JP2004223356A - 溶液の塗布装置及び塗布方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明はヘッドに形成されたノズルから噴射される溶液の量を一定にすることができるようにした溶液の塗布装置を提供することにある。
【解決手段】溶液を噴射するノズル14を有するヘッド7と、溶液タンク31の溶液をヘッドに供給するための溶液供給管21と、溶液タンク内に不活性ガスを供給するガス供給管38と、第1の開閉制御弁36を有するとともに溶液タンクに接続され溶液タンク内を大気に連通させる大気開放管35と、ガス供給管に設けられ溶液タンクに供給される不活性ガスの流量を制御する流量絞り弁41と、ガス供給管の流量絞り弁よりも下流側に設けられ第1の開閉制御弁を開いた状態で溶液タンク内に不活性ガスを流通させるときには開かれノズルから溶液を基板に噴射させるときには閉じられる第2の開閉制御弁37とを具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】溶液を噴射するノズル14を有するヘッド7と、溶液タンク31の溶液をヘッドに供給するための溶液供給管21と、溶液タンク内に不活性ガスを供給するガス供給管38と、第1の開閉制御弁36を有するとともに溶液タンクに接続され溶液タンク内を大気に連通させる大気開放管35と、ガス供給管に設けられ溶液タンクに供給される不活性ガスの流量を制御する流量絞り弁41と、ガス供給管の流量絞り弁よりも下流側に設けられ第1の開閉制御弁を開いた状態で溶液タンク内に不活性ガスを流通させるときには開かれノズルから溶液を基板に噴射させるときには閉じられる第2の開閉制御弁37とを具備する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はヘッドに設けられたノズルから溶液をインクジェット方式によって噴射して基板に塗布する溶液の塗布装置及び塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶表示装置や半導体装置の製造工程においては、ガラス基板や半導体ウエハなどの基板に回路パターンを形成するための成膜プロセスがある。この成膜プロセスでは、基板の板面にたとえば配向膜やレジストなどの機能性薄膜が形成される。
【0003】
基板に機能性薄膜を形成する場合、この機能性薄膜を形成する溶液をノズルから噴射して基板の板面に塗付するインクジェット方式の塗布装置が用いられることがある。
【0004】
この塗付装置は、基板を搬送する搬送テーブルを有しており、この搬送テーブルの上方には、上記ノズルが穿設された複数のヘッドが基板の搬送方向に対してほぼ直交する方向に沿って並設されている。各ヘッドには供給管を介して接続された溶液タンクから溶液が供給される。それによって、搬送される基板の上面には複数のノズルから溶液が所定間隔で噴射されるようになっている。
【0005】
インクジェット方式の塗布装置を用いて基板に溶液を塗付する場合、供給管内やノズル内などに気泡が残留していると、ノズルから溶液が適切に噴射されないことがある。そのため、上記塗布装置を使用する前に、上記溶液タンク内を気体で加圧して上記供給管に溶液を高い圧力で供給し、上記ノズルから勢いよく噴出させる。それによって、上記供給管やノズル内に蓄積した気泡を、溶液とともに排出して上記供給管及びヘッド内などに溶液を充満させるということが行われる。
【0006】
配向膜などの機能性薄膜を形成する溶液は大気や大気中に含まれる水分などと反応して液質が変化することがある。そのため、上記溶液が大気に接触するのを防止するため、溶液が貯えられた溶液タンクに窒素などの溶液と反応することのない不活性ガスを流すことで、溶液の劣化を防止するようにしている。
【0007】
上記ヘッドのノズル面と、上記溶液タンク内の溶液の液面とはほぼ同等若しくは溶液タンク内の液面がわずかに低くなるよう設定され、その設定された液面差(水頭)を維持する。それによって、上記ヘッドに各ノズルと対応して設けられた圧電素子を作動させれば、そのノズルから一定量の溶液を精密に噴射させることができるようにしている。つまり、上記水頭が変化すると、圧電素子を作動させたときの溶液の噴射量が変化してしまい、基板に溶液を均一に塗布できなくなるため、溶液を塗布するときには上記水頭を一定に維持することが重要となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、溶液が大気と接触して液質が劣化するのを防止するために、溶液タンク内に不活性ガスを供給すると、その不活性ガスは溶液を加圧する。溶液タンクに供給される不活性ガスは溶液タンクに接続された大気開放管を通じて大気に放散するようにしている。
【0009】
しかしながら、溶液タンク内を通る不活性ガスは、溶液の溶媒を気化した状態で含むため、直ちに大気に放散することができない。そのため、大気開放管に気化溶媒を処理する処理装置を接続し、っその処理装置を通して不活性ガスを大気に放散させるようにしている。
【0010】
したがって、溶液タンクに供給された不活性ガスは、大気開放管が流路抵抗を有するため、その抵抗によって溶液タンク内から円滑に流出せず、溶液タンク内の溶液を加圧することになる。
【0011】
不活性ガスによって溶液タンク内の溶液が加圧されると、ヘッドのノズル面と溶液タンクの液面との水頭差が変化するから、圧電素子を作動させて溶液を噴射させても、その噴射量が変動してしまう。また、溶液を補強するときに溶液タンク内が加圧状態であると、大気開放したときにヘッドとの水頭差が変わってしまうということがある。このことにより、ノズルから一定量の溶液を精密に噴射させることができなくなる。そのため、基板に溶液を均一に塗布できなくなるということがあった。
【0012】
この発明は、溶液タンク内に不活性ガスを流し、溶液タンク内の溶液を不活性ガスによって大気と接触するのを防止しても、ヘッドのノズルから噴射される溶液の量が変動するのを防止できるようにした溶液の塗布装置及び塗布方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、基板に溶液を噴射塗布する塗布装置において、
上記溶液をインクジェット方式によって噴射するノズルを有するヘッドと、
上記溶液を貯えた溶液タンクと、
この溶液タンクの溶液を上記ヘッドに供給するための溶液供給管と、
上記溶液タンクに接続されこの溶液タンク内に不活性ガスを供給するガス供給管と、
第1の開閉制御弁を有するとともに上記溶液タンクに接続され上記第1の開閉制御弁を開放することで上記溶液タンク内を大気に連通させる大気開放管と、
上記ガス供給管に設けられ上記溶液タンクに供給される不活性ガスの流量を制御するガス流量制御手段と、
上記ガス供給管の上記ガス流量制御手段よりも下流側に設けられ上記第1の開閉制御弁を開いた状態で上記溶液タンク内に不活性ガスを流通させるときには開かれ上記ノズルから溶液を基板に噴射させるときには閉じられる第2の開閉制御弁と
を具備したことを特徴とする溶液の塗布装置にある。
【0014】
上記ガス供給管には、上記ガス流量制御手段と上記第2の開閉制御弁との間に不活性ガスを浄化するフィルタが設けられていることが好ましい。
【0015】
上記ガス流量制御手段は、第3の開閉制御弁と、この第3の開閉制御弁と並列に設けられ上記不活性ガスを上記第3の開閉弁を流れる流量よりも少ない流量に制御する流量絞り弁とを備えていることが好ましい。
【0016】
この発明は、溶液タンク内の溶液をインクジェット方式によってヘッドのノズルから噴射して基板に塗布する溶液の塗布方法において、
上記溶液タンク内に不活性ガスを供給しこの溶液タンク内の溶液が大気に接触するのを阻止する工程と、
上記溶液を上記ノズルから上記基板に噴射するときと溶液タンクへ溶液を補給するときに、上記溶液タンクへの不活性ガスの供給を停止して上記溶液タンクを大気圧にする工程と
を具備したことを特徴とする溶液の塗布方法にある。
【0017】
この発明によれば、基板に溶液を塗布するときには溶液タンク内を大気に連通させるとともに、溶液タンクへの不活性ガスの供給を遮断するため、溶液をノズルからインクジェット方式で噴射させる際、溶液タンク内の溶液が不活性ガスによって加圧されるのが防止される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の一実施の形態を説明する。
【0019】
図1と図2に示すこの発明の溶液の塗布装置はベース1を有する。ベース1の上面には所定間隔で離間した一対のレール2がベース1の長手方向に沿って敷設されている。上記レール2にはテーブル3が走行可能に設けられ、図示しない駆動源によって走行駆動されるようになっている。テーブル3の上面には多数の支持ピン4が設けられ、これら支持ピン4にはたとえば液晶表示装置に用いられるガラス製の基板Wが供給支持される。
【0020】
上記テーブル3とともに駆動される基板Wの上方には、上記基板Wに機能性薄膜を形成するための溶液をインクジェット方式で噴射塗布する複数のヘッド、この実施の形態では3つのヘッド7が基板Wの走行方向と交差する方向に沿って一列に配設されている。
【0021】
上記ヘッド7は図3に示すようにヘッド本体8を備えている。ヘッド本体8は筒状に形成され、その下面開口は可撓板9によって閉塞されている。この可撓板9はノズルプレート11によって覆われており、このノズルプレート11と上記可撓板9との間に液室12が形成されている。
【0022】
上記ヘッド本体8の長手方向一端部には上記液室12に連通する供液孔13が形成されている。この供液孔13から上記液室12にはたとえば配向膜やレジストなどの機能性薄膜を形成する溶液が供給される。それによって、上記液室12内は溶液で満たされるようになっている。
【0023】
図4に示すように、上記ノズルプレート11には、基板Wの搬送方向に直交する方向に沿って複数のノズル14が千鳥状に穿設されている。上記可撓板9の上面には、図3に示すように上記各ノズル14にそれぞれ対向して複数の圧電素子15が設けられている。
【0024】
各圧電素子15は上記ヘッド本体8内に設けられた駆動部16によって駆動電圧が供給される。それによって、圧電素子15は伸縮し、可撓板9を部分的に変形させるから、その圧電素子15に対向位置するノズル14から溶液が搬送される基板Wの上面に噴射塗付される。
【0025】
図3に示すように、上記ヘッド本体8の長手方向他端部には上記液室12に連通する回収孔17が形成されている。上記給液孔13から液室12に供給された溶液は、上記回収孔17から回収することができるようになっている。すなわち、上記ヘッド7は上記液室12に供給された溶液をノズル14から噴射させるだけでなく、上記液室12を通じて上記回収孔17から回収することが可能となっている。
【0026】
図1に示すように、各ヘッド7の給液孔13には溶液の供給管21から分岐された供給分岐管22が接続され、回収孔17には回収管23から分岐された回収分岐管24が接続されている。上記供給分岐管22には供給開閉弁25が設けられ、回収分岐管24には回収開閉弁26が設けられている。上記供給管21と回収管23との先端は連通弁27を介して接続されている。さらに、回収管23には回収分岐管24よりも基端側の部分に主回収弁28が設けられている。
【0027】
上記供給管21の基端は上記溶液Lが収容された溶液タンク31の底部に接続されている。上記回収管23の基端は上記溶液タンク31に供給する溶液Lを貯蔵した貯蔵タンク32に接続されている。回収管23の基端部からは供給弁33を有する供給分岐管34が分岐され、この供給分岐管34は上記溶液タンク31の底部に接続されている。
【0028】
上記溶液タンク31の上部には大気開放管35が接続されている。この大気開放管35には第1の開閉制御弁36が設けられている。第1の開閉制御弁36が開放されれば、上記溶液タンク31内が大気に連通される。なお、大気開放管35は、この大気開放管35から後述するように大気に放散される気体に含まれる気化溶媒を処理するための図示しない処理装置を介して大気に連通する。したがって、大気開放管35を流れる気体は抵抗を受けることになる。
【0029】
上記溶液タンク31の上部には第2の開閉制御弁37が設けられたガス供給管38が接続されている。このガス供給管38には、図示しないガス供給源から窒素などの不活性ガスが供給されるようになっている。
【0030】
上記ガス供給管38には、上記第2の開閉制御弁37よりも上流側にフィルタ39と第3の開閉制御弁40とが順次接続されている。第3の開閉制御弁40には流量絞り弁41が並列に設けられている。この流量絞り弁41と上記第3の開閉制御弁40とでガス流量制御手段を構成している。
【0031】
上記貯蔵タンク32の上部には、上記溶液タンク31と同様、第4の開閉制御弁43を有する大気開放管44が接続されている。さらに、第5の開閉制御弁45を有するガス供給管46が接続されている。このガス供給管46にはフィルタ47及び第6の開閉制御弁48が順次接続されている。第6の開閉制御弁48には流量絞り弁49が並列に設けられている。
【0032】
なお、上記供給開閉弁25、回収開閉弁26、主回収弁28、供給弁33、第1乃至第6の開閉制御弁36,37,40,43,45,48は図示しない制御装置によって開閉が制御されるようになっている。さらに、溶液タンク31内の溶液Lの液面はレベルセンサ50によって検出される。溶液Lの液面が所定以下になったことがレベルセンサ50によって検出されると、その検出に基いて貯蔵タンク32から溶液Lが補給される。つまり、貯蔵タンク32内の溶液Lが第5の開閉制御弁45を通じて供給される不活性ガスによって加圧されることで、上記溶液Lが上記溶液タンク31に補給される。
【0033】
図2に示すように、上記テーブル3の一端面には側面形状がL字状の取付部材51が垂直な一辺を上記テーブル3の端面に固定して設けられている。この取付部材51の水平な他辺には上下シリンダ52が軸線を垂直にして設けられている。
【0034】
上記上下シリンダ52のロッドには弾性部材53を介して載置板54が取付けられている。この載置板54の上面には各ヘッド7に対応する長さのブレード状のゴムなどの弾性材からなる3つの押え部材55がそれぞれ保持部材56に上下方向に変位可能に保持されている。各押え部材55は上記保持部材56に設けられたばね57によって上昇方向に弾性的に付勢されている。
【0035】
上記載置板54には上記押え部材55と並列にブレード状のゴムなどの弾性材によって形成されたワイピング部材58設けられている。このワイピング部材58は上記押え部材55よりも背が高く形成されている。
【0036】
上記載置板54は回収槽61の内底部に設けられている。この回収槽61の一側にはガイド板62が設けられ、このガイド板62にはガイド部材63が設けられている。このガイド部材63は上記テーブル3の端面に上下方向に沿って設けられたガイドレール64にガイドされて上下動可能となっている。
【0037】
それによって、上記上下シリンダ52が駆動されれば、上記載置板54が駆動されるとともに、ガイド板62がガイドレール64に沿って上下動するから、載置板54が前後左右方向に振れるのが規制されて上下動する。
【0038】
上記回収槽61には図1に示す回収タンク65が接続されている。この回収タンク65は、上記ヘッド7のノズル14の気泡抜きを行なう際、ノズル14から回収槽61に噴射される溶液を回収する。
【0039】
上記載置板54を上昇させ、押え部材55によって各ヘッド7のノズル14を閉塞すれば、溶液タンク31内の溶液Lを各ヘッド7の給液孔13から液室12及び回収孔17を通して循環させることができる。それによって、供給管21、ヘッド7及び回収管23の気泡抜きを行うことができる。
【0040】
ノズル14を開放して溶液タンク31内の溶液Lが回収管23に戻らない状態で溶液Lを各ヘッド7に供給すれば、溶液Lはノズル14から噴射するから、ノズル14の気泡抜きを行うことができる。
【0041】
基板Wの溶液Lを塗布する際、ワイピング部材58をヘッド7のノズル14が開口したノズル面に接触する高さに設定しておけば、基板Wがヘッド7の下方を往復動する際にノズル面に付着残留する溶液Lを拭き取ることができる。
【0042】
つぎに、上記構成の塗布装置によって基板Wに溶液Lを塗布する場合について説明する。
【0043】
溶液タンク31内の溶液Lの液面は、ヘッド7のノズル面よりも所定寸法低いレベルに維持され、そのレベル、つまり図1に示すノズル面と液面との水頭hが一定になるようレベルセンサ50によって制御されている。
【0044】
基板Wに溶液Lを塗布しないときには、上記溶液タンク31内には、流量絞り弁41及び第2の開閉制御弁37を通じて微量の不活性ガスが供給され、第1の開閉制御弁36を通じて大気開放管35から放出されている。
【0045】
それによって、溶液タンク31内の溶液Lが大気に接触するのが防止されるから、溶液Lが大気中の酸素や水分と反応して劣化するのが防止される。溶液タンク31に供給される不活性ガスの流量は流量絞り弁41によって微量に設定されるから、溶液タンク31内の溶液Lに含まれる溶媒の蒸発量が抑制される。それによって、溶液タンク31内の溶液Lの濃度が経時変化するのを抑制することができる。
【0046】
基板Wに溶液Lを噴射塗布する場合と、溶液タンク31に溶液を補給する場合には、第2の開閉制御弁37を閉じ、溶液タンク31への不活性ガスの供給を遮断する。基板Wがテーブル3によってヘッド7の下方に搬送されてきたならば、駆動部16によって圧電素子15に通電し、ヘッド7の液室12に供給された溶液Lをノズル14から基板Wに噴射する。それによって、基板Wに溶液を噴射塗布することができる。
【0047】
溶液Lをノズル14から噴射させるときや溶液タンク31に溶液を補給する際には、溶液タンク31への不活性ガスの供給を停止するため、溶液タンク31内の溶液Lはヘッド7と同じ大気圧となり、その液面とヘッド7のノズル面との水頭hが変動するのが防止される。
【0048】
つまり、溶液Lは予め設定された水頭hのもとで圧電素子15の作動によってノズル14から噴射される。そのため、各ノズル14から所定量の溶液Lを精密に噴射することができるから、溶液Lを基板Wに均一に塗布することが可能となる。
【0049】
基板Wに溶液Lを塗布する前には、上述したようにヘッド7、供給管21及び回収管23の気泡抜きが行なわれる。気泡抜きを行なう場合には、大気開放管35に設けられた第1の開閉制御弁36を閉じ、ガス供給管38に設けられた第2の開閉制御弁37と第3の開閉制御弁40とを開放する。それによって、ガス供給管38から溶液タンク31に大量の不活性ガスが供給され、溶液タンク31内の溶液Lが加圧されるから、溶液Lが供給管21へ吐出される。
【0050】
載置板54に設けられた押え部材55によってヘッド7のノズル14を閉塞した状態で、供給開閉弁25、回収開閉弁26、連通弁27及び主回収弁28を開放すれば、溶液Lは供給管21からヘッド7内を通って回収管23に流れ、この回収管23から貯蔵タンク32に回収される。それによって、ヘッド7、供給管21及び回収管23の気泡抜きを行なうことができる。
【0051】
ヘッド7のノズル14の気泡抜きは、上記押え部材55によるノズル14の閉塞状態を解除し、回収開閉弁26を閉じた状態で、溶液タンク31内の溶液Lを供給管21に吐出させる。それによって、ヘッド7内に流入した溶液Lはノズル14から噴出するから、ノズル14の気泡抜きを行なうことができる。
【0052】
各部の気泡抜きが終了したならば、第1の開閉制御弁36を開放し、第3の開閉制御弁40を閉じることで、溶液タンク31に流量絞り弁41の設定に基く微量の不活性ガスを供給し、溶液タンク31内の溶液Lの大気との接触による劣化を防止する。
【0053】
その場合、上記第1の開閉弁36を開放して溶液タンク31内を大気に連通させると、その内部の圧力が急激に低下する。それによって、溶液タンク31内で気化した溶液Lに含まれる溶媒が液化し、ガス供給管38内へ流入してフィルタ39に付着し、そのフィルタ39の目詰まりを招くことになる。
【0054】
そこで、第2の開閉制御弁37を閉じてから第1の開閉制御弁36を開放し、溶液タンク31内の圧力が大気圧に戻ってから第2の開閉制御弁37を開いて溶液タンク31に微量の不活性ガスを流すようにする。それによって、溶液タンク31内の圧力の急激な変化によってガスが液化しても、その液化ガスがフィルタ39に付着するのを上記第2の開閉制御弁37によって阻止することができる。そのため、フィルタ39が目詰まりするのを確実に防止することができる。
【0055】
なお、貯蔵タンク32にも、通常は流量絞り弁49を通じて微量の不活性ガスが供給され、その不活性ガスが第4の開閉制御弁43を通じて大気開放管44から大気に放散されることで、溶液Lが大気と接触して劣化するのを防止している。
【0056】
貯蔵タンク32の溶液Lを溶液タンク31に供給する場合には、第4の開閉制御弁43を閉じ、第6の開閉弁48を開放することで、多量の不活性ガスを貯蔵タンク32に供給する。それによって、貯蔵タンク32内の溶液が加圧されるから、供給分岐管34を通じて溶液タンク31に流入することになる。このとき、溶液タンク31の圧力を大気圧とするため、溶液を基板Wに塗付するときのヘッド7との水頭差を一定にすることができる。
【0057】
溶液Lを溶液タンク31に補充した後、第5の開閉制御弁45を閉じてから第4の開閉制御弁43を開放すれば、貯蔵タンク32内の圧力が急激に低下し、このタンク32内の気体が液化しても、その液化ガスがフィルタ47に流れるのが阻止されるから、フィルタ47が目詰まりするのを防止できる。
【0058】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、基板に溶液を塗布するときには溶液タンク内を大気に連通させるとともに、溶液タンクへの不活性ガスの供給を遮断するようにした。
【0059】
そのため、溶液をノズルからインクジェット方式で噴射させる際、溶液タンク内の溶液が不活性ガスによって加圧されて圧力変動することがないから、ノズルから噴射される溶液の量を一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係る溶液の塗布装置の概略的構成を示す側面図。
【図2】溶液の供給管路を省略した塗布装置の正面図。
【図3】ノズルヘッドの断面図。
【図4】ノズルヘッドの下面図。
【符号の説明】
7…ヘッド
14…ノズル
31…溶液タンク
35…大気開放管
36…第1の開閉制御弁
37…第2の開閉制御弁
38…ガス供給管
40…第3の開閉制御弁(ガス流量制御手段)
41…流量絞り弁(ガス流量制御手段)
【発明の属する技術分野】
この発明はヘッドに設けられたノズルから溶液をインクジェット方式によって噴射して基板に塗布する溶液の塗布装置及び塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶表示装置や半導体装置の製造工程においては、ガラス基板や半導体ウエハなどの基板に回路パターンを形成するための成膜プロセスがある。この成膜プロセスでは、基板の板面にたとえば配向膜やレジストなどの機能性薄膜が形成される。
【0003】
基板に機能性薄膜を形成する場合、この機能性薄膜を形成する溶液をノズルから噴射して基板の板面に塗付するインクジェット方式の塗布装置が用いられることがある。
【0004】
この塗付装置は、基板を搬送する搬送テーブルを有しており、この搬送テーブルの上方には、上記ノズルが穿設された複数のヘッドが基板の搬送方向に対してほぼ直交する方向に沿って並設されている。各ヘッドには供給管を介して接続された溶液タンクから溶液が供給される。それによって、搬送される基板の上面には複数のノズルから溶液が所定間隔で噴射されるようになっている。
【0005】
インクジェット方式の塗布装置を用いて基板に溶液を塗付する場合、供給管内やノズル内などに気泡が残留していると、ノズルから溶液が適切に噴射されないことがある。そのため、上記塗布装置を使用する前に、上記溶液タンク内を気体で加圧して上記供給管に溶液を高い圧力で供給し、上記ノズルから勢いよく噴出させる。それによって、上記供給管やノズル内に蓄積した気泡を、溶液とともに排出して上記供給管及びヘッド内などに溶液を充満させるということが行われる。
【0006】
配向膜などの機能性薄膜を形成する溶液は大気や大気中に含まれる水分などと反応して液質が変化することがある。そのため、上記溶液が大気に接触するのを防止するため、溶液が貯えられた溶液タンクに窒素などの溶液と反応することのない不活性ガスを流すことで、溶液の劣化を防止するようにしている。
【0007】
上記ヘッドのノズル面と、上記溶液タンク内の溶液の液面とはほぼ同等若しくは溶液タンク内の液面がわずかに低くなるよう設定され、その設定された液面差(水頭)を維持する。それによって、上記ヘッドに各ノズルと対応して設けられた圧電素子を作動させれば、そのノズルから一定量の溶液を精密に噴射させることができるようにしている。つまり、上記水頭が変化すると、圧電素子を作動させたときの溶液の噴射量が変化してしまい、基板に溶液を均一に塗布できなくなるため、溶液を塗布するときには上記水頭を一定に維持することが重要となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、溶液が大気と接触して液質が劣化するのを防止するために、溶液タンク内に不活性ガスを供給すると、その不活性ガスは溶液を加圧する。溶液タンクに供給される不活性ガスは溶液タンクに接続された大気開放管を通じて大気に放散するようにしている。
【0009】
しかしながら、溶液タンク内を通る不活性ガスは、溶液の溶媒を気化した状態で含むため、直ちに大気に放散することができない。そのため、大気開放管に気化溶媒を処理する処理装置を接続し、っその処理装置を通して不活性ガスを大気に放散させるようにしている。
【0010】
したがって、溶液タンクに供給された不活性ガスは、大気開放管が流路抵抗を有するため、その抵抗によって溶液タンク内から円滑に流出せず、溶液タンク内の溶液を加圧することになる。
【0011】
不活性ガスによって溶液タンク内の溶液が加圧されると、ヘッドのノズル面と溶液タンクの液面との水頭差が変化するから、圧電素子を作動させて溶液を噴射させても、その噴射量が変動してしまう。また、溶液を補強するときに溶液タンク内が加圧状態であると、大気開放したときにヘッドとの水頭差が変わってしまうということがある。このことにより、ノズルから一定量の溶液を精密に噴射させることができなくなる。そのため、基板に溶液を均一に塗布できなくなるということがあった。
【0012】
この発明は、溶液タンク内に不活性ガスを流し、溶液タンク内の溶液を不活性ガスによって大気と接触するのを防止しても、ヘッドのノズルから噴射される溶液の量が変動するのを防止できるようにした溶液の塗布装置及び塗布方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、基板に溶液を噴射塗布する塗布装置において、
上記溶液をインクジェット方式によって噴射するノズルを有するヘッドと、
上記溶液を貯えた溶液タンクと、
この溶液タンクの溶液を上記ヘッドに供給するための溶液供給管と、
上記溶液タンクに接続されこの溶液タンク内に不活性ガスを供給するガス供給管と、
第1の開閉制御弁を有するとともに上記溶液タンクに接続され上記第1の開閉制御弁を開放することで上記溶液タンク内を大気に連通させる大気開放管と、
上記ガス供給管に設けられ上記溶液タンクに供給される不活性ガスの流量を制御するガス流量制御手段と、
上記ガス供給管の上記ガス流量制御手段よりも下流側に設けられ上記第1の開閉制御弁を開いた状態で上記溶液タンク内に不活性ガスを流通させるときには開かれ上記ノズルから溶液を基板に噴射させるときには閉じられる第2の開閉制御弁と
を具備したことを特徴とする溶液の塗布装置にある。
【0014】
上記ガス供給管には、上記ガス流量制御手段と上記第2の開閉制御弁との間に不活性ガスを浄化するフィルタが設けられていることが好ましい。
【0015】
上記ガス流量制御手段は、第3の開閉制御弁と、この第3の開閉制御弁と並列に設けられ上記不活性ガスを上記第3の開閉弁を流れる流量よりも少ない流量に制御する流量絞り弁とを備えていることが好ましい。
【0016】
この発明は、溶液タンク内の溶液をインクジェット方式によってヘッドのノズルから噴射して基板に塗布する溶液の塗布方法において、
上記溶液タンク内に不活性ガスを供給しこの溶液タンク内の溶液が大気に接触するのを阻止する工程と、
上記溶液を上記ノズルから上記基板に噴射するときと溶液タンクへ溶液を補給するときに、上記溶液タンクへの不活性ガスの供給を停止して上記溶液タンクを大気圧にする工程と
を具備したことを特徴とする溶液の塗布方法にある。
【0017】
この発明によれば、基板に溶液を塗布するときには溶液タンク内を大気に連通させるとともに、溶液タンクへの不活性ガスの供給を遮断するため、溶液をノズルからインクジェット方式で噴射させる際、溶液タンク内の溶液が不活性ガスによって加圧されるのが防止される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の一実施の形態を説明する。
【0019】
図1と図2に示すこの発明の溶液の塗布装置はベース1を有する。ベース1の上面には所定間隔で離間した一対のレール2がベース1の長手方向に沿って敷設されている。上記レール2にはテーブル3が走行可能に設けられ、図示しない駆動源によって走行駆動されるようになっている。テーブル3の上面には多数の支持ピン4が設けられ、これら支持ピン4にはたとえば液晶表示装置に用いられるガラス製の基板Wが供給支持される。
【0020】
上記テーブル3とともに駆動される基板Wの上方には、上記基板Wに機能性薄膜を形成するための溶液をインクジェット方式で噴射塗布する複数のヘッド、この実施の形態では3つのヘッド7が基板Wの走行方向と交差する方向に沿って一列に配設されている。
【0021】
上記ヘッド7は図3に示すようにヘッド本体8を備えている。ヘッド本体8は筒状に形成され、その下面開口は可撓板9によって閉塞されている。この可撓板9はノズルプレート11によって覆われており、このノズルプレート11と上記可撓板9との間に液室12が形成されている。
【0022】
上記ヘッド本体8の長手方向一端部には上記液室12に連通する供液孔13が形成されている。この供液孔13から上記液室12にはたとえば配向膜やレジストなどの機能性薄膜を形成する溶液が供給される。それによって、上記液室12内は溶液で満たされるようになっている。
【0023】
図4に示すように、上記ノズルプレート11には、基板Wの搬送方向に直交する方向に沿って複数のノズル14が千鳥状に穿設されている。上記可撓板9の上面には、図3に示すように上記各ノズル14にそれぞれ対向して複数の圧電素子15が設けられている。
【0024】
各圧電素子15は上記ヘッド本体8内に設けられた駆動部16によって駆動電圧が供給される。それによって、圧電素子15は伸縮し、可撓板9を部分的に変形させるから、その圧電素子15に対向位置するノズル14から溶液が搬送される基板Wの上面に噴射塗付される。
【0025】
図3に示すように、上記ヘッド本体8の長手方向他端部には上記液室12に連通する回収孔17が形成されている。上記給液孔13から液室12に供給された溶液は、上記回収孔17から回収することができるようになっている。すなわち、上記ヘッド7は上記液室12に供給された溶液をノズル14から噴射させるだけでなく、上記液室12を通じて上記回収孔17から回収することが可能となっている。
【0026】
図1に示すように、各ヘッド7の給液孔13には溶液の供給管21から分岐された供給分岐管22が接続され、回収孔17には回収管23から分岐された回収分岐管24が接続されている。上記供給分岐管22には供給開閉弁25が設けられ、回収分岐管24には回収開閉弁26が設けられている。上記供給管21と回収管23との先端は連通弁27を介して接続されている。さらに、回収管23には回収分岐管24よりも基端側の部分に主回収弁28が設けられている。
【0027】
上記供給管21の基端は上記溶液Lが収容された溶液タンク31の底部に接続されている。上記回収管23の基端は上記溶液タンク31に供給する溶液Lを貯蔵した貯蔵タンク32に接続されている。回収管23の基端部からは供給弁33を有する供給分岐管34が分岐され、この供給分岐管34は上記溶液タンク31の底部に接続されている。
【0028】
上記溶液タンク31の上部には大気開放管35が接続されている。この大気開放管35には第1の開閉制御弁36が設けられている。第1の開閉制御弁36が開放されれば、上記溶液タンク31内が大気に連通される。なお、大気開放管35は、この大気開放管35から後述するように大気に放散される気体に含まれる気化溶媒を処理するための図示しない処理装置を介して大気に連通する。したがって、大気開放管35を流れる気体は抵抗を受けることになる。
【0029】
上記溶液タンク31の上部には第2の開閉制御弁37が設けられたガス供給管38が接続されている。このガス供給管38には、図示しないガス供給源から窒素などの不活性ガスが供給されるようになっている。
【0030】
上記ガス供給管38には、上記第2の開閉制御弁37よりも上流側にフィルタ39と第3の開閉制御弁40とが順次接続されている。第3の開閉制御弁40には流量絞り弁41が並列に設けられている。この流量絞り弁41と上記第3の開閉制御弁40とでガス流量制御手段を構成している。
【0031】
上記貯蔵タンク32の上部には、上記溶液タンク31と同様、第4の開閉制御弁43を有する大気開放管44が接続されている。さらに、第5の開閉制御弁45を有するガス供給管46が接続されている。このガス供給管46にはフィルタ47及び第6の開閉制御弁48が順次接続されている。第6の開閉制御弁48には流量絞り弁49が並列に設けられている。
【0032】
なお、上記供給開閉弁25、回収開閉弁26、主回収弁28、供給弁33、第1乃至第6の開閉制御弁36,37,40,43,45,48は図示しない制御装置によって開閉が制御されるようになっている。さらに、溶液タンク31内の溶液Lの液面はレベルセンサ50によって検出される。溶液Lの液面が所定以下になったことがレベルセンサ50によって検出されると、その検出に基いて貯蔵タンク32から溶液Lが補給される。つまり、貯蔵タンク32内の溶液Lが第5の開閉制御弁45を通じて供給される不活性ガスによって加圧されることで、上記溶液Lが上記溶液タンク31に補給される。
【0033】
図2に示すように、上記テーブル3の一端面には側面形状がL字状の取付部材51が垂直な一辺を上記テーブル3の端面に固定して設けられている。この取付部材51の水平な他辺には上下シリンダ52が軸線を垂直にして設けられている。
【0034】
上記上下シリンダ52のロッドには弾性部材53を介して載置板54が取付けられている。この載置板54の上面には各ヘッド7に対応する長さのブレード状のゴムなどの弾性材からなる3つの押え部材55がそれぞれ保持部材56に上下方向に変位可能に保持されている。各押え部材55は上記保持部材56に設けられたばね57によって上昇方向に弾性的に付勢されている。
【0035】
上記載置板54には上記押え部材55と並列にブレード状のゴムなどの弾性材によって形成されたワイピング部材58設けられている。このワイピング部材58は上記押え部材55よりも背が高く形成されている。
【0036】
上記載置板54は回収槽61の内底部に設けられている。この回収槽61の一側にはガイド板62が設けられ、このガイド板62にはガイド部材63が設けられている。このガイド部材63は上記テーブル3の端面に上下方向に沿って設けられたガイドレール64にガイドされて上下動可能となっている。
【0037】
それによって、上記上下シリンダ52が駆動されれば、上記載置板54が駆動されるとともに、ガイド板62がガイドレール64に沿って上下動するから、載置板54が前後左右方向に振れるのが規制されて上下動する。
【0038】
上記回収槽61には図1に示す回収タンク65が接続されている。この回収タンク65は、上記ヘッド7のノズル14の気泡抜きを行なう際、ノズル14から回収槽61に噴射される溶液を回収する。
【0039】
上記載置板54を上昇させ、押え部材55によって各ヘッド7のノズル14を閉塞すれば、溶液タンク31内の溶液Lを各ヘッド7の給液孔13から液室12及び回収孔17を通して循環させることができる。それによって、供給管21、ヘッド7及び回収管23の気泡抜きを行うことができる。
【0040】
ノズル14を開放して溶液タンク31内の溶液Lが回収管23に戻らない状態で溶液Lを各ヘッド7に供給すれば、溶液Lはノズル14から噴射するから、ノズル14の気泡抜きを行うことができる。
【0041】
基板Wの溶液Lを塗布する際、ワイピング部材58をヘッド7のノズル14が開口したノズル面に接触する高さに設定しておけば、基板Wがヘッド7の下方を往復動する際にノズル面に付着残留する溶液Lを拭き取ることができる。
【0042】
つぎに、上記構成の塗布装置によって基板Wに溶液Lを塗布する場合について説明する。
【0043】
溶液タンク31内の溶液Lの液面は、ヘッド7のノズル面よりも所定寸法低いレベルに維持され、そのレベル、つまり図1に示すノズル面と液面との水頭hが一定になるようレベルセンサ50によって制御されている。
【0044】
基板Wに溶液Lを塗布しないときには、上記溶液タンク31内には、流量絞り弁41及び第2の開閉制御弁37を通じて微量の不活性ガスが供給され、第1の開閉制御弁36を通じて大気開放管35から放出されている。
【0045】
それによって、溶液タンク31内の溶液Lが大気に接触するのが防止されるから、溶液Lが大気中の酸素や水分と反応して劣化するのが防止される。溶液タンク31に供給される不活性ガスの流量は流量絞り弁41によって微量に設定されるから、溶液タンク31内の溶液Lに含まれる溶媒の蒸発量が抑制される。それによって、溶液タンク31内の溶液Lの濃度が経時変化するのを抑制することができる。
【0046】
基板Wに溶液Lを噴射塗布する場合と、溶液タンク31に溶液を補給する場合には、第2の開閉制御弁37を閉じ、溶液タンク31への不活性ガスの供給を遮断する。基板Wがテーブル3によってヘッド7の下方に搬送されてきたならば、駆動部16によって圧電素子15に通電し、ヘッド7の液室12に供給された溶液Lをノズル14から基板Wに噴射する。それによって、基板Wに溶液を噴射塗布することができる。
【0047】
溶液Lをノズル14から噴射させるときや溶液タンク31に溶液を補給する際には、溶液タンク31への不活性ガスの供給を停止するため、溶液タンク31内の溶液Lはヘッド7と同じ大気圧となり、その液面とヘッド7のノズル面との水頭hが変動するのが防止される。
【0048】
つまり、溶液Lは予め設定された水頭hのもとで圧電素子15の作動によってノズル14から噴射される。そのため、各ノズル14から所定量の溶液Lを精密に噴射することができるから、溶液Lを基板Wに均一に塗布することが可能となる。
【0049】
基板Wに溶液Lを塗布する前には、上述したようにヘッド7、供給管21及び回収管23の気泡抜きが行なわれる。気泡抜きを行なう場合には、大気開放管35に設けられた第1の開閉制御弁36を閉じ、ガス供給管38に設けられた第2の開閉制御弁37と第3の開閉制御弁40とを開放する。それによって、ガス供給管38から溶液タンク31に大量の不活性ガスが供給され、溶液タンク31内の溶液Lが加圧されるから、溶液Lが供給管21へ吐出される。
【0050】
載置板54に設けられた押え部材55によってヘッド7のノズル14を閉塞した状態で、供給開閉弁25、回収開閉弁26、連通弁27及び主回収弁28を開放すれば、溶液Lは供給管21からヘッド7内を通って回収管23に流れ、この回収管23から貯蔵タンク32に回収される。それによって、ヘッド7、供給管21及び回収管23の気泡抜きを行なうことができる。
【0051】
ヘッド7のノズル14の気泡抜きは、上記押え部材55によるノズル14の閉塞状態を解除し、回収開閉弁26を閉じた状態で、溶液タンク31内の溶液Lを供給管21に吐出させる。それによって、ヘッド7内に流入した溶液Lはノズル14から噴出するから、ノズル14の気泡抜きを行なうことができる。
【0052】
各部の気泡抜きが終了したならば、第1の開閉制御弁36を開放し、第3の開閉制御弁40を閉じることで、溶液タンク31に流量絞り弁41の設定に基く微量の不活性ガスを供給し、溶液タンク31内の溶液Lの大気との接触による劣化を防止する。
【0053】
その場合、上記第1の開閉弁36を開放して溶液タンク31内を大気に連通させると、その内部の圧力が急激に低下する。それによって、溶液タンク31内で気化した溶液Lに含まれる溶媒が液化し、ガス供給管38内へ流入してフィルタ39に付着し、そのフィルタ39の目詰まりを招くことになる。
【0054】
そこで、第2の開閉制御弁37を閉じてから第1の開閉制御弁36を開放し、溶液タンク31内の圧力が大気圧に戻ってから第2の開閉制御弁37を開いて溶液タンク31に微量の不活性ガスを流すようにする。それによって、溶液タンク31内の圧力の急激な変化によってガスが液化しても、その液化ガスがフィルタ39に付着するのを上記第2の開閉制御弁37によって阻止することができる。そのため、フィルタ39が目詰まりするのを確実に防止することができる。
【0055】
なお、貯蔵タンク32にも、通常は流量絞り弁49を通じて微量の不活性ガスが供給され、その不活性ガスが第4の開閉制御弁43を通じて大気開放管44から大気に放散されることで、溶液Lが大気と接触して劣化するのを防止している。
【0056】
貯蔵タンク32の溶液Lを溶液タンク31に供給する場合には、第4の開閉制御弁43を閉じ、第6の開閉弁48を開放することで、多量の不活性ガスを貯蔵タンク32に供給する。それによって、貯蔵タンク32内の溶液が加圧されるから、供給分岐管34を通じて溶液タンク31に流入することになる。このとき、溶液タンク31の圧力を大気圧とするため、溶液を基板Wに塗付するときのヘッド7との水頭差を一定にすることができる。
【0057】
溶液Lを溶液タンク31に補充した後、第5の開閉制御弁45を閉じてから第4の開閉制御弁43を開放すれば、貯蔵タンク32内の圧力が急激に低下し、このタンク32内の気体が液化しても、その液化ガスがフィルタ47に流れるのが阻止されるから、フィルタ47が目詰まりするのを防止できる。
【0058】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、基板に溶液を塗布するときには溶液タンク内を大気に連通させるとともに、溶液タンクへの不活性ガスの供給を遮断するようにした。
【0059】
そのため、溶液をノズルからインクジェット方式で噴射させる際、溶液タンク内の溶液が不活性ガスによって加圧されて圧力変動することがないから、ノズルから噴射される溶液の量を一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係る溶液の塗布装置の概略的構成を示す側面図。
【図2】溶液の供給管路を省略した塗布装置の正面図。
【図3】ノズルヘッドの断面図。
【図4】ノズルヘッドの下面図。
【符号の説明】
7…ヘッド
14…ノズル
31…溶液タンク
35…大気開放管
36…第1の開閉制御弁
37…第2の開閉制御弁
38…ガス供給管
40…第3の開閉制御弁(ガス流量制御手段)
41…流量絞り弁(ガス流量制御手段)
Claims (4)
- 基板に溶液を噴射塗布する塗布装置において、
上記溶液をインクジェット方式によって噴射するノズルを有するヘッドと、
上記溶液を貯えた溶液タンクと、
この溶液タンクの溶液を上記ヘッドに供給するための溶液供給管と、
上記溶液タンクに接続されこの溶液タンク内に不活性ガスを供給するガス供給管と、
第1の開閉制御弁を有するとともに上記溶液タンクに接続され上記第1の開閉制御弁を開放することで上記溶液タンク内を大気に連通させる大気開放管と、
上記ガス供給管に設けられ上記溶液タンクに供給される不活性ガスの流量を制御するガス流量制御手段と、
上記ガス供給管の上記ガス流量制御手段よりも下流側に設けられ上記第1の開閉制御弁を開いた状態で上記溶液タンク内に不活性ガスを流通させるときには開かれ上記ノズルから溶液を基板に噴射させるときには閉じられる第2の開閉制御弁と
を具備したことを特徴とする溶液の塗布装置。 - 上記ガス供給管には、上記ガス流量制御手段と上記第2の開閉制御弁との間に不活性ガスを浄化するフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1記載の溶液の塗布装置。
- 上記ガス流量制御手段は、第3の開閉制御弁と、この第3の開閉制御弁と並列に設けられ上記不活性ガスを上記第3の開閉制御弁を流れる流量よりも少ない流量に制御する流量絞り弁とを備えていることを特徴とする請求項1記載の溶液の塗布装置。
- 溶液タンク内の溶液をインクジェット方式によってヘッドのノズルから噴射して基板に塗布する溶液の塗布方法において、
上記溶液タンク内に不活性ガスを供給しこの溶液タンク内の溶液が大気に接触するのを阻止する工程と、
上記溶液を上記ノズルから上記基板に噴射するときと溶液タンクへ溶液を補給するときに、上記溶液タンクへの不活性ガスの供給を停止して上記溶液タンクを大気圧にする工程と
を具備したことを特徴とする溶液の塗布方法。
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Cited By (2)
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WO2008149652A1 (ja) * | 2007-06-06 | 2008-12-11 | Konica Minolta Opto, Inc. | 塗布装置 |
CN106179871A (zh) * | 2014-09-26 | 2016-12-07 | 斯克林集团公司 | 涂布装置及清洗方法 |
-
2003
- 2003-01-21 JP JP2003012168A patent/JP2004223356A/ja active Pending
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