JP2004238138A - エレベーターの停電・故障時乗客救出運転装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】停電または故障により通常のエレベーターの運転できなくなった場合に、非常用バッテリー電源を用いてエレベーターを運転し、乗りかごを最寄りの階床に着床させて乗りかご内の乗客を救出することを目的とする。
【解決手段】エレベーターが故障または停電した時に、前記ブレーキを解放する手段を有し、故障または停電時バックアップ電源を使用して、ブレーキをPM(Permanent Magnet)モータの誘起電圧の周波数から推定される速度により間欠的に開放し、またはPMモータ端子間の短絡抵抗を段階的または連続的に可変させて乗りかごと釣合い錘の重量不均衡により乗りかごを最寄り階の階床に移動させる。
【選択図】図1
【解決手段】エレベーターが故障または停電した時に、前記ブレーキを解放する手段を有し、故障または停電時バックアップ電源を使用して、ブレーキをPM(Permanent Magnet)モータの誘起電圧の周波数から推定される速度により間欠的に開放し、またはPMモータ端子間の短絡抵抗を段階的または連続的に可変させて乗りかごと釣合い錘の重量不均衡により乗りかごを最寄り階の階床に移動させる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、停電または故障により通常のエレベーターの運転ができなくなった場合に、非常用バッテリー電源を用いてエレベーターを運転し、乗りかごを最寄りの階床に着床させて乗りかご内の乗客を救出するエレベーターの故障時救出運転装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、機械室無しエレベーターには非常用のバッテリー電源を備えており、エレベーターの運転中に停電または電源系統の故障の場合には、そのバッテリー電源により最寄りの階床まで乗りかごを移動させ、乗りかご内の乗客を救出するようにしている。
【0003】
特開2000−143115号公報には、エレベーターが故障した場合に、乗りかご内の乗客を救出するための以下の乗客救出運転装置が開示されている。
巻上機にヘリカルギア及びギアレス方式を用いたエレベーターにおいては、機械式ブレーキを解放すると、エレベーターのかご側と釣合い錘側の僅かな重量差によってエレベーター乗りかごは重量の重い側へ引かれて動くことができる。
【0004】
これを利用しエレベーターの速度及び着床をブレーキのオンオフ制御によって乗りかごが断続的なオン,オフによる運転を行い、または永久磁石式同期電動機の三相出力をインピーダンスを介して短絡する方法により運転を行う。このようにして停電または故障により乗客が乗りかご内に閉じ込められた時に、機械式ブレーキを解放して、乗りかごを最寄り階の階床まで移動させて乗客を救出する。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−143115号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、乗りかごの移動速度によらず一定の間隔でブレーキをオンオフ制御したり、あるいは永久磁石式同期電動機を使用したものでは一律のインピーダンスを介して出力を短絡している。これらの方式では、エレベーターの乗りかご側と釣合い錘側の重量差が小さい場合、乗りかごの移動速度が遅くなり乗客の救出に時間が掛かる。更に悪い条件では、適当な速度を得るため何等かの方法で重力差を増す措置が必要となる。
また別に、乗りかごの移動速度を測るため、速度検出器をこれら救出運転専用に設けたり、直接乗りかごの移動を測定する工夫を採っているケースもある。
このようなエレベーターの運転中に停電または電源系統の故障時に乗客が乗りかごに閉じ込められた場合に、乗客の救出問題を解決するため、本発明は、乗りかごをより安全かつ迅速に最寄り階の階床に移動させ、乗りかご内の乗客を救出することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、エレベーター乗りかごを静止保持するブレーキと、PM(Permanent Magnet)モータを制御する制御装置を備えPMモータを駆動源として使用するエレベーターにおいて、エレベーターが故障または停電した時に、故障時バックアップ電源を使用して、PMモータの誘起電圧の周波数から推定される速度に応じてブレーキを間欠に開放し、乗りかごと釣合い錘の重量不均衡により乗りかごを最寄り階の階床に移動させてエレベーター乗客救出運転を行う。
【0008】
乗りかごが移動することによりPMモータが回転し、それによって発生する誘起電圧の周波数から速度を推定するので、乗りかごの移動速度を確実にリアルタイムに捉えることができるため、乗りかごを常に一定の速度以下に維持しつつブレーキを間欠に開放しながら、安全かつ迅速に乗りかごを最寄り階に移動させることができる。
【0009】
また、他の乗客救出手段としてエレベーター乗りかごを静止保持するブレーキと、PMモータを制御する制御装置を備え、PMモータを駆動源として使用するエレベーターにおいて、エレベーターが故障または停電した時に、前記ブレーキを解放する手段とを有し、故障または停電時バックアップ電源を使用して、ブレーキをPMモータの誘起電圧の周波数から推定される速度に応じてモータの端子間抵抗を段階的または連続的に変化させて短絡し、乗りかごと釣合い錘の重量不均衡により乗りかごを最寄り階の階床に移動させてエレベーター乗客救出運転を行う。
【0010】
この場合も上記ブレーキの間欠に開放による場合と同様に乗りかごの移動速度を確実にリアルタイムに捉えることができるため、一定の速度以下に抑えることができる。従って、この場合も安全かつ迅速に乗りかごを最寄り階の階床に移動させてエレベーター乗客救出運転を行う。また、PMモータの端子間抵抗を変化させる場合は、ブレーキの間欠に開放する方法に比較して、スムーズに乗りかごの移動速度を変化させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明は、エレベーターが停電または電源系統の故障により乗りかごの運行が停止した場合、非常用のバックアップ電源により乗りかごを最寄り階まで移動させ、乗客を救出する運転装置に関するものであり、以下の2つの救出運転装置がある。なお、本発明は、第三者により操作されるもので、自動救出運転装置ではない。
【0012】
1つは、PMモータ2を駆動源として使用するエレベーターにおいて、エレベーターの乗りかごと釣合い錘の重量差による不均衡を利用し、バックアップ電源3を用いてブレーキ制御装置1によりブレーキを間欠に開放して、乗りかごと釣合い錘の重さのより大きい方に乗りかごを移動させ、乗りかごを安全かつ迅速に最寄り階の階床に移動させる(図1)。
PMモータ端子を開放するとエレベーター乗りかごと釣合い錘の不均衡が少ない状態でも動く。 PMモータ端子の開放によりPMモータ2はフリーに動き、PMモータ2自体によるブレーキ操作はないからである。
【0013】
また、他の1つは、PMモータ2を駆動源として使用するエレベーターにおいて、エレベーターの乗りかごと釣合い錘の重量差による不均衡を利用し、バックアップ電源3を用いてブレーキ制御装置1によりブレーキを開放して、モータの端子間抵抗を段階的または連続的に変化させて短絡し、回生制動させることにより、乗りかごと釣合い錘の重さのより大きい方に乗りかごを移動させ、乗りかごを安全かつ迅速に最寄り階の階床に移動させる(図3)。
【0014】
本発明においては、この2つの乗客救出運転のどちらの場合も乗りかごと釣合い錘の重量差の違いによりブレーキ開放時の乗りかごの移動加速度が変化するが、迅速にかつ安全に救出するため、PMモータ2の回転速度を所定の速度以下に抑えながら乗りかごを乗りかごと釣合い錘の重さのより大きい方に移動させる。
【0015】
また、そのときの移動速度は、PMモータ2または駆動シーブの回転数をエンコーダー等の機器を付加的に設けることなく、乗りかごを上下駆動させる駆動源としてのPMモータ2を使用し、PMモータ2の回転により誘起電圧が発生し、その誘起電圧はPMモータ2の回転数に同期した交流波形になり、PMモータ2そのものから発生する回転数に比例した周波数により乗りかごの移動速度を一定値以下に抑えつつ制御する。
【0016】
その発生周波数は、以下の式で算出される。
(周波数)=(モータ回転数)×(モータ極数)/120[Hz]
これを利用し乗りかごの移動速度を算出することが可能となる。
【0017】
具体的に乗りかごの移動速度を算出する。乗りかごの移動速度とモータ回転数の関係は、ドライビングシーブの径とローピング(ロープの掛け方)で決定され、重量不均衡による負荷が最も大きく働く1:1ローピングで、ドライビングシーブの径300mm、モータ極数4の場合に乗りかごの移動速度を12m/minとすると
(モータ回転数)=12/(0.3π)=12.7rpm
発生周波数=(モータ回転数)×4/120[Hz]
=12.7×60×4/120=25.4[Hz]
従って、発生周波数が25.4[Hz]を超えることとなったとき、ブレーキ操作により乗りかごの移動速度を12m/min以内に抑える。
その移動速度がある基準速度(ここでは12m/min)に達するとブレーキを一旦閉じ、一定時間後(2秒)また開放しこれを繰り返す。
【0018】
なお、本制御は無停電電源を備えたブレーキ制御装置で行うが、この制御指令(作業者がボタンを押す)を受け付けている間はこれを繰り返す。
作業者がボタンを放すと速度の如何に関わらずブレーキを即閉じ、再び指令を受け付けるまで開かない。
また、最寄りの階に着床(ドアゾーンセンサを検出)した場合もブレーキを閉じ、繰り返し開閉を中止する。
乗りかごの移動速度に基準速度を設けて自動的にブレーキが閉じる様になっているので、速度超過が防止できる。
【0019】
その具体的救出運転方法は、まず第1の発明ではPMモータ端子を開放した状態によりブレーキを開放する。乗りかごは釣合い錘との重量の不均衡で動き出し、モータ巻線には誘起電圧が発生する。PMモータ2の誘起電圧の周波数により速度を検出する(PMモータ2は加速していく。)。誘起電圧から検出された速度が、設定値を超えることと成った場合はブレーキを一旦閉じ、また設定時間(インターバル時間)経過したらブレーキを開放しこれを繰り返す(図2)。
また、第2の発明ではPMモータ端子を短絡した状態からブレーキを開放する。乗りかごは第1の発明と同様に釣合い錘との重量の不均衡で動き出し、モータ巻線には誘起電圧が発生し巻線に電流が流れる。PMモータ2の誘起電圧より発生する電流からその発生周波数により速度を検出する(PMモータ2はある時間で一定速度となるはずである。)。その時の検出速度が設定速度より低ければ抵抗を挿入し、また速度を検出して、安全な速度範囲でなるべく早い速度が得られるように抵抗値を徐々に大きくする(図4、図6)。
【0020】
すなわち、段階的に変化させる場合は、図5に示すリレーL17−1,L27−2,L37−3を動作させPMモータ端子間の抵抗値を大きくする。その後、また乗りかご速度を検出し、相変わらずその速度が設定値以下であれば、リレーを動作させPMモータ端子間の抵抗値を更に大きくし、これを繰り返す。図6のグラフの通り、時間と共にリレーを切り換え抵抗値を段階的に大きくしていくと乗りかご速度がそれと共に大きくなる。具体的に積載600kg−速度90rpmの機種において全負荷状態でPMモータ端子間をそれぞれ0.5Ωの抵抗で短絡すると、約20rpm(12mpm)の速度で下降する。
また前述の機能は停電時または故障時乗客を救出するためのもので常に手動で行われる。
【0021】
ここでブレーキ操作は起動信号(BOS1)によりブレーキを開放するが、起動信号が途絶えた場合、検出速度が設定値を超えた場合、ブレーキ開放の継続時間が設定時間を超えた場合、ドアゾーンセンサを検出した場合にブレーキが閉じ、制動力を働かせる。
【0022】
また、検出速度が設定値を超えた場合、ブレーキを閉じた後も相変わらず起動信号を受信していれば、再度ブレーキを開放(2秒後)し、これを繰り返す。
ただし、ドアゾーンセンサを検出した場合以降の起動信号は受け付けない。またドアゾーンセンサの入力はラッチされ、例えブレーキの制動距離が長くなりドアゾーンを通り過ぎて停止しても同様に起動信号を受け付けない。
【0023】
安全回路を監視し、正常でなければブレーキを開かないようにし、起動準備信号を受信後、10秒以内に起動信号を受け付けなければ動作しない。(誤操作保護)
また、ブザー音により各種警告,ブレーキ開放の有無およびかご速度を表す。
外部信号により、一旦ラッチされたドアゾーンセンサ入力をキャンセルできる。停止時の位置及び積載量を記憶し、ブレーキ開放時の移動方向を予想して到着階を表示する。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、停電または故障時に、PMモータの誘起電圧の周波数から推定される速度に応じてブレーキを間欠に開放し、またはPMモータの端子間抵抗を段階的または連続的に変化させて短絡してエレベーター乗りかごを移動させるため、乗りかごの移動速度を確実にリアルタイムに捉えることができ、乗りかごの移動速度を一定の速度以下に抑えることもできるため、乗りかごを安全かつ迅速に乗りかごを最寄り階に移動させることができる。
また、PMモータ端子を開放、または短絡するインピーダンスを可変しながらブレーキを開放するので、乗りかごと釣合い錘の重力差が小さい場合でも確実に移動させることができる。
特に、請求項2に記載の発明では、短絡抵抗を段階的に又は連続的に変化させることができるためスムーズに乗りかごを最寄り階に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す制御回路図。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す図1に対応するタイムチャート。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す制御回路図。
【図4】本発明の第2の実施形態を示す図1に対応するタイムチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態の段階的可変抵抗の構成図。
【図6】本発明の第2の実施形態の段階的可変抵抗に対応する速度曲線図。
【符号の説明】
1 ブレーキ制御装置
2 PMモータ
3 バックアップ電源
4 周波数変換器
5 CPU
6 ブレーキコイル
7 ブレーキ接点
【発明の属する技術分野】
本発明は、停電または故障により通常のエレベーターの運転ができなくなった場合に、非常用バッテリー電源を用いてエレベーターを運転し、乗りかごを最寄りの階床に着床させて乗りかご内の乗客を救出するエレベーターの故障時救出運転装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、機械室無しエレベーターには非常用のバッテリー電源を備えており、エレベーターの運転中に停電または電源系統の故障の場合には、そのバッテリー電源により最寄りの階床まで乗りかごを移動させ、乗りかご内の乗客を救出するようにしている。
【0003】
特開2000−143115号公報には、エレベーターが故障した場合に、乗りかご内の乗客を救出するための以下の乗客救出運転装置が開示されている。
巻上機にヘリカルギア及びギアレス方式を用いたエレベーターにおいては、機械式ブレーキを解放すると、エレベーターのかご側と釣合い錘側の僅かな重量差によってエレベーター乗りかごは重量の重い側へ引かれて動くことができる。
【0004】
これを利用しエレベーターの速度及び着床をブレーキのオンオフ制御によって乗りかごが断続的なオン,オフによる運転を行い、または永久磁石式同期電動機の三相出力をインピーダンスを介して短絡する方法により運転を行う。このようにして停電または故障により乗客が乗りかご内に閉じ込められた時に、機械式ブレーキを解放して、乗りかごを最寄り階の階床まで移動させて乗客を救出する。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−143115号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、乗りかごの移動速度によらず一定の間隔でブレーキをオンオフ制御したり、あるいは永久磁石式同期電動機を使用したものでは一律のインピーダンスを介して出力を短絡している。これらの方式では、エレベーターの乗りかご側と釣合い錘側の重量差が小さい場合、乗りかごの移動速度が遅くなり乗客の救出に時間が掛かる。更に悪い条件では、適当な速度を得るため何等かの方法で重力差を増す措置が必要となる。
また別に、乗りかごの移動速度を測るため、速度検出器をこれら救出運転専用に設けたり、直接乗りかごの移動を測定する工夫を採っているケースもある。
このようなエレベーターの運転中に停電または電源系統の故障時に乗客が乗りかごに閉じ込められた場合に、乗客の救出問題を解決するため、本発明は、乗りかごをより安全かつ迅速に最寄り階の階床に移動させ、乗りかご内の乗客を救出することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、エレベーター乗りかごを静止保持するブレーキと、PM(Permanent Magnet)モータを制御する制御装置を備えPMモータを駆動源として使用するエレベーターにおいて、エレベーターが故障または停電した時に、故障時バックアップ電源を使用して、PMモータの誘起電圧の周波数から推定される速度に応じてブレーキを間欠に開放し、乗りかごと釣合い錘の重量不均衡により乗りかごを最寄り階の階床に移動させてエレベーター乗客救出運転を行う。
【0008】
乗りかごが移動することによりPMモータが回転し、それによって発生する誘起電圧の周波数から速度を推定するので、乗りかごの移動速度を確実にリアルタイムに捉えることができるため、乗りかごを常に一定の速度以下に維持しつつブレーキを間欠に開放しながら、安全かつ迅速に乗りかごを最寄り階に移動させることができる。
【0009】
また、他の乗客救出手段としてエレベーター乗りかごを静止保持するブレーキと、PMモータを制御する制御装置を備え、PMモータを駆動源として使用するエレベーターにおいて、エレベーターが故障または停電した時に、前記ブレーキを解放する手段とを有し、故障または停電時バックアップ電源を使用して、ブレーキをPMモータの誘起電圧の周波数から推定される速度に応じてモータの端子間抵抗を段階的または連続的に変化させて短絡し、乗りかごと釣合い錘の重量不均衡により乗りかごを最寄り階の階床に移動させてエレベーター乗客救出運転を行う。
【0010】
この場合も上記ブレーキの間欠に開放による場合と同様に乗りかごの移動速度を確実にリアルタイムに捉えることができるため、一定の速度以下に抑えることができる。従って、この場合も安全かつ迅速に乗りかごを最寄り階の階床に移動させてエレベーター乗客救出運転を行う。また、PMモータの端子間抵抗を変化させる場合は、ブレーキの間欠に開放する方法に比較して、スムーズに乗りかごの移動速度を変化させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明は、エレベーターが停電または電源系統の故障により乗りかごの運行が停止した場合、非常用のバックアップ電源により乗りかごを最寄り階まで移動させ、乗客を救出する運転装置に関するものであり、以下の2つの救出運転装置がある。なお、本発明は、第三者により操作されるもので、自動救出運転装置ではない。
【0012】
1つは、PMモータ2を駆動源として使用するエレベーターにおいて、エレベーターの乗りかごと釣合い錘の重量差による不均衡を利用し、バックアップ電源3を用いてブレーキ制御装置1によりブレーキを間欠に開放して、乗りかごと釣合い錘の重さのより大きい方に乗りかごを移動させ、乗りかごを安全かつ迅速に最寄り階の階床に移動させる(図1)。
PMモータ端子を開放するとエレベーター乗りかごと釣合い錘の不均衡が少ない状態でも動く。 PMモータ端子の開放によりPMモータ2はフリーに動き、PMモータ2自体によるブレーキ操作はないからである。
【0013】
また、他の1つは、PMモータ2を駆動源として使用するエレベーターにおいて、エレベーターの乗りかごと釣合い錘の重量差による不均衡を利用し、バックアップ電源3を用いてブレーキ制御装置1によりブレーキを開放して、モータの端子間抵抗を段階的または連続的に変化させて短絡し、回生制動させることにより、乗りかごと釣合い錘の重さのより大きい方に乗りかごを移動させ、乗りかごを安全かつ迅速に最寄り階の階床に移動させる(図3)。
【0014】
本発明においては、この2つの乗客救出運転のどちらの場合も乗りかごと釣合い錘の重量差の違いによりブレーキ開放時の乗りかごの移動加速度が変化するが、迅速にかつ安全に救出するため、PMモータ2の回転速度を所定の速度以下に抑えながら乗りかごを乗りかごと釣合い錘の重さのより大きい方に移動させる。
【0015】
また、そのときの移動速度は、PMモータ2または駆動シーブの回転数をエンコーダー等の機器を付加的に設けることなく、乗りかごを上下駆動させる駆動源としてのPMモータ2を使用し、PMモータ2の回転により誘起電圧が発生し、その誘起電圧はPMモータ2の回転数に同期した交流波形になり、PMモータ2そのものから発生する回転数に比例した周波数により乗りかごの移動速度を一定値以下に抑えつつ制御する。
【0016】
その発生周波数は、以下の式で算出される。
(周波数)=(モータ回転数)×(モータ極数)/120[Hz]
これを利用し乗りかごの移動速度を算出することが可能となる。
【0017】
具体的に乗りかごの移動速度を算出する。乗りかごの移動速度とモータ回転数の関係は、ドライビングシーブの径とローピング(ロープの掛け方)で決定され、重量不均衡による負荷が最も大きく働く1:1ローピングで、ドライビングシーブの径300mm、モータ極数4の場合に乗りかごの移動速度を12m/minとすると
(モータ回転数)=12/(0.3π)=12.7rpm
発生周波数=(モータ回転数)×4/120[Hz]
=12.7×60×4/120=25.4[Hz]
従って、発生周波数が25.4[Hz]を超えることとなったとき、ブレーキ操作により乗りかごの移動速度を12m/min以内に抑える。
その移動速度がある基準速度(ここでは12m/min)に達するとブレーキを一旦閉じ、一定時間後(2秒)また開放しこれを繰り返す。
【0018】
なお、本制御は無停電電源を備えたブレーキ制御装置で行うが、この制御指令(作業者がボタンを押す)を受け付けている間はこれを繰り返す。
作業者がボタンを放すと速度の如何に関わらずブレーキを即閉じ、再び指令を受け付けるまで開かない。
また、最寄りの階に着床(ドアゾーンセンサを検出)した場合もブレーキを閉じ、繰り返し開閉を中止する。
乗りかごの移動速度に基準速度を設けて自動的にブレーキが閉じる様になっているので、速度超過が防止できる。
【0019】
その具体的救出運転方法は、まず第1の発明ではPMモータ端子を開放した状態によりブレーキを開放する。乗りかごは釣合い錘との重量の不均衡で動き出し、モータ巻線には誘起電圧が発生する。PMモータ2の誘起電圧の周波数により速度を検出する(PMモータ2は加速していく。)。誘起電圧から検出された速度が、設定値を超えることと成った場合はブレーキを一旦閉じ、また設定時間(インターバル時間)経過したらブレーキを開放しこれを繰り返す(図2)。
また、第2の発明ではPMモータ端子を短絡した状態からブレーキを開放する。乗りかごは第1の発明と同様に釣合い錘との重量の不均衡で動き出し、モータ巻線には誘起電圧が発生し巻線に電流が流れる。PMモータ2の誘起電圧より発生する電流からその発生周波数により速度を検出する(PMモータ2はある時間で一定速度となるはずである。)。その時の検出速度が設定速度より低ければ抵抗を挿入し、また速度を検出して、安全な速度範囲でなるべく早い速度が得られるように抵抗値を徐々に大きくする(図4、図6)。
【0020】
すなわち、段階的に変化させる場合は、図5に示すリレーL17−1,L27−2,L37−3を動作させPMモータ端子間の抵抗値を大きくする。その後、また乗りかご速度を検出し、相変わらずその速度が設定値以下であれば、リレーを動作させPMモータ端子間の抵抗値を更に大きくし、これを繰り返す。図6のグラフの通り、時間と共にリレーを切り換え抵抗値を段階的に大きくしていくと乗りかご速度がそれと共に大きくなる。具体的に積載600kg−速度90rpmの機種において全負荷状態でPMモータ端子間をそれぞれ0.5Ωの抵抗で短絡すると、約20rpm(12mpm)の速度で下降する。
また前述の機能は停電時または故障時乗客を救出するためのもので常に手動で行われる。
【0021】
ここでブレーキ操作は起動信号(BOS1)によりブレーキを開放するが、起動信号が途絶えた場合、検出速度が設定値を超えた場合、ブレーキ開放の継続時間が設定時間を超えた場合、ドアゾーンセンサを検出した場合にブレーキが閉じ、制動力を働かせる。
【0022】
また、検出速度が設定値を超えた場合、ブレーキを閉じた後も相変わらず起動信号を受信していれば、再度ブレーキを開放(2秒後)し、これを繰り返す。
ただし、ドアゾーンセンサを検出した場合以降の起動信号は受け付けない。またドアゾーンセンサの入力はラッチされ、例えブレーキの制動距離が長くなりドアゾーンを通り過ぎて停止しても同様に起動信号を受け付けない。
【0023】
安全回路を監視し、正常でなければブレーキを開かないようにし、起動準備信号を受信後、10秒以内に起動信号を受け付けなければ動作しない。(誤操作保護)
また、ブザー音により各種警告,ブレーキ開放の有無およびかご速度を表す。
外部信号により、一旦ラッチされたドアゾーンセンサ入力をキャンセルできる。停止時の位置及び積載量を記憶し、ブレーキ開放時の移動方向を予想して到着階を表示する。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、停電または故障時に、PMモータの誘起電圧の周波数から推定される速度に応じてブレーキを間欠に開放し、またはPMモータの端子間抵抗を段階的または連続的に変化させて短絡してエレベーター乗りかごを移動させるため、乗りかごの移動速度を確実にリアルタイムに捉えることができ、乗りかごの移動速度を一定の速度以下に抑えることもできるため、乗りかごを安全かつ迅速に乗りかごを最寄り階に移動させることができる。
また、PMモータ端子を開放、または短絡するインピーダンスを可変しながらブレーキを開放するので、乗りかごと釣合い錘の重力差が小さい場合でも確実に移動させることができる。
特に、請求項2に記載の発明では、短絡抵抗を段階的に又は連続的に変化させることができるためスムーズに乗りかごを最寄り階に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す制御回路図。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す図1に対応するタイムチャート。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す制御回路図。
【図4】本発明の第2の実施形態を示す図1に対応するタイムチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態の段階的可変抵抗の構成図。
【図6】本発明の第2の実施形態の段階的可変抵抗に対応する速度曲線図。
【符号の説明】
1 ブレーキ制御装置
2 PMモータ
3 バックアップ電源
4 周波数変換器
5 CPU
6 ブレーキコイル
7 ブレーキ接点
Claims (2)
- エレベーター乗りかごを静止保持するブレーキと、PM(Permanent Magnet)モータを制御する制御装置を備え、該PMモータを駆動源として使用するエレベーターにおいて、エレベーターが故障または停電した時に、故障時バックアップ電源を使用して、PMモータの誘起電圧の周波数から推定される速度に応じてブレーキを間欠に開放し、乗りかごと釣合い錘の重量不均衡により乗りかごを最寄り階の階床に移動させるエレベーター乗客救出運転装置。
- エレベーター乗りかごを静止保持するブレーキと、PMモータを制御する制御装置を備え、PMモータを駆動源として使用するエレベーターにおいて、エレベーターが故障または停電した時に、前記ブレーキを解放する手段とを有し、故障または停電時バックアップ電源を使用して、ブレーキをPMモータの誘起電圧の周波数から推定される速度に応じてPMモータの端子間抵抗を段階的または連続的に変化させて短絡し、乗りかごと釣合い錘の重量不均衡により乗りかごを最寄り階の階床に移動させるエレベーター乗客救出運転装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003028586A JP2004238138A (ja) | 2003-02-05 | 2003-02-05 | エレベーターの停電・故障時乗客救出運転装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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