JP2004226669A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
静電荷像現像用トナー Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004226669A JP2004226669A JP2003014092A JP2003014092A JP2004226669A JP 2004226669 A JP2004226669 A JP 2004226669A JP 2003014092 A JP2003014092 A JP 2003014092A JP 2003014092 A JP2003014092 A JP 2003014092A JP 2004226669 A JP2004226669 A JP 2004226669A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- toner
- release agent
- fine particles
- particles
- parts
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Developing Agents For Electrophotography (AREA)
Abstract
【課題】本発明の第1の目的は、従来の問題点を解決し、流動性にすぐれ高濃度で鮮明な画像が得られ、耐オフセット性、離型性、転写性、定着性、耐久性にすぐれた静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明の第2の目的は、帯電量分布がシャープで、鮮鋭性の良好な可視画像を長期にわたり形成することができるトナーを提供することにある。
【解決手段】少なくとも活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂用原料、着色剤、離型剤用成分を含有したトナー組成物用原材料を含む有機溶媒相を水系媒体中で分散して粒子化するとともに該結着樹脂用原料を重付加反応させ、この分散液から液相を除去して得られるトナーであって、離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体と水溶性重合開始剤を添加し重合させることによりビニル重合体が離型剤を被覆および/又は含浸された離型剤微粒子を該水系媒体中に含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】 なし
本発明の第2の目的は、帯電量分布がシャープで、鮮鋭性の良好な可視画像を長期にわたり形成することができるトナーを提供することにある。
【解決手段】少なくとも活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂用原料、着色剤、離型剤用成分を含有したトナー組成物用原材料を含む有機溶媒相を水系媒体中で分散して粒子化するとともに該結着樹脂用原料を重付加反応させ、この分散液から液相を除去して得られるトナーであって、離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体と水溶性重合開始剤を添加し重合させることによりビニル重合体が離型剤を被覆および/又は含浸された離型剤微粒子を該水系媒体中に含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電印刷法、静電記録法等に用いられる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真、静電記録、静電印刷等において使用される現像剤は、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている感光体等の像担持体に一旦付着され、次に転写工程において感光体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。その際、潜像保持面上に形成される静電荷像を現像するための現像剤として、キャリアとトナーから成る二成分系現像剤及び、キャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。
従来、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーとしては、スチレン系樹脂、ポリエステルなどのトナーバインダーを着色剤などと共に溶融混練し、微粉砕したものが用いられている。
【0003】
(定着性の問題点)
これらの乾式トナーは紙などに現像転写された後、熱ロールを用いて加熱溶融することで定着することが行なわれている。その際、熱ロール温度が高すぎるとトナーが過剰に溶融し熱ロールに融着する問題(ホットオフセット)が発生する。また、熱ロール温度が低すぎるとトナーが充分に溶融せず定着が不充分になる問題が発生する。省エネルギー化、複写機等の装置の小型化の観点から、よりホットオフセット発生温度が高く(耐ホットオフセット性)、かつ定着温度が低い(低温定着性)トナーが求められている。また、トナーが保管中および装置内の雰囲気温度下でブロッキングしない耐熱保存性が必要である。とりわけフルカラー複写機、フルカラープリンターにおいては、その画像の光沢性および混色性が必要なことから、トナーはより低溶融粘度であることが必要であり、シャープメルト性のポリエステル系のトナーバインダーが用いられている。このようなトナーではホットオフセットの発生が起こりやすいことから、従来からフルカラー用の機器では、熱ロールにシリコーンオイルなどを塗布することが行なわれている。しかしながら、熱ロールにシリコーンオイルを塗布する方法は、オイルタンク、オイル塗布装置が必要であり装置が複雑、大型となる。また、熱ロールの劣化をも引き起こし、一定期間毎のメンテナンスを必要とする。さらに、コピー用紙、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)用フィルム等にオイルが付着することが不可避であり、とりわけOHPにおいては付着オイルによる色調の悪化の問題がある。
【0004】
そこで、熱ロールにオイル塗布することなくトナーの融着を防ぐために、トナーにワックスを添加する方法が一般的に用いられているが、その離型効果にはワックスのバインダー中での分散状態が大きく影響している。ワックスはバインダー中に相溶してしまうと離型性を発現できず、非相溶なドメイン粒子として存在することにより初めて離型性を向上させることができる。ドメイン粒子の分散径が大きすぎると、トナー粒子表面近傍に存在するワックスの割合が相対的に増加するため、凝集性を示して流動性が悪化したり、長期の使用においてワックスがキャリアや感光体に移行してフィルミングを生じたりして良好な画質を得るのを妨げるという問題が生じる。
【0005】
また、カラートナーにおいては色再現性や透明性を損なうという問題もある。逆に、分散径が小さすぎると、ワックスが過度に微分散されて充分な離型性が得られない。このようにワックスの分散径のコントロールは必要不可欠であるにもかかわらず、未だ適切な方法が見つかっていない。特に粉砕法により製造されるトナーの場合、分散径を決める大きな要因は溶融混練時の練りのせん断力であるが、近年トナー用バインダーに多く用いられているポリエステル樹脂は、その粘度の低さから充分な練りのせん断力が加わらず、ワックスの分散を制御するのが非常に困難で、適度な分散径を得るのが難しかった。また、粉砕法におけるもう一つの問題として、ワックスが破断面になりやすいために、表面に露出するワックスが多くなってしまうということがある。
【0006】
これらの問題を解決するために、トナー外層に低融点ワックス、ポリオレフィン等の離型剤を用いた離型剤層を設けたトナー及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献1〜4参照)。しかし、これに用いる離型剤微粒子を得ることは困難であり、このトナーは表面が低分子量の離型剤で被われてしまうため、トナーの流動性が著しく悪化し、現像部でのトナー供給が円滑に行なえなかったり、潜像担持体上から被複写材上へのトナーの転写が円滑に行なえないという問題がある。
【0007】
また、水系の離型剤ワックスエマルジョンにトナーを混合し離型剤微粒子を固着させたトナーが開示されており(例えば、特許文献5参照)、この方法ではワックス微粒子は容易に得られるものの、このトナーも前記の如く流動性、転写性に問題があるばかりでなく、現像剤中に離型剤の脱離が起り離型性が失われ、その上脱離した離型剤微粒子がキャリア、感光体を汚染するという問題があった。また、これら離型剤を表面に固着させたトナーは、充分な流動性、転写性を得るためには無機微粉体などの流動化剤を多量に必要とし、その流動化剤が感光体等に付着することによるスジ状の画像抜け等の悪影響を及ぼすという問題があった。
【0008】
これらの問題を解決するために、離型剤を含有する樹脂微粒子を作りこれをトナー表面に固着させたトナーが開示されているが(例えば、特許文献6、7参照)、離型剤が樹脂で被覆されているのでトナーの流動性、転写性は改良されるものの、離型剤を含有する樹脂微粒子を得る工程が極めて繁雑であるばかりでなく、微細な粒径の粒子を得ることが困難であり、且つ離型剤に対し多量の樹脂で被覆されているため、充分な離型性が得られないという問題があった。
【0009】
また、樹脂微粒子と離型剤微粒子の混合物を機械的衝撃力によりトナー表面に固着する方法が開示されているが(例えば、特許文献8参照)、この方法では機械的衝撃力により離型剤微粒子がトナー表面に圧延され、トナーの流動性、転写性は充分に改良されないという問題があった。また、樹脂微粒子と離型剤微粒子をトナー表面に付着させ、樹脂微粒子を溶解する溶剤で処理して離型剤を含む被覆層を形成する方法が開示されているが(例えば、特許文献9、10参照)、この方法は処理の工程が繁雑であり、且つ離型剤が樹脂により被覆され、トナーの流動性、転写性は改良されるものの、充分な離型性は得られないという問題があった。
【0010】
また、離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体と水溶性重合開始剤を添加し重合して得られたビニル重合体で被覆及び/又は含浸された離型剤微粒子を着色樹脂粒子に固着させたトナーの製造方法が開示されているが(例えば、特許文献11、12参照)、この方法では離型剤微粒子の存在状態が制御できず、トナーの耐久性、流動性と定着特性の両立が充分でないという問題があった。
【0011】
【特許文献1】
特開昭63−11955号公報(請求項1、第2頁右上欄第11行目〜左下欄第5行目)
【特許文献2】
特開昭63−30861号公報(請求項1、第2頁右上欄第9行目〜第14行目)
【特許文献3】
特開昭63−61265号公報(請求項1)
【特許文献4】
特開昭63−244053号公報(請求項1、第3頁右下欄第12行目〜第4頁左上欄第3行目)
【特許文献5】
特開昭63−300245号公報(請求項1、第2頁右上欄第18行目〜左下欄第19行目)
【特許文献6】
特開平1−185665号公報(請求項1、第3頁右上欄第1行目〜第7行目)
【特許文献7】
特開平1−257853号公報(請求項1、第2頁左上欄第19行目〜右上欄第13行目)
【特許文献8】
特開平2−264266号公報(請求項1、第3頁左上欄第15行目〜右上欄第7行目)
【特許文献9】
特開平4−182661号公報(請求項1〜3、第2頁13行目〜左下欄第7行目)
【特許文献10】
特開平4−182666号公報(請求項1、第2頁第9行目〜第15行目)
【特許文献11】
特開平6−242633号公報
【特許文献12】
特開平8−160660号公報(請求項1、請求項2、第3頁右欄第27行目〜第4頁左欄第1行目)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものである。
本発明の第1の目的は、従来の問題点を解決し、流動性にすぐれ高濃度で鮮明な画像が得られ、耐オフセット性、離型性、転写性、定着性、耐久性にすぐれた静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明の第2の目的は、帯電量分布がシャープで、鮮鋭性の良好な可視画像を長期にわたり形成することができるトナーを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、有機溶媒中に、少なくとも活性水素と反応可能な変性されたポリエステル系樹脂を含む結着樹脂、着色剤、離型剤を含有したトナー組成物を溶解あるいは分散させ、水系媒体中で粒子化するとともに重付加反応させ、この分散液の溶媒を除去、洗浄、乾燥して得られるトナーにおいて、耐オフセット性、離型性、転写性、定着性、耐久性を得るためには、該水系媒体中に離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体と水溶性重合開始剤を添加し重合させることによりビニル重合体が被覆および/又は含浸された離型剤微粒子を含むことが重要であることを見い出し、又、該水系媒体中に離型剤を溶解、又は分散させたビニル単量体を水系に乳化後、水溶性重合開始剤を添加することにより重合させて得られた離型剤含有ビニル重合体粒子を含むことが重要であることを見出した。
【0014】
具体的には、従来の離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体と水溶性重合開始剤を添加し重合して得られたビニル重合体で被覆及び/又は含浸された離型剤微粒子を着色樹脂粒子に固着させたトナーと異なり、本発明は、トナーの製造において、トナー組成物の乳化時にトナー粒径制御等のための離型剤微粒子を存在させることを特徴とするものであり、これにより離型剤微粒子を均一に、且つ強固に付着させることができ、洗浄工程で除去されず、最終製品のトナー表面に残存させることができる。また、定着特性と該離型剤微粒子の存在状態(残存状態)は密接な関係があることを見い出し、良好な関係はトナーのBET比表面積で規定されることを見い出したものである。そして本発明で特定する離型剤微粒子の重量平均粒径は用いる材料処方により、またトナーのBET比表面積は、上記製法及び用いる材料処方により、達成することができる。
【0015】
すなわち、上記課題は、本発明の(1)「少なくとも活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂用原料、着色剤、離型剤用成分を含有したトナー組成物用原材料を含む有機溶媒相を水系媒体中で分散して粒子化するとともに該結着樹脂用原料を重付加反応させ、この分散液から液相を除去して得られるトナーであって、離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体と水溶性重合開始剤を添加し重合させることによりビニル重合体が離型剤を被覆および/又は含浸された離型剤微粒子を該水系媒体中に含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー」、(2)「前記離型剤微粒子の粒径が50nm〜400nmであることを特徴とする前記第(1)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(3)「前記離型剤微粒子の体積平均粒径の変動係数が10〜40%であることを特徴とする前記第(1)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(4)「前記離型微粒子のビニル重合体のガラス転移温度が40〜150℃であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載の静電荷像現像用トナー」、(5)「前記離型剤微粒子の離型剤とビニル重合体の比が1:0.5〜1:10であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載の静電荷像現像用トナー」、(6)「少なくとも活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂用原料、着色剤、離型剤用成分を含有したトナー組成物用原材料を含む有機溶媒相を水系媒体中で分散して粒子化するとともに該結着樹脂用原料を重付加反応させ、この分散液から液相を除去して得られるトナーであって、離型剤を溶解、又は分散させたビニル単量体を水系に乳化後、水溶性重合開始剤を添加することにより重合されて得られた離型剤含有ビニル重合体粒子を該水系媒体中に含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー」、(7)「前記離型剤微粒子の体積平均粒径が50nm〜400nmであることを特徴とする前記第(6)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(8)「前記離型剤微粒子の体積平均粒径の変動係数が10〜40%であることを特徴とする前記第(6)項又は第(7)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(9)「前記離型剤微粒子のビニル重合体のガラス転移温度が40〜150℃であることを特徴とする前記第(6)項又は第(7)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(10)「前記離型剤微粒子の離型剤とビニル重合体の比が1:0.5〜1:10であることを特徴とする前記第(5)項又は第(6)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(11)「前記トナーのBET比表面積が1.0〜4.0m2/gであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項の何れかに記載の静電荷像現像用トナー」、(12)「前記トナー粒子の重量平均粒径が3〜8μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(11)項の何れかに記載の静電荷像現像用トナー」、(13)「前記トナー粒子の重量平均粒径/個数平均粒径が1.25以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(12)項の何れかに記載の静電荷像現像用トナー」、(14)「前記トナー粒子の平均円形度が0.990〜0.960であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(13)項の何れかに記載の静電荷像現像用トナー」によって解決される。
【0016】
以下、本発明を詳述する。
(樹脂微粒子の重合)
ビニル重合体が被覆および/又は含浸された離型剤微粒子は、離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体を添加し、水溶性重合開始剤で重合することにより容易に製造することができる。離型剤エマルジョンを用いることにより安定して重合性ビニル単量体の重合が可能であり、着色樹脂粒子に均一に付着させることができる微小粒径の粒子が得られる。また離型剤エマルジョン粒子をビニル重合体で被覆することにより離型剤微粒子中に含まれる乳化剤による悪影響も除去できるものである。
【0017】
また、ビニル重合体が被覆及び/又は含浸された離型剤微粒子は、離型剤を重合性ビニル単量体に必要により加熱し溶解し、更に必要により油溶性開始剤を溶解し、界面活性剤を用い水相に乳化し、更に必要により水溶性重合開始剤を添加し、不活性ガス雰囲気で加熱することにより容易に製造することができる。
【0018】
ここでいう離型剤とは熱ローラー定着を行なう際に溶融し熱ローラーと被定着材上のトナーの付着を防止する効果を有する物質であれば何でもよく、即ち前記のオフセット現象を防止する効果を有する全ての物質を意味する。これら物質の具体例としてはポリプロピレン、ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、酸化ポリエチレン等の数平均分子量が1000〜20000の低分子量ポリオレフィン、キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ろう、ホホバ等の植物系天然ワックス、モンタン、セレシン、オゾケライト等の鉱物系天然ワックス、パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトリラクタム等の石油系ワックス、及びその変性ワックス。パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の固体高級脂肪酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛等の高級脂肪酸アルカリ金属塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、ステアリン酸オクタデシル、グリセリンモノステアレート等の高級脂肪酸エステル、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスオレフィン酸アミド、N,N−エチレンビスステアリン酸アミド等のアミド類、ジヘプタデシルケトン、ジウンデシルケトン等のケトン類が挙げられる。
【0019】
これら離型剤は10重量%〜30重量%のノニオン系、アニオン系、カチオン系の一種又は二種と溶融混合し強制的に攪拌しながら離型剤の融点以上の温度の熱水を除々に添加することにより離型剤エマルジョンを得ることができる。また多価アルコールを水に添加し、水−多価アルコール−界面活性剤の三成分系とし、これに離型剤を添加し離型剤の溶融温度に加熱し強制攪拌し、これに水を添加してエマルジョンを製造しても良い。また転相温度が離型剤の融点以上の非イオン界面活性剤を用い、この転相温度付近で離型剤を水中で強制的に攪拌乳化後冷却して製造してもよい。強制的に攪拌する装置としてはホモミキサー、ディスパーミキサー、ホモジナイザー等が用いられる。
【0020】
次に、常法により作成された離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体の一種又は二種以上を添加し水溶性重合開始剤により重合する。このとき用いるビニル系単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、パラクロロスチレン等のスチレン類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート等のビニルエステル類、ビニルクロライド、ビニリデンクロライド等のハロゲン化ビニル類、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のビニルニトリル類、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、又はこれら単量体の2種以上の組み合わせ、特にトリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等の単量体はその低表面エネルギー性の点から好ましく用いられる。
【0021】
これら単量体は離型剤に対し0.5重量%〜15重量%、好ましくは1重量%〜10重量%添加して重合する。0.5重量%未満では離型剤粒子を被覆する量が少なく、流動性・転写性を改良する効果が少なく、15重量%より多いと定着時に離型剤の溶出が阻害され離型効果が低下する。またこれら単量体または単量体混合物は生成する重合体のTgが40℃〜150℃、好ましくは、40〜120℃、更に好ましくは40〜100℃の範囲になるよう選択される。Tgが40℃未満だと耐熱性が低下し保存中トナーのブロッキングが生じ、Tgが150℃より高いと定着時に被覆した樹脂溶融が困難で離型性が低下する。
【0022】
これらビニル単量体の重合に用いられる重合開始剤は通常使用される水溶性重合開始剤を用いるが、離型剤エマルジョンに用いられる乳化剤がノニオンおよび/又はアニオンの場合には過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の酸性の重合開始剤が好ましく、乳化剤がカチオンの場合は2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩等の塩基性の重合開始剤が好ましい。これら重合開始剤はビニル単量体に対し0.5重量%〜20重量%用いられる。
【0023】
重合は、昇温、窒素置換後離型剤エマルジョンにビニル単量体、重合開始剤を添加して行なわれるが、ビニル単量体を添加してから重合開始剤を添加して重合を開始するまでの時間により、流動性・転写性と離型性に及ぼす効果が異なってくる。即ちビニル単量体を添加して直ちに重合を開始すると流動性・転写性を改良する効果が大きく、またビニル単量体を添加してから重合開始までの時間が長いと流動性・転写性を改良する効果が減少する。しかし離型性については両者で大きな差はない。これはビニル単量体の添加から重合開始までの時間が短いとビニル重合体が離型剤微粒子を被覆する割合が多くなり、また長いとビニル重合体が離型剤内部に含浸される割合が増加するためと考えられる。このため、ビニル単量体を添加してから直ちに重合を開始するような重合条件操作を設定することが好ましい。
【0024】
(離型剤微粒子の残存状態)
本発明のトナーにおける離型剤微粒子は、トナーの製造工程で添加されるが、該離型剤微粒子の粒径が50〜400nmであり、該トナーのBET比表面積が1.0〜4.0m2/gにすることが重要である。該樹脂微粒子の平均粒径が50nm未満、及び/又はトナーのBET比表面積が1.0m2/g未満では、トナー表面上に残存する離型剤微粒子が皮膜化またはトナー表面全体を密に覆う状態となり、離型剤微粒子がトナー内部のバインダー樹脂成分と定着紙との接着性を阻害し、定着下限温度の上昇が見られる。また、離型剤微粒子の粒径が400nmより大きい、及び/又はBET比表面積4.0m2/gを超えると、トナー表面上に残存する離型剤微粒子が凸部として大きく突出したり、粗状態の多重層として樹脂微粒子が残存し、現像部撹拌時のストレスにより、離型剤微粒子の脱離が見られる。
離型剤微粒子の粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所社製)により体積平均粒径として計測できる。また、トナーの比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することができる。
【0025】
(円形度および円形度分布)
該トナーの平均円形度は0.990〜0.960であり、特定の形状と形状の分布を有すことが重要であり、平均円形度が0.960未満で、球形からあまりに離れた不定形の形状、すなわち本発明で言う円形度が0.940未満の粒子が30%以上含まれるトナーでは、最近の要求度の高い高画質画像が得られない。不定形の粒子は感光体等への平滑性媒体への接触点が多く、また突起先端部に電荷が集中することからファンデルワールス力や鏡像力が比較的球形な粒子よりも付着力が高い。そのため静電的な転写工程においては、不定形粒子と球形の粒子の混在したトナーでは球形の粒子が選択的に移動し、文字部やライン部画像抜けが起こった。この値はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度として計測できる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
【0026】
(重量平均粒径/個数平均粒径の比)
該トナーの重量平均粒径が 3〜8μmであり、個数平均粒径との比が1.25以下、好ましくは1.00〜1.20である静電荷像現像用トナーにより、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、更に二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行なわれても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。また、一成分現像剤として用いた場合においても、トナーの収支が行なわれても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られた。
【0027】
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得るために有利であると言われているが、逆に転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、本発明の範囲よりも重量平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させたり、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。
また、これらの現象は微粉の含有率が本発明の範囲より多いトナーにおいても同様である。
逆に、トナーの粒子径が本発明の範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行なわれた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、重量平均粒子径/個数平均粒子径が1.25よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。
【0028】
(有機溶媒)
本発明において、有機溶媒としてトナー組成物を溶解、及び/又は分散可能な溶媒であれば特に限定するものではない。好ましいものとしては、該溶剤の沸点が150℃未満の揮発性であることが、除去が容易である点から好ましい。
該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフランなどを単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。トナー組成物100部に対する溶剤の使用量は、通常40〜300部、好ましくは60〜140部、さらに好ましくは80〜120部である。
【0029】
(変性ポリエステル系樹脂)
本発明において、活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂としてイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを用いることができる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させたものなどが挙げられる。
上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0030】
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)および3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。
【0031】
ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0032】
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)および3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、および(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0033】
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0034】
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、架橋及び/又は伸長後の変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0035】
(活性水素基を有する化合物)
本発明において、活性水素基を有する化合物として、アミン類を用いることができる。アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0036】
さらに、必要により活性水素基を有する化合物と変性ポリエステルの架橋及び/又は伸長反応は停止剤を用いて反応終了後の変性ポリエステルの分子量を調整することができる。停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2より大きかったり1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0037】
(未変性ポリエステル)
本発明においては、前記変性されたポリエステル(A)単独使用だけでなく、この(A)と共に、変性されていないポリエステル(C)をトナーバインダー成分として含有させることが重要である。(C)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上する。(C)としては、前記(A)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(C)と同様である。また、(C)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(A)と(C)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。したがって、(A)のポリエステル成分と(C)は類似の組成が好ましい。(A)を含有させる場合の(A)と(C)の重量比は、通常5/95〜75/25、好ましくは10/90〜25/75、さらに好ましくは12/88〜25/75、特に好ましくは12/88〜22/78である。(A)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0038】
(C)のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、30000を超えると低温定着性が悪化する。(C)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(C)の酸価は通常0.5〜40、好ましくは5〜35である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。また、酸価及び水酸基価がそれぞれこの範囲を越えるものは高温高湿度下、低温低湿度下の環境下において、環境の影響を受けやすく、画像の劣化を招きやすい。
【0039】
本発明において、トナーのガラス転移点(Tg)は通常40〜70℃、好ましくは45〜55℃である。40℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不充分となる。架橋及び/又は伸長されたポリエステル樹脂の共存により、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても良好な保存性を示す。トナーの貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10000dyne/cm2となる温度(TG’)が、通常100℃以上、好ましくは110〜200℃である。100℃未満では耐ホットオフセット性が悪化する。トナーの粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180℃以下、好ましくは90〜160℃である。180℃を超えると低温定着性が悪化する。すなわち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましい。さらに好ましくは10℃以上であり、特に好ましくは20℃以上である。差の上限は特に限定されない。
また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0〜100℃が好ましい。さらに好ましくは10〜90℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
【0040】
(着色剤)
本発明の着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0041】
本発明で用いる着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。 マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先に挙げたポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0042】
本マスターバッチはマスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得ることができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
【0043】
(離型剤)
本発明においてトナーに使用される離型剤としては公知のものが全て使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス、エステルワックス、及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することができる。
カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であり、トナーバインダー中に分散したときの粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。
モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であることが好ましい。
酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は10〜30が好ましい。
その他の離型剤としては、固形シリコーンワニス、高級脂肪酸高級アルコール、モンタン系エステルワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等、従来公知のいかなる離型剤をも混合して使用できる。これらの離型剤の使用量は、トナー樹脂成分に対し、1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部である。
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤、流動性改良剤などを配合することも可能である。
【0044】
(帯電制御剤)
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0045】
本発明において荷電制御剤の使用量は、特に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、もちろん有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
【0046】
(外添剤)
本発明で得られた着色粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2000nmであることが好ましく、特に5nm〜500nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0047】
この他、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような外添剤は表面処理を行なって、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0048】
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることができる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
【0049】
(水系媒体中でのトナー製造法)
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノールなど)、テトラヒドロフラン、低級ケトン類(アセトンなど)、エステル系溶剤(酢酸エチルなど)などが挙げられる。
トナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、荷電制御剤、結着樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させるときに混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
【0050】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜300分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
トナー組成物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。また、該離型剤微粒子の他に、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0051】
トナー組成物が分散された油相を水系媒体中に乳化、分散するための分散剤として、離型剤微粒子と共にアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0052】
またフルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を上げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガーフルオロアルキル(C6〜C11)オキシ〕−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガーフルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる,
【0053】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(タイキン工莱社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F−150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0054】
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0055】
また水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることができる。
また高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ピニル、プロピオン酸ピニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0056】
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能なものを用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0057】
さらに、トナー組成物を含む油相の粘度を低くするために、トナー組成物が可溶、または分散可能な溶剤を使用することもできる。溶剤を用いた場合、粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることが、除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフランなどを単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。特に、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトンが好ましい。
【0058】
得られた乳化分散体から未反応の重合性単量体、及び有機溶媒を除去するためには、常圧下、または減圧下にて系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法が好ましいが、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で充分目的とする品質が得られる。
【0059】
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
【0060】
(二成分用キャリア)
本発明のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。
【0061】
また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない1成分系の磁性トナーあるいは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【0062】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
〜離型剤エマルジョンの製造例〜
カルナウバワックス(融点78〜84℃)10部とポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル2部をビーカーに入れ、85℃で加熱攪拌し溶融混合した。これに90℃に加温したイオン交換水28部を激しく攪拌しながら添加した。これを85℃に保ちホモミキサーで60分攪拌しエマルジョンを得た。冷却後、イオン交換水を加え、固形分濃度20%に調整した。このエマルジョンをレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所社製)で測定したところ、体積平均粒径105nmであった。
【0063】
〜離型剤微粒子エマルジョンの重合〜
<製造例P1>
上記エマルジョン140部を攪拌装置、冷却管、窒素導入管を付けた4ッ口フラスコに秤り取り、液温を60℃とし窒素置換後スチレン15部、メタクリル酸10部、アクリル酸ブチル10部とイオン交換水2部に溶解した過硫酸カリウム1.25部を続けて添加した。同温度で8時間加熱攪拌し重合を完了した。このエマルジョンの粒径は体積平均粒径145nmであった。このエマルジョンの一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは87℃であった。
【0064】
<製造例P2〜3>
以下の表1に示す、ビニル単量体、添加量により、離型剤微粒子エマルジョンの製造例と同様にして離型剤微粒子エマルジョンを製造した。
【0065】
【表1】
【0066】
〜離型剤含有ビニル単量体エマルションの製造例〜
<製造例E1>
カルナウバワックス10部とスチレン15部、メタクリル酸10部、アクリル酸ブチル10部をビーカーに入れ、80℃に加熱し、カルナウバワックスをスチレンに溶解した。この温度を保ち、これにポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル5部を加え混合した。これに85℃に加温したイオン交換水90部を激しく撹拌しながら除々に添加した。これを85℃に保ちホモミキサーで30分撹拌した後、急冷しエマルションを得た。このエマルジョンのレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所社製)で測定したところ、体積平均粒径125nmであった。
【0067】
<製造例E2>
製造例E1のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル2部の代わりに、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル1部とNa・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェート1部を用いた他は、製造例E1と同じ方法でエマルションを得た。
【0068】
<製造例E3〜E5>
製造例E1と同じ方法で表2に記載のエマルションを作製した。ただし、表2中の%はエマルション中のそれぞれの成分の重量%を表わす。また、離型剤とビニル単量体の合計の重量%を一定にした。
【0069】
【表2】
【0070】
〜離型剤含有ビニル単量体エマルションの重合〜
<製造例P4>
製造例E1で得られたエマルション100部を撹拌装置、冷却管、チッ素導入管を備えたフラスコに採取し、チッ素置換を行ない昇温し、液温を60℃に保った。これに水12部に溶解した過硫酸カリウム0.16部を添加した後、チッ素気流下65℃で12時間加熱し、カルナウバワックス含有のポリスチレンエマルションを得た。このエマルションの体積平均粒径は130nmであった。
また、このエマルションを室温で風乾し、更に80℃で8時間減圧乾燥し、重合前後の固型分量の増加からスチレンの重合率を求めた所78%であった。
【0071】
<製造例P5〜P8>
製造例P4のエマルションE1の代わりに、製造例E2〜E5のエマルションを用い、且つ過硫酸カリウムをビニル単量体重量の1%を用いた他は、製造例P1と同じ方法で重合エマルションを得た。得られたエマルション粒子の粒径を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
◎トナーの製造
<製造例T1>
〜水相の調整〜
水990部、[離型剤樹脂微粒子エマルジョンP1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
【0074】
〜低分子ポリエステルの合成〜
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量2500、重量平均分子量6700,Tg43℃、酸価25であった。
【0075】
〜中間体ポリエステルの合成〜
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価51であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
【0076】
〜ケチミンの合成〜
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行ない、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
【0077】
〜MBの合成〜
水1200部、カーボンブラック(Printex35 デクサ製)540部[DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5]、ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ1]を得た。
【0078】
〜油相の作成〜
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部、[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラックの分散を行なった。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料分散液1]を得た。[顔料分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
【0079】
〜乳化⇒脱溶剤〜
(実施例1)
[顔料分散液1]749部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行ない、[分散スラリー1]を得た。[分散スラリー1]は、重量平均粒径4.99μm、個数平均粒径4.55μm(マルチサイザーIIで測定)であった。
【0080】
〜洗浄⇒乾燥〜
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
▲1▼:濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
▲2▼:▲1▼の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
▲3▼:▲2▼の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
▲4▼:▲3▼の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行ない濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い[トナー1]を得た。
【0081】
(実施例2〜8)
実施例1の離型剤微粒子エマルジョンをP2〜P8に変え、且つワックス分が5部になるように離型剤微粒子エマルジョンの量を変えた他は、実施例1と同様に実施し、トナー2〜8を得た。
【0082】
(比較例1)
〜離型剤微粒子エマルジョンの重合〜
<製造例P9>
上記エマルジョン140部を攪拌装置、冷却管、窒素導入管を付けた4ッ口フラスコに秤り取り、液温を60℃とし窒素置換後スチレン20部、メタクリル酸15部とイオン交換水2部に溶解した過硫酸カリウム1.25部を続けて添加した。同温度で8時間加熱攪拌し重合を完了した。このエマルジョンの粒径は体積平均粒径145nmであった。このエマルジョンの一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは162℃であった。
<製造例T2>
実施例1の離型剤微粒子エマルジョンをP9に変え、且つワックス分が5部になるように離型剤微粒子エマルジョンの量を変えた他は、実施例1と同様に実施した。
【0083】
(比較例2)
<着色樹脂粒子の製造例>
下記のように分散重合法で芯粒子を製造した。撹拌翼、冷却器を取り付けた500ccの三つ口フラスコに、メタノール320gを入れ、スチレン/無水マレイン酸共重合体(平均分子量4万)6.4gを少量ずつ撹拌しながら添加し、完全に溶解させた。更に、スチレン25.6g、n−ブチルメタクリレート6.4g、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.2gを添加し、完全に溶解させた。撹拌しながらフラスコ内を乾燥アルゴンガスでパージし、1時間放置した。60℃±0.1℃の恒温水槽中で200rpmの撹拌速度で撹拌しながら重合を開始した。加熱後15分すると液は白濁し始め、20時間重合後も白濁した安定な分散液であった。重合率は98%に達していることをエチルベンゼンを内部標準としてガスクロマトグラフィーにより確認した。
【0084】
得られた分散液を冷却し、遠心分離機にて2000rpmで遠心分離すると重合体粒子は完全に沈降し、上部の液は透明であった。上澄液を除き新たにメタノール200gを加え、1時間撹拌洗浄した。遠心分離したメタノールで洗浄する操作を繰り返し、最後に水で洗浄し、1μmのミクロフィルターにて濾過を行なった。濾液は透明であり、1μm以下の粒子は全くないことが確認された。濾別したものは1昼夜風乾し、24時間、50℃にて減圧乾燥し、95%の収率で白色粉末のスチレン/n−ブチルメタクリレート共重合体粒子を得た。得られた粒子の体積平均粒径は7.0μmであり、5.25〜8.75μmの粒径を持つ重合粒子(A)の重量分率は98%であった。また、該樹脂のTgは65℃であった。メタノール200cc中にオイルブラック803[オリエント化学(株)製]1gを溶解した後、濾過し、該濾液に重合粒子(A)を24g加えて分散させ、50℃で1時間加熱撹拌した。
その後分散液を室温まで冷却し、濾別した後、乾燥し、着色樹脂粒子を得た。
【0085】
<製造例T3>
前記着色樹脂粒子30部を50%メタノール水溶液70部に添加し分散した。これに製造例P1で得られた重合エマルション7.5部(ワックス分0.6部)を加え撹拌し、これに0.4%ステアリンアミンアセテート水溶液10部を加え撹拌した。ワックス付着粒子を光学顕微鏡で観察したところ、ワックス微粒子が着色樹脂粒子表面に均一に付着していた。この分散液を50℃で30分加熱撹拌しワックス微粒子を固定化した。この液を吸引濾過後50%メタノール水溶液に再分散する洗浄操作を2回行なった後、吸引濾過し35℃で減圧乾燥しトナーを得た。
【0086】
(比較例3)
〜樹脂微粒子の製造方法〜
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン93部、メタクリル酸93部、アクリル酸ブチル90部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度70℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、80℃で6時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、105nmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは103℃であり、重量平均分子量は19万であった。
【0087】
◎トナーの製造方法
〜水相の調整〜
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルェーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7):三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相2]とする。
【0088】
〜油相の作成〜
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、カルナバWAX110部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液2]を得た。
[原料溶解液2]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行なった。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料分散液2]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
【0089】
<製造例T3>
実施例1の離型剤微粒子エマルジョンを樹脂微粒子1に変え、且つ顔料分散液1を顔料分散液2に変え、実施例1と同様に実施した。
得られたトナー100部に疎水性シリカ0.7部と、疎水化酸化チタン0.3部をヘンシェルミキサーにて混合した。得られたトナー物性値については表1に示した。
外添剤処理を施したトナー5重量%とシリコーン樹脂を被覆した平均粒子径が40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95重量%からなる現像剤を調製し、毎分A4サイズの用紙を45枚印刷できるリコー製imagio Neo 450を用いて、連続印刷して下記の基準で評価し、表4に示した。
【0090】
(評価項目)
(a)定着性
リコー製imagio Neo 450を用いて、普通紙及び厚紙の転写紙(リコー製 タイプ6200及びNBSリコー製複写印刷用紙<135>)にベタ画像で、1.0±0.1mg/cm2のトナーが現像される様に調整を行ない、定着ローラーの温度が可変となる様に調整を行なって、普通紙でオフセットの発生しない温度を、厚紙で定着下限温度を測定した。定着下限温度は、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ローラー温度をもって定着下限温度とした。
(b)画像濃度
ベタ画像出力後、画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定。これを各色単独に5点測定し各色ごとに平均を求めた。
(c)地肌汚れ
白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差を938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定。
(d)転写率
転写率は全面黒で現像し転写途中で機械を停止し、感光体上の未転写部及び転写部のトナーを重量既知、面積一定の粘着紙に移しとり重量を秤り、〔(未転写部のトナー重量−転写部のトナー重量)/未転写部のトナー重量〕×100を転写率とした。
(e)帯電量
現像剤6gを計量し、密閉できる金属円柱に仕込みブローして帯電量を求める。トナー濃度は4.5〜5.5wt%に調整する。
【0091】
【表4】
【0092】
結果の説明
(1)比較例1のトナーは、画像濃度、地汚れ、及び転写率は良好だが、離型剤を含有する樹脂微粒子を構成する樹脂のTgが高いため、離型剤の溶出が阻害され、離型幅が狭くなる。また、比較例2のトナーは、離型剤微粒子の付着力が弱いため、現像剤の撹拌時に離型剤微粒子の脱離が起こり、現像特性の悪化、すなわち画像濃度の低下、地汚れ、転写率の悪化が見られた。比較例3のトナーは、現像特性は良好だが、離型剤の溶出が不充分なため、定着特性、特に上限温度の低下が起こった。
(2)実施例のトナーは、現像特性、及び定着特性が良好であり、現像時に離型剤微粒子の脱離も見られず、耐久性も充分であった。
【0093】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明により明らかなように、本発明によれば、従来技術に比較して、離型性、転写性、耐久性に優れた静電荷像現像用トナーが提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電印刷法、静電記録法等に用いられる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真、静電記録、静電印刷等において使用される現像剤は、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている感光体等の像担持体に一旦付着され、次に転写工程において感光体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。その際、潜像保持面上に形成される静電荷像を現像するための現像剤として、キャリアとトナーから成る二成分系現像剤及び、キャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。
従来、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーとしては、スチレン系樹脂、ポリエステルなどのトナーバインダーを着色剤などと共に溶融混練し、微粉砕したものが用いられている。
【0003】
(定着性の問題点)
これらの乾式トナーは紙などに現像転写された後、熱ロールを用いて加熱溶融することで定着することが行なわれている。その際、熱ロール温度が高すぎるとトナーが過剰に溶融し熱ロールに融着する問題(ホットオフセット)が発生する。また、熱ロール温度が低すぎるとトナーが充分に溶融せず定着が不充分になる問題が発生する。省エネルギー化、複写機等の装置の小型化の観点から、よりホットオフセット発生温度が高く(耐ホットオフセット性)、かつ定着温度が低い(低温定着性)トナーが求められている。また、トナーが保管中および装置内の雰囲気温度下でブロッキングしない耐熱保存性が必要である。とりわけフルカラー複写機、フルカラープリンターにおいては、その画像の光沢性および混色性が必要なことから、トナーはより低溶融粘度であることが必要であり、シャープメルト性のポリエステル系のトナーバインダーが用いられている。このようなトナーではホットオフセットの発生が起こりやすいことから、従来からフルカラー用の機器では、熱ロールにシリコーンオイルなどを塗布することが行なわれている。しかしながら、熱ロールにシリコーンオイルを塗布する方法は、オイルタンク、オイル塗布装置が必要であり装置が複雑、大型となる。また、熱ロールの劣化をも引き起こし、一定期間毎のメンテナンスを必要とする。さらに、コピー用紙、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)用フィルム等にオイルが付着することが不可避であり、とりわけOHPにおいては付着オイルによる色調の悪化の問題がある。
【0004】
そこで、熱ロールにオイル塗布することなくトナーの融着を防ぐために、トナーにワックスを添加する方法が一般的に用いられているが、その離型効果にはワックスのバインダー中での分散状態が大きく影響している。ワックスはバインダー中に相溶してしまうと離型性を発現できず、非相溶なドメイン粒子として存在することにより初めて離型性を向上させることができる。ドメイン粒子の分散径が大きすぎると、トナー粒子表面近傍に存在するワックスの割合が相対的に増加するため、凝集性を示して流動性が悪化したり、長期の使用においてワックスがキャリアや感光体に移行してフィルミングを生じたりして良好な画質を得るのを妨げるという問題が生じる。
【0005】
また、カラートナーにおいては色再現性や透明性を損なうという問題もある。逆に、分散径が小さすぎると、ワックスが過度に微分散されて充分な離型性が得られない。このようにワックスの分散径のコントロールは必要不可欠であるにもかかわらず、未だ適切な方法が見つかっていない。特に粉砕法により製造されるトナーの場合、分散径を決める大きな要因は溶融混練時の練りのせん断力であるが、近年トナー用バインダーに多く用いられているポリエステル樹脂は、その粘度の低さから充分な練りのせん断力が加わらず、ワックスの分散を制御するのが非常に困難で、適度な分散径を得るのが難しかった。また、粉砕法におけるもう一つの問題として、ワックスが破断面になりやすいために、表面に露出するワックスが多くなってしまうということがある。
【0006】
これらの問題を解決するために、トナー外層に低融点ワックス、ポリオレフィン等の離型剤を用いた離型剤層を設けたトナー及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献1〜4参照)。しかし、これに用いる離型剤微粒子を得ることは困難であり、このトナーは表面が低分子量の離型剤で被われてしまうため、トナーの流動性が著しく悪化し、現像部でのトナー供給が円滑に行なえなかったり、潜像担持体上から被複写材上へのトナーの転写が円滑に行なえないという問題がある。
【0007】
また、水系の離型剤ワックスエマルジョンにトナーを混合し離型剤微粒子を固着させたトナーが開示されており(例えば、特許文献5参照)、この方法ではワックス微粒子は容易に得られるものの、このトナーも前記の如く流動性、転写性に問題があるばかりでなく、現像剤中に離型剤の脱離が起り離型性が失われ、その上脱離した離型剤微粒子がキャリア、感光体を汚染するという問題があった。また、これら離型剤を表面に固着させたトナーは、充分な流動性、転写性を得るためには無機微粉体などの流動化剤を多量に必要とし、その流動化剤が感光体等に付着することによるスジ状の画像抜け等の悪影響を及ぼすという問題があった。
【0008】
これらの問題を解決するために、離型剤を含有する樹脂微粒子を作りこれをトナー表面に固着させたトナーが開示されているが(例えば、特許文献6、7参照)、離型剤が樹脂で被覆されているのでトナーの流動性、転写性は改良されるものの、離型剤を含有する樹脂微粒子を得る工程が極めて繁雑であるばかりでなく、微細な粒径の粒子を得ることが困難であり、且つ離型剤に対し多量の樹脂で被覆されているため、充分な離型性が得られないという問題があった。
【0009】
また、樹脂微粒子と離型剤微粒子の混合物を機械的衝撃力によりトナー表面に固着する方法が開示されているが(例えば、特許文献8参照)、この方法では機械的衝撃力により離型剤微粒子がトナー表面に圧延され、トナーの流動性、転写性は充分に改良されないという問題があった。また、樹脂微粒子と離型剤微粒子をトナー表面に付着させ、樹脂微粒子を溶解する溶剤で処理して離型剤を含む被覆層を形成する方法が開示されているが(例えば、特許文献9、10参照)、この方法は処理の工程が繁雑であり、且つ離型剤が樹脂により被覆され、トナーの流動性、転写性は改良されるものの、充分な離型性は得られないという問題があった。
【0010】
また、離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体と水溶性重合開始剤を添加し重合して得られたビニル重合体で被覆及び/又は含浸された離型剤微粒子を着色樹脂粒子に固着させたトナーの製造方法が開示されているが(例えば、特許文献11、12参照)、この方法では離型剤微粒子の存在状態が制御できず、トナーの耐久性、流動性と定着特性の両立が充分でないという問題があった。
【0011】
【特許文献1】
特開昭63−11955号公報(請求項1、第2頁右上欄第11行目〜左下欄第5行目)
【特許文献2】
特開昭63−30861号公報(請求項1、第2頁右上欄第9行目〜第14行目)
【特許文献3】
特開昭63−61265号公報(請求項1)
【特許文献4】
特開昭63−244053号公報(請求項1、第3頁右下欄第12行目〜第4頁左上欄第3行目)
【特許文献5】
特開昭63−300245号公報(請求項1、第2頁右上欄第18行目〜左下欄第19行目)
【特許文献6】
特開平1−185665号公報(請求項1、第3頁右上欄第1行目〜第7行目)
【特許文献7】
特開平1−257853号公報(請求項1、第2頁左上欄第19行目〜右上欄第13行目)
【特許文献8】
特開平2−264266号公報(請求項1、第3頁左上欄第15行目〜右上欄第7行目)
【特許文献9】
特開平4−182661号公報(請求項1〜3、第2頁13行目〜左下欄第7行目)
【特許文献10】
特開平4−182666号公報(請求項1、第2頁第9行目〜第15行目)
【特許文献11】
特開平6−242633号公報
【特許文献12】
特開平8−160660号公報(請求項1、請求項2、第3頁右欄第27行目〜第4頁左欄第1行目)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものである。
本発明の第1の目的は、従来の問題点を解決し、流動性にすぐれ高濃度で鮮明な画像が得られ、耐オフセット性、離型性、転写性、定着性、耐久性にすぐれた静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明の第2の目的は、帯電量分布がシャープで、鮮鋭性の良好な可視画像を長期にわたり形成することができるトナーを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、有機溶媒中に、少なくとも活性水素と反応可能な変性されたポリエステル系樹脂を含む結着樹脂、着色剤、離型剤を含有したトナー組成物を溶解あるいは分散させ、水系媒体中で粒子化するとともに重付加反応させ、この分散液の溶媒を除去、洗浄、乾燥して得られるトナーにおいて、耐オフセット性、離型性、転写性、定着性、耐久性を得るためには、該水系媒体中に離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体と水溶性重合開始剤を添加し重合させることによりビニル重合体が被覆および/又は含浸された離型剤微粒子を含むことが重要であることを見い出し、又、該水系媒体中に離型剤を溶解、又は分散させたビニル単量体を水系に乳化後、水溶性重合開始剤を添加することにより重合させて得られた離型剤含有ビニル重合体粒子を含むことが重要であることを見出した。
【0014】
具体的には、従来の離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体と水溶性重合開始剤を添加し重合して得られたビニル重合体で被覆及び/又は含浸された離型剤微粒子を着色樹脂粒子に固着させたトナーと異なり、本発明は、トナーの製造において、トナー組成物の乳化時にトナー粒径制御等のための離型剤微粒子を存在させることを特徴とするものであり、これにより離型剤微粒子を均一に、且つ強固に付着させることができ、洗浄工程で除去されず、最終製品のトナー表面に残存させることができる。また、定着特性と該離型剤微粒子の存在状態(残存状態)は密接な関係があることを見い出し、良好な関係はトナーのBET比表面積で規定されることを見い出したものである。そして本発明で特定する離型剤微粒子の重量平均粒径は用いる材料処方により、またトナーのBET比表面積は、上記製法及び用いる材料処方により、達成することができる。
【0015】
すなわち、上記課題は、本発明の(1)「少なくとも活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂用原料、着色剤、離型剤用成分を含有したトナー組成物用原材料を含む有機溶媒相を水系媒体中で分散して粒子化するとともに該結着樹脂用原料を重付加反応させ、この分散液から液相を除去して得られるトナーであって、離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体と水溶性重合開始剤を添加し重合させることによりビニル重合体が離型剤を被覆および/又は含浸された離型剤微粒子を該水系媒体中に含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー」、(2)「前記離型剤微粒子の粒径が50nm〜400nmであることを特徴とする前記第(1)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(3)「前記離型剤微粒子の体積平均粒径の変動係数が10〜40%であることを特徴とする前記第(1)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(4)「前記離型微粒子のビニル重合体のガラス転移温度が40〜150℃であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載の静電荷像現像用トナー」、(5)「前記離型剤微粒子の離型剤とビニル重合体の比が1:0.5〜1:10であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載の静電荷像現像用トナー」、(6)「少なくとも活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂用原料、着色剤、離型剤用成分を含有したトナー組成物用原材料を含む有機溶媒相を水系媒体中で分散して粒子化するとともに該結着樹脂用原料を重付加反応させ、この分散液から液相を除去して得られるトナーであって、離型剤を溶解、又は分散させたビニル単量体を水系に乳化後、水溶性重合開始剤を添加することにより重合されて得られた離型剤含有ビニル重合体粒子を該水系媒体中に含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー」、(7)「前記離型剤微粒子の体積平均粒径が50nm〜400nmであることを特徴とする前記第(6)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(8)「前記離型剤微粒子の体積平均粒径の変動係数が10〜40%であることを特徴とする前記第(6)項又は第(7)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(9)「前記離型剤微粒子のビニル重合体のガラス転移温度が40〜150℃であることを特徴とする前記第(6)項又は第(7)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(10)「前記離型剤微粒子の離型剤とビニル重合体の比が1:0.5〜1:10であることを特徴とする前記第(5)項又は第(6)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(11)「前記トナーのBET比表面積が1.0〜4.0m2/gであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項の何れかに記載の静電荷像現像用トナー」、(12)「前記トナー粒子の重量平均粒径が3〜8μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(11)項の何れかに記載の静電荷像現像用トナー」、(13)「前記トナー粒子の重量平均粒径/個数平均粒径が1.25以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(12)項の何れかに記載の静電荷像現像用トナー」、(14)「前記トナー粒子の平均円形度が0.990〜0.960であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(13)項の何れかに記載の静電荷像現像用トナー」によって解決される。
【0016】
以下、本発明を詳述する。
(樹脂微粒子の重合)
ビニル重合体が被覆および/又は含浸された離型剤微粒子は、離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体を添加し、水溶性重合開始剤で重合することにより容易に製造することができる。離型剤エマルジョンを用いることにより安定して重合性ビニル単量体の重合が可能であり、着色樹脂粒子に均一に付着させることができる微小粒径の粒子が得られる。また離型剤エマルジョン粒子をビニル重合体で被覆することにより離型剤微粒子中に含まれる乳化剤による悪影響も除去できるものである。
【0017】
また、ビニル重合体が被覆及び/又は含浸された離型剤微粒子は、離型剤を重合性ビニル単量体に必要により加熱し溶解し、更に必要により油溶性開始剤を溶解し、界面活性剤を用い水相に乳化し、更に必要により水溶性重合開始剤を添加し、不活性ガス雰囲気で加熱することにより容易に製造することができる。
【0018】
ここでいう離型剤とは熱ローラー定着を行なう際に溶融し熱ローラーと被定着材上のトナーの付着を防止する効果を有する物質であれば何でもよく、即ち前記のオフセット現象を防止する効果を有する全ての物質を意味する。これら物質の具体例としてはポリプロピレン、ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、酸化ポリエチレン等の数平均分子量が1000〜20000の低分子量ポリオレフィン、キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ろう、ホホバ等の植物系天然ワックス、モンタン、セレシン、オゾケライト等の鉱物系天然ワックス、パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトリラクタム等の石油系ワックス、及びその変性ワックス。パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の固体高級脂肪酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛等の高級脂肪酸アルカリ金属塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、ステアリン酸オクタデシル、グリセリンモノステアレート等の高級脂肪酸エステル、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスオレフィン酸アミド、N,N−エチレンビスステアリン酸アミド等のアミド類、ジヘプタデシルケトン、ジウンデシルケトン等のケトン類が挙げられる。
【0019】
これら離型剤は10重量%〜30重量%のノニオン系、アニオン系、カチオン系の一種又は二種と溶融混合し強制的に攪拌しながら離型剤の融点以上の温度の熱水を除々に添加することにより離型剤エマルジョンを得ることができる。また多価アルコールを水に添加し、水−多価アルコール−界面活性剤の三成分系とし、これに離型剤を添加し離型剤の溶融温度に加熱し強制攪拌し、これに水を添加してエマルジョンを製造しても良い。また転相温度が離型剤の融点以上の非イオン界面活性剤を用い、この転相温度付近で離型剤を水中で強制的に攪拌乳化後冷却して製造してもよい。強制的に攪拌する装置としてはホモミキサー、ディスパーミキサー、ホモジナイザー等が用いられる。
【0020】
次に、常法により作成された離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体の一種又は二種以上を添加し水溶性重合開始剤により重合する。このとき用いるビニル系単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、パラクロロスチレン等のスチレン類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート等のビニルエステル類、ビニルクロライド、ビニリデンクロライド等のハロゲン化ビニル類、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のビニルニトリル類、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、又はこれら単量体の2種以上の組み合わせ、特にトリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等の単量体はその低表面エネルギー性の点から好ましく用いられる。
【0021】
これら単量体は離型剤に対し0.5重量%〜15重量%、好ましくは1重量%〜10重量%添加して重合する。0.5重量%未満では離型剤粒子を被覆する量が少なく、流動性・転写性を改良する効果が少なく、15重量%より多いと定着時に離型剤の溶出が阻害され離型効果が低下する。またこれら単量体または単量体混合物は生成する重合体のTgが40℃〜150℃、好ましくは、40〜120℃、更に好ましくは40〜100℃の範囲になるよう選択される。Tgが40℃未満だと耐熱性が低下し保存中トナーのブロッキングが生じ、Tgが150℃より高いと定着時に被覆した樹脂溶融が困難で離型性が低下する。
【0022】
これらビニル単量体の重合に用いられる重合開始剤は通常使用される水溶性重合開始剤を用いるが、離型剤エマルジョンに用いられる乳化剤がノニオンおよび/又はアニオンの場合には過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の酸性の重合開始剤が好ましく、乳化剤がカチオンの場合は2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩等の塩基性の重合開始剤が好ましい。これら重合開始剤はビニル単量体に対し0.5重量%〜20重量%用いられる。
【0023】
重合は、昇温、窒素置換後離型剤エマルジョンにビニル単量体、重合開始剤を添加して行なわれるが、ビニル単量体を添加してから重合開始剤を添加して重合を開始するまでの時間により、流動性・転写性と離型性に及ぼす効果が異なってくる。即ちビニル単量体を添加して直ちに重合を開始すると流動性・転写性を改良する効果が大きく、またビニル単量体を添加してから重合開始までの時間が長いと流動性・転写性を改良する効果が減少する。しかし離型性については両者で大きな差はない。これはビニル単量体の添加から重合開始までの時間が短いとビニル重合体が離型剤微粒子を被覆する割合が多くなり、また長いとビニル重合体が離型剤内部に含浸される割合が増加するためと考えられる。このため、ビニル単量体を添加してから直ちに重合を開始するような重合条件操作を設定することが好ましい。
【0024】
(離型剤微粒子の残存状態)
本発明のトナーにおける離型剤微粒子は、トナーの製造工程で添加されるが、該離型剤微粒子の粒径が50〜400nmであり、該トナーのBET比表面積が1.0〜4.0m2/gにすることが重要である。該樹脂微粒子の平均粒径が50nm未満、及び/又はトナーのBET比表面積が1.0m2/g未満では、トナー表面上に残存する離型剤微粒子が皮膜化またはトナー表面全体を密に覆う状態となり、離型剤微粒子がトナー内部のバインダー樹脂成分と定着紙との接着性を阻害し、定着下限温度の上昇が見られる。また、離型剤微粒子の粒径が400nmより大きい、及び/又はBET比表面積4.0m2/gを超えると、トナー表面上に残存する離型剤微粒子が凸部として大きく突出したり、粗状態の多重層として樹脂微粒子が残存し、現像部撹拌時のストレスにより、離型剤微粒子の脱離が見られる。
離型剤微粒子の粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所社製)により体積平均粒径として計測できる。また、トナーの比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することができる。
【0025】
(円形度および円形度分布)
該トナーの平均円形度は0.990〜0.960であり、特定の形状と形状の分布を有すことが重要であり、平均円形度が0.960未満で、球形からあまりに離れた不定形の形状、すなわち本発明で言う円形度が0.940未満の粒子が30%以上含まれるトナーでは、最近の要求度の高い高画質画像が得られない。不定形の粒子は感光体等への平滑性媒体への接触点が多く、また突起先端部に電荷が集中することからファンデルワールス力や鏡像力が比較的球形な粒子よりも付着力が高い。そのため静電的な転写工程においては、不定形粒子と球形の粒子の混在したトナーでは球形の粒子が選択的に移動し、文字部やライン部画像抜けが起こった。この値はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度として計測できる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
【0026】
(重量平均粒径/個数平均粒径の比)
該トナーの重量平均粒径が 3〜8μmであり、個数平均粒径との比が1.25以下、好ましくは1.00〜1.20である静電荷像現像用トナーにより、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、更に二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行なわれても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。また、一成分現像剤として用いた場合においても、トナーの収支が行なわれても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られた。
【0027】
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得るために有利であると言われているが、逆に転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、本発明の範囲よりも重量平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させたり、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。
また、これらの現象は微粉の含有率が本発明の範囲より多いトナーにおいても同様である。
逆に、トナーの粒子径が本発明の範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行なわれた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、重量平均粒子径/個数平均粒子径が1.25よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。
【0028】
(有機溶媒)
本発明において、有機溶媒としてトナー組成物を溶解、及び/又は分散可能な溶媒であれば特に限定するものではない。好ましいものとしては、該溶剤の沸点が150℃未満の揮発性であることが、除去が容易である点から好ましい。
該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフランなどを単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。トナー組成物100部に対する溶剤の使用量は、通常40〜300部、好ましくは60〜140部、さらに好ましくは80〜120部である。
【0029】
(変性ポリエステル系樹脂)
本発明において、活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂としてイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを用いることができる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させたものなどが挙げられる。
上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0030】
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)および3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。
【0031】
ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0032】
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)および3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、および(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0033】
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0034】
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、架橋及び/又は伸長後の変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0035】
(活性水素基を有する化合物)
本発明において、活性水素基を有する化合物として、アミン類を用いることができる。アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0036】
さらに、必要により活性水素基を有する化合物と変性ポリエステルの架橋及び/又は伸長反応は停止剤を用いて反応終了後の変性ポリエステルの分子量を調整することができる。停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2より大きかったり1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0037】
(未変性ポリエステル)
本発明においては、前記変性されたポリエステル(A)単独使用だけでなく、この(A)と共に、変性されていないポリエステル(C)をトナーバインダー成分として含有させることが重要である。(C)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上する。(C)としては、前記(A)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(C)と同様である。また、(C)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(A)と(C)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。したがって、(A)のポリエステル成分と(C)は類似の組成が好ましい。(A)を含有させる場合の(A)と(C)の重量比は、通常5/95〜75/25、好ましくは10/90〜25/75、さらに好ましくは12/88〜25/75、特に好ましくは12/88〜22/78である。(A)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0038】
(C)のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、30000を超えると低温定着性が悪化する。(C)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(C)の酸価は通常0.5〜40、好ましくは5〜35である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。また、酸価及び水酸基価がそれぞれこの範囲を越えるものは高温高湿度下、低温低湿度下の環境下において、環境の影響を受けやすく、画像の劣化を招きやすい。
【0039】
本発明において、トナーのガラス転移点(Tg)は通常40〜70℃、好ましくは45〜55℃である。40℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不充分となる。架橋及び/又は伸長されたポリエステル樹脂の共存により、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても良好な保存性を示す。トナーの貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10000dyne/cm2となる温度(TG’)が、通常100℃以上、好ましくは110〜200℃である。100℃未満では耐ホットオフセット性が悪化する。トナーの粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180℃以下、好ましくは90〜160℃である。180℃を超えると低温定着性が悪化する。すなわち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましい。さらに好ましくは10℃以上であり、特に好ましくは20℃以上である。差の上限は特に限定されない。
また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0〜100℃が好ましい。さらに好ましくは10〜90℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
【0040】
(着色剤)
本発明の着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0041】
本発明で用いる着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。 マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先に挙げたポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0042】
本マスターバッチはマスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得ることができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
【0043】
(離型剤)
本発明においてトナーに使用される離型剤としては公知のものが全て使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス、エステルワックス、及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することができる。
カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であり、トナーバインダー中に分散したときの粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。
モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であることが好ましい。
酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は10〜30が好ましい。
その他の離型剤としては、固形シリコーンワニス、高級脂肪酸高級アルコール、モンタン系エステルワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等、従来公知のいかなる離型剤をも混合して使用できる。これらの離型剤の使用量は、トナー樹脂成分に対し、1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部である。
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤、流動性改良剤などを配合することも可能である。
【0044】
(帯電制御剤)
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0045】
本発明において荷電制御剤の使用量は、特に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、もちろん有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
【0046】
(外添剤)
本発明で得られた着色粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2000nmであることが好ましく、特に5nm〜500nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0047】
この他、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような外添剤は表面処理を行なって、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0048】
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることができる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
【0049】
(水系媒体中でのトナー製造法)
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノールなど)、テトラヒドロフラン、低級ケトン類(アセトンなど)、エステル系溶剤(酢酸エチルなど)などが挙げられる。
トナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、荷電制御剤、結着樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させるときに混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
【0050】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜300分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
トナー組成物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。また、該離型剤微粒子の他に、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0051】
トナー組成物が分散された油相を水系媒体中に乳化、分散するための分散剤として、離型剤微粒子と共にアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0052】
またフルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を上げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガーフルオロアルキル(C6〜C11)オキシ〕−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガーフルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる,
【0053】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(タイキン工莱社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F−150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0054】
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0055】
また水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることができる。
また高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ピニル、プロピオン酸ピニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0056】
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能なものを用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0057】
さらに、トナー組成物を含む油相の粘度を低くするために、トナー組成物が可溶、または分散可能な溶剤を使用することもできる。溶剤を用いた場合、粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることが、除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフランなどを単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。特に、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトンが好ましい。
【0058】
得られた乳化分散体から未反応の重合性単量体、及び有機溶媒を除去するためには、常圧下、または減圧下にて系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法が好ましいが、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で充分目的とする品質が得られる。
【0059】
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
【0060】
(二成分用キャリア)
本発明のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。
【0061】
また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない1成分系の磁性トナーあるいは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【0062】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
〜離型剤エマルジョンの製造例〜
カルナウバワックス(融点78〜84℃)10部とポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル2部をビーカーに入れ、85℃で加熱攪拌し溶融混合した。これに90℃に加温したイオン交換水28部を激しく攪拌しながら添加した。これを85℃に保ちホモミキサーで60分攪拌しエマルジョンを得た。冷却後、イオン交換水を加え、固形分濃度20%に調整した。このエマルジョンをレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所社製)で測定したところ、体積平均粒径105nmであった。
【0063】
〜離型剤微粒子エマルジョンの重合〜
<製造例P1>
上記エマルジョン140部を攪拌装置、冷却管、窒素導入管を付けた4ッ口フラスコに秤り取り、液温を60℃とし窒素置換後スチレン15部、メタクリル酸10部、アクリル酸ブチル10部とイオン交換水2部に溶解した過硫酸カリウム1.25部を続けて添加した。同温度で8時間加熱攪拌し重合を完了した。このエマルジョンの粒径は体積平均粒径145nmであった。このエマルジョンの一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは87℃であった。
【0064】
<製造例P2〜3>
以下の表1に示す、ビニル単量体、添加量により、離型剤微粒子エマルジョンの製造例と同様にして離型剤微粒子エマルジョンを製造した。
【0065】
【表1】
【0066】
〜離型剤含有ビニル単量体エマルションの製造例〜
<製造例E1>
カルナウバワックス10部とスチレン15部、メタクリル酸10部、アクリル酸ブチル10部をビーカーに入れ、80℃に加熱し、カルナウバワックスをスチレンに溶解した。この温度を保ち、これにポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル5部を加え混合した。これに85℃に加温したイオン交換水90部を激しく撹拌しながら除々に添加した。これを85℃に保ちホモミキサーで30分撹拌した後、急冷しエマルションを得た。このエマルジョンのレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所社製)で測定したところ、体積平均粒径125nmであった。
【0067】
<製造例E2>
製造例E1のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル2部の代わりに、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル1部とNa・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェート1部を用いた他は、製造例E1と同じ方法でエマルションを得た。
【0068】
<製造例E3〜E5>
製造例E1と同じ方法で表2に記載のエマルションを作製した。ただし、表2中の%はエマルション中のそれぞれの成分の重量%を表わす。また、離型剤とビニル単量体の合計の重量%を一定にした。
【0069】
【表2】
【0070】
〜離型剤含有ビニル単量体エマルションの重合〜
<製造例P4>
製造例E1で得られたエマルション100部を撹拌装置、冷却管、チッ素導入管を備えたフラスコに採取し、チッ素置換を行ない昇温し、液温を60℃に保った。これに水12部に溶解した過硫酸カリウム0.16部を添加した後、チッ素気流下65℃で12時間加熱し、カルナウバワックス含有のポリスチレンエマルションを得た。このエマルションの体積平均粒径は130nmであった。
また、このエマルションを室温で風乾し、更に80℃で8時間減圧乾燥し、重合前後の固型分量の増加からスチレンの重合率を求めた所78%であった。
【0071】
<製造例P5〜P8>
製造例P4のエマルションE1の代わりに、製造例E2〜E5のエマルションを用い、且つ過硫酸カリウムをビニル単量体重量の1%を用いた他は、製造例P1と同じ方法で重合エマルションを得た。得られたエマルション粒子の粒径を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
◎トナーの製造
<製造例T1>
〜水相の調整〜
水990部、[離型剤樹脂微粒子エマルジョンP1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
【0074】
〜低分子ポリエステルの合成〜
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量2500、重量平均分子量6700,Tg43℃、酸価25であった。
【0075】
〜中間体ポリエステルの合成〜
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価51であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
【0076】
〜ケチミンの合成〜
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行ない、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
【0077】
〜MBの合成〜
水1200部、カーボンブラック(Printex35 デクサ製)540部[DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5]、ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ1]を得た。
【0078】
〜油相の作成〜
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部、[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラックの分散を行なった。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料分散液1]を得た。[顔料分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
【0079】
〜乳化⇒脱溶剤〜
(実施例1)
[顔料分散液1]749部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行ない、[分散スラリー1]を得た。[分散スラリー1]は、重量平均粒径4.99μm、個数平均粒径4.55μm(マルチサイザーIIで測定)であった。
【0080】
〜洗浄⇒乾燥〜
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
▲1▼:濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
▲2▼:▲1▼の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
▲3▼:▲2▼の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
▲4▼:▲3▼の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行ない濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い[トナー1]を得た。
【0081】
(実施例2〜8)
実施例1の離型剤微粒子エマルジョンをP2〜P8に変え、且つワックス分が5部になるように離型剤微粒子エマルジョンの量を変えた他は、実施例1と同様に実施し、トナー2〜8を得た。
【0082】
(比較例1)
〜離型剤微粒子エマルジョンの重合〜
<製造例P9>
上記エマルジョン140部を攪拌装置、冷却管、窒素導入管を付けた4ッ口フラスコに秤り取り、液温を60℃とし窒素置換後スチレン20部、メタクリル酸15部とイオン交換水2部に溶解した過硫酸カリウム1.25部を続けて添加した。同温度で8時間加熱攪拌し重合を完了した。このエマルジョンの粒径は体積平均粒径145nmであった。このエマルジョンの一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは162℃であった。
<製造例T2>
実施例1の離型剤微粒子エマルジョンをP9に変え、且つワックス分が5部になるように離型剤微粒子エマルジョンの量を変えた他は、実施例1と同様に実施した。
【0083】
(比較例2)
<着色樹脂粒子の製造例>
下記のように分散重合法で芯粒子を製造した。撹拌翼、冷却器を取り付けた500ccの三つ口フラスコに、メタノール320gを入れ、スチレン/無水マレイン酸共重合体(平均分子量4万)6.4gを少量ずつ撹拌しながら添加し、完全に溶解させた。更に、スチレン25.6g、n−ブチルメタクリレート6.4g、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.2gを添加し、完全に溶解させた。撹拌しながらフラスコ内を乾燥アルゴンガスでパージし、1時間放置した。60℃±0.1℃の恒温水槽中で200rpmの撹拌速度で撹拌しながら重合を開始した。加熱後15分すると液は白濁し始め、20時間重合後も白濁した安定な分散液であった。重合率は98%に達していることをエチルベンゼンを内部標準としてガスクロマトグラフィーにより確認した。
【0084】
得られた分散液を冷却し、遠心分離機にて2000rpmで遠心分離すると重合体粒子は完全に沈降し、上部の液は透明であった。上澄液を除き新たにメタノール200gを加え、1時間撹拌洗浄した。遠心分離したメタノールで洗浄する操作を繰り返し、最後に水で洗浄し、1μmのミクロフィルターにて濾過を行なった。濾液は透明であり、1μm以下の粒子は全くないことが確認された。濾別したものは1昼夜風乾し、24時間、50℃にて減圧乾燥し、95%の収率で白色粉末のスチレン/n−ブチルメタクリレート共重合体粒子を得た。得られた粒子の体積平均粒径は7.0μmであり、5.25〜8.75μmの粒径を持つ重合粒子(A)の重量分率は98%であった。また、該樹脂のTgは65℃であった。メタノール200cc中にオイルブラック803[オリエント化学(株)製]1gを溶解した後、濾過し、該濾液に重合粒子(A)を24g加えて分散させ、50℃で1時間加熱撹拌した。
その後分散液を室温まで冷却し、濾別した後、乾燥し、着色樹脂粒子を得た。
【0085】
<製造例T3>
前記着色樹脂粒子30部を50%メタノール水溶液70部に添加し分散した。これに製造例P1で得られた重合エマルション7.5部(ワックス分0.6部)を加え撹拌し、これに0.4%ステアリンアミンアセテート水溶液10部を加え撹拌した。ワックス付着粒子を光学顕微鏡で観察したところ、ワックス微粒子が着色樹脂粒子表面に均一に付着していた。この分散液を50℃で30分加熱撹拌しワックス微粒子を固定化した。この液を吸引濾過後50%メタノール水溶液に再分散する洗浄操作を2回行なった後、吸引濾過し35℃で減圧乾燥しトナーを得た。
【0086】
(比較例3)
〜樹脂微粒子の製造方法〜
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン93部、メタクリル酸93部、アクリル酸ブチル90部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度70℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、80℃で6時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、105nmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは103℃であり、重量平均分子量は19万であった。
【0087】
◎トナーの製造方法
〜水相の調整〜
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルェーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7):三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相2]とする。
【0088】
〜油相の作成〜
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、カルナバWAX110部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液2]を得た。
[原料溶解液2]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行なった。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料分散液2]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
【0089】
<製造例T3>
実施例1の離型剤微粒子エマルジョンを樹脂微粒子1に変え、且つ顔料分散液1を顔料分散液2に変え、実施例1と同様に実施した。
得られたトナー100部に疎水性シリカ0.7部と、疎水化酸化チタン0.3部をヘンシェルミキサーにて混合した。得られたトナー物性値については表1に示した。
外添剤処理を施したトナー5重量%とシリコーン樹脂を被覆した平均粒子径が40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95重量%からなる現像剤を調製し、毎分A4サイズの用紙を45枚印刷できるリコー製imagio Neo 450を用いて、連続印刷して下記の基準で評価し、表4に示した。
【0090】
(評価項目)
(a)定着性
リコー製imagio Neo 450を用いて、普通紙及び厚紙の転写紙(リコー製 タイプ6200及びNBSリコー製複写印刷用紙<135>)にベタ画像で、1.0±0.1mg/cm2のトナーが現像される様に調整を行ない、定着ローラーの温度が可変となる様に調整を行なって、普通紙でオフセットの発生しない温度を、厚紙で定着下限温度を測定した。定着下限温度は、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ローラー温度をもって定着下限温度とした。
(b)画像濃度
ベタ画像出力後、画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定。これを各色単独に5点測定し各色ごとに平均を求めた。
(c)地肌汚れ
白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差を938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定。
(d)転写率
転写率は全面黒で現像し転写途中で機械を停止し、感光体上の未転写部及び転写部のトナーを重量既知、面積一定の粘着紙に移しとり重量を秤り、〔(未転写部のトナー重量−転写部のトナー重量)/未転写部のトナー重量〕×100を転写率とした。
(e)帯電量
現像剤6gを計量し、密閉できる金属円柱に仕込みブローして帯電量を求める。トナー濃度は4.5〜5.5wt%に調整する。
【0091】
【表4】
【0092】
結果の説明
(1)比較例1のトナーは、画像濃度、地汚れ、及び転写率は良好だが、離型剤を含有する樹脂微粒子を構成する樹脂のTgが高いため、離型剤の溶出が阻害され、離型幅が狭くなる。また、比較例2のトナーは、離型剤微粒子の付着力が弱いため、現像剤の撹拌時に離型剤微粒子の脱離が起こり、現像特性の悪化、すなわち画像濃度の低下、地汚れ、転写率の悪化が見られた。比較例3のトナーは、現像特性は良好だが、離型剤の溶出が不充分なため、定着特性、特に上限温度の低下が起こった。
(2)実施例のトナーは、現像特性、及び定着特性が良好であり、現像時に離型剤微粒子の脱離も見られず、耐久性も充分であった。
【0093】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明により明らかなように、本発明によれば、従来技術に比較して、離型性、転写性、耐久性に優れた静電荷像現像用トナーが提供できる。
Claims (14)
- 少なくとも活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂用原料、着色剤、離型剤用成分を含有したトナー組成物用原材料を含む有機溶媒相を水系媒体中で分散して粒子化するとともに該結着樹脂用原料を重付加反応させ、この分散液から液相を除去して得られるトナーであって、離型剤エマルジョンに重合性ビニル単量体と水溶性重合開始剤を添加し重合させることによりビニル重合体が離型剤を被覆および/又は含浸された離型剤微粒子を該水系媒体中に含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 前記離型剤微粒子の粒径が50nm〜400nmであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記離型剤微粒子の体積平均粒径の変動係数が10〜40%であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記離型微粒子のビニル重合体のガラス転移温度が40〜150℃であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記離型剤微粒子の離型剤とビニル重合体の比が1:0.5〜1:10であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 少なくとも活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂用原料、着色剤、離型剤用成分を含有したトナー組成物用原材料を含む有機溶媒相を水系媒体中で分散して粒子化するとともに該結着樹脂用原料を重付加反応させ、この分散液から液相を除去して得られるトナーであって、離型剤を溶解、又は分散させたビニル単量体を水系に乳化後、水溶性重合開始剤を添加することにより重合されて得られた離型剤含有ビニル重合体粒子を該水系媒体中に含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 前記離型剤微粒子の体積平均粒径が50nm〜400nmであることを特徴とする請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記離型剤微粒子の体積平均粒径の変動係数が10〜40%であることを特徴とする請求項6又は7に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記離型剤微粒子のビニル重合体のガラス転移温度が40〜150℃であることを特徴とする請求項6又は7に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記離型剤微粒子の離型剤とビニル重合体の比が1:0.5〜1:10であることを特徴とする請求項5又は6に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナーのBET比表面積が1.0〜4.0m2/gであることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子の重量平均粒径が3〜8μmであることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子の重量平均粒径/個数平均粒径が1.25以下であることを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子の平均円形度が0.990〜0.960であることを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003014092A JP2004226669A (ja) | 2003-01-22 | 2003-01-22 | 静電荷像現像用トナー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003014092A JP2004226669A (ja) | 2003-01-22 | 2003-01-22 | 静電荷像現像用トナー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004226669A true JP2004226669A (ja) | 2004-08-12 |
Family
ID=32902233
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003014092A Pending JP2004226669A (ja) | 2003-01-22 | 2003-01-22 | 静電荷像現像用トナー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004226669A (ja) |
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008262150A (ja) * | 2007-03-16 | 2008-10-30 | Ricoh Co Ltd | 静電荷像現像用トナー及び該トナーを用いた画像形成方法と装置 |
US7550245B2 (en) | 2004-12-28 | 2009-06-23 | Ricoh Company, Ltd. | Toner and production method of the same, and image forming method |
JP2010085969A (ja) * | 2008-09-03 | 2010-04-15 | Ricoh Co Ltd | 静電潜像現像用トナー、及びその製造方法、並びに該トナーを用いた静電潜像現像剤、トナー容器、及び画像形成装置、プロセスカートリッジ、並びに画像形成方法 |
US7989131B2 (en) | 2005-09-15 | 2011-08-02 | Ricoh Company Limited | Toner, developer, image forming method, image forming apparatus, process cartridge, and toner container |
JP2011232738A (ja) * | 2010-04-06 | 2011-11-17 | Ricoh Co Ltd | トナー及びその製造方法 |
US8187785B2 (en) | 2008-04-24 | 2012-05-29 | Ricoh Company, Ltd. | Method of manufacturing toner |
US8192911B2 (en) | 2008-05-08 | 2012-06-05 | Ricoh Company, Ltd. | Method of manufacturing toner and toner |
US8492063B2 (en) | 2007-11-30 | 2013-07-23 | Ricoh Company, Limited | Method of manufacturing toner |
JP2014085566A (ja) * | 2012-10-25 | 2014-05-12 | Ricoh Co Ltd | トナー、該トナー製造方法、及び、プロセスカートリッジ |
US8835086B2 (en) | 2009-12-02 | 2014-09-16 | Ricoh Company, Ltd. | Electrostatic image developing toner |
US9023570B2 (en) | 2010-10-22 | 2015-05-05 | Ricoh Company, Ltd. | Toner, developer, and image forming apparatus |
-
2003
- 2003-01-22 JP JP2003014092A patent/JP2004226669A/ja active Pending
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7550245B2 (en) | 2004-12-28 | 2009-06-23 | Ricoh Company, Ltd. | Toner and production method of the same, and image forming method |
US7989131B2 (en) | 2005-09-15 | 2011-08-02 | Ricoh Company Limited | Toner, developer, image forming method, image forming apparatus, process cartridge, and toner container |
US8137883B2 (en) | 2005-09-15 | 2012-03-20 | Ricoh Company Limited | Toner, developer, image forming method, image forming apparatus, process cartridge, and toner container |
JP2008262150A (ja) * | 2007-03-16 | 2008-10-30 | Ricoh Co Ltd | 静電荷像現像用トナー及び該トナーを用いた画像形成方法と装置 |
US8492063B2 (en) | 2007-11-30 | 2013-07-23 | Ricoh Company, Limited | Method of manufacturing toner |
US8187785B2 (en) | 2008-04-24 | 2012-05-29 | Ricoh Company, Ltd. | Method of manufacturing toner |
US8192911B2 (en) | 2008-05-08 | 2012-06-05 | Ricoh Company, Ltd. | Method of manufacturing toner and toner |
JP2010085969A (ja) * | 2008-09-03 | 2010-04-15 | Ricoh Co Ltd | 静電潜像現像用トナー、及びその製造方法、並びに該トナーを用いた静電潜像現像剤、トナー容器、及び画像形成装置、プロセスカートリッジ、並びに画像形成方法 |
US8835086B2 (en) | 2009-12-02 | 2014-09-16 | Ricoh Company, Ltd. | Electrostatic image developing toner |
JP2011232738A (ja) * | 2010-04-06 | 2011-11-17 | Ricoh Co Ltd | トナー及びその製造方法 |
US9023570B2 (en) | 2010-10-22 | 2015-05-05 | Ricoh Company, Ltd. | Toner, developer, and image forming apparatus |
JP2014085566A (ja) * | 2012-10-25 | 2014-05-12 | Ricoh Co Ltd | トナー、該トナー製造方法、及び、プロセスカートリッジ |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3571703B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー及び現像剤並びに画像形成方法と画像形成装置 | |
JP4829489B2 (ja) | トナー、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 | |
JP4079257B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP4213067B2 (ja) | 画像形成用トナーおよび現像剤とその製造方法、並びにこれらを用いた画像形成方法、画像形成装置 | |
JP4676890B2 (ja) | トナーの製造方法及びトナー | |
JP2004191890A (ja) | 負帯電性トナー及び現像剤並びに画像形成方法と画像形成装置 | |
JPWO2002056116A1 (ja) | 電子写真用トナー | |
JP2004184551A (ja) | 静電荷像現像用トナー、現像剤及びトナー容器 | |
JP2004286824A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP4700483B2 (ja) | 画像形成用マゼンタトナー、静電潜像現像用一成分現像剤、静電潜像現像用二成分現像剤、画像形成用マゼンタトナーの製造方法 | |
JP2003167382A (ja) | 乾式トナー及びそれを用いる画像形成方法 | |
JP2005181835A (ja) | 画像形成用トナー、静電潜像現像剤、画像形成用トナーの製造方法、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ | |
JP2005181839A (ja) | 画像形成用トナーおよびその製造方法、並びにそれを用いた静電潜像現像剤、画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ | |
JP2004226669A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP2009134061A (ja) | トナーの製造方法 | |
JP2004037516A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP2006208421A (ja) | 画像形成粒子の製造方法、画像形成粒子、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 | |
JP4307857B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP2008225419A (ja) | 静電荷像現像用トナー、現像剤および画像形成方法 | |
JP4009204B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP4009205B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP3947194B2 (ja) | 電子写真用トナーの製造方法 | |
JP4049679B2 (ja) | 静電荷像現像用トナーおよび現像剤、並びにこれらを用いた画像形成方法、画像形成装置 | |
JP2004286820A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP3764954B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー |