JP2004223962A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】このインクジェット記録装置は、インクを加熱する加熱部材及びインクの温度を検出する温度センサを有し、加熱部材により加熱されたインクを記録媒体に向けて吐出する記録ヘッドを備える。そして、インクジェット記録装置は、画像形成可能な最大サイズの記録媒体に対応するように複数配列された通気孔を有し、記録媒体を記録ヘッドの吐出面に対向するように支持するプラテンを備える。また、インクジェット記録装置は、通気孔を流路とし、プラテンを介してプラテン上の記録媒体を吸引する吸引装置と、吸引装置による吸引流量を検出する流量センサと、流量センサ及び温度センサの検出結果に基づいて、加熱部材の加熱温度を制御する制御部とを備える。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置に係り、特に記録媒体の平面性を維持しながら画像形成を行うインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インクジェット記録装置は印刷時の騒音が比較的小さく、印字の品質が良好であるため、現在、数多く使用されている。
インクジェット記録装置は、プラテンで支持された紙等の記録媒体に向けて、例えばピエゾ素子やヒータ素子等により記録ヘッドの吐出口からインクを微小な液滴として吐出し、記録媒体にインクを浸透若しくは定着させながら、画像を形成する。この画像形成の際に安定したインク吐出を確保するために、記録ヘッドにはヘッド内部のインクを所定温度に加熱して低粘度化させる加熱部材が設けられている(例えば、特許文献1参照)。ここで、加熱されたインクが吐出されたとしても、インク滴は微少であるがゆえに外気の影響を受けやすく、記録媒体に着弾するまでの間に冷却されて粘度が上昇してしまう。このため、加熱部材による加熱温度は、吐出から着弾までの外気の影響を考慮して設定されている。
【0003】
しかしながら、上記したように加熱温度を設定したとしても、記録媒体と各吐出口との間隔が一定でなければ、各吐出口からのインク滴が外気に触れる時間は吐出口毎に異なってしまい、着弾後の粘度が一定とならず、結果として各インク滴が記録媒体上で一定して浸透しなくなる。つまり、インク滴を安定して記録媒体上で浸透させるには、記録ヘッドの吐出面と記録媒体との間隔が一定となるように、平面性を維持させた状態で記録媒体をプラテン上で支持しなければならない。
【0004】
このため、インクジェット記録装置には、記録媒体をプラテンに吸着して平面性を維持する吸引装置が備わっている。吸引装置は記録媒体をプラテンに吸着させるためにプラテンの背面側から吸引を行うので、プラテンには、記録媒体に吸引力が作用するように複数の微細な孔(通気孔)が、インクジェット記録装置で画像形成可能な最大サイズの記録媒体に応じて配列されている。これにより、記録媒体のサイズが異なろうとも、いくつかの通気孔が記録媒体に覆われて、吸引装置の吸引力が記録媒体に作用するようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特公平7−12661号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複数の通気孔は、インクジェット記録装置で画像形成することのできる最大サイズの記録媒体に応じるようにプラテンに配列されているために、最大サイズよりも小さい記録媒体を用いた場合には、記録媒体によって塞がれない通気孔が発生してしまって、記録媒体上方の気流の流量が記録媒体のサイズ毎に異なることになる。また、サイズだけでなく、記録媒体の種類によっても通気度が異なるために、記録媒体上方の気流の流量が異なることになる。
【0007】
このように、記録媒体上方の気流の流量が異なると、吐出から着弾までの間にインク滴が冷却される度合いが、記録媒体のサイズ、種類毎にばらついてしまって、着弾後のインク滴のサイズや形状のばらつきを誘発してしまう。これにより、記録媒体のサイズ、種類毎に形成される画像の鮮鋭性が異なり、一定した画質で画像形成することが困難であった。
【0008】
本発明の課題は、記録媒体の種類、サイズが異なっていようとも、画質の安定した画像を形成できるインクジェットプリンタを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明のインクジェット記録装置は、
インクを加熱する加熱部材及び前記インクの温度を検出する温度センサを有し、前記加熱部材により加熱された前記インクを記録媒体に向けて吐出する記録ヘッドと、
画像形成可能な最大サイズの前記記録媒体に対応するように複数配列された通気孔を有し、前記記録媒体を前記記録ヘッドの吐出面に対向するように支持するプラテンと、
前記通気孔を流路とし、前記プラテンを介して前記プラテン上の記録媒体を吸引する吸引装置と、
前記吸引装置による吸引流量を検出する流量センサと、
前記流量センサ及び前記温度センサの検出結果に基づいて、前記加熱部材の加熱温度を制御する制御部とを備えることを特徴としている。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、制御部が、流量センサ及び温度センサの検出結果に基づいて、加熱部材の加熱温度を制御するので、吸引流量の変化に伴って、記録媒体上の気流の流量が異なったとしても、インク滴が着弾するまでの温度低下を考慮して加熱温度を変更することが可能となる。このため、いずれの記録媒体においても、着弾時のインク滴の状態を一定にすることが可能となり、記録媒体のサイズ、種類の違いにより生じる、着弾時のインク滴のサイズや形状のばらつきを抑えて、鮮鋭性を一定にすることができる。したがって、記録媒体の種類、サイズが異なっていようとも、一定の画質で画像を形成することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェット記録装置において、
前記インクとしてカチオン重合系インクが用いられることを特徴としている。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、カチオン重合系インクのような比較的低出力の光源により硬化する硬化感度の高いインクを用いるので、低出力の光源の使用が可能となって、装置の小型化、コストの低減化を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図1〜図5の図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態におけるインクジェット記録装置1の概略構成図である。
【0014】
インクジェット記録装置1は、記録媒体Pの搬送方向に対して直交する方向に記録ヘッド2を走査させながら、カチオン重合系インクにより画像を形成するシリアル方式のインクジェット記録装置である。このインクジェット記録装置1には、記録媒体Pを下方から支持する板状のプラテン3が設けられている。
【0015】
プラテン3には、プラテン3を貫通する複数の通気孔31が、インクジェット記録装置1で使用可能な最大サイズの記録媒体Pに対応するように配列されている。具体的にこの複数の通気孔31は、記録ヘッド2が走査させられる際に、記録ヘッド2の吐出面21と対峙し、かつ画像形成時に最大サイズの記録媒体Pにより覆われるプラテン3の領域に配列されている。
【0016】
プラテン3の上方には、記録媒体の搬送方向に対して直交する方向に走査するキャリッジ4が設けられている。このキャリッジ4には、各色毎のインク(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)を吐出する複数の記録ヘッド2と、記録媒体Pに着弾したインクを硬化させるための光照射装置5とが、走査方向に沿って交互に並ぶように設けられている。
【0017】
記録ヘッド2は、プラテン3により支持された記録媒体Pと吐出面21とが対向するようにキャリッジ4に搭載されている。この記録ヘッド2の吐出面21には、図2に示すように、インクを吐出する複数の吐出口22が、記録媒体Pの搬送方向に沿って直線状に配列されている。また、記録ヘッド2の両側面には、記録ヘッド2内部のインクを加熱する加熱部材23が、吐出口22を挟むように配置されている。そして、記録ヘッド2には、インクの温度を検出する温度センサ24が内蔵されており、この温度センサ24の検出結果に基づいて、加熱部材23がインクを安定吐出可能な温度にまで加熱するようになっている。
【0018】
プラテン3の下方には、図1に示すように、通気孔31を流路とし、プラテン3を介してプラテン3上の記録媒体Pを吸引する吸引装置6が設けられている。
吸引装置6には、プラテン3の下方で走査方向に沿うように設けられた通気流路61が、各通気孔31に連通するように配置されている。この通気流路61の両端部には、プラテン3上の記録媒体Pに吸引力を働かせるために、一定の回転速度で回転し、通気流路61内部を負圧にする吸引ファン62が設けられている。
そして、吸引装置6には、吸引ファン62により排気された気体があたる部分に、吸引ファン62による吸引流量を検出する流量センサ63が設けられている。なお、流量センサ63は、吸引ファン62による吸引流量を検出できるのであれば、如何なる位置に配置されていてもよく、これ以外にも、例えば通気流路61内部に配置することが挙げられる。
【0019】
次に、図3を参照してインクジェット記録装置1における主制御部分について説明する。図3はインクジェット記録装置1の主制御部分を表すブロック図である。
【0020】
インクジェット記録装置1には、各駆動部を制御する制御部10が設けられている。制御部10には、画像形成時における指示が入力される入力部11、記録媒体Pの搬送機構9、キャリッジ4のキャリッジ駆動源41、光照射装置5の光源51、記憶部12、記録ヘッド2、加熱部材23、温度センサ24、吸引ファン62、流量センサ63が電気的に接続されている。なお、制御部10には、これら以外にもインクジェット記録装置1の各駆動部などが接続されている。
【0021】
制御部10は、入力部11からの指示に基づいて、記憶部12中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従い各種機器を制御するようになっている。
記憶部12には、流量センサ63で検出された吸引流量と、加熱部材23によるインクの加熱温度との関係が記憶されている。
【0022】
吸引流量について詳細に説明すると、吸引流量は、記録媒体Pのサイズ、種類によって異なる。先ず、記録媒体Pのサイズと吸引流量との関係を図4に示す。ここで記録媒体Pの種類及び吸引ファン62の回転数は全て同じでありサイズのみが異なる。
プラテン3の通気孔31は、インクジェット記録装置1により画像形成可能な最大サイズの記録媒体Pに対応するように配置されているために、最大サイズの記録媒体Pを使用した場合には、最も多くの通気孔31が記録媒体Pによって覆われて、通気に対する抵抗が最大になり、検出される吸引流量は最も小さな値を示す。一方、最大サイズよりも小さい記録媒体Pを使用する場合には、いくつかの通気孔31が記録媒体Pに覆われなくなるので、サイズが小さければ小さいほど、通気に対する抵抗も小さくなり、検出される吸引流量も大きな値を示すことになる。
【0023】
次に、記録媒体Pの種類による吸引流量との関係について説明するが、吸引流量の変化には記録媒体Pの通気度が最も関連しているので、ここでは記録媒体Pの種類を通気度の違いによって表し、通気度と吸引流量との関係を図5に示す。ここで記録媒体Pのサイズ及び吸引ファン62の回転数は全て同じであり通気度のみが異なる。
図5に示すように、通気度の小さい記録媒体Pであると、検出される吸引流量は小さな値を示し、通気度が大きくなるに連れて、検出される吸引流量も大きな値を示すようになっている。具体的に記録媒体Pの種類と通気度の関係は、例えば普通紙>コート紙>ターポリン>フロアである。
【0024】
そして、吸引流量は、記録媒体P上方の気流の流量と比例関係を示しているので、検出された吸引流量の値が大きければ、前記流量も大きくなる。この記録媒体P上方の気流の流量が、記録ヘッド2から吐出されて記録媒体Pまで着弾するまでのインク滴の冷却具合を決定する。つまり、流量が大きいとインク滴の温度変化は大きく、小さいとインク滴の温度変化は小さい。
【0025】
ここで、本実施形態で用いられるカチオン重合系インクは、60℃以上の温度域で10mPa・s程度の粘度となるように形成されている。粘度が10mPa・s程度であると記録媒体P上での浸透性が安定し高画質な画像を得ることができる。したがって、記録媒体Pに着弾した際にインク温度が60℃以上であることが望まれるが、上記のように、吐出から着弾までの間にインク滴は記録媒体P上の気流によって冷却されるために、加熱部材23の加熱温度は前記気流による冷却を考慮した値に設定されていなければならない。また、インク滴の冷却具合は、記録媒体P上の気流の流量によって変化することから、この流量、つまりは検出された吸引流量と加熱温度との関係は、着弾直後のインク温度が60℃となるように設定されている。
具体的には、吸引流量と加熱温度との関係は、実験やシミュレーション等により求められている。
【0026】
次に、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の動作について説明する。
【0027】
先ず、作業者が画像形成の開始を入力部11から入力すると、この入力に基づいて、制御部10は、搬送機構9を制御して、記録媒体Pを記録ヘッド2の吐出面21に対向する位置に配置する。その後、制御部10は吸引ファン62を制御して、記録媒体Pをプラテン3上に吸着する。この吸着時には、制御部10は流量センサ63の検出結果、温度センサ24の検出結果、記憶部12に記憶される吸引流量と加熱温度との関係を基に、加熱部材23の加熱温度を決定して、記録ヘッド2内のインクを加熱する。
【0028】
インク温度が所定温度まで熱せられると、制御部10は、キャリッジ4を走査させて、光源51を点灯させながら、記録ヘッド2からインクを吐出させ、画像形成が完了するまでこの動作を繰り返させる。この際、記録媒体Pの平面性は維持されており、着弾時のインク温度も60℃であるために、高画質な画像が得られることとなる。
【0029】
以上のように、本実施形態のインクジェット記録装置1によれば、制御部10が、流量センサ63及び温度センサ24の検出結果に基づいて、加熱部材23の加熱温度を制御するので、吸引流量の変化に伴って、記録媒体P上の気流の流量が異なったとしても、インク滴が着弾するまでの温度低下を考慮して加熱温度を変更することが可能となる。このため、いずれの記録媒体Pにおいても、着弾時のインク滴の状態を一定にすることが可能となり、記録媒体Pのサイズ、種類の違いにより生じる、着弾時のインク滴のサイズや形状のばらつきを抑えて、鮮鋭性を一定にすることができる。したがって、記録媒体Pの種類、サイズが異なっていようとも、一定の画質で画像を形成することができる。
【0030】
また、カチオン重合系インクのような比較的低出力の光源により硬化する硬化感度の高いインクが用いられていると、低出力の光源の使用が可能となって、装置の小型化、コストの低減化を図ることができる。
【0031】
なお、本発明は上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、本実施形態では、シリアル方式のインクジェット記録装置1を例示して説明したが、本発明の構成は、記録ヘッドとしてラインヘッドが用いられるラインヘッド方式のインクジェット記録装置に適用することも可能である。
なお、本実施形態では、吸引流量と加熱温度との関係を求めることで、記録媒体P上方の気流の流量と加熱温度との関係を間接的に求めているが、これは記録媒体P上方の気流は、記録媒体Pのサイズ、種類の異なりや、キャリッジ4の位置等によりその流線が変化するため、流量センサを記録媒体上方に固定していたとしても、固定する場所や、キャリッジ4の位置等によって検出される値が異なってしまって、正確な温度制御が困難であるがゆえである。もちろん、記録媒体P上方の気流の流量を正確に検出できるのであれば、その検出値と、記録媒体P上方の気流の流量及び加熱温度の関係とを基に、加熱部材の加熱温度を制御するようにしてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、吸引装置6の吸引ファン62として定速回転するものを例示したが、回転速度が可変であってもよく、その場合、制御部は、記録媒体のプラテンへの吸着を維持できる範囲で、着弾時のインク温度が所定温度以上となるように、吸引ファン62の回転速度を制御することが好ましい。
【0033】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、制御部が、吸引装置の吸引流量の変化に伴って、記録媒体上の気流の流量が異なったとしても、インク滴が着弾するまでの温度低下を考慮して加熱温度を変更することが可能となる。このため、いずれの記録媒体においても、着弾時のインク滴の状態を一定にすることが可能となり、記録媒体のサイズ、種類の違いにより生じる、着弾時のインク滴のサイズや形状のばらつきを抑えて、鮮鋭性を一定にすることができる。したがって、記録媒体の種類、サイズが異なっていようとも、一定の画質で画像を形成することができる。
【0034】
請求項2記載の発明によれば、カチオン重合系インクのような比較的低出力の光源により硬化する硬化感度の高いインクを用いるので、低出力の光源の使用が可能となって、装置の小型化、コストの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を表す側面図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置に備わる記録ヘッドを表す斜視図である。
【図3】図1のインクジェット記録装置の主制御部分を表すブロック図である。
【図4】図1のインクジェット記録装置における吸引流量と記録媒体サイズとの関係を表す説明図である。
【図5】図1のインクジェット記録装置における吸引流量と記録媒体通気度との関係を表す説明図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録装置
2 記録ヘッド
3 プラテン
6 吸引装置
10 制御部
21 吐出面
22 吐出口
23 加熱部材
24 温度センサ
31 通気孔
63 流量センサ
P 記録媒体
Claims (2)
- インクを加熱する加熱部材及び前記インクの温度を検出する温度センサを有し、前記加熱部材により加熱された前記インクを記録媒体に向けて吐出する記録ヘッドと、
画像形成可能な最大サイズの前記記録媒体に対応するように複数配列された通気孔を有し、前記記録媒体を前記記録ヘッドの吐出面に対向するように支持するプラテンと、
前記通気孔を流路とし、前記プラテンを介して前記プラテン上の記録媒体を吸引する吸引装置と、
前記吸引装置による吸引流量を検出する流量センサと、
前記流量センサ及び前記温度センサの検出結果に基づいて、前記加熱部材の加熱温度を制御する制御部とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項1記載のインクジェット記録装置において、
前記インクとしてカチオン重合系インクが用いられることを特徴とするインクジェット記録装置。
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