JP2004227795A - マイナス粒子発生装置 - Google Patents

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Kunikazu Kuchino
邦和 口野
Yukio Nomura
幸生 野村
Yoshifumi Moriya
好文 守屋
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Abstract

【課題】マイナス粒子発生装置において、空気中の有害物質を分解できないという課題を有していた。
【解決手段】電気的に接地した光電子発生材1と、光電子発生材1に光を照射するための光源2とを備え、光電子発生材1に光を照射すると共に、光電子発生材1の表面に空気を流すことによりマイナス粒子を発生させるマイナス粒子発生装置において、光源2は少なくとも200nm以下の波長を含む紫外線を発生する構成とした。これにより、マイナス粒子発生装置からマイナス粒子を安定して気体に付加することができ、同時にオゾンを生成でき有害物質を分解することもできるようになる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気にマイナス粒子を付加する装置に関するものであり、特に導電性物質への紫外線照射等により発生する光電子を利用したマイナス粒子発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のマイナス粒子発生装置としては、図8に示すようなものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8において、光電子発生材51が容器56の内部に設置されている。光電子発生材51には電気的な接地55が取り付けられ、光源52からの紫外線によって光電子発生材51から光電子が発生し、空気入口53から入ってくる空気中の水や酸素等の分子または埃等の微粒子が、流路制御材57で制御されることで光電子発生材51の表面を通り、光電子が捕獲されてマイナス粒子として空気出口54から装置外に放出される。
【0004】
【特許文献1】
特許第3322267号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のマイナス粒子発生装置では、光電子発生材に紫外線を照射することにより生じる光電子(この現象を光電効果と呼ぶ)を利用している。つまり何らかの手法で光電子放出装置に入った空気のような気体や、気体中の水や酸素等の分子及び集塵フィルタなどによって除去されなかった微粒子が、光電子を捕獲することによりマイナス粒子となり、装置外に放出されるというものである。光電子を放出した後の光電子発生材には、光電子の放出箇所に正孔ができるために、放出された光電子を捕獲したマイナス粒子と正孔との間には電気的引力が働き、マイナス粒子は光電子放出材に電気的な吸着をするので、光電子発生材を電気的に接地することにより、正孔に電子を補充している。
【0006】
また、光電子発生材の表面に空気が流れるように流路制御材を空気入口に設けることで、発生したマイナス粒子が効率よく光電子発生材の表面から空気出口へ流れるというものである。
【0007】
ところが、光電子を発生させるための紫外線には、波長によって性質が異なることは既に知られている。前記従来例では特に紫外線の波長の限定は無く、照射する紫外線のエネルギーは光電子を発生させるエネルギーより高ければ、マイナス粒子は生成するというものであった。
【0008】
本発明は、前記従来のマイナス粒子の発生に加えて、オゾンを生成し、前記オゾンによって有害物質を分解することもできるマイナス粒子発生装置を実現するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明のマイナス粒子発生装置は、電気的に接地した光電子発生材と、前記光電子発生材に光を照射するための光源とを備え、前記光電子発生材に光を照射すると共に、前記光電子発生材の表面に空気を流すことによりマイナス粒子を発生させるマイナス粒子発生装置において、前記光源は少なくとも200nm以下の波長を含む紫外線を発生することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、電気的に接地した光電子発生材に少なくとも200nm以下の紫外線を含む光を照射することで、光電効果が起こることにより光電子が発生する。装置に入った気体中の分子や微粒子が、光電子を捕獲することによりマイナス粒子となり、装置外に放出される。
【0011】
一方、光電子を放出した光電子発生材は、光電子の放出箇所に正孔ができるが、光電子発生材を電気的に接地することにより、すぐに正孔には電子が補充され電気的に中和される。光電子発生材の表面に気体が衝突するように、気体を流すことにより、発生したマイナス粒子が光電子発生材の表面に戻らないため、マイナス粒子は減少することなく発生することができる。
【0012】
また、200nm以下の紫外線を照射することで、空気中に含まれる酸素からオゾンが生成される。そのためオゾンにより空気中の有害物質を分解することもできるようになるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載した発明は、電気的に接地した光電子発生材と、前記光電子発生材に光を照射するための光源とを備え、前記光電子発生材に光を照射すると共に、前記光電子発生材の表面に空気を流すことによりマイナス粒子を発生させるマイナス粒子発生装置において、前記光源は少なくとも200nm以下の波長を含む紫外線を発生する構成とした。
【0014】
これにより、マイナス粒子を安定して空気中に放出することができると共に、200nm以下の紫外線を照射するため、空気中に含まれる酸素からオゾンを生成でき、前記オゾンにより空気中の有害物質を分解することもできるようになる。
【0015】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明に加えて、通風手段を備え、前記通風手段によって光電子発生材に空気を流すことを特徴とする。
【0016】
そして、光を照射された光電子発生材からは光電子が放出され、光電子発生材を電気的に接地することによって光電子が抜け出した跡である正孔は速やかに電気的に中和され、光電子が正孔に戻りにくくする。しかし、たとえ光電子発生材が電気的に中和されていても光電子と光電子発生材との間には電気的鏡像力が作用し、微弱ではあるが光電子が光電子発生材に戻ろうとする。従って、発生した光電子を速やかに光電子発生材から引き離す手段が必要であり、発明者等は特にその手段として通風が有効であることを見出した。つまり、光電子発生材に通風することにより発生した光電子が空気分子と衝突しながら光電子発生材から引き離されるので、光電子が光電子発生材に戻る傾向が弱くなり、結果として装置からは効率良くマイナス粒子が発生することとなる。
【0017】
請求項3に記載した発明は、特に、請求項1または2に記載の光電子発生材を、電気的に接地した導電性基材上に設けてなることを特徴とするものである。
【0018】
そして、光電子発生材として例えば金等の貴金属を用いる場合、それを基材上に設けることによりたとえ貴金属層が薄層であっても機械的強度を有する部材となるものである。
【0019】
請求項4に記載した発明は、特に、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光源が、直管状であることを特徴とする。
【0020】
そして、光源として直管状のランプを用いれば、光源の体積を小さくすることができるため、光電子発生材に送る気体の量を増加させることが可能になる。そのため発生するマイナス粒子数が増加するので、マイナス粒子を発生させるための光源として適している。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0022】
(実施例1)
図1は実施例1のマイナス粒子発生装置の要部断面図である。図1において、光電子発生材1が容器6の内部及び気体出口4近傍に設置されている。光電子発生材1には電気的な接地5が取り付けられている。光源2からの光によって光電子発生材1から光電子が発生し、空気入口3から入ってくる空気中の水や酸素等の分子または埃等の微粒子に、光電子が捕獲されてマイナス粒子として空気出口4から装置外に放出される。また、空気入口3近傍には流路制御材7が設けられており、この流路制御材7により空気入口3から入ってくる空気は、光電子発生材1の表面に流れるように構成されている。
【0023】
本実施例では、前記光電子発生材1は、金、白金、銀、銅、ステンレス、窒化チタンの中から選ばれた1種類以上であるものを使用している。これらの光電子発生材は仕事関数が小さく、光を照射したときに金属表面から効率よく光電子が発生するため、マイナス粒子を効率よく発生させるのに適している。
【0024】
また本実施例では、電気的な接地5を光電子発生材1に取り付けている。光電効果により光電子が放出された光電子発生材は、光電子の放出箇所に正孔ができ、光電子と正孔との間に電気的引力が働き、発生した光電子が光電子発生材に吸着される。そこで光電子発生材を電気的に接地することにより、正孔には電子が補充されるため、放出された光電子が正孔に戻ることがないので、マイナス粒子を減少させることなく発生させるのに適している。
【0025】
以下、本実施例の効果について実験例を用いて説明する。
【0026】
容器6として内径3cm、長さ7cmのステンレス製容器を用い、光電子発生材1として厚さ0.1mmの金を用いた。また、光源2として200nm以下の波長を含む3Wの紫外線ランプを用いた。
【0027】
光電子発生材1に電気的な接地5を取り付けて、本実施例のマイナス粒子発生装置の性能を評価するための実験を行った。光源2の紫外線ランプを点灯し、マイナス粒子を発生させた。測定は気体出口4から1cmの位置で行い、装置作動後から2分毎に10分間、単位体積当たりのマイナス粒子の数をイオンテスターで測定した。また気体出口4から1cmの位置でオゾン濃度の測定を行った。
【0028】
また、従来例として図8に示した装置で、前記と同様の試験を行いマイナス粒子の数及びオゾン濃度を測定した。これらの試験結果をまとめて図2及び図3に示す。
【0029】
図2の結果から明らかなように、本実施例のマイナス粒子発生装置を用いれば、常に安定したマイナス粒子の発生が見られた。従来例でも初期の発生量は本発明とほぼ同数であり、経過時間毎のマイナス粒子数も同数であった。また、図3の結果から明らかなように、本実施例のマイナス粒子発生装置を用いれば、常に一定濃度のオゾンを生成することができた。従来例ではオゾンの生成は見られなかった。これらのことから、本発明は従来例とマイナス粒子の発生量はほぼ同数であるが、常に一定濃度のオゾンを生成できることがわかる。しかもマイナス粒子とオゾン濃度は経過時間毎に減少させることなく、常に一定に空間内へのマイナス粒子及びオゾンの供給を実現できることがわかる。
【0030】
(実施例2)
図4は実施例2のマイナス粒子発生装置の要部断面図である。図4において、光電子発生材11が導電性基材12の表面に担持されている以外は図1とほぼ同じである。
【0031】
本実施例では、前記光電子発生材11は、金、白金、銀、銅、ステンレス、窒化チタンの中から選ばれた1種類以上であるものを使用している。これらの光電子発生材は仕事関数が小さく、紫外線を照射したときに金属表面から効率よく光電子が発生するため、マイナス粒子を効率よく発生させるのに適している。
【0032】
また本実施例では、電気的な接地5を導電性基材12に取り付けている。光電効果により光電子が放出された光電子発生材11は、光電子の放出箇所に正孔ができ、光電子と正孔との間に電気的引力が働き、発生した光電子が光電子発生材に吸着される。そこで導電性基材を電気的に接地することにより、正孔には電子が補充されるため、放出された光電子が正孔に戻ることがないので、マイナス粒子を減少させることなく発生させるのに適している。
【0033】
以下、本実施例の効果について実験例を用いて説明する。
【0034】
容器6として内径3cm、長さ7cmのステンレス製円筒状容器を用い、導電性基材12として厚さ0.5mmのステンレスを用い、これに光電子発生材11として金をメッキした。また、光源13として200nm以下の波長を含む3Wの紫外線殺菌ランプを用いた。
【0035】
導電性基材12に電気的な接地5を取り付けて、本マイナス粒子発生装置の性能を評価するための実験を行った。光源13の紫外線殺菌ランプを点灯し、マイナス粒子を発生させた。測定は気体出口4から1cmの位置で行い、装置作動後から2分毎に10分間、単位体積当たりのマイナス粒子の数をイオンテスターで測定した。試験結果を図5に示す。
【0036】
図5の結果から明らかなように、本実施例のマイナス粒子発生装置を用いれば、常に安定したマイナス粒子の発生が見られた。このことから、本発明はマイナス粒子の発生を減少させることなく、常に一定に空気中へのマイナス粒子の供給を実現できることがわかる。
【0037】
(実施例3)
図6は実施例3のマイナス粒子発生装置の要部断面図である。図6において、通風装置21が設置されている以外は実施例2と同じである。
【0038】
本実施例では、前記光電子発生材11は、金、白金、銀、銅、ステンレス、窒化チタンの中から選ばれた1種類以上であるものを使用している。これらの光電子発生材は仕事関数が小さく、紫外線を照射したときに金属表面から効率よく光電子が発生するため、マイナス粒子を効率よく発生させるのに適している。
【0039】
また本実施例では、電気的な接地5を導電性基材12に取り付けている。光電効果により光電子が放出された光電子発生材11は、光電子の放出箇所に正孔ができ、光電子と正孔との間に電気的引力が働き、発生した光電子が光電子発生材に吸着される。そこで導電性基材を電気的に接地することにより、正孔には電子が補充されるため、放出された光電子が正孔に戻ることがないので、マイナス粒子を減少させることなく発生させるのに適している。
【0040】
以下、本実施例の効果について第一の実験例を用いて説明する。
【0041】
容器6として内径3cm、長さ7cmのステンレス製容器を用い、導電性基材12として厚さ0.5mmのステンレスを用い、これに光電子発生材11として金をメッキした。また、光源3として200nm以下の波長を含む3Wの紫外線ランプを用いた。
【0042】
導電性基材12に電気的な接地5を取り付けて、本実施例のマイナス粒子発生装置の性能を評価するための実験を行った。光源2の紫外線ランプを点灯し、通風手段21を作動し、マイナス粒子を発生させた。測定は気体出口4から1cmの位置で行い、装置作動後から2分毎に10分間、単位体積当たりのマイナス粒子の数をイオンテスターで測定した。試験結果を図7に示す。
【0043】
図7の結果から明らかなように、本実施例のマイナス粒子発生装置を用いれば、常に安定したマイナス粒子の発生が見られた。このことから、通風手段を用いれば、マイナス粒子の発生がより一層多くなり、また常に一定に空間内へのマイナス粒子の供給を実現できることがわかる。
【0044】
次に、本実施例の効果について第二の実験例を用いて説明する。
【0045】
光電子発生材11として、金、白金、銀、銅、ステンレス、窒化チタンからなるマイナス粒子発生装置を用いて、実験1と同様の方法で、マイナス粒子の測定を行った。なお、測定は気体出口4から1cmの位置で行い、装置作動後2分後に単位体積当たりのマイナス粒子の数をイオンテスターで測定した。測定結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 2004227795
【0047】
表1の結果から明らかなように、本発明のマイナス粒子発生装置を用いて、光電子発生材として、金、白金、銀、銅、ステンレス、窒化チタンを用いれば、多くのマイナス粒子が発生することが判明した。その中でも特に金、白金、窒化チタンを用いた場合に大量のマイナス粒子が発生することがわかった。
【0048】
次に、本実施例の効果について第三の実験例を用いて説明する。
【0049】
光電子発生材11として金、導電性基材12として、銅、アルミニウム、ステンレス、真鍮からなるマイナス粒子発生装置を用いて、実験1と同様の方法で、マイナス粒子の測定を行った。なお、測定は気体出口4から1cmの位置で行い、装置作動後2分後に単位体積当たりのマイナス粒子の数をイオンテスターで測定した。測定結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
Figure 2004227795
【0051】
表2の結果から明らかなように、本発明のマイナス粒子発生装置を用いて、光電子発生材として金、導電性基材として、銅、アルミニウム、ステンレス、真鍮を用いれば、多くのマイナス粒子が発生することが判明した。その中でも特にステンレスを用いた場合に大量のマイナス粒子が発生することがわかった。
【0052】
なお、実施例1から実施例3では、内径3cm、長さ7cmのステンレス製容器を用いたが、形状、大きさ、厚さ、種類は限定されるものではなく、マイナス粒子発生装置として適用できる形状や大きさや厚さや種類であれば、どのようなものでも構わない。
【0053】
また、実施例2、実施例3では、導電性基材として厚さ0.5mmのステンレスを用いたが、厚さ、種類は限定されるものではなく、導電性であり、なおかつ光電子発生材が担持できれば、どのようなものでも構わない。
【0054】
以上のように本実施例において、空間にマイナス粒子とオゾンを添加するマイナス粒子発生装置を得ることができた。尚、本実施例のマイナス粒子発生装置を備えた空気調和装置として、空気清浄機、エアコン、ファンヒーター、除湿機、加湿機、介護臭等の脱臭器、トイレ用の脱臭器等にも応用可能であることはいうまでもない。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、マイナス粒子の発生に加えて、オゾンも生成でき、生成したオゾンにより有害物質を分解することもできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるマイナス粒子発生装置の構成を示す要部断面図
【図2】同マイナス粒子発生装置と従来例の各々のマイナス粒子発生量を示すグラフ
【図3】同マイナス粒子発生装置と従来例の各々のオゾン発生量を示すグラフ
【図4】本発明の実施例2におけるマイナス粒子発生装置の構成を示す要部断面図
【図5】同マイナス粒子発生装置におけるマイナス粒子発生量を示すグラフ
【図6】本発明の実施例3におけるマイナス粒子発生装置の構成を示す要部断面図
【図7】同マイナス粒子発生装置におけるマイナス粒子発生量を示すグラフ
【図8】従来例のマイナス粒子発生装置の構成を示す要部断面図
【符号の説明】
1、11 光電子発生材
2 光源
3 空気入口
4 空気出口
5 電気的な接地
6 容器
12 導電性基材
21 通風手段

Claims (4)

  1. 電気的に接地した光電子発生材と、前記光電子発生材に光を照射するための光源とを備え、前記光電子発生材に光を照射すると共に、前記光電子発生材の表面に空気を流すことによりマイナス粒子を発生させるマイナス粒子発生装置において、前記光源は少なくとも200nm以下の波長を含む紫外線を発生することを特徴とするマイナス粒子発生装置。
  2. 通風手段を備え、前記通風手段によって光電子発生材に空気を流すことを特徴とする請求項1に記載のマイナス粒子発生装置。
  3. 光電子発生材は、電気的に接地した導電性基材上に設けてなることを特徴とする請求項1または2に記載のマイナス粒子発生装置。
  4. 光を照射するための光源は直管状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマイナス粒子発生装置。
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