JP2004224730A - ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド含有薬剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】CD36遺伝子の発現を誘導しCD36を活性化することという新たな作用機序に基づいてCD36欠損症、特に心筋症に対する治療効果をもたらす。
【解決手段】ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドからなるCD36活性化剤又はCD36欠損症治療用薬剤。
【選択図】 なし
【解決手段】ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドからなるCD36活性化剤又はCD36欠損症治療用薬剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドからなるCD36活性化剤又はCD36欠損症治療用薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
心房性ナトリウム利尿ペプチド(Atrial NatriumureticPeptide)は1983〜1984年にdeBoldらや松尾・寒川(特許文献1、非特許文献1)によりヒト及びラットの心房組織から単離・精製された28個のアミノ酸からなるペプチドホルモンである(以下、心房性ナトリウム利尿ペプチドをANPと、特にヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドをヒトANPと略称する)。その後ANPに類似した構造を有する脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)やC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)が精製され、現在ANPと併せてヒトでは少なくとも3種類のペプチド類を包含するナトリウム利尿ペプチドファミリーが存在することがわかっている(総説として、非特許文献2参照)。
【0003】
上記3種類のヒトナトリウム利尿ペプチドファミリーANP、BNP及びCNPの遺伝子座位はいずれも異なっており、ANP遺伝子は第1染色体長腕(1p36.2)にBNP遺伝子座位と8キロ塩基対の距離を隔ててタンデムに存在しており、3つのエキソンを含んでいる。28個のアミノ酸残基からなるヒト成熟型ANPは1箇所のジスルフィド結合によって環状構造を形成しており、この環状構造部分は17個のアミノ酸残基からなり、その配列のホモロジーはANP、BNP及びCNP間で非常に高い。この環状構造は受容体(ANP、BNP及びCNPに対する受容体をそれぞれNPRA、NPRB及びNPRCと称す)への結合にも重要な役割を果たすと考えられる(非特許文献2)。
【0004】
ANPは正常の状態では主として心房で合成・分泌され冠静脈洞に灌流される一種のホルモンである。ANPを生体に投与すると、降圧作用、利尿・ナトリウム利尿作用、血管拡張作用等の中枢又は末梢への薬理作用が現れ、その一方反射性の頻脈が起こりにくくなり、また交感神経抑制作用、レニン・アルドステロン分泌抑制作用も認められる。
【0005】
このことから、ANPの特異的測定法の開発と共に、高血圧症の成因・病態生理・治療等におけるナトリウム利尿ペプチドファミリーの関与が重視されてきている。現在、本態性高血圧症と関連する多くの遺伝子(座)が報告されており、特にANP遺伝やBNP遺伝子が存在する第1染色体の1p36は重要な遺伝子座のひとつであると考えられている(非特許文献3)。実際、本態性高血圧症の患者にANPを投与すると、降圧作用やセカンドメッセンジャーcGMPの反応に個人差が生じることから、ナトリウム利尿ペプチドの受容体であるNPRA、NPRBの異常が本態性高血圧症の原因の一つである可能性がある(非特許文献2)。
【0006】
このように、ANPの上記薬理作用を考えると、ANPは病態生理的観点から心不全疾患において意義を有すると考えられてきた。実際、心不全時にはANPの生合成と分泌が亢進し、増加したANPが心不全の悪循環を多くの異なる作用部位で遮断し、心臓への負荷を軽減して心機能を改善することが知られている。心不全とは特定の病名ではなく、心臓の働きが不十分な結果起きた身体の状態を指し示すものであり、その原因も一つに特定されるものではなく、狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症、高血圧等の様々な要因が考えられている。現在、ヒトANPは遺伝子組換え法により生産することができ、すでに急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)への効能・効果を有する製剤(カルペリチド)としてハンプ(登録商標)又はHANP(登録商標)の名で市販されている。
【0007】
一方、心不全とは異なる心疾患として心筋症がある。心筋症においては、心筋自体が変化することにより心臓の血液のポンプ機能が低下し、動悸、息切れ、呼吸困難等の症状が生じる。一般に心筋症は、
非閉塞型・閉塞型の肥大型心筋症や、高血圧症・大動脈弁狭窄症・アミロイド症・ファブリー病等に伴う二次性心筋肥大のように心筋が肥厚する症状、
拡張型心筋症や、心筋炎・心サルコイド症等に伴う二次性心筋障害のように心筋が薄くなる症状、及び
拘束型心筋症のように心筋が硬くなる症状
に分類することができる。
【0008】
これまでのところ、ヒトANPが心筋症の病態薬理に関与すると記載されたことはなく、心筋症の治療薬としての可能性の記載も示唆もされたことがない。
【0009】
CD36は当初、血小板の第4番目に発見された糖タンパクとして血小板の粘着等に関わる因子として研究されたが、その後白血球のdifferentiation antigenと同一であることが確認され、血小板のみならず様々な細胞において多くの機能を有することが明らかになってきた(非特許文献4)。CD36は脂肪細胞や心筋細胞において脂肪酸輸送タンパクとして機能することが示されている。臨床的には肥大型心筋症の一部にはCD36欠損症が関与している可能性があることが報告されている(非特許文献4)。
【0010】
CD36欠損症には血小板と単球の両者ともにCD36が欠損しているタイプIと、血小板のみにCD36が欠損しているタイプIIとに分類される。CD36欠損を伴う心筋細胞ではCD36の発現が顕著に低下している。CD36欠損症はタイプIとタイプIIを併せて肥大型心筋症・拡張型心筋症において10〜20%前後の頻度で出現するとされている。
【0011】
また、心筋症以外にもCD36欠損症が関連する循環器疾患がが示唆されているがまだ確定はしていない。
これまでのところ、ヒトANPがCD36欠損症の病態薬理に関与するか否かについては全く記載も示唆もされたことがない。
【0012】
CD36遺伝子の発現が抑制された細胞の実験系として、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)が挙げられるが、この細胞が通常の培養条件下でCD36欠損型(陰性)であることは、モノクロナール抗体を用いた実験によって複数の研究室による報告ですでに確認されている(非特許文献6及び7)。
【0013】
【特許文献1】特公昭63−19520号公報
【非特許文献1】Kangawa,K.and Matsuo,H.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,118:131−139(1984)
【非特許文献2】中山、日大医誌60(7)、303−310(2001)
【非特許文献3】岸本、斎藤、中尾、医学の歩み、189(9)、1999、510−516
【非特許文献4】西村、臨床画像、14(9)、1153−1157(1998)
【非特許文献5】野崎ら、動脈硬化、26(1)、29−32(1998)
【非特許文献6】Smith,H.et al.Exp Parasitol,75:269−280(1992)
【非特許文献7】McCormick,C.J.et al.J ClinInvest,100:2521−2529(1997)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように心筋症にはCD36欠損型心筋症が存在し、CD36欠損が関与すると考えられる循環器疾患も存在することから、かかる疾患においてCD36遺伝子の発現を誘導しCD36を活性化することができれば、全く新たな作用機序に基づいて上記疾患の治療効果をもたらすことができる。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者はCD36遺伝子の発現を誘導することができる薬物について鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことにヒトANPがCD36遺伝子の発現を誘起することができ、これが心筋症、その他のCD36欠損症の治療に使用し得ることを見出し、本発明をなすに至ったのである。
【0016】
本発明は、
(1)ヒトANPからなるCD36活性化剤;
(2)CD36が活性化される細胞がヒト臍帯静脈内皮細胞である請求項1記載のCD36活性化剤;
(3)ヒトANPからなるCD36欠損症治療用薬剤;
(4)前記CD36欠損症がCD36欠損型心筋症である請求項3記載の薬剤;に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明においてCD36欠損症は、上記タイプIとタイプIIの両方を包含し、具体的にはCD36欠損を伴う心筋症(CD36欠損型心筋症)、動脈硬化、虚血性心疾患等の循環器疾患、脂肪酸代謝異常などを包含する。特に本発明の薬剤は、CD36欠損を伴う肥大型心筋症及び拡張型心筋症の治療薬として有効である。
【0018】
本発明の薬剤の有効成分であるヒトANPは、CD36遺伝子の発現が抑制されていた細胞において、その遺伝子の発現を誘導し、CD36を活性化する作用を有する。この作用により、本発明の薬剤はCD36欠損症やそれによりもたらされる病態の治療に効果を発揮する。
【0019】
CD36遺伝子の発現が抑制された細胞のモデル実験系としては、HUVECが挙げられる。
従って、本発明の薬剤が細胞内でCD36遺伝子の発現を誘導したか否かは、HUVECを用いて例えばアフィメトリクス(Affymetrix)社のGeneChip(登録商標)とその発現解析アルゴリズムにより確認することができる。
遺伝子の発現を解析するジーンチップを用いる遺伝子発現分析の実際は以下の通りである。
【0020】
DNAマイクロアレイを用いた実験では、一度に大量のデータが得られるため、得られた膨大なデータの中から、どのようにして意味のある遺伝子発現情報を抽出するかが大きな鍵となる。アフィメトリクス(Affymetrix)社のGeneChip(登録商標)遺伝子発現解析に関する細かな実験操作やNormalizationの手法については既に他に記載されているので(1)、本明細書ではいかに信頼性のおけるデータを用いて解析を行い、標的遺伝子を絞り込んでいくかについて概説する。DNAマイクロアレイ法を用いた実験では、サンプル調製からデータを得るまでに生ずる誤差の蓄積により、データのばらつきが生ずる。そのため、マイクロアレイを用いた実験では、解析を始める前に、全てのデータを信頼性の高いデータと信頼性の低いノイズに分け、その中から発現量に変化があった遺伝子群を抽出する作業が必要となり、この作業をフィルタリングと呼ぶ(2)。現在までに報告されている、Affymetrix社のGeneChip(登録商標)システムを用いた解析手法では、フィルタリングには、・信頼性のある遺伝子発現量を示すシグナル強度の下限値(cutoff threthhold値)を決めて、それ以下のデータを示す遺伝子群を切り捨てたり、それ以下のデータに全てcutoff threthhold値を割り当てて、実際に解析するデータの再構築を行った後・遺伝子の発現量の変動を、遺伝子発現強度の変化量を用いて定義し、変化した遺伝子を抽出するという2つの行程が主に行われている(3〜8)。実際にはこの操作は各実験系によって異なり、各研究施設で独自に決めた方法が行われているのが現状であり、各実験系や求める結果に応じて、決定する必要がある。
【0021】
GeneChip(登録商標)システムを用いた実験では、mRNAの発現量を、先に述べたように、パーフェクト・マッチのプローブ・セット(PM)から得られたシグナル強度と、ミス・マッチのプローブ・セット(MM)から得られたシグナル強度の差として定義し(PM−MM)、Average Difference Intensity(Avg.Diff.)と名付けて、解析に用いている。従って、各実験系ごとで信頼性の高いプローブ・セットを選択する場合、このAvg.Diff.Intesity値でcutoff threthhold値(信頼性のあるAvg.Diff.Intensity値の下限値)を決めた後、cutoff threthhold値以下となる遺伝子のデータにcutoff threthhold値を割り当てて、検討する方法や(3、4、5)、実験系で全てのAvg.Diff.Intensityが0以上のデータのみを信頼性の高いデータとして採用する方法が試みられている(6)。また、GeneChip(登録商標)を用いた解析では、Absolute callと呼ばれるパラメーターを用いて、その遺伝子が発現しているかどうかの目安(発現がある=Present,発現がない=Absent)を得ることができる。即ち、解析の結果Absolute callによりPresentと判定された遺伝子は、実際に発現している可能性が高く、その遺伝子の有するAvg.Diff値は信頼性が高いのに対し、Absolute callによりAbsentと判定された遺伝子は発現している可能性が低く、その遺伝子が有するAvg.Diff値は信頼性が低いと考えることができる。従って、このパラメーターは、発現データのフィルタリングを行う際にも有効であり、例えば実験系で全てAbsentと判定された遺伝子群のデータを、信頼性が低いと考えて切り捨て、残りの実験データを用いて解析を行っている報告もみられる(7)。
【0022】
また、コントロールの実験に対して何らかの処置を加えた実験を比較し、変化した遺伝子群を抽出する場合、Affymetrix社のGeneChip(登録商標)システムでは、mRNAの発現量が2倍以上または1/2倍以下に変動したものから遺伝子発現量が変化したと考えることができる(4)。従って、解析を始める前に、あらかじめ同一の実験条件により得られたサンプルから、別々にcRNAサンプルを調製し、同一の条件でGeneChip(登録商標)プローブアレイとハイブリダイゼーションを行ってデータを比較することにより、実験誤差が大きいために、遺伝子発現量が変動したと判定されるプローブ・セットを、解析から除く必要がある(4)。この場合には、各実験系の精度を考慮した上で、何倍以上(又は何倍以下)を遺伝子発現に変化があったと決める必要があるが、この精度に関しても、2〜4倍の発現量増加あるいは0.25〜0.5倍の発現量減少と各実験系によって異なり、実験毎の十分な検討が必要である(3〜8)。以上の工程を経て、信頼性が高いデータとして選ばれた遺伝子セットの変化を、従来から報告されている遺伝子発現変化をランドマークとして検討した場合、理にかなった変化が得られれば、フィルタリングの作業は終了である。
【0023】
各実験データから信頼性の高いプローブ・セットを選択した後は、数学的及び統計学的アルゴリズムを用いて、得られた発現情報を整理し、実験の目的とする遺伝子群を絞り込む。一回のマイクロアレイを用いた実験で得られるデータは、実験毎の遺伝子発現量と量的相関を示す非連続的な数値データであるが、例えば一つのコントロール実験をもとに複数の時間的に連続したデータをつなげれば、生物学的反応過程における各遺伝子の連続した発現パターンを示すデータが得られる。また、複数の癌患者の非癌部・原発巣・転移巣といった、異なる状態にある非連続的なサンプルのグループを並べて、個々の遺伝子発現量の変化をパターンとして比較検討すれば、意味のある生物学的情報が抽出できる。現在までに報告されている、DNAマイクロアレイの解析アルゴリズムの基本コンセプトは、これらの遺伝子発現のデータ・セットから、発現パターンがよく似通った遺伝子群を集めてグループ化することにより、生物学的反応に特異的な発現パターンを示す遺伝子群を抽出しようとするものであり、クラスター解析と呼ばれている(この手法自体は、以前から遺伝子系統樹や進化学および経済学の領域で用いられてきた、数理統計学的手法である)。これにより、各生物学的反応に特定の役割をはたす遺伝子群が、短時間で抽出可能になる。また、いくつもの報告から、細胞周期などのプログラムされた生理的な生物学的反応系においては、発現パターンが似通ったものは、よく似通った機能を有することが報告されており(9〜12)、例えば未知のEST(expressed sequence tag)の機能解析をする際にも、その遺伝子がクラスターされたグループの中に含まれる既知遺伝子の機能から、未知遺伝子の機能を類推し、その後の解析に役立てることも可能である。
【0024】
クラスター解析は、複数の条件で測定した遺伝子発現量を、ユークリッド空間上の発現強度ベクトルとして表現し、各ベクトルの間でお互いに空間上の位置が近いものをグループ化する数理統計学的手法である(2)。発現強度ベクトルの空間上の位置が近いベクトルを集めるパラメータとして、発現強度ベクトル間のユークリッド距離を用いる手法や、発現ベクトル同士のなす角を用いる手法など、これ以外にも様々なパラメータの設定の仕方があり、これらは使用するマイクロアレイの実験系に応じて得られる解析データの性格や、求める結果に応じて使い分ける必要がある(2)。クラスター解析には多数の手法があるが、DNAマイクロアレイによる網羅的解析で最もよく用いられるのは、階層的クラスター解析と非階層的クラスター解析である(2、10、11)。簡単に違いを述べると、階層的クラスター解析は、個々の遺伝子の発現強度ベクトル全てについて、お互いの空間的距離を計算した後で、距離の近いもの同士を束ねてゆく手法で、結果は樹形図(dendrogram)で表される。階層的クラスター解析の利点としては、個々の遺伝子の発現強度ベクトル同士の距離をあらかじめ計算してから、遺伝子同士を束ねるため、個々の遺伝子の発現パターンを細かく検討できる反面、融合の打ち切り基準の設定や、バランスの悪いクラスターができてしまう場合があり、注意が必要である。非階層的クラスター解析でよく用いられるものには、k−meansクラスター解析がある。これは、あらかじめ分類するクラスターの数と、そこに入る遺伝子群の発現強度ベクトルの空間内の中心を決めて、そこに空間上の位置がパラメータの上で最も近い遺伝子を束ねた後、できあがったクラスターの中心を再度新しい重心として、この操作を繰り返しながら、発現パターンの近い遺伝子を束ねる手法である。この手法の問題点は、クラスターの数であるk値をあらかじめ決めなければならない点であり、現在のところ、この理論的決定は困難である。また、クラスター解析は、遺伝子発現量のパターン変化を用いて、似通った遺伝子群を束ねる手法であるため、先に実験系で発現量が変化した遺伝子群を選択した後で、クラスター解析をかけて、発現パターンが同一の遺伝子群を抽出する必要がある(9〜12)。さらにクラスター解析は、あくまでも遺伝子を絞り込むための手段であり、クラスター解析により絞り込んだ遺伝子群の生理的及び病的過程での役割を、既存のデータ・ベース上にある分子経路の情報などと併せて検討する必要がある(13)。
【0025】
実際にこれらの数理統計学的アルゴリズムを用いて、大容量のデータを解析するためには、これらのバイオ・インフォーマティクスのアルゴリズムを複数取り入れた、コンピュータ・ソフトウェアを用いた多方向からのデータ解析が必要となってくる。
【0026】
以上のように、各実験毎に目的となる遺伝子を数理統計学的アルゴリズムを用いて絞り込んだ後は、病理織化学的手法を用いて、標的遺伝子を発現している細胞の種類や、遺伝子産物の細胞内での局在部位を同定する。さらに標的遺伝子について、遺伝子を改変したモデル動物や細胞を用いた実験系を作成し、従来の実験的手法を用いて、マイクロアレイ法によって得られた遺伝子発現変化に対する生物学的意味付けをし、発現解析によって得られた情報を、機能的情報に置き換えてゆく作業を行う(14、15)。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例により何ら制限されるものではない。
【0028】
例1
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を単離培養、継代し、4から8継代のHUVECを実験に使用した。培地としてクラボウ社の組織培養用低血清培地HuMedia−EG2(Cat#KE−2150S)を用いた。この培地そのものは添加物なしの状態で使用できるが、本実験では更に細胞増殖用としてFBS hEGF10μg/l、ハイドロコーチゾン1mg/l、アンフォテリシンB50μg/l、ゲンタマイシン50mg/l、hFGF−B5μg/l、ヘパリン10mg/l、ウシ胎仔血清2%を添加したものを使用した。HUVECは75cm2の底面積を持つフラスコで培養し、培地の量は10mlとした。培養条件は37℃、5%CO2濃度とした。ヒトANP添加時、HUVECはほぼ80〜90%のコンフルエント(confluent)状態で使用した。
【0029】
以下、本実験を順を追って説明する。まず細胞を添加物なしの培地で2回洗浄した後、10mlの添加物なしの培地をフラスコに入れてインキュベーター中に1時間置いた。次いで、ヒトANPを培地に添加して24時間後に以下の実験に使用した。ヒトANPとして遺伝子組み換えカルペリチド3080μgを1mlの蒸留水に溶解したものを用意し、50μlを培養液に添加した。最終濃度を10−7Mとして24時間インキュベーションを行った。その後HUVECをリン酸緩衝液で洗浄し、メッセンジャーRNA(mRNA)を抽出した。細胞からのmRNA分離方法としてはオリゴ(dT)(Oligo(dT))法を用いた。抽出カラムはキアゲン(Qiagen)社のQuickPrep(登録商標)MicromRNA Purification Kitを使用した。このカラムはオリゴ(dT)セルロース充填カラムであり、抽出操作は製品に添付のマニュアルに添って行った。mRNAはこのキットの溶離液Bに溶解していることになる。濃度測定後、1μgのmRNAからcDNAを合成した。cDNA合成には、Superscript TM ChoiceSystem(GibcoBRLCatNo.18090−019)を用いた。このキットに添付のT7−(dT)24プライマーとSSII逆転写酵素の存在下、37℃、1時間で第1の鎖(1st strand)を合成した。DNAポリメラーゼI添加後、16度、2時間で第2の鎖(2nd strand)を合成した。次にインビトロ転写法にてcRNAを合成した。この合成には、MEGAscriptTM In vitro transcription kit for large scale synthesis of RNAs (Ambion CatNo.#1330,1334,1338)を用いた。酵素はキットに添付されているAmbion T7 enzyme Mixを用い、37℃、5時間反応させた。エタノール沈殿法によってcRNAを精製後、GeneChip(登録商標)による解析に用いた。
【0030】
精製したcRNAをGeneChip(登録商標)HU6800チップに注入し、45℃、16時間、ハイブリダイゼーション・オーブンでのインキュベーションにより、cRNAとチップ上に配置されている各遺伝子断片(オリゴヌクレオチド)とのハイブリダイゼーションを行った。HU6800チップには公開データベースを元にしたmRNA配列情報から各遺伝子に特異的にハイブリダーゼーションするオリゴヌクレオチドがヒト遺伝子のうち約6800個分貼り付けられている。遺伝子の選定はAffymetrix社が行ったものであるが、ヒト遺伝子の総数は現在では約30,000個と推定されており全長のmRNA配列が解明できているものばかりではないので6800個という数はほとんどの種類の遺伝子をカバーしている驚異的な数値である。GeneChipシステムではこれら約6800個の遺伝子発現を同時に網羅的に解析することができるのである。今まで1個1個研究者が選定した遺伝子を解析するのとは違って労働力的にも非常に効率のよい研究ツールであるといえる。チップをFluidicステーションに装着することによって自動的にビオチン標識し、洗浄した。蛍光強度をジーンアレイスキャナーを使って検出し、ヒトゲノムの遺伝子発現をアフィメトリクス(Affymetrix)社の発現解析アルゴリズムにより解析したところ、ヒトANP負荷ありではすべてpresentのAbsolute callを示し、ヒトANP負荷なしではすべてabsentのAbsolute callを示した。これにより、CD36遺伝子(GeneBankのaccession No.Z32765)の発現が、定量的にも定性的にも高い再現性で確認することができた。
【0031】
別にTaqMan PCR法の実験系でも確認したところ、CD36の発現量の相対値はヒトANP負荷なし(n=5)は1.00±0.25、ヒトANP負荷あり(10−7Mol)(n=5)は3.29±0.78となり、有意差があった(P<0.0001)。なお、TaqMan PCR法は感度が非常によいため、ANP負荷なしの時のわずかな発現でも検出できたものと考えられる。
【0032】
参考文献
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6)Welsh JB、Zarrinkar PP、Sapinoso LM、Kern SG、Behling CA、Monk BJ、Lockhart DJ、Burger RA、Hampton GM:Analysis of gene expression profiles in normal and neoplastic ovarian tissue samplesidentifies candidate molecular markers of epithelial ovarian cancer.Proc Natl Acad Sci USA 30:1176−1181(2001).
7)Hippo Y、Yashiro M、Ishii M、Taniguchi H、Tsutsumi S、Hirakawa K、Kodama T、Aburatani H:Differential gene expression profiles of scirrhous gastric cancer cells with high metastatic potential to peritoneum or lymph nodes.Cancer Res.61:889−895(2000).
8)Wodicka L、Dong H、Mittmann M、Ho M、Lockhart DJ:Genome−wide expression monitoring in Saccharomyces cerevisiae.Nat Biotechnol 15:1359−1367(1997).
9)Eisen MB、Spelleman PT、Brown PO、Botstein D:Cluster analysis and displayof genome−wide expression patterns.Proc Natl Acad Sci USA 95:14863−14868(1998).
10)Cho RJ、Campbell MJ、Winzeler EA、Steinmetz L、Conway A、Wodicka L、Wolfsberg TG、Gabrielian AE、Landsman D、Lockhart DJ、Davis RW:A genome−wide transcriptional analysis of mitotic cell cycle.Mol Cell 2:65−73(1998)
11)Iyer VR、Eisen MB、Ross DT、Schuler G、Moore T、Lee JCF、Trent JM、Staudt LM、Hudson J、Boguski MS、Lashkari D、Shalon D、Botstein D、Brown PO:The transcriptional program in the response of human fibroblasts to serum.Science 283:83−87(1999).
12)Spellman PT、Sherlock G、Zhang MQ、Iyer VR、Anders K、Eisen MB、Brown PO、Botstein D、Futcher B:Comprehensive identification of cell cycle−regulated genes of yeast Saccharomyces cerevisiae by microarray hybridization.Mol Bilo Cell 9:3273−3297(1998).
13)中井謙太.ゲノムインフォマテイクス.実験医学別冊ゲノム機能解析プロトコール、pp163−167、羊土社、東京(2000).
14)Lee SB、Huang K、Palmer R、Truong VB、Herzlinger D、Kolquist KA、Wong J、Paulding C、Yoon SK、Gerald W、Oliner JD、Haber DA:The Wilms tumor suppressor WT1 encodes a transcriptional activator of amphiregulin.Cell 98:663−673(1999).
15)MacDonald TJ、Brown KM、LaFleur B、Peterson K、Lawlor C、Chen Y、Packer RJ、Cogan P、Stephan DA:Expression profiling of medulloblastoma:PDGFRA and the Ras/MAPK pathway as therapeutic targets for metastatic disease.Nat Genet 29:143−152(2001).
【発明の属する技術分野】
本発明はヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドからなるCD36活性化剤又はCD36欠損症治療用薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
心房性ナトリウム利尿ペプチド(Atrial NatriumureticPeptide)は1983〜1984年にdeBoldらや松尾・寒川(特許文献1、非特許文献1)によりヒト及びラットの心房組織から単離・精製された28個のアミノ酸からなるペプチドホルモンである(以下、心房性ナトリウム利尿ペプチドをANPと、特にヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドをヒトANPと略称する)。その後ANPに類似した構造を有する脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)やC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)が精製され、現在ANPと併せてヒトでは少なくとも3種類のペプチド類を包含するナトリウム利尿ペプチドファミリーが存在することがわかっている(総説として、非特許文献2参照)。
【0003】
上記3種類のヒトナトリウム利尿ペプチドファミリーANP、BNP及びCNPの遺伝子座位はいずれも異なっており、ANP遺伝子は第1染色体長腕(1p36.2)にBNP遺伝子座位と8キロ塩基対の距離を隔ててタンデムに存在しており、3つのエキソンを含んでいる。28個のアミノ酸残基からなるヒト成熟型ANPは1箇所のジスルフィド結合によって環状構造を形成しており、この環状構造部分は17個のアミノ酸残基からなり、その配列のホモロジーはANP、BNP及びCNP間で非常に高い。この環状構造は受容体(ANP、BNP及びCNPに対する受容体をそれぞれNPRA、NPRB及びNPRCと称す)への結合にも重要な役割を果たすと考えられる(非特許文献2)。
【0004】
ANPは正常の状態では主として心房で合成・分泌され冠静脈洞に灌流される一種のホルモンである。ANPを生体に投与すると、降圧作用、利尿・ナトリウム利尿作用、血管拡張作用等の中枢又は末梢への薬理作用が現れ、その一方反射性の頻脈が起こりにくくなり、また交感神経抑制作用、レニン・アルドステロン分泌抑制作用も認められる。
【0005】
このことから、ANPの特異的測定法の開発と共に、高血圧症の成因・病態生理・治療等におけるナトリウム利尿ペプチドファミリーの関与が重視されてきている。現在、本態性高血圧症と関連する多くの遺伝子(座)が報告されており、特にANP遺伝やBNP遺伝子が存在する第1染色体の1p36は重要な遺伝子座のひとつであると考えられている(非特許文献3)。実際、本態性高血圧症の患者にANPを投与すると、降圧作用やセカンドメッセンジャーcGMPの反応に個人差が生じることから、ナトリウム利尿ペプチドの受容体であるNPRA、NPRBの異常が本態性高血圧症の原因の一つである可能性がある(非特許文献2)。
【0006】
このように、ANPの上記薬理作用を考えると、ANPは病態生理的観点から心不全疾患において意義を有すると考えられてきた。実際、心不全時にはANPの生合成と分泌が亢進し、増加したANPが心不全の悪循環を多くの異なる作用部位で遮断し、心臓への負荷を軽減して心機能を改善することが知られている。心不全とは特定の病名ではなく、心臓の働きが不十分な結果起きた身体の状態を指し示すものであり、その原因も一つに特定されるものではなく、狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症、高血圧等の様々な要因が考えられている。現在、ヒトANPは遺伝子組換え法により生産することができ、すでに急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)への効能・効果を有する製剤(カルペリチド)としてハンプ(登録商標)又はHANP(登録商標)の名で市販されている。
【0007】
一方、心不全とは異なる心疾患として心筋症がある。心筋症においては、心筋自体が変化することにより心臓の血液のポンプ機能が低下し、動悸、息切れ、呼吸困難等の症状が生じる。一般に心筋症は、
非閉塞型・閉塞型の肥大型心筋症や、高血圧症・大動脈弁狭窄症・アミロイド症・ファブリー病等に伴う二次性心筋肥大のように心筋が肥厚する症状、
拡張型心筋症や、心筋炎・心サルコイド症等に伴う二次性心筋障害のように心筋が薄くなる症状、及び
拘束型心筋症のように心筋が硬くなる症状
に分類することができる。
【0008】
これまでのところ、ヒトANPが心筋症の病態薬理に関与すると記載されたことはなく、心筋症の治療薬としての可能性の記載も示唆もされたことがない。
【0009】
CD36は当初、血小板の第4番目に発見された糖タンパクとして血小板の粘着等に関わる因子として研究されたが、その後白血球のdifferentiation antigenと同一であることが確認され、血小板のみならず様々な細胞において多くの機能を有することが明らかになってきた(非特許文献4)。CD36は脂肪細胞や心筋細胞において脂肪酸輸送タンパクとして機能することが示されている。臨床的には肥大型心筋症の一部にはCD36欠損症が関与している可能性があることが報告されている(非特許文献4)。
【0010】
CD36欠損症には血小板と単球の両者ともにCD36が欠損しているタイプIと、血小板のみにCD36が欠損しているタイプIIとに分類される。CD36欠損を伴う心筋細胞ではCD36の発現が顕著に低下している。CD36欠損症はタイプIとタイプIIを併せて肥大型心筋症・拡張型心筋症において10〜20%前後の頻度で出現するとされている。
【0011】
また、心筋症以外にもCD36欠損症が関連する循環器疾患がが示唆されているがまだ確定はしていない。
これまでのところ、ヒトANPがCD36欠損症の病態薬理に関与するか否かについては全く記載も示唆もされたことがない。
【0012】
CD36遺伝子の発現が抑制された細胞の実験系として、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)が挙げられるが、この細胞が通常の培養条件下でCD36欠損型(陰性)であることは、モノクロナール抗体を用いた実験によって複数の研究室による報告ですでに確認されている(非特許文献6及び7)。
【0013】
【特許文献1】特公昭63−19520号公報
【非特許文献1】Kangawa,K.and Matsuo,H.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,118:131−139(1984)
【非特許文献2】中山、日大医誌60(7)、303−310(2001)
【非特許文献3】岸本、斎藤、中尾、医学の歩み、189(9)、1999、510−516
【非特許文献4】西村、臨床画像、14(9)、1153−1157(1998)
【非特許文献5】野崎ら、動脈硬化、26(1)、29−32(1998)
【非特許文献6】Smith,H.et al.Exp Parasitol,75:269−280(1992)
【非特許文献7】McCormick,C.J.et al.J ClinInvest,100:2521−2529(1997)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように心筋症にはCD36欠損型心筋症が存在し、CD36欠損が関与すると考えられる循環器疾患も存在することから、かかる疾患においてCD36遺伝子の発現を誘導しCD36を活性化することができれば、全く新たな作用機序に基づいて上記疾患の治療効果をもたらすことができる。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者はCD36遺伝子の発現を誘導することができる薬物について鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことにヒトANPがCD36遺伝子の発現を誘起することができ、これが心筋症、その他のCD36欠損症の治療に使用し得ることを見出し、本発明をなすに至ったのである。
【0016】
本発明は、
(1)ヒトANPからなるCD36活性化剤;
(2)CD36が活性化される細胞がヒト臍帯静脈内皮細胞である請求項1記載のCD36活性化剤;
(3)ヒトANPからなるCD36欠損症治療用薬剤;
(4)前記CD36欠損症がCD36欠損型心筋症である請求項3記載の薬剤;に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明においてCD36欠損症は、上記タイプIとタイプIIの両方を包含し、具体的にはCD36欠損を伴う心筋症(CD36欠損型心筋症)、動脈硬化、虚血性心疾患等の循環器疾患、脂肪酸代謝異常などを包含する。特に本発明の薬剤は、CD36欠損を伴う肥大型心筋症及び拡張型心筋症の治療薬として有効である。
【0018】
本発明の薬剤の有効成分であるヒトANPは、CD36遺伝子の発現が抑制されていた細胞において、その遺伝子の発現を誘導し、CD36を活性化する作用を有する。この作用により、本発明の薬剤はCD36欠損症やそれによりもたらされる病態の治療に効果を発揮する。
【0019】
CD36遺伝子の発現が抑制された細胞のモデル実験系としては、HUVECが挙げられる。
従って、本発明の薬剤が細胞内でCD36遺伝子の発現を誘導したか否かは、HUVECを用いて例えばアフィメトリクス(Affymetrix)社のGeneChip(登録商標)とその発現解析アルゴリズムにより確認することができる。
遺伝子の発現を解析するジーンチップを用いる遺伝子発現分析の実際は以下の通りである。
【0020】
DNAマイクロアレイを用いた実験では、一度に大量のデータが得られるため、得られた膨大なデータの中から、どのようにして意味のある遺伝子発現情報を抽出するかが大きな鍵となる。アフィメトリクス(Affymetrix)社のGeneChip(登録商標)遺伝子発現解析に関する細かな実験操作やNormalizationの手法については既に他に記載されているので(1)、本明細書ではいかに信頼性のおけるデータを用いて解析を行い、標的遺伝子を絞り込んでいくかについて概説する。DNAマイクロアレイ法を用いた実験では、サンプル調製からデータを得るまでに生ずる誤差の蓄積により、データのばらつきが生ずる。そのため、マイクロアレイを用いた実験では、解析を始める前に、全てのデータを信頼性の高いデータと信頼性の低いノイズに分け、その中から発現量に変化があった遺伝子群を抽出する作業が必要となり、この作業をフィルタリングと呼ぶ(2)。現在までに報告されている、Affymetrix社のGeneChip(登録商標)システムを用いた解析手法では、フィルタリングには、・信頼性のある遺伝子発現量を示すシグナル強度の下限値(cutoff threthhold値)を決めて、それ以下のデータを示す遺伝子群を切り捨てたり、それ以下のデータに全てcutoff threthhold値を割り当てて、実際に解析するデータの再構築を行った後・遺伝子の発現量の変動を、遺伝子発現強度の変化量を用いて定義し、変化した遺伝子を抽出するという2つの行程が主に行われている(3〜8)。実際にはこの操作は各実験系によって異なり、各研究施設で独自に決めた方法が行われているのが現状であり、各実験系や求める結果に応じて、決定する必要がある。
【0021】
GeneChip(登録商標)システムを用いた実験では、mRNAの発現量を、先に述べたように、パーフェクト・マッチのプローブ・セット(PM)から得られたシグナル強度と、ミス・マッチのプローブ・セット(MM)から得られたシグナル強度の差として定義し(PM−MM)、Average Difference Intensity(Avg.Diff.)と名付けて、解析に用いている。従って、各実験系ごとで信頼性の高いプローブ・セットを選択する場合、このAvg.Diff.Intesity値でcutoff threthhold値(信頼性のあるAvg.Diff.Intensity値の下限値)を決めた後、cutoff threthhold値以下となる遺伝子のデータにcutoff threthhold値を割り当てて、検討する方法や(3、4、5)、実験系で全てのAvg.Diff.Intensityが0以上のデータのみを信頼性の高いデータとして採用する方法が試みられている(6)。また、GeneChip(登録商標)を用いた解析では、Absolute callと呼ばれるパラメーターを用いて、その遺伝子が発現しているかどうかの目安(発現がある=Present,発現がない=Absent)を得ることができる。即ち、解析の結果Absolute callによりPresentと判定された遺伝子は、実際に発現している可能性が高く、その遺伝子の有するAvg.Diff値は信頼性が高いのに対し、Absolute callによりAbsentと判定された遺伝子は発現している可能性が低く、その遺伝子が有するAvg.Diff値は信頼性が低いと考えることができる。従って、このパラメーターは、発現データのフィルタリングを行う際にも有効であり、例えば実験系で全てAbsentと判定された遺伝子群のデータを、信頼性が低いと考えて切り捨て、残りの実験データを用いて解析を行っている報告もみられる(7)。
【0022】
また、コントロールの実験に対して何らかの処置を加えた実験を比較し、変化した遺伝子群を抽出する場合、Affymetrix社のGeneChip(登録商標)システムでは、mRNAの発現量が2倍以上または1/2倍以下に変動したものから遺伝子発現量が変化したと考えることができる(4)。従って、解析を始める前に、あらかじめ同一の実験条件により得られたサンプルから、別々にcRNAサンプルを調製し、同一の条件でGeneChip(登録商標)プローブアレイとハイブリダイゼーションを行ってデータを比較することにより、実験誤差が大きいために、遺伝子発現量が変動したと判定されるプローブ・セットを、解析から除く必要がある(4)。この場合には、各実験系の精度を考慮した上で、何倍以上(又は何倍以下)を遺伝子発現に変化があったと決める必要があるが、この精度に関しても、2〜4倍の発現量増加あるいは0.25〜0.5倍の発現量減少と各実験系によって異なり、実験毎の十分な検討が必要である(3〜8)。以上の工程を経て、信頼性が高いデータとして選ばれた遺伝子セットの変化を、従来から報告されている遺伝子発現変化をランドマークとして検討した場合、理にかなった変化が得られれば、フィルタリングの作業は終了である。
【0023】
各実験データから信頼性の高いプローブ・セットを選択した後は、数学的及び統計学的アルゴリズムを用いて、得られた発現情報を整理し、実験の目的とする遺伝子群を絞り込む。一回のマイクロアレイを用いた実験で得られるデータは、実験毎の遺伝子発現量と量的相関を示す非連続的な数値データであるが、例えば一つのコントロール実験をもとに複数の時間的に連続したデータをつなげれば、生物学的反応過程における各遺伝子の連続した発現パターンを示すデータが得られる。また、複数の癌患者の非癌部・原発巣・転移巣といった、異なる状態にある非連続的なサンプルのグループを並べて、個々の遺伝子発現量の変化をパターンとして比較検討すれば、意味のある生物学的情報が抽出できる。現在までに報告されている、DNAマイクロアレイの解析アルゴリズムの基本コンセプトは、これらの遺伝子発現のデータ・セットから、発現パターンがよく似通った遺伝子群を集めてグループ化することにより、生物学的反応に特異的な発現パターンを示す遺伝子群を抽出しようとするものであり、クラスター解析と呼ばれている(この手法自体は、以前から遺伝子系統樹や進化学および経済学の領域で用いられてきた、数理統計学的手法である)。これにより、各生物学的反応に特定の役割をはたす遺伝子群が、短時間で抽出可能になる。また、いくつもの報告から、細胞周期などのプログラムされた生理的な生物学的反応系においては、発現パターンが似通ったものは、よく似通った機能を有することが報告されており(9〜12)、例えば未知のEST(expressed sequence tag)の機能解析をする際にも、その遺伝子がクラスターされたグループの中に含まれる既知遺伝子の機能から、未知遺伝子の機能を類推し、その後の解析に役立てることも可能である。
【0024】
クラスター解析は、複数の条件で測定した遺伝子発現量を、ユークリッド空間上の発現強度ベクトルとして表現し、各ベクトルの間でお互いに空間上の位置が近いものをグループ化する数理統計学的手法である(2)。発現強度ベクトルの空間上の位置が近いベクトルを集めるパラメータとして、発現強度ベクトル間のユークリッド距離を用いる手法や、発現ベクトル同士のなす角を用いる手法など、これ以外にも様々なパラメータの設定の仕方があり、これらは使用するマイクロアレイの実験系に応じて得られる解析データの性格や、求める結果に応じて使い分ける必要がある(2)。クラスター解析には多数の手法があるが、DNAマイクロアレイによる網羅的解析で最もよく用いられるのは、階層的クラスター解析と非階層的クラスター解析である(2、10、11)。簡単に違いを述べると、階層的クラスター解析は、個々の遺伝子の発現強度ベクトル全てについて、お互いの空間的距離を計算した後で、距離の近いもの同士を束ねてゆく手法で、結果は樹形図(dendrogram)で表される。階層的クラスター解析の利点としては、個々の遺伝子の発現強度ベクトル同士の距離をあらかじめ計算してから、遺伝子同士を束ねるため、個々の遺伝子の発現パターンを細かく検討できる反面、融合の打ち切り基準の設定や、バランスの悪いクラスターができてしまう場合があり、注意が必要である。非階層的クラスター解析でよく用いられるものには、k−meansクラスター解析がある。これは、あらかじめ分類するクラスターの数と、そこに入る遺伝子群の発現強度ベクトルの空間内の中心を決めて、そこに空間上の位置がパラメータの上で最も近い遺伝子を束ねた後、できあがったクラスターの中心を再度新しい重心として、この操作を繰り返しながら、発現パターンの近い遺伝子を束ねる手法である。この手法の問題点は、クラスターの数であるk値をあらかじめ決めなければならない点であり、現在のところ、この理論的決定は困難である。また、クラスター解析は、遺伝子発現量のパターン変化を用いて、似通った遺伝子群を束ねる手法であるため、先に実験系で発現量が変化した遺伝子群を選択した後で、クラスター解析をかけて、発現パターンが同一の遺伝子群を抽出する必要がある(9〜12)。さらにクラスター解析は、あくまでも遺伝子を絞り込むための手段であり、クラスター解析により絞り込んだ遺伝子群の生理的及び病的過程での役割を、既存のデータ・ベース上にある分子経路の情報などと併せて検討する必要がある(13)。
【0025】
実際にこれらの数理統計学的アルゴリズムを用いて、大容量のデータを解析するためには、これらのバイオ・インフォーマティクスのアルゴリズムを複数取り入れた、コンピュータ・ソフトウェアを用いた多方向からのデータ解析が必要となってくる。
【0026】
以上のように、各実験毎に目的となる遺伝子を数理統計学的アルゴリズムを用いて絞り込んだ後は、病理織化学的手法を用いて、標的遺伝子を発現している細胞の種類や、遺伝子産物の細胞内での局在部位を同定する。さらに標的遺伝子について、遺伝子を改変したモデル動物や細胞を用いた実験系を作成し、従来の実験的手法を用いて、マイクロアレイ法によって得られた遺伝子発現変化に対する生物学的意味付けをし、発現解析によって得られた情報を、機能的情報に置き換えてゆく作業を行う(14、15)。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例により何ら制限されるものではない。
【0028】
例1
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を単離培養、継代し、4から8継代のHUVECを実験に使用した。培地としてクラボウ社の組織培養用低血清培地HuMedia−EG2(Cat#KE−2150S)を用いた。この培地そのものは添加物なしの状態で使用できるが、本実験では更に細胞増殖用としてFBS hEGF10μg/l、ハイドロコーチゾン1mg/l、アンフォテリシンB50μg/l、ゲンタマイシン50mg/l、hFGF−B5μg/l、ヘパリン10mg/l、ウシ胎仔血清2%を添加したものを使用した。HUVECは75cm2の底面積を持つフラスコで培養し、培地の量は10mlとした。培養条件は37℃、5%CO2濃度とした。ヒトANP添加時、HUVECはほぼ80〜90%のコンフルエント(confluent)状態で使用した。
【0029】
以下、本実験を順を追って説明する。まず細胞を添加物なしの培地で2回洗浄した後、10mlの添加物なしの培地をフラスコに入れてインキュベーター中に1時間置いた。次いで、ヒトANPを培地に添加して24時間後に以下の実験に使用した。ヒトANPとして遺伝子組み換えカルペリチド3080μgを1mlの蒸留水に溶解したものを用意し、50μlを培養液に添加した。最終濃度を10−7Mとして24時間インキュベーションを行った。その後HUVECをリン酸緩衝液で洗浄し、メッセンジャーRNA(mRNA)を抽出した。細胞からのmRNA分離方法としてはオリゴ(dT)(Oligo(dT))法を用いた。抽出カラムはキアゲン(Qiagen)社のQuickPrep(登録商標)MicromRNA Purification Kitを使用した。このカラムはオリゴ(dT)セルロース充填カラムであり、抽出操作は製品に添付のマニュアルに添って行った。mRNAはこのキットの溶離液Bに溶解していることになる。濃度測定後、1μgのmRNAからcDNAを合成した。cDNA合成には、Superscript TM ChoiceSystem(GibcoBRLCatNo.18090−019)を用いた。このキットに添付のT7−(dT)24プライマーとSSII逆転写酵素の存在下、37℃、1時間で第1の鎖(1st strand)を合成した。DNAポリメラーゼI添加後、16度、2時間で第2の鎖(2nd strand)を合成した。次にインビトロ転写法にてcRNAを合成した。この合成には、MEGAscriptTM In vitro transcription kit for large scale synthesis of RNAs (Ambion CatNo.#1330,1334,1338)を用いた。酵素はキットに添付されているAmbion T7 enzyme Mixを用い、37℃、5時間反応させた。エタノール沈殿法によってcRNAを精製後、GeneChip(登録商標)による解析に用いた。
【0030】
精製したcRNAをGeneChip(登録商標)HU6800チップに注入し、45℃、16時間、ハイブリダイゼーション・オーブンでのインキュベーションにより、cRNAとチップ上に配置されている各遺伝子断片(オリゴヌクレオチド)とのハイブリダイゼーションを行った。HU6800チップには公開データベースを元にしたmRNA配列情報から各遺伝子に特異的にハイブリダーゼーションするオリゴヌクレオチドがヒト遺伝子のうち約6800個分貼り付けられている。遺伝子の選定はAffymetrix社が行ったものであるが、ヒト遺伝子の総数は現在では約30,000個と推定されており全長のmRNA配列が解明できているものばかりではないので6800個という数はほとんどの種類の遺伝子をカバーしている驚異的な数値である。GeneChipシステムではこれら約6800個の遺伝子発現を同時に網羅的に解析することができるのである。今まで1個1個研究者が選定した遺伝子を解析するのとは違って労働力的にも非常に効率のよい研究ツールであるといえる。チップをFluidicステーションに装着することによって自動的にビオチン標識し、洗浄した。蛍光強度をジーンアレイスキャナーを使って検出し、ヒトゲノムの遺伝子発現をアフィメトリクス(Affymetrix)社の発現解析アルゴリズムにより解析したところ、ヒトANP負荷ありではすべてpresentのAbsolute callを示し、ヒトANP負荷なしではすべてabsentのAbsolute callを示した。これにより、CD36遺伝子(GeneBankのaccession No.Z32765)の発現が、定量的にも定性的にも高い再現性で確認することができた。
【0031】
別にTaqMan PCR法の実験系でも確認したところ、CD36の発現量の相対値はヒトANP負荷なし(n=5)は1.00±0.25、ヒトANP負荷あり(10−7Mol)(n=5)は3.29±0.78となり、有意差があった(P<0.0001)。なお、TaqMan PCR法は感度が非常によいため、ANP負荷なしの時のわずかな発現でも検出できたものと考えられる。
【0032】
参考文献
1)浅井聡、石川紘一:GeneChipTM(Affymetrix方式)による遺伝子発現解析.実験医学別冊ゲノム機能解析プロトコール、pp58−63、羊土社、東京(2000)
2)中井謙太.トランスクリプト・ムインフォマテイクス.実験医学別冊ゲノム機能解析プロトコール、pp121−127、羊土社、東京(2000)
3)Zhu H、CongJ、Mamtora G、Gingeras T、Shenk T:Cellular gene expression altered by human cytomegalovirus:global monitoring with oligonucleotide arrays.Proc.Natil Acad Sci USA 95:14470−14475(1998).
4)Kaminski N、Allard JD、Pitter JF、ZuoF、Griffiths MJD、Morris D、Huang X、Sheppard D、Heller RA:Global analysis of gene expression in pulmonary fibrosis reveals distinct programs regulating lung inflammation and fibrosos.roc Natil Acad Sci USA 97:1778−1783(2000).
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9)Eisen MB、Spelleman PT、Brown PO、Botstein D:Cluster analysis and displayof genome−wide expression patterns.Proc Natl Acad Sci USA 95:14863−14868(1998).
10)Cho RJ、Campbell MJ、Winzeler EA、Steinmetz L、Conway A、Wodicka L、Wolfsberg TG、Gabrielian AE、Landsman D、Lockhart DJ、Davis RW:A genome−wide transcriptional analysis of mitotic cell cycle.Mol Cell 2:65−73(1998)
11)Iyer VR、Eisen MB、Ross DT、Schuler G、Moore T、Lee JCF、Trent JM、Staudt LM、Hudson J、Boguski MS、Lashkari D、Shalon D、Botstein D、Brown PO:The transcriptional program in the response of human fibroblasts to serum.Science 283:83−87(1999).
12)Spellman PT、Sherlock G、Zhang MQ、Iyer VR、Anders K、Eisen MB、Brown PO、Botstein D、Futcher B:Comprehensive identification of cell cycle−regulated genes of yeast Saccharomyces cerevisiae by microarray hybridization.Mol Bilo Cell 9:3273−3297(1998).
13)中井謙太.ゲノムインフォマテイクス.実験医学別冊ゲノム機能解析プロトコール、pp163−167、羊土社、東京(2000).
14)Lee SB、Huang K、Palmer R、Truong VB、Herzlinger D、Kolquist KA、Wong J、Paulding C、Yoon SK、Gerald W、Oliner JD、Haber DA:The Wilms tumor suppressor WT1 encodes a transcriptional activator of amphiregulin.Cell 98:663−673(1999).
15)MacDonald TJ、Brown KM、LaFleur B、Peterson K、Lawlor C、Chen Y、Packer RJ、Cogan P、Stephan DA:Expression profiling of medulloblastoma:PDGFRA and the Ras/MAPK pathway as therapeutic targets for metastatic disease.Nat Genet 29:143−152(2001).
Claims (4)
- ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドからなるCD36活性化剤。
- CD36が活性化される細胞がヒト臍帯静脈内皮細胞である請求項1記載のCD36活性化剤。
- ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドからなるCD36欠損症治療用薬剤。
- 前記CD36欠損症がCD36欠損型心筋症である請求項3記載の薬剤。
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