JP2004238654A - めっき線の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶融金属に浸漬しめっきを施すめっき線の製造は伸線工程とめっき工程が独立した工程になっているため製造費を多くを費やしている。めっき線に必要な品質レベルに合わせた簡素な製造設備でめっき用鉄線をめっき工程のなかで,めっき用鉄線とめっき線を連続的に製造することでめっき線の製造費用を画期的に低減する。
【解決する手段】溶融金属に浸漬しめっきを施すめっき線の製造設備で、溶融金属浸漬めっき槽の前工程に素材線の断面積に対し5%以上減面する2対以上の溝付ロールからなる冷間加工機を備えて、めっき用鉄線とめっき線を連続的に一工程で製造できるようにした。
【選択図】 図5
【解決する手段】溶融金属に浸漬しめっきを施すめっき線の製造設備で、溶融金属浸漬めっき槽の前工程に素材線の断面積に対し5%以上減面する2対以上の溝付ロールからなる冷間加工機を備えて、めっき用鉄線とめっき線を連続的に一工程で製造できるようにした。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は溶融金属に浸漬し、めっきを施しためっき線の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の鉄線のめっき製造方法を図1に基づいて説明する。素材線の熱間圧延線材1をキャリアスタンド2に架け巻き戻しし、熱間圧延線材1の表面に生成された酸化物を酸化物除去装置3に通材させ表面酸化物を除去後、皮膜処理装置4および乾燥装置5を経由し、更に伸線ダイス前の潤滑ボックス6で潤滑剤を載せた後、所定のめっき用鉄線の線径を得るようダイス伸線7を一回あるいは複数回通し、その後にコイラー8で巻き取りキャリアスタンド9に入れられめっき用鉄線10が造られる。なかには事前に酸洗処理し酸化物除去装置3を備えない場合もある。
【0003】
この巻き取られためっき用鉄線10をめっき工場に持ち込み、キャリアスタンド9から巻き戻しし、伸線工程の冷間加工で硬くなっためっき用鉄線10を通材ガイド11および焼鈍炉12に通材させめっき線の用途に合わせた硬さに熱処理した後、冷却槽13、酸洗槽14、水洗槽15、フラックス槽16および乾燥槽17を通過させ前処理し、溶融金属浸漬めっき槽18を通材させ溶融金属を付着させめっきし、絞り装置19、冷却装置20、冷却装置21およびワックス装置22を経てコイラー23で巻き取りめっき線24が製造される。なかにはJISG3547のめっき鉄線(H)のような引張強さの高い種類は焼鈍炉12を通さないものもある。このように、従来は伸線工程とめっき工程はそれぞれ独立した工程となっている。
【0004】
また、最近では特開平11−323524にあるように熱間圧延線材を伸線工程なしで直接めっき工程でめっき線を製造する方法が紹介されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように従来は、伸線工程とめっき工程が独立した工程になっているため伸線工程での製造費、めっき用鉄線の移動費および保管費などに多くを費やしている。特に伸線工程ではめっき用鉄線以外の鉄線および製品も多く製造するために高速伸線が可能で、寸法精度が優れ、かつ表面が綺麗な孔ダイス伸線が行われている。この孔ダイス伸線はダイス面に大きな摩擦力が生じるため孔ダイスでの断線、表面疵の防止およびダイスの寿命確保のために酸化物除去、皮膜処理および潤滑剤塗布などの前処理が重要で、そのために多くの費用を費やしているが、めっき線の用途によってはこの孔ダイスで伸線したレベルの寸法精度および表面性状までは必ずしも必要としないものが多くある。
【0006】
また、最近の素材線の熱間圧延線材を伸線工程なしで直接めっき工程でめっき線を製造する方法では、熱間圧延線材の標準最小径サイズは5.5φmmで、それ以下のサイズでは熱間圧延の製造能率が低下するため熱間圧延線材としてはコスト的にも高上がりで、かつ製造可能下限サイズにも限界がある。加えて、寸法公差を±0.20mm以下に特別管理され製造された熱間圧延線材を使用してもめっき線製造には特段の注意が必要で、かつめっき付着量の少ないめっき線は寸法精度の確保が難しいなどの問題が有る。
【0007】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みて、めっき線に必要な品質レベルに合わせた簡素な製造設備でめっき用鉄線をめっき工程のなかで、めっき線を製造する工程の速度に合わせてめっき用鉄線を製造しつつ、めっき用鉄線とめっき線を連続的に製造することでめっき線の製造費用を画期的に低減すると同時に、品質の安定しためっき線の製造装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記のような課題を解決するために創案させたもので、その目的を達成するために、本発明のめっき線の製造装置は、溶融金属に浸漬しめっきを施すめっき線の製造設備で、溶融金属浸漬めっき槽の前工程に素材線の断面積に対し5%以上減面する2対以上の溝付ロールからなる冷間加工機を備えて、めっき用鉄線とめっき線を連続的に一工程で製造できるようにした。
【0009】
素材線の熱間圧延で製造された線材の表面には酸化物が生成されているが、素材線の断面積に対し5%以上減面する歪を加えることで酸化物に割れが入り剥離が可能となる。また同時に歪を加えるその冷間加工機で素材線の断面積に対し5%以上減面加工するにおいて2対以上のロールの最終加工でめっき線に必要な形状に成形することで線径精度を確保することが可能となる。当然のことながら線径精度を確保するに必要な加工反力を考慮した剛性を持たせた冷間加工機が必要で、素材線の断面積に対し5%以上減面する歪を与えめっき線に必要なめっき用鉄線の寸法精度を確保するには、最低2対以上の溝付ロールでの加工が必要である。
【0010】
素材線の断面積に対し5%未満の減面量では素材線の寸法ばらつきもあり、素材線の径が細径側にばらついて製造されている場合は、加工量が非常に小さくなり、表面の酸化物が充分除去出来なく、かつめっき線の寸法精度が確保できなくなる問題が出る。
【0011】
めっき線に必要なめっき用鉄線の線径精度は、めっき線の寸法許容差の上限レベルが確保できていれば、ほとんどのめっき種類の付着量基準に関わらず寸法公差差を確保することが可能となる。即ち、例えばめっき線の寸法許容公差が±0.10mmであればめっき用鉄線の寸法許容公差が±0.10mmであれば良く、通常製造されている孔ダイス伸線での寸法精度の±0.02mm程度の厳しい精度は全く必要ない。
【0012】
これにより本発明のめっき線の製造装置での表面酸化物の除去とめっき用鉄線の寸法を成形する冷間加工機は、通常めっき用鉄線を製造している孔ダイス伸線ではなくローラを組み合わせた装置で良い。そのため、ダイス伸線で必要な大掛かりな酸化物除去装置3、皮膜処理装置4、乾燥装置5などは省略でき、狭いスペースに配置することが可能となる。
【0013】
線径が5φmm以上のめっき線には素材線の径が5.5φmm以上の標準線材径を使用する事ができ、できるだけ5%以上加工される条件でめっき用鉄線に近い素材線の線径を選ぶことで、冷間加工量を少なく出来るので冷間加工機の剛性が小さい小型の装置で良い。また、線径が5φmm未満のめっき線には最低標準線材径の最小サイズ5.5φmmからの加工であるが線径が細いので冷間加工機の剛性が小さい小型の装置で良い。あるいは、最近熱間圧延で製造されつつある5φmm、4φmmの細径の線材を使用しても良く、この場合、特に寸法公差が厳しく製造されたものは必要ではなく、通常の熱間圧延されている寸法公差範囲のレベルで充分である。
【0014】
また、焼鈍処理する場合は冷間加工機と焼鈍炉の間に線引張機を備え、焼鈍炉内で線に大きな張力が掛かり、線径が細らないようにする必要がある。この場合、めっき工程の製造線速度は10〜80m/分程度で、伸線工程で製造する伸線速度に比べるとほぼ1/10程度の非常に遅い速度で、冷間加工量も比較的少ないことから設備的にも小型で良く、狭いスペースに配置することが可能となる。
【0015】
また、この場合使用される素材線の熱間圧延線材は熱間圧延において生成される表面酸化物は機械的歪を与えることで容易に剥離し易くなるように、熱間圧延後の巻き取り温度、強制冷却などの特別処理したメカニカルデスケーリング用線材を使用するほうがのぞましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
発明の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。請求項1のめっき線の製造装置図3は本発明に開発しためっき線の製造装置を例示している。
【0017】
めっき線には種々の種類があり、例えばJISG3547では引張強さにより亜鉛めっき鉄線(S)と亜鉛めっき鉄線(H)とに区分されている。亜鉛めっき鉄線(S)は比較的引張強さが低いもので、通常はめっき工程で焼鈍処理し製造される。また、亜鉛めっき鉄線(H)は引張強さが高いもので、通常は冷間加工されたままで焼鈍処理されずにめっきされている。
【0018】
図3は、亜鉛めっき鉄線(H)のように焼鈍処理されずに冷間加工されたままめっきする場合で、素材線の熱間圧延線材1は通材ガイド11を通過し冷間加工機31で酸化物の除去および所定の寸法に成形されめっき用鉄線33が製造される。その後、連続して下流工程の酸洗槽14、水洗槽15、フラックス槽16、乾燥炉17を経て溶融金属めっき槽18に浸漬され、絞り、冷却されコイラー23に巻き取られめっき線が製造される。冷間加工機31には駆動装置は無く、冷間加工時の抵抗よりコイラーの引張力が勝るときは、従来のめっき工程での線の通材方法と同様に、コイラーの巻付け引張力で線を引き取り移動させながら冷間加工も行う。
【0019】
また、冷間加工機31は少なくても2対以上の溝付ロールを組み合わせた冷間圧延機能を有するもので、ロール数は素材線の熱間圧延線材1からのめっき用鉄線33の成形に必要な加工量により複数対配置する。また、冷間加工機部は剥離した酸化物が集積し易いように対ロールの間隔を適度に空け、かつスケール集積装置を備えるようにする。
【0020】
請求項2の発明にかかわるめっき工程の図4は、めっき用鉄線の引張強さが余り高くなく冷間加工機31での加工抵抗により冷間加工機31とコイラー23間で線に加わる張力で線が細る場合、またはコイラーの引張力が不足する場合は冷間加工機31の下流方向に線引張機32を備えためっき線の製造装置である。
【0021】
請求項3の発明にかかわるめっき工程の図5は、亜鉛めっき鉄線(S)のような引張強さを低くするため焼鈍処理するとき、この場合は焼鈍炉の前工程に冷間加工機31および線引張機32を備える必要がある。かりに、焼鈍炉12の出側の下流方向に線引張機32および冷間加工機31を配置した場は焼鈍後に冷間加工されことになるため、所定の引張強さ、伸び率などの機械的性質が得られなくなる。また、焼鈍炉の前工程に冷間加工機31のみを、線引張機32を焼鈍炉12の後工程に配置した場合は焼鈍炉内で線に引張力が掛かり、焼鈍炉内では線が高温と成るため線が細り所定のめっき用鉄線の寸法が得られなくなる。
【0022】
線めっきの製造は、生産能率を上げるため本数掛で製造する場合が多い。その場合、線引張機は複数本を同時に引っ張る装置でもよく、その時は線引張機を基準速度としたアップストリーム制御方式とする。
【0023】
また、冷間加工機31で使用されるロールの寿命をより長くしたい場合、あるいは冷間加工機31で成形されるめっき用鉄線の表面肌をより綺麗にしたい場合は、素材線の熱間圧延線材1をあらかじめ酸洗などを施した酸化物を除去した線材を使用するか、冷間加工機31の前に専用のデスケーリング装置を備えてもよい。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0025】
溶融金属に浸漬しめっきを施すめっき線の製造設備で、溶融金属浸漬めっき槽装置の前工程に素材線の断面積に対し5%以上減面する2対以上の溝付ロールからなる冷間加工機を備えて、めっき用線とめっき線を連続的に製造することでめっき線の製造費用を画期的に低減すると同時に、品質の安定しためっき線を製造できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のめっき用線の伸線工程の配置図である。
【図2】従来のめっき線のめっき工程の配置図である。
【図3】本発明の請求項1かかわるめっき工程の配置図である。
【図4】本発明の請求項2かかわるめっき工程の配置図である。
【図5】本発明の請求項3かかわるめっき工程の配置図である
【符号の説明】
1 熱間圧延線材
2 キャリアスタンド
3 酸化物除去装置
4 被覆処理装置
5 乾燥装置
6 潤滑ボックス
7 ダイス伸線
8 コイラー
9 キャリアスタンド
10めっき用鉄線
11通材ガイド
12焼鈍炉
13冷却槽
14酸洗槽
15水洗槽
16フラックス槽
17乾燥槽
18溶融金属浸漬めっき槽
19絞り装置
20冷却装置
21冷却装置
22ワックス槽
23コイラー
24めっき線
31冷間加工機
32線引張機
33めっき用鉄線
【発明の属する技術分野】
本発明は溶融金属に浸漬し、めっきを施しためっき線の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の鉄線のめっき製造方法を図1に基づいて説明する。素材線の熱間圧延線材1をキャリアスタンド2に架け巻き戻しし、熱間圧延線材1の表面に生成された酸化物を酸化物除去装置3に通材させ表面酸化物を除去後、皮膜処理装置4および乾燥装置5を経由し、更に伸線ダイス前の潤滑ボックス6で潤滑剤を載せた後、所定のめっき用鉄線の線径を得るようダイス伸線7を一回あるいは複数回通し、その後にコイラー8で巻き取りキャリアスタンド9に入れられめっき用鉄線10が造られる。なかには事前に酸洗処理し酸化物除去装置3を備えない場合もある。
【0003】
この巻き取られためっき用鉄線10をめっき工場に持ち込み、キャリアスタンド9から巻き戻しし、伸線工程の冷間加工で硬くなっためっき用鉄線10を通材ガイド11および焼鈍炉12に通材させめっき線の用途に合わせた硬さに熱処理した後、冷却槽13、酸洗槽14、水洗槽15、フラックス槽16および乾燥槽17を通過させ前処理し、溶融金属浸漬めっき槽18を通材させ溶融金属を付着させめっきし、絞り装置19、冷却装置20、冷却装置21およびワックス装置22を経てコイラー23で巻き取りめっき線24が製造される。なかにはJISG3547のめっき鉄線(H)のような引張強さの高い種類は焼鈍炉12を通さないものもある。このように、従来は伸線工程とめっき工程はそれぞれ独立した工程となっている。
【0004】
また、最近では特開平11−323524にあるように熱間圧延線材を伸線工程なしで直接めっき工程でめっき線を製造する方法が紹介されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように従来は、伸線工程とめっき工程が独立した工程になっているため伸線工程での製造費、めっき用鉄線の移動費および保管費などに多くを費やしている。特に伸線工程ではめっき用鉄線以外の鉄線および製品も多く製造するために高速伸線が可能で、寸法精度が優れ、かつ表面が綺麗な孔ダイス伸線が行われている。この孔ダイス伸線はダイス面に大きな摩擦力が生じるため孔ダイスでの断線、表面疵の防止およびダイスの寿命確保のために酸化物除去、皮膜処理および潤滑剤塗布などの前処理が重要で、そのために多くの費用を費やしているが、めっき線の用途によってはこの孔ダイスで伸線したレベルの寸法精度および表面性状までは必ずしも必要としないものが多くある。
【0006】
また、最近の素材線の熱間圧延線材を伸線工程なしで直接めっき工程でめっき線を製造する方法では、熱間圧延線材の標準最小径サイズは5.5φmmで、それ以下のサイズでは熱間圧延の製造能率が低下するため熱間圧延線材としてはコスト的にも高上がりで、かつ製造可能下限サイズにも限界がある。加えて、寸法公差を±0.20mm以下に特別管理され製造された熱間圧延線材を使用してもめっき線製造には特段の注意が必要で、かつめっき付着量の少ないめっき線は寸法精度の確保が難しいなどの問題が有る。
【0007】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みて、めっき線に必要な品質レベルに合わせた簡素な製造設備でめっき用鉄線をめっき工程のなかで、めっき線を製造する工程の速度に合わせてめっき用鉄線を製造しつつ、めっき用鉄線とめっき線を連続的に製造することでめっき線の製造費用を画期的に低減すると同時に、品質の安定しためっき線の製造装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記のような課題を解決するために創案させたもので、その目的を達成するために、本発明のめっき線の製造装置は、溶融金属に浸漬しめっきを施すめっき線の製造設備で、溶融金属浸漬めっき槽の前工程に素材線の断面積に対し5%以上減面する2対以上の溝付ロールからなる冷間加工機を備えて、めっき用鉄線とめっき線を連続的に一工程で製造できるようにした。
【0009】
素材線の熱間圧延で製造された線材の表面には酸化物が生成されているが、素材線の断面積に対し5%以上減面する歪を加えることで酸化物に割れが入り剥離が可能となる。また同時に歪を加えるその冷間加工機で素材線の断面積に対し5%以上減面加工するにおいて2対以上のロールの最終加工でめっき線に必要な形状に成形することで線径精度を確保することが可能となる。当然のことながら線径精度を確保するに必要な加工反力を考慮した剛性を持たせた冷間加工機が必要で、素材線の断面積に対し5%以上減面する歪を与えめっき線に必要なめっき用鉄線の寸法精度を確保するには、最低2対以上の溝付ロールでの加工が必要である。
【0010】
素材線の断面積に対し5%未満の減面量では素材線の寸法ばらつきもあり、素材線の径が細径側にばらついて製造されている場合は、加工量が非常に小さくなり、表面の酸化物が充分除去出来なく、かつめっき線の寸法精度が確保できなくなる問題が出る。
【0011】
めっき線に必要なめっき用鉄線の線径精度は、めっき線の寸法許容差の上限レベルが確保できていれば、ほとんどのめっき種類の付着量基準に関わらず寸法公差差を確保することが可能となる。即ち、例えばめっき線の寸法許容公差が±0.10mmであればめっき用鉄線の寸法許容公差が±0.10mmであれば良く、通常製造されている孔ダイス伸線での寸法精度の±0.02mm程度の厳しい精度は全く必要ない。
【0012】
これにより本発明のめっき線の製造装置での表面酸化物の除去とめっき用鉄線の寸法を成形する冷間加工機は、通常めっき用鉄線を製造している孔ダイス伸線ではなくローラを組み合わせた装置で良い。そのため、ダイス伸線で必要な大掛かりな酸化物除去装置3、皮膜処理装置4、乾燥装置5などは省略でき、狭いスペースに配置することが可能となる。
【0013】
線径が5φmm以上のめっき線には素材線の径が5.5φmm以上の標準線材径を使用する事ができ、できるだけ5%以上加工される条件でめっき用鉄線に近い素材線の線径を選ぶことで、冷間加工量を少なく出来るので冷間加工機の剛性が小さい小型の装置で良い。また、線径が5φmm未満のめっき線には最低標準線材径の最小サイズ5.5φmmからの加工であるが線径が細いので冷間加工機の剛性が小さい小型の装置で良い。あるいは、最近熱間圧延で製造されつつある5φmm、4φmmの細径の線材を使用しても良く、この場合、特に寸法公差が厳しく製造されたものは必要ではなく、通常の熱間圧延されている寸法公差範囲のレベルで充分である。
【0014】
また、焼鈍処理する場合は冷間加工機と焼鈍炉の間に線引張機を備え、焼鈍炉内で線に大きな張力が掛かり、線径が細らないようにする必要がある。この場合、めっき工程の製造線速度は10〜80m/分程度で、伸線工程で製造する伸線速度に比べるとほぼ1/10程度の非常に遅い速度で、冷間加工量も比較的少ないことから設備的にも小型で良く、狭いスペースに配置することが可能となる。
【0015】
また、この場合使用される素材線の熱間圧延線材は熱間圧延において生成される表面酸化物は機械的歪を与えることで容易に剥離し易くなるように、熱間圧延後の巻き取り温度、強制冷却などの特別処理したメカニカルデスケーリング用線材を使用するほうがのぞましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
発明の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。請求項1のめっき線の製造装置図3は本発明に開発しためっき線の製造装置を例示している。
【0017】
めっき線には種々の種類があり、例えばJISG3547では引張強さにより亜鉛めっき鉄線(S)と亜鉛めっき鉄線(H)とに区分されている。亜鉛めっき鉄線(S)は比較的引張強さが低いもので、通常はめっき工程で焼鈍処理し製造される。また、亜鉛めっき鉄線(H)は引張強さが高いもので、通常は冷間加工されたままで焼鈍処理されずにめっきされている。
【0018】
図3は、亜鉛めっき鉄線(H)のように焼鈍処理されずに冷間加工されたままめっきする場合で、素材線の熱間圧延線材1は通材ガイド11を通過し冷間加工機31で酸化物の除去および所定の寸法に成形されめっき用鉄線33が製造される。その後、連続して下流工程の酸洗槽14、水洗槽15、フラックス槽16、乾燥炉17を経て溶融金属めっき槽18に浸漬され、絞り、冷却されコイラー23に巻き取られめっき線が製造される。冷間加工機31には駆動装置は無く、冷間加工時の抵抗よりコイラーの引張力が勝るときは、従来のめっき工程での線の通材方法と同様に、コイラーの巻付け引張力で線を引き取り移動させながら冷間加工も行う。
【0019】
また、冷間加工機31は少なくても2対以上の溝付ロールを組み合わせた冷間圧延機能を有するもので、ロール数は素材線の熱間圧延線材1からのめっき用鉄線33の成形に必要な加工量により複数対配置する。また、冷間加工機部は剥離した酸化物が集積し易いように対ロールの間隔を適度に空け、かつスケール集積装置を備えるようにする。
【0020】
請求項2の発明にかかわるめっき工程の図4は、めっき用鉄線の引張強さが余り高くなく冷間加工機31での加工抵抗により冷間加工機31とコイラー23間で線に加わる張力で線が細る場合、またはコイラーの引張力が不足する場合は冷間加工機31の下流方向に線引張機32を備えためっき線の製造装置である。
【0021】
請求項3の発明にかかわるめっき工程の図5は、亜鉛めっき鉄線(S)のような引張強さを低くするため焼鈍処理するとき、この場合は焼鈍炉の前工程に冷間加工機31および線引張機32を備える必要がある。かりに、焼鈍炉12の出側の下流方向に線引張機32および冷間加工機31を配置した場は焼鈍後に冷間加工されことになるため、所定の引張強さ、伸び率などの機械的性質が得られなくなる。また、焼鈍炉の前工程に冷間加工機31のみを、線引張機32を焼鈍炉12の後工程に配置した場合は焼鈍炉内で線に引張力が掛かり、焼鈍炉内では線が高温と成るため線が細り所定のめっき用鉄線の寸法が得られなくなる。
【0022】
線めっきの製造は、生産能率を上げるため本数掛で製造する場合が多い。その場合、線引張機は複数本を同時に引っ張る装置でもよく、その時は線引張機を基準速度としたアップストリーム制御方式とする。
【0023】
また、冷間加工機31で使用されるロールの寿命をより長くしたい場合、あるいは冷間加工機31で成形されるめっき用鉄線の表面肌をより綺麗にしたい場合は、素材線の熱間圧延線材1をあらかじめ酸洗などを施した酸化物を除去した線材を使用するか、冷間加工機31の前に専用のデスケーリング装置を備えてもよい。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0025】
溶融金属に浸漬しめっきを施すめっき線の製造設備で、溶融金属浸漬めっき槽装置の前工程に素材線の断面積に対し5%以上減面する2対以上の溝付ロールからなる冷間加工機を備えて、めっき用線とめっき線を連続的に製造することでめっき線の製造費用を画期的に低減すると同時に、品質の安定しためっき線を製造できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のめっき用線の伸線工程の配置図である。
【図2】従来のめっき線のめっき工程の配置図である。
【図3】本発明の請求項1かかわるめっき工程の配置図である。
【図4】本発明の請求項2かかわるめっき工程の配置図である。
【図5】本発明の請求項3かかわるめっき工程の配置図である
【符号の説明】
1 熱間圧延線材
2 キャリアスタンド
3 酸化物除去装置
4 被覆処理装置
5 乾燥装置
6 潤滑ボックス
7 ダイス伸線
8 コイラー
9 キャリアスタンド
10めっき用鉄線
11通材ガイド
12焼鈍炉
13冷却槽
14酸洗槽
15水洗槽
16フラックス槽
17乾燥槽
18溶融金属浸漬めっき槽
19絞り装置
20冷却装置
21冷却装置
22ワックス槽
23コイラー
24めっき線
31冷間加工機
32線引張機
33めっき用鉄線
Claims (3)
- 溶融金属に浸漬しめっきを施すめっき線の製造設備で、溶融金属浸漬めっき槽装置の前工程に素材線の断面積に対し5%以上減面する2対以上の溝付ロールからなる冷間加工機を備えて、めっき用線とめっき線を連続的に製造するめっき線の製造装置。
- 請求項1記載のめっき線の製造装置で、冷間加工機の下流工程に線引張機を備えためっき線の製造装置。
- 請求項2記載のめっき線の製造装置で、冷間加工機および線引張機を焼鈍炉の前工程に備えためっき線の製造装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102357543A (zh) * | 2011-08-26 | 2012-02-22 | 威海银兴预应力线材有限公司 | 钢绞线无酸洗拉拔装置 |
CN114604683A (zh) * | 2022-04-11 | 2022-06-10 | 江苏锡洲新材料科技有限公司 | 一种电磁线生产线 |
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2003
- 2003-02-04 JP JP2003027100A patent/JP2004238654A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102357543A (zh) * | 2011-08-26 | 2012-02-22 | 威海银兴预应力线材有限公司 | 钢绞线无酸洗拉拔装置 |
CN114604683A (zh) * | 2022-04-11 | 2022-06-10 | 江苏锡洲新材料科技有限公司 | 一种电磁线生产线 |
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