JP2004223595A - 溶接機設置装置および溶接機設置方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】閉空間内の溶接箇所に溶接を施す溶接機の設置装置において、オペレータが1人で設置することが容易な溶接機設置装置を提供する。
【解決手段】長手方向に延伸したロンジを内面に備えた筐体1A、1Bを互いに突き合わせたときの筐体1A、1Bの突き合わせ部を溶接する溶接機13を設置するための溶接機設置装置9において、筐体1A、1Bの下部側で並列している各ロンジの上に立設可能な支柱枠体11A、11Bと、溶接機13を支持するための溶接機支持ベース部と並列している各ロンジ上に支持されるアーム部とを備えると共に、各支柱枠体11A、11Bに上下動可能に支持されるサドル15と、サドル15を載置して横方向に移送するために、並列している少なくとも3本の各ロンジ間に架け渡すことが可能な支持レール19A、19Bとを有し、支柱枠体11A、11B、サドル15、支持レール19A、19Bのそれぞれはユニット化されている。
【選択図】 図3
【解決手段】長手方向に延伸したロンジを内面に備えた筐体1A、1Bを互いに突き合わせたときの筐体1A、1Bの突き合わせ部を溶接する溶接機13を設置するための溶接機設置装置9において、筐体1A、1Bの下部側で並列している各ロンジの上に立設可能な支柱枠体11A、11Bと、溶接機13を支持するための溶接機支持ベース部と並列している各ロンジ上に支持されるアーム部とを備えると共に、各支柱枠体11A、11Bに上下動可能に支持されるサドル15と、サドル15を載置して横方向に移送するために、並列している少なくとも3本の各ロンジ間に架け渡すことが可能な支持レール19A、19Bとを有し、支柱枠体11A、11B、サドル15、支持レール19A、19Bのそれぞれはユニット化されている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接機設置装置及び溶接機設置方法に係り、たとえば船舶建造時におけるダブルボトムタンク内のような閉空間で、溶接機を設置するときに使用されるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダブルボトム構造の船舶であって、ある程度以上の大きさの船舶を建造する場合、上記船舶の船体を複数のブロックに分けて、各ブロック毎に建造しておき、これらの各ブロックを船台のステージ上に載置して配置し、各ブロック同士を互いに溶接で接続し、上記船舶全体を建造している。
【0003】
図1は、上記各ブロックのうちで、上記船体の底部に位置する2つのブロック1A、1Bを取り出して図示した斜視図である。そして、上記各ブロック1A、1Bと同様なブロックが、図1に示すX軸方向およびY軸方向に適数個並べられて、各ブロック同士が互いに溶接接続され、上記船体の底部が形成されている。
【0004】
なお、説明の便宜上、以下、上記船舶の前後方向をX軸方向とし、このX軸に垂直な方向(上記船舶の左右方向)をY軸方向とし、上記X軸方向と上記Y軸方向とに直角な方向(上記船舶の上下方向)をZ軸方向(鉛直方向)とする。
【0005】
上記ブロック(筐体)1Aは、X軸に垂直な平面による断面の形状が長方形状であり、貫通穴であるマンホール5が設けられた平板状のボトムプレート3Aを下部側に備える。
【0006】
また、上記ボトムプレート3AのY軸方向の両端部には、平板状の各サイドプレート3C、3DがZ軸上方向に起立して、溶接によって上記ボトムプレート3Aに一体的に設けられており、さらに、各サイドプレート3C、3Dの各上端部には、平板状のアッパープレート3Bが、溶接によって上記各サイドプレート3C、3Dに一体的に設けられており、そして、上記ブロック1Aの外形形状は直方体形状に形成されている。
【0007】
なお、上記ボトムプレート3A、上記アッパープレート3Bは、X軸およびY軸方向に延伸し、上記各サイドプレート3C、3Dは、X軸およびZ軸方向に延伸している。
【0008】
また、上記ボトムプレート3Aの内面(内壁)には、上記船体を補強するために適数のロンジ7A、7B、7Cが、ブロック1Aの長手方向(X軸方向)に沿って、溶接により上記ボトムプレート3Aに一体的に設けられ、さらに、上記各サイドプレート3C、3Dの内面(内壁)、上記アッパープレート3Bの内面(内壁)にも、同様に適数個のロンジが設けられている。
【0009】
ブロック1Bもブロック1Aと同様に構成されている。すなわち、ブロック1Bは、ボトムプレート3Eを備え、このボトムプレート3Eには、各サイドプレート3G、3H、アッパープレート3F、各ロンジ7D、7E、7F等が設けられている。
【0010】
そして、図1では、ブロック1Aの一端部1Aaとブロック1Bの一端部1Baとが互いに突き合わされ、この結果、ボトムプレート3Aの一端部3Aaとボトムプレート3Eの一端部3Eaとが互いに突き合わされ、アッパープレート3Bの一端部とアッパープレート3Fの一端部とが互いに突き合わされ、サイドプレート3Cの一端部とサイドプレート3Gの一端部とが互いに突き合わされ、サイドプレート3Dの一端部とサイドプレート3Hの一端部とが互いに突き合わされている。
【0011】
さらに、ロンジ7Aの一端部7Aaとロンジ7Dの一端部7Daとが互いに突き合わされ、ロンジ7Bの一端部7Baとロンジ7Eの一端部7Eaとが互いに突き合わされ、ロンジ7Cの一端部7Caとロンジ7Fの一端部7Faとが互いに突き合わされ、その他のロンジ同士も同様に互いに突き合わされている。
【0012】
そして、上記突き合わされている各突き合わせ部を互いに溶接接続することによって、ブロック1Aとブロック1Bとが互いに溶接される。さらに、同様にして、上記各ブロック1A、1Bに、たとえば、X軸方向、Y軸方向で適数のブロックを突き合わせて溶接し、船舶の船体が形成される。なお、マンホール5は、上記船体が形成された後にふさがれる。
【0013】
ところで、船台のステージ上で各ブロック1A、1Bを突き合わせ、さらに、他のブロックを上記各ブロック1A、1Bに突き合わせると、各ブロック1A、1Bの内部は閉空間になる。
【0014】
そして、上記各ブロック同士を、溶接強度を保って互いに溶接接続するためには、上記各ブロック1A、1B同士を内側から溶接する必要がある。すなわち各ボトムプレート同士、各サイドプレート同士、各アッパープレート同士を、上記各ブロック1A、1Bの内側から溶接する必要があり、さらに、各ロンジ同士を互いに溶接接続することは、各ブロック1A、1Bの内側でないとできない。
【0015】
そこで、従来、上記各ブロック1A、1B同士を互いに溶接接続するために、上記各ブロック1A、1B内に、たとえばマンホール5からオペレータ(作業者)が入りこみ、上記オペレータの手による作業(手作業)で溶接を行っているが、上記手作業では、溶接作業の能率が悪いという欠点がある。
【0016】
そこで、上記各ブロック内の閉空間にレールを備え、このレールに沿って溶接ロボットを移動させて、上記閉空間内の溶接箇所を自動溶接可能な自動溶接システムが知られている(たとえば特許文献1)
【0017】
【特許文献1】
特開平11−333592号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載の自動溶接システムでは、溶接ロボットの移動範囲に対応して長く走行レールを設ける必要があり、また、上記閉空間内の溶接箇所を広い範囲にわたって溶接するために、上記溶接システムに使用される溶接ロボットは、たとえば上記走行レールに直角な方向に大きくストロークする必要があり、したがって大型化し質量が増大し、オペレータ1人で上記溶接ロボットや上記走行レールを含む上記自動溶接システムを設置することが困難であるという問題がある。
【0019】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、閉空間内の溶接箇所に溶接を施す溶接機の設置装置において、オペレータが1人で設置することが容易な溶接機設置装置を提供することを目的とする。
【0020】
また、本発明は、閉空間内の溶接箇所に溶接を施す溶接機の設置方法において、オペレータが1人で設置することが容易な溶接機設置方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、長手方向に延伸したロンジを内面に備えた多角形状の筐体を互いに突き合わせたときの上記筐体の突き合わせ部または上記ロンジの突き合わせ部を溶接する溶接機を設置するための溶接機設置装置において、上記筐体の下部側で並列している各ロンジの上に立設可能な支柱枠体と、上記溶接機を支持するための溶接機支持ベース部と上記並列している各ロンジ上に支持されるアーム部とを備えると共に、上記各支柱枠体に上下動可能に支持されるサドルと、上記サドルを載置可能であり、載置された上記サドルを横方向に移送するために、並列している少なくとも3本の各ロンジ間に架け渡すことが可能な支持レールとを有し、上記支柱枠体、上記サドル、上記支持レールのそれぞれはユニット化されており、ユニット単位まで容易に分解可能である溶接機設置装置である。
【0022】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の溶接機設置装置において、上記サドルの上記アーム部は、上記サドルの両端部に設けられていると共に、上記サドルは、上記各アーム部よりも低位置に上記溶接機支持ベース部を備えた構成である溶接機設置装置である。
【0023】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の溶接機設置装置において、上記サドルが上記支持レールに載置されたときに、上記サドルは上記支柱枠体を載置可能である溶接機設置装置である。
【0024】
請求項4に記載の本発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の溶接機設置装置において、ユニット化されている上記支柱枠体、上記サドル、上記支持レールの各質量のいずれもが20kg以下である溶接機設置装置である。
【0025】
請求項5に記載の本発明は、長手方向に延伸したロンジを内面に備えた多角形状の筐体を互いに突き合わせたときの上記筐体の突き合わせ部または上記ロンジの突き合わせ部を溶接する溶接機を設置する溶接機設置方法において、上記溶接機を支持しているサドルを、上記筐体の下部側で並列している各ロンジ間に、上記各突き合わせ部のうちで上記各ロンジ間に位置する突き合わせ部を溶接するために設置する第1の設置工程と、上記各ロンジ間に設置されている上記サドルを、上記各ロンジ上に立設可能な支柱枠体を用い上記各ロンジに対して相対的に上方向に移動し、上記各ロンジ上から他のロンジ上まで掛け渡された支持レールを用いて上記筐体の下部側で並列している他の各ロンジ間まで横方向に移動し、上記支柱枠体を用い上記他の各ロンジに対して相対的に下方向に移動し、上記各突き合わせ部のうちで上記他の各ロンジ間に位置する突き合わせ部を溶接するために上記他の各ロンジ間に設置する第2の設置工程とを有する溶接機設置方法である。
【0026】
請求項6に記載の本発明は、請求項5記載の溶接機設置方法において、上記第2の載置工程で上記サドルを横方向に移動するときに、上記支柱枠体を上記サドルに載置して上記支柱枠体を上記サドルと共に移動する溶接機設置方法である。
【0027】
【発明の実施の形態】
図2は、図1のII矢視を示す図であり、溶接機設置装置9の概略構成を示す正面図である。なお、図1においては、上記溶接機設置装置9の表示は省略されている。
【0028】
図3は、溶接機設置装置9の概略構成を示す斜視図である。
【0029】
溶接機設置装置9は、図1に示すように、長手方向に延伸したロンジ7A〜7Fを内面に備え、断面形状がたとえば長方形状の各ブロック(筐体)1A、1Bを互いに突き合わせたことによって形成された各ブロック1A、1Bの突き合わせ部または上記各ロンジ7A〜7Fの突き合わせ部を溶接する溶接機(たとえば溶接ロボット)を、上記各ブロック1A、1B内の閉空間に設置するための溶接機設置装置である。なお、図2や図3に示す状態では、溶接機設置装置9は、ブロック1Aの各ロンジ7A、7Bの間で、ブロック1Bの近くに設置されている。
【0030】
ここで、溶接機設置装置9は、上記ブロック1Aの下部側で並列している上記各ロンジ7A、7Bに立設可能な各支柱枠体11A、11Bを備え、これらの各支柱枠体11A、11Bに上下動可能にサドル15が支持される。
【0031】
上記サドル15は、溶接機13を支持するための溶接機支持ベース部15AをY軸方向のほぼ中央部に備え、上記並列している各ロンジ7A、7B上に支持されるアーム部15B、15CをY軸方向の両端部に備えている。
【0032】
ここで、上記溶接機13は、上記溶接部(上記各突き合わせ部)を溶接するための溶接トーチを備え、溶接機設置装置9によって、所定の位置に設置された後、予めされているティーチングによって上記溶接トーチを移動させ、上記溶接部を自動的に溶接できるようになっている。
【0033】
また、上記サドル15は、上記各アーム部15B、15Cよりも低位置(Z軸方向の低位置)に上記溶接機支持ベース部15Aを備えている。
【0034】
上記サドル15の下端部側には、上記サドル15の本体部に対して、X軸に平行な軸を回転中心にして回転自在であり、互いが同形状な各車輪17A、17B、17C、17Dが設けられている。ここで、上記各車輪17A〜17Dは、サドル15を後述する支持レール19A、19B(図5参照)に載置した後、この載置された上記サドル15を横方向(Y軸方向)に移動させるために設けられたものであり、車輪17Aと車輪17Bとは、図2の紙面に直角な方向(X軸方向)で手前側に設けられており、車輪17Cと車輪17Dとは、図2の紙面に直角な方向で奥側に設けられており、しかも、上記各車輪は互いにほぼ同じ高さ(Z軸方向においてほぼ同じ高さ)に設けられている。
【0035】
また、各ロンジ7A、7Bそれぞれの上に立設可能な2つの支柱枠体11A、11Bは、たとえば、万力を使って、上記各ロンジ7A、7Bに固定されるものとする。
【0036】
そして、サドル15のX軸方向の両端部側には、上記サドル15をガイドして、各支柱枠体11A、11B(各ブロック1A、1B)に対して相対的に上記サドル15を上下方向に移動するために、各支柱枠体11A、11Bと係合自在な各被係合部15D、15Eが設けられている。
【0037】
より詳しく説明すると、図3に示すように、支柱枠体11Aは、Z軸方向に長く延び、長手方向(Z軸方向)に垂直な平面による断面が矩形状である2つの係合部材11Aa、11Abを備え、支柱枠体11Bも同様に、2つの係合部材11Ba、11Bbを備える。また、上記各支柱枠体11A、11Bの設置位置は、Y軸方向において異なり、X軸およびY軸方向において、ほぼ同じ位置になっている。
【0038】
そして、上記4つの各係合部材11Aa、11Ab、11Ba、11Bbの矩形状の各断面は、互いが平行であり、しかも長方形の4つの各頂点のところに位置している。
【0039】
また、サドル15の一端部に設けられている被係合部15Dは、互いがX軸方向に離隔している2つの被係合部15Da、15Dbで構成され、この被係合部15Daの断面(Z軸に垂直な平面による断面)は「L」字状に形成されている。また、上記被係合部15Dbの断面も同様に「L」字状に形成されている。さらに、サドル15の他端部に設けられている被係合部15Eも被係合部15Dと同様に、断面形状が「L」字状の2つの被係合部15Ea、15Ebを備える。
【0040】
そして、上記支柱枠体11Aの係合部材11Aaの側面のうちで係合部材11Abと対向している側面および上記支柱枠体11Bと対向している側面と、上記被係合部15Daとが互いに係合し、同様に、上記支柱枠体11Aの係合部材11Abの側面のうちで係合部材11Aaと対向している側面および上記支柱枠体11Bと対向している側面と、上記被係合部15Dbとが互いに係合し、上記支柱枠体11Bの係合部材11Baの側面のうちで係合部材11Bbと対向している側面および上記支柱枠体11Aと対向している側面と、上記被係合部15Eaとが互いに係合し、上記支柱枠体11Bの係合部材11Bbの側面のうちで係合部材11Baと対向している側面および上記支柱枠体11Aと対向している側面と、上記被係合部15Ebとが互いに係合している。
【0041】
換言すれば、サドル15は、X軸Y軸方向におけるこのサドル15の4隅で、各支柱枠体11A、11Bの内側に係合している。
【0042】
したがって、サドル15を各ロンジ7A、7B上に設置した状態で、各支柱枠体11A、11Bを各ロンジ7A、7B上に立設する場合、サドル15の各被係合部15D、15Eが各支柱枠体11A、11Bに係合するように、各支柱枠体11A、11Bのそれぞれをサドル15の両端部側からサドル15に近づけて、各ロンジ7A、7B上に設置すればよく、上記各支柱枠体11A、11Bの各ロンジ7A、7B上への立設が容易になっている。
【0043】
一方、各支柱枠体11A、11Bを各ロンジ7A、7B上に立設した後、サドル15の各被係合部15D、15Eが各支柱枠体11A、11Bに係合するように、上記サドル15を各ロンジ7A、7B上に設置することも容易である。すなわち、X軸に平行な軸を回転中心にして上記サドル15を僅かに回転して、上記サドル15を上記各支柱枠体11A、11Bの内側に挿入し、この挿入後、上記サドル15の姿勢を水平な状態(アーム部15Bとアーム部15Cとが一平面に存在する状態)に戻すことにより、上記サドル15の各支柱枠体11A、11B内側への設置を容易に行うことができる。
【0044】
なお、上記各支柱枠体11A、11Bの各係合部材11Aa、11Ab、11Ba、11Bb、上記サドル15の被係合部15D、15Eは、サドル15を上記各支柱枠体11A、11Bに沿ってZ軸方向に移動させる場合の構成の例であり、サドル15を支柱枠体に沿ってZ軸方向に移動可能であれば他の構成を採用してもよい。
【0045】
また、支柱枠体11Aの上端部側にはウィンチ21が設けられており、このウィンチ21から延び出ているロープ(ウィンチ21で巻き取り可能なロープ)RPが、サドル15の下部側で、サドル15本体に対して回転自在に設けられている各ガイドローラ23A、23Bに掛け回され、この掛け回されたロープRPがさらに延出し、このロープRPの先端部が、上記支柱枠体11Bの上端部に固定されている。
【0046】
そして、たとえば、図2に示す状態から、ウィンチ21でロープRPを巻き上げる(巻き取る)と、この巻き取られたロープによって、支柱枠体11Aや支柱枠体11Bに係合しているサドル15が、Z軸上方向に移動するようになっている。
【0047】
次に、図2や図3に示す状態に溶接機設置装置9を設置し、溶接部を溶接し、続いて並列している他のロンジ間に溶接機設置装置9を移送し設置する場合について説明する。
【0048】
図4〜図7は、溶接機設置装置9を移送し設置するときの各状態を示す斜視図である。
【0049】
まず、各々が互いに組み立てられていない各支柱枠体11A、11B、溶接機13、サドル15、各支持レール19A、19Bを、マンホール5を通過させて、各ブロック1A、1B内の閉空間に搬入し、サドル15を各ロンジ7A、7B間に設置し、サドル15の溶接機支持ベース部15Aに溶接機13を取り付け、図2や図3に示す状態で、図2に示す溶接部M1〜M9を溶接する。
【0050】
なお、上記溶接部M1は、各ロンジ7A、7D同士の突き合わせ部のうちで、上記各ロンジ7A、7Dの上面に位置している部位に係る溶接部であり、上記溶接部M2〜M4は、各ロンジ7A、7D同士の突き合わせ部のうちで、上記各ロンジ7A、7Dの側面や下面(溶接機13が存在している側の側面や下面)に位置している部位に係る溶接部であり、上記溶接部M5は、各ボトムプレート3A、3E同士の突き合わせ部に係る溶接部であり、上記溶接部M6〜M8は、各ロンジ7B、7E同士の突き合わせ部のうちで、上記各ロンジ7B、7Eの側面や下面(溶接機13が存在している側の側面や下面)に位置している部位に係る溶接部であり、上記溶接部M9は、各ロンジ7B、7E同士の突き合わせ部のうちで、上記各ロンジ7B、7Eの上面に位置している部位に係る溶接部である。
【0051】
上記溶接部M1〜M9への溶接が終了した後、図3に示すように、各支柱枠体11A、11Bを設置立設して、図4に示す状態まで、各支柱枠体11A、11Bにガイドされているサドル15を上方向に移動させる。すなわち、図2に示す状態から、ウィンチ21で、ロープRPを巻き上げ、サドル15を各支柱枠体11A、11Bや各ロンジ7A、7B、7D、7Eに対して相対的にZ軸上方向に移動させる。なお上記各支柱枠体11A、11Bの設置立設は、上記溶接部M1〜M9への溶接前、すなわち、サドルを各ロンジ7A、7B間に設置するときに行ってもよい。
【0052】
また、上記サドル15の移動量は、上記サドル15の各アーム部15B、15Cが、上記各ロンジ7A、7Dに接触している位置から、サドル15を構成する部位のうちで、最も低い位置に存在している各車輪17A〜17Dの下端部が、各ロンジ7A、7B、7D、7Eの上面よりも僅かに高い位置に存在するところまでとする。
【0053】
続いて、図5に示すように、サドル15を横方向に移送するために、並列している少なくとも3本の各ロンジ間に架け渡すことが可能な支持レール19A、19Bを、各ロンジ7A、7B、7Cに架け渡すと共に、上記サドル15の各車輪17A〜17Dを上記各支持レール19A、19Bに載置する。なお、上記載置は、各車輪17A〜17Dの下端部と各ロンジ7A〜7Dの上面との間に存在する僅かな隙間に、上記各支持レール19A、19Bの一部を差し込み、続いて、ウィンチ21のロープRPを僅かに緩めることによって、各車輪17A〜17Dの下端部と各支持レール19A、19Bとが互いに接触するまで、上記サドル15を僅かにZ軸下方向に下降させることによって行う。
【0054】
ここで、上記各支持レール19A、19Bの長手方向の断面形状は、たとえば、「コ」字状に形成されており、「コ」字状の支持レール19Aの内側に車輪17Aと車輪17Bとが入り込み、「コ」字状の支持レール19Bの内側に車輪17Cと車輪17Dとが入り込んで、上記サドル15が上記各支持レール19A、19Bに載置される。
【0055】
上記各支持レール19A、19Bに載置されたときに、上記サドル15は、各ロンジ7A、7BからZ軸上方向に僅かに離反しており、上記各車輪17A〜17Dによって、上記各支持レール19A、19Bに対して転がり対偶をなしており、Y軸方向に容易に移動できるようになっている。
【0056】
また、上記サドル15が、上記各支持レール19A、19Bに載置されたときに、上記サドル15は上記各支柱枠体11A、11Bを載置可能になっている。
【0057】
すなわち、上記サドル15が、上記各支持レール19A、19Bに載置されたときに、上記各支柱枠体11A、11Bを固定している万力を取り除き、上記各支柱枠体11A、11Bを、サドル15に対して、相対的に僅かにZ軸上方向に移動させ、上記サドル15に固定する。この状態では、上記各支柱枠体11A、11BBは、各ロンジ7A、7BからZ軸上方向に僅かに離反して上記サドル15に載置され、上記サドル15と共に、Y軸方向に容易に移動できる。
【0058】
ここで、上記各支柱枠体11A、11Bの上記サドル15への固定について説明する。図2に示すように、支柱枠体11AのZ軸方向の中間部には、貫通穴11Acを備えた保持部11Adが設けられ、同様に、支柱枠体11BのZ軸方向の中間部には、貫通穴11Bcを備えた保持部11Bdが設けられている。また、サドル15の端部側であって、アーム部15Bの側には、貫通穴15Faを備えた保持部15Fが設けられ、同様に、アーム部15Cの側には、貫通穴15Gaを備えた保持部15Gが設けられている。
【0059】
そして、サドル15がZ軸上方向に移動し、各支持レール19A、19Bレールに載置された後、支柱枠体11Aを僅かにZ軸上方向に移動する。このように支柱枠体11Aが僅かに移動した状態では、支柱枠体11Aに設けられている保持部11Adの貫通穴11Acと、サドル15に設けられている保持部15Fの貫通穴15Faとが互いにほぼ一致している。そして、図6(図5のVIA−VIB断面図)に示すように、さらに、ピン(図5では図示を省略してある)PNを、上記各貫通穴11Ac、15Faに挿通し、サドル15に支柱枠体11Aを固定する。なお、支柱枠体11Bのサドル15への固定も支柱枠体11Aと同様に行われる。
【0060】
続いて、図5に示す状態、すなわち、サドル15が各支持レール19A、19Bに載置され、各支柱枠体11A、11Bが上記サドル15に載置され、支柱枠体11Aが、ロンジ7A上に位置し、サドル15が、各ロンジ7A、7Bの間に位置し、支柱枠体11Bが、ロンジ7B上に位置している状態から、上記サドル15、各支柱枠体11A、11BをY軸方向に移動して、図7に示す状態、すなわち、支柱枠体11Aが、ロンジ7B上に位置し、サドル15が、各ロンジ7B、7C間に位置し、支柱枠体11Bがロンジ7C上に位置している状態にする。
【0061】
次に、図6に示すピンPNを取り外し、各支柱枠体11A、11BをZ軸下方向に僅かに移動し、支柱枠体11Aの下端部とロンジ7Bの上面とを互いに接触させ、支柱枠体11Bの下端部とロンジ7Cの上面とを互いに接触させ、各支柱枠体11A、11Bを各ロンジ7B、7Cに、たとえば万力を用いて固定する。
【0062】
続いて、ウィンチ21でロープRPを僅かに巻き上げることによって、サドル15をZ軸上方向に僅かに上昇させ、各車輪17A〜17Dの下端部を、各支持レール19A、19Bから僅かに離反させ、各支持レール19A、19Bを撤去する。
【0063】
次に、ウィンチ21でロープRPを緩めることによって、サドル15が各ロンジ7D、7E上に載置されるまで、サドル15をZ軸下方向に移動する。
【0064】
続いて、図2に示す場合と同様に、各ロンジ7B、7C間に存在している溶接部を、溶接機13を用いて溶接する。
【0065】
なお、上記実施の形態では、図1に示すように、ロンジが3本並んでいる場合について説明しているが、ロンジが4本以上の複数本並んでいる場合にも、上記実施形態を適用することができる。
【0066】
なお、上述の記載から理解されるように、上記各支柱枠体11A、11B、溶接機13、上記サドル15、上記各支持レール19A、19Bのそれぞれはユニット化されており、ユニット単位まで容易に分解可能になっている。
【0067】
そして、溶接機設置装置9の溶接機13で溶接することになっている各ブロック1A、1Bの溶接部の溶接が総て終了した後、上記溶接機設置装置9を、各支柱枠体11A、11B、溶接機13、サドル15、各支持レール19A、19Bに分解し、マンホール5を介して、上記分解し終えた上記各部材を各ブロック1A、1Bの外に搬出する。
【0068】
なお、ユニット化されている上記各支柱枠体11A、11B、上記サドル15、上記各支持レール19A、19Bの各質量のいずれもが20kg以下であることが望ましい。そのためには、サドル15、各支柱枠体11A、11B、各支持レール19A、19Bが、たとえばアルミニウムやこの合金で構成されていることが望ましい。また、溶接機13の質量を少なくするために、溶接機13は上記各溶接部M1〜M9を溶接可能な必要最小限のトーチ稼動範囲を具備した極力小さいものを使用することが望ましい。
【0069】
さらにまた、マンホール5を介して、上記ユニット化された上記各支柱枠体11A、11B、上記サドル15、上記各支持レール19A、19B、溶接機13を搬入・搬出するので、上記各ユニット化されたものの各外形の大きさは、マンホール5の内径よりも小さくなっていることが望ましい。
【0070】
溶接機設置装置9では、各ブロック1A、1Bの下部側で並列している各ロンジ7A、7B、7Cそれぞれの上に立設可能な各支柱枠体11A、11Bを備え、サドル15が、溶接機13を支持するための溶接機支持ベース部15Aと上記並列している各ロンジ7A、7B上に支持される各アーム部15B、15Cとを具備すると共に、上記各支柱枠体11A、11Bに上下動可能に支持されており、並列している少なくとも3本の各ロンジ7A、7B、7C間に架け渡すことが可能な各支持レール19A、19Bが、上記サドル15を載置可能であり、載置された上記サドル15を横方向に移送自在であり、上記各支柱枠体11A、上記サドル15、上記各支持レール19A、19B、溶接機13のそれぞれはユニット化されており、ユニット単位まで容易に分解可能である。
【0071】
したがって、溶接機設置装置9によれば、各ブロック1A、1Bを互いに溶接接続するために、溶接機設置装置9を各ブロック1A、1B内の閉空間に設置する場合、上記各ユニット(各支柱枠体11A、11B、溶接機13、サドル15、各支持レール19A、19B)を、マンホール5を通過させて上記閉空間内に搬入し、上記閉空間内で組み立て設置し、さらに、上記閉空間内の他の溶接箇所を溶接するために上記溶接機13を支持したサドル15を移送設置する作業を、作業者が1人で容易に行うことができる。
【0072】
また、溶接機13を支持するための溶接機支持ベース部15Aが、サドル15の両端部側に設けられている各アーム部15B、15Cよりも、低位置に設けられているので、Z軸方向において、溶接機13の溶接トーチの稼動範囲の中心と図2に示す各溶接部M1〜M9の中心位置とを互いにほぼ一致させることができ、溶接機13のトーチ部の稼動範囲を少なくすることができる。そして、小型の溶接機13を採用でき、溶接機13を通過させるためのマンホール5の内径を小さくすることができると共に、溶接機13を軽量化でき、溶接機13をオペレータ1人でサドル15に設置することが容易になる。
【0073】
また、上記サドル15が上記各支持レール19A、19Bに載置されたときに、上記サドル15は上記各支柱枠体11A、11Bを載置可能であるので、溶接機13が設けられているサドル15を他の溶接箇所を溶接するためにY軸方向に移動する場合、サドル15と共に上記各支柱枠体11A、11Bを同時に移動することができ、移動後にサドル15を設置する場合、サドル15に載置されている上記各支柱枠体11A、11Bを、僅かにZ軸下方向に移動させればよく、溶接機13やサドル15の移送設置作業が一層容易になる。
【0074】
さらに、溶接機設置装置9において、ユニット化されている上記各支柱枠体11A、11B、溶接機13、上記サドル15、上記各支持レール19A、19Bの各質量のいずれもが20kg以下であるようにすれば、溶接機設置装置9を各ブロック1A、1B内の閉空間に設置する場合、上記各ユニット(各支柱枠体11A、11B、溶接機13、サドル15、各支持レール19A、19B)を、マンホール5を通過させて上記閉空間内に搬入し、互いに組み立てて、上記閉空間内の溶接箇所を溶接し終えた後、溶接機設置装置9を分解し、マンホール5を通過させて上記閉空間外に搬出する作業をオペレータ1人で行うことが一層容易になる。
【0075】
また、サドル15や各支柱枠体11A、11B等を、各支持レール19A、19Bを使用してY軸方向に移送する場合、各車輪27A〜27Dによって、上記サドル15、溶接機13とサドル15と各支柱枠体11A、11Bとが一体になったものの質量が大きくても、オペレータ1人の僅かな力で上記移送をすることができる。なお、車輪に代えて、サドル15と上記各支持レール19A、19Bとの間に摩擦係数を低減することができるのであれば、車輪の代えて他のもの(たとえば、サドルと支持レールとの間に低摩擦樹脂を設けた構成)を採用してもよい。
【0076】
また、溶接機設置装置9によれば、サドル15を並列しているロンジの間に設置し、上記ロンジ間の溶接箇所の溶接終了後、他のロンジ間にサドル15を移動させて次の溶接箇所の溶接を行うので、すなわち、サドル15を逐次移動させつつ、溶接を行うので、特許文献1に記載の自動溶接システムのように、各ブロック1A、1B内の閉空間の両端部に、溶接機を移動させるためのレールを設置するためのマンホールを設ける必要がなく、各ブロックの構成を簡素化することができる。
【0077】
なお、上記実施例では、各ブロック(筐体)1A、1Bは、四角形状になっているが、ブロック(筐体)を多角形状にしてもよい。
【0078】
また、上記実施例では、船舶を例に掲げ説明しているが、船舶以外の閉空間の溶接箇所にも上記溶接機設置装置を適用することができる。
【0079】
【発明の効果】
請求項1〜請求項4に記載の本発明によれば、空間内の溶接箇所に溶接を施す溶接機の設置装置において、オペレータが1人で設置することが容易な溶接機設置装置を提供することができる。
【0080】
また、請求項5、請求項6に記載の本発明によれば、閉空間内の溶接箇所に溶接を施す溶接機の設置方法において、オペレータが1人で設置することが容易な溶接機設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】船体の底部に位置する2つのブロックを取り出して図示した斜視図である。
【図2】図1のII矢視を示す図であり、溶接機設置装置の概略構成を示す正面図である。
【図3】溶接機設置装置の概略構成を示す斜視図である。
【図4】溶接機設置装置を移送し設置するときの状態を示す斜視図である。
【図5】溶接機設置装置を移送し設置するときの状態を示す斜視図である。
【図6】溶接機設置装置を移送し設置するときの状態を示す斜視図である。
【図7】溶接機設置装置を移送し設置するときの状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1A、1B ブロック
3A、3E ボトムプレート
7A〜7F ロンジ
9 溶接機設置装置
11A、11B 支柱枠体
13 溶接機
15 サドル
15A 溶接機支持ベース部
15B、15C アーム部
19A、19B 支持レール
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接機設置装置及び溶接機設置方法に係り、たとえば船舶建造時におけるダブルボトムタンク内のような閉空間で、溶接機を設置するときに使用されるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダブルボトム構造の船舶であって、ある程度以上の大きさの船舶を建造する場合、上記船舶の船体を複数のブロックに分けて、各ブロック毎に建造しておき、これらの各ブロックを船台のステージ上に載置して配置し、各ブロック同士を互いに溶接で接続し、上記船舶全体を建造している。
【0003】
図1は、上記各ブロックのうちで、上記船体の底部に位置する2つのブロック1A、1Bを取り出して図示した斜視図である。そして、上記各ブロック1A、1Bと同様なブロックが、図1に示すX軸方向およびY軸方向に適数個並べられて、各ブロック同士が互いに溶接接続され、上記船体の底部が形成されている。
【0004】
なお、説明の便宜上、以下、上記船舶の前後方向をX軸方向とし、このX軸に垂直な方向(上記船舶の左右方向)をY軸方向とし、上記X軸方向と上記Y軸方向とに直角な方向(上記船舶の上下方向)をZ軸方向(鉛直方向)とする。
【0005】
上記ブロック(筐体)1Aは、X軸に垂直な平面による断面の形状が長方形状であり、貫通穴であるマンホール5が設けられた平板状のボトムプレート3Aを下部側に備える。
【0006】
また、上記ボトムプレート3AのY軸方向の両端部には、平板状の各サイドプレート3C、3DがZ軸上方向に起立して、溶接によって上記ボトムプレート3Aに一体的に設けられており、さらに、各サイドプレート3C、3Dの各上端部には、平板状のアッパープレート3Bが、溶接によって上記各サイドプレート3C、3Dに一体的に設けられており、そして、上記ブロック1Aの外形形状は直方体形状に形成されている。
【0007】
なお、上記ボトムプレート3A、上記アッパープレート3Bは、X軸およびY軸方向に延伸し、上記各サイドプレート3C、3Dは、X軸およびZ軸方向に延伸している。
【0008】
また、上記ボトムプレート3Aの内面(内壁)には、上記船体を補強するために適数のロンジ7A、7B、7Cが、ブロック1Aの長手方向(X軸方向)に沿って、溶接により上記ボトムプレート3Aに一体的に設けられ、さらに、上記各サイドプレート3C、3Dの内面(内壁)、上記アッパープレート3Bの内面(内壁)にも、同様に適数個のロンジが設けられている。
【0009】
ブロック1Bもブロック1Aと同様に構成されている。すなわち、ブロック1Bは、ボトムプレート3Eを備え、このボトムプレート3Eには、各サイドプレート3G、3H、アッパープレート3F、各ロンジ7D、7E、7F等が設けられている。
【0010】
そして、図1では、ブロック1Aの一端部1Aaとブロック1Bの一端部1Baとが互いに突き合わされ、この結果、ボトムプレート3Aの一端部3Aaとボトムプレート3Eの一端部3Eaとが互いに突き合わされ、アッパープレート3Bの一端部とアッパープレート3Fの一端部とが互いに突き合わされ、サイドプレート3Cの一端部とサイドプレート3Gの一端部とが互いに突き合わされ、サイドプレート3Dの一端部とサイドプレート3Hの一端部とが互いに突き合わされている。
【0011】
さらに、ロンジ7Aの一端部7Aaとロンジ7Dの一端部7Daとが互いに突き合わされ、ロンジ7Bの一端部7Baとロンジ7Eの一端部7Eaとが互いに突き合わされ、ロンジ7Cの一端部7Caとロンジ7Fの一端部7Faとが互いに突き合わされ、その他のロンジ同士も同様に互いに突き合わされている。
【0012】
そして、上記突き合わされている各突き合わせ部を互いに溶接接続することによって、ブロック1Aとブロック1Bとが互いに溶接される。さらに、同様にして、上記各ブロック1A、1Bに、たとえば、X軸方向、Y軸方向で適数のブロックを突き合わせて溶接し、船舶の船体が形成される。なお、マンホール5は、上記船体が形成された後にふさがれる。
【0013】
ところで、船台のステージ上で各ブロック1A、1Bを突き合わせ、さらに、他のブロックを上記各ブロック1A、1Bに突き合わせると、各ブロック1A、1Bの内部は閉空間になる。
【0014】
そして、上記各ブロック同士を、溶接強度を保って互いに溶接接続するためには、上記各ブロック1A、1B同士を内側から溶接する必要がある。すなわち各ボトムプレート同士、各サイドプレート同士、各アッパープレート同士を、上記各ブロック1A、1Bの内側から溶接する必要があり、さらに、各ロンジ同士を互いに溶接接続することは、各ブロック1A、1Bの内側でないとできない。
【0015】
そこで、従来、上記各ブロック1A、1B同士を互いに溶接接続するために、上記各ブロック1A、1B内に、たとえばマンホール5からオペレータ(作業者)が入りこみ、上記オペレータの手による作業(手作業)で溶接を行っているが、上記手作業では、溶接作業の能率が悪いという欠点がある。
【0016】
そこで、上記各ブロック内の閉空間にレールを備え、このレールに沿って溶接ロボットを移動させて、上記閉空間内の溶接箇所を自動溶接可能な自動溶接システムが知られている(たとえば特許文献1)
【0017】
【特許文献1】
特開平11−333592号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載の自動溶接システムでは、溶接ロボットの移動範囲に対応して長く走行レールを設ける必要があり、また、上記閉空間内の溶接箇所を広い範囲にわたって溶接するために、上記溶接システムに使用される溶接ロボットは、たとえば上記走行レールに直角な方向に大きくストロークする必要があり、したがって大型化し質量が増大し、オペレータ1人で上記溶接ロボットや上記走行レールを含む上記自動溶接システムを設置することが困難であるという問題がある。
【0019】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、閉空間内の溶接箇所に溶接を施す溶接機の設置装置において、オペレータが1人で設置することが容易な溶接機設置装置を提供することを目的とする。
【0020】
また、本発明は、閉空間内の溶接箇所に溶接を施す溶接機の設置方法において、オペレータが1人で設置することが容易な溶接機設置方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、長手方向に延伸したロンジを内面に備えた多角形状の筐体を互いに突き合わせたときの上記筐体の突き合わせ部または上記ロンジの突き合わせ部を溶接する溶接機を設置するための溶接機設置装置において、上記筐体の下部側で並列している各ロンジの上に立設可能な支柱枠体と、上記溶接機を支持するための溶接機支持ベース部と上記並列している各ロンジ上に支持されるアーム部とを備えると共に、上記各支柱枠体に上下動可能に支持されるサドルと、上記サドルを載置可能であり、載置された上記サドルを横方向に移送するために、並列している少なくとも3本の各ロンジ間に架け渡すことが可能な支持レールとを有し、上記支柱枠体、上記サドル、上記支持レールのそれぞれはユニット化されており、ユニット単位まで容易に分解可能である溶接機設置装置である。
【0022】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の溶接機設置装置において、上記サドルの上記アーム部は、上記サドルの両端部に設けられていると共に、上記サドルは、上記各アーム部よりも低位置に上記溶接機支持ベース部を備えた構成である溶接機設置装置である。
【0023】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の溶接機設置装置において、上記サドルが上記支持レールに載置されたときに、上記サドルは上記支柱枠体を載置可能である溶接機設置装置である。
【0024】
請求項4に記載の本発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の溶接機設置装置において、ユニット化されている上記支柱枠体、上記サドル、上記支持レールの各質量のいずれもが20kg以下である溶接機設置装置である。
【0025】
請求項5に記載の本発明は、長手方向に延伸したロンジを内面に備えた多角形状の筐体を互いに突き合わせたときの上記筐体の突き合わせ部または上記ロンジの突き合わせ部を溶接する溶接機を設置する溶接機設置方法において、上記溶接機を支持しているサドルを、上記筐体の下部側で並列している各ロンジ間に、上記各突き合わせ部のうちで上記各ロンジ間に位置する突き合わせ部を溶接するために設置する第1の設置工程と、上記各ロンジ間に設置されている上記サドルを、上記各ロンジ上に立設可能な支柱枠体を用い上記各ロンジに対して相対的に上方向に移動し、上記各ロンジ上から他のロンジ上まで掛け渡された支持レールを用いて上記筐体の下部側で並列している他の各ロンジ間まで横方向に移動し、上記支柱枠体を用い上記他の各ロンジに対して相対的に下方向に移動し、上記各突き合わせ部のうちで上記他の各ロンジ間に位置する突き合わせ部を溶接するために上記他の各ロンジ間に設置する第2の設置工程とを有する溶接機設置方法である。
【0026】
請求項6に記載の本発明は、請求項5記載の溶接機設置方法において、上記第2の載置工程で上記サドルを横方向に移動するときに、上記支柱枠体を上記サドルに載置して上記支柱枠体を上記サドルと共に移動する溶接機設置方法である。
【0027】
【発明の実施の形態】
図2は、図1のII矢視を示す図であり、溶接機設置装置9の概略構成を示す正面図である。なお、図1においては、上記溶接機設置装置9の表示は省略されている。
【0028】
図3は、溶接機設置装置9の概略構成を示す斜視図である。
【0029】
溶接機設置装置9は、図1に示すように、長手方向に延伸したロンジ7A〜7Fを内面に備え、断面形状がたとえば長方形状の各ブロック(筐体)1A、1Bを互いに突き合わせたことによって形成された各ブロック1A、1Bの突き合わせ部または上記各ロンジ7A〜7Fの突き合わせ部を溶接する溶接機(たとえば溶接ロボット)を、上記各ブロック1A、1B内の閉空間に設置するための溶接機設置装置である。なお、図2や図3に示す状態では、溶接機設置装置9は、ブロック1Aの各ロンジ7A、7Bの間で、ブロック1Bの近くに設置されている。
【0030】
ここで、溶接機設置装置9は、上記ブロック1Aの下部側で並列している上記各ロンジ7A、7Bに立設可能な各支柱枠体11A、11Bを備え、これらの各支柱枠体11A、11Bに上下動可能にサドル15が支持される。
【0031】
上記サドル15は、溶接機13を支持するための溶接機支持ベース部15AをY軸方向のほぼ中央部に備え、上記並列している各ロンジ7A、7B上に支持されるアーム部15B、15CをY軸方向の両端部に備えている。
【0032】
ここで、上記溶接機13は、上記溶接部(上記各突き合わせ部)を溶接するための溶接トーチを備え、溶接機設置装置9によって、所定の位置に設置された後、予めされているティーチングによって上記溶接トーチを移動させ、上記溶接部を自動的に溶接できるようになっている。
【0033】
また、上記サドル15は、上記各アーム部15B、15Cよりも低位置(Z軸方向の低位置)に上記溶接機支持ベース部15Aを備えている。
【0034】
上記サドル15の下端部側には、上記サドル15の本体部に対して、X軸に平行な軸を回転中心にして回転自在であり、互いが同形状な各車輪17A、17B、17C、17Dが設けられている。ここで、上記各車輪17A〜17Dは、サドル15を後述する支持レール19A、19B(図5参照)に載置した後、この載置された上記サドル15を横方向(Y軸方向)に移動させるために設けられたものであり、車輪17Aと車輪17Bとは、図2の紙面に直角な方向(X軸方向)で手前側に設けられており、車輪17Cと車輪17Dとは、図2の紙面に直角な方向で奥側に設けられており、しかも、上記各車輪は互いにほぼ同じ高さ(Z軸方向においてほぼ同じ高さ)に設けられている。
【0035】
また、各ロンジ7A、7Bそれぞれの上に立設可能な2つの支柱枠体11A、11Bは、たとえば、万力を使って、上記各ロンジ7A、7Bに固定されるものとする。
【0036】
そして、サドル15のX軸方向の両端部側には、上記サドル15をガイドして、各支柱枠体11A、11B(各ブロック1A、1B)に対して相対的に上記サドル15を上下方向に移動するために、各支柱枠体11A、11Bと係合自在な各被係合部15D、15Eが設けられている。
【0037】
より詳しく説明すると、図3に示すように、支柱枠体11Aは、Z軸方向に長く延び、長手方向(Z軸方向)に垂直な平面による断面が矩形状である2つの係合部材11Aa、11Abを備え、支柱枠体11Bも同様に、2つの係合部材11Ba、11Bbを備える。また、上記各支柱枠体11A、11Bの設置位置は、Y軸方向において異なり、X軸およびY軸方向において、ほぼ同じ位置になっている。
【0038】
そして、上記4つの各係合部材11Aa、11Ab、11Ba、11Bbの矩形状の各断面は、互いが平行であり、しかも長方形の4つの各頂点のところに位置している。
【0039】
また、サドル15の一端部に設けられている被係合部15Dは、互いがX軸方向に離隔している2つの被係合部15Da、15Dbで構成され、この被係合部15Daの断面(Z軸に垂直な平面による断面)は「L」字状に形成されている。また、上記被係合部15Dbの断面も同様に「L」字状に形成されている。さらに、サドル15の他端部に設けられている被係合部15Eも被係合部15Dと同様に、断面形状が「L」字状の2つの被係合部15Ea、15Ebを備える。
【0040】
そして、上記支柱枠体11Aの係合部材11Aaの側面のうちで係合部材11Abと対向している側面および上記支柱枠体11Bと対向している側面と、上記被係合部15Daとが互いに係合し、同様に、上記支柱枠体11Aの係合部材11Abの側面のうちで係合部材11Aaと対向している側面および上記支柱枠体11Bと対向している側面と、上記被係合部15Dbとが互いに係合し、上記支柱枠体11Bの係合部材11Baの側面のうちで係合部材11Bbと対向している側面および上記支柱枠体11Aと対向している側面と、上記被係合部15Eaとが互いに係合し、上記支柱枠体11Bの係合部材11Bbの側面のうちで係合部材11Baと対向している側面および上記支柱枠体11Aと対向している側面と、上記被係合部15Ebとが互いに係合している。
【0041】
換言すれば、サドル15は、X軸Y軸方向におけるこのサドル15の4隅で、各支柱枠体11A、11Bの内側に係合している。
【0042】
したがって、サドル15を各ロンジ7A、7B上に設置した状態で、各支柱枠体11A、11Bを各ロンジ7A、7B上に立設する場合、サドル15の各被係合部15D、15Eが各支柱枠体11A、11Bに係合するように、各支柱枠体11A、11Bのそれぞれをサドル15の両端部側からサドル15に近づけて、各ロンジ7A、7B上に設置すればよく、上記各支柱枠体11A、11Bの各ロンジ7A、7B上への立設が容易になっている。
【0043】
一方、各支柱枠体11A、11Bを各ロンジ7A、7B上に立設した後、サドル15の各被係合部15D、15Eが各支柱枠体11A、11Bに係合するように、上記サドル15を各ロンジ7A、7B上に設置することも容易である。すなわち、X軸に平行な軸を回転中心にして上記サドル15を僅かに回転して、上記サドル15を上記各支柱枠体11A、11Bの内側に挿入し、この挿入後、上記サドル15の姿勢を水平な状態(アーム部15Bとアーム部15Cとが一平面に存在する状態)に戻すことにより、上記サドル15の各支柱枠体11A、11B内側への設置を容易に行うことができる。
【0044】
なお、上記各支柱枠体11A、11Bの各係合部材11Aa、11Ab、11Ba、11Bb、上記サドル15の被係合部15D、15Eは、サドル15を上記各支柱枠体11A、11Bに沿ってZ軸方向に移動させる場合の構成の例であり、サドル15を支柱枠体に沿ってZ軸方向に移動可能であれば他の構成を採用してもよい。
【0045】
また、支柱枠体11Aの上端部側にはウィンチ21が設けられており、このウィンチ21から延び出ているロープ(ウィンチ21で巻き取り可能なロープ)RPが、サドル15の下部側で、サドル15本体に対して回転自在に設けられている各ガイドローラ23A、23Bに掛け回され、この掛け回されたロープRPがさらに延出し、このロープRPの先端部が、上記支柱枠体11Bの上端部に固定されている。
【0046】
そして、たとえば、図2に示す状態から、ウィンチ21でロープRPを巻き上げる(巻き取る)と、この巻き取られたロープによって、支柱枠体11Aや支柱枠体11Bに係合しているサドル15が、Z軸上方向に移動するようになっている。
【0047】
次に、図2や図3に示す状態に溶接機設置装置9を設置し、溶接部を溶接し、続いて並列している他のロンジ間に溶接機設置装置9を移送し設置する場合について説明する。
【0048】
図4〜図7は、溶接機設置装置9を移送し設置するときの各状態を示す斜視図である。
【0049】
まず、各々が互いに組み立てられていない各支柱枠体11A、11B、溶接機13、サドル15、各支持レール19A、19Bを、マンホール5を通過させて、各ブロック1A、1B内の閉空間に搬入し、サドル15を各ロンジ7A、7B間に設置し、サドル15の溶接機支持ベース部15Aに溶接機13を取り付け、図2や図3に示す状態で、図2に示す溶接部M1〜M9を溶接する。
【0050】
なお、上記溶接部M1は、各ロンジ7A、7D同士の突き合わせ部のうちで、上記各ロンジ7A、7Dの上面に位置している部位に係る溶接部であり、上記溶接部M2〜M4は、各ロンジ7A、7D同士の突き合わせ部のうちで、上記各ロンジ7A、7Dの側面や下面(溶接機13が存在している側の側面や下面)に位置している部位に係る溶接部であり、上記溶接部M5は、各ボトムプレート3A、3E同士の突き合わせ部に係る溶接部であり、上記溶接部M6〜M8は、各ロンジ7B、7E同士の突き合わせ部のうちで、上記各ロンジ7B、7Eの側面や下面(溶接機13が存在している側の側面や下面)に位置している部位に係る溶接部であり、上記溶接部M9は、各ロンジ7B、7E同士の突き合わせ部のうちで、上記各ロンジ7B、7Eの上面に位置している部位に係る溶接部である。
【0051】
上記溶接部M1〜M9への溶接が終了した後、図3に示すように、各支柱枠体11A、11Bを設置立設して、図4に示す状態まで、各支柱枠体11A、11Bにガイドされているサドル15を上方向に移動させる。すなわち、図2に示す状態から、ウィンチ21で、ロープRPを巻き上げ、サドル15を各支柱枠体11A、11Bや各ロンジ7A、7B、7D、7Eに対して相対的にZ軸上方向に移動させる。なお上記各支柱枠体11A、11Bの設置立設は、上記溶接部M1〜M9への溶接前、すなわち、サドルを各ロンジ7A、7B間に設置するときに行ってもよい。
【0052】
また、上記サドル15の移動量は、上記サドル15の各アーム部15B、15Cが、上記各ロンジ7A、7Dに接触している位置から、サドル15を構成する部位のうちで、最も低い位置に存在している各車輪17A〜17Dの下端部が、各ロンジ7A、7B、7D、7Eの上面よりも僅かに高い位置に存在するところまでとする。
【0053】
続いて、図5に示すように、サドル15を横方向に移送するために、並列している少なくとも3本の各ロンジ間に架け渡すことが可能な支持レール19A、19Bを、各ロンジ7A、7B、7Cに架け渡すと共に、上記サドル15の各車輪17A〜17Dを上記各支持レール19A、19Bに載置する。なお、上記載置は、各車輪17A〜17Dの下端部と各ロンジ7A〜7Dの上面との間に存在する僅かな隙間に、上記各支持レール19A、19Bの一部を差し込み、続いて、ウィンチ21のロープRPを僅かに緩めることによって、各車輪17A〜17Dの下端部と各支持レール19A、19Bとが互いに接触するまで、上記サドル15を僅かにZ軸下方向に下降させることによって行う。
【0054】
ここで、上記各支持レール19A、19Bの長手方向の断面形状は、たとえば、「コ」字状に形成されており、「コ」字状の支持レール19Aの内側に車輪17Aと車輪17Bとが入り込み、「コ」字状の支持レール19Bの内側に車輪17Cと車輪17Dとが入り込んで、上記サドル15が上記各支持レール19A、19Bに載置される。
【0055】
上記各支持レール19A、19Bに載置されたときに、上記サドル15は、各ロンジ7A、7BからZ軸上方向に僅かに離反しており、上記各車輪17A〜17Dによって、上記各支持レール19A、19Bに対して転がり対偶をなしており、Y軸方向に容易に移動できるようになっている。
【0056】
また、上記サドル15が、上記各支持レール19A、19Bに載置されたときに、上記サドル15は上記各支柱枠体11A、11Bを載置可能になっている。
【0057】
すなわち、上記サドル15が、上記各支持レール19A、19Bに載置されたときに、上記各支柱枠体11A、11Bを固定している万力を取り除き、上記各支柱枠体11A、11Bを、サドル15に対して、相対的に僅かにZ軸上方向に移動させ、上記サドル15に固定する。この状態では、上記各支柱枠体11A、11BBは、各ロンジ7A、7BからZ軸上方向に僅かに離反して上記サドル15に載置され、上記サドル15と共に、Y軸方向に容易に移動できる。
【0058】
ここで、上記各支柱枠体11A、11Bの上記サドル15への固定について説明する。図2に示すように、支柱枠体11AのZ軸方向の中間部には、貫通穴11Acを備えた保持部11Adが設けられ、同様に、支柱枠体11BのZ軸方向の中間部には、貫通穴11Bcを備えた保持部11Bdが設けられている。また、サドル15の端部側であって、アーム部15Bの側には、貫通穴15Faを備えた保持部15Fが設けられ、同様に、アーム部15Cの側には、貫通穴15Gaを備えた保持部15Gが設けられている。
【0059】
そして、サドル15がZ軸上方向に移動し、各支持レール19A、19Bレールに載置された後、支柱枠体11Aを僅かにZ軸上方向に移動する。このように支柱枠体11Aが僅かに移動した状態では、支柱枠体11Aに設けられている保持部11Adの貫通穴11Acと、サドル15に設けられている保持部15Fの貫通穴15Faとが互いにほぼ一致している。そして、図6(図5のVIA−VIB断面図)に示すように、さらに、ピン(図5では図示を省略してある)PNを、上記各貫通穴11Ac、15Faに挿通し、サドル15に支柱枠体11Aを固定する。なお、支柱枠体11Bのサドル15への固定も支柱枠体11Aと同様に行われる。
【0060】
続いて、図5に示す状態、すなわち、サドル15が各支持レール19A、19Bに載置され、各支柱枠体11A、11Bが上記サドル15に載置され、支柱枠体11Aが、ロンジ7A上に位置し、サドル15が、各ロンジ7A、7Bの間に位置し、支柱枠体11Bが、ロンジ7B上に位置している状態から、上記サドル15、各支柱枠体11A、11BをY軸方向に移動して、図7に示す状態、すなわち、支柱枠体11Aが、ロンジ7B上に位置し、サドル15が、各ロンジ7B、7C間に位置し、支柱枠体11Bがロンジ7C上に位置している状態にする。
【0061】
次に、図6に示すピンPNを取り外し、各支柱枠体11A、11BをZ軸下方向に僅かに移動し、支柱枠体11Aの下端部とロンジ7Bの上面とを互いに接触させ、支柱枠体11Bの下端部とロンジ7Cの上面とを互いに接触させ、各支柱枠体11A、11Bを各ロンジ7B、7Cに、たとえば万力を用いて固定する。
【0062】
続いて、ウィンチ21でロープRPを僅かに巻き上げることによって、サドル15をZ軸上方向に僅かに上昇させ、各車輪17A〜17Dの下端部を、各支持レール19A、19Bから僅かに離反させ、各支持レール19A、19Bを撤去する。
【0063】
次に、ウィンチ21でロープRPを緩めることによって、サドル15が各ロンジ7D、7E上に載置されるまで、サドル15をZ軸下方向に移動する。
【0064】
続いて、図2に示す場合と同様に、各ロンジ7B、7C間に存在している溶接部を、溶接機13を用いて溶接する。
【0065】
なお、上記実施の形態では、図1に示すように、ロンジが3本並んでいる場合について説明しているが、ロンジが4本以上の複数本並んでいる場合にも、上記実施形態を適用することができる。
【0066】
なお、上述の記載から理解されるように、上記各支柱枠体11A、11B、溶接機13、上記サドル15、上記各支持レール19A、19Bのそれぞれはユニット化されており、ユニット単位まで容易に分解可能になっている。
【0067】
そして、溶接機設置装置9の溶接機13で溶接することになっている各ブロック1A、1Bの溶接部の溶接が総て終了した後、上記溶接機設置装置9を、各支柱枠体11A、11B、溶接機13、サドル15、各支持レール19A、19Bに分解し、マンホール5を介して、上記分解し終えた上記各部材を各ブロック1A、1Bの外に搬出する。
【0068】
なお、ユニット化されている上記各支柱枠体11A、11B、上記サドル15、上記各支持レール19A、19Bの各質量のいずれもが20kg以下であることが望ましい。そのためには、サドル15、各支柱枠体11A、11B、各支持レール19A、19Bが、たとえばアルミニウムやこの合金で構成されていることが望ましい。また、溶接機13の質量を少なくするために、溶接機13は上記各溶接部M1〜M9を溶接可能な必要最小限のトーチ稼動範囲を具備した極力小さいものを使用することが望ましい。
【0069】
さらにまた、マンホール5を介して、上記ユニット化された上記各支柱枠体11A、11B、上記サドル15、上記各支持レール19A、19B、溶接機13を搬入・搬出するので、上記各ユニット化されたものの各外形の大きさは、マンホール5の内径よりも小さくなっていることが望ましい。
【0070】
溶接機設置装置9では、各ブロック1A、1Bの下部側で並列している各ロンジ7A、7B、7Cそれぞれの上に立設可能な各支柱枠体11A、11Bを備え、サドル15が、溶接機13を支持するための溶接機支持ベース部15Aと上記並列している各ロンジ7A、7B上に支持される各アーム部15B、15Cとを具備すると共に、上記各支柱枠体11A、11Bに上下動可能に支持されており、並列している少なくとも3本の各ロンジ7A、7B、7C間に架け渡すことが可能な各支持レール19A、19Bが、上記サドル15を載置可能であり、載置された上記サドル15を横方向に移送自在であり、上記各支柱枠体11A、上記サドル15、上記各支持レール19A、19B、溶接機13のそれぞれはユニット化されており、ユニット単位まで容易に分解可能である。
【0071】
したがって、溶接機設置装置9によれば、各ブロック1A、1Bを互いに溶接接続するために、溶接機設置装置9を各ブロック1A、1B内の閉空間に設置する場合、上記各ユニット(各支柱枠体11A、11B、溶接機13、サドル15、各支持レール19A、19B)を、マンホール5を通過させて上記閉空間内に搬入し、上記閉空間内で組み立て設置し、さらに、上記閉空間内の他の溶接箇所を溶接するために上記溶接機13を支持したサドル15を移送設置する作業を、作業者が1人で容易に行うことができる。
【0072】
また、溶接機13を支持するための溶接機支持ベース部15Aが、サドル15の両端部側に設けられている各アーム部15B、15Cよりも、低位置に設けられているので、Z軸方向において、溶接機13の溶接トーチの稼動範囲の中心と図2に示す各溶接部M1〜M9の中心位置とを互いにほぼ一致させることができ、溶接機13のトーチ部の稼動範囲を少なくすることができる。そして、小型の溶接機13を採用でき、溶接機13を通過させるためのマンホール5の内径を小さくすることができると共に、溶接機13を軽量化でき、溶接機13をオペレータ1人でサドル15に設置することが容易になる。
【0073】
また、上記サドル15が上記各支持レール19A、19Bに載置されたときに、上記サドル15は上記各支柱枠体11A、11Bを載置可能であるので、溶接機13が設けられているサドル15を他の溶接箇所を溶接するためにY軸方向に移動する場合、サドル15と共に上記各支柱枠体11A、11Bを同時に移動することができ、移動後にサドル15を設置する場合、サドル15に載置されている上記各支柱枠体11A、11Bを、僅かにZ軸下方向に移動させればよく、溶接機13やサドル15の移送設置作業が一層容易になる。
【0074】
さらに、溶接機設置装置9において、ユニット化されている上記各支柱枠体11A、11B、溶接機13、上記サドル15、上記各支持レール19A、19Bの各質量のいずれもが20kg以下であるようにすれば、溶接機設置装置9を各ブロック1A、1B内の閉空間に設置する場合、上記各ユニット(各支柱枠体11A、11B、溶接機13、サドル15、各支持レール19A、19B)を、マンホール5を通過させて上記閉空間内に搬入し、互いに組み立てて、上記閉空間内の溶接箇所を溶接し終えた後、溶接機設置装置9を分解し、マンホール5を通過させて上記閉空間外に搬出する作業をオペレータ1人で行うことが一層容易になる。
【0075】
また、サドル15や各支柱枠体11A、11B等を、各支持レール19A、19Bを使用してY軸方向に移送する場合、各車輪27A〜27Dによって、上記サドル15、溶接機13とサドル15と各支柱枠体11A、11Bとが一体になったものの質量が大きくても、オペレータ1人の僅かな力で上記移送をすることができる。なお、車輪に代えて、サドル15と上記各支持レール19A、19Bとの間に摩擦係数を低減することができるのであれば、車輪の代えて他のもの(たとえば、サドルと支持レールとの間に低摩擦樹脂を設けた構成)を採用してもよい。
【0076】
また、溶接機設置装置9によれば、サドル15を並列しているロンジの間に設置し、上記ロンジ間の溶接箇所の溶接終了後、他のロンジ間にサドル15を移動させて次の溶接箇所の溶接を行うので、すなわち、サドル15を逐次移動させつつ、溶接を行うので、特許文献1に記載の自動溶接システムのように、各ブロック1A、1B内の閉空間の両端部に、溶接機を移動させるためのレールを設置するためのマンホールを設ける必要がなく、各ブロックの構成を簡素化することができる。
【0077】
なお、上記実施例では、各ブロック(筐体)1A、1Bは、四角形状になっているが、ブロック(筐体)を多角形状にしてもよい。
【0078】
また、上記実施例では、船舶を例に掲げ説明しているが、船舶以外の閉空間の溶接箇所にも上記溶接機設置装置を適用することができる。
【0079】
【発明の効果】
請求項1〜請求項4に記載の本発明によれば、空間内の溶接箇所に溶接を施す溶接機の設置装置において、オペレータが1人で設置することが容易な溶接機設置装置を提供することができる。
【0080】
また、請求項5、請求項6に記載の本発明によれば、閉空間内の溶接箇所に溶接を施す溶接機の設置方法において、オペレータが1人で設置することが容易な溶接機設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】船体の底部に位置する2つのブロックを取り出して図示した斜視図である。
【図2】図1のII矢視を示す図であり、溶接機設置装置の概略構成を示す正面図である。
【図3】溶接機設置装置の概略構成を示す斜視図である。
【図4】溶接機設置装置を移送し設置するときの状態を示す斜視図である。
【図5】溶接機設置装置を移送し設置するときの状態を示す斜視図である。
【図6】溶接機設置装置を移送し設置するときの状態を示す斜視図である。
【図7】溶接機設置装置を移送し設置するときの状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1A、1B ブロック
3A、3E ボトムプレート
7A〜7F ロンジ
9 溶接機設置装置
11A、11B 支柱枠体
13 溶接機
15 サドル
15A 溶接機支持ベース部
15B、15C アーム部
19A、19B 支持レール
Claims (6)
- 長手方向に延伸したロンジを内面に備えた多角形状の筐体を互いに突き合わせたときの上記筐体の突き合わせ部または上記ロンジの突き合わせ部を溶接する溶接機を設置するための溶接機設置装置において、
上記筐体の下部側で並列している各ロンジの上に立設可能な支柱枠体と;
上記溶接機を支持するための溶接機支持ベース部と上記並列している各ロンジ上に支持されるアーム部とを備えると共に、上記各支柱枠体に上下動可能に支持されるサドルと;
上記サドルを載置可能であり、載置された上記サドルを横方向に移送するために、並列している少なくとも3本の各ロンジ間に架け渡すことが可能な支持レールと;
を有し、上記支柱枠体、上記サドル、上記支持レールのそれぞれはユニット化されており、ユニット単位まで容易に分解可能であることを特徴とする溶接機設置装置。 - 請求項1に記載の溶接機設置装置において、
上記サドルの上記アーム部は、上記サドルの両端部に設けられていると共に、上記サドルは、上記各アーム部よりも低位置に上記溶接機支持ベース部を備えた構成であることを特徴とする溶接機設置装置。 - 請求項1または請求項2に記載の溶接機設置装置において、
上記サドルが上記支持レールに載置されたときに、上記サドルは上記支柱枠体を載置可能であることを特徴とする溶接機設置装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の溶接機設置装置において、
ユニット化されている上記支柱枠体、上記サドル、上記支持レールの各質量のいずれもが20kg以下であることを特徴とする溶接機設置装置。 - 長手方向に延伸したロンジを内面に備えた多角形状の筐体を互いに突き合わせたときの上記筐体の突き合わせ部または上記ロンジの突き合わせ部を溶接する溶接機を設置する溶接機設置方法において、
上記溶接機を支持しているサドルを、上記筐体の下部側で並列している各ロンジ間に、上記各突き合わせ部のうちで上記各ロンジ間に位置する突き合わせ部を溶接するために設置する第1の設置工程と;
上記各ロンジ間に設置されている上記サドルを、上記各ロンジ上に立設可能な支柱枠体を用い上記各ロンジに対して相対的に上方向に移動し、上記各ロンジ上から他のロンジ上まで掛け渡された支持レールを用いて上記筐体の下部側で並列している他の各ロンジ間まで横方向に移動し、上記支柱枠体を用い上記他の各ロンジに対して相対的に下方向に移動し、上記各突き合わせ部のうちで上記他の各ロンジ間に位置する突き合わせ部を溶接するために上記他の各ロンジ間に設置する第2の設置工程と;
を有することを特徴とする溶接機設置方法。 - 請求項5記載の溶接機設置方法において、
上記第2の載置工程で上記サドルを横方向に移動するときに、上記支柱枠体を上記サドルに載置して上記支柱枠体を上記サドルと共に移動することを特徴とする溶接機設置方法。
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Cited By (2)
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CN102848091A (zh) * | 2012-09-04 | 2013-01-02 | 福建省华海船业有限公司 | 一种船舶双层底分段装配焊接工艺 |
CN107138880A (zh) * | 2017-05-21 | 2017-09-08 | 广州巨茗自控技术有限公司 | 一种焊接机体防护装置 |
-
2003
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