JP2004232500A - 風力発電設備のナセル旋回駆動装置、及びその運転方法 - Google Patents

風力発電設備のナセル旋回駆動装置、及びその運転方法 Download PDF

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知之 高橋
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Abstract

【課題】ナセルの旋回方向のブレーキ容量が大きくても、ナセル静止時の突風等による風車の翼の損傷やタワーの倒壊を防止できる風力発電設備のナセル旋回駆動装置及びその運転方法を提供する。
【解決手段】タワー(2)上部に、ナセル(3)と、該ナセル(3)を略水平面内で旋回自在に減速機(50)を介して駆動する駆動装置(31)とを備え、駆動装置(31)と減速機(50)との間に、または減速機(50)内に、クラッチ(40A)とブレーキ(40B)を配設した。上記箇所にクラッチ(40A)を配設し、駆動装置(31)を挟んで減速機(50)と反対側のモータ軸上には軸ブレーキ(74)を備えてもよい。発電停止時に、風速が所定値を超えたら、クラッチ(40A)をオフすると共に、該クラッチ(40A)よりも減速機(50)側に配設したブレーキ(40B)をオフして、ナセル(3)を旋回フリーとする運転方法である。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、風力発電設備のナセル旋回駆動装置、及びその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
風力発電設備は一般的に、地上または海上に設置された塔(以下、タワーと言う。)の上端部に旋回座を配設し、同旋回座上に発電室(以下、ナセルと言う。)を略水平方向に旋回自在に配設して構成されており、ナセルの前端外部には風車が、ナセル内部には、前記風車の回転軸に連結された増速機、同増速機に連結された発電機、及びナセルを前記旋回座上で旋回させる駆動装置がそれぞれ配設されている。なお、以下の説明を簡潔にするために、旋回座と駆動装置とを総称してナセル旋回駆動装置と言うこととする。
【0003】
従来のナセル旋回駆動装置の構成例を、先に本出願人が出願した特許文献1(未公開)により図9〜図11を参照して説明する。図9はナセル旋回駆動装置を適用した風力発電設備の概略構成図であり、図10は同ナセル旋回駆動装置の断面側面図で、図9のP部説明図であり、また図11は図10の要部断面側面図である。
【0004】
図9において、風力発電設備1は、タワー2の上端部にナセル3が旋回自在(図10で後述する。)に配設されており、ナセル3の一端側外部には翼を有する風車5が、またナセル3の内部には、前記風車5の回転軸4に連結された増速機6と、該増速機6に連結された発電機7がそれぞれ配設されている。
【0005】
図10において、タワー2の上端部に、旋回ベアリング66のインナレース68およびアウタレース67のいずれか一方(図ではインナレース68)をボルトで締結して固定側とし、他方(図ではアウタレース67)にナセル3をボルトで締結して旋回側とし、これらにより旋回座が構成されている。なお、旋回ベアリング66によることなく、円環状のガイドレールと複数のガイドローラ(何れも図示せず。)とによって旋回座を構成した例もあり、それらを含めて、以下旋回座と総称する。
【0006】
上記で構成された旋回座において、旋回側のナセル3に取着された旋回駆動装置70の出力軸75に取り付けたピニオン73が、固定側のインナレース68の内周に形成された図示しない内歯ギヤに噛合って公転することによって、ナセル3が略水平方向に旋回するようになっている。
【0007】
また図11において、旋回駆動装置70は電動機71と、該電動機71の出力軸に結合された減速機72(ここでは、遊星歯車減速機)とを備えており、減速機72の出力軸75の下端部には前記ピニオン73がリテーナ76とボルト77で着脱可能に取着されている。
【0008】
また、特許文献1には記載されていないが、ナセル3の方位を固定するために、例えば非特許文献1に記載の在る如く、電動機71の出力軸と反対側のモータ軸には軸ブレーキ74が装着されており、さらに、図10の旋回ベアリング66の外周部には、インナレース68とアウタレース67との間に亘ってディスク式の旋回ブレーキ(図示せず)が装着されている。なお、電動機71の軸ブレーキ74および旋回ブレーキは、無通電時に制動がかかる、いわゆるネガティブブレーキで構成されている。この2系統のブレーキによって発電時の風向のゆらぎを止めているが、軸ブレーキ74のブレーキ容量は、減速機72の合計減速比が数万もあり大きい為、旋回ブレーキのブレーキ容量に匹敵する容量がある。
【0009】
【特許文献1】
特願2002−124766号(第8−10頁、第1−3図)
【非特許文献1】
東芝産業機器システム(株)、製品カタログCKMG−1104(ブレーキモータ)、[平成14年12月20日検索]、インターネット<URL:http://www.toshiba−tips.co.jp/>
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のナセル旋回駆動装置においては、以下のような問題がある。
通常、発電効率を高めるために、風車5の方向が風向と略一致するように所定の制御周期時間毎にその間の平均風向に基づき旋回駆動装置70でナセル3を旋回させ、この旋回駆動後に所定位置で停止させるときに前記軸ブレーキ74および旋回ブレーキで制動をかけ、その停止位置でナセル3の方位を固定する。一方、台風等の直撃を受けて、強風(例えば25m/sec以上)が吹いているときには、風車5の翼の回転を停止することにより発電を停止し、軸ブレーキ74および旋回ブレーキで制動をかけた状態として、ナセル3の方位を固定している。このとき、横方向の突風が吹くと、固定されている翼に過負荷がかかり、翼が損傷するという重大な事故が発生する可能性がある。また、旋回方向の過大な外力による負荷が旋回ベアリング66を介して旋回ブレーキ、及び、減速機72と電動機71を介して軸ブレーキ74の両方に加わることになる。なお、これらのブレーキはその容量以上の負荷がかかったら滑るようになっているので、減速機72および電動機71には前記ブレーキの容量までの負荷がかかる。
【0011】
ところで、風による外力の大きさは非常にばらつきがあり、通常その大きさは小さいが突風の時には非常に大きい場合がある。その最大の外力に耐え得るようなトルク容量のブレーキが装着されているため、翼の損傷やタワー2の倒壊が起る場合がある。
【0012】
また、風力発電設備1は、90%程度の稼働率であるが、残りの10%は強風又は微風のため翼の回転を停止しているが、この強風の時軸ブレーキ74および旋回ブレーキでナセル3を固定した状態で、風車5が突風等の横風を受けると、風車5の翼の破損またはタワー2の倒壊という重大な損傷を受ける可能性がある。しかも、この場合には交換が非常に困難で、その損失費用が高いという問題もある。
【0013】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、ナセルの旋回方向のブレーキ容量が大きくても、ナセル静止時の突風等による風車の翼の損傷やタワーの倒壊を防止できる風力発電設備のナセル旋回駆動装置及びその運転方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1発明は、タワー上部に、ナセルと、該ナセルを略水平面内で旋回自在に減速機を介して駆動する駆動装置とを備えた風力発電設備のナセル旋回駆動装置において、前記駆動装置と前記減速機との間に、または前記減速機内に、クラッチとブレーキを配設している。
【0015】
第1発明によると、次の作用及び効果が得られる。
駆動装置と減速機との間に、または減速機内にクラッチとブレーキ(クラッチブレーキ装置)を配設したため、発電停止をするような強風時で突風のあるときにはこのクラッチとブレーキをオフする(ブレーキがクラッチより駆動装置の側に配設されている場合には、少なくともクラッチをオフすればよい。旋回ブレーキを備えている場合には、旋回ブレーキもオフする。)ことによって、減速機を駆動装置およびハウジングから分離して、減速機を回転フリー状態とすることができ、風車を備えたナセル全体が旋回フリー状態となる。これにより、突風時または風向の急変時に翼およびタワーへかかる過大負荷を避けることができ、風車の翼の損傷やタワーの倒壊等の畏れが無い。また、旋回方向の過大な外力による負荷が減速機及び駆動装置に加わるのを無くすことができる。従って、翼、タワー、減速機及び駆動装置の耐用寿命を長期化することができる。さらに、これにより、ブレーキおよびクラッチの容量としては駆動停止時の負荷のみを考慮すればよいので小容量で済み、ナセル旋回駆動装置を小形化できる。
【0016】
第2発明は、タワー上部に、ナセルと、該ナセルを略水平面内で旋回自在に減速機を介して駆動する駆動装置とを備えた風力発電設備のナセル旋回駆動装置において、前記駆動装置と前記減速機との間に、または前記減速機内に、クラッチを配設し、前記駆動装置は、該駆動装置を挟んで前記減速機と反対側のモータ軸上に、軸ブレーキを備えている。
【0017】
第2発明によると、次の作用及び効果が得られる。
駆動装置と減速機との間に、または減速機内にクラッチを配設し、駆動装置を挟んで減速機と反対側のモータ軸上に軸ブレーキを配設したため、上記第1発明における作用及び効果と同様に、発電停止をするような強風時で突風のあるときには少なくともクラッチをオフする(旋回ブレーキを備えている場合には、旋回ブレーキもオフする。)ことによって、突風または風向の急変による翼、タワー、減速機への過大負荷を無くすことができ、これにより、風車の翼の損傷やタワーの倒壊等の畏れが無い。また、翼、タワー、減速機及び駆動装置の耐用寿命を長期化できる。さらに、ブレーキおよびクラッチの容量を小さくでき、ナセル旋回駆動装置を小形化できる。
【0018】
第3発明は、第1発明又は第2発明による風力発電設備のナセル旋回駆動装置において、前記駆動装置と減速機との間に、または減速機内に配設されるクラッチ、ブレーキを電磁式としている。
【0019】
第3発明によると、前記第1又は第2発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果が得られる。
(1)電磁式のクラッチとブレーキの駆動に必要な部品は、整流器(又は直流電源)とスイッチング機器(電磁開閉器又は半導体スイッチ回路等)であり、これらは、油圧式の場合の油圧ポンプ及び切換弁よりも小形であるから、装置の小形化が図れる。
(2)例えば駆動装置を電動機とした場合に、例えばクラッチオフで電動機を無負荷で起動してからクラッチオンにして電動機で旋回駆動を開始する等の、電動機、クラッチ及びブレーキの3者それぞれのオンオフを所要の順序に組み合わせて制御する所謂シーケンスシャル制御を行うことが容易となる。
【0020】
(3)同じく例として駆動装置を電動機としてナセルを旋回駆動後停止させる際に、電動機をオンのままで、クラッチ及びブレーキそれぞれに例えば時分割で電圧を附加する所謂チョッパ制御を行うことによって、クラッチ及びブレーキの微操作を行うことが容易となり、これによって、比較的安価な制御手段でナセルを的確に所要位置に停止させことができる。
【0021】
また、第4発明は、タワー上部に、ナセルと、該ナセルを略水平面内で旋回自在に減速機を介して駆動する駆動装置とを備えた風力発電設備のナセル旋回駆動装置の運転方法において、風力発電設備周囲の風速を計測し、風力発電を停止しているときに、前記計測した風速が所定値を超えたら、前記駆動装置と前記減速機との間に、または前記減速機内に配設したクラッチをオフすると共に、該クラッチよりも前記減速機側に配設したブレーキをオフして、ナセルを旋回フリーとする方法としている。
【0022】
第4発明によると、発電を停止している時に、所定値を越える強風が吹いているときには、クラッチと、該クラッチよりも減速機側に配設したブレーキとをオフして、ナセル全体を旋回フリー状態とするため、強風により風車の翼が損傷したりタワーが倒壊したりするような過大負荷を受けることが無く、風力発電設備の重大損傷の発生を防止することができる。また、翼、タワー、減速機及び駆動装置の耐用寿命を長期化できる。さらに、ブレーキおよびクラッチの容量を小さくでき、ナセル旋回駆動装置を小形化できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本願発明に係る風力発電設備のナセル旋回駆動装置について、図1〜図8を参照して詳述する。なお、本発明を適用する風力発電設備の構成は、前出の図9と同じとする。
【0024】
先ず図1〜図5により、第1実施形態の説明をする。
図1は、第1実施形態に係る風力発電設備のナセル旋回駆動装置の部分断面側面図、図2は図1のR部部分断面側面図、図3は第1実施形態に係る風力発電設備のナセル旋回駆動装置の部分断面上面図(図1のQ視図)及びその油圧回路図である。また、図4は旋回駆動装置(図1のS部)部分断面側面図、図5は図4のT部断面側面図である。なお図3において、1点鎖線は油圧回路を表すものとする。また、これらの図において、前出の図に記載の構成要素と略同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0025】
先ず、図1において、風力発電設備1のナセル旋回駆動装置30は、タワー2の上端フランジ部2aに円環状のブレーキディスク11と旋回ベアリング12とをボルト15で締結して旋回座10を構成しており、同旋回座10の旋回ベアリング12のアウタレース14上に、ナセル3の略円形の第1床板8aをボルト16で締結している。これにより、ナセル3はタワー2上に旋回自在に搭載されている。
【0026】
また、ナセル3の床板8を、旋回座10の上面に取着した略円形の前記第1床板8aと、同第1床板8aの外周縁から下方に延設されて前記ブレーキディスク11の外方を取巻く円筒部材8cと、同円筒部材8cの下端部から径方向外方に広がりを有する略円環状の第2床板8bとで構成している。前記円筒部材8cの外周面に設けた所要個数の穴8dにはそれぞれ旋回ブレーキ20が挿通されて取着されており、各旋回ブレーキ20の係合部を前記ブレーキディスク11に係合させている。
【0027】
ナセル3の床板8を上記のように構成することによって、ナセル3内の、上記円筒部材8c周囲の第2床板8bの上部で、旋回ブレーキ20の着脱または点検整備を行うことができるようにしている。これによって、ナセル旋回駆動装置30を稼動させた状態での旋回ブレーキ20の着脱または点検整備(図2〜図3により詳細は後述する)を行う際の、作業場所を実現している。
【0028】
さらに、ナセル3の旋回中心部の第1床板8aに、電動機31を有する旋回駆動装置30Aを取着し、同旋回駆動装置30Aの出力軸のピニオン53を、前記旋回ベアリング12のインナレース13の内周部に形成した内歯ギヤ13aに噛合わせており、同ピニオン53の自転しながらの公転によってナセル3が旋回駆動されるようになっている。
以上のとおり、ナセル旋回駆動装置30は前記旋回座10、所要数の旋回ブレーキ20、及び旋回駆動装置30Aを備えている。
【0029】
次に図2において、旋回ブレーキ20は、皿バネ20aで常時ピストン20bを下方へ押し下げて、ブレーキパッド20d,20dでブレーキディスク11の上下面を挟み付けるようにし、油圧ポート20cへ油圧を附加してピストン20bを上方へ持ち上げた時にのみブレーキが開放されるようにしたネガティブブレーキとしている。さらに、ピストン20bの中央部にネジ穴20eを形成しており、このネジ穴20eにセットボルト20fを螺合し、該セットボルト20fを用いてピストン20bを上方へ引き上げることによりブレーキを開放することを可能としている。
【0030】
旋回ブレーキ20の上記構成において、ナセル旋回駆動装置30の稼動時間の過半を占めるナセル方位固定状態を前記ネガティブ形式の旋回ブレーキ20で固定することによって、その間の旋回ブレーキ20への電気エネルギ入力を不要にして、ナセル旋回駆動装置30の消費エネルギの節減を図り、しかも、旋回ブレーキ20が損傷した場合でも、ナセル旋回駆動装置30の稼動を停止させることなく、同損傷した旋回ブレーキ20のみをセットボルト20fで開放状態にして着脱可能としている。
【0031】
次に、図3において、ナセル3の床板8の円筒部材8cの外周面に配設した所要個数の旋回ブレーキ20は、相互に独立した2系統の油圧制御回路27a,27bに分配して接続されており、同油圧制御回路27a,27bそれぞれの制御弁25a,25bはそれぞれ電気配線23a,23bでコントローラ21に接続されている。また、前記旋回駆動装置30Aの電動機31も、電気配線22によってコントローラ21に接続されている。これによって、複数の旋回ブレーキ20はその略半数ずつが電気配線23aと電気配線23bを介して、旋回駆動装置30Aは電気配線22を介してそれぞれコントローラ21により制御される。
【0032】
さらに、コントローラ21によって、先ず、旋回ブレーキ20の2系統の電気配線23a,23bのいずれか一方(ここでは、説明上23aとする)を予備側として選択し、予備側の電気配線(23a)に繋がる旋回ブレーキ20には当該制御弁(25a)で常時油圧を附加して、ネガティブ形式とした旋回ブレーキ20を常時開放状態としている。使用側として選択した他方の電気配線(ここでは23b)を介して制御弁25bには、コントローラ21によって制御指令が出力されており、同様にして、電動機31は電気配線22を介してコントローラ21から駆動指令を受けて位置及び速度が制御されている。これによって、使用側の制御弁25bに接続された旋回ブレーキ20は、旋回駆動装置30Aの駆動及び停止に合せてオンオフ制御がなされる。
【0033】
上記旋回ブレーキ20の制御回路において、旋回ブレーキ20が損傷した時には、先ず、予備側の電気配線23aと使用側の電気配線23bとを切り替えてナセル旋回駆動装置の稼動を継続し、次に、新たに予備側(23b)として油圧で開放された状態にある、前記損傷した旋回ブレーキ20を含む各旋回ブレーキ20にセットボルト20fを取着して開放状態にする。その後、制御弁25bで一時的に油圧を抜いて、損傷した旋回ブレーキ20を新品と交換し、再び制御弁25bで油圧を附加して予備状態に戻してセットボルト20fを取外せばよい。なお、定期点検整備も同様の手順で実施することができる。
【0034】
次に図4において、旋回駆動装置30Aは、電動機31、減速機50、及び該電動機31と減速機50との間に配設したクラッチブレーキ装置40を備えており、前記減速機50は、上部に前記クラッチブレーキ装置40が接続される入力軸51を、下部に前記ピニオン53が装着される出力軸52をそれぞれ有している。
【0035】
次に、図5において、クラッチブレーキ装置40は、電動機31の出力側端面にハウジング49を取着し、同ハウジング49内で、かつ、電動機31の出力軸32の軸線上の、同出力軸32と対向する位置に、減速機50の入力軸51を配設している。
また、同じく電動機31の出力側端面で、かつ出力軸32の周囲に、円環状ソレノイド43を配置してボルト43bで電動機31に締結し、同円環状ソレノイド43の軸方向外端面に隣接して、円板41を出力軸32に取付けている。この円板41の表側(ソレノイド43と反対側)表面には、摩擦材(以下、フェーシングと言う。)41aを貼着している。
【0036】
減速機50の入力軸51の端部には、円板42が取付けてあり、該円板42の表側(電動機31側)には円環状のクラッチディスク42aを、裏側には円環状のブレーキディスク42bをそれぞれ配置している。また、クラッチディスク42aとブレーキディスク42bは、前記円板42を貫通する所要数のピン42cで結合されていて、円板42と共に回転し、且つピン42cの軸方向に移動可能とされている。前記クラッチディスク42aは、前記電動機31の出力軸32に取着した円板41に、所定の隙間を有して対面している。これらのクラッチディスク42aと円板41と円環状ソレノイド43とでクラッチ40Aを構成している。
【0037】
また、前記ブレーキディスク42bに軸方向に対面して、表面にフェーシング44aを貼着した円環状ソレノイド44を配置し、同円環状ソレノイド44をボルト44bでハウジング49に締結している。これらの円環状ソレノイド44とブレーキディスク42bとでブレーキ40Bを構成している。また、このブレーキ40Bと前記クラッチ40Aとによって、クラッチブレーキ装置40を構成している。
【0038】
クラッチブレーキ装置40の上記構成において、円環状ソレノイド43,44に通電しない時には、クラッチディスク42aとブレーキディスク42bはそれぞれ図中Nc,Nbの位置にあって、減速機入力軸51はフリー状態即ちニュートラルとなり、円環状ソレノイド43に通電するとクラッチディスク42aが矢印C方向に吸引されて円板41に係合してクラッチオンとなり、減速機入力軸51は電動機31の出力軸32に連結される。また、円環状ソレノイド44に通電するとブレーキディスク42bが矢印B方向に吸引されてソレノイド44のフェーシング44aに係合して、ブレーキオンとなる。
【0039】
本実施例においては、電動機31の駆動時には、旋回ブレーキ20およびクラッチブレーキ装置40のブレーキ40Bにオフ指令が出力され、クラッチ40Aにオン指令が出力されるようにしている。また、電動機31の停止時には、旋回ブレーキ20およびクラッチブレーキ装置40のブレーキ40Bにオン指令が出力され、クラッチ40Aにオン指令が出力されるようにしている。また、発電を停止してナセルを静止させているときは、通常旋回ブレーキ20およびクラッチブレーキ装置40のブレーキ40Bにオン指令が出力され、クラッチ40Aにオフ指令が出力される。さらに、上記のナセル静止時で、突風等が吹いている際には、旋回ブレーキ20およびクラッチブレーキ装置40のブレーキ40Bにオフ指令が出力され、クラッチ40Aにオフ指令が出力されるようにしている。
【0040】
また、クラッチブレーキ装置40を備えているため、電動機31の制御において、例えば、予めクラッチ40Aをオフして電動機31を無負荷で起動し、同電動機31を所定回転数で駆動したままで、クラッチ40Aとブレーキ40Bのオンオフ制御のみでナセル旋回駆動装置の駆動、停止、及びニュートラル(フリーの状態)の各操作を行うことができるようにしている。
【0041】
なお、上記実施形態において、ブレーキ40Bをクラッチ40Aよりも減速機50側に設けているが、電動機31側に設けても構わない。また、電動機31の出力軸32の軸線上で、かつ出力軸32と反対側のモータ軸に、前出の図11で示した軸ブレーキ74を装着していても構わない。これらの場合、前記クラッチ40Aよりも電動機31側に設けたブレーキ、又は前記軸ブレーキ74は上記実施形態のブレーキ40Bと略同様に作動させればよいが、発電停止時で強風が吹いているときに、クラッチ40Aをオフする場合には、該ブレーキは電動機側にあるため必ずしもオフしなくても構わない。
【0042】
図1〜図5による第1実施形態の上記構成において得られる作用及び効果を、それらをもたらす構成要素毎に区切って順次説明する。
【0043】
駆動装置31と減速機50との間にクラッチ40Aとブレーキ40Bを配設(図4〜図5参照)したことによって、以下の作用及び効果が得られる。
(1)駆動装置31と減速機50との間に、クラッチ40Aとブレーキ40B(クラッチブレーキ装置40)を設け、風力発電を停止している時で、所定風速以上の強風が吹いているときには、前記クラッチブレーキ装置40のクラッチ40A及びブレーキ40Bを共にオフして減速機50を駆動装置31およびハウジング49から分離し、フリー状態とするようにしたため、減速機50及び駆動装置31には突風等による外力の過大な負荷がかかることが無くなる。従って、風車5の翼、タワー2、減速機50及び駆動装置31の耐用年数(寿命)を長期化することができる。また、ブレーキおよびクラッチの容量としては駆動停止時の負荷のみを考慮すればよいので、ナセル旋回駆動装置を小形化できる。
【0044】
(2)風車5の翼の回転を停止させることにより風力発電を停止している時に、所定風速以上の突風等の強風が吹いているときには、前記クラッチブレーキ装置40のクラッチ40A及びブレーキ40Bをオフすると共に、上記実施形態のように旋回ブレーキ20が装着されている場合には旋回ブレーキ20もオフすることによって、風車5を備えたナセル3全体が旋回フリー状態となるため、強い横風を受けてもナセル3が風向に向けて自由に旋回して過大な外力の影響を弱めるようにする。これにより、風車5の翼の損傷やタワー2の倒壊等の畏れが無くなる。
【0045】
(3)ナセル3の旋回駆動を開始する際に、クラッチ40Aをオフの状態で電動機31を無負荷で起動した後にクラッチ40Aをオンにして駆動を開始することが可能であり、これによって、電動機31の起動電流を抑制することができる。また、ナセル3を旋回駆動後停止させる際に、電動機31をオンのままでクラッチ40A及びブレーキ40Bのオン/オフを制御してナセル3を所定位置に停止させることが可能となる。これによって、電動機31自体をインチング等で小刻みに起動停止させる必要がなく、電動機31の負荷及び起動電流の大きさと回数を大幅に抑制することができる。
この結果、消費電力を低減することができると共に、電動機31及びコントローラ21内の図示しないスイッチング素子(接点や半導体スイッチ等)の耐用年数を大幅に延長させることができる。
【0046】
次に、電動機31と減速機50との間にクラッチ40Aとブレーキ40Bを配設(図4、図5参照)し、さらに旋回座10に旋回ブレーキ20を配設(図1参照)したことによって、前述のクラッチ40A及びブレーキ40Bを備えた構成の効果(1)〜(3)の他に、以下の作用及び効果が得られる。
(1)ナセル3の旋回を停止させるとき、クラッチブレーキ装置40のブレーキ40Bと旋回ブレーキ20とを同時に作動させて制動をかけるようにすることにより、制動時の負荷を両ブレーキで分担できるので、それぞれの負荷を低減でき、ブレーキ40Bと旋回ブレーキ20の耐用寿命を長期化できる。また、ブレーキ40B及び旋回ブレーキ20をそれぞれ小容量で、かつ小形のもので構成できるので、装置全体をコンパクトに構成できる。
【0047】
(2)周知のとおり、ナセル3の方位は通常十乃至数十秒毎にその間の平均風向に基づいて間欠的に修正されるから、稼動時間の過半はナセル3の方位が固定された状態にある。このナセル3の方位が固定された時間の間は、クラッチ40Aをオフすることによって前述のように駆動装置31と減速機50の負荷をゼロにすることが可能となる。この結果、駆動装置31と減速機50の実稼動時間および負荷がかかる時間が半分以下となるから、その耐用年数を2倍以上にすることができる。
【0048】
次に、旋回ブレーキ20をセットボルト20fによってブレーキ開放可能(図2)としたことによって、以下の作用及び効果を得ることができる。
(1)前述のとおり、ナセル旋回駆動装置の稼動時間の過半はナセルの方位を固定した状態にあるから、同ナセルの方位を固定する旋回ブレーキは油圧または電圧を附加した時にのみ開放されるネガティブブレーキにすれば、消費エネルギの節減を図ることができるが、その場合には、ナセル旋回駆動装置の稼動を継続した状態で旋回ブレーキを着脱することが不可能である。しかしながら、図2による旋回ブレーキ20の前記構成によって、補修または点検を行う旋回ブレーキ20を予めセットボルト20fによってブレーキ開放状態にすることができるから、ナセル旋回駆動装置30の稼動を継続した状態で、同旋回ブレーキ20を油圧制御回路から遮断して取付け、取外しをすることができる。この結果、旋回ブレーキ20をネガティブブレーキとしてナセル旋回駆動装置30の消費エネルギの節減を図り、且つ、次に述べるナセル旋回駆動装置30の稼動中に旋回ブレーキ20を着脱する手段を適用することが可能となる。
【0049】
次に、旋回ブレーキを2個以上とし、それらを相互に独立した2系統以上の制御回路に分配して係合(図3参照)したことによって、以下の作用及び効果が得られる。
(1)2系統以上の制御回路23a,23bの中から任意の1系統(図では23a)に係合された旋回ブレーキ20を予備側とし、他を使用側として、使用側の旋回ブレーキ20でナセル3の方位固定の制動を行うことによって、使用側の旋回ブレーキ20に損傷が発生した場合に、同旋回ブレーキ20が係合された制御回路(図では23b)を予備側に、前記予備側とした制御回路(図では23a)を使用側に、瞬時に切り替えることが可能となり、これによって、ナセル旋回駆動装置の稼動を停止させることなく、損傷した旋回ブレーキ20の補修整備を行うことができる。
【0050】
(2)また上記(1)と同様に、予備側の制御回路(23a)と使用側の制御回路(23b)とを切り替えながら、ナセル旋回駆動装置の稼動を停止させることなく、各旋回ブレーキ20の点検整備を行うことができる。
(3)強風下等で必要な時には、予備側の制御回路(23a)に係合された旋回ブレーキを付加的に使用して、ナセル旋回駆動装置の制動力を高めることもできる。
(4)上記(1)〜(3)によって、旋回ブレーキ20において極めて良好な保全性を実現することができる。
【0051】
次に、ナセル3の床板8を、第1床板8aと円筒部材8cと第2床板8bとで構成し、円筒部材8c外周面に旋回ブレーキ20を取着したことによって、以下の作用及び効果が得られる。
(1)ナセル3内で、上記円筒部材8cの周囲の第2床板8b上で、旋回ブレーキ20の着脱または点検整備を行うことができるから、極めて良好な保全性を得ることができる。
(2)上記(1)によって、例えば、円筒部材8cの周囲の第2床板8b上に、旋回ブレーキ20の個数に等しい整備人員を配置することも可能であり、これによって極めて短時間で点検整備を行うことができる。
(3)前述のようにナセル旋回駆動装置30の稼動を継続したままでの旋回ブレーキ20の着脱または点検整備を実行する際に、上記(1)、(2)によって、整備員の作業場所を確実に確保することができる。
【0052】
次に、電動機31と減速機50との間に配設されるクラッチ40Aとブレーキ40Bを電磁式としたことによって、以下の作用及び効果が得られる。
(1)電磁式のクラッチとブレーキの駆動に必要な部品は、整流器(又は直流電源)とスイッチング機器(電磁開閉器又は半導体スイッチ回路等)であり、これらは、油圧式の場合の油圧ポンプ及び切換弁よりも小形であるから、装置の小形化が図れる。
(2)クラッチ40Aをオフの状態で電動機31を無負荷で起動してからクラッチ40Aをオンにして旋回駆動を開始する等の、電動機31とクラッチ40A及びブレーキ40Bの3者それぞれのオンオフを所要の順序に組み合わせて制御する所謂シーケンスシャル制御を行うことが容易となる。
(3)ナセル3を旋回駆動後停止させる際に、電動機31をオンのままで、クラッチ40A及びブレーキ40Bそれぞれに例えば時分割で電圧を附加する所謂チョッパ制御を行うことによって、クラッチ40A及びブレーキ40Bの微操作を行うことが容易となり、これによって、比較的安価な制御手段でナセル3を的確に所要位置に停止させることができる。
【0053】
なお、上記実施形態では、クラッチ40A及びブレーキ40Bを電動機31と減速機50との間に配設した例で説明したが、本発明はこれに限定されず、減速機50内に、すなわち減速機50内の各段減速ギヤの間に設けても構わない。
また、クラッチ40A及びブレーキ40Bの構成は上記実施形態に限定されず、例えば多板式でも構わない。
【0054】
次に、図6及び図7により第2実施形態を説明する。図6は第2実施形態に係る駆動装置及び減速機部の部分断面側面図であり、図7は図6のU部断面側面図である。なお、以下では、前出の図面に記載された構成要素と略同一の機能を有する構成には同じ符号を付し、説明を省く。
【0055】
旋回駆動装置30Bには、出力軸32と反対側のモータ軸に軸ブレーキ74を装着した電動機31Aを設けている。また、電動機31Aの出力軸32と減速機50との間にはクラッチ40Aが配設されている。他の構成は、第1実施形態の構成と同じなので、説明を省略する。
なお、クラッチ40Aの構造はこれに限定されず、多板式でも構わない。また、電動機31Aと減速機50の間にクラッチ40Aを設けたが、減速機50内に設けてもよいことは言うまでもない。
【0056】
第2実施形態による作動は、第1実施形態のクラッチブレーキ装置40のブレーキ40Bを電動機31Aの軸ブレーキ74に置き換えれば第1実施形態と略同様である。すなわち、ナセル3の旋回を駆動するときにはクラッチ40Aをオンし、軸ブレーキ74及び旋回ブレーキ20をオフし、旋回を停止させるとき、または通常発電時でナセル3を静止させるときはクラッチ40Aはオンしたまま軸ブレーキ74及び旋回ブレーキ20をオンする。また、発電停止時で、強風が吹いているときには、少なくともクラッチ40A及び旋回ブレーキ20をオフして、減速機50側を旋回フリー状態にする。このとき、軸ブレーキ74は電動機31A側にあるので、オフまたはオンのいずれでも構わない。
【0057】
第2実施形態による効果は、第1実施形態と同様であるので、ここでは説明を省く。
【0058】
次に図8により、第3実施形態の説明をする。
図8は、第3実施形態に係る風力発電設備のナセル旋回駆動装置の部分断面上面図であり、図1のQ視図である。なお図8において、1点鎖線は油圧回路を表すものとする。また、図1〜図5及び図9〜図11と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0059】
図8において、ナセル3の床板8の円筒部材8cの外周面に配設した所要数の各旋回ブレーキ20を、切換弁29を介して油圧制御回路28に接続しており、同油圧制御回路28の制御弁26は電気配線24でコントローラ21に接続されている。また、旋回駆動装置30Aの電動機31も、電気配線22によってコントローラ21に接続されている。これらによって、各旋回ブレーキ20は、旋回駆動装置30Aとの間でシーケンス制御がなされると共に、各個にそれぞれの切換弁29の操作によって油圧制御回路28から遮断可能とされている。
【0060】
第3実施形態の構成において、旋回ブレーキ20を2個以上とし、各旋回ブレーキ20に、制御回路から遮断可能とする手段を配設したことによって、以下の作用及び効果が得られる。
(1)旋回ブレーキ20に損傷が発生した場合に、同旋回ブレーキ20のみを切換弁29によって油圧制御回路28から遮断して補修整備を行うことができる。これによって、ナセル旋回駆動装置30の稼動を停止させることなく、損傷した旋回ブレーキ20の補修整備を行うことができる。
【0061】
(2)上記(1)と同様に、旋回ブレーキ20の1個を切換弁29によって油圧制御回路28から遮断して点検整備を行い、これを順次繰返すことによって、ナセル旋回駆動装置30の稼動を停止させることなく、各旋回ブレーキ20の点検整備を行うことができる。
(3)複数の旋回ブレーキ20の中から任意の個数の旋回ブレーキを予備にしておくこともできる。
(4)上記(1)〜(3)は、ナセル旋回駆動装置30の所定制動力を得るに必要な旋回ブレーキ20の個数に、余分に1個加えるだけで実施可能であり、よって、極めて良好な保全性を少ない費用で実現することができる。
【0062】
なお、これまでの実施形態において、クラッチブレーキ装置のクラッチ&ブレーキを電磁式としたが、本発明の主旨である減速機と駆動装置との間に設けるクラッチブレーキ装置は油圧式でも構わない。
また、旋回ブレーキ20を6個備え、ディスクブレーキ形式で且つネガティブブレーキとしているが、これらの個数及び形式に限ることはなく、任意の個数でよく、また旋回座10の外周面に摺接して制動する、いわゆるシュー形式としてもよく、またポジティブブレーキとしてもよい。さらに、油圧式に限定されず、電磁式でも構わない。
【0063】
また、旋回駆動装置30Aを1個とし、駆動装置を電動機31としているが、これらに限ることなく、旋回駆動装置30Aは任意の個数でもよく、駆動装置は油圧モータ等であってもよい。
さらに、旋回ブレーキ20に油圧を付与する手段としてポンプを用いて示したが、これに限ることなく、例えばアキュムレータを併用した油圧回路として、消費エネルギの節減を図ってよい。
また、第1実施形態において、複数の旋回ブレーキ20を2系統の油圧制御回路27a,27bで制御しているが、これに限ることなく、2系統以上の油圧制御回路で制御してよい。
【0064】
以上説明したように、本発明によると、以下の効果が得られる。
駆動装置と減速機との間に、または減速機内にクラッチ及びブレーキを設け、ナセル静止時には少なくとも該クラッチをオフし、前記ブレーキがクラッチより減速機側にある場合はそのブレーキをオフして、減速機を駆動装置及びハウジングから分離するので、減速機が回転フリー状態となり、ナセル静止時に受ける突風等の外力による負荷を無くすことができる。また、駆動装置もこの外力による負荷の影響を受けなくなる。これにより、減速機及び駆動装置の耐用年数を長期化することができる。
ナセル静止時で、強風が吹いているときに、少なくとも上記クラッチをオフし、上記ブレーキがクラッチより減速機側にある場合はそのブレーキをオフし、旋回ブレーキを備えている場合には旋回ブレーキもオフすることにより、風車を備えたナセル全体が旋回フリー状態となるため、風車の横方向から突風等が吹いたときにはその風向に向けてナセル自体が旋回するので、横風による外力を受け難くなる。これにより、風車の翼の損傷やタワーの倒壊等の畏れが無くなり、本風力発電設備の耐用年数を向上できる。
また、旋回ブレーキを備えている場合、減速機のところに設けた上記クラッチブレーキ装置のブレーキと旋回ブレーキとを併用して、ナセル旋回の制動をかけることにより、両ブレーキで制動時の負荷を分担するので両ブレーキの耐用寿命を長期化できると共に、大きな制動力が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るナセル旋回駆動装置の部分断面側面図である。
【図2】図1のR部部分断面側面図である。
【図3】第1実施形態に係るナセル旋回駆動装置の部分断面上面図である。
【図4】図1のS部部分断面側面図である。
【図5】図4のT部断面側面図である。
【図6】第2実施形態に係る要部部分断面側面図である。
【図7】図6のU部断面側面図である。
【図8】第3実施形態に係るナセル旋回駆動装置の部分断面上面図である。
【図9】ナセル旋回駆動装置を適用した風力発電設備の概略構成図である。
【図10】従来技術によるナセル旋回駆動装置の第1例の断面側面図である。
【図11】図10の要部断面側面図である。
【符号の説明】
1…風力発電設備、2…タワー、3…ナセル、8…床板、8a…第1床板、8b…第2床板、8c…円筒部材、8d…穴、10…旋回座、11…ブレーキディスク、12…旋回ベアリング、13…インナレース、14…アウタレース、20…旋回ブレーキ、20d…ブレーキパッド、20e…ネジ穴、20f…セットボルト、21…コントローラ、22,23a,23b,24…電気配線、25a,25b,26…制御弁、27a,27b,28…油圧制御回路、29…切換弁、30…ナセル旋回駆動装置、30A,30B…旋回駆動装置、31,31A…電動機(駆動装置)、32…出力軸、40…クラッチブレーキ装置、40A…クラッチ、40B…ブレーキ、41,42…円板、42a…クラッチディスク、42b…ブレーキディスク、43…円環状ソレノイド、44…円環状ソレノイド、49…ハウジング、50…減速機、51…入力軸、52…出力軸、53…ピニオン。

Claims (4)

  1. タワー(2)上部に、ナセル(3)と、該ナセル(3)を略水平面内で旋回自在に減速機(50)を介して駆動する駆動装置(31)とを備えた風力発電設備のナセル旋回駆動装置において、
    前記駆動装置(31)と前記減速機(50)との間に、または前記減速機(50)内に、クラッチ(40A)とブレーキ(40B)を配設した
    ことを特徴とする風力発電設備のナセル旋回駆動装置。
  2. タワー(2)上部に、ナセル(3)と、該ナセル(3)を略水平面内で旋回自在に減速機(50)を介して駆動する駆動装置(31)とを備えた風力発電設備のナセル旋回駆動装置において、
    前記駆動装置(31)と前記減速機(50)との間に、または前記減速機(50)内に、クラッチ(40A)を配設し、
    前記駆動装置(31)は、該駆動装置(31)を挟んで前記減速機(50)と反対側のモータ軸上に、軸ブレーキ(74)を備えた
    ことを特徴とする風力発電設備のナセル旋回駆動装置。
  3. 請求項1又は2記載の風力発電設備のナセル旋回駆動装置において、
    前記駆動装置(31)と減速機(50)との間に、または減速機(50)内に配設される前記クラッチ(40A)、ブレーキ(40B)を電磁式(43,44)とした
    ことを特徴とする風力発電設備のナセル旋回駆動装置。
  4. タワー(2)上部に、ナセル(3)と、該ナセル(3)を略水平面内で旋回自在に減速機(50)を介して駆動する駆動装置(31)とを備えた風力発電設備のナセル旋回駆動装置の運転方法において、
    風力発電設備周囲の風速を計測し、
    風力発電を停止しているときに、前記計測した風速が所定値を超えたら、前記駆動装置(31)と前記減速機(50)との間に、または前記減速機(50)内に配設したクラッチ(40A)をオフすると共に、該クラッチ(40A)よりも前記減速機(50)側に配設したブレーキ(40B)をオフして、ナセル(3)を旋回フリーとする
    ことを特徴とする風力発電設備のナセル旋回駆動装置の運転方法。
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