精度に液体燃料の濃度を維持できるという効果が得られる。
【0023】
本発明の請求項14に記載の発明は、燃料電池セルが発電した電力の一部を充電する二次電池を有する構成とした。これにより燃料電池システム起動時や停止時に補機類を駆動できるだけでなく、燃料電池セルの発電が始まるまでの間、接続された携帯機器に電力を供給できるという効果が得られる。
【0024】
本発明の請求項15に記載の発明は、二次電池をリチウムイオン電池とした。これにより低温時の起動性が優れるため、低温起動時から補機類を駆動することができるという効果が得られる。
【0025】
本発明の請求項16に記載の発明は、定常状態で燃料電池セルの発電を終了する前に、充電が完了するまで二次電池を充電し続ける構成とした。これにより次に燃料電池システムを起動する際に補機類を駆動できる可能性が高まるという効果が得られる。
【0026】
本発明の請求項17に記載の発明は、燃料電池セルの発電停止動作として、ファンおよび燃料供給ポンプを停止し燃料循環ポンプは燃料極側の気泡が無くなるまで駆動し、気泡が無くなると前記燃料循環ポンプを停止するとともに、燃料極側が正極に空気極側が負極になるように水の分解電圧以上の電圧を燃料電池セルに印加してから停止動作を終了するようにした。これにより燃料電池システム停止時は常に触媒近傍に水素が存在するので、供給するメタノール水溶液に浸らない状態となり、停止時にメタノールによる高分子電解質膜の劣化を防ぐことができるという効果が得られる。
【0027】
本発明の請求項18に記載の発明は、燃料循環ポンプの停止の際に受光素子の出力により気泡が無いことを判断するようにした。これにより、燃料電池システムの構成部材のみで気泡なしを判断できるため、極めて簡単な構成の燃料電池システムが実現できるという効果が得られる。
【0028】
本発明の請求項19に記載の発明は、燃料電池セルに印加した電圧は受光素子で気泡が検出されるまで行うようにした。これにより燃料極で生成した水素を必要十分な量だけ確実に検知できるようになるため、水素不足の場合に起こりうる残余の液体燃料(メタノール)による高分子電解質膜の劣化を防止できるとともに、水素過剰の場合に起こりうる気液分離器からの水素放出も防止できるという効果が得られる。
【0029】
本発明の請求項20に記載の発明は、温度センサの出力が既定値以上になれば燃料電池セルの発電停止の動作を行うようにした。これは、液体燃料(メタノール)が沸点を超えて蒸気になった場合、高分子電解質膜をさらに劣化させてしまうため、温度を監視することにより劣化を防止できるという効果が得られる。
【0030】
本発明の請求項21に記載の発明は、携帯機器は上記燃料電池システムのいずれか1つを接続もしくは内蔵した構成とした。これにより液体燃料を供給するだけで常に一定の、あるいは負荷変動に応じた電力を得ることができるので、長時間に渡って携帯機器を使い続けられるという効果が得られる。
【0031】
本発明の請求項22に記載の発明は、携帯機器は接続された燃料電池システムの電力仕様が不適切であれば電力供給を受けない構成とした。これにより過剰電力による携帯機器の電気的破損や過小電力による携帯機器の不動作を未然に防止できるという効果が得られる。
【0032】
本発明の請求項23に記載の発明は、携帯機器は表示部を有し、燃料電池の発電状態を燃料電池システムから取得し、前記表示部に表示する構成とした。これにより、ユーザーは燃料残量や燃料電池システムの異常を表示部から知ることができるため、燃料電池システムの不具合に対して素早く対応できるという効果が得られる。
【0033】
本発明の請求項24に記載の発明は、携帯機器は燃料電池の発電状態から予想される燃料電池セルの寿命を表示部に表示するとともに、寿命が近づくと燃料電池システムの交換を促す警告を表示する構成とした。これにより発電ができなくなる前に新しい燃料電池システムと交換できるようになるため、使用中に突然発電が停止するという事態を回避できるという効果が得られる。
【0034】
本発明の請求項25に記載の発明は、携帯機器はインターネットを含む無線通信機能を有する構成とした。これにより無線通信のように大電力を必要とする携帯機器であっても、燃料電池システムで長時間駆動することができるという効果が得られる。
【0035】
本発明の請求項26に記載の発明は、携帯機器は燃料電池システムの交換警告を表示部に表示する際に、無線通信機能により最寄りの燃料電池システムの販売店情報をインターネット上のデータベースから取り寄せて前記表示部に表示する構成とした。これにより地理に不案内な場所で燃料電池システムが寿命を迎えても、すぐに表示された販売店で新しいものが入手できるという効果が得られる。
【0036】
以上の構成、動作により、メタノール水溶液に妨害成分が含まれていてもメタノール濃度を最適値に制御することができるようになる。
【0037】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0038】
図1は本発明の実施の形態1における燃料電池システムのブロック図である。図2は本発明の実施の形態1における燃料電池システムを用いた携帯機器を示す概略図であり、図2(a)は燃料電池システムと携帯機器が別体構造のものを、図2(b)は燃料電池システムを内蔵した携帯機器をそれぞれ示す。図3は本発明の実施の形態1における燃料電池システムの気泡検出手段の出力特性図であり、透明部分がアクリル製の場合を示す。図4は本実施の形態1における燃料電池システムの発電停止動作を示すフローチャートである。
【0039】
図1において、1は燃料貯蔵部であり本実施の形態1では燃料にメタノール水溶液を用いたので、燃料貯蔵部1はメタノールと水をあらかじめ1:1のモル数になるように混合したメタノール水溶液(以下、50モル%メタノール水溶液)を貯蔵したタンクとした。
【0040】
50モル%メタノール水溶液は、着色剤として、たとえばテトラアゾ染料を0.1%混合してある。これにより50モル%メタノール水溶液は黒色に着色される。なお、着色剤に顔料を用いると固形成分が含まれるため、燃料電池システムの長期の使用により燃料電池セル3を構成する触媒近傍に凝集固着するなどして発電効率を劣化させる可能性がある。
【0041】
燃料貯蔵部1には配管チューブを介して50モル%メタノール水溶液を輸送する燃料供給ポンプ2が接続されており、その出口は配管チューブを介して高分子電解質膜と触媒からなる燃料電池セル3の燃料極入口と接続されている。なお、燃料供給ポンプ2は例えばチューブポンプのようなポンプ停止時に液体燃料が逆流しない構成のものを用いた。
【0042】
燃料電池セル3の燃料極出口に接続された配管チューブには気泡検出手段4が設けられている。気泡検出手段4は内壁が撥水加工されたアクリル製の透明部分5を有する配管の外側で、透明部分5を挟んで直角に対向するように発光素子6と受光素子7が配置されている。なお、発光素子6は透明部分5の透過波長を含む光を出力する発光ダイオードからなり、受光素子7は発光素子6の発光波長帯を検出できるフォトトランジスタからなる。発光素子6および受光素子7の前面には樹脂製のレンズが素子の外装と一体成形により構成されている。また、発光素子6および受光素子7はそれぞれ外光から遮断するため、黒色の壁面を有する樹脂製のケース8内に配置してある。
【0043】
ケース8の近傍には配管の内部に突出するように配置したサーミスタからなる温度センサ9が設けられている。温度センサ9のサーミスタを配置した部分には、サーミスタを保護するために表面が黒色クロムメッキで着色されたステンレス製のカバー(図示せず)が設けられている。
【0044】
気泡検出手段4は、気体のみを外部へ排出するとともに燃料電池セル3に供給されるメタノール水溶液(以下、供給メタノール水溶液)を貯えるタンクを兼ねた気液分離器10に接続されている。気液分離器10の液体出口には配管チューブを介して燃料循環ポンプ11が接続されており、燃料循環ポンプ11の出口は燃料供給ポンプ2と燃料電池セル3を接続している配管チューブの一部に合流するように接続されている。
【0045】
一方、燃料電池セル3の空気極入口には外部の空気を供給するためのファン12が接続されている。燃料電池セル3の空気極出口は外部に向かって排気する構成になっている。
【0046】
燃料供給ポンプ2、燃料循環ポンプ11およびファン12の補機類と気泡検出手段4や温度センサ9は、いずれもマイクロコンピュータ13に接続されている。マイクロコンピュータ13は気泡検出手段4や温度センサ9の出力をもとに供給メタノール水溶液の濃度が最適になるように補機類を制御するとともに、燃料電池セル3で発電した電力の一部をリチウムイオン二次電池14に充電するように制御している。
【0047】
燃料電池セル3で発電した電力は、図2に示すように、燃料電池システム16を接続(図2(a))または内蔵(図2(b))した外部負荷、例えば携帯電話などの携帯機器15に供給される。なお、図2(a)では携帯機器15を燃料電池システム16にはめ込んで接続する構成を示したが、これは燃料電池システム16から接続コードを介して携帯機器15に接続してもよい。この場合、両者を分離して携帯できるので、例えば燃料電池システム16を鞄に入れたまま携帯機器15を使えば本来の携帯性を損なわずに長時間携帯機器15を使用できる。
【0048】
次に、燃料電池システムの定常動作について説明する。なお、本実施の形態1では燃料電池システムの用途として、接続される携帯機器の内蔵二次電池の充電用など負荷変動が比較的少ない場合について説明する。
【0049】
通常、供給メタノール水溶液(濃度は高分子電解質膜のクロスオーバーを考慮して約3%とした)は気液分離器10内のタンクに貯えられており、ここから燃料電池セル3の入口に向かって燃料循環ポンプ11により一定流量で一方向に流れる。燃料電池セル3から出た残余の供給メタノール水溶液は気泡検出手段4を通って再び気液分離器10に戻る。気液分離器10では発電の結果生成した二酸化炭素のみを外部に排気し、残余の供給メタノール水溶液は再び貯えられる。このような循環系の中で発電量に応じて供給メタノール水溶液中のメタノールは等モルの水と反応して徐々に消費されていく。
【0050】
一方、燃料電池セル3の空気極側では、ファン12によって外部の空気が燃料電池セル3に導入され、燃料電池セル3の空気出口から外部に排気される。この際、発電の結果生成した水は水蒸気として残余の空気に混じって燃料電池セル3から排出される。
【0051】
発電された電力は、一部を燃料電池システムに内蔵した二次電池14を充電しつつ、外部に接続された携帯機器15に出力される。なお、二次電池14の電力は燃料電池システムの起動、停止時に補機類を動作させるために使用される。
【0052】
燃料電池システムと携帯機器15は両者の接続部分を通して以下のような様々な信号のやり取りを行う。
【0053】
まず、燃料電池システムは携帯機器15に接続されると、電力供給の前に発電できる電力仕様を携帯機器15に送信する。携帯機器15は要求する電力と異なれば電力を受け付けず、その旨を携帯機器15に搭載された表示部に表示してユーザーに知らせる。
【0054】
また、両者の電力仕様が合致すると電力の供給を行うとともに、燃料電池システムの発電状態(燃料残量や温度等の異常表示、必要に応じて出力電力など)を携帯機器15の表示部に表示するよう信号を送る。この際、燃料電池セル3の発電状態や使用経過時間などから予想される燃料電池セル3の寿命も表示部に表示され、寿命が近づくと燃料電池システムの交換を促す警告を表示部に表示するようにしてある。
【0055】
さらに、接続された携帯機器15が携帯電話やPDAのようにインターネットへの無線通信機能を備えている場合は、燃料電池システムの寿命による交換警告を表示部に表示する際に、無線通信機能により最寄りの燃料電池システムの販売店情報をインターネット上のデータベースから取り寄せて表示部に表示する機能が付加される。
【0056】
このような動作で燃料電池システムは発電と携帯機器15との信号のやり取りを行っているが、発電を継続していくと供給メタノール水溶液の濃度は徐々に薄くなっていく。そこで、消費した分のメタノールと水を燃料貯蔵部1に接続された燃料供給ポンプ2により、燃料電池セル3に向かって供給する。この際の供給量はマイクロコンピュータ13の信号に応じた燃料供給ポンプ2の運転量により制御されている。
【0057】
この場合、50モル%メタノール水溶液の供給量をどのようにして決めるかを以下に説明する。
【0058】
直接メタノール型燃料電池システムでの燃料極における反応は(化1)の通りである。
【0059】
【化1】
【0060】
(化1)より、メタノールと水は化学量論的には等モルで反応して等モルの二酸化炭素(CO2)と6倍のプロトンおよび電子を生成する。従って、発電によって消費されたメタノールや水と等モルだけCO2が生成することがわかる。このため、燃料電池セル3の燃料極出口から出てくる供給メタノール水溶液中には必ず発電によって生成したCO2を含むことになる。通常、携帯機器を使用する環境下ではCO2は気体なので、発生したCO2は供給メタノール水溶液の一部に気泡として存在する。そこで、この気泡を気泡検出手段4で検出することにより発生したCO2量を見積もることができる。
【0061】
気泡(CO2)量は次のようにして見積もる。
【0062】
気泡検出手段4は透明部分5を挟むように発光素子6と受光素子7が対向するように配置されている。本実施の形態1では発光素子6の発光波長は940nmの赤外光を用いた。また、受光素子7の受光波長帯域は実用感度下で約750nmから約1000nmのものを用いた。なお、供給メタノール水溶液は黒色に着色されているので、供給メタノール水溶液が透明部分5に存在する時はこれらの波長帯域の光は吸収される。
【0063】
透明部分5に供給メタノール水溶液中の気泡が到達すると、発光素子6から発せられた光の透過度が液体と気体で大きく異なることに起因して受光素子7の出力が変動する。なお、供給メタノール水溶液は黒く着色されているため、気泡が入ると光の透過度はさらに顕著に変化する。その様子を図3に示す。
【0064】
図3において横軸は時間、縦軸は受光素子7の出力(任意単位)を示す。今、時間t1で気泡が気泡検出手段4に到達すると受光素子7の出力は急峻に変化するが、時間t2で気泡がなくなると(供給メタノール水溶液が再び気泡検出手段4に到達すると)受光素子7の出力は元に戻る。従って、受光素子7の出力が変化して元に戻るまでの時間、すなわち気泡透過時間(t2−t1)を測定することでCO2の量を見積もることができる。なぜなら、本実施の形態1では燃料循環ポンプ11の吐出量(流量)は既知一定であり、透明部分5の供給メタノール水溶液が透過する断面積も既知一定であるので、気泡(CO2)の体積は断面積×流量×気泡透過時間(t2−t1)で一義的に決定できるからである。なお、透明部分5の配管内壁は撥水加工がなされているので、供給メタノール水溶液が内壁表面に付着したまま滞ることがなくなる。従って、受発光素子間の光路上に液滴が付着することによる気泡検出誤差が低減できるうえ、着色剤の染料もはじくので透明部分5が黒く着色されることもなくなる。
【0065】
気泡(CO2)の体積がわかれば、温度センサ9で測定した現在の液温から温度補正をすることによりより正確なCO2のモル数がわかる。CO2のモル数は(化1)より消費したメタノールと水のモル数と一致するので、マイクロコンピュータ13は生成したCO2のモル数を計算しそれと同じだけの50モル%メタノール水溶液を供給するよう燃料供給ポンプ2を動かす。この場合、50モル%メタノール水溶液の供給すべきモル数にメタノールと水の総分子量(50)を掛けて50モル%メタノール水溶液の密度(あらかじめ液温毎に測定しておき、温度センサ9の出力によって密度を決定する)で割ると必要な50モル%メタノール水溶液の体積に換算でき、これを燃料供給ポンプ2の定格流量で割ると燃料供給ポンプ2の駆動時間を求めることができる。従って、マイクロコンピュータ13は前記計算で求めた駆動時間分だけ燃料供給ポンプ2をONするように制御する。
【0066】
このような動作により、供給メタノール水溶液には常に発電で消費されたメタノールと水が供給されるので、結果として常に一定濃度で燃料電池システムを動作させることができる。
【0067】
なお、直接メタノール型燃料電池システムの燃料極側の反応は、理想的には(化1)で表されるが実際にはメタノールからの中間生成物として蟻酸(HCOOH)やホルムアルデヒド(HCHO)が供給メタノール水溶液中に遊離してくる。この場合、これらの中間生成物は供給メタノール水溶液中に溶解するため気泡になることはなく、これが原因で気泡体積計算の誤差になることはない。また、中間生成物は循環しているうちにさらに燃料電池セル3の触媒上で酸化され最終的にはCO2とプロトンと電子になるので、その時に気泡量の誤差になると考えられるが、中間生成物はいずれもメタノールから生成したものであるので発生したCO2は全て元々はメタノールから得られたものである。従って、CO2が発生した段階で新たな50モル%メタノール水溶液を供給すればよいということになる。
【0068】
また、供給メタノール水溶液中には低濃度とはいえ着色剤が含まれる。この分子量は、本実施の形態1で用いたテトラアゾ染料の場合、ベンゼン環6個に種々の官能基が付いた構造をしているので、明らかにメタノールより高分子である。従って、燃料電池システムが通常駆動する室温近傍では、着色剤が触媒上で分解されることはほとんどなく安定して存在すると考えられる。従って、着色剤に起因してCO2が発生することはなく、これによる気泡の誤差も起こらないと考えられる。
【0069】
次に、燃料電池システムの発電停止動作について図4を用いて説明する。発電停止動作については、ユーザーにより停止動作を燃料電池システムに指示する以外に、燃料貯蔵部1の残量が既定値以下に減った時および温度センサ9の温度が何らかの理由で規定値を超える高温(例えばメタノールの沸点を超える温度)になった時は、その旨を接続された携帯機器15に送信するとともにマイクロコンピュータ13によって自動的に停止動作を行う。
【0070】
発電を停止する場合は、マイクロコンピュータ13は図4に示すフローチャートに従って動作する。まず、燃料電池システムに内蔵した二次電池14が満充電状態であるかを判断する(S1)。満充電状態でなければ(S1のno)、満充電状態になるまで燃料電池システムを駆動し続ける。これにより、次回燃料電池システムを起動する時に補機類を動かすための電力が得られない可能性を低減できる。
【0071】
満充電状態になれば(S1のyes)外部に接続された携帯機器15などの負荷への電力出力をオフにした(S2)後、ファン12と燃料供給ポンプ2の動作を停止する(S3)。ここで、燃料循環ポンプ11は二次電池14の電力で動作させ続けている。
【0072】
次に気泡検出手段4の出力をモニターして気泡が無くなったか否かを判断する(S4)。これは、気泡が検出されなくなった時点から燃料循環の配管内の全体積分に相当する時間以上、燃料循環ポンプ11を動かし続け、その間に次の気泡が現われなければ気泡が無くなったと判断する。
【0073】
気泡が無くなれば(S4のno)燃料循環ポンプ11をオフにし(S5)、二次電池14の電力から燃料電池セル3に水の分解電圧以上の電圧を印加する(S6)。この際、燃料極側に水素が、空気極側に酸素が発生するように電圧を印加する。この電圧印加により、燃料電池セル3の触媒近傍の水が電気分解され、燃料極側に残存する供給メタノール水溶液中に水素の気泡が発生する。このように制御することで、燃料電池セル3の触媒近傍は水素のみが存在し、供給メタノール水溶液は発生した水素により気液分離器10に向かって押しやられる。なぜなら、気液分離器10は気体の外部排出用にその部分が大気開放されているので、水素発生による供給メタノール水溶液の内圧上昇はここから逃げることができるためである。
【0074】
これにより、燃料電池システム停止時は常に触媒近傍に水素が存在するので、供給メタノール水溶液に浸らない状態となる。その結果、停止時にメタノールによる高分子電解質膜の劣化を防ぐことができる。
【0075】
燃料電池セル3に電圧を印加し続けると、水素の気泡はやがて気泡検出手段4に到る。ここで、気泡検出手段4の出力から気泡を検出したら(S7のyes)燃料電池セル3への電圧印加を停止するとともに、気泡検出手段4をオフにして(S8)燃料電池システムの動作を停止する。
【0076】
以上のような構成、動作により、妨害成分が含まれていても常に適正なメタノール濃度で発電を行うことができる燃料電池システムが得られる。
【0077】
なお、(化1)より、燃料極でのメタノールと水の反応から生成するのはCO2以外にプロトンと電子もあり、これらの量を検出しても理論的にはメタノールと水の消費量がわかる。しかし、プロトン量は高分子電解質中を移動していくので、直接測定するのは困難である。
【0078】
一方、電子については、出力電流を検出することでその量を知ることはできる。出力電流を検知するには燃料電池セル3から負荷に到るまでの配線の一部に低抵抗を直列につなぎ、その両端電圧から電流値を求めるのが一般的だが、この場合低抵抗といえどもそこでの電力消費は必ず存在しその分誤差になるだけでなく、せっかく発電した電力を無駄に消費してしまう。また、電流プローブ等で非接触に電流を計測する方法もあるが、電流プローブが高価であるため、そのまま民生用の燃料電池システムには搭載できない。
【0079】
このような理由から、メタノールと水の消費量は生成したCO2の量から求めるのが最も容易で効果的であると考える。
【0080】
(実施の形態2)
以下、本発明の他の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0081】
図5は本発明の実施の形態2における燃料電池システムのブロック図である。図6は本発明の実施の形態2における燃料電池システムの気泡検出手段の出力特性図であり、透明部分がガラス製の場合を示す。
【0082】
本実施の形態2は基本的な構成が実施の形態1と同等であるので、同一部分には同一番号を付して詳細な説明を省略し特徴となる部分についてのみ説明する。
【0083】
本実施の形態2の特徴は気泡検出手段4に内蔵した発光素子6および受光素子7を2組設け、さらに透明部分5の材質をガラス製にしたことである。このような構成とすることで燃料電池システムに接続された携帯機器15の負荷が変動しても、それに応じて燃料循環ポンプの吐出流量を可変することができるので、実施の形態1で述べた携帯機器15の二次電池充電用だけでなく、直接携帯機器15を駆動することができるようになる。なお、温度センサ9は2組の受発光素子の間に位置するように配置してある。これにより、2組の受発光素子近傍の平均的な温度を得ることができる。
【0084】
ここで、発光素子6と受光素子7を2組にすることで負荷変動に追従できる理由について説明する。
【0085】
実施の形態1では負荷変動が少ない用途のため、発電に必要なメタノール水溶液の供給量は一定でよく、従って燃料循環ポンプ11の吐出流量も既知一定であった。従って、発生したCO2の気泡体積は透明部分5の内部断面積×流量(既知)×気泡透過時間(t2−t1)で一義的に決定できた。
【0086】
しかし、直接携帯機器15に電力を供給する本実施の形態2の場合では、携帯機器15の使用状況により必要な電力量が変化することにより負荷変動が発生する。これにより燃料電池セル3で消費されるメタノール水溶液の消費量も変動するため、負荷変動に応じて燃料循環ポンプ11を制御し燃料電池セル3に供給するメタノール水溶液の流量を可変する必要がある。
【0087】
その結果、上記の気泡体積計算式中の流量の項が既知一定でなくなるため、実施の形態1の方法では正確な気泡量が計算できない。
【0088】
そこで、2組の発光素子6と受光素子7を用いて流量を求めている。まず、第1の発光素子6Aと第1の受光素子7Aから得られる信号が気泡を検出した時から、第2の発光素子6Bと第2の受光素子7Bが気泡を検出するまでの時間tをマイクロコンピュータ13で求める。次に、第1の受光素子7Aと第2の受光素子7Bの間隔および透明部分5の供給メタノール水溶液が流れる断面積は既知であるのでその間の体積もあらかじめわかっており、これを時間tで割ることで流量を求められる。
【0089】
これにより、負荷変動で流量が変化しても気泡の流れる速度から流量がわかることになり、上記の気泡体積計算式から気泡の体積を得ることができる。なお、気泡透過時間(t2−t1)は第1の受光素子7Aの出力から求めている。
【0090】
こうして得られたCO2の体積から実施の形態1と同様の手法によって消費されたメタノール水溶液の量を見積もり、その分だけ燃料供給ポンプ2を駆動して供給する。さらに、現在の流量もわかるので、それに応じて発電に必要な流量になるように燃料循環ポンプ11を制御する。
【0091】
上記のような構成の気泡検出手段4を用いる場合、受光素子7の気泡検出精度が重要となる。図3のような検出特性の場合、気泡の先端が受光素子7に到達した時の出力変化がブロードであり、どこから気泡なのかが曖昧になり、特に本実施の形態2のように2組の受発光素子の間隔が狭いうえ、負荷変動によって流速が変化する場合は時間tの誤差が大きくなる。
【0092】
これは、透明部分5の材質に起因している。すなわち、実施の形態1で示したように透明部分5にアクリル樹脂を用いた場合、樹脂の表面凹凸で乱反射が起こり気泡到達時の気液界面での出力変化が、それ以外の部分の反射光と合成されてしまい曖昧な変化となってしまう。
【0093】
そこで、本実施の形態2では、表面粗度が小さいガラス製の透明部分5を用いている。これにより、例えば第1の受光素子7Aの出力特性は図6に示すように気泡到達とともに極めて鋭く出力が変化し、どこから気泡なのかが正確に検知できる。
【0094】
なお、本実施の形態2の燃料電池システムの動作については、上記負荷変動に対する燃料循環ポンプ11の制御を行う以外は基本的に実施の形態1と同等である。
【0095】
以上のような構成、動作により、負荷変動が発生した場合であっても、妨害成分によらず常に適正なメタノール濃度で発電を行うことができる燃料電池システムが得られる。
【0096】
【発明の効果】
以上のように本発明は液体燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、この燃料貯蔵部に接続され前記液体燃料を輸送する燃料供給ポンプと、この燃料供給ポンプの出口が燃料極入口に接続された燃料電池セルと、この燃料電池セルの燃料極出口に接続された気泡検出手段を有する配管と、この配管の先に接続された気液分離器と、この気液分離器の液体出口に接続された燃料循環ポンプと、前記燃料電池セルの空気極入口に接続された空気を供給するファンとからなり、前記燃料循環ポンプの出口が前記燃料供給ポンプの出口と合流するように前記燃料電池セルの燃料極入口に接続された構成を有し、前記配管の中を通る前記液体燃料に含まれる気泡を前記気泡検出手段の出力で検出して気泡の量を求め、この気泡の量を生成するのに必要な前記液体燃料の量を計算し、その分だけ前記燃料供給ポンプを駆動するようにしたものであるので、液体燃料を使った量だけ供給することで、妨害成分によらず常に最適なメタノール濃度に制御できる燃料電池システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における燃料電池システムのブロック図
【図2】(a)同燃料電池システムと携帯機器が別体構造のものを示す正面図
(b)同燃料電池システムを内蔵した携帯機器の正面図
【図3】同燃料電池システムの気泡検出手段の出力特性図
【図4】同燃料電池システムの発電停止動作を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2における燃料電池システムのブロック図
【図6】同燃料電池システムの気泡検出手段の出力特性図
【符号の説明】
1 燃料貯蔵部
2 燃料供給ポンプ
3 燃料電池セル
4 気泡検出手段
5 透明部分
6 発光素子
7 受光素子
8 ケース
9 温度センサ
10 気液分離器
11 燃料循環ポンプ
12 ファン
13 マイクロコンピュータ
14 二次電池
15 携帯機器
16 燃料電池システム
Claims (26)
- 液体燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、この燃料貯蔵部に接続され前記液体燃料を輸送する燃料供給ポンプと、この燃料供給ポンプの出口が燃料極入口に接続された燃料電池セルと、この燃料電池セルの燃料極出口に接続された気泡検出手段を有する配管と、この配管の先に接続された気液分離器と、この気液分離器の液体出口に接続された燃料循環ポンプと、前記燃料電池セルの空気極入口に接続された空気を供給するファンとからなり、前記燃料循環ポンプの出口が前記燃料供給ポンプの出口と合流するように前記燃料電池セルの燃料極入口に接続された構成を有し、前記配管の中を通る液体燃料に含まれる気泡を前記気泡検出手段の出力で検出して気泡の量を求め、この気泡の量を生成するのに必要な前記液体燃料の量を計算し、その分だけ前記燃料供給ポンプを駆動するように構成した燃料電池システム。
- 気泡検出手段は、透明部分とその外側で透明部分を挟んで対向するように配置した前記透明部分の透過波長帯の光を発する発光素子およびこの発光素子の発光波長帯を検出する受光素子で構成した請求項1に記載の燃料電池システム。
- 発光素子が発光ダイオードであり、受光素子がフォトトランジスタである請求項2に記載の燃料電池システム。
- 発光素子および受光素子の前面にはレンズを配置した請求項2に記載の燃料電池システム。
- 発光素子および受光素子を外光から遮断するように配置した請求項2に記載の燃料電池システム。
- 発光素子および受光素子の近傍の配管内に温度センサを配置した請求項2に記載の燃料電池システム。
- 発光素子および受光素子を透明部分に2組設け、両者の出力から気泡の体積を求め、この気泡の体積を得るのに必要な液体燃料の体積を計算し、その体積分だけ前記液体燃料を供給するように燃料供給ポンプおよび燃料循環ポンプを制御するように構成した請求項2に記載の燃料電池システム。
- 2組の発光素子および受光素子の間に位置するように配管内に温度センサを配置した請求項7に記載の燃料電池システム。
- 温度センサはステンレス製のカバーに収納されたサーミスタとした請求項8に記載の燃料電池システム。
- 液体燃料は着色剤にて着色した請求項2に記載の燃料電池システム。
- 着色剤は発光素子の発光波長帯を吸収する色である請求項10に記載の燃料電池システム。
- 着色剤は染料である請求項10に記載の燃料電池システム。
- 着色剤は液体燃料より高分子である請求項10に記載の燃料電池システム。
- 燃料電池セルが発電した電力の一部を充電する二次電池を有する請求項1に記載の燃料電池システム。
- 二次電池はリチウムイオン電池である請求項14に記載の燃料電池システム。
- 定常状態で燃料電池セルの発電を終了する前に、充電が完了するまで二次電池を充電し続ける請求項14に記載の燃料電池システム。
- 燃料電池セルの発電停止動作として、ファンおよび燃料供給ポンプを停止し、燃料循環ポンプは燃料極側の気泡が無くなるまで駆動し、気泡が無くなると前記燃料循環ポンプを停止するとともに、燃料極側が正極に空気極側が負極になるように水の分解電圧以上の電圧を燃料電池セルに印加してから停止動作を終了するようにした請求項14に記載の燃料電池システム。
- 燃料循環ポンプの停止の際に、受光素子の出力により気泡が無いことを判断するようにした請求項17に記載の燃料電池システム。
- 燃料電池セルに印加した電圧は、受光素子で気泡が検出されるまで行うようにした請求項17に記載の燃料電池システム。
- 温度センサの出力が既定値以上になれば燃料電池セルの発電停止動作を行うようにした請求項17に記載の燃料電池システム。
- 請求項1から20のいずれか1つに記載の燃料電池システムを接続もしくは内蔵した携帯機器。
- 接続された燃料電池システムの電力仕様が不適切であれば、電力供給を受けないようにした請求項21に記載の携帯機器。
- 表示部を有し、燃料電池の発電状態を燃料電池システムから取得し、前記表示部に表示するようにした請求項21に記載の携帯機器。
- 燃料電池の発電状態から予想される燃料電池セルの寿命を表示部に表示するとともに、寿命が近づくと燃料電池システムの交換を促す警告を表示するようにした請求項23に記載の携帯機器。
- インターネットを含む無線通信機能を有する請求項23または24に記載の携帯機器。
- 燃料電池システムの交換警告を表示部に表示する際に、無線通信機能により最寄りの燃料電池システムの販売店情報をインターネット上のデータベースから取り寄せて、前記表示部に表示するようにした請求項25に記載の携帯機器。
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