JP2004222470A - エネルギー管理システム及びエネルギー管理用サーバ - Google Patents
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Abstract
【課題】通信ネットワーク6に接続された分散化電源の全体的なエネルギー変換効率を向上させるエネルギー管理システムを提供する。
【解決手段】通信ネットワーク6に接続された分散化電源(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22を1つの電力系統とみなし、この電力系統内における分散化電源(GS1,GS2,・・・,GSn)の全体的なエネルギー変換効率が最大となるような発電負荷配分で各発電電力量を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】通信ネットワーク6に接続された分散化電源(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22を1つの電力系統とみなし、この電力系統内における分散化電源(GS1,GS2,・・・,GSn)の全体的なエネルギー変換効率が最大となるような発電負荷配分で各発電電力量を制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力会社の電力系統内に散在する分散化電源を通信ネットワークを介して接続し、これらの分散化電源を1つの電力系統とみなして、分散化電源を管理するエネルギー管理システム及びエネルギー管理用サーバに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、規制緩和、発電事業の競争促進などの観点から、電力についても自由化の流れが出てきており、この流れに沿ってマイクロガスタービン等の分散化電源から得られた電力を各需要家に供給する際に必要な送電設備、受変電設備などの設備コストを下げるため種々の提案がなされている。
【0003】
その一例として、例えば特開2002−281666号公報には、電力融通システム内のビル等に設置された分散化電源の管理コンピュータ、発電エリアのパソコン装置、管理会社のWebサーバ装置及び監視制御用計算機を通信網とインターネットで接続することにより、発電地点と電力需要地点とを近づけさせて、送電設備や変電設備などを不要にさせるようなシステムが提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−281666号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、発電地点と電力需要地点とを近づけさせるだけでは、送電コストや変電コストが削減できその分の効率化は実現できるものの、各発電機は各々独自の判断で運転されるため、部分負荷運転など効率の悪い状態での運転が避けられず、電力系統全体としてみた場合、エネルギー変換効率の向上の余地があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、電力会社の電力系統内に散在する分散化電源を通信ネットワークを介して接続し、通信ネットワークに接続された分散化電源を1つの電力系統とみなして、当該電力系統内における分散化電源の全体的なエネルギー変換効率が最大となるような発電負荷配分で分散化電源の各発電電力量を制御することで、電力系統全体としてエネルギーの変換効率を向上させることの出来るエネルギー管理システム及びエネルギー管理用サーバの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエネルギー管理システムは、電力会社の電力系統内に散在する分散化電源及び需要家とエネルギー管理用サーバとを通信ネットワークを介して接続し、前記分散化電源の各発電電力を管理するエネルギー管理システムであって、前記エネルギー管理用サーバは、前記通信ネットワークに接続された分散化電源の各発電電力を計測し制御する発電電力計測手段及び発電電力制御手段と、前記通信ネットワークに接続された分散化電源及び需要家を1つの電力系統とみなしたとき、当該電力系統内における分散化電源の全体的な効率が最大となるような発電負荷配分で前記分散化電源の各発電電力を制御する最適発電負荷配分制御手段と、を有することを特徴とする特徴とする。
【0008】
このように、本発明に係るエネルギー管理システムによれば、通信ネットワークに接続された分散化電源及び需要家を1つの電力系統とみなし、この電力系統内における分散化電源の全体的なエネルギー変換効率が最大となるような発電負荷配分で前記分散化電源の各発電電力量を制御するので、電力系統全体としてエネルギーの変換効率を向上させることが出来る。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るエネルギー管理システムの一実施の形態について図1及び図2を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明に係るエネルギー管理システムの本実施の形態における構成図である。また図2は、電力会社の電力系統における分散化電源の配置を模式的に示した図である。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態におけるエネルギー管理システムは、エネルギー管理システムの統括者と契約関係にある分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電量を監視・制御するエネルギー管理用サーバ1、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)と需要者22とでなる仮想電力系統2、仮想電力系統2と接続される電力会社の電力系統3、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に発電用燃料を供給する燃料会社4、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)のメンテナンスを行うメンテナンス会社5、及び、エネルギー管理用サーバ1と分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)と電力会社の電力系統3を統括するコンピュータと燃料会社4のコンピュータとメンテナンス会社5のコンピュータとを結ぶ通信ネットワーク6により構成される。
【0012】
ここで、仮想電力系統2とは、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22とを通信ネットワーク6で結び、エネルギー管理用サーバ1が通信ネットワーク6を介して各々の発電量、及び電力消費量等のデータを収集し処理することで、これらの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22があたかも1つの電力母線で相互に接続され、その上で電力会社の電力系統と一箇所で連係されているかのように取り扱うことが出来るようにした仮想的な電力系統をいう。
【0013】
つまり、電力会社の電力系統には図2に示すように、電力会社が所有する発電所と、本実施の形態におけるエネルギー管理システムと契約関係がない分散化電源設備〔これらを電力会社の発電所等(GP1,GP2,・・・GPm)と称する〕と、エネルギー管理システムの統括者との間で、エネルギー管理用サーバ1の管理に服すとの契約関係にある分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)とが混在している。
【0014】
さらに、図示されてはいないが、電力会社の電力系統には、本実施の形態におけるエネルギー管理システムの統括者と契約関係にない需要家と、エネルギー管理システムの統括者との間で分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)から電源供給を受けるとの契約関係にある需要家22とが接続されている。
【0015】
かかる電力会社の電力系統において、エネルギー管理システムの統括者と契約関係にある分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22は、1つの敷地あるいは建物内に密集しているわけではなく、電力会社の電力会社の発電所等(GP1,GP2,・・・GPm)の間に紛れて散在している。したがって、これらの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22間を独立した電力母線で接続し、その上で電力会社の電力系統と連係することは現実的ではない。
【0016】
そこで、各々の場所で個別に電力会社の電力系統と接続されたこれらの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22を通信ネットワーク6で接続し、通信ネットワーク6を介して各々の発電量、及び電力消費量等のデータを一箇所に集中させ、このデータに基づき電力会社と電力の需給契約を結べば、電力会社との関係においてこれら分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22をまとめて1つの電源あるいは電力消費源と見なす取り扱いが可能となる。
【0017】
すなわち、実際には電力会社の電力系統内に散在し、各々の場所で電力系統と個別に接続されたこれらの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22が、あたかも1つの敷地内に密接して設置され、相互に1つの独立した電力母線で接続され、その上で電力会社の電力系統3と一箇所で連係されているかのように取り扱うことが出来る。
【0018】
このような取り扱いを可能とした仮想的な電力系統を、ここで仮想電力系統2と呼ぶこととしたものである。
【0019】
なお、ここでの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)は、ガスエンジン、マイクロガスタービンなど発電のため燃料を使用しかつ一定のメンテナンスの必要な発電設備をいい、太陽光発電や風力発電等燃料を必要としない発電設備は含まないものとする。
【0020】
エネルギー管理用サーバ1は、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に通信ネットワーク6を介して指令を出し、通信ネットワーク6に接続された分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22を1つの電力系統とみなし、この電力系統内における分散化電源の全体的なエネルギー変換効率が最大となるような発電負荷配分で分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の各発電電力量を制御する。
【0021】
また、通信ネットワーク6に接続された分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)はエネルギー管理用サーバ1の管理に服すとの契約をエネルギー管理システムの統括者との間で結んでいる。同様に、需要家22は分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)から電源供給を受けるとの契約をエネルギー管理システムの統括者との間で結んでいる。
【0022】
さらに、仮想電力系統2は、電力会社の電力系統3内に組み込まれているので、電力会社からの指令に従う必要がある。かかる指令は、電力会社の電力系統3を統括するコンピュータから通信ネットワーク6を介してエネルギー管理用サーバ1に送信される。エネルギー管理用サーバ1は、かかる指令に従い、電力会社の電力系統3が許容する範囲内で、仮想電力系統2から電力会社の電力系統3へ電力を供給したり、電力会社の電力系統3から電力の供給を受けるよう、通信ネットワーク6を介して分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に電力の増減指令を与える。
【0023】
また、燃料会社4のコンピュータからは、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に供給した燃料量が、メンテナンス会社5のコンピュータからは各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)におけるメンテナンスに掛かった費用が通信ネットワーク6を介してエネルギー管理用サーバ1に送信される。エネルギー管理用サーバ1はこれらの燃料費及びメンテナンス費用を燃料会社4及びメンテナンス会社5に対して通信ネットワーク6を介して一括して決済する。
【0024】
エネルギー管理用サーバ1は、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に供給した燃料量、メンテナンスに要した費用、及び発電実績から、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電単価を算定することができる。算定された発電単価は、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の所有者に通知される。
【0025】
次に、本実施の形態におけるエネルギー管理システムの運用について説明する。
【0026】
前述の通り、エネルギー管理用サーバ1は仮想電力系統2を電力会社の電力系統3との関係においては、あたかも1つの電力源あるいは電力消費源として扱い、仮想電力系統2の内部においては、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に対する給電司令所としての働きをする。
【0027】
したがって、仮想電力系統2が電力会社の電力系統3に対して売買電したことによる電力料金の決済はエネルギー管理システムの統括者と電力会社との間で一括して決済される。一方、個々の分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)から仮想電力系統2に供給された電力、あるいは需要家22にて消費された電力に対する料金の精算は、個別にそれぞれの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の所有者及び需要家22とエネルギー管理システムの統括者との間で行われる。
【0028】
仮想電力系統2から電力会社に売買電するときの売電単価及び買電単価は電力会社との間であらかじめ定めておく。また、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)から仮想電力系統2へ電力を供給するときの売電単価は、エネルギー管理用サーバ1が燃料消費量やメンテナンス費用からそれぞれ算定した発電単価に基づき各々個別に定め、あらかじめエネルギー管理用サーバ1に登録しておく。さらに、仮想電力系統2における需要家22が消費する電力の単価は各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電単価や電力会社の電力料金等を総合的に考慮して一律に定めておく。
【0029】
一般的には、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)から仮想電力系統2へ電力を供給する場合において、相対的にエネルギー変換効率が高い設備を持つ分散化電源からの売電単価は安く、エネルギー変換効率が低い設備を持つ分散化電源からの売電単価は高くなる。とはいうものの、分散化電源からの売電単価は電力会社からの買電単価より高くなることはない。さらに、需要家22が消費する電力の単価も電力会社からの買電単価より安く定めるられる。
【0030】
マイクロガスタービンなどの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)は、廃熱も利用するので、総合的なエネルギー変換効率は電力会社の発電所のエネルギー変換効率よりも高く、したがって、発電単価も電力会社の発電所の発電単価より理論的に安くなるからである。
【0031】
続いて、仮想電力系統2の内部で消費する電力が分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電能力の総計を上回る場合と、仮想電力系統2の内部で消費する電力が分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電能力の総計より小さく、発電した電力の一部を電力会社の電力系統3に売電する場合とに分けてエネルギー管理用サーバ1の各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に対する制御動作について説明する。
【0032】
なお、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)が発電した電力の一部を電力会社の電力系統3に売電する場合は、さらに、電力会社側から売電電力に対する制限がある場合とない場合とに場合分けできる。
【0033】
(1)仮想電力系統2の内部で消費する電力が分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電能力の総計を上回る場合
この場合は、エネルギー管理用サーバ1は、通信ネットワーク6を介して全ての分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)が最大出力になるよう制御する。ただし、各設備の個別具体的な事情で、例えば廃熱の利用形態との関係で、発電設備の廃熱を十分利用することが出来ず系外に熱を捨てなければならない場合など、ある発電出力以上になるとエネルギー変換効率が下がり、かえって売電単価が高くなる場合等は、その設備に対しては、電力会社からの買電単価以上にならない程度の発電出力になるよう制御する。さらに、電力会社と安価な夜間電力料金の設定をしている場合は、夜間電力料金に対しても、コスト的に見合う設備に対してのみ発電指令を出す。
【0034】
(2)発電した電力の一部を電力会社の電力系統3に売電する場合
この場合において、電力会社側から売電電力に対する制限がない場合は、エネルギー管理用サーバ1は、通信ネットワーク6を介して全ての分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)が最大出力になるよう制御する。ただし、各設備の個別具体的な事情で、ある発電出力以上になるとかえって売電単価が高くなる場合等は、その設備に対しては、売電単価が安く維持できる最大発電出力、言い換えれば最もエネルギー変換効率の高い運転が出来る出力、になるよう制御する。さらに、電力会社と安価な夜間電力料金の設定をしている場合は、夜間電力料金に対しても、コスト的に見合う設備に対してのみ発電指令を出す。この場合は、結果的に電力会社から買電することとなってもかまわない。
【0035】
一方、仮想電力系統2から電力会社への売電電力に対して制限がある場合は、電力会社からの給電指令に従うことになる。電力会社からの給電指令に従い、仮想電力系統2から電力会社への売電電力を増加する場合は、仮想電力系統2に対する売電単価の安い順に分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の出力を増加する。例えば分散化電源設備GS1が最も売電単価が安く、その次に安いのが分散化電源設備GS2、続いて分散化電源設備GS3、さらにGS4,GS5,・・・,GSnと続くときは、まず分散化電源設備GS1の出力を100%迄増加させ、続いて分散化電源設備GS2を出力を100%迄増加させ、次いでGS3、さらにGS4,GS5,・・・というように増加させてゆく。
【0036】
電力会社からの給電指令に従って、仮想電力系統2から電力会社への売電電力を減少させる場合は、逆に、仮想電力系統2に対する売電単価の高い順に分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の出力を減少させる。
【0037】
上述のように仮想電力系統2に対する売電単価の安い順に発電出力を増加させ、売電単価の高い順に発電出力を減少させるような運転を行うことにより、仮想電力系統2を1つの発電設備と見たとき、最小の発電コストで要求された電力を電力会社の電力系統に売電することが出来る。
【0038】
さらに、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の仮想電力系統2に対する売電単価は、エネルギー変換効率とリンクしているので、このような運転を行うことにより、仮想電力系統2内の分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)を全体的な観点で見たとき、与えられた条件の下で最もエネルギー変換効率の高い発電負荷配分で運転されることとなる。
【0039】
仮想電力系統2と電力会社の電力系統3との間で授受された電力についての料金精算はエネルギー管理用サーバ1と電力会社の電力系統3を統括するコンピュータとの間で、通信ネットワーク6を介して一括して電子的に精算される。
【0040】
このように、エネルギー管理用サーバ1が一括して電力会社との料金精算を行うので、電力会社にとって各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の所有者や需要家22と個別に精算を行う必要がなく省力化が図れる。
【0041】
また、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)で消費された燃料費及びメンテナンスに掛かった費用は、エネルギー管理用サーバ1と燃料会社4のコンピュータ及びメンテナンス会社5のコンピュータとの間で、通信ネットワーク6を介して一括して電子的に精算される。
【0042】
したがって、燃料会社4やメンテナンス会社5にとって各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の所有者と個別に料金精算を行う必要がなく省力化が図れる。また、燃料会社4やメンテナンス会社5と一括して価格交渉が可能となるので、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)が個別に価格交渉を行った場合に比べて安価に燃料等の入手が可能となり、発電単価の引き下げにつながる。
【0043】
このように、本実施の形態におけるエネルギー管理システムによれば、通信ネットワーク6に接続された分散化電源(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22を1つの電力系統とみなし、この電力系統内における分散化電源(GS1,GS2,・・・,GSn)の全体的なエネルギー変換効率が最大となるような発電負荷配分で各発電電力量を制御するので、電力系統全体としてエネルギーの変換効率を向上させることが出来る。
【0044】
また、エネルギー管理用サーバ1は、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に供給した燃料の費用、メンテナンス費用及び運転実績から各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電単価を算定し各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の所有者に通知するので、所有者は通知された発電単価を設備運用の指標とすることが出来る。
【0045】
さらに、エネルギー管理用サーバ1は、電力会社、燃料会社4及びメンテナンス会社5と一括して料金精算を行うので、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の所有者、電力会社、燃料会社4及びメンテナンス会社5のいずれにとっても、省力化のメリットがでる。また、一括ネゴによるコストダウンも期待できる。
【0046】
なお、本実施の形態において、仮想電力系統2には需要家22も含まれることとしたが、需要家22を含まず分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)だけで仮想電力系統2を構成するような実施の形態も可能である。
【0047】
【発明の効果】
上記のように、本発明に係るエネルギー管理システム及びエネルギー管理用サーバによれば、電力会社の電力系統内に散在する分散化電源を通信ネットワークを介して接続し、通信ネットワークに接続された分散化電源を1つの電力系統とみなして、当該電力系統内における分散化電源の全体的なエネルギー変換効率が最大となるような発電負荷配分で分散化電源の各発電電力量を制御するので、電力系統全体としてエネルギーの変換効率を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエネルギー管理システムの一実施の形態における構成図である。
【図2】電力会社の電力系統における分散化電源の配置を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1 エネルギー管理用サーバ
2 仮想電力系統
3 電力会社の電力系統
4 燃料会社
5 メンテナンス会社
6 通信ネットワーク
22 需要家
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力会社の電力系統内に散在する分散化電源を通信ネットワークを介して接続し、これらの分散化電源を1つの電力系統とみなして、分散化電源を管理するエネルギー管理システム及びエネルギー管理用サーバに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、規制緩和、発電事業の競争促進などの観点から、電力についても自由化の流れが出てきており、この流れに沿ってマイクロガスタービン等の分散化電源から得られた電力を各需要家に供給する際に必要な送電設備、受変電設備などの設備コストを下げるため種々の提案がなされている。
【0003】
その一例として、例えば特開2002−281666号公報には、電力融通システム内のビル等に設置された分散化電源の管理コンピュータ、発電エリアのパソコン装置、管理会社のWebサーバ装置及び監視制御用計算機を通信網とインターネットで接続することにより、発電地点と電力需要地点とを近づけさせて、送電設備や変電設備などを不要にさせるようなシステムが提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−281666号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、発電地点と電力需要地点とを近づけさせるだけでは、送電コストや変電コストが削減できその分の効率化は実現できるものの、各発電機は各々独自の判断で運転されるため、部分負荷運転など効率の悪い状態での運転が避けられず、電力系統全体としてみた場合、エネルギー変換効率の向上の余地があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、電力会社の電力系統内に散在する分散化電源を通信ネットワークを介して接続し、通信ネットワークに接続された分散化電源を1つの電力系統とみなして、当該電力系統内における分散化電源の全体的なエネルギー変換効率が最大となるような発電負荷配分で分散化電源の各発電電力量を制御することで、電力系統全体としてエネルギーの変換効率を向上させることの出来るエネルギー管理システム及びエネルギー管理用サーバの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエネルギー管理システムは、電力会社の電力系統内に散在する分散化電源及び需要家とエネルギー管理用サーバとを通信ネットワークを介して接続し、前記分散化電源の各発電電力を管理するエネルギー管理システムであって、前記エネルギー管理用サーバは、前記通信ネットワークに接続された分散化電源の各発電電力を計測し制御する発電電力計測手段及び発電電力制御手段と、前記通信ネットワークに接続された分散化電源及び需要家を1つの電力系統とみなしたとき、当該電力系統内における分散化電源の全体的な効率が最大となるような発電負荷配分で前記分散化電源の各発電電力を制御する最適発電負荷配分制御手段と、を有することを特徴とする特徴とする。
【0008】
このように、本発明に係るエネルギー管理システムによれば、通信ネットワークに接続された分散化電源及び需要家を1つの電力系統とみなし、この電力系統内における分散化電源の全体的なエネルギー変換効率が最大となるような発電負荷配分で前記分散化電源の各発電電力量を制御するので、電力系統全体としてエネルギーの変換効率を向上させることが出来る。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るエネルギー管理システムの一実施の形態について図1及び図2を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明に係るエネルギー管理システムの本実施の形態における構成図である。また図2は、電力会社の電力系統における分散化電源の配置を模式的に示した図である。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態におけるエネルギー管理システムは、エネルギー管理システムの統括者と契約関係にある分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電量を監視・制御するエネルギー管理用サーバ1、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)と需要者22とでなる仮想電力系統2、仮想電力系統2と接続される電力会社の電力系統3、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に発電用燃料を供給する燃料会社4、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)のメンテナンスを行うメンテナンス会社5、及び、エネルギー管理用サーバ1と分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)と電力会社の電力系統3を統括するコンピュータと燃料会社4のコンピュータとメンテナンス会社5のコンピュータとを結ぶ通信ネットワーク6により構成される。
【0012】
ここで、仮想電力系統2とは、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22とを通信ネットワーク6で結び、エネルギー管理用サーバ1が通信ネットワーク6を介して各々の発電量、及び電力消費量等のデータを収集し処理することで、これらの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22があたかも1つの電力母線で相互に接続され、その上で電力会社の電力系統と一箇所で連係されているかのように取り扱うことが出来るようにした仮想的な電力系統をいう。
【0013】
つまり、電力会社の電力系統には図2に示すように、電力会社が所有する発電所と、本実施の形態におけるエネルギー管理システムと契約関係がない分散化電源設備〔これらを電力会社の発電所等(GP1,GP2,・・・GPm)と称する〕と、エネルギー管理システムの統括者との間で、エネルギー管理用サーバ1の管理に服すとの契約関係にある分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)とが混在している。
【0014】
さらに、図示されてはいないが、電力会社の電力系統には、本実施の形態におけるエネルギー管理システムの統括者と契約関係にない需要家と、エネルギー管理システムの統括者との間で分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)から電源供給を受けるとの契約関係にある需要家22とが接続されている。
【0015】
かかる電力会社の電力系統において、エネルギー管理システムの統括者と契約関係にある分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22は、1つの敷地あるいは建物内に密集しているわけではなく、電力会社の電力会社の発電所等(GP1,GP2,・・・GPm)の間に紛れて散在している。したがって、これらの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22間を独立した電力母線で接続し、その上で電力会社の電力系統と連係することは現実的ではない。
【0016】
そこで、各々の場所で個別に電力会社の電力系統と接続されたこれらの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22を通信ネットワーク6で接続し、通信ネットワーク6を介して各々の発電量、及び電力消費量等のデータを一箇所に集中させ、このデータに基づき電力会社と電力の需給契約を結べば、電力会社との関係においてこれら分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22をまとめて1つの電源あるいは電力消費源と見なす取り扱いが可能となる。
【0017】
すなわち、実際には電力会社の電力系統内に散在し、各々の場所で電力系統と個別に接続されたこれらの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22が、あたかも1つの敷地内に密接して設置され、相互に1つの独立した電力母線で接続され、その上で電力会社の電力系統3と一箇所で連係されているかのように取り扱うことが出来る。
【0018】
このような取り扱いを可能とした仮想的な電力系統を、ここで仮想電力系統2と呼ぶこととしたものである。
【0019】
なお、ここでの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)は、ガスエンジン、マイクロガスタービンなど発電のため燃料を使用しかつ一定のメンテナンスの必要な発電設備をいい、太陽光発電や風力発電等燃料を必要としない発電設備は含まないものとする。
【0020】
エネルギー管理用サーバ1は、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に通信ネットワーク6を介して指令を出し、通信ネットワーク6に接続された分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22を1つの電力系統とみなし、この電力系統内における分散化電源の全体的なエネルギー変換効率が最大となるような発電負荷配分で分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の各発電電力量を制御する。
【0021】
また、通信ネットワーク6に接続された分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)はエネルギー管理用サーバ1の管理に服すとの契約をエネルギー管理システムの統括者との間で結んでいる。同様に、需要家22は分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)から電源供給を受けるとの契約をエネルギー管理システムの統括者との間で結んでいる。
【0022】
さらに、仮想電力系統2は、電力会社の電力系統3内に組み込まれているので、電力会社からの指令に従う必要がある。かかる指令は、電力会社の電力系統3を統括するコンピュータから通信ネットワーク6を介してエネルギー管理用サーバ1に送信される。エネルギー管理用サーバ1は、かかる指令に従い、電力会社の電力系統3が許容する範囲内で、仮想電力系統2から電力会社の電力系統3へ電力を供給したり、電力会社の電力系統3から電力の供給を受けるよう、通信ネットワーク6を介して分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に電力の増減指令を与える。
【0023】
また、燃料会社4のコンピュータからは、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に供給した燃料量が、メンテナンス会社5のコンピュータからは各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)におけるメンテナンスに掛かった費用が通信ネットワーク6を介してエネルギー管理用サーバ1に送信される。エネルギー管理用サーバ1はこれらの燃料費及びメンテナンス費用を燃料会社4及びメンテナンス会社5に対して通信ネットワーク6を介して一括して決済する。
【0024】
エネルギー管理用サーバ1は、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に供給した燃料量、メンテナンスに要した費用、及び発電実績から、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電単価を算定することができる。算定された発電単価は、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の所有者に通知される。
【0025】
次に、本実施の形態におけるエネルギー管理システムの運用について説明する。
【0026】
前述の通り、エネルギー管理用サーバ1は仮想電力系統2を電力会社の電力系統3との関係においては、あたかも1つの電力源あるいは電力消費源として扱い、仮想電力系統2の内部においては、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に対する給電司令所としての働きをする。
【0027】
したがって、仮想電力系統2が電力会社の電力系統3に対して売買電したことによる電力料金の決済はエネルギー管理システムの統括者と電力会社との間で一括して決済される。一方、個々の分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)から仮想電力系統2に供給された電力、あるいは需要家22にて消費された電力に対する料金の精算は、個別にそれぞれの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の所有者及び需要家22とエネルギー管理システムの統括者との間で行われる。
【0028】
仮想電力系統2から電力会社に売買電するときの売電単価及び買電単価は電力会社との間であらかじめ定めておく。また、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)から仮想電力系統2へ電力を供給するときの売電単価は、エネルギー管理用サーバ1が燃料消費量やメンテナンス費用からそれぞれ算定した発電単価に基づき各々個別に定め、あらかじめエネルギー管理用サーバ1に登録しておく。さらに、仮想電力系統2における需要家22が消費する電力の単価は各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電単価や電力会社の電力料金等を総合的に考慮して一律に定めておく。
【0029】
一般的には、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)から仮想電力系統2へ電力を供給する場合において、相対的にエネルギー変換効率が高い設備を持つ分散化電源からの売電単価は安く、エネルギー変換効率が低い設備を持つ分散化電源からの売電単価は高くなる。とはいうものの、分散化電源からの売電単価は電力会社からの買電単価より高くなることはない。さらに、需要家22が消費する電力の単価も電力会社からの買電単価より安く定めるられる。
【0030】
マイクロガスタービンなどの分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)は、廃熱も利用するので、総合的なエネルギー変換効率は電力会社の発電所のエネルギー変換効率よりも高く、したがって、発電単価も電力会社の発電所の発電単価より理論的に安くなるからである。
【0031】
続いて、仮想電力系統2の内部で消費する電力が分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電能力の総計を上回る場合と、仮想電力系統2の内部で消費する電力が分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電能力の総計より小さく、発電した電力の一部を電力会社の電力系統3に売電する場合とに分けてエネルギー管理用サーバ1の各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に対する制御動作について説明する。
【0032】
なお、分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)が発電した電力の一部を電力会社の電力系統3に売電する場合は、さらに、電力会社側から売電電力に対する制限がある場合とない場合とに場合分けできる。
【0033】
(1)仮想電力系統2の内部で消費する電力が分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電能力の総計を上回る場合
この場合は、エネルギー管理用サーバ1は、通信ネットワーク6を介して全ての分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)が最大出力になるよう制御する。ただし、各設備の個別具体的な事情で、例えば廃熱の利用形態との関係で、発電設備の廃熱を十分利用することが出来ず系外に熱を捨てなければならない場合など、ある発電出力以上になるとエネルギー変換効率が下がり、かえって売電単価が高くなる場合等は、その設備に対しては、電力会社からの買電単価以上にならない程度の発電出力になるよう制御する。さらに、電力会社と安価な夜間電力料金の設定をしている場合は、夜間電力料金に対しても、コスト的に見合う設備に対してのみ発電指令を出す。
【0034】
(2)発電した電力の一部を電力会社の電力系統3に売電する場合
この場合において、電力会社側から売電電力に対する制限がない場合は、エネルギー管理用サーバ1は、通信ネットワーク6を介して全ての分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)が最大出力になるよう制御する。ただし、各設備の個別具体的な事情で、ある発電出力以上になるとかえって売電単価が高くなる場合等は、その設備に対しては、売電単価が安く維持できる最大発電出力、言い換えれば最もエネルギー変換効率の高い運転が出来る出力、になるよう制御する。さらに、電力会社と安価な夜間電力料金の設定をしている場合は、夜間電力料金に対しても、コスト的に見合う設備に対してのみ発電指令を出す。この場合は、結果的に電力会社から買電することとなってもかまわない。
【0035】
一方、仮想電力系統2から電力会社への売電電力に対して制限がある場合は、電力会社からの給電指令に従うことになる。電力会社からの給電指令に従い、仮想電力系統2から電力会社への売電電力を増加する場合は、仮想電力系統2に対する売電単価の安い順に分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の出力を増加する。例えば分散化電源設備GS1が最も売電単価が安く、その次に安いのが分散化電源設備GS2、続いて分散化電源設備GS3、さらにGS4,GS5,・・・,GSnと続くときは、まず分散化電源設備GS1の出力を100%迄増加させ、続いて分散化電源設備GS2を出力を100%迄増加させ、次いでGS3、さらにGS4,GS5,・・・というように増加させてゆく。
【0036】
電力会社からの給電指令に従って、仮想電力系統2から電力会社への売電電力を減少させる場合は、逆に、仮想電力系統2に対する売電単価の高い順に分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の出力を減少させる。
【0037】
上述のように仮想電力系統2に対する売電単価の安い順に発電出力を増加させ、売電単価の高い順に発電出力を減少させるような運転を行うことにより、仮想電力系統2を1つの発電設備と見たとき、最小の発電コストで要求された電力を電力会社の電力系統に売電することが出来る。
【0038】
さらに、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の仮想電力系統2に対する売電単価は、エネルギー変換効率とリンクしているので、このような運転を行うことにより、仮想電力系統2内の分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)を全体的な観点で見たとき、与えられた条件の下で最もエネルギー変換効率の高い発電負荷配分で運転されることとなる。
【0039】
仮想電力系統2と電力会社の電力系統3との間で授受された電力についての料金精算はエネルギー管理用サーバ1と電力会社の電力系統3を統括するコンピュータとの間で、通信ネットワーク6を介して一括して電子的に精算される。
【0040】
このように、エネルギー管理用サーバ1が一括して電力会社との料金精算を行うので、電力会社にとって各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の所有者や需要家22と個別に精算を行う必要がなく省力化が図れる。
【0041】
また、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)で消費された燃料費及びメンテナンスに掛かった費用は、エネルギー管理用サーバ1と燃料会社4のコンピュータ及びメンテナンス会社5のコンピュータとの間で、通信ネットワーク6を介して一括して電子的に精算される。
【0042】
したがって、燃料会社4やメンテナンス会社5にとって各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の所有者と個別に料金精算を行う必要がなく省力化が図れる。また、燃料会社4やメンテナンス会社5と一括して価格交渉が可能となるので、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)が個別に価格交渉を行った場合に比べて安価に燃料等の入手が可能となり、発電単価の引き下げにつながる。
【0043】
このように、本実施の形態におけるエネルギー管理システムによれば、通信ネットワーク6に接続された分散化電源(GS1,GS2,・・・,GSn)及び需要家22を1つの電力系統とみなし、この電力系統内における分散化電源(GS1,GS2,・・・,GSn)の全体的なエネルギー変換効率が最大となるような発電負荷配分で各発電電力量を制御するので、電力系統全体としてエネルギーの変換効率を向上させることが出来る。
【0044】
また、エネルギー管理用サーバ1は、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)に供給した燃料の費用、メンテナンス費用及び運転実績から各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の発電単価を算定し各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の所有者に通知するので、所有者は通知された発電単価を設備運用の指標とすることが出来る。
【0045】
さらに、エネルギー管理用サーバ1は、電力会社、燃料会社4及びメンテナンス会社5と一括して料金精算を行うので、各分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)の所有者、電力会社、燃料会社4及びメンテナンス会社5のいずれにとっても、省力化のメリットがでる。また、一括ネゴによるコストダウンも期待できる。
【0046】
なお、本実施の形態において、仮想電力系統2には需要家22も含まれることとしたが、需要家22を含まず分散化電源設備(GS1,GS2,・・・,GSn)だけで仮想電力系統2を構成するような実施の形態も可能である。
【0047】
【発明の効果】
上記のように、本発明に係るエネルギー管理システム及びエネルギー管理用サーバによれば、電力会社の電力系統内に散在する分散化電源を通信ネットワークを介して接続し、通信ネットワークに接続された分散化電源を1つの電力系統とみなして、当該電力系統内における分散化電源の全体的なエネルギー変換効率が最大となるような発電負荷配分で分散化電源の各発電電力量を制御するので、電力系統全体としてエネルギーの変換効率を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエネルギー管理システムの一実施の形態における構成図である。
【図2】電力会社の電力系統における分散化電源の配置を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1 エネルギー管理用サーバ
2 仮想電力系統
3 電力会社の電力系統
4 燃料会社
5 メンテナンス会社
6 通信ネットワーク
22 需要家
Claims (8)
- 電力会社の電力系統内に散在する分散化電源及び需要家とエネルギー管理用サーバとを通信ネットワークを介して接続し、前記分散化電源の各発電電力を管理するエネルギー管理システムであって、
前記エネルギー管理用サーバは、
前記通信ネットワークに接続された分散化電源の各発電電力を計測し制御する発電電力計測手段及び発電電力制御手段と、
前記通信ネットワークに接続された分散化電源及び需要家を1つの電力系統とみなしたとき、当該電力系統内における分散化電源の全体的な効率が最大となるような発電負荷配分で前記分散化電源の各発電電力を制御する最適発電負荷配分制御手段と、
を有することを特徴とするエネルギー管理システム。 - 前記最適発電負荷配分制御手段は、前記通信ネットワークに接続された分散化電源及び需要家を1つの電力系統とみなしたとき、前記分散化電源の各々が当該電力系統に対する売電単価を安く維持できる最大出力で発電するよう各分散化電源の発電電力を制御することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
- 前記最適発電負荷配分制御手段は、前記通信ネットワークに接続された分散化電源及び需要家を1つの電力系統とみなしたとき、当該電力系統での発電量を電力会社の給電指令に従い増加させる場合は、当該電力系統に対する売電単価の安い分散化電源設備から順に出力を増加し、当該電力系統での発電量を電力会社の給電指令に従い減少させる場合は、当該電力系統に対する売電単価の高い分散化電源設備から順に出力を減少させることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
- 電力会社の電力系統内に散在する分散化電源及び需要家と前記分散化電源に燃料を供給する燃料会社のコンピュータと前記分散化電源のメンテナンスを行うメンテナンス会社のコンピュータとエネルギー管理用サーバとを通信ネットワークを介して接続し、前記分散化電源の各発電電力を管理するエネルギー管理システムであって、
前記エネルギー管理用サーバは、
前記通信ネットワークに接続された分散化電源における各発電電力を計測し制御する発電電力計測手段及び発電電力制御手段と、
前記通信ネットワークに接続された分散化電源及び需要家を1つの電力系統とみなしたとき、当該電力系統内における分散化電源の全体的な効率が最大となるような発電負荷配分で前記分散化電源の各発電電力を制御する最適発電負荷配分制御手段と、
前記通信ネットワークに接続された分散化電源における各発電電力と燃料消費量とメンテナンス費用との関係から、当該分散化電源における発電単価を求める発電単価算出手段と、
を有することを特徴とするエネルギー管理システム。 - 前記エネルギー管理用サーバは、
前記燃料会社及び前記メンテナンス会社と当該分散化電源を系統内に持つ電力会社に対し、通信ネットワークに接続された分散化電源を1つの電力系統とみなし、当該電力系統内全体で消費された燃料及びメンテナンスに対する料金及び当該電力系統内全体から前記電力会社に売買電された電力料金を一括して決済する手段を有することを特徴とする請求項4に記載のエネルギー管理システム。 - 電力会社の電力系統内に散在する分散化電源及び需要家と通信ネットワークを介して接続し、前記分散化電源の各発電電力を管理するエネルギー管理用サーバであって、
前記通信ネットワークに接続された分散化電源の各発電電力を計測し制御する発電電力計測手段及び発電電力制御手段と、
前記通信ネットワークに接続された分散化電源及び需要家を1つの電力系統とみなしたとき、当該電力系統内における分散化電源の全体的な効率が最大となるような発電負荷配分で前記分散化電源の各発電電力を制御する最適発電負荷配分制御手段と、
を有することを特徴とするエネルギー管理用サーバ。 - 前記最適発電負荷配分制御手段は、前記通信ネットワークに接続された分散化電源及び需要家を1つの電力系統とみなしたとき、前記分散化電源の各々が当該電力系統に対する売電単価を安く維持できる最大出力で発電するよう各分散化電源の発電電力を制御することを特徴とする請求項6に記載のエネルギー管理用サーバ。
- 前記最適発電負荷配分制御手段は、前記通信ネットワークに接続された分散化電源及び需要家を1つの電力系統とみなしたとき、当該電力系統での発電量を電力会社の給電指令に従い増加させる場合は、当該電力系統に対する売電単価の安い順に分散化電源設備の出力を増加し、減少させる場合は、当該電力系統に対する売電単価の高い順に分散化電源設備の出力を減少させることを特徴とする請求項6に記載のエネルギー管理用サーバ。
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WO2014033892A1 (ja) * | 2012-08-31 | 2014-03-06 | 株式会社日立製作所 | 電力融通ルート作成方法、並びに電力融通ルート作成装置 |
JP2014509177A (ja) * | 2011-02-02 | 2014-04-10 | コンサート インコーポレイテッド | 能動負荷管理の使用を通じて配分可能な運転用予備力エネルギーキャパシティを推定及び供給するシステム及び方法 |
JP2017127189A (ja) * | 2014-12-22 | 2017-07-20 | 京セラ株式会社 | 通信装置、外部装置及び通信方法 |
-
2003
- 2003-01-17 JP JP2003009711A patent/JP2004222470A/ja active Pending
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