JP2004226940A - 光ファイバーアレイおよび光ファイバーアレイの製作方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、光ファイバーアレイにおいて光ファイバーの断面中心の位置精度が確保しにくく、かつ、光ファイバーを密着配置することができないという2つの問題を解決することである。
【解決手段】表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板上に位置決め基準となるストッパーまたは段差を設け、該ストッパーまたは段差の端面と基板の平面部または滑らかな曲面部とを基準に光ファイバーを密着配置で巻き付けて光ファイバーアレイを製作する。また、複列以上の光ファイバーアレイが必要な場合には、配列された光ファイバー上に光ファイバーどうしが接することによってできる窪みを案内として2列目以降の光ファイバーを配列する。光ファイバーを基板と押さえ板で挟んで一体に固定して端面を仕上げる。
【選択図】 図5
【解決手段】表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板上に位置決め基準となるストッパーまたは段差を設け、該ストッパーまたは段差の端面と基板の平面部または滑らかな曲面部とを基準に光ファイバーを密着配置で巻き付けて光ファイバーアレイを製作する。また、複列以上の光ファイバーアレイが必要な場合には、配列された光ファイバー上に光ファイバーどうしが接することによってできる窪みを案内として2列目以降の光ファイバーを配列する。光ファイバーを基板と押さえ板で挟んで一体に固定して端面を仕上げる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マトリックス投影露光、光通信、各種光部品等に用いる光ファイバーの素線を一直線状または滑らかな曲線状に、単列または複数列に高精度に配列した光ファイバーアレイとその製作方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバーを単列または複数列規則正しく並べて配列した光ファイバーアレイは、光ファイバーマトリックス投影露光、光通信、各種光部品等、様々な用途に使用されている。
【0003】
光ファイバーマトリックス投影露光は、たとえば特開2001−313251に開示されているように、光ファイバーアレイを通常の投影露光のレチクルの位置に配置して、光ファイバーアレイの各光ファイバーを要素光源として明暗のパターンを指定し、投影レンズ等の投影光学系を介して該パターンを被露光基板上に形成した感光性樹脂膜に投影露光転写する技術である。
【0004】
従来の光ファイバーアレイの代表的な構成を図15に示す。光ファイバー41を規則正しく配列するため、基板42にV字断面の溝を等間隔で設け、該V字断面の溝中に光ファイバー41を配列してある。必要に応じて押さえ板43で光ファイバー41を押さえて接着剤44で固定する。光ファイバー41を基板42に直接接着する場合もある。光ファイバー41の断面の二重円はコアとクラッドを示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、V字断面の溝を案内に用いる従来の光ファイバーアレイには、次に示すような課題がある。第1の課題は、基板42のV字断面の溝の深さを精確に設定することが難しいことである。このため、基板42の底面または上面を基準とした時の光ファイバー41の断面中心の位置精度が確保しにくい。
【0006】
また、第2の課題は、光ファイバー41をぴったりくっつけて密着配置することはできず、わずかでも間隔を開けざるを得ないことである。
【0007】
光ファイバー41をぴったりくっつけて配置することができないと、たとえば、光ファイバーマトリックス投影露光に用いる際、光ファイバーのコア部を要素光源としてそれを連ねて任意のパターンを投影露光するので、光スポットの間隔が広くなり、パターンがうまくつながらずに接続部にくびれや出っ張りを生ずる結果となる。
【0008】
上記の光ファイバー41の断面中心の位置精度が確保しにくく、光ファイバー41を密着配置することができないという2つの課題は製造方法に起因する。
【0009】
図15は図11のV字断面の溝を有する基板42の代表的な製作方法の説明図である。基板42としてシリコン単結晶のウエハ51を用い、図(a)に示すように、後にエッチングの保護膜とする酸化シリコン膜52を付け、表面にレジスト53を塗布する。
【0010】
次に、図(b)に示すように、レジスト53をラインアンドスペース状のパタンに加工する。加工にはリソグラフィを用い、図14の基板42のV溝に対応する間隔のラインアンドスペース状にレジスト53を露光した後、現像を行う。
【0011】
次に、図(c)に示すように、レジスト53で形成したラインアンドスペース状のパタンをエッチングマスクとして、酸化シリコン膜52をドライエッチング加工する。加工後にレジスト53は剥離除去する。
【0012】
さらに、図(d)に示すように、酸化シリコン膜52のラインアンドスペース状のパタンをエッチングマスクとして、シリコン単結晶のウエハ51を強アルカリでウェットエッチングする。この時、シリコン単結晶のウエハ51として結晶方位が適切なウエハを用いておけば、シリコン単結晶のウエハ51は結晶方位に沿って選択エッチングされ、V字断面の溝54が形成される。
【0013】
最後に、図(e)に示すように、酸化シリコン膜52を除去すると断面はV字断面の溝54を有するウエハとなる。
【0014】
このようにしてV字断面の溝を有する基板42を製作すると、レジスト53で形成するラインアンドスペース状のパタンの線幅寸法の誤差、レジスト53をエッチングマスクとして酸化シリコン膜52をドライエッチング加工する時の寸法変換差、酸化シリコン膜52をエッチングマスクとしてシリコン単結晶のウエハ51を選択エッチングする時の寸法変換差が累積され、V字断面の溝54の寸法を高精度で制御することは非常に難しくなる。また、V字断面の溝54の数を増やすと、場所による露光やエッチングのむらがV字断面の溝の寸法のばらつきとなって現れる。
【0015】
このため、図14において基板42の底面または上面を基準とした光ファイバー41の断面中心の位置がふらつき、位置精度を確保できない。また、光ファイバー41の断面中心が微視的に見ると一直線上に乗らない。
【0016】
一方、基板42のV字断面の溝の中心に光ファイバー41が案内されるため、溝間隔の誤差や光ファイバー41の直径寸法誤差があっても光ファイバー41が配置できるように、基板42のV字断面の溝の間隔は光ファイバー41の直径寸法に対して余裕を持った寸法とせざるを得ない。
【0017】
このため、光ファイバー41をぴったりくっつけて密着配置することはできず、所定の間隔を開けざるを得ない。
【0018】
基板42のV字断面の溝の加工方法としては、以上のようにリソグラフィとエッチングを組み合わせる方法が最も代表的であるが、そのほかに基板42をV字断面を有する砥石やカッターによって削ってV字断面の溝を形成する方法もある。
【0019】
しかし、切削や研削によりV字断面の溝を形成する場合には、刃物の磨耗や温度上昇に起因して、加工するにつれてV字断面の溝の寸法や面の粗さが少しずつ変化するため、溝の寸法精度を得ることがさらに難しい。
【0020】
また、使用する刃物の精度を厳重に管理した上で、加工環境や雰囲気も十分に制御する必要があり、機械、器具の性能維持、管理に多大のコストと労力がかかる。
【0021】
一方、刃物または基板42の機械的な移動によりV字断面の溝の間隔を決めるため、移動精度に応じて溝の間隔がばらつく。したがって、V字断面の溝の間隔は光ファイバー41の直径寸法に対して余裕を持った間隔に設定することが必要である。このため、光ファイバー41をぴったりくっつけて密着配置することはできず、所定の間隔を開けざるを得ない。
【0022】
これらの課題に加え、従来のV字断面の溝を持った基板42を作ってそのV字断面の溝内に光ファイバー41を配置する従来の光ファイバーアレイは、製作に多大の時間を要し、なおかつ、リソグラフィやエッチングの設備または精密機械加工設備等の高価で大規模な設備、機械装置が必要となるという大きな課題を有していた。
【0023】
【課題を解決するための手段】
これらの課題に対し、本発明の光ファイバーアレイは、表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板上に位置決め基準となるストッパーまたは段差を有し、光ファイバーが前記ストッパー端面または段差端面と前記基板表面の平面部または滑らかな曲面部とを基準として隣どうしが互いに接した状態で配列され、前記基板と平行な平面部または滑らかな曲面部を表面に有する押さえ板が前記の配列された光ファイバー上に配置されていることを特徴とする。
【0024】
また、複列以上の光ファイバーアレイについては、前記の配列された光ファイバー上に光ファイバーどうしが接することによってできる窪みを案内として2列目以降任意の列数の光ファイバーが配列され、前記基板と平行な平面部または滑らかな曲面部を表面に有する押さえ板が最上段の光ファイバー上に配置されていることを特徴とする。
【0025】
さらに、光ファイバーアレイ断面の対称性を良くするため、配列した最後の光ファイバーに端面を接して別のストッパーを設けたことを特徴とする。
【0026】
また、本発明の光ファイバーアレイの製作方法は、巻き付け基体上に取り付けた、表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板上に、ストッパーまたは段差を基準として光ファイバーを隣どうしが互いに接した状態で巻き付ける工程と、前記基板と平行な平面部または滑らかな曲面部を有する押さえ板を前記の巻き付けた光ファイバー上に貼り付けもしくは取り付けて前記の基板、光ファイバー、押さえ板を一体とする工程と、前記一体とした基板、光ファイバー、押さえ板を前記巻き付け基体から取り外す工程と、該一体とした基板、光ファイバー、押さえ板に切削、研削、研磨のうちのいずれかもしくは2つ以上を施して該光ファイバーの断面が平滑になるように仕上げる工程とを含むことを特徴とする。
【0027】
また、複列以上の光ファイバーアレイを製作するに当たっては、巻き付けた光ファイバーの隣どうしが互いに接した部分にできる窪みを案内として2列目以降任意の列数の光ファイバーを巻き付ける工程を含むことを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、光ファイバーの高さ方向の配置位置の基準が基板の表面となるため、光ファイバーの半径公差の範囲で精度良く光ファイバーの中心位置を基板上に設定することができる。
【0029】
また、V字断面の溝がなくても、ストッパーを置くか基板に段差を設けるかして、配列方向の位置の基準面を設け、端の光ファイバーの円周を該基準面に押し当て、順次隣の光ファイバーと円周どうしが接するように配置するので、光ファイバーの配列方向の位置も精度良く決定することができる。
【0030】
さらに、光ファイバーどうしが円周を接して配置されるので、光ファイバーは間隙なく光ファイバーの直径に等しい間隔で密着配置される。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の光ファイバーアレイの構成図である。表面に平面または滑らかな曲面部を有する基板1上に光ファイバー2の配列方向の位置基準とするストッパー3を設ける。4は接着剤である。1本目の光ファイバー素線2aを基板1とストッパー3に押し当てて配置し、2本目以降の光ファイバー素線2b、2c、・・・、2nは基板1上でそれぞれ1本前の光ファイバー素線2a、2b、・・・、2mに押し当てて配置してある。m、nは任意の整数である。
【0032】
ストッパー5は光ファイバー2のストッパー3と逆側の端を押さえる部材であり、接着剤6により基板1に固定する。
【0033】
表面に平面部を有する押さえ板7は光ファイバー2を押さえて固定する部材であり、8は接着剤である。隙間無しで並んだ光ファイバー2は両側をストッパー3およびストッパー5、上側を押さえ板7で囲まれ、固定されている。
【0034】
光ファイバー素線2a、2b、・・・、2nの断面の二重円は光ファイバー素線のコアとクラッドを示しており、この端面は、基板1および押さえ板7の端面の一部または全部と切削、研削、研磨のうちのいずれかもしくは2つ以上を施して同一平面上に平滑に仕上げてある。
【0035】
図2は本発明の光ファイバーアレイの別の構成図である。図1と異なる点は、ストッパー3を基板1上に固定する代わりに、基板11を用い、該基板11の片側に基準面とするための段差12を設けた点である。
【0036】
このように構成すれば、基板1上にストッパー3を固定する工程が不要となり、一つの基板11として製作できるので、光ファイバーアレイの製作時間を短縮できる。また、光ファイバー2の配置基準の位置精度が向上する。
【0037】
図2では段差12の上側が左端迄到達しているが、図1と同様の局部的突起状の段差でもよい。
【0038】
ところで、図1および図2においては密着配列した光ファイバー2の最終の光ファイバー素線2nに接してストッパー5を設けたが、ストッパー5を設けずに最終の光ファイバー素線2nを基板1または基板11に接着してもよい。
【0039】
図3、図4はそのように構成した本発明の光ファイバーアレイの構成図であり、最終の光ファイバー素線2nを基板1または基板11に接着剤9によって固定する。その他の構成は図1、図2と同じである。
【0040】
図3、図4の相違は、基板1にストッパー3を取り付けて光ファイバー2の位置の基準としているか、基板11の段差21を光ファイバー2の位置の基準としているかの相違である。
【0041】
図5は本発明の複列光ファイバーアレイの構成図である。表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板1上に位置決めの基準とするストッパー3が接着剤4で固定してある。光ファイバー2の1列目は図1と同様に密着配列で並べてあり、反対側のストッパー5が接着剤6で基板1に固定してある。
【0042】
光ファイバー2の2列目は光ファイバー2の1列目の隣り合う窪みを案内として俵積みに配列してある。光ファイバー2の2列目上には表面に基板1と平行な平面部または滑らかな曲面部を有する押さえ板7が配置されている。8は接着剤である。
【0043】
光ファイバー素線2a、2b、・・・、2nの断面の二重円は光ファイバー素線のコアとクラッドを示しており、この端面は、光ファイバー2が一列の場合と同様、基板1および押さえ板7の端面の一部または全部と切削、研削、研磨のうちのいずれかもしくは2つ以上を施して同一平面上に平滑に仕上げてある。
【0044】
図6は本発明の複列光ファイバーアレイの別の構成図である。図5と異なる点は、図5におけるストッパー3を設ける代わりに、片側に基準面とするための段差12を設けた基板11を配置している点である。
【0045】
このように構成すれば、基板1上にストッパー3を固定する工程が不要となり、一つの基板11として製作できるので、光ファイバーアレイの製作時間を短縮できる。また、光ファイバー2の配置基準の位置精度が向上する。
【0046】
図6では段差12の上面が左端迄到達しているが、図1と同様の局部的突起状の段差でもよい。
【0047】
ところで、図5および図6においては密着配列した光ファイバー2の最終の光ファイバー素線2nに接してストッパー5を設けたが、最終の光ファイバー素線2nを基板1または基板11に接着してもよい。
【0048】
図7、図8はそのように構成した本発明の光ファイバーアレイの構成図であり、最終の光ファイバー素線2nを基板1または基板11に接着剤13によって固定する。その他の構成は図5、図6と同じである。
【0049】
図7、図8の相違は、基板1にストッパー3を取り付けて光ファイバー2の位置の基準としているか、基板11の段差12を光ファイバー2の位置の基準としているかの相違である。
【0050】
図5〜図8において、光ファイバー2の1列目の上面の全部または任意の一部と2列目の光ファイバー素線の全部または任意の一部とを接着剤10により接着してもよい。
【0051】
なお、図1〜図8において、基板1の表面または基板11の表面と1列目の光ファイバー素線の全部または任意の一部を接着してもよい。
【0052】
図1〜図8では、ストッパー3やストッパー5は基板1への固定を接着により行うようにしたが、ねじ止め、はめ込み等任意の固定方法で良いことは言う迄もない。ストッパー3やストッパー5の厚さも光ファイバー列全体の高さより低ければ任意でよい。また、押さえ板7の固定も任意の固定方法で良い。
【0053】
また、図1〜図8では、表面に平面部を有する基板1および表面に平面部を有する押さえ板7を描いたが、用途により円弧状、楕円弧状等に配列した光ファイバーアレイが必要な場合には、基板1および押さえ板7の光ファイバー2に接する面を互いに平行な円筒面、楕円筒面等の任意の滑らかな曲面としてもよい。光ファイバーの繊維方向に傾斜した平面または曲がった曲面でもよく、光ファイバーの配列方向に傾斜した平面または曲がった曲面でもよい。
【0054】
また、図1〜図8では、基板1の底面および押さえ板7の上面も平面形状としたが、これらの光ファイバー2に接しない面は任意の形状でよい。
【0055】
図1〜図8の光ファイバーアレイを使用する場合の取り付け姿勢も任意であり、上記の各図に示した構成では基板1または基板11を下側に描いているが、基板1または基板11が上や横に来るようにしてもよい。
【0056】
図9は本発明の単列光ファイバーアレイの別の構成図である。基板1または基板11上には、本構成図に示すように密着配列した光ファイバーアレイを2箇所以上に設けてもよい。
【0057】
光ファイバー2の素線数が増えると直径の公差やばらつきにより、密着配置した素線の位置誤差が累積する。図9に示すように構成すれば、本数を制限することにより、累積位置誤差を許容値以下とすることができる。
【0058】
なお、光ファイバーアレイブロック間にストッパー3とストッパー5が並ぶので、光ファイバーアレイブロック間に配置される右端のストッパー5を次の光ファイバーアレイブロックの左端の位置決め基準とするストッパー3に兼用してもよい。
【0059】
図10は本発明の複列光ファイバーアレイの別の構成図であり、基板1または基板11上に、光ファイバーアレイを2箇所以上に設けた例である。
【0060】
光ファイバー2の素線数が増えると直径の公差やばらつきにより、密着配置した素線の位置誤差が累積する。図10に示すように構成すれば、本数を制限することにより、累積位置誤差を許容値以下とすることができる。
【0061】
なお、この場合も、光ファイバーアレイブロック間にストッパー3とストッパー5が並ぶので、光ファイバーアレイブロック間に配置される右端のストッパー5を次の光ファイバーアレイブロックの左端の位置決め基準とするストッパー3に兼用してもよい。
【0062】
図9、図10とも、光ファイバー2、基板1または基板11、押さえ板7の端面の一部または全部に切削、研削、研磨のうちのいすれかもしくは2つ以上を施して同一平面上に平滑に仕上げてあることは図1〜図8と同様である。
【0063】
また、図9、図10いずれの構成においても、複数の光ファイバーアレイブロックの取り付け面とする基板1または基板11の表面を連続した平面としたが、光ファイバー2が密着配置されている区間だけ、基板1または基板11の表面が平面または滑らかな曲面であればよく、他の部分の形状は任意でよい。たとえば、複数の光ファイバーアレイブロックの取り付け面高さをずらしたりしてもよい。
【0064】
次に本発明の光ファイバーアレイの製作方法の実施形態を説明する。図11は本発明の単列光ファイバーアレイの製作方法の説明図であり、(a)が平面図、(b)が図(a)のAAで切断した正面断面図であり、第三角法で描いてある。
【0065】
厚板の両端を半円状にするなど、任意の滑らかな輪郭を有する巻き付け基体21上に基板1を固定する。図11には基板1を2個を描いたが、1個以上任意の個数で良い。任意の個数の基板1には、それぞれストッパー3を設ける。
【0066】
基板1を固定するかわりに、図2、図4に示したように、光ファイバー2を配列する基準面とする段差12を設けた基板11を固定してもよい。基板11を用いる場合も個数は任意でよい。
【0067】
光ファイバー2を基板1のストッパー3または基板11に設けた基準面とする段差12に押しつけて巻き付け出し、次の巻き付け時からは先に巻いた一つ前の光ファイバー素線に押しつけて順次必要な回数巻き付ける。
【0068】
基板1または基板11の光ファイバー2が曲がる角部22、23は、この巻き付け工程の時点では、光ファイバー2が折れないように丸みを持たせておくことが望ましい。
【0069】
巻き付け基体21の上側、下側、側面等に光ファイバー2が最外面とならないようにするための任意の突起23、24、25・・・を設けておけばなおよい。光ファイバー2を巻き付けた状態で巻き付け基体21をどこかに置いたり、何かにぶつけてしまった時に光ファイバー2が保護される。
【0070】
必要な回数だけ光ファイバー2を巻き付けたならば、最終の光ファイバー素線に押し当ててストッパー5(図示していない。)を基板1または基板11に固定し、光ファイバー2が両側を拘束されて動かないようにする。
【0071】
ストッパー5(図示していない。)を配置せずに、最終の光ファイバー素線を基板1または基板11に接着固定してもよい。
【0072】
基板1の表面または基板11の表面の光ファイバー2を配列する部分に予め接着剤を塗布しておき、1列目の光ファイバー素線の全部または最終の光ファイバー素線を含む任意の一部を接着するようにしてもよい。
【0073】
然る後、押さえ板7(図示していない。)を光ファイバー2上に置き、接着固定する。基板1または基板11にねじ止め、はめ込み等任意の固定方法で固定しても良い。
【0074】
以上の工程により、巻き付け基体31上の基板1または基板11に光ファイバー2がアレイ状に配列された状態で押さえ板7とともに一体に固定される。
【0075】
図11では、基板1を平板状に描いたが、用途により傾斜して配列したり円弧状、楕円弧状等に配列した光ファイバーアレイが必要な場合や、光ファイバーの繊維方向に傾斜して配列したり円弧状、楕円弧状等に配列した光ファイバーアレイが必要な場合が必要な場合には、基板1または基板11および押さえ板7の光ファイバー2に接する面を互いに平行な傾斜面、円筒面、楕円筒面等の任意の滑らかな曲面としてもよい。
【0076】
次に、図11の左右に置いた基板1の中間等、適当な位置で光ファイバー2を切断し、前記の一体に固定した基板1、光ファイバー2、押さえ板7を巻き付け基体21から取り外す。
【0077】
そして、光ファイバー2の断面が出る端面を仕上げる。一体に固定した基板1、光ファイバー2、押さえ板7または一体に固定した基板11、光ファイバー2、押さえ板7の端面に同時に切削、研削、研磨のうちのいずれかもしくは2つ以上を施して光ファイバーの断面が平滑になるように仕上げる。平面度や表面粗さの必要度に応じて適宜加工を施せばよい。切削、研削、研磨の方法、種類は任意である。
【0078】
基板1または基板11の切削、研削、研磨を施す端面の角に21、22のような丸みを持たせた場合には、端面が平面になるように丸み21、22がなくなるまで切削、研削、研磨を施こした方がよい。
【0079】
光ファイバー2は全方位に動かないように固定されているため、基板1または基板11や押さえ板7と一緒に端面を切削、研削、研磨しても配列は保持される。
【0080】
最終の光ファイバー素線に接してストッパー5を配置した場合には、光ファイバー2が全方位を囲まれるため、端面を加工する際に良い平面度や表面粗さを出しやすい。基板1または基板11とストッパー3、ストッパー5、押さえ板7の材料を同じにしておけば、左右上下の支持が対称になるのでなおよい。
【0081】
次に本発明による多列光ファイバーアレイの製作方法について説明する。複列以上の多列光ファイバーアレイの製作方法を図12に示す。
【0082】
まず、単列の光ファイバーの場合と同様に光ファイバー2の1列目を必要な回数だけ巻き付け、巻き終わり側の光ファイバーに押し当ててストッパー5(図示していない。)を基板1または基板11に固定し、光ファイバー2の1列目が両側を拘束されて動かないようにする。
【0083】
ストッパー5(図示していない。)を配置せずに、最終の光ファイバー素線を基板1または基板11に接着固定してもよい。
【0084】
基板1の表面または基板11の表面の光ファイバー2を配列する部分に予め接着剤を塗布しておき、1列目の光ファイバー素線の全部または1列目の最終の光ファイバー素線を含む任意の一部を接着するようにしてもよい。
【0085】
然る後、光ファイバー2の1列目の隣どうしが接した部分にできる窪みに光ファイバー2の2列目を巻き付ける。多列の光ファイバーアレイが入用の場合には、光ファイバー2の2列目の隣どうしが接した部分にできる窪みに3列目を巻き付け、以下同様に重ねて光ファイバーを巻き付ける。
【0086】
光ファイバー2の1列目の上面に接着剤を塗布しておき、2列目の光ファイバー素線の全部または任意の一部を接着するようにしてもよい。
【0087】
光ファイバー2を3列以上とする時に、前列の光ファイバー2の上面に接着剤を塗布しておき、当該列の光ファイバー素線の全部または任意の一部を接着するようにしてもよい。
【0088】
光ファイバー2の2列目以降を巻き付ける際は、各列の光ファイバー2が巻き付け基体31上でからまり合わないように、巻き付けるルートを変えるか、既に巻き付けた列の光ファイバー2の外側に新たに巻き付けのガイド、たとえば丸棒36を固定すればなおよい。
【0089】
そして、押さえ板7を2列目以降、最上列の光ファイバー2上に置き、全部の光ファイバー2を基板1または基板11上に接着固定する。ねじ止め、はめ込み等任意の固定方法で固定しても良い。
【0090】
図12では、基板1を平板状に描いたが、複列光ファイバーアレイの製作においても、用途により傾斜して配列したり円弧状、楕円弧状等に配列した光ファイバーアレイが必要な場合や、光ファイバーの繊維方向に傾斜して配列したり円弧状、楕円弧状等に配列した光ファイバーアレイが必要な場合が必要な場合には、基板1または基板11および押さえ板7の光ファイバー2に接する面を互いに平行な傾斜面、円筒面、楕円筒面等の任意の滑らかな曲面としてもよい。
【0091】
次に、図12の左右に置いた基板1の中間等、適当な位置で光ファイバー2を切断し、前記の一体に固定した基板1、光ファイバー2、押さえ板7を巻き付け基体21から取り外す。
【0092】
そして、光ファイバー2の断面が出る端面を仕上げる。一体に固定した基板1、光ファイバー2、押さえ板7または一体に固定した基板11、光ファイバー2、押さえ板7の端面に同時に切削、研削、研磨のうちのいずれかもしくは2つ以上を施して光ファイバーの断面が平滑になるように仕上げる。平面度や表面粗さの必要度に応じて適宜加工を施せばよい。切削、研削、研磨の方法、種類は任意である。
【0093】
基板1または基板11の切削、研削、研磨を施す端面の角に21、22のような丸みを持たせた場合には、端面が平面になるように丸み21、22がなくなるまで切削、研削、研磨を施こした方がよい。
【0094】
光ファイバー2は全方位に動かないように固定されているため、基板1または基板11や押さえ板7と一緒に端面を切削、研削、研磨しても配列は保持される。
【0095】
最終の光ファイバー素線に接してストッパー5を配置した場合には、光ファイバー2が全方位を囲まれるため、端面を加工する際に良い平面度や表面粗さを出しやすい。基板1または基板11とストッパー3、ストッパー5、押さえ板7の材料を同じにしておけば、左右上下の支持が対称になるのでなおよい。
【0096】
単列の光ファイバーアレイ、複列の光ファイバーアレイを製作する場合とも、用途に応じて光ファイバー2の両端に光ファイバーアレイを製作してもよく、片端のみに光ファイバーアレイを製作してもよい。
【0097】
たとえば、図9、図10に示したように巻き付け基体21の上に基板1または基板11を2個固定し、その中間で光ファイバー2を切断すれば、両端に光ファイバーアレイを製作することができる。
【0098】
また、基板1または11を1個だけ巻き付け基体21の上に固定し、光ファイバー2を切断すれば、片端のみに光ファイバーアレイを製作することができる。
【0099】
基板1または11を複数個巻き付け基体21の上に固定した場合でも、光ファイバー2を適当に複数箇所で切断すれば、片端のみに光ファイバーアレイを製作することができることは明らかである。
【0100】
光ファイバー2の片側を本発明の光ファイバーアレイとして、他端を従来の光ファイバーアレイや最密配列ではない光ファイバーアレイとしても勿論よい。
【0101】
【実施例】
図13は複列光ファイバーアレイの製作例の断面顕微鏡写真である。直径125μmのプラスチック製光ファイバー2の1列目をアクリル樹脂製の基板1上にストッパー3の端面を基準に並べ、反対側をストッパー5で拘束した後、接着剤9を光ファイバー2の1列目の上面に塗り、光ファイバー2の2列目を1列目の隣り合う窪みに俵積みに配列した。然る後、接着剤8を光ファイバー2の2列目の上面に塗り、押さえ板7で押し付けて固定した。
【0102】
光ファイバーアレイが高精度で製作できていることが分かる。なお、写真上でストッパー3の端面が斜めになっているかのように見えるのは、接着剤8のはみ出しによるものである。写真に見えている基板1および押さえ板7はそれぞれの一部である。
【0103】
このように構成すれば、光ファイバーアレイの配列の基準が縦横ともはっきりし、基板1または基板11の底面や側面を仕上げ面として、基板1または基板11の厚さや側面から基準とするストッパー3または段差部12までの距離を予め測定しておけば、基板1または基板11のをステージ等、他の物体に底面や側面を当てて取り付けても、取り付け基準面に対する光ファイバーアレイ中の光ファイバー2の位置を精確に設定できる。
【0104】
【発明の効果】
以上に説明したように、従来の光ファイバーアレイにおいてはV字断面の溝に光ファイバーを入れて並べており、V字断面の溝の加工精度と均一性、再現性に難があるため、元の基板の基準面に対する光ファイバーの位置が精確でなかったのに対し、本発明の光ファイバーアレイにおいては、基板の位置基準面から所定の精確な位置に光ファイバーを配列することができる。
【0105】
また、平面基板の表面を基準に光ファイバーの高さが決まるので、高さが揃い、一直線状に配列した光ファイバーアレイを得ることができる。
【0106】
さらに、光ファイバーを隣どうし密着させた最密配置の光ファイバーアレイを得ることができる。
【0107】
このような本発明の光ファイバーアレイは、光ファイバーマトリックス投影露光に適用する際とくに効果を発揮する。
【0108】
本発明の光ファイバーアレイを通常の投影露光のレチクルの位置に配置して、光ファイバーアレイの各光ファイバーを要素光源として明暗のパターンを指定し、投影レンズ等の投影光学系を介して該パターンを感光性樹脂膜を形成した被露光基板上に投影露光転写する場合、光ファイバーが一直線状に配置されるので従来に比して投影露光、現像後、感光性樹脂に転写されるパターンの直線性が改良される。
【0109】
また、要素光源の間隔が狭まるので、円形の要素パターンどうしの接続間隔が狭まり、複列光ファイバーアレイを用いて、1列目の光ファイバーによる円形の要素パターンどうしの接続境界に2列目の光ファイバーによる円形の要素パターンの中心が来るように露光を重ねれば、投影露光、現像後、感光性樹脂に接続境界がほとんどない滑らかに連結されたパターンを転写することができる。
【0110】
単列の光ファイバーアレイでも、光ファイバーピッチの1/2すなわち光ファイバーの半径分だけずらして露光を重ねれば、同様に投影露光、現像後、感光性樹脂に接続境界がほとんどない滑らかに連結されたパターンを転写することができる。光ファイバービッチの1/3ずつずらして露光を重ねてもよい。
【0111】
このように、単列の光ファイバーアレイをつずらして露光を重ねる場合、本発明の光ファイバーアレイを用いれば、光ファイバーの中心が一直線上に並んでいるため、形成するパターンの直線性が従来より改善される。
【0112】
一方、本発明の光ファイバーアレイの製作方法をとれば、リソグラフィやエッチングの設備または精密機械加工設備等、高価で大規模な設備、機械装置は一切不要であり、基本的には、光ファイバーを巻き付けるだけなので、製作工数も大幅に減じられる。
【0113】
したがって、低価格、かつ、短納期で光ファイバーアレイを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単列光ファイバーアレイの構成図である。
【図2】本発明の単列光ファイバーアレイの別の構成図である。
【図3】本発明の単列光ファイバーアレイのさらに別の構成図である。
【図4】本発明の単列光ファイバーアレイのさらに別の構成図である。
【図5】本発明の複列光ファイバーアレイの構成図である。
【図6】本発明の複列光ファイバーアレイの別の構成図である。
【図7】本発明の複列光ファイバーアレイのさらに別の構成図である。
【図8】本発明の複列光ファイバーアレイのさらに別の構成図である。
【図9】本発明の単列光ファイバーアレイのさらに別の構成図である。
【図10】本発明の複列光ファイバーアレイのさらに別の構成図である。
【図11】本発明による単列光ファイバーアレイの製作方法の説明図である。
【図12】本発明による複列光ファイバーアレイの製作方法の説明図である。
【図13】本発明の実施例の複列光ファイバーアレイの断面顕微鏡写真である。
【図14】従来の単列光ファイバーアレイの構成図である。
【図15】従来の単列光ファイバーアレイの製作方法の説明図である。
【符号の説明】
1 基板
2 光ファイバー
3 ストッパー
5 ストッパー
7 押さえ板
21 巻き付け基体
31 丸棒
32 丸棒
41 光ファイバー
42 基板
43 押さえ板
51 シリコン単結晶の板
52 酸化シリコン膜
53 レジスト
【発明の属する技術分野】
本発明は、マトリックス投影露光、光通信、各種光部品等に用いる光ファイバーの素線を一直線状または滑らかな曲線状に、単列または複数列に高精度に配列した光ファイバーアレイとその製作方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバーを単列または複数列規則正しく並べて配列した光ファイバーアレイは、光ファイバーマトリックス投影露光、光通信、各種光部品等、様々な用途に使用されている。
【0003】
光ファイバーマトリックス投影露光は、たとえば特開2001−313251に開示されているように、光ファイバーアレイを通常の投影露光のレチクルの位置に配置して、光ファイバーアレイの各光ファイバーを要素光源として明暗のパターンを指定し、投影レンズ等の投影光学系を介して該パターンを被露光基板上に形成した感光性樹脂膜に投影露光転写する技術である。
【0004】
従来の光ファイバーアレイの代表的な構成を図15に示す。光ファイバー41を規則正しく配列するため、基板42にV字断面の溝を等間隔で設け、該V字断面の溝中に光ファイバー41を配列してある。必要に応じて押さえ板43で光ファイバー41を押さえて接着剤44で固定する。光ファイバー41を基板42に直接接着する場合もある。光ファイバー41の断面の二重円はコアとクラッドを示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、V字断面の溝を案内に用いる従来の光ファイバーアレイには、次に示すような課題がある。第1の課題は、基板42のV字断面の溝の深さを精確に設定することが難しいことである。このため、基板42の底面または上面を基準とした時の光ファイバー41の断面中心の位置精度が確保しにくい。
【0006】
また、第2の課題は、光ファイバー41をぴったりくっつけて密着配置することはできず、わずかでも間隔を開けざるを得ないことである。
【0007】
光ファイバー41をぴったりくっつけて配置することができないと、たとえば、光ファイバーマトリックス投影露光に用いる際、光ファイバーのコア部を要素光源としてそれを連ねて任意のパターンを投影露光するので、光スポットの間隔が広くなり、パターンがうまくつながらずに接続部にくびれや出っ張りを生ずる結果となる。
【0008】
上記の光ファイバー41の断面中心の位置精度が確保しにくく、光ファイバー41を密着配置することができないという2つの課題は製造方法に起因する。
【0009】
図15は図11のV字断面の溝を有する基板42の代表的な製作方法の説明図である。基板42としてシリコン単結晶のウエハ51を用い、図(a)に示すように、後にエッチングの保護膜とする酸化シリコン膜52を付け、表面にレジスト53を塗布する。
【0010】
次に、図(b)に示すように、レジスト53をラインアンドスペース状のパタンに加工する。加工にはリソグラフィを用い、図14の基板42のV溝に対応する間隔のラインアンドスペース状にレジスト53を露光した後、現像を行う。
【0011】
次に、図(c)に示すように、レジスト53で形成したラインアンドスペース状のパタンをエッチングマスクとして、酸化シリコン膜52をドライエッチング加工する。加工後にレジスト53は剥離除去する。
【0012】
さらに、図(d)に示すように、酸化シリコン膜52のラインアンドスペース状のパタンをエッチングマスクとして、シリコン単結晶のウエハ51を強アルカリでウェットエッチングする。この時、シリコン単結晶のウエハ51として結晶方位が適切なウエハを用いておけば、シリコン単結晶のウエハ51は結晶方位に沿って選択エッチングされ、V字断面の溝54が形成される。
【0013】
最後に、図(e)に示すように、酸化シリコン膜52を除去すると断面はV字断面の溝54を有するウエハとなる。
【0014】
このようにしてV字断面の溝を有する基板42を製作すると、レジスト53で形成するラインアンドスペース状のパタンの線幅寸法の誤差、レジスト53をエッチングマスクとして酸化シリコン膜52をドライエッチング加工する時の寸法変換差、酸化シリコン膜52をエッチングマスクとしてシリコン単結晶のウエハ51を選択エッチングする時の寸法変換差が累積され、V字断面の溝54の寸法を高精度で制御することは非常に難しくなる。また、V字断面の溝54の数を増やすと、場所による露光やエッチングのむらがV字断面の溝の寸法のばらつきとなって現れる。
【0015】
このため、図14において基板42の底面または上面を基準とした光ファイバー41の断面中心の位置がふらつき、位置精度を確保できない。また、光ファイバー41の断面中心が微視的に見ると一直線上に乗らない。
【0016】
一方、基板42のV字断面の溝の中心に光ファイバー41が案内されるため、溝間隔の誤差や光ファイバー41の直径寸法誤差があっても光ファイバー41が配置できるように、基板42のV字断面の溝の間隔は光ファイバー41の直径寸法に対して余裕を持った寸法とせざるを得ない。
【0017】
このため、光ファイバー41をぴったりくっつけて密着配置することはできず、所定の間隔を開けざるを得ない。
【0018】
基板42のV字断面の溝の加工方法としては、以上のようにリソグラフィとエッチングを組み合わせる方法が最も代表的であるが、そのほかに基板42をV字断面を有する砥石やカッターによって削ってV字断面の溝を形成する方法もある。
【0019】
しかし、切削や研削によりV字断面の溝を形成する場合には、刃物の磨耗や温度上昇に起因して、加工するにつれてV字断面の溝の寸法や面の粗さが少しずつ変化するため、溝の寸法精度を得ることがさらに難しい。
【0020】
また、使用する刃物の精度を厳重に管理した上で、加工環境や雰囲気も十分に制御する必要があり、機械、器具の性能維持、管理に多大のコストと労力がかかる。
【0021】
一方、刃物または基板42の機械的な移動によりV字断面の溝の間隔を決めるため、移動精度に応じて溝の間隔がばらつく。したがって、V字断面の溝の間隔は光ファイバー41の直径寸法に対して余裕を持った間隔に設定することが必要である。このため、光ファイバー41をぴったりくっつけて密着配置することはできず、所定の間隔を開けざるを得ない。
【0022】
これらの課題に加え、従来のV字断面の溝を持った基板42を作ってそのV字断面の溝内に光ファイバー41を配置する従来の光ファイバーアレイは、製作に多大の時間を要し、なおかつ、リソグラフィやエッチングの設備または精密機械加工設備等の高価で大規模な設備、機械装置が必要となるという大きな課題を有していた。
【0023】
【課題を解決するための手段】
これらの課題に対し、本発明の光ファイバーアレイは、表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板上に位置決め基準となるストッパーまたは段差を有し、光ファイバーが前記ストッパー端面または段差端面と前記基板表面の平面部または滑らかな曲面部とを基準として隣どうしが互いに接した状態で配列され、前記基板と平行な平面部または滑らかな曲面部を表面に有する押さえ板が前記の配列された光ファイバー上に配置されていることを特徴とする。
【0024】
また、複列以上の光ファイバーアレイについては、前記の配列された光ファイバー上に光ファイバーどうしが接することによってできる窪みを案内として2列目以降任意の列数の光ファイバーが配列され、前記基板と平行な平面部または滑らかな曲面部を表面に有する押さえ板が最上段の光ファイバー上に配置されていることを特徴とする。
【0025】
さらに、光ファイバーアレイ断面の対称性を良くするため、配列した最後の光ファイバーに端面を接して別のストッパーを設けたことを特徴とする。
【0026】
また、本発明の光ファイバーアレイの製作方法は、巻き付け基体上に取り付けた、表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板上に、ストッパーまたは段差を基準として光ファイバーを隣どうしが互いに接した状態で巻き付ける工程と、前記基板と平行な平面部または滑らかな曲面部を有する押さえ板を前記の巻き付けた光ファイバー上に貼り付けもしくは取り付けて前記の基板、光ファイバー、押さえ板を一体とする工程と、前記一体とした基板、光ファイバー、押さえ板を前記巻き付け基体から取り外す工程と、該一体とした基板、光ファイバー、押さえ板に切削、研削、研磨のうちのいずれかもしくは2つ以上を施して該光ファイバーの断面が平滑になるように仕上げる工程とを含むことを特徴とする。
【0027】
また、複列以上の光ファイバーアレイを製作するに当たっては、巻き付けた光ファイバーの隣どうしが互いに接した部分にできる窪みを案内として2列目以降任意の列数の光ファイバーを巻き付ける工程を含むことを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、光ファイバーの高さ方向の配置位置の基準が基板の表面となるため、光ファイバーの半径公差の範囲で精度良く光ファイバーの中心位置を基板上に設定することができる。
【0029】
また、V字断面の溝がなくても、ストッパーを置くか基板に段差を設けるかして、配列方向の位置の基準面を設け、端の光ファイバーの円周を該基準面に押し当て、順次隣の光ファイバーと円周どうしが接するように配置するので、光ファイバーの配列方向の位置も精度良く決定することができる。
【0030】
さらに、光ファイバーどうしが円周を接して配置されるので、光ファイバーは間隙なく光ファイバーの直径に等しい間隔で密着配置される。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の光ファイバーアレイの構成図である。表面に平面または滑らかな曲面部を有する基板1上に光ファイバー2の配列方向の位置基準とするストッパー3を設ける。4は接着剤である。1本目の光ファイバー素線2aを基板1とストッパー3に押し当てて配置し、2本目以降の光ファイバー素線2b、2c、・・・、2nは基板1上でそれぞれ1本前の光ファイバー素線2a、2b、・・・、2mに押し当てて配置してある。m、nは任意の整数である。
【0032】
ストッパー5は光ファイバー2のストッパー3と逆側の端を押さえる部材であり、接着剤6により基板1に固定する。
【0033】
表面に平面部を有する押さえ板7は光ファイバー2を押さえて固定する部材であり、8は接着剤である。隙間無しで並んだ光ファイバー2は両側をストッパー3およびストッパー5、上側を押さえ板7で囲まれ、固定されている。
【0034】
光ファイバー素線2a、2b、・・・、2nの断面の二重円は光ファイバー素線のコアとクラッドを示しており、この端面は、基板1および押さえ板7の端面の一部または全部と切削、研削、研磨のうちのいずれかもしくは2つ以上を施して同一平面上に平滑に仕上げてある。
【0035】
図2は本発明の光ファイバーアレイの別の構成図である。図1と異なる点は、ストッパー3を基板1上に固定する代わりに、基板11を用い、該基板11の片側に基準面とするための段差12を設けた点である。
【0036】
このように構成すれば、基板1上にストッパー3を固定する工程が不要となり、一つの基板11として製作できるので、光ファイバーアレイの製作時間を短縮できる。また、光ファイバー2の配置基準の位置精度が向上する。
【0037】
図2では段差12の上側が左端迄到達しているが、図1と同様の局部的突起状の段差でもよい。
【0038】
ところで、図1および図2においては密着配列した光ファイバー2の最終の光ファイバー素線2nに接してストッパー5を設けたが、ストッパー5を設けずに最終の光ファイバー素線2nを基板1または基板11に接着してもよい。
【0039】
図3、図4はそのように構成した本発明の光ファイバーアレイの構成図であり、最終の光ファイバー素線2nを基板1または基板11に接着剤9によって固定する。その他の構成は図1、図2と同じである。
【0040】
図3、図4の相違は、基板1にストッパー3を取り付けて光ファイバー2の位置の基準としているか、基板11の段差21を光ファイバー2の位置の基準としているかの相違である。
【0041】
図5は本発明の複列光ファイバーアレイの構成図である。表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板1上に位置決めの基準とするストッパー3が接着剤4で固定してある。光ファイバー2の1列目は図1と同様に密着配列で並べてあり、反対側のストッパー5が接着剤6で基板1に固定してある。
【0042】
光ファイバー2の2列目は光ファイバー2の1列目の隣り合う窪みを案内として俵積みに配列してある。光ファイバー2の2列目上には表面に基板1と平行な平面部または滑らかな曲面部を有する押さえ板7が配置されている。8は接着剤である。
【0043】
光ファイバー素線2a、2b、・・・、2nの断面の二重円は光ファイバー素線のコアとクラッドを示しており、この端面は、光ファイバー2が一列の場合と同様、基板1および押さえ板7の端面の一部または全部と切削、研削、研磨のうちのいずれかもしくは2つ以上を施して同一平面上に平滑に仕上げてある。
【0044】
図6は本発明の複列光ファイバーアレイの別の構成図である。図5と異なる点は、図5におけるストッパー3を設ける代わりに、片側に基準面とするための段差12を設けた基板11を配置している点である。
【0045】
このように構成すれば、基板1上にストッパー3を固定する工程が不要となり、一つの基板11として製作できるので、光ファイバーアレイの製作時間を短縮できる。また、光ファイバー2の配置基準の位置精度が向上する。
【0046】
図6では段差12の上面が左端迄到達しているが、図1と同様の局部的突起状の段差でもよい。
【0047】
ところで、図5および図6においては密着配列した光ファイバー2の最終の光ファイバー素線2nに接してストッパー5を設けたが、最終の光ファイバー素線2nを基板1または基板11に接着してもよい。
【0048】
図7、図8はそのように構成した本発明の光ファイバーアレイの構成図であり、最終の光ファイバー素線2nを基板1または基板11に接着剤13によって固定する。その他の構成は図5、図6と同じである。
【0049】
図7、図8の相違は、基板1にストッパー3を取り付けて光ファイバー2の位置の基準としているか、基板11の段差12を光ファイバー2の位置の基準としているかの相違である。
【0050】
図5〜図8において、光ファイバー2の1列目の上面の全部または任意の一部と2列目の光ファイバー素線の全部または任意の一部とを接着剤10により接着してもよい。
【0051】
なお、図1〜図8において、基板1の表面または基板11の表面と1列目の光ファイバー素線の全部または任意の一部を接着してもよい。
【0052】
図1〜図8では、ストッパー3やストッパー5は基板1への固定を接着により行うようにしたが、ねじ止め、はめ込み等任意の固定方法で良いことは言う迄もない。ストッパー3やストッパー5の厚さも光ファイバー列全体の高さより低ければ任意でよい。また、押さえ板7の固定も任意の固定方法で良い。
【0053】
また、図1〜図8では、表面に平面部を有する基板1および表面に平面部を有する押さえ板7を描いたが、用途により円弧状、楕円弧状等に配列した光ファイバーアレイが必要な場合には、基板1および押さえ板7の光ファイバー2に接する面を互いに平行な円筒面、楕円筒面等の任意の滑らかな曲面としてもよい。光ファイバーの繊維方向に傾斜した平面または曲がった曲面でもよく、光ファイバーの配列方向に傾斜した平面または曲がった曲面でもよい。
【0054】
また、図1〜図8では、基板1の底面および押さえ板7の上面も平面形状としたが、これらの光ファイバー2に接しない面は任意の形状でよい。
【0055】
図1〜図8の光ファイバーアレイを使用する場合の取り付け姿勢も任意であり、上記の各図に示した構成では基板1または基板11を下側に描いているが、基板1または基板11が上や横に来るようにしてもよい。
【0056】
図9は本発明の単列光ファイバーアレイの別の構成図である。基板1または基板11上には、本構成図に示すように密着配列した光ファイバーアレイを2箇所以上に設けてもよい。
【0057】
光ファイバー2の素線数が増えると直径の公差やばらつきにより、密着配置した素線の位置誤差が累積する。図9に示すように構成すれば、本数を制限することにより、累積位置誤差を許容値以下とすることができる。
【0058】
なお、光ファイバーアレイブロック間にストッパー3とストッパー5が並ぶので、光ファイバーアレイブロック間に配置される右端のストッパー5を次の光ファイバーアレイブロックの左端の位置決め基準とするストッパー3に兼用してもよい。
【0059】
図10は本発明の複列光ファイバーアレイの別の構成図であり、基板1または基板11上に、光ファイバーアレイを2箇所以上に設けた例である。
【0060】
光ファイバー2の素線数が増えると直径の公差やばらつきにより、密着配置した素線の位置誤差が累積する。図10に示すように構成すれば、本数を制限することにより、累積位置誤差を許容値以下とすることができる。
【0061】
なお、この場合も、光ファイバーアレイブロック間にストッパー3とストッパー5が並ぶので、光ファイバーアレイブロック間に配置される右端のストッパー5を次の光ファイバーアレイブロックの左端の位置決め基準とするストッパー3に兼用してもよい。
【0062】
図9、図10とも、光ファイバー2、基板1または基板11、押さえ板7の端面の一部または全部に切削、研削、研磨のうちのいすれかもしくは2つ以上を施して同一平面上に平滑に仕上げてあることは図1〜図8と同様である。
【0063】
また、図9、図10いずれの構成においても、複数の光ファイバーアレイブロックの取り付け面とする基板1または基板11の表面を連続した平面としたが、光ファイバー2が密着配置されている区間だけ、基板1または基板11の表面が平面または滑らかな曲面であればよく、他の部分の形状は任意でよい。たとえば、複数の光ファイバーアレイブロックの取り付け面高さをずらしたりしてもよい。
【0064】
次に本発明の光ファイバーアレイの製作方法の実施形態を説明する。図11は本発明の単列光ファイバーアレイの製作方法の説明図であり、(a)が平面図、(b)が図(a)のAAで切断した正面断面図であり、第三角法で描いてある。
【0065】
厚板の両端を半円状にするなど、任意の滑らかな輪郭を有する巻き付け基体21上に基板1を固定する。図11には基板1を2個を描いたが、1個以上任意の個数で良い。任意の個数の基板1には、それぞれストッパー3を設ける。
【0066】
基板1を固定するかわりに、図2、図4に示したように、光ファイバー2を配列する基準面とする段差12を設けた基板11を固定してもよい。基板11を用いる場合も個数は任意でよい。
【0067】
光ファイバー2を基板1のストッパー3または基板11に設けた基準面とする段差12に押しつけて巻き付け出し、次の巻き付け時からは先に巻いた一つ前の光ファイバー素線に押しつけて順次必要な回数巻き付ける。
【0068】
基板1または基板11の光ファイバー2が曲がる角部22、23は、この巻き付け工程の時点では、光ファイバー2が折れないように丸みを持たせておくことが望ましい。
【0069】
巻き付け基体21の上側、下側、側面等に光ファイバー2が最外面とならないようにするための任意の突起23、24、25・・・を設けておけばなおよい。光ファイバー2を巻き付けた状態で巻き付け基体21をどこかに置いたり、何かにぶつけてしまった時に光ファイバー2が保護される。
【0070】
必要な回数だけ光ファイバー2を巻き付けたならば、最終の光ファイバー素線に押し当ててストッパー5(図示していない。)を基板1または基板11に固定し、光ファイバー2が両側を拘束されて動かないようにする。
【0071】
ストッパー5(図示していない。)を配置せずに、最終の光ファイバー素線を基板1または基板11に接着固定してもよい。
【0072】
基板1の表面または基板11の表面の光ファイバー2を配列する部分に予め接着剤を塗布しておき、1列目の光ファイバー素線の全部または最終の光ファイバー素線を含む任意の一部を接着するようにしてもよい。
【0073】
然る後、押さえ板7(図示していない。)を光ファイバー2上に置き、接着固定する。基板1または基板11にねじ止め、はめ込み等任意の固定方法で固定しても良い。
【0074】
以上の工程により、巻き付け基体31上の基板1または基板11に光ファイバー2がアレイ状に配列された状態で押さえ板7とともに一体に固定される。
【0075】
図11では、基板1を平板状に描いたが、用途により傾斜して配列したり円弧状、楕円弧状等に配列した光ファイバーアレイが必要な場合や、光ファイバーの繊維方向に傾斜して配列したり円弧状、楕円弧状等に配列した光ファイバーアレイが必要な場合が必要な場合には、基板1または基板11および押さえ板7の光ファイバー2に接する面を互いに平行な傾斜面、円筒面、楕円筒面等の任意の滑らかな曲面としてもよい。
【0076】
次に、図11の左右に置いた基板1の中間等、適当な位置で光ファイバー2を切断し、前記の一体に固定した基板1、光ファイバー2、押さえ板7を巻き付け基体21から取り外す。
【0077】
そして、光ファイバー2の断面が出る端面を仕上げる。一体に固定した基板1、光ファイバー2、押さえ板7または一体に固定した基板11、光ファイバー2、押さえ板7の端面に同時に切削、研削、研磨のうちのいずれかもしくは2つ以上を施して光ファイバーの断面が平滑になるように仕上げる。平面度や表面粗さの必要度に応じて適宜加工を施せばよい。切削、研削、研磨の方法、種類は任意である。
【0078】
基板1または基板11の切削、研削、研磨を施す端面の角に21、22のような丸みを持たせた場合には、端面が平面になるように丸み21、22がなくなるまで切削、研削、研磨を施こした方がよい。
【0079】
光ファイバー2は全方位に動かないように固定されているため、基板1または基板11や押さえ板7と一緒に端面を切削、研削、研磨しても配列は保持される。
【0080】
最終の光ファイバー素線に接してストッパー5を配置した場合には、光ファイバー2が全方位を囲まれるため、端面を加工する際に良い平面度や表面粗さを出しやすい。基板1または基板11とストッパー3、ストッパー5、押さえ板7の材料を同じにしておけば、左右上下の支持が対称になるのでなおよい。
【0081】
次に本発明による多列光ファイバーアレイの製作方法について説明する。複列以上の多列光ファイバーアレイの製作方法を図12に示す。
【0082】
まず、単列の光ファイバーの場合と同様に光ファイバー2の1列目を必要な回数だけ巻き付け、巻き終わり側の光ファイバーに押し当ててストッパー5(図示していない。)を基板1または基板11に固定し、光ファイバー2の1列目が両側を拘束されて動かないようにする。
【0083】
ストッパー5(図示していない。)を配置せずに、最終の光ファイバー素線を基板1または基板11に接着固定してもよい。
【0084】
基板1の表面または基板11の表面の光ファイバー2を配列する部分に予め接着剤を塗布しておき、1列目の光ファイバー素線の全部または1列目の最終の光ファイバー素線を含む任意の一部を接着するようにしてもよい。
【0085】
然る後、光ファイバー2の1列目の隣どうしが接した部分にできる窪みに光ファイバー2の2列目を巻き付ける。多列の光ファイバーアレイが入用の場合には、光ファイバー2の2列目の隣どうしが接した部分にできる窪みに3列目を巻き付け、以下同様に重ねて光ファイバーを巻き付ける。
【0086】
光ファイバー2の1列目の上面に接着剤を塗布しておき、2列目の光ファイバー素線の全部または任意の一部を接着するようにしてもよい。
【0087】
光ファイバー2を3列以上とする時に、前列の光ファイバー2の上面に接着剤を塗布しておき、当該列の光ファイバー素線の全部または任意の一部を接着するようにしてもよい。
【0088】
光ファイバー2の2列目以降を巻き付ける際は、各列の光ファイバー2が巻き付け基体31上でからまり合わないように、巻き付けるルートを変えるか、既に巻き付けた列の光ファイバー2の外側に新たに巻き付けのガイド、たとえば丸棒36を固定すればなおよい。
【0089】
そして、押さえ板7を2列目以降、最上列の光ファイバー2上に置き、全部の光ファイバー2を基板1または基板11上に接着固定する。ねじ止め、はめ込み等任意の固定方法で固定しても良い。
【0090】
図12では、基板1を平板状に描いたが、複列光ファイバーアレイの製作においても、用途により傾斜して配列したり円弧状、楕円弧状等に配列した光ファイバーアレイが必要な場合や、光ファイバーの繊維方向に傾斜して配列したり円弧状、楕円弧状等に配列した光ファイバーアレイが必要な場合が必要な場合には、基板1または基板11および押さえ板7の光ファイバー2に接する面を互いに平行な傾斜面、円筒面、楕円筒面等の任意の滑らかな曲面としてもよい。
【0091】
次に、図12の左右に置いた基板1の中間等、適当な位置で光ファイバー2を切断し、前記の一体に固定した基板1、光ファイバー2、押さえ板7を巻き付け基体21から取り外す。
【0092】
そして、光ファイバー2の断面が出る端面を仕上げる。一体に固定した基板1、光ファイバー2、押さえ板7または一体に固定した基板11、光ファイバー2、押さえ板7の端面に同時に切削、研削、研磨のうちのいずれかもしくは2つ以上を施して光ファイバーの断面が平滑になるように仕上げる。平面度や表面粗さの必要度に応じて適宜加工を施せばよい。切削、研削、研磨の方法、種類は任意である。
【0093】
基板1または基板11の切削、研削、研磨を施す端面の角に21、22のような丸みを持たせた場合には、端面が平面になるように丸み21、22がなくなるまで切削、研削、研磨を施こした方がよい。
【0094】
光ファイバー2は全方位に動かないように固定されているため、基板1または基板11や押さえ板7と一緒に端面を切削、研削、研磨しても配列は保持される。
【0095】
最終の光ファイバー素線に接してストッパー5を配置した場合には、光ファイバー2が全方位を囲まれるため、端面を加工する際に良い平面度や表面粗さを出しやすい。基板1または基板11とストッパー3、ストッパー5、押さえ板7の材料を同じにしておけば、左右上下の支持が対称になるのでなおよい。
【0096】
単列の光ファイバーアレイ、複列の光ファイバーアレイを製作する場合とも、用途に応じて光ファイバー2の両端に光ファイバーアレイを製作してもよく、片端のみに光ファイバーアレイを製作してもよい。
【0097】
たとえば、図9、図10に示したように巻き付け基体21の上に基板1または基板11を2個固定し、その中間で光ファイバー2を切断すれば、両端に光ファイバーアレイを製作することができる。
【0098】
また、基板1または11を1個だけ巻き付け基体21の上に固定し、光ファイバー2を切断すれば、片端のみに光ファイバーアレイを製作することができる。
【0099】
基板1または11を複数個巻き付け基体21の上に固定した場合でも、光ファイバー2を適当に複数箇所で切断すれば、片端のみに光ファイバーアレイを製作することができることは明らかである。
【0100】
光ファイバー2の片側を本発明の光ファイバーアレイとして、他端を従来の光ファイバーアレイや最密配列ではない光ファイバーアレイとしても勿論よい。
【0101】
【実施例】
図13は複列光ファイバーアレイの製作例の断面顕微鏡写真である。直径125μmのプラスチック製光ファイバー2の1列目をアクリル樹脂製の基板1上にストッパー3の端面を基準に並べ、反対側をストッパー5で拘束した後、接着剤9を光ファイバー2の1列目の上面に塗り、光ファイバー2の2列目を1列目の隣り合う窪みに俵積みに配列した。然る後、接着剤8を光ファイバー2の2列目の上面に塗り、押さえ板7で押し付けて固定した。
【0102】
光ファイバーアレイが高精度で製作できていることが分かる。なお、写真上でストッパー3の端面が斜めになっているかのように見えるのは、接着剤8のはみ出しによるものである。写真に見えている基板1および押さえ板7はそれぞれの一部である。
【0103】
このように構成すれば、光ファイバーアレイの配列の基準が縦横ともはっきりし、基板1または基板11の底面や側面を仕上げ面として、基板1または基板11の厚さや側面から基準とするストッパー3または段差部12までの距離を予め測定しておけば、基板1または基板11のをステージ等、他の物体に底面や側面を当てて取り付けても、取り付け基準面に対する光ファイバーアレイ中の光ファイバー2の位置を精確に設定できる。
【0104】
【発明の効果】
以上に説明したように、従来の光ファイバーアレイにおいてはV字断面の溝に光ファイバーを入れて並べており、V字断面の溝の加工精度と均一性、再現性に難があるため、元の基板の基準面に対する光ファイバーの位置が精確でなかったのに対し、本発明の光ファイバーアレイにおいては、基板の位置基準面から所定の精確な位置に光ファイバーを配列することができる。
【0105】
また、平面基板の表面を基準に光ファイバーの高さが決まるので、高さが揃い、一直線状に配列した光ファイバーアレイを得ることができる。
【0106】
さらに、光ファイバーを隣どうし密着させた最密配置の光ファイバーアレイを得ることができる。
【0107】
このような本発明の光ファイバーアレイは、光ファイバーマトリックス投影露光に適用する際とくに効果を発揮する。
【0108】
本発明の光ファイバーアレイを通常の投影露光のレチクルの位置に配置して、光ファイバーアレイの各光ファイバーを要素光源として明暗のパターンを指定し、投影レンズ等の投影光学系を介して該パターンを感光性樹脂膜を形成した被露光基板上に投影露光転写する場合、光ファイバーが一直線状に配置されるので従来に比して投影露光、現像後、感光性樹脂に転写されるパターンの直線性が改良される。
【0109】
また、要素光源の間隔が狭まるので、円形の要素パターンどうしの接続間隔が狭まり、複列光ファイバーアレイを用いて、1列目の光ファイバーによる円形の要素パターンどうしの接続境界に2列目の光ファイバーによる円形の要素パターンの中心が来るように露光を重ねれば、投影露光、現像後、感光性樹脂に接続境界がほとんどない滑らかに連結されたパターンを転写することができる。
【0110】
単列の光ファイバーアレイでも、光ファイバーピッチの1/2すなわち光ファイバーの半径分だけずらして露光を重ねれば、同様に投影露光、現像後、感光性樹脂に接続境界がほとんどない滑らかに連結されたパターンを転写することができる。光ファイバービッチの1/3ずつずらして露光を重ねてもよい。
【0111】
このように、単列の光ファイバーアレイをつずらして露光を重ねる場合、本発明の光ファイバーアレイを用いれば、光ファイバーの中心が一直線上に並んでいるため、形成するパターンの直線性が従来より改善される。
【0112】
一方、本発明の光ファイバーアレイの製作方法をとれば、リソグラフィやエッチングの設備または精密機械加工設備等、高価で大規模な設備、機械装置は一切不要であり、基本的には、光ファイバーを巻き付けるだけなので、製作工数も大幅に減じられる。
【0113】
したがって、低価格、かつ、短納期で光ファイバーアレイを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単列光ファイバーアレイの構成図である。
【図2】本発明の単列光ファイバーアレイの別の構成図である。
【図3】本発明の単列光ファイバーアレイのさらに別の構成図である。
【図4】本発明の単列光ファイバーアレイのさらに別の構成図である。
【図5】本発明の複列光ファイバーアレイの構成図である。
【図6】本発明の複列光ファイバーアレイの別の構成図である。
【図7】本発明の複列光ファイバーアレイのさらに別の構成図である。
【図8】本発明の複列光ファイバーアレイのさらに別の構成図である。
【図9】本発明の単列光ファイバーアレイのさらに別の構成図である。
【図10】本発明の複列光ファイバーアレイのさらに別の構成図である。
【図11】本発明による単列光ファイバーアレイの製作方法の説明図である。
【図12】本発明による複列光ファイバーアレイの製作方法の説明図である。
【図13】本発明の実施例の複列光ファイバーアレイの断面顕微鏡写真である。
【図14】従来の単列光ファイバーアレイの構成図である。
【図15】従来の単列光ファイバーアレイの製作方法の説明図である。
【符号の説明】
1 基板
2 光ファイバー
3 ストッパー
5 ストッパー
7 押さえ板
21 巻き付け基体
31 丸棒
32 丸棒
41 光ファイバー
42 基板
43 押さえ板
51 シリコン単結晶の板
52 酸化シリコン膜
53 レジスト
Claims (6)
- 表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板上に位置決め基準となるストッパーまたは段差を有し、光ファイバーが前記ストッパー端面または段差端面と前記基板表面の平面部または滑らかな曲面部とを基準として隣どうしが互いに接した状態で配列され、前記基板と平行な平面部または滑らかな曲面部を表面に有する押さえ板が前記の配列された光ファイバー上に配置されていることを特徴とする光ファイバーアレイ
- 表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板上に位置決め基準となるストッパーまたは段差を有し、光ファイバーが前記ストッパー端面または段差端面と前記基板表面の平面部または滑らかな曲面部とを基準として隣どうしが互いに接した状態で配列され、最後の光ファイバーに端面を接して別のストッパーを有し、前記基板と平行な平面部または滑らかな曲面部を表面に有する押さえ板が前記の配列された光ファイバー上に配置されていることを特徴とする光ファイバーアレイ
- 表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板上に位置決め基準となるストッパーまたは段差を有し、光ファイバーが前記ストッパー端面または段差端面と前記基板表面の平面部または滑らかな曲面部とを基準として隣どうしが互いに接した状態で配列され、前記の配列された光ファイバー上に光ファイバーどうしが接することによってできる窪みを案内として2列目以降任意の列数の光ファイバーが配列され、前記基板と平行な平面部または滑らかな曲面部を表面に有する押さえ板が前記の配列された光ファイバー上に配置されていることを特徴とする光ファイバーアレイ
- 表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板上に位置決め基準となるストッパーまたは段差を有し、光ファイバーが前記ストッパー端面または段差端面と前記基板表面の平面部または滑らかな曲面部とを基準として隣どうしが互いに接した状態で配列され、最後の光ファイバーに端面を接して別のストッパーを有し、前記の配列された光ファイバー上に光ファイバーどうしが接することによってできる窪みを案内として2列目以降任意の列数の光ファイバーが配列され、前記基板と平行な平面部または滑らかな曲面部を表面に有する押さえ板が前記の配列された光ファイバー上に配置されていることを特徴とする光ファイバーアレイ
- 巻き付け基体上に取り付けた、表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板上に、ストッパーまたは段差を基準として光ファイバーを隣どうしが互いに接した状態で巻き付ける工程と、前記基板と平行な平面部または滑らかな曲面部を有する押さえ板を前記の巻き付けた光ファイバー上に貼り付けもしくは取り付けて前記の基板、光ファイバー、押さえ板を一体に固定する工程と、前記一体とした基板、光ファイバー、押さえ板を前記巻き付け基体から取り外す工程と、該一体とした基板、光ファイバー、押さえ板に切削、研削、研磨のうちのいずれかもしくは2つ以上を施して該光ファイバーの断面が平滑になるように仕上げる工程とを含むことを特徴とする光ファイバーアレイの製作方法
- 巻き付け基体上に取り付けた、表面に平面部または滑らかな曲面部を有する基板上に、ストッパーまたは段差を基準として光ファイバーを隣どうしが互いに接した状態で巻き付ける工程と、巻き付けた光ファイバーの隣どうしが互いに接した部分にできる窪みを案内として2列目以降任意の列数の光ファイバーを巻き付ける工程と、前記基板と平行な平面部または滑らかな曲面部を有する押さえ板を前記の巻き付けた光ファイバー上に貼り付けもしくは取り付けて前記の基板、光ファイバー、押さえ板を一体に固定する工程と、前記一体とした基板、光ファイバー、押さえ板を前記巻き付け基体から取り外す工程と、該一体とした基板、光ファイバー、押さえ板に切削、研削、研磨のうちのいずれかもしくは2つ以上を施して該光ファイバーの断面が平滑になるように仕上げる工程とを含むことを特徴とする光ファイバーアレイの製作方法
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2003
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