JP2004224682A - 家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物の堆肥化処理法 - Google Patents

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Abstract

【課題】家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物を堆肥化する際に発生する水溶性臭気を安価に除去するとともに、肥料分の多い、より肥料価値の高い堆肥の製造方法を提供する。
【解決手段】家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物を堆肥化する方法において,堆肥化装置2で発生する水溶性気体を溶解せしめた液を培養槽8に循環させ、光照射下、光合成生物を液体培養し、水溶性気体を光合成生物に吸収資化させるとともに、増殖した光合成生物を、前記堆肥に添加することを特徴とする家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物の処理法。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物の堆肥化処理の方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来堆肥化過程から発生する臭気は、堆肥化を行なう上で大きな問題である。この臭気の除去処理は、悪臭物質を水、酸、アルカリなどを用いて液側に移行させる液体洗浄法、オゾンなどによる薬品酸化法、800℃の高温で燃焼させる燃焼法、熟成堆肥、オガコ、ロックウール等充填材に散水し悪臭物質を吸着し微生物で分解する微生物脱臭法、活性炭、白土などで吸着する吸着法、などの方法で行なわれている。
【0003】活性汚泥懸濁水に臭気を吸収させ、これを曝気槽で分解する液体洗浄法もある。この活性汚泥懸濁水を用いた液体洗浄法や前記微生物脱臭法は、アンモニアや低級脂肪酸などの水溶性臭気を微生物の作用で窒素ガスや二酸化炭素に変換し、大気中に放出するもので、薬品費、燃料費、吸着剤費などの経費がなく、水溶性臭気を安価に除去できる利点を持っている。しかし、有用な肥料成分である窒素を大気中に廃棄するのは、大きな損失である。
【0004】また、生産された堆肥は、農家によって有機肥料として利用される。しかし、堆肥だけでは作物の生長が悪く、化学肥料と併用しているのが現状である。このため、堆肥の利用が思わしくなく、より肥料価値の高い農家に好まれる堆肥の製造が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、生物を用いて水溶性臭気を安価に除去するとともに、より肥料分の多い、より肥料価値の高い堆肥を製造することを目的とするものである。
【0006】
【問題を解決するための手段】
すなわち本発明は、第1に、家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物mを堆肥化する方法において,堆肥化過程より発生する水溶性気体gを溶解せしめた液中で、光照射下、光合成生物pを液体培養し,水溶性気体gを光合成生物pに吸収資化させるとともに、増殖した光合成生物pを,前記堆肥に添加することを特徴とする家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物の処理法であり、第2に、家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物mを堆肥化する方法において,有機性廃棄物mの脱離液または可溶化液を栄養源として添加しかつ堆肥化過程より発生する水溶性気体gを溶解せしめた液中で、光照射下、光合成生物pを液体培養し,水溶性気体gを光合成生物pに吸収資化させるとともに、増殖した光合成生物pを,前記堆肥に添加することを特徴とする家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物の処理法である。
【0007】
〔発明の実施の形態〕
次に、本発明の実施態様の一例を図面を参照しながら詳しく説明する。図1は、本発明の一実施態様を示す平面図である。有機性廃棄物mを水分調整材と混合し、水分を60〜65%に調整した混合物cを、投入口1から堆肥化装置2内に搬入し、約50cmの高さに堆積する。堆肥化装置2は、パドル式の撹拌搬送機3を備えている。撹拌搬送機3で混合物cを毎日所定の回数切り返し、取出口4へと移動させる。投入口1から取出口4へ移動する間に、微生物により有機物が分解され、アンモニア、二酸化炭素、低級脂肪酸などを含む臭気が発生する。また、微生物の活動により発生する熱を利用して、水分が盛んに蒸発し、取出口4に近づくにつれ混合物cは乾燥してくる。堆肥化装置2は上屋により密閉されている。堆肥化装置2内の臭気は、管5を介して、脱臭塔7へ送られる。微細藻類等光合成微生物sの培養槽8内の光合成微生物s懸濁液wを管9を介して、ポンプ10により脱臭塔7の上部から散水する。脱臭塔7の下部から、堆肥化装置2内より吸引ファン6で引き抜いた臭気を吹き込む。脱臭塔7内で懸濁液wと臭気を接触させ、アンモニア等の水溶性臭気及び二酸化炭素を懸濁液wに吸収させる。この懸濁液wは、脱臭塔7底部を経由して、培養槽8に戻る。培養槽8では、この懸濁液wが循環流動しながら、太陽光の照射を受ける。光の照射を受けた懸濁液w中の光合成微生物sは、液中のアンモニアや二酸化炭素を吸収し増殖する。光合成微生物sの吸収資化によって、アンモニア濃度の低下した懸濁液wは、再び脱臭塔7に送られる。アンモニア濃度の低下した懸濁液wは、濃縮機11で濃縮される。濃縮液は濃縮液貯槽30に送られ、ここから管12を介してポンプ13により堆肥化装置2に送られ、堆肥化進行中の混合物c(以後堆肥と表現する。)に添加混合される。その後水分を蒸発させ光合成微生物sを含む堆肥製品が出来上がる。脱離液は、脱離液返送管31を介して培養液調整槽16に送られ、再利用される。脱臭塔7で処理された気体は、上部に設けられた管23から排出される。さらに脱臭処理を行なう場合は、管23から排出される気体は後段の処理装置(図示せず)に送られる。
【0008】上記の例では、臭気処理によって得た光合成微生物sを懸濁液wを濃縮し堆肥に添加しているが、この懸濁液wあるいは脱水ケーキあるいは乾燥粉体として堆肥に添加することもできる。含水率が低いほど、添加後の堆肥乾燥操作が軽減できる。懸濁液wを膜分離、遠心濃縮等処理して濃縮液を得る。濃縮液を遠心分離機で処理して脱水ケーキが得られる。脱水ケーキを乾燥して、乾燥粉体が得られる。
【0009】このように本発明では、臭気中の揮発しやすいアンモニア態窒素を窒素源とし、二酸化炭素や他の栄養を吸収させ、光合成微生物sを増殖させる。光合成微生物sの窒素含有率は最大約7%であるので、臭気中の揮発しやすいアンモニア態窒素に対して、約14倍以上のタンパク質、色素、脂肪、糖類などの有機物を、光合成微生物s体内に固定した形で、生産することとなる。これを堆肥に添加しているので添加後の窒素の損失が極めて少ない。このように本発明によれば、アンモニア等水溶性臭気を安価に除去処理するとともに資源化し、より窒素分等肥料分の多い、より肥料価値の高い堆肥が製造できる。
【0010】光合成微生物sを添加する時期に関しては特に限定しないが、懸濁液、濃縮液または脱水ケーキとして添加する場合は堆肥化完了の1〜2日前、乾燥粉体として添加する場合は堆肥化完了後が適当である。
【0011】培養槽8は循環水路状の平面池である。平面池の平均水深は15〜25cmが適当である。光合成微生物s懸濁液を撹拌用水車14によって水路15に沿って循環流動させる。太陽光が上方から水面に照射される。培養槽8は、これに限定されるものではなく、透明タンク、透明チューブ等通常用いられているものでよい。
【0012】堆肥化装置2としては、本実施例の撹拌搬送機3により堆肥への通気と堆肥の移動を行なうもの、堆肥は移動せず底部に設けた通気装置により通気するもの、あるいは撹拌搬送機3と通気装置を備えたものなど、一般に使用されている形態のものを利用できる。
【0013】光合成微生物sの光源としては、太陽光または人工光を利用する。太陽光を利用する場合は、昼間撹拌搬送機3または通気装置の運転を行ない、同時に脱臭も行なえばよい。
【0014】脱臭塔7としては、スプレー式気液接触塔や充填材が充填された充填式気液接触塔を用いればよい。コンポスト脱臭法、オガコ脱臭法、ロックウール脱臭法等においては、充填槽に対して上方から散水し、下方から臭気を送り、水にアンモニア等臭気を吸収させ、これを充填材の間に生息する微生物が窒素ガスに分解する。実際には、下方から排出される液にはアンモニア等が残存している。このようなことから、コンポスト脱臭法、オガコ脱臭法、ロックウール脱臭法等において用いる充填槽は、前記充填式気液接触塔の範疇に入る。
【0015】光合成微生物sの栄養は、通常の光合成微生物s培養に用いられている合成培養液から窒素分を除いたもの、被堆肥化物すなわち家畜糞尿、生ゴミ等有機性廃棄物の可溶化液あるいは滲出液等脱離液を、培養液調整槽16で所定の濃度に調整する。調整された培養液は、管17を介してポンプ18により培養槽8に添加する。光合成微生物s培養の栄養として被堆肥化物すなわち家畜糞尿、生ゴミ等有機性廃棄物の可溶化液あるいは滲出液等脱離液を用いると、堆肥化の処理量あるいは水分が減少し、水分調整材が減少し、結果として堆肥化装置2の縮小化につながる。
【0016】本実施形態では光合成生物pとして光合成微生物sを用いている。光合成微生物sとは、換言すれば植物性プランクトンであり、クロレラ、セネデスムス等単細胞性緑藻類、アナベナ、ノストック、オシラトリア等ラン藻類、メロシラ、ナビキュラ、シムベラ等ケイ藻類、ロドシュードモナス、ロドスピリラム等紅色非硫黄細菌類である。この1種または数種を混合したものを用いる。これらは、自然界から容易に分離できる。これらは最大長1〜30μmと微小なため、堆肥に対して均質に添加混合することが容易である。光合成微生物sを含む堆肥を土壌に施すと、光合成微生物sは作物の栄養分として利用される。生きている光合成微生物sは、光合成を行い増殖しさらに土壌を肥沃にする。アナベナ、ノストック等窒素固定を行なえるラン藻類、窒素固定を行なえる紅色非硫黄細菌類を用いれば、さらに土壌は肥沃になる。
【0017】別の実施形熊について図3を参照し説明する。上記実施形態と本実施形態の相違点は、本実施形態において上記光合成微生物sにかえてアオミドロ、ヒビミドロ、アミミドロ等糸状緑藻類を用いる点にある。この糸状緑藻類は太さ5〜50μm程度で、長さは数mに及ぶ、糸状の藻類である。脱臭塔7にて臭気を吸収した液を管19を介して培養槽8の流入部27に送り、固定増殖させた糸状緑藻類fの藻糸の間を通過させ水溶性臭気を糸状緑藻類fに吸収資化させる。これによって水溶性臭気濃度の低下した液は、糸状緑藻類fの移動を止めるためのスクリーン24を通過し、流出部28から管9を介してポンプ10により再び脱臭塔7に送られる。脱臭操作が終了し、培養液のアンモニア濃度が高い場合、仕切り弁25を開け、ポンプ10を作動させ、培養液を水路15に沿って循環させ、アンモニア濃度の低下を図る。増殖した糸状緑藻類fは、適宜収穫され、堆肥に添加される。糸状藻類fは大型であるので、脱水、乾燥が容易である。
【0018】
【発明の効果】
以上記載のように、薬品、燃料、吸着剤を使用せず光合成生物pにアンモニア等水溶性臭気を吸収資化させ、増殖した光合成生物pを堆肥に添加することを特徴とする本発明によれば、アンモニア等水溶性臭気を安価に除去するとともに、肥料分の多い、より肥料価値の高い堆肥を製造することができる。
【0019】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る堆肥化システムの構成を示す図面であり、平面図である。
【図2】図1に示した堆肥化装置2の内部を示す図面であり、平面図である。
【図3】本発明の別の一実施形態に係る堆肥化システムの構成を示す図面であり、平面図である。
【符号の説明】
1 投入口 2 堆肥化装置 3 撹拌搬送機 4 取出口
5 管 6 吸引ファン 7 脱臭塔 8 培養槽 9 管
10 ポンプ 11 濃縮機 12 管 13 ポンプ
14 撹拌用水車 15 水路 16 培養液調整槽 17 管
18 ポンプ 19 管 20 管 21 ポンプ 22 モーター
23 管 24 スクリーン 25仕切り弁 26 逆止弁
27 流入部 28 流出部 29 管 30 濃縮液貯槽
31 脱離液返送管
c 混合物 f 糸状緑藻類 w 光合成微生物懸濁液
実線矢印液体の移動方向、破線矢印は気体の移動方向を示す。

Claims (4)

  1. 家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物mを堆肥化する方法において,堆肥化過程より発生する水溶性気体gを溶解せしめた液中で、光照射下、光合成生物pを液体培養し,水溶性気体gを光合成生物pに吸収資化させるとともに、増殖した光合成生物pを,前記堆肥に添加することを特徴とする家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物の堆肥化処理法。
  2. 家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物mを堆肥化する方法において,有機性廃棄物mの脱離液または可溶化液を栄養源として添加しかつ堆肥化過程より発生する水溶性気体gを溶解せしめた液中で、光照射下、光合成生物pを液体培養し,水溶性気体gを光合成生物pに吸収資化させるとともに、増殖した光合成生物pを,前記堆肥に添加することを特徴とする家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物の堆肥化処理法。
  3. 光合成生物pが光合成微生物sであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物の堆肥化処理法。
  4. 光合成生物pが糸状緑藻類fであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の家畜糞尿、厨芥等有機性廃棄物の堆肥化処理法。
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