JP2004225536A - 内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内燃機関は、動弁室30内に配置された動弁機構Vおよびデコンプ機構D1〜D3と、シリンダヘッド4に取り付けられた燃料ポンプ74とを備える。カム軸31には、スイングアーム79を介して燃料ポンプ74の作動ロッド78を駆動するポンプ用カム68と、ポンプ用カム68に対して軸方向A1で端部ジャーナル63とは反対側に位置するデコンプ機構D3とが設けられる。デコンプ機構D3はポンプ用カム68と排気カム52との間に位置し、スイングアーム79は、ポンプ用カム68に接触する接触部79bよりも軸方向A1で 排気カム52寄りに偏倚した位置で作動ロッド78に当接する作用部79aを有する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動弁機構を構成するカム軸に設けられて動弁室内に配置されるデコンプ機構を備える内燃機関に関し、該内燃機関は例えば船外機に使用される。
【0002】
【従来の技術】
デコンプ機構を備える内燃機関として、例えば特許文献1に開示された船外機用の内燃機関がある。この2気筒内燃機関は、シリンダヘッドとヘッドカバーとの間に形成されるカム室内に配設されるカムシャフトと、カムシャフトに形成される吸気弁用カムおよび排気弁用カムと、それらカムにより揺動されるロッカアームと、排気弁用カムの下方で上下方向に回動自在にカムシャフトに装着されるデコンプレバーと、燃料ポンプとを備える。
【0003】
一方、特許文献2に開示された船外機用の3気筒内燃機関は、シリンダヘッドに配置されて複数の軸受に支承されるカム軸と、カム軸に設けられてロッカアームを揺動させるカム(以下、動弁カムという。)と、最下位の動弁カムと最下位の軸受との間でカム軸に設けられた偏心カムにより進退させられる被動ロッドを介して駆動される燃料ポンプとを備える。また、燃料ポンプはシリンダヘッドの側方に取り付けられ、被動ロッドは、その一端部で偏心カムに接触し、その他端部で燃料ポンプの作動部の当接部に当接する。そして、前記一端部と前記他端部とは、カム軸の軸方向でほぼ同じ位置にあり、偏心カムと当接部とはカム軸の軸方向で重なる位置にある。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−227064号公報(図4,図5)
【特許文献2】
特開平3−3904号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、カム軸に設けられたカム(以下、ポンプ用カムという。)により燃料ポンプが駆動される場合、特許文献2の従来技術に示されるように、ポンプ用カムの駆動力を燃料ポンプに伝達するポンプ用カムフォロアである被動ロッドの接触部と作用部とは、カム軸の軸方向において同じ位置に設けられる。そのため、特許文献1の従来技術に、特許文献2の従来技術の偏心カム、被動ロッドおよび燃料ポンプの配置を採用しようとすると、燃料ポンプがシリンダヘッドよりも下方に大きく突出したり、また被動ロッドと動弁室内に存する部材や部分(例えば、シリンダヘッドをシリンダブロックに結合するヘッドボルトが挿通される締結ボス部。)との干渉を回避するために、カム軸を長くする必要が生じて、カム室が軸方向に大型化する。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、動弁室内に配置されてポンプ用カムとデコンプ機構とが設けられるカム軸が長くなることおよび燃料ポンプが動弁室形成部材から軸方向に突出することを抑制し、ひいては内燃機関のコンパクト化を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、吸気弁および排気弁を開閉する動弁機構と前記吸気弁または前記排気弁を圧縮行程時に開閉するデコンプ機構とが動弁室内に配置され、前記動弁室を形成する動弁室形成部材に取り付けられた燃料ポンプの作動部が前記動弁室内に臨む内燃機関において、前記動弁機構は、クランク軸に連動して回転すると共に前記動弁室内に配置されたカム軸を有し、前記カム軸には、前記動弁室内に設けられた複数の軸受にそれぞれ支持される前記複数の軸受と同数のジャーナルのうちの軸方向での端部に位置する端部ジャーナルに隣接して位置すると共にポンプ用カムフォロアを介して作動部を駆動するポンプ用カムと、前記ポンプ用カムに対して軸方向で前記端部ジャーナルとは反対側に位置する前記デコンプ機構と、該デコンプ機構により開閉させられる前記吸気弁または前記排気弁を開閉する前記動弁カムとが設けられ、前記デコンプ機構は、前記ポンプ用カムと前記動弁カムとの間に位置し、前記ポンプ用カムフォロアは、前記ポンプ用カムに接触する接触部と、軸方向で前記接触部よりも前記動弁カム寄りに偏倚した位置で前記作動部に当接する作用部とを有する内燃機関である。
【0008】
これにより、ポンプ用カムの駆動力を燃料ポンプの作動部に伝達するポンプ用カムフォロアの作用部は、軸方向で、接触部よりも端部ジャーナルから離れて位置するので、作動部、ひいては燃料ポンプを、軸方向で、端部ジャーナル、換言すれば動弁室形成部材の端壁から離れた位置に配置することができる。そのうえ、軸方向でポンプ用カムと重なる位置にある部材などとの干渉を回避できる。
【0009】
この結果、請求項1記載の発明によれば、次の効果が奏される。すなわち、デコンプ機構は、複数のジャーナルのうちの軸方向での端部に位置する端部ジャーナルに隣接して位置すると共にポンプ用カムフォロアを介して作動部を駆動するポンプ用カムと、デコンプ機構により開閉させられる吸気弁または排気弁を開閉する動弁カムとの間に位置し、ポンプ用カムフォロアは、ポンプ用カムに接触する接触部と、軸方向で接触部よりも動弁カム寄りに偏倚した位置で作動部に当接する作用部とを有することにより、作動部、ひいては燃料ポンプを、軸方向で、動弁室形成部材の端部から離れた位置に配置することができ、しかも軸方向でポンプ用カムと重なる位置にある部材などとの干渉を回避できるので、カム軸が長くなることおよび燃料ポンプが動弁室形成部材から軸方向に突出することが抑制されて、内燃機関のコンパクト化ができる。
【0010】
なお、この明細書において、「軸方向」とは、特に断らない限り、カム軸の回転中心線の方向を意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1ないし図10を参照して説明する。
本発明に係る内燃機関が使用された船外機1の概略右側面図である図1を参照すると、内燃機関Eは、クランク軸の回転中心線L1が上下方向を指向するバーチカル内燃機関であって、水冷式で頭上カム軸(OHC)型の直列3気筒4ストローク内燃機関である。
【0012】
内燃機関Eは、上下方向に並設された3つのシリンダである第1〜第3シリンダC1〜C3を有するシリンダブロック2と、シリンダブロック2の前端部に複数のボルトにより結合されるクランクケース3と、シリンダブロック2の後端部に複数のヘッドボルトB1(図3,図4参照)により結合されるシリンダヘッド4と、シリンダヘッド4の後端部にそのシール面4g(図3参照)に気密に接触する環状のシール6(図2参照)を介してネジ孔4h(図3参照)にねじ込まれる複数のボルトにより結合されるヘッドカバー5とを備える。
【0013】
なお、この実施例において、上下前後左右は、船外機1が搭載された船体を基準にしたものであり、船外機1が図1に示される状態にあるときを基準とする。そして、上方は、軸方向A1(すなわち、カム軸31の回転中心線L2の方向)での一方であり、下方は、軸方向A1での他方であり、前方は、各シリンダC1〜C3のシリンダ軸線L3の方向A2での一方であり、後方は、シリンダ軸線方向A2での他方である。また、以下、シリンダ軸線L3を含みかつカム軸31またはクランク軸9の回転中心線L1に平行な基準平面に対して吸気弁43が配置される側を吸気側、そして前記基準平面に対して排気弁44が配置される側を排気側と、それぞれいう。
【0014】
各シリンダC1〜C3に往復動可能に嵌合されたピストン7は、コンロッド8を介してクランク軸9に連結される。クランク軸9は、シリンダブロック2の前部とクランクケース3とにより形成されるクランク室10内に収容されて、シリンダブロック2およびクランクケース3に主軸受を介して回転可能に支持される。クランク室10から上方に突出するクランク軸9の上端部9aには、クランクプーリ11、フライホイールマグネトーを構成するフライホイール12および始動装置としてのスタータノブ13aを有するリコイルスタータ13が上方に向かって順次設けられる。
【0015】
シリンダブロック2は、マウントケース部14aとアンダケース部14bとが一体成形されたエンジンロアケース14のマウントケース部14aに結合され、エンジンロアケース14の下端部にエクステンションケース15の上端部が結合され、エクステンションケース15の下端部にギヤケース16が結合される。内燃機関Eの下部とマウントケース部14aとは、エンジンロアケース14のアンダケース部14bにより覆われ、内燃機関Eの上部は、エンジンロアケース14の上端周縁部にシールを介して結合されたエンジンアッパーカバー17により覆われて、内燃機関Eの全体がアンダケース部14bおよびエンジンアッパーカバー17により形成されるエンジンルーム内に配置される。なお、エンジンロアケース14は、別体とされたマウントケース部14aおよびアンダケース部14bにより構成されてもよい。
【0016】
クランク軸9にその下端部にて結合された駆動軸18は、エンジンロアケース14を貫通して、ギヤケース16内で、ベベルギヤ機構およびクラッチ機構から構成される前後進切換装置19を介してプロペラ軸20に結合される。そして、内燃機関Eの動力は、クランク軸9から駆動軸18、前後進切換装置19およびプロペラ軸20を経由してプロペラ21に伝達され、プロペラ21が回転駆動される。
【0017】
また、船外機1を船体に着脱自在に取り付けるためのスターンブラケット22には、チルト軸23を介してスイベルケース24が上下方向に揺動可能に支持され、スイベルケース24のパイプ状の支持部24aにスイベル軸26が回動可能に嵌合される。スイベル軸25は、その上端部でマウントラバーを介してエンジンロアケース14に結合され、その下端部でマウントラバーを介してエクステンションケース15に結合される。そして、スイベル軸25に結合される操舵ハンドル(図示されず)が左右に操作されることにより、船外機11がスイベル軸25を中心軸として左右方向に揺動されて、操舵が行われる。
【0018】
図2を併せて参照すると、シリンダヘッド4とヘッドカバー5とで形成される動弁室30内には、1つのカム軸31を有すると共に吸気弁43および排気弁44を開閉する動弁機構Vと、内燃機関Eの始動時の圧縮行程時に各シリンダC1〜C3内の圧縮圧力を低減するデコンプ機構D1〜D3とが配置される。ここで、シリンダヘッド4およびヘッドカバー5は、動弁室30を形成する動弁室形成部材である。
【0019】
クランク軸9の回転中心線L1(図1参照)に平行な回転中心線L2を有するカム軸31は動弁室30内でシリンダヘッド4に回転可能に支持される。カム軸31は、シリンダヘッド4の、軸方向A1での一方の端壁である上壁4aを、オイルシール32により密封された状態で貫通する。動弁室30から上方に突出するカム軸31の上端部31aには、カム軸31の回転位置を検出するパルス発生器33およびカムプーリ34が、上方に向かって順次設けられる。そして、クランクプーリ11と、カムプーリ34と、両プーリ11,34に掛け渡されたタイミングベルト35とからなる伝動機構を介して伝達されるクランク軸9の動力により、カム軸31がクランク軸9に連動して、その1/2の回転速度で回転方向A0(図4,図6参照)に回転駆動される。
【0020】
また、パルス発生器33は、非磁性体の材料からなるカムプーリ34の内周面に設けられた1つの磁性体33a(図3参照)と上端部31aの周囲で上壁4aに固定されたコイルユニット33bとから構成される。コイルユニット33bは、周方向に等間隔に配置されると共にカム軸31の回転に応じて磁性体33aと順次対向する3つのピックアップコイルを有し、これらピックアップコイルの出力信号により第1〜第3シリンダC1〜C3の点火タイミングがそれぞれ決定される。
【0021】
シリンダヘッド4の、軸方向A1での他方の端壁である下壁4bには、連結部36にてカム軸31の下端部に連結されて該カム軸31により駆動される回転軸37aを有するトロコイド型のオイルポンプ37が、ポンプボディ37bおよびポンプカバー37cを貫通する複数のボルトB2により結合される。そして、エンジンロアケース14の下端部に取り付けられたオイルパン38に貯留している潤滑油が、オイルストレーナ39aが設けられた吸入管39bとシリンダブロック2およびシリンダヘッド4に形成され吸入油路とを通ってオイルポンプ37に吸入される。また、オイルポンプ37から吐出された潤滑油は、シリンダヘッド4およびシリンダブロック2に形成され吐出油路、さらにオイルフィルタを通ってメインギャラリに流入し、該メインギャラリから前記主軸受をはじめとする各潤滑箇所に供給される。
【0022】
図2,図3を参照して、内燃機関Eについてさらに説明する。
第1〜第3シリンダC1〜C3は、軸方向A1に連続して位置するシリンダ列を構成する。該シリンダ列は、その軸方向A1での中間に位置する中間シリンダとしての第2シリンダC2と、前記シリンダ列の軸方向A1での両端部に位置して、第2シリンダC2を挟んで該第2シリンダC2に隣接する、すなわち第2シリンダC2と互いに隣り合う1対の端部シリンダである第1,第3シリンダC1,C3とから構成される。
【0023】
図4を併せて参照すると、シリンダヘッド4の吸気側の側壁である右壁4cに取り付けられる吸気装置(図示されず)からの吸気をシリンダヘッド4に形成された燃焼室40に導く1つの吸気ポート41と、燃焼室40から排出された燃焼ガスをシリンダブロック2に形成された排気通路(図示されず)に導く1つの排気ポート42とが、シリンダC1〜C3毎にそれぞれ形成される。そして、前記吸気装置は、シリンダC1〜C3毎に設けられて吸入された吸入空気に燃料を供給する燃料供給装置としての気化器と、形成された混合気を吸気ポート41に導く吸気マニホルドとを備える。
【0024】
さらに、シリンダヘッド4には、シリンダC1〜C3毎に、吸気ポート41の吸気口を開閉する吸気弁43および排気ポート42の排気口を開閉する排気弁44が摺動可能に設けられる。各シリンダC1〜C3に属するこれら吸気弁43および排気弁44は、弁バネ46の弾発力により閉弁方向に常時付勢されている。
【0025】
そして、吸気弁43が開弁して、ピストン7が下死点に向かう吸気行程で吸気ポート41から燃焼室40内に吸入された混合気は、圧縮行程で上死点に向かうピストン7により圧縮された後、シリンダヘッド4の排気側で各排気弁44の上方に取り付けられた点火栓45により点火されて燃焼し、膨張行程で燃焼ガスの圧力により下死点に向かうピストン7が、コンロッド8を介してクランク軸9を回転駆動する。燃焼ガスは、ピストン7が上死点に向かう排気行程で排気ガスとして燃焼室40から排気ポート42に排出され、各排気ポート42からの排気ガスは、前記排気通路内で集合した後、排気管を通って船外機1の外部に放出される。
【0026】
動弁機構Vは、動弁室30内で3つシリンダC1〜C3に渡って延びるカム軸31と、カム軸31に設けられて各シリンダC1〜C3に属する吸気カム47,49,51および排気カム48,50,52からなる第1〜第3シリンダC1〜C3毎の1組の動弁カムと、カム軸31よりもヘッドカバー5寄りの位置でシリンダヘッド4に設けられた1対のロッカ軸の一方である吸気ロッカ軸53および他方である排気ロッカ軸54と、吸気カム47,49,51おより排気カム48,50,52により駆動されるカムフォロアとして、両ロッカ軸53,54にそれぞれ揺動可能に支持される吸気ロッカアーム55,57,59および排気ロッカアーム56,58,60とを有し、動弁機構Vのこれら構成要素は、動弁室30内に配置される。
【0027】
カム軸31は、その複数のジャーナル61〜63にて、それらジャーナル61〜63と同数の、動弁室30内に設けられた軸受64〜66に回転可能に支持される。カム軸31の複数のジャーナル61〜63は、動弁室30の最上部に位置して上端部31aに近接する位置に形成された第1端部ジャーナル61と、動弁室30の最下部に位置すると共にカム軸31の下端部31bに連結部36と軸方向A1で重なる位置に形成された第2端部ジャーナル63と、軸方向A1で第1,第2端部ジャーナル61,63の中間に位置する部分に形成されて、両端部ジャーナル61,63よりも大きな外径の中間ジャーナル62とから構成される。また、複数の軸受64〜66は、上壁4aに一体成形されて第1端部ジャーナル61を支持する第1端部軸受64と、下壁4bに設けられて第2端部ジャーナル63を支持する第2端部軸受66と、軸方向A1で両端部軸受64,66の中間に位置して、中間ジャーナル62を支持する中間軸受65とから構成される。
【0028】
第1端部軸受64および中間軸受65は、シリンダヘッド4に一体成形されてヘッドカバー5に向かって突出する突出部からなり、連結部36と軸方向A1で重なる位置に設けられる第2端部軸受66は、ポンプボディ37bに一体成形されて下壁4bの貫通孔4eを貫通して動弁室30内に挿入される筒状の突部37dからなる。そして、各軸受64〜66には、それらに対応して支持される各ジャーナル61〜63が摺接可能に挿入される軸受孔64b,65b,66bが形成される。
【0029】
カム軸31には、第1端部ジャーナル61に隣接する位置に、第1端部軸受64の軸方向A1での動弁室側端面64aに当接する当接面67aを有する規制部であるフランジ67と、第2端部ジャーナル63に隣接する位置に、特定軸受としての第2端部軸受66の軸方向A1での動弁室側端面66aに当接する当接面68aを有する規制部である円板状の偏心カムからなるポンプ用カム68とが、それぞれ一体成形される。フランジ67と、燃料ポンプ74を駆動するためのポンプ用カム68とは、第1,第2端部軸受64,66にそれぞれ当接して軸方向A1へのカム軸31の移動を規制する。具体的には、フランジ67が端面64aに当接することで、上方へのカム軸31の移動が阻止され、ポンプ用カム68が端面66aに当接することで、下方へのカム軸31の移動が阻止される。
【0030】
また、カム軸31において、フランジ67とポンプ用カム68との軸方向A1での間には、一方の前記端部シリンダであって前記シリンダ列の最上部に位置する第1シリンダC1に属する吸気カム47および排気カム48と、他方の前記端部シリンダであって、前記シリンダ列の最下部に位置する第3シリンダC3に属する吸気カム51および排気カム52と、第2シリンダC2に属する吸気カム49および排気カム50とが、それぞれカム軸31に一体成形される。
【0031】
図4に代表して示されるように、吸気カム47,49,51および排気カム48,50,52は、それぞれ、弁バネ46に付勢される吸気弁43および排気弁44を閉弁状態に保つベース円部Mi,Meと、吸気弁43および排気弁44の開閉時期とリフト量とを規定するカム山部Ni,Neとにより形成されるカム面を有する。
【0032】
各シリンダC1〜C3において、吸気カム47,49,51の下方に位置する排気カム48,50,52の下方には、リコイルスタータ13による内燃機関Eの始動時における圧縮行程時に排気弁44を開閉するデコンプ機構D1〜D3が設けられる。デコンプ機構D1〜D3は、後述するデコンプカム92による僅かなデコンプリフト量で排気弁44を開弁して、シリンダC1〜C3内の圧縮された吸気を排気ポート42に放出して圧縮圧力を低減する作動、すなわちデコンプ作動を行う。
【0033】
第1,第2シリンダC1,C2の吸気カム47,49、排気カム48,50およびデコンプ機構D1,D2は、中間ジャーナル62の上方であって、第1端部ジャーナル61と中間ジャーナル62との間に位置し、第3シリンダC3の吸気カム51、排気カム52およびデコンプ機構D3は、中間ジャーナル62の下方であって、中間ジャーナル62と第2端部ジャーナル63との間に位置する。なお、図1〜図3において、カム軸31のデコンプ機構D1〜D3近傍部分は、その周辺のカム軸31の部分とは異なる角度から見た図として描かれているが、実際には、図6に示されるように、カム軸31の回転方向A0に等間隔に配置されている。
【0034】
それゆえ、第2シリンダC2に属する吸気カム49、排気カム50およびデコンプ機構D2のうち最も第1シリンダC1寄りに位置する吸気カム49と、第2シリンダC2に隣接する1対の隣接シリンダの一方の隣接シリンダとしての第1シリンダC1に属する吸気カム47、排気カム48およびデコンプ機構D1のうち最も第2シリンダC2寄りに位置するデコンプ機構D1との間に形成されるカム軸31のシリンダ間部分31cには、カム軸31を回転可能に支持する軸受は配置されておらず、したがってジャーナルも形成されていない。
【0035】
さらに、第1シリンダC1に属する吸気カム47、排気カム48およびデコンプ機構D1のうちのデコンプ機構D1に隣接して、その直下に第2シリンダC2に属する吸気カム49、排気カム50およびデコンプ機構D2のうちの吸気カム49が設けられる。そのため、カム軸31において、第1シリンダC1のデコンプ機構D1に軸方向A1で隣接して設けられる部分は、第2シリンダC2の吸気カム49であり、デコンプ機構D1の遠心ウエイト91と吸気カム49とが軸方向A1で近接して配置される。
【0036】
一方、第2シリンダC2に属する吸気カム49、排気カム50およびデコンプ機構D2のうちの最も第3シリンダC3寄りに位置するデコンプ機構D2と、前記1対の隣接シリンダの他方の隣接シリンダとしての第3シリンダC3に属する吸気カム51、排気カム52およびデコンプ機構D3のうちの最も第2シリンダC2寄りに位置する吸気カム51との間に位置するカム軸31のシリンダ間部分31dには、中間ジャーナル62が形成されており、中間軸受65が配置される。
【0037】
また、第3シリンダC3に属する吸気カム51、排気カム52およびデコンプ機構D3は、第2端部軸受66と、該第2端部軸受66に軸方向A1で隣接する軸受である中間軸受65との間に配置される。そして、吸気カム51、排気カム52およびデコンプ機構D3のうちのデコンプ機構D3が、ポンプ用カム68に対して軸方向A1で第2端部軸受66とは反対側に、ポンプ用カム68に隣接して配置される。
【0038】
第2シリンダC2の吸気カム49は、第1シリンダC1の吸気カム47および第3シリンダC3の吸気カム51の、軸方向A1での間隔を二等分する位置よりも第1シリンダC1の吸気カム47寄りに位置し、同様に第2シリンダC2の排気カム50は、第1シリンダC1の排気カム48および第3シリンダC3の排気カム52の、軸方向A1での間隔を二等分する位置よりも第1シリンダC1の排気カム48寄りに位置する。そして、第2シリンダC2では、吸気カム49および排気カム50が前述のように第1シリンダC1寄りに偏倚した位置に設けられることにより形成された軸方向A1のスペースにデコンプ機構D2が配置される。
【0039】
そして、カム軸31は、次のようにしてシリンダヘッド4に装着される。先ず、デコンプ機構D1〜D3が装着されたカム軸31は、下方から上方に向かって、中間ジャーナル62の外径よりも大きな内径を有する貫通孔4e、後述する軸支持部69に形成されて中間ジャーナル62の外径よりも大きな径を有する貫通孔69a、中間軸受65の軸受孔65b、さらに第1端部軸受64の軸受孔64bに順次挿入される。そして、フランジ67の当接面67aが第1端部軸受64に当接した状態で、第2端部軸受66の軸受孔66bに第2端部ジャーナル63が挿入されるように、オイルポンプ37が下壁4bに結合される。
【0040】
図2〜図5を参照すると、各ロッカ軸53,54は、下壁4bに形成された貫通孔4f,4g、および下壁4bと中間軸受65との軸方向A1での中間でシリンダヘッド4に一体成形されてヘッドカバー5に向かって突出する突出部からなる軸支持部69に形成された1対の貫通孔69f,69g(図3,図5参照)に挿通され、さらに中間軸受65および第1端部軸受64にそれぞれ形成された1対の貫通孔65f,65g;64f,64gに挿通されるように、下壁4bの貫通孔4f,4gの開口から上方に向けて挿入される。そして、図4に示されるように、中間軸受65に挿通される各ロッカ軸53,54の部分に形成された切欠部53a,54aを貫通して中間軸受65にねじ込まれるボルトB3により、ロッカ軸53,54の回転が規制され、さらに各ロッカ軸53,54の抜止めがなされる。
【0041】
図2〜図4を参照すると、各吸気ロッカアーム55,57,59の一端部には、吸気弁43の弁ステムの先端部43a(なお、吸気ロッカアーム57が当接する先端部43aを、便宜上符号43Aで示す。)から構成される当接部に当接する作用部としての先端部(図4には先端部57a1のみが示されている。)を有する調整ネジ55a,57a,59aが設けられ、その他端部には、吸気カム47,49,51に接触する接触部としてのスリッパ55b,57b,59bが設けられ、さらに調整ネジ55a,57a,59aおよびスリッパ55b,57b,59bの中間に形成されて吸気ロッカ軸53が挿通される貫通孔が形成された支点部55c,57c,59cが設けられる。
【0042】
一方、各排気ロッカアーム56,58,60の一端部には、排気弁44の弁ステムの先端部44a(なお、排気ロッカアーム58が当接する先端部44aを、便宜上符号44Aで示す。)から構成される当接部に当接する作用部としての先端部(図4には先端部58a1のみが示されている。)を有する調整ネジ56a,58a,60aが設けられ、その他端部には、排気カム48,50,52に接触する接触部としてのスリッパ56b,58b,60bが設けられ、さらに調整ネジ56a,58a,60aおよびスリッパ56b,58b,60bの中間に形成されて排気ロッカ軸54が挿通される貫通孔が形成された支点部56c,58c,60cが設けられる。
【0043】
なお、吸気ロッカ軸53および排気ロッカ軸54には、それぞれ、各シリンダC1〜C3に属する吸気ロッカアーム55,57,59および排気ロッカアーム56,58,60の軸方向A1で位置を規定するための位置決め用カラー70と位置決め用バネ71とが嵌められている。
【0044】
第2シリンダC2に属する吸気ロッカアーム57および排気ロッカアーム58は、それぞれ、スリッパ57b,58bから軸方向A1でデコンプ機構D2寄りに、ここではスリッパ57b,58bから下方に偏倚した位置に、調整ネジ57a,58aの前記先端部を有する特定ロッカアームである。そのうち、排気ロッカアーム58については、その調整ネジ58aの前記先端部とデコンプ機構D2とが軸方向A1で重なる位置に設けられる。また、吸気ロッカアーム57の調整ネジ57aの前記先端部57a1および吸気弁43の先端部43Aと排気カム50とが軸方向A1で重なる位置に設けられる。それゆえ、吸気ロッカアーム57および排気ロッカアーム58は、それぞれにおいて、スリッパ57b,58bと調整ネジ57a,58aの前記先端部とを結ぶ直線が、吸気ロッカ軸53および排気ロッカ軸54に対して上方に傾斜したものとなる。
【0045】
さらに、第2シリンダC2に属すると共にデコンプ機構D2により開閉される排気弁44を排気ロッカアーム58を介して開閉する特定動弁カムとしての排気カム50は、第2シリンダC2に属する排気弁44の先端部44Aと軸方向A1で重ならない位置であって、軸方向A1で先端部44Aよりも上方に設けられ、デコンプ機構D2は、該先端部44Aと軸方向A1で重なる位置を占める。それゆえ、ここでは第2シリンダC2は特定シリンダである。
【0046】
そして、吸気カム47,49,51および排気カム48,50,52がカム軸31と共に回転すると、それら吸気カム47,49,51および排気カム48,50,52が、吸気カム47,49,51および排気カム48,50,52により揺動される吸気ロッカアーム55,57,59および排気ロッカアーム56,58,60を介して、各シリンダC1〜C3の吸気弁43および排気弁44を所定のクランク角位置で開閉する。
【0047】
また、図2,図3を参照すると、前記メインギャラリの潤滑油の一部は、シリンダヘッド4の排気側に形成された最上位の締結用のボス部S1に形成された挿通孔と該挿通孔に挿通されたヘッドボルトB1との間に形成される環状の油路K1から、シリンダヘッド4に形成された油路K2を経て、第1端部軸受64に形成されて蓋72により密閉される小容積の油室K3に流入する。該油室K3の潤滑油は、各ロッカ軸53,54の中空部により構成される油路K4,K5(図5参照)さらに各ロッカ軸53,54に径方向に形成された小孔を通って、吸気ロッカアーム55,57,59および排気ロッカアーム56,58,60と吸気ロッカ軸53および排気ロッカ軸54との摺動部に供給され、また第1端部軸受64の軸受孔64bの周壁面に開口する油路K6を通って第1端部軸受64と第1端部ジャーナル61の摺動部に供給され、また油路K4からそれぞれ吸気ロッカ軸53および中間軸受65に形成された小孔を通って、中間軸受65と中間ジャーナル62との摺動部に供給される。なお、油路K4,K5の下端が開放する貫通孔4gは、オイルポンプ37のポンプボディ37bにより閉塞される。
【0048】
さらに前記各小孔から流出した潤滑油は、前記各摺動部から動弁室30内に流出して、吸気カム47,49,51および排気カム48,50,52と吸気ロッカアーム55,57,59および排気ロッカアーム56,58,60とのそれぞれの摺動部、各デコンプ機構D1〜D3の摺動部、第2端部軸受66と第2端部ジャーナル63との摺動部などを潤滑した後、下壁4bおよびヘッドカバー5の下壁で構成される動弁室30の底壁に集合する。そして、動弁室30の下部で前記底壁上の潤滑油は、シリンダヘッド4およびシリンダブロック2に形成された油路K7,K8およびヘッドカバー5に接続された油管73を経て、エンジンロアケース14に形成された油路K9に集合し、さらに戻り油管を経てオイルパン38に戻る。
【0049】
図2,図3,図5を参照すると、前記気化器に燃料を圧送するための燃料ポンプ74は、ポンプ用カム68によりポンプ作用を行う容積型ポンプであり、シリンダヘッド4の右壁4cの外面に形成された取付座にボルトB4で固定されて取り付けられる。
【0050】
カム軸31において、ポンプ用カム68は、動弁室30の最下部に位置する第2端部ジャーナル63の上方に隣接して位置し、その上方に隣接してデコンプ機構D3が、さらに該デコンプ機構D3の上方に隣接して排気カム52が順次位置する。また、図5,図6を参照するとポンプ用カム68は、回転中心線L2から所定偏心量だけ吸気側寄りに偏心した位置に中心Fを有する断面が半径Rの円からなる偏心カムであり、その円周にカム面68bが形成される。そして、回転中心線L2からのカム面68bまでの距離が半径R以上となる部分が、ポンプ用カム68のカム山部Npを構成する。
【0051】
図5を参照すると、燃料ポンプ74は、ポンプ室76を形成するハウジング75と、ダイヤフラム77と、ダイヤフラム77に結合される作動部としての作動ロッド78とを備える。
【0052】
3つの部材75a,75b,75cが積層されて構成されるハウジング75において、シリンダヘッド4に最も近接した位置にある部材75aには、燃料ポンプ74を前記取付座に取り付けるためのボルトB4が挿通される取付フランジ75a1と、右壁4cに形成された貫通孔4eから動弁室30内に突出する筒状の案内部75a2とが設けられる。
【0053】
作動ロッド78は、ダイヤフラム77に結合される第1ロッド78aと、第1ロッド78aが挿入される有底の挿入孔が形成されて、結合ピン78cにより第1ロッド78aと一体に移動可能に結合される第2ロッド78bとから構成される。第2ロッド78bは、案内部75a2の内側の案内孔75a3に摺動可能に挿入され、その先端部78b1は、案内部75a2の先端開口から突出して動弁室30内に臨み、ポンプ用カムフォロアとしてのスイングアーム79が当接する当接部を構成する。作動ロッド78は、先端部78b1がスイングアーム79に常時押し付けられるように、押出しバネ78eにより案内部75a2から突出する方向に付勢されている。
【0054】
そして、案内部75a2および作動ロッド78は、第2端部ジャーナル63、ポンプ用カム68および最下位のヘッドボルトB1bまたは該ヘッドボルトB1bが挿通される最下位の締結用のボス部S2よりも上方または軸方向A1で排気カム52寄りに配置されて、動弁機構Vなどの動弁室30内での潤滑箇所を潤滑した後の潤滑油が集まる動弁室30の前記底壁から上方に、または軸方向A1で下壁4bから排気カム52寄りに十分離れて位置する。
【0055】
ポンプ用カム68より駆動されて、その駆動力を燃料ポンプ74の作動ロッド78に伝達するスイングアーム79は、吸気ロッカ軸53が挿通される貫通孔が形成されて吸気ロッカ軸53に揺動可能に支持される支点部79cと、ポンプ用カム68のカム面68bに接触する接触部69bと、作動ロッド78の先端部78b1に当接する作用部79aとを有する。
【0056】
そして、カム軸31が回転すると、カム軸31と一体に回転するポンプ用カム68は、該ポンプ用カム68により揺動されるスイングアーム79を介して作動ロッド78を駆動し、該作動ロッド78に往復運動を行わせる。この往復運動によりダイヤフラム77がポンプ室76の容積を増減するように撓んで、容積増大時に、燃料タンクから配管を流通して吸入逆止弁を通って流入した燃料をポンプ室76に吸入し、容積減少時に、ポンプ室76から吐出逆止弁を通って吐出された燃料を配管を介して前記気化器に圧送する。
【0057】
ここで、スイングアーム79の作用部79aは、軸方向A1で接触部79bよりもデコンプ機構D3寄りに偏倚した位置で作動ロッド78の先端部78b1に当接する。さらに、具体的には、作用部79aは、ポンプ用カム68および接触部79bよりも上方に位置して、デコンプ機構D3の揺動中心線L4または軸支持部69と軸方向A1で重なる位置を占める。そのため、スイングアーム79は、ポンプ用カム68と軸方向A1で重なる位置にある最下位のヘッドボルトB1bおよびシリンダヘッド4に形成された部分であるボス部S2との干渉を回避するように、接触部79bから作用部79aに向かって、ヘッドボルトB1bおよびボス部S2に対して、それらの上方または最上部付近を通って上方に傾斜して、または動弁室30の軸方向A1での中央寄りに傾斜して、延びている。
【0058】
図2,図3,図6〜図10を参照して、デコンプ機構D1〜D3について説明する。
各シリンダC1〜C3に属するデコンプ機構D1〜D3は、すべての点で同一の仕様であり、図6に示されるように、カム軸31の回転方向A0で隣接するデコンプ機構D1〜D3のデコンプカム92の位相がカム角度で120°(クランク角度で240°)となる位置に配置される。図2,図3を参照すると、各デコンプ機構D1〜D3は、各排気ロッカアーム56,58,60のスリッパ56b,58b,60bが接触する排気カム48,50,52に隣接してその下方に位置するカム軸31の軸部80に配置される。
【0059】
以下、図7〜図10を参照して、主にデコンプ機構D3について説明するが、デコンプ機構D1,D2について対応する部材については、符号を括弧内に示す。
排気カム52(48,50)の下端部52aからその真下の軸部80にかけて、回転中心線L2に平行であると共に後述する揺動中心線L4に直交する平面P1に含まれる平面からなる支持面81aを有する第1切欠部81が形成される。さらに、軸部80において、軸方向A1で第1切欠部81の下部と重なる位置から第1切欠部81よりも下方に延びて、平面P1に直交すると共に回転中心線L2に平行な平面P2に含まれる平面からなるストッパ面82aを有する第2切欠部82が形成される。
【0060】
図7(A),図8に示されるように、軸部80において、第2切欠部82の上方には、平面P1に平行に径方向外方に突出する1対の突出部83a,83bからなる保持部83がカム軸31に一体成形されて設けられ、各突出部83a,83bには、後述する遠心ウエイト91をカム軸31に対して揺動可能に支持するための支持部としての円柱状のピン84が摺動可能に挿入される。
【0061】
図10を併せて参照すると、各デコンプ機構D1〜D3は、メタルインジェクションにより一体成形された金属製の単一の部材からなるデコンプ部材90と、捩りコイルバネからなる戻しバネ95とから構成される。デコンプ部材90は、保持部83に保持されるピン84に揺動可能に支持される遠心ウエイト91と、該遠心ウエイト91と一体に揺動して始動時にスリッパ60b(56b,58b)に接触して排気弁44を開弁するデコンプカム92と、遠心ウエイト91とデコンプカム92とを連結する板状のアーム93とを有する。
【0062】
戻しバネ95は1対の突出部83a,83bの間に配置される。戻しバネ95の弾発力は、内燃機関Eの始動時に、機関回転速度が所定回転速度に達するまでは、遠心ウエイト91が後述する作動位置(図7(A)参照)を占めるモーメントを遠心ウエイト91に作用させる値に設定される。
【0063】
遠心ウエイト91は、その揺動中心線L4の方向で両突出部83a,83bの外側に位置する1対の基部91a,91bと、両基部91a,91bに連なるブロック状のウエイト本体91cとから構成される。各基部91a,91bには、ピン84が摺動可能に挿入される。
【0064】
ウエイト本体91cのカム軸31に面する平面部91c1には、突起からなる当接部91c2が形成され、またウエイト本体91cの径方向で外方に面する外周面91c3は、図10(D)によく示されるように、ほぼ円柱面の一部から構成される。当接部91c2は、第2切欠部82のストッパ面82aに当接することで、遠心ウエイト91(またはデコンプ部材90)のデコンプ作動を行う作動位置を規定する。一方、アーム93の下面には当接部93aが形成され、該当接部93aは、支持面81aに隣接して第1切欠部81の下側壁となる段部80aのストッパ面80a1に当接することで、遠心ウエイト91(またはデコンプ部材90)が最も径方向外方に揺動してデコンプ作動を解除する解除位置を規定する。
【0065】
アーム93の先端部に設けられたデコンプカム92は、揺動中心線L4の方向に突出するカム面92aを有すると共に、揺動中心線L4の方向でカム面92aとは反対側に支持面81aと面接触する接触面92bを有し、遠心ウエイト91が揺動するとき支持面81a上を摺動する。そして、デコンプカム92は、デコンプ部材90が前記作動位置を占めるとき、排気カム52(48,50)のベース円部Meから最大で所定高さH(図8参照)で径方向に突出する。そして、該所定高さHにより、デコンプ作動時の排気弁44のリフト量、すなわちデコンプリフト量が規定される。
【0066】
次に、デコンプ機構D3(D1,D2)の作動について説明する。図7(A),(B)を参照すると、内燃機関Eが停止され、カム軸31が回転していないとき、デコンプ部材90の重心Gは揺動中心線L4よりも回転中心線L2を含み平面P2に平行な平面P3に近い位置にあるため、デコンプ部材90には、デコンプ部材90の自重により図7(A)において揺動中心線L4を中心に時計回りの方向のモーメントと、戻しバネ95の弾発力による反時計回りの方向のモーメントとが作用して、遠心ウエイト91の当接部91c2がストッパ面82aに当接して、デコンプ部材90は前記作動位置を占める。
【0067】
内燃機関Eを始動するために、リコイルスタータ13のリールに巻き付けられているロープに結合されたスタータノブ13a(図1参照)を引くことにより、リコイルスタータ13が操作されて、クランク軸9が回転する。このとき機関回転速度は前記所定回転速度以下であるため、デコンプ部材90は前記作動位置を占める。
【0068】
そのため、シリンダC3(C1,C2)が圧縮行程にあるとき、排気カム52(48,50)のベース円部Meよりも径方向外方に突出しているデコンプカム92が、排気ロッカアーム60(56,58)のスリッパ60b(56b,58b)に接触して排気ロッカアーム60(56,58)を揺動させて、前記デコンプリフト量で排気弁44を開弁する。このとき、シリンダC3(C1,C2)内の圧縮された吸気が排気ポート42に放出され、シリンダC3(C1,C2)内の圧縮圧力が低減されて、ピストン7が上死点を容易に乗り越えることができて、リコイルスタータ13の操作力が軽減される。
【0069】
その後、機関回転速度が増加して、前記所定回転速度を越えると、デコンプ部材90に作用する遠心力によるモーメントが、戻しバネ95の弾発力によるモーメントに打ち勝つ。このとき、デコンプカム92にスリッパ60b(56b,58b)が接触していなければ、デコンプ部材90は、遠心力によるモーメントで揺動を開始して、径方向外方に移動し、アーム93は支持面81a上を摺動して、アーム93の当接部93aがストッパ面80a1に当接するまで揺動して、図7(B)に示される前記解除位置を占める。
【0070】
この解除位置では、デコンプカム92は、第1切欠部81の軸方向A1で排気カム52(48,50)と重なる位置から軸方向A1に移動して、スリッパ60b(56b,58b)と接触しない位置を占めるので、デコンプ作動が解除される。したがって、シリンダC3(C1,C2)が圧縮行程にあるとき、スリッパ60b(56b,58b)は排気カム52(48,50)のベース円部Meに接触するので、排気弁44は閉弁状態にあり、通常の圧縮圧力で吸気が圧縮される。その後、内燃機関Eは、その機関回転数が次第に上昇し、完爆状態を経てアイドリング運転に移行する。
【0071】
図2,図3を参照すると、第1,第3シリンダC1,C3に属するデコンプ機構D1,D3の揺動中心線L4は、排気ロッカアーム56,60よりも下方に位置すると共に、デコンプ機構D1,D3の全体が排気カム48,52の下端部以下の下方に位置する。第2シリンダC2に属するデコンプ機構D2の揺動中心線L4は、排気ロッカアーム58のスリッパ58bと調整ネジ58aとの軸方向A1での位置で規定される軸方向範囲内に位置する。そして、排気弁44の先端部44Aは、軸方向A1でデコンプ機構D2の遠心ウエイト91と重なる位置を占め、さらにデコンプ機構D2は、その大部分、すなわちデコンプカム92から遠心ウエイト91の半分以上に至る部分が、排気ロッカアーム58と軸方向A1で重なる位置を占める。
【0072】
第3シリンダC3に属するデコンプ機構D3は、その一部であるピン84、アーム93の一部および遠心ウエイト91の一部が、軸支持部69の貫通孔69a内に収容されて、それらは軸方向A1で軸支持部69と重なる位置を占める。さらに、図2,図3に示されるように、デコンプ機構D3は、ポンプ用カム68に対して、軸方向A1で第2端部軸受66および第2端部ジャーナル63とは反対側で、ポンプ用カム68に軸方向A1で隣接してその上方に位置する。
【0073】
図5,図6を参照すると、デコンプ機構D3は、その遠心ウエイト91の揺動中心線L4が、軸方向A1から見て、回転中心線L2とカム山部Npの最大高位部Np1とを結ぶ基準直線L5と直交するように、また基準直線L5が遠心ウエイト91のほぼ対称線となるように、カム軸31に揺動可能に支持される。そして、遠心ウエイト91は、その重心Gを含めて、軸方向A1から見て、ポンプ用カム68のカム山部側、または回転中心線L2に対してポンプ用カム68の中心Fが位置する側に配置される。ここで、カム山部側とは、回転中心線L2を含み前記基準直線L5に直交する平面に対してカム山部Npまたは最大高位部Np1が位置する側を意味する。
【0074】
それゆえ、カム軸31の回転速度が増加して、遠心ウエイト91が前記作動位置から前記解除位置まで揺動するとき、遠心ウエイト91は、軸方向A1から見て、カム軸31の回転中心線L2に対して、カム山部Npの最大高位部Np1に近づく方向に揺動し、より具体的には、カム山部Npの最大高位部Np1が位置する方向と同じ方向である前記基準直線L5が延びる方向に揺動する。
【0075】
しかも、図6,図7に示されるように、前記解除位置で、デコンプ機構D3においてカム軸31の径方向で最外方に位置する部分である遠心ウエイト91の外周面91c3は、前記作動位置にある遠心ウエイト91の径方向での最大外方に位置する部分とほぼ同じ径方向での位置を占める。それゆえ、デコンプ機構D3は、遠心ウエイト91の全体、さらにはデコンプ機構D3の全体が、ポンプ用カム68の軸方向A1に平行な投影範囲内に収まるように、すなわち軸方向A1から見て、ポンプ用カム68のカム面68bの範囲内もしくはポンプ用カム68と重なる範囲内で揺動する。そして、遠心ウエイト91全体は、少なくとも前記カム山部側でカム山部Npの形成範囲よりも内側に収まるように揺動する。
【0076】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
カム軸31の第2端部ジャーナル63を支持する第2端部軸受66に当接して下方へのカム軸31の移動を阻止する規制部が燃料ポンプ74を駆動するポンプ用カム68であり、前記シリンダ列の最下部の第3シリンダC3に属するデコンプ機構D3は、軸方向A1で第2端部軸受66とは反対側でポンプ用カム68に隣接して上方に配置されたことにより、ポンプ用カム68が前記規制部を兼ねることから、カム軸にポンプ用カムと規制部とが別個に設けられる場合に比べ、カム軸31に沿って軸方向A1でのスペースが形成されると共に、軸方向A1でポンプ用カム68に隣接してデコンプ機構D3が配置されて、ポンプ用カム68に近接させてデコンプ機構D3を配置することができるので、ポンプ用カム68とデコンプ機構D3とが設けられるカム軸31が長くなることが抑制され、ひいては動弁室30の大型化が抑制されて、内燃機関Eを軸方向A1にコンパクト化することができる。
【0077】
カム軸31の3つのジャーナル61,62,63を支持する該ジャーナル61,62,63と同数の3つの軸受64,65,66のうちの1つの第2端部軸受66に当接して下方へのカム軸31の移動を阻止する規制部が燃料ポンプ74を駆動するポンプ用カム68であり、第2端部軸受66と中間軸受65との間にポンプ用カム68と第3シリンダC3に属する吸気カム51、排気カム52およびデコンプ機構D3とが配置され、排気カム52は、第2端部軸受66とは反対側でポンプ用カム68に隣接して配置されたことにより、1つのシリンダである第3シリンダC3を挟んで位置する第2端部軸受66と中間軸受65との間にポンプ用カムと規制部とが別個に設けられる場合に比べ、カム軸31に沿って軸方向A1でのスペースが形成されると共に、ポンプ用カム68に近接させて吸気カム51、排気カム52およびデコンプ機構D3を配置することができるので、この点でも、ポンプ用カム68とデコンプ機構D3とが設けられるカム軸31が長くなることが抑制され、ひいては動弁室30の大型化が抑制されて、内燃機関Eをコンパクト化することができる。
【0078】
また、カム軸31とオイルポンプ37の回転軸37aとを連結する連結部36は、第2端部ジャーナル63および第2端部軸受66と、軸方向A1で重なる位置に設けられるので、この点でもカム軸31の長軸化を抑制できる。
【0079】
ポンプ用カム68に軸方向A1で隣接して位置すると共にカム軸31に揺動可能に支持されるデコンプ機構D3の遠心ウエイト91は、軸方向A1から見て、ポンプ用カム68の前記カム山部側に配置されると共に、カム軸31の回転速度が増加するとき、カム軸31の回転中心線L2に対してカム山部Npの最大高位部Np1に近づく方向、好ましくは、回転中心線L2に対してカム山部Npの最大高位部Np1が位置する方向と同じ方向である基準直線L5が延びる方向に揺動することにより、前記カム山部側に配置された遠心ウエイト91は、回転中心線L2から最も離れた位置にある最大高位部Np1に向かって揺動するので、軸方向A1から見て遠心ウエイト91がポンプ用カム68のカム面68bと重なるまでの揺動範囲を、遠心ウエイトがポンプ用カムの前記カム山部側以外の部分に配置されて径方向外方に揺動するものに比べて大きくすることができることから、遠心ウエイト91の設定された揺動範囲で遠心ウエイト91とスイングアーム79との干渉を回避したうえで、ポンプ用カム68とデコンプ機構D3とを近接して配置することができ、カム軸31が長くなることが抑制され、ひいては動弁室30の軸方向A1で大型化することが抑制されて、内燃機関Eのコンパクト化ができる。
【0080】
また、ポンプ用カム68に軸方向A1で隣接して位置すると共に径方向に移動可能にカム軸31に支持されるデコンプ機構D3の遠心ウエイト91は、軸方向A1から見て、ポンプ用カム68のカム面68bの範囲内で移動することにより、軸方向A1から見て、遠心ウエイト91がカム面68bよりも外方に突出することがないので、遠心ウエイト91の設定された揺動範囲で遠心ウエイト91とスイングアーム79との干渉を回避したうえで、ポンプ用カム68とデコンプ機構D3とを近接して配置することができ、カム軸31が長くなることが抑制され、ひいては動弁室30の軸方向A1での大型化が抑制されて、内燃機関Eのコンパクト化ができる。
【0081】
さらに、遠心ウエイト91全体が、カム山部Npの作動角により定められるカム山部Npの形成範囲内に収まるように揺動することにより、ポンプ用カム68が径方向で大型化することを防止するこことができる。
【0082】
デコンプ機構D3は、第2端部ジャーナル63に隣接して位置すると共にスイングアーム79を介して燃料ポンプ74の作動ロッド78を駆動するポンプ用カム68と、デコンプ機構D3により開閉させられる排気弁44を開閉する排気カム52との間に位置し、スイングアーム79は、ポンプ用カム68に接触する接触部79bと、軸方向A1で接触部79bよりも排気カム,52寄りに偏倚した位置で作動ロッド78の当接部78b1に当接する作用部79aとを有することにより、作動ロッド78、ひいては動弁室30に臨む燃料ポンプ74の案内部75a2を、軸方向A1で、シリンダヘッド4の下壁4bから離れた位置に配置することができ、しかも軸方向A1でポンプ用カム68と重なる位置にあるヘッドボルトB1bやボス部S2などとの干渉を回避できるので、カム軸31が長くなることおよび燃料ポンプ74がシリンダヘッド4から軸方向A1に突出することが抑制されて、内燃機関Eのコンパクト化ができる。
【0083】
動弁機構Vは、シリンダC1〜C3毎にカム軸31に設けられて吸気ロッカアーム55,57,59および排気ロッカアーム56,58,60を介して吸気弁43および排気弁44をそれぞれ開閉する吸気カム47,49,51および排気カム48,50,52を有し、前記シリンダ列を構成する中間シリンダである第2シリンダC2に属すると共にデコンプ機構D2により開閉される排気弁44を開閉する排気カム50は、排気カム50により駆動される排気ロッカアーム58が当接する排気弁44の先端部44Aと軸方向A1で重ならない位置に設けられ、デコンプ機構D2は先端部44Aと軸方向A1で重なる位置に設けられることにより、さらに具体的にはデコンプ機構D2の揺動中心線L4は、排気ロッカアーム58のスリッパ58bと調整ネジ58aとの軸方向A1での位置で規定される前記軸方向範囲内に位置し、そして排気弁44の先端部44Aは、軸方向A1でデコンプ機構D2の遠心ウエイト91と重なる位置を占め、さらにデコンプ機構D2は、その大部分、すなわちデコンプカム92から遠心ウエイト91の半分以上に至る部分が、排気ロッカアーム58と軸方向A1で重なる位置を占めることにより、排気カム50は、排気ロッカアーム58が当接する先端部44Aの軸方向A1での位置に拘束されることなく、先端部44Aと軸方向A1で重ならない位置まで先端部44Aから偏倚して設けられ、その偏倚により形成されるカム軸31の軸方向A1でのスペースを利用して、デコンプ機構D2が先端部44Aと軸方向A1で重なる位置に配置されるので、デコンプ機構D2を配置するための十分なスペースが確保されたうえで、3つのシリンダC1,C2,C3に渡って延びるカム軸31が長くなることが抑制され、ひいては動弁室30が軸方向A1で大型化することが抑制されて、内燃機関Eをコンパクト化にできる。
【0084】
第2シリンダC2に属する排気カム50は、先端部44Aに対して第1シリンダC1寄りに偏倚しており、第2シリンダC2に属する吸気カム49と第1シリンダC1に属するデコンプ機構D1との間に形成されるカム軸31のシリンダ間部分31cには、カム軸31を支持する軸受がないことにより、軸受がない分だけ、カム軸31に軸方向A1でのスペースが形成され、そのスペースを利用して、先端部44Aに対して排気カム50を偏倚させることができるので、カム軸31の長軸化および動弁室30の大型化が一層抑制されて、内燃機関Eの一層のコンパクト化ができる。
【0085】
カム軸31には、第1シリンダC1に属するデコンプ機構D1に隣接して、第2シリンダC2に属する吸気カム49が設けられることにより、ジャーナルなどの、両シリンダC1,C2に属する吸気カム47,49、排気カム48,50またはデコンプ機構D1,D2を近接して配置することを妨げる部分が設けられないので、デコンプ機構D1,D2を設けるための十分なスペースを形成することができて、この点でも、カム軸31の長軸化および動弁室30の大型化が一層抑制されて、内燃機関Eの一層のコンパクト化ができる。
【0086】
第2シリンダC2に属するデコンプ機構D2と第3シリンダC3に属する吸気カム47との間のカム軸31のシリンダ間部分31dには中間軸受65が設けられたことにより、吸気カム47,49,51および排気カム48,50,52に作用する荷重によるカム軸31の変形が一層確実に防止されるので、内燃機関Eの高速運転時にも、安定した動弁機構Vの作用を確保することができる。
【0087】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
中間軸受65は、前記実施例では第2シリンダC2および第3シリンダC3の間に設けられたが、第1シリンダC1と第2シリンダC2との間に設けられてもよく、その場合には、第2シリンダC2に属する吸気カム49、排気カム50およびデコンプ機構D2は、第1シリンダC1のそれらと同様の形状および配置となり、特定シリンダとなる第3シリンダC3に属する吸気ロッカアーム59および排気ロッカアーム60が前記特定ロッカアームから構成されて、その吸気カム51、排気カム52およびデコンプ機構D3は、前記実施例における第2シリンダC2に属する吸気カム49、排気カム50およびデコンプ機構D2と同様の形状および配置となる。
【0088】
デコンプ機構D1〜D3により開閉される動弁カムは、排気弁44の代わりに吸気弁43であってもよく、その場合には特定動弁カムは吸気カムになる。
【0089】
第3シリンダC3について、デコンプ機構D3が吸気弁43を開閉する場合に、吸気カム51の下方に隣接してデコンプ機構D3が配置され、排気ロッカアーム60が前記特定ロッカアームから構成されて、中間軸受65および第2端部軸受66の間に、ポンプ用カム68の上方に隣接して排気カム52、その上方にデコンプ機構D3、その上方に吸気カム51が配置されてもよい。
【0090】
第3シリンダC3に属する吸気カム51および排気カム52のうち、吸気弁43および排気弁44の配置、および吸気弁43が吸気カムの下方に設けられたデコンプ機構D3により開閉される場合などに依存して、吸気弁43または排気弁44がポンプ用カム68に対して軸方向A1で第2端部軸受66とは反対側に、ポンプ用カム68に隣接して配置されてもよい。
【0091】
前記実施例では、遠心ウエイト91は、カム軸31に揺動可能に支持されて径方向外方に移動するものであったが、カム軸31の径方向外方に揺動することなくスライドするものであってもよい。
【0092】
燃料ポンプ74は、シリンダヘッド4と共に動弁室30を形成する動弁室形成部材であるヘッドカバー5に取り付けられてもよい。特定軸受は、第2端部軸受66ではなく、第1端部軸受64または中間軸受65であってもよい。
【0093】
内燃機関は、単気筒内燃機関、または3気筒以外の多気筒内燃機関であってもよい。内燃機関は、バーチカル内燃機関でなくてもよく、さらに船外機以外に車両などの乗物または定置用機械に使用されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示し、本発明に係る内燃機関が使用された船外機の概略右側面図である。
【図2】図3のII−II矢視での断面図である。
【図3】図1の内燃機関のヘッドカバーを外したときのシリンダヘッドの後面図である。
【図4】図3の概略IVa−IVa矢視での断面図であり、吸気ロッカアームの吸気弁の先端部付近については、図3のIVb−IVb矢視での断面図であり、排気ロッカアームの排気弁の先端部付近については、図3のIVc−IVc矢視での断面図である。
【図5】シリンダヘッドおよび燃料ポンプの一部については、図3の概略Va−Va矢視での断面図であり、カム軸およびスイングアームについては、図3の概略Vb−Vb矢視での断面図である。
【図6】図3の概略VI−VI矢視での断面図に相当し、カム軸の回転方向でのデコンプ機構の配置を説明する図である。
【図7】図6のVII−VII矢視での部分側面図であり、(A)はデコンプ機構が作動位置にある状態を示し、(B)はデコンプ機構が解除位置にある状態を示す。
【図8】図7(A)のVIII−VIII矢視での断面図である。
【図9】図7(A)のIX−IX矢視での断面図である。
【図10】(A)は、デコンプ機構のデコンプ部材の側面図であり、(B)は、(A)のB矢視図であり、(C)は(A)のC矢視図であり、(D)は(A)のD矢視図である。
【符号の説明】
1…船外機、2…シリンダブロック、3…クランクケース、4…シリンダヘッド、5…ヘッドカバー、6…シール、7…ピストン、8…コンロッド、9…クランク軸、10…クランク室、11…クランクプーリ、12…フライホイール、13…リコイルスタータ、14…エンジンロアケース、15…エクステンションケース、16…ギヤケース、17…エンジンアッパーカバー、18…駆動軸、19…前後進切換装置、20…プロペラ軸、21…プロペラ、22…スターンブラケット、23…チルト軸、24…スイベルケース、25…スイベル軸、
30…動弁室、31…カム軸、31c,31d…シリンダ間部分、32…オイルシール、33…パルス発生器、34…カムプーリ、35…タイミングベルト、36…連結部、37…オイルポンプ、38…オイルパン、39a…オイルストレーナ、39b…吸入管、40…燃焼室、41…吸気ポート、42…排気ポート、43…吸気弁、44…排気弁、44A…先端部、45…点火栓、46…弁バネ、47,49,51…吸気カム、48,50,52…排気カム、53,54…ロッカ軸、55〜60…ロッカアーム、61〜63…ジャーナル、64〜66…軸受、67…フランジ、68…ポンプ用カム、69…軸支持部、70…カラー、71…バネ、72…蓋、73…油管、74…燃料ポンプ、75…ハウジング、76…ポンプ室、77…ダイヤフラム、78…作動ロッド、79…スイングアーム、80…軸部、81,82…切欠部、83…保持部、84…ピン、
90…デコンプ部材、91…遠心ウエイト、92…デコンプカム、93…アーム、95…戻しバネ、
E…内燃機関、C1〜C3…シリンダ、L1,L2…回転中心線、L3…シリンダ軸線、L4…揺動中心線、L5…基準直線、B1〜B4…ボルト、A0…回転方向、A1…軸方向、A2…シリンダ軸線方向、V…動弁機構、D1〜D3…デコンプ機構、Mi,Me…ベース円部、Ni,Ne,Np…カム山部、Np1…最大高位部、S1,S2…ボス部、K1,K2,K4〜K8…油路、K3…油室、F…中心、R…半径、P1〜P3…平面、H…高さ。
Claims (1)
- 吸気弁および排気弁を開閉する動弁機構と前記吸気弁または前記排気弁を圧縮行程時に開閉するデコンプ機構とが動弁室内に配置され、前記動弁室を形成する動弁室形成部材に取り付けられた燃料ポンプの作動部が前記動弁室内に臨む内燃機関において、
前記動弁機構は、クランク軸に連動して回転すると共に前記動弁室内に配置されたカム軸を有し、前記カム軸には、前記動弁室内に設けられた複数の軸受にそれぞれ支持される前記複数の軸受と同数のジャーナルのうちの軸方向での端部に位置する端部ジャーナルに隣接して位置すると共にポンプ用カムフォロアを介して作動部を駆動するポンプ用カムと、前記ポンプ用カムに対して軸方向で前記端部ジャーナルとは反対側に位置する前記デコンプ機構と、該デコンプ機構により開閉させられる前記吸気弁または前記排気弁を開閉する前記動弁カムとが設けられ、前記デコンプ機構は、前記ポンプ用カムと前記動弁カムとの間に位置し、前記ポンプ用カムフォロアは、前記ポンプ用カムに接触する接触部と、軸方向で前記接触部よりも前記動弁カム寄りに偏倚した位置で前記作動部に当接する作用部とを有することを特徴とする内燃機関。
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