JP2004231227A - 電子部品包装用カバーテープ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子部品を収納する収納ポケットを連続的に形成したプラスチック製キャリアテープに、熱シールしうるカバーテープであって、該カバーテープはキャリアテープに熱シールされる側から少なくとも熱シール材層(以下、層Bと略す。)及び基材層(以下、層Aと略す。))の2層からなり、層Bが熱可塑性樹脂からなり、層Bの製膜方法がグラビュアコーティング方法であり、該グラビュアのセルの深さが3〜30μmであり、層Bの表面抵抗率が1×1012Ω/□以下であることを特徴とする電子部品包装用カバーテープ。
【選択図】図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、電子部品の保管、輸送、装着に際し、電子部品を汚染から保護し、電子回路基板に実装するために整列させ、取り出せる機能を有する包装体のうち、収納ポケットを形成したプラスチック製キャリアテープにシールされ得るカバーテープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICを始めとして、トランジスター、ダイオード、コンデンサー、圧電素子レジスター、などの表面実装用電子部品は、電子部品の形状に合わせて、収納しうるエンボス成形されたポケットを連続的に形成したプラスチック製キャリアテープとキャリアテープにシールし得るカバーテープとからなる包装体に包装されて供給されている。内容物の電子部品は包装体のカバーテープを剥離した後、自動的に取り出され電子回路基板に表面実装されている。
電子部品を包装したキャリアテープは通常、紙製或いはプラスチック製のリールに巻かれ、実装工程迄、その状態が維持される。
実装時は実装機に具備されたフィーダカセットに該リールは収められているがカバーテープがキャリアテープから剥離される前にフィーダカセットが所定の位置に移される。その度重なる移動、即ち、摩擦によって生じた静電気がリール及びカバーテープの表面に蓄積されカバーテープが剥離される時に該静電気が内容物である電子部品に流れ内部回路が破壊されるトラブルが発生する。
その為、熱シール材層に帯電防止処方を施す事により該静電気トラブルを回避することが特許文献1、特許文献2に記載されている。通常、該帯電防止剤として界面活性剤を使用するが該剤は湿度依存性が大きく相対湿度が12%以下といったような乾燥した環境では効果が発揮しにくい。
また、一般の界面活性剤の代わりに相対湿度が12%以下でも表面抵抗率が1×1012Ω/□以下になり得る界面活性剤や酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラックといった導電剤を使用し湿度依存性を軽減する手法も取られている事が特許文献3に記載されているが酸化錫、酸化チタンは高価であり、酸化亜鉛、カーボンブラックは透明性を悪化する。以上の事から、未だ、低コストで良好な特性を両立させる処方は確立していない。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−17015号公報
【特許文献2】
特開2000−128117号公報
【特許文献3】
特開2000−142786号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の相対湿度12%といった低湿度の環境下においても静電気トラブルを防止でき、更に、低コストで生産可能なカバーテープを提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は
(1) 電子部品を収納する収納ポケットを連続的に形成したプラスチック製キャリアテープに、熱シールしうるカバーテープであって、該カバーテープはキャリアテープに熱シールされる側から少なくとも熱シール材層(以下、層Bと略す。)及び基材層(以下、層Aと略す。))の2層からなり、層Bが熱可塑性樹脂からなり、層Bの製膜方法がグラビュアコーティング方法であり、該グラビュアのセルの深さが3〜30μmであり、層Bの表面抵抗率が1×1012Ω/□以下であることを特徴とする電子部品包装用カバーテープ、
(2) 層Aが、ポリエステル層、ナイロン層、ポリプロピレン層の何れかである(1)項記載の電子部品包装用カバーテープ、
(3) 層Aと層Bとの間に、ポリエステル層、ナイロン層、ポリプロピレン層、ポリエチレン層、エチレン共重合体層からなる群より選ばれた1種以上の層(以下、層Cと略す。)が積層されてなる(1)又は(2)項に記載の電子部品包装用カバーテープ、
(4) 層Bの熱可塑性樹脂がアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体ポリエチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、或いはそれら熱可塑性樹脂の無水マレイン酸変性共重合体である(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープ、
(5) 層Bが帯電防止剤を含んでおり該帯電防止剤が酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラック、及びポリオキシエチレンアルキルアミン、第四級アンモニウム、アルキルスルホネート等の界面活性剤、のいずれかまたは、混合物である(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープ、
(6) 全光線透過率が80%以上で曇度が40%以下である事を特徴とする(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープ、
(7) 層Bの表面抵抗率が気温23℃、相対湿度50%で1×1012Ω/□以下であることを特徴とする(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープ、
(8) 層Bの表面抵抗率が気温23℃、相対湿度12%で1×1012Ω/□以下であることを特徴とする(1)〜(7)項のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープ、
である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のカバーテープの構成要素の一例を説明する。層Aが基材層であり、厚みが6〜100μmの透明で剛性の高いフィルムであることが好ましい。層Aに用いる熱可塑性樹脂としてはポリエステル、ナイロン又はポリプロピレンなどの1.82MPa負荷における荷重たわみ温度(ASTM D−648)が60℃以上である熱可塑性樹脂である事が好ましい。
カバーテープの機械強度を上げる為に2層以上のそれぞれのフィルムを積層してもよい。
【0007】
層Bは該当するキャリアテープに熱シールでき常に安定した剥離強度が得られる樹脂であれば特に限定しないが、キャリアテープと熱シールした後、カバーテープをキャリアテープから剥離される時の剥離強度のバラツキを1mm巾当たり0.4N以下に抑えることが必要であり、その為に層Bの主成分がアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体ポリエチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、或いはそれら熱可塑性樹脂の無水マレイン酸変性共重合体からなる群より選ばれた1種である事が好ましい。
該層の製膜方法はグラビュアコーティング方法が好ましく更に該グラビュアのセルの深さが3〜30μmである事が好ましい。
セルの深さが3μm未満であると均一に製膜する事が難しく、上述剥離強度のバラツキを1mm当たり0.4N以下にする事が難しくなる。また、該層が帯電防止剤を含んでいる場合、表面抵抗率がばらつきやすくなる。
セルの深さが30μm以上であると透明性が悪化し使用材料にもよるがカバーテープの曇度が40%以上になる場合が多い。更に該層が帯電防止剤を含んでいる場合は帯電防止剤の使用量が増す為に低コストでの生産が困難になる。
基材の機械強度を上げる為に層Aと層Bの間にポリエステル層、ナイロン層又はポリプロピレン層を設けてもよく、また基材との密着強度を上げる為に層Aと層Bの間にポリエチレン層、ポリエチレン系共重合体層を設けても良い。本発明においてこれらの層を層Cとする。更に、層Aと層Bとの間又は層Aと層Cとの間には、ポリウレタン系接着剤層又はエポキシ系接着剤層を設けてもよい。
【0008】
本発明のカバーテープは、包装される電子部品が静電気により破壊されたり、電子部品の大きさが小さい為に実装工程でカバーテープが剥がされる時に静電気でカバーテープに付着するなどのトラブルを防止する為に層Bを帯電防止処理する事が好ましい。
また、層Bの表面の表面抵抗率は、気温23℃、相対湿度50%に24時間放置後において1×1012Ω/□以下であり、気温23℃、相対湿度12%に24時間放置後においても1×1012Ω/□以下である事が好ましい。
【0009】
代表的な帯電防止処方としては層Bに帯電防止剤を混合する方法と表面に帯電防止層を設ける方法がある。
これらの帯電防止処方として用いる帯電防止剤としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラック、及びポリオキシエチレンアルキルアミン、第四級アンモニウム、アルキルスルホネート等の界面活性剤、のいずれかまたは、混合物があげられる。
【0010】
該カバーテープは全光線透過率が80%以上、曇度が40%以下になる様、積層しなければならない。全光線透過率が80%未満、曇度が40%以上になると検査員にもよるがカバーテープで電子部品を包装した後に内容物が正しく挿入されているかどうか検査する際、困難になる。
【0011】
【実施例】
本発明の実施例を以下に示すがこれらの実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。
表1の実施例では、層Aはポリエステル層を使用し、その層Aの表面にポリウレタン接着剤層、層Cをドライラミネート法により設け、層Cの表面にコロナ処理を施した。そして層Bを表中記載の熱可塑性樹脂に同表中の帯電防止剤を混合し固形分濃度30%に調製し同表記載のセル深さのグラビュア版を使用しグラビュアコーティング法により設け、図2に示した層構成のカバーテープを得た。ポリウレタン系接着剤層は、層Aと層Cとの間の密着強度を上げる為に設けたものである。
各層の厚みは層Aが12μm、ポリウレタン接着剤層が1μm、層C、層Bは表1中数字の通りであった。
【0012】
表面抵抗率はJIS K6911により、全光線透過率、曇度はJIS K7105に従って測定した。
表面抵抗率は気温23℃、相対湿度50%の室内に試料をカバーテープの状態で24時間放置した後に層Bの表面を測定した。それから該試料を気温23℃、相対湿度12%の室内に24時間放置した後に再び層Bの表面を測定した。
【0013】
【表1】
【0014】
表1中の記号は以下の通りである。
LDPE :低密度ポリエチレン
MLDPE :メタロセン系触媒を使用して合成した低密度ポリエチレン
EVA :エチレン−酢酸ビニル共重合体
PMMA−BMA :ポリメチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体
PVC−VA :塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
PET :ポリエチレンテレフタレート
PP−Cl :塩素化ポリプロピレン
ATO :アンチモン含有酸化錫
ZnO :酸化亜鉛
AS :第四級アンモニウム
CB :カーボンブラック
【0015】
【発明の効果】
本発明に従うと、低コストで生産可能で且つ、実装工程における静電気トラブルを防止し更に、相対湿度12%といった低湿度の環境下においても該静電気トラブルを防止できる。
全光線透過率が80%以上、曇度が40%以下になる様、積層されている為、電子部品包装後の内容物の確認が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカバーテープの層構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例にあげたカバーテープの層構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1:カバーテープ
2:層A
3:層B
4:層C
5:ポリウレタン系接着剤層
Claims (8)
- 電子部品を収納する収納ポケットを連続的に形成したプラスチック製キャリアテープに、熱シールしうるカバーテープであって、該カバーテープはキャリアテープに熱シールされる側から少なくとも熱シール材層(以下、層Bと略す。)及び基材層(以下、層Aと略す。))の2層からなり、層Bが熱可塑性樹脂からなり、層Bの製膜方法がグラビュアコーティング法であり、該グラビュアのセルの深さが3〜30μmであることを特徴とする電子部品包装用カバーテープ。
- 層Aが、ポリエステル層、ナイロン層、ポリプロピレン層の何れかである請求項1記載の電子部品包装用カバーテープ。
- 層Aと層Bとの間に、ポリエステル層、ナイロン層、ポリプロピレン層、ポリエチレン層、エチレン共重合体層からなる群より選ばれた1種以上の層(以下、層Cと略す。)が積層されてなる請求項1又は2項に記載の電子部品包装用カバーテープ。
- 層Bの熱可塑性樹脂がアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体、ポリエチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、或いはそれら熱可塑性樹脂の無水マレイン酸変性共重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープ。
- 層Bが帯電防止剤を含んでおり、該帯電防止剤が酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラック、及びポリオキシエチレンアルキルアミン、第四級アンモニウム、アルキルスルホネート等の界面活性剤、のいずれかまたは、混合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープ。
- 全光線透過率が80%以上で曇度が40%以下である事を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープ。
- 層Bの表面抵抗率が気温23℃、相対湿度50%で1×1012Ω/□以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープ。
- 層Bの表面抵抗率が気温23℃、相対湿度12%で1×1012Ω/□以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003021749A JP2004231227A (ja) | 2003-01-30 | 2003-01-30 | 電子部品包装用カバーテープ |
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Cited By (3)
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JP2009019063A (ja) * | 2007-06-11 | 2009-01-29 | Du Pont Mitsui Polychem Co Ltd | 熱可塑性樹脂フィルム |
JP2010036413A (ja) * | 2008-08-04 | 2010-02-18 | Tosoh Corp | ラミネートフィルム |
JP2017007697A (ja) * | 2015-06-19 | 2017-01-12 | 住友ベークライト株式会社 | 電子部品包装用包材および電子部品包装体 |
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2003
- 2003-01-30 JP JP2003021749A patent/JP2004231227A/ja active Pending
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