JP2004228602A - 縦型半導体製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 異なるガスを交互に流して成膜する縦型半導体製造装置において、炉容積が大きくても、スループットが向上できるようにする。
【解決手段】 縦型半導体製造装置は、反応炉20、真空ポンプ26に接続された排気配管40、成膜に寄与する第1のガスを供給する第1供給配管41、第2のガスを供給する第2供給配管38、第1、第2供給配管の供給及び排気配管40の排気を制御するバルブ22〜25、第1供給配管41に設けられたガス溜り21、制御手段29を備える。制御手段は、バルブ22〜25を制御して、第1のガスを第1供給配管41に流してガス溜り21に溜め、炉20の排気を止めた状態でガス溜り21に溜めた第1のガスを炉20に供給することにより、炉20を昇圧状態として基板Wを第1のガスに晒す。ポンプ26で炉20を排気しつつ第2のガスを第2供給配管38を介して炉20に供給することにより、基板を第2のガスに晒す。
【選択図】 図1

Description

発明の詳細な説明
発明の属する技術分野
本発明は縦型半導体製造装置に係り、特に成膜に寄与する複数種類のガスを交互に流して、積層された基板上に成膜する縦型半導体製造装置に関するものである。
従来の技術
図7は、成膜に寄与する複数種類のガスを交互に流して成膜を行なう半導体装置製造装置の従来例である原子層成膜装置(以下、単にALD(Atomic Layer Deposition)装置という)を示す。これは、例えば成膜に寄与する2種のプロセスガスa、bを反応室1内に交互に供給しつつ排気して、反応室1内の基板上に吸着、反応させることにより成膜するものである。この場合、プロセスガスa、bのガス供給量はガス供給配管7、8に設けたマスフローコントローラ(MFC)2、3による流量制御によって行なっている。また、反応室1内の圧力は排気配管9に設けた排気バルブ6の開度調整により排気量を制御することで行なっている。
しかしながら、上述した従来のALD装置では、特に、反応室にプロセスガスを供給する場合、反応室からの排気量を制御しつつ供給されているため、短時間でガスの圧力を上昇させることが出来ず、このガス圧上昇の遅れのため、吸着、反応速度が遅くなるという欠点があった。この欠点は1〜2枚程度の基板を同時処理する枚葉式のALD装置では反応室の容積が小さいので余り問題にはならないが、特に、積層された多数の基板を同時処理するバッチ式の縦型ALD装置にあっては、反応室の容積が大きいため、吸着、反応速度の遅延が顕著になり、スループットが大幅に低下するという問題があった。
なお、従来の技術としては、枚葉式であって、反応室内に酸素(O)ラジカルを流し続け、TEOSガスを間欠的に約2秒づつ供給し、凝集膜を形成する成膜装置がある。この装置には、TEOSボンベから反応室へ供給されるガス供給系にガス溜り303、304が設けられ、ガス溜りに溜めたTEOSガスを反応室へ供給させるようになっている。また、ガス溜りを2つ設けることで、一方のガス溜りの使用中に他方のガス溜りにガスを溜めることが可能となり、スループットを向上している。しかし、このガス溜りを設けた装置は反応室容積の小さい枚葉装置についてのものであり、反応室容積の大きな縦型装置についてのものではない。また、反応室内にプロセスガスa、bを交互に供給するALD装置についてのものでもない。
本発明の主な目的は、成膜に寄与する複数種類のガスを交互に流す縦型半導体製造装置において、上述した従来技術の問題点を解消して、スループットを向上することが可能な縦型半導体製造装置を提供することにある。
本発明によれば、積層された複数の基板を収容する縦型の反応室と、前記反応室を排気するための排気路と、前記排気路を介して前記反応室を排気する真空排気手段と、前記排気路を開閉する排気バルブと、成膜に寄与する第1の種類のガスを前記反応室に供給する第1供給路と、前記成膜に寄与する第2の種類のガスを前記反応室に供給する第2供給路と、前記第1、第2供給路の開閉を行なうガス供給バルブと、前記排気バルブ及び前記ガス供給バルブを制御して、第1の種類のガスを反応室に供給する際には前記反応室の排気を止めた状態で前記第1供給路から前記第1の種類のガスを前記反応室に供給することにより、該反応室内の前記複数の基板を前記第1の種類のガスに晒し、第2の種類のガスを反応室に供給する際には前記真空排気手段により前記反応室を排気しつつ前記第2の種類のガスを前記第2供給路を介して前記反応室に供給することにより、該反応室内の前記複数の基板を前記第2の種類のガスに晒す制御手段とを備えた縦型半導体製造装置が提供される。
本発明の縦型半導体製造装置によれば、排気を止めた状態で第1の種類のガスを反応室に供給することにより、反応室を昇圧状態とする。したがって、排気量を制御しつつ反応室を昇圧させるものと比べて、反応室容積の大きな縦型のALD装置であっても、短時間に反応室を昇圧させることができ、また高い昇圧状態を容易に得ることができる。昇圧時間が短く、昇圧させる圧力が高いほど、基板への吸着、成膜速度を上げることが可能となり、スループットの向上が図れる。
好ましくは、前記第2の種類のガスをプラズマ励起することにより活性化して供給する。
また、好ましくは、前記第2の種類のガスはアンモニアである。この場合に、好ましくは、前記アンモニアガスを供給した場合の前記反応室の圧力を10〜100Paとする。さらに好ましくは、前記アンモニアガスを供給した場合の前記反応室の圧力を30〜60Paとする。
なお、前記第1の種類のガスはプラズマ励起による活性化をしないで供給することが好ましい。
また、好ましくは、前記第1の種類のガスはジクロルシランである。
好ましくは、前記第1供給路には、前記第1の種類のガスを溜めるガス溜りを有し、前記制御手段は、前記第1の種類のガスを反応室に供給する際には前記第1の種類のガスを前記第1供給路に流して前記ガス溜りに溜め、前記反応室の排気を止めた状態で前記ガス溜りから該ガス溜りに溜めた前記第1の種類のガスを前記反応室に供給することにより、該反応室内の前記複数の基板を前記第1の種類のガスに晒す。
この構成によれば、ガス溜りに第1の種類のガスを溜め、排気を止めた状態でガス溜りに溜めた第1の種類のガスを反応室に供給することにより、反応室を昇圧状態とする。したがって、排気量を制御しつつ反応室を昇圧させるものと比べて、反応室容積の大きな縦型のALD装置であっても、瞬間的に反応室を昇圧させることができ、また、高い昇圧状態をより容易に得ることができる。基板への吸着、成膜速度をより上げることが可能となり、スループットの大幅な向上が図れる。
好ましくは、前記ガス溜りの圧力を20,000Pa以上とする。
また、好ましくは、前記ガス溜りの容積を前記反応室の容積の1/1000〜3/1000とする。
(発明の実施の形態)
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図6は、実施の形態による縦型ALD装置の基本構成図を示し、(a)は縦断面が示された概略図、(b)は横断面が示された概略図である。ヒータ31の内側に、基板を処理する反応室を構成する反応管32が設けられる。反応管32の下端開口はシールキャップ35により気密に閉塞され、シールキャップ35にボート39が立設されて反応管32内に挿入される。ボート39にはバッチ処理される複数の基板Wが水平姿勢で管軸方向に多段に積載される。前記ヒータ31は反応管32内の基板Wを所定の温度に加熱する。
反応管32内に複数種類、ここでは2種類のガスを供給する供給路としての2本のガス供給配管が設けられる。ここでは第1のガス供給配管41はリモートプラズマユニットを介さないで、また第2のガス供給配管38はリモートプラズマユニット37を介して反応管32の一側にそれぞれ接続されている。したがって反応管32内の複数の基板Wに供給されるガスには、プラズマにより励起しないで供給するガスと、プラズマ励起することにより活性種として供給するガスとの2種類がある。なお、反応管32の他側に反応室を排気する排気路としての排気配管40が設けられ、排気配管40には図示しない真空排気手段としての真空ポンプが接続されている。
リモートプラズマユニット37は、反応管32内にボート39に沿って立設されたノズル30に接続される。このノズル30には、多段に積載された多数枚の各基板と対向するように多数の出口穴34がノズル軸方向に沿って設けられる。
出口穴34は、ガス上流の基板Wからガス下流の基板Wまで励起されたガス、または励起されないガスを均一に供給するために、ガス上流の出口穴径を小さくし、ガス下流の出口穴径を大きくすることによりコンダクタンスを変化させて、上流でも下流でも均等にガスが吹き出す構造とする。
また、2種類のガスの流し方、及び基板Wの成膜温度を制御する制御手段が設けられる。制御手段は、2種類のガスを一種類ずつ交互に繰り返し流すように制御するガス供給制御手段43と、ヒータ加熱による成膜温度を制御する温度制御手段42とを有している。
次に上述した基本構成の縦型ALD装置を用いて成膜する方法を説明する。膜はSi3N4膜を形成する。反応ガスはDCS(SiH2Cl2:ジクロルシラン)とプラズマ処理したNH3である。
まず成膜しようとする基板Wをボート39に装填し、反応管32内(以下、単に炉内ともいう)に搬入する。次に基板上にSi3N4膜の成膜を行なう。このときの炉内温度は、下地膜と密着性がよく界面の欠陥の少ない膜が形成される温度、例えば350〜600℃である。この成膜には、NH3とDCSとを交互に流して1原子層づつ膜を形成するALD法を用いる。
まず第2ガス供給配管38からNH3を供給する。NH3はDCSよりも反応温度が高いため、上記炉内温度では反応しない。そこで、NH3をリモートプラズマユニット37でプラズマ励起することにより活性種としてから流すようにして、上記炉内温度でも反応するようにする。このとき、炉内圧力は比較的低い圧力30〜60Paに維持しつつ、プラズマ励起することにより活性種としたNH3を5〜120秒間供給する。炉内に流しているのはプラズマ励起することにより活性種としたNH3だけで、DCSは存在しない。したがって、プラズマ励起することにより活性種としたNH3は、気相反応を起こすことなく、基板W上の下地膜と表面反応する。
つぎに第1ガス供給配管41からDCSを供給する。この時には炉内からの排気は止めておく。DCSは上記炉内温度で反応するので、リモートプラズマ37によるプラズマ励起の必要はない。このときの炉内圧力はNH3のときよりも高い圧力266〜931Paに昇圧する。DCSの供給により下地膜上のNH3とDCSが表面反応して、Si3N4膜が成膜される。
上述したNH3とDCSとを交互に流す工程を1サイクルとする。このサイクルを繰り返すことにより、所定厚のSi3N4膜が形成される。ALD法では、成膜に寄与する2種のガスが同時に気相中に存在しないため、ガスは下地表面に吸着し、下地膜と反応する。このため下地膜との密着性が良い膜が得られ、2種のガスを同時に流すCVD(Chemical Vapor Deposition)法で成膜するよりも界面の欠陥が減少する。また、複数種類のガスのうちプラズマ励起の必要なNH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として流すようにしたので、プラズマ励起の必要のないDCSガスによる反応温度で成膜できるので、350〜600℃という低温で成膜できる。
さて、一般的な縦型CVD装置では、例えば成膜ガスであるDCSガスを供給する場合、反応室からの排気量を制御しつつ供給するが、もしここで反応室内からの排気を止めてしまうと、DCSガス供給の上流側の基板では膜厚が厚くなり、DCSガス供給の下流側に行くに従って基板への成膜される膜厚が薄くなり、複数のウェーハ間での膜厚均一性が大幅に低減してしまう恐れがある。また成膜ガスを排気せずに供給するとパーティクルの発生の原因にもなりかねなく、成膜ガスを排気せずに供給することは実施されていなかったので、従来の縦型ALD装置でも、反応室にプロセスガスを供給する場合、反応室内からの排気量を制御しつつ供給していた。
しかし、鋭意研究し実験を重ねた結果、上述した本発明のバッチ式の縦型ALD装置では反応室内からの排気を止めても複数のウェーハ間での均一性が良好であり、パーティクル発生の問題も生じないことが判明した。また更に本発明のバッチ式の縦型ALD装置では、一度に多数の基板(100枚〜150枚)を処理するために、1〜3枚を処理する枚葉式に比べて反応室の容積が極端に大きいために、反応室を排気した減圧状態から昇圧する際、排気配管40からの排気を止めているので、短時間でガスの圧力を上昇させることが出来、このガス圧上昇のため、吸着、反応速度が早くなり、基板の処理効率が格段に向上した。
また更に、本実施の形態の縦型ALD装置では、図6の基本構成に加えて、図1に示すように、第1供給配管41にガス溜り21を設けて、ガス溜り21からDCSガスを供給するようにしている。
以下、図1の構成を詳述する。縦型ALD装置は、積層された多数の基板Wを処理する縦型の反応炉20を有する。反応炉20には、真空ポンプ26に連通して反応炉20を排気する排気配管40と、DCSを反応炉20に供給する第1供給配管41と、NH3をプラズマ励起することにより活性種として反応炉20に供給する第2供給配管38とを備える。
また、DCSを流す第1供給配管41の途中にDCSを溜めるガス溜り21を設ける。このガス溜り21は、例えば通常の配管よりもガス容量の大きなガスタンク又は螺旋配管などで構成する。
ガス溜り21の上流側の第1供給配管41に管路を開閉する第1ガス供給バルブ22を、下流側の第1供給配管41に管路を開閉する第2ガス供給バルブ23をそれぞれ設ける。第1ガス供給バルブ22または第2ガス供給バルブ23を開閉することにより、第1供給配管41を介して第1の種類のガスとしてのDCSガスをガス溜り21に溜めたり、溜めたDCSガスを反応炉20に供給できるようになっている。また、第2供給配管38には管路を開閉するNH3ガス供給バルブ24をリモートプラズマユニット37の上流側に設け、ガス供給バルブ24を開閉することにより、第2の種類のガスとしてのNH3ガスを反応炉20に供給したり、供給を止めたりできるようになっている。排気配管40には管路を開閉及び開度を調整する排気バルブ25を設け、排気バルブ25を開閉することにより反応炉20を排気したり、排気を止めたりできるようになっている。また排気バルブ25の開度を調整することにより反応炉20を所定圧に維持しつつ排気できるようになっている。第1供給配管41及び第2供給配管38には、MFC(マスフローコントローラ)27、28がそれぞれ設けられ、第1供給配管41及び第2供給配管38に流れるガス流量を制御するようになっている。なお、排気バルブ25は、開閉及び開度調整する機能を有する単体のバルブで構成しても、あるいは開閉機能を有するバルブと開度調整機能を有するバルブとの複数のバルブで構成してもよい。
また、ポンプ26、バルブ22〜25、及び図示しないヒータ等を制御する制御手段29が設けられる。制御手段29は、排気バルブ25及びガス供給バルブ22〜24を制御して、DCSガスを第1供給配管41に流してガス溜り21に溜め、反応炉20の排気を止めた状態でガス溜り21に溜めたDCSガスを反応炉20に供給することにより、反応炉20を昇圧状態として基板WをDCSガスに晒す。また、真空ポンプ26により反応炉20を排気しつつNH3ガスをリモートプラズマユニット37を介して第2供給配管38より反応炉20に供給することにより、NH3ガスをプラズマ励起することにより得られた活性種に基板Wを晒すようになっている。
次に、3つのステップを説明した図2〜図4を用いてDCS、及びNH3のガス供給例を説明する。なお、黒で塗り潰されているバルブは閉、塗り潰されていないバルブは開である。まず成膜しようとする基板Wをボート39に装填し、炉内に搬入する。搬入後、次の3つのステップを順次実行する。
図2に示すステップ1では、プラズマ励起の必要なNH3ガスと、プラズマ励起の必要のないDCSガスとを併行して流す。まずガス供給配管38に設けたバルブ24、及び排気配管40に設けた排気バルブ25を共に開けて、ガス供給配管38からNH3をリモートプラズマユニット37でプラズマ励起することにより活性種として炉20内に供給しつつ排気配管40から排気する。NH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として流すときは、排気バルブ25を適正に調整して炉内圧力を10〜100Paとし、より好ましくは、30〜60Paとする。MFC27で制御するNH3の供給流量は1000〜10000sccmである。NH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として流すときに、もし、排気配管40に設けた排気バルブ25を閉めて真空排気を止めた状態とすると、NH3ガスをプラズマ励起することにより活性化された活性種が基板Wに到達する前に失活してしまい、その結果基板Wの表面と反応が起きなくなるという問題があるので、NH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として流す場合には、排気バルブ25を開けて、反応炉20を排気する必要がある。NH3ガスをプラズマ励起することにより活性化された活性種を大流量流すと共に、真空排気を行って、炉内圧力を10〜100Pa、より好ましくは、30〜60Paとすると、均一性良く効率的に成膜できる。基板WをNH3をプラズマ励起することにより得られた活性種に晒す時間は2〜120秒間である。このときの炉内温度は350〜600℃に設定してある。NH3は反応温度が高いため、上記炉内温度では反応せず、バルブ24下流側にリモートプラズマユニット37でプラズマ励起することにより活性種としてから流すようにしているので、炉内温度は設定した低い温度範囲のままで行なえる。
このNH3をプラズマ励起することにより活性種として供給しているとき、ガス供給配管41の上流側バルブ22を開け、下流側バルブ23を閉めて、DCSも流すようにする。これによりバルブ22、23間に設けたガス溜り21にDCSを溜める。このとき、炉内に流しているガスはNH3をプラズマ励起することにより得られた活性種であり、DCSは存在しない。したがって、NH3は気相反応を起こすことはなく、プラズマにより励起され活性種となったNH3は基板W上の下地膜と表面反応する。
図3に示すステップ2では、ガス供給配管38のバルブ24を閉めて、NH3の供給を止めるが、引続きガス溜り21への供給を継続する。ガス溜り21に所定圧、所定量のDCSが溜まったら上流側バルブ22も閉めて、ガス溜り21にDCSを閉じ込めておく。また、排気配管40の排気バルブ25は開いたままにして炉内を20Pa以下に排気し、残留NH3を炉内から排除する。また、この時にはN2等の不活性ガスを炉内に供給すると、更に残留NH3を炉内から排除する効果が高まる。ガス溜り21内には、圧力が20000Pa以上になるようにDCSを溜める。また、ガス溜り21と反応炉20との間のコンダクタンスが1.5×10-3m3/s以上になるように装置を構成する。また、反応室容積とこれに対する必要なガス溜りの容積との比として考えると、反応室容積100lの場合においては、100〜300ccであることが好ましく、容積比としてはガス溜りは反応室容積の1/1000〜3/1000倍とすることが好ましい。
図4に示すステップ3では、炉内排気が終わったら排気配管40のバルブ25を閉じて排気を止める。第1ガス供給配管41の下流側のバルブ23を開く。これによりガス溜り21に溜められたDCSが炉20内に一気に供給される。このとき排気配管40のバルブ25が閉じられているので、炉内圧力は急激に上昇して約931Pa(7Torr)まで昇圧される。DCSを供給するための時間は2〜4秒設定し、その後上昇した圧力雰囲気中に晒す時間を2〜4秒に設定し、合計6秒とした。このときの炉内温度は、NH3の供給時と同じく、350〜600℃である。DCSの供給により、下地膜上のNH3とDCSとが表面反応して、基板上にSi3N4膜が成膜される。成膜後、バルブ23を閉じ、バルブ25を開けて、反応炉20内を真空排気し、残留するDCSの成膜に寄与した後のガスを炉内から排除する。また、この時にはN2等の不活性ガスを炉内に供給すると、更に残留するDCSの成膜に寄与した後のガスを炉内から排除する効果が高まる。またバルブ22を開いてガス溜り21へのDCSの供給を開始する。
上記ステップ1〜3を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返すことにより基板上に所定膜厚のSi3N4膜を成膜する。
ALD装置では、ガスは下地膜表面に吸着する。このガスの吸着量は、ガスの圧力、及びガスの暴露時間に比例する。よって、希望する一定量のガスを、短時間で吸着させるためには、ガスの圧力を短時間で大きくする必要がある。この点で、本実施の形態では、排気バルブ25を閉めたうえで、ガス溜り21内に溜めたDCSを瞬間的に供給しているので、炉内のDCSの圧力を急激に上げることができ、希望する一定量のガスを瞬間的に吸着させることができる。
また、本実施の形態では、ガス溜り21にDCSを溜めている間に、ALD法で必要なステップであるNH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として供給、及び炉内排気をしているので、DCSを溜めるための特別なステップを必要としない。また、炉内を排気してNH3ガスを除去してからDCSを流すので、両者は基板に向かう途中で反応しない。供給されたDCSは、基板Wに吸着しているNH3とのみ有効に反応させることができる。
図5は、吸着量と成膜速度の関係を示す図であって、ガス溜りを使ってDCSを昇圧供給する発明を適用した装置構成と、排気を制御しつつDCSを供給する従来の装置構成との比較図である。横軸にガス分子吸着量L(ラングミュア:ガス圧力とガス暴露時間の積)をとり、縦軸に1サイクル当たりの成膜膜厚(オングストローム/サイクル)をとっている。1サイクルあたりの成膜速度を比較すると、ガス分子吸着量L(ラングミュア)を同じにしても、発明装置の方が従来装置よりも、1サイクル当たりの成膜膜厚を上げることができる。また、同一膜厚に対するガス暴露時間を比較してみると、例えば、本発明の装置構成で実施した場合のデータAは、Lが0.38、厚さが1.009オングストローム/サイクルである。これに対応する従来の装置構成で実施した場合のデータBは、Lが1.86、厚さが1.003オングストローム/サイクルである。データAとデータBでの厚さはほぼ等しく、また圧力は同じなので、データAはデータBに対してガス暴露時間が約1/5倍となり、本発明のスループットも大きく向上していることがわかる。
従って、圧力を上昇すると成膜速度が上がり、かつALDのように反応室内を一旦排気してからプロセスガス供給することを繰り返すプロセスにおいては、実施の形態のように、ガス溜りを使って昇圧する方が、そうしないものに比べて、スループットを大幅に上げることができる。特に炉容積が大きく、反応室内を一旦排気してからプロセスガス供給することを繰り返して成膜を行う縦型ALD装置にあっては、そのスループットを上げるには、ガス溜りを設けて瞬時に昇圧することが必須となる。
なお、上述した実施の形態では、ガス溜りとしてガスタンクや螺旋配管を1個設けた場合について説明した。しかし、これに限定されることなく、並列に複数個設けるようにてもよい。また、本発明のガス溜りはガスタンクや螺旋配管に限定されず、ガスを溜めて一気に放出できるものであればいずれの手段であってもよい。例えば、DCSの供給配管を通常よりも太くし、それに応じてMFCの容量を大きくするようにしてもよい。また、DCSの供給配管を複数本にしてもよい。この場合、DCS供給源となるボンベの数を供給配管の本数に応じて増やしても良い。また、DCSは蒸気圧が低いので、ボンベを加熱してDCSの気化量を多くするようにしてもよい。さらに、ポンプで強制的にDCSを炉内に送り込むようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、本発明を縦型半導体製造装置について適用しているが、半導体装置の製造方法にも適用することが可能である。この半導体装置の製造方法は、例えば、反応室内の真空排気と反応室へのプロセスガス供給とを繰り返し、反応室内に積層された基板を処理する半導体装置の製造方法において、第1の種類のガスを流す供給路の途中に第1の種類のガスを溜めておき、反応室からの排気を止めた状態で、供給路の途中に溜めた第1の種類のガスを反応室に供給して昇圧状態として基板上に成膜するようにしたものとすることができる。これによれば、排気を止めた状態でガス溜りに溜めた第1の種類のガスを反応室に供給するようにしたので、第1の種類のガスを瞬間的に供給して、反応室内を昇圧させることができる。したがって容積の大きな縦型反応室であっても、反応室内の真空排気から反応室へのプロセスガス供給に切り替える際に、遅れを伴わずに反応室内を昇圧させることができ、基板への吸着、成膜速度を上げることが可能となり、スループットの大幅な向上が図れる。
本発明によれば、ガス溜りを設けて、昇圧を必要とするガスを瞬間的に昇圧できるようにしたので、ガス容量の大きな縦型半導体製造装置であっても、スループットを向上できる。
実施の形態による縦型半導体製造装置の概略構成図である。 実施の形態によるDCS、およびNH3のガス供給例であって、NH3を炉内に供給しつつ排気するとともに、DCSをガス溜りに溜めるステップを示す説明図である。 実施の形態によるDCS、およびNH3のガス供給例であって、炉内を排気するとともに、引き続きDCSをガス溜りに溜めるステップを示す説明図である。 実施の形態によるDCS、およびNH3のガス供給例であって、排気バルブを閉めて、ガス溜りのDCSを炉内に供給するステップを示す説明図である。 吸着量と成膜速度の関係を示す従来と本発明との比較特性図である。 実施の形態による縦型ALD装置の概略構成図である。 従来のALD装置の概略構成図である。
符号の説明
21 ガス溜り
20 反応室(炉)
22〜25 バルブ
26 ポンプ
38 第2供給配管
40 排気配管
41 第1供給配管
W 基板

Claims (1)

  1. 積層された複数の基板を収容する縦型の反応室と、 前記反応室を排気するための排気路と、
    前記排気路を介して前記反応室を排気する真空排気手段と、
    前記排気路を開閉する排気バルブと、
    成膜に寄与する第1の種類のガスを前記反応室に供給する第1供給路と、
    前記成膜に寄与する第2の種類のガスを前記反応室に供給する第2供給路と、
    前記第1、第2供給路の開閉を行なうガス供給バルブと、
    前記排気バルブ及び前記ガス供給バルブを制御して、第1の種類のガスを反応室に供給する際には前記反応室の排気を止めた状態で前記第1供給路から前記第1の種類のガスを前記反応室に供給することにより、該反応室内の前記複数の基板を前記第1の種類のガスに晒し、第2の種類のガスを反応室に供給する際には前記真空排気手段により前記反応室を排気しつつ前記第2の種類のガスを前記第2供給路を介して前記反応室に供給することにより、該反応室内の前記複数の基板を前記第2の種類のガスに晒す制御手段とを備えた縦型半導体製造装置。
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