JP2004236588A - レアチーズケーキの製造方法及びレアチーズケーキ - Google Patents

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Abstract

【課題】UHT殺菌機によって保存性が高められ、しかも食感や風味が良好なレアチーズケーキ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】(a)チーズと溶融塩と水とを混合し、(b)得られた混合物を加熱溶解し、(c)得られた溶解物と増粘安定剤と乳化剤とを混合し、(d)得られた混合物とゲル化剤とを混合し、(e)得られた混合物と酸味料とを混合することによって、該混合物のpHを4.2〜4.5の範囲内に調整し、(f)得られた原料混合物をUHT殺菌機で殺菌し、(g)殺菌された前記原料混合物を、前記ゲル化剤のゲル化温度より高い温度で所定の容器に充填し、冷却固化させる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レアチーズケーキの工業的な製造において、UHT(超高温加熱処理)殺菌が可能なレアチーズケーキの製造方法及びレアチーズケーキに関する。
【0002】
【従来の技術】
レアチーズケーキは、一般に、クリームチーズを溶解し、ゼラチン、及び必要に応じて砂糖等の呈味成分を混合して、冷蔵庫で冷却することにより製造されている。
【0003】
レアチーズケーキを工業的に製造する場合には、殺菌処理を行う必要があり、従来は、例えばチーズクッカーを用いて、チーズ溶解と各種原料の混合と殺菌とを同時に行うことが行われている。
この場合の殺菌方法としては、例えば、牛乳や乳製品等の殺菌に用いられているLTLT(低温保持殺菌)法(62〜65℃で30分以上)などが用いられている。
しかし、上記の殺菌方法では、病原性細菌は死滅するが、耐熱性菌や芽胞を死滅させることが困難であり、製品寿命が短いという問題があった。
【0004】
そこで、保存性の良好なレアチーズケーキを製造するために、
・保存料又は日持ち向上剤を添加する、
・固形分を高め水分活性を下げる(例えば、特許文献1参照)、
・密封包装し、空気と接触させない(例えば、特許文献2参照)、
・殺菌効率を上げるために、加熱融解チーズのpHを酸で低くし、比較的低い温度で殺菌する(例えば、特許文献3参照)、
等の対策によって、細菌増殖を抑制して品質保持期限を長くする方法が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−262219号公報
【特許文献2】
特開2000−245342号公報
【特許文献3】
特開2002−176912号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、保存料又は日持ち向上剤を添加する方法は、添加物の味が製品の風味への影響するという欠点があった。
【0007】
また、固形分を高め水分活性を下げる方法は、水分量が限定されるため、風味・食感が限定され、また、水分量の高いものには適用できないという欠点があった。
【0008】
また、密封包装し、空気と接触させない方法は、アルミ箔で包装する場合や、カップに満量充填する場合など、レアチーズケーキ自体と容器との間に隙間がほとんどないものに限定され、製品形態の自由度が少なくなるという欠点があった。
【0009】
また、加熱融解チーズのpHを酸で低くし、比較的低い温度で殺菌する方法は、酸で一旦pHを下げた後、緩衝塩でpHを引き戻すので塩味が強くなるという欠点があった。
【0010】
また、特許文献1〜3等に記載される殺菌方法では数十分間の殺菌時間が必要である。そのため、殺菌に時間がかかり、また、原料混合物を連続的に殺菌することは難しかった。
【0011】
そこで、保存性の高いレアチーズケーキを製造するために、殺菌効果の高いUHT(超高温加熱処理)法(120〜150℃で1秒以上5秒以内)を適用することが考えられる。
このUHT法は、主として液状食品に使用される殺菌方法である。
しかしながら、UHT法を用いると、殺菌温度が高いために、熱によってチーズに含まれる蛋白質が変性する等によって凝集物が生じ、滑らかな組織ができず、粉っぽくなる等の食感上の問題が生じてしまう。また、加熱臭が生じ、風味が悪くなるという問題も生じる。さらに、UHT殺菌機の加熱部に凝集物が付着し、UHT殺菌機を長時間運転することが困難になる。そのため、従来は、UHT殺菌機を用いて風味や食感の良好なレアチーズケーキを製造することは困難であった。
【0012】
したがって、本発明の課題は、UHT殺菌機によって保存性が高められ、しかも食感や風味が良好なレアチーズケーキ及びその製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、レアチーズケーキの構成成分を少なくとも、チーズ、溶融塩、増粘安定剤、乳化剤、ゲル化剤及び酸味料を含有することとし、特定の手順でこれらの構成成分を含有する原料混合物を調製することによって、UHT殺菌機による殺菌により、保存性が高められ、しかも食感や風味が良好なレアチーズケーキが製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、前記課題を解決する本発明の第一の発明は、以下の工程(a)〜(g):
(a)チーズと溶融塩と水とを混合する工程、
(b)前記工程(a)で得られた混合物を加熱溶解する工程、
(c)前記工程(b)で得られた溶解物と増粘安定剤と乳化剤とを混合する工程、
(d)前記工程(c)で得られた混合物とゲル化剤とを混合する工程、
(e)前記工程(d)で得られた混合物と酸味料とを混合することによって、該混合物のpHを4.2〜4.5の範囲内に調整する工程、
(f)前記工程(e)で得られた原料混合物をUHT殺菌機で殺菌する工程、
(g)殺菌された前記原料混合物を、前記ゲル化剤のゲル化温度より高い温度で所定の容器に充填し、冷却固化させる工程、
を有することを特徴とするレアチーズケーキの製造方法である。
前記第一の発明においては、前記溶融塩として、クエン酸三ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。また、前記工程(a)において、前記溶融塩を、該チーズ由来の蛋白質1gあたり、ナトリウム換算で20mg以上となる量で混合することが好ましい。
また、前記ゲル化剤として、寒天、ジェランガム、ローメトキシルペクチン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチンからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
また、前記工程(d)において、さらに呈味成分を混合することが好ましい。また、前記UHT殺菌機としてプレート式殺菌機を用いることが好ましい。
また、前記UHT式殺菌機の殺菌条件として、120〜130℃で2秒間保持に相当する殺菌条件を用いることが好ましい。
前記課題を解決する本発明の第二の発明は、少なくともチーズ、溶融塩、増粘安定剤、乳化剤、ゲル化剤及び酸味料を含有し、前記レアチーズケーキの製造方法を用いて製造されることを特徴とするレアチーズケーキである。
また、前記課題を解決する本発明の第三の発明は、少なくともチーズ、溶融塩、増粘安定剤、乳化剤、ゲル化剤及び酸味料を含有するレアチーズケーキであって、UHT殺菌機で殺菌されており、かつ該レアチーズケーキに水を加え、70℃に加温溶解して10質量%水溶液を調製し、これを撹拌して均質化した後、25℃に冷却し、得られたレアチーズケーキ溶液30mlについて、2000rpmで10分間の遠心分離を行った際に得られる沈殿物の量が1ml未満であることを特徴とするレアチーズケーキである。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について具体的に説明する。なお、本明細書において、百分率及び濃度の表示は特に断りのない限り質量による値である。
【0015】
<レアチーズケーキの製造方法>
本発明のレアチーズケーキは、主要な原料として少なくともチーズ、溶融塩、増粘安定剤、乳化剤、ゲル化剤及び酸味料を含有し、必要に応じて他の乳成分原料(牛乳、クリーム、練乳、粉乳等)、甘味料、果汁、果肉、酒類、香料、香辛料(乾燥オニオン、乾燥ハーブ等)等を含む、焼成されていない固形状の生菓子である。
本発明のレアチーズケーキの製造方法は、工程(a)〜(g)を有することを特徴とする。
・工程(a)
まず、工程(a)では、チーズと溶融塩と水との混合を行う。
チーズとしては、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズのいずれでも使用可能であり、目的とする風味に応じて適宜選択すればよい。
チーズの種類としては、例えば、クリームチーズ、カッテージチーズ、モツァレラ、マスカルポーネ、フロマージュブラン、プティ・スイス、ドゥミ・セル、ブルサン、クワルク、ホエーチーズ等の非熟成タイプのチーズ;リンバーガー、ハント、ブルソ、フェタ、カマンベール、ブリー、ヌシャーテル、トーマヴァルグヴィア、カプリーノスタジョナート等の熟成タイプのチーズ等を挙げることができる。これらのチーズは、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0016】
チーズの配合量は、レアチーズケーキにチーズの風味を付与し得る範囲であればよいが、最終的に得られるレアチーズケーキの総質量に対し、好ましくは5質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上40質量%以下とすることが好ましい。チーズの含有量が5質量%未満の場合、チーズの風味が不足し、コクがないものとなるおそれがある。またチーズの含有量が60質量%を超えると、チーズの風味が過剰となり、レアチーズケーキとしてはくどい味となるおそれがある。
【0017】
溶融塩は、従来、プロセスチーズの製造において原料チーズを溶解させる際に乳化剤としてチーズに添加されており、乳化作用のほかに、Ca封鎖作用やpH緩衝作用、解膠水和作用などを有することが知られており、製造中や保存中のプロセスチーズのpHを一定範囲に保つ作用を有する。
本発明に使用される溶融塩としては、このようなプロセスチーズの製造等において一般的に用いられているものが使用可能である。中でも、ナトリウム塩は、カリウム塩に比べて苦味が弱く、チーズケーキのような嗜好品に適していること、及びカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、鉄塩等の他価イオンの塩に比べてチーズ中のCaの置換効果が高いことなどの理由から、好ましく用いられる。
溶融塩として、より具体的には、クエン酸三ナトリウム等のクエン酸塩;リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム等のオルソリン酸ナトリウム;ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等の縮合リン酸塩等を挙げることができる。
特に、チーズ中のCaをNaで置換する効果が高いこと、及びチーズのpHを引き上げる効果が高いことから、蛋白質の溶融効果が高いという理由で、クエン酸三ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0018】
チーズに対する溶融塩の混合量は、チーズ由来の蛋白質1gあたり、ナトリウム換算で好ましくは20mg以上、より好ましくは20〜40mgとなる量とすることが好ましい。混合量をこの範囲内とすることにより、チーズを容易に溶融させられること、リン酸塩の塩味によりチーズの風味が悪くならないこと等の効果がある。
なお、「ナトリウム換算」した量とは、溶融塩から由来したナトリウムの質量を意味する。
【0019】
水の混合量は、特に制限はないが、チーズ:水(質量比)が好ましくは2:1〜1:4、より好ましくは1:1〜1:3の範囲内となるように混合することが好ましい。水の混合量を上記範囲内とすることにより、チーズの溶融を容易にするという効果がある。
【0020】
チーズと溶融塩と水との混合には、レアチーズケーキの製造に用いられている一般的な手段、例えばミキサー、クッカー、プロペラ撹拌機等の混合手段を用いることができる。
なお、これらの原料を混合するにあたっては、原料の混合時又は混合後に、ホモジナイザー、ホモミキサー等の均質化手段を用いて均質化処理を施すことが好ましい。これによって、さらになめらかな食感を有するレアチーズケーキが得られる。
【0021】
・工程(b)
次に、前記工程(a)で得られた混合物を加熱溶解する。
この混合物を加熱溶解するにあたって、加熱温度は、チーズが溶解し得る温度であればよく、特に制限はないが、100℃より高い温度で加熱すると、溶解途中のチーズが焦げ付くおそれがあるので、好ましくは、80℃以下であって、チーズが溶解し得る温度とすることが好ましい。チーズが溶解し得る温度は、チーズによって異なるが、例えばクリームチーズの場合は50〜70℃程度である。
【0022】
・工程(c)
次に、前記工程(b)で得られた溶解物と増粘安定剤と乳化剤とを混合する。
増粘安定剤としては、食品に添加可能なものであれば特に制限はない。
好ましい増粘安定剤としては、例えば、ハイメトキシル(HM)ペクチン、大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができ、特に、HMペクチンを配合した場合は、得られるレアチーズケーキの食感が特に良好であり、好ましい。
溶融物に混合する増粘安定剤の量は、溶融物の総質量に対して、好ましくは0.05〜0.4質量%、より好ましくは0.1〜0.3質量%が好ましい。混合量を上記範囲内とすることにより、溶融させたチーズ由来の蛋白質を安定化させることができること、及びUHT殺菌機で殺菌可能な粘度(200mPa・s以下程度)とすることができること等の効果がある。
【0023】
乳化剤としては、食品に添加可能なものであれば特に制限はない。
好ましい乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、酵素分解レシチン等を挙げることができ、特に、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びグリセリン有機酸エステルのうちの少なくとも一種を配合した場合は、得られるレアチーズケーキの食感が特に良好であり、好ましい。
溶融物に混合する乳化剤の量は、溶融物の総質量に対して、好ましくは0.02〜0.3質量%、より好ましくは0.05〜0.2質量%が好ましい。混合量を上記範囲内とすることにより、チーズ由来の脂肪の浮上がないこと、不溶性固形分の凝集物を生じないこと、乳化剤の苦味を生じないこと等の効果がある。
【0024】
溶解物と増粘安定剤と乳化剤とを混合には、前記工程(a)と同様の混合手段を用いることができる。
【0025】
・工程(d)
次に、前記工程(c)で得られた混合物とゲル化剤とを混合する。
ゲル化剤としては、食品に添加可能なものであれば特に制限はないが、好ましくは、寒天(ゲル化温度:約30〜40℃)、ジェランガム(ゲル化温度:約40〜50℃)、ローメトキシル(LM)ペクチン(ゲル化温度:約30〜40℃)、アルギン酸ナトリウム(ゲル化温度:約30〜40℃)、ゼラチン(ゲル化温度:約15〜20℃)からなる群から選択される少なくとも1種を用いる。これらのゲル化剤を配合した場合、得られるレアチーズケーキの食感が特に良好であり、好ましい。
ゲル化剤の混合量は、製造したレアチーズケーキが常温で流動しない固形状を呈するに必要かつ十分な含有量であればよく、例えば、混合物の総質量に対して、寒天であれば0.15〜0.6質量%程度、ジェランガムであれば0.05〜0.2質量%程度、LMペクチンであれば0.3〜1.0質量%程度、アルギン酸ナトリウムであれば0.3〜0.6質量%程度、ゼラチンであれば1.2〜3.0質量%程度とすることが好ましい。
【0026】
なお、ゲル化剤の混合と同時、又は混合前もしくは混合後に、必要に応じて各種呈味成分を添加してもよい。例えば、牛乳、クリーム、発酵乳、粉乳等の乳原料(但しチーズを除く)、ショ糖、トレハロース、スクラロース、ソルビトール、アスパルテーム、ステビア等の甘味料、植物性油脂、果汁、果肉、酒類、香料、香辛料等を適宜添加してもよい。
【0027】
・工程(e)
次に、前記工程(d)で得られた混合物と酸味料とを混合することによって、該混合物のpHを4.2〜4.5、より好ましくは4.2〜4.4の範囲内に調整して原料混合物を得る。
酸味料としては、食品に添加可能なものであれば特に制限はなく、アジピン酸、イタコン酸、クエン酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、α−ケトグルタル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、氷酢酸、フィチン酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸が使用でき、また、食酢、果汁等の酸性食品であっても良いが、レアチーズケーキの風味に適する酸味料は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、グルコン酸及び果汁が望ましい。
【0028】
・工程(f)
次に、前記工程(e)で得られた原料混合物をUHT殺菌機で殺菌する。
UHT殺菌機としては、一般的に液状食品の殺菌に用いられている任意のUHT殺菌機が使用可能である。
UHT殺菌機には、処理対象を、加熱媒体である蒸気と直接混合する直接加熱式のものと、処理対象を、加熱媒体(加圧蒸気等)を用い、隔壁を介した熱交換によって加熱する間接加熱式のものとがある。
間接加熱式のUHT殺菌機としては、プレート式UHT殺菌機、チューブラー式UHT殺菌機、掻き取り式UHT殺菌機などが一般的に使用されているが、本発明においては、好ましくはプレート式UHT殺菌機が用いられる。これは、プレート式UHT殺菌機は、加熱媒体と原料混合物との温度差が少なく、熱交換部表面へのチーズ由来蛋白質等の焦げ付きが少なく、長時間の運転が可能となるためである。また、製品の品質への悪影響も少なく、得られるレアチーズケーキの食感も良好なものとなる。
【0029】
図1に、本発明において好ましく用いられるプレート式UHT殺菌機の概略図を示す。
このプレート式UHT殺菌機において、第1加熱部3、第2加熱部5、第1冷却部7、熱交換部9、最終冷却部10は、一般的には、波形あるいは半球凹凸を有するプレートを複数重ねた構造を有しており、加熱する場合には原料混合物と加圧蒸気、冷却するときには殺菌された原料混合物と冷媒(例えば水)がそれぞれ1枚おきに薄膜状になって各プレートの間を流れるようになっている。
【0030】
この殺菌機では、原料混合物は、まず、バランスタンク1から遠心ポンプ2を経て、第1加熱部3に送られ、80〜90℃に加熱され、ホールディングチューブ4で数秒間保持される。次いで、第2加熱部(最高加熱部)5で最終温度(120〜150℃、好ましくは120〜130℃)に加熱され、ホールディングチューブ6で1〜5秒間、好ましくは約2秒間保持され、殺菌される。
このとき、殺菌条件、すなわち、第2加熱部における最終温度及びホールディングチューブ6に保持される時間は、120〜130℃で2秒間保持に相当する殺菌条件であることが好ましい。なお、「120〜130℃で2秒間保持に相当する」とは、120〜130℃で2秒間保持した場合と同等の殺菌効果を発揮する殺菌条件であり、例えば、最終温度が130℃より高い場合には、保持時間は2秒未満であってもよい。
一般に、中性食品の乳製品を滅菌するためには、例えば、牛乳ではUHT殺菌機で135〜145℃で2秒の条件で行うのが通例である。これに比較して、本発明のレアチーズケーキは、pHが4.2〜4.5の酸性食品であるため、バチルス属の芽胞菌では、D値(細菌数が1/10に減少する殺菌時間)が1/50〜1/150に減少している。これをZ値(D値を1/10にする殺菌温度上昇幅)10と仮定して温度換算すると、14〜21℃に相当する。即ち、本発明のレアチーズケーキでは、14〜21℃殺菌温度を下げても、中性食品の牛乳の殺菌条件と同等の効果が得られると推定できる。必要以上に殺菌温度を上げることは、食品の風味・食感を損ねるので、本発明のレアチーズケーキでは、120〜130℃で2秒相当の殺菌条件で殺菌するのが妥当である。
【0031】
ホールディングチューブ6を通過した原料混合物は、第1冷却部7で70〜90℃程度まで冷却される。冷却された原料混合物は、無菌仕様のホモジナイザー8で均質化された後、熱交換部9を通り、さらに最終冷却部10を通ってゲル化温度よりわずかに高い温度まで冷却される。
なお、最終冷却部10の出口には、流量調整バルブ11が設けられており、系に背圧がかかるようになっている。
【0032】
・工程(g)
次に、殺菌された原料混合物を、前記ゲル化剤のゲル化温度より高い温度で所定の容器に充填し、冷却固化させる。
すなわち、上述のようにして殺菌された原料混合物は、該原料混合物に配合されたゲル化剤のゲル化温度よりも高い温度状態で、無菌的に、UHT殺菌機から充填機に送られ、所定の容器に充填される。
容器の形状及び材質には特に制限はない。
容器に充填された原料混合物を冷却固化させるにあたっては、容器充填後に室温で放置してもよいし、あるいは原料混合物を冷水中、冷蔵庫内等の低温雰囲気で保持して積極的に冷却し、速やかに固化させてもよい。
【0033】
以上の工程によって得られるレアチーズケーキは、UHT殺菌機によって殺菌を行っているので保存性が良好であるうえに、さらに食感も良好なものである。また、本発明においては、殺菌にUHT殺菌機を用いることにより、原料混合物の殺菌を、短時間で連続的に行うことができるので、レアチーズケーキの製造効率が向上する。
【0034】
【実施例】
次に試験例及び実施例を示して本発明を詳述する。
試験例1
(目的)
この試験は、本発明のレアチーズケーキの構成成分が、UHT殺菌機で殺菌しても粉っぽい食感にならないようなレアチーズケーキを製造するために必須であることを示す目的で実施した。
(試料の調製)
表1の配合割合と調製手順に従い夫々を混合溶解し、図1に示したのと同様の構造のプレート式UHT殺菌機(森永エンジニアリング社製)の最高加熱部で125℃、2秒保持の殺菌を行い、均質機(三丸機械工業社製)で、80℃,15MPaの条件で均質化し、冷却部で50℃に冷却して、容器に充填し、冷蔵庫で10℃冷却して試料(レアチーズケーキ)を調製した。
【0035】
【表1】
Figure 2004236588
【0036】
(評価方法)
(1)UHT殺菌機の殺菌機適性について、各液を30分間殺菌し、殺菌開始時と殺菌終了時の第2加熱部(最高加熱部)出口圧力を調べた。これは、殺菌開始時の圧力に対する、殺菌終了時の圧力の低下の程度が大きいほど、熱により最高加熱部へ付着する付着物の量が多いと考えられるためで、殺菌開始時の圧力に対し、殺菌終了時の圧力が0.1MPa以上低下した場合には、殺菌機適性不良と判定した。一方、圧力の低下が0.1MPa未満の場合は、殺菌機適性良好と判定した。
【0037】
(2)官能評価は、順位法の検定表を用いる方法(古川秀子、おいしさを測る−食品官能検査の実際−、p28,幸書房、1994年)に基づき、10人の訓練された味覚パネラーに「粉っぽさの順位」について、試料に順位をつけさせ、各資料の順位合計を求め、各試料間の順位合計差の絶対値を求め、その数値から順位法の検定表から有意水準を判定することによって行った。
【0038】
(3)遠沈量、すなわち試料を下記手順で遠心分離した際に生じる沈殿量の評価を行った。
まず、試料を水で希釈して10質量%溶液とし、70℃に加温溶解し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)で2分間攪拌し、25℃に冷却して評価試料とした。この評価資料から30mlを採取し、遠心分離機(日立製作所社製)で、2000rpmで10分間遠心分離し、沈殿量を測定した。
【0039】
(4)保存性の評価として、各試料10個を30℃のインキュベーターで5日間保持し、風味検査により、腐敗の有無を検査した。
【0040】
(結果)
この試験の結果を表2〜5に示す。
【0041】
【表2】
Figure 2004236588
【0042】
【表3】
Figure 2004236588
【0043】
【表4】
Figure 2004236588
【0044】
【表5】
Figure 2004236588
【0045】
表2より、チーズ(クリーム)、溶融塩(メタリン酸ナトリウム)、増粘安定剤(ハイメトキシルペクチン)、乳化剤(グリセリン有機酸エステル)、ゲル化剤(寒天)及び酸味料(クエン酸)をすべて含有するテストNo.5の圧力低下が0.1MPa以下であった。
表3より、粉っぽさの強い順位は、テストNo.5<4=<3=<2=<1であった。(<:記号の左右で統計的に5%の危険率で有意差あり、=<:記号の右が左より上位であるが、統計的有意差なし。)
表4より、遠沈量が1ml未満であるのは、テストNo.5のみであった。
表5より、テストNo.1〜5まで、腐敗したものは無かった。
【0046】
(考察)
これらの結果より、プレート殺菌機適性が良好であり、細菌的保存性が良く、粉っぽさが少ないのは、チーズ、溶融塩、増粘安定剤、乳化剤、ゲル化剤、酸味料が全て添加されたものであることが分かった。
尚、遠沈量と粉っぽさの官能評価が相関していたので、以後の試験では、遠沈量が1ml未満のものを食感良好と判定し、0.5ml未満のものを特に良好とすることとした。
【0047】
試験例2
(目的)
この試験は、レアチーズケーキを構成する成分の添加順序による影響を調べる目的で実施した。
(資料の調製)
テストNo.11は、テストNo.5と同一の配合割合及び手順で実施した。
テストNo.12は、テストNo.5と同一の配合割合で、原料を一括混合して調製し、殺菌以降の工程は試験例1と同様の方法で調製した。
(評価方法)
試験1に示した評価方法のうち、(1)、(3)及び(4)と同様の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表6〜8に示す。
【0048】
【表6】
Figure 2004236588
【0049】
【表7】
Figure 2004236588
【0050】
【表8】
Figure 2004236588
【0051】
表6より、テストNo.11,12共に圧力低下は0.1MPa未満であった。
表7より、遠沈量は、テストNo.11が1ml未満であったのに対し、テストNo.12は1ml以上であった。
表8より、テストNo.11,12共に腐敗したものは無かった。
【0052】
(考察)
この試験の結果より、殺菌機適性及び細菌的保存性は原料の混合手順に影響されないが、食感については、原料の混合手順が、
・チーズと溶融塩と水を混合する。
・加熱溶解する。
・増粘安定剤と乳化剤を混合する。
・ゲル化剤及び必要に応じて酸味料以外の呈味成分を混合する。
・酸味料を混合する。
の順である場合に、良好であることが分かる。
【0053】
試験例3.
(目的)
この試験は、酸味料で調製するpHの範囲を検索する目的で実施した。
(試料の調製)
表9に示す配合割合と調製手順に従い、試験例1と同様の方法で調製した。
【0054】
【表9】
Figure 2004236588
【0055】
(評価方法)
試験1に示した評価方法のうち、(1)、(3)及び(4)と同様の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表10〜12に示す。
【0056】
【表10】
Figure 2004236588
【0057】
【表11】
Figure 2004236588
【0058】
【表12】
Figure 2004236588
【0059】
表10より、テストNo.21,22は圧力低下が、0.1MPa以上であり、テストNo.23,24,25,26,27は0.1MPa未満であった。
表11より、テストNo.21,22,26,27は遠沈量が1ml以上であり、テストNo.23,24,25は遠沈量が1ml未満であった。
表12より、テストNo.21〜27まで、腐敗したものは無かった。
【0060】
(考察)
この結果より、殺菌機適性が良好で、細菌的保存性が良好で、食感が良好なのは、酸味料でpHを4.2〜4.5に調整したものであることが分かった。
【0061】
試験例4.
(目的)
この試験は、溶融塩の種類を検索する目的で実施した。
(試料の調製)
表13に示す配合割合と調製手順に従い、試験例1と同様の方法で調製した。
【0062】
【表13】
Figure 2004236588
【0063】
(評価方法)
試験例1に示した評価方法のうち、(1)、(3)及び(4)と同様の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表14〜16に示す。
【0064】
【表14】
Figure 2004236588
【0065】
【表15】
Figure 2004236588
【0066】
【表16】
Figure 2004236588
【0067】
表14より、テストNo.36,38は圧力低下が、0.1MPa以上であり、テストNo.31,32,33,34,35,37は0.1MPa未満であった。
表15より、テストNo.33,36,38は遠沈量が1ml以上であり、テストNo.31,32,34,35,37は遠沈量が1ml未満であった。
表16より、テストNo.31〜38まで、腐敗したものは無かった。
【0068】
(考察)
この結果より、殺菌機適性が良好で、細菌的保存性が良好で、食感が良好なのは、溶融塩がクエン酸三ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムであったことが分かる。
【0069】
試験例5.
(目的)
この試験は、溶融塩添加量を検索する目的で実施した。
(試料の調製)
表17に示す配合割合と調製手順に従い、試験例1と同様の方法で調製した。
【0070】
【表17】
Figure 2004236588
【0071】
(評価方法)
試験1に示した評価方法のうち、(1)、(3)及び(4)と同様の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表18〜20に示す。
【0072】
【表18】
Figure 2004236588
【0073】
【表19】
Figure 2004236588
【0074】
【表20】
Figure 2004236588
【0075】
表18より、テストNo.41,42,44,は圧力低下が、0.1MPa以上であり、テストNo.43,45,46,47,48,49は0.1MPa未満であった。
表19より、テストNo.41,42,44は遠沈量が1ml以上であり、テストNo.43,45,46,47,48,49は遠沈量が1ml未満であった。
表20より、テストNo.41〜49まで、腐敗したものは無かった。
【0076】
(考察)
この結果より、殺菌機適性が良好で、細菌的保存性が良好で、食感が良好なのは、溶融塩由来のNaがチーズ由来の蛋白質当り20mg/g以上であったことがわかる。
但し、テストNo.49は塩味が強くなっていて、風味的にやや好ましくなかった。溶融塩の添加量を増すと、酸味料を増す必要があり、結果的に塩類の総量が増し、風味的に好ましくない傾向になると考えられる。
従って、好ましくは、溶融塩由来のNaをチーズ由来の蛋白質当り20mg/g以上50mg/g未満の範囲にすることが望ましい。
【0077】
試験例6.
(目的)
この試験は、好ましい増粘安定剤の種類を検索する目的で実施した。
(試料の調製)
表21に示す配合割合と調製手順に従い、試験1と同様の方法で調製した。
【0078】
【表21】
Figure 2004236588
【0079】
(評価方法)
試験1に示した評価方法のうち、(1)、(3)及び(4)と同様の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表22〜24に示す。
【0080】
【表22】
Figure 2004236588
【0081】
【表23】
Figure 2004236588
【0082】
【表24】
Figure 2004236588
【0083】
表22より、テストNo.51〜55は圧力低下が0.1MPa未満であった。
表23より、テストNo.51〜55は遠沈量は1ml未満であった。
表24より、テストNo.51〜55は、腐敗したものは無かった。
(考察)
【0084】
この結果より、いずれの安定剤でも、殺菌機適性が良好で、細菌的保存性が良好で、食感が良好であるが、ハイメトキシルペクチンが特に良好であることが分かった。
【0085】
試験例7.
(目的)
この試験は、好ましい乳化剤の種類を検索する目的で実施した。
(試料の調製)
表25に示す配合割合と調製手順に従い、試験1と同様の方法で調製した。
なお、試験例に用いた乳化剤の物質名(商品名)は以下の通りである。
・グリセリン脂肪酸エステル:グリセリンオレイン酸エステル(サンソフトNo.8070)
・ポリグリセリン脂肪酸エステル:ジグリセリンモノステアリン酸エステル(サンソフトQ−18D)
・グリセリン有機酸エステル:グリセリンコハク酸モノステアリン酸エステル(サンソフトNo.681NU)
・ショ糖脂肪酸エステル:ショ糖パルミチン酸エステル(サンソフトSE−16P)
・プロピレングリコール脂肪酸エステル:プロピレングリコールモノオレイン酸エステル(サンソフトNo.250D)
・ソルビタン脂肪酸エステル:ソルビタンモノステアリン酸エステル(サンソフトNo.61NN)
・酵素分解レシチン:酵素分解大豆レシチン(サンレシチンA)
【0086】
【表25】
Figure 2004236588
【0087】
(評価方法)
試験例1に示した評価方法のうち、(1)、(3)及び(4)と同様の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表26〜28に示す。
【0088】
【表26】
Figure 2004236588
【0089】
【表27】
Figure 2004236588
【0090】
【表28】
Figure 2004236588
【0091】
表26より、テストNo.61〜67は圧力低下が0.1MPa未満であった。
表27より、テストNo.61〜67は遠沈量が1ml未満であった。
表28より、テストNo.61〜67まで、腐敗したものは無かった。
【0092】
(考察)
この結果より、いずれの乳化剤でも、殺菌機適性が良好で、細菌的保存性が良好で、食感が良好であるが、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸エステルが特に良好であることが分かった。
【0093】
試験例8.
(目的)
この試験は、ゲル化剤の種類を検索する目的で実施した。
(試料の調製)
表29に示す配合割合と調製手順に従い、試験例1と同一の方法で調製した。
【0094】
【表29】
Figure 2004236588
【0095】
(評価方法)
試験例1に示した評価方法のうち、(1)、(3)及び(4)と同様の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表30〜32に示す。
【0096】
【表30】
Figure 2004236588
【0097】
【表31】
Figure 2004236588
【0098】
【表32】
Figure 2004236588
【0099】
表30より、テストNo.71〜78は圧力低下が0.1MPa未満であった。
表31より、テストNo.76〜78は遠沈量が1ml以上であり、テストNo.71〜75は遠沈量が1ml未満であった。
表32より、テストNo.71〜78まで、腐敗したものは無かった。
【0100】
(考察)
この結果より、殺菌機適性が良好で、細菌的保存性が良好で、食感が良好なのは、ゲル化剤が、寒天、ジェランガム、LM(ローメトキシル)ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチンであることがわかった。
【0101】
試験例9.
(目的)
この試験は、殺菌機の種類と殺菌温度を検索する目的で実施した。
(試料の調製)
試験例1のテストNo.5と同一の配合及び調製手順で調製し、クッカー(ステファン社製)、プレート式UHT殺菌機(森永エンジニアリング社製)、チューブラー式UHT殺菌機(森永エンジニアリング社製)、掻き取り式UHT殺菌機(クレパコ社製)で殺菌し、クッカー(ステファン社製)で殺菌して調製した。プレート式UHT殺菌機(森永エンジニアリング社製)については、第二加熱部(最高加熱部)の温度を110℃〜140℃まで5℃毎の7段階で実施して調製した。
尚、クッカー(ステファン社製)による殺菌は、従来法の一例として、UHT殺菌機に対する比較例として行った。
(評価方法)
試験例1に示した評価方法のうち、(1)、(3)及び(4)と同様の方法で行った。
(結果)
この試験の結果を表33〜35に示す。
【0102】
【表33】
Figure 2004236588
【0103】
【表34】
Figure 2004236588
【0104】
【表35】
Figure 2004236588
【0105】
表33より、テストNo.86,87は圧力低下が0.1MPa以上であり、テストNo.81〜85、88,89は0.1MPa未満であった。
表34より、テストNo.86,87は遠沈量が1ml以上であり、テストNo.81〜85,88,89,90は遠沈量が1ml未満であった。
表35より、テストNo.81,82,90は腐敗したものがあり、テストNo.83〜89は腐敗したものが無かった。
【0106】
(考察)
テストNo.81〜87の結果より、UHT殺菌機の第二加熱部(最高加熱部)温度について、殺菌機適性が良好で、細菌的保存性が良好で、食感が良好なのは、120〜130℃であることがわかった。
テストNo.84,88,89の結果より、UHT殺菌機種類については、いずれの熱交換方式であっても良好であることが分かった。
テストNo.81〜90の結果より、UHT殺菌機の第二加熱部温度を120〜130℃に設定すれば、従来法より良好な細菌的保存性が得られることが分かった。
【0107】
実施例1
表36に示した配合割合と調製手順に従い原料を混合溶解し、プレート式UHT殺菌機(森永エンジニアリング社製)で殺菌・均質化・冷却し、カップ充填機(GASTI社製)で滅菌したプラスチックカップ(大日本印刷社製)に80gづつ充填し、滅菌したアルミリッド(東洋アルミニウム社製)を被せ、熱圧シールし、冷蔵庫で10℃冷却して、レアチーズケーキを製造した。
また、この実施例では、6000L/Hのプレート式殺菌機(第二加熱部温度126℃)で原料液を12トン殺菌し、2時間の連続殺菌を行ったが、第二加熱部の圧力低下は認められなかった。
この様にして製造したレアチーズケーキの4000個を30℃のインキュベーションルームに入れ、5日間増菌させた後、風味試験により腐敗の有無を検査したが、腐敗したものは無かった。
更に、このレアチーズケーキは、粉っぽい食感が無く風味及び食感は良好であった。
【0108】
【表36】
Figure 2004236588
【0109】
実施例2
表37に示した配合割合と調製手順に従い原料を混合溶解し、チューブラ式UHT殺菌機(森永エンジニアリング社製)で殺菌・均質化・冷却し、カップ充填機(トーワテクノ社製)でプラスチックカップ(大日本印刷社製)に80gづつ充填し、アルミリッド(東洋アルミニウム社製)を被せ、熱圧シールし、冷蔵庫で10℃冷却して、ストロベリーレアチーズケーキを製造した。
また、この実施例では、2000L/Hのチューブラ式UHT殺菌機(森永エンジニアリング社製;第二加熱部温度120℃)で原料液を4トン殺菌し、2時間の連続殺菌を行ったが、第二加熱部の圧力低下は認められなかった。
この様にして製造したストロベリーレアチーズケーキの4000個を30℃のインキュベーターに入れ、5日間増菌試験を行った後、風味検査により腐敗の有無を検査したが、腐敗したものは無かった。
更に、このストロベリーレアチーズケーキは、粉っぽい食感が無く風味及び食感は良好であった。
【0110】
【表37】
Figure 2004236588
【0111】
実施例3
表38に示した配合割合と調製手順に従い原料を混合溶解し、掻き取り式UHT殺菌機(クレパコ社製)で殺菌・均質化・冷却し、カップ充填機(トーワテクノ社製)でプラスチックカップ(大日本印刷社製)に80gづつ充填し、アルミリッド(東洋アルミニウム社製)を被せ、熱圧シールし、冷蔵庫で10℃冷却して、カマンベール風味のレアチーズケーキを製造した。
また、この実施例では、2000L/Hの掻き取り式UHT殺菌機(クレパコ社製;第二加熱部温度130℃)で原料液を4トン殺菌し、2時間の連続殺菌を行ったが、第二加熱部の圧力低下は認められなかった。
この様にして製造したレアチーズケーキの4000個を30℃のインキュベーターに入れ、5日間増菌試験を行った後、風味検査により腐敗の有無を検査したが、腐敗したものは無かった。
更に、このカマンベール風味のレアチーズケーキは、粉っぽい食感が無く風味及び食感は良好であった。
【0112】
【表38】
Figure 2004236588
【0113】
【発明の効果】
以上記載したとおり、本発明によって、UHT殺菌機による連続的殺菌が可能な、保存性が良く、食感や風味も良好なレアチーズケーキを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いられるUHT殺菌機の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1…バランスタンク、2…遠心ポンプ、3…第1加熱部、4…ホールディングチューブ、5…第2加熱部、6…ホールディングチューブ、7…第1冷却部、8…ホモジナイザー、9…熱交換部、10…最終冷却部、11…流量調整バルブ

Claims (9)

  1. 以下の工程(a)〜(g):
    (a)チーズと溶融塩と水とを混合する工程、
    (b)前記工程(a)で得られた混合物を加熱溶解する工程、
    (c)前記工程(b)で得られた溶解物と増粘安定剤と乳化剤とを混合する工程、
    (d)前記工程(c)で得られた混合物とゲル化剤とを混合する工程、
    (e)前記工程(d)で得られた混合物と酸味料とを混合することによって、該混合物のpHを4.2〜4.5の範囲内に調整する工程、
    (f)前記工程(e)で得られた原料混合物をUHT殺菌機で殺菌する工程、
    (g)殺菌された前記原料混合物を、前記ゲル化剤のゲル化温度より高い温度で所定の容器に充填し、冷却固化させる工程、
    を有することを特徴とするレアチーズケーキの製造方法。
  2. 前記溶融塩として、クエン酸三ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いる請求項1記載のレアチーズケーキの製造方法。
  3. 前記工程(a)において、前記溶融塩を、該チーズ由来の蛋白質1gあたり、ナトリウム換算で20mg以上となる量で混合する請求項1又は2記載のレアチーズケーキの製造方法。
  4. 前記ゲル化剤として、寒天、ジェランガム、ローメトキシルペクチン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチンからなる群から選択される少なくとも1種を用いる請求項1〜3のいずれか一項に記載のレアチーズケーキの製造方法。
  5. 前記工程(d)において、さらに呈味成分を混合する請求項1〜4のいずれか一項に記載のレアチーズケーキの製造方法。
  6. 前記UHT殺菌機としてプレート式殺菌機を用いる請求項1〜5のいずれか一項に記載のレアチーズケーキの製造方法。
  7. 前記UHT式殺菌機の殺菌条件として、120〜130℃で2秒間保持に相当する殺菌条件を用いる請求項1〜6のいずれか一項に記載のレアチーズケーキの製造方法。
  8. 少なくともチーズ、溶融塩、増粘安定剤、乳化剤、ゲル化剤及び酸味料を含有し、請求項1〜7のいずれか一項に記載のレアチーズケーキの製造方法を用いて製造されることを特徴とするレアチーズケーキ。
  9. 少なくともチーズ、溶融塩、増粘安定剤、乳化剤、ゲル化剤及び酸味料を含有するレアチーズケーキであって、
    UHT殺菌機で殺菌されており、かつ
    該レアチーズケーキに水を加え、70℃に加温溶解して10質量%水溶液を調製し、これを撹拌して均質化した後、25℃に冷却し、得られたレアチーズケーキ溶液30mlについて、2000rpmで10分間の遠心分離を行った際に得られる沈殿物の量が1ml未満であることを特徴とするレアチーズケーキ。
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