JP2004230353A - バーコータおよび塗布方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗布開始時の塗布ロスの発生を抑制できる塗布装置および塗布方法の提供。
【解決手段】一定方向に搬送される帯状体の表面に塗布液を塗布する塗布装置であって、前記帯状体の搬送経路である搬送面の巾方向に沿って延在する1次側バーと、前記1次側バーより下流側において、前記1次側バーに対して平行に延在する2次側バーとを備え、塗布開始時において、前記2次側バーの方が前記1次側バーよりも先に前記帯状体に接触する塗布装置。
【選択図】 図1
【解決手段】一定方向に搬送される帯状体の表面に塗布液を塗布する塗布装置であって、前記帯状体の搬送経路である搬送面の巾方向に沿って延在する1次側バーと、前記1次側バーより下流側において、前記1次側バーに対して平行に延在する2次側バーとを備え、塗布開始時において、前記2次側バーの方が前記1次側バーよりも先に前記帯状体に接触する塗布装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バーコータおよび塗布方法にかかり、特に、塗布開始時における製品ロスの発生を抑制できるバーコータおよび塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷版は、通常、純アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウムウェブの少なくとも一方の面を目立てし、前記面に必要に応じて陽極酸化皮膜を形成して支持体ウェブを形成し、次いで、前記目立てされた側の面に感光層形成液や感熱層形成液などの製版層形成液を塗布して乾燥し、感光性または感熱性の製版面を形成することにより、製造される。
【0003】
前記製版層形成液のような塗布液を前記支持体ウェブなどの帯状体に塗布するのにバーコータが一般的に使用される。
【0004】
前記バーコータとしては、従来は、連続走行しているウェブの下面に接触しつつ、前記ウェブの走行方向に対して同方向または反対方向に回転するバーと、前記ウェブの走行時において、前記バーよりも、前記ウェブの走行方向に対して上流側(以下、単に「上流側」という。)に塗布液を吐出して塗布液溜りを形成し、前記ウェブの下面に前記塗布液を塗布する塗布部とを備えるものが一般的に使用されてきた。
【0005】
前記バーコータとしては、前記バーよりも上流側において、前記バーに近接して設けられているとともに、上端部において、前記ウェブの走行方向に対して下流側(以下、単に「下流側」という。)に向かって厚みが薄くなるように形成された第1の堰板を有し、第1の堰板の上端部が前記バーに向かって屈曲し、頂部に長さ0.1〜1mmのフラット面を有するバーコータ(特許文献1)、および、上端部において下流側に向かって厚みが薄くなるように形成された第1堰板とバーとを有し、前記バーの下流側に第2の堰板を設けたバーコータ(特許文献2)などが一般的に使用されてきた。
【0006】
しかしながら、支持体ウェブの走行速度を高くすると、前記支持体ウェブに追従して走行する空気すなわち同伴エアの膜である同伴エア膜が、前記支持体ウェブの表面に形成されるようになる。
【0007】
前記バーコータの何れにおいても、前記支持体ウェブの表面に同伴エア膜が形成されると、前記同伴エア膜は前記塗布液溜りに持ち込まれるので、前記支持体ウェブの表面に前記塗布液が均一に付着しなくなり、膜切れなどの欠陥を生じて前記塗布液の塗布が安定に行なわれなくなるという問題があった。
【0008】
前記問題を解決できるバーコータとして、前記支持体ウェブの搬送方向に沿って上流側に配設された1次側バーと、前記1次側バーの下流側に配設された2次側バーと、前記1次側バーと2次側バーとの間に配設されたバー間液溜り部とを備えたバーコータが提案された(特許文献3)。
【0009】
【特許文献1】
実願昭63−126213号明細書
【特許文献2】
特公昭58−004589号公報
【特許文献3】
特願2002−147940号明細書
【0010】
特許文献3に記載のバーコータにより、搬送速度が高いときに、前記同伴エアに起因して各種欠陥が発生するという問題が解決された。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記バーコータにおいても、塗布液の組成や供給量、ウェブの搬送速度などの塗布条件がある特定の範囲にあるときは、塗布開始時に前記製版層形成液の塗布量が一定量に制御されず、厚塗りや泡スジなどの品質故障が生じることがあった。
【0012】
前記品質故障を防止する手段としては、塗布開始時における1次側バーの回転数を通常よりも低速に設定する方法、および塗布開始時における塗布量を少なく設定し、前記厚塗りや泡スジの発生を抑制する方法などが考えられる。
【0013】
しかし、前記方法を採った場合には、製品の平版印刷版における一次側バーを低速で回転させた部分、および塗布液の塗布量の少ない部分においては、製品ロスが増加し、製造コストが上昇する。
【0014】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、塗布開始時における製品ロスの発生を抑制でき、塗布コストを節減できるバーコータおよび塗布方法の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、一定方向に搬送される帯状体の表面に塗布液を塗布するバーコータであって、前記帯状体の搬送経路である搬送面の巾方向に沿って延在する1次側バーと、前記1次側バーより下流側において、前記1次側バーに対して平行に延在する2次側バーとを備え、塗布開始時において、前記2次側バーが前記1次側バーよりも先に前記帯状体に当接するように形成されてなることを特徴とするバーコータに関する。
【0016】
前記バーコータにおいては、塗布開始時においては、前記2次側バーが前記帯状体に接触してから前記1次側バーが前記帯状体に接触する。したがって、前記1次側バーが前記帯状体に接触して塗布が開始されるときには、既に、2次側バーは前記帯状体に当接した状態にあるから、1次側バーによって塗布された塗布液の塗布量は前記2次側バーによって制御される。また、1次側バーにおいて厚塗りや泡スジが生じても、前記厚塗りや前記泡スジは前記2次側バーによって除去されるから、塗布開始時における製品ロスの発生を最小限に押えることができる。
【0017】
前記1次側バーおよび2次側バーは、表面が平滑な平滑バーであってもよく、円周方向の溝が形成された溝付バーや、表面に直径0.1mm程度の金属線を所定のピッチで巻回し、または密に巻回したワイヤバーであってもよい。
【0018】
前記1次側バーおよび2次側バーは、前記帯状体の搬送方向と同一の方向に回転させてもよく、また、前記搬送方向とは反対の方向に回転させてもよい。また、前記搬送方向と同一の方向に回転させる場合には、前記帯状体の搬送速度と等しい周速で回転させてもよく、前記搬送速度とは異なる周速で回転させてもよい。
【0019】
前記帯状体としては、連続した帯状であり、可撓性を有する基材が挙げられ、具体的には、[従来の技術]の欄で述べた支持体ウェブのほか、感光材料や磁気記録材料に使用される基材が挙げられる。前記基材としては、たとえば前記支持体ウェブ、写真フィルム用基材、印画紙用バライタ紙、録音テープ用基材、ビデオテープ用基材、フロッピー(R)ディスク用基材などが挙げられる。他には、カラー鉄板などの塗装金属板に使用される金属薄板などが挙げられる。
【0020】
前記塗布液としては、[従来の技術]の欄で述べた製版層形成液のほか、銀塩写真用の感光層を形成するのに使用される感光剤コロイド液、前記磁気記録材料における磁性層の形成に使用される磁性層形成液、および前記塗装金属薄板の下塗り層、中塗り層、上塗り層に使用される各種塗料などが挙げられる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、前記1次側バーと前記2次側バーとが、前記塗布開始時において、前記搬送面から離間した待機位置から前記帯状体に向かって同一の近接速度VCで近接するとともに、前記待機位置においては、前記1次側バーと前記2次側バーとは、前記1次側バーから前記帯状体までの距離aが、前記2次側バーから前記帯状体までの距離bよりも長くなるように配設されてなるバーコータに関する。
【0022】
前記バーコータにおいては、塗布開始時において、前記待機位置から前記帯状体に当接するまでに、前記1次側バーでは距離aだけ移動し、前記2次側バーにおいては距離bだけ移動する。ここで、距離bは距離aよりも小さく、前記1次側バーおよび前記2次側バーの何れも近接速度VCで前記帯状体に近接するから、前記待機位置から前記帯状体に当接するまでの時間は、前記2次側バーの方が前記1次側バーよりも短い。
【0023】
前記バーコータは、前記帯状体の搬送経路である搬送面よりも下方に前記1次側バーと前記2次側バーとを配設し、前記1次側バーと前記2次側バーとを下方から保持するバックアップ部材の下方に適宜の昇降手段を設けることにより構成できる。したがって、構成が簡略になるという特長を有する。
【0024】
請求項3に記載の発明は、塗布開始時において、前記帯状体の搬送速度をVW、前記1次側バーと前記2次側バーとの中心軸間の距離である中心軸間距離をd、前記距離bと前記距離aとの差をcとすると、差c、近接速度VC、搬送速度VW、距離dとの間に、関係式
c/VC≦d/VW
が成立するような近接速度VCで前記1次側バーおよび前記2次側バーが前記待機位置から前記帯状体に向かって移動するバーコータに関する。
【0025】
前記バーコータは、請求項2に記載のバーコータにおいて、距離a、距離b、近接速度VC、搬送速度VW、および距離dを前述のように設定した例である。
【0026】
前記1次側バーと前記2次側バーとの中心軸間距離dは、帯状体が前記1次側バーち当接してから前記2次側バーに当接するまでに進む距離に等しい。
【0027】
ここで、前記バーコータにおいては、c/VC≦d/VWであるから、1次側バーが帯状体に接触してから2次側バーに接触するまでの時間は、前記帯状体上の1点が前記1次側バーの上方を通過してから前記2次側バーに当接するまでの時間よりも短い。
【0028】
したがって、前記1次側バーが前記帯状体に当接してから前記2次側バーが前記帯状体に当接するまでに生じる製品ロスを最小限に留めることができる。
【0029】
請求項4に記載の発明は、前記帯状体の搬送方向に対して前記1次側バーよりも上流側に位置し、前記塗布液の塗布時において、前記帯状体を前記1次側バーに押圧する1次側サポートローラと、前記帯状体の搬送方向に対して前記2次側バーよりも下流側に位置し、前記塗布時において、前記帯状体を前記2次側バーに押圧する2次側サポートローラとを備え、前記1次側サポートローラと前記2次側サポートローラとが、前記待機位置において前記1次側バーから前記搬送面までの距離aが前記2次側バーから前記搬送面までの距離bよりも小さくなるような位置にあるとともに、塗布開始時において、前記支持体ウェブを前記1次側バーおよび前記2次側バーに押圧する押圧位置に向かって同一の速度で移動するバーコータに関する。
【0030】
前記バーコータにおいては、前記1次側サポートローラと前記2次側サポートローラとが、前記帯状体が巻き掛けられた状態で前記1次側バーおよび前記2次側バーに向かって移動することにより、前記1次側バーおよび前記2次側バーと前記帯状体とが当接する。そして、前記1次側バーから前記搬送面までの距離aが前記2次側バーから前記搬送面までの距離bよりも小さいから、前記1次側サポートローラが前記1次側バーに近接するよりも先に、前記2次側サポートローラが前記2次側バーに近接する。これにより、前記2次側バーが前記1次側バーよりも先に前記帯状体に当接する。
【0031】
したがって、前記バーコータにおいては、塗布開始時に、前記バックアップ部材を帯状体に向かって上昇させて前記1次側バーと前記2次側バーとを上昇させる必要がないから、前記バックアップ部材は、前記バーコータの基台に固定することができる。なお、前記バックアップ部材を昇降させる昇降手段を設けて前記1次側バーおよび前記2次側バーの前記帯状体への当りを調節できるようにしてもよい。
【0032】
請求項5に記載の発明は、前記1次側バーと前記2次側バーとの間に、前記塗布液の塗布時において前記塗布液が貯留されるバー間液溜り部が設けられてなるバーコータに関する。
【0033】
前記バーコータは、前記請求項1〜4に記載のバーコータにおいて前記バー間液溜り部を設けた例である。
【0034】
帯状体の搬送速度が高くなると、前記帯状体に随伴して持ち込まれる同伴エアの量も増加するが、前記バーコータにおいては、前記バー間液溜り部に溜まった塗布液によって前記同伴エアは上流側に押出されるから、前記同伴エアに起因する欠陥が生じない。
【0035】
請求項6に記載の発明は、前記帯状体が、平版印刷版の基材を形成する支持体ウェブであり、前記塗布液が、前記支持体ウェブの表面に製版層を形成する製版層形成液であるバーコータに関する。
【0036】
前記バーコータは、本発明のバーコータを平版印刷版の製造に用いた例である。前記バーコータによれば、支持体ウェブへの製版層形成液の塗布を開始する際の製品のロスを最小限に押えることができるから、平版印刷版の製造コストを低減させることができる。
【0037】
請求項7に記載の発明は、一定方向に搬送される帯状体の表面に塗布液を塗布する塗布方法であって、前記帯状体の搬送経路である搬送面の巾方向に沿って延在する1次側バーと、前記1次側バーより下流側において、前記1次側バーに対して平行に延在する2次側バーとを備えるバーコータを用い、前記2次側バーを前記1次側バーよりも先に前記帯状体に接触させて前記塗布を開始することを特徴とする塗布方法に関する。
【0038】
請求項1のところで述べたのと同様の理由により、前記製造方法によれば、1次側バーのみが帯状体に当接し、2次側バーが当接しないことにより、前記帯状体の塗布面に前記厚塗りや前記泡スジが生じることが効果的に防止されるから、塗布開始時における製品ロスの発生を最小限に押えることができる。
【0039】
帯状体、1次側バー、2次側バー、および塗布液については、請求項1で述べたとおりである。
【0040】
【発明の実施の形態】
1.実施形態1
本発明に係るバーコータの一例を図1に示す。
【0041】
実施形態1に係るバーコータ100は、図1に示すように、本発明における帯状体の一例であり、矢印tで示す方向に沿って搬送される支持体ウェブWの砂目立て面に製版層形成液を塗布する塗布装置である。
【0042】
前記帯状体の搬送経路である搬送面の支持体ウェブWの搬送方向tに対して直角の方向に延在する1次側バー2と、1次側バー2よりも下流側において、1次側バー2に対して平行に設けられた2次側バー4と、1次側バー2と2次側バー4との間に位置するバー間液溜り部6とを有する。
【0043】
2次側バー4は、1次側バー2よりも高い位置にある。
【0044】
1次側バー2と2次側バー4とは、何れも支持体ウェブWの搬送経路である搬送面Tから見て搬送方向tと同方向に回転する。
【0045】
1次側バー2と2次側バー4とは、平滑バーであってもよいが、平滑バーの表面にワイヤを密に巻回したワイヤバー、および表面に円周方向の溝を設けた溝付バーが好ましく使用される。ワイヤ2A(4A)の直径は、塗布条件および塗布液の組成および粘度等に基づいて適宜に定めることができるが、0.05〜0.5mmの範囲が好ましい。
【0046】
1次側バー2と2次側バー4との中心線の間隔は、製版層形成液の組成および粘度に応じて適宜定めることができるが、通常は、1次側バー2を通過した支持体ウェブWが2次側バー4を通過するまでの時間が0.02秒以下になるように定める。
【0047】
1次側バー2および2次側バー4は、バックアップ部材8によって下方から支持されている。バー間液溜り部6は、バックアップ部材8の上方に形成されている。
【0048】
バックアップ部材8に対して上流側には、本発明における堰状部材の一例である1次側堰板10が立設され、バックアップ部材8に対して下流側には、2次側堰板12が立設されている。1次側堰板10および2次側堰板12の何れも、バックアップ部材8に対して平行に立設されている。
【0049】
1次側堰板10とバックアップ部材8との間には1次側給液流路14が形成され、2次側流路12とバックアップ部材8との間には1次側給液流路16が形成されている。製版層形成液は、1次側給液流路14においては、下方から1次側バー2に向かって供給され、1次側給液流路16においては、下方から2次側バーに向かって供給される。なお、1次側給液流路14と1次側給液流路16とには、それぞれ独立に製版層形成液が供給される。
【0050】
バックアップ部材8には、バー間液溜り部6と1次側給液流路14とを連通する連通流路18が設けられている。
【0051】
連通流路18は、図3に示すように、バー間液溜り部6において搬送方向tに対して略直角な方向に沿って連続したスリット状に開口するとともに、バー間液溜り部6から垂直方向に沿って下方に伸びる流路である垂直流路18Aと、垂直流路18Aの下端から1次側給液流路14に向かって水平方向に設けられた水平流路18Bとを備える。水平流路18Bは、幅方向に沿って2以上に分割された分割スリット状に形成されていてもよく、また、互いに平行な多数の小孔からなる流路であってもよい。
【0052】
尚、垂直流路18Aは、バー間液溜り部6において分割スリット状に開口してもよく、また、1列または2列以上に配列された小孔状の開口を有してもよい。
【0053】
1次側堰板10および2次側堰板12は、頂部が、搬送面Tよりも低くなるように形成されている。
【0054】
バックアップ部材8および1次側堰板10、2次側堰板12は、昇降可能な基台20上に載置されている。
【0055】
基台20は、上方が開口した浅い箱状であり、1次側堰板10よりも上流側に、1次側堰板10を溢流した製版層形成液を貯留する1次側塗布液貯留部22が設けられ、2次側堰板12よりも下流側に、2次側堰板12を溢流した製版層形成液を貯留する2次側塗布液貯留部24が設けられている。
【0056】
基台20には、また、製版層形成液タンク(図示せず。)から1次側給液流路14に製版層形成液を供給する管路である塗布液供給ライン26と、製版層形成液タンクから1次側給液流路16に製版層形成液を供給する塗布液供給ライン28が設けられている。
【0057】
基台20には、また、1次側塗布液貯留部22から製版層形成液タンクに製版層形成液を戻す塗布液戻しライン30と、2次側塗布液貯留部24から製版層形成液タンクに製版層形成液を戻す塗布液戻しライン32とが設けられている。
【0058】
以下、バーコータ100の作用について説明する。
【0059】
図2は、待機状態のバーコータ100を示す。
【0060】
図2に示すように、バーコータ100が待機状態にあるときは、基台20は最も下降した位置にある。したがって、1次側バー2および2次側バー4の何れも支持体ウェブW(または搬送面T)から離間した待機位置にある。ここで、搬送面Tは、支持体ウェブWの搬送経路である。このときの1次側バー2から搬送面Tまでの距離をa、2次側バーから搬送面Tまでの距離をb、1次側バー2と2次側バー4との中心軸間距離をdとする。
【0061】
塗布を開始するときは、搬送面Tに沿って支持体ウェブWを搬送速度Vwで搬送するとともに、1次側バー2と2次側バーとを回転させつつ、基台20を上昇速度Vcで上昇させる。このとき、基台20の上昇速度Vcは、以下の関係式
c/VC≦d/VW
が成立するように設定する。
【0062】
2次側バー4は1次側バー2よりも高い位置に設けられているから、基台20を上昇させると、図3に示すように、最初に2次側バー4が支持体ウェブWに当接する。
【0063】
2次側バー4が支持体ウェブWに当接したら、基台20を更に上昇させ、図1に示すように、1次側バー2も支持体ウェブWに当接させ、製版層形成液の塗布を行う。
【0064】
塗布時には、1次側給液流路14から供給された製版層形成液は、1次側バー2によって上方に掻き揚げられて支持体ウェブWの砂目立て面に付着する。
【0065】
前記製版層形成液の一部は、1次側バー2によって下流側に送られ、バー間液溜り部6に貯留される。
【0066】
1次側バー2を通過した支持体ウェブWは、バー間液溜り部6を通過する。
【0067】
バー間液溜り部6を通過した支持体ウェブWは、次いで2次側バー4上を通過する。2次側バー4においては、支持体ウェブWに塗布された製版層形成液が、所定の塗布量に調整される。
【0068】
2次側バー4においては、1次側給液流路16から製版層形成液が供給されている。そして、1次側給液流路16には、1次側給液流路14とは独立の流路で製版層形成液が供給される。
【0069】
1次側給液流路14および1次側給液流路16から供給された塗布液のうち、支持体ウェブWに付着しなかったものは、バー間液溜り部6に溜まり、塗布液溜りを形成する。故に、2次側バー4の周辺に特に安定なビードが形成されるから、前記ビードの不安定さに起因する欠陥の発生が効果的に防止される。そして、支持体ウェブWがバー間液溜り部6を通過すると、バー間液溜り部6に貯留された塗布液によって支持体ウェブWの表面の同伴エアがカットされるから、塗布膜に液切れなどの欠陥が生じることはない。
【0070】
1次側給液流路14においては、製版層形成液は、上方に向かって流通するから、水平流路18Bにおける1次側給液流路14側の開口部は減圧になる。水平流路18Bは、垂直流路18Aを介してバー間液溜り部6に連通しているから、バー間液溜り部6内の製版層形成液は、垂直流路18Aに流入し、水平流路18Bを通って1次側給液流路14に流出する。したがって、図1において矢印bで示すように、バー間液溜り部6から連通流路18を通って1次側給液流路14に到る流れが生じる。
【0071】
ここで、1次側給液流路14の高さは、1次側堰板10の高さに等しく、1次側堰板10の高さは、搬送面Tの高さ、即ち1次側バー2の頂部の高さTよりも低いから、バー間液溜り部6の液面は、1次側堰板10の高さまで低下し、支持体ウェブWとの間に空間が形成される。これにより、バー間液溜り部6に気液界面が形成される。
【0072】
このようにしてバー間液溜り部6に気液界面が形成されることにより、2次側バー4に対して上流側に、製版層形成液の安定なビードが形成されるから、支持体ウェブWを高速で搬送したり、1次側給液流路14から高粘度の製版層形成液を供給したりした場合においても、リップルスジや、白抜けスジ、等ピッチスジ、黒ムラなどのスジ状欠陥のない安定な塗布面が得られる。
【0073】
更に、塗布開始時には、1次側バーよりも先に2次側バー4が支持体ウェブWに当接するから、塗布開始時に、製版層に厚塗りや泡スジなどの品質故障が生じることがない。
【0074】
2.実施形態2
本発明に係るバーコータの別の例を図4に示す。図4において図1と同一の符号は、前記符号が図1において示す要素と同一の要素を示す。
【0075】
図4に示すように、バーコータ102においては、1次側バー2および2次側バーの上方に、支持体ウェブWを上方から1次側バー2に押圧する1次側サポートローラ40と、支持体ウェブWを上方から2次側バー4に押圧する2次側サポートローラ42とが設けられている。1次側サポートローラ40は、1次側バー2よりも上流側に位置し、2次側サポートローラ42は、2次側バーよりも下流側に位置している。1次側サポートローラ40と2次側サポートローラ42とは何れも昇降可能に設けられている。
【0076】
なお、基台20は、固定され、昇降不能である。
【0077】
これらの点を除いては、バーコータ102はバーコータ100と同一である。
【0078】
以下、バーコータ102の作用について説明する。
【0079】
図5は、待機状態のバーコータ102を示す。
【0080】
図5に示すように、バーコータ102が待機状態にあるときは、1次側サポートローラ40と2次側サポートローラ42とは何れも最も上昇した待機位置にある。したがって、支持体ウェブWは、1次側バー2および2次側バー4の何れからも離間した状態にある。
【0081】
塗布を開始するときは、支持体ウェブWを搬送しつつ、図6に示すように、2次側サポートローラ42を先に下降させ、支持体ウェブWを2次側バー4に当接させる。支持体ウェブWが2次側バー4に当接したら、1次側サポートローラ40を下降させ、支持体ウェブWを1次側バー2に接触させて塗布を行う。
【0082】
実施形態2に係るバーコータ102は、実施形態1に係るバーコータの備える特長に加え、塗布中において、支持体ウェブWから加わる圧力が1次側バー2と2次側バー4とで等しい故に、2次側バー4が1次側バー2よりも先に磨耗することがないという特長を有する。
【0083】
3.実施形態3
本発明に係るバーコータの更に別の例を図7に示す。図7において図1と同一の符号は、前記符号が図1において示す要素と同一の要素を示す。
【0084】
図7に示すように、実施形態3に係るバーコータ104においては、1次側サポートローラ40と2次側サポートローラ42とは、高さが固定されている。そして、図8に示すように、1次側サポートローラ40と2次側サポートローラ42とは、中心軸が中心軸間距離Lだけ隔たり、しかも、2次側サポートローラ42は1次側サポートローラ40よりも高さgだけ低い位置に設けられている。また、基台20は昇降可能に形成され、塗布を行わないときは、図8に示すように、最下位置まで下降した待機位置にある。基台20が待機位置にあるときは、1次側バー2は、支持体ウェブWから距離aだけ離間した状態にあり、2次側バー4は、支持体ウェブWから距離bだけ離間した状態にある。なお、前述のように2次側サポートローラ42は1次側サポートローラ40よりも高さが低いから、距離bは、距離aよりも小さい。
【0085】
塗布開始時には、基台20は、図8に示す待機位置から図7に示す運転位置まで上昇する。記載20が上昇すると、まず2次側バーが支持体ウェブWに当接し、次いで図7に示すように1次側バーが当接する。なお、基台20の上昇速度Vcは、以下の関係式
c´/Vc<d/Vw
(c´=g×d/L+c、c=a−b)
が成立するように設定される。
【0086】
これらの点を除いては、バーコータ104は、実施形態2に係るバーコータ102と同様の構成および機能を有している。
【0087】
実施形態3に係るバーコータ104は、実施形態1および2に係るバーコータの有する特長に加えて、1次側サポートローラ40および2次側サポートローラ42を昇降させる必要がない故に、1次側サポートローラ40周り、および2次側サポートローラ42周りの構成が簡略になるという特長を有する。
【0088】
【実施例】
図1に示すバーコータを用い、感光層形成液を支持体ウェブの砂目立て面に塗布した。塗布条件は以下の通りであった。
【0089】
感光層形成液の粘度 10cp
搬送速度 120m/分
1次側バー2と2次側バー4との中心軸間距離d 20mm
1次側バー回転数 650〜750rpm
塗布液供給量 5〜8リットル/分
基台20の上昇速度Vcを表1に示すように変化させ、厚塗りの有無および製品ロスの長さを調べた。結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
表1に示すように、上昇速度Vcが速く、差c、中心軸間距離d、および支持体ウェブWの搬送速度Vwとの間に、c/Vc<d/Vwが成り立つときは、厚塗りは見られず、製品ロスも10mに止まった。これに対して、上昇速度Vcが遅くなり、差c、中心軸間距離d、および支持体ウェブWの搬送速度Vwとの間にc/Vc=d/Vwが成り立つときは、厚塗りが若干見られたが、製品ロスは10mに止まった。上昇速度Vcが更に遅くなり、差c、中心軸間距離d、および支持体ウェブWの搬送速度Vwとの関係が、c/Vc>d/Vwのときは、厚塗りが明瞭に見られ、製品ロスも60mmあった。
【0091】
但し、感光層形成液の組成および塗布条件が変化すれば、上昇速度Vc、差c、中心軸間距離d、支持体ウェブWの搬送速度Vwとの間に、c/Vc≧d/Vwという関係がある場合であっても、厚塗りを生じさせず、少ない製品ロスで塗布を開始することができると考えられる。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、塗布開始時における製品ロスの発生を抑制でき、塗布コストを節減できるバーコータおよび塗布方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施形態1に係るバーコータの構成を示す部分断面図である。
【図2】図2は、図1に示すバーコータが待機状態にあるところを示す部分断面図である。
【図3】図3は、図1に示すバーコータにおいて、待機状態から運転状態に移行するところを示す部分断面図である。
【図4】図4は、実施形態2に係るバーコータの構成を示す部分断面図である。
【図5】図5は、図4に示すバーコータが待機状態にあるところを示す部分断面図である。
【図6】図6は、図4に示すバーコータにおいて、待機状態から運転状態に移行するところを示す部分断面図である。
【図7】図7は、実施形態3に係るバーコータの構成を示す部分断面図である。
【図8】図8は、図7に示すバーコータが待機状態にあるところを示す部分断面図である。
【符号の説明】
2 1次側バー
4 2次側バー
8 バックアップ部材
40 1次側サポートローラ
42 2次側サポートローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、バーコータおよび塗布方法にかかり、特に、塗布開始時における製品ロスの発生を抑制できるバーコータおよび塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷版は、通常、純アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウムウェブの少なくとも一方の面を目立てし、前記面に必要に応じて陽極酸化皮膜を形成して支持体ウェブを形成し、次いで、前記目立てされた側の面に感光層形成液や感熱層形成液などの製版層形成液を塗布して乾燥し、感光性または感熱性の製版面を形成することにより、製造される。
【0003】
前記製版層形成液のような塗布液を前記支持体ウェブなどの帯状体に塗布するのにバーコータが一般的に使用される。
【0004】
前記バーコータとしては、従来は、連続走行しているウェブの下面に接触しつつ、前記ウェブの走行方向に対して同方向または反対方向に回転するバーと、前記ウェブの走行時において、前記バーよりも、前記ウェブの走行方向に対して上流側(以下、単に「上流側」という。)に塗布液を吐出して塗布液溜りを形成し、前記ウェブの下面に前記塗布液を塗布する塗布部とを備えるものが一般的に使用されてきた。
【0005】
前記バーコータとしては、前記バーよりも上流側において、前記バーに近接して設けられているとともに、上端部において、前記ウェブの走行方向に対して下流側(以下、単に「下流側」という。)に向かって厚みが薄くなるように形成された第1の堰板を有し、第1の堰板の上端部が前記バーに向かって屈曲し、頂部に長さ0.1〜1mmのフラット面を有するバーコータ(特許文献1)、および、上端部において下流側に向かって厚みが薄くなるように形成された第1堰板とバーとを有し、前記バーの下流側に第2の堰板を設けたバーコータ(特許文献2)などが一般的に使用されてきた。
【0006】
しかしながら、支持体ウェブの走行速度を高くすると、前記支持体ウェブに追従して走行する空気すなわち同伴エアの膜である同伴エア膜が、前記支持体ウェブの表面に形成されるようになる。
【0007】
前記バーコータの何れにおいても、前記支持体ウェブの表面に同伴エア膜が形成されると、前記同伴エア膜は前記塗布液溜りに持ち込まれるので、前記支持体ウェブの表面に前記塗布液が均一に付着しなくなり、膜切れなどの欠陥を生じて前記塗布液の塗布が安定に行なわれなくなるという問題があった。
【0008】
前記問題を解決できるバーコータとして、前記支持体ウェブの搬送方向に沿って上流側に配設された1次側バーと、前記1次側バーの下流側に配設された2次側バーと、前記1次側バーと2次側バーとの間に配設されたバー間液溜り部とを備えたバーコータが提案された(特許文献3)。
【0009】
【特許文献1】
実願昭63−126213号明細書
【特許文献2】
特公昭58−004589号公報
【特許文献3】
特願2002−147940号明細書
【0010】
特許文献3に記載のバーコータにより、搬送速度が高いときに、前記同伴エアに起因して各種欠陥が発生するという問題が解決された。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記バーコータにおいても、塗布液の組成や供給量、ウェブの搬送速度などの塗布条件がある特定の範囲にあるときは、塗布開始時に前記製版層形成液の塗布量が一定量に制御されず、厚塗りや泡スジなどの品質故障が生じることがあった。
【0012】
前記品質故障を防止する手段としては、塗布開始時における1次側バーの回転数を通常よりも低速に設定する方法、および塗布開始時における塗布量を少なく設定し、前記厚塗りや泡スジの発生を抑制する方法などが考えられる。
【0013】
しかし、前記方法を採った場合には、製品の平版印刷版における一次側バーを低速で回転させた部分、および塗布液の塗布量の少ない部分においては、製品ロスが増加し、製造コストが上昇する。
【0014】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、塗布開始時における製品ロスの発生を抑制でき、塗布コストを節減できるバーコータおよび塗布方法の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、一定方向に搬送される帯状体の表面に塗布液を塗布するバーコータであって、前記帯状体の搬送経路である搬送面の巾方向に沿って延在する1次側バーと、前記1次側バーより下流側において、前記1次側バーに対して平行に延在する2次側バーとを備え、塗布開始時において、前記2次側バーが前記1次側バーよりも先に前記帯状体に当接するように形成されてなることを特徴とするバーコータに関する。
【0016】
前記バーコータにおいては、塗布開始時においては、前記2次側バーが前記帯状体に接触してから前記1次側バーが前記帯状体に接触する。したがって、前記1次側バーが前記帯状体に接触して塗布が開始されるときには、既に、2次側バーは前記帯状体に当接した状態にあるから、1次側バーによって塗布された塗布液の塗布量は前記2次側バーによって制御される。また、1次側バーにおいて厚塗りや泡スジが生じても、前記厚塗りや前記泡スジは前記2次側バーによって除去されるから、塗布開始時における製品ロスの発生を最小限に押えることができる。
【0017】
前記1次側バーおよび2次側バーは、表面が平滑な平滑バーであってもよく、円周方向の溝が形成された溝付バーや、表面に直径0.1mm程度の金属線を所定のピッチで巻回し、または密に巻回したワイヤバーであってもよい。
【0018】
前記1次側バーおよび2次側バーは、前記帯状体の搬送方向と同一の方向に回転させてもよく、また、前記搬送方向とは反対の方向に回転させてもよい。また、前記搬送方向と同一の方向に回転させる場合には、前記帯状体の搬送速度と等しい周速で回転させてもよく、前記搬送速度とは異なる周速で回転させてもよい。
【0019】
前記帯状体としては、連続した帯状であり、可撓性を有する基材が挙げられ、具体的には、[従来の技術]の欄で述べた支持体ウェブのほか、感光材料や磁気記録材料に使用される基材が挙げられる。前記基材としては、たとえば前記支持体ウェブ、写真フィルム用基材、印画紙用バライタ紙、録音テープ用基材、ビデオテープ用基材、フロッピー(R)ディスク用基材などが挙げられる。他には、カラー鉄板などの塗装金属板に使用される金属薄板などが挙げられる。
【0020】
前記塗布液としては、[従来の技術]の欄で述べた製版層形成液のほか、銀塩写真用の感光層を形成するのに使用される感光剤コロイド液、前記磁気記録材料における磁性層の形成に使用される磁性層形成液、および前記塗装金属薄板の下塗り層、中塗り層、上塗り層に使用される各種塗料などが挙げられる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、前記1次側バーと前記2次側バーとが、前記塗布開始時において、前記搬送面から離間した待機位置から前記帯状体に向かって同一の近接速度VCで近接するとともに、前記待機位置においては、前記1次側バーと前記2次側バーとは、前記1次側バーから前記帯状体までの距離aが、前記2次側バーから前記帯状体までの距離bよりも長くなるように配設されてなるバーコータに関する。
【0022】
前記バーコータにおいては、塗布開始時において、前記待機位置から前記帯状体に当接するまでに、前記1次側バーでは距離aだけ移動し、前記2次側バーにおいては距離bだけ移動する。ここで、距離bは距離aよりも小さく、前記1次側バーおよび前記2次側バーの何れも近接速度VCで前記帯状体に近接するから、前記待機位置から前記帯状体に当接するまでの時間は、前記2次側バーの方が前記1次側バーよりも短い。
【0023】
前記バーコータは、前記帯状体の搬送経路である搬送面よりも下方に前記1次側バーと前記2次側バーとを配設し、前記1次側バーと前記2次側バーとを下方から保持するバックアップ部材の下方に適宜の昇降手段を設けることにより構成できる。したがって、構成が簡略になるという特長を有する。
【0024】
請求項3に記載の発明は、塗布開始時において、前記帯状体の搬送速度をVW、前記1次側バーと前記2次側バーとの中心軸間の距離である中心軸間距離をd、前記距離bと前記距離aとの差をcとすると、差c、近接速度VC、搬送速度VW、距離dとの間に、関係式
c/VC≦d/VW
が成立するような近接速度VCで前記1次側バーおよび前記2次側バーが前記待機位置から前記帯状体に向かって移動するバーコータに関する。
【0025】
前記バーコータは、請求項2に記載のバーコータにおいて、距離a、距離b、近接速度VC、搬送速度VW、および距離dを前述のように設定した例である。
【0026】
前記1次側バーと前記2次側バーとの中心軸間距離dは、帯状体が前記1次側バーち当接してから前記2次側バーに当接するまでに進む距離に等しい。
【0027】
ここで、前記バーコータにおいては、c/VC≦d/VWであるから、1次側バーが帯状体に接触してから2次側バーに接触するまでの時間は、前記帯状体上の1点が前記1次側バーの上方を通過してから前記2次側バーに当接するまでの時間よりも短い。
【0028】
したがって、前記1次側バーが前記帯状体に当接してから前記2次側バーが前記帯状体に当接するまでに生じる製品ロスを最小限に留めることができる。
【0029】
請求項4に記載の発明は、前記帯状体の搬送方向に対して前記1次側バーよりも上流側に位置し、前記塗布液の塗布時において、前記帯状体を前記1次側バーに押圧する1次側サポートローラと、前記帯状体の搬送方向に対して前記2次側バーよりも下流側に位置し、前記塗布時において、前記帯状体を前記2次側バーに押圧する2次側サポートローラとを備え、前記1次側サポートローラと前記2次側サポートローラとが、前記待機位置において前記1次側バーから前記搬送面までの距離aが前記2次側バーから前記搬送面までの距離bよりも小さくなるような位置にあるとともに、塗布開始時において、前記支持体ウェブを前記1次側バーおよび前記2次側バーに押圧する押圧位置に向かって同一の速度で移動するバーコータに関する。
【0030】
前記バーコータにおいては、前記1次側サポートローラと前記2次側サポートローラとが、前記帯状体が巻き掛けられた状態で前記1次側バーおよび前記2次側バーに向かって移動することにより、前記1次側バーおよび前記2次側バーと前記帯状体とが当接する。そして、前記1次側バーから前記搬送面までの距離aが前記2次側バーから前記搬送面までの距離bよりも小さいから、前記1次側サポートローラが前記1次側バーに近接するよりも先に、前記2次側サポートローラが前記2次側バーに近接する。これにより、前記2次側バーが前記1次側バーよりも先に前記帯状体に当接する。
【0031】
したがって、前記バーコータにおいては、塗布開始時に、前記バックアップ部材を帯状体に向かって上昇させて前記1次側バーと前記2次側バーとを上昇させる必要がないから、前記バックアップ部材は、前記バーコータの基台に固定することができる。なお、前記バックアップ部材を昇降させる昇降手段を設けて前記1次側バーおよび前記2次側バーの前記帯状体への当りを調節できるようにしてもよい。
【0032】
請求項5に記載の発明は、前記1次側バーと前記2次側バーとの間に、前記塗布液の塗布時において前記塗布液が貯留されるバー間液溜り部が設けられてなるバーコータに関する。
【0033】
前記バーコータは、前記請求項1〜4に記載のバーコータにおいて前記バー間液溜り部を設けた例である。
【0034】
帯状体の搬送速度が高くなると、前記帯状体に随伴して持ち込まれる同伴エアの量も増加するが、前記バーコータにおいては、前記バー間液溜り部に溜まった塗布液によって前記同伴エアは上流側に押出されるから、前記同伴エアに起因する欠陥が生じない。
【0035】
請求項6に記載の発明は、前記帯状体が、平版印刷版の基材を形成する支持体ウェブであり、前記塗布液が、前記支持体ウェブの表面に製版層を形成する製版層形成液であるバーコータに関する。
【0036】
前記バーコータは、本発明のバーコータを平版印刷版の製造に用いた例である。前記バーコータによれば、支持体ウェブへの製版層形成液の塗布を開始する際の製品のロスを最小限に押えることができるから、平版印刷版の製造コストを低減させることができる。
【0037】
請求項7に記載の発明は、一定方向に搬送される帯状体の表面に塗布液を塗布する塗布方法であって、前記帯状体の搬送経路である搬送面の巾方向に沿って延在する1次側バーと、前記1次側バーより下流側において、前記1次側バーに対して平行に延在する2次側バーとを備えるバーコータを用い、前記2次側バーを前記1次側バーよりも先に前記帯状体に接触させて前記塗布を開始することを特徴とする塗布方法に関する。
【0038】
請求項1のところで述べたのと同様の理由により、前記製造方法によれば、1次側バーのみが帯状体に当接し、2次側バーが当接しないことにより、前記帯状体の塗布面に前記厚塗りや前記泡スジが生じることが効果的に防止されるから、塗布開始時における製品ロスの発生を最小限に押えることができる。
【0039】
帯状体、1次側バー、2次側バー、および塗布液については、請求項1で述べたとおりである。
【0040】
【発明の実施の形態】
1.実施形態1
本発明に係るバーコータの一例を図1に示す。
【0041】
実施形態1に係るバーコータ100は、図1に示すように、本発明における帯状体の一例であり、矢印tで示す方向に沿って搬送される支持体ウェブWの砂目立て面に製版層形成液を塗布する塗布装置である。
【0042】
前記帯状体の搬送経路である搬送面の支持体ウェブWの搬送方向tに対して直角の方向に延在する1次側バー2と、1次側バー2よりも下流側において、1次側バー2に対して平行に設けられた2次側バー4と、1次側バー2と2次側バー4との間に位置するバー間液溜り部6とを有する。
【0043】
2次側バー4は、1次側バー2よりも高い位置にある。
【0044】
1次側バー2と2次側バー4とは、何れも支持体ウェブWの搬送経路である搬送面Tから見て搬送方向tと同方向に回転する。
【0045】
1次側バー2と2次側バー4とは、平滑バーであってもよいが、平滑バーの表面にワイヤを密に巻回したワイヤバー、および表面に円周方向の溝を設けた溝付バーが好ましく使用される。ワイヤ2A(4A)の直径は、塗布条件および塗布液の組成および粘度等に基づいて適宜に定めることができるが、0.05〜0.5mmの範囲が好ましい。
【0046】
1次側バー2と2次側バー4との中心線の間隔は、製版層形成液の組成および粘度に応じて適宜定めることができるが、通常は、1次側バー2を通過した支持体ウェブWが2次側バー4を通過するまでの時間が0.02秒以下になるように定める。
【0047】
1次側バー2および2次側バー4は、バックアップ部材8によって下方から支持されている。バー間液溜り部6は、バックアップ部材8の上方に形成されている。
【0048】
バックアップ部材8に対して上流側には、本発明における堰状部材の一例である1次側堰板10が立設され、バックアップ部材8に対して下流側には、2次側堰板12が立設されている。1次側堰板10および2次側堰板12の何れも、バックアップ部材8に対して平行に立設されている。
【0049】
1次側堰板10とバックアップ部材8との間には1次側給液流路14が形成され、2次側流路12とバックアップ部材8との間には1次側給液流路16が形成されている。製版層形成液は、1次側給液流路14においては、下方から1次側バー2に向かって供給され、1次側給液流路16においては、下方から2次側バーに向かって供給される。なお、1次側給液流路14と1次側給液流路16とには、それぞれ独立に製版層形成液が供給される。
【0050】
バックアップ部材8には、バー間液溜り部6と1次側給液流路14とを連通する連通流路18が設けられている。
【0051】
連通流路18は、図3に示すように、バー間液溜り部6において搬送方向tに対して略直角な方向に沿って連続したスリット状に開口するとともに、バー間液溜り部6から垂直方向に沿って下方に伸びる流路である垂直流路18Aと、垂直流路18Aの下端から1次側給液流路14に向かって水平方向に設けられた水平流路18Bとを備える。水平流路18Bは、幅方向に沿って2以上に分割された分割スリット状に形成されていてもよく、また、互いに平行な多数の小孔からなる流路であってもよい。
【0052】
尚、垂直流路18Aは、バー間液溜り部6において分割スリット状に開口してもよく、また、1列または2列以上に配列された小孔状の開口を有してもよい。
【0053】
1次側堰板10および2次側堰板12は、頂部が、搬送面Tよりも低くなるように形成されている。
【0054】
バックアップ部材8および1次側堰板10、2次側堰板12は、昇降可能な基台20上に載置されている。
【0055】
基台20は、上方が開口した浅い箱状であり、1次側堰板10よりも上流側に、1次側堰板10を溢流した製版層形成液を貯留する1次側塗布液貯留部22が設けられ、2次側堰板12よりも下流側に、2次側堰板12を溢流した製版層形成液を貯留する2次側塗布液貯留部24が設けられている。
【0056】
基台20には、また、製版層形成液タンク(図示せず。)から1次側給液流路14に製版層形成液を供給する管路である塗布液供給ライン26と、製版層形成液タンクから1次側給液流路16に製版層形成液を供給する塗布液供給ライン28が設けられている。
【0057】
基台20には、また、1次側塗布液貯留部22から製版層形成液タンクに製版層形成液を戻す塗布液戻しライン30と、2次側塗布液貯留部24から製版層形成液タンクに製版層形成液を戻す塗布液戻しライン32とが設けられている。
【0058】
以下、バーコータ100の作用について説明する。
【0059】
図2は、待機状態のバーコータ100を示す。
【0060】
図2に示すように、バーコータ100が待機状態にあるときは、基台20は最も下降した位置にある。したがって、1次側バー2および2次側バー4の何れも支持体ウェブW(または搬送面T)から離間した待機位置にある。ここで、搬送面Tは、支持体ウェブWの搬送経路である。このときの1次側バー2から搬送面Tまでの距離をa、2次側バーから搬送面Tまでの距離をb、1次側バー2と2次側バー4との中心軸間距離をdとする。
【0061】
塗布を開始するときは、搬送面Tに沿って支持体ウェブWを搬送速度Vwで搬送するとともに、1次側バー2と2次側バーとを回転させつつ、基台20を上昇速度Vcで上昇させる。このとき、基台20の上昇速度Vcは、以下の関係式
c/VC≦d/VW
が成立するように設定する。
【0062】
2次側バー4は1次側バー2よりも高い位置に設けられているから、基台20を上昇させると、図3に示すように、最初に2次側バー4が支持体ウェブWに当接する。
【0063】
2次側バー4が支持体ウェブWに当接したら、基台20を更に上昇させ、図1に示すように、1次側バー2も支持体ウェブWに当接させ、製版層形成液の塗布を行う。
【0064】
塗布時には、1次側給液流路14から供給された製版層形成液は、1次側バー2によって上方に掻き揚げられて支持体ウェブWの砂目立て面に付着する。
【0065】
前記製版層形成液の一部は、1次側バー2によって下流側に送られ、バー間液溜り部6に貯留される。
【0066】
1次側バー2を通過した支持体ウェブWは、バー間液溜り部6を通過する。
【0067】
バー間液溜り部6を通過した支持体ウェブWは、次いで2次側バー4上を通過する。2次側バー4においては、支持体ウェブWに塗布された製版層形成液が、所定の塗布量に調整される。
【0068】
2次側バー4においては、1次側給液流路16から製版層形成液が供給されている。そして、1次側給液流路16には、1次側給液流路14とは独立の流路で製版層形成液が供給される。
【0069】
1次側給液流路14および1次側給液流路16から供給された塗布液のうち、支持体ウェブWに付着しなかったものは、バー間液溜り部6に溜まり、塗布液溜りを形成する。故に、2次側バー4の周辺に特に安定なビードが形成されるから、前記ビードの不安定さに起因する欠陥の発生が効果的に防止される。そして、支持体ウェブWがバー間液溜り部6を通過すると、バー間液溜り部6に貯留された塗布液によって支持体ウェブWの表面の同伴エアがカットされるから、塗布膜に液切れなどの欠陥が生じることはない。
【0070】
1次側給液流路14においては、製版層形成液は、上方に向かって流通するから、水平流路18Bにおける1次側給液流路14側の開口部は減圧になる。水平流路18Bは、垂直流路18Aを介してバー間液溜り部6に連通しているから、バー間液溜り部6内の製版層形成液は、垂直流路18Aに流入し、水平流路18Bを通って1次側給液流路14に流出する。したがって、図1において矢印bで示すように、バー間液溜り部6から連通流路18を通って1次側給液流路14に到る流れが生じる。
【0071】
ここで、1次側給液流路14の高さは、1次側堰板10の高さに等しく、1次側堰板10の高さは、搬送面Tの高さ、即ち1次側バー2の頂部の高さTよりも低いから、バー間液溜り部6の液面は、1次側堰板10の高さまで低下し、支持体ウェブWとの間に空間が形成される。これにより、バー間液溜り部6に気液界面が形成される。
【0072】
このようにしてバー間液溜り部6に気液界面が形成されることにより、2次側バー4に対して上流側に、製版層形成液の安定なビードが形成されるから、支持体ウェブWを高速で搬送したり、1次側給液流路14から高粘度の製版層形成液を供給したりした場合においても、リップルスジや、白抜けスジ、等ピッチスジ、黒ムラなどのスジ状欠陥のない安定な塗布面が得られる。
【0073】
更に、塗布開始時には、1次側バーよりも先に2次側バー4が支持体ウェブWに当接するから、塗布開始時に、製版層に厚塗りや泡スジなどの品質故障が生じることがない。
【0074】
2.実施形態2
本発明に係るバーコータの別の例を図4に示す。図4において図1と同一の符号は、前記符号が図1において示す要素と同一の要素を示す。
【0075】
図4に示すように、バーコータ102においては、1次側バー2および2次側バーの上方に、支持体ウェブWを上方から1次側バー2に押圧する1次側サポートローラ40と、支持体ウェブWを上方から2次側バー4に押圧する2次側サポートローラ42とが設けられている。1次側サポートローラ40は、1次側バー2よりも上流側に位置し、2次側サポートローラ42は、2次側バーよりも下流側に位置している。1次側サポートローラ40と2次側サポートローラ42とは何れも昇降可能に設けられている。
【0076】
なお、基台20は、固定され、昇降不能である。
【0077】
これらの点を除いては、バーコータ102はバーコータ100と同一である。
【0078】
以下、バーコータ102の作用について説明する。
【0079】
図5は、待機状態のバーコータ102を示す。
【0080】
図5に示すように、バーコータ102が待機状態にあるときは、1次側サポートローラ40と2次側サポートローラ42とは何れも最も上昇した待機位置にある。したがって、支持体ウェブWは、1次側バー2および2次側バー4の何れからも離間した状態にある。
【0081】
塗布を開始するときは、支持体ウェブWを搬送しつつ、図6に示すように、2次側サポートローラ42を先に下降させ、支持体ウェブWを2次側バー4に当接させる。支持体ウェブWが2次側バー4に当接したら、1次側サポートローラ40を下降させ、支持体ウェブWを1次側バー2に接触させて塗布を行う。
【0082】
実施形態2に係るバーコータ102は、実施形態1に係るバーコータの備える特長に加え、塗布中において、支持体ウェブWから加わる圧力が1次側バー2と2次側バー4とで等しい故に、2次側バー4が1次側バー2よりも先に磨耗することがないという特長を有する。
【0083】
3.実施形態3
本発明に係るバーコータの更に別の例を図7に示す。図7において図1と同一の符号は、前記符号が図1において示す要素と同一の要素を示す。
【0084】
図7に示すように、実施形態3に係るバーコータ104においては、1次側サポートローラ40と2次側サポートローラ42とは、高さが固定されている。そして、図8に示すように、1次側サポートローラ40と2次側サポートローラ42とは、中心軸が中心軸間距離Lだけ隔たり、しかも、2次側サポートローラ42は1次側サポートローラ40よりも高さgだけ低い位置に設けられている。また、基台20は昇降可能に形成され、塗布を行わないときは、図8に示すように、最下位置まで下降した待機位置にある。基台20が待機位置にあるときは、1次側バー2は、支持体ウェブWから距離aだけ離間した状態にあり、2次側バー4は、支持体ウェブWから距離bだけ離間した状態にある。なお、前述のように2次側サポートローラ42は1次側サポートローラ40よりも高さが低いから、距離bは、距離aよりも小さい。
【0085】
塗布開始時には、基台20は、図8に示す待機位置から図7に示す運転位置まで上昇する。記載20が上昇すると、まず2次側バーが支持体ウェブWに当接し、次いで図7に示すように1次側バーが当接する。なお、基台20の上昇速度Vcは、以下の関係式
c´/Vc<d/Vw
(c´=g×d/L+c、c=a−b)
が成立するように設定される。
【0086】
これらの点を除いては、バーコータ104は、実施形態2に係るバーコータ102と同様の構成および機能を有している。
【0087】
実施形態3に係るバーコータ104は、実施形態1および2に係るバーコータの有する特長に加えて、1次側サポートローラ40および2次側サポートローラ42を昇降させる必要がない故に、1次側サポートローラ40周り、および2次側サポートローラ42周りの構成が簡略になるという特長を有する。
【0088】
【実施例】
図1に示すバーコータを用い、感光層形成液を支持体ウェブの砂目立て面に塗布した。塗布条件は以下の通りであった。
【0089】
感光層形成液の粘度 10cp
搬送速度 120m/分
1次側バー2と2次側バー4との中心軸間距離d 20mm
1次側バー回転数 650〜750rpm
塗布液供給量 5〜8リットル/分
基台20の上昇速度Vcを表1に示すように変化させ、厚塗りの有無および製品ロスの長さを調べた。結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
表1に示すように、上昇速度Vcが速く、差c、中心軸間距離d、および支持体ウェブWの搬送速度Vwとの間に、c/Vc<d/Vwが成り立つときは、厚塗りは見られず、製品ロスも10mに止まった。これに対して、上昇速度Vcが遅くなり、差c、中心軸間距離d、および支持体ウェブWの搬送速度Vwとの間にc/Vc=d/Vwが成り立つときは、厚塗りが若干見られたが、製品ロスは10mに止まった。上昇速度Vcが更に遅くなり、差c、中心軸間距離d、および支持体ウェブWの搬送速度Vwとの関係が、c/Vc>d/Vwのときは、厚塗りが明瞭に見られ、製品ロスも60mmあった。
【0091】
但し、感光層形成液の組成および塗布条件が変化すれば、上昇速度Vc、差c、中心軸間距離d、支持体ウェブWの搬送速度Vwとの間に、c/Vc≧d/Vwという関係がある場合であっても、厚塗りを生じさせず、少ない製品ロスで塗布を開始することができると考えられる。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、塗布開始時における製品ロスの発生を抑制でき、塗布コストを節減できるバーコータおよび塗布方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施形態1に係るバーコータの構成を示す部分断面図である。
【図2】図2は、図1に示すバーコータが待機状態にあるところを示す部分断面図である。
【図3】図3は、図1に示すバーコータにおいて、待機状態から運転状態に移行するところを示す部分断面図である。
【図4】図4は、実施形態2に係るバーコータの構成を示す部分断面図である。
【図5】図5は、図4に示すバーコータが待機状態にあるところを示す部分断面図である。
【図6】図6は、図4に示すバーコータにおいて、待機状態から運転状態に移行するところを示す部分断面図である。
【図7】図7は、実施形態3に係るバーコータの構成を示す部分断面図である。
【図8】図8は、図7に示すバーコータが待機状態にあるところを示す部分断面図である。
【符号の説明】
2 1次側バー
4 2次側バー
8 バックアップ部材
40 1次側サポートローラ
42 2次側サポートローラ
Claims (7)
- 一定方向に搬送される帯状体の表面に塗布液を塗布するバーコータであって、
前記帯状体の搬送経路である搬送面の巾方向に沿って延在する1次側バーと、前記1次側バーより下流側において、前記1次側バーに対して平行に延在する2次側バーとを備え、
前記塗布液の塗布開始時において、前記2次側バーが前記1次側バーよりも先に前記帯状体に当接するように形成されてなることを特徴とするバーコータ。 - 前記1次側バーと前記2次側バーとは、前記塗布開始時において、前記搬送面から離間した待機位置から前記帯状体に向かって同一の近接速度VCで近接するとともに、
前記待機位置においては、前記1次側バーから前記搬送面までの距離aは、前記2次側バーから前記搬送面までの距離bよりも長い前記請求項1に記載のバーコータ。 - 塗布開始時において、前記帯状体の搬送速度をVW、前記1次側バーと前記2次側バーとの中心軸間の距離である中心軸間距離をd、前記距離bと前記距離aとの差をcとすると、差c、近接速度VC、搬送速度VW、距離dとの間に、関係式
c/VC≦d/VW
が成立するような近接速度VCで前記1次側バーおよび前記2次側バーが前記待機位置から前記帯状体に向かって移動する請求項2に記載のバーコータ。 - 前記帯状体の搬送方向に対して前記1次側バーよりも上流側に位置し、前記塗布液の塗布時において、前記帯状体を前記1次側バーに押圧する1次側サポートローラと、前記帯状体の搬送方向に対して前記2次側バーよりも下流側に位置し、前記塗布時において、前記帯状体を前記2次側バーに押圧する2次側サポートローラとを備え、
前記1次側サポートローラと前記2次側サポートローラとは、前記待機位置においては、前記1次側バーから前記搬送面までの距離aが前記2次側バーから前記搬送面までの距離bよりも小さくなるような位置にあるとともに、塗布開始時において、前記支持体ウェブを前記1次側バーおよび前記2次側バーに押圧する押圧位置に向かって同一の速度で移動する請求項1に記載のバーコータ。 - 前記1次側バーと前記2次側バーとの間に、前記塗布液の塗布時において前記塗布液が貯留されるバー間液溜り部が設けられてなる請求項1〜4の何れか1項に記載のバーコータ。
- 前記帯状体は、平版印刷版の基材を形成する支持体ウェブであり、前記塗布液は、前記支持体ウェブの表面に製版層を形成する製版層形成液である請求項1〜5の何れか1項に記載のバーコータ。
- 一定方向に搬送される帯状体の表面に塗布液を塗布する塗布方法であって、
前記帯状体の搬送経路である搬送面の巾方向に沿って延在する1次側バーと、前記1次側バーより下流側において、前記1次側バーに対して平行に延在する2次側バーとを備えるバーコータを用い、
前記2次側バーを前記1次側バーよりも先に前記帯状体に接触させて前記塗布を開始することを特徴とする塗布方法。
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- 2003-02-03 JP JP2003025390A patent/JP2004230353A/ja active Pending
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