JP2004226601A - 光学補償素子用原反およびその製造方法 - Google Patents

光学補償素子用原反およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学補償素子としての機能を十分に発揮し、光学補償素子の効率的な製造に有用な光学補償素子用原反、及びこの光学補償素子用原反の製造方法を提供する。
【解決手段】配向軸が長手方向に一致した高分子延伸フィルムの層(1)と、配向軸が幅方向に一致した高分子延伸フィルムの層(2)とを少なくとも一層ずつ有し、その平面方向と厚さ方向に主屈折率nx、ny、nzを有する光学積層体からなり、該光学積層体の面方向の主屈折率をnx、ny、厚さ方向の主屈折率をnz、該光学積層体の厚さをDとしたとき、nx>ny、nx>nz、ny>nzであり、かつ、該光学積層体面内のレターデーション値:Re=(nx−ny)Dが20nm以下であることを特徴とする長尺の光学補償素子用原反、及びその製造方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学補償素子の製造に有用な長尺の光学補償素子用原反、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、垂直配向(VA)液晶の視野角特性(位相差の角度依存性)を光学補償するため、液晶表示装置を構成する液晶セルと偏光素子との間に、素子面の法線方向に光学軸を有し、負の一軸性を有する光学補償素子を介挿して用いることが知られている。
【0003】
かかる素子は、その面方向と厚さ方向に主屈折率nx、ny、nzを有するものであって、その面方向の主屈折率をnx、ny、厚さ方向の主屈折率をnzとしたとき、nx>ny、ny>nzであり、かつ、素子面内(法線方向からの入射光に対する)レターデーションが小さいか、あるいは実質的に有しないという特性を有するものである。
【0004】
このような素子を製造するために、例えば次のような方法が挙げられる。
先ず、樹脂フィルムに対して、延伸方向に直交する方向への自由な収縮を許容して、一軸延伸処理を施すことにより、延伸方向の面内屈折率(Nx)と、延伸方向と直交する方向の面内屈折率(Ny)と、厚さ方向の屈折率(Nz)とが、Nx>Ny≧Nzの関係式を満たす延伸フィルムを成形する。次いで、この延伸フィルムを裁断することにより、延伸方向が長辺と一致する矩形状のチップと、延伸方向が短辺と一致する同一形状のチップを作製する。その後、2枚のチップを、それぞれの延伸方向が直交するように、接着剤や粘着材により貼り合わせる(所謂バッチ貼り)。
【0005】
しかしながら、上記のようなバッチ貼りの工程で光学補償素子を製造するためには、裁断により成形したチップを貼り合わせるという煩雑な作業を繰り返す必要があり、生産効率に劣るという問題があった。
また該光学補償素子は、液晶表示装置の大きさに応じて種々の大きさや形状のものを製造する必要があるが、上記のバッチ貼りの工程では素子の大きさや形状に応じて製造ラインの組み替えを行う必要があり、その点でも煩雑さを伴うものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術に鑑みてなされたものであり、光学補償素子としての機能を十分に発揮し、光学補償素子の効率的な製造に有用な光学補償素子用原反、およびこの光学補償素子用原反の製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、光学補償素子としての機能を十分に発揮し、光学補償素子の効率的な製造に有用な光学補償素子用原反を簡便、かつ工業的に有利に製造する方法について鋭意検討を加えた。その結果、高分子未延伸フィルムを縦一軸延伸して得られる長尺の位相差フィルム(A)と、高分子未延伸フィルムを横一軸延伸して得られる長尺の位相差フィルム(B)とを、互いの配向軸が実質的に直交するように積層して、長尺の光学積層体を効率よく得ることができることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
かくして本発明の第1によれば、配向軸が長手方向に一致した高分子延伸フィルムの層(1)と、配向軸が幅方向に一致した高分子延伸フィルムの層(2)とを少なくとも一層ずつ有し、その平面方向と厚さ方向に主屈折率nx、ny、nzを有する光学積層体からなり、該光学積層体の面方向の主屈折率をnx、ny、厚さ方向の主屈折率をnz、該光学積層体の厚さをDとしたとき、nx>ny、nx>nz、ny>nzであり、かつ、該光学積層体面内のレターデーション値:Re=(nx−ny)Dが20nm以下であることを特徴とする長尺の光学補償素子用原反が提供される。
【0009】
本発明の第2によれば、高分子未延伸フィルムを縦一軸延伸して得られる長尺の位相差フィルム(A)と、高分子未延伸フィルムを横一軸延伸して得られる長尺の位相差フィルム(B)とを、互いの配向軸が実質的に直交するように積層して、長尺の光学積層体を製造する方法であって、長尺の位相差フィルム(A)の面内レターデーションRe(A)と、長尺の位相差フィルム(B)の面内レターデーションRe(B)の差(|Re(A)−Re(B)|)が20nm以下であることを特徴とする、長尺の光学補償素子用原反の製造方法が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の長尺の光学補償素子用原反およびその製造方法について詳細に説明する。
本発明の第1は、配向軸が長手方向に一致した高分子延伸フィルムの層(1)と、配向軸が幅方向に一致した高分子延伸フィルムの層(2)とを少なくとも一層ずつ有し、その平面方向と厚さ方向に主屈折率nx、ny、nzを有する光学積層体からなり、該光学積層体の面方向の主屈折率をnx、ny、厚さ方向の主屈折率をnz、該光学積層体の厚さをDとしたとき、nx>ny、nx>nz、ny>nzであり、かつ、該光学積層体面内のレターデーション値:Re=(nx−ny)Dが20nm以下であることを特徴とする長尺の光学補償素子用原反である。
本発明において長尺とは、フィルムまたは積層体の幅方向に対して少なくとも5倍以上の長さを有するものをいい、実際には10倍もしくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。
【0011】
本発明に用いる高分子は、透明性が良好なものであって、固有複屈折値が正の高分子(分子が一軸性の秩序をもって配向したときに、光学的に正の一軸性を示す特性を有する高分子)であれば特に制限されない。
【0012】
また、本発明の長尺の光学補償素子用原反においては、高分子延伸フィルムの層(1)を構成する高分子と、高分子延伸フィルムの層(2)を構成する高分子とが同じものであっても、異なるものであってもよい。光学補償素子として機能する光学積層体を効率よく得る上では、同じ種類の高分子であるのがより好ましい。
【0013】
固有複屈折値が正の高分子としては、例えば、脂環式構造含有重合体樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のオレフィン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー;ポリフェニレンサルファイド等のポリアリーレンサルファイド系ポリマー;ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系ポリマー;ポリカーボネート等のポリカーボネート系ポリマー;ポリアリレート等のポリアリレート系ポリマー;ポリエーテル系ポリマー;ポリスルホン系ポリマー;ポリ塩化ビニル系ポリマー;セルロース系ポリマー(固有複屈折値が負であるものもある。);ディスコチック液晶;ディスコチック液晶ポリマー;等が挙げられる。
【0014】
これらの中でも、透明性、耐熱性及び機械特性に優れることから、脂環式構造含有重合体樹脂、ポリカーボネート系ポリマー、芳香族ビニル化合物の単独重合体、芳香族ビニル化合物と他の重合性モノマーとの共重合体、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリメタクリレート系ポリマーが好ましく、脂環式構造含有重合体樹脂がより好ましい。
【0015】
脂環式構造含有重合体樹脂は、重合体樹脂の繰り返し単位中に脂環式構造を有するものである。本発明においては、主鎖中に脂環式構造を有する重合体樹脂及び側鎖に脂環式構造を有する重合体樹脂のいずれも用いることができる。
【0016】
脂環式構造含有重合体樹脂としては、(i)ノルボルネン系重合体、(ii)単環の環状オレフィン系重合体、(iii)環状共役ジエン系重合体、(iv)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物等が挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体がより好ましい。ノルボルネン系重合体としては、具体的にはノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、およびそれらの水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加型共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体水素添加物が最も好ましい。
上記の脂環式構造含有重合体樹脂は、例えば特開2002−321302号公報などに開示されている公知の重合体である。
【0017】
本発明の光学補償素子用原反の厚さ方向のレターデーション値:Rth=〔(nx+ny)/2−nz〕Dは、(この素子が)使用される液晶表示装置に応じて適宜定めることができるが、通常は10〜500nm、好ましくは100〜300nmである。
【0018】
本発明の長尺の光学補償素子用原反は、配向軸が長手方向に一致した高分子延伸フィルムの層(1)と、配向軸が幅方向に一致した高分子延伸フィルムの層(2)とを、少なくとも一層ずつ有することを特徴とする。
【0019】
配向軸が長手方向に一致した高分子延伸フィルム、及び配向軸が幅方向に一致した高分子延伸フィルムを得る方法は特に制限されず、例えば、上述した高分子をフィルム状に成形して未延伸の高分子フィルムを得、次いで、この高分子フィルムを延伸処理する方法が挙げられる。
【0020】
高分子をフィルム状に成形する方法としては特に制約されず、公知の成形法を採用することができる。例えば、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも採用することができるが、生産性や、フィルム中に溶剤などの揮発性成分を残留させないという観点から、加熱溶融成形法を用いるのが好ましい。
【0021】
加熱溶融成形法は、さらに詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法等に分類できる。これらの中で、機械的強度及び表面精度等に優れる延伸フィルムを得るためには、溶融押出成形法を用いるのが好ましい。
【0022】
成形条件は使用目的や成形方法により適宜選択されるが、溶融押出成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜600℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定される。
【0023】
高分子フィルムの厚みは、延伸フィルムの使用目的等に応じて適宜決定することができる。フィルムの厚みは、安定した延伸処理による均質な延伸フィルムが得られる観点から、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
【0024】
また、高分子フィルムを製造する場合には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、他の添加剤を添加することができる。他の添加剤としては、例えば、無機微粒子、滑剤、可塑剤、劣化防止剤や酸化防止剤等が挙げられる。
【0025】
高分子フィルムを延伸処理する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法を採用できる。延伸処理する方法としては、例えば、ロール側の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、テンター延伸機を用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔を開いての縦方向の延伸と同時に、ガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法や、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後、その両端部をクリップ把持してテンター延伸機を用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法等の二軸延伸法;等が挙げられる。
【0026】
本発明においては、これらの中でも、配向軸が長手方向に一致した延伸フィルムを得る方法として、前記高分子フィルムを、機械的流れ方向に延伸する縦一軸延伸処理する方法(例えば、ロール間縦一軸延伸法)を採用するのが好ましい。また、配向軸が幅方向に一致した延伸フィルムを得る方法としては、機械的流れ方向に直交する方向に延伸する横一軸延伸処理する方法(例えば、テンター延伸方)を採用するのが好ましい。これらの方法によれば、簡便、かつ効率よく所望の方向に配向軸を有する延伸フィルムを製造することができる。
【0027】
高分子フィルムを延伸するときの温度は、用いる高分子のガラス転移温度をTgとすると、好ましくは(Tg−30℃)から(Tg+60℃)の間、より好ましくは(Tg−10℃)から(Tg+50℃)の温度範囲である。また、延伸倍率は、通常、1.01〜30倍、好ましくは1.01〜10倍、より好ましくは1.01〜5倍である。
【0028】
得られる延伸フィルムの残留揮発性成分量は特に制約されないが、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下である。残留揮発性成分量が1000ppmを超えると、使用時に該揮発性成分が外部に放出して、延伸フィルムに寸法変化が生じて内部応力が発生することにより、位相差にムラを生じることがある。したがって、本発明の光学補償素子用原反に、揮発性成分含有量が上記範囲にある延伸フィルムを用いると、長期間使用しても液晶表示装置のディスプレイの表示ムラが発生しないといった光学特性の安定性に優れる。
【0029】
また、延伸フィルムの飽和吸水率は特に制限されないが、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.007%以下である。飽和吸水率が0.01%を越えると、使用環境により位相差フィルムに寸法変化が生じて内部応力が発生することがある。したがって、本発明の光学補償素子用原反に、飽和吸水率が上記範囲にある延伸フィルムを用いると、長期間使用しても液晶表示装置のディスプレイの表示ムラが発生しないといった光学特性の安定性に優れる。
このようにして得られる延伸フィルムは、長尺の延伸フィルムであり、ロール状に巻き取り、回収・保存することができる。
【0030】
本発明の長尺の光学補償素子用原反の厚みは特に限定されず、使用目的に応じて適宜さだめることができるが、通常1mm以下、好ましくは1〜500μm、より好ましくは5〜300μmである。
【0031】
本発明の第2は、高分子未延伸フィルムを縦一軸延伸して得られる長尺の位相差フィルム(A)と、高分子未延伸フィルムを横一軸延伸して得られる長尺の位相差フィルム(B)とを、互いの配向軸が実質的に直交するように積層して、長尺の光学積層体を製造する方法であって、長尺の位相差フィルム(A)の面内レターデーションRe(A)と、長尺の位相差フィルム(B)の面内レターデーションRe(B)の差(|Re(A)−Re(B)|)が20nm以下であることを特徴とする、長尺の光学補償素子用原反の製造方法である。本発明の製造方法は、本発明の光学補償素子用原反を製造する場合に好ましく適用することができる。
【0032】
本発明の製造方法に用いる位相差フィルム(A)及び(B)を構成する高分子としては、本発明の光学積層体を構成する高分子と同様なものを用い得る。また、位相差フィルム(A)及び(B)は、高分子フィルムを前述の高分子延伸フィルムと同様な方法により、所望の位相差を与えるように所定の延伸倍率で延伸することにより得ることができる。
【0033】
このとき、位相差フィルム(A)と(B)のレターデーション値の差が20nm以内、好ましくは10nm以内、より好ましくは5nm以内になるようにする。通常の縦一軸延伸に用いられるロール間での自由一軸延伸法と、横一軸延伸に用いられるテンター延伸法では、同じ延伸倍率で延伸を行っても、得られる位相差フィルムのレターデーションが異なり、一般的にテンター延伸法による場合の方がレターデーションが小さくなる。そこで、位相差フィルム(A)と(B)のレターデーションの差を小さくするために、横一軸延伸時の延伸倍率を、縦一軸延伸の延伸倍率の1.01〜5倍、好ましくは1.05〜3倍とすることが好ましい。但し、レターデーション値は延伸温度や延伸速度などの他の条件によっても影響されるため、位相差フィルム(A)と(B)のレターデーションを所定の値にするための製造条件は、製造時に適宜定める必要がある。
【0034】
本発明においては、高分子未延伸フィルムを縦一軸延伸して得られる長尺の位相差フィルム(A)と、高分子未延伸フィルムを横一軸延伸して得られる長尺の位相差フィルム(B)とを、互いの配向軸が実質的に直交するように積層する。すなわち、本発明の位相差フィルム(A)と位相差フィルム(B)とを長手方向に一致させて積層すれば、2枚の位相差フィルムの配向軸の交差角度が実質的に直交した光学積層体を得ることができる。
【0035】
光学補償素子用原反は、具体的には次のようにして製造することができる。
先ず、高分子未延伸フィルムを縦一軸延伸して得られる長尺の位相差フィルム(A)と、高分子未延伸フィルムを横一軸延伸して得られる長尺の位相差フィルム(B)とを用意する。
【0036】
次に、位相差フィルム(A)と位相差フィルム(B)とを、長手方向を一致させるようにして積層する。位相差フィルム(A)と位相差フィルム(B)との積層方法としては特に制限されず、公知の積層方法を採用することができるが、生産効率の観点から、長尺のフィルム同士を貼り合わせる、いわゆるロール・トゥ・ロール方式を採用するのが好ましい。この方式によれば、ロール状に巻き取った位相差フィルム(A)及び位相差フィルム(B)をそれぞれ引き出し、接着剤又は粘着剤を接合面に塗布して両者を積重し、この積重体を加圧ローラのニップに供給して圧着することにより連続的に貼り合わせることができる。
【0037】
両者を貼り合わせるために使用する接着剤又は粘着剤としては、所期の接着力を有し、透明性の優れたものであれば特に限定されるものではない。構成部材の光学特性の変化防止の観点からは、硬化や乾燥の際に高温のプロセスを要しないものが好ましく、長時間の硬化処理や乾燥時間を要しないものが望ましい。接着剤及び粘着剤としては、例えばアクリル樹脂系の接着剤や粘着剤等が挙げられる。
【0038】
得られた長尺の光学補償素子用原反は、ロール状に巻き取って回収・保存することができる。光学補償素子として液晶表示装置等に組み込む際は、必要に応じ任意の大きさ、また幅方向あるいは長手方向から任意の角度で、通常は矩形に切り出して用いる。
【0039】
本発明の製造方法によれば、光学補償素子として機能する長尺の光学補償素子用原反を効率よく得ることができる。本発明の製造方法によれば、フィルム面内の主屈折率をnx、ny、厚さ方向の主屈折率をnz、積層フィルムの厚さをDとしたとき、nx>ny、nx>nz、ny>nzであり、面内のレターデーション値:Re=(nx−ny)Dが20nm以下、好ましくは10nm以下である長尺の光学補償素子用原反を得ることができる。
【0040】
本発明の製造方法によれば、フィルム面内の主屈折率をnx、ny、厚さ方向の主屈折率をnz、積層フィルムの厚さをDとしたとき、nx>ny、nx>nz、ny>nzであり、厚み方向のレターデーション値(Rth=〔(nx+nz)/2−nz〕Dが10〜500nmである光学補償素子用原反を得ることができる。
【0041】
本発明の光学補償素子用原反は、これを裁断して得た光学補償素子として、液晶表示装置中で、備光素子と液晶セルとの問に介挿されて使用される。そこで予め本発明の光学補償素子用原反のさらにその一面に偏光層を積層した偏光層一体型の光学補償素子用原反としておき、それを素子化して用いることもできる。そのようにすることで液晶表示装置を構成する光学部材を削減でき、光効率を向上させることが可能になる。
【0042】
偏光層としては特に限定されず、従来公知の偏光フィルムを使用することができ、例えばヨウ素系偏光フィルム、二色性染料を用いる染料系偏光フィルム、ポリエン系偏光フィルム等が挙げられる。なかでもヨウ素系偏光フィルムが偏光度が高い点から好ましい。ヨウ素系偏光フィルムは、一般にポリビニルアルコール系フィルムを延伸し、これにヨウ素を吸着させることによって得られるものであるが、それ自体では強度や耐久性に劣るため、通常は、両面にトリアセチルアセテート等のアセテート系樹脂等の樹脂からなるフィルムを保護層として積層した偏光板として用いられる。偏光層一体型の光学補償素子用原反は、偏光フィルムと保護層からなる偏光板と、本発明の光学補償素子用原反とをロール・トゥ・ロールで連続的に積層して得ることもできるが、本発明の光学補償素子用原反を偏光板の一方の保護層の代わりに用いて、偏光フィルムと接着剤または粘着材層を介してロール・トゥ・ロールで積層することも可能である。この方法は、偏光板の保護層の1層を省略し、偏光板と光学補償素子を積層する工程を省略することができるので、薄型化、製造の効率化の点から好ましい。
【0043】
本発明の光学補償素子用原反はこれを裁断して得た光学補償素子として、特に垂直配向(VA)モード液晶表示装置の視野角改善用に、それ単独で、または他の位相差板等と組み合わせて、好適に用いることができる。
【0044】
【実施例】
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。これらの例中の[部]及び[%]は、特に断りのない限り重量基準である。ただし、本発明は、以下の製造例及び実施例に限定されるものではない。
【0045】
(1)フィルムの膜厚み
オフライン厚み測定装置(型式:TOF−4R、山文電気(株)製)を用いて測定した。
(2)レターデーション値(Re)の測定
王子計測機器(株)製自動複屈折計(KOBRA)により、波長548nmにて測定した。
(3)フィルムの残留揮発性成分量
ガスクロマトグラフィーを用いて、沸点150℃以下の成分の合計量として測定した。
【0046】
(製造例1)
脂環式構造含有重合体樹脂(ZEONOR l420、日本ゼオン社製;ガラス転移温度135℃、飽和吸水率0.01%以下)のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥した後、65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機を使用し、溶融樹脂温度270℃、Tダイの幅500mmの成形条件で、厚さ100μm、長さ1000mのフィルムを押出成形した。
【0047】
(実施例1)光学補償素子用原反の製造
製造例1で得た幅500mmの未延伸フィルムのうち、長さ430mの部分を、ロール式縦延伸機を用いて、延伸温度140℃、延伸倍率1.3倍で連続的に縦一軸延伸することにより、配向軸が長手方向に一致した延伸フィルム(位相差フィルム(A1):幅450mm、厚さ82μm、長さ550m)を得た。この延伸フィルムの残留揮発性成分量は0.01重量%以下であった。
得られた位相差フィルムA1の遅相軸(面内で屈折率が最大になる方向)は長手方向に一致し、面内のレターデーション値は271nm、厚さ方向のレターデーション値Rthは146nmであった。
【0048】
同様に、製造例1で得た幅500mmの未延伸フィルムのうち、残りの部分を、テンター式横延伸機を用いて、延伸温度140℃、延伸倍率1.4倍で連続的に横一軸延伸し、さらに左右両端から各々約120mmの部分を裁断して除去することにより、配向軸が長手方向に一致した延伸フィルム(位相差フィルム(B1):幅450mm、厚さ75μm、長さ550m)を得た。この延伸フィルムの残留揮発性成分量は0.01重量%以下であった。
得られた位相差フィルムB1の遅相軸は幅方向に一致し、両内のレターデーション値は275nm、厚さ方向のレターデーション値Rthは183nmであった。
【0049】
次に、ロール状に巻き取られた位相差フィルム(A1)及び位相差フィルム(B1)をそれぞれ引き出し、両者を、それぞれの配向軸が直交するように、アクリル系粘着材層(C)を介して積重し、この積重体を加圧ローラのニップに供給して圧着して連続的に貼り合わせることにより、長尺の光学積層体(10)を製造した。得られた光学積層体(10)の構造断面図を図1に示す。
得られた光学積層体(10)について、面内における遅相軸方向の主屈折率(nx1)は1.53641、面内における進相軸方向(面内で屈折率が最小になる方向)の主屈折率(ny2)は1.53639であり、厚さ方向の屈折率(nz3)は1.53431であった。また、面内のレターデーション値は3nm、厚さ方向のレターデーション値Rthは330nmであつた。
【0050】
また、得られた光学積層体(10)について測定したレターデーションReの視野角依存性(測定波長=548nm)を図2に示す。図2中、横軸は視野角(度)、縦軸は測定波長=548nmでのレターデーション:Re(nm)をそれぞれ示す。図2に示す結果から、光学積層体(10)は、光学補償用原反として好適なものであることがわかった。
【0051】
また、上記で得た光学積層体(10)を所定の大きさに裁断し、表示画面サイズ15インチの垂直配向(VA)モード液晶表示装置の液晶セルと偏光板(観察側)との間に介挿して設置し、全面の表示を黒表示として観察したところ、正面から見た場合も、斜め方向から見た場合も光の抜けや画面の着色は見られず、視野角改善の光学補償性能を有していることが確認できた。
【0052】
(実施例2)光学補償素子の製造
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを長手方向に一軸延伸し、この延伸フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液、次いでホウ酸とヨウ化カリウム水溶液に浸漬し、さらに水洗し、乾燥させる工程を連続的に行ない,厚さ20μmの直線偏光膜を得た。そして、引き続き連続的に、前記直線偏光膜の片面に、実施例1で得た光学補償素子用原反を、もう一方の面側にトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを、ウレタン系接着剤を使用した接着層を介して積重し、この積重体を加圧ローラーのニップに供給し、圧着して連続的に貼り合せることにより、図3に示す長尺の偏光層一体型の光学補償素子(20)を得た。図3中、Dは接着剤層、Eは偏光フィルム、Fは保護フィルムを示す。
【0053】
実施例1の場合と同じ液晶表示装置の上側(観察側)偏光板を外し、替わりに上記で得られた光学補償素子を所定の大きさに裁断して液晶セルの上側に、偏光層が上になるようにして設置し、全面の表示を黒表示として観察したところ、正面から見た場合も斜め方向から見た場合も光の抜けや画面の着色は見られず、視野角改善の光学補償性能を有していることが確認できた。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、光学特性の安定性に優れ、ロール・トゥ・ロール方式での連続生産が可能であって、生産効率に優れた長尺の光学補償素子用原反が提供される。本発明の光学補償素子用原反は、長尺の偏光フィルムと貼り合わせることも可能であり、当該光学補償素子用原反を有する光学補償素子を効率よく製造することができる。また、本発明の光学補償素子用原反を用いた光学補償素子を備えた光学製品(液晶表示装置など)は、耐久性に優れるものであり、長期間使用しても表示ムラなどが生じることがないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た光学積層体(10)の構造断面図である。
【図2】実施例1で得た光学積層体(10)の視野角依存性(測定波長=548nm)を示す図である。
【図3】実施例2で得た光学補償素子(20)の構造断面図である。
【符号の説明】
A1、B1…位相差フィルム、C…粘着材層、D…接着剤層、E…偏光フィルム、F…保護フィルム、10…光学積層体(光学補償素子用原反)、20…光学補償素子

Claims (2)

  1. 配向軸が長手方向に一致した高分子延伸フィルムの層(1)と、配向軸が幅方向に一致した高分子延伸フィルムの層(2)とを少なくとも一層ずつ有し、その平面方向と厚さ方向に主屈折率nx、ny、nzを有する光学積層体からなり、該光学積層体の面方向の主屈折率をnx、ny、厚さ方向の主屈折率をnz、該光学積層体の厚さをDとしたとき、nx>ny、nx>nz、ny>nzであり、かつ、該光学積層体面内のレターデーション値:Re=(nx−ny)Dが20nm以下であることを特徴とする長尺の光学補償素子用原反。
  2. 高分子未延伸フィルムを縦一軸延伸して得られる長尺の位相差フィルム(A)と、高分子未延伸フィルムを横一軸延伸して得られる長尺の位相差フィルム(B)とを、互いの配向軸が実質的に直交するように積層して、長尺の光学積層体を製造する方法であって、長尺の位相差フィルム(A)の面内レターデーションRe(A)と、長尺の位相差フィルム(B)の面内レターデーションRe(B)の差(|Re(A)−Re(B)|)が20nm以下であることを特徴とする、長尺の光学補償素子用原反の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007094007A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Nippon Zeon Co Ltd 延伸フィルムおよび延伸フィルムの製造方法
KR100708994B1 (ko) 2005-07-01 2007-04-18 주식회사 엘지화학 버티컬 얼라인먼트 액정표시장치용 이축 보상필름
KR100775739B1 (ko) 2005-10-24 2007-11-09 주식회사 엘지화학 액정표시장치용 일체형 보상필름

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