JP2004221122A - 電磁誘導ランプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内部がガスまたは真空状態のガラス容器に板状電気導体を内蔵させ、当該板状電気導体に対向して配置された平板誘導加熱コイルを備え、この平板誘導加熱コイルへの通電により前記板状電気導体を加熱させて発光させる。内部がガスまたは真空状態のガラス容器に板状電気導体を内蔵させ、当該板状電気導体に対向して配置された平板誘導加熱コイルを備え、この平板誘導加熱コイルへの通電により前記板状電気導体を加熱させて発光させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電磁誘導ランプに係り、特に工業用加熱ランプとして利用できる高輝度、大口径の電磁誘導ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工業用高輝度加熱ランプは、小さいバルブや細い管で構成されている。このため、大平面を均一に加熱する場合に、加熱側と反対側に傘型遮蔽板を設けたランプを多数、等間隔に並べて配列される。例えば、300mmφウェハをランプ加熱しているケースでは、約250個のランプが使用される。各ランプは内部に電極フィラメントを設けるとともに、放電ガスを封入した構成となっている。そして、前記傘型遮蔽板には冷却水を流し、照射面以外が加熱されないように構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の工業用高輝度加熱ランプでは、大面積を加熱する場合には数多くのランプを必要とするので、温度制御が極めて困難となってしまう問題がある。また、ランプ内に設けられているフィラメントは細く、エネルギ密度が低い。しかも、小さいランプ毎に設けられた傘型遮蔽板を冷却する構成となっているので、エネルギロスが非常に大きいという欠点がある。更に、加熱対象がランプの配列によって形成される形状とほぼ同一面でなければ均一な加熱ができない。例えば、加熱対象面が円形の場合には、同一長さのランプを配列して矩形面内に円板が収まるように構成するか、円形に合わせて長さの異なるランプを並べて円形に近い平面形状となるように構成する以外にない。このような配列構造では、加熱温度のむらが生じてしまい、精度のよい加熱ができない欠点がある(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−286208号公報
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に着目し、第1に大口径化が可能で形状の自在なランプを提供することを目的としている。第2に高エネルギ照射加熱が可能なランプを提供することを目的としている。第3には、均一な輝度の平行光源を形成し、均一な温度分布で加熱することができるランプを提供することを目的とする。第4には、口金が不要で長寿命化が期待できるランプを提供することを目的としている。更には、傘面積比率が小さく省エネルギ化を実現できるランプを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る電磁誘導ランプは、真空またはガスが充填された透光容器と、当該透光容器に内蔵された電気導体と、当該電気導体に対向して配置された誘導加熱コイルとからなり、前記誘導加熱コイルへの通電により前記電気導体を加熱させて発光させるように構成した。
【0007】
また、真空またはガスが充填されたガラス容器に板状電気導体を内蔵させ、当該板状電気導体に対向し平板面に沿って配置された平板誘導加熱コイルを備え、この平板誘導加熱コイルへの通電により前記板状電気導体を加熱させて発光させるように構成できる。
【0008】
上記構成において、前記透光容器は一面側を熱遮蔽部材により形成し、他面側を透光材料により形成することができる。また、前記誘導加熱コイルは複数のコイルを同芯平板状に形成し、共振型インバータによって前記各誘導加熱コイルに給電するとともに、各加熱コイルに供給される電流に基づいて各加熱コイル間の電流位相を調整し、各加熱コイルに供給する電流の周波数と位相とを同期させて運転可能とすればよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る電磁誘導ランプの具体的実施の形態を、図面を参照して、詳細に説明する。
図1は実施形態に係る電磁誘導ランプの断面構成図であり、図2は同ランプの概略斜視図である。この実施形態に係る電磁誘導ランプは300mmφを超えるサイズ、例えば500mmφのシリコンウェハ10を被加熱物として加熱するランプに適用した例である。ランプ本体12は内部にアルゴンなどの不活性ガス14を封入、又は真空状態で光を透過する材料からなる透光容器16と、その内部に突起18により中央高さ位置に保持された板状電気導体20とから構成されている。透光容器16としてはガラスなどによって構成すればよく、例えば上部に熱遮蔽機能を有する金属材料(例えばステンレス材)により形成し、下部に透光性のある材料(例えば石英ガラス)を用いたハイブリッド構造体などにより構成する。透光容器は基本的には光を透過しつつ、電気的に絶縁体からなる物質であればよい。この実施形態では石英ガラスを用いて浅底の円柱容器として加工形成する。また、この透光容器16の内部に配設された板状電気導体20は後述する電磁誘導作用により加熱される物性をもつものであればよく、実施形態ではグラファイト板を用いている。この板状電気導体20は被加熱物であるウェハ10のサイズとほぼ同一のサイズか若干大きなサイズに形成しておく。したがって、透光容器16は板状電気導体20を収容することであるから、更に10〜20%程度サイズを大きくした外径を持たせる必要がある。
【0010】
このようなランプ本体12の上面側には誘導加熱コイル22が取り付けられている。この誘導加熱コイル22は複数の加熱コイル221〜22nからなり、これを同心円状に巻き付けて平板状になるように構成されている。
【0011】
ところで、誘導加熱は、大きな電力効率が得られるため、しばしば共振回路を有するいわゆる共振型インバータにより行なわれる。また、複数の加熱コイル221〜22nを有する誘導加熱装置は、各加熱コイル221〜22n境界部における温度の低下を防ぐため、各コイルを近接して配置している。このため、上述したように、同心円状に複数の加熱コイル221〜22nを配設した場合には、1つの加熱コイルによって発生させた磁束が他の加熱コイルに影響を与えて複数の加熱コイル221〜22n間において相互誘導を生じる。したがって、複数のインバータに対応した加熱コイルを設けた誘導加熱装置は、負荷変動などにより各加熱コイル間における相互誘導の状態が変化し、各加熱コイルを流れる電流(加熱コイル電流)に歪が発生したり、各加熱コイル電流間の位相ずれを生ずる。このため、複数のインバータに対応した加熱コイルを設けた誘導加熱装置においては、各負荷電流の周波数を一致させるとともに、各加熱コイル電流間の位相を一定に保持しないと、加熱温度の高精度な制御が困難になるとともに、各加熱コイルの境界部において温度が低下する。
【0012】
そこで、本実施形態では、各加熱コイル221〜22nには、共振型インバータによって前記各誘導加熱コイル221〜22nに給電するとともに、各加熱コイル221〜22nに供給される電流に基づいて各加熱コイル221〜22n間の電流位相を調整し、各加熱コイル221〜22nに供給する電流の周波数と位相とを同期させて運転させるようにしている。このため、高周波インバータ24(241〜24n)とこれを制御する誘導加熱装置400が設けられているが、この具体的構成を図3に示す。
【0013】
図3に示すように、高周波インバータ24を備えた誘導加熱装置400は、順変換部304の出力側に設けた平滑コンデンサ306に、複数(図示の例の場合、4つ)の加熱ユニット310(310a〜310d)が並列に接続してある。これらの加熱ユニット310は、電圧型インバータが設けてあって、チョッパ回路316(316a〜316d)と、このチョッパ回路316の出力側にコンデンサ318(318a〜318d)を介して接続したインバータ24(24a〜24d)を有する。これらのインバータ24は、直列共振型インバータとなっていて、加熱コイル22(22a〜22d)とコンデンサ324(324a〜324d)とを直列接続した負荷コイル部320(320a〜320d)が接続してある。また、各負荷コイル部320には、可変リアクトル326(326a〜326d)が加熱コイル22(22a〜22d)と直列に接続してある。さらに、負荷コイル部320には、変圧器158(158a〜158d)と変流器160(160a〜160d)とが設けてあって、インバータ24の出力電圧と出力電流とを検出できるようになっている。
【0014】
誘導加熱装置400は、各加熱ユニット310に対応して制御ユニット420(420a〜420d)を有している。制御ユニット420a〜420dは、同じに形成してある。そして、これらの制御ユニット420の具体的構成が、制御ユニット420dのブロック図にて示してある。
【0015】
制御ユニット420dは、電力制御部330dを有する。電力制御部330dは、電力設定器126dから設定値が入力する。また、電力制御部330dは、負荷コイル部320dに設けた変圧器158dと変流器160dとが接続してあって、これらが検出したインバータ24dの出力電圧と出力電流(加熱コイル電流IL4)とが入力するようになっている。電力制御部330dは、変圧器158dと変流器160dとから入力する電圧値と電流値とからインバータ24dの出力電力を求め、電力設定器126dが出力する設定値と比較する。そして、電力制御部330dは、インバータ24dの出力電力が設定値となるように、チョッパ回路316dのチョップ部328dに与えるゲートパルスの長さを調節する。
【0016】
さらに、制御ユニット420dは、インバータ24dの駆動を制御する駆動制御部422dを備えている。この駆動制御部422dの入力側には、位相検出器424dが接続してある。位相検出器424dには、変流器160dの出力信号が入力するとともに、基準信号生成部426の出力信号が入力するようになっている。基準信号生成部426は、実施形態の場合、加熱コイル22に供給する加熱コイル電流IL(IL1〜IL4)の波形を生成する。そして、基準信号生成部426は、生成した電流波形を各制御ユニット420a〜420dに設けてある位相検出器424a〜424d(位相検出器424a〜424cは図示せず)に基準信号として与える。位相検出器424dは、変流器160dによって検出された加熱コイル電流IL4の位相を基準信号生成部426が出力する基準電流波形の位相と比較し、両者の位相差を求めて駆動制御部422dに入力する。
【0017】
駆動制御部422dは、インバータ24dを構成しているトランジスタに与えるゲートパルス(駆動信号)の位相(出力タイミング)を、加熱コイル電流IL4の位相が基準電流波形の位相と一致するように調整して出力し、インバータ24dの各トランジスタに与える。各制御ユニット420a〜420cの駆動制御部も同様にして、基準信号生成部426の出力する基準電流波形の位相と一致するように、インバータ24a〜24cに与えるゲートパルスの位相を調整する。これにより、各加熱コイル22a〜22dに供給される加熱コイル電流IL1〜IL4の位相が同期され、負荷状態が変化しても各加熱コイル22間における相互誘導の状態が変化するのを阻止できる。このため、各加熱コイル22を接するように近接配置した場合であっても、各加熱コイル22に供給する加熱コイル電流IL は、負荷状態の変化による影響を受けることがなく、温度制御を容易、確実に行なえるとともに、各加熱コイル22の境界部において温度の低下を防ぐことができる。
【0018】
なお、制御ユニット420dに設けられている位相制御部334dは、変圧器154dと変流器160dとが検出したインバータ24dの出力電圧と出力電流(加熱コイル電流)とに基づいて、両者の位相差ψを検出し、位相差ψが零となるように、すなわち出力電圧と出力電流とが同期するように可変リアクトル326dを調整する。これにより、インバータ24dの力率が改善され、インバータ24dの運転効率を向上することができる。そして、各制御ユニット420a〜420cは、制御ユニット420dと同様の制御を行なう。
【0019】
なお、この実施形態においては、各加熱コイル電流IL1〜IL4の位相を同期させる場合について説明したが、必要に応じて各加熱コイル電流を相互に設定される位相差に保持してインバータ24を運転してもよいし、任意の加熱コイル電流を他の加熱コイル電流に対して設定される位相差を保持するようにインバータ24を運転してもよい。また、この実施形態においては、基準信号生成部426が基準信号として電流波形を出力する場合について説明したが、基準信号はインバータ24に与えるゲートパルスなどであってもよい。さらに、実施形態においては、基準信号生成部426が出力する信号に加熱コイル電流を同期させる場合について説明したが、複数のインバータ24の任意のインバータを基準のインバータとし、このインバータの出力を基準信号としてもよい。また、実施形態においては、基準信号生成部426の出力信号に同期させる場合について説明したが、各加熱コイル電流ILの位相の平均を基準信号としてもよい。この場合、加熱コイル電流の平均位相は、誘導加熱装置400の運転を開始した時点や、所定の間隔でパルスを出力し、このパルスを基準にして求めることができる。そして、本発明は、前記に説明した内容に限定されるものではない。すなわち、図4、図5に示した基本回路によって表されるインバータに適用することができるばかりでなく、あらゆる共振型インバータに対して適用することができる。
【0020】
図4に示した回路は、並列共振型インバータであって、インバータ440の各アームが直列接続したトランジスタとダイオードとによって形成してある。そして、インバータ440に接続された負荷部442は、加熱コイル(負荷コイル)444とコンデンサ446とが並列接続してある。また、図5に示した回路は、直列共振型インバータであって、インバータ450の各アームがトランジスタとダイオードとの逆並列接続によって構成してある。そして、インバータ450に接続された負荷部452は、加熱コイル454とコンデンサ456とが直列接続してある。
【0021】
複数の加熱コイル221〜22nのそれぞれに対応させた共振型インバータによって前記各加熱コイル221〜22nに給電する場合に、各加熱コイル221〜22nに供給する電流の周波数を一致させるとともに、電流位相を同期させ、または設定される位相差に保持して運転するため、負荷状態が変化した場合であっても、インバータを正常に運転することができる。
【0022】
したがって、本実施形態に係る電磁誘導ランプは、複数の誘導加熱コイル221〜22nを同芯配置した平板状に形成しても負荷変動の影響を受けることなく温度制御を容易、確実に行なえ、複数の加熱コイルの境界部における温度低下を防止しつつ、ランプ本体12の板状電気導体20を均一加熱することができる。しかも、インバータは、出力電流と出力電圧との位相差が調整されるため、インバータの力率が改善されて運転効率の低下を防止しつつ、板状電気導体20を均一加熱することができるので、均一輝度、大口径平行光源を実現することができ、被加熱物への加熱照射が均一にでき、温度分布のむらがでないものとなる。
【0023】
特にこの実施形態では、2000℃を超える高輝度、50cmφ以上の大口径の工業用ランプを実現することができ、しかもランプ形状は如何様にも形成することができる。また、ランプ本体12には口金が不要であるため、寿命の長期化が期待でき、温度制御の応答特性が優れ、均一輝度の平行光源であるため、均一な加熱が可能で、高エネルギ化が可能となる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る電磁誘導ランプによれば、真空またはガスが充填された透光容器と、当該透光容器に内蔵された電気導体と、当該電気導体に対向して配置された誘導加熱コイルとからなり、前記誘導加熱コイルへの通電により前記電気導体を加熱させて発光させる構成を採用しているので、ランプ形状を任意に設定することができ、急速加熱が可能で、温度制御性に優れた電磁誘導ランプとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る電磁誘導ランプの断面構成図である。
【図2】同ランプの概略斜視図である。
【図3】ゾーンコントロール高周波インバータの構成図である。
【図4】並列共振型インバータの基本回路図である
【図5】直列共振型インバータの基本回路図である。
【符号の説明】
10………シリコンウェハ、12………ランプ本体、14………不活性ガス、16………ハイブリッド透光容器、18………突起、20………板状電気導体、22(221〜22n)………誘導加熱コイル、24(241〜24n、24a〜24d)………高周波インバータ、400………誘導加熱装置。
Claims (4)
- 真空またはガスが充填された透光容器と、当該透光容器に内蔵された電気導体と、当該電気導体に対向して配置された誘導加熱コイルとからなり、前記誘導加熱コイルへの通電により前記電気導体を加熱させて発光させることを特徴とする電磁誘導ランプ。
- 真空またはガスが充填されたガラス容器に板状電気導体を内蔵させ、当該板状電気導体に対向し平板面に沿って配置された平板誘導加熱コイルを備え、この平板誘導加熱コイルへの通電により前記板状電気導体を加熱させて発光させることを特徴とする電磁誘導ランプ。
- 前記透光容器は一面側を熱遮蔽部材により形成し、他面側を透光材料により形成してなることを特徴とする請求項1記載の電磁誘導ランプ。
- 前記誘導加熱コイルは複数のコイルを同心平板状に配置し、共振型インバータによって前記各誘導加熱コイルに給電するとともに、各加熱コイルに供給される電流に基づいて各加熱コイル間の電流位相を調整し、各加熱コイルに供給する電流の周波数と位相とを同期させて運転可能としてなることを特徴とする請求項1または2記載の電磁誘導ランプ。
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