JP2004240059A - カメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】最新のマイクロコントローラと組み合わせて、高精度なモータ駆動制御を可能とし、電源電圧の変動に対して誤差のないモータドライバ回路を廉価で簡単に構成できるカメラを提供する。
【解決手段】D/A変換回路の定電圧出力を入力する入力端子を有し、上記D/A変換回路の出力電圧に依存した定電圧にてモータの回転を制御するモータ制御回路12であって、上記モータ8を正転させるための第1のトランジスタQ1と、上記モータを逆転させるための第2のトランジスタQ3を有し、上記第1のトランジスタ及び上記第2のトランジスタの上記モータ8を回転させるための上記定電圧入力端子を共通にしたモータドライバIC19を有することを特徴とする。
【選択図】 図4
【解決手段】D/A変換回路の定電圧出力を入力する入力端子を有し、上記D/A変換回路の出力電圧に依存した定電圧にてモータの回転を制御するモータ制御回路12であって、上記モータ8を正転させるための第1のトランジスタQ1と、上記モータを逆転させるための第2のトランジスタQ3を有し、上記第1のトランジスタ及び上記第2のトランジスタの上記モータ8を回転させるための上記定電圧入力端子を共通にしたモータドライバIC19を有することを特徴とする。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ、詳しくは、カメラ内の各種モータを回転制御させるためのモータドライバ回路を有するカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、IC化された制御回路の外部接続端子は実用上の制約を受けており、端子数の増加はIC制御回路又はカメラ全体の大型化を招来する。一方、近年のカメラの電子化や多機能化に伴って、アクチュエータや各種インジケータ、又はモータ駆動等の制御対象数は増加する傾向にあるにも関わらず、カメラ本体の小型化が要望されるといった事情がある。ところが、例えば、従来のモータドライバ用回路は、モータ駆動用の独立した駆動回路や制御用IC回路の外部接続端子を多数必要とするものであり、制御用IC回路の大型化やカメラ全体の大型化を招くといった問題があった。
【0003】
上記事情に鑑みて、特許文献1には、モータドライバ用のトランジスタブリッジに論理回路を加えてIC化したものが開示されており、こうしたIC化は、電池の電圧に依存して大容量の電流を制御できるのが特徴であり、例えば特許文献2には、1つのICで発光ダイオードの駆動回路の電流を制御するほか、シャッタやフィルム駆動用のモータに供給する電流を制御するようにしたことも開示されており、実用上非常に有益である。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−72539号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平7−104174号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、大容量の電流制御は、電池駆動の機器に応用する場合、注意を要する。つまり、電池の状態によっては大きな電流が流れすぎて、モータのトルクが上がりすぎ、伝達機構部を破壊し、停止制御時の位置精度が劣化する等の問題がある。
【0007】
上述した特許文献における論理回路と一体化したモータドライバは、電池の電圧に依存する形式であるため、このような形の回路では、モータドライバによる小型メカニズムの各種高精度の制御は不可能であった。
【0008】
このモータドライバは、例えば、カメラの合焦用レンズの駆動制御やズーム駆動、フィルム巻き上げ駆動等に用いられるものである。中でも特にオートフォーカスのピント合せ用レンズの駆動を制御するモータなどは、非常に正確な停止位置精度が要求されるが、上述した特許文献のようなモータドライバICでは、電池電圧の影響があり、高精度な電圧制御ができず、レンズの停止位置精度が満足できなかった。
【0009】
また、いろいろな回路をIC内に集積しすぎると、ICの面積が大型化してコストアップしてしまい、ハイコストパフォーマンスの製品を提供することが困難になるといった問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上記問題を解消するために、最新のマイクロコントローラと組み合わせて、高精度なモータ駆動制御を可能とし、電源電圧の変動に対して誤差のないモータドライバ回路を廉価で簡単に構成できるカメラを提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段、及び作用】
上記の目的を達成するために本発明によるカメラは、D/A変換回路の定電圧出力を入力する入力端子を有し、上記D/A変換回路の出力電圧に依存した定電圧にてモータの回転を制御するモータ制御回路であって、上記モータを正転させるための第1のトランジスタと、上記モータを逆転させるための第2のトランジスタを有し、上記第1のトランジスタ又は上記第2のトランジスタの上記モータを回転させるための上記定電圧入力端子を共通にしたモータドライバICを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明によるカメラにおける上記D/A変換回路は、上記モータを正転又は逆転制御するマイクロコントローラに内蔵された周辺回路であることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明によるカメラにおける上記第1のトランジスタ及び上記第2のトランジスタは、第1のモータブリッジ回路の一部を構成し、更に、上記第2のトランジスタは、モータ定電圧制御機能を持たぬ第3のトランジスタと共に、第2のモータブリッジ回路を構成したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明によるカメラにおける上記モータドライバICは、上記マイクロコントローラの出力するタイミング信号に従って、上記モータの正転又は逆転制御を決定するロジック回路を具備することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明によるカメラにおける上記モータは、撮影レンズ繰出用モータであることを特徴とする。
【0016】
本発明によるカメラは、第1のD/A変換回路の出力電圧を入力し、所定の電圧でモータを制御するモータドライバ回路と、上記モータドライバ回路の制御によって生じる電源電圧の低下を抑えるために、第2のD/A変換回路の出力電圧に従って制御されるDC/DCコンバータによる電圧保持回路とを具備するモータドライバICを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明によるカメラにおける上記第1のD/A変換回路及び第2のD/A変換回路は、CMOSプロセスで構成されていることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明によるカメラにおける上記モータドライバ回路と、上記DC/DCコンバータのスイッチング回路は、バイポーラプロセスであり、同一チップ上に構成されていることを特徴とする。
【0019】
この構成により、必要な機能のみをモータドライバIC内に構成し、それ以外のものはICの外部で構成することにより設計を最適化させることができるようにして廉価でありながら、上述のような高精度なモータ制御を可能とした。
【0020】
また、モータドライバIC内に、モータ駆動時に生じる電池電圧の低下(大容量の電流が電池内部抵抗に流れて起こる)の影響で演算制御手段が誤動作することのないように併設されるDC/DCコンバータの一部を有効に構成したので、これを利用することによって、電池電圧の変化で誤動作が起こらないようにしている。
【0021】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の実施の形態を説明するに先立って、本発明のカメラの概要について説明する。
【0022】
近年のカメラは、最新のマイクロコントローラを使用している実状を踏まえ、本発明では、マイクロコントローラICに内蔵できる回路とモータドライバICに搭載した方がよい回路を考慮し、これら2つのICによって、カメラの基本機能を満足させ、低コストで高品質の製品提供を可能とした。
【0023】
マイクロコントローラICのプロセスは微細なCMOSプロセスであり、モータドライバICのプロセスは大電流ドライブが必要なため、それほど微細化されていないバイポーラICのプロセスを用いている。DCモータやプランジャは小型になるほど制御に大電流が必要で微細なCMOSプロセスでこれを構成すると、電流制御部のみでIC内に巨大な面積を必要として、本来の演算制御手段としての機能部とのバランスが悪くなる。
【0024】
一方、バイポーラプロセスは大電流に向いており、オフセットの少ない、高いゲインのオペアンプが設計しやすい。つまり、これらのICは1つにすることが困難で、各々特徴があり無理に1つにすると弊害が生じる。また、今後、よりプロセスが微細化し、高速演算高容量となっていくマイクロコントローラが新しくなる度に、このモータドライバICを前記マイクロコントローラに内蔵する過程が必要となるため、開発費用や期間が大きな無駄となってしまう。よって、2チップのICで構成することにより、これら2つを最適な使い分けをすることで、開発スピードアップ、効率アップ、コストダウンを図ることができる。
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
ワンチップマイコン等からなるマイクロコントローラの分野は、基本的な機能の他に、近年多彩な周辺回路を内蔵して、よりユーザーに使いやすい付加価値を提案しているが、LCDドライバ等と並び、特にA/D変換、D/A変換回路等が代表的なものとなっている。つまり、デジタル的な演算を行うマイコンと、アナログ的なセンサやインターフェースをつなぐ機能として、これらの機能は多くの分野で有効利用されている。このように、CMOSプロセスでも無理なく簡単に構成でき、合理的に利用される機能は、メーカーや種別に関係なく内蔵される方向にある。そのため、マイクロコントローラの回路によっては大きなコストアップはない。これらのマイコン周辺回路と本発明におけるモータドライバICを組み合わせたシステムによるカメラの電気回路を図1に示す。
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態を示すカメラの電気回路の全体の構成を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、ワンチップマイコン等からなる演算制御手段(マイクロコントローラ又はCPU)1は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ10a、逆にデジタル値をアナログの電圧信号にして出力するD/Aコンバータ10b、後述する液晶表示装置(LCD)9を制御するLCDドライバ10c、昇圧した電圧を安定化させるレギュレータ10dを有して構成されている。上記A/Dコンバータ10aには、上記D/Aコンバータ10b及び上記レギュレータ10dが接続されており、上記D/Aコンバータ10bには、上記レギュレータ10dが接続されており、上記LCDドライバ10cには、上記レギュレータ10dが接続されている。
【0028】
この演算制御手段1には、ユーザのカメラ操作を判別する操作スイッチ1aと、一対の受光レンズ3a,3b及び一対のセンサアレイ4a,4bを備えた測距ユニット2と、各種情報を表示するための液晶モニタ等でなるLCD9と、例えば、後述するLD(レンズ駆動)モータ8の駆動時の定電圧の値(D/A値)や、A/D変換時の誤差などがメモリされるEEPROM15と、上記レギュレータ10dからの出力が上記演算制御手段1の最低動作電圧以下になると該演算制御手段1をリセットするリセット回路16と、後述する撮影レンズ5の位置を検出するエンコーダ回路18と、モータドライバIC19とがそれぞれ接続されている。
【0029】
上記モータドライバIC19は、LDモータ8を正転又は逆転させる回路を有する定電圧モータブリッジ部12と、前記モータブリッジ部12内のトランジスタのON/OFF制御を行うロジック回路13と、カメラの電源を安定させるためのDC/DCコンバータ14とを有して、後述するバイポーラプロセスで構成されている。
【0030】
さらに詳しくは、上記A/Dコンバータ10aには、上記測距ユニット2及び上記エンコーダ回路18が接続されており、上記D/Aコンバータ10bには、上記定電圧モータブリッジ部12及び上記DC/DCコンバータ14が接続されており、上記LCDドライバ10cには、上記LCD9が接続されており、上記レギュレータ10dには、上記DC/DCコンバータ14及び上記リセット回路16が接続されている。
【0031】
また、上記定電圧モータブリッジ部12には、シャッタ6aを駆動するシャッタ用プランジャ(STプランジャ)6と、フィルム7aの巻き上げ(Wind)用Wモータ7と、送りネジ8aを有するDCモータ等からなる、撮影レンズ5の駆動用モータ(LDモータ)8がそれぞれ接続されている。
【0032】
さらに、上記モータドライバIC19には、電源電池17と、該電源電池17からの出力電圧を昇圧するコイル14aが接続されている。
【0033】
上記演算制御手段1は、ユーザのカメラ操作を上記操作スイッチ1a等で判別して、図示しない内蔵したROM内のプログラムに応じて、後述する各ポートを制御し、また、各センサ、エンコーダ等の出力値を判定し、カメラの撮影シーケンスを制御するものである。
【0034】
上記測距ユニット2は、被写体20までの距離(被写体距離)Lを検出するものであり、この被写体距離Lの検出は、基線長(視差)Bだけ離間されて配置された一対の上記受光レンズ3a,3bを介して得られた上記被写体20の像を、焦点距離fの位置に配置された上記一対のセンサアレイ4a,4b上に結像させて、この視差に基づく相対位置差xより、既知の三角測距の原理にてL=B・f/xという演算を行って距離Lを求めるためのもので、上記演算制御手段1の上記A/Dコンバータ10aに入力され、デジタル化された上記一対のセンサアレイ4a,4bからの2つの像信号により、上記演算制御手段1は、2像の一致度を比較することで、上記相対位置差x、上記被写体距離Lを算出する。
【0035】
上記LDモータ8は、上記演算制御手段1により算出された上記被写体距離Lに対し、上記撮影レンズ5を上記送りネジ8aを介して合焦位置に移動させるものである。
【0036】
この撮影レンズ5の移動には、上記LDモータ8に、数100mAオーダの電流を供給する必要があるので、上記演算制御手段1は、バイポーラプロセスからなる上記モータドライバIC19を介して、モータに電流を供給して制御する。この時、微少な位置制御と、高速のピント合せを両立させる必要があるので、上記演算制御手段1は、上記LDモータ8に流す電流を、きめ細かく精度良く制御する。
【0037】
そのため、上記演算制御手段1による、上記LDモータ8の制御には、上記定電圧モータブリッジ部12を用いる。上記定電圧モータブリッジ部12は、上記演算制御手段1の制御により、上記D/Aコンバータ10bから入力される所定の電圧により、該電圧が大きいと上記LDモータ8を大電流駆動させ、該電圧が小さいと上記LDモータ8を小電流駆動させるものである。これにより、上記演算制御手段1は、上記LDモータ8に流す電流を精度良く制御することができる。
【0038】
上記エンコーダ回路18は、上記撮影レンズ5の位置を検出するためのものであり、上記A/Dコンバータ10aを介して上記演算制御手段1が検出する。
【0039】
上記STプランジャ6は、上記撮影レンズ5を介して、フィルム7aのフィルム面に入射する被写体像の露光量を決定するシャッタ6aを制御するためのものであり、電磁石の原理によって、鉄芯を吸引させるアクチュエータである。このSTプランジャ6も、小型のものになると制御には、1Aオーダの電流の供給が必要となるため、矢張り上記演算制御手段1では直接制御できず、上記モータドライバIC19の働きが必要となる。また、上記フィルム巻き上げ用Wモータ7は、撮影終了後、フィルム7aを巻き上げるものであるが、この時の巻き上げ制御にも上記モータドライバIC19による電流供給が必要とされる。
【0040】
上記ロジック回路13は、上記演算制御手段1が上記モータドライバIC19に対し、所定のタイミングで上記STプランジャ6、上記Wモータ7、上記LDモータ8への通電を行うために出力するタイミング信号を判定して、上記定電圧モータブリッジ部12内のトランジスタのON/OFF制御を行うものである。
【0041】
また、カメラの電源電圧を安定させるための上記DC/DCコンバータ14も、大電流を要するので同じ上記モータドライバIC19内にトランジスタで構成される。上記DC/DCコンバータ14は、カメラの電源となる上記電源電池17の出力電圧を上記コイル14a等を利用して昇圧するもので、昇圧した電圧を、上記演算制御手段1内に構成した上記レギュレータ10dに入力して安定化させるものである。この上記レギュレータ10dによって、安定化された電圧は、上記LCDドライバ10cの電源や、上記A/Dコンバータ10a、上記D/Aコンバータ10bの基準電圧として利用される。
【0042】
上記リセット回路16は、上述した上記レギュレータ10dからの出力が上記演算制御手段1の最低動作電圧以下になると、上記演算制御手段1をリセットするものである。
【0043】
上記EEPROM15は、上述した構成を製造する際、組み立て上のばらつきを低減するための補正係数を記録するためのものであり、例えば、上記LDモータ8の駆動時の定電圧の値(D/A値)や、A/D変換時の誤差などが記録される。
【0044】
次に、このように構成されたカメラの撮影動作シーケンスを図2、図3を用いて説明すると、図2は、本発明のカメラの撮影動作シーケンスを示したフローチャートであり、図3は、図2の撮影動作シーケンスにおける撮影レンズ5の停止位置制御を説明したフローチャートである。尚、以下の撮影動作シーケンスは、上記演算制御手段1が予めプログラムされたシーケンスに従って各動作を制御するものである。
【0045】
図2に示すように、まずステップS1では、上記測距ユニット2(図1参照)を利用して被写体距離Lを前述のプロセスで算出してステップS2に移行する。ステップS2では、被写体距離Lと上記撮影レンズ5(図1参照)の合焦位置の関係に従って、目標となる撮影レンズ5の位置(LD位置)を求めステップS3に移行する。
【0046】
ステップS3では、前記ステップS2で求めたLD位置に向かって上記撮影レンズ5を移動させるために、上記定電圧モータブリッジ部12(図1参照)を用いて上記LDモータ8を高速かつ正確に正転させて、ステップS4に移行し、ステップS4では、目標停止位置である上記LD位置に上記撮影レンズ5を停止させてステップS5に移行する。尚、ステップS4の上記撮影レンズ5の停止動作は、図3で説明する。
【0047】
ステップS5では、上述したように、上記STプランジャ6の動作制御により、シャッタ6a(いずれも図1参照)を用いて撮影を行って、ステップS6に移行し、ステップS6では、上記定電圧モータブリッジ部12を用いて上記LDモータ8を逆転させて、上記LD位置に繰り出していた上記撮影レンズ5を、リセットしてステップS7に移行し、最後にステップS7にて、上記Wモータ7を制御して、上記フィルム7aの巻き上げを行い、その後リターンする。
【0048】
尚、上記LDモータ8は、ステップS3で上述したように、繰り出し時(正転時)には、レリーズタイムラグを考慮した高速性や、停止精度に気をつかう必要があるので、上記定電圧モータブリッジ部12を用いて高精度に制御される。一方、上述したように、ステップS6でのリセット時(逆転時)は、それほど精度は必要とされないため、上記定電圧モータブリッジ部12を用いた上記LDモータ8の逆転は、精度に関係なく行われる。
【0049】
次に、図3のフローチャートを用いて、図2のステップS4で示した撮影レンズ5の停止動作を説明する。
図3に示すように、まず、ステップS11では、上記撮影レンズ5の位置を、上記エンコーダ回路18(図1参照)が検出し、その出力が上記A/Dコンバータ10aに入力された結果、上記演算制御手段1が、現在の上記撮影レンズ5の位置が図2のステップS2で示したLD位置よりも遠いか否かを判定する。上記撮影レンズ5の位置が前記LD位置よりも遠ければ、ステップS12に移行して、上記定電圧モータブリッジ部12を用いて、上記D/Aコンバータ10bから入力されるフル電圧により、上記LDモータ8を高電圧駆動させてステップS11に戻る。一方、ステップS11で、上記撮影レンズ5の位置が前記LD位置よりも近ければ、ステップS13に分岐する。
【0050】
ステップS13では、現在の上記撮影レンズ5の位置が前記LD位置であるか否かを判定する。前記LD位置でなければ、ステップS14に進んで、すぐに上記LDモータ8にブレーキがかかるように、上記定電圧モータブリッジ部12を用いて、上記D/Aコンバータ10bから入力される低い電圧により、上記LDモータ8を低電圧駆動させてステップS13に戻る。
【0051】
最後に、ステップS13で、撮影レンズ5が目標位置であるLD位置に到達すると、ステップS15に移行して、後述するブレーキ制御用でクラッチ用(CL)プランジャ21(図4参照)の作動により、上記LDモータ8の停止を行う。
【0052】
このように、上記LDモータ8を駆動する電圧を切り換えて動作制御を行うが、この電圧設定は、上述したように上記演算制御手段1の上記D/Aコンバータ10bの機能を有効に利用したので、回路や制御が単純化できる。つまり、可変電圧回路を上記モータドライバIC19内に構成する必要がなく、上記D/Aコンバータの10bが直接、上記定電圧モータブリッジ部12に電圧を入力しているため、その切換信号を、上記演算制御手段1と上記モータドライバIC19間でやり取りする必要がない。これにより、端子数の削減ができ、その結果低コスト化を図ることができる。また、上記演算制御手段1内で、上記モータを駆動させる駆動電圧が発生するので、その補正もEEPROM等の通信のみで簡単に行うことができる。
【0053】
このようにバイポーラプロセスの上記モータドライバIC19内には、デコーダとしての上記ロジック回路13以外には、複雑な切換機能は内蔵せず、大きな電流を正確に制御する機能に重点を置いたため、汎用性を向上させ、量産効果によるコスト低減を容易にした。一方、上記演算制御手段1内には、CMOSプロセスで比較的構成しやすいレギュレータやD/Aコンバータを内蔵し、モータドライバICを効果的に補助したため、上記演算制御手段1をトータルシステムとして最適化した。
【0054】
次に、上述した上記モータドライバIC19の内部構成を、図4を用いて詳しく説明すると、図4は、モータドライバIC19の内部構成と外部回路との接続態様を示した電気回路図である。
図4に示すように、上記モータドライバIC19は、9つのトランジスタQ1〜Q9と、4つのオペアンプOP1〜OP4と、ダイオードD1と、アンドゲート回路G1と、上記ロジック回路13とが図のように接続されて、その主要部が構成されており、外部回路との接続は、ピン数をP1〜P20の20ピンに制限したピンにより行われる。
【0055】
このように、上記モータドライバIC19は、接続ピン数を上記P1〜P20の20ピンに制限し、低コスト化を達成している。上記ピンP16〜P20は、このモータドライバIC19内の各上記トランジスタや上記各オペアンプのON/OFF状態を切り換える切換ポートであり、上記演算制御手段1にそれぞれ接続されている。内蔵された計9個のトランジスタ(Q1〜Q9)や、4つのオペアンプ(OP1〜OP4)をすべて上記演算制御手段1が個々に制御するには、単純には13本ものスイッチラインが必要なところを、上述のように構成すれば、デコーダ用上記ロジック回路13によって5本に抑えている。よって、2の5乗状態、つまり32の状態が切換制御可能である。
【0056】
ここで、図5に、各トランジスタ及び各オペアンプを32の状態に切り換えた場合を表として示す。
例えば、必要な状態を図5の表に示すように32状態に絞りこめば、5ポートで足りるということになる。図4のような構成以外にも、上記モータドライバIC19は利用したいので、図5の状態16〜状態32は、各トランジスタ、各オペアンプを独立して動かせるようにして汎用性を高めた。また、図5の状態27〜32は、図4とは別のトランジスタでモータブリッジを組むときのために用意した状態である。
【0057】
図4に戻って、図4のような回路構成では、図5の状態1〜状態15の状態で回路動作の制御が可能である。上記演算制御手段1は、所定のタイミングで状態1〜状態15の状態を、上記端子P16〜P20を介して設定してカメラを制御する。
【0058】
状態1は、すべての回路をOFFして、消費電流を抑えるものである。また、状態2〜状態4及び状態10〜状態12は、フィルム巻き上げ用のWモータ7の正逆転、LDモータ8のブレーキ制御用でクラッチ用プランジャ(CLプランジャ)21の作動を伴うものと、伴わないもので分けてある。
【0059】
このCLプランジャ21は、その状態まで独立してONできるがプランジャの特性上、吸引時には電流が必要であるが、吸引後には電流を下げても吸着しているので、消費電流を考慮して、吸着後は電流を減らせられるように上記オペアンプOP3によって、印加電圧が下げられるようになっている。
【0060】
上記オペアンプOP3の定電圧を決めるのは、入力端子P2に接続された上記演算制御手段1のD/A変換用ポートD/A2である。
【0061】
上記CLプランジャ21によって、所定のレバーを引き上げてモータを回すことによって伝達機構の切り換えを行う動作があるので、上記CLプランジャ21と上記Wモータ7又は上記CLプランジャ21と上記LDモータ8は、状態10〜状態12、及び状態13〜状態15に示すように、同時駆動が可能なようにしてある。
【0062】
また、電源電池17から一度に大量の電流が流せないことを考慮して、上記CLプランジャ21の吸着後は、上記演算制御手段1は、上記D/A2の電圧を下げて、電流を落として、同時駆動の上記LDモータ8にも十分電流が流せるようにプログラム上工夫してある。
【0063】
上記Wモーター7は、上記トランジスタQ1〜Q4のモータブリッジ回路に接続されているが、上記Q1(第1のトランジスタ)と上記Q4のONで正転、上記Q2と上記Q3(第2のトランジスタ)のONで逆転し、この構成で正逆転が可能である。また、上記Q2及び上記Q4のONでブレーキとなる。
【0064】
同様に、レンズ繰り出し用の上記LDモータ8は、上記Q3と上記Q6のONで正転、上記Q5と上記Q4のONで逆転し、また、上記Q4及び上記Q6のONでブレーキと、同様に正逆転制御ができる。
【0065】
このようにPNP型とNPN型のトランジスタを組み合わせた回路構成をモータブリッジ回路と呼ぶ。上記オペアンプOP1、OP2、OP3は、一方の入力端子で、各々、これらのブリッジのPNP型トランジスタのコレクタ電位(モータにかかる電圧に相当)をモニタして、上記演算制御手段1から入力されたD/Aコンバータ出力に合わせた定電圧制御を可能とした。ただし、D/Aコンバータの入力数を増加させると通信ラインが増加し、コストアップの方向となり、上記演算制御手段1の選定が困難となるため、上記オペアンプOP1、OP2の2つのオペアンプに関しては入力端子を共通にし、この端子P1にD/A1からの定電圧出力を入力させた。これは、モータブリッジの特性を十分考慮した結果であって、上記トランジスタQ1と上記トランジスタQ3が同時にONすることがないことを考慮したものである。ただし、上記CLプランジャ21保持のとき、上記LDモータ8を定電圧使用することは考えられるので、上記オペアンプOP3と上記オペアンプOP1、又は上記オペアンプOP2の入力は独立した。
【0066】
図5の状態5〜7(及び状態13〜15)は、すでに説明した上記LDモータ8の正逆転、及びブレーキ制御用である。また、図5の状態8、9は、上記CLプランジャ21のみ、又はすでに説明した上記STプランジャ6のみONさせる状態である。上記STプランジャ6も、長秒時では長時間の保持が必要なので上記オペアンプOP2によって上記トランジスタQ3による定電圧制御が可能である。同時に上記トランジスタQ8がONする。
【0067】
また、図1で示した上記DC/DCコンバータ14は、上記スイッチングトランジスタQ9及び上記ダイオードD1等からなる部分である。モータドライバ作動時には、電池電圧が低下するので、この回路によって上記演算制御手段1の電源を安定化させる。上記演算制御手段1がパルス入力するとアンドゲート回路G1がイネーブル状態になる。
【0068】
上記スイッチングトランジスタQ9をON/OFFさせ、コイル14aに上記電源電池17から電流が流れると起電力が発生し、上記ダイオードD1で整流され、上記ピンP10を経て、コンデンサC1で電圧が平滑化されて、IC19内のロジック回路やOPアンプや上記演算制御手段1の電源となる。これを昇圧電圧(DC/DC電圧)と呼ぶ。この電圧が上記演算制御手段1内部で、上記レギュレータ10d(図1参照)によって安定化されることはすでに述べたとおりである。
【0069】
上記演算制御手段1がENE端子をL(ロー)にすると、上記ピンP10の電圧は分割抵抗22a、22bによって分圧され、上記ピンP13を介して上記オペアンプOP4に入力される。上記演算制御手段1がこのとき、D/Aコンバータ用ポートで(D/A3)で、上記ピンP14に判定電圧を入力すると、上記オペアンプOP4は、コンパレータとして機能し、上記D/A3の電圧と上記ピンP10の電圧の分圧電圧を比較した結果を上記P15のピンに出力し、また、上記アンドゲート回路G1に入力する。
【0070】
このように上記DC/DC電圧は、上記オペアンプOP4によって監視されるので、必要以上に高くなると、上記アンドゲート回路G1によって停止する処理をしたり、上記演算制御手段1によって上記ピンP15のH/L(ハイ/ロー)の状態によって、デューティ比を切り換える等の処理をすれば、省エネ設計となる。
【0071】
また、どのような電圧に上記DC/DC電圧を設定するかは、上記演算制御手段1が上記D/A3によって自由自在に選ぶことが可能である。このような構成によって、上記モータドライバIC19は、バイポーラICの特徴である大電流駆動機能や、正確でゲインの高いオペアンプ機能、コンパレータ機能を有効利用して、使いやすいDC/DCコンバータ機能を提供することができる。
【0072】
次に、図6に、本実施の形態におけるカメラ動作のタイミングチャートの一例を示す。
レリーズボタンが操作されると、まず上述したように、測距ユニット2(図1参照)により測距が行われ、上記被写体距離L(図1参照)が検出される。その後、上述した上記STプランジャ6、上記LDモータ8(いずれも図1参照)等のアクチュエータが駆動されるので、電源電圧がその駆動電流によって低下しないように、上記DC/DCコンバータ14によって、DC/DCPLS(パルス)の入力を行う。これによって、上記演算制御手段1(図1参照)の電源電圧は、P10のように上昇する。
【0073】
上記演算制御手段1の電源電圧が、上述した図4で示したように、D/A3によって設定された電圧に到ると、上記オペアンプOP4のコンパレータが反転し、P15に示すように電圧が変化するので、上記演算制御手段1はこれを判定し、パルスのデューティ比を切り換える。同時にD/A3の出力レベルを変化させ、ヒステリシスを持たせる。これによって、上記演算制御手段1の電源電圧は一定レベル以上に保たれる。よって、この後、上記演算制御手段1は、上記LDモータ8や上記ST用プランジャ6や上記Wモータ7(図1、図4参照)を制御する。
【0074】
上記D/A1は、図4で説明したように、上記LDモータ8や上記STプランジャ6用の定電圧制御用なので、上記LDモータ8の停止時には、電圧を下げて、停止精度を向上させたり、上記STプランジャ6吸着後は、やはり電圧を下げて、消費電流を抑えるようにしている。
【0075】
このように、上記演算制御手段1の上記D/Aポートを有効利用して、上記LDモータ8の停止精度を向上させたり、上記STプランジャ6が熱くなったりするのを小刻みに制御して防止している。
【0076】
上記演算制御手段1は、これらの基本シーケンスを制御する他、ピンP15の変化をモニタして、上記DC/DCコンバータ14の出力パルスを制御したり、上記撮影レンズ5の位置と停止目標から、上記LDモータ8の停止精度を向上させるためにD/Aコンバータの電圧を切り換えるが、上記モータドライバIC19のオペアンプやコンパレータ機能を補助として利用して単純なプログラムにて、これらの複雑な制御を行うことができる。
【0077】
以上、説明したように、本発明の実施の形態のカメラにおいては、上記演算制御手段1をCMOSプロセスで構成し、上記モータドライバIC19をバイポーラプロセスで別途に構成することにより、上記演算制御手段1及び上記モータドライバIC19を有効に使い分けているので、高性能で廉価であり、かつ高精度にモータの動作制御を行うことができるモータドライバ及びDC/DCコンバータを提供することができる。
【0078】
尚、本実施の形態においては、フィルムを用いる銀塩カメラを例に挙げて説明したが、これに限らず、デジタルカメラ及びデジタルビデオカメラ等の電子カメラ機器に内蔵する回路に適用しても同様の効果が得られることは勿論である。
【0079】
また、上記モータドライバIC19による制御は、高精度な位置制御を必要とする上記LDモータ8を対象としたが、これに限らず、高精度な動作制御が必要とされるカメラの他の電気構成部分に適用しても良い。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、最新のマイクロコントローラと組み合わせて、高精度なアクチュエータ駆動制御が可能で、電源電圧の変動に対して誤差のないモータドライバ回路を廉価で簡単に構成できるカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すカメラの電気回路の全体の構成の概略を示すブロック図、
【図2】図1のカメラの撮影動作シーケンスを示すフローチャート、
【図3】図2の撮影動作シーケンスにおいて撮影レンズの停止位置制御動作を説明したフローチャート、
【図4】図1のカメラのモータドライバICの内部構成と外部回路との接続態様を示した電気回路図、
【図5】図1のカメラのモータドライバICの各トランジスタ及び、各オペアンプを32の状態に切り換えた場合の各状態を表で示した図表、
【図6】図1のカメラにおける撮影シーケンスのタイミングチャート。
【符号の説明】
1…演算制御手段(CPU,マイクロコントローラ)
5…撮影レンズ
8…LDモータ(レンズ駆動モータ)
10b…D/Aコンバータ(D/A変換回路,第1のD/A変換回路,第2のD/A変換回路)
12…定電圧モータブリッジ部(モータドライバ回路,制御用回路)
13…ロジック回路
14…DC/DCコンバータ(電圧保持回路)
19…モータドライバIC
P1…定電圧入力端子
Q1…第1のトランジスタ
Q3…第2のトランジスタ
Q5…第3のトランジスタ
D/A1…第1のD/A変換回路
D/A3…第2のD/A変換回路
Q1,Q2,Q3,Q4…第1のモータブリッジ回路
Q3,Q4,Q5,Q6…第2のモータブリッジ回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ、詳しくは、カメラ内の各種モータを回転制御させるためのモータドライバ回路を有するカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、IC化された制御回路の外部接続端子は実用上の制約を受けており、端子数の増加はIC制御回路又はカメラ全体の大型化を招来する。一方、近年のカメラの電子化や多機能化に伴って、アクチュエータや各種インジケータ、又はモータ駆動等の制御対象数は増加する傾向にあるにも関わらず、カメラ本体の小型化が要望されるといった事情がある。ところが、例えば、従来のモータドライバ用回路は、モータ駆動用の独立した駆動回路や制御用IC回路の外部接続端子を多数必要とするものであり、制御用IC回路の大型化やカメラ全体の大型化を招くといった問題があった。
【0003】
上記事情に鑑みて、特許文献1には、モータドライバ用のトランジスタブリッジに論理回路を加えてIC化したものが開示されており、こうしたIC化は、電池の電圧に依存して大容量の電流を制御できるのが特徴であり、例えば特許文献2には、1つのICで発光ダイオードの駆動回路の電流を制御するほか、シャッタやフィルム駆動用のモータに供給する電流を制御するようにしたことも開示されており、実用上非常に有益である。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−72539号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平7−104174号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、大容量の電流制御は、電池駆動の機器に応用する場合、注意を要する。つまり、電池の状態によっては大きな電流が流れすぎて、モータのトルクが上がりすぎ、伝達機構部を破壊し、停止制御時の位置精度が劣化する等の問題がある。
【0007】
上述した特許文献における論理回路と一体化したモータドライバは、電池の電圧に依存する形式であるため、このような形の回路では、モータドライバによる小型メカニズムの各種高精度の制御は不可能であった。
【0008】
このモータドライバは、例えば、カメラの合焦用レンズの駆動制御やズーム駆動、フィルム巻き上げ駆動等に用いられるものである。中でも特にオートフォーカスのピント合せ用レンズの駆動を制御するモータなどは、非常に正確な停止位置精度が要求されるが、上述した特許文献のようなモータドライバICでは、電池電圧の影響があり、高精度な電圧制御ができず、レンズの停止位置精度が満足できなかった。
【0009】
また、いろいろな回路をIC内に集積しすぎると、ICの面積が大型化してコストアップしてしまい、ハイコストパフォーマンスの製品を提供することが困難になるといった問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上記問題を解消するために、最新のマイクロコントローラと組み合わせて、高精度なモータ駆動制御を可能とし、電源電圧の変動に対して誤差のないモータドライバ回路を廉価で簡単に構成できるカメラを提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段、及び作用】
上記の目的を達成するために本発明によるカメラは、D/A変換回路の定電圧出力を入力する入力端子を有し、上記D/A変換回路の出力電圧に依存した定電圧にてモータの回転を制御するモータ制御回路であって、上記モータを正転させるための第1のトランジスタと、上記モータを逆転させるための第2のトランジスタを有し、上記第1のトランジスタ又は上記第2のトランジスタの上記モータを回転させるための上記定電圧入力端子を共通にしたモータドライバICを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明によるカメラにおける上記D/A変換回路は、上記モータを正転又は逆転制御するマイクロコントローラに内蔵された周辺回路であることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明によるカメラにおける上記第1のトランジスタ及び上記第2のトランジスタは、第1のモータブリッジ回路の一部を構成し、更に、上記第2のトランジスタは、モータ定電圧制御機能を持たぬ第3のトランジスタと共に、第2のモータブリッジ回路を構成したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明によるカメラにおける上記モータドライバICは、上記マイクロコントローラの出力するタイミング信号に従って、上記モータの正転又は逆転制御を決定するロジック回路を具備することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明によるカメラにおける上記モータは、撮影レンズ繰出用モータであることを特徴とする。
【0016】
本発明によるカメラは、第1のD/A変換回路の出力電圧を入力し、所定の電圧でモータを制御するモータドライバ回路と、上記モータドライバ回路の制御によって生じる電源電圧の低下を抑えるために、第2のD/A変換回路の出力電圧に従って制御されるDC/DCコンバータによる電圧保持回路とを具備するモータドライバICを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明によるカメラにおける上記第1のD/A変換回路及び第2のD/A変換回路は、CMOSプロセスで構成されていることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明によるカメラにおける上記モータドライバ回路と、上記DC/DCコンバータのスイッチング回路は、バイポーラプロセスであり、同一チップ上に構成されていることを特徴とする。
【0019】
この構成により、必要な機能のみをモータドライバIC内に構成し、それ以外のものはICの外部で構成することにより設計を最適化させることができるようにして廉価でありながら、上述のような高精度なモータ制御を可能とした。
【0020】
また、モータドライバIC内に、モータ駆動時に生じる電池電圧の低下(大容量の電流が電池内部抵抗に流れて起こる)の影響で演算制御手段が誤動作することのないように併設されるDC/DCコンバータの一部を有効に構成したので、これを利用することによって、電池電圧の変化で誤動作が起こらないようにしている。
【0021】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の実施の形態を説明するに先立って、本発明のカメラの概要について説明する。
【0022】
近年のカメラは、最新のマイクロコントローラを使用している実状を踏まえ、本発明では、マイクロコントローラICに内蔵できる回路とモータドライバICに搭載した方がよい回路を考慮し、これら2つのICによって、カメラの基本機能を満足させ、低コストで高品質の製品提供を可能とした。
【0023】
マイクロコントローラICのプロセスは微細なCMOSプロセスであり、モータドライバICのプロセスは大電流ドライブが必要なため、それほど微細化されていないバイポーラICのプロセスを用いている。DCモータやプランジャは小型になるほど制御に大電流が必要で微細なCMOSプロセスでこれを構成すると、電流制御部のみでIC内に巨大な面積を必要として、本来の演算制御手段としての機能部とのバランスが悪くなる。
【0024】
一方、バイポーラプロセスは大電流に向いており、オフセットの少ない、高いゲインのオペアンプが設計しやすい。つまり、これらのICは1つにすることが困難で、各々特徴があり無理に1つにすると弊害が生じる。また、今後、よりプロセスが微細化し、高速演算高容量となっていくマイクロコントローラが新しくなる度に、このモータドライバICを前記マイクロコントローラに内蔵する過程が必要となるため、開発費用や期間が大きな無駄となってしまう。よって、2チップのICで構成することにより、これら2つを最適な使い分けをすることで、開発スピードアップ、効率アップ、コストダウンを図ることができる。
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
ワンチップマイコン等からなるマイクロコントローラの分野は、基本的な機能の他に、近年多彩な周辺回路を内蔵して、よりユーザーに使いやすい付加価値を提案しているが、LCDドライバ等と並び、特にA/D変換、D/A変換回路等が代表的なものとなっている。つまり、デジタル的な演算を行うマイコンと、アナログ的なセンサやインターフェースをつなぐ機能として、これらの機能は多くの分野で有効利用されている。このように、CMOSプロセスでも無理なく簡単に構成でき、合理的に利用される機能は、メーカーや種別に関係なく内蔵される方向にある。そのため、マイクロコントローラの回路によっては大きなコストアップはない。これらのマイコン周辺回路と本発明におけるモータドライバICを組み合わせたシステムによるカメラの電気回路を図1に示す。
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態を示すカメラの電気回路の全体の構成を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、ワンチップマイコン等からなる演算制御手段(マイクロコントローラ又はCPU)1は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ10a、逆にデジタル値をアナログの電圧信号にして出力するD/Aコンバータ10b、後述する液晶表示装置(LCD)9を制御するLCDドライバ10c、昇圧した電圧を安定化させるレギュレータ10dを有して構成されている。上記A/Dコンバータ10aには、上記D/Aコンバータ10b及び上記レギュレータ10dが接続されており、上記D/Aコンバータ10bには、上記レギュレータ10dが接続されており、上記LCDドライバ10cには、上記レギュレータ10dが接続されている。
【0028】
この演算制御手段1には、ユーザのカメラ操作を判別する操作スイッチ1aと、一対の受光レンズ3a,3b及び一対のセンサアレイ4a,4bを備えた測距ユニット2と、各種情報を表示するための液晶モニタ等でなるLCD9と、例えば、後述するLD(レンズ駆動)モータ8の駆動時の定電圧の値(D/A値)や、A/D変換時の誤差などがメモリされるEEPROM15と、上記レギュレータ10dからの出力が上記演算制御手段1の最低動作電圧以下になると該演算制御手段1をリセットするリセット回路16と、後述する撮影レンズ5の位置を検出するエンコーダ回路18と、モータドライバIC19とがそれぞれ接続されている。
【0029】
上記モータドライバIC19は、LDモータ8を正転又は逆転させる回路を有する定電圧モータブリッジ部12と、前記モータブリッジ部12内のトランジスタのON/OFF制御を行うロジック回路13と、カメラの電源を安定させるためのDC/DCコンバータ14とを有して、後述するバイポーラプロセスで構成されている。
【0030】
さらに詳しくは、上記A/Dコンバータ10aには、上記測距ユニット2及び上記エンコーダ回路18が接続されており、上記D/Aコンバータ10bには、上記定電圧モータブリッジ部12及び上記DC/DCコンバータ14が接続されており、上記LCDドライバ10cには、上記LCD9が接続されており、上記レギュレータ10dには、上記DC/DCコンバータ14及び上記リセット回路16が接続されている。
【0031】
また、上記定電圧モータブリッジ部12には、シャッタ6aを駆動するシャッタ用プランジャ(STプランジャ)6と、フィルム7aの巻き上げ(Wind)用Wモータ7と、送りネジ8aを有するDCモータ等からなる、撮影レンズ5の駆動用モータ(LDモータ)8がそれぞれ接続されている。
【0032】
さらに、上記モータドライバIC19には、電源電池17と、該電源電池17からの出力電圧を昇圧するコイル14aが接続されている。
【0033】
上記演算制御手段1は、ユーザのカメラ操作を上記操作スイッチ1a等で判別して、図示しない内蔵したROM内のプログラムに応じて、後述する各ポートを制御し、また、各センサ、エンコーダ等の出力値を判定し、カメラの撮影シーケンスを制御するものである。
【0034】
上記測距ユニット2は、被写体20までの距離(被写体距離)Lを検出するものであり、この被写体距離Lの検出は、基線長(視差)Bだけ離間されて配置された一対の上記受光レンズ3a,3bを介して得られた上記被写体20の像を、焦点距離fの位置に配置された上記一対のセンサアレイ4a,4b上に結像させて、この視差に基づく相対位置差xより、既知の三角測距の原理にてL=B・f/xという演算を行って距離Lを求めるためのもので、上記演算制御手段1の上記A/Dコンバータ10aに入力され、デジタル化された上記一対のセンサアレイ4a,4bからの2つの像信号により、上記演算制御手段1は、2像の一致度を比較することで、上記相対位置差x、上記被写体距離Lを算出する。
【0035】
上記LDモータ8は、上記演算制御手段1により算出された上記被写体距離Lに対し、上記撮影レンズ5を上記送りネジ8aを介して合焦位置に移動させるものである。
【0036】
この撮影レンズ5の移動には、上記LDモータ8に、数100mAオーダの電流を供給する必要があるので、上記演算制御手段1は、バイポーラプロセスからなる上記モータドライバIC19を介して、モータに電流を供給して制御する。この時、微少な位置制御と、高速のピント合せを両立させる必要があるので、上記演算制御手段1は、上記LDモータ8に流す電流を、きめ細かく精度良く制御する。
【0037】
そのため、上記演算制御手段1による、上記LDモータ8の制御には、上記定電圧モータブリッジ部12を用いる。上記定電圧モータブリッジ部12は、上記演算制御手段1の制御により、上記D/Aコンバータ10bから入力される所定の電圧により、該電圧が大きいと上記LDモータ8を大電流駆動させ、該電圧が小さいと上記LDモータ8を小電流駆動させるものである。これにより、上記演算制御手段1は、上記LDモータ8に流す電流を精度良く制御することができる。
【0038】
上記エンコーダ回路18は、上記撮影レンズ5の位置を検出するためのものであり、上記A/Dコンバータ10aを介して上記演算制御手段1が検出する。
【0039】
上記STプランジャ6は、上記撮影レンズ5を介して、フィルム7aのフィルム面に入射する被写体像の露光量を決定するシャッタ6aを制御するためのものであり、電磁石の原理によって、鉄芯を吸引させるアクチュエータである。このSTプランジャ6も、小型のものになると制御には、1Aオーダの電流の供給が必要となるため、矢張り上記演算制御手段1では直接制御できず、上記モータドライバIC19の働きが必要となる。また、上記フィルム巻き上げ用Wモータ7は、撮影終了後、フィルム7aを巻き上げるものであるが、この時の巻き上げ制御にも上記モータドライバIC19による電流供給が必要とされる。
【0040】
上記ロジック回路13は、上記演算制御手段1が上記モータドライバIC19に対し、所定のタイミングで上記STプランジャ6、上記Wモータ7、上記LDモータ8への通電を行うために出力するタイミング信号を判定して、上記定電圧モータブリッジ部12内のトランジスタのON/OFF制御を行うものである。
【0041】
また、カメラの電源電圧を安定させるための上記DC/DCコンバータ14も、大電流を要するので同じ上記モータドライバIC19内にトランジスタで構成される。上記DC/DCコンバータ14は、カメラの電源となる上記電源電池17の出力電圧を上記コイル14a等を利用して昇圧するもので、昇圧した電圧を、上記演算制御手段1内に構成した上記レギュレータ10dに入力して安定化させるものである。この上記レギュレータ10dによって、安定化された電圧は、上記LCDドライバ10cの電源や、上記A/Dコンバータ10a、上記D/Aコンバータ10bの基準電圧として利用される。
【0042】
上記リセット回路16は、上述した上記レギュレータ10dからの出力が上記演算制御手段1の最低動作電圧以下になると、上記演算制御手段1をリセットするものである。
【0043】
上記EEPROM15は、上述した構成を製造する際、組み立て上のばらつきを低減するための補正係数を記録するためのものであり、例えば、上記LDモータ8の駆動時の定電圧の値(D/A値)や、A/D変換時の誤差などが記録される。
【0044】
次に、このように構成されたカメラの撮影動作シーケンスを図2、図3を用いて説明すると、図2は、本発明のカメラの撮影動作シーケンスを示したフローチャートであり、図3は、図2の撮影動作シーケンスにおける撮影レンズ5の停止位置制御を説明したフローチャートである。尚、以下の撮影動作シーケンスは、上記演算制御手段1が予めプログラムされたシーケンスに従って各動作を制御するものである。
【0045】
図2に示すように、まずステップS1では、上記測距ユニット2(図1参照)を利用して被写体距離Lを前述のプロセスで算出してステップS2に移行する。ステップS2では、被写体距離Lと上記撮影レンズ5(図1参照)の合焦位置の関係に従って、目標となる撮影レンズ5の位置(LD位置)を求めステップS3に移行する。
【0046】
ステップS3では、前記ステップS2で求めたLD位置に向かって上記撮影レンズ5を移動させるために、上記定電圧モータブリッジ部12(図1参照)を用いて上記LDモータ8を高速かつ正確に正転させて、ステップS4に移行し、ステップS4では、目標停止位置である上記LD位置に上記撮影レンズ5を停止させてステップS5に移行する。尚、ステップS4の上記撮影レンズ5の停止動作は、図3で説明する。
【0047】
ステップS5では、上述したように、上記STプランジャ6の動作制御により、シャッタ6a(いずれも図1参照)を用いて撮影を行って、ステップS6に移行し、ステップS6では、上記定電圧モータブリッジ部12を用いて上記LDモータ8を逆転させて、上記LD位置に繰り出していた上記撮影レンズ5を、リセットしてステップS7に移行し、最後にステップS7にて、上記Wモータ7を制御して、上記フィルム7aの巻き上げを行い、その後リターンする。
【0048】
尚、上記LDモータ8は、ステップS3で上述したように、繰り出し時(正転時)には、レリーズタイムラグを考慮した高速性や、停止精度に気をつかう必要があるので、上記定電圧モータブリッジ部12を用いて高精度に制御される。一方、上述したように、ステップS6でのリセット時(逆転時)は、それほど精度は必要とされないため、上記定電圧モータブリッジ部12を用いた上記LDモータ8の逆転は、精度に関係なく行われる。
【0049】
次に、図3のフローチャートを用いて、図2のステップS4で示した撮影レンズ5の停止動作を説明する。
図3に示すように、まず、ステップS11では、上記撮影レンズ5の位置を、上記エンコーダ回路18(図1参照)が検出し、その出力が上記A/Dコンバータ10aに入力された結果、上記演算制御手段1が、現在の上記撮影レンズ5の位置が図2のステップS2で示したLD位置よりも遠いか否かを判定する。上記撮影レンズ5の位置が前記LD位置よりも遠ければ、ステップS12に移行して、上記定電圧モータブリッジ部12を用いて、上記D/Aコンバータ10bから入力されるフル電圧により、上記LDモータ8を高電圧駆動させてステップS11に戻る。一方、ステップS11で、上記撮影レンズ5の位置が前記LD位置よりも近ければ、ステップS13に分岐する。
【0050】
ステップS13では、現在の上記撮影レンズ5の位置が前記LD位置であるか否かを判定する。前記LD位置でなければ、ステップS14に進んで、すぐに上記LDモータ8にブレーキがかかるように、上記定電圧モータブリッジ部12を用いて、上記D/Aコンバータ10bから入力される低い電圧により、上記LDモータ8を低電圧駆動させてステップS13に戻る。
【0051】
最後に、ステップS13で、撮影レンズ5が目標位置であるLD位置に到達すると、ステップS15に移行して、後述するブレーキ制御用でクラッチ用(CL)プランジャ21(図4参照)の作動により、上記LDモータ8の停止を行う。
【0052】
このように、上記LDモータ8を駆動する電圧を切り換えて動作制御を行うが、この電圧設定は、上述したように上記演算制御手段1の上記D/Aコンバータ10bの機能を有効に利用したので、回路や制御が単純化できる。つまり、可変電圧回路を上記モータドライバIC19内に構成する必要がなく、上記D/Aコンバータの10bが直接、上記定電圧モータブリッジ部12に電圧を入力しているため、その切換信号を、上記演算制御手段1と上記モータドライバIC19間でやり取りする必要がない。これにより、端子数の削減ができ、その結果低コスト化を図ることができる。また、上記演算制御手段1内で、上記モータを駆動させる駆動電圧が発生するので、その補正もEEPROM等の通信のみで簡単に行うことができる。
【0053】
このようにバイポーラプロセスの上記モータドライバIC19内には、デコーダとしての上記ロジック回路13以外には、複雑な切換機能は内蔵せず、大きな電流を正確に制御する機能に重点を置いたため、汎用性を向上させ、量産効果によるコスト低減を容易にした。一方、上記演算制御手段1内には、CMOSプロセスで比較的構成しやすいレギュレータやD/Aコンバータを内蔵し、モータドライバICを効果的に補助したため、上記演算制御手段1をトータルシステムとして最適化した。
【0054】
次に、上述した上記モータドライバIC19の内部構成を、図4を用いて詳しく説明すると、図4は、モータドライバIC19の内部構成と外部回路との接続態様を示した電気回路図である。
図4に示すように、上記モータドライバIC19は、9つのトランジスタQ1〜Q9と、4つのオペアンプOP1〜OP4と、ダイオードD1と、アンドゲート回路G1と、上記ロジック回路13とが図のように接続されて、その主要部が構成されており、外部回路との接続は、ピン数をP1〜P20の20ピンに制限したピンにより行われる。
【0055】
このように、上記モータドライバIC19は、接続ピン数を上記P1〜P20の20ピンに制限し、低コスト化を達成している。上記ピンP16〜P20は、このモータドライバIC19内の各上記トランジスタや上記各オペアンプのON/OFF状態を切り換える切換ポートであり、上記演算制御手段1にそれぞれ接続されている。内蔵された計9個のトランジスタ(Q1〜Q9)や、4つのオペアンプ(OP1〜OP4)をすべて上記演算制御手段1が個々に制御するには、単純には13本ものスイッチラインが必要なところを、上述のように構成すれば、デコーダ用上記ロジック回路13によって5本に抑えている。よって、2の5乗状態、つまり32の状態が切換制御可能である。
【0056】
ここで、図5に、各トランジスタ及び各オペアンプを32の状態に切り換えた場合を表として示す。
例えば、必要な状態を図5の表に示すように32状態に絞りこめば、5ポートで足りるということになる。図4のような構成以外にも、上記モータドライバIC19は利用したいので、図5の状態16〜状態32は、各トランジスタ、各オペアンプを独立して動かせるようにして汎用性を高めた。また、図5の状態27〜32は、図4とは別のトランジスタでモータブリッジを組むときのために用意した状態である。
【0057】
図4に戻って、図4のような回路構成では、図5の状態1〜状態15の状態で回路動作の制御が可能である。上記演算制御手段1は、所定のタイミングで状態1〜状態15の状態を、上記端子P16〜P20を介して設定してカメラを制御する。
【0058】
状態1は、すべての回路をOFFして、消費電流を抑えるものである。また、状態2〜状態4及び状態10〜状態12は、フィルム巻き上げ用のWモータ7の正逆転、LDモータ8のブレーキ制御用でクラッチ用プランジャ(CLプランジャ)21の作動を伴うものと、伴わないもので分けてある。
【0059】
このCLプランジャ21は、その状態まで独立してONできるがプランジャの特性上、吸引時には電流が必要であるが、吸引後には電流を下げても吸着しているので、消費電流を考慮して、吸着後は電流を減らせられるように上記オペアンプOP3によって、印加電圧が下げられるようになっている。
【0060】
上記オペアンプOP3の定電圧を決めるのは、入力端子P2に接続された上記演算制御手段1のD/A変換用ポートD/A2である。
【0061】
上記CLプランジャ21によって、所定のレバーを引き上げてモータを回すことによって伝達機構の切り換えを行う動作があるので、上記CLプランジャ21と上記Wモータ7又は上記CLプランジャ21と上記LDモータ8は、状態10〜状態12、及び状態13〜状態15に示すように、同時駆動が可能なようにしてある。
【0062】
また、電源電池17から一度に大量の電流が流せないことを考慮して、上記CLプランジャ21の吸着後は、上記演算制御手段1は、上記D/A2の電圧を下げて、電流を落として、同時駆動の上記LDモータ8にも十分電流が流せるようにプログラム上工夫してある。
【0063】
上記Wモーター7は、上記トランジスタQ1〜Q4のモータブリッジ回路に接続されているが、上記Q1(第1のトランジスタ)と上記Q4のONで正転、上記Q2と上記Q3(第2のトランジスタ)のONで逆転し、この構成で正逆転が可能である。また、上記Q2及び上記Q4のONでブレーキとなる。
【0064】
同様に、レンズ繰り出し用の上記LDモータ8は、上記Q3と上記Q6のONで正転、上記Q5と上記Q4のONで逆転し、また、上記Q4及び上記Q6のONでブレーキと、同様に正逆転制御ができる。
【0065】
このようにPNP型とNPN型のトランジスタを組み合わせた回路構成をモータブリッジ回路と呼ぶ。上記オペアンプOP1、OP2、OP3は、一方の入力端子で、各々、これらのブリッジのPNP型トランジスタのコレクタ電位(モータにかかる電圧に相当)をモニタして、上記演算制御手段1から入力されたD/Aコンバータ出力に合わせた定電圧制御を可能とした。ただし、D/Aコンバータの入力数を増加させると通信ラインが増加し、コストアップの方向となり、上記演算制御手段1の選定が困難となるため、上記オペアンプOP1、OP2の2つのオペアンプに関しては入力端子を共通にし、この端子P1にD/A1からの定電圧出力を入力させた。これは、モータブリッジの特性を十分考慮した結果であって、上記トランジスタQ1と上記トランジスタQ3が同時にONすることがないことを考慮したものである。ただし、上記CLプランジャ21保持のとき、上記LDモータ8を定電圧使用することは考えられるので、上記オペアンプOP3と上記オペアンプOP1、又は上記オペアンプOP2の入力は独立した。
【0066】
図5の状態5〜7(及び状態13〜15)は、すでに説明した上記LDモータ8の正逆転、及びブレーキ制御用である。また、図5の状態8、9は、上記CLプランジャ21のみ、又はすでに説明した上記STプランジャ6のみONさせる状態である。上記STプランジャ6も、長秒時では長時間の保持が必要なので上記オペアンプOP2によって上記トランジスタQ3による定電圧制御が可能である。同時に上記トランジスタQ8がONする。
【0067】
また、図1で示した上記DC/DCコンバータ14は、上記スイッチングトランジスタQ9及び上記ダイオードD1等からなる部分である。モータドライバ作動時には、電池電圧が低下するので、この回路によって上記演算制御手段1の電源を安定化させる。上記演算制御手段1がパルス入力するとアンドゲート回路G1がイネーブル状態になる。
【0068】
上記スイッチングトランジスタQ9をON/OFFさせ、コイル14aに上記電源電池17から電流が流れると起電力が発生し、上記ダイオードD1で整流され、上記ピンP10を経て、コンデンサC1で電圧が平滑化されて、IC19内のロジック回路やOPアンプや上記演算制御手段1の電源となる。これを昇圧電圧(DC/DC電圧)と呼ぶ。この電圧が上記演算制御手段1内部で、上記レギュレータ10d(図1参照)によって安定化されることはすでに述べたとおりである。
【0069】
上記演算制御手段1がENE端子をL(ロー)にすると、上記ピンP10の電圧は分割抵抗22a、22bによって分圧され、上記ピンP13を介して上記オペアンプOP4に入力される。上記演算制御手段1がこのとき、D/Aコンバータ用ポートで(D/A3)で、上記ピンP14に判定電圧を入力すると、上記オペアンプOP4は、コンパレータとして機能し、上記D/A3の電圧と上記ピンP10の電圧の分圧電圧を比較した結果を上記P15のピンに出力し、また、上記アンドゲート回路G1に入力する。
【0070】
このように上記DC/DC電圧は、上記オペアンプOP4によって監視されるので、必要以上に高くなると、上記アンドゲート回路G1によって停止する処理をしたり、上記演算制御手段1によって上記ピンP15のH/L(ハイ/ロー)の状態によって、デューティ比を切り換える等の処理をすれば、省エネ設計となる。
【0071】
また、どのような電圧に上記DC/DC電圧を設定するかは、上記演算制御手段1が上記D/A3によって自由自在に選ぶことが可能である。このような構成によって、上記モータドライバIC19は、バイポーラICの特徴である大電流駆動機能や、正確でゲインの高いオペアンプ機能、コンパレータ機能を有効利用して、使いやすいDC/DCコンバータ機能を提供することができる。
【0072】
次に、図6に、本実施の形態におけるカメラ動作のタイミングチャートの一例を示す。
レリーズボタンが操作されると、まず上述したように、測距ユニット2(図1参照)により測距が行われ、上記被写体距離L(図1参照)が検出される。その後、上述した上記STプランジャ6、上記LDモータ8(いずれも図1参照)等のアクチュエータが駆動されるので、電源電圧がその駆動電流によって低下しないように、上記DC/DCコンバータ14によって、DC/DCPLS(パルス)の入力を行う。これによって、上記演算制御手段1(図1参照)の電源電圧は、P10のように上昇する。
【0073】
上記演算制御手段1の電源電圧が、上述した図4で示したように、D/A3によって設定された電圧に到ると、上記オペアンプOP4のコンパレータが反転し、P15に示すように電圧が変化するので、上記演算制御手段1はこれを判定し、パルスのデューティ比を切り換える。同時にD/A3の出力レベルを変化させ、ヒステリシスを持たせる。これによって、上記演算制御手段1の電源電圧は一定レベル以上に保たれる。よって、この後、上記演算制御手段1は、上記LDモータ8や上記ST用プランジャ6や上記Wモータ7(図1、図4参照)を制御する。
【0074】
上記D/A1は、図4で説明したように、上記LDモータ8や上記STプランジャ6用の定電圧制御用なので、上記LDモータ8の停止時には、電圧を下げて、停止精度を向上させたり、上記STプランジャ6吸着後は、やはり電圧を下げて、消費電流を抑えるようにしている。
【0075】
このように、上記演算制御手段1の上記D/Aポートを有効利用して、上記LDモータ8の停止精度を向上させたり、上記STプランジャ6が熱くなったりするのを小刻みに制御して防止している。
【0076】
上記演算制御手段1は、これらの基本シーケンスを制御する他、ピンP15の変化をモニタして、上記DC/DCコンバータ14の出力パルスを制御したり、上記撮影レンズ5の位置と停止目標から、上記LDモータ8の停止精度を向上させるためにD/Aコンバータの電圧を切り換えるが、上記モータドライバIC19のオペアンプやコンパレータ機能を補助として利用して単純なプログラムにて、これらの複雑な制御を行うことができる。
【0077】
以上、説明したように、本発明の実施の形態のカメラにおいては、上記演算制御手段1をCMOSプロセスで構成し、上記モータドライバIC19をバイポーラプロセスで別途に構成することにより、上記演算制御手段1及び上記モータドライバIC19を有効に使い分けているので、高性能で廉価であり、かつ高精度にモータの動作制御を行うことができるモータドライバ及びDC/DCコンバータを提供することができる。
【0078】
尚、本実施の形態においては、フィルムを用いる銀塩カメラを例に挙げて説明したが、これに限らず、デジタルカメラ及びデジタルビデオカメラ等の電子カメラ機器に内蔵する回路に適用しても同様の効果が得られることは勿論である。
【0079】
また、上記モータドライバIC19による制御は、高精度な位置制御を必要とする上記LDモータ8を対象としたが、これに限らず、高精度な動作制御が必要とされるカメラの他の電気構成部分に適用しても良い。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、最新のマイクロコントローラと組み合わせて、高精度なアクチュエータ駆動制御が可能で、電源電圧の変動に対して誤差のないモータドライバ回路を廉価で簡単に構成できるカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すカメラの電気回路の全体の構成の概略を示すブロック図、
【図2】図1のカメラの撮影動作シーケンスを示すフローチャート、
【図3】図2の撮影動作シーケンスにおいて撮影レンズの停止位置制御動作を説明したフローチャート、
【図4】図1のカメラのモータドライバICの内部構成と外部回路との接続態様を示した電気回路図、
【図5】図1のカメラのモータドライバICの各トランジスタ及び、各オペアンプを32の状態に切り換えた場合の各状態を表で示した図表、
【図6】図1のカメラにおける撮影シーケンスのタイミングチャート。
【符号の説明】
1…演算制御手段(CPU,マイクロコントローラ)
5…撮影レンズ
8…LDモータ(レンズ駆動モータ)
10b…D/Aコンバータ(D/A変換回路,第1のD/A変換回路,第2のD/A変換回路)
12…定電圧モータブリッジ部(モータドライバ回路,制御用回路)
13…ロジック回路
14…DC/DCコンバータ(電圧保持回路)
19…モータドライバIC
P1…定電圧入力端子
Q1…第1のトランジスタ
Q3…第2のトランジスタ
Q5…第3のトランジスタ
D/A1…第1のD/A変換回路
D/A3…第2のD/A変換回路
Q1,Q2,Q3,Q4…第1のモータブリッジ回路
Q3,Q4,Q5,Q6…第2のモータブリッジ回路
Claims (8)
- D/A変換回路の定電圧出力を入力する入力端子を有し、上記D/A変換回路の出力電圧に依存した定電圧にてモータの回転を制御するモータ制御回路であって、
上記モータを正転させるための第1のトランジスタと、上記モータを逆転させるための第2のトランジスタを有し、
上記第1のトランジスタ又は上記第2のトランジスタの上記モータを回転させるための上記定電圧入力端子を共通にしたモータドライバICを有することを特徴とするカメラ。 - 上記D/A変換回路は、上記モータを正転又は逆転制御するマイクロコントローラに内蔵された周辺回路であることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
- 上記第1のトランジスタ及び上記第2のトランジスタは、第1のモータブリッジ回路の一部を構成し、更に、上記第2のトランジスタは、モータ定電圧制御機能を持たぬ第3のトランジスタと共に、第2のモータブリッジ回路を構成したことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
- 上記モータドライバICは、上記マイクロコントローラの出力するタイミング信号に従って、上記モータの正転又は逆転制御を決定するロジック回路を具備することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
- 上記モータは、撮影レンズ繰出用モータであることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
- 第1のD/A変換回路の出力電圧を入力し、所定の電圧でモータを制御するモータドライバ回路と、
上記モータドライバ回路の制御によって生じる電源電圧の低下を抑えるために、第2のD/A変換回路の出力電圧に従って制御されるDC/DCコンバータによる電圧保持回路と、
を具備するモータドライバICを有することを特徴とするカメラ。 - 上記第1のD/A変換回路及び第2のD/A変換回路は、CMOSプロセスで構成されていることを特徴とする請求項6に記載のカメラ。
- 上記モータドライバ回路と、上記DC/DCコンバータのスイッチング回路は、バイポーラプロセスであり、同一チップ上に構成されていることを特徴とする請求項6に記載のカメラ。
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