JP2004219825A - 光学積層体、光学素子および光学製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期にわたって安定した輝度向上効果を発揮する光学積層体、該光学積層体に偏光板を積層してなる光学素子、及び該光学素子を備える光学製品を提供する。
【解決手段】広帯域1/4波長板(C)に偏光選択層を積層してなる光学積層体であって、広帯域1/4波長板(C)が、1/2波長板(A)と1/4波長板(B)との積層体であり、1/2波長板(A)又は1/4波長板(B)が脂環式構造含有重合体樹脂からなることを特徴とする光学積層体、この光学積層体と偏光板とを積層してなる光学素子、及びこの光学素子を備える光学製品。
【選択図】 図1
【解決手段】広帯域1/4波長板(C)に偏光選択層を積層してなる光学積層体であって、広帯域1/4波長板(C)が、1/2波長板(A)と1/4波長板(B)との積層体であり、1/2波長板(A)又は1/4波長板(B)が脂環式構造含有重合体樹脂からなることを特徴とする光学積層体、この光学積層体と偏光板とを積層してなる光学素子、及びこの光学素子を備える光学製品。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期にわたって安定した輝度向上効果を発揮する光学積層体、該光学積層体に偏光板を積層してなる光学素子、及び該光学素子を備える光学製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ(LCD)は、高画質、薄型、軽量、低消費電力等の特徴をもち、テレビジョン、パーソナルコンピュータ等のフラットパネルディスプレイとして広く用いられている。しかし、ノート型パーソナルコンピュータ等に用いられている透過型のカラー液晶は、偏光板やカラーフィルターまで含めた光透過率が低く、バックライトから出射される光エネルギーの利用効率が低いため、必ずしも光エネルギーの利用効率が高いとは言えない。従って、LCDパネルの光透過率を改善し、バックライトの光エネルギーの利用効率を高めることは重要な技術的課題となっている。
【0003】
かかる問題を解決すべく、偏光子と保護層からなる偏光板に輝度向上フィルムを貼り合わせることが提案されている。輝度向上フィルムは、液晶表示装置等のバックライトや裏側からの反射により自然光が入射すると所定の偏光軸の直線偏光又は所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を有する。従って、偏光子と保護層からなる偏光板に輝度向上フィルムを貼り合わせることにより、▲1▼バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得るとともに、前記所定偏光状態以外の光を反射し、▲2▼輝度向上フィルム面で反射した光をさらにその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて透過光の増量を図り、▲3▼それとともに、偏光子に吸収されにくい偏光を供給して液晶画像表示等に利用し得る光量の増大を図ることができる。
【0004】
このような輝度向上フィルムとして、特許文献1、2には、3種類の反射波長の異なる偏光選択層とネマチック液晶からなるλ/4位相差板との積層体である輝度向上フィルムが提案されている。
【0005】
また特許文献3には、可視光の少なくとも一部の波長の光を選択反射するコレステリック液晶層からなる可視光反射偏光層と、該可視光反射偏光層とは異なる光学的機能を有する少なくとも1層の液晶層からなる光学層とが積層一体化してなり、前記可視光反射偏光層と光学層の液晶層が同じ化合物を主成分としている液晶層からなる光学フィルムが提案されている。しかしながら、これらの特許文献に記載されている輝度向上フィルムを用いると、特に高温高圧下で長期間使用したときに、著しい輝度低下がおこったり、色むらが発生する問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−232313号公報
【特許文献2】
特開2002−90533号公報
【特許文献3】
特開2001−330731号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、優れた輝度向上効果を有し、高温高湿下で長時間使用された場合であっても、安定した輝度向上効果を発揮する光学積層体、この光学積層体に偏光板を積層してなる光学素子及びこの光学素子を備える光学製品を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく1/4波長板と偏光選択層とを積層する光学積層体について鋭意検討を加えた。その結果、1/4波長板として、1/2波長板と1/4波長板とを貼り合せてなる積層体であって、少なくとも一方の波長板が脂環式構造含有重合体樹脂からなる樹脂フィルムである広帯域1/4波長板を用い、この広帯域1/4波長板に偏光選択層を積層すると、可視領域全体の波長の光に対し優れた輝度向上効果を有し、高温高湿下で長時間使用する場合であっても、安定した輝度向上効果を発揮する光学積層体を効率よく得ることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0009】
かくして本発明の第1によれば、広帯域1/4波長板(C)に偏光選択層を積層してなる光学積層体であって、広帯域1/4波長板(C)が、1/2波長板(A)と1/4波長板(B)との積層体であり、1/2波長板(A)又は1/4波長板(B)が脂環式構造含有重合体樹脂からなることを特徴とする光学積層体が提供される。
【0010】
本発明の光学積層体においては、前記広帯域1/4波長板(C)が、1/2波長板(A)と1/4波長板(B)との積層体であって、次の(i)〜(v)のいずれかであるのが好ましい。
【0011】
(i)1/2波長板(A)及びl/4波長板(B)のいずれもが、波長550nmで測定したレターデーション値〔Re(550)〕と波長450nmで測定したレターデーション値〔Re(450)〕との比Re(450)/Re(550)が1.007以下である広帯域1/4波長板。
(ii)波長550nmで測定した、1/2波長板(A)のレターデーション値Re(550)Aが(265±10)nmであり、1/4波長板(B)のレターデーション値Re(550)Bが〔Re(550)A/2±5〕nmである広帯域1/4波長板。
(iii)1/2波長板(A)の遅相軸と、1/4波長板(B)の遅相軸との交差角が55〜65度となるように、1/2波長板(A)と1/4波長板(B)とを積層してなる広帯域1/4波長板。
(iv)1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)のいずれもが、揮発成分含有量が0.1重量%以下である広帯域1/4波長板。
(v)1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)のいずれもが、飽和吸水率が0.01%以下である広帯域1/4波長板。
【0012】
また、本発明の光学積層体は、偏光選択層がコレステリック液晶から形成されてなるものが好ましい。
【0013】
本発明の第2によれば、本発明の光学積層体と偏光板とを積層してなる光学素子が提供される。
本発明の第3によれば、本発明の光学素子を備える光学製品が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光学積層体、光学素子及び光学製品を詳細に説明する。
1)光学積層体
本発明の光学積層体は、広帯域1/4波長板(C)に偏光選択層を積層してなる。
(1)広帯域1/4波長板(C)
本発明の光学積層体に用いる広帯域1/4波長板(C)は、1/2波長板(A)と1/4波長板(B)との積層体であり、1/2波長板(A)又は1/4波長板(B)が脂環式構造含有重合体樹脂からなることを特徴とする。本発明においては、1/2波長板(A)又は1/4波長板(B)の少なくとも一方が脂環式構造含有重合体樹脂からなるものであればよいが、1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)のいずれもが脂環式構造含有重合体樹脂からなるものであるのが特に好ましい。
【0015】
本発明の光学積層体において、1/2波長板(A)又は1/4波長板(B)の一方が脂環式構造含有重合体樹脂からなる場合、他の一方に使用できるものとしては、ポリメタクリル酸メチル系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂などの非晶性の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0016】
脂環式構造含有重合体樹脂は、重合体樹脂の繰り返し単位中に脂環式構造を有するものである。本発明においては、主鎖中に脂環式構造を有する重合体樹脂及び側鎖に脂環式構造を有する重合体樹脂のいずれも用いることができる。
脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜15個である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にあると、耐熱性及び柔軟性に優れた延伸フィルムが得られる。
【0017】
脂環式構造を有する重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。脂環式構造含有重合体樹脂における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は、使用目的に応じて適宜選択される。
【0018】
脂環式構造含有重合体樹脂の具体例としては、(a)ノルボルネン系重合体、(b)単環の環状オレフィン重合体、(c)環状共役ジエン系重合体、(d)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(a)〜(d)の水素化物等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び機械的強度に優れること等から、ノルボルネン系重合体水素化物、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素化物が好ましく、ノルボルネン系重合体の水素化物がより好ましい。
【0019】
ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系単量体を主成分とする単量体の重合体である。
ノルボルネン系重合体の具体例としては、(a−1)ノルボルネン系単量体の開環重合体、(a−2)ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、(a−3)ノルボルネン系単量体の付加重合体、(a−4)ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体、及び(a−1)〜(a−4)の水素化物等が挙げられる。
【0020】
ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,8−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(環に置換基を有するもの)等を挙げることができる。ここで、置換基としては、アルキル基、アルキレン基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
ノルボルネン系単量体と共重合可能な他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;等が挙げられる。
【0022】
ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を開環重合触媒の存在下に(共)重合することにより得ることができる。用いる開環重合触媒は、通常使用される公知のものを使用すればよい。
【0023】
ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。用いる付加重合触媒は、通常使用される公知のものを使用すればよい。
【0024】
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、エチレン、プロピレン等の炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
【0025】
単環の環状オレフィン系重合体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の付加重合体等が挙げられる。
また、環状共役ジエン系重合体としては、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系単量体を1,2−付加重合又は1,4−付加重合した重合体等が挙げられる。
【0026】
ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体及び環状共役ジエンの重合体の分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す。)で測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜100,000、好ましくは25,000〜80,000、より好ましくは25,000〜50,000である。重量平均分子量がこの範囲にあるときに、成形体の機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされ好適である。
【0027】
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニルシクロアルケン又はビニルシクロアルカン由来の繰り返し単位を有する重合体である。ビニル脂環式炭化水素重合体としては、ビニルシクロヘキサン等のビニル基を有するシクロアルカン、ビニルシクロヘキセン等のビニル基を有するビニルシクロアルケン等のビニル脂環式炭化水素化合物の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物の重合体の芳香族部分水素化物等が挙げられる。
【0028】
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニル脂環式炭化水素化合物やビニル芳香族炭化水素化合物と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体等の共重合体及びその水素化物であってもよい。ブロック共重合としては、ジブロック、トリブロック、又はそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合等が挙げられるが、特に制限されない。
【0029】
ビニル脂環式炭化水素重合体の分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いたGPCにより測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000である。この範囲であるときに、成形体の機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされ好適である。
【0030】
ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン系重合体及びビニル脂環式炭化水素重合体の水素化物は、公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素化することによって得られる。
【0031】
本発明においては、これらの中でも、脂環式構造含有重合体樹脂であり、該重合体樹脂が、繰り返し単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、脂環式構造含有重合体樹脂の繰り返し単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、XとYとの含有割合の重量比が、X:Y=100:0〜40:60であるものが好ましい。このような樹脂を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる位相差フィルムを得ることができる。
【0032】
このような脂環式構造含有重合体樹脂を得る手段としては、具体的には、ポリマーとして繰り返し単位Xを得ることができるモノマーと、ポリマーとして繰り返し単位Yを得ることができるモノマーとの共重合比でコントロールする方法や、繰り返し単位Xを有するポリマーと、繰り返し単位Yを有するポリマーとのブレンド比でコントロールする方法が挙げられる。
【0033】
ポリマーとして繰り返し単位Xを得ることができるモノマーとしては、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.10,5]デカ−3−エン及びその誘導体等のノルボルネン環に五員環が結合した構造を有するノルボルネン系単量体が挙げられる。また、ポリマーとして繰り返し単位Yを得ることができるモノマーとしては、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3,7−ジエン及びその誘導体(環に置換基を有するもの)が挙げられる。
【0034】
本発明の1/2波長板(A)及び/又は1/4波長板(B)に用いる脂環式構造含有重合体樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1.0〜10.0、好ましくは1.0〜4.0、より好ましくは1.2〜3.5の範囲である。
【0035】
本発明に用いる脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは80℃以上、より好ましくは130〜200℃の範囲である。このような範囲において、高温下での使用においても変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
【0036】
本発明においては、1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)の少なくとも一方を上記脂環式構造含有重合体樹脂を用いて製造する。具体的には、上記脂環式構造含有重合体樹脂をシート状に成形し延伸する。この方法によれば、簡便に光学性能に優れる1/2波長板(A)及び/又は1/4波長板(B)を製造できる。
【0037】
脂環式構造含有重合体樹脂をシー卜状に成形する方法としては、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも用いることができるが、シー卜中の揮発成分を低減させる観点から加熱溶融成形法を用いることが好ましい。加熱溶融成形法は、さらに詳細に、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法等に分類できる。これらの中でも、機械的強度、表面精度等に優れた波長板を得るためには、溶融押出成形法を用いるのが好ましい。成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、溶融押出成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜400℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定される。
上記未延伸シートの厚みは、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
【0038】
また、未延伸シートを製造する場合においては、本発明の目的を阻害しない範囲内で、他の添加剤を添加してもよい。他の添加剤としては、クレー、タルク、シリカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト等の無機微粒子;炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤、高級アルコール系滑剤、脂肪酸アマイド系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、金属石鹸系滑剤等の滑剤;リン酸エステル、カルボン酸エステル等の可塑剤;酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン類等の劣化防止剤等が挙げられる。これらの他の添加剤の添加量は、熱可塑性樹脂に対して、通常0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%である。
【0039】
上記シートの延伸は、樹脂のガラス転移温度をTgとするとき、好ましくは(Tg−30℃)から(Tg+60℃)の温度範囲、より好ましくは(Tg−10℃)から(Tg+50℃)の温度範囲にて、1.01〜2倍の延伸倍率で行う。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよい。延伸方法としては、自由収縮一軸延伸法、幅固定一軸延伸法、テンター延伸法等が挙げられるが、特に制限されない。また、延伸速度は、好ましくは5〜1000mm/秒、より好ましくは10〜750mm/秒である。延伸速度が上記範囲にあると、延伸制御が容易となり、さらに面精度やレターデーションの面内バラツキが小さい波長板が得られる。
上記延伸後のシートの厚みは、好ましくは5〜250μm、より好ましくは10〜180μmである。
【0040】
1/2波長板(A)と1/4波長板(B)とを積層する方法としては、粘接着剤により貼り合せる方法、熱溶着や超音波融着により貼り合せる方法、共押出法等の、波長板を貼り合せる公知の方法が採用できるが、広帯域1/4波長板(C)としてより広い波長領域で使用でき、耐久性にも優れたものとするためには、粘接着剤を用いて積層する方法が好ましい。
【0041】
このようにして得られる広帯域1/4波長板(C)において、1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)の波長550nmでの面内のレターデーション値(Re)のバラツキは±10nmであり、好ましくは±5nm、より好ましくは±3nm、さらに好ましくは±2nmである。l/2波長板(A)及び1/4波長板(B)のReのバラツキが上記範囲にあると、両者を積層して得られる広帯域1/4波長板(C)は光学的均一性に優れたものとなる。例えば、本発明の広帯域1/4波長板(C)を偏光板に接着して円偏光板とし、それをディスプレイ等の表面反射を抑制するための反射防止フィルターとして用いた場合に反射光が部分的に着色する等の不具合がなくなる。
【0042】
本発明に用いる広帯域1/4波長板(C)は、レターデーション値(Re)と波長λの比Re/λの値が、波長400nm〜700nmの広い領域に亘って殆ど変化しない。Re(450)/Re(550)が1.007を超えると、反射型液晶ディスプレイ上に設置したときに、ディスプレイのコントラストの鮮明度が低下する。
【0043】
本発明に用いる広帯域1/4波長板(C)は、波長550nmで測定した、1/2波長板(A)のレターデーション値Re(550)Aが、好ましくは〔265±10〕nm、より好ましくは〔265±3〕nmであり、1/4波長板(B)のレターデ−ション値Re(550)Bが、好ましくは〔Re(550)A/2±5〕nm、より好ましくは〔Re(550)A/2±3〕nmである。Re(550)Aが〔265±10〕nmの範囲にあり、Re(550)Bが〔Re(550)A/2±5〕nmの範囲にあると、広帯域で位相差むらの少ない1/4波長板(C)が得られる。
【0044】
本発明に用いる広帯域1/4波長板(C)は、1/2波長板(A)の遅相軸と、1/4波長板(B)の遅相軸との交差角が好ましくは55〜65度、より好ましくは57〜63度となるように積層されてなる。それぞれの波長板の遅相軸の交差角が上記範囲にあると、広帯域性に優れた1/4波長板(C)が得られる。ここで、遅相軸は、波長板に直線偏光を入射させた際に、位相の遅れが最大になる方向であり、波長板が樹脂フィルムを延伸したものである場合、通常はその延伸方向、又はそれと直交する方向である。
【0045】
また、本発明に用いる広帯域1/4波長板においては、1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)の揮発成分含有量がいずれも0.1重量%以下であることが好ましい。揮発成分含有量が0.1重量%を超えると、使用時に揮発成分が外部に放出されて波長板に寸法変化が生じて内部応力が発生することにより、液晶表示装置、特に反射型液晶表示装置に用いた場合に黒表示が部分的に薄くなる(白っぽく見える)等の表示むらが発生するおそれがある。
【0046】
さらに本発明の広帯域1/4波長板においては、1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)の飽和吸水率がいずれも0.01重量%以下であることが好ましく、0.007重量%以下であるのがより好ましい。飽和吸水率が0.01重量%を超えると、使用時の吸湿により波長板に寸法変化が生じて内部応力が発生することにより、液晶表示装置、特に反射型液晶表示装置に用いた場合に、黒表示が部分的に薄くなる(白っぽく見える)等の表示むらが発生するおそれがある。
【0047】
5)長尺の光学積層体
本発明の光学積層体は、本発明の広帯域1/4波長板(C)に偏光選択層を積層してなることを特徴とする。
偏光選択層は、右円偏光又は左円偏光のどちらか一方の光を反射し、他方の光を透過させる性質(選択反射性又は旋光選択性)を有するものであれば、特に制約されない。なかでも、液晶、特にグランジャン配向のコレステリック液晶が性能特性に優れるため好ましい。
【0048】
グランジャン配向のコレステリック液晶層(以下、単にコレステリック液晶層という)は、液晶分子が層の面方向に配向しつつ、厚み方向に螺旋を描くような規則的なねじれ配向を有する液晶層である。コレステリック液晶層においては、その螺旋ピッチ(液晶分子が360度回転するのに必要な厚み)と液晶分子の屈折率異方性に応じて、特定の波長域で旋光性と選択反射性という光学的性質を示すことが知られている(例えば、液晶とディスプレイ応用の基礎、コロナ社、ISBN4−339−00620−3)。さらにコレステリック液晶層は、入射光のうち、ねじれ方向と同方向に回転する円偏光成分を反射し、その反射光の回転方向も同一方向となるのに対し,逆方向に回転する円偏光成分は透過させる性質を有する。
【0049】
本発明に用いるコレステリック液晶は特に制限されない。例えば、シッフ塩基系、アゾ系、エステル系、ビフェニル系等のネマチック液晶化合物の末端基に、光学活性2−メチルブチル基、光学活性4−メチルヘキシル基等の光学活性アルキル基や、光学活性2−メチルブトキシ基等の光学活性アルコキシ基が結合したカイラルネマチック液晶化合物が挙げられる。また、コレステリック液晶としては、常温固体で、かつそのカイラルな物性を固定できる点で、高分子コレステリック液晶も好ましい。
【0050】
偏光選択層は、コレステリック液晶等からなる単層でもよいが、基材と該基材上に形成された選択反射性又は旋光選択性をもつ物質(コレステリック液晶等)の層が積層されたものであってもよい。
【0051】
また、偏光選択層は、可視光の全波長領域にわたって円偏光分離機能を有したものであるのが好ましい。このような偏光選択層としては、選択的に反射する光の中心波長が異なるコレステリック液晶層を組み合わせたもの、一つのコレステリック液晶層からなり、厚み方向に対して螺旋のピッチが連続的に変化するもの等が挙げられる。
【0052】
選択反射光の中心波長が異なる複数のコレステリック液晶層を積層する方法としては、例えば、単なる重ね置き、粘着剤又は接着剤を介した接着等の方法が挙げられる。また、コレステリック液晶層は、各層で反射される円偏光の位相状態をそろえて各波長領域で異なる偏光状態となることを防止し、利用できる状態の偏光を増量する観点から、同じ方向の円偏光を反射するもの同士を組み合わせるのが好ましい。この場合には、反射光の中心波長に基づく波長順序で各コレステリック液晶層が積層されていることが、大視野角時の波長シフトを抑制する観点からより好ましい。
【0053】
反射光の中心波長に基づく波長順序でコレステリック液晶層を積層する方法としては、例えば、選択反射光の中心反射波長が470nm、550nm、640nm、770nmであるコレステリック液晶層をそれぞれ形成し、これらのコレステリック液晶層を選択反射光の中心波長の順序で接着剤層を介して積層する方法が挙げられる。
【0054】
厚み方向に対して螺旋のピッチが連続的に変化するコレステリック液晶層の形成方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
第1は、特定波長の紫外線照射により異性化してキラル化剤となる化合物を、液晶層表面(紫外線照射面)側から深さ方向に連続的に照射光強度が減衰するように、前記特定波長の紫外線を照射し、キラル化剤の存在量が表面側から深さ方向に連続的に減少した状態、すなわち、液晶の螺旋ピッチが液晶層の厚み方向に連続的に変化した状態の液晶層を得た後、前記特定波長の紫外線とは異なる波長の紫外線を液晶層に照射して、液晶層全体を硬化させることにより、この螺旋ピッチの傾斜的変化した状態を固定化させる方法である(SID’95,AsiaDisplay.,p735(1995年)、液晶.,第2巻、第2号、32−39頁(1998年)。得られるコレステリック液晶層は、深さ方向に対して連続的に螺旋構造のピッチが変化しているものであり、可視光域すべての波長帯域で円偏光分離機能を有する。
【0055】
第2は、異なる反応性をもつカイラルモノマーとネマトジェニックモノマーとの混合物の層を基板上(又は2つの平行な基板の間)に形成し、この層に対して強度が当該層にわたって変化するような照射プロファイルで光照射・重合させて、分子螺旋のピッチがコレステリック規則性をもつ光学的能動層(コレステリック液晶層)を形成する方法である(特開平6−281814号公報)。この方法は、反応性の高いモノマーは照射強度が高い位置に拡散し、反応性の低いモノマーは照射強度が低い位置へ拡散する現象を利用したものである。この方法によれば、照射強度に依存して分子螺旋のピッチが変化しているコレステリック液晶層を形成することができる。
【0056】
第3は、コレステリック規則性をもつ、重合された液晶化合物の層の表面に反応性モノマーの膜を形成し、この反応性モノマーが前記液晶化合物の層中に濃度勾配をもって拡散し、次いで、前記反応性モノマーを重合する方法である(特開平6−281814号公報)。この方法によれば、液晶化合物の層へ反応性モノマーが拡散すると、反応性モノマーの濃度分だけ前記液晶化合物の層が膨張し、結果として反応性モノマーの濃度勾配に依存した分子螺旋のピッチが変化したコレステリック液晶層を得ることができる。
【0057】
第4は、光学活性基を含有するモノマーを一成分とするコレステリック液晶ポリマーをグランジャン配向して形成した非流動層を、前記光学活性基又はその連結基に対する活性物質で複数回暴露して、前記光学活性基の含有率を厚み方向連続的に変化させることにより、厚み方向に分子螺旋のピッチが変化したコレステリック液晶層を形成する方法である(特開2001−56409号公報)。この方法は、例えば連結基としてシッフ塩基、ウレタン結合、カーボネート結合などを用いる場合には、酸(活性物質)で処理することにより、該連結基が容易に分解して、光学活性基が前記ポリマーからなくなること、及び前記活性物質の暴露量は、前記コレステリック液晶ポリマーの層の表面部分では多く、深さ方向になるに従って少なくなるという現象を利用した方法である。
【0058】
このようにして得られる偏光選択層の厚み(複数の層からなる場合には全体の厚み)は、配向の乱れや透過率低下の防止、選択反射の波長範囲(反射波長域)の広さ等の観点から、通常、1〜50μm、好ましくは2〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。また、支持基材を有する場合には、その基材を含めた合計厚みが20〜200μm、好ましくは25〜150μm、より好ましくは30〜100μmである。
【0059】
偏光選択層は、広帯域1/4波長板の1/4波長板側に積層する。偏光選択層を広帯域1/4波長板と積層する方法としては、(x)広帯域1/4波長板上に配向膜を設け、その上に直接形成する方法、(y)別のベースフィルム(剥離板)上に液晶層を形成し、広帯域1/4波長板に転写する方法、(z)別途用意したベースフィルム上に液晶層を形成し、得られた積層体を広帯域1/4波長板に貼り合せる方法等が挙げられる。
【0060】
(x)の方法では、配向膜は、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等の膜を成膜した後、レーヨン布等でラビング処理することにより形成できる。また、配向膜はSiO2の斜方蒸着することにより、あるいは高分子フィルムを延伸処理することにより形成することもできる。
【0061】
(y)及び(z)の方法で用いるベースフィルムとしては、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、エポキシ系樹脂等の合成樹脂からなる単層又は積層のフィルム、ガラス板等が挙げられる。薄膜化の観点からは、合成樹脂フィルムが好ましく、偏光状態の変化の防止により光の利用効率の向上の観点から、複屈折による位相差の小さいものが好ましい。
【0062】
ベースフィルム上に偏光選択層を形成する方法としては、例えば、ベースフィルム上に、コレステリック液晶ポリマーの溶媒溶液を、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等の公知の塗工方法で塗膜を形成し、乾燥処理する方法等が挙げられる。液晶化合物の固定化膜の溶媒としては、例えば、塩化メチレン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0063】
また、偏光選択層を形成する方法として、コレステリック液晶化合物の固定化膜の加熱溶融物、好ましくは等方層を呈する状態の加熱溶融物を、ベースフィルム上に、上述した塗工方法に準じた方法により塗膜を形成し、必要に応じて溶融温度を維持しつつ、さらに薄層に展開して固化させる方法を採用することができる。
【0064】
コレステリック液晶層を形成するために行なう加熱処理の温度は、コレステリック液晶化合物の固定化膜のガラス転移温度から等方相転移温度までの温度範囲、すなわちコレステリック液晶化合物の固定化膜が液晶を呈する温度範囲である。また、配向状態は、ガラス転移温度未満に冷却することで固定化することができる。
【0065】
(z)の方法において、ベースフィルム上に液晶層を形成し、得られた積層体を1/4波長板に貼り合わせる方法としては、両者を透明な接着剤等からなる接着層を介して重ね合わせる方法が挙げられる。用いる接着剤としては、例えば、(メタ)アクリル系ベースポリマー、ブチルゴム系ベースポリマー、シリコーン系ベースポリマー等のベースポリマーを用いたものが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル系ベースポリマーが好ましい。
偏光選択層と広帯域1/4波長板とを積層するときの接着層の厚みは特に制限されないが、通常1〜50μm程度である。
【0066】
以上のようにして得られる本発明の光学積層体の層構成例を図1(a)〜(c)に示す。図1(a)に示す光学積層体30Aは、1層のコレステリック液晶の層からなる偏光選択層20aと広帯域1/4波長板12とを、接着層11bを介して積層したものである。図1(b)に示す光学積層体30Bは、入射光に対する選択反射の中心波長が異なる3種類のコレステリック液晶層(13a、13b,13c)を、接着層(11c,11d)を介して順次積層してなる偏光選択層20bと、広帯域1/4波長板12とを、接着層11bを介して積層したものである。また、図1(c)に示す光学積層体30Cは、螺旋のピッチが厚さ方向に対して連続的に変化する構造をもつ偏光選択層20cと、広帯域1/4波長板12とを、接着層11bを介して積層したものである。
【0067】
本発明の光学積層体は、特に耐熱性に優れるものであり、高温下で長期にわたって連続使用した場合であっても、安定した輝度向上効果を発揮する。具体的には、80℃の高温下において500時間の長期にわたって連続使用した場合であっても、連続使用前の輝度の80%以上を維持することができる。
【0068】
また、本発明の光学積層体を、サイドライト型導光板等の適宜な面光源とを組み合わせて用いることにより、偏光選択層による反射円偏光を偏光解消して出射光として再利用することで反射ロスをなくすことができる。また、その出射光を偏光選択層が積層された光学積層体を介して位相制御して偏光板透過性の直線偏光成分を豊富に含む状態に変換することで、偏光板による吸収ロスを防止して輝度の向上を図ることができる。
【0069】
3)光学素子
本発明の光学素子は、本発明の光学積層体と偏光板を積層してなる。
偏光板としては、特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、ヨウ素系偏光板、二色性染料を用いる染料系偏光板、ポリエン系偏光板等が挙げられる。これらの偏光板のうち、ヨウ素系偏光板及び染料系偏光板は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを延伸し、これにヨウ素あるいは二色性染料を吸着させることによって製造することができる。
【0070】
本発明の光学素子においては、光学素子の偏光板の面側に保護フィルムを積層することも可能である。
保護フィルムとしては、光学異方性が高い材料からなるものが好ましい。具体的には、セルロースエステルが挙げられ、中でもトリアセチルセルロースが特に好ましい。保護フィルムは、偏光板の機械的強度や耐熱性を向上させ、偏光板を湿度等から保護し、偏光板がポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させたものである場合には、ヨウ素の昇華を防止する役割を果たす。
【0071】
本発明の光学素子においては、偏光板を、本発明の光学積層体の広帯域1/4波長板の面側に積層することが好ましく、広帯域1/4波長板の1/2波長板の面側に積層することがさらに好ましい。そして、偏光板を1/2波長板の面側に積層する際、前記1/2波長板が脂環式構造含有重合体樹脂からなるものであることが好ましい。偏光板を、脂環式構造含有重合体樹脂からなる1/2波長板に積層することにより、接着層を介して偏光板を直接積層することができ、保護フィルムを1枚省略することができる。例えば、ポリビニルアルコールの長尺のフィルムを延伸し、ヨウ素を吸着させ、保護フィルムを兼ねた長尺の脂環式構造含有重合体樹脂からなる1/2波長板とを積層し、乾燥し、次いで巻き取るといった工程を1本のラインで行なうことができるので、生産効率を高めることができ、工程数を減らすことができる。
広帯域1/4波長板の1/2波長板の面側に偏光板を積層するときの偏光板の偏光透過軸と1/2波長板の遅相軸との交差角度は、好ましくは10〜20度、さらに好ましくは12.5〜17.5度である。この場合、偏光板の偏光透過軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向となる。
【0072】
偏光板と本発明の光学積層体又は保護フィルムとの積層は、通常、接着層を介して行なう。
接着層の形成に用いる接着剤としては、所期の接着力を有し、透明性に優れるものであれば特に限定されない。積層する偏光板及び光学積層体の光学特性の変化を防止する観点から、接着剤の硬化や乾燥の際に高温のプロセスを要しないものが好ましく、長時間の硬化処理や乾燥時間を要しないものがより好ましい。具体的には、アクリル樹脂系やエポキシ系の接着剤等が挙げられる。
【0073】
本発明の光学素子40の層構成例を図2に示す。この光学素子40は、接着層11fを介して、広帯域1/4波長板12と偏光板14とを、1/2波長板10aの遅相軸と偏光板14の偏光透過軸とのなす角度が10〜20度になるように積層し、さらに、接着層11eを介して偏光板14の表面に保護フィルム15を積層したものである。
【0074】
本発明の光学素子は、本発明の光学積層体を使用するものであるので、優れた光学特性を有し、かつ、光学特性の安定性に優れる。本発明の光学素子は、種々の光学製品の反射防止層等として利用することができる。
【0075】
4)光学製品
本発明の光学製品は、本発明の光学素子を備えることを特徴とする。本発明の光学製品の好ましい具体例としては、反射型液晶表示装置、タッチパネル、エレクトロルミネッセンス表示装置等が挙げられる。以下、本発明の光学素子を備える光学製品として反射型液晶表示装置を例にとって詳細に説明する。
【0076】
本発明の液晶表示装置は、本発明の光学素子を用いる点を除いて特に限定はなく、従来法に準じた方法により製造することができる。本発明の反射型液晶表示装置は、印加電圧が低いときに明表示、高いときに暗表示であるノーマリーホワイトモードでも、印加電圧が低いときに暗表示、高いときに明表示であるノーマリーブラックモードでも用いることができる。
【0077】
本発明の反射型液晶表示装置の層構成例を図3に示す。図3中、50は光源、60は光源ホルダ、70は導光板、80は反射層である。導光板70の上方には、拡散板16a、本発明の光学素子40、液晶表示セル17、偏光板14b及び拡散板16bがこの順で積層されている。本発明の光学素子40は、偏光分離層20側の面が拡散板16aと、偏光板14a側の面が液晶表示セル17とそれぞれ接するように設置されている。側面に配置された光源50からの光は、導光板70に入射し、上方(偏光分離層20側)に出射する。偏光分離層20に入射した光は、左右いずれか一方の円偏光が透過し、他方の円偏光は反射して導光板70に再入射する。導光板に再入射した光は、下面の反射層80で反射する。この反射時に円偏光の回転向きが反転する。そして、再び偏光分離層20に入射し、透過光と反射光に再度分離される。これにより、光源50から出射した光の有効利用が図られ、輝度向上の効果を得ることができる。
【0078】
光源50としては特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。導光板70としては、その形状が入射面に対向する側端部の厚さが入射面のそれよりも薄い形状のもの(くさび型)が好ましい。また、出射面よりの出射効率に優れ、その出射面に対する垂直性に優れて出射光の有効利用を図ること等の観点から、微細なプリズム状凹凸を有する構造のものが好ましい。導光板70は、ノルボルネン系重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン等の透明性を有する材料で形成することができる。また、反射層80は、メッキ層、金属蒸着層、金属箔、金属蒸着シート、メッキシート等により適宜に形成することができる。反射層は、導光板の対向面に一体化されていてもよいし、反射シート等として導光板と重ね合わせて形成されいてもよい。液晶表示セル17に用いられる液晶モードは特に限定されない。液晶モードとしては、例えば、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Aligned Nematic)型等が挙げられる。また、偏光板14bとしては特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。
【0079】
本発明の液晶表示装置は、本発明の光学積層体を有しているので、優れた輝度向上効果を有し、かつ、この輝度向上効果を長期にわたって安定して発揮するものである。
【0080】
【実施例】
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。これらの例中の[部]及び[%]は、特に断りのない限り重量基準である。ただし、本発明は、以下の製造例及び実施例に限定されるものではない。
【0081】
各種の物性の測定は,下記の方法に従って行なった。
(1)分子量
シクロヘキサンを溶媒にしてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
(2)分子量分布
シクロヘキサンを溶媒にしてGPCで測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)を算出した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
JIS K7121に基づいてDSCにて測定した。
(4)水素添加率
重合体の主鎖及び芳香環の水素添加率(%)は、1H−NMRにて測定し、これから算出した。
(5)フィルムの残留揮発成分量の測定
分子量200以下の成分をガスクロマトグラフィーにより定量し、これを残留揮発成分量とした。
【0082】
(6)フィルムの膜厚み
オフライン厚み測定装置(型式:TOF−4R、山文電気(株)製)を用いて測定した。
(7)延伸フィルムの飽和吸水率の測定
JIS K7209に基づいて測定した。
(8)レターデーション値(Re)の測定
王子計測機器(株)製 KOBRA−21AADHを使用して測定した。
(9)色度及び法線方向輝度の測定
トプコン(株)製分光放射計SR−3を用いて測定を行った。
(10)ヘイズの測定
JIS K7136「プラスチックの光学的特性試験方法」に準じ、積分球式透過率測定装置により測定した。測定装置として、日本電色工業株式会社製の濁度計(NDH−300A)を使用した。
【0083】
(製造例1)
脱水したシクロヘキサン500部に、窒素雰囲気下、1−ヘキセン0.82部、ジブチルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下「DCP」と略記する。)80部、7,8−ベンゾトリシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(メタノテトラヒドロフルオレン、以下、「MTF」と略記する。)50部、及びテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(テトラシクロドデセン、以下、「TCD」と略記する。)70部からなるノルボルネン系単量体混合物と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)40部とを、2時間かけて連続的に添加して重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し、重合反応を停止させた。
【0084】
次に、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学(株)製)5部を加え、水素により5MPaに加圧して攪拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCP/MTF/TCD開環共重合体水素化物ポリマーを20%含有する反応溶液を得た。
【0085】
得られた水素化ポリマー中の各ノルボルネン系単量体の共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類の組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、DCP/MTF/TCD=40/25/35でほぼ仕込み組成に等しかった。ろ過により水素化触媒を除去した後、酸化防止剤(化合物名:テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、商品名:イルガノックス1010、チバスペシャリティ・ケミカルズ社製)を、得られた溶液に添加して溶解させた(酸化防止剤の添加量は、重合体100部あたり0.1部)。次いで、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所(株)製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発性成分を除去することにより、ペレット状の開環重合体水素化物(水素化ポリマー)を得た。この水素化ポリマーの重量平均分子量(Mw)は35,000、分子量分布は2.1、水素添加率は99.9%、Tgは134℃であった。
【0086】
(製造例2)
上記で得たペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて120℃で4時間乾燥した後、65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機を使用し、溶融樹脂温度240℃、Tダイの幅500mmの成形条件で、厚さ100μmのフィルムを押出成形した。
次に、このフィルムを100mm/秒の延伸速度、延伸温度140℃の自由収縮の一軸延伸によって延伸し、以下の2種類の波長板を製造した。
延伸倍率1.5倍に延伸したもの:1/2波長板(A1)
延伸倍率1.3倍に延伸したもの:1/4波長板(B1)
【0087】
波長板(A1)及び波長板(B1)の揮発成分量及び飽和吸水率を上記方法により測定したところ、波長板(A1)及び波長板(B1)とともに0.007%であった。また、波長板(A1)及び波長板(B1)の波長550nmのレターデーション値〔Re(550)〕は、それぞれ、265nm、132.5nmであり、Re(550)と、波長450nmのレターデーション値〔Re(450)〕との比Re(450)/Re(550)はいずれも1.0051であった。
【0088】
市販の二液型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂の酢酸エチル溶液、日本ポリウレタン社製、WWA−608S、硬化剤:ポリイソシアネートの酢酸エチル溶液、日本ポリウレタン社製、HARDENER110)を、主剤:硬化剤=100:10の重量比で混合し、これに酢酸ブチル及びシクロヘキサンを、いずれも固形分に対して2%となるように添加し、次いで、全固形分濃度が20%となるように酢酸エチルで希釈した。これを接着剤1とする。
【0089】
上記の波長板(A1)の片面に接着剤1をロールコーターを用いて塗布し、100℃の温風を風速10m/秒で90秒間吹き付けて接着剤を乾燥させた。次いで、上記波長板(A1)の接着剤を塗工した面に、上記波長板(B1)を、それぞれの遅相軸の角度が59度になるように張り合わせ、熱圧着ロールにより70℃で圧着し、40℃で3日間エージングして、広帯域1/4波長板(C1)を得た。
【0090】
(製造例3)
厚さ50μmのポリカーボネートフィルムを150℃で50%延伸処理し、波長550nmの光に対して1/2波長の位相差を与える1/2波長板(A2)を得た。同様に、厚さ50μmのポリカーボネートフィルムを150℃で25%延伸処理し、波長550nmの光に対して1/4波長の位相差を与える1/4波長板(B2)を得た。次いで、得られた1/2波長板(A2)と1/4波長板(B2)をそれぞれの光軸が66度の角度で交差するようにアクリル系粘着剤を介して積層して広帯域1/4波長板(C2)を得た。
【0091】
(実施例1)光学積層体の製造
ガラス転移温度が異なる3種のアクリル系主鎖の側鎖型コレステリック液晶ポリマーを、厚さ30mmのアセチルセルロースフィルムのポリイミドラビング処理面に、スピンコート法により成膜(厚さ2μm)した。次いで、所定温度に加熱して急冷することにより、選択反射の中心波長が470nm、550nm、640nmの3層のコレステリック液晶層を当該順序で順次積層したコレステリック液晶層積層体を得た。これを偏光選択層とした。次いで、得られたコレステリック液晶層積層体の選択反射の中心波長が640nmのコレステリック液晶層の上面に、製造例2で得た広帯域1/4波長板(C1)を、アクリル系粘着剤を使用して貼り合わせて(波長板(C1)の1/4波長板側を接着面とする)、光学積層体(D1)を得た。
【0092】
(実施例2)光学積層体の製造
偏光選択層として、3層のコレステリック液晶層を当該順序で順次積層したコレステリック液晶層積層体に代えて、紫外線照射による光重合にて得た厚み15μmの高分子コレステリック液晶フィルム(厚み方向に液晶のヘリカル軸があり、可視光領域で円偏光二色性を示すもの)をコレステリック液晶層として用いた以外は、実施例1と同様にして光学積層体(D2)を得た。
【0093】
(比較例1)光学積層体の製造
広帯域1/4波長板として広帯域1/4波長板(C2)を使用する以外は実施例1と同様にして光学積層体(D3)を得た。
【0094】
(比較例2)光学積層体の製造
広帯域1/4波長板として広帯域1/4波長板(C2)を使用する以外は実施例2と同様にして光学積層体(D4)を得た。
【0095】
(実施例3)光学素子の製造
直線偏光膜(商品名:LLC2−9218、サンリッツ社製)の片面に光学積層体(D1,光学積層体(D1)の1/2波長板側を接着面とする)、もう一方の面側にトリアセチルセルロースからなる保護フィルムをウレタン系接着剤を使用した接着層を介してそれぞれ積層し、この積層体を加圧ローラーのニップに供給し圧着して貼り合せることにより、光学素子(E1)を得た。
【0096】
(実施例4)光学素子の製造
偏光膜(商品名:LLC2−9218、サンリッツ社製)の両面にトリアセチルセルロースからなる保護フィルムをウレタン系接着剤を使用した接着層を介して積層し、さらにこの積層体の片面に前記光学積層体(D1)をウレタン系接着剤を使用した接着層を介して積層した(光学積層体(D1)の1/2波長板側を接着面とする)。得られた積層体を加圧ローラーのニップに供給し圧着して貼り合せることにより、光学素子(E2)を得た。
【0097】
(実施例5)光学素子の製造
光学積層体(D1)に代えて、光学積層体(D2)を用いる以外は実施例4と同様にして、光学素子(E3)を得た。
【0098】
(実施例6)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D1)をギヤオーブン中、80℃で500時間放置したものを使用する以外は、実施例3と同様にして光学素子(E4)を得た。
【0099】
(実施例7)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D1)をギヤオーブン中、80℃で500時間放置したものを使用する以外は、実施例4と同様にして光学素子(E5)を得た。
【0100】
(実施例8)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D2)をギヤオーブン中、80℃で500時間放置したものを使用する以外は、実施例5と同様にして光学素子(E6)を得た。
【0101】
(比較例3)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D1)に代えて、光学積層体(D3)を用いる以外は実施例3と同様にして、光学素子(E7)を得た。
【0102】
(比較例4)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D1)に代えて、光学積層体(D3)を用いる以外は実施例4と同様にして、光学素子(E8)を得た。
【0103】
(比較例5)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D1)に代えて、光学積層体(D4)を用いる以外は実施例4と同様にして、光学素子(E9)を得た。
【0104】
(比較例6)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D3)をギヤオーブン中、80℃で500時間放置したものを使用する以外は、実施例3と同様にして光学素子(E10)を得た。
【0105】
(比較例7)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D3)をギヤオーブン中、80℃で500時間放置したものを使用する以外は、実施例4と同様にして光学素子(E11)を得た。
【0106】
(比較例8)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D4)をギヤオーブン中、80℃で500時間放置したものを使用する以外は、実施例4と同様にして光学素子(E12)を得た。
【0107】
上記で得た光学素子(E1)〜(E12)のそれぞれについて、上記の測定方法により、法線方向輝度、ヘイズ及び色度を測定した。測定結果を第1表に示す。また、比較例9として、偏光板のみのものについても同様に測定した。
【0108】
【表1】
【0109】
第1表より、実施例3〜5の光学素子(E1)〜(E3)は、比較例3〜5の光学素子(E7)〜(E9)と同等又はそれ以上の優れた輝度向上効果、及びヘイズを有していた。ここで、実施例5の法線方向の輝度よりも比較例3の法線方向の輝度が高いのは、実施例5で使用している偏光選択層が1層からなるものであるのに対して、比較例3で使用している偏光選択層は3層からなるものであるためである。また、耐熱試験(80℃、500時間)後の光学積層体を使用して得られた実施例6〜8の光学素子(E4)〜(E6)は、同じく耐熱試験(80℃、500時間)後の光学積層体を使用して得られた比較例6〜8の光学素子(E10)〜(E12)のものに比して優れた耐熱性を有しており、法線方向輝度の変化が非常に少なかった。すなわち、実施例3〜5の光学素子(E1)〜(E3)は、耐熱試験(80℃、500時間)後(光学素子(E4)〜(E6)にそれぞれ対応している)においても、輝度向上効果の低下がほとんど認められなかったことを示している。これに対して、比較例3〜5の光学素子(E7)〜(E9)では、耐熱試験(80℃、500時間)後(光学素子(E10)〜(E12)にそれぞれ対応している)において、法線方向輝度、ヘイズ及び色調の変化が見られた。
【0110】
(実施例9)反射型液晶表示装置の製造
実施例3で得た光学素子2枚を用意し、下記の環境(I,II)に放置した後、図3に示すような層構成を有する反射型液晶表示装置にそれぞれ組み込んだ。
環境(I):温度25℃、湿度40%の環境下に30日間放置
環境(II):温度25℃、湿度80%の環境下に30日間放置
【0111】
環境(I)に放置した光学素子(E1)を組み込んだ液晶表示装置と、環境(II)に放置した光学素子(E1)を組み込んだ液晶表示装置とは、光学性能(偏光度、光利用率、均一な白色光であること等)に変化が見られず、良好な耐久性を有していることがわかった。
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、液晶ディスプレイ上に設置して使用した場合に、表示の鮮明度に優れ、高温高湿下等で長期に使用してもその輝度向上効果が低下せず、広波長帯域において使用可能な光学積層体、光学素子及び光学製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の光学積層体の層構成を示した図である。図中、(a)は偏光分離層が1層のコレステリック液晶層からなるもの、(b)は偏光分離層が3層のコレステリック液晶層の積層体からなるもの、(c)は偏光分離層が、厚さ方向に対して連続的に螺旋のピッチが変化しているコレステリック液晶層からなるものである。
【図2】図2は、本発明の光学素子の構成を示した図である。
【図3】図3は、本発明の反射型液晶表示装置の構成を示した図である。
【符号の説明】
10a…1/2波長板、10b…1/4波長板、11a、11b、11c、11d、11e、11f…接着層、12…広帯域1/4波長板、13a、13b、13c…コレステリック液晶層、14、14a、14b…偏光板、15…保護層、16a、16b…拡散版、17…液晶表示セル、20,20a、20b、20c…偏光選択層、30A、30B、30C…光学積層体、40…光学素子、50…光源、60…光源ホルダー、70…導光板、80…反射層
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期にわたって安定した輝度向上効果を発揮する光学積層体、該光学積層体に偏光板を積層してなる光学素子、及び該光学素子を備える光学製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ(LCD)は、高画質、薄型、軽量、低消費電力等の特徴をもち、テレビジョン、パーソナルコンピュータ等のフラットパネルディスプレイとして広く用いられている。しかし、ノート型パーソナルコンピュータ等に用いられている透過型のカラー液晶は、偏光板やカラーフィルターまで含めた光透過率が低く、バックライトから出射される光エネルギーの利用効率が低いため、必ずしも光エネルギーの利用効率が高いとは言えない。従って、LCDパネルの光透過率を改善し、バックライトの光エネルギーの利用効率を高めることは重要な技術的課題となっている。
【0003】
かかる問題を解決すべく、偏光子と保護層からなる偏光板に輝度向上フィルムを貼り合わせることが提案されている。輝度向上フィルムは、液晶表示装置等のバックライトや裏側からの反射により自然光が入射すると所定の偏光軸の直線偏光又は所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を有する。従って、偏光子と保護層からなる偏光板に輝度向上フィルムを貼り合わせることにより、▲1▼バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得るとともに、前記所定偏光状態以外の光を反射し、▲2▼輝度向上フィルム面で反射した光をさらにその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて透過光の増量を図り、▲3▼それとともに、偏光子に吸収されにくい偏光を供給して液晶画像表示等に利用し得る光量の増大を図ることができる。
【0004】
このような輝度向上フィルムとして、特許文献1、2には、3種類の反射波長の異なる偏光選択層とネマチック液晶からなるλ/4位相差板との積層体である輝度向上フィルムが提案されている。
【0005】
また特許文献3には、可視光の少なくとも一部の波長の光を選択反射するコレステリック液晶層からなる可視光反射偏光層と、該可視光反射偏光層とは異なる光学的機能を有する少なくとも1層の液晶層からなる光学層とが積層一体化してなり、前記可視光反射偏光層と光学層の液晶層が同じ化合物を主成分としている液晶層からなる光学フィルムが提案されている。しかしながら、これらの特許文献に記載されている輝度向上フィルムを用いると、特に高温高圧下で長期間使用したときに、著しい輝度低下がおこったり、色むらが発生する問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−232313号公報
【特許文献2】
特開2002−90533号公報
【特許文献3】
特開2001−330731号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、優れた輝度向上効果を有し、高温高湿下で長時間使用された場合であっても、安定した輝度向上効果を発揮する光学積層体、この光学積層体に偏光板を積層してなる光学素子及びこの光学素子を備える光学製品を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく1/4波長板と偏光選択層とを積層する光学積層体について鋭意検討を加えた。その結果、1/4波長板として、1/2波長板と1/4波長板とを貼り合せてなる積層体であって、少なくとも一方の波長板が脂環式構造含有重合体樹脂からなる樹脂フィルムである広帯域1/4波長板を用い、この広帯域1/4波長板に偏光選択層を積層すると、可視領域全体の波長の光に対し優れた輝度向上効果を有し、高温高湿下で長時間使用する場合であっても、安定した輝度向上効果を発揮する光学積層体を効率よく得ることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0009】
かくして本発明の第1によれば、広帯域1/4波長板(C)に偏光選択層を積層してなる光学積層体であって、広帯域1/4波長板(C)が、1/2波長板(A)と1/4波長板(B)との積層体であり、1/2波長板(A)又は1/4波長板(B)が脂環式構造含有重合体樹脂からなることを特徴とする光学積層体が提供される。
【0010】
本発明の光学積層体においては、前記広帯域1/4波長板(C)が、1/2波長板(A)と1/4波長板(B)との積層体であって、次の(i)〜(v)のいずれかであるのが好ましい。
【0011】
(i)1/2波長板(A)及びl/4波長板(B)のいずれもが、波長550nmで測定したレターデーション値〔Re(550)〕と波長450nmで測定したレターデーション値〔Re(450)〕との比Re(450)/Re(550)が1.007以下である広帯域1/4波長板。
(ii)波長550nmで測定した、1/2波長板(A)のレターデーション値Re(550)Aが(265±10)nmであり、1/4波長板(B)のレターデーション値Re(550)Bが〔Re(550)A/2±5〕nmである広帯域1/4波長板。
(iii)1/2波長板(A)の遅相軸と、1/4波長板(B)の遅相軸との交差角が55〜65度となるように、1/2波長板(A)と1/4波長板(B)とを積層してなる広帯域1/4波長板。
(iv)1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)のいずれもが、揮発成分含有量が0.1重量%以下である広帯域1/4波長板。
(v)1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)のいずれもが、飽和吸水率が0.01%以下である広帯域1/4波長板。
【0012】
また、本発明の光学積層体は、偏光選択層がコレステリック液晶から形成されてなるものが好ましい。
【0013】
本発明の第2によれば、本発明の光学積層体と偏光板とを積層してなる光学素子が提供される。
本発明の第3によれば、本発明の光学素子を備える光学製品が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光学積層体、光学素子及び光学製品を詳細に説明する。
1)光学積層体
本発明の光学積層体は、広帯域1/4波長板(C)に偏光選択層を積層してなる。
(1)広帯域1/4波長板(C)
本発明の光学積層体に用いる広帯域1/4波長板(C)は、1/2波長板(A)と1/4波長板(B)との積層体であり、1/2波長板(A)又は1/4波長板(B)が脂環式構造含有重合体樹脂からなることを特徴とする。本発明においては、1/2波長板(A)又は1/4波長板(B)の少なくとも一方が脂環式構造含有重合体樹脂からなるものであればよいが、1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)のいずれもが脂環式構造含有重合体樹脂からなるものであるのが特に好ましい。
【0015】
本発明の光学積層体において、1/2波長板(A)又は1/4波長板(B)の一方が脂環式構造含有重合体樹脂からなる場合、他の一方に使用できるものとしては、ポリメタクリル酸メチル系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂などの非晶性の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0016】
脂環式構造含有重合体樹脂は、重合体樹脂の繰り返し単位中に脂環式構造を有するものである。本発明においては、主鎖中に脂環式構造を有する重合体樹脂及び側鎖に脂環式構造を有する重合体樹脂のいずれも用いることができる。
脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜15個である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にあると、耐熱性及び柔軟性に優れた延伸フィルムが得られる。
【0017】
脂環式構造を有する重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。脂環式構造含有重合体樹脂における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は、使用目的に応じて適宜選択される。
【0018】
脂環式構造含有重合体樹脂の具体例としては、(a)ノルボルネン系重合体、(b)単環の環状オレフィン重合体、(c)環状共役ジエン系重合体、(d)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(a)〜(d)の水素化物等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び機械的強度に優れること等から、ノルボルネン系重合体水素化物、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素化物が好ましく、ノルボルネン系重合体の水素化物がより好ましい。
【0019】
ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系単量体を主成分とする単量体の重合体である。
ノルボルネン系重合体の具体例としては、(a−1)ノルボルネン系単量体の開環重合体、(a−2)ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、(a−3)ノルボルネン系単量体の付加重合体、(a−4)ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体、及び(a−1)〜(a−4)の水素化物等が挙げられる。
【0020】
ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,8−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(環に置換基を有するもの)等を挙げることができる。ここで、置換基としては、アルキル基、アルキレン基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
ノルボルネン系単量体と共重合可能な他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;等が挙げられる。
【0022】
ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を開環重合触媒の存在下に(共)重合することにより得ることができる。用いる開環重合触媒は、通常使用される公知のものを使用すればよい。
【0023】
ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。用いる付加重合触媒は、通常使用される公知のものを使用すればよい。
【0024】
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、エチレン、プロピレン等の炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
【0025】
単環の環状オレフィン系重合体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の付加重合体等が挙げられる。
また、環状共役ジエン系重合体としては、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系単量体を1,2−付加重合又は1,4−付加重合した重合体等が挙げられる。
【0026】
ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体及び環状共役ジエンの重合体の分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す。)で測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜100,000、好ましくは25,000〜80,000、より好ましくは25,000〜50,000である。重量平均分子量がこの範囲にあるときに、成形体の機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされ好適である。
【0027】
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニルシクロアルケン又はビニルシクロアルカン由来の繰り返し単位を有する重合体である。ビニル脂環式炭化水素重合体としては、ビニルシクロヘキサン等のビニル基を有するシクロアルカン、ビニルシクロヘキセン等のビニル基を有するビニルシクロアルケン等のビニル脂環式炭化水素化合物の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物の重合体の芳香族部分水素化物等が挙げられる。
【0028】
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニル脂環式炭化水素化合物やビニル芳香族炭化水素化合物と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体等の共重合体及びその水素化物であってもよい。ブロック共重合としては、ジブロック、トリブロック、又はそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合等が挙げられるが、特に制限されない。
【0029】
ビニル脂環式炭化水素重合体の分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いたGPCにより測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000である。この範囲であるときに、成形体の機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされ好適である。
【0030】
ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン系重合体及びビニル脂環式炭化水素重合体の水素化物は、公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素化することによって得られる。
【0031】
本発明においては、これらの中でも、脂環式構造含有重合体樹脂であり、該重合体樹脂が、繰り返し単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、脂環式構造含有重合体樹脂の繰り返し単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、XとYとの含有割合の重量比が、X:Y=100:0〜40:60であるものが好ましい。このような樹脂を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる位相差フィルムを得ることができる。
【0032】
このような脂環式構造含有重合体樹脂を得る手段としては、具体的には、ポリマーとして繰り返し単位Xを得ることができるモノマーと、ポリマーとして繰り返し単位Yを得ることができるモノマーとの共重合比でコントロールする方法や、繰り返し単位Xを有するポリマーと、繰り返し単位Yを有するポリマーとのブレンド比でコントロールする方法が挙げられる。
【0033】
ポリマーとして繰り返し単位Xを得ることができるモノマーとしては、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.10,5]デカ−3−エン及びその誘導体等のノルボルネン環に五員環が結合した構造を有するノルボルネン系単量体が挙げられる。また、ポリマーとして繰り返し単位Yを得ることができるモノマーとしては、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3,7−ジエン及びその誘導体(環に置換基を有するもの)が挙げられる。
【0034】
本発明の1/2波長板(A)及び/又は1/4波長板(B)に用いる脂環式構造含有重合体樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1.0〜10.0、好ましくは1.0〜4.0、より好ましくは1.2〜3.5の範囲である。
【0035】
本発明に用いる脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは80℃以上、より好ましくは130〜200℃の範囲である。このような範囲において、高温下での使用においても変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
【0036】
本発明においては、1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)の少なくとも一方を上記脂環式構造含有重合体樹脂を用いて製造する。具体的には、上記脂環式構造含有重合体樹脂をシート状に成形し延伸する。この方法によれば、簡便に光学性能に優れる1/2波長板(A)及び/又は1/4波長板(B)を製造できる。
【0037】
脂環式構造含有重合体樹脂をシー卜状に成形する方法としては、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも用いることができるが、シー卜中の揮発成分を低減させる観点から加熱溶融成形法を用いることが好ましい。加熱溶融成形法は、さらに詳細に、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法等に分類できる。これらの中でも、機械的強度、表面精度等に優れた波長板を得るためには、溶融押出成形法を用いるのが好ましい。成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、溶融押出成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜400℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定される。
上記未延伸シートの厚みは、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
【0038】
また、未延伸シートを製造する場合においては、本発明の目的を阻害しない範囲内で、他の添加剤を添加してもよい。他の添加剤としては、クレー、タルク、シリカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト等の無機微粒子;炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤、高級アルコール系滑剤、脂肪酸アマイド系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、金属石鹸系滑剤等の滑剤;リン酸エステル、カルボン酸エステル等の可塑剤;酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン類等の劣化防止剤等が挙げられる。これらの他の添加剤の添加量は、熱可塑性樹脂に対して、通常0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%である。
【0039】
上記シートの延伸は、樹脂のガラス転移温度をTgとするとき、好ましくは(Tg−30℃)から(Tg+60℃)の温度範囲、より好ましくは(Tg−10℃)から(Tg+50℃)の温度範囲にて、1.01〜2倍の延伸倍率で行う。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよい。延伸方法としては、自由収縮一軸延伸法、幅固定一軸延伸法、テンター延伸法等が挙げられるが、特に制限されない。また、延伸速度は、好ましくは5〜1000mm/秒、より好ましくは10〜750mm/秒である。延伸速度が上記範囲にあると、延伸制御が容易となり、さらに面精度やレターデーションの面内バラツキが小さい波長板が得られる。
上記延伸後のシートの厚みは、好ましくは5〜250μm、より好ましくは10〜180μmである。
【0040】
1/2波長板(A)と1/4波長板(B)とを積層する方法としては、粘接着剤により貼り合せる方法、熱溶着や超音波融着により貼り合せる方法、共押出法等の、波長板を貼り合せる公知の方法が採用できるが、広帯域1/4波長板(C)としてより広い波長領域で使用でき、耐久性にも優れたものとするためには、粘接着剤を用いて積層する方法が好ましい。
【0041】
このようにして得られる広帯域1/4波長板(C)において、1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)の波長550nmでの面内のレターデーション値(Re)のバラツキは±10nmであり、好ましくは±5nm、より好ましくは±3nm、さらに好ましくは±2nmである。l/2波長板(A)及び1/4波長板(B)のReのバラツキが上記範囲にあると、両者を積層して得られる広帯域1/4波長板(C)は光学的均一性に優れたものとなる。例えば、本発明の広帯域1/4波長板(C)を偏光板に接着して円偏光板とし、それをディスプレイ等の表面反射を抑制するための反射防止フィルターとして用いた場合に反射光が部分的に着色する等の不具合がなくなる。
【0042】
本発明に用いる広帯域1/4波長板(C)は、レターデーション値(Re)と波長λの比Re/λの値が、波長400nm〜700nmの広い領域に亘って殆ど変化しない。Re(450)/Re(550)が1.007を超えると、反射型液晶ディスプレイ上に設置したときに、ディスプレイのコントラストの鮮明度が低下する。
【0043】
本発明に用いる広帯域1/4波長板(C)は、波長550nmで測定した、1/2波長板(A)のレターデーション値Re(550)Aが、好ましくは〔265±10〕nm、より好ましくは〔265±3〕nmであり、1/4波長板(B)のレターデ−ション値Re(550)Bが、好ましくは〔Re(550)A/2±5〕nm、より好ましくは〔Re(550)A/2±3〕nmである。Re(550)Aが〔265±10〕nmの範囲にあり、Re(550)Bが〔Re(550)A/2±5〕nmの範囲にあると、広帯域で位相差むらの少ない1/4波長板(C)が得られる。
【0044】
本発明に用いる広帯域1/4波長板(C)は、1/2波長板(A)の遅相軸と、1/4波長板(B)の遅相軸との交差角が好ましくは55〜65度、より好ましくは57〜63度となるように積層されてなる。それぞれの波長板の遅相軸の交差角が上記範囲にあると、広帯域性に優れた1/4波長板(C)が得られる。ここで、遅相軸は、波長板に直線偏光を入射させた際に、位相の遅れが最大になる方向であり、波長板が樹脂フィルムを延伸したものである場合、通常はその延伸方向、又はそれと直交する方向である。
【0045】
また、本発明に用いる広帯域1/4波長板においては、1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)の揮発成分含有量がいずれも0.1重量%以下であることが好ましい。揮発成分含有量が0.1重量%を超えると、使用時に揮発成分が外部に放出されて波長板に寸法変化が生じて内部応力が発生することにより、液晶表示装置、特に反射型液晶表示装置に用いた場合に黒表示が部分的に薄くなる(白っぽく見える)等の表示むらが発生するおそれがある。
【0046】
さらに本発明の広帯域1/4波長板においては、1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)の飽和吸水率がいずれも0.01重量%以下であることが好ましく、0.007重量%以下であるのがより好ましい。飽和吸水率が0.01重量%を超えると、使用時の吸湿により波長板に寸法変化が生じて内部応力が発生することにより、液晶表示装置、特に反射型液晶表示装置に用いた場合に、黒表示が部分的に薄くなる(白っぽく見える)等の表示むらが発生するおそれがある。
【0047】
5)長尺の光学積層体
本発明の光学積層体は、本発明の広帯域1/4波長板(C)に偏光選択層を積層してなることを特徴とする。
偏光選択層は、右円偏光又は左円偏光のどちらか一方の光を反射し、他方の光を透過させる性質(選択反射性又は旋光選択性)を有するものであれば、特に制約されない。なかでも、液晶、特にグランジャン配向のコレステリック液晶が性能特性に優れるため好ましい。
【0048】
グランジャン配向のコレステリック液晶層(以下、単にコレステリック液晶層という)は、液晶分子が層の面方向に配向しつつ、厚み方向に螺旋を描くような規則的なねじれ配向を有する液晶層である。コレステリック液晶層においては、その螺旋ピッチ(液晶分子が360度回転するのに必要な厚み)と液晶分子の屈折率異方性に応じて、特定の波長域で旋光性と選択反射性という光学的性質を示すことが知られている(例えば、液晶とディスプレイ応用の基礎、コロナ社、ISBN4−339−00620−3)。さらにコレステリック液晶層は、入射光のうち、ねじれ方向と同方向に回転する円偏光成分を反射し、その反射光の回転方向も同一方向となるのに対し,逆方向に回転する円偏光成分は透過させる性質を有する。
【0049】
本発明に用いるコレステリック液晶は特に制限されない。例えば、シッフ塩基系、アゾ系、エステル系、ビフェニル系等のネマチック液晶化合物の末端基に、光学活性2−メチルブチル基、光学活性4−メチルヘキシル基等の光学活性アルキル基や、光学活性2−メチルブトキシ基等の光学活性アルコキシ基が結合したカイラルネマチック液晶化合物が挙げられる。また、コレステリック液晶としては、常温固体で、かつそのカイラルな物性を固定できる点で、高分子コレステリック液晶も好ましい。
【0050】
偏光選択層は、コレステリック液晶等からなる単層でもよいが、基材と該基材上に形成された選択反射性又は旋光選択性をもつ物質(コレステリック液晶等)の層が積層されたものであってもよい。
【0051】
また、偏光選択層は、可視光の全波長領域にわたって円偏光分離機能を有したものであるのが好ましい。このような偏光選択層としては、選択的に反射する光の中心波長が異なるコレステリック液晶層を組み合わせたもの、一つのコレステリック液晶層からなり、厚み方向に対して螺旋のピッチが連続的に変化するもの等が挙げられる。
【0052】
選択反射光の中心波長が異なる複数のコレステリック液晶層を積層する方法としては、例えば、単なる重ね置き、粘着剤又は接着剤を介した接着等の方法が挙げられる。また、コレステリック液晶層は、各層で反射される円偏光の位相状態をそろえて各波長領域で異なる偏光状態となることを防止し、利用できる状態の偏光を増量する観点から、同じ方向の円偏光を反射するもの同士を組み合わせるのが好ましい。この場合には、反射光の中心波長に基づく波長順序で各コレステリック液晶層が積層されていることが、大視野角時の波長シフトを抑制する観点からより好ましい。
【0053】
反射光の中心波長に基づく波長順序でコレステリック液晶層を積層する方法としては、例えば、選択反射光の中心反射波長が470nm、550nm、640nm、770nmであるコレステリック液晶層をそれぞれ形成し、これらのコレステリック液晶層を選択反射光の中心波長の順序で接着剤層を介して積層する方法が挙げられる。
【0054】
厚み方向に対して螺旋のピッチが連続的に変化するコレステリック液晶層の形成方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
第1は、特定波長の紫外線照射により異性化してキラル化剤となる化合物を、液晶層表面(紫外線照射面)側から深さ方向に連続的に照射光強度が減衰するように、前記特定波長の紫外線を照射し、キラル化剤の存在量が表面側から深さ方向に連続的に減少した状態、すなわち、液晶の螺旋ピッチが液晶層の厚み方向に連続的に変化した状態の液晶層を得た後、前記特定波長の紫外線とは異なる波長の紫外線を液晶層に照射して、液晶層全体を硬化させることにより、この螺旋ピッチの傾斜的変化した状態を固定化させる方法である(SID’95,AsiaDisplay.,p735(1995年)、液晶.,第2巻、第2号、32−39頁(1998年)。得られるコレステリック液晶層は、深さ方向に対して連続的に螺旋構造のピッチが変化しているものであり、可視光域すべての波長帯域で円偏光分離機能を有する。
【0055】
第2は、異なる反応性をもつカイラルモノマーとネマトジェニックモノマーとの混合物の層を基板上(又は2つの平行な基板の間)に形成し、この層に対して強度が当該層にわたって変化するような照射プロファイルで光照射・重合させて、分子螺旋のピッチがコレステリック規則性をもつ光学的能動層(コレステリック液晶層)を形成する方法である(特開平6−281814号公報)。この方法は、反応性の高いモノマーは照射強度が高い位置に拡散し、反応性の低いモノマーは照射強度が低い位置へ拡散する現象を利用したものである。この方法によれば、照射強度に依存して分子螺旋のピッチが変化しているコレステリック液晶層を形成することができる。
【0056】
第3は、コレステリック規則性をもつ、重合された液晶化合物の層の表面に反応性モノマーの膜を形成し、この反応性モノマーが前記液晶化合物の層中に濃度勾配をもって拡散し、次いで、前記反応性モノマーを重合する方法である(特開平6−281814号公報)。この方法によれば、液晶化合物の層へ反応性モノマーが拡散すると、反応性モノマーの濃度分だけ前記液晶化合物の層が膨張し、結果として反応性モノマーの濃度勾配に依存した分子螺旋のピッチが変化したコレステリック液晶層を得ることができる。
【0057】
第4は、光学活性基を含有するモノマーを一成分とするコレステリック液晶ポリマーをグランジャン配向して形成した非流動層を、前記光学活性基又はその連結基に対する活性物質で複数回暴露して、前記光学活性基の含有率を厚み方向連続的に変化させることにより、厚み方向に分子螺旋のピッチが変化したコレステリック液晶層を形成する方法である(特開2001−56409号公報)。この方法は、例えば連結基としてシッフ塩基、ウレタン結合、カーボネート結合などを用いる場合には、酸(活性物質)で処理することにより、該連結基が容易に分解して、光学活性基が前記ポリマーからなくなること、及び前記活性物質の暴露量は、前記コレステリック液晶ポリマーの層の表面部分では多く、深さ方向になるに従って少なくなるという現象を利用した方法である。
【0058】
このようにして得られる偏光選択層の厚み(複数の層からなる場合には全体の厚み)は、配向の乱れや透過率低下の防止、選択反射の波長範囲(反射波長域)の広さ等の観点から、通常、1〜50μm、好ましくは2〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。また、支持基材を有する場合には、その基材を含めた合計厚みが20〜200μm、好ましくは25〜150μm、より好ましくは30〜100μmである。
【0059】
偏光選択層は、広帯域1/4波長板の1/4波長板側に積層する。偏光選択層を広帯域1/4波長板と積層する方法としては、(x)広帯域1/4波長板上に配向膜を設け、その上に直接形成する方法、(y)別のベースフィルム(剥離板)上に液晶層を形成し、広帯域1/4波長板に転写する方法、(z)別途用意したベースフィルム上に液晶層を形成し、得られた積層体を広帯域1/4波長板に貼り合せる方法等が挙げられる。
【0060】
(x)の方法では、配向膜は、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等の膜を成膜した後、レーヨン布等でラビング処理することにより形成できる。また、配向膜はSiO2の斜方蒸着することにより、あるいは高分子フィルムを延伸処理することにより形成することもできる。
【0061】
(y)及び(z)の方法で用いるベースフィルムとしては、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、エポキシ系樹脂等の合成樹脂からなる単層又は積層のフィルム、ガラス板等が挙げられる。薄膜化の観点からは、合成樹脂フィルムが好ましく、偏光状態の変化の防止により光の利用効率の向上の観点から、複屈折による位相差の小さいものが好ましい。
【0062】
ベースフィルム上に偏光選択層を形成する方法としては、例えば、ベースフィルム上に、コレステリック液晶ポリマーの溶媒溶液を、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等の公知の塗工方法で塗膜を形成し、乾燥処理する方法等が挙げられる。液晶化合物の固定化膜の溶媒としては、例えば、塩化メチレン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0063】
また、偏光選択層を形成する方法として、コレステリック液晶化合物の固定化膜の加熱溶融物、好ましくは等方層を呈する状態の加熱溶融物を、ベースフィルム上に、上述した塗工方法に準じた方法により塗膜を形成し、必要に応じて溶融温度を維持しつつ、さらに薄層に展開して固化させる方法を採用することができる。
【0064】
コレステリック液晶層を形成するために行なう加熱処理の温度は、コレステリック液晶化合物の固定化膜のガラス転移温度から等方相転移温度までの温度範囲、すなわちコレステリック液晶化合物の固定化膜が液晶を呈する温度範囲である。また、配向状態は、ガラス転移温度未満に冷却することで固定化することができる。
【0065】
(z)の方法において、ベースフィルム上に液晶層を形成し、得られた積層体を1/4波長板に貼り合わせる方法としては、両者を透明な接着剤等からなる接着層を介して重ね合わせる方法が挙げられる。用いる接着剤としては、例えば、(メタ)アクリル系ベースポリマー、ブチルゴム系ベースポリマー、シリコーン系ベースポリマー等のベースポリマーを用いたものが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル系ベースポリマーが好ましい。
偏光選択層と広帯域1/4波長板とを積層するときの接着層の厚みは特に制限されないが、通常1〜50μm程度である。
【0066】
以上のようにして得られる本発明の光学積層体の層構成例を図1(a)〜(c)に示す。図1(a)に示す光学積層体30Aは、1層のコレステリック液晶の層からなる偏光選択層20aと広帯域1/4波長板12とを、接着層11bを介して積層したものである。図1(b)に示す光学積層体30Bは、入射光に対する選択反射の中心波長が異なる3種類のコレステリック液晶層(13a、13b,13c)を、接着層(11c,11d)を介して順次積層してなる偏光選択層20bと、広帯域1/4波長板12とを、接着層11bを介して積層したものである。また、図1(c)に示す光学積層体30Cは、螺旋のピッチが厚さ方向に対して連続的に変化する構造をもつ偏光選択層20cと、広帯域1/4波長板12とを、接着層11bを介して積層したものである。
【0067】
本発明の光学積層体は、特に耐熱性に優れるものであり、高温下で長期にわたって連続使用した場合であっても、安定した輝度向上効果を発揮する。具体的には、80℃の高温下において500時間の長期にわたって連続使用した場合であっても、連続使用前の輝度の80%以上を維持することができる。
【0068】
また、本発明の光学積層体を、サイドライト型導光板等の適宜な面光源とを組み合わせて用いることにより、偏光選択層による反射円偏光を偏光解消して出射光として再利用することで反射ロスをなくすことができる。また、その出射光を偏光選択層が積層された光学積層体を介して位相制御して偏光板透過性の直線偏光成分を豊富に含む状態に変換することで、偏光板による吸収ロスを防止して輝度の向上を図ることができる。
【0069】
3)光学素子
本発明の光学素子は、本発明の光学積層体と偏光板を積層してなる。
偏光板としては、特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、ヨウ素系偏光板、二色性染料を用いる染料系偏光板、ポリエン系偏光板等が挙げられる。これらの偏光板のうち、ヨウ素系偏光板及び染料系偏光板は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを延伸し、これにヨウ素あるいは二色性染料を吸着させることによって製造することができる。
【0070】
本発明の光学素子においては、光学素子の偏光板の面側に保護フィルムを積層することも可能である。
保護フィルムとしては、光学異方性が高い材料からなるものが好ましい。具体的には、セルロースエステルが挙げられ、中でもトリアセチルセルロースが特に好ましい。保護フィルムは、偏光板の機械的強度や耐熱性を向上させ、偏光板を湿度等から保護し、偏光板がポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させたものである場合には、ヨウ素の昇華を防止する役割を果たす。
【0071】
本発明の光学素子においては、偏光板を、本発明の光学積層体の広帯域1/4波長板の面側に積層することが好ましく、広帯域1/4波長板の1/2波長板の面側に積層することがさらに好ましい。そして、偏光板を1/2波長板の面側に積層する際、前記1/2波長板が脂環式構造含有重合体樹脂からなるものであることが好ましい。偏光板を、脂環式構造含有重合体樹脂からなる1/2波長板に積層することにより、接着層を介して偏光板を直接積層することができ、保護フィルムを1枚省略することができる。例えば、ポリビニルアルコールの長尺のフィルムを延伸し、ヨウ素を吸着させ、保護フィルムを兼ねた長尺の脂環式構造含有重合体樹脂からなる1/2波長板とを積層し、乾燥し、次いで巻き取るといった工程を1本のラインで行なうことができるので、生産効率を高めることができ、工程数を減らすことができる。
広帯域1/4波長板の1/2波長板の面側に偏光板を積層するときの偏光板の偏光透過軸と1/2波長板の遅相軸との交差角度は、好ましくは10〜20度、さらに好ましくは12.5〜17.5度である。この場合、偏光板の偏光透過軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向となる。
【0072】
偏光板と本発明の光学積層体又は保護フィルムとの積層は、通常、接着層を介して行なう。
接着層の形成に用いる接着剤としては、所期の接着力を有し、透明性に優れるものであれば特に限定されない。積層する偏光板及び光学積層体の光学特性の変化を防止する観点から、接着剤の硬化や乾燥の際に高温のプロセスを要しないものが好ましく、長時間の硬化処理や乾燥時間を要しないものがより好ましい。具体的には、アクリル樹脂系やエポキシ系の接着剤等が挙げられる。
【0073】
本発明の光学素子40の層構成例を図2に示す。この光学素子40は、接着層11fを介して、広帯域1/4波長板12と偏光板14とを、1/2波長板10aの遅相軸と偏光板14の偏光透過軸とのなす角度が10〜20度になるように積層し、さらに、接着層11eを介して偏光板14の表面に保護フィルム15を積層したものである。
【0074】
本発明の光学素子は、本発明の光学積層体を使用するものであるので、優れた光学特性を有し、かつ、光学特性の安定性に優れる。本発明の光学素子は、種々の光学製品の反射防止層等として利用することができる。
【0075】
4)光学製品
本発明の光学製品は、本発明の光学素子を備えることを特徴とする。本発明の光学製品の好ましい具体例としては、反射型液晶表示装置、タッチパネル、エレクトロルミネッセンス表示装置等が挙げられる。以下、本発明の光学素子を備える光学製品として反射型液晶表示装置を例にとって詳細に説明する。
【0076】
本発明の液晶表示装置は、本発明の光学素子を用いる点を除いて特に限定はなく、従来法に準じた方法により製造することができる。本発明の反射型液晶表示装置は、印加電圧が低いときに明表示、高いときに暗表示であるノーマリーホワイトモードでも、印加電圧が低いときに暗表示、高いときに明表示であるノーマリーブラックモードでも用いることができる。
【0077】
本発明の反射型液晶表示装置の層構成例を図3に示す。図3中、50は光源、60は光源ホルダ、70は導光板、80は反射層である。導光板70の上方には、拡散板16a、本発明の光学素子40、液晶表示セル17、偏光板14b及び拡散板16bがこの順で積層されている。本発明の光学素子40は、偏光分離層20側の面が拡散板16aと、偏光板14a側の面が液晶表示セル17とそれぞれ接するように設置されている。側面に配置された光源50からの光は、導光板70に入射し、上方(偏光分離層20側)に出射する。偏光分離層20に入射した光は、左右いずれか一方の円偏光が透過し、他方の円偏光は反射して導光板70に再入射する。導光板に再入射した光は、下面の反射層80で反射する。この反射時に円偏光の回転向きが反転する。そして、再び偏光分離層20に入射し、透過光と反射光に再度分離される。これにより、光源50から出射した光の有効利用が図られ、輝度向上の効果を得ることができる。
【0078】
光源50としては特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。導光板70としては、その形状が入射面に対向する側端部の厚さが入射面のそれよりも薄い形状のもの(くさび型)が好ましい。また、出射面よりの出射効率に優れ、その出射面に対する垂直性に優れて出射光の有効利用を図ること等の観点から、微細なプリズム状凹凸を有する構造のものが好ましい。導光板70は、ノルボルネン系重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン等の透明性を有する材料で形成することができる。また、反射層80は、メッキ層、金属蒸着層、金属箔、金属蒸着シート、メッキシート等により適宜に形成することができる。反射層は、導光板の対向面に一体化されていてもよいし、反射シート等として導光板と重ね合わせて形成されいてもよい。液晶表示セル17に用いられる液晶モードは特に限定されない。液晶モードとしては、例えば、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Aligned Nematic)型等が挙げられる。また、偏光板14bとしては特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。
【0079】
本発明の液晶表示装置は、本発明の光学積層体を有しているので、優れた輝度向上効果を有し、かつ、この輝度向上効果を長期にわたって安定して発揮するものである。
【0080】
【実施例】
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。これらの例中の[部]及び[%]は、特に断りのない限り重量基準である。ただし、本発明は、以下の製造例及び実施例に限定されるものではない。
【0081】
各種の物性の測定は,下記の方法に従って行なった。
(1)分子量
シクロヘキサンを溶媒にしてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
(2)分子量分布
シクロヘキサンを溶媒にしてGPCで測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)を算出した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
JIS K7121に基づいてDSCにて測定した。
(4)水素添加率
重合体の主鎖及び芳香環の水素添加率(%)は、1H−NMRにて測定し、これから算出した。
(5)フィルムの残留揮発成分量の測定
分子量200以下の成分をガスクロマトグラフィーにより定量し、これを残留揮発成分量とした。
【0082】
(6)フィルムの膜厚み
オフライン厚み測定装置(型式:TOF−4R、山文電気(株)製)を用いて測定した。
(7)延伸フィルムの飽和吸水率の測定
JIS K7209に基づいて測定した。
(8)レターデーション値(Re)の測定
王子計測機器(株)製 KOBRA−21AADHを使用して測定した。
(9)色度及び法線方向輝度の測定
トプコン(株)製分光放射計SR−3を用いて測定を行った。
(10)ヘイズの測定
JIS K7136「プラスチックの光学的特性試験方法」に準じ、積分球式透過率測定装置により測定した。測定装置として、日本電色工業株式会社製の濁度計(NDH−300A)を使用した。
【0083】
(製造例1)
脱水したシクロヘキサン500部に、窒素雰囲気下、1−ヘキセン0.82部、ジブチルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下「DCP」と略記する。)80部、7,8−ベンゾトリシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(メタノテトラヒドロフルオレン、以下、「MTF」と略記する。)50部、及びテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(テトラシクロドデセン、以下、「TCD」と略記する。)70部からなるノルボルネン系単量体混合物と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)40部とを、2時間かけて連続的に添加して重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し、重合反応を停止させた。
【0084】
次に、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学(株)製)5部を加え、水素により5MPaに加圧して攪拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCP/MTF/TCD開環共重合体水素化物ポリマーを20%含有する反応溶液を得た。
【0085】
得られた水素化ポリマー中の各ノルボルネン系単量体の共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類の組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、DCP/MTF/TCD=40/25/35でほぼ仕込み組成に等しかった。ろ過により水素化触媒を除去した後、酸化防止剤(化合物名:テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、商品名:イルガノックス1010、チバスペシャリティ・ケミカルズ社製)を、得られた溶液に添加して溶解させた(酸化防止剤の添加量は、重合体100部あたり0.1部)。次いで、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所(株)製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発性成分を除去することにより、ペレット状の開環重合体水素化物(水素化ポリマー)を得た。この水素化ポリマーの重量平均分子量(Mw)は35,000、分子量分布は2.1、水素添加率は99.9%、Tgは134℃であった。
【0086】
(製造例2)
上記で得たペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて120℃で4時間乾燥した後、65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機を使用し、溶融樹脂温度240℃、Tダイの幅500mmの成形条件で、厚さ100μmのフィルムを押出成形した。
次に、このフィルムを100mm/秒の延伸速度、延伸温度140℃の自由収縮の一軸延伸によって延伸し、以下の2種類の波長板を製造した。
延伸倍率1.5倍に延伸したもの:1/2波長板(A1)
延伸倍率1.3倍に延伸したもの:1/4波長板(B1)
【0087】
波長板(A1)及び波長板(B1)の揮発成分量及び飽和吸水率を上記方法により測定したところ、波長板(A1)及び波長板(B1)とともに0.007%であった。また、波長板(A1)及び波長板(B1)の波長550nmのレターデーション値〔Re(550)〕は、それぞれ、265nm、132.5nmであり、Re(550)と、波長450nmのレターデーション値〔Re(450)〕との比Re(450)/Re(550)はいずれも1.0051であった。
【0088】
市販の二液型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂の酢酸エチル溶液、日本ポリウレタン社製、WWA−608S、硬化剤:ポリイソシアネートの酢酸エチル溶液、日本ポリウレタン社製、HARDENER110)を、主剤:硬化剤=100:10の重量比で混合し、これに酢酸ブチル及びシクロヘキサンを、いずれも固形分に対して2%となるように添加し、次いで、全固形分濃度が20%となるように酢酸エチルで希釈した。これを接着剤1とする。
【0089】
上記の波長板(A1)の片面に接着剤1をロールコーターを用いて塗布し、100℃の温風を風速10m/秒で90秒間吹き付けて接着剤を乾燥させた。次いで、上記波長板(A1)の接着剤を塗工した面に、上記波長板(B1)を、それぞれの遅相軸の角度が59度になるように張り合わせ、熱圧着ロールにより70℃で圧着し、40℃で3日間エージングして、広帯域1/4波長板(C1)を得た。
【0090】
(製造例3)
厚さ50μmのポリカーボネートフィルムを150℃で50%延伸処理し、波長550nmの光に対して1/2波長の位相差を与える1/2波長板(A2)を得た。同様に、厚さ50μmのポリカーボネートフィルムを150℃で25%延伸処理し、波長550nmの光に対して1/4波長の位相差を与える1/4波長板(B2)を得た。次いで、得られた1/2波長板(A2)と1/4波長板(B2)をそれぞれの光軸が66度の角度で交差するようにアクリル系粘着剤を介して積層して広帯域1/4波長板(C2)を得た。
【0091】
(実施例1)光学積層体の製造
ガラス転移温度が異なる3種のアクリル系主鎖の側鎖型コレステリック液晶ポリマーを、厚さ30mmのアセチルセルロースフィルムのポリイミドラビング処理面に、スピンコート法により成膜(厚さ2μm)した。次いで、所定温度に加熱して急冷することにより、選択反射の中心波長が470nm、550nm、640nmの3層のコレステリック液晶層を当該順序で順次積層したコレステリック液晶層積層体を得た。これを偏光選択層とした。次いで、得られたコレステリック液晶層積層体の選択反射の中心波長が640nmのコレステリック液晶層の上面に、製造例2で得た広帯域1/4波長板(C1)を、アクリル系粘着剤を使用して貼り合わせて(波長板(C1)の1/4波長板側を接着面とする)、光学積層体(D1)を得た。
【0092】
(実施例2)光学積層体の製造
偏光選択層として、3層のコレステリック液晶層を当該順序で順次積層したコレステリック液晶層積層体に代えて、紫外線照射による光重合にて得た厚み15μmの高分子コレステリック液晶フィルム(厚み方向に液晶のヘリカル軸があり、可視光領域で円偏光二色性を示すもの)をコレステリック液晶層として用いた以外は、実施例1と同様にして光学積層体(D2)を得た。
【0093】
(比較例1)光学積層体の製造
広帯域1/4波長板として広帯域1/4波長板(C2)を使用する以外は実施例1と同様にして光学積層体(D3)を得た。
【0094】
(比較例2)光学積層体の製造
広帯域1/4波長板として広帯域1/4波長板(C2)を使用する以外は実施例2と同様にして光学積層体(D4)を得た。
【0095】
(実施例3)光学素子の製造
直線偏光膜(商品名:LLC2−9218、サンリッツ社製)の片面に光学積層体(D1,光学積層体(D1)の1/2波長板側を接着面とする)、もう一方の面側にトリアセチルセルロースからなる保護フィルムをウレタン系接着剤を使用した接着層を介してそれぞれ積層し、この積層体を加圧ローラーのニップに供給し圧着して貼り合せることにより、光学素子(E1)を得た。
【0096】
(実施例4)光学素子の製造
偏光膜(商品名:LLC2−9218、サンリッツ社製)の両面にトリアセチルセルロースからなる保護フィルムをウレタン系接着剤を使用した接着層を介して積層し、さらにこの積層体の片面に前記光学積層体(D1)をウレタン系接着剤を使用した接着層を介して積層した(光学積層体(D1)の1/2波長板側を接着面とする)。得られた積層体を加圧ローラーのニップに供給し圧着して貼り合せることにより、光学素子(E2)を得た。
【0097】
(実施例5)光学素子の製造
光学積層体(D1)に代えて、光学積層体(D2)を用いる以外は実施例4と同様にして、光学素子(E3)を得た。
【0098】
(実施例6)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D1)をギヤオーブン中、80℃で500時間放置したものを使用する以外は、実施例3と同様にして光学素子(E4)を得た。
【0099】
(実施例7)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D1)をギヤオーブン中、80℃で500時間放置したものを使用する以外は、実施例4と同様にして光学素子(E5)を得た。
【0100】
(実施例8)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D2)をギヤオーブン中、80℃で500時間放置したものを使用する以外は、実施例5と同様にして光学素子(E6)を得た。
【0101】
(比較例3)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D1)に代えて、光学積層体(D3)を用いる以外は実施例3と同様にして、光学素子(E7)を得た。
【0102】
(比較例4)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D1)に代えて、光学積層体(D3)を用いる以外は実施例4と同様にして、光学素子(E8)を得た。
【0103】
(比較例5)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D1)に代えて、光学積層体(D4)を用いる以外は実施例4と同様にして、光学素子(E9)を得た。
【0104】
(比較例6)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D3)をギヤオーブン中、80℃で500時間放置したものを使用する以外は、実施例3と同様にして光学素子(E10)を得た。
【0105】
(比較例7)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D3)をギヤオーブン中、80℃で500時間放置したものを使用する以外は、実施例4と同様にして光学素子(E11)を得た。
【0106】
(比較例8)光学素子の製造
光学積層体として、光学積層体(D4)をギヤオーブン中、80℃で500時間放置したものを使用する以外は、実施例4と同様にして光学素子(E12)を得た。
【0107】
上記で得た光学素子(E1)〜(E12)のそれぞれについて、上記の測定方法により、法線方向輝度、ヘイズ及び色度を測定した。測定結果を第1表に示す。また、比較例9として、偏光板のみのものについても同様に測定した。
【0108】
【表1】
【0109】
第1表より、実施例3〜5の光学素子(E1)〜(E3)は、比較例3〜5の光学素子(E7)〜(E9)と同等又はそれ以上の優れた輝度向上効果、及びヘイズを有していた。ここで、実施例5の法線方向の輝度よりも比較例3の法線方向の輝度が高いのは、実施例5で使用している偏光選択層が1層からなるものであるのに対して、比較例3で使用している偏光選択層は3層からなるものであるためである。また、耐熱試験(80℃、500時間)後の光学積層体を使用して得られた実施例6〜8の光学素子(E4)〜(E6)は、同じく耐熱試験(80℃、500時間)後の光学積層体を使用して得られた比較例6〜8の光学素子(E10)〜(E12)のものに比して優れた耐熱性を有しており、法線方向輝度の変化が非常に少なかった。すなわち、実施例3〜5の光学素子(E1)〜(E3)は、耐熱試験(80℃、500時間)後(光学素子(E4)〜(E6)にそれぞれ対応している)においても、輝度向上効果の低下がほとんど認められなかったことを示している。これに対して、比較例3〜5の光学素子(E7)〜(E9)では、耐熱試験(80℃、500時間)後(光学素子(E10)〜(E12)にそれぞれ対応している)において、法線方向輝度、ヘイズ及び色調の変化が見られた。
【0110】
(実施例9)反射型液晶表示装置の製造
実施例3で得た光学素子2枚を用意し、下記の環境(I,II)に放置した後、図3に示すような層構成を有する反射型液晶表示装置にそれぞれ組み込んだ。
環境(I):温度25℃、湿度40%の環境下に30日間放置
環境(II):温度25℃、湿度80%の環境下に30日間放置
【0111】
環境(I)に放置した光学素子(E1)を組み込んだ液晶表示装置と、環境(II)に放置した光学素子(E1)を組み込んだ液晶表示装置とは、光学性能(偏光度、光利用率、均一な白色光であること等)に変化が見られず、良好な耐久性を有していることがわかった。
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、液晶ディスプレイ上に設置して使用した場合に、表示の鮮明度に優れ、高温高湿下等で長期に使用してもその輝度向上効果が低下せず、広波長帯域において使用可能な光学積層体、光学素子及び光学製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の光学積層体の層構成を示した図である。図中、(a)は偏光分離層が1層のコレステリック液晶層からなるもの、(b)は偏光分離層が3層のコレステリック液晶層の積層体からなるもの、(c)は偏光分離層が、厚さ方向に対して連続的に螺旋のピッチが変化しているコレステリック液晶層からなるものである。
【図2】図2は、本発明の光学素子の構成を示した図である。
【図3】図3は、本発明の反射型液晶表示装置の構成を示した図である。
【符号の説明】
10a…1/2波長板、10b…1/4波長板、11a、11b、11c、11d、11e、11f…接着層、12…広帯域1/4波長板、13a、13b、13c…コレステリック液晶層、14、14a、14b…偏光板、15…保護層、16a、16b…拡散版、17…液晶表示セル、20,20a、20b、20c…偏光選択層、30A、30B、30C…光学積層体、40…光学素子、50…光源、60…光源ホルダー、70…導光板、80…反射層
Claims (9)
- 広帯域1/4波長板(C)と偏光選択層とを積層してなる光学積層体であって、広帯域1/4波長板(C)が、1/2波長板(A)と1/4波長板(B)との積層体であり、1/2波長板(A)又は1/4波長板(B)が脂環式構造含有重合体樹脂からなることを特徴とする光学積層体。
- 1/2波長板(A)及びl/4波長板(B)のいずれもが、波長550nmで測定したレターデーション値〔Re(550)〕と波長450nmで測定したレターデーション値〔Re(450)〕との比Re(450)/Re(550)が1.007以下であることを特徴とする請求項1記載の光学積層体。
- 波長550nmで測定した、1/2波長板(A)のレターデーション値Re(550)Aが(265±10)nmであり、1/4波長板(B)のレターデーション値Re(550)Bが〔Re(550)A/2±5〕nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学積層体。
- 広帯域1/4波長板が、1/2波長板(A)の遅相軸と、1/4波長板(B)の遅相軸との交差角が55〜65度となるように、1/2波長板(A)と1/4波長板(B)とを積層したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層体。
- 1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)のいずれもが、揮発成分含有量が0.1重量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学積層体。
- 1/2波長板(A)及び1/4波長板(B)のいずれもが、飽和吸水率が0.01%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学積層体。
- 偏光選択層が、コレステリック液晶から形成されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学積層体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の光学積層体と偏光板とを積層してなる光学素子。
- 請求項8に記載の光学素子を備える光学製品。
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