JP2004239197A - エンジンの排気微粒子低減装置 - Google Patents

エンジンの排気微粒子低減装置 Download PDF

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浩一郎 原田
Toshitsugu Kamioka
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Abstract

【課題】パティキュレートフィルタの排気下流部の隔壁に、再生処理では除去できない化合物粒子が多量に堆積したとしても、触媒金属によるカーボン粒子の焼却除去性能を悪化させることなく、高い再生性能の維持を図る。
【解決手段】エンジン1の排気ガス中に含まれる微粒子を捕集するために、隔壁46によって多数のセル45に区画されたフィルタ部材44には、触媒金属が担持されるとともに、その量は、フィルタ部材44の下流部44bにおいて担持される触媒金属の方が、フィルタ部材44aの上流部44aにおいて担持される触媒金属よりも多くなるよう担持される。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気微粒子低減装置に関するものである。特に、パティキュレートフィルタをエンジンの排気通路に配置されて微粒子の大気放出を低減する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの排気通路にカーボン粒子などの微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを配置する技術は知られている。例えば、図7、図8に示すように、下記の特許文献1には、エンジンの排気管m1の下流側のケーシングm2内にパティキュレートフィルタm3を、保護断熱材m4を介して配置したものを開示している。パティキュレートフィルタm3は、排気ガスの流れ方向に沿って平行な隔壁m5を多数有しており、これにより排気ガスが流通するためのセルm6が形成されている。また、各セルm6は、パティキュレートフィルタm3の上流端側か下流端側で封止部m7により目詰めされており、パティキュレートフィルタm6を排気ガスの流れ方向から見ると、格子状で且つハニカム状のセルm6に対し、封止部m7は市松模様となるよう配置している。
【0003】
このようなパティキュレートフィルタに、微粒子を含む排気ガスが流入すると、排気ガスは、多孔質で気体を連通させる性質をもった隔壁を通過してパティキュレートフィルタ下流に流出する一方、微粒子物質は隔壁の表面やその内部で捕集されることとなり、微粒子がパティキュレートフィルタ下流に排気されて大気放出されるのを防止できる。このようにして堆積された微粒子の内、大部分を占めるカーボン粒子を除去することで、パティキュレートフィルタを再生して再利用することが可能であり、このような再生方法として主に次のような方法がある。一つは、高温維持された該パティキュレートフィルタに微粒子を堆積させながら同時に除去させる方法(連続再生処理方法)で、もう一つは、ある程度パティキュレートフィルタ内に堆積された時にパティキュレートフィルタを一時的に高温化することにより除去する方法(一時的再生処理方法)である。こうした連続再生処理方法や一時的再生処理方法によりパティキュレートフィルタは再度、効率的な微粒子の低減が可能となる。
【0004】
また、このようなパティキュレートフィルタの隔壁表面に貴金属等を含む触媒層をコートして触媒反応を利用することにより、エンジンの排気ガス温度程度の比較的低い温度でもパティキュレートフィルタに堆積されたカーボン粒子を触媒作用で焼却除去し、再生処理する技術も知られている。
更に、下記特許文献2には、触媒層を形成したパティキュレートフィルタにおいて、パティキュレートフィルタの流入側の触媒層に担持される触媒金属の担持量を下流側の触媒層に担持される触媒金属担持量より増量させたものが開示されている。そして、これによりパティキュレートフィルタの上流側に溜まり易い煤を効率良く酸化、除去できる技術を開示している。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−96115号公報
【特許文献2】
特開2001−207836号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、パティキュレートフィルタに堆積される微粒子には、カーボン粒子の他に、例えば、カルシウム(Ca)や亜鉛(Zn)、燐(P)の内少なくとも1つを成分とするような、カーボン以外の成分を主成分とする化合物粒子も含まれる。これらの化合物粒子は、エンジンの潤滑剤であるエンジンオイルなどに含有し、エンジンのシリンダ壁面などからエンジンの排気ガスとともに微量で排出され、その後、排気ガス流によってパティキュレートフィルタ内に流入することになる。そして、パティキュレートフィルタの上流端側が開口したセルに侵入した化合物粒子の多くは、パティキュレートフィルタの特に排気下流部の隔壁に偏在して堆積する。この理由は具体的には不明であるが以下のように考えられる。つまり、セル内に侵入した化合物粒子は、排気ガスと共に隔壁に沿ってパティキュレートフィルタ下流へ向かって運ばれる。この時に、排気ガス流が気孔を通じて曲折した場合、化合物粒子の質量が気体分子の質量に対して大きいために、化合物粒子は、排気ガス流から離脱し、そのままパティキュレートフィルタ下流に指向する慣性力によって、排気下流部まで運ばれて、排気下流部のセル内に偏在して堆積する。
【0007】
ところが、これらの化合物粒子は、カーボン粒子を焼却除去するための高温化による再生処理では焼却除去されないため、エンジンの総運転時間が長時間となるなどの理由によって、パティキュレートフィルタの排気下流部の隔壁に多量に堆積すると、再生処理によるカーボン粒子の除去を阻害することになる。
つまり、排気下流部における隔壁表面の内、排気上流側の表面やその近傍に多量の化合物粒子が堆積されるため、排気ガス流によって流されてきたカーボン粒子の多くはこの化合物粒子上に堆積することになる。これにより、化合物粒子が堆積していない通常の状態であれば、隔壁表面やその近傍に堆積したカーボン粒子は、その付近に存在する触媒金属による触媒反応を受けたり、触媒金属粒子雰囲気の高温化によって焼却除去されるが、化合物粒子上に堆積した多くのカーボン粒子は、触媒金属との間に化合物粒子が介在するために、全体的に触媒金属との接触頻度が著しく低下して触媒金属による焼却除去作用を受けることが困難となり、焼却除去性能が促進されず、パティキュレートフィルタの再生性能が劣化するといった不具合が発生する。
【0008】
本発明は、以上のような課題に勘案してなされたもので、その目的は、エンジンの排気微粒子低減装置において、パティキュレートフィルタに担持される触媒金属をパティキュレートフィルタの排気上流部よりも排気下流部に多く担持することによって、上述のような問題を解消することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1記載の発明では、エンジンの排気通路に、多孔質物質の隔壁により内部を多数のセルに区画され、カーボン粒子とカーボン以外の成分から成る粒子とを含む排気ガス中の微粒子を堆積可能なハニカム状のパティキュレートフィルタを配置するとともに、該パティキュレートフィルタが、上記隔壁に担持された触媒金属によって、堆積する該カーボン粒子の焼却除去を促進することで該パティキュレートフィルタの再生処理可能に構成されており、該パティキュレートフィルタにより排気ガス中のカーボン粒子を低減するエンジンの排気微粒子低減装置において、該パティキュレートフィルタに担持された上記触媒金属を、該パティキュレートフィルタの排気下流部において該パティキュレートフィルタの排気上流部よりも多く担持したことを特徴としている。
なお、請求項1記載の発明において、カーボン以外の成分からなる微粒子とは、例えばカルシウム(Ca)や亜鉛(Zn)、燐(P)の化合物粒子等であり、パティキュレートフィルタの排気下流部の隔壁に堆積しやすい特性を持ち、また高温化による再生処理が施されても、パティキュレートフィルタに堆積されたままで焼却除去できない物質である。
このような請求項1記載の発明に係る構成により、カーボン以外の成分から成る微粒子が、パティキュレートフィルタの排気下流部の隔壁に多量に堆積しても、該排気下流部に担持される触媒金属は、排気下流部に担持される触媒金属の担持量より増量されることで高密度担持されているので、全体的にカーボン粒子と触媒金属との接触頻度が著しく低下することが防止され、良好なカーボン粒子除去を行って、パティキュレートフィルタの再生性能の向上を図ることができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1において、上記触媒金属は、排気ガス中のNOをNOに変換可能な貴金属であることを特徴としている。
パティキュレートフィルタに堆積されたカーボン粒子はNOと反応することで、焼却除去性能が向上する性質がある。そこで、請求項2記載の本発明に係る構成により、貴金属によって排気ガス中のNOから生成される多量のNOを利用することで、カーボン以外の成分から成る微粒子の堆積により触媒金属とカーボン粒子との接触頻度が低下した状態であっても、NOによるカーボン粒子の焼却除去を促進でき、これにより再生性能の向上が図れる。
また、高価な貴金属を排気下流部にのみ多く担持することで、適所に貴金属を担持できるので、全体的な再生性能を悪化させることなく安価に、排気微粒子低減装置を構成することが可能となる。
【0011】
請求項3載の発明は、請求項2の発明において、上記パティキュレートフィルタは、上記触媒金属の他に、アルカリ金属を担持するとともに、アルカリ金属は、該排気上流部において該排気下流部よりも多く担持したことを特徴としている。
請求項3の発明においてアルカリ金属は、Li、Na、K、Csなどの少なくとも1つが好ましい。
こうしたアルカリ金属による具体的な作用は不明であるが、パティキュレートフィルタに堆積したカーボン粒子を焼却除去する際に、触媒金属あるいはパティキュレートフィルタ自体にアルカリ金属が作用して、特に排気ガス温度の低温側におけるカーボン粒子の焼却除去性能を高める効果があると考えられる。ところで、これらのアルカリ金属は貴金属のようにNOを生成する物質ではないため、排気下流部に多く担持されても、カーボン粒子と触媒金属との接触頻度低下による再生性能低減を大きく改善するものではない。また低温のパティキュレートフィルタは高温の排気ガスをその排気上流部から受けて昇温する。そこで、カーボン以外の成分からなる微粒子による再生性能劣化が少なく、高温の排気ガスを最初に受ける排気上流部へのアルカリ金属の担持量を増量することで再生処理を促進できるとともに、排気下流部への不必要な担持を少なくしたので、全体的な再生性能を悪化させることなく安価に、排気微粒子低減装置を構成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(全体構成)
図1は本発明の実施形態に係るエンジンの排気微粒子低減装置Aの一例を示し、1は車両に搭載されたディーゼルエンジンである。このエンジン1は複数の気筒(シリンダ)2,2,…(1つのみ図示する)を有し、その各気筒2内に往復動可能にピストン3が嵌挿されていて、このピストン3により気筒2内に燃焼室4が区画されている。また、燃焼室4の天井部にはインジェクタ5(燃料噴射弁)が配設されていて、その先端部の噴口から高圧の燃料を燃焼室4に直接、噴射するようになっている。一方、各気筒2毎のインジェクタ5の基端部は、それぞれ分岐管6a,6a,…(1つのみ図示する)により共通の燃料分配管6(コモンレール)に接続されている。このコモンレール6は、燃料供給管8により高圧供給ポンプ9に接続されていて、該高圧供給ポンプ9から供給される燃料を前記インジェクタ5,5,…に任意のタイミングで供給できるように高圧の状態で蓄えるものであり、その内部の燃圧(コモンレール圧力)を検出するための燃圧センサ7が配設されている。
【0014】
前記高圧供給ポンプ9は、図示しない燃料供給系に接続されるとともに、歯付ベルト等によりクランク軸10に駆動連結されていて、燃料をコモンレール6に圧送するとともに、その燃料の一部を電磁弁を介して燃料供給系に戻すことにより、コモンレール6への燃料の供給量を調節するようになっている。この電磁弁の開度が前記燃圧センサ7による検出値に応じてECU40(後述)により制御されることによって、燃圧がエンジン1の運転状態に対応する所定値に制御される。
また、エンジン1の上部には、図示しないが、吸気弁及び排気弁をそれぞれ開閉させる動弁機構が配設されており、一方、エンジン1の下部には、クランク軸10の回転角度を検出するクランク角センサ11と、冷却水の温度を検出するエンジン水温センサ13とが設けられている。前記クランク角センサ11は、詳細は図示しないが、クランク軸端に設けた被検出用プレートとその外周に相対向するように配置した電磁ピックアップとからなり、前記被検出用プレートの外周部全周に亘って等間隔に形成された突起部が通過する度に、パルス信号を出力するものである。
【0015】
エンジン1の一側(図の右側)の側面には、各気筒2の燃焼室4に対しエアクリーナ15で濾過した空気(新気)を供給するための吸気通路16が接続されている。この吸気通路16の下流端部にはサージタンク17が設けられ、このサージタンク17から分岐した各通路がそれぞれ吸気ポートにより各気筒2の燃焼室4に連通しているとともに、サージタンク17には吸気の圧力状態を検出する吸気圧センサ18が設けられている。
【0016】
また、前記吸気通路16には、上流側から下流側に向かって順に、外部からエンジン1に吸入される空気の流量を検出するホットフィルム式エアフローセンサ19と、後述のタービン27により駆動されて吸気を圧縮するコンプレッサ20と、このコンプレッサ20により圧縮した吸気を冷却するインタークーラ21と、バタフライバルブからなる吸気絞り弁22とが設けられている。この吸気絞り弁22は、弁軸がステッピングモータ23により回動されて、全閉から全開までの間の任意の状態とされるものであり、全閉状態でも吸気絞り弁22と吸気通路16の周壁との間には空気が流入するだけの間隙が残るように構成されている。
【0017】
一方、エンジン1の反対側(図の左側)の側面には、各気筒2の燃焼室4からそれぞれ燃焼ガス(排気)を排出するように、排気通路26が接続されている。この排気通路26の上流端部は各気筒2毎に分岐して、それぞれ排気ポートにより燃焼室4に連通する排気マニホルドであり、該排気マニホルドよりも下流の排気通路26には上流側から下流側に向かって順に、排気中の酸素濃度を検出するリニアO2センサ29と、排気流を受けて回転されるタービン27と、排気中の有害成分(HC、CO等)を酸化可能な酸化触媒28aと、その下流には燃焼室から排出されるカーボン粒子などの微粒子を捕集可能なフィルタ装置28bが配設されている。
【0018】
酸化触媒28aは、多孔質のセラミック製ハニカム担体のセル表面にPtなどの貴金属を担持する触媒層をコートした一般的なものであるが、特に酸化性能が優れるよう触媒成分が調整されている。その下流には、フィルタ装置(パティキュレートフィルタ装置)28bが配置されており、フィルタ装置28bの詳細については後述する。
また、これらの酸化触媒28aとフィルタ装置28bとは離間してそれぞれ上流下流に配置されるが、その距離は酸化触媒28a内で主に酸化反応により発生する温度が流通する排気ガスを介してフィルタ装置28bに伝達することが可能な程度に維持される。
【0019】
前記タービン27と吸気通路16のコンプレッサ20とからなるターボ過給機30は、可動式のフラップ31,31,…によりタービン27への排気の通路断面積を変化させるようにした可変ターボ(以下VGTという)であり、前記フラップ31,31,…は各々、図示しないリンク機構を介してダイヤフラム32に駆動連結されていて、そのダイヤフラム32に作用する負圧の大きさが負圧制御用の電磁弁33により調節されることで、該フラップ31,31,…の回動位置が調節されるようになっている。
【0020】
前記排気通路26には、タービン27よりも排気上流側の部位に臨んで開口するように、排気の一部を吸気側に還流させるための排気還流通路(以下EGR通路という)34の上流端が接続されている。このEGR通路34の下流端は吸気絞り弁22及びサージタンク17の間の吸気通路16に接続されていて、排気通路26から取り出された排気の一部を吸気通路16に還流させるようになっている。また、EGR通路34の途中には、その内部を流通する排気を冷却するためのEGRクーラ37と、開度調節可能な排気還流量調節弁(以下EGR弁という)35とが配置されている。このEGR弁35は負圧応動式のものであり、前記VGT30のフラップ31,31,…と同様に、ダイヤフラムへの負圧の大きさが電磁弁36によって調節されることにより、EGR通路34の断面積をリニアに調節して、吸気通路16に還流される排気の流量を調節するものである。尚、前記EGRクーラ37はなくてもよい。
【0021】
そして、前記各インジェクタ5、高圧供給ポンプ9、吸気絞り弁22、VGT30、EGR弁35等は、いずれもコントロールユニット(Electronic ControlUnit:以下ECUという)40からの制御信号を受けて作動する。一方、このECU40には、前記燃圧センサ7、クランク角センサ11、エンジン水温センサ13、吸気圧センサ18、エアフローセンサ19、リニアO2センサ29等からの出力信号がそれぞれ入力され、さらに、図示しないアクセルペダルの踏み操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ39からの出力信号が入力される。
【0022】
なお、酸化触媒28aの上流には、酸化触媒28aの温度や、あるいはフィルタ装置28b内のフィルタ部材(パティキュレートフィルタ)44の温度を推定するための排気ガス温度センサ41が配置されている。一方フィルタ装置28bの上流側の排気通路26内、好ましくはフィルタ装置28bと酸化触媒28aとの間には、フィルタ装置28bの上流側排気圧力を検出するためのフィルタ上流圧力センサ42が配置され、フィルタ装置28bの下流側の排気通路26にはフィルタ下流圧力センサ43が配置されている。そして、ECU40には、更にこれら排気ガス温度センサ41の出力信号、フィルタ上流圧力センサ42の出力信号、及びフィルタ下流圧力センサ43の出力信号が入力される。
【0023】
(フィルタの構成)
次に、本実施形態に係るフィルタ装置28bについて詳細に説明する。
フィルタ装置28bは、車両のフロアパネル(図示せず)の下にブラケット(図示せず)を介して懸架するよう位置しており、ケーシング(図7のm2に相当。以下同じ)内にフィルタ部材44(ディーゼルパティキュレートフィルタ。以下同じ)が、断熱材(図7のm4に相当。以下同じ)を介して保持されている。図2に示すフィルタ部材44は、コージライトやシリカからなる多孔質材料により構成されるもので、排気ガスが流通できるよう気孔率は40%から70%に設定されている。フィルタ部材44は、上述の断熱材に覆われているものの車両のフロアパネルの下に配置されているので走行風の影響を受け易く、外周側は比較的低温となる。
【0024】
図3は、フィルタ部材44において排気ガスの流れ方向に垂直な面で切った時の断面図を拡大して示したものである。
セル45は、それぞれ隔壁46により格子状に区画されている。そして、隣合うセル45はそれぞれ一方のセル45がフィルタ部材44の上流端において封止材(図7のm7に相当。以下同じ)により排気ガスが直接流入しないよう封止されており、他方がフィルタ部材44の下流端において、封止材により直接流入した排気ガスがそのまま直接的に通過することがないよう封止されている。また封止材は、格子状のセル45に対して図8と同様にフィルタ部材44を排気ガスの流れ方向の上流側及び下流側から見て、それぞれ市松模様となるように配置される。
【0025】
また、隔壁46の両面には、多孔質で気体の流通が可能な触媒層47が、全体的にコートされている。この触媒層47は、γ−アルミナやセリアに触媒金属を担持したものであり、触媒金属として例えば貴金属のPt等が担持される。
これにより一方のセル45から直接フィルタ部材44に流入した排気ガスは、触媒層47と隔壁46と更に裏面の触媒層47を通過して他方側のセル45に流入し、その後フィルタ部材44から排出されることになる。
【0026】
ところで、ディーゼルエンジンや、リーンバーン燃焼可能な直噴ガソリンの燃焼排気ガス中には、炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)等の気体と、微粒子であるカーボン粒子(C)が存在するが、微粒子としては他にカルシウム(Ca)や亜鉛(Zn)、燐(P)の少なくとも1つを成分とする成る化合物粒子等も含まれる。この化合物粒子は、エンジンの潤滑剤であるエンジンオイルなどに含有し、例えばピストンとシリンダとの摺動面であるシリンダ壁面などからエンジンの燃焼ガスとともに排気ガスとして排出されたもので、一般には排気ガス中にごく微粒に含まれる硫黄などと反応して粒子化していると考えられる。
【0027】
排気ガスの内、炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)の気体は、酸化触媒28aやフィルタ部材44の触媒層47に含有する触媒金属とによい浄化される。
一方、カーボン粒子や化合物粒子はフィルタ部材44のセル45内の隔壁46に一旦堆積されてることで、排気通路26からの大気放出が防止されることになるが、この内、カーボン粒子は以下に示すような再生処理により焼却除去される。
つまり、通常のディーゼル燃焼では、フィルタ部材44に供給される排気ガスの温度は、150℃から350℃までの比較的低温であるため、フィルタ部材44に堆積されたカーボン粒子の焼却除去は促進されず、この間堆積し続けることになる。そこで、本実施形態においては、フィルタ部材44の上流に酸化触媒28aを配置して、酸化触媒28aより上流側の排気ガス中に多く存在するNO(一酸化窒素)の一部を酸化触媒28aの酸化機能によりNOに酸化してフィルタ部材44に供給し、これにより300℃前後の比較的低温でカーボン粒子をNOと反応させて焼却除去している。(連続再生処理)
【0028】
また、このような連続再生処理を行っても、エンジン1の運転状態において排気ガス温度が300℃以下の低温となる状態では、カーボン粒子はNOによる焼却除去されずフィルタ部材44に堆積されることになる。そこで、フィルタ部材44に微粒子が所定値以上堆積したと判断した時は、後述するようなインジェクタ5による燃料の追加噴射を実行し、フィルタ部材44への燃料供給による数分間の高温維持を図り、微粒子の酸素との反応による焼却除去を行っている。(一時的再生処理)
【0029】
このようなカーボン粒子の焼却除去により、フィルタ部材44のカーボン粒子による目詰まりが抑制されて、フィルタ部材44は再生されることになるため、再度カーボン粒子や化合物粒子の堆積が可能となり、このような処理を繰返すことで、フィルタ部材44やフィルタ装置28bを交換せずに、エンジン1の総運転時間を長期化してメンテナンス・フリー性能の向上を図っている。
【0030】
しかしながら、微粒子の内、上述の化合物粒子は、このような連続再生処理や一時的再生処理においても除去されることなく、エンジンの運転によりフィルタ部材44の隔壁46に堆積し続けることとなる。
更に、本発明に係る発明者が実験等により確認したところによると、当該化合物粒子は、フィルタ部材の上流部44aよりも下流部44bに比較的堆積し易いことが判明した。この理由は具体的には不明であるが、おそらく、これら化合物粒子は気体分子よりも質量が重く排気通路26を流通する間に排気ガス流によって慣性力が高められているため、セル45内に侵入した排気ガスはセル45の下流に進むにつれて曲折して徐々に隣のセル45内に通過して行くが、化合物粒子は強い慣性力によりこのような排気ガス流の曲折から離脱してセル45内を直進し続ける。こうして、フィルタ部材44の下流部44bの隔壁46に多く堆積するものと考えられる。
なお、カーボン粒子はこれらの化合物粒子より軽く、隔壁46の気孔率にもよるが、セル45の長手方向に沿って略平均的に隔壁46に堆積される。
【0031】
エンジンの総運転時間が短い状態では、下流部44bの隔壁46に堆積されるこれら化合物粒子の堆積量は少なくカーボン粒子の焼却除去に対して問題はないが、総運転時間が長くなると(例えば十数万km以上走行した状態)、化合物粒子はセル45の隔壁46の表面、より具体的には触媒層47の表面に多く堆積されることになる。
【0032】
一般に、カーボン粒子は、触媒層47の表面や気孔内、あるいは隔壁46の気孔内に侵入して堆積するが、このような状態で堆積したカーボン粒子は、堆積した場所の近傍に触媒金属粒子が存在するので、触媒金属粒子による触媒反応の影響を受けたり、触媒金属の触媒反応による雰囲気の高温化の影響を受けて、300℃前後の比較的低い温度や略500℃以上の温度で容易に焼却除去される。しかしながら、触媒層47の表面に化合物粒子が多く堆積した状態では、多くのカーボン粒子が、触媒層47の表面や気孔内、あるいは隔壁46の気孔内に侵入してその位置に堆積することができないため、全体的にカーボン粒子と触媒金属との接触頻度が著しく減少する。こうしてフィルタ部材44の下流部44bにおいては、化合物粒子によってカーボン粒子の焼却除去性能が著しく低下することになる。
【0033】
そこで、本実施形態では、触媒層47に含有される触媒材料の担持量をフィルタ部材44の上流部44aと下流部44bとで変更した。
具体的には、下流部44bに担持される触媒金属を、上流部44aに担持される触媒金属よりも多く担持する。この場合、触媒金属としては、貴金属やFe、Ni、Co等の8属金属、あるいはAg、Cuなどの遷移金属が挙げられる。これにより、下流部44bの触媒層47中に分布する触媒金属が高密度化されて、全体に触媒金属の作用を強化することとなり、触媒層47の表面に化合物粒子が多く堆積したとしても、触媒金属とカーボン粒子との全体的な接触頻度が低下するのを防止できるので、カーボン粒子の焼却除去性能が向上する。
【0034】
また、触媒金属の内、貴金属は、カーボン粒子の焼却除去性能が高いだけでなく排気ガス中のNOをNOに変換する性能も高く、触媒金属として貴金属を用いた場合は、フィルタ装置28bの上流の酸化触媒28aで変換しきれなかったNOをフィルタ部材44の触媒層47で容易にNOに変換することができる。こうして生成されたNOは、化合物粒子に堆積したカーボン粒子に対しても広範囲に反応可能であり、これによりカーボン粒子の焼却除去性能を促進できる。従って、本実施形態では触媒金属として貴金属を用いることで、化合物粒子が堆積した後でもカーボン粒子の除去性能を高め、フィルタ部材44の全体的な再生性能を向上している。また、貴金属は高価であるが、このように化合物粒子の堆積により再生性能が悪化する下流部44bのみに多く担持し、化合物粒子の堆積が少なく、化合物粒子の堆積により再生性能が劣化され難い上流部44aでは担持量を増量させないので、安価に構成することができる。
【0035】
また、本実施形態では、触媒材料として触媒層47に、更にLi、Na、K、Csなどのアルカリ金属の内、少なくとも1種を含有させる。これにより具体的な作用は不明であるが、フィルタに堆積したカーボン粒子を焼却除去する際にアルカリ金属が触媒金属や触媒層、あるいはフィルタ部材自体に作用して、その焼却除去性能を高めていると考えられる。
また、アルカリ金属は、フィルタ部材44の上流部44aの触媒層47に下流部44bよりも多く担持される。これにより、アルカリ金属はNOをNOに変換する性質を持たないので、下流部44bに多く担持しても上述のような貴金属による効果は得られない。寧ろ、アルカリ金属は、排気ガス温度の低温側におけるカーボン粒子の焼却除去性能を向上する効果があるため、堆積したカーボン粒子と触媒金属との接触頻度が高く、高温の排気ガスを最初に受ける上流部44aにおいてアルカリ金属を多く担持することで、全体的にカーボン粒子の焼却除去性能が向上できる。また、アルカリ金属を不必要に大量に担持することがなく、安価なフィルタ装置28bを提供できる。
なお、アルカリ金属の内、特にK(カリウム)が性能上好ましく、本実施形態ではアルカリ金属としてKを担持した。
【0036】
(エンジン制御)
次に、エンジン1によるカーボン粒子低減に関連する制御について説明する。
ECU40は、入力されたアクセル開度センサ39から入力された信号からアクセル開度量(エンジン負荷)を算出し、クランク角センサ11から入力された信号からエンジン回転数を算出し、これらを噴射制御部(図示せず)に出力して、基本的にこれらエンジン負荷及びエンジン回転数に基づいて主噴射Mおよびフィルタ装置28b再生処理用の追加噴射としての膨張行程噴射、あるいは排気行程噴射が実行される。
なお、フィルタ装置28bの再生時には、EGR弁35はECU40により閉成され、追加噴射による排気浄化制御が的確に実行できるようにしている。
【0037】
主噴射Mは、図4に示すように、圧縮行程上死点付近でインジェクタ5により行われる燃料噴射で、この噴射により噴射された燃料は、ピストン位置が上昇して燃焼室4内の圧力が極めて高圧の状態で噴射されるので、自己着火して主燃焼が行われることとなる。また、この主噴射Mによる噴射量は、乗員等による要求出力が得られるように、この出力に相当するトルク(要求トルク)に基づいて予め設定されている。
具体的には、ECU40には、エンジン回転数が高回転である程、且つアクセル開度量が大きい程、主噴射量が増量されるよう設定された主噴射量マップ(図示せず)、及びエンジン回転数とアクセル開度量に基づいて主噴射Mの実行時期を設定した主噴射時期マップ(図示せず)が記憶されており、エンジン回転数及びアクセル開度量に基づいて、主噴射量、及び噴射時期が設定される。
【0038】
なお、主噴射Mの形態は、このような1回の噴射に限らず、圧縮行程上死点より少し前に一時的に行う所謂パイロット噴射と圧縮行程上死点付近での主噴射Mとの組み合わせや、圧縮行程上死点付近で実行される主噴射M自体を微少な休止間隔(略1ms以下)を挟んで多段に分割噴射するものであってもよい。
【0039】
このような主噴射Mによる通常のディーゼル燃焼では、エンジン負荷が高負荷であったりエンジン回転数が高回転の場合であれば、フィルタ部材44の入口排気ガス温度が300℃前後となってフィルタ部材44に堆積したカーボン粒子を上述の連続再生処理により除去することが可能となる。しかしながら、低負荷状態や低回転状態が継続すると入口側排気ガス温度が300℃を大きく下回り、例えば200℃ぐらいになるので、この状態ではカーボン粒子はフィルタ部材44に堆積し続けることになる。このようなカーボン粒子の堆積状態を、フィルタ上流圧力センサ42とフィルタ下流圧力センサ43とにより検出されたフィルタ上流と下流の圧力との差圧に基づいて推定し、この推定されたカーボン粒子堆積量が、所定値以上であると判断された時に、以下に説明する追加噴射による一時的再生処理を施して、カーボン粒子を確実に焼却除去する。
【0040】
追加噴射としては、図4に示すように膨張行程期間中で主噴射Mの噴射完了後に実行される膨張行程初期噴射F1、膨張行程中期噴射F2と、排気行程後期で実行される排気行程後期噴射F3とがある。
【0041】
尚、本実施形態においては、追加噴射は、このような3回の噴射を実行するものに限定されるものではなく、膨張行程から排気行程に掛けて1回、あるいは複数回の追加噴射を行うものであればよい。
【0042】
膨張行程初期噴射F1は、主燃焼期間A中であって、主燃焼の熱発生率の0への収束度合が高い時期から主燃焼が終了し熱発生率が0となる時期At直前までに噴射される。具体的には、膨張行程初期噴射F1の噴射開始時期は、圧縮行程上死点後(ATDC)20°から35°の間、より好ましくはATDC22°から30°ぐらいで、運転状態により影響を受けるために運転状態に応じた所定の許容範囲時期(図示せず)の特定時期に設定される。例えば、所定の許容範囲時期とは、エンジン回転数が低回転でエンジン負荷が低負荷の場合、ATDC20°から25°の間、より好ましくはATDC22°から24°の間で設定されるものである。
【0043】
このような膨張行程初期噴射F1により噴射された燃料は主燃焼中に供給されることとなるため、その殆どが燃焼されて熱発生を生じ燃焼室4内のガス温度を高め、結果的に燃焼室4から排気されるガスの温度を高温化させ、更にこうした高温の排気ガスとの接触により排気通路26に配置された酸化触媒28aやフィルタ装置28bの温度も高温化することとなる。
【0044】
膨張行程初期噴射F1の噴射時期、及び噴射量は、それぞれECU40に記憶されたマップ(図示せず)により制御される。
【0045】
膨張行程中期噴射F2は、膨張行程初期噴射F1の実行後の主燃焼期間A以降で噴射されるものであり、膨張行程中期噴射F2の噴射開始時期は、圧縮行程上死点後(ATDC)50°から120°の間、より好ましくはATDC60°から110°ぐらいで、運転状態により影響を受けるために運転状態に応じた所定の許容範囲時期内の特定時期に設定される。このような膨張行程中期噴射F2により噴射された燃料は、膨張行程初期噴射F1による主燃焼の影響を大きく受けることがないよう、好ましくは膨張行程初期噴射F1による燃焼の熱発生率が略0となった後に、膨張行程中期噴射F2により噴射された燃料が燃焼室内4に拡散するよう噴射開始されるので、その殆どが未燃燃料となり排気通路26に排出される。こうして排出された未燃燃料の多くは酸化触媒28aのセル内に付着することとなるが、この時酸化触媒28aが不活性状態であれば、付着した未燃燃料が堆積することこととなる。その後主噴射Mや膨張行程初期噴射F1により酸化触媒温度が昇温し活性状態に移行すると、堆積した未燃燃料が急激に燃焼し、この反応熱によって酸化触媒28a下流のフィルタ装置28bの温度上昇が図られることとなる。フィルタ装置28bでは、この温度上昇によりフィルタ装置28b前の排気ガス温度が500°C以上となると、それまでに堆積されたカーボン粒子が排気ガス中の酸素と反応して燃焼して焼却され、例えばこのような高温状態を数分間継続させることによりフィルタ装置28bが再生することとなる。
【0046】
膨張行程中期噴射F2の噴射時期、及び噴射量は、それぞれECU40に記憶されたマップ(図示せず)により制御される。なお、膨張行程中期噴射F2の噴射時期マップ、噴射量マップは、後述するように酸化触媒28aの活性時用と、不活性時用との2つが準備されている。
【0047】
ところで、フィルタ装置28bの高温化には、膨大な量の未燃燃料の供給が必要である。(例えば主噴射Mによる噴射量の2倍以上)、そのためエンジン回転数が低くエンジン負荷も低い状態では、フィルタ装置28b昇温のため噴射実行期間(インジェクタ5の針弁の開弁期間)を長期間に設定する必要がある。一方、上述のように膨張行程中期噴射F2は上記所定許容範囲時期内で実行しなければならず、仮に噴射開始時期を所定許容範囲時期よりも進角側に設定すると上述のように酸化触媒28aに供給すべき未燃燃料が減少してフィルタ装置28bの高温化が不十分となり、噴射時期を所定許容範囲時期よりも遅角側に設定するとシリンダ壁面への燃料付着が発生する。
一方、膨張行程初期噴射F1を増量すると主燃焼中に噴射されるために未燃燃料を増量することはできず、反って不要なトルク増量が発生する。
【0048】
そこで、本実施形態では、排気行程後期噴射F3を実行する。
排気行程後期噴射F3は、排気行程の後期において実行されるもので、排気行程後期噴射F3の噴射開始時期は、圧縮行程上死点後(ATDC)300°から350°の間B(つまり排気行程上死点前60°から0°の間)、より好ましくはATDC310°から320°(つまり排気行程上死点前50°から40°の間)ぐらいで、運転状態により影響を受けるために運転状態に応じた所定の許容範囲時期内の特定時期に設定される。この状態ではピストン3は上昇した位置にあるため、このような排気行程後期噴射F3により噴射された燃料は、シリンダ壁面に付着することがなく、この時開弁している排気弁から排気通路に排出されて酸化触媒28aに到達し、フィルタ装置28bの再生に寄与されることとなる。
【0049】
ところで、排気行程後期噴射F3の噴射時期を上記の所定許容範囲時期より進角側に設定すると、ピストン3位置が下がった状態で噴射されることになるのでシリンダ壁面への付着燃料の増大を招き、また噴射時期を所定許容範囲時期より遅角側に設定すると、排気弁が低開度状態となるため、排気通路に供給される未燃燃料量が減少する。そればかりか、排気されなかった燃料はこの気筒内に残留し、次回のサイクルの燃焼に寄与することとなり、不必要なトルク増大を招くこととなる。
【0050】
排気行程後期噴射F3の噴射時期、及び噴射量は、それぞれECU40に記憶されたマップ(図示せず)により制御される。なお、排気行程後期噴射F3の噴射時期マップ、噴射量マップは、酸化触媒28aの活性時用と、不活性時用との2つが準備されている。なお、排気行程後期噴射F3の噴射量は、膨張行程中期噴射F2の噴射量よりも少ない量で設定されている。
【0051】
次に、酸化触媒28aの活性状態と噴射制御との関係について説明する。
図4のS2で実線にて示すように、酸化触媒28aが不活性状態の時は、膨張行程中期噴射F2の噴射量と排気行程後期噴射F3との噴射量とは減量されるが(同図中、点線は活性時の針弁の作動状態を示す)、この理由は、酸化触媒28aが不活性の時は、酸化触媒28aに未燃燃料を供給しても、酸化触媒における反応熱の急激な上昇が起らないので、燃費向上のために未燃燃料供給を抑制させるためである。この時、膨張行程初期噴射F1の噴射量は実質的に減量しないため、酸化触媒28aの昇温が図られて酸化触媒28aの早期活性が行われる。また、このように膨張行程初期噴射F1による酸化触媒28aの早期活性が図られることで、その後の触媒活性による急激な反応熱の発生促進のために、膨張行程中期噴射F2と排気行程後期噴射F3とによる少量の燃料供給が行われる。
なお、この時は、膨張行程中期噴射F2と排気行程後期噴射F3とは中止しても構わない。
【0052】
(実験結果)
次に、本実施形態におけるフィルタ部材を用いて実験した結果を、図5、図6を参照して説明する。
実験は、模擬排気ガス流通装置を用いて、この装置のガス流通通路にサンプル(大きさは直径25mm、長さ50mmの円筒形のテストピース)となるフィルタ部材を配置して行った。
【0053】
サンプルには、エージング処理として予め800℃×24hの熱処理を行った後、前以って化合物粒子(アッシュ)としてのCaSOをフィルタ部材の下流部(フィルタ部材全体の1/2)のセル内隔壁表面に堆積させた。その堆積量は下流部で25g/L(フィルタ部材の構造体で1L当たりの量)とした。また、サンプルには、アッシュを堆積させた後、カーボン粒子をサンプルのセル内において全体的に均一に10g/Lとなるよう堆積させた。
次に、サンプルに対してSV値が80000/hで、組成比が、O:20%、NO:1000ppm、N:残部となる排気ガスを、その温度を100℃から550℃までゆっくりと上昇させながら供給した。このような実験後、各サンプルを上流部と下流部とに分割し、それぞれに残ったカーボン粒子の量を測定し、これをカーボン粒子再生率(=実験後に測定したカーボン粒子量/予め堆積させたカーボン粒子量)として示したのが、図5、図6である。
【0054】
図5においては、サンプルとしての実施例1と比較例1とにおけるそれぞれフィルタ部材の上流部と下流部とのカーボン再生率を示す。
なお、実施例1は、γ−アルミナとセリアとが1:2の分量のスラリー計50g/LにPtを1g/L含浸担持して、これをフィルタ部材の上流部の隔壁表面にコートして触媒層を形成させ、またγ−アルミナとセリアとが2:1の分量のスラリ−計50g/LにPtを3g/L含浸担持して、これを下流部の隔壁表面にコートして触媒層を形成させた。
また、比較例1は、γ−アルミナとセリアとが1:1の分量のスラリー50g/LにPtを2g/L含浸担持して、これをフィルタ部材全体の隔壁表面にコートして触媒層を形成させた。
なお、これら実施例1と比較例1とにおけるフィルタ部材全体のPt量、アルミナ量、セリア量は同じである。
【0055】
図6においては、サンプルとしての実施例2と比較例2とにおけるそれぞれフィルタ部材の上流部と下流部とのカーボン再生率を示す。
実施例2は、γ−アルミナから成るスラリー計50g/Lに、Ptを1g/L、Kを15g/L含浸担持して、これをフィルタ部材の上流部の隔壁表面にコートして触媒層を形成させ、またγ−アルミナから成るスラリ−計50g/Lに、Ptを3g/L、Kを5g/L含浸担持して、これを下流部の隔壁表面にコートして触媒層を形成させた。
また、比較例2は、γ−アルミナから成るスラリー50g/LにPtを2g/L、Kを10g/L含浸担持して、これをフィルタ部材全体の隔壁表面にコートして触媒層を形成させた。
なお、これら実施例2と比較例2とにおけるフィルタ部材全体のPt量、アルミナ量、K量は同じである。
【0056】
また、触媒層の製造方法については、これ以外の方法でもよく、例えばγ−アルミナ等を先にフィルタ部材にコートした後、フィルタ部材を触媒金属の溶液に含浸させてもよい。これらの方法により、高密度で担持された貴金属やアルカリ金属を高分散担持でき、よりカーボン粒子と触媒金属との接触頻度を向上できる。
【0057】
このような実験結果によれば、上流部におけるPt担持量の変更によるフィルタ部材の再生性能の変化は極めて小さいが、下流部におけるPt担持量の変更によるフィルタ部材の再生性能の変化は大きいことが分かる。従って、1つのフィルタ部材44に同じPt量を担持する際には、Ptを全体に亘って均一に担持するよりも、Ptをフィルタ部材の下流部にて多く担持して上流部の担持量を少なくした方が、フィルタ部材の再生性能を格段に向上できるといえる。
また、Kにより、全体的にフィルタ部材の再生性能を向上できるとともに、実施例1と実施例2との比較からKの担持量を上流部に多くし下流部で少なくした方が、上流部における再生性能が向上しているのが分かる。
【0058】
以下に上記の本実施形態における効果を説明する。
本実施形態においては、フィルタ部材44の下流部44bに担持される触媒金属を上流部44aに担持される触媒金属より増大させて、触媒金属が下流部44bにおいて高密度で偏在するよう構成した。これにより、エンジン1の長時間の使用による総運転時間長期化などの理由により、フィルタ部材44下流部44bのセル45内の隔壁46に焼却除去ができない化合物粒子が多く堆積されたしても、触媒金属とカーボン粒子との接触頻度が低下するのを抑制でき、こうした再生性能の経年劣化を防止できる。
【0059】
また、触媒金属として、カーボン粒子の焼却除去性能が高く、しかも燃焼室から排出された直後の排気ガス中に多く存在するNOをNOに変換する性能の高い貴金属を担持させたので、上流の酸化触媒28aでNOに変換されなかった一部のNOとカーボン粒子とによる反応を促進して比較的低温であってもカーボン粒子の焼却除去性能を向上でき、再生性能を促進することができる。
【0060】
また、アルカリ金属を、上流部44aで下流部44bよりも多くなるように担持したのでカーボン粒子の焼却除去性能を全体的に向上でき、更に化合物粒子による再生性能劣化の影響を受け難い上流部44aにおいて触媒金属による積極的なカーボン粒子除去を行うことができる。
【0061】
(他の実施形態)
尚、本発明の実施形態においては、フィルタ部材44の上流に酸化触媒28aを配置してカーボン粒子の連続再生処理を積極的に行う構成としたが、これに限定されず、酸化触媒28aがなくても、適応可能である。
また、再生処理方法としては、連続再生処理方法や一時的再生処理方法の一方の方法のみを実行しても同様の効果が得られる。
更に、本実施形態では、一時的再生処理をエンジン1の制御状態を変更することで行ったが、エンジン1の排気通路26にセリア含有燃料などの微粒子焼却剤の供給装置を設け、該装置からフィルタ部材44に微粒子焼却剤を供給することで、再生処理するものであっても良い。
また、フィルタ部材44への微粒子の堆積が所定値以上となった時に、サービス工場でフィルタ装置28bを排気通路26から取外して、サービス工場内の設備を利用して高温再生し、再生処理終了後再度フィルタ装置28bを排気通路26に取り付けるものであってもよい。
【0062】
また、本発明の実施形態においては、触媒金属やアルカリ金属の担持量を、上流部44aと下流部44bとでそれぞれ一定とし、上流部44aと下流部44bとの境界で非線形に変えたが、フィルタ部材44の上流端から下流端に亘って線形的に変えてもよい。この場合触媒金属であれば上流端から下流端に向けて増大するように担持され、アルカリ金属であれば上流端から下流端に向けて減少するように担持される。
また、本発明の実施形態においては、フィルタ部材44の隔壁46表面に触媒層47を形成させたが、触媒層47を形成せずに、触媒金属やアルカリ金属の溶液を直接隔壁46に含浸させて、触媒金属やアルカリ金属を担持してもよい。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るエンジンの排気微粒子低減装置においては、
パティキュレートフィルタの排気下流部に担持する触媒金属を排気上流部に担持する触媒金属よりも増量させて担持させた。これにより、例えばエンジンの総運転時間が長くなるなどして、パティキュレートフィルタの排気下流部に除去不可物質が堆積したとしても、触媒金属によるカーボン粒子の焼却除去性能の悪化を抑制して、パティキュレートフィルタの高い再生性能を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るエンジンの排気微粒子低減装置を示す全体構成図。
【図2】本実施例の実施形態に係るフィルタ部材44の概略図。
【図3】フィルタ部材44の一部における、断面拡大図。
【図4】インジェクタ5による噴射作動の様子を模式的に示す説明図。
【図5】実施例1と比較例1との実験結果を示すグラフ。
【図6】実施例2と比較例2との実験結果を示すグラフ。
【図7】従来例のパティキュレートフィルタにおける側面断面図。
【図8】従来例のパティキュレートフィルタにおける正面図。
【符号の説明】
28b:フィルタ装置
44:フィルタ部材(パティキュレートフィルタ)
44a:上流部(排気上流部)
44b:下流部(排気下流部)
45:セル
46:隔壁
47:触媒層

Claims (3)

  1. エンジンの排気通路に、多孔質物質の隔壁により内部を多数のセルに区画され、カーボン粒子とカーボン以外の成分から成る粒子とを含む排気ガス中の微粒子を堆積可能なハニカム状のパティキュレートフィルタを配置するとともに、該パティキュレートフィルタが、上記隔壁に担持された触媒金属によって、堆積する該カーボン粒子の焼却除去を促進することで該パティキュレートフィルタの再生処理可能に構成されており、該パティキュレートフィルタにより排気ガス中のカーボン粒子を低減するエンジンの排気微粒子低減装置において、
    該パティキュレートフィルタに担持された上記触媒金属を、該パティキュレートフィルタの排気下流部において該パティキュレートフィルタの排気上流部よりも多く担持したことを特徴とするエンジンの排気微粒子低減装置。
  2. 上記触媒金属は、排気ガス中のNOをNOに変換可能な貴金属であることを特徴とする請求項1記載のエンジンの排気微粒子低減装置。
  3. 上記パティキュレートフィルタは、上記触媒金属の他に、アルカリ金属を担持するとともに、アルカリ金属は、該排気上流部において該排気下流部よりも多く担持したことを特徴とする請求項2記載のエンジンの排気微粒子低減装置。
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