JP2004229408A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Hiroyuki Yuasa
弘之 湯浅
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Abstract

【課題】制動時に、バッテリの充電量SOCに応じた回生発電を行わせつつ、回生発電による制動力変化を抑制する。
【解決手段】制動時に、要求制動力と、バッテリの充電量SOCに応じた回生発電要求に相当する回生制動力と、油圧制動力とから、エンジンフリクションの要求を求める。そして、前記エンジンフリクションの要求に対応するエンジン回転速度を設定し、該エンジン回転速度になるように、エンジン駆動されるジェネレータの駆動トルクを制御する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の制動時に、駆動源としてのモータに回生発電を行わせて、回収したエネルギーをバッテリに蓄える構成のハイブリッド車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、駆動源としてエンジン及びモータを備えるハイブリッド車両が知られている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
【0003】
前記ハイブリッド車両では、モータに電力を供給するバッテリと、エンジンによって駆動され、前記バッテリに充電電力を供給するジェネレータとを備える。
そして、車両の制動時には、モータに回生発電を行わせて、回収したエネルギーをバッテリに蓄えるようになっている。
【0004】
また、前記バッテリの充電量SOC(例えば、満充電電流量に対する残存電流量の比)を常にある特定の範囲内に維持することで、バッテリの寿命が延びることが知られており、従来から、前記充電量SOCが低くなると、エンジンによってジェネレータを駆動してバッテリに対する充電を行わせるようにしていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−288028号公報
【非特許文献1】
岡澤正之編集,「自動車工学 1997年6月号」,株式会社鉄道日本社,1997年6月1日,p38−p52
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記充電量SOCが低い状態での制動時には、モータの回生発電をなるべく多く行わせ、バッテリ充電を促進させることが望まれ、逆に、前記充電量SOCが充分に高い状態では、回生発電を抑制してバッテリの過充電を回避することが望まれる。
【0007】
しかし、充電量SOCの要求から回生発電を制御すると、回生ブレーキ力の変化によって、要求の制動力に対して過不足を生じ、運転者に違和感を与えてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、バッテリの充電量SOCに応じた回生発電を行わせつつ、制動力の変化を回避できるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1記載の発明では、車両の制動時に、バッテリの充電量に応じてモータの回生発電量を設定し、該回生発電量に基づいてエンジンのフリクションを調整する構成とした。
【0010】
かかる構成によると、バッテリの充電量に応じて回生による充電の要求を判断する一方、充電要求の状態からエンジンのフリクション、即ち、エンジンブレーキを調整して、回生制動力の変化に対応するエンジンブレーキを発生させる。
【0011】
従って、バッテリの充電量の要求に応じた回生発電を行わせつつ、制動力の変化を回避することができる。
請求項2記載の発明では、エンジンで駆動され、バッテリに充電電力を供給するジェネレータを備え、前記ジェネレータの駆動トルクの調整によってエンジンの回転速度を変化させることによって、エンジンのフリクションを調整する構成とした。
【0012】
かかる構成によると、エンジンがジェネレータを駆動するトルク、又は、ジェネレータがエンジンを駆動する負荷トルクの調整によって、エンジンの回転速度を変化させ、エンジン回転速度の増大によって増える傾向のフリクションを調整する。
【0013】
従って、駆動輪側から駆動される状態のエンジンの回転速度を、要求の回生発電量に応じて変化させて、充電量の要求に応じた回生発電を行わせつつ、制動力の変化を回避することができる。
【0014】
請求項3記載の発明では、バッテリの充電量が多いほどモータの回生発電量を小さくし、かつ、エンジンのフリクションを増大させる構成とした。
かかる構成によると、バッテリの充電量が多いときに回生発電を行わせると過充電になってしまうので、回生発電量を少なくし、回生発電量の低下による回生制動力の低下をエンジンのフリクションを増大させることによるエンジンブレーキの増大で補う。
【0015】
従って、バッテリの充電量を特定の範囲内に維持させることができると共に、制動力の変動を回避できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態におけるハイブリッド車両のシステム概略図である。
【0017】
この図1において、火花点火式ガソリンエンジン1の駆動力は、動力分割機構2によって駆動輪3の駆動力とジェネレータ4の駆動力とに分割される。
前記動力分割機構2としては、図2に示すような遊星歯車装置が用いられており、エンジン1の動力は、直結するプラネタリキャリアに伝達され、ピニオンギヤを通じてリングギヤとサンギヤとに分配される。
【0018】
前記リングギヤの回転軸はモータ5と直結されており、減速機8を通じて駆動輪3に駆動力が伝達される一方、サンギヤの回転軸は、ジェネレータ4に直結している。
【0019】
即ち、前記エンジン1の動力を、直結される動力分割機構2に入力させ、前記動力分割機構2の出力軸の一方をモータ5及び駆動輪3に接続し、他方をジェネレータ4に接続してある。
【0020】
上記動力分割機構2においては、ジェネレータ4(サンギヤ)の回転をインバータ6で制御することで、エンジン1(キャリア)の回転速度を変えることができる(図3参照)。
【0021】
また、同時に、エンジン出力の一部は、ジェネレータ4を介してモータ5に伝達して車両の駆動力に変換することで、無段変速機としての機能を持つことになる。
【0022】
前記ジェネレータ4で発電された電力は、モータ5の駆動に直接利用されると共に、インバータ6で直流に変換されてバッテリ7に蓄えられる。
係る構成において、マイクロコンピュータを内蔵するコントロールユニット9には、以下のように、エンジン1,ジェネレータ4,モータ5を制御する。
【0023】
まず、停車時には、エンジン1,ジェネレータ4,モータ5が共に停止していて(図3A参照)、エンジン1の効率が悪い発進時及び軽負荷時には、前記エンジン1への燃料供給を停止させておいて、モータ5のみで走行させる。
【0024】
前記エンジン1は、発進後に燃料供給が開始され(図3B参照)、定常走行時は、主としてエンジン1の出力で行われる。
従って、定常走行時には、前記ジェネレータ4による発電は殆ど不要になる(図3C参照)。
【0025】
定常走行から加速するときには、エンジン1の回転速度を上げると共に、ジェネレータ4に発電を行わせ、エンジン1の直接駆動力にモータ駆動力を加えて加速する(図3D参照)。
【0026】
制動時(エンジンブレーキ時及びフットブレーキ時)には、駆動輪3がモータ5を駆動することで、モータ5が発電機として機能し、回生発電が行われ、回生したエネルギーはバッテリ7に蓄えられる。
【0027】
尚、図1に示すように、ブレーキペダル操作によってブレーキ油圧を発生させるブレーキ油圧源10の下流に、前記コントロールユニット9で制御される油圧調整部11が設けられており、係る構成で得られるブレーキ油圧と回生発電による回生ブレーキと、更に、エンジン1のポンピング抵抗・フリクション(エンジンブレーキ)によって、車両の減速度が調整される。
【0028】
ここで、前記コントロールユニット9による回生時の制御を、図4のフローチャートに従って詳細に説明する。
まず、ステップS1では、運転者がアクセルから足を離してブレーキペダルを踏んでいる減速時(制動時)であるか否かを判別し、減速時であれば、ステップS2へ進む。
【0029】
ステップS2では、要求制動力(要求減速度)を求める。
ここでは、たとえば、運転者によるブレーキペダルの踏み込み圧(踏み代)を検出して、該踏み込み圧から要求制動力(要求減速度)を設定する。
【0030】
次のステップS3では、バッテリ7の充放電電流の時間積算から求めた充電量SOCに基づいて回生発電量の要求値を演算する。
ここで、充電量SOCが飽和状態でバッテリ7への回生が行えない状態であれば、回生発電量の要求値は0として設定され、充電量SOCが低くなるほどより大きな回生発電量の要求値を設定する。
【0031】
ステップS4では、油圧調整部11出口での油圧から油圧制動力を求める。
ステップS5では、燃料供給が停止される制動時におけるエンジン1のフリクション(エンジンブレーキ)の要求を、前記要求制動力,回生発電量の要求値に相当する回生制動力及び油圧制動力から、以下のようにして求める。
【0032】
エンジンフリクション=要求制動力−回生制動力−油圧制動力
上記エンジンフリクションは、回生発電量の要求値が少なく回生制動力が小さいときほど大きくなり、逆に、回生発電量の要求値が多く回生制動力が大きいときほど小さくなり、係るエンジンフリクションに調整すれば、回生制動力の変動分がエンジンフリクション(エンジンブレーキ)の変化で吸収され、全体の制動力を一定に維持できることになる。
【0033】
そして、ステップS6では、前記エンジンフリクションとするためのエンジン回転数(rpm)を求める。
尚、エンジンフリクションは、エンジン回転数(rpm)の増大に応じて増える傾向を示す。
【0034】
ステップS7では、前記ステップS6で求めたエンジン回転数(rpm)に実際のエンジン回転速度が一致するように、前記ジェネレータ4の駆動トルクを制御する。
【0035】
具体的には、実際のエンジン回転速度が、要求のフリクションに相当する目標速度よりも低い場合には、バッテリ7の電力をジェネレータ4に供給して、ジェネレータ4でエンジン1を駆動させるようにし、逆に、実際のエンジン回転速度が、要求のフリクションに相当する目標速度よりも高い場合には、ジェネレータ4で発電を行わせ、ジェネレータ4の駆動負荷トルクでエンジン回転速度が低下するようにする。
【0036】
上記のように、充電量SOCに基づく回生発電の要求に応じて、エンジン1のフリクションを調整すれば、要求に応じた回生発電を行わせつつ、制動力が要求に対して過不足を生じることを回避できる。
【0037】
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジンのフリクションの目標を、要求制動力,回生発電量の要求値に相当する回生制動力及び油圧制動力から算出することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【0038】
かかる構成によると、要求制動力が、エンジンのフリクション,回生制動力及び油圧制動力から得られるように、回生制動力の変化分だけエンジンのフリクションが調整される。
【0039】
従って、回生制動力の変化に対応して、要求制動力を維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態におけるハイブリッド車両のシステム構成図。
【図2】実施形態における動力分割機構を構成する遊星歯車装置を示す図。
【図3】実施形態において動力分割分機構を構成する遊星歯車の軸回転数の相関を示す共線図。
【図4】実施形態における回生制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン、2…動力分配機構、3…駆動輪、4…ジェネレータ、5…モータ、6…インバータ、7…バッテリ、8…減速機、9…コントロールユニット

Claims (3)

  1. 駆動源としてのエンジン及びモータと、前記モータに電力を供給するバッテリとを備え、車両の制動時に前記モータに回生発電を行わせて、回収したエネルギーを前記バッテリに蓄える構成のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記車両の制動時に、前記バッテリの充電量に応じて前記モータの回生発電量を設定し、該回生発電量に基づいて前記エンジンのフリクションを調整することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 前記エンジンで駆動され、前記バッテリに充電電力を供給するジェネレータを備え、
    前記ジェネレータの駆動トルクの調整によって前記エンジンの回転速度を変化させることによって、前記エンジンのフリクションを調整することを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置。
  3. 前記バッテリの充電量が多いほど前記モータの回生発電量を小さくし、かつ、前記エンジンのフリクションを増大させることを特徴とする請求項1又は2記載のハイブリッド車両の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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