JP2004225103A - 装飾用金合金 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Auが87.2〜87.8質量%、Feが1.0〜7.5質量%含まれ、Pdが5.0〜11.5質量%含まれ、残部がその他不可避的不純物からなる組成とした。また、Auが87.2〜87.8質量%、Mnが1.0〜7.5質量%含まれ、Pdが5.0〜11.5質量%含まれ、残部がその他不可避的不純物からなる組成とした。
これにより、21Kの相当する金性の金合金において、ホワイトゴールドの色調を有し、同時に、鋳造状態或いは加工後の硬さが実用上問題のない、より高品位の金合金を提供することができる。加えて、Niを含まないので金属アレルギーの問題が発生することもない。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、指輪、ネックレス、ブローチ、ネクタイピン等の装飾具に用いられる装飾用金合金に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高価なプラチナ(Pt)の代用合金として金(Au)をベースにしたホワイトゴールド(白色金合金)が開発され、使用されている。
ホワイトゴールドは、一般に、20K(カラット)以下の金にニッケル(Ni)やパラジウム(Pd)を添加することにより製造される(例えば、特許文献1など)。
ところで、より高級感を持ったホワイトゴールドにするためには、金性(金の含有量)を上げることが考えられる。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−238333号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したニッケル系やパラジウム系のホワイトゴールドにおいては、金性が高くなるに従い、白色性(彩度)や機械的性質(硬さ)が悪くなるという問題点があった。
また、ニッケルは金属アレルギーの原因となることが知られているため、ニッケルを含まないホワイトゴールドであることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、金属アレルギーの問題がなく、ホワイトゴールドの色調を有し、且つ硬さが実用上問題とならない、より高品位な装飾用金合金を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者は、まず、金属の色の測色を客観的に定量化する方法を確立し、次いで、確立した測色方法により、金に種々の元素を添加した金合金の測色および硬さの調査を鋭意行った結果、ホワイトゴールドの色調を有し、且つ硬さも実用上問題なく、従来のホワイトゴールドよりも高級感のある装飾用金合金を開発するに至った。即ち、従来、再現性が低く、定量化が困難であった金属の測色を極めて高精度に定量化する測色方法を確立し、かかる測色方法をもって、初めてなし得た発明である。
より具体的には、発明者は、20K(Au=83.3質量%)よりも金性の高い21K(Au=87.5質量%)をベースに、Fe、Mnのうち少なくとも何れか一方を適量添加することにより、ホワイトゴールドの色調を有し、且つ硬さも実用上問題ない、より高品位な装飾用金合金を開発した。
【0007】
即ち、請求項1記載の発明は、Auが87.2〜87.8質量%で、Feが1.0〜7.5質量%、Pdが5.0〜11.5質量%含まれ、残部がその他不可避的不純物からなることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、Auが87.2〜87.8質量%で、Mnが1.0〜7.5質量%、Pdが5.0〜11.5質量%含まれ、残部がその他不可避的不純物からなることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、Auが87.2〜87.8質量%で、Feが1.0〜6.5質量%、Mnが1.0〜6.5質量%、Pdが5.0〜10.5質量%、残部がその他不可避的不純物からなることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の装飾用金合金において、
反射物体の測色方法に基づいて、光D65照明、10゜視野で測色した場合の彩度が8.4以下であることを特徴とする。
ここで、反射物体の測色方法とは、JISに準拠した拡散照明8°(d/8°)受光(正反射光を含む)方式による測色方法である。
また、彩度は、L*C*h表色系の彩度C*により評価した値である。
【0011】
以下、上記装飾用金合金の各要素の限定理由について説明する。
請求項1記載の発明において、金の含有量を87.2〜87.8質量%としたのは、20K(Au=83.3質量%)を超える金性として、財務省造幣局国家検定には無い21K(Au=87.5質量%)の組成を用いたためである。また、かかる範囲は、金合金の一般的検定公差の±0.3質量%を採用したためである。
金性を上げると、彩度と硬さが劣化するため、かかる特性を改善するための添加元素としてFeを選択した。Feを選んだ理由は、FeはPd等のその他の添加元素に比べて、彩度を低下させるとともに、硬さを実用的なレベル以上に高めることができるからである。
【0012】
Feの含有量を1.0質量%以上としたのは、これ未満だと実用的な製品(リング)硬さHv130以上が得られないからである。
ここで、実用的な硬さの下限をHv130とした理由は、通常市販されているリングの硬さはHv70〜100のリングが多いため、社内的にリングの設計基準としての硬さの下限をHv130にしたからである。硬さがHv130未満だと使用上、キズ等が発生しやすいため実用上で問題が起こる。
また、Feの含有量を7.5質量%以下としたのは、7.5質量%を超えるとダイヤカット時に生成されるFe炭化物によるバイト寿命が劣化するという問題が無視できなくなるからである。
また、Fe以外の添加元素としてPdを選択したのは、合金の白色化を図るためであるとともに、Niのような金属アレルギーの問題を生じさせないからである。
Pdは添加量が多いほど彩度を低下させる効果があるが、添加量が多いほど硬さは低下する。
Pdの含有量を5.0質量%以上としたのは、これ未満だとダイヤカット性や地金加工性が悪くなるからである。
また、Pdの含有量を11.5質量%以下としたのは、11.5質量%を超えるとリングの硬さがHv130未満となり、使用上、キズ等が発生しやすいため実用上で問題が起こるからである。
【0013】
請求項2記載の発明において、金の含有量を87.2〜87.8質量%としたのは、請求項1と同様の理由からである。
また、添加元素としてMnを選んだ理由は、MnはPd等の添加元素に比べて、彩度を低下させるとともに、硬さを実用的なレベル以上に高めることができるからである。
なお、FeとMnを比較すると、同じ添加量の場合、Mnの方がより硬さを上げることができるが、製造時における成分安定性においてはFeの方が優れている。
【0014】
Mnの含有量を1.0質量%以上としたのは、請求項1と同様に硬さが約Hv130以上得られ、またMnは、蒸気圧が高く1.0質量%未満の場合、溶解合金化時に成分調整が難しいからである。
Mnの含有量を7.5質量%以下としたのは、7.5質量%を超えると加工性が悪くなってしまうからである。
また、Fe以外の調整用元素としてPdを選択したのは、合金の白色化を図るためであるとともに、Niのような金属アレルギーの問題を生じさせないからである。
Pdは添加量が多いほど彩度を低下させる効果があるが、添加量が多いほど硬さは低下する。
Pdの含有量を5.0質量%以上としたのは、これ未満だと地金加工性が悪くなるからである。
また、Pdの含有量を11.5質量%以下としたのは、11.5質量%を超えるとリングの硬さがHv130未満となり、使用上、キズ等が発生しやすいため実用上で問題が起こるからである。
【0015】
請求項3記載の発明において、金の含有量を87.2〜87.8質量%としたのは、請求項1と同様の理由からである。
また、Feが1.0〜6.5質量%、Mnが1.0〜6.5質量%、Pdが5.0〜10.5質量%としたのは、この範囲だと、リング硬さがHv150以上で、且つ地金加工性や、リングのダイヤカット性も良好となるからである。
【0016】
また、請求項4記載の発明において、彩度が8.4以下であることがより好ましいとしたのは、後述する目視官能試験の結果による。即ち、確立した測色方法により、ホワイトゴールドと称して市販されている金合金の彩度(C*)を測色した結果、4.9〜22.5のバラツキがあることが分かった。そして、目視での評価と彩度の数値との間に累積正規分布曲線に近似した関係があるとの知見を得た。一般に累積分布の50%確率に相当する値をしきい値として扱うことから白色認定許容彩度として、統計学的には彩度が8.8以下であればよく、更に、彩度が8.4以下であれば、3人のうち2人はホワイトゴールドと認める結果となるため、かかる範囲に限定した。
【0017】
以上のように本発明によれば、金属アレルギーの問題がなく、ホワイトゴールドの色調を有し、同時に、鋳造状態或いは加工後の硬さが実用上問題のない、より高品位の金合金を提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。なお、本実施例における色の数値化には、JIS Z 8729 に準拠したL*a*b*表色系およびL*C*h表色系を用いるものとする。
【0019】
[測色方法]
まず、本発明における測色方法について説明する。
一般的に、色を感じるには、▲1▼視覚・▲2▼光源・▲3▼物体の3要素が必要である。
▲1▼視覚は個人差があり、目視による定量化は困難なため、視覚部分をセンサーに置き換えて、数値化する装置として分光測色計を用いる。
測色方法は、JISにより数種類提案されており、試料に適した測色方法(照明受光光学系:geometry)を選ぶ事ができる。
【0020】
▲2▼光源は、光源そのものをはじめとして、光路(角度等)、視野、正反射光の扱い等の測色条件を特定する事により、最適化することができる。
▲1▼▲2▼は、分光測色計に依存し、測定機、測色条件を最適化することによって解決できる。具体的には、測色方法(Geometry)、測色機の絶対値精度、機器誤差等が、重要となってくる。
【0021】
そこで、今回の測色には、ミノルタ社製の分光測色計(CM−3600d)を用い、Geometry(ジオメトリー);拡散照明8°(d/8°)受光(正反射光を含む)方式、測定条件;10°視野、D65光源とした。
絶対値精度は、測定機のもつ固有の性能であり、今回使用したCM−3600d(ミノルタ社製)のメーカが公表している絶対値精度は、NPL(National PhysicalLaboratory:イギリス)で値付けされたカラータイル各色22色における色差△E*abが、平均0.33、Max0.94(正反射光を含む場合)である。また機差は、△E*ab 0.15以内となっている。
従って、測定物に揺らぎがなく、測定環境が一定であれば、CM−3600dの絶対値精度は、平均で△E*ab<0.48、最大で△E*ab<1.09と考えることができる。
【0022】
▲3▼物体が金属の場合、組織的に均一であれば、その組成によって分光反射特性が一義的に決まると考えられる。
しかし、測色条件を決定しても、試料の表面状態によって、測色結果、視覚による見え方、のいずれも異なってくるため、金属がもつ本来の色を測色定量化する場合、測色再現性のため表面状態を同一条件にする事が重要である。
試料の表面状態は、見る角度、測色角度の影響を排除する為、表面が拡散反射するように荒らされた粗面の方が鏡面よりも視覚安定性がよい。しかし、数値定量化する場合、表面を再現性良く荒らすのは困難である。従って、面粗さを可能な限り排除し、高精度な鏡面で、且つ最適化した測色条件で測色する事によって、数値再現性の高い測色が出来るようした。測定鏡面のレベルは、平均面粗さ30nm前後で、なるべく新生面生成後60min以内に測色することにより安定した結果を得られるようにした。
【0023】
上記測色方法による測色結果について表1に示す。
【表1】
金、銅は、金属の中で特有な色をした金属であり、彩度(C*値)が高い金属である。金属測色面を30nmレベルの鏡面に仕上げた場合、組織が均一であれば、金、銅レベル以上悪い標準偏差は示さない。30nmレベルの鏡面で測色することにより、金属の持つ色を再現性良く測色する事が出来ようになった。
【0024】
今回採用した測色技術のレベルは、標準偏差の色差ΔE*abで評価すると絶対値誤差は、平均で0.63、最大で1.34である。
色彩ハンドブックによれば、0.6〜1.1レベルは一級(厳格色差)で、各種誤差を考えた場合の実用的な許容差の限界と規定されている。従って、上記測定誤差は、実用色差として問題にならないレベルと考えることができる。
ここに開示した測色条件、測色環境をそろえる事により、誰でもいつでも金属の色を上記統計誤差の示す精度で安定して測色する事ができる。
【0025】
【実施例】
次に、本発明の実施例、ならびに比較例を挙げ、本発明の特徴とするところを明らかにする。
【0026】
(実施例1−1〜6、比較例1−1〜4)
本発明の第1の実施例であるAu−Fe−Pd系の金合金を作製した後、測色ならびに硬さの定量化を行った。
実施例1−1〜6として具体的には、高周波溶解炉内に純度99.99%以上のAu、Fe、Pdを入れて溶解し、Auが87.5質量%、Feが1.0質量%、2.5質量%、3.5質量%、5.0質量%、6.25質量%、7.5質量%、でPdが11.5質量%、10.0質量%、9.0質量%、7.5質量%、6.25質量%、5.0質量%、の6水準で、残部が不可避的不純物からなるように鋳込み、鋳造材を作製した。
また、比較例1−1〜4として、高周波溶解炉内に純度99.99%以上のAu、Fe、Pdを入れて溶解し、Auが87.5質量%、Feが0.5質量%、8.5質量%、10.0質量%、12.5質量%、でPdが12.0質量%、4.0質量%、2.5質量%、0.0質量%、の4水準で、残部が不可避的不純物からなるように鋳込み、鋳造材を作製した。
【0027】
そして、上記鋳造材に対して、各々50%の圧延加工を施し、最終焼鈍(700℃×20分保持して水冷)して、測色面径φ6mmの試料を作成した。
次いで、各試料の試料表面粗さが30nm程度になるまで鏡面仕上げを行った。
次いで、鏡面加工した試料表面の測色を行った。測色には、前述した通り、ミノルタ社製の分光測色計(CM−3600d)を用い、Geometry(ジオメトリー);拡散照明8°(d/8°)受光(正反射光を含む)方式、測定条件;10°視野、D65光源を用いた。
また、鋳造ままの試料、50%加工した試料に対して硬さ測定を行った。硬さ測定には、ビッカース硬度計を用い、試験荷重200g(1.96N)、保持時間15秒の条件で測定した。
【0028】
以上により、表2に示す結果が得られた。
【表2】
ここで、Feの含有量が1.0質量%以上の場合、50%加工した場合の硬さが、製品(リング)の実用的な硬さHv130以上であった。
また、比較例1−4の結果に示す通り、Feの含有量が10.0質量%を超えると、ダイヤカット時に生成されるFe炭化物により製品のバイト寿命が短くなり生産性が低下した。
更に、Feの含有量が3.5〜7.5質量%の範囲では、50%加工時の硬さがHv140以上で且つダイヤカットによる生産性も良好であった。
【0029】
(実施例2−1〜7、比較例2−3)
次いで、本発明の第2の実施例であるAu−Mn−Pd系の金合金を作製した後、測色ならびに硬さの定量化を行った。
具体的には、真空置換不活性ガス雰囲気溶解炉内でに純度99.99%以上のAu、Mn、Pdを入れて溶解し、Auが87.5質量%、Mnが1.0質量%、1.5質量%、2.0質量%、2.5質量%、5.0質量%、6、25質量%、7.5質量%で、Pdが11.5質量%、11.0質量%、10.5質量%、10.0質量%、7.5質量%、6.25質量%、5.0質量%、の7水準で、残部が不可避的不純物からなるように鋳込んだのち、上記第1の実施例と同様に、各々50%の圧延加工を施し、最終焼鈍(700℃×20分保持して水冷)して、測色面径φ6mmの試料を作成した。
また、比較例として、真空置換不活性ガス雰囲気溶解炉内に純度99.99%以上のAu、Mn、Pdを入れて溶解し、Auが87.5質量%、Mnが0.5質量%、8.0質量%、10.0質量%で、Pdが12.0質量%、4.5質量%、2.5質量%、の4水準で、残部が不可避的不純物からなるように鋳込み、鋳造材を作製した。
【0030】
次いで、上記と同様に、試料表面粗さが30nm程度になるまで鏡面仕上げを行った後、鏡面加工した試料表面の測色を上記方法により行った。
また、上記と同様の条件で、試料の硬さを測定した。
以上により、表2に示す結果が得られた。
Mnの含有量が、7.5質量%を超えると地金が硬くなり過ぎて加工性が悪くなった。
また、Mnの含有量が1.5〜7.5質量%では、硬さがHv150以上あり、且つ地金加工性が良好であった。
【0031】
(実施例3−1〜5、比較例3−1)
次いで、本発明の第3の実施例であるAu−Fe−Mn−Pd系の金合金を作製した後、測色ならびに硬さの定量化を行った。
具体的には、真空置換不活性ガス雰囲気溶解炉内に純度99.99%以上のAu、Fe、Mn、Pdを入れて溶解し、Auが87.5質量%、Feが0.5質量%、1.5質量%、2.5質量%、3.5質量%、4.5質量%で、Mnが4.5質量%、3.5質量%、2.5質量%、1.5質量%、0.5質量%、でPdが7.5質量%、の5水準で、残部が不可避的不純物からなるように鋳込んだのち、上記第1、2の実施例と同様に、各々50%の圧延加工を施し、最終焼鈍(700℃×20分保持して水冷)して、測色面径φ6mmの試料を作成した。
【0032】
次いで、上記と同様に、試料表面粗さが30nm程度になるまで鏡面仕上げを行った後、鏡面加工した試料表面の測色を上記方法により行った。
また、上記と同様の条件で、試料の硬さを測定した。
以上により、表2示す結果が得られた。
表2に示すとおり、硬度、ダイヤカット性、地金加工性、色の何れも良好であった。
【0033】
次いで、本発明に対する比較例であるAu−Fe−Mn−Pd系の金合金を作製した後、測色ならびに硬さの定量化を行った。
具体的には、真空置換不活性ガス雰囲気溶解炉内に純度99.99%以上のAu、Fe、Mn、Pdを入れて溶解し、Auが87.5質量%、Feが0.25質量%で、Mnが0.25質量%で、Pdが12.0質量%、残部が不可避的不純物からなるように鋳込んだのち、上記第1の実施例と同様に、各々50%の圧延加工を施し、最終焼鈍(700℃×20分保持して水冷)して、測色面径φ6mmの試料を作成した。
【0034】
次いで、上記と同様に、試料表面粗さが30nm程度になるまで鏡面仕上げを行った後、鏡面加工した試料表面の測色を上記方法により行った。
また、上記と同様の条件で、試料の硬さを測定した。
以上により、表2に示す結果が得られた。
ここで、硬さがHv120であるため、実用的な硬度を下回る結果となった。
【0035】
(彩度の規定について)
現在、ホワイトゴールドとして市販されている金合金について上記した測色方法により彩度(C*値)を測色した結果、彩度は4.9〜22.5の範囲内であることが分かった。次いで、彩度が異なるいくつかのサンプルを用意し、その中から被験者がホワイトゴールドと思うものをピックアップさせる官能試験を行った。
具体的には、彩度が5.2〜13.7までの間のいくつかのサンプルを被験者150人に見せて、ホワイトゴールドであると認定した人数を総人数で割った値を百分率で示した。
【0036】
その結果を白色認定度数分布として図1に示す。
図1に示す白色認定度数分布は、横軸に彩度(C*)、縦軸に頻度(%)を示した図であり、頻度累積正規分布に近似した曲線となる。一般に累積分布の50%確率に相当する値をしきい値として扱うことから白色認定許容彩度として、統計学的には彩度が8.8以下であればよい。更に、彩度が8.4以下であれば、3人のうち2人はホワイトゴールドと認める結果となるため、更に望ましい。(目視官能試験結果)
【0037】
評価基準
表3には、実施例と比較例で製作した金合金に関する特性を評価し、その結果が示されている。
【表3】
【0038】
硬度評価については、リング硬度の測定の結果により
◎ : 非常に良好(Hv150以上)
○ : 良好(Hv130以上150未満)
× : 不適当(Hv130未満)
として評価した。
【0039】
ダイヤカット性については、リングを実際にダイヤカット加工した時に
◎ : 切削面が鏡面に仕上り、切削抵抗がなく、バイト寿命が長い
× : 切削面が鏡面にならない
として評価した。
【0040】
地金加工性については、圧延加工及びリング加工時の加工性の結果により
◎ : 延性が良好、リング加工性が良好
○ : リング加工は出来るが、圧延性やリング加工性が若干悪い
× : 圧延時に割れが発生、リング加工が出来ない
として評価した。
【0041】
白色性については、彩度の測定結果により
◎ : 良好(8.4以下のもの)
× : 不適当
として評価した。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、21Kの相当する金性の金合金において、ホワイトゴールドの色調を有し、同時に、鋳造状態或いは加工後の硬さが実用上問題のない、より高品位の金合金を提供することができる。加えて、Niを含まないので金属アレルギーの問題が発生することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】白色認定度数分布を示す図である。
Claims (4)
- Auが87.2〜87.8質量%で、Feが1.0〜7.5質量%、Pdが5.0〜11.5質量%含まれ、残部がその他不可避的不純物からなることを特徴とする装飾用金合金。
- Auが87.2〜87.8質量%で、Mnが1.0〜7.5質量%、Pdが5.0〜11.5質量%含まれ、残部がその他不可避的不純物からなることを特徴とする装飾用金合金。
- Auが87.2〜87.8質量%で、Feが1.0〜6.5質量%、Mnが1.0〜6.5質量%、Pdが5.0〜10.5質量%、残部がその他不可避的不純物からなることを特徴とする装飾用金合金。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の装飾用金合金において、
反射物体の測色方法に基づいて、光D65照明、10゜視野で測色した場合の彩度が8.4以下であることを特徴とする装飾用金合金。
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