JP2004235504A - 半導体装置の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】15族元素を選択的に添加するためのマスク絶縁膜のパターニングの工程が不要となることで製造コストを低減した半導体装置の作製方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る半導体装置の作製方法は、基板111上に下地膜112を形成する工程と、前記下地膜上に非晶質珪素膜を形成し、この非晶質珪素膜上に金属を含む溶液を塗布し、熱処理を行うことにより、前記下地膜上に不純物金属を含む結晶性珪素膜113を形成する工程と、前記結晶性珪素膜を陽極酸化することにより、該結晶性珪素膜の表面に多孔質領域121を形成する工程と、前記多孔質領域及び前記結晶性珪素膜を加熱することにより、該結晶性珪素膜中の不純物金属を該多孔質領域に偏析させてゲッタリングを行う工程と、前記多孔質領域を除去する工程と、を具備するものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の作製方法に係わり、特に製造コストを低減した半導体装置の作製方法に関する。また、半導体層のパターン形成の自由度を向上させた半導体装置の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8(A)〜(G)は、従来のゲッタリング方法を用いた半導体装置の作製方法を示す断面図である。シリコンなどの結晶質半導体を用いた電子デバイスを作製する場合、意図的若しくは非意図的に結晶質半導体に混入した金属不純物を低減する必要がある。この方法として、従来よりゲッタリング方法が知られている。
【0003】
まず、図8(A)に示すように、基板10の表面に下地膜11を形成し、下地膜11上にプラズマCVD(chemical vapor deposition)等の気相法で非晶質半導体膜12を成膜する。
【0004】
次に、図8(B)に示すように、非晶質半導体膜12に触媒元素を導入するために、非晶質半導体膜12に接して金属元素を含む膜、例えばNi膜13を形成する。なお、触媒元素は非晶質半導体膜の結晶化を促進するための触媒である。次いで、図8(C)に示すように、非晶質半導体膜12を450〜650℃の温度、1〜12時間の加熱時間で加熱して金属元素、例えばNiを拡散させた結晶性半導体薄膜15を形成する。
【0005】
次いで、結晶性半導体膜15にレーザ光又は強光18を照射して、結晶性半導体膜15中においてシリサイド状態で局在しているニッケルを拡散しやすい状態にする。
【0006】
次に、図8(E)に示すように、結晶性半導体膜15上にマスク絶縁膜16を形成する。そして、マスク絶縁膜16をマスクとして選択的に15族元素を添加することにより、結晶性半導体膜15に15族添加領域15aを形成する。15族元素が添加されなかった領域15bを便宜上、被ゲッタリング領域と呼ぶ。
【0007】
この後、図8(F)に示すように、500〜850℃で加熱することにより、被ゲッタリング領域15bに残存した触媒元素が15族元素添加領域15aへ拡散し、そこに吸い取られる。次いで、図8(G)に示すように、領域15bを島状にパターニングすることにより、下地11上には島状半導体層17が形成される。この半導体層17を用いてTFT(thin film transistor)等の半導体素子を作製すればよい。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−133594号公報(8頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のゲッタリング方法では、15族元素を選択的に添加するためのマスク絶縁膜16をパターニング形成しなければならないため、そのパターニングの工程が必要となり、この工程がコスト低減の障害要因となっている。
【0010】
また、従来のゲッタリング方法では、15族元素を添加するゲッタリング領域15aが必要となるが、このゲッタリング領域15aは島状半導体層17として使用できず、最終的に除去される。このような島状半導体層として使用できないゲッタリング領域15aが必要となることから、このゲッタリング領域が半導体層のパターンを形成する際の制約となったり、半導体装置面積が大きくなることがある。
【0011】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、製造コストを低減した半導体装置の作製方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、15族元素を添加するゲッタリング領域を無くすことにより、半導体層のパターン形成の自由度を向上させた半導体装置の作製方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、次のような発明を考案した。
図7(A)〜(C)は、本発明の原理を説明する断面図である。
まず、図7(A)に示すように、基板711の上に下地膜712を形成し、この下地膜711上に金属元素714を含む結晶性半導体膜713を形成する。
【0013】
次に、図7(B)に示すように、結晶性半導体膜713の表面にゲッタリング領域として作用する多孔質領域715を形成する。多孔質領域715も結晶性半導体膜であるが、多孔質領域は結晶性半導体の疎な領域となることで非晶質化される。半導体膜の不純物金属元素の固溶度は、結晶質より非晶質の方が大きい。従って、多孔質領域を含む結晶性半導体膜に熱処理を行うことで、図7(C)に示すように、不純物金属元素の固溶度の高い多孔質領域715に不純物金属元素を凝集させることができる。これにより、結晶性半導体膜713中の不純物金属元素の濃度が減少する。具体的には、不純物金属元素の濃度を8×1018/cmから3×1016/cm程度まで低減させることが可能である。
【0014】
本発明に係る半導体装置の作製方法は、不純物が含まれている半導体膜を形成する工程と、前記半導体膜の表面に多孔質領域を形成する工程と、前記多孔質領域及び前記半導体膜を加熱することにより、該半導体膜中の不純物を該多孔質領域に偏析させてゲッタリングを行う工程と、を具備することを特徴とする。
【0015】
上記半導体装置の作製方法によれば、半導体膜の表面に多孔質領域を形成した後、多孔質領域及び半導体膜を加熱することにより、半導体膜中に存在する不純物を多孔質領域に偏析させ、半導体膜中の不純物の濃度を低減させることができる。このようなゲッタリング方法では、従来のゲッタリング方法で必要とされるマスク絶縁膜のパターニング工程を省くことができるため、マスク削減になり製造コストを低減することができる。
【0016】
本発明に係る半導体装置の作製方法は、基板上に下地膜を形成する工程と、前記下地膜上に不純物が含まれている半導体膜を形成する工程と、前記半導体膜の表面に多孔質領域を形成する工程と、前記多孔質領域及び前記半導体膜を加熱することにより、該半導体膜中の不純物を該多孔質領域に偏析させてゲッタリングを行う工程と、を具備することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る半導体装置の作製方法においては、前記基板がガラス基板又は石英基板であることも可能である。
【0018】
また、本発明に係る半導体装置の作製方法において、前記多孔質領域を形成する工程は、前記半導体膜を陽極酸化することにより、該半導体膜の表面に多孔質領域を形成する工程であることが好ましい。
【0019】
本発明に係る半導体装置の作製方法は、酸に対する耐食性を有する保護膜が表面に形成されたガラス基板を用意し、前記ガラス基板上に下地膜を形成する工程と、前記下地膜上に不純物が含まれている半導体膜を形成する工程と、前記半導体膜を陽極酸化することにより、該半導体膜の表面に多孔質領域を形成する工程と、前記多孔質領域及び前記半導体膜を加熱することにより、該半導体膜中の不純物を該多孔質領域に偏析させてゲッタリングを行う工程と、を具備することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る半導体装置の作製方法において、前記不純物は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pa)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)の群より選ばれた1種又は複数種の金属元素であることも可能である。
【0021】
また、本発明に係る半導体装置の作製方法においては、前記ゲッタリングを行う工程の後に、前記多孔質領域を除去する工程をさらに具備することも可能である。
【0022】
本発明に係る半導体装置の作製方法は、基板上に下地膜を形成する工程と、
前記下地膜上に非晶質珪素膜を形成する工程と、前記非晶質珪素膜上に金属を含む溶液を塗布し、熱処理を行うことにより、前記下地膜上に不純物金属を含む結晶性珪素膜を形成する工程と、前記結晶性珪素膜を陽極酸化することにより、該結晶性珪素膜の表面に多孔質領域を形成する工程と、前記多孔質領域及び前記結晶性珪素膜を加熱することにより、該結晶性珪素膜中の不純物金属を該多孔質領域に偏析させてゲッタリングを行う工程と、前記多孔質領域を除去する工程と、を具備することを特徴とする。
【0023】
本発明に係る半導体装置の作製方法は、基板上に下地膜を形成する工程と、前記下地膜上に非晶質珪素膜を形成する工程と、前記非晶質珪素膜上に開口部を有するマスク膜を形成する工程と、前記開口部内及び前記マスク膜上に金属を含む溶液を塗布し、熱処理を行うことにより、前記下地膜上に不純物金属を含む結晶性珪素膜を形成する工程と、前記マスク膜を除去する工程と、前記結晶性珪素膜を陽極酸化することにより、該結晶性珪素膜の表面に多孔質領域を形成する工程と、前記多孔質領域及び前記結晶性珪素膜を加熱することにより、該結晶性珪素膜中の不純物金属を該多孔質領域に偏析させてゲッタリングを行う工程と、前記多孔質領域を除去する工程と、を具備することを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る半導体装置の作製方法においては、前記基板がガラス基板又は石英基板であることも可能である。
【0025】
また、本発明に係る半導体装置の作製方法においては、前記多孔質領域を除去する工程の後に、前記結晶性珪素膜を用いてTFTを形成する工程をさらに具備することも可能である。
上記半導体装置の作製方法によれば、ゲッタリング領域に相当する多孔質領域を結晶性珪素膜の表面に形成し、最終的には多孔質領域を除去しているため、従来のゲッタリング方法のようなゲッタリングを目的とする領域を必要としない。したがって、活性層のパターンを形成する際の制約を低減することができ、活性層のパターン形成の自由度、例えばTFTの配置の自由度を向上させることができる。
【0026】
また、本発明に係る半導体装置の作製方法において、前記TFTを形成する工程は、前記結晶性珪素膜上にゲイト絶縁膜を形成し、該ゲイト絶縁膜上にゲイト電極を形成し、前記結晶性珪素膜に不純物を導入することによりTFTを形成する工程であることも可能である。
【0027】
また、本発明に係る半導体装置の作製方法においては、前記TFTを形成する工程の後に、配線を形成する工程及び画素電極を形成する工程をさらに具備することも可能である。
【0028】
また、本発明に係る半導体装置の作製方法において、前記多孔質領域を除去する工程は、前記多孔質領域をCMP研磨又はエッチングすることにより該多孔質領域を除去する工程であることも可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1(A)〜(D)は、本発明に係る実施の形態1によるゲッタリング方法を用いた半導体装置の作製方法を示す断面図である。図1(A)は、結晶性半導体膜を陽極酸化する工程を示す構成図である。図1(B)は、陽極酸化で形成された多孔質領域に金属元素を偏析させる工程を示す断面図である。図1(C)は、金属元素を偏析させた多孔質領域を研磨除去する工程を示す断面図である。図1(D)は、多孔質領域を除去した後の状態を示す断面図である。
【0030】
まず、図1(A)に示すように、基板111の表面に下地膜112を成膜する。この基板111としては、例えば、低温プロセス用のガラス基板を用いても良いし、高温プロセス用の石英基板を用いても良い。前記下地膜112としては、例えば厚さが10〜200nmの無機絶縁膜を用いることができる。
【0031】
次いで、下地膜112上にシリコンからなる非晶質半導体膜を公知の成膜方法により形成する。この非晶質半導体膜の膜厚は次のように決めることが好ましい。後述するゲッタリング層としての多孔質領域(多孔質層)121と活性層としての結晶性半導体膜141との膜厚比率が1:1に近い方が金属元素のゲッタリング効率が良くなる。従って、このような膜厚比率となるように非晶質半導体膜の膜厚を決めることが好ましい。
【0032】
次いで、この非晶質半導体膜上に金属元素を含む溶液を添加する。前記金属元素としては、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pa)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)などの群から選ばれた一種または複数種を用いることが好ましい。次いで、この溶液及び非晶質半導体膜を加熱することにより、下地膜112上の非晶質半導体膜が結晶性半導体膜113となる。即ち、下地膜112上には結晶性半導体膜113が形成される。
【0033】
この後、上記のようにして形成された結晶性半導体膜113の表面を陽極酸化する。すなわち、図1(A)に示すように、結晶性半導体膜113を含む基板110を、電解溶液115の入った水槽に浸す。この電解溶液115は、濃度5〜50%のHF溶液であって、陽極酸化により発生する水素を除去するためのエタノールを添加した溶液を用いる。そして、結晶性半導体膜113に対向する位置にPtなどからなる対向電極114を配置する。結晶性半導体膜113をクリップなどで挟んで対向電極114と電気的に接続し、結晶性半導体膜113を陽極とし、対向電極114を陰極とし、両電極間に電界を加える。この際の陽極電流値は5〜300mA/cmとする。陽極酸化時の電解溶液115の温度は5〜70℃とする。このようにして結晶性半導体膜113を陽極酸化する。
【0034】
なお、基板111にガラスを用いる場合、ガラスはHFに溶解するので、HFからガラス基板を保護する保護膜をガラス基板(図1(A)に示す領域111に相当する部分)に形成することが好ましい。この保護膜としては、不純物量が少なく、かつ酸に対する耐食性の強い膜であれば種々の膜を用いることも可能であるが、例えば、酸化ケイ素膜、窒化珪素膜、炭化珪素膜、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜等を用いることも可能である。このような膜を用いた場合の保護膜の膜厚は、10〜500nmが好ましく、より好ましくは30〜200nmである。
【0035】
次に、図1(B)に示すように、陽極酸化を行った後、水槽から基板110を取り出す。陽極酸化により結晶性半導体膜113の表面には多孔質領域121が形成されている。この基板の表面を水で洗浄し、乾燥させる。この後、基板全体を加熱することにより、結晶性半導体膜113中に存在する金属元素を表面側の多孔質領域121に移動させる。この際の加熱条件は、窒素雰囲気中で、温度が450〜600℃、加熱時間が1〜24時間とする。
【0036】
この後、図1(C)に示すように、結晶性半導体膜113の表面の多孔質領域121に研磨ヘッド131を押し当ててCMP(chemical mechanical polishing)により研磨する。これにより、図1(D)に示すように多孔質領域121が除去され、平坦な表面を有する結晶性半導体膜141が形成される。このようにしてゲッタリングを行うことにより、結晶性半導体膜141中の金属元素の濃度を低くする。
【0037】
上記実施の形態1によれば、結晶性半導体膜113を陽極酸化することにより、該結晶性半導体膜113の表面に多孔質領域121を形成した後、結晶性半導体膜113を加熱することにより、結晶性半導体膜中に存在する金属元素を多孔質領域121に偏析させ、結晶性半導体膜141中の金属元素の濃度を低減させることができる。このようなゲッタリング方法では、従来のゲッタリング方法で必要とされるマスク絶縁膜のパターニング工程を省くことができるため、マスク削減になり製造コストを低減することができる。
【0038】
また、実施の形態1では、ゲッタリング領域に相当する多孔質領域121を結晶性半導体膜の表面に形成し、最終的には多孔質領域121をCMPにより研磨除去している。このため、従来のゲッタリング方法のようなゲッタリングを目的とする領域を必要としない。したがって、半導体層のパターンを形成する際の制約を低減することができ、半導体層のパターン形成の自由度、例えばTFT(thin film transistor)の配置の自由度を向上させることができる。また、半導体装置の小型化が容易に実現可能となる。
【0039】
(実施の形態2)
図2(A)〜(D)は、本発明に係る実施の形態2によるゲッタリング方法を用いた半導体装置の作製方法を示す断面図である。
【0040】
まず、図2(A)に示すように、基板211の表面に下地膜212を成膜する。基板211及び下地膜212は実施の形態1と同様のものを用いる。次いで、下地膜212上に非晶質半導体膜を形成し、この非晶質半導体膜上に金属元素を含む溶液を添加する。ここで用いることができる金属元素は実施の形態1の場合と同様である。また、非晶質半導体膜の膜厚は実施の形態1の場合と同様にする。次いで、この溶液及び非晶質半導体膜を加熱することにより、下地膜212上の非晶質半導体膜が結晶性半導体膜213となる。
【0041】
この後、結晶性半導体膜213の表面を陽極酸化する。すなわち、図2(A)に示すように、結晶性半導体膜213を含む基板を、電解溶液215の入った水槽に浸す。この電解溶液215は、実施の形態1の場合と同様である。そして、結晶性半導体膜213に対向する位置にPtなどからなる対向電極214を配置し、結晶性半導体膜213を陽極とし、対向電極214を陰極とし、両電極間に電界を加える。この際の陽極電流値、電解溶液の温度は実施の形態1と同様とする。このようにして結晶性半導体膜213を陽極酸化する。
【0042】
次に、図2(B)に示すように、陽極酸化を行った後、水槽から基板を取り出す。陽極酸化により結晶性半導体膜213の表面には多孔質領域121が形成されている。この基板の表面を水で洗浄し、乾燥させる。この後、基板全体を加熱することにより、結晶性半導体膜213中に存在する金属元素を表面側の多孔質領域121に移動させる。この際の加熱条件は、実施の形態1と同様とする。
【0043】
この後、図2(C)に示すように、エッチング液132の入った水槽に多孔質領域121を有する基板211を浸す。これにより、結晶性半導体膜の多孔質領域121が選択的にエッチングされ除去される。前記エッチング液132としては、例えばフッ酸と過酸化水素の混合液を用いる。混合比は、例えば、HF:H=1:5を用いる。
【0044】
次に、水槽から基板を取り出し、基板を洗浄し、乾燥させる。このようにして多孔質領域121が除去され、結晶性半導体膜241が形成される。次いで、結晶性半導体膜241にレーザ光(図示せず)を照射することにより、図2(D)に示すように、結晶性半導体膜241の表面を平坦化する。この際のレーザ照射条件は、窒素雰囲気で、半導体に吸収される波長域のレーザ光、例えば波長が308nmのXeClのレーザ光を用い、周波数30Hzでレーザ光のエネルギー密度が450〜500mJ/cmとする。このようにしてゲッタリングを行うことにより、結晶性半導体膜241中の金属元素の濃度を低くする。
【0045】
上記実施の形態2においても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。すなわち、実施の形態2のゲッタリング方法は、結晶性半導体膜中に存在する金属元素を多孔質領域121に偏析させ、結晶性半導体膜241中の金属元素の濃度を低減させるものである。このゲッタリング方法では、従来のゲッタリング方法で必要とされるマスク絶縁膜のパターニング工程を省くことができるため、マスク削減になり製造コストを低減することができる。
【0046】
また、従来のゲッタリング方法のようなゲッタリングを目的とする領域を必要としないため、半導体層のパターン形成の自由度、例えばTFT(thin film transistor)の配置の自由度を向上させることができる。また、半導体装置の小型化が容易に実現可能となる。
【0047】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
【0048】
【実施例】
(実施例1)
図3(A)〜(C)及び図4(A)〜(C)は、本発明の実施例1によるLCD(liquid crystal display)基板の作製方法を示す断面図である。実施例1は、ガラス基板と低温プロセスを用いたLCD基板の作製方法である。
【0049】
まず、図3(A)に示すように、バリウムホウケイ酸ガラス又はアルミノホウケイ酸ガラス等からなるガラス基板511を用意し、このガラス基板511上に酸化窒化シリコン膜512a,512bを積層した下地絶縁膜512を形成する。即ち、基板511の上にSiH、NH、NOから形成される酸化窒化シリコン膜512aを50nmの膜厚で成膜し、この酸化窒化シリコン膜512aの上にSiH、NOから形成される酸化窒化シリコン膜512bを100nmの膜厚で成膜する。なお、下地絶縁膜512は、ガラス基板中に含まれるアルカリ金属が半導体層中に拡散しないようにバリア膜として形成するものであるため、石英基板を用いる場合には下地絶縁膜を形成する工程を省略することも可能である。
【0050】
次に、下地絶縁膜512の上に厚さ100〜150nm(多孔質除去の時に活性層も削れてしまうためその分厚めに膜厚を設定しておくべく、好ましくは厚さが120nm以上)の非晶質珪素膜513をプラズマCVD法、減圧CVD法もしくはスパッタ法を用いて成膜する。次いで、非晶質珪素膜513の上に、金属元素を含む溶液、例えば重量換算で1〜100ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーでスピンコート法により塗布して触媒元素含有層514を形成する。なお、ここでは、ニッケルを含む溶液を用いているが、他の金属元素を含む溶液を用いることも可能である。他の金属元素としては、鉄、コバルト、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、金などの群より選ばれた1種又は複数種を用いることも可能である。
【0051】
この後、図3(B)に示すように、例えば500℃の温度、1時間の加熱時間で基板511を加熱処理することにより、非晶質珪素膜が含有する水素を放出させる。次に、基板511を500〜650℃の温度で1〜24時間の加熱時間(例えば500℃で4時間の加熱時間)で加熱することにより、下地絶縁膜512上に結晶性珪素膜521を形成する。この際の加熱方法はレーザ照射によるものであっても良い。
【0052】
次に、結晶性珪素膜521の表面を陽極酸化することにより、該結晶性珪素膜の表面に厚さ50nm程度の多孔質層(図示せず)を形成する。この際の陽極酸化の方法及び条件は、実施の形態1と同様とする。このような多孔質層を形成した結果、多孔質層下の結晶性珪素膜(即ち活性層)の厚さは50nm程度であることが好ましい。
【0053】
この後、多孔質層を含むガラス基板全体を加熱することにより、結晶性珪素膜521中に存在する金属元素であるニッケルを表面側の多孔質層に移動させる。この際の加熱条件は、窒素雰囲気中で、温度が550℃、加熱時間が4時間とする。Niを添加し、加熱、レーザ照射等により作製された本実施例の結晶性珪素膜は、粒内欠陥が少ないため、550℃の低温でゲッタリングが可能となる。
【0054】
次に、結晶性珪素膜の表面の多孔質層をCMPで研磨することにより、図3(C)に示すように多孔質層が除去され、平坦な表面を有する結晶性珪素膜533が形成される。このようにしてゲッタリングを行うことにより、結晶性珪素膜533中の不純物金属元素の濃度を1×1017/cm以下(SIMS(二次イオン質量分析法)の測定限界以下)とすることが好ましく、より好ましくはICP−MS(誘導結合高周波プラズマ分光質量分析法)により5×1016/cm以下とすることである。
【0055】
この後、図4(A)に示すように、不純物金属元素の濃度を低くした結晶性珪素膜533を所望の形状にエッチングすることにより、下地絶縁膜512上には該結晶性珪素膜からなる活性層613〜616が形成される。次いで、活性層613〜616及び下地絶縁膜512の上にプラズマCVD法またはスパッタ法によりゲイト絶縁膜617を形成する。この後、nチャネル型TFTとなる半導体膜(図4(A)に示す領域613,615)のチャネル形成領域以外の領域に、n型を付与する不純物を選択的に添加する。次いで、ゲイト絶縁膜617の上に膜厚が30nm程度の窒化タンタル膜からなる第1の導電膜618を成膜する。次いで、第1の導電膜618の上に膜厚が370nm程度のタングステン膜からなる第2の導電膜619を成膜する。
【0056】
なお、ここでは第1の導電膜618に窒化タンタル膜を用い、第2の導電膜619にタングステン膜を用いているが、これに限定されるものではなく、第1及び第2の導電膜618,619それぞれに、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)からなる群から選ばれた元素からなる膜、前記群から選ばれた1又は複数の元素を少なくとも主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる膜、又は、銀−銅−パラジウム合金(AgPdCu合金)膜を用いることも可能である。
【0057】
この後、特開2000−243975号公報の実施例1に示されているような公知の手法を用いることによりアクティブマトリクス基板を作製する。
すなわち、図4(B)に示すように、第1及び第2の導電膜618,619をパターニングすることにより、ゲイト絶縁膜617上には第1及び第2の導電膜621a,621bからなる第1のゲイト電極621、第1及び第2の導電膜622a,622bからなる第2のゲイト電極622、第1及び第2の導電膜623a,623bからなる第3のゲイト電極623、第1及び第2の導電膜624a,624bからなる第4のゲイト電極624が形成される。なお、ここでは第1及び第2の導電膜からなるゲイト電極を形成しているが、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)等の1層の導電膜からなるゲイト電極を形成することも可能である。
【0058】
次いで、N−TFT及びP−TFTそれぞれにV族及びIII族の不純物元素をドーピングする。これにより、N−TFTの活性層には低濃度不純物領域621,622及びソース領域又はドレイン領域623,624が形成され、P−TFTの活性層にはソース領域又はドレイン領域625,626が形成される。次いで、ゲイト電極を含む全面上にプラズマCVD法による膜厚50nm程度の窒化シリコン膜等からなる無機絶縁膜である第1の層間絶縁膜630を形成する。
【0059】
次に、図4(C)に示すように、第1の層間絶縁膜630の上にプラズマCVD法による膜厚530nm程度の酸化シリコン膜等からなる無機絶縁膜である第2の層間絶縁膜641を形成する。次いで、第1、第2の層間絶縁膜630,641及びゲイト絶縁膜617にコンタクトホールを形成する。次いで、このコンタクトホール内及び第2の層間絶縁膜641上にチタン膜とアルミニウム膜を積層した導電膜を形成し、この導電膜を所望の形状にエッチングすることにより、第2の層間絶縁膜641上には配線642〜649が形成される。
【0060】
次いで、膜厚が530nm程度のアクリル樹脂を塗布し、250℃にて1時間焼成することにより、配線642〜649を含む全面上には有機樹脂絶縁膜からなる第3の層間絶縁膜650を形成する。次いで、第3の層間絶縁膜650にコンタクトホールを形成する。次いで、このコンタクトホール内及び第3の層間絶縁膜650上に膜厚が100nmのITO(酸化インジウム酸化スズ合金)からなる導電膜を形成し、この導電膜を所望の形状にエッチングすることにより、第3の層間絶縁膜650上にはITOからなる画素電極651が形成される。
【0061】
なお、ここでは画素電極651の材料にITOを用いているが、これに限定されるものではなく、画素電極に他の材料を用いることも可能である。例えば、反射型の液晶表示装置の場合、光反射率の高い金属膜、代表的にはアルミニウム又は銀を主成分とする材料膜、又はそれらの積層膜等を用いることが可能であり、透過型の液晶表示装置の場合、透光性を有する導電膜、代表的にはITO、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In−ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等を用いることが可能である。
【0062】
このようにしてnチャネルTFT661及びpチャネルTFT662を有する駆動回路665と画素TFT663及び容量素子664を有する画素部666を同一基板上に備えたアクティブマトリクス基板を作製することができる。
【0063】
上記実施例1によれば、結晶性珪素膜521を陽極酸化することにより、該結晶性珪素膜521の表面に多孔質層を形成した後、結晶性珪素膜521を加熱することにより、結晶性珪素膜中に存在する不純物金属元素を多孔質層に偏析させ、結晶性珪素膜533中の不純物金属元素の濃度を低減させることができる。このようなゲッタリング方法では、従来のゲッタリング方法で必要とされるマスク絶縁膜のパターニング工程を省くことができるため、マスク削減になり製造コストを低減することができる。
【0064】
また、本実施例1では、ゲッタリング領域に相当する多孔質層を結晶性珪素膜の表面に形成し、最終的には多孔質層をCMPにより研磨除去している。このため、従来のゲッタリング方法のようなゲッタリングを目的とする領域を必要としない。したがって、活性層613〜616のパターンを形成する際の制約を低減することができ、活性層のパターン形成の自由度、TFTの配置の自由度を向上させることができる。また、半導体装置の小型化が容易に実現可能となる。
【0065】
(実施例2)
図5(A)〜(C)は、本発明の実施例2によるLCD基板の作製方法を示す断面図である。実施例2は、石英基板と高温プロセスを用いたLCD基板の作製方法である。
【0066】
まず、図5(A)に示すように、石英基板310上に下地絶縁膜311を形成する。この下地絶縁膜311は、実施例1と同様に酸化窒化シリコン膜311a,311bを積層したものである。
【0067】
次に、下地絶縁膜311の上に厚さが100〜150nm(多孔質除去の時に活性層も削れてしまうためその分厚めに膜厚を設定しておくべく、好ましくは厚さが120nm以上)の非晶質珪素膜312を成膜する。次いで、非晶質珪素膜312の上にマスク絶縁膜としての酸化珪素膜313,314をプラズマCVD法により成膜し、この酸化珪素膜に開口部315を設ける。次いで、開口部315内及び酸化珪素膜313,314の上に、実施例1と同様の触媒元素含有層316を形成する。
【0068】
次いで、触媒元素含有層316を含む石英基板310を加熱する。この際の加熱条件は、温度が570℃で加熱時間が14時間とする。これにより、図5(B)に示すように、触媒元素の作用により矢印のように開口部315から石英基板表面と平行な方向に結晶性珪素膜321,322が成長する。このようにして形成された結晶性珪素膜321,322は棒状又は針状の結晶が集合して成り、その各々の結晶は、巨視的にはある特定の方向性を持って成長しているため、結晶粒の成長方向が揃っている。また、各々の結晶は、特定方位の配向率が高いという特徴がある。
次いで、酸化珪素膜313,314を除去する。
【0069】
この後、結晶性珪素膜321,322の表面を陽極酸化することにより、該結晶性珪素膜の表面に厚さ50nm程度の多孔質層(図示せず)を形成する。この際の陽極酸化の方法及び条件は、実施の形態1と同様とする。このような多孔質層を形成した結果、多孔質層下の結晶性珪素膜(即ち活性層)の厚さは50nm程度であることが好ましい。
次いで、
【0070】
次いで、石英基板を洗浄し乾燥させ、多孔質層を含む石英基板全体を加熱することにより、結晶性珪素膜321,322中に存在する金属元素であるニッケルを表面側の多孔質層に移動させる。この際の加熱条件は、温度が500〜1000℃、加熱時間が1〜24時間とし、好ましくは、温度が600〜850℃、加熱時間が1〜12時間、さらに好ましくは、温度が800℃、加熱時間が1時間である。
【0071】
次に、結晶性珪素膜の表面の多孔質層をCMPで研磨することにより、図5(C)に示すように多孔質層が除去され、結晶性珪素膜331,332が形成される。このようにしてゲッタリングを行うことにより、結晶性珪素膜中の不純物金属元素の濃度を1×1017/cm以下(SIMS(二次イオン質量分析法)の測定限界以下)とすることが好ましく、より好ましくはICP−MS(誘導結合高周波プラズマ分光質量分析法)により5×1016/cm以下とすることである。
【0072】
次いで、結晶性珪素膜331,332を加熱することにより、該結晶性珪素膜の表面を平坦化する。この際の加熱条件は、3%〜100%の水素雰囲気で、温度が石英基板の歪み点(1060℃)より低い温度、例えば900〜1050℃とする。
【0073】
次いで、結晶性珪素膜331,332の表面に厚さ20nm程度のSiO膜を成膜する。この後、結晶性珪素膜の表面を熱酸化し、結晶性珪素膜の表面の酸化膜をウエットエッチングにより除去する。これにより、結晶性珪素膜の欠陥密度を下げることができる。
【0074】
この後、実施例1で説明した図4(A)〜(C)の工程を経て、アクティブマトリクス基板を作製する。
【0075】
上記実施例2においても実施例1と同様の効果を得ることができる。
すなわち、結晶性珪素膜321,322を陽極酸化することにより、該結晶性珪素膜の表面に多孔質層を形成した後、結晶性珪素膜を加熱することにより、結晶性珪素膜中に存在する不純物金属元素を多孔質層に偏析させ、結晶性珪素膜中の不純物金属元素の濃度を低減させることができる。このようなゲッタリング方法では、従来のゲッタリング方法で必要とされるマスク絶縁膜のパターニング工程を省くことができるため、マスク削減になり製造コストを低減することができる。
【0076】
また、本実施例2では、ゲッタリング領域に相当する多孔質層を結晶性珪素膜の表面に形成し、最終的には多孔質層をCMPにより研磨除去している。このため、従来のゲッタリング方法のようなゲッタリングを目的とする領域を必要としない。したがって、活性層のパターンを形成する際の制約を低減することができ、活性層のパターン形成の自由度、TFTの配置の自由度を向上させることができる。また、半導体装置の小型化が容易に実現可能となる。
【0077】
尚、上記実施例2では、開口部315を有する酸化珪素膜をマスク絶縁膜として用い、この開口部315内に触媒元素含有層316を形成し、加熱することにより、石英基板表面と平行な方向に結晶性珪素膜321,322を成長させているが、マスク絶縁膜を作製することなく、非晶質珪素膜の全面上に金属元素を含む溶液を塗布して触媒元素含有層を形成した後、500〜650℃の温度で4〜24時間(例えば、500℃の温度で4時間)の加熱処理を行うことにより、実施例1とほぼ同様の方法で結晶性珪素膜を成長させることも可能である。
【0078】
(実施例3)
図6は、本発明の実施例3によるアクティブマトリクス型液晶表示装置(液晶表示パネル)の作製方法を説明する断面図である。
本実施例では、実施例1又は実施例2で作製したアクティブマトリクス基板から、アクティブマトリクス型液晶表示装置を作製する工程を、図6を参照しつつ以下に説明する。
【0079】
まず、実施例1又は実施例2に従い、図4(C)に示す状態のアクティブマトリクス基板を得た後、このアクティブマトリクス基板上に配向膜811を形成し、ラビング処理を行う。なお、配向膜を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサを所望の位置に形成しても良い。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布しても良い。
【0080】
次いで、対向基板801を用意する。この対向基板には、着色層、遮光層が各画素に対応して配置されたカラーフィルタ802が設けられている。また、駆動回路の部分にも遮光層を設けた。このカラーフィルタと遮光層とを覆う平坦化膜807を設けた。次いで、平坦化膜上に透明導電膜からなる対向電極808を画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜812を形成し、ラビング処理を施した。
【0081】
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材809で貼り合わせる。シール材にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料810を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにしてアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、公知の技術を用いて偏光板803等を適宜設けた。そして、公知の技術を用いてFPC(図示せず)を貼りつけた。このようにしてアクティブ型液晶モジュールを形成する。
【0082】
次に、バックライト804、導光板805を設け、カバー806で覆うことにより、アクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。なお、カバー806と液晶モジュールは接着剤や有機樹脂を用いて貼り合わせる。また、基板と対向基板を貼り合わせる際、枠で囲んで有機樹脂を枠と基板との間に充填して接着してもよい。また、透過型であるので偏光板803は、アクティブマトリクス基板と対向基板の両方に貼り付ける。
【0083】
尚、本発明は前述した実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、LCD基板以外の基板に本発明を適用することも可能であり、また液晶表示装置以外の電気光学装置、半導体装置に本発明を適用することも可能である。
【0084】
前記実施例に示した液晶表示装置は、様々な電子機器のディスプレイとして利用される。なお、電子機器とは、液晶表示装置を搭載した製品と定義する。その様な電子機器としては、ビデオカメラ、スチルカメラ、プロジェクター、プロジェクションTV、ヘッドマウントディスプレイ、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ(ノート型を含む)、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話等)などが挙げられる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、製造コストを低減した半導体装置の作製方法を提供することができる。また、15族元素を添加するゲッタリング領域を無くすことにより、半導体層のパターン形成の自由度を向上させた半導体装置の作製方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(D)は、本発明に係る実施の形態1によるゲッタリング方法を用いた半導体装置の作製方法を示す断面図である。
【図2】(A)〜(D)は、本発明に係る実施の形態2によるゲッタリング方法を用いた半導体装置の作製方法を示す断面図である。
【図3】(A)〜(C)は、本発明の実施例1によるLCD基板の作製方法を示す断面図である。
【図4】(A)〜(C)は、本発明の実施例1によるLCD基板の作製方法を示すものであり、図3(C)の次の工程を示す断面図である。
【図5】(A)〜(C)は、本発明の実施例2によるLCD基板の作製方法を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例3によるアクティブマトリクス型液晶表示装置(液晶表示パネル)の作製方法を説明する断面図である。
【図7】(A)〜(C)は、本発明の原理を説明する断面図である。
【図8】(A)〜(G)は、従来のゲッタリング方法を用いた半導体装置の作製方法を示す断面図である。
【符号の説明】
10,111,211,711…基板
11,112,212,712…下地膜
12,312,513…非晶質珪素膜
13…Ni膜 15…結晶性半導体薄膜
15a…15族添加領域
15b…15族元素が添加されなかった領域
16…マスク絶縁膜 17…島状半導体層
18…レーザ光又は強光
110…結晶性半導体膜を含む基板
113,141,213,241,521,533,713…結晶性半導体膜
114,214…対向電極 115,215…電解溶液
121,715…多孔質領域 131…研磨ヘッド
132…エッチング液 310…石英基板
311,512…下地絶縁膜
311a,311b,512a,512b…酸化窒化シリコン膜
313,314…酸化珪素膜 315…開口部
316…触媒元素含有層
321,322,331,332…結晶性珪素膜
511…ガラス基板 514…触媒元素含有層
613〜616…活性層 617…ゲイト絶縁膜
618,621a,622a,623a,624a…第1の導電膜
619,621b,622b,623b,624b…第2の導電膜
621〜624…第1〜第4のゲイト電極
621,622…低濃度不純物領域
623,624,625,626…ソース領域又はドレイン領域
630…第1の層間絶縁膜 641…第2の層間絶縁膜
642〜649…配線 650…第3の層間絶縁膜
651…画素電極 664…容量素子
665…駆動回路 666…画素部
714…金属元素 801…対向基板
802…カラーフィルタ 803…偏光板
804…バックライト 805…導光板
806…カバー 807…平坦化膜
808…対向電極 809…シール材
810…液晶材料 811,812…配向膜

Claims (14)

  1. 不純物が含まれている半導体膜を形成する工程と、
    前記半導体膜の表面に多孔質領域を形成する工程と、
    前記多孔質領域及び前記半導体膜を加熱することにより、該半導体膜中の不純物を該多孔質領域に偏析させてゲッタリングを行う工程と、
    を具備することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  2. 基板上に下地膜を形成する工程と、
    前記下地膜上に不純物が含まれている半導体膜を形成する工程と、
    前記半導体膜の表面に多孔質領域を形成する工程と、
    前記多孔質領域及び前記半導体膜を加熱することにより、該半導体膜中の不純物を該多孔質領域に偏析させてゲッタリングを行う工程と、
    を具備することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  3. 請求項2において、前記基板がガラス基板又は石英基板であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記多孔質領域を形成する工程は、前記半導体膜を陽極酸化することにより、該半導体膜の表面に多孔質領域を形成する工程であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  5. 酸に対する耐食性を有する保護膜が表面に形成されたガラス基板を用意し、
    前記ガラス基板上に下地膜を形成する工程と、
    前記下地膜上に不純物が含まれている半導体膜を形成する工程と、
    前記半導体膜を陽極酸化することにより、該半導体膜の表面に多孔質領域を形成する工程と、
    前記多孔質領域及び前記半導体膜を加熱することにより、該半導体膜中の不純物を該多孔質領域に偏析させてゲッタリングを行う工程と、
    を具備することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項において、前記不純物は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pa)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)の群より選ばれた1種又は複数種の金属元素であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記ゲッタリングを行う工程の後に、前記多孔質領域を除去する工程をさらに具備することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  8. 基板上に下地膜を形成する工程と、
    前記下地膜上に非晶質珪素膜を形成する工程と、
    前記非晶質珪素膜上に金属を含む溶液を塗布し、熱処理を行うことにより、前記下地膜上に不純物金属を含む結晶性珪素膜を形成する工程と、
    前記結晶性珪素膜を陽極酸化することにより、該結晶性珪素膜の表面に多孔質領域を形成する工程と、
    前記多孔質領域及び前記結晶性珪素膜を加熱することにより、該結晶性珪素膜中の不純物金属を該多孔質領域に偏析させてゲッタリングを行う工程と、
    前記多孔質領域を除去する工程と、
    を具備することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  9. 基板上に下地膜を形成する工程と、
    前記下地膜上に非晶質珪素膜を形成する工程と、
    前記非晶質珪素膜上に開口部を有するマスク膜を形成する工程と、
    前記開口部内及び前記マスク膜上に金属を含む溶液を塗布し、熱処理を行うことにより、前記下地膜上に不純物金属を含む結晶性珪素膜を形成する工程と、
    前記マスク膜を除去する工程と、
    前記結晶性珪素膜を陽極酸化することにより、該結晶性珪素膜の表面に多孔質領域を形成する工程と、
    前記多孔質領域及び前記結晶性珪素膜を加熱することにより、該結晶性珪素膜中の不純物金属を該多孔質領域に偏析させてゲッタリングを行う工程と、
    前記多孔質領域を除去する工程と、
    を具備することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  10. 請求項8又は請求項9において、前記基板がガラス基板又は石英基板であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  11. 請求項8乃至請求項10のいずれか一項において、前記多孔質領域を除去する工程の後に、前記結晶性珪素膜を用いてTFTを形成する工程をさらに具備することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  12. 請求項11において、前記TFTを形成する工程は、前記結晶性珪素膜上にゲイト絶縁膜を形成し、該ゲイト絶縁膜上にゲイト電極を形成し、前記結晶性珪素膜に不純物を導入することによりTFTを形成する工程であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  13. 請求項11又は請求項12において、前記TFTを形成する工程の後に、配線を形成する工程及び画素電極を形成する工程をさらに具備することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  14. 請求項7乃至請求項13のいずれか一項において、前記多孔質領域を除去する工程は、前記多孔質領域をCMP研磨又はエッチングすることにより該多孔質領域を除去する工程であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
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