JP2004232904A - 空気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒を用いた空気浄化装置において、触媒を活性化温度の状態で継続してサービスできる空気浄化装置を提供する。
【解決手段】有底真空断熱性容器1の中に、触媒を担持した多孔性フィルタ2、その多孔性フィルタを通過する空気を加熱するヒータ3、および、波形の伝熱板41を有する対向流型熱交換部4を収納した空気浄化装置10を提供する。フィルタ2はヒータ3で加熱されることにより活性化状態にでき、未浄化の空気8aは熱交換部4により加熱されてフィルタ2に供給されて浄化され、浄化済みの空気8bは、未浄化の空気8aにより冷却されて室温に近い状態で吹出される。
【選択図】 図2
【解決手段】有底真空断熱性容器1の中に、触媒を担持した多孔性フィルタ2、その多孔性フィルタを通過する空気を加熱するヒータ3、および、波形の伝熱板41を有する対向流型熱交換部4を収納した空気浄化装置10を提供する。フィルタ2はヒータ3で加熱されることにより活性化状態にでき、未浄化の空気8aは熱交換部4により加熱されてフィルタ2に供給されて浄化され、浄化済みの空気8bは、未浄化の空気8aにより冷却されて室温に近い状態で吹出される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内や車内の空気中の有害物質を除去する空気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気中の有害ガス、たとえば、窒素酸化物、一酸化炭素、炭化水素などを除去する空気浄化装置が知られている。たとえば、特開平7−83457号には、空気中の有害ガスを吸着・分解する機能を有する触媒を担持させたヒータを通風路内に設けて、触媒の活性が低下したときにヒータで加熱して活性の再生を図る空気清浄機が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−83457号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
有害ガスの除去を目的とする空気浄化装置(空気清浄機、分煙器等、いろいろな名称で呼ばれる装置が含まれる)では、有害ガスをフィルタで吸着除去する方法が一般的であり、フィルタの吸着能力が低下した場合は、フィルタを交換する必要がある。これに対し、上記のように、触媒を用いた空気清浄機においては、有害ガスを吸着除去するが、吸着能力が低下した触媒を定期的に加熱して活性化することにより、フィルタを交換する手間とコストを省くことができる。また、常温であっても触媒による有害ガスを分解する能力を期待できる。
【0005】
しかしながら、定期的に数百度程度(上記の文献では400度程度)まで温度を上げて数時間程度(上記の文献では1時間)は活性化しないと再度空気を浄化する能力が得られない。したがって、フィルタを交換する手間は不要になったとは言え、継続運転は不可能である。さらに、活性化する際の熱処理の問題がある。たとえば、吸着された有害ガスを触媒反応により分解するためには空気を供給する必要があり、高温になった空気をどのように処理するかが問題である。また、高温になった触媒の温度が室温程度まで低下しないと通常サービスに入れず、活性化の時間が1時間としても、冷却期間を入れると結局数時間はサービスが中断する。さらに、活性化する際に数百度になるので、ユーザが万一触ってもやけどをしないような断熱処理が必要であり、通常サービスでは必要ない構造を採用しないと民生用には使えない。
【0006】
特殊な用途として、自動車の排ガスを浄化するために触媒を使用する技術は、近年、急速に発展している。排ガス中に含まれるHC、CO、NOxを触媒で同時に酸化還元して無害化する技術、ディーゼルエンジンからの排ガスに含まれる粒子状物質(PM)を除去する技術などにも白金などの触媒を用いて連続再生しながら有害物質を除去する技術が開発されたり、あるいは研究が進みつつある。したがって、排ガスから有害物質を除去する技術を民生用に利用できれば、フィルタを交換する手間や、吸着物質を再生する時間を無くして、連続して空気を清浄することが可能な空気清浄装置を提供できる。
【0007】
しかしながら、自動車の排ガスを浄化する技術では、高温の排ガスを処理すれば良いこと、触媒の設置場所をユーザから隔離できることなど、民生用の空気浄化装置と比較して触媒を利用する上で有利な点があり、そのまま、車内や部屋に設置する民生用の空気浄化装置に適用することはできない。たとえば、活性化状態の触媒を低温の空気浄化のために利用しようとすれば、空気を加熱する必要があり、そのための設備とエネルギーが必要となる。また、いったん加熱された空気を冷却する必要があり、そのためにも設備とエネルギーが必要となる。さらに、触媒を活性化状態にするには数百度の温度で維持する必要があるために、安全性の確保にも問題がある。
【0008】
そこで、本発明においては、低温の空気を浄化するために、自動車の排ガス処理と同様に、活性状態の触媒を用いて有害物質を連続して除去することができる空気浄化装置を提供することを目的としている。そのために、低コストで触媒の活性化温度に空気を加熱すると同時に冷却して排出することができ、さらに、車内、オフィスあるいは家庭に設置しても安全な空気浄化装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明においては、有底筒型の断熱性容器の底側に触媒を配置し、空気を加熱可能なヒータを収納すると共に、開口側を対向流型の熱交換部とする。これにより、断熱性容器の内部に、自動車の排ガス処理と同様に、活性状態の触媒を用いて有害物質を連続して除去することができる環境を形成する。すなわち、本発明の空気浄化装置は、有底筒型の断熱性容器と、この断熱性容器の底側に配置された、触媒を担持した多孔性フィルタと、多孔性フィルタを通過する空気を加熱可能なヒータと、断熱性容器の開口側に配置された対向流型の熱交換部とを有する。そして、この対向流型の熱交換部を、多孔性フィルタを通過済みの空気と多孔性フィルタを未通過の空気との間で熱交換可能な熱交換部とする。
【0010】
この空気浄化装置は、断熱性容器の内部に、触媒を担持した多孔性のフィルタと、加熱用のヒータを配置することにより、外界と熱的に遮断された環境で、活性化温度に加熱された状態で触媒に空気を供給できる。したがって、触媒を用いて連続再生しながら安全に空気を浄化することができる。このため、フィルタの交換や再生が不要で、連続運転が可能な空気浄化装置を提供できる。
【0011】
さらに、断熱性容器を有底筒型として、その底側に触媒を担持した多孔性のフィルタを配置することにより、開口側には、多孔性フィルタを通過済みの空気(浄化済み空気)と多孔性フィルタを未通過の空気(未浄化の空気)とが対向して流れる流路が形成される。したがって、この流路を、これらの空気の間で熱交換が可能な対向流型の熱交換部とすることにより、加熱用のヒータの電力消費を低減できると同時に、浄化済みの空気を冷却するための設備およびエネルギーを省くことが可能となる。
【0012】
すなわち、この空気浄化装置においては、加熱用のヒータを用いて、いったん、触媒を担持したフィルタにおいて触媒の活性化温度近傍あるいはそれ以上の条件で空気が通過する条件が形成されれば、理想的には、対向流型の熱交換部によりその条件が維持される。したがって、加熱用のヒータの電力消費を低くでき、また、浄化済み空気を冷却する冷却装置や、それに費やされるエネルギーも不要となる。このため、活性化状態の触媒を、簡易な構成で利用でき、さらに、ランニングコストも安い空気浄化装置を提供できる。したがって、本発明により、自動車の排ガス浄化のために開発された、あるいは開発されつつある技術を、民生用の空気浄化装置として、安全に、また、低コストで利用することが可能となる。
【0013】
触媒を担持したフィルタの温度を効率良く上げるためには、ヒータで加熱された未浄化の空気をフィルタに供給することが望ましく、フィルタの開口側にヒータを設置することが望ましいであろう。しかしながら、フィルタの開口側は、浄化済みの空気の流路ともなり、浄化済みの空気を加熱することはヒータのエネルギーの無駄となるばかりではなく、冷却負荷が増加する要因にもなる。それを避けようとすると、未浄化の空気と浄化済みの空気の流路を少なくともヒータの部分においては分離する必要があり、構造が複雑になる。
【0014】
これに対し、ヒータを、触媒を担持したフィルタに対して断熱性容器の底側に配置すると、未浄化の空気と浄化済みの空気の流路を分離する必要がなくなり、空気浄化装置の構成は非常に簡素化される。この構成により、断熱性容器内にヒータ、多孔性フィルタ、対向流型熱交換器等を順番に挿入・設置すれば良く、各機器の配置が容易になると共に、空気の流路の構成が容易になる。
【0015】
その一方、未浄化の空気は、対向流型の熱交換部により、浄化済みの空気、すなわち、ヒータにより加熱された空気と同程度の温度まで加熱されるので、触媒を担持したフィルタを通過する空気の温度はヒータに加熱された状態にほぼ等しい。また、多孔性のフィルタの底側にヒータを配置しても、多孔性のフィルタを通過した空気は、底側のヒータを通過した後、再び多孔性のフィルタを通過してから出力されるので、ヒータで加熱された高温の空気は必ずフィルタを通過し、フィルタを高温に維持することができる。そして、後述するように、波型の伝熱板を用いれば、多孔性のフィルタにおいて未浄化の空気が通過する部分と浄化済みの空気が通過する部分が隣接し、ヒータで加熱された高温の空気が通過する部分がフィルタ全体に分散されるので、フィルタ全体の温度を十分効率良く上げることができ、フィルタ全体を活性状態にすることができる。したがって、ヒータをフィルタの底側に設置しても、それによる熱的なディメリットはほとんどない。
【0016】
このように、ヒータをフィルタの底側に配置することにより、フィルタの開口側の流路の構成は非常に簡易になる。熱交換部には、通過済みの空気と未通過の空気とを分離して熱交換する伝熱板を配置し、その伝熱板を多孔性フィルタの近傍まで延ばすだけで、有底筒型の断熱性容器の中に、対向流型の熱交換部を形成できる。筒型は円筒形に限らず、角筒型であっても良い。そして、伝熱板をフィルタの近傍に延ばすことで、フィルタを通過した直後の浄化済みの空気と未浄化の空気の熱交換を可能として熱交換効率を上げ、高温の浄化済みの空気をフィルタに供給することができる。
【0017】
多孔性フィルタの開口側が平面になっていれば、その平面に伝熱部を構成する伝熱板の端部を接するまで延ばすことにより、浄化済みの空気と未浄化の空気とが混合(リーク)するのを防止できると共に、フィルタ通過直後の浄化済みの空気により未浄化の空気を加熱できる。したがって、浄化効率も高く、熱効率も高い空気浄化装置を提供できる。
【0018】
さらに、多孔性フィルタを通過済みの空気と未通過の空気を分離する伝熱板の形状は、波型であることが望ましい。波型には、U字型が連続したものはもちろん、鋸歯状のもの、パルス型のもの、あるいはそれらに類似した形状のものがすべて含まれる。繰返し折曲げる部分を有する波形の伝熱板を用いると、同一の容積の中に広い面積の伝熱面を形成することができ、コンパクトな対向流型の熱交換部を作ることができる。また、波型に形成された伝熱板を円筒状の断熱性容器に挿入するだけで、その内断面を2分し、未浄化の空気と浄化済みの空気とが流れる流路を断熱性容器内に形成できる。さらに、上述したように、多孔性のフィルタにおいて、未浄化の空気と浄化済みの空気が通過する部分を分散させることができるので、多孔性のフィルタの温度を全体に高めることが可能となり、触媒を担持したフィルタの除去効率を向上できる。
【0019】
また、断熱性容器の内断面を2分するように設けた伝熱板の開口側の端部に接するようにダクトを形成することにより、簡単に未通過の空気を熱交換部に導く吸気部と、通過済みの空気を吐出する吐出部とを形成する入出力ダクトを設けることができる。未浄化の空気と浄化済みの空気を、筒型の断熱性容器内のそれぞれの空気の流路に分配して供給する機能を伝熱板を延長した構成で実現することが可能となり、分配および供給機能も含めた空気浄化装置の構成が簡易になる。また、未浄化の空気と浄化済みの空気を断熱性容器内に導くための分配および供給機能の部分から、それらの空気の間で熱交換することが可能となり、熱交換効率を向上でき、ヒータの消費電力を小さくできると共に、吸気された空気により近い温度の浄化済みの空気を出力できる。
【0020】
また、本発明の空気浄化装置は、断熱性容器の底側からヒータ、触媒を担持したフィルタ、および対向流型の熱交換部を構成する伝熱板を順番に組み立てることにより構成できる。したがって、断熱性容器の開口側からの作業のみで空気浄化装置を組み立てることが可能であり、断熱性容器として、底部が側壁部と一体成形された真空断熱性容器を使用することが可能である。この真空断熱性容器は、密封性および断熱性が高く、軽量でありながら耐久性も高く、さらに、低コストである。したがって、熱効率が高く省エネルギーであり、コンパクトで安全な空気浄化装置あるいは空気清浄装置を低コストで供給することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図1に本発明にかかる空気浄化装置の外観を示してある。本例の空気浄化装置10は、円筒状で、有底筒型の断熱性容器1と、断熱性容器1の中心軸と垂直に延びた角型のダクトであって、断熱性容器1の開口1uを塞ぐように取り付けられた入出力ダクト7とを備えている。入出力ダクト7の一方の開口7aは、未浄化の空気8aを取り入れる吸込み口であり、ダクト7の他方の開口7bは、浄化済みの空気8bを排出する吹出し口である。有底筒型の断熱性容器1の内部には、底側1dから順番に、ヒータ3、触媒を担持した多孔性フィルタ2および鋸歯状に折り曲げられた伝熱板41が順番に収納されており、断熱性容器1のシェル1sと伝熱板41により未浄化の空気8aと、浄化済みの空気8bとが逆方向に流れながら熱交換する対向流型の熱交換部4が形成されている。
【0022】
図2に、入出力ダクト7を取り外し、断熱性容器1を切り欠いて、断熱性容器1の内部の状態を示してある。また、図3に流れに沿った方向の断面により断熱性容器1の内部の構造を示してあり、図4には流れに垂直な方向の断面により断熱性容器1の内部の構造を示してある。伝熱板41は、1枚の熱伝導率の高い材質、たとえば、アルミニウムなどの板を繰返し折曲げることにより波形に形成されている。さらに、伝熱板41は、断熱性容器1の内断面を二つの領域に分けるように、両端部42および43が断熱性容器1の筒部1sの内面にほぼ密着するように断熱性容器1の内部に収納されている。したがって、断熱性容器1の内部に、未浄化の空気8aと浄化済みの空気8bとが伝熱板41を挟んで対向して流れる二つの流路45および46が構成され、これらの空気8aおよび8bの間で伝熱板41を介して熱交換が行われる。したがって、断熱性容器1の長手方向の多くの部分が未浄化の空気8aと浄化済みの空気8bとが対向して流れながら熱交換を行う熱交換部4となっている。
【0023】
図2においては、伝熱板41の下端41dを以下で説明するフィルタを見せるために途中で切欠いているが、実際は、図3および図4に示すように、フィルタの直前まで延びており、フィルタの直前まで未浄化の空気8aが浄化済みの空気8bと分離して熱交換しながら導かれるようになっている。また、伝熱板41の上端41uは、断熱性容器1の上端(開口)1uから上に突き出してダクト7の内部に延びており、入出力ダクト7の上面7uに当たり、入出力ダクト7の内部を未浄化の空気8aを吸込む領域(吸気部)7aと、浄化済みの空気8bを吹出す領域(吐出部)7bに分けている。したがって、吸気部7aから流入した空気8aは入出力ダクト7を仕切る伝熱板41にあたって下方に方向を変え、熱交換部4の流路45に流入する。一方、熱交換部4の流路46から流出した空気8bは入出力ダクト7の中で方向を変えて吐出部7bから外界に出力される。
【0024】
熱交換部4の下方に配置された多孔性フィルタ2は、上下方向あるいは断熱性容器1の中心軸方向に延びた多数の細孔21を備えたハニカム状であり、全体としては円盤状に形成されている。したがって、フィルタ2の断熱性容器1の開口側、すなわち、多孔性フィルタ2の上面2uは平面になっており、伝熱板41の下端41dをフィルタ2の近傍まで延ばすことにより、未浄化の空気8aを浄化済みの空気8bと混合させないでフィルタ2まで導くことができる。
【0025】
多孔性のフィルタ2には、空気の浄化に適した触媒、たとえば、白金(Pt)、アルミ基合金(Cr−Ni−Al)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、ゼオライト、チタン酸カリウム(K2Ti2O5)、酸化バナジウム(V2O5)などのいずれか、または複数の触媒が担持されており、空気中の有害成分、たとえば、HC(炭化水素化合物、未燃焼成分)、NOx(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)、SOx(硫黄分)、さらには、PM(微粒子成分)などを触媒反応により酸化したり還元したりすることにより除去できる。これらの触媒の活性化温度はいずれも300℃から400℃、低くても180℃程度であり、本例の空気浄化装置10においては、これらの触媒が活性化温度あるいはその近傍で効率良く触媒反応を継続できるようにしている。
【0026】
本発明の空気浄化装置10で触媒の温度を活性化状態になるように維持できるので、浄化装置10に使用可能な触媒は、上記のものに限定されることはなく、現在、車両の排ガス浄化のために開発された、あるいは今後開発される触媒をすべて含むものである。また、フィルタ2は、触媒の活性化温度における耐熱性が十分にある金属あるいはセラミックを担体として触媒を担持したものであっても良く、触媒自体をハニカム状に成形したものであっても良い。また、ハニカム状のフィルタの代わりに、多孔の薄い円盤状のフィルタを積層したタイプなどであっても良い。しかしながら、未浄化の空気との十分な接触面積を確保し、ショートカットを防止するにはハニカム状のフィルタが適していると考えられている。また、ハニカム状のフィルタには、孔21の断面形状が6角形以外のものも含まれる。
【0027】
断熱性容器1の底部1dに設置されたヒータ3は、外部の電源装置31から電力の供給を受けて、ヒータ3と接触するように通過する空気8dを加熱する。さらに、ヒータ3からの輻射熱により、ヒータ3の直上に設置された多孔性フィルタ2を加熱する。したがって、ヒータ3の出力により触媒を担持したフィルタ2を加熱して触媒を活性化温度あるいはその近傍に維持できる。このヒータ3の出力は、多孔性フィルタ2の温度、あるいは、その近傍の空気温度をセンサ32で検出することにより制御可能である。したがって、フィルタ2の温度を活性状態としては十分であるが、高温になり過ぎない範囲となるようにヒータ3の出力を抑制することができる。
【0028】
伝熱板41、フィルタ2およびヒータ3を収納する断熱性容器1は、底1dと周囲1sとが一体になった真空断熱性容器である。例えば、ステンレス鋼板を深絞り加工して底部が側壁部と一体成形された有底筒型の外容器1aおよび内容器1bを備え、それらの隙間が真空に保持された二重壁型の断熱性容器1が知られている。この方式の真空断熱性容器は、内部から輻射熱および熱伝達を含めて断熱性に優れていると共に、軽量、かつ、コンパクトで、強度も高く、大量生産に適している。したがって、ヒータ3の出力は、触媒を担持したフィルタ2の加熱に効率良く使用され、熱効率の高い空気浄化装置10を実現できる。また、内部が400℃前後になっても断熱性容器1の外側の温度上昇を抑制できるので、民生用として十分に安全な空気浄化装置10を実現できる。
【0029】
本例の空気浄化装置10は、底が一体成形された断熱性容器を用いた構成に限定されるものではない。しかしながら、容器1の底1dの側から、ヒータ3、フィルタ2および伝熱板41を順番に収納し、容器1の開口1uにダクト7を取り付けることにより組み立てできる。このため、組み立てあるいはメンテナンスのために容器1の底面からアクセスする必要はなく、本例の底1dと側面1sとが予め一体成形された断熱性容器を用いても組み立てが可能であり、より低コストで、断熱性および気密性の高い空気浄化装置10を提供することができる。
【0030】
なお、図面では、右側から未浄化の空気8aが供給され、左側から浄化済みの空気8bが出力されるようになっているが、空気の経路はかならずしもこれに限定されない。本例の空気浄化装置10を容器1の中心軸が傾いたりあるいは水平になるように設置(横置き)すれば、上方に位置する経路45または46が加温された浄化済みの空気8bが出力される経路となるように自然循環するであろう。また、供給ファンあるいは吹出しファンを設けることにより、空気を強制循環させることも可能である。
【0031】
このように、本例の空気浄化装置10は、有底筒型の断熱性容器1と、この断熱性容器の底1dの側に配置された、触媒を担持した多孔性フィルタ2と、多孔性フィルタを通過する空気を加熱可能なヒータ3と、さらに、断熱性容器の開口1uの側に配置された対向流型の熱交換器であって、多孔性フィルタ2を通過済みの空気8bと多孔性フィルタ2を未通過の空気8aとの間で熱交換可能な熱交換部4とを有する。したがって、ダクト7の吸気部7aから取入れられた空気8aは、図3に示すように、入出力ダクト7から伝熱板41により形成された対向流型熱交換部4の一方の流路45を通って流れる。
【0032】
伝熱板41は波型に加工されているので、流入方向から見ると図4に示すように、未浄化の空気8aは、多孔性フィルタ2を通過済みの空気8bと隣接して対向して流れ、浄化済みの空気8bにより加熱される。その後、多孔性フィルタ2に導かれ、フィルタ2の細孔21の中を下向きに通って触媒反応により有害成分が除去され、ヒータ3の設置された断熱性容器1の底部に至る。断熱性容器1の底部で空気8dはヒータ3により、さらに加熱され、方向を180度転じて、多孔性フィルタ2の細孔21の中を上向きに通過し、さらに有害成分が除去される。また、数百度に加熱されることにより、細菌やウィルスなどの成分も除去される。そして、対向流型熱交換部4に入り、未浄化の空気8aを加熱する。そして、浄化済みの空気8bは、未浄化の空気8aにより冷却された後に、ダクト7の吐出部7bから吐出される。
【0033】
したがって、本例の空気浄化装置10では、吸気口7aから取りいれられた室内あるいは車内の室温の空気8aは、多孔性フィルタ2を通過する段階で、フィルタ2に担持された触媒がその活性を発揮する温度に加温される。一方、触媒により浄化された空気8bは、吸気口7aから取り入れた未浄化の空気8aにより冷却され、室温あるいはそれに近い温度で出力される。対向流型熱交換部4は、温度効率は極めて高く、吐出部7bにおいては、浄化済みの空気8bの温度は吸気口7aから吸込まれた未浄化の空気8aの温度の極く近くまで下がる。したがって、熱風が吐出口7bから吹出されることはない。また、フィルタ2の近傍においては、未浄化の空気8aの温度は、フィルタ2を通過した直後の高温の浄化済みの空気8bの温度の極く近くまで上昇する。
【0034】
したがって、本例の空気浄化装置10においては、浄化のために空気をいったん高温にするが、外界に対してほとんど熱を放出せず、また、空気を高温にするためにエネルギーをほとんど消費しない。このため、外界(室内や車内)に対して放出する熱は非常に小さくなり、空気浄化のために室温が上昇することはほとんどない。また、空気8aの温度を上げたり、フィルタ2の温度を上げるためにヒータ3で消費される電力も抑制することが可能であり、いったんフィルタ2の温度を上げて触媒が活性化する温度になれば、その後のヒータ3の消費電力は非常に小さいものとなる。したがって、消費電力が小さく、ランニングコストの少ない空気浄化装置を提供できる。
【0035】
未浄化の空気8aから有害物の除去効率をもっとも高めるためには、フィルタ2に供給される前の段階で、未浄化の空気8aの温度を活性化温度よりも高くしておくことが望ましいと考えられる。そのためには、伝熱板41とフィルタ2の間にヒータ3を設置することが望ましい。また、ヒータ3の輻射熱により、伝熱板41とフィルタ2とを加温できるので、未浄化の空気8aの温度を上げる構造としては適していると考えられる。しかしながら、伝熱板41とフィルタ2の間にヒータ3を配置すると、この間で未浄化の空気8aと浄化済みの空気8bとが混合してしまい浄化効率が低下する可能性がある。
【0036】
たとえば、波型に加工された伝熱板41の下端41dの経路45の側に沿ってヒータ3を配置することにより、空気8aおよび8bが混合する可能性を排除できる可能性があり、この方式も本発明には含まれる。しかしながら、ヒータ3の形状が複雑になることが考えられる。また、ヒータ3が面するフィルタ2の部分が空気8aが供給される部分に限定されるので、ヒータ3をフィルタ2の反対側に配置した場合よりもフィルタ2の温度分布が大きくなるかもしれないことが考えられる。それにも増して、ヒータ3をフィルタ2のより伝熱板41の側に設けることにより、伝熱板41の下端41dの温度が上がるので、浄化済みの空気8bの冷却には不利な構成となり、熱効率が低下し、浄化済みの空気8bを十分に冷却するために伝熱板41の長さを延ばす必要が生じ、その結果、断熱性容器1の長さを長くする必要が生ずる可能性がある。
【0037】
これらの点を考慮すると、本例の空気浄化装置10のように、ヒータ3をフィルタ2の底側1uに配置することが望ましい。対向流型の熱交換部4により、フィルタ2を通過した直後の浄化済みの空気8bとほぼ同じ程度まで未浄化の空気8aは加熱されるので、未浄化の空気8aを触媒反応を進めるには十分な温度にすることができる。また、触媒を担持したフィルタ2も、ヒータ3の輻射熱と、フィルタ2の細孔21を通過する加熱済みの空気8dにより十分に加熱される。さらに、波型の伝熱板41に対応して、加熱された空気8dが通過する細孔21もフィルタ2に広く分布することを考えると、フィルタ2の底側にヒータ3を設けることにより、フィルタ2の全体を十分に加熱することが可能であり、担持された触媒の効果を十分に得ることができる。
【0038】
さらに、フィルタ2に対して伝熱板41と反対側にヒータ3が位置するので、フィルタ2と伝熱板41との間の構造は非常に簡素になり、伝熱板41の下端41dをフィルタ2の近傍まで延ばして、熱交換効率を高めると共に、浄化済みの空気と未浄化の空気が混合して浄化効率が損なわれるのを防止することができる。なお、図4には、多孔性フィルタ2の多数の細孔21の位置と流路を分ける仕切板となる伝熱板41の位置を、説明を簡単にするために、一対一に示してあるが、必ずしも細孔21の一つ一つがすべて、流路45か流路46のいずれか一つに対応するとは限らず、その程度の混合は実用上は差し支えない範囲であると言える。
【0039】
また、上記の例では、図5(a)に示すように、対向流型の熱交換部4を構成する伝熱板41として鋸歯状に波型に加工した例を示してあるが、伝熱板41の形状はこれに限定されるものではない。図5(b)の伝熱板49aは、折曲げ部をU字型にしたものであり、図5(c)の伝熱板49bは、折曲げ部をコ字型に折り曲げてパルス状の伝熱面を構成したものである。また、図5(d)に示す伝熱板49cように、1枚の板を折り曲げる代わりに、U字型に加工した複数のアルミニウム板48を組み合わせ、それらの端48aをカシメまたは潰したりして固定した伝熱板を形成することも可能である。
【0040】
さらに、図6に示すように、アルミニウム製のハニカムまたは格子状ブロック49dを熱交換部4aとして使用した空気浄化装置10aを提供することも可能である。この空気浄化装置10aにおいては、入出力ダクト7の代わりに、未浄化の空気8aを熱交換部4aに分配する分配ヘッダ9を使用し、アルミハニカム49dの格子の約半数を未浄化の空気8aの通路45として、他の半数を浄化済み空気8bの通路としている。
【0041】
なお、本発明の空気浄化装置は、フィルタ2を触媒の活性化温度に維持した状態でサービスできるように構成されているが、フィルタ2の吸着性能を期待して、断続的にヒータ3を稼動させて、フィルタ2の吸着および常温による分解能力と、活性化状態の触媒の能力とを交互に発揮させる運用も可能である。この運用の場合も、本発明の空気浄化装置であれば、触媒の温度を上げて活性化した状態でも継続して、安全にサービスすることが可能であり、空気浄化能力の高い浄化装置を提供できる。
【0042】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の空気浄化装置は、空気中の有害物質を分解する機能を有する触媒を担持したフィルタを触媒が活性化する温度状態で継続してサービスさせることが可能である。したがって、車両の排ガス浄化などのために開発された触媒の性能を活かし、低コストで安全であり、さらに浄化効率の高い民生用の空気浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気浄化装置の外観を示す図である。
【図2】図1に示す空気浄化装置のダクトおよび容器の一部を欠いて内部の構成を示す図である。
【図3】図1に示す空気浄化装置の空気の流れに沿った方向の断面図である。
【図4】図1に示す空気浄化装置の空気の流れに垂直な方向の断面図である。
【図5】対向流型熱交換部を構成する伝熱板の幾つかの例を示す図である。
【図6】本発明の他の空気浄化装置の例を示す図である。
【符号の説明】
1 断熱性容器
2 多孔性フィルタ
3 ヒータ
4 対向流型熱交換部
7 入出力ダクト
8a 未浄化の空気、 8b 浄化済みの空気
10、10a 空気浄化装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内や車内の空気中の有害物質を除去する空気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気中の有害ガス、たとえば、窒素酸化物、一酸化炭素、炭化水素などを除去する空気浄化装置が知られている。たとえば、特開平7−83457号には、空気中の有害ガスを吸着・分解する機能を有する触媒を担持させたヒータを通風路内に設けて、触媒の活性が低下したときにヒータで加熱して活性の再生を図る空気清浄機が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−83457号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
有害ガスの除去を目的とする空気浄化装置(空気清浄機、分煙器等、いろいろな名称で呼ばれる装置が含まれる)では、有害ガスをフィルタで吸着除去する方法が一般的であり、フィルタの吸着能力が低下した場合は、フィルタを交換する必要がある。これに対し、上記のように、触媒を用いた空気清浄機においては、有害ガスを吸着除去するが、吸着能力が低下した触媒を定期的に加熱して活性化することにより、フィルタを交換する手間とコストを省くことができる。また、常温であっても触媒による有害ガスを分解する能力を期待できる。
【0005】
しかしながら、定期的に数百度程度(上記の文献では400度程度)まで温度を上げて数時間程度(上記の文献では1時間)は活性化しないと再度空気を浄化する能力が得られない。したがって、フィルタを交換する手間は不要になったとは言え、継続運転は不可能である。さらに、活性化する際の熱処理の問題がある。たとえば、吸着された有害ガスを触媒反応により分解するためには空気を供給する必要があり、高温になった空気をどのように処理するかが問題である。また、高温になった触媒の温度が室温程度まで低下しないと通常サービスに入れず、活性化の時間が1時間としても、冷却期間を入れると結局数時間はサービスが中断する。さらに、活性化する際に数百度になるので、ユーザが万一触ってもやけどをしないような断熱処理が必要であり、通常サービスでは必要ない構造を採用しないと民生用には使えない。
【0006】
特殊な用途として、自動車の排ガスを浄化するために触媒を使用する技術は、近年、急速に発展している。排ガス中に含まれるHC、CO、NOxを触媒で同時に酸化還元して無害化する技術、ディーゼルエンジンからの排ガスに含まれる粒子状物質(PM)を除去する技術などにも白金などの触媒を用いて連続再生しながら有害物質を除去する技術が開発されたり、あるいは研究が進みつつある。したがって、排ガスから有害物質を除去する技術を民生用に利用できれば、フィルタを交換する手間や、吸着物質を再生する時間を無くして、連続して空気を清浄することが可能な空気清浄装置を提供できる。
【0007】
しかしながら、自動車の排ガスを浄化する技術では、高温の排ガスを処理すれば良いこと、触媒の設置場所をユーザから隔離できることなど、民生用の空気浄化装置と比較して触媒を利用する上で有利な点があり、そのまま、車内や部屋に設置する民生用の空気浄化装置に適用することはできない。たとえば、活性化状態の触媒を低温の空気浄化のために利用しようとすれば、空気を加熱する必要があり、そのための設備とエネルギーが必要となる。また、いったん加熱された空気を冷却する必要があり、そのためにも設備とエネルギーが必要となる。さらに、触媒を活性化状態にするには数百度の温度で維持する必要があるために、安全性の確保にも問題がある。
【0008】
そこで、本発明においては、低温の空気を浄化するために、自動車の排ガス処理と同様に、活性状態の触媒を用いて有害物質を連続して除去することができる空気浄化装置を提供することを目的としている。そのために、低コストで触媒の活性化温度に空気を加熱すると同時に冷却して排出することができ、さらに、車内、オフィスあるいは家庭に設置しても安全な空気浄化装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明においては、有底筒型の断熱性容器の底側に触媒を配置し、空気を加熱可能なヒータを収納すると共に、開口側を対向流型の熱交換部とする。これにより、断熱性容器の内部に、自動車の排ガス処理と同様に、活性状態の触媒を用いて有害物質を連続して除去することができる環境を形成する。すなわち、本発明の空気浄化装置は、有底筒型の断熱性容器と、この断熱性容器の底側に配置された、触媒を担持した多孔性フィルタと、多孔性フィルタを通過する空気を加熱可能なヒータと、断熱性容器の開口側に配置された対向流型の熱交換部とを有する。そして、この対向流型の熱交換部を、多孔性フィルタを通過済みの空気と多孔性フィルタを未通過の空気との間で熱交換可能な熱交換部とする。
【0010】
この空気浄化装置は、断熱性容器の内部に、触媒を担持した多孔性のフィルタと、加熱用のヒータを配置することにより、外界と熱的に遮断された環境で、活性化温度に加熱された状態で触媒に空気を供給できる。したがって、触媒を用いて連続再生しながら安全に空気を浄化することができる。このため、フィルタの交換や再生が不要で、連続運転が可能な空気浄化装置を提供できる。
【0011】
さらに、断熱性容器を有底筒型として、その底側に触媒を担持した多孔性のフィルタを配置することにより、開口側には、多孔性フィルタを通過済みの空気(浄化済み空気)と多孔性フィルタを未通過の空気(未浄化の空気)とが対向して流れる流路が形成される。したがって、この流路を、これらの空気の間で熱交換が可能な対向流型の熱交換部とすることにより、加熱用のヒータの電力消費を低減できると同時に、浄化済みの空気を冷却するための設備およびエネルギーを省くことが可能となる。
【0012】
すなわち、この空気浄化装置においては、加熱用のヒータを用いて、いったん、触媒を担持したフィルタにおいて触媒の活性化温度近傍あるいはそれ以上の条件で空気が通過する条件が形成されれば、理想的には、対向流型の熱交換部によりその条件が維持される。したがって、加熱用のヒータの電力消費を低くでき、また、浄化済み空気を冷却する冷却装置や、それに費やされるエネルギーも不要となる。このため、活性化状態の触媒を、簡易な構成で利用でき、さらに、ランニングコストも安い空気浄化装置を提供できる。したがって、本発明により、自動車の排ガス浄化のために開発された、あるいは開発されつつある技術を、民生用の空気浄化装置として、安全に、また、低コストで利用することが可能となる。
【0013】
触媒を担持したフィルタの温度を効率良く上げるためには、ヒータで加熱された未浄化の空気をフィルタに供給することが望ましく、フィルタの開口側にヒータを設置することが望ましいであろう。しかしながら、フィルタの開口側は、浄化済みの空気の流路ともなり、浄化済みの空気を加熱することはヒータのエネルギーの無駄となるばかりではなく、冷却負荷が増加する要因にもなる。それを避けようとすると、未浄化の空気と浄化済みの空気の流路を少なくともヒータの部分においては分離する必要があり、構造が複雑になる。
【0014】
これに対し、ヒータを、触媒を担持したフィルタに対して断熱性容器の底側に配置すると、未浄化の空気と浄化済みの空気の流路を分離する必要がなくなり、空気浄化装置の構成は非常に簡素化される。この構成により、断熱性容器内にヒータ、多孔性フィルタ、対向流型熱交換器等を順番に挿入・設置すれば良く、各機器の配置が容易になると共に、空気の流路の構成が容易になる。
【0015】
その一方、未浄化の空気は、対向流型の熱交換部により、浄化済みの空気、すなわち、ヒータにより加熱された空気と同程度の温度まで加熱されるので、触媒を担持したフィルタを通過する空気の温度はヒータに加熱された状態にほぼ等しい。また、多孔性のフィルタの底側にヒータを配置しても、多孔性のフィルタを通過した空気は、底側のヒータを通過した後、再び多孔性のフィルタを通過してから出力されるので、ヒータで加熱された高温の空気は必ずフィルタを通過し、フィルタを高温に維持することができる。そして、後述するように、波型の伝熱板を用いれば、多孔性のフィルタにおいて未浄化の空気が通過する部分と浄化済みの空気が通過する部分が隣接し、ヒータで加熱された高温の空気が通過する部分がフィルタ全体に分散されるので、フィルタ全体の温度を十分効率良く上げることができ、フィルタ全体を活性状態にすることができる。したがって、ヒータをフィルタの底側に設置しても、それによる熱的なディメリットはほとんどない。
【0016】
このように、ヒータをフィルタの底側に配置することにより、フィルタの開口側の流路の構成は非常に簡易になる。熱交換部には、通過済みの空気と未通過の空気とを分離して熱交換する伝熱板を配置し、その伝熱板を多孔性フィルタの近傍まで延ばすだけで、有底筒型の断熱性容器の中に、対向流型の熱交換部を形成できる。筒型は円筒形に限らず、角筒型であっても良い。そして、伝熱板をフィルタの近傍に延ばすことで、フィルタを通過した直後の浄化済みの空気と未浄化の空気の熱交換を可能として熱交換効率を上げ、高温の浄化済みの空気をフィルタに供給することができる。
【0017】
多孔性フィルタの開口側が平面になっていれば、その平面に伝熱部を構成する伝熱板の端部を接するまで延ばすことにより、浄化済みの空気と未浄化の空気とが混合(リーク)するのを防止できると共に、フィルタ通過直後の浄化済みの空気により未浄化の空気を加熱できる。したがって、浄化効率も高く、熱効率も高い空気浄化装置を提供できる。
【0018】
さらに、多孔性フィルタを通過済みの空気と未通過の空気を分離する伝熱板の形状は、波型であることが望ましい。波型には、U字型が連続したものはもちろん、鋸歯状のもの、パルス型のもの、あるいはそれらに類似した形状のものがすべて含まれる。繰返し折曲げる部分を有する波形の伝熱板を用いると、同一の容積の中に広い面積の伝熱面を形成することができ、コンパクトな対向流型の熱交換部を作ることができる。また、波型に形成された伝熱板を円筒状の断熱性容器に挿入するだけで、その内断面を2分し、未浄化の空気と浄化済みの空気とが流れる流路を断熱性容器内に形成できる。さらに、上述したように、多孔性のフィルタにおいて、未浄化の空気と浄化済みの空気が通過する部分を分散させることができるので、多孔性のフィルタの温度を全体に高めることが可能となり、触媒を担持したフィルタの除去効率を向上できる。
【0019】
また、断熱性容器の内断面を2分するように設けた伝熱板の開口側の端部に接するようにダクトを形成することにより、簡単に未通過の空気を熱交換部に導く吸気部と、通過済みの空気を吐出する吐出部とを形成する入出力ダクトを設けることができる。未浄化の空気と浄化済みの空気を、筒型の断熱性容器内のそれぞれの空気の流路に分配して供給する機能を伝熱板を延長した構成で実現することが可能となり、分配および供給機能も含めた空気浄化装置の構成が簡易になる。また、未浄化の空気と浄化済みの空気を断熱性容器内に導くための分配および供給機能の部分から、それらの空気の間で熱交換することが可能となり、熱交換効率を向上でき、ヒータの消費電力を小さくできると共に、吸気された空気により近い温度の浄化済みの空気を出力できる。
【0020】
また、本発明の空気浄化装置は、断熱性容器の底側からヒータ、触媒を担持したフィルタ、および対向流型の熱交換部を構成する伝熱板を順番に組み立てることにより構成できる。したがって、断熱性容器の開口側からの作業のみで空気浄化装置を組み立てることが可能であり、断熱性容器として、底部が側壁部と一体成形された真空断熱性容器を使用することが可能である。この真空断熱性容器は、密封性および断熱性が高く、軽量でありながら耐久性も高く、さらに、低コストである。したがって、熱効率が高く省エネルギーであり、コンパクトで安全な空気浄化装置あるいは空気清浄装置を低コストで供給することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図1に本発明にかかる空気浄化装置の外観を示してある。本例の空気浄化装置10は、円筒状で、有底筒型の断熱性容器1と、断熱性容器1の中心軸と垂直に延びた角型のダクトであって、断熱性容器1の開口1uを塞ぐように取り付けられた入出力ダクト7とを備えている。入出力ダクト7の一方の開口7aは、未浄化の空気8aを取り入れる吸込み口であり、ダクト7の他方の開口7bは、浄化済みの空気8bを排出する吹出し口である。有底筒型の断熱性容器1の内部には、底側1dから順番に、ヒータ3、触媒を担持した多孔性フィルタ2および鋸歯状に折り曲げられた伝熱板41が順番に収納されており、断熱性容器1のシェル1sと伝熱板41により未浄化の空気8aと、浄化済みの空気8bとが逆方向に流れながら熱交換する対向流型の熱交換部4が形成されている。
【0022】
図2に、入出力ダクト7を取り外し、断熱性容器1を切り欠いて、断熱性容器1の内部の状態を示してある。また、図3に流れに沿った方向の断面により断熱性容器1の内部の構造を示してあり、図4には流れに垂直な方向の断面により断熱性容器1の内部の構造を示してある。伝熱板41は、1枚の熱伝導率の高い材質、たとえば、アルミニウムなどの板を繰返し折曲げることにより波形に形成されている。さらに、伝熱板41は、断熱性容器1の内断面を二つの領域に分けるように、両端部42および43が断熱性容器1の筒部1sの内面にほぼ密着するように断熱性容器1の内部に収納されている。したがって、断熱性容器1の内部に、未浄化の空気8aと浄化済みの空気8bとが伝熱板41を挟んで対向して流れる二つの流路45および46が構成され、これらの空気8aおよび8bの間で伝熱板41を介して熱交換が行われる。したがって、断熱性容器1の長手方向の多くの部分が未浄化の空気8aと浄化済みの空気8bとが対向して流れながら熱交換を行う熱交換部4となっている。
【0023】
図2においては、伝熱板41の下端41dを以下で説明するフィルタを見せるために途中で切欠いているが、実際は、図3および図4に示すように、フィルタの直前まで延びており、フィルタの直前まで未浄化の空気8aが浄化済みの空気8bと分離して熱交換しながら導かれるようになっている。また、伝熱板41の上端41uは、断熱性容器1の上端(開口)1uから上に突き出してダクト7の内部に延びており、入出力ダクト7の上面7uに当たり、入出力ダクト7の内部を未浄化の空気8aを吸込む領域(吸気部)7aと、浄化済みの空気8bを吹出す領域(吐出部)7bに分けている。したがって、吸気部7aから流入した空気8aは入出力ダクト7を仕切る伝熱板41にあたって下方に方向を変え、熱交換部4の流路45に流入する。一方、熱交換部4の流路46から流出した空気8bは入出力ダクト7の中で方向を変えて吐出部7bから外界に出力される。
【0024】
熱交換部4の下方に配置された多孔性フィルタ2は、上下方向あるいは断熱性容器1の中心軸方向に延びた多数の細孔21を備えたハニカム状であり、全体としては円盤状に形成されている。したがって、フィルタ2の断熱性容器1の開口側、すなわち、多孔性フィルタ2の上面2uは平面になっており、伝熱板41の下端41dをフィルタ2の近傍まで延ばすことにより、未浄化の空気8aを浄化済みの空気8bと混合させないでフィルタ2まで導くことができる。
【0025】
多孔性のフィルタ2には、空気の浄化に適した触媒、たとえば、白金(Pt)、アルミ基合金(Cr−Ni−Al)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、ゼオライト、チタン酸カリウム(K2Ti2O5)、酸化バナジウム(V2O5)などのいずれか、または複数の触媒が担持されており、空気中の有害成分、たとえば、HC(炭化水素化合物、未燃焼成分)、NOx(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)、SOx(硫黄分)、さらには、PM(微粒子成分)などを触媒反応により酸化したり還元したりすることにより除去できる。これらの触媒の活性化温度はいずれも300℃から400℃、低くても180℃程度であり、本例の空気浄化装置10においては、これらの触媒が活性化温度あるいはその近傍で効率良く触媒反応を継続できるようにしている。
【0026】
本発明の空気浄化装置10で触媒の温度を活性化状態になるように維持できるので、浄化装置10に使用可能な触媒は、上記のものに限定されることはなく、現在、車両の排ガス浄化のために開発された、あるいは今後開発される触媒をすべて含むものである。また、フィルタ2は、触媒の活性化温度における耐熱性が十分にある金属あるいはセラミックを担体として触媒を担持したものであっても良く、触媒自体をハニカム状に成形したものであっても良い。また、ハニカム状のフィルタの代わりに、多孔の薄い円盤状のフィルタを積層したタイプなどであっても良い。しかしながら、未浄化の空気との十分な接触面積を確保し、ショートカットを防止するにはハニカム状のフィルタが適していると考えられている。また、ハニカム状のフィルタには、孔21の断面形状が6角形以外のものも含まれる。
【0027】
断熱性容器1の底部1dに設置されたヒータ3は、外部の電源装置31から電力の供給を受けて、ヒータ3と接触するように通過する空気8dを加熱する。さらに、ヒータ3からの輻射熱により、ヒータ3の直上に設置された多孔性フィルタ2を加熱する。したがって、ヒータ3の出力により触媒を担持したフィルタ2を加熱して触媒を活性化温度あるいはその近傍に維持できる。このヒータ3の出力は、多孔性フィルタ2の温度、あるいは、その近傍の空気温度をセンサ32で検出することにより制御可能である。したがって、フィルタ2の温度を活性状態としては十分であるが、高温になり過ぎない範囲となるようにヒータ3の出力を抑制することができる。
【0028】
伝熱板41、フィルタ2およびヒータ3を収納する断熱性容器1は、底1dと周囲1sとが一体になった真空断熱性容器である。例えば、ステンレス鋼板を深絞り加工して底部が側壁部と一体成形された有底筒型の外容器1aおよび内容器1bを備え、それらの隙間が真空に保持された二重壁型の断熱性容器1が知られている。この方式の真空断熱性容器は、内部から輻射熱および熱伝達を含めて断熱性に優れていると共に、軽量、かつ、コンパクトで、強度も高く、大量生産に適している。したがって、ヒータ3の出力は、触媒を担持したフィルタ2の加熱に効率良く使用され、熱効率の高い空気浄化装置10を実現できる。また、内部が400℃前後になっても断熱性容器1の外側の温度上昇を抑制できるので、民生用として十分に安全な空気浄化装置10を実現できる。
【0029】
本例の空気浄化装置10は、底が一体成形された断熱性容器を用いた構成に限定されるものではない。しかしながら、容器1の底1dの側から、ヒータ3、フィルタ2および伝熱板41を順番に収納し、容器1の開口1uにダクト7を取り付けることにより組み立てできる。このため、組み立てあるいはメンテナンスのために容器1の底面からアクセスする必要はなく、本例の底1dと側面1sとが予め一体成形された断熱性容器を用いても組み立てが可能であり、より低コストで、断熱性および気密性の高い空気浄化装置10を提供することができる。
【0030】
なお、図面では、右側から未浄化の空気8aが供給され、左側から浄化済みの空気8bが出力されるようになっているが、空気の経路はかならずしもこれに限定されない。本例の空気浄化装置10を容器1の中心軸が傾いたりあるいは水平になるように設置(横置き)すれば、上方に位置する経路45または46が加温された浄化済みの空気8bが出力される経路となるように自然循環するであろう。また、供給ファンあるいは吹出しファンを設けることにより、空気を強制循環させることも可能である。
【0031】
このように、本例の空気浄化装置10は、有底筒型の断熱性容器1と、この断熱性容器の底1dの側に配置された、触媒を担持した多孔性フィルタ2と、多孔性フィルタを通過する空気を加熱可能なヒータ3と、さらに、断熱性容器の開口1uの側に配置された対向流型の熱交換器であって、多孔性フィルタ2を通過済みの空気8bと多孔性フィルタ2を未通過の空気8aとの間で熱交換可能な熱交換部4とを有する。したがって、ダクト7の吸気部7aから取入れられた空気8aは、図3に示すように、入出力ダクト7から伝熱板41により形成された対向流型熱交換部4の一方の流路45を通って流れる。
【0032】
伝熱板41は波型に加工されているので、流入方向から見ると図4に示すように、未浄化の空気8aは、多孔性フィルタ2を通過済みの空気8bと隣接して対向して流れ、浄化済みの空気8bにより加熱される。その後、多孔性フィルタ2に導かれ、フィルタ2の細孔21の中を下向きに通って触媒反応により有害成分が除去され、ヒータ3の設置された断熱性容器1の底部に至る。断熱性容器1の底部で空気8dはヒータ3により、さらに加熱され、方向を180度転じて、多孔性フィルタ2の細孔21の中を上向きに通過し、さらに有害成分が除去される。また、数百度に加熱されることにより、細菌やウィルスなどの成分も除去される。そして、対向流型熱交換部4に入り、未浄化の空気8aを加熱する。そして、浄化済みの空気8bは、未浄化の空気8aにより冷却された後に、ダクト7の吐出部7bから吐出される。
【0033】
したがって、本例の空気浄化装置10では、吸気口7aから取りいれられた室内あるいは車内の室温の空気8aは、多孔性フィルタ2を通過する段階で、フィルタ2に担持された触媒がその活性を発揮する温度に加温される。一方、触媒により浄化された空気8bは、吸気口7aから取り入れた未浄化の空気8aにより冷却され、室温あるいはそれに近い温度で出力される。対向流型熱交換部4は、温度効率は極めて高く、吐出部7bにおいては、浄化済みの空気8bの温度は吸気口7aから吸込まれた未浄化の空気8aの温度の極く近くまで下がる。したがって、熱風が吐出口7bから吹出されることはない。また、フィルタ2の近傍においては、未浄化の空気8aの温度は、フィルタ2を通過した直後の高温の浄化済みの空気8bの温度の極く近くまで上昇する。
【0034】
したがって、本例の空気浄化装置10においては、浄化のために空気をいったん高温にするが、外界に対してほとんど熱を放出せず、また、空気を高温にするためにエネルギーをほとんど消費しない。このため、外界(室内や車内)に対して放出する熱は非常に小さくなり、空気浄化のために室温が上昇することはほとんどない。また、空気8aの温度を上げたり、フィルタ2の温度を上げるためにヒータ3で消費される電力も抑制することが可能であり、いったんフィルタ2の温度を上げて触媒が活性化する温度になれば、その後のヒータ3の消費電力は非常に小さいものとなる。したがって、消費電力が小さく、ランニングコストの少ない空気浄化装置を提供できる。
【0035】
未浄化の空気8aから有害物の除去効率をもっとも高めるためには、フィルタ2に供給される前の段階で、未浄化の空気8aの温度を活性化温度よりも高くしておくことが望ましいと考えられる。そのためには、伝熱板41とフィルタ2の間にヒータ3を設置することが望ましい。また、ヒータ3の輻射熱により、伝熱板41とフィルタ2とを加温できるので、未浄化の空気8aの温度を上げる構造としては適していると考えられる。しかしながら、伝熱板41とフィルタ2の間にヒータ3を配置すると、この間で未浄化の空気8aと浄化済みの空気8bとが混合してしまい浄化効率が低下する可能性がある。
【0036】
たとえば、波型に加工された伝熱板41の下端41dの経路45の側に沿ってヒータ3を配置することにより、空気8aおよび8bが混合する可能性を排除できる可能性があり、この方式も本発明には含まれる。しかしながら、ヒータ3の形状が複雑になることが考えられる。また、ヒータ3が面するフィルタ2の部分が空気8aが供給される部分に限定されるので、ヒータ3をフィルタ2の反対側に配置した場合よりもフィルタ2の温度分布が大きくなるかもしれないことが考えられる。それにも増して、ヒータ3をフィルタ2のより伝熱板41の側に設けることにより、伝熱板41の下端41dの温度が上がるので、浄化済みの空気8bの冷却には不利な構成となり、熱効率が低下し、浄化済みの空気8bを十分に冷却するために伝熱板41の長さを延ばす必要が生じ、その結果、断熱性容器1の長さを長くする必要が生ずる可能性がある。
【0037】
これらの点を考慮すると、本例の空気浄化装置10のように、ヒータ3をフィルタ2の底側1uに配置することが望ましい。対向流型の熱交換部4により、フィルタ2を通過した直後の浄化済みの空気8bとほぼ同じ程度まで未浄化の空気8aは加熱されるので、未浄化の空気8aを触媒反応を進めるには十分な温度にすることができる。また、触媒を担持したフィルタ2も、ヒータ3の輻射熱と、フィルタ2の細孔21を通過する加熱済みの空気8dにより十分に加熱される。さらに、波型の伝熱板41に対応して、加熱された空気8dが通過する細孔21もフィルタ2に広く分布することを考えると、フィルタ2の底側にヒータ3を設けることにより、フィルタ2の全体を十分に加熱することが可能であり、担持された触媒の効果を十分に得ることができる。
【0038】
さらに、フィルタ2に対して伝熱板41と反対側にヒータ3が位置するので、フィルタ2と伝熱板41との間の構造は非常に簡素になり、伝熱板41の下端41dをフィルタ2の近傍まで延ばして、熱交換効率を高めると共に、浄化済みの空気と未浄化の空気が混合して浄化効率が損なわれるのを防止することができる。なお、図4には、多孔性フィルタ2の多数の細孔21の位置と流路を分ける仕切板となる伝熱板41の位置を、説明を簡単にするために、一対一に示してあるが、必ずしも細孔21の一つ一つがすべて、流路45か流路46のいずれか一つに対応するとは限らず、その程度の混合は実用上は差し支えない範囲であると言える。
【0039】
また、上記の例では、図5(a)に示すように、対向流型の熱交換部4を構成する伝熱板41として鋸歯状に波型に加工した例を示してあるが、伝熱板41の形状はこれに限定されるものではない。図5(b)の伝熱板49aは、折曲げ部をU字型にしたものであり、図5(c)の伝熱板49bは、折曲げ部をコ字型に折り曲げてパルス状の伝熱面を構成したものである。また、図5(d)に示す伝熱板49cように、1枚の板を折り曲げる代わりに、U字型に加工した複数のアルミニウム板48を組み合わせ、それらの端48aをカシメまたは潰したりして固定した伝熱板を形成することも可能である。
【0040】
さらに、図6に示すように、アルミニウム製のハニカムまたは格子状ブロック49dを熱交換部4aとして使用した空気浄化装置10aを提供することも可能である。この空気浄化装置10aにおいては、入出力ダクト7の代わりに、未浄化の空気8aを熱交換部4aに分配する分配ヘッダ9を使用し、アルミハニカム49dの格子の約半数を未浄化の空気8aの通路45として、他の半数を浄化済み空気8bの通路としている。
【0041】
なお、本発明の空気浄化装置は、フィルタ2を触媒の活性化温度に維持した状態でサービスできるように構成されているが、フィルタ2の吸着性能を期待して、断続的にヒータ3を稼動させて、フィルタ2の吸着および常温による分解能力と、活性化状態の触媒の能力とを交互に発揮させる運用も可能である。この運用の場合も、本発明の空気浄化装置であれば、触媒の温度を上げて活性化した状態でも継続して、安全にサービスすることが可能であり、空気浄化能力の高い浄化装置を提供できる。
【0042】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の空気浄化装置は、空気中の有害物質を分解する機能を有する触媒を担持したフィルタを触媒が活性化する温度状態で継続してサービスさせることが可能である。したがって、車両の排ガス浄化などのために開発された触媒の性能を活かし、低コストで安全であり、さらに浄化効率の高い民生用の空気浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気浄化装置の外観を示す図である。
【図2】図1に示す空気浄化装置のダクトおよび容器の一部を欠いて内部の構成を示す図である。
【図3】図1に示す空気浄化装置の空気の流れに沿った方向の断面図である。
【図4】図1に示す空気浄化装置の空気の流れに垂直な方向の断面図である。
【図5】対向流型熱交換部を構成する伝熱板の幾つかの例を示す図である。
【図6】本発明の他の空気浄化装置の例を示す図である。
【符号の説明】
1 断熱性容器
2 多孔性フィルタ
3 ヒータ
4 対向流型熱交換部
7 入出力ダクト
8a 未浄化の空気、 8b 浄化済みの空気
10、10a 空気浄化装置
Claims (7)
- 有底筒型の断熱性容器と、
この断熱性容器の底側に配置された、触媒を担持した多孔性フィルタと、
前記多孔性フィルタを通過する空気を加熱可能なヒータと、
前記断熱性容器の開口側に配置された対向流型の熱交換部であって、前記多孔性フィルタを通過済みの空気と前記多孔性フィルタを未通過の空気との間で熱交換可能な熱交換部とを有する空気浄化装置。 - 請求項1において、前記ヒータは、前記多孔性フィルタに対して前記断熱性容器の底側に配置されている空気浄化装置。
- 請求項2において、前記熱交換部は、前記通過済みの空気と前記未通過の空気とを分離して熱交換する伝熱板を備えており、その伝熱板が前記多孔性フィルタの近傍まで延びている空気浄化装置。
- 請求項3において、前記多孔性フィルタの開口側は平面になっており、その平面に前記伝熱板の端部が接している空気浄化装置。
- 請求項3において、前記伝熱板は、波型である空気浄化装置。
- 請求項3において、前記伝熱板は前記断熱性容器の内断面を2分しており、
前記伝熱板の開口側の端部に接して前記未通過の空気を前記熱交換部に導く吸気部と、前記通過済みの空気を吐出する吐出部とを形成する入出力ダクトを有する空気浄化装置。 - 請求項1において、前記断熱性容器は、底部が側壁部と一体成形された真空断熱性容器である空気浄化装置。
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- 2003-01-29 JP JP2003019729A patent/JP2004232904A/ja not_active Withdrawn
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