JP2004225045A - 改善された加工及び貯蔵安定性を有する不飽和ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 改善された加工安定性と貯蔵安定性を有する不飽和ポリエステル樹脂組成物の提供を課題とする。
【解決手段】 上記課題を解決するために、本発明は、(a)不飽和ポリエステル、(b)重合性単量体、(c)促進剤系及び(d)複合安定剤を含有する完成樹脂組成物であって、該複合安定剤がヒドロキシルアミンオキシド、芳香族酸化防止剤及び随意としてヒドロキシルアミンであり且つ該完成樹脂組成物の100部当たり0.001〜0.5部で存在するものを提供する。この安定剤系は、ゲル粒子形成を防止することによって加工安定性を改善させ、オーバーヘッドポプコーンの形成を抑制し且つ樹脂粘度とゲル化時間のドリフトを抑制することによって該硬化性組成物の貯蔵安定性を改善させる。
【選択図】 なし
【解決手段】 上記課題を解決するために、本発明は、(a)不飽和ポリエステル、(b)重合性単量体、(c)促進剤系及び(d)複合安定剤を含有する完成樹脂組成物であって、該複合安定剤がヒドロキシルアミンオキシド、芳香族酸化防止剤及び随意としてヒドロキシルアミンであり且つ該完成樹脂組成物の100部当たり0.001〜0.5部で存在するものを提供する。この安定剤系は、ゲル粒子形成を防止することによって加工安定性を改善させ、オーバーヘッドポプコーンの形成を抑制し且つ樹脂粘度とゲル化時間のドリフトを抑制することによって該硬化性組成物の貯蔵安定性を改善させる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ヒドロキシルアミンオキシド、随意としてヒドロキシルアミン及び芳香族酸化防止剤を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物に関し、ここで、このヒドロキシルアミンオキシド及び随意成分の添加は、加工安定性及び組成を改善させ、望ましくないオーバーヘッド重合体の蓄積を抑制し、樹脂粘度とゲル化時間のドリフトを減少させる。
不飽和ポリエステル樹脂(UPE)産業では、UPEの最終使用者は、UPE、架橋性単量体、促進剤及び安定剤を含有する完成樹脂組成物を硬化させることによってマーブル及びゲルコートのような様々な完成品を作る。
UPE樹脂は、一般に、加熱容器中でエステル化反応させることによって作られる。無水フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸若しくはテレフタル酸のような飽和二塩基酸又は無水マレイン酸若しくはフマル酸のような不飽和二塩基酸をこのエステル化反応中にグリコールと反応させる。ジシクロペンタジエン(DCPD)のような炭化水素変性剤及びその他の可塑剤をこのエステル化反応中に添加して最終UPE樹脂に所望の特性を付与することができる。
エステル化反応は、通常、50℃〜250℃以上の高温で行われる。このような高い処理温度は、エステル化生成物を反応容器から別の処理容器に注ぎ易くするように該生成物が溶融又はゲル様状態のままであることを確実にするために必要である。
エステル化触媒を使用するのが慣例である。このような触媒は、該反応中に必要なフリーラジカルを生じさせる。エステル化反応用触媒には、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ジ−t−ブチル及びとりわけ過酸化水素のような酸化体が含まれる。
エステル化反応のための処理時間は長く、多くの場合10時間以上であり得る。例えば、マレイン酸及びポリプロピレングリコールを使用して処方されたUPE樹脂は、150℃〜250℃の温度で10〜14時間を要する。イソフタル酸を使用して処方されたUPE樹脂は、180℃〜230℃の温度で23時間を上回る処理時間を要し得る。
いったんエステル化反応が完了したならば、不飽和ポリエステル樹脂は、スチレン、メタクリル酸メチル又はビニルトルエンのような反応性単量体を含有する溶液に移される。この反応性単量体溶液は、UPE樹脂の容易な処理加工を可能にさせるために必要である。例えば、反応性単量体溶液が存在しないUPE樹脂は、型に注ぐのには濃厚又はゼラチン状すぎる。スチレンのような反応性単量体溶液中でこのUPE樹脂は、より流動的であり、しかしてこのUPE樹脂を型に注ぐのを可能にさせる。
反応性単量体溶液は、加温UPE樹脂が添加されるときに自然重合することが多い。例えば、スチレンは、スチレンが安定化されないならばポリスチレンを自然に形成し得る。典型的には、商用のスチレンは、ポリスチレンの形成を緩やかにし又はそれを完全に抑制させるためにジアルキルカテコールで安定化される。
現在の技術では、ヒドロキノン(HQ)、4−t−ブチルカテコール(TBC)及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールのようなフェノール化合物を安定剤として完成樹脂組成物に使用してそれらの保存寿命を保証している。
しかしながら、このようなフェノール系安定剤は、UPE樹脂の貯蔵中に気相ポプコーンの抑制を与えず、多くの場合粘度及びゲル化時間のドリフトに至る。従って、完成UPE樹脂、特にジシクロペンタジエン(DCPD)含有UPE樹脂を基材とするものの貯蔵安定性は、UPE製造者に大きな課題を与えている。
また、フェノール安定化単量体溶液は、単量体溶液の自然重合を十分に抑制しない。例えば、加温UPE樹脂が単量体溶液に注がれるときに、この単量体溶液の温度は、ほぼ室温から70℃以上に上昇し得る。この高温は、単量体の重合がUPE単量体溶液中に望ましくないゲル型の粒子を生じさせる傾向を増大させる。
様々な安定剤をUPE硬化性処方物に使用することによって樹脂安定性を改善しようとする多数の刊行物が存在する。
メイ,C.A.の米国特許第3408422号(1968年、シェルオイル社)は、安定剤としてのヒドロキシルアミン化合物を有するヒドロキシ含有不飽和ポリエステル組成物を開示している。このような不飽和ポリエステルは、多価フェノールのグリシジルポリエーテル及び不飽和カルボン酸から製造される。ヒドロキシルアミン化合物は、好ましくは、ジアルキルヒドロキシルアミンであり、好ましくはフェノール化合物と併用される。これらの組成物は、貯蔵中の早期のゲル化(ゲル粒子)に対して安定化することが開示されている。
べーカー,J.G.、ヤーティー,O.M.の米国特許第3775513号(1973年、PPGインダストリーズ社)は、2,4−ジニトロフェノールを安定剤として含む不飽和ポリエステル組成物を開示している。このジニトロフェノール安定剤は、単独で又はキノン若しくはヒドロキノンと共に使用される。これらの組成物は、貯蔵安定性の改善を示すことが開示されている。
ジャクソン,R.J.の米国特許第4293672号(1981年、シェルオイル社)は、飽和エポキシ樹脂をエチレン性不飽和モノカルボン酸でエステル化する改良方法を開示している。このような方法は、エポキシ化合物をヒドロキシルアミン化合物と予備反応させることを包含し、これは、その後のエステル化反応中の早期のゲル化を低減させる。
ジャクソン,R.J.の米国特許第4301261号(1981年、シェルオイル)は、飽和エポキシ樹脂をエチレン性不飽和モノカルボン酸でエステル化する改良方法を開示している。このような方法は、エポキシ化合物を亜燐酸トリアルキルで予備反応させることを包含し、これは、その後のエステル化反応中の早期のゲル化を低減させる。好ましい亜燐酸トリアルキルは、亜燐酸トリエチルである。
ジャクソン,R.J.の米国特許第4303576号(1981年、シェルオイル社)は、安定化されたポリエステル組成物を製造するための改良方法を提供している。この組成物は、ポリエポキシドと不飽和モノカルボン酸から有機ホスフィンを触媒として使用して製造された不飽和ポリエステル、P,P'−ジオクチルジフェニルアミンのようなアミンをベースとする安定剤及び随意としてスチレンのような架橋性単量体を含む。この開示された組成物は、改善された貯蔵安定性を有することが開示されている。
ジャクソン,R.J.の米国特許第4303579号(1981年、シェルオイル社)は、改善された色の安定性を示す安定なビニルエステル組成物を記載している。この組成物は、ポリエポキシドと不飽和モノカルボン酸から製造されたビニルエステル及びヒドロキノンと立体障害(ヒンダード)フェノールを基材とする安定剤を含む。
メシック,V.B.の米国特許第4336359号(1982年、ダウケミカル社)は、ビニルエステル樹脂又は不飽和ポリエステルの貯蔵安定性をそれらの硬化性を悪化させることなく改善させるために硝酸を使用することを開示している。硝酸は、単独で又はフェノチアジンと共に使用される。
メシック,V.B.の米国特許第4407991号(1983年、ダウケミカル社)は、ビニルエステル樹脂又は不飽和ポリエステルの貯蔵安定性をそれらの硬化性を悪化させることなく改善させるために蓚酸を使用することを記載している。蓚酸は、随意としてフェノチアジン及び4−クロル−2−ニトロフェノールと併用される。
松川,K.、林野,T.、山本,D.の欧州特許第0761737号(1997年、株式会社日本触媒)は、貯蔵中にゲルを生成せず且つ良好な粘度安定性と僅かなゲル化時間ドリフトを有する安定化された樹脂組成物を記載している。この組成物は、ジシクロペンタジエン(DCPD)型不飽和ポリエステル樹脂、架橋性単量体、フェノチアジン誘導体、アニオン生成性化合物及び随意として亜燐酸エステルを少なくとも含有する。
典型的には、樹脂処方者は、相乗作用を利用するために多数の安定剤を使用する。これらの安定剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物に減少したゲル化及びゲル化時間ドリフトを与える。
さらに、ヒドロキシルアミン又は亜燐酸トリアルキル化合物を反応体の化学構造に取り入れるエステル化反応中の早期のゲル化を低減させることに努力が向けられてきた。
ゲル化を低減させるためのヒドロキシルアミンの使用は、ヒドロキシで置換され且つポリエポキシドと不飽和カルボン酸から製造される不飽和ポリエステル樹脂に集中している。これらの用途では、ヒドロキシルアミン化合物をポリエポキシドと予備反応させてその後のエステル化反応中のゲル形成を低減させ、またこのものを予備促進硬化性処方物にフェノール系安定剤と併用して貯蔵安定性を改善させる。
特に、DCPD含有UPE樹脂を主体とする処方物を硬化させるために、多くの場合コバルト石鹸を処方物に使用して過酸化物触媒の分解を促進させる。この予備促進UPE樹脂は、フェノール、キノン及びフェノチアジンのような芳香族酸化防止剤によって安定化されるが、乏しい貯蔵安定性、即ち、貯蔵中にオーバーヘッド空間での望ましくない重合体形成及びゲル化時間のドリフトを示す。
本発明の目的は、DCPD含有UPE樹脂、重合性単量体、促進剤系及び複合安定剤(これらに限定されない)を含有する安定化された硬化性処方物を開発することである。本発明の組成物は、実質的に減少したゲル粒子形成、抑制されたオーバーヘッド重合体形成及び僅かなゲル化時間ドリフトにより改善された加工安定性と貯蔵安定性を示すであろう。
本発明は、次の成分:
a.不飽和ポリエステル、
b.随意成分としてジクロペンタジエン、
c.重合性単量体、
d.促進剤系、及び
e.複合安定剤
を含有する完成樹脂組成物において、該複合安定剤がヒドロキシルアミンオキシド、随意としてヒドロキシルアミン及び芳香族酸化防止剤であり且つ該完成UPE樹脂の100部当たり0.001〜0.5部で存在する樹脂組成物を開示する。
a.不飽和ポリエステル、
b.随意成分としてジクロペンタジエン、
c.重合性単量体、
d.促進剤系、及び
e.複合安定剤
を含有する完成樹脂組成物において、該複合安定剤がヒドロキシルアミンオキシド、随意としてヒドロキシルアミン及び芳香族酸化防止剤であり且つ該完成UPE樹脂の100部当たり0.001〜0.5部で存在する樹脂組成物を開示する。
本発明では、不飽和ポリエステル樹脂又はジシクロペンタジエン(DCPD)含有不飽和ポリエステル(UPE)を主体とする硬化性組成物の加工及び貯蔵安定性を改善させるための安定剤系が開示される。
この安定剤系は、ヒドロキシルアミンオキシド、随意としてヒドロキシルアミン及び芳香族酸化防止剤を基材とする。このものは、UPE又はUPE−DCPD樹脂を薄める間に加工安定性と貯蔵安定性を改善させ及び望ましくない重合体が単量体溶液又は貯蔵容器のオーバーヘッド空間に形成されないようにオーバーヘッドの保護を与える。
本発明の樹脂組成物は、抑制されたUPE単量体溶液中のゲル粒子形成、抑制されたオーバーヘッドポプコーン(重合した単量体)形成及び抑制された樹脂粘度とゲル化時間のドリフトにより改善された加工安定性と貯蔵安定性を示す。
さらに、開示される安定剤は、予備促進DCPC型のUPE樹脂組成物の貯蔵中に従来の安定剤よりも小さいゲル化時間及び粘度のドリフトを与え、しかも樹脂の貯蔵中に空気(酸素)の非存在下で硬化性処方物に高い安定性を付与する。
本発明を実施する最適な既知の方法では、溶融状のUPE樹脂又はDCPD含有UPE樹脂は、芳香族酸化防止剤、ヒドロキシルアミンオキシド及び随意としてヒドロキシルアミンによって予備安定化されたスチレンとブレンドされる。
ブレンド槽での操作温度は、熱誘導蒸発及び単量体の重合が最小限になり得るように70℃未満に制御される。得られた原樹脂は、10〜40%のスチレンを含有し且つ10〜500ppmのアルキルヒドロキシルアミンオキシドとアルキルヒドロキシルアミン及び10〜500ppmの芳香族酸化防止剤、例えば、立体障害フェノール、キノン及びフェノチアジン又はこれらの2種以上の混合物によって安定化される。
本発明に有用な重合性単量体としては、スチレン及びアクリレート単量体が挙げられ、これらのものは硬化性処方物に一般的に使用される。しかしながら、その他の単量体、例えば、ビニルトルエン及びα−メチルスチレンも使用することができる。
別個に、主促進剤として使用される金属化合物、好ましくは、ハロゲン化コバルト又はオルガノコバルト化合物のような無機コバルト塩及び共促進剤として使用される有機アミンを含有する促進剤系が製造される。さらに、銅、マンガン、カリウム、ナトリウム、バナジウム又はリチウムの塩をベースとする随意の金属化合物を共促進剤として含めてもよい。通常、銅塩が金属共促進剤として使用され、アルキルアルカノールアミン及びジアルキルアニリンが有機共促進剤として使用される。好ましい場合では、様々な促進剤成分がトルエンのような溶媒中で予備混合される。
UPE又はDCPD含有UPE樹脂を主体とする硬化性処方物は、促進剤系をUPE原樹脂に取り入れることによって製造される。実用的な用途では、DCPD樹脂は、多くの場合炭化水素変性剤の非存在下に製造されるその他のUPE樹脂、例えばオルトベースのUPE樹脂とブレンドされる。ヒュームシリカのようなチキソトロープ剤を組成物に使用してその流動学的性質を調節する。追加の安定剤又は促進剤を使用して完成UPE樹脂処方物の硬化特性を調整してもよい。目標の用途に応じて追加の添加剤及び充填剤を有する完成樹脂処方物を該最終処方物に有機過酸化物触媒、典型的には過酸化エチルメチルケトンを添加することによって硬化させて最終製品を製造する。
UPE又はDCPD含有UPE樹脂が完成樹脂の20〜90重量%で存在することが好ましい。
安定剤は、完成UPE樹脂の100部当たり0.001〜0.5部で存在し、しかも、このものはヒドロキシルアミンオキシド、随意としてヒドロキシルアミン及び芳香族酸化防止剤を基材とする複合体である。
本発明に有用な複合安定剤は、アルキルアミンオキシド及び随意としてヒドロキシルアミンであることができる。
ヒドロキシルアミンオキシド化合物は、次の一般式:
(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なるものであり且つ水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール及びスルホン化アルキル基であってよく、これらのものは環状又は分岐であってよいが、全てHでなくてもよい。)
を有する。
を有する。
ヒドロキシルアミン化合物は、次の一般式:
(式中、R1及びR2は、同一又は異なるものであり且つ水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール及びスルホン化アルキル基であってよく、これらのものは環状又は分岐であってよいが、全てHでなくてもよい。)
を有する。
を有する。
好ましいヒドロキシルアミンオキシド化合物は、トリエチルアミンオキシド(TEAO)及びトリブチルアミンオキシド(TBAO)のような(C1〜C6)アルキルヒドロキシルアミンオキシドである。
好ましいヒドロキシルアミン化合物は、ジエチルヒドロキシルアミン(DEHA)及びジブチルヒドロキシルアミン(DBHA)のような(C1〜C6)アルキルヒドロキシルアミン、N−イソ−プロピルヒドロキシルアミン(NiPHA)及びジベンジルヒドロキシルアミン(DBzHA)のようなアリールヒドロキシルアミンである。
複合体系において、ヒドロキシルアミンオキシド及びヒドロキシルアミンは、全安定剤組成物の1〜90重量%、好ましくは40〜80重量%であり、そのレベルは、硬化性組成物を基にして500ppm未満であることが好ましい。
芳香族酸化防止剤は、好ましくは、ヒンダードフェノール、キノン又はフェノチアジンであり、さらに好ましいものは、4−t−ブチルカテコール(TBC)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)及びフェノチアジンである。また、酸化防止剤の混合物も本発明の範囲内にある。
硬化性処方物には、これらのヒドロキシルアミンオキシド、随意としてヒドロキシルアミン及び芳香族酸化防止剤の1種以上が使用できる。これらのヒドロキシルアミンオキシド、ヒドロキシルアミン及び芳香族安定剤は処方物に別々に導入でき、或いは、これらのものはそれらの添加より前に予備混合できる。これらのものは、UPE又はDCPD含有UPE原樹脂の製造中に導入でき、或いは、完成樹脂が作られた後に添加できる。トルエンのような有機溶媒及びスチレンのような不飽和単量体を使用して該安定剤成分を供給してもよい。
さらに、硬化性処方物では、多様な添加剤及び充填剤が目標の製品の用途に応じて使用される。
UPE樹脂及びDCPD含有UPE樹脂は、化学成分及び分子量の点で相違してもよい。即ち、これらのものは、共重合体又はUPE及びアクリル重合体を主体とする重合体ブレンドであってよい。スチレン及びアクリレート単量体が硬化性処方物に一般的に使用されるが、ビニルトルエン及びα−メチルスチレンのようなその他の単量体も使用することができる。
一般に、開示される樹脂組成物は、積層品、船舶用塗料及びその他の一般製品のような多くのUPEベースの製品を製造するために使用できる。
次の実施例は本発明を例示するものであるが、網羅的であること又は本発明を開示される正確な形に限定することを意図するものではない。本明細書及び実施例に照らせば、多くのその他の変形及び改変が可能である。
次の実験は、様々なラジカルスカベンジャーを安定剤として使用するUPE又はDCPD含有UPE樹脂処方物の製造を包含する。得られた樹脂組成物をアンバーガラス瓶中に室温で貯蔵し、これをオーバーヘッド重合体の形成について定期的に検査した。
硬化プロセスは、MEKP(商標LUPEROX DDM−9に基づくアトフィナケミカルズ社の製品)によって触媒された。硬化実験中に、カップゲル化時間及び硬化時間を測定した。ゲル化時間とは、MEKPの添加から物理的ゲルが観察されるまでの時間と定義される。硬化時間とは、MEKPの添加からピークの発熱量が生じるまでの時間と定義される。
例1
4−t−ブチルカテコール(TBC)で抑制されたスチレンの商用試料を、このTBCをアルドリッチ社により販売されている「抑制剤・リムーバー置換充填物」の充填カラム(カタログ番号1344−28−1)に125mL/時間の流量を使用して通すことによって除去するように処理した。この抑制されていないスチレンに100mg/L(例えば、ppm)のTBC、ジエチルヒドロキシルアミン(DEHA)又はトリブチルアミンオキシド(TBAO)を添加した。
4−t−ブチルカテコール(TBC)で抑制されたスチレンの商用試料を、このTBCをアルドリッチ社により販売されている「抑制剤・リムーバー置換充填物」の充填カラム(カタログ番号1344−28−1)に125mL/時間の流量を使用して通すことによって除去するように処理した。この抑制されていないスチレンに100mg/L(例えば、ppm)のTBC、ジエチルヒドロキシルアミン(DEHA)又はトリブチルアミンオキシド(TBAO)を添加した。
次いで、この抑制されていない又は人工的に抑制されたスチレンを、油浴中に浸漬した250mLの三口フラスコ中でトルエンで50グラムに希釈された37.6グラムのアリコートを100℃に加熱することによってポリスチレンの形成について評価した。このスチレン混合物の試料をこの250mLから抽出し、そして秤量皿に置いた。次いで、この秤量皿を50〜60℃及び25インチ(63.5cm)Hg(減圧)の真空オーブン中にスチレン及び溶媒の全てが蒸発するまで置いた。秤量皿に残存する物質の量がスチレンからポリスチレンへの転化を表した。
上の表中の結果は、スチレンからポリスチレンへの転化がTBAOを使用すると最も緩やかになることを明白に示している。
比較例2
スチレンからポリスチレンへの転化を例1で使用したのと同様の態様で検討したが、ただし、ここではトリエチルアミンオキシド(TEAO)を使用した。以下の表中の結果は、重合がTEAOのために商用の安定剤であるTBCと比較して遅くなることを示している。
スチレンからポリスチレンへの転化を例1で使用したのと同様の態様で検討したが、ただし、ここではトリエチルアミンオキシド(TEAO)を使用した。以下の表中の結果は、重合がTEAOのために商用の安定剤であるTBCと比較して遅くなることを示している。
例3
この例では、TEAOを、不飽和ポリエステル樹脂組成物を薄める工程中でのゲル粒子の形成(薄め用容器中でのスチレンの自然重合)を抑制させるために使用する。固体UPE樹脂を添加用漏斗中で225℃に加熱し、そして窒素でガスシールする。
この例では、TEAOを、不飽和ポリエステル樹脂組成物を薄める工程中でのゲル粒子の形成(薄め用容器中でのスチレンの自然重合)を抑制させるために使用する。固体UPE樹脂を添加用漏斗中で225℃に加熱し、そして窒素でガスシールする。
スチレンは、50ppmのTBCと、1,4−ナフトキノン(300ppm)、p−ベンゾキノン(20ppm)のような追加の安定剤とを含有した。このスチレン溶液を、エチレングリコール冷却ブランケットを使用して冷却し、そして加温UPE樹脂の添加中にこれを70℃未満の温度で保持した。この抑制スチレン溶液に100ppmのTEAOを添加した。
次いで、溶融UPE樹脂を抑制スチレンを含有する反応がまに落としてこのUPE樹脂を所望の粘度にまで薄める。
次いで、この薄められたUPE樹脂の試料をリネット紙に塗布し、引落し棒を使用してリネット紙上に処方UPE樹脂の1ミルの塗膜を形成させた。次いで、加温UPE樹脂をスチレンに注いだ結果として形成された平方フート(0.0929m2)当たりのポリスチレン粒子の数をブラックライト源(UV)を使用して検査してリネット紙の黒色部分を検査した。
TEAOを含有しないUPE−スチレン溶液は、TEAOを含有するものと比較して多数の望ましくないポリスチレン粒子を生じさせた。
例4
この例では、TEAOとDEHAの間の相乗作用が不飽和ポリエステル樹脂組成物を薄める工程中にゲル粒子の形成(例えば、薄め用容器中でのスチレンの自然重合)を抑制させることを説明する。固体UPE樹脂を添加用漏斗中で225℃に加熱し、そして窒素でガスシールする。
この例では、TEAOとDEHAの間の相乗作用が不飽和ポリエステル樹脂組成物を薄める工程中にゲル粒子の形成(例えば、薄め用容器中でのスチレンの自然重合)を抑制させることを説明する。固体UPE樹脂を添加用漏斗中で225℃に加熱し、そして窒素でガスシールする。
スチレンは、50ppmのTBCと、1,4−ナフトキノン(300ppm)、p−ベンゾキノン(20ppm)のような追加の安定剤とを含有した。このスチレン溶液をエチレングリコール冷却ブランケットを使用して冷却し、そして加温UPE樹脂の添加中に70℃未満の温度に保持した。この抑制スチレン溶液に100ppmのTEAO、100ppmのDEHA又は90ppmDEHA/10ppmTEAOを添加した。
次いで、この溶融UPE樹脂を抑制スチレンを含有する反応がまに落としてUPE樹脂を所望の粘度にまで薄める。
次いで、薄められたUPE樹脂の試料をリネット紙に塗布し、引落し棒を使用してこのリネット紙上に処方UPE樹脂の1ミルの塗膜を形成させた。次いで、加温UPE樹脂をスチレンに注いだ結果として形成された平方フート当たりのポリスチレン粒子の数をブラックライト源(UV)を使用して検査してリネット紙の黒色部分を検査した。
TEAOとDEHAの組み合わせは、スチレンのゲル粒子形成を完全に無くした。
Claims (14)
- 次の成分:
(a)不飽和ポリエステル、
(b)重合性単量体、
(c)促進剤系、及び
(d)(i)ヒドロキシルアミンオキシド及び(ii)随意としてヒドロキシルアミンからなる複合安定剤
を含む樹脂組成物。 - 促進剤系が主促進剤として少なくとも金属化合物及び共促進剤として少なくとも有機アミンを含む請求項1に記載の樹脂組成物。
- 複合安定剤がアルキルヒドロキシルアミンオキシド、随意としてアルキルヒドロキシルアミン及び芳香族酸化防止剤を基材とし且つ完成UPE樹脂の100部当たり0.001〜0.5部で存在する請求項1に記載の樹脂組成物。
- アルキルヒドロキシルアミンオキシドが(C1〜C6)アルキルヒドロキシルアミンオキシド化合物である請求項3に記載の樹脂組成物。
- アルキルヒドロキシルアミンが(C1〜C6)アルキルヒドロキシルアミン化合物である請求項3に記載の樹脂組成物。
- アルキルヒドロキシルアミンオキシドがトリエチルアミンオキシド(TEAO)若しくはトリブチルアミンオキシド(TBAO)又はこれらの混合物である請求項4に記載の樹脂組成物。
- アルキルヒドロキシルアミンがジエチルヒドロキシルアミン(DEHA)、ジブチルヒドロキシルアミン(DBHA)若しくはN−イソ−プロピルヒドロキシルアミン(NiPHA)又はこれらの2種以上の混合物である請求項5に記載の樹脂組成物。
- 芳香族酸化防止剤がヒンダードフェノール、キノン若しくはフェノチアジン又はこれらの2種以上の混合物である請求項3に記載の樹脂組成物。
- ジシクロペンタジエンが樹脂混合物に添加された請求項1に記載の樹脂組成物。
- コバルト塩を主促進剤として含有する請求項2に記載の樹脂組成物。
- アミンがジメチルアニリン又はジエチルアニリンである請求項2に記載の樹脂組成物。
- 過酸化物触媒を含有する請求項1に記載の樹脂組成物。
- 0.05%〜50%の活性酸素含有量を有する過酸化物触媒を含有する請求項10に記載の樹脂組成物。
- 請求項1に記載の組成物から製造されたゲルコート、マーブル又は積層品である物品。
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