【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、力学特性などに優れ、低複屈折性を示す樹脂組成物及びこれを用いてなる光学部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光学部材としては一般に無機ガラスが用いられてきた。近年、軽量性、生産性及びコストの面から高分子材料が多用される状況にある。
【0003】
高分子材料のこうした利点を活かした材料の例として、ポリメタクリル酸メチル(以下PMMAと略記する)、ポリスチレン(以下PSと略記する)、ポリカーボネート(以下PCと略記する)及び環状ポリオレフィン(以下環状POと略記する)などが用いられている。
【0004】
従来、光学部材の機能として、耐熱性、耐環境特性及び力学特性が優れることは勿論、高透明性、高屈折率、高アッベ数かつ低複屈折性が要求されてきた。また光学異方性を示さず複屈折性を示さない材料の研究開発が行われてきた。これまで光学異方性即ち複屈折の制御方法としては、正の屈折率材料と負の複屈折性材料とをブレンドあるいは共重合化することによる低複屈折化の検討を報告している。(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照)
PMMAやPSは透明性に優れるもののガラス転移温度(Tg)が100℃付近にあり耐熱性が不十分なことと脆いことなどから用途に制限を受けていた。PCは透明性樹脂の中でも透明性、靭性が優れ、Tgが140℃付近であり耐熱性樹脂として多用されているが、分子鎖中のビスフェノールを含む骨格のコンフォメーションに起因する複屈折が大きいことが課題であった。
【0005】
係る状況下、いずれの樹脂も複屈折が大きいことや或いは複屈折が小さい場合でも耐熱性が不十分なことが指摘されており、光学部材として低複屈折を示しかつ十分な耐熱性を示す材料がなかった。
【0006】
光学部材としての光学フィルムやシートは、例えば、液晶ディスプレイなどの表示素子において、光学的な等方性、即ち低複屈折性が要求される箇所に複屈折性の大きいものを用いると、表示機能を損なうといった問題を生じていた。
レンズの場合、複屈折性が大きくなると収差が悪化したりすることから、レンズ性能を損なう。光学記録用基盤の場合、複屈折性が大きくなるとレーザー光による情報の読み取りが困難になるなどの問題がある。
【0007】
【非特許文献1】J.Appl.Polym.Sci.13.pp2541,1969
【非特許文献2】Plaste und Kautschuk,29.pp618,1982
【非特許文献3】機能材料,3月号,1987
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の事実に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、耐熱性に優れかつ低複屈折性を示す樹脂組成物及びこれを用いてなる光学部材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、α−オレフィンユニットと特定のN−フェニル置換マレイミドユニットから構成される共重合体(a)とα−オレフィンユニットと特定のN−フェニル置換マレイミドユニットから構成される共重合体(b)とからなる樹脂組成物及びこれを用いてなる光学部材が耐熱性に優れかつ低複屈折性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の式(i)で表されるα−オレフィン単位及び式(ii)で表されるN−フェニル置換マレイミド単位からなり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が5×103以上5×106以下である共重合体(a)10〜90重量%、と式(i)で表されるα−オレフィン単位及び式(iii)で表されるN−フェニル置換マレイミド単位からなり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が5×103以上5×106以下である共重合体(b)90〜10重量%、とからなることを特徴とする樹脂組成物及びこれを用いてなる光学部材に関するものである。
【0010】
【化4】
【化5】
【化6】
(ここで、式(i)において、R1、R2、R3はそれぞれ水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。式(ii)において、R4、R5はそれぞれ水素又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、R7、R8、R9はそれぞれ水素、ハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状或いは分岐状アルキル基である。R6、R10はそれぞれ水素、ハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、R6又はR10のいずれか一方が水素の場合は他方が必ず水素以外のハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状アルキル基である。式(iii)において、R11、R12はそれぞれ水素又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、R13、R17はそれぞれ水素基であり、R14、R15、R16はそれぞれ水素、ハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状或いは分岐状アルキル基である。)
本発明の共重合体の構成単位である式(i)において、R1、R2、R3はそれぞれ水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。ここでR1、R2、R3が炭素数6を越えるアルキル置換基の場合にはガラス転移温度が著しく低下したり、このアルキル置換基が結晶化することで透明性を損なうなどの問題がある。
【0011】
式(i)の具体的な例示としては、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、1−イソオクテン、2−メチル−1−オクテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ヘキセン、エチレン、プロピレン、1−ブテン及び1−ヘキセンなどのオレフィン類が挙げられ、このうち1,2−ジ置換オレフィン、特にイソブテンが好ましい。これらのオレフィン類は1種又は2種以上組み合わされたものでもよく、その比率は限定されない。
【0012】
本発明の共重合体の構成単位である式(ii)において、R4、R5はそれぞれ水素又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、R7、R8、R9はそれぞれ水素、ハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状或いは分岐状アルキル基である。R6、R10はそれぞれ水素、ハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、R6又はR10のいずれか一方が水素の場合は他方が必ず水素以外のハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状アルキル基である。
【0013】
式(ii)において、R4、R5、R7、R8、R9が炭素数8を越えるアルキル置換基の場合にはガラス転移温度が著しく低下したり、このアルキル置換基が結晶化することで透明性を損なうなどの問題がある。
【0014】
式(ii)における具体的な例示としては、マレイミド化合物のN置換基としてオルト位に特定の置換基を有するフェニル化合物を導入したものを用いることができ、例えばN−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−n−プロピルフェニル)マレイミド、N−(2−イソプロピル)マレイミド、N−(2−n−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−sec−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−tert−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−n−ペンチルフェニル)マレイミド、N−(2−tert−ペンチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジ−n−プロピルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−メチル,6−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−メチル,6−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(2−ブロモフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジクロロフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジブロモフェニル)マレイミド、N−2−ビフェニルマレイミド、N−2−ジフェニルエーテルマレイミド、N−(2−シアノフェニル)マレイミド、N−(2−ニトロフェニル)マレイミドなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせたものでもよく、その比率は限定されない。
式(ii)において、フェニル基に導入する置換基は目的とする光学機能性の観点からオルト位即ちR6及び/又はR10に特定置換基を導入したものを利用することが重要であるが、更にメタ位及び/又はパラ位即ちR7〜R9にその他の置換基を導入してもよい。このようなフェニル基のオルト位以外の位置に置換基を導入した例としてはN−(2,4,6−トリメチルフェニル)マレイミド、N−(2,4−ジメチルフェニル)マレイミド、N−パーブロモフェニルマレイミド、N−(2−メチル,4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチル,4−ヒドロキシフェニル)マレイミドなどが挙げられる。
しかし、フェニル基のオルト位即ちR6及び/又はR10に置換基がない場合は、所期の目的を達成することができない。更にオルト位であるR6とR10いずれにも置換基がなくメタ位及び/又はパラ位としてR7〜R9に置換基があるような場合も有効ではない。
本発明の共重合体の構成単位である式(iii)において、R11、R12はそれぞれ水素又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、R13、R17はそれぞれ水素基であり、R14、R15、R16はそれぞれ水素、ハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状或いは分岐状アルキル基である。
【0015】
式(iii)において、R11、R12、R14、R15、R16が炭素数8を越えるアルキル置換基の場合にはガラス転移温度が著しく低下したり、このアルキル置換基が結晶化することで透明性を損なうなどの問題がある。
【0016】
式(iii)において、フェニル基が無置換又はオルト位以外に特定置換基を導入したものとすることで目的とする樹脂組成物の光学機能性を発現することができる。しかし、式(iii)において、フェニル基のオルト位即ちR13とR17が無置換でなく、水素以外の置換基が導入されると、式(ii)と同様の分子構造となることから複屈折を低減させることができない。
【0017】
式(iii)における具体的な例示としては、マレイミド化合物のN置換基としてオルト位に水素基以外の置換基を有しないフェニル化合物を導入したものを用いることができ、例えばN−フェニルマレイミドなどが挙げられる。
【0018】
式(iii)において、フェニル基が無置換又はオルト位以外に特定置換基を導入したものとすることで目的とする樹脂組成物の光学機能性を発現することができる。このようなフェニル基のオルト位以外の位置に置換基を導入した例としてはN−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−エチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(4−メチルエステルフェニル)マレイミドなどが挙げられなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせたものでもよく、その比率は限定されない。
【0019】
本発明の請求項に記載の式(i)と式(ii)からなる共重合体(a)、及び式(i)と式(iii)からなる共重合体(b)の合成方法としては公知の重合法が利用できる。公知の重合法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法及び乳化重合法などを挙げることができるがこれに限定されるものではない。またこの他の合成法として、ビニル系モノマーと無水マレイン酸とを共重合反応により式(i)の化合物を含む共重合体を作成して、無水マレイン酸部位に1級アミン化合物を反応させてイミド化反応を行わせることで式(ii)及び式(iii)の化合物構造に対応するマレイミドのN置換基を導入して本発明の目的とする共重合体を得ることもできる。この場合の1級アミンとは、上記の機能発現に効果的な式(ii)及び式(iii)に対応するN−フェニル置換マレイミドが合成できるようなアニリンの2〜6位置に置換基を導入した物質などを用いることができる。
【0020】
本発明の樹脂組成物及びこれを用いてなる光学部材において、共重合体(a)、共重合体(b)は、いずれもその平均分子量がポリスチレン換算の重量平均分子量として5×103以上5×106以下である。重量平均分子量5×106を越える場合、及び5×103未満の場合には成形加工が困難となるので好ましくない。
【0021】
本発明における共重合体(a)は正の複屈折性を示し、共重合体(b)は負の複屈折性を示す。共重合体(a)と共重合体(b)は熱力学的親和性を示すことから、光学的に高い光線透過率を示す。
【0022】
共重合体(a)と共重合体(b)とを成分とする樹脂組成物を得る方法としては、それぞれの共重合体をインターナルミキサーや押出機などを用いて加熱溶融混練することで得ることができ、また溶剤を用いた溶液ブレンドによっても得ることが可能である。
【0023】
共重合体(a)と共重合体(b)のブレンド比率としては、それぞれ10〜90重量%、90〜10重量%であり、好ましくは30〜70重量%、70〜30重量%である。係るブレンド比率とすることで低複屈折化が可能となる。共重合体(a)が10重量%未満、共重合体(b)が90重量%を越える場合や共重合体(b)が10重量%未満、共重合体(a)が90重量%を越える場合では低複屈折率化が十分ではない。
【0024】
本発明で言う光学部材とは、係る樹脂組成物を用いてなる光学フィルム、シート、レンズ及び光学記録用基板を指すものである。光学フィルムは、画像表示用素子である液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイや情報入力用タッチパネルなどに用いられる光学フィルムである。これら光学フィルムの作り方は、樹脂組成物の溶液流延法や溶融押出し成形法などである。
【0025】
シートは、同じく画像表示素子、タッチパネルの保護用シート、導光板などのシートである。これらシートの作り方は、溶融押出し成形法や薄肉射出成形法などである。
【0026】
レンズは、眼鏡用レンズや光学素子に用いられるレンズである。これらレンズの作り方は、射出成形法、射出圧縮成形法、プレス成形法及び場合によってこれらにより得た中間加工品を二次加工として研磨仕上げするなどである。
【0027】
光学記録用基板は、コンパクトディスク(以下CDと称する)、記録再生用CD、Digital Versatile Disk(以下DVDと称する)、記録再生用DVDなどである。これら光学記録用基板の作り方は、射出成形法、射出圧縮成形法、樹脂組成物の溶液コーティング法、フィルム貼合せ法などである。
【0028】
押出成形法及び射出成形法としては公知の知見を用いることができ、樹脂組成物のガラス転移温度以上の溶融流動域にて加工を行うことができる。溶液流延法を用いて光学フィルム、シートを作成する場合、係る共重合体が可溶性を示す溶剤を選択しその中から必要に応じて複数用いることでできる。この溶液流延法の溶剤としては塩化メチレン、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトンなどを用いることができるが、これに限定されるものではない。特に溶剤揮発速度制御の目的から良溶剤(例えば、塩化メチレン、クロロホルムなど)と貧溶剤(例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類)を組み合わせることもできる。溶液流延法による基材の乾燥においては加熱条件の設定により、光学フィルムに気泡や内部空隙を形成しないように行うことが重要である。
【0029】
本発明の樹脂組成物及びこれを用いてなる光学部材は、必要に応じて熱安定剤や紫外線安定剤などの添加剤や可塑剤を加えてもよい。これら可塑剤や安定剤などの添加剤としては、樹脂材料用として公知のものを使用してもよい。ただし、これらの添加剤や可塑剤は本発明の所期の目的を損なわない範囲で配合する必要がある。
【0030】
本発明の樹脂組成物及びこれを用いてなる光学部材を用いて成形された部品の保護を目的としてハードコートなどを施してもよく、コート剤として公知のものを用いることができる。
【0031】
本発明の樹脂組成物及びこれを用いてなる光学部材の屈折率は1.50以上であり、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上、好ましくは120℃以上、特に好ましくは140℃以上を示すものとなる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例にて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各物性値は、以下に示す測定方法により求めた。
<透明性;光線透過率及びヘーズ>
▲1▼光線透過率測定はJIS K7105(1981年版)に準拠して測定した。
【0033】
▲2▼ヘーズ測定はJIS K7105(1981年版)に準拠して測定した。
<複屈折の正負判定、位相差量の測定>
▲1▼偏光顕微鏡(λ/4板加色判定法)
粟屋裕,高分子素材の偏光顕微鏡入門,アグネ技術センター,第5章,pp78−82,2001に記載のλ/4板による加色判定法により複屈折の正負判定を実施した。
【0034】
▲2▼偏光顕微鏡(Senarmont干渉法)
粟屋裕,高分子素材の偏光顕微鏡入門,アグネ技術センター,第5章,pp94−96,2001に記載のセナルモン・コンペンセーターを用いた位相差量の測定法を用いた。
<屈折率>
JIS K7142(1981年版)に準拠して測定した。
<熱的性質;ガラス転移温度の測定>
セイコー電子製DSCを用いて測定した。
【0035】
実施例1
1リッターオートクレーブ中、トルエン400ml溶剤に対して重合開始剤としてパーブチルネオデカノエート1mモル存在下にてN−(2−メチルフェニル)マレイミドを0.42モルとイソブテンを4.05モルとを60℃、5時間重合反応させて、N−(2−メチルフェニル)マレイミドとイソブテンからなる共重合体(a)(PS換算の数平均分子量Mn=160,000、分子量分布Mw/Mn=2.7)を得た。
【0036】
1リッターオートクレーブ中、トルエン400ml溶剤に対して重合開始剤としてパーブチルネオデカノエート1mモル存在下にてN−フェニルマレイミドを0.42モルとイソブテンを4.05モルとを60℃、5時間重合反応させて、N−フェニルマレイミドとイソブテンからなる共重合体(b)(PS換算の数平均分子量Mn=162,000、分子量分布Mw/Mn=2.6)を得た。
【0037】
この共重合体(a)50重量%と共重合体(b)50重量%からなるブレンド物を25重量%としてこれに塩化メチレン75重量%を加えた溶液を調整したものをポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETと略記する)上に流延し、溶剤を揮発固化、剥離させる。剥離後のフィルムを更に100℃にて4時間、120℃から160℃の温度にてそれぞれ1時間乾燥し、真空乾燥機にて180℃で4時間乾燥して約100μmのフィルムを得た。
【0038】
このフィルムは、光線透過率は92%、ヘイズは0.3%、屈折率は1.57の光学フィルムであって、ガラス転移温度(Tg)は200℃であった。
【0039】
この光学フィルムから5cm×5cmの小片を切り出し、柴山科学機械製の二軸延伸装置を用いて、温度230℃、延伸速度5mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸により+50%延伸した。延伸した光学フィルムは複屈折性を示さず、光学フィルム100μm当たりの位相差量は0nmであった。
【0040】
実施例2
実施例1で用いた溶液流延法によるキャストフィルムを延伸温度のみを245℃として実施例1と同様の延伸手法により延伸配向したところ、光学フィルムは複屈折性を示さず、光学フィルム100μm当たりの位相差量は0nmであった。
【0041】
実施例3
実施例1で用いた樹脂組成物を、温度270℃にて東洋精機製Tダイ/ラボプラストミル二軸押出機を用いて0.5mmシートを成形した。得られたシートは複屈折性を示さず、位相差量は0nmであった。
【0042】
実施例4
1リッターオートクレーブ中、トルエン400ml溶剤に対して重合開始剤としてパーブチルネオデカノエート1mモル存在下にてN−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミドを0.42モルとイソブテンを4.05モルとを60℃、5時間重合反応させて、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミドとイソブテンからなる共重合体(a)(PS換算の数平均分子量Mn=170,000、分子量分布Mw/Mn=2.6)を得た。また共重合体(b)として実施例1で用いたものを利用した。
【0043】
この共重合体(a)30重量%と共重合体(b)70重量%からなるブレンド物を25重量%としてこれに塩化メチレン75重量%を加えた溶液を調整したものをPETフィルム上に流延し、溶剤を揮発固化、剥離させる。
【0044】
剥離後のフィルムを更に100℃にて4時間、120℃から160℃の温度にてそれぞれ1時間乾燥し、真空乾燥機にて180℃で4時間乾燥して約100μmのフィルムを得た。このフィルムは、光線透過率は92%、ヘイズは0.3%、屈折率は1.55の光学フィルムであり、ガラス転移温度(Tg)は198℃であった。
【0045】
この光学フィルムから5cm×5cmの小片を切り出し、柴山科学機械製延伸装置を用いて、温度220℃、延伸速度5mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸により+50%延伸した。延伸した光学フィルムは複屈折を示さず、光学フィルム100μm当たりの位相差量は0nmであった。
【0046】
実施例5
実施例1で得た樹脂組成物を用いて射出成形による凸レンズを成形した。
【0047】
成形条件として温度290℃にて実施した。得られた成形品の配向複屈折は確認されなかった。
【0048】
比較例1
実施例1と同様のN−フェニルマレイミドとイソブテンからなる共重合体(b)25重量%と塩化メチレン75重量%の溶液を調整したものをPETフィルム上に流延し、溶剤を揮発固化、剥離させる。
【0049】
剥離後のフィルムを更に100℃にて4時間、120℃から160℃の温度にてそれぞれ1時間乾燥し、真空乾燥機にて180℃で4時間乾燥して約100μmのフィルムを得た。このフィルムの光線透過率は92%、ヘイズは0.3%、屈折率は1.55であった。このフィルムのガラス転移温度(Tg)は192℃であった。
【0050】
このフィルムから5cm×5cmの小片を切り出し、柴山科学機械製延伸装置を用いて、温度210℃、延伸速度15mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸により+50%延伸した。延伸したフィルムの複屈折は正であり、フィルム100μm当たりの位相差量は+70nmであった。
【0051】
比較例2
実施例1と同様のN−フェニルマレイミドとイソブテンからなる共重合体(b)25重量%と塩化メチレン75重量%の溶液を調整したものをPETフィルム上に流延し、溶剤を揮発固化、剥離させる。剥離後のフィルムを更に100℃にて4時間、120℃から140℃の温度にてそれぞれ1時間乾燥し、真空乾燥機にて140℃で4時間乾燥して約100μmのフィルムを得た。このフィルムの光線透過率は92%、ヘイズは0.3%、屈折率は1.53であった。このフィルムのガラス転移温度(Tg)は206℃であった。
【0052】
このフィルムから5cm×5cmの小片を切り出し、柴山科学機械製延伸装置を用いて、温度220℃、延伸速度5mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸により+50%延伸した。延伸したフィルムの複屈折は負であり、フィルム100μm当たりの位相差量は−100nmであった。
【0053】
比較例3
実施例1にて用いたものと同じ共重合体(a)と共重合体(b)とをそれぞれ5重量%、95重量%ブレンドして、このブレンド物を25重量%と塩化メチレン75重量%の溶液を調整したものをPETフィルム上に流延し、溶剤を揮発固化、剥離させる。剥離後のフィルムを更に100℃にて4時間、120℃から140℃の温度にてそれぞれ1時間乾燥し、真空乾燥機にて140℃で4時間乾燥して約100μmのフィルムを得た。このフィルムの光線透過率は92%、ヘイズは0.3%、屈折率は1.56であった。
【0054】
このフィルムから5cm×5cmの小片を切り出し、柴山科学機械製延伸装置を用いて、温度220℃、延伸速度15mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸により+50%延伸した。延伸したフィルムの複屈折は正であり、フィルム100μm当たりの位相差量は+50nmであった。
【0055】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物及びこれを用いてなる光学部材は、耐熱性、力学特性などに優れ、低複屈折性を必要とする光学部材に好適に用いることができる。
光学フィルムやシートに低複屈折性が要求される箇所に本発明の樹脂組成物及びこれを用いてなる光学部材を用いることで従来の複屈折問題を改良することができる。
また、レンズに本発明の樹脂組成物及びこれを用いてなる光学部材を用いることで、複屈折に起因する収差などを改良することができる。
光学記録用基盤に本発明の樹脂組成物及びこれを用いてなる光学部材を用いることで、複屈折を低下させ、記録情報データの読取り精度を向上させることができる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a resin composition having excellent heat resistance and mechanical properties and exhibiting low birefringence, and an optical member using the same.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, inorganic glass has been generally used as an optical member. In recent years, polymer materials are frequently used in terms of lightness, productivity and cost.
[0003]
Examples of materials that take advantage of these advantages of polymer materials include polymethyl methacrylate (hereinafter abbreviated as PMMA), polystyrene (hereinafter abbreviated as PS), polycarbonate (hereinafter abbreviated as PC), and cyclic polyolefin (hereinafter abbreviated as cyclic PO). Etc.).
[0004]
Conventionally, as a function of an optical member, not only excellent heat resistance, environmental resistance and mechanical properties, but also high transparency, high refractive index, high Abbe number and low birefringence have been required. Research and development of materials that do not exhibit optical anisotropy and do not exhibit birefringence have been performed. As a method of controlling the optical anisotropy, that is, the birefringence, there has been reported a study on a low birefringence by blending or copolymerizing a positive refractive index material and a negative birefringent material. (For example, see Non-Patent Document 1, Non-Patent Document 2, and Non-Patent Document 3)
Although PMMA and PS are excellent in transparency, the glass transition temperature (Tg) is around 100 ° C., and their applications are limited due to insufficient heat resistance and brittleness. PC has excellent transparency and toughness among transparent resins, and has a Tg of around 140 ° C., and is widely used as a heat-resistant resin. However, it has a large birefringence due to a conformation of a skeleton containing bisphenol in a molecular chain. Was an issue.
[0005]
Under such circumstances, it has been pointed out that any resin has high birefringence or insufficient heat resistance even when the birefringence is small, and a material showing low birefringence and sufficient heat resistance as an optical member. There was no.
[0006]
An optical film or sheet as an optical member, for example, in a display element such as a liquid crystal display, optical isotropic, that is, when using a large birefringence in a place where low birefringence is required, the display function Has been a problem such as spoiling.
In the case of a lens, if the birefringence increases, aberrations deteriorate, so that the lens performance is impaired. In the case of an optical recording substrate, when the birefringence is large, there is a problem that reading of information by a laser beam becomes difficult.
[0007]
[Non-Patent Document 1] Appl. Polym. Sci. 13. pp2541, 1969
[Non-Patent Document 2] Plaste und Kautschuk, 29. pp. 618, 1982
[Non-Patent Document 3] Functional Materials, March Issue, 1987
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention has been made in view of the above-described facts, and an object thereof is to provide a resin composition having excellent heat resistance and low birefringence, and an optical member using the same. It is in.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies and found that a copolymer (a) composed of an α-olefin unit and a specific N-phenyl-substituted maleimide unit and a copolymer (α) composed of an α-olefin unit and a specific N-phenyl-substituted maleimide unit It has been found that a resin composition comprising the copolymer (b) and an optical member using the same have excellent heat resistance and low birefringence, thereby completing the present invention.
[0009]
That is, the present invention comprises an α-olefin unit represented by the following formula (i) and an N-phenyl-substituted maleimide unit represented by the following formula (ii), and has a polystyrene equivalent weight average molecular weight of 5 × 10 3 or more. 5 to 10% by weight of a copolymer (a) of 10 6 or less, an α-olefin unit represented by the formula (i) and an N-phenyl-substituted maleimide unit represented by the formula (iii), 90 to 10% by weight of a copolymer (b) having a weight average molecular weight of 5 × 10 3 or more and 5 × 10 6 or less in terms of polystyrene, and an optical member using the same. It is about.
[0010]
Embedded image
Embedded image
Embedded image
(Here, in the formula (i), R1, R2, and R3 are each hydrogen or an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms. In the formula (ii), R4 and R5 are each a hydrogen atom or a straight chain having 1 to 8 carbon atoms. R7, R8, and R9 are each a hydrogen, a halogen-based element, a carboxylic acid, a carboxylic ester, a hydroxyl group, a cyano group, a nitro group, or a linear or branched alkyl group having 1 to 8 carbon atoms. R6 and R10 are each a hydrogen, a halogen-based element, a carboxylic acid, a carboxylic ester, a hydroxyl group, a cyano group, a nitro group, or a linear or branched alkyl group having 1 to 8 carbon atoms; When any one of R10 is hydrogen, the other is necessarily a halogen element other than hydrogen, a carboxylic acid, a carboxylic acid ester, a hydroxyl group, a cyano group, a nitro group or a group having 1 to 8 carbon atoms. In the formula (iii), R11 and R12 are each hydrogen or a linear or branched alkyl group having 1 to 8 carbon atoms, and R13 and R17 are each a hydrogen group. R14, R15, and R16 are each hydrogen, a halogen-based element, a carboxylic acid, a carboxylic acid ester, a hydroxyl group, a cyano group, a nitro group, or a linear or branched alkyl group having 1 to 8 carbon atoms.)
In the formula (i), which is a structural unit of the copolymer of the present invention, R1, R2, and R3 are each hydrogen or an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms. Here, when R1, R2, and R3 are alkyl substituents having more than 6 carbon atoms, there are problems such as a remarkable decrease in the glass transition temperature and loss of transparency due to crystallization of the alkyl substituent.
[0011]
Specific examples of the formula (i) include isobutene, 2-methyl-1-butene, 2-methyl-1-pentene, 2-methyl-1-hexene, 2-methyl-1-heptene, 1-isooctene, Olefins such as 2-methyl-1-octene, 2-ethyl-1-pentene, 2-methyl-2-pentene, 2-methyl-2-hexene, ethylene, propylene, 1-butene and 1-hexene; Of these, 1,2-disubstituted olefins, especially isobutene, are preferred. These olefins may be used alone or in combination of two or more, and the ratio is not limited.
[0012]
In the formula (ii) which is a constitutional unit of the copolymer of the present invention, R4 and R5 are each hydrogen or a linear or branched alkyl group having 1 to 8 carbon atoms, and R7, R8 and R9 are each hydrogen, It is a halogen-based element, a carboxylic acid, a carboxylic acid ester, a hydroxyl group, a cyano group, a nitro group, or a linear or branched alkyl group having 1 to 8 carbon atoms. R6 and R10 are each hydrogen, a halogen-based element, a carboxylic acid, a carboxylic acid ester, a hydroxyl group, a cyano group, a nitro group, or a linear or branched alkyl group having 1 to 8 carbon atoms. Is hydrogen, the other is always a halogen-based element other than hydrogen, carboxylic acid, carboxylic acid ester, hydroxyl group, cyano group, nitro group or a linear or branched alkyl group having 1 to 8 carbon atoms.
[0013]
In the formula (ii), when R 4, R 5, R 7, R 8, and R 9 are alkyl substituents having more than 8 carbon atoms, the glass transition temperature is significantly lowered or the alkyl substituent is crystallized to increase transparency. There are problems such as damage.
[0014]
Specific examples of the formula (ii) include those in which a phenyl compound having a specific substituent at the ortho position is introduced as the N substituent of the maleimide compound. For example, N- (2-methylphenyl) maleimide N- (2-ethylphenyl) maleimide, N- (2-n-propylphenyl) maleimide, N- (2-isopropyl) maleimide, N- (2-n-butylphenyl) maleimide, N- (2-sec -Butylphenyl) maleimide, N- (2-tert-butylphenyl) maleimide, N- (2-n-pentylphenyl) maleimide, N- (2-tert-pentylphenyl) maleimide, N- (2,6-dimethyl Phenyl) maleimide, N- (2,6-diethylphenyl) maleimide, N- (2,6-di-n-propylphenyl) ) Maleimide, N- (2,6-di-isopropylphenyl) maleimide, N- (2-methyl, 6-ethylphenyl) maleimide, N- (2-methyl, 6-isopropylphenyl) maleimide, N- (2- Chlorophenyl) maleimide, N- (2-bromophenyl) maleimide, N- (2,6-dichlorophenyl) maleimide, N- (2,6-dibromophenyl) maleimide, N-2-biphenylmaleimide, N-2-diphenylethermaleimide , N- (2-cyanophenyl) maleimide, N- (2-nitrophenyl) maleimide, and the like, and these may be used alone or in combination of two or more, and the ratio is not limited.
In the formula (ii), it is important to use a substituent introduced into the phenyl group in which a specific substituent is introduced in the ortho position, that is, R6 and / or R10, from the viewpoint of desired optical functionality. Other substituents may be introduced at the meta-position and / or para-position, that is, R7 to R9. Examples of such substituents at positions other than the ortho position of the phenyl group include N- (2,4,6-trimethylphenyl) maleimide, N- (2,4-dimethylphenyl) maleimide, and N-perbromo. Examples include phenylmaleimide, N- (2-methyl, 4-hydroxyphenyl) maleimide, and N- (2,6-diethyl, 4-hydroxyphenyl) maleimide.
However, if there is no substituent at the ortho position of the phenyl group, that is, R6 and / or R10, the intended purpose cannot be achieved. Further, it is not effective when there are no substituents in R6 and R10 in the ortho position and there is a substituent in R7 to R9 as the meta position and / or the para position.
In formula (iii), which is a constituent unit of the copolymer of the present invention, R11 and R12 are each hydrogen or a linear or branched alkyl group having 1 to 8 carbon atoms, and R13 and R17 are each a hydrogen group. , R14, R15, and R16 are each a hydrogen, a halogen-based element, a carboxylic acid, a carboxylic ester, a hydroxyl group, a cyano group, a nitro group, or a linear or branched alkyl group having 1 to 8 carbon atoms.
[0015]
In the formula (iii), when R11, R12, R14, R15, and R16 are alkyl substituents having more than 8 carbon atoms, the glass transition temperature is remarkably lowered, and the transparency is increased by crystallization of the alkyl substituent. There are problems such as damage.
[0016]
In the formula (iii), when the phenyl group is unsubstituted or a specific substituent is introduced at a position other than the ortho position, the optical functionality of the target resin composition can be exhibited. However, in the formula (iii), when the ortho position of the phenyl group, that is, R13 and R17 are not unsubstituted and a substituent other than hydrogen is introduced, the molecular structure becomes the same as that of the formula (ii). It cannot be reduced.
[0017]
As a specific example of the formula (iii), a maleimide compound in which a phenyl compound having no substituent other than a hydrogen group at an ortho position as an N substituent can be used, for example, N-phenylmaleimide and the like can be used. No.
[0018]
In the formula (iii), when the phenyl group is unsubstituted or a specific substituent is introduced at a position other than the ortho position, the optical functionality of the target resin composition can be exhibited. Examples of introducing a substituent at a position other than the ortho position of the phenyl group include N- (4-methylphenyl) maleimide, N- (4-ethylphenyl) maleimide, N- (4-hydroxyphenyl) maleimide, And N- (4-methylesterphenyl) maleimide. These may be used alone or in combination of two or more, and the ratio is not limited.
[0019]
Known methods for synthesizing the copolymer (a) consisting of the formula (i) and the formula (ii) and the copolymer (b) consisting of the formula (i) and the formula (iii) described in the claims of the present invention are known. Can be used. Known polymerization methods include, for example, bulk polymerization, solution polymerization, suspension polymerization, and emulsion polymerization, but are not limited thereto. Further, as another synthesis method, a copolymer containing a compound of the formula (i) is prepared by a copolymerization reaction of a vinyl monomer and maleic anhydride, and a primary amine compound is reacted at a maleic anhydride site. By performing an imidation reaction, the N-substituent of maleimide corresponding to the compound structures of the formulas (ii) and (iii) can be introduced to obtain a copolymer intended for the present invention. In this case, the primary amine refers to a substituent introduced at the 2 to 6 position of aniline capable of synthesizing an N-phenyl-substituted maleimide corresponding to the formulas (ii) and (iii) effective for the above function expression. Can be used.
[0020]
In the resin composition of the present invention and the optical member using the same, each of the copolymer (a) and the copolymer (b) has an average molecular weight of 5 × 10 3 or more as a weight average molecular weight in terms of polystyrene. × 10 6 or less. If the weight average molecular weight is more than 5 × 10 6 or less than 5 × 10 3, molding becomes difficult, which is not preferable.
[0021]
The copolymer (a) in the present invention has a positive birefringence, and the copolymer (b) has a negative birefringence. Since the copolymer (a) and the copolymer (b) exhibit thermodynamic affinity, they exhibit an optically high light transmittance.
[0022]
As a method for obtaining a resin composition containing the copolymer (a) and the copolymer (b) as components, the resin composition is obtained by heat-melting and kneading each copolymer using an internal mixer or an extruder. It can also be obtained by solution blending using a solvent.
[0023]
The blend ratio of the copolymer (a) and the copolymer (b) is 10 to 90% by weight and 90 to 10% by weight, respectively, preferably 30 to 70% by weight and 70 to 30% by weight. With such a blend ratio, a low birefringence can be achieved. When the copolymer (a) is less than 10% by weight and the copolymer (b) exceeds 90% by weight, or when the copolymer (b) is less than 10% by weight and the copolymer (a) exceeds 90% by weight. In some cases, lowering the birefringence is not sufficient.
[0024]
The optical member referred to in the present invention refers to an optical film, a sheet, a lens, and an optical recording substrate using the resin composition. The optical film is an optical film used for an image display device such as a liquid crystal display, a plasma display, an electroluminescence display, and a touch panel for inputting information. The method of producing these optical films includes a solution casting method and a melt extrusion molding method of the resin composition.
[0025]
The sheet is also a sheet such as an image display element, a protective sheet for a touch panel, and a light guide plate. The method for producing these sheets is a melt extrusion molding method, a thin wall injection molding method, or the like.
[0026]
The lens is a lens used for an eyeglass lens or an optical element. The method of producing these lenses includes an injection molding method, an injection compression molding method, a press molding method, and in some cases, polishing and finishing of an intermediate processed product obtained as a secondary process.
[0027]
The optical recording substrate is a compact disk (hereinafter referred to as a CD), a recording / reproducing CD, a digital versatile disk (hereinafter referred to as a DVD), a recording / reproducing DVD, or the like. These optical recording substrates are prepared by an injection molding method, an injection compression molding method, a solution coating method of a resin composition, a film bonding method, or the like.
[0028]
As the extrusion molding method and the injection molding method, known knowledge can be used, and processing can be performed in a melt flow region at or above the glass transition temperature of the resin composition. When an optical film or sheet is prepared using the solution casting method, a solvent in which the copolymer is soluble can be selected, and a plurality of solvents can be used as needed. As the solvent for the solution casting method, methylene chloride, chloroform, chlorobenzene, toluene, xylene, methyl ethyl ketone and the like can be used, but the solvent is not limited thereto. In particular, a good solvent (eg, methylene chloride, chloroform, etc.) and a poor solvent (eg, alcohols such as methanol, ethanol, etc.) can be combined for the purpose of controlling the solvent volatilization rate. In the drying of the substrate by the solution casting method, it is important to set the heating conditions so that bubbles and internal voids are not formed in the optical film.
[0029]
The resin composition of the present invention and the optical member using the same may optionally include additives such as a heat stabilizer and an ultraviolet stabilizer, and a plasticizer. As these additives such as plasticizers and stabilizers, those known for resin materials may be used. However, these additives and plasticizers must be blended within a range that does not impair the intended purpose of the present invention.
[0030]
A hard coat or the like may be applied for the purpose of protecting a part molded using the resin composition of the present invention and an optical member using the same, and a known coating agent can be used.
[0031]
The refractive index of the resin composition of the present invention and the optical member using the same is 1.50 or more, and the glass transition temperature (Tg) is 100 ° C. or more, preferably 120 ° C. or more, particularly preferably 140 ° C. or more. It will be.
[0032]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described specifically with reference to Examples, but the present invention is not limited thereto. Each physical property value was determined by the following measurement method.
<Transparency; light transmittance and haze>
{Circle around (1)} The light transmittance was measured in accordance with JIS K7105 (1981 edition).
[0033]
{Circle around (2)} Haze measurement was performed according to JIS K7105 (1981 edition).
<Positive / negative judgment of birefringence, measurement of phase difference amount>
(1) Polarizing microscope (λ / 4 plate color judgment method)
Awaya, Introduction to Polarizing Microscopes of Polymer Materials, Agne Technology Center, Chapter 5, pp. 78-82, pp. 78-82, 2001.
[0034]
(2) Polarized light microscope (Senarmont interferometry)
A method for measuring the amount of phase difference using a Senarmon compensator described in Yu Awaya, Introduction to Polarizing Microscopes of Polymer Materials, Agne Technical Center, Chapter 5, pp. 94-96, 2001 was used.
<Refractive index>
It was measured according to JIS K7142 (1981 edition).
<Thermal property; measurement of glass transition temperature>
The measurement was performed using a DSC manufactured by Seiko Denshi.
[0035]
Example 1
In a 1 liter autoclave, 0.42 mol of N- (2-methylphenyl) maleimide and 4.05 mol of isobutene were added in the presence of 1 mmol of perbutyl neodecanoate as a polymerization initiator with 400 ml of toluene in a solvent. A polymerization reaction was carried out at 60 ° C. for 5 hours to obtain a copolymer (a) comprising N- (2-methylphenyl) maleimide and isobutene (PS-average molecular weight Mn = 160,000, molecular weight distribution Mw / Mn = 2. 7) was obtained.
[0036]
In a 1 liter autoclave, 0.42 mol of N-phenylmaleimide and 4.05 mol of isobutene were added at 400C for 5 hours in the presence of 1 mmol of perbutyl neodecanoate as a polymerization initiator with respect to 400 ml of toluene in a solvent. The polymerization reaction was carried out to obtain a copolymer (b) comprising N-phenylmaleimide and isobutene (PS-average molecular weight Mn = 162,000, molecular weight distribution Mw / Mn = 2.6).
[0037]
A blend of 50% by weight of the copolymer (a) and 50% by weight of the copolymer (b) was adjusted to 25% by weight, and a solution prepared by adding 75% by weight of methylene chloride thereto was used as a polyethylene terephthalate film (hereinafter, referred to as a polyethylene terephthalate film). (Abbreviated as PET), and the solvent is volatilized to solidify and peeled off. The film after peeling was further dried at 100 ° C. for 4 hours, at a temperature of 120 ° C. to 160 ° C. for 1 hour each, and dried at 180 ° C. for 4 hours by a vacuum drier to obtain a film of about 100 μm.
[0038]
This film was an optical film having a light transmittance of 92%, a haze of 0.3%, and a refractive index of 1.57, and a glass transition temperature (Tg) of 200 ° C.
[0039]
A small piece of 5 cm × 5 cm was cut out from this optical film, and the temperature was 230 ° C. and the stretching speed was 5 mm / min. Using a biaxial stretching device manufactured by Shibayama Scientific Machinery. The film was stretched by + 50% by free-width uniaxial stretching under the following conditions. The stretched optical film did not show birefringence, and the retardation amount per 100 μm of the optical film was 0 nm.
[0040]
Example 2
When the cast film obtained by the solution casting method used in Example 1 was stretched and oriented by the same stretching technique as in Example 1 except that the stretching temperature was set to 245 ° C., the optical film did not show birefringence, The phase difference amount was 0 nm.
[0041]
Example 3
A 0.5 mm sheet was formed from the resin composition used in Example 1 at a temperature of 270 ° C. using a T-die / Labo Plastmill twin screw extruder manufactured by Toyo Seiki. The obtained sheet did not show birefringence, and the amount of retardation was 0 nm.
[0042]
Example 4
In a 1 liter autoclave, 0.42 mol of N- (2,6-diethylphenyl) maleimide and 4.05 mol of isobutene are added to 400 ml of toluene in the presence of 1 mmol of perbutyl neodecanoate as a polymerization initiator with respect to a solvent. And a polymerization reaction of N- (2,6-diethylphenyl) maleimide and isobutene (PS-converted number average molecular weight Mn = 170,000, molecular weight distribution Mw / Mn = 2.6). The copolymer (b) used in Example 1 was used.
[0043]
A blend consisting of 30% by weight of the copolymer (a) and 70% by weight of the copolymer (b) was added to 25% by weight, and a solution prepared by adding 75% by weight of methylene chloride to the mixture was poured on a PET film. To evaporate and solidify the solvent and peel it off.
[0044]
The film after peeling was further dried at 100 ° C. for 4 hours, at a temperature of 120 ° C. to 160 ° C. for 1 hour each, and dried at 180 ° C. for 4 hours by a vacuum drier to obtain a film of about 100 μm. This film was an optical film having a light transmittance of 92%, a haze of 0.3%, and a refractive index of 1.55, and a glass transition temperature (Tg) of 198 ° C.
[0045]
A small piece of 5 cm × 5 cm was cut out from the optical film, and was stretched at a temperature of 220 ° C. and a stretching speed of 5 mm / min using a stretching device manufactured by Shibayama Scientific Machinery. The film was stretched by + 50% by free-width uniaxial stretching under the following conditions. The stretched optical film did not show birefringence, and the retardation amount per 100 μm of the optical film was 0 nm.
[0046]
Example 5
Using the resin composition obtained in Example 1, a convex lens was formed by injection molding.
[0047]
The molding was performed at a temperature of 290 ° C. No orientation birefringence of the obtained molded article was confirmed.
[0048]
Comparative Example 1
A solution prepared from a solution of 25% by weight of a copolymer (b) composed of N-phenylmaleimide and isobutene and 75% by weight of methylene chloride as in Example 1 was cast on a PET film, and the solvent was volatilized and peeled off. Let it.
[0049]
The film after peeling was further dried at 100 ° C. for 4 hours, at a temperature of 120 ° C. to 160 ° C. for 1 hour each, and dried at 180 ° C. for 4 hours by a vacuum drier to obtain a film of about 100 μm. The light transmittance of this film was 92%, the haze was 0.3%, and the refractive index was 1.55. The glass transition temperature (Tg) of this film was 192 ° C.
[0050]
A small piece of 5 cm × 5 cm was cut out from this film, and the film was stretched at a temperature of 210 ° C. and a stretching speed of 15 mm / min. The film was stretched by + 50% by free-width uniaxial stretching under the following conditions. The birefringence of the stretched film was positive, and the amount of retardation per 100 μm of the film was +70 nm.
[0051]
Comparative Example 2
A solution prepared from a solution of 25% by weight of a copolymer (b) composed of N-phenylmaleimide and isobutene and 75% by weight of methylene chloride as in Example 1 was cast on a PET film, and the solvent was volatilized and peeled off. Let it. The film after peeling was further dried at 100 ° C. for 4 hours, at a temperature of 120 ° C. to 140 ° C. for 1 hour each, and dried at 140 ° C. for 4 hours by a vacuum dryer to obtain a film of about 100 μm. The light transmittance of this film was 92%, the haze was 0.3%, and the refractive index was 1.53. The glass transition temperature (Tg) of this film was 206 ° C.
[0052]
A small piece of 5 cm × 5 cm was cut out from this film, and the temperature was 220 ° C. and the stretching speed was 5 mm / min. The film was stretched by + 50% by free-width uniaxial stretching under the conditions of The birefringence of the stretched film was negative, and the retardation amount per 100 μm of the film was -100 nm.
[0053]
Comparative Example 3
5% by weight and 95% by weight of the same copolymer (a) and copolymer (b) as used in Example 1 were blended, and the blend was 25% by weight and 75% by weight of methylene chloride. The solution prepared above is cast on a PET film, and the solvent is volatilized and solidified and peeled off. The film after peeling was further dried at 100 ° C. for 4 hours, at a temperature of 120 ° C. to 140 ° C. for 1 hour each, and dried at 140 ° C. for 4 hours by a vacuum dryer to obtain a film of about 100 μm. The light transmittance of this film was 92%, the haze was 0.3%, and the refractive index was 1.56.
[0054]
A small piece of 5 cm × 5 cm was cut out from the film, and a stretching device manufactured by Shibayama Scientific Machinery was used at a temperature of 220 ° C. and a stretching speed of 15 mm / min. The film was stretched by + 50% by free-width uniaxial stretching under the following conditions. The birefringence of the stretched film was positive, and the amount of retardation per 100 μm of the film was +50 nm.
[0055]
【The invention's effect】
INDUSTRIAL APPLICABILITY The resin composition of the present invention and an optical member using the same are excellent in heat resistance, mechanical properties, and the like, and can be suitably used for an optical member requiring low birefringence.
The conventional birefringence problem can be improved by using the resin composition of the present invention and an optical member using the same in a place where low birefringence is required for an optical film or sheet.
In addition, by using the resin composition of the present invention and an optical member using the same for a lens, aberration caused by birefringence can be improved.
By using the resin composition of the present invention and an optical member using the same for an optical recording substrate, the birefringence can be reduced and the reading accuracy of recorded information data can be improved.