JP2004221901A - インフレータブル支持アンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】膜面への重量負担増のない、大形でかつ軽量で展開型のアンテナを実現する。
【解決手段】リング状のインフレータブル構造をなす支持部11と、電波を反射する導電性を有し支持部11の中央に配置されてその周部がケーブル13を介して支持部11により展開張架される膜12とからなるインフレータブル構造物10と、リング状のインフレータブル構造をなす支持部21と、支持部21の中央に配置されてその周部がケーブルを介して支持部21により展開張架される膜22とからなるインフレータブル構造物20とを、互いに平行するよう連結部31で連結支持し、膜12,22が凹面形状となって膜12で電波反射面を形成するように、これら膜12,22の間をそれぞれの接続位置に応じた長さの接続ケーブル32で個別に張架接続する。
【選択図】 図1
【解決手段】リング状のインフレータブル構造をなす支持部11と、電波を反射する導電性を有し支持部11の中央に配置されてその周部がケーブル13を介して支持部11により展開張架される膜12とからなるインフレータブル構造物10と、リング状のインフレータブル構造をなす支持部21と、支持部21の中央に配置されてその周部がケーブルを介して支持部21により展開張架される膜22とからなるインフレータブル構造物20とを、互いに平行するよう連結部31で連結支持し、膜12,22が凹面形状となって膜12で電波反射面を形成するように、これら膜12,22の間をそれぞれの接続位置に応じた長さの接続ケーブル32で個別に張架接続する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インフレータブル支持アンテナに関し、特にインフレータブル構造により支持されて宇宙空間に配置されるインフレータブル支持アンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
宇宙空間に配置されるアンテナなどの支持・補強構造として、インフレータブル構造の研究・開発が進んでいる。
このインフレータブル構造とは、密閉された袋状構造物の内室に気体を充填して、その内圧でチューブやバルーンなどの所定形状の構造物を構成するものである。
チューブ形状のインフレータブル構造については、それ自体が支柱やトラス構造などのユニット部材となり、あるいは角環や円環状のリングチューブとしてその内側にアンテナ素子を実装した膜を展開する構造とすることができる(例えば、特許文献1など参照)。
【0003】
またリング状のインフレータブル構造については、一例として、図3に示すような、インフレータブル支持アンテナ5がある。
図3は従来のインフレータブル反射鏡アンテナを示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(a)におけるB−B線断面図を示している。
このインフレータブル支持アンテナ5は、放射素子、例えば穴状のスロット52が多数形成して導電処理を施した柔軟な円形の膜50と、その背側に配置された、グランド面として全面導電処理を施した柔軟な円形の膜60とから構成されている。
【0004】
そして、これら膜50,60の周部外側を囲うようにリング状のインフレータブル構造からなる支持部70を配置して、ケーブル51,61を介して膜50,60の周部と全周にわたって接続することにより、支持部70で膜50,60が展開張架されている。
これにより、全体として平面アンテナからなるインフレータブル支持アンテナ50を構成している。
【0005】
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【特許文献1】
特開2001−099395号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のインフレータブル支持アンテナでは、2つの膜50,60を平行配置して平面アンテナを構成していることから、給電のための増幅装置などをアンテナ膜面上の放射素子の近傍に実装して、アンテナ放射特性等の劣化を防止する必要がある。したがって、これら装置による膜面への重量負担が増加するため、膜や支持部の強度を増す必要があり、結果としてアンテナ全体の重量が増加するという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、膜面への重量負担増のない、大形でかつ軽量で展開型のインフレータブル反射鏡アンテナを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明にかかるインフレータブル支持アンテナは、リング状のインフレータブル構造をなす第1の支持部と、電波を反射する導電性を有し第1の支持部の中央に配置されてその周部がケーブルを介して第1の支持部により展開張架される第1の膜とからなる第1のインフレータブル構造物と、リング状のインフレータブル構造をなす第2の支持部と、電波透過性を有し第2の支持部の中央に配置されてその周部がケーブルを介して第2の支持部により展開張架される第2の膜とからなる第2のインフレータブル構造物と、第1および第2の支持部を連結固定して、第1および第2のインフレータブル構造物を互いに平行に配置する連結部と、第1および第2の膜の間をそれぞれの接続位置に応じた長さで個別に張架接続する複数の接続ケーブルとを備え、接続ケーブルによって接続された第1および第2の膜は、凹面形状となって第1の膜で電波反射面を形成するようにしたものである。
【0008】
電波反射面を構成する第1の膜に代えて、金属網を用いてもよい。
接続ケーブルと第1の膜との接続については、第1の膜に予め縫い込まれたケーブルネットに接続するようにしてもよく、第1の膜に設けられた支持膜に接続するようにしてもよい。
第1および第2の支持部を形成する膜として、宇宙環境への露出に応じて生ずる物理的反応で硬化する樹脂を用いてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるインフレータブル支持アンテナについて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態にかかるインフレータブル支持アンテナを示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(a)におけるA−A線断面図を示している。
このインフレータブル支持アンテナ1は、平行に配置された2つのインフレータブル構造物10,20から構成されており、これらインフレータブル構造物10,20から、全体として反射鏡アンテナを形成している。
【0010】
インフレータブル構造物10は、リング状のインフレータブル構造からなる支持部11と、この支持部11の中央空間に配置され、電波を反射する凹面14を形成するための導電性を有する柔軟な樹脂からなる略円形の膜12とから構成されている。
支持部11は、その内室15への気体充填により、その内圧で膨張展開して半径方向の力に対して十分な強度を有しており、膜12は、その周部が全周にわたってケーブル13を介して支持部11と接続されて展開張架されている。
【0011】
インフレータブル構造物20は、リング状のインフレータブル構造からなる支持部21と、この支持部21の中央空間に配置され、電波透過性を有する柔軟な樹脂からなる略円形の膜22とから構成されている。
支持部21は、その内室25への気体充填により、その内圧で膨張展開して半径方向の力に対して十分な強度を有しており、膜22は、その周部が全周にわたってケーブル23を介して支持部21と接続されて展開張架されている。
なお、図1では、支持部11,21および膜12,22の外形が円形をなす場合を例として示してあるが、これに限定されるものではなく多角形でもよい。
【0012】
インフレータブル支持アンテナ1は、これらインフレータブル構造物10,20を、連結部31を用いて支持部11,21間を平行配置されるよう連結固定し、複数の接続ケーブル32を用いて、膜12,22間をそれぞれ対向する位置で張架接続している。この連結部31についてもインフレータブル構造を適用してもよい。
また、接続ケーブル32の長さは、その接続位置が膜12,22の中心に近くなるにしたがって短くなっている。したがって、膜12,22の弾性張力により接続ケーブル32の両端がそれぞれ反対方向に引っ張られて接続ケーブル32が膜12,22の間に張架され、結果として、膜12,22は互いの中心部が引き合うように凹面、より望ましくは回転放物面を形成し、これにより電波を反射するための凹面14が膜12に形成される。
【0013】
この接続ケーブル32と膜12との接続については、膜12に予め電波透過性を有する網状のケーブルネット(図示せず)を縫い込んでおき、そのケーブルネットに接続ケーブル32を接続すればよい。これにより、膜12と接続ケーブル32との接続点に対する張力を分散でき、歪みの少ない凹面14を形成できる。
また、ケーブルネットの代わりに電波透過性を有する支持膜(図示せず)を、膜12の背面側に貼り合わせて設け、この支持膜に接続ケーブル32を接続するようにしてもよく、ケーブルネットと同様の作用効果が得られる。
なお、これらケーブルネットや支持膜については、接続ケーブル32と膜22との接続にも適用してもよい。また、膜22、接続ケーブル32、支持膜については、電波を反射する凹面の裏側に位置するため電波透過性のないものを用いてもよい。
【0014】
気体充填装置41,42は、宇宙空間でインフレータブル支持アンテナ1を展開する際、支持部11,21の内室へ気体を充填する装置である。図1では、気体充填装置41,42が支持部21に接続されており、気体充填装置41,42からの気体が支持部21の内室25へ充填されるとともに、連結部31に形成された通気孔(図示せず)を介して支持部11の内室15にも充填され、これら支持部11,21が膨張展開される。
なお、気体充填装置41,42は、支持部11にのみ接続してもよく、支持部11,21へ個別に接続してもよい。
【0015】
このように、リング状のインフレータブル構造をなす支持部11と、電波を反射する導電性を有し支持部11の中央に配置されてその周部がケーブル13を介して支持部11により展開張架される膜12とからなるインフレータブル構造物10と、リング状のインフレータブル構造をなす支持部21と、支持部21の中央に配置されてその周部がケーブルを介して支持部21により展開張架される膜22とからなるインフレータブル構造物20とを、互いに平行するよう連結部31で連結支持し、膜12,22が凹面形状となって膜12で電波反射面を形成するように、これら膜12,22の間をそれぞれの接続位置に応じた長さの接続ケーブル32で個別に張架接続するようにしたので、従来の平面アンテナとは異なる反射鏡アンテナをインフレータブル構造で形成することができる。これにより、反射鏡の構成上、放射素子の近傍に増幅装置などを配置する必要がないことから膜面への重量負担増がなくなり、大形でかつ軽量で展開型のインフレータブル支持アンテナを実現できる。
【0016】
また、支持部11,21を形成する膜の樹脂については、宇宙環境への露出に応じて生ずる物理的反応により硬化する樹脂を用いるようにしたので、支持部11,21を形成する膜を硬化させるための手段を別途も受ける必要がなく、また内圧を高めて剛性を得るため膜厚を大きくする必要もなくなり、重量を増加させることなく支持部11,21の剛性を容易に高めることができる。
【0017】
なお、宇宙環境へ露出した際に生ずる物理的反応(宇宙環境で得られる物理的作用)としては、紫外線、太陽光、あるいは太陽熱による温度変化に対する反応を利用できる。
例えば、宇宙環境での物理的反応として太陽からの紫外線の影響を利用する場合、樹脂として紫外線の照射により硬化する紫外線硬化性を有する樹脂を用いればよい。このような紫外線硬化性を有する樹脂としては、紫外線(UV)硬化型エポキシ樹脂など、公知の樹脂を利用できる。また、紫外線以外の光を利用する場合も光の波長が変わるだけで、同様の光硬化型エポキシ樹脂などを利用すればよい。
【0018】
また、宇宙環境での物理的反応として温度変化の影響を利用する場合、樹脂として温度変化により硬化する温度硬化性樹脂を用いればよい。人工衛星は、太陽光を受けている状態と地球の陰に入った食の状態とでは、その温度が大きく変化し、衛生の軌道によっては温度差が数100℃も生じる場合もあり、これを樹脂の硬化に利用する。
加熱により硬化する熱硬化性を有する樹脂としては、熱硬化型エポキシ樹脂など公知の樹脂を用いればよい。また加熱後の冷却により半永久的に硬化する熱硬化性を有する樹脂としては、ポリアミド(PA:Poly Amide)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:Poly Ether Ether Ketone)、ポリアリレンサルファイド(PAS:Polyarylene Sulfide)などの公知の樹脂を利用すればよい。
【0019】
膜12については、金属網を用いてもよい。なお、膜12は少なくとも凹面14に導電性を有していればよく、例えば凹面14の表面にカーボンや金属の導電膜を形成したり、導電性塗料を塗布するなどの公知の導電処理を予め施しておけばよい。また、導電性樹脂として、炭素繊維(カーボンファイバー)やガラス繊維(グラスファイバー)などの強化繊維に樹脂を浸透させ、加熱や加圧して成形した炭素繊維複合部材を用いて膜12自体を形成してもよい。
また、支持部11,21について、その内室の気密性を高めるため、樹脂の内側に気密層を設けてもよい。
【0020】
図2は前述したインフレータブル支持アンテナを衛星搭載用反射鏡アンテナとして利用する場合の適用例である。
インフレータブル支持アンテナ1A,1Bは、インフレータブルチューブ2A,2Bを介して衛星構体4に取り付けられている。
送信の場合、電波は衛星構体4に取り付けられた一次放射器3A,3Bから放射され、インフレータブル支持アンテナ1A,1Bの電波反射面に反射し、地表に届く。一方、受信の場合はこの反対の経路になる。
インフレータブルチューブ2,2Bは、炭素繊維複合材料に硬化型の樹脂を含長させたものを用いて作成する。この場合、インフレータブルチューブ2A,2Bに気体を導入して展開後、加熱することによって硬化させてもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、リング状のインフレータブル構造をなす第1の支持部と、電波を反射する導電性を有し第1の支持部の中央に配置されてその周部がケーブルを介して第1の支持部により展開張架される第1の膜とからなる第1のインフレータブル構造物と、リング状のインフレータブル構造をなす第2の支持部と、第2の支持部の中央に配置されてその周部がケーブルを介して第2の支持部により展開張架される第2の膜とからなる第2のインフレータブル構造物とを、互いに平行するよう連結部で連結支持し、第1および第2の膜が凹面形状となって第2の膜で電波反射面を形成するように、これら第1および第2の膜の間をそれぞれの接続位置に応じた長さの複数の接続ケーブルで個別に張架接続するようにしたので、従来の平面アンテナとは異なる反射鏡アンテナをインフレータブル構造で形成することができる。これにより、反射鏡の構成上、膜面の近傍に増幅装置などを配置する必要がなくなって膜面への重量負担増がなくなり、大形でかつ軽量で展開型のインフレータブル支持アンテナを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるインフレータブル支持アンテナを示す構成図である。
【図2】インフレータブル支持アンテナの適用例である。
【図3】従来のインフレータブル支持アンテナを示す構成図である。
【符号の説明】
1,1A,1B…インフレータブル支持アンテナ、10,20…インフレータブル構造体、11,21…支持部、12…膜(電波反射用)、13,23…ケーブル、14…凹面、15,25…内室、22…膜、31…連結部、32…接続ケーブル、41,42…気体充填装置、2A,2B…インフレータブルチューブ、3A,3B…一次放射器、4…衛星構体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インフレータブル支持アンテナに関し、特にインフレータブル構造により支持されて宇宙空間に配置されるインフレータブル支持アンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
宇宙空間に配置されるアンテナなどの支持・補強構造として、インフレータブル構造の研究・開発が進んでいる。
このインフレータブル構造とは、密閉された袋状構造物の内室に気体を充填して、その内圧でチューブやバルーンなどの所定形状の構造物を構成するものである。
チューブ形状のインフレータブル構造については、それ自体が支柱やトラス構造などのユニット部材となり、あるいは角環や円環状のリングチューブとしてその内側にアンテナ素子を実装した膜を展開する構造とすることができる(例えば、特許文献1など参照)。
【0003】
またリング状のインフレータブル構造については、一例として、図3に示すような、インフレータブル支持アンテナ5がある。
図3は従来のインフレータブル反射鏡アンテナを示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(a)におけるB−B線断面図を示している。
このインフレータブル支持アンテナ5は、放射素子、例えば穴状のスロット52が多数形成して導電処理を施した柔軟な円形の膜50と、その背側に配置された、グランド面として全面導電処理を施した柔軟な円形の膜60とから構成されている。
【0004】
そして、これら膜50,60の周部外側を囲うようにリング状のインフレータブル構造からなる支持部70を配置して、ケーブル51,61を介して膜50,60の周部と全周にわたって接続することにより、支持部70で膜50,60が展開張架されている。
これにより、全体として平面アンテナからなるインフレータブル支持アンテナ50を構成している。
【0005】
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【特許文献1】
特開2001−099395号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のインフレータブル支持アンテナでは、2つの膜50,60を平行配置して平面アンテナを構成していることから、給電のための増幅装置などをアンテナ膜面上の放射素子の近傍に実装して、アンテナ放射特性等の劣化を防止する必要がある。したがって、これら装置による膜面への重量負担が増加するため、膜や支持部の強度を増す必要があり、結果としてアンテナ全体の重量が増加するという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、膜面への重量負担増のない、大形でかつ軽量で展開型のインフレータブル反射鏡アンテナを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明にかかるインフレータブル支持アンテナは、リング状のインフレータブル構造をなす第1の支持部と、電波を反射する導電性を有し第1の支持部の中央に配置されてその周部がケーブルを介して第1の支持部により展開張架される第1の膜とからなる第1のインフレータブル構造物と、リング状のインフレータブル構造をなす第2の支持部と、電波透過性を有し第2の支持部の中央に配置されてその周部がケーブルを介して第2の支持部により展開張架される第2の膜とからなる第2のインフレータブル構造物と、第1および第2の支持部を連結固定して、第1および第2のインフレータブル構造物を互いに平行に配置する連結部と、第1および第2の膜の間をそれぞれの接続位置に応じた長さで個別に張架接続する複数の接続ケーブルとを備え、接続ケーブルによって接続された第1および第2の膜は、凹面形状となって第1の膜で電波反射面を形成するようにしたものである。
【0008】
電波反射面を構成する第1の膜に代えて、金属網を用いてもよい。
接続ケーブルと第1の膜との接続については、第1の膜に予め縫い込まれたケーブルネットに接続するようにしてもよく、第1の膜に設けられた支持膜に接続するようにしてもよい。
第1および第2の支持部を形成する膜として、宇宙環境への露出に応じて生ずる物理的反応で硬化する樹脂を用いてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるインフレータブル支持アンテナについて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態にかかるインフレータブル支持アンテナを示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(a)におけるA−A線断面図を示している。
このインフレータブル支持アンテナ1は、平行に配置された2つのインフレータブル構造物10,20から構成されており、これらインフレータブル構造物10,20から、全体として反射鏡アンテナを形成している。
【0010】
インフレータブル構造物10は、リング状のインフレータブル構造からなる支持部11と、この支持部11の中央空間に配置され、電波を反射する凹面14を形成するための導電性を有する柔軟な樹脂からなる略円形の膜12とから構成されている。
支持部11は、その内室15への気体充填により、その内圧で膨張展開して半径方向の力に対して十分な強度を有しており、膜12は、その周部が全周にわたってケーブル13を介して支持部11と接続されて展開張架されている。
【0011】
インフレータブル構造物20は、リング状のインフレータブル構造からなる支持部21と、この支持部21の中央空間に配置され、電波透過性を有する柔軟な樹脂からなる略円形の膜22とから構成されている。
支持部21は、その内室25への気体充填により、その内圧で膨張展開して半径方向の力に対して十分な強度を有しており、膜22は、その周部が全周にわたってケーブル23を介して支持部21と接続されて展開張架されている。
なお、図1では、支持部11,21および膜12,22の外形が円形をなす場合を例として示してあるが、これに限定されるものではなく多角形でもよい。
【0012】
インフレータブル支持アンテナ1は、これらインフレータブル構造物10,20を、連結部31を用いて支持部11,21間を平行配置されるよう連結固定し、複数の接続ケーブル32を用いて、膜12,22間をそれぞれ対向する位置で張架接続している。この連結部31についてもインフレータブル構造を適用してもよい。
また、接続ケーブル32の長さは、その接続位置が膜12,22の中心に近くなるにしたがって短くなっている。したがって、膜12,22の弾性張力により接続ケーブル32の両端がそれぞれ反対方向に引っ張られて接続ケーブル32が膜12,22の間に張架され、結果として、膜12,22は互いの中心部が引き合うように凹面、より望ましくは回転放物面を形成し、これにより電波を反射するための凹面14が膜12に形成される。
【0013】
この接続ケーブル32と膜12との接続については、膜12に予め電波透過性を有する網状のケーブルネット(図示せず)を縫い込んでおき、そのケーブルネットに接続ケーブル32を接続すればよい。これにより、膜12と接続ケーブル32との接続点に対する張力を分散でき、歪みの少ない凹面14を形成できる。
また、ケーブルネットの代わりに電波透過性を有する支持膜(図示せず)を、膜12の背面側に貼り合わせて設け、この支持膜に接続ケーブル32を接続するようにしてもよく、ケーブルネットと同様の作用効果が得られる。
なお、これらケーブルネットや支持膜については、接続ケーブル32と膜22との接続にも適用してもよい。また、膜22、接続ケーブル32、支持膜については、電波を反射する凹面の裏側に位置するため電波透過性のないものを用いてもよい。
【0014】
気体充填装置41,42は、宇宙空間でインフレータブル支持アンテナ1を展開する際、支持部11,21の内室へ気体を充填する装置である。図1では、気体充填装置41,42が支持部21に接続されており、気体充填装置41,42からの気体が支持部21の内室25へ充填されるとともに、連結部31に形成された通気孔(図示せず)を介して支持部11の内室15にも充填され、これら支持部11,21が膨張展開される。
なお、気体充填装置41,42は、支持部11にのみ接続してもよく、支持部11,21へ個別に接続してもよい。
【0015】
このように、リング状のインフレータブル構造をなす支持部11と、電波を反射する導電性を有し支持部11の中央に配置されてその周部がケーブル13を介して支持部11により展開張架される膜12とからなるインフレータブル構造物10と、リング状のインフレータブル構造をなす支持部21と、支持部21の中央に配置されてその周部がケーブルを介して支持部21により展開張架される膜22とからなるインフレータブル構造物20とを、互いに平行するよう連結部31で連結支持し、膜12,22が凹面形状となって膜12で電波反射面を形成するように、これら膜12,22の間をそれぞれの接続位置に応じた長さの接続ケーブル32で個別に張架接続するようにしたので、従来の平面アンテナとは異なる反射鏡アンテナをインフレータブル構造で形成することができる。これにより、反射鏡の構成上、放射素子の近傍に増幅装置などを配置する必要がないことから膜面への重量負担増がなくなり、大形でかつ軽量で展開型のインフレータブル支持アンテナを実現できる。
【0016】
また、支持部11,21を形成する膜の樹脂については、宇宙環境への露出に応じて生ずる物理的反応により硬化する樹脂を用いるようにしたので、支持部11,21を形成する膜を硬化させるための手段を別途も受ける必要がなく、また内圧を高めて剛性を得るため膜厚を大きくする必要もなくなり、重量を増加させることなく支持部11,21の剛性を容易に高めることができる。
【0017】
なお、宇宙環境へ露出した際に生ずる物理的反応(宇宙環境で得られる物理的作用)としては、紫外線、太陽光、あるいは太陽熱による温度変化に対する反応を利用できる。
例えば、宇宙環境での物理的反応として太陽からの紫外線の影響を利用する場合、樹脂として紫外線の照射により硬化する紫外線硬化性を有する樹脂を用いればよい。このような紫外線硬化性を有する樹脂としては、紫外線(UV)硬化型エポキシ樹脂など、公知の樹脂を利用できる。また、紫外線以外の光を利用する場合も光の波長が変わるだけで、同様の光硬化型エポキシ樹脂などを利用すればよい。
【0018】
また、宇宙環境での物理的反応として温度変化の影響を利用する場合、樹脂として温度変化により硬化する温度硬化性樹脂を用いればよい。人工衛星は、太陽光を受けている状態と地球の陰に入った食の状態とでは、その温度が大きく変化し、衛生の軌道によっては温度差が数100℃も生じる場合もあり、これを樹脂の硬化に利用する。
加熱により硬化する熱硬化性を有する樹脂としては、熱硬化型エポキシ樹脂など公知の樹脂を用いればよい。また加熱後の冷却により半永久的に硬化する熱硬化性を有する樹脂としては、ポリアミド(PA:Poly Amide)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:Poly Ether Ether Ketone)、ポリアリレンサルファイド(PAS:Polyarylene Sulfide)などの公知の樹脂を利用すればよい。
【0019】
膜12については、金属網を用いてもよい。なお、膜12は少なくとも凹面14に導電性を有していればよく、例えば凹面14の表面にカーボンや金属の導電膜を形成したり、導電性塗料を塗布するなどの公知の導電処理を予め施しておけばよい。また、導電性樹脂として、炭素繊維(カーボンファイバー)やガラス繊維(グラスファイバー)などの強化繊維に樹脂を浸透させ、加熱や加圧して成形した炭素繊維複合部材を用いて膜12自体を形成してもよい。
また、支持部11,21について、その内室の気密性を高めるため、樹脂の内側に気密層を設けてもよい。
【0020】
図2は前述したインフレータブル支持アンテナを衛星搭載用反射鏡アンテナとして利用する場合の適用例である。
インフレータブル支持アンテナ1A,1Bは、インフレータブルチューブ2A,2Bを介して衛星構体4に取り付けられている。
送信の場合、電波は衛星構体4に取り付けられた一次放射器3A,3Bから放射され、インフレータブル支持アンテナ1A,1Bの電波反射面に反射し、地表に届く。一方、受信の場合はこの反対の経路になる。
インフレータブルチューブ2,2Bは、炭素繊維複合材料に硬化型の樹脂を含長させたものを用いて作成する。この場合、インフレータブルチューブ2A,2Bに気体を導入して展開後、加熱することによって硬化させてもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、リング状のインフレータブル構造をなす第1の支持部と、電波を反射する導電性を有し第1の支持部の中央に配置されてその周部がケーブルを介して第1の支持部により展開張架される第1の膜とからなる第1のインフレータブル構造物と、リング状のインフレータブル構造をなす第2の支持部と、第2の支持部の中央に配置されてその周部がケーブルを介して第2の支持部により展開張架される第2の膜とからなる第2のインフレータブル構造物とを、互いに平行するよう連結部で連結支持し、第1および第2の膜が凹面形状となって第2の膜で電波反射面を形成するように、これら第1および第2の膜の間をそれぞれの接続位置に応じた長さの複数の接続ケーブルで個別に張架接続するようにしたので、従来の平面アンテナとは異なる反射鏡アンテナをインフレータブル構造で形成することができる。これにより、反射鏡の構成上、膜面の近傍に増幅装置などを配置する必要がなくなって膜面への重量負担増がなくなり、大形でかつ軽量で展開型のインフレータブル支持アンテナを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるインフレータブル支持アンテナを示す構成図である。
【図2】インフレータブル支持アンテナの適用例である。
【図3】従来のインフレータブル支持アンテナを示す構成図である。
【符号の説明】
1,1A,1B…インフレータブル支持アンテナ、10,20…インフレータブル構造体、11,21…支持部、12…膜(電波反射用)、13,23…ケーブル、14…凹面、15,25…内室、22…膜、31…連結部、32…接続ケーブル、41,42…気体充填装置、2A,2B…インフレータブルチューブ、3A,3B…一次放射器、4…衛星構体。
Claims (5)
- リング状のインフレータブル構造をなす第1の支持部と、電波を反射する導電性を有し前記第1の支持部の中央に配置されてその周部がケーブルを介して前記第1の支持部により展開張架される第1の膜とからなる第1のインフレータブル構造物と、
リング状のインフレータブル構造をなす第2の支持部と、前記第2の支持部の中央に配置されてその周部がケーブルを介して前記第2の支持部により展開張架される第2の膜とからなる第2のインフレータブル構造物と、
前記第1および第2の支持部を連結固定して、前記第1および第2のインフレータブル構造物を互いに平行に配置する連結部と、
前記第1および第2の膜の間をそれぞれの接続位置に応じた長さで個別に張架接続する複数の接続ケーブルとを備え、
前記接続ケーブルによって接続された前記第1および第2の膜は、凹面形状となって前記第1の膜で電波反射面を形成することを特徴とするインフレータブル支持アンテナ。 - 請求項1に記載のインフレータブル支持アンテナにおいて、
前記第1の膜に代えて、金属網を用いることを特徴とするインフレータブル支持アンテナ。 - 請求項1に記載のインフレータブル支持アンテナにおいて、
前記接続ケーブルは、前記第1の膜に予め縫い込まれたケーブルネットに接続されていることを特徴とするインフレータブル支持アンテナ。 - 請求項1に記載のインフレータブル支持アンテナにおいて、
前記接続ケーブルは、前記第1の膜に設けられた支持膜に接続されていることを特徴とするインフレータブル支持アンテナ。 - 請求項1に記載のインフレータブル支持アンテナにおいて、
前記第1および第2の支持部を形成する膜は、宇宙環境への露出に応じて生ずる物理的反応で硬化する樹脂からなることを特徴とするインフレータブル支持アンテナ。
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