JP2004218548A - 燃料改質器異常検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料改質器の異常を簡易に検出することが可能な改質器異常検出装置を提供する。
【解決手段】本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関2に供給される燃料を改質する燃料改質器20の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器20を通過した燃料の物性を測定する物性測定手段と、物性測定手段で測定された、燃料の物性の測定値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関2に供給される燃料を改質する燃料改質器20の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器20を通過した燃料の物性を測定する物性測定手段と、物性測定手段で測定された、燃料の物性の測定値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に供給する燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関に燃料を供給する燃料供給装置として、液体燃料を超臨界状態とし、その超臨界状態の燃料を内燃機関の燃焼室内に供給するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この燃料供給装置は、液体燃料を超臨界状態とし燃料の微細化を図る燃料改質器を設けることで燃焼室へ送り込む燃料を改質し、燃焼性を改善しようとするものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−280123号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、燃料改質器に故障がある場合には所望の性状の燃料が燃焼室内に供給されず所望の燃焼性等が得られなくなる。このため燃料改質器の異常を検出し故障に対する措置を取ることが必要であるが、燃料改質器に故障が発生したとしても所望の燃焼性等が得られなくはなるものの内燃機関が停止してしまう訳ではないのでユーザが故障に気が付きにくい場合がある。従来は燃料改質器の異常を簡易に検出する方法がなかった。
【0005】
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、燃料改質器の異常を簡易に検出することが可能な改質器異常検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器を通過した燃料の物性を測定する物性測定手段と、物性測定手段で測定された、燃料の物性の測定値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記改質器異常検出装置によれば、改質器を通過した燃料の物性を測定することにより、改質器によって所望の性状の燃料が得られているか否かを推定することができ、それによって改質器に異常があるか否かを判定することができる。
【0008】
本発明の改質器異常検出装置は、物性測定手段が、燃料改質器を通過した燃料の比重を測定することを特徴としてもよく、燃料改質器を通過した燃料の蒸気圧を測定することを特徴としてもよい。燃料の比重や蒸気圧は比較的簡易な装置によって測定することができるので、比較的容易に改質器異常検出を行うことが可能となる。
【0009】
本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、改質器を通過した燃料が供給される内燃機関の始動開始から所定の始動状態に達するまでの始動時間を測定する始動時間測定手段と、始動時間測定手段で測定された始動時間の測定値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器を通過した燃料が供給される内燃機関の始動時における回転変動を算出する回転変動算出手段と、回転変動算出手段で算出された回転変動の算出値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器を通過した燃料が供給される内燃機関の始動開始から所定時間後までの間における空燃比を測定する空燃比測定手段と、空燃比測定手段で測定された空燃比の測定値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器を通過した燃料が供給される内燃機関が所定の点火進角において運転している場合のノッキングを検出するノッキング検出手段と、ノッキング検出手段によってノッキングが検出された場合には燃料改質器に異常があると判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器を通過した燃料が供給される内燃機関においてノッキングが発生する最小の点火進角を検出する点火進角検出手段と、点火進角検出手段で検出されたノッキングが発生する最小の点火進角の検出値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器を通過した燃料が供給される内燃機関においてノッキングが発生する最小の点火進角で運転した場合のトルクを検出するトルク検出手段と、トルク検出手段で検出されたトルクの検出値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。尚、各図において同一要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0016】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。燃料供給システム1は、エンジン2に燃料を供給するシステムである。本実施形態に係る改質器異常検出装置は燃料供給システム1に含まれる改質器20の異常を検出するための装置であり、比重センサ11a、ECU(Electronic Control Unit)6を備えている。
【0017】
燃料供給システム1においては、燃料タンク3に貯留される燃料が燃料供給路4を通じてエンジン2に供給されるようになっている。燃料供給路4の途中には、ポンプ5が設けられている。ポンプ5は、燃料を加圧する加圧手段として機能するものであり、ECU6に作動制御されている。ポンプ5の作動により、燃料タンク3から液体状の燃料が吸い上げられ、所定の圧力に加圧される。
【0018】
ポンプ5の下流側には、改質器20が設けられており、改質器20は超臨界状態室7、ヒータ8、改質触媒9を備えている。超臨界状態室7は、燃料を超臨界状態とするための空間領域であり、耐圧耐熱構造となっている。超臨界状態室7には、ヒータ8が設けられている。ヒータ8は、超臨界状態室7を所定の温度に加熱する加熱手段として機能するものであり、ECU6に作動制御されている。
【0019】
ヒータ8としては、超臨界状態室7を所定の温度に加熱できるものであれば何れのものでもよく、例えば電気ヒータなどが用いられる。また、ヒータ8としては、エンジン2の排気熱を利用するものであってもよい。このヒータ8及びポンプ5は、エンジン2に供給される燃料を加圧及び加熱して超臨界状態とする超臨界状態生成手段として機能する。
【0020】
ここで「超臨界状態」とは、燃料を臨界圧力以上の圧力下で臨界温度以上の温度まで昇温することにより得られる状態を意味する。超臨界状態まで液体状の燃料を昇圧昇温させることにより、燃料は気体に相変化するが、超臨界状態での気体は極めて高い密度を有するため液体に近い物性を示す。
【0021】
すなわち、燃料は、超臨界状態となることにより、気体と液体の中間の物性を示す流体となり、種々の特異な性質を示す。例えば、液体状の燃料を超臨界状態にすることにより、インジェクタ10によりエンジン2内に噴射する際、通常の液体時に比べはるかに微細な粒子が均一に形成される。
【0022】
超臨界状態室7内には、改質触媒9が配設されている。改質触媒9は、超臨界状態となった燃料の改質を促進するものであり、例えばハニカム体に白金、ロジウムを付着させたものが用いられる。
【0023】
改質器20の下流側には、貯留タンク11が設けられ、改質器20から送り出された燃料を貯留タンク11でいったん貯留するようになっている。貯留タンク11の内部には比重センサ11aが設けられており貯留タンク11内に貯留している燃料の比重を検出し、検出結果をECU6へ送ることができるようになっている。比重センサ11aとしては燃料の比重を検出できるものであれば何れのものでもよく、例えば例えば浮ひょう法、振動法、磁力法、音速法に基づき比重を測定する比重センサが用いられる。
【0024】
貯留タンク11の下流側には、インジェクタ10が設けられている。インジェクタ10は、超臨界状態となった燃料をエンジン2に噴射する噴射手段として機能するものである。このインジェクタ10の作動制御は、ECU6により行われる。
【0025】
次に本図に示した燃料供給装置1の動作について説明する。
【0026】
図1において、ECU6からポンプ5に作動信号が出力され、ポンプ5が駆動する。このポンプ5の駆動により、燃料タンク3から液体状の燃料が吸い上げられ燃料供給路4の上流側に向けて流通する。そして、燃料は、改質器20へ圧送される。このとき、燃料は、ポンプ5の駆動によって所定の圧力に加圧される。
例えば、燃料の圧力は3〜5MPaになるように加圧される。
【0027】
一方、ECU6からヒータ8に作動信号が出力され、ヒータ8が発熱する。これにより、改質器20の超臨界状態室7が所定の温度に加熱される。その際、超臨界状態室7内の燃料の温度は例えば250〜350゜Cとなるように加熱される。
【0028】
このようなポンプ5の加圧及びヒータ8の加熱により、燃料が超臨界状態となる。そして、燃料は改質器20の超臨界状態室7内で改質触媒9に接触する。これにより、燃料は、迅速かつ高収率で高沸点成分(重質成分)から低沸点成分(軽質成分)に転化して改質される。
【0029】
改質された燃料は、改質器20から貯留タンク11に向けて流通する。貯留タンク11では燃料が一旦貯留され、比重センサ11aにより貯留された燃料の比重が検出される。検出された比重に対応する信号はECU6へ送られる。燃料は貯留タンク11からインジェクタ10に向けて流通する。そして、ECU6からインジェクタ10に作動信号が出力され、インジェクタ10から燃料がエンジン2に噴射される。
【0030】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図2を参照しながら説明する。
【0031】
まず、比重センサ11aにより改質器20を通過した燃料の比重が検出され、検出された比重が読み込まれる(S102)。読み込まれた比重の大小が予め定められた第1基準値と比較され(S104)、比重が第1基準値よりも小さくないと判断された場合には改質器が異常である旨の判定(改質器異常判定)がなされる(S106)。改質器異常判定がなされたら改質器異常警告が発せられる(S108)。
【0032】
S104において比重が第1基準値よりも小さいと判断された場合には、更に比重が予め定められた第2基準値と大小比較され(S120)、比重が第2基準値よりも小さいと判断された場合には比重センサ11aが異常である旨の判定(比重センサ異常判定)がなされ(S122)、センサ異常警告が発せられる。S120において比重が第2基準値よりも小さくないと判断された場合は改質器20も比重センサ11aもともに正常であると判定され、S102の処理に戻り、引き続き異常検出処理が繰り返される。
【0033】
上記S104の処理において燃料の比重が第1基準値と同一であった場合にはS106、S120の何れの処理が行われることとしてもよい。同様にS120の処理において燃料の比重が第2基準値と同一であった場合にはS122、S102の何れの処理が行われることとしてもよい。
【0034】
上記処理において、比重に基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば改質器20通過後の燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。パラフィン系炭化水素は炭素数が多いほど比重が大きく、芳香族炭化水素はパラフィン系炭化水素よりも比重が大きいので、燃料中の高沸点成分の含有割合が多くなるに従って比重が大きくなることとなる。よって、燃料の比重を検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0035】
ここで第1基準値は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料の比重として設定すればよい。そうすれば改質器20を通過した燃料の比重が所定の第1基準よりも大きくなった場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0036】
一方、比重センサ11aに異常がある場合には比重センサ11aからECU6に送られる信号は異常な値となる。よって、第1基準値よりも小さい第2基準値(第2基準値<第1基準値)を設定し、第2基準値よりも小さい比重が検出された場合には比重センサ11aに異常があるものと判定することができる。
【0037】
以上をまとめると、検出された燃料の比重が第2基準値よりも小さい場合には比重センサ異常、比重が第2基準値と第1基準値との間の場合には正常、比重が第1基準値よりも大きい場合には改質器異常と判定されることとなる。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、比重センサという簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。また比重の下限として第2基準値を設けたことにより比重センサの異常をも検出し警告することができ、当該異常に対する早期の対応も可能となる。
【0039】
なお、本実施形態では燃料の比重検出を容易にするため改質器20の下流側に貯留タンク11を設け、燃料を貯留させて比重を検出しているが、貯留タンクは必ずしも必要ではない。燃料の比重が検出できるのであれば貯蓄タンクを設けず改質器20とインジェクタ10の間の燃料供給路内に比重センサを直接設置してもよい。
【0040】
(第2実施形態)
図3は第2実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。本図に示すように本実施形態に係る改質器異常検出装置は貯留タンク21、ECU6を備えている。第1実施形態の構成との相違点は貯留タンク21にある。
【0041】
貯留タンク21は改質器20の下流側に設置され改質器20を通過した燃料を貯留するようになっている。貯留タンク21の内部には温度センサ21bが設置され、貯留タンク21内の温度を計測し、温度に応じた信号をECU6へ送るようになっている。また、貯留タンク21内部に圧力センサ21aが設置され、貯留タンク21内の圧力を測定し、圧力に応じた信号をECU6へ送るようになっている。貯留タンク21は電磁弁22及び電磁弁23を閉じることによって密封することができるようになっている。電磁弁23は貯留タンク21と外界(大気)との間に設置され、電磁弁23を開けることによって貯留タンク21を大気圧下へ開放できるようになっている。
【0042】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図4を参照しながら説明する。
【0043】
貯留タンク21に燃料が貯留された状態で、電磁弁22が閉じられ電磁弁23が開かれる(S202)。この状態が所定時間t1の間保持され(S204)、貯留タンク21内の圧力がほぼ大気圧となり安定する。次に電磁弁23が閉じられ(S206)貯留タンク21が密閉状態となる。この状態が所定時間t2の間保持され(S208)貯留タンク内21の圧力・温度が安定したところで貯留タンク21内の圧力Pが圧力センサ21aから読み込まれ、貯留タンク21内の温度Tが温度センサ21bから読み込まれる(S210)。読み込まれた圧力Pは温度Tにおける燃料の蒸気圧と等しくなっている。
【0044】
次に、基準蒸気圧Pg(T)が読み込まれる(S212)。Pg(T)は上記読み込まれた温度Tにおける燃料の蒸気圧のうち所望の性状の燃料の限界値である。すなわちPg(T)は、所望の性状の燃料であれば温度TにおいてPg(T)以上の蒸気圧を示すはずであるということを意味する値であり、例えば予めECU6に記憶させた蒸気圧テーブルより読み込まれる。
【0045】
次に、貯留タンク21内の圧力Pと基準蒸気圧Pg(T)との大小が比較され(S214)、PがPg(T)よりも大きくないと判断された場合には改質器は異常であると判定され(S216)、その旨の警告が発せられる(S218)。
PがPg(T)よりも大きいと判定された場合には改質器は正常であると判定され、S202の処理に戻り、引き続き異常検出処理が繰り返される。PがPg(T)と同一であると判定された場合には上記何れの処理が行なわれるようにしてもよい。
【0046】
上記処理において、貯留タンク21内の圧力Pに基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。すでに上述したように改質器20が正常に機能していれば燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。貯留タンク21内の温度Tにおいて、パラフィン系炭化水素は炭素数が多いほど蒸気圧が小さく、芳香族炭化水素はパラフィン系炭化水素よりも蒸気圧が小さいので、燃料中の高沸点成分の含有割合が多くなるに従って蒸気圧が小さくなることとなる。また、燃料が同じであれば温度が高いほど蒸気圧が高くなる。よって、燃料の温度Tにおける蒸気圧を検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。燃料の温度Tにおける蒸気圧は温度Tにおける貯留タンク21内の圧力Pとして近似的に求めることができる。
【0047】
一方、基準蒸気圧Pg(T)は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料の温度Tにおける蒸気圧として設定すればよい。そうすれば改質器20を通過した改質燃料の蒸気圧Pが基準蒸気圧Pg(T)がよりも小さくなった場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。すなわち、検出された燃料の蒸気圧が上記Pg(T)よりも大きければ正常、小さければ改質器20の異常と判定されることとなる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、圧力センサ、温度センサという簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0049】
(第3実施形態)
図5は第3実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。本図に示すように本実施形態に係る改質器異常検出装置はECU6、回転数検出装置31、タイマー6aを備えている。
【0050】
回転数検出装置31はエンジン2の回転数を検出し、ECU6に検出した回転数に応じた信号を送ることが出来るものであれば何れのものでもよく、例えばエンジン2に直結する歯車を用いたパルス発生器とパルス検出器より構成される回転検出器などが用いられる。タイマー6aは現在時刻を検出したり、時間を測定したりすることができれば何れのものでもよい。スタータ2aはエンジン2を始動させるために停止状態のエンジンを例えば電気的なモータによって回転させることが出来るものである。
【0051】
次に本図に示した内燃機関の動作について説明する。まず、スタータ2aにON信号が送られる(始動開始)とスタータ2aが回転を始めエンジン2を回転させる。スタータ2aへのON信号が送られると同時にタイマー6aで時間測定が開始される。エンジン2は一定時間回転させられた後、初爆を起こし(図6参照。図6は時間とエンジン2の回転数の関係を表したグラフである。)回転数が上下しながら連爆状態となり、一定時間の連爆状態の後完爆状態(所定の始動状態)に達する。例えば回転数を基準としてエンジン2が所定の回転数Ni以上に達した場合に完爆状態に達したと判断する。エンジン2は完爆状態に達した後は回転数が急激に上昇し、回転数が微上下しながら安定しアイドリング状態となる。
上記随時変化するエンジン2の回転数は回転数検出装置31で検出され、検出結果は随時ECU6へ送られる。検出された回転数がNiに達した時に、タイマー6aで測定されている時間が読み込まれる。ここで、初爆とは、スタータ2aへON信号が送られてから最初の燃料の爆発をいう。完爆状態とは、スタータ2aがエンジン2を駆動する駆動力がなくなったとしてもエンジン2が自立運転を始める状態のことを言う。連爆とは初爆から完爆までの間の状態のことを言う。
【0052】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図7を参照しながら説明する。スタータ2aにON信号が送られた時に(S302)タイマー6aによる時間の計測が開始される(S304)。回転数検出装置31より送られるエンジン2の回転数が随時読み込まれ(S306)、所定の始動状態に達したか否かの判断が随時なされる。例えば本実施形態では所定の回転数Niに達した場合(完爆状態)に始動状態に達したものと判定される(S308)。すなわち所定の回転数は完爆状態に達したNiとする。回転数がNiに達したら、タイマー6aから時間t(スタータ2aにON信号が送られてから完爆状態に達するまでの時間)が読み込まれる(S310)。
【0053】
読み込まれた時間tについて、予め設定された基準時間t1との大小が比較される(S312)。時間Tが基準時間t1よりも小さいと判断された場合には改質器20は正常であるとしてそのまま処理が終了する。時間tが基準時間t1よりも小さくないと判断された場合には改質器が異常である旨の判定(改質器異常判定)がなされ(S314)、改質器異常警告が発せられる(S316)。なお時間tが基準時間t1と等しいと判断された場合にはそのまま処理が終了されるようにしてもよいし、S314の処理に進むようにしても何れでもよい。
【0054】
上記処理において、始動時間から所定の始動状態に達するまでの時間(始動時間)に基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば改質器20通過後の燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。一方、燃料の高沸点成分の含有割合が高くなればなるほどエンジン2の始動時間は長くなってしまう。よって、エンジン2の始動時間を検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0055】
ここで基準時間t1は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料がエンジン2に供給された場合の始動時間として設定すればよい。そうすればエンジン2の始動時間Tが所定の基準時間t1よりも大きくなった場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、回転数検出装置という簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0057】
なお、本実施形態では、エンジン回転数を基準として時間測定が容易であることからスタータ2aにON信号が送られた時点を始動開始時とし、完爆状態となった状態を所定の始動状態としている。すなわち、スタータ2aにON信号が送られた時から完爆状態に達するまでの時間tを始動時間としている。しかし本発明はこれに限られず、燃料中の高沸点成分の含有割合が大きくなるにしたがって、大きくなる時間であれば何れの時刻を基準として始動時間としてもよい。例えば、スタータ2aにON信号が送られた時から初爆状態に達するまでの時間ta(図6参照)を始動時間としてもよく、初爆から完爆に達する時間tb(図6参照)を始動時間としてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、始動状態をエンジン回転数を基準にして回転数検出装置31により始動状態を検出しているが、エンジンの回転により発電を行う発電機(図示しない)の発電量を基準とし、発電量が所定値以上になった時を始動状態として検出してもよい。また、エンジンが始動状態となればスタータ2aが無負荷状態となるためスタータ2aの駆動電圧が始動開始時よりも下がる。よってスタータ2aの駆動電圧を基準とし、駆動電圧が所定以下になった時を始動状態として検出してもよい。
【0059】
さらに、始動時間は外気温によって影響を受け、外気温が低いほど長くなる。よって、外気温センサ(図示しない)によって外気温を検出し、基準時間t1を温度補正することによって改質器異常検出をより正確に行うことも可能である。
【0060】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る改質器異常検出装置は第3実施形態と同様にECU6、回転数検出装置31、タイマー6aを備えている(図5参照)。第3実施形態との相違点は回転数検出装置31で検出された回転数の変動に基づき改質器20の異常を検出する処理にある。
【0061】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図8を参照しながら説明する。エンジン2の始動時、すなわちスタータ2aへON信号が送られてからエンジン2の回転数がアイドリング状態に達するまでの間、エンジン2の回転数が随時読み込まれ、この間の随時の回転数は例えばECU中の揮発メモリ(図示しない)に記憶される(S402、S404)。エンジン2がアイドリング状態に達したか否かの判断は、例えば回転数検出装置31より読み込まれた回転数を基準として、所定の回転数に達している場合にはアイドリング状態に達していると判断される。
【0062】
エンジン2がアイドリング状態に達した後、既に記憶されたエンジンの回転数に基づき連爆中の回転数のバラツキの程度(回転変動)ΔNが算出される(S406)。回転変動ΔNは例えば連爆中の最大回転数及び最小回転数が求められ、最大回転数と最小回転数との差を算出することにより求められる(図9参照)。
【0063】
回転変動ΔNが算出されたら、所定の基準回転変動ΔN1との大小が比較される(S408)。回転変動ΔNが基準回転変動ΔN1よりも小さいと判断された場合には改質器20は正常であるとしてそのまま処理が終了する。回転変動ΔNが基準回転変動ΔN1よりも小さくないと判断された場合には改質器が異常である旨の判定(改質器異常判定)がなされ(S410)、改質器異常警告が発せられる(S412)。なお回転変動ΔNが基準回転変動ΔN1と等しいと判断された場合にはそのまま処理が終了するようにしてもよいし、S410の処理に進むようにしても何れでもよい。
【0064】
上記処理において、回転変動に基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。
【0065】
一方、始動時の連爆中や完爆直後にはエンジンの回転が不安定であり、回転数が上下する回転数のバラツキ(回転変動)が生じるという現象が見られる。エンジン回転数が上がり吸気管負圧が大きくなるとある時点で吸気管壁や燃焼室壁に液状燃料として付着していた高沸点成分が低圧で爆発し、燃焼室が過濃空燃比状態で失火状態又はトルクダウン状態となる。その次のサイクルでは回転数が下がり、吸気管負圧が小さくなり高沸点成分の爆発がしにくくなるため燃焼室が過薄空燃比状態で失火状態又はトルクダウン状態となる。上記のように過濃空燃比状態と過薄空燃比状態とを繰り返すこととなるため回転数の変動(回転変動)が生じる。この回転変動は燃料の高沸点成分の含有割合が高くなればなるほど大きくなるという関係があるため、エンジン2の回転変動の大きさを検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0066】
ここで基準回転変動ΔN1は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料がエンジン2に供給された場合の回転変動として設定すればよい。そうすれば回転変動ΔNが所定の基準回転変動ΔN1よりも大きくなった場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、回転数検出装置という簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0068】
なお本実施形態では連爆中の回転変動を改質器の異常判断の基準としたが、完爆直後の回転変動を改質器の異常判断の基準としてもよい。また、本実施形態では記憶されたエンジン2の回転数に基づき回転変動を算出し改質器の異常判断の基準としたが、記憶されたエンジン2の回転数に基づき完爆後のピークの回転数Nfを検出し改質器の異常判断の基準としてもよい(図9参照)。また、完爆後のピーク回転数Np直後の回転数の落ち込みにおける回転数Nfとの差ΔNpを改質器の異常判断の基準としてもよい(図9参照)。上記NfやΔNpを改質器異常判断の基準と出来る理由は次のとおりである。高沸点成分は低沸点成分よりも爆発しにくいため高沸点成分の含有割合が高くなると相対的に燃焼に寄与する燃料量が少なくなるため、発生トルクが低くなる。結果として高沸点成分の含有割合が高くなるほど完爆後のピーク回転直後の回転数の落ち込みΔNpが大きくなり、落ち込み後の回転数Nfも低くなる関係にあるためNfやΔNpを基準として燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができ、改質器20の異常の有無を判定することができる。
【0069】
さらに、回転変動ΔNは外気温によって影響を受け、外気温が低いほど大きくなる。また、完爆後のピーク回転直後の落ち込み回転数ΔNp、完爆後のピーク回転直後落ち込み後の回転数Nfは外気温によって影響を受け、外気温が低いほど小さくなる。よって、外気温センサ(図示しない)によって外気温を検出し、温度補正することによって改質器異常検出をより正確に行うことも可能である。
【0070】
(第5実施形態)
図10は第5実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。本実施形態に係る改質器異常検出装置はECU6、タイマー6a、空燃比検出器41を備えている。
【0071】
空燃比検出器41はエンジン2の排気側に設置され、エンジン2から排出される排気の成分を検出し、検出結果に応じた信号をECU6へ送るようになっている。空燃比検出器41は例えば排気中の酸素濃度を検出するO2センサが用いられる。タイマー6aはECU6に内蔵され、エンジン始動から現在までの時間を計測するようになっている。
【0072】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図11を参照しながら説明する。まず、タイマー6aよりエンジン始動から現在までの時間tが読み込まれ(S502)、tと所定値t1との大小が比較される(S504)。tが所定値t1よりも大きいと判断された場合には改質器異常の検出処理は行われず、そのまま処理が終了する。tが所定値t1よりも大きくないと判断された場合は空燃比検出器41から排気中の例えば酸素濃度が読み込まれ、読み込まれた結果に基づき空燃比afが算出される。算出された空燃比afと所定の基準空燃比af1との大小が比較され(S508)、afがaf1よりも大きくない(燃料比が小さくない)と判断された場合には改質器は異常であると判定され(S510)、その旨の警告が発せられる(S512)。
afがaf1よりも大きい(燃料比が小さい)と判断された場合には改質器は正常であると判定され、S502の処理に戻り、エンジン始動からの時間が所定値t1になるまで引き続き異常検出処理が繰り返される。afがaf1と同一であると判定された場合には上記何れの処理が行なわれるようにしてもよい。
【0073】
上記処理において、空燃比に基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば改質器20通過後の燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。
【0074】
一方、エンジン始動直後(エンジン始動からの時間がまだt1に達していない時)は吸気ポートや燃焼室が温まっていないため、液体のまま吸気ポート壁面や燃焼室壁面に付着した液状燃料が比較的多く存在する。この傾向は高沸点成分の含有割合が多いほど顕著になる。よって、供給燃料流量が同一であるため燃料の高沸点成分の含有割合が多くなるに従って燃焼に関わる実燃料量が少なくなり、空燃比が大きくなるという関係がある。よって、エンジン始動直後の空燃比を検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0075】
ここで基準空燃比af1は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料がエンジン2に供給された場合の空燃比として設定すればよい。そうすれば空燃比が基準空燃比af1よりも大きくなった場合には燃料中に高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0076】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、空燃比検出器という簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0077】
本実施形態では空燃比に基づき燃料の性状が推定されることとしているが、空燃比の変動(バラツキ)に基づき燃料の性状が推定されることとしてもよい。この場合は、時間t1に達するまでの間の空燃比が空燃比検出器41より随時読み込まれ、この間の随時の空燃比は例えばECU中の揮発メモリ(図示しない)に記憶される。記憶された空燃比より空燃比の上下の幅(空燃比変動)を求め、所定の値と比較することによって燃料の性状が推定されることとなる。空燃比変動により燃料の性状が推定できるのは以下のような理由による。ある時点で吸気管壁や燃焼室壁に液状燃料として付着していた高沸点成分が低圧で爆発し、燃焼室が過濃空燃比状態で失火状態又はトルクダウン状態となる。その次のサイクルでは回転数が下がり、吸気管負圧が小さくなり高沸点成分の爆発がしにくくなるため燃焼室が過薄空燃比状態で失火状態又はトルクダウン状態となる。上記のように過濃空燃比状態と過薄空燃比状態とを繰り返すこととなるため空燃比変動が生じる。この空燃比変動は、燃料の高沸点成分の含有割合が高くなればなるほど空燃比変動は大きくなるという関係があるため、空燃比変動の大きさを検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合が推定できる。
【0078】
本実施形態では改質器異常検出を行う対象となる時間帯は、エンジン始動から吸気ポートや燃焼室がまだ温まっていない間(エンジン始動直後、0<t<t1)であり、上記空燃比による改質器異常検出を行うに適当な時間t1が予め設定される。吸気ポートや燃焼室が温まるまでの時間は外気温や初期冷却水温によって影響を受け、外気温や初期冷却水温が低いほど長くなる。よって、外気温センサ42によって外気温を検出したり、冷却水温センサ43によって冷却水温を検出し、基準時間t1を外気温や冷却水温に応じて補正することによって改質器異常検出をより正確に行うことも可能である。また、本実施形態では空燃比による改質器異常検出を行えるか否か(吸気ポートや燃焼室が十分温まっているか否か)の判断をエンジン始動後の時間tと基準時間t1との大小関係によって判断しているが、冷却水温センサ43により検出される水温と予め設定した基準温度との大小関係によって判断することとしてもよい。
【0079】
(第6実施形態)
図12は第6実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。本図に示すように本実施形態に係る改質器異常検出装置はノックセンサ51、点火プラグ52、クランク角センサ53、ECU6を備えている。
【0080】
ノックセンサ51としてはエンジン2のノッキングを検出できるものであれば何れのものでもよい。ノックセンサ51はエンジン2のノッキング発生の有無を検出し、検出信号をECU6へ送るようになっている。クランク角センサ53はクランクの角度を検出し、検出信号をECU6へ送るようになっている。また、ECU6はクランク角センサ53から得られたクランク角に基づいて点火プラグ52の点火時期を制御し、点火進角の制御を行うようになっている。
【0081】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図13を参照しながら説明する。
【0082】
まず、点火プラグ52の点火時期を所定の設定とすることにより所定の点火進角Δift1が設定され、点火進角Δift1で運転がなされる(S602)。
ノックセンサ51の出力信号が読み込まれ(S604)、エンジン2にノッキングが発生しているか否かが判断される(S606)。ノッキングが発生していると判断された場合には改質器が異常である旨の判定(改質器異常判定)がなされる(S608)。改質器異常判定がなされたら改質器異常警告が発せられる(S610)。S606の処理でノッキングが発生していないと判断された場合にはS604の処理に戻り、引き続きノッキングの検出処理が繰り返される。
【0083】
上記処理において、ノッキングの発生に基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば改質器20通過後の燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。ここで、高沸点成分を多く含む改質前のガソリンのオクタン価は90〜95ROMであり、低沸点成分のオクタン価は100〜110ROMである。燃料中の高沸点成分の含有割合が多くなるに従ってオクタン価が低くなり、ノッキングが発生しやすくなる。よって、所定の点火進角で運転中のエンジンのノッキングを検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0084】
ここで所定の点火進角Δift1は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料がエンジン2に供給された場合にノッキングが発生しない最大限界の点火進角として設定すればよい。そうすればノッキングが発生した場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、ノックセンサという簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0086】
(第7実施形態)
第7実施形態に係る改質器異常検出装置は第6実施形態と同様にノックセンサ51、点火プラグ52、クランク角センサ53、ECU6を備えている(図12参照)。本実施形態の第6実施形態との相違点は改質器20の異常を検出する処理にある。
【0087】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図14を参照しながら説明する。
【0088】
まず、点火プラグ52の点火時期を所定の設定とすることにより所定の点火進角が設定され、運転がなされる(S702)。ノックセンサ51の出力信号が読み込まれ(S704)、エンジン2にノッキングが発生しているか否かが判断される(S706)。ノッキングが発生していないと判断された場合は点火プラグ52の点火時期が現在よりも早められることにより点火進角が増加される(S708)。S704の処理に戻り、ノッキングを検出するまで点火進角が増加され(S708)、ノッキング検出処理(S706)が繰り返される。このとき検出されたノッキングが所定レベルよりも強いレベルのノッキングであった場合には点火進角が一旦減少され、S704の処理に戻るようにしてもよい。
【0089】
S706でノッキングが発生していると判断された場合は現在の点火進角Δift(ノッキング発生時の点火進角)が読み込まれ(S709)、Δiftが所定の基準点火進角Δift2よりも進んでいるか否かが判断される(S710)。現在の点火進角Δiftが所定の基準点火進角Δift2よりも大きくないと判断された場合には改質器が異常である旨の判定(改質器異常判定)がなされる(S712)。改質器異常判定がなされたら改質器異常警告が発せられる(S714)。S710の処理で現在の点火進角Δiftが基準点火進角Δift2よりも大きいと判断された場合にはS702の処理に戻り、引き続き改質器異常検出処理が繰り返される。点火進角Δiftが所定の基準点火進角Δift2が同じであるときは上記何れの処理が行われることとしてもよい。
【0090】
上記処理において、ノッキング発生時の点火進角に基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば改質器20通過後の燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。
【0091】
一方、一般に燃料のオクタン価が同一であれば点火進角が大きくなる(点火時期が早くなる)に従ってノッキングは発生しやすくなる。点火進角が同一であれば燃料中の高沸点成分の含有割合が多くなるに従ってオクタン価が低くなり、ノッキングが発生しやすくなる。換言すれば、燃料のオクタン価が低い(高沸点成分の含有割合が高い)ほどノッキングが発生する点火進角が小さくなる関係にあることとなる。よって、点火進角をノッキングが発生するまで次第に大きくしていき、ノッキングが発生した時点の点火進角を検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0092】
ここで所定の基準点火進角Δift2は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料がエンジン2に供給された場合にノッキングが発生し始める点火進角として設定すればよい。そうすればΔift2よりも小さい点火進角でノッキングが発生した場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0093】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、ノックセンサという簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0094】
(第8実施形態)
第8実施形態に係る改質器異常検出装置はノックセンサ51、点火プラグ52、クランク角センサ53、トルクセンサ54、ECU6を備えている(図12参照)。
【0095】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図15を参照しながら説明する。
【0096】
まず、点火プラグ52の点火時期を所定の設定とすることにより所定の点火進角が設定され、運転がなされる(S802)。ノックセンサ51の出力信号が読み込まれ(S804)、エンジン2にノッキングが発生しているか否かが判断される(S806)。ノッキングが発生していないと判断された場合は点火プラグ52の点火時期が現在よりも早められることにより点火進角が増加される(S808)。S804の処理に戻り、ノッキングが発生するまで点火進角が増加され(S808)、ノッキング検出処理(S806)が繰り返される。このとき検出されたノッキングが所定レベルよりも強いレベルのノッキングであった場合には点火進角が一旦減少され、S804の処理に戻るようにしてもよい。
【0097】
S806でノッキングが発生していると判断された場合はトルクセンサ54で検出された現在のトルクTq(ノッキング発生時のトルク)が読み込まれる(S809)。読み込まれたトルクTqと所定の基準トルクTq1との大小関係が判断される(S810)。ノッキング発生時のトルクTqが基準トルクTq1よりも大きくないと判断された場合には改質器が異常である旨の判定(改質器異常判定)がなされる(S812)。改質器異常判定がなされたら改質器異常警告が発せられる(S814)。S810の処理でノッキング発生時のトルクTqが基準トルクTq1よりも大きいと判断された場合にはS802の処理に戻り、引き続き改質器異常検出処理が繰り返される。トルクTqと基準トルクTq1が同じであるときは上記何れの処理が行われることとしてもよい。
【0098】
上記処理において、ノッキング発生時のトルクに基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば改質器20通過後の燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。
【0099】
一般に燃料のオクタン価が同一であれば点火進角が大きくなる(点火時期が早くなる)に従ってノッキングは発生しやすくなる。点火進角が同一であれば燃料中の高沸点成分の含有割合が多くなるに従ってオクタン価が低くなり、ノッキングが発生しやすくなる。換言すれば、燃料のオクタン価が低い(高沸点成分の含有割合が高い)ほどノッキングが発生する点火進角が小さくなる関係にあることとなる。一般に点火進角が小さくなればトルクが小さくなる関係にある。よって、ノッキング発生時のトルクを検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0100】
ここで所定の基準トルクTq1は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料がエンジン2に供給された場合にノッキングが発生し始める点火進角ので運転した場合のトルクとして設定すればよい。そうすればTq1よりも小さいトルクに相当する点火進角でノッキングが発生した場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0101】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、ノックセンサ及びトルクセンサという簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0102】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、燃料改質器の異常を簡易に検出することが可能な改質器異常検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。
【図2】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図3】実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。
【図4】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図5】実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。
【図6】エンジンの始動後の時間と回転数の関係を表すグラフである。
【図7】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図8】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図9】エンジンの始動後の時間と回転数の関係を表すグラフである。
【図10】実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。
【図11】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図12】実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。
【図13】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図14】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図15】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【符号の説明】
1…燃料供給装置、4…燃料供給路、6a…タイマー、6…ECU、7…超臨界状態室、11a…比重センサ、11…貯留タンク、20…改質器、21a…圧力センサ、21b…温度センサ、21…貯留タンク、31…回転数検出装置、41…空燃比検出器、51…ノックセンサ、52…点火プラグ、53…クランク角センサ、54…トルクセンサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に供給する燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関に燃料を供給する燃料供給装置として、液体燃料を超臨界状態とし、その超臨界状態の燃料を内燃機関の燃焼室内に供給するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この燃料供給装置は、液体燃料を超臨界状態とし燃料の微細化を図る燃料改質器を設けることで燃焼室へ送り込む燃料を改質し、燃焼性を改善しようとするものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−280123号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、燃料改質器に故障がある場合には所望の性状の燃料が燃焼室内に供給されず所望の燃焼性等が得られなくなる。このため燃料改質器の異常を検出し故障に対する措置を取ることが必要であるが、燃料改質器に故障が発生したとしても所望の燃焼性等が得られなくはなるものの内燃機関が停止してしまう訳ではないのでユーザが故障に気が付きにくい場合がある。従来は燃料改質器の異常を簡易に検出する方法がなかった。
【0005】
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、燃料改質器の異常を簡易に検出することが可能な改質器異常検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器を通過した燃料の物性を測定する物性測定手段と、物性測定手段で測定された、燃料の物性の測定値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記改質器異常検出装置によれば、改質器を通過した燃料の物性を測定することにより、改質器によって所望の性状の燃料が得られているか否かを推定することができ、それによって改質器に異常があるか否かを判定することができる。
【0008】
本発明の改質器異常検出装置は、物性測定手段が、燃料改質器を通過した燃料の比重を測定することを特徴としてもよく、燃料改質器を通過した燃料の蒸気圧を測定することを特徴としてもよい。燃料の比重や蒸気圧は比較的簡易な装置によって測定することができるので、比較的容易に改質器異常検出を行うことが可能となる。
【0009】
本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、改質器を通過した燃料が供給される内燃機関の始動開始から所定の始動状態に達するまでの始動時間を測定する始動時間測定手段と、始動時間測定手段で測定された始動時間の測定値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器を通過した燃料が供給される内燃機関の始動時における回転変動を算出する回転変動算出手段と、回転変動算出手段で算出された回転変動の算出値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器を通過した燃料が供給される内燃機関の始動開始から所定時間後までの間における空燃比を測定する空燃比測定手段と、空燃比測定手段で測定された空燃比の測定値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器を通過した燃料が供給される内燃機関が所定の点火進角において運転している場合のノッキングを検出するノッキング検出手段と、ノッキング検出手段によってノッキングが検出された場合には燃料改質器に異常があると判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器を通過した燃料が供給される内燃機関においてノッキングが発生する最小の点火進角を検出する点火進角検出手段と、点火進角検出手段で検出されたノッキングが発生する最小の点火進角の検出値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の改質器異常検出装置は、内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、燃料改質器を通過した燃料が供給される内燃機関においてノッキングが発生する最小の点火進角で運転した場合のトルクを検出するトルク検出手段と、トルク検出手段で検出されたトルクの検出値と所定の基準値との比較に基づいて燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。尚、各図において同一要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0016】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。燃料供給システム1は、エンジン2に燃料を供給するシステムである。本実施形態に係る改質器異常検出装置は燃料供給システム1に含まれる改質器20の異常を検出するための装置であり、比重センサ11a、ECU(Electronic Control Unit)6を備えている。
【0017】
燃料供給システム1においては、燃料タンク3に貯留される燃料が燃料供給路4を通じてエンジン2に供給されるようになっている。燃料供給路4の途中には、ポンプ5が設けられている。ポンプ5は、燃料を加圧する加圧手段として機能するものであり、ECU6に作動制御されている。ポンプ5の作動により、燃料タンク3から液体状の燃料が吸い上げられ、所定の圧力に加圧される。
【0018】
ポンプ5の下流側には、改質器20が設けられており、改質器20は超臨界状態室7、ヒータ8、改質触媒9を備えている。超臨界状態室7は、燃料を超臨界状態とするための空間領域であり、耐圧耐熱構造となっている。超臨界状態室7には、ヒータ8が設けられている。ヒータ8は、超臨界状態室7を所定の温度に加熱する加熱手段として機能するものであり、ECU6に作動制御されている。
【0019】
ヒータ8としては、超臨界状態室7を所定の温度に加熱できるものであれば何れのものでもよく、例えば電気ヒータなどが用いられる。また、ヒータ8としては、エンジン2の排気熱を利用するものであってもよい。このヒータ8及びポンプ5は、エンジン2に供給される燃料を加圧及び加熱して超臨界状態とする超臨界状態生成手段として機能する。
【0020】
ここで「超臨界状態」とは、燃料を臨界圧力以上の圧力下で臨界温度以上の温度まで昇温することにより得られる状態を意味する。超臨界状態まで液体状の燃料を昇圧昇温させることにより、燃料は気体に相変化するが、超臨界状態での気体は極めて高い密度を有するため液体に近い物性を示す。
【0021】
すなわち、燃料は、超臨界状態となることにより、気体と液体の中間の物性を示す流体となり、種々の特異な性質を示す。例えば、液体状の燃料を超臨界状態にすることにより、インジェクタ10によりエンジン2内に噴射する際、通常の液体時に比べはるかに微細な粒子が均一に形成される。
【0022】
超臨界状態室7内には、改質触媒9が配設されている。改質触媒9は、超臨界状態となった燃料の改質を促進するものであり、例えばハニカム体に白金、ロジウムを付着させたものが用いられる。
【0023】
改質器20の下流側には、貯留タンク11が設けられ、改質器20から送り出された燃料を貯留タンク11でいったん貯留するようになっている。貯留タンク11の内部には比重センサ11aが設けられており貯留タンク11内に貯留している燃料の比重を検出し、検出結果をECU6へ送ることができるようになっている。比重センサ11aとしては燃料の比重を検出できるものであれば何れのものでもよく、例えば例えば浮ひょう法、振動法、磁力法、音速法に基づき比重を測定する比重センサが用いられる。
【0024】
貯留タンク11の下流側には、インジェクタ10が設けられている。インジェクタ10は、超臨界状態となった燃料をエンジン2に噴射する噴射手段として機能するものである。このインジェクタ10の作動制御は、ECU6により行われる。
【0025】
次に本図に示した燃料供給装置1の動作について説明する。
【0026】
図1において、ECU6からポンプ5に作動信号が出力され、ポンプ5が駆動する。このポンプ5の駆動により、燃料タンク3から液体状の燃料が吸い上げられ燃料供給路4の上流側に向けて流通する。そして、燃料は、改質器20へ圧送される。このとき、燃料は、ポンプ5の駆動によって所定の圧力に加圧される。
例えば、燃料の圧力は3〜5MPaになるように加圧される。
【0027】
一方、ECU6からヒータ8に作動信号が出力され、ヒータ8が発熱する。これにより、改質器20の超臨界状態室7が所定の温度に加熱される。その際、超臨界状態室7内の燃料の温度は例えば250〜350゜Cとなるように加熱される。
【0028】
このようなポンプ5の加圧及びヒータ8の加熱により、燃料が超臨界状態となる。そして、燃料は改質器20の超臨界状態室7内で改質触媒9に接触する。これにより、燃料は、迅速かつ高収率で高沸点成分(重質成分)から低沸点成分(軽質成分)に転化して改質される。
【0029】
改質された燃料は、改質器20から貯留タンク11に向けて流通する。貯留タンク11では燃料が一旦貯留され、比重センサ11aにより貯留された燃料の比重が検出される。検出された比重に対応する信号はECU6へ送られる。燃料は貯留タンク11からインジェクタ10に向けて流通する。そして、ECU6からインジェクタ10に作動信号が出力され、インジェクタ10から燃料がエンジン2に噴射される。
【0030】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図2を参照しながら説明する。
【0031】
まず、比重センサ11aにより改質器20を通過した燃料の比重が検出され、検出された比重が読み込まれる(S102)。読み込まれた比重の大小が予め定められた第1基準値と比較され(S104)、比重が第1基準値よりも小さくないと判断された場合には改質器が異常である旨の判定(改質器異常判定)がなされる(S106)。改質器異常判定がなされたら改質器異常警告が発せられる(S108)。
【0032】
S104において比重が第1基準値よりも小さいと判断された場合には、更に比重が予め定められた第2基準値と大小比較され(S120)、比重が第2基準値よりも小さいと判断された場合には比重センサ11aが異常である旨の判定(比重センサ異常判定)がなされ(S122)、センサ異常警告が発せられる。S120において比重が第2基準値よりも小さくないと判断された場合は改質器20も比重センサ11aもともに正常であると判定され、S102の処理に戻り、引き続き異常検出処理が繰り返される。
【0033】
上記S104の処理において燃料の比重が第1基準値と同一であった場合にはS106、S120の何れの処理が行われることとしてもよい。同様にS120の処理において燃料の比重が第2基準値と同一であった場合にはS122、S102の何れの処理が行われることとしてもよい。
【0034】
上記処理において、比重に基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば改質器20通過後の燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。パラフィン系炭化水素は炭素数が多いほど比重が大きく、芳香族炭化水素はパラフィン系炭化水素よりも比重が大きいので、燃料中の高沸点成分の含有割合が多くなるに従って比重が大きくなることとなる。よって、燃料の比重を検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0035】
ここで第1基準値は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料の比重として設定すればよい。そうすれば改質器20を通過した燃料の比重が所定の第1基準よりも大きくなった場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0036】
一方、比重センサ11aに異常がある場合には比重センサ11aからECU6に送られる信号は異常な値となる。よって、第1基準値よりも小さい第2基準値(第2基準値<第1基準値)を設定し、第2基準値よりも小さい比重が検出された場合には比重センサ11aに異常があるものと判定することができる。
【0037】
以上をまとめると、検出された燃料の比重が第2基準値よりも小さい場合には比重センサ異常、比重が第2基準値と第1基準値との間の場合には正常、比重が第1基準値よりも大きい場合には改質器異常と判定されることとなる。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、比重センサという簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。また比重の下限として第2基準値を設けたことにより比重センサの異常をも検出し警告することができ、当該異常に対する早期の対応も可能となる。
【0039】
なお、本実施形態では燃料の比重検出を容易にするため改質器20の下流側に貯留タンク11を設け、燃料を貯留させて比重を検出しているが、貯留タンクは必ずしも必要ではない。燃料の比重が検出できるのであれば貯蓄タンクを設けず改質器20とインジェクタ10の間の燃料供給路内に比重センサを直接設置してもよい。
【0040】
(第2実施形態)
図3は第2実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。本図に示すように本実施形態に係る改質器異常検出装置は貯留タンク21、ECU6を備えている。第1実施形態の構成との相違点は貯留タンク21にある。
【0041】
貯留タンク21は改質器20の下流側に設置され改質器20を通過した燃料を貯留するようになっている。貯留タンク21の内部には温度センサ21bが設置され、貯留タンク21内の温度を計測し、温度に応じた信号をECU6へ送るようになっている。また、貯留タンク21内部に圧力センサ21aが設置され、貯留タンク21内の圧力を測定し、圧力に応じた信号をECU6へ送るようになっている。貯留タンク21は電磁弁22及び電磁弁23を閉じることによって密封することができるようになっている。電磁弁23は貯留タンク21と外界(大気)との間に設置され、電磁弁23を開けることによって貯留タンク21を大気圧下へ開放できるようになっている。
【0042】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図4を参照しながら説明する。
【0043】
貯留タンク21に燃料が貯留された状態で、電磁弁22が閉じられ電磁弁23が開かれる(S202)。この状態が所定時間t1の間保持され(S204)、貯留タンク21内の圧力がほぼ大気圧となり安定する。次に電磁弁23が閉じられ(S206)貯留タンク21が密閉状態となる。この状態が所定時間t2の間保持され(S208)貯留タンク内21の圧力・温度が安定したところで貯留タンク21内の圧力Pが圧力センサ21aから読み込まれ、貯留タンク21内の温度Tが温度センサ21bから読み込まれる(S210)。読み込まれた圧力Pは温度Tにおける燃料の蒸気圧と等しくなっている。
【0044】
次に、基準蒸気圧Pg(T)が読み込まれる(S212)。Pg(T)は上記読み込まれた温度Tにおける燃料の蒸気圧のうち所望の性状の燃料の限界値である。すなわちPg(T)は、所望の性状の燃料であれば温度TにおいてPg(T)以上の蒸気圧を示すはずであるということを意味する値であり、例えば予めECU6に記憶させた蒸気圧テーブルより読み込まれる。
【0045】
次に、貯留タンク21内の圧力Pと基準蒸気圧Pg(T)との大小が比較され(S214)、PがPg(T)よりも大きくないと判断された場合には改質器は異常であると判定され(S216)、その旨の警告が発せられる(S218)。
PがPg(T)よりも大きいと判定された場合には改質器は正常であると判定され、S202の処理に戻り、引き続き異常検出処理が繰り返される。PがPg(T)と同一であると判定された場合には上記何れの処理が行なわれるようにしてもよい。
【0046】
上記処理において、貯留タンク21内の圧力Pに基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。すでに上述したように改質器20が正常に機能していれば燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。貯留タンク21内の温度Tにおいて、パラフィン系炭化水素は炭素数が多いほど蒸気圧が小さく、芳香族炭化水素はパラフィン系炭化水素よりも蒸気圧が小さいので、燃料中の高沸点成分の含有割合が多くなるに従って蒸気圧が小さくなることとなる。また、燃料が同じであれば温度が高いほど蒸気圧が高くなる。よって、燃料の温度Tにおける蒸気圧を検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。燃料の温度Tにおける蒸気圧は温度Tにおける貯留タンク21内の圧力Pとして近似的に求めることができる。
【0047】
一方、基準蒸気圧Pg(T)は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料の温度Tにおける蒸気圧として設定すればよい。そうすれば改質器20を通過した改質燃料の蒸気圧Pが基準蒸気圧Pg(T)がよりも小さくなった場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。すなわち、検出された燃料の蒸気圧が上記Pg(T)よりも大きければ正常、小さければ改質器20の異常と判定されることとなる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、圧力センサ、温度センサという簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0049】
(第3実施形態)
図5は第3実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。本図に示すように本実施形態に係る改質器異常検出装置はECU6、回転数検出装置31、タイマー6aを備えている。
【0050】
回転数検出装置31はエンジン2の回転数を検出し、ECU6に検出した回転数に応じた信号を送ることが出来るものであれば何れのものでもよく、例えばエンジン2に直結する歯車を用いたパルス発生器とパルス検出器より構成される回転検出器などが用いられる。タイマー6aは現在時刻を検出したり、時間を測定したりすることができれば何れのものでもよい。スタータ2aはエンジン2を始動させるために停止状態のエンジンを例えば電気的なモータによって回転させることが出来るものである。
【0051】
次に本図に示した内燃機関の動作について説明する。まず、スタータ2aにON信号が送られる(始動開始)とスタータ2aが回転を始めエンジン2を回転させる。スタータ2aへのON信号が送られると同時にタイマー6aで時間測定が開始される。エンジン2は一定時間回転させられた後、初爆を起こし(図6参照。図6は時間とエンジン2の回転数の関係を表したグラフである。)回転数が上下しながら連爆状態となり、一定時間の連爆状態の後完爆状態(所定の始動状態)に達する。例えば回転数を基準としてエンジン2が所定の回転数Ni以上に達した場合に完爆状態に達したと判断する。エンジン2は完爆状態に達した後は回転数が急激に上昇し、回転数が微上下しながら安定しアイドリング状態となる。
上記随時変化するエンジン2の回転数は回転数検出装置31で検出され、検出結果は随時ECU6へ送られる。検出された回転数がNiに達した時に、タイマー6aで測定されている時間が読み込まれる。ここで、初爆とは、スタータ2aへON信号が送られてから最初の燃料の爆発をいう。完爆状態とは、スタータ2aがエンジン2を駆動する駆動力がなくなったとしてもエンジン2が自立運転を始める状態のことを言う。連爆とは初爆から完爆までの間の状態のことを言う。
【0052】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図7を参照しながら説明する。スタータ2aにON信号が送られた時に(S302)タイマー6aによる時間の計測が開始される(S304)。回転数検出装置31より送られるエンジン2の回転数が随時読み込まれ(S306)、所定の始動状態に達したか否かの判断が随時なされる。例えば本実施形態では所定の回転数Niに達した場合(完爆状態)に始動状態に達したものと判定される(S308)。すなわち所定の回転数は完爆状態に達したNiとする。回転数がNiに達したら、タイマー6aから時間t(スタータ2aにON信号が送られてから完爆状態に達するまでの時間)が読み込まれる(S310)。
【0053】
読み込まれた時間tについて、予め設定された基準時間t1との大小が比較される(S312)。時間Tが基準時間t1よりも小さいと判断された場合には改質器20は正常であるとしてそのまま処理が終了する。時間tが基準時間t1よりも小さくないと判断された場合には改質器が異常である旨の判定(改質器異常判定)がなされ(S314)、改質器異常警告が発せられる(S316)。なお時間tが基準時間t1と等しいと判断された場合にはそのまま処理が終了されるようにしてもよいし、S314の処理に進むようにしても何れでもよい。
【0054】
上記処理において、始動時間から所定の始動状態に達するまでの時間(始動時間)に基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば改質器20通過後の燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。一方、燃料の高沸点成分の含有割合が高くなればなるほどエンジン2の始動時間は長くなってしまう。よって、エンジン2の始動時間を検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0055】
ここで基準時間t1は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料がエンジン2に供給された場合の始動時間として設定すればよい。そうすればエンジン2の始動時間Tが所定の基準時間t1よりも大きくなった場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、回転数検出装置という簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0057】
なお、本実施形態では、エンジン回転数を基準として時間測定が容易であることからスタータ2aにON信号が送られた時点を始動開始時とし、完爆状態となった状態を所定の始動状態としている。すなわち、スタータ2aにON信号が送られた時から完爆状態に達するまでの時間tを始動時間としている。しかし本発明はこれに限られず、燃料中の高沸点成分の含有割合が大きくなるにしたがって、大きくなる時間であれば何れの時刻を基準として始動時間としてもよい。例えば、スタータ2aにON信号が送られた時から初爆状態に達するまでの時間ta(図6参照)を始動時間としてもよく、初爆から完爆に達する時間tb(図6参照)を始動時間としてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、始動状態をエンジン回転数を基準にして回転数検出装置31により始動状態を検出しているが、エンジンの回転により発電を行う発電機(図示しない)の発電量を基準とし、発電量が所定値以上になった時を始動状態として検出してもよい。また、エンジンが始動状態となればスタータ2aが無負荷状態となるためスタータ2aの駆動電圧が始動開始時よりも下がる。よってスタータ2aの駆動電圧を基準とし、駆動電圧が所定以下になった時を始動状態として検出してもよい。
【0059】
さらに、始動時間は外気温によって影響を受け、外気温が低いほど長くなる。よって、外気温センサ(図示しない)によって外気温を検出し、基準時間t1を温度補正することによって改質器異常検出をより正確に行うことも可能である。
【0060】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る改質器異常検出装置は第3実施形態と同様にECU6、回転数検出装置31、タイマー6aを備えている(図5参照)。第3実施形態との相違点は回転数検出装置31で検出された回転数の変動に基づき改質器20の異常を検出する処理にある。
【0061】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図8を参照しながら説明する。エンジン2の始動時、すなわちスタータ2aへON信号が送られてからエンジン2の回転数がアイドリング状態に達するまでの間、エンジン2の回転数が随時読み込まれ、この間の随時の回転数は例えばECU中の揮発メモリ(図示しない)に記憶される(S402、S404)。エンジン2がアイドリング状態に達したか否かの判断は、例えば回転数検出装置31より読み込まれた回転数を基準として、所定の回転数に達している場合にはアイドリング状態に達していると判断される。
【0062】
エンジン2がアイドリング状態に達した後、既に記憶されたエンジンの回転数に基づき連爆中の回転数のバラツキの程度(回転変動)ΔNが算出される(S406)。回転変動ΔNは例えば連爆中の最大回転数及び最小回転数が求められ、最大回転数と最小回転数との差を算出することにより求められる(図9参照)。
【0063】
回転変動ΔNが算出されたら、所定の基準回転変動ΔN1との大小が比較される(S408)。回転変動ΔNが基準回転変動ΔN1よりも小さいと判断された場合には改質器20は正常であるとしてそのまま処理が終了する。回転変動ΔNが基準回転変動ΔN1よりも小さくないと判断された場合には改質器が異常である旨の判定(改質器異常判定)がなされ(S410)、改質器異常警告が発せられる(S412)。なお回転変動ΔNが基準回転変動ΔN1と等しいと判断された場合にはそのまま処理が終了するようにしてもよいし、S410の処理に進むようにしても何れでもよい。
【0064】
上記処理において、回転変動に基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。
【0065】
一方、始動時の連爆中や完爆直後にはエンジンの回転が不安定であり、回転数が上下する回転数のバラツキ(回転変動)が生じるという現象が見られる。エンジン回転数が上がり吸気管負圧が大きくなるとある時点で吸気管壁や燃焼室壁に液状燃料として付着していた高沸点成分が低圧で爆発し、燃焼室が過濃空燃比状態で失火状態又はトルクダウン状態となる。その次のサイクルでは回転数が下がり、吸気管負圧が小さくなり高沸点成分の爆発がしにくくなるため燃焼室が過薄空燃比状態で失火状態又はトルクダウン状態となる。上記のように過濃空燃比状態と過薄空燃比状態とを繰り返すこととなるため回転数の変動(回転変動)が生じる。この回転変動は燃料の高沸点成分の含有割合が高くなればなるほど大きくなるという関係があるため、エンジン2の回転変動の大きさを検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0066】
ここで基準回転変動ΔN1は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料がエンジン2に供給された場合の回転変動として設定すればよい。そうすれば回転変動ΔNが所定の基準回転変動ΔN1よりも大きくなった場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、回転数検出装置という簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0068】
なお本実施形態では連爆中の回転変動を改質器の異常判断の基準としたが、完爆直後の回転変動を改質器の異常判断の基準としてもよい。また、本実施形態では記憶されたエンジン2の回転数に基づき回転変動を算出し改質器の異常判断の基準としたが、記憶されたエンジン2の回転数に基づき完爆後のピークの回転数Nfを検出し改質器の異常判断の基準としてもよい(図9参照)。また、完爆後のピーク回転数Np直後の回転数の落ち込みにおける回転数Nfとの差ΔNpを改質器の異常判断の基準としてもよい(図9参照)。上記NfやΔNpを改質器異常判断の基準と出来る理由は次のとおりである。高沸点成分は低沸点成分よりも爆発しにくいため高沸点成分の含有割合が高くなると相対的に燃焼に寄与する燃料量が少なくなるため、発生トルクが低くなる。結果として高沸点成分の含有割合が高くなるほど完爆後のピーク回転直後の回転数の落ち込みΔNpが大きくなり、落ち込み後の回転数Nfも低くなる関係にあるためNfやΔNpを基準として燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができ、改質器20の異常の有無を判定することができる。
【0069】
さらに、回転変動ΔNは外気温によって影響を受け、外気温が低いほど大きくなる。また、完爆後のピーク回転直後の落ち込み回転数ΔNp、完爆後のピーク回転直後落ち込み後の回転数Nfは外気温によって影響を受け、外気温が低いほど小さくなる。よって、外気温センサ(図示しない)によって外気温を検出し、温度補正することによって改質器異常検出をより正確に行うことも可能である。
【0070】
(第5実施形態)
図10は第5実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。本実施形態に係る改質器異常検出装置はECU6、タイマー6a、空燃比検出器41を備えている。
【0071】
空燃比検出器41はエンジン2の排気側に設置され、エンジン2から排出される排気の成分を検出し、検出結果に応じた信号をECU6へ送るようになっている。空燃比検出器41は例えば排気中の酸素濃度を検出するO2センサが用いられる。タイマー6aはECU6に内蔵され、エンジン始動から現在までの時間を計測するようになっている。
【0072】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図11を参照しながら説明する。まず、タイマー6aよりエンジン始動から現在までの時間tが読み込まれ(S502)、tと所定値t1との大小が比較される(S504)。tが所定値t1よりも大きいと判断された場合には改質器異常の検出処理は行われず、そのまま処理が終了する。tが所定値t1よりも大きくないと判断された場合は空燃比検出器41から排気中の例えば酸素濃度が読み込まれ、読み込まれた結果に基づき空燃比afが算出される。算出された空燃比afと所定の基準空燃比af1との大小が比較され(S508)、afがaf1よりも大きくない(燃料比が小さくない)と判断された場合には改質器は異常であると判定され(S510)、その旨の警告が発せられる(S512)。
afがaf1よりも大きい(燃料比が小さい)と判断された場合には改質器は正常であると判定され、S502の処理に戻り、エンジン始動からの時間が所定値t1になるまで引き続き異常検出処理が繰り返される。afがaf1と同一であると判定された場合には上記何れの処理が行なわれるようにしてもよい。
【0073】
上記処理において、空燃比に基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば改質器20通過後の燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。
【0074】
一方、エンジン始動直後(エンジン始動からの時間がまだt1に達していない時)は吸気ポートや燃焼室が温まっていないため、液体のまま吸気ポート壁面や燃焼室壁面に付着した液状燃料が比較的多く存在する。この傾向は高沸点成分の含有割合が多いほど顕著になる。よって、供給燃料流量が同一であるため燃料の高沸点成分の含有割合が多くなるに従って燃焼に関わる実燃料量が少なくなり、空燃比が大きくなるという関係がある。よって、エンジン始動直後の空燃比を検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0075】
ここで基準空燃比af1は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料がエンジン2に供給された場合の空燃比として設定すればよい。そうすれば空燃比が基準空燃比af1よりも大きくなった場合には燃料中に高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0076】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、空燃比検出器という簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0077】
本実施形態では空燃比に基づき燃料の性状が推定されることとしているが、空燃比の変動(バラツキ)に基づき燃料の性状が推定されることとしてもよい。この場合は、時間t1に達するまでの間の空燃比が空燃比検出器41より随時読み込まれ、この間の随時の空燃比は例えばECU中の揮発メモリ(図示しない)に記憶される。記憶された空燃比より空燃比の上下の幅(空燃比変動)を求め、所定の値と比較することによって燃料の性状が推定されることとなる。空燃比変動により燃料の性状が推定できるのは以下のような理由による。ある時点で吸気管壁や燃焼室壁に液状燃料として付着していた高沸点成分が低圧で爆発し、燃焼室が過濃空燃比状態で失火状態又はトルクダウン状態となる。その次のサイクルでは回転数が下がり、吸気管負圧が小さくなり高沸点成分の爆発がしにくくなるため燃焼室が過薄空燃比状態で失火状態又はトルクダウン状態となる。上記のように過濃空燃比状態と過薄空燃比状態とを繰り返すこととなるため空燃比変動が生じる。この空燃比変動は、燃料の高沸点成分の含有割合が高くなればなるほど空燃比変動は大きくなるという関係があるため、空燃比変動の大きさを検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合が推定できる。
【0078】
本実施形態では改質器異常検出を行う対象となる時間帯は、エンジン始動から吸気ポートや燃焼室がまだ温まっていない間(エンジン始動直後、0<t<t1)であり、上記空燃比による改質器異常検出を行うに適当な時間t1が予め設定される。吸気ポートや燃焼室が温まるまでの時間は外気温や初期冷却水温によって影響を受け、外気温や初期冷却水温が低いほど長くなる。よって、外気温センサ42によって外気温を検出したり、冷却水温センサ43によって冷却水温を検出し、基準時間t1を外気温や冷却水温に応じて補正することによって改質器異常検出をより正確に行うことも可能である。また、本実施形態では空燃比による改質器異常検出を行えるか否か(吸気ポートや燃焼室が十分温まっているか否か)の判断をエンジン始動後の時間tと基準時間t1との大小関係によって判断しているが、冷却水温センサ43により検出される水温と予め設定した基準温度との大小関係によって判断することとしてもよい。
【0079】
(第6実施形態)
図12は第6実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。本図に示すように本実施形態に係る改質器異常検出装置はノックセンサ51、点火プラグ52、クランク角センサ53、ECU6を備えている。
【0080】
ノックセンサ51としてはエンジン2のノッキングを検出できるものであれば何れのものでもよい。ノックセンサ51はエンジン2のノッキング発生の有無を検出し、検出信号をECU6へ送るようになっている。クランク角センサ53はクランクの角度を検出し、検出信号をECU6へ送るようになっている。また、ECU6はクランク角センサ53から得られたクランク角に基づいて点火プラグ52の点火時期を制御し、点火進角の制御を行うようになっている。
【0081】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図13を参照しながら説明する。
【0082】
まず、点火プラグ52の点火時期を所定の設定とすることにより所定の点火進角Δift1が設定され、点火進角Δift1で運転がなされる(S602)。
ノックセンサ51の出力信号が読み込まれ(S604)、エンジン2にノッキングが発生しているか否かが判断される(S606)。ノッキングが発生していると判断された場合には改質器が異常である旨の判定(改質器異常判定)がなされる(S608)。改質器異常判定がなされたら改質器異常警告が発せられる(S610)。S606の処理でノッキングが発生していないと判断された場合にはS604の処理に戻り、引き続きノッキングの検出処理が繰り返される。
【0083】
上記処理において、ノッキングの発生に基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば改質器20通過後の燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。ここで、高沸点成分を多く含む改質前のガソリンのオクタン価は90〜95ROMであり、低沸点成分のオクタン価は100〜110ROMである。燃料中の高沸点成分の含有割合が多くなるに従ってオクタン価が低くなり、ノッキングが発生しやすくなる。よって、所定の点火進角で運転中のエンジンのノッキングを検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0084】
ここで所定の点火進角Δift1は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料がエンジン2に供給された場合にノッキングが発生しない最大限界の点火進角として設定すればよい。そうすればノッキングが発生した場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、ノックセンサという簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0086】
(第7実施形態)
第7実施形態に係る改質器異常検出装置は第6実施形態と同様にノックセンサ51、点火プラグ52、クランク角センサ53、ECU6を備えている(図12参照)。本実施形態の第6実施形態との相違点は改質器20の異常を検出する処理にある。
【0087】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図14を参照しながら説明する。
【0088】
まず、点火プラグ52の点火時期を所定の設定とすることにより所定の点火進角が設定され、運転がなされる(S702)。ノックセンサ51の出力信号が読み込まれ(S704)、エンジン2にノッキングが発生しているか否かが判断される(S706)。ノッキングが発生していないと判断された場合は点火プラグ52の点火時期が現在よりも早められることにより点火進角が増加される(S708)。S704の処理に戻り、ノッキングを検出するまで点火進角が増加され(S708)、ノッキング検出処理(S706)が繰り返される。このとき検出されたノッキングが所定レベルよりも強いレベルのノッキングであった場合には点火進角が一旦減少され、S704の処理に戻るようにしてもよい。
【0089】
S706でノッキングが発生していると判断された場合は現在の点火進角Δift(ノッキング発生時の点火進角)が読み込まれ(S709)、Δiftが所定の基準点火進角Δift2よりも進んでいるか否かが判断される(S710)。現在の点火進角Δiftが所定の基準点火進角Δift2よりも大きくないと判断された場合には改質器が異常である旨の判定(改質器異常判定)がなされる(S712)。改質器異常判定がなされたら改質器異常警告が発せられる(S714)。S710の処理で現在の点火進角Δiftが基準点火進角Δift2よりも大きいと判断された場合にはS702の処理に戻り、引き続き改質器異常検出処理が繰り返される。点火進角Δiftが所定の基準点火進角Δift2が同じであるときは上記何れの処理が行われることとしてもよい。
【0090】
上記処理において、ノッキング発生時の点火進角に基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば改質器20通過後の燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。
【0091】
一方、一般に燃料のオクタン価が同一であれば点火進角が大きくなる(点火時期が早くなる)に従ってノッキングは発生しやすくなる。点火進角が同一であれば燃料中の高沸点成分の含有割合が多くなるに従ってオクタン価が低くなり、ノッキングが発生しやすくなる。換言すれば、燃料のオクタン価が低い(高沸点成分の含有割合が高い)ほどノッキングが発生する点火進角が小さくなる関係にあることとなる。よって、点火進角をノッキングが発生するまで次第に大きくしていき、ノッキングが発生した時点の点火進角を検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0092】
ここで所定の基準点火進角Δift2は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料がエンジン2に供給された場合にノッキングが発生し始める点火進角として設定すればよい。そうすればΔift2よりも小さい点火進角でノッキングが発生した場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0093】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、ノックセンサという簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0094】
(第8実施形態)
第8実施形態に係る改質器異常検出装置はノックセンサ51、点火プラグ52、クランク角センサ53、トルクセンサ54、ECU6を備えている(図12参照)。
【0095】
以下、本実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器20の異常を検出する処理について図15を参照しながら説明する。
【0096】
まず、点火プラグ52の点火時期を所定の設定とすることにより所定の点火進角が設定され、運転がなされる(S802)。ノックセンサ51の出力信号が読み込まれ(S804)、エンジン2にノッキングが発生しているか否かが判断される(S806)。ノッキングが発生していないと判断された場合は点火プラグ52の点火時期が現在よりも早められることにより点火進角が増加される(S808)。S804の処理に戻り、ノッキングが発生するまで点火進角が増加され(S808)、ノッキング検出処理(S806)が繰り返される。このとき検出されたノッキングが所定レベルよりも強いレベルのノッキングであった場合には点火進角が一旦減少され、S804の処理に戻るようにしてもよい。
【0097】
S806でノッキングが発生していると判断された場合はトルクセンサ54で検出された現在のトルクTq(ノッキング発生時のトルク)が読み込まれる(S809)。読み込まれたトルクTqと所定の基準トルクTq1との大小関係が判断される(S810)。ノッキング発生時のトルクTqが基準トルクTq1よりも大きくないと判断された場合には改質器が異常である旨の判定(改質器異常判定)がなされる(S812)。改質器異常判定がなされたら改質器異常警告が発せられる(S814)。S810の処理でノッキング発生時のトルクTqが基準トルクTq1よりも大きいと判断された場合にはS802の処理に戻り、引き続き改質器異常検出処理が繰り返される。トルクTqと基準トルクTq1が同じであるときは上記何れの処理が行われることとしてもよい。
【0098】
上記処理において、ノッキング発生時のトルクに基づき改質器20の正常・異常を判断することとしたのは以下の理由による。改質器20は燃料を高沸点成分から低沸点成分(炭素数5以下のパラフィン系炭化水素)に転化するものである。よって改質器20が正常に機能していれば改質器20通過後の燃料には高沸点成分(炭素数6以上のパラフィン系炭化水素や芳香族炭化水素)はほとんど含まれなくなる。
【0099】
一般に燃料のオクタン価が同一であれば点火進角が大きくなる(点火時期が早くなる)に従ってノッキングは発生しやすくなる。点火進角が同一であれば燃料中の高沸点成分の含有割合が多くなるに従ってオクタン価が低くなり、ノッキングが発生しやすくなる。換言すれば、燃料のオクタン価が低い(高沸点成分の含有割合が高い)ほどノッキングが発生する点火進角が小さくなる関係にあることとなる。一般に点火進角が小さくなればトルクが小さくなる関係にある。よって、ノッキング発生時のトルクを検出することにより燃料の高沸点成分の含有割合(燃料の性状)を推定することができる。
【0100】
ここで所定の基準トルクTq1は、高沸点成分の含有割合が許容される最大値である燃料がエンジン2に供給された場合にノッキングが発生し始める点火進角ので運転した場合のトルクとして設定すればよい。そうすればTq1よりも小さいトルクに相当する点火進角でノッキングが発生した場合には高沸点成分が許容される含有割合以上に含まれてしまっていることを意味することとなる。すなわち燃料の性状は高沸点成分の含有割合が所望よりも大きいものであると推定することができ、改質器20に何らかの異常があるものと判定することができる。
【0101】
以上のように、本実施形態に係る改質器異常検出装置によれば、ノックセンサ及びトルクセンサという簡易な装置で燃料の性状を推定することができる。推定された燃料の性状に基づいて改質器の異常を検出しユーザに警告することができるので、改質器異常に対する早期の対応が可能となる。
【0102】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、燃料改質器の異常を簡易に検出することが可能な改質器異常検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。
【図2】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図3】実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。
【図4】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図5】実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。
【図6】エンジンの始動後の時間と回転数の関係を表すグラフである。
【図7】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図8】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図9】エンジンの始動後の時間と回転数の関係を表すグラフである。
【図10】実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。
【図11】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図12】実施形態に係る改質器異常検出装置の説明図である。
【図13】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図14】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【図15】実施形態に係る改質器異常検出装置が改質器の異常を検出する処理のフロー図である。
【符号の説明】
1…燃料供給装置、4…燃料供給路、6a…タイマー、6…ECU、7…超臨界状態室、11a…比重センサ、11…貯留タンク、20…改質器、21a…圧力センサ、21b…温度センサ、21…貯留タンク、31…回転数検出装置、41…空燃比検出器、51…ノックセンサ、52…点火プラグ、53…クランク角センサ、54…トルクセンサ。
Claims (9)
- 内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、
前記燃料改質器を通過した前記燃料の物性を測定する物性測定手段と、
前記物性測定手段で測定された、前記燃料の物性の測定値と所定の基準値との比較に基づいて前記燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする改質器異常検出装置。 - 前記物性測定手段は、前記燃料改質器を通過した前記燃料の比重を測定することを特徴とする、請求項1に記載の改質器異常検出装置。
- 前記物性測定手段は、前記燃料改質器を通過した前記燃料の蒸気圧を測定することを特徴とする、請求項1に記載の改質器異常検出装置。
- 内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、
前記改質器を通過した前記燃料が供給される前記内燃機関の始動開始から所定の始動状態に達するまでの始動時間を測定する始動時間測定手段と、
前記始動時間測定手段で測定された前記始動時間の測定値と所定の基準値との比較に基づいて前記燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする改質器異常検出装置。 - 内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、
前記燃料改質器を通過した前記燃料が供給される前記内燃機関の始動時における回転変動を算出する回転変動算出手段と、
前記回転変動算出手段で算出された前記回転変動の算出値と所定の基準値との比較に基づいて前記燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする改質器異常検出装置。 - 内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、
前記燃料改質器を通過した前記燃料が供給される前記内燃機関の始動開始から所定時間後までの間における空燃比を測定する空燃比測定手段と、
前記空燃比測定手段で測定された前記空燃比の測定値と所定の基準値との比較に基づいて前記燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする改質器異常検出装置。 - 内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、
前記燃料改質器を通過した前記燃料が供給される前記内燃機関が所定の点火進角において運転している場合のノッキングを検出するノッキング検出手段と、
前記ノッキング検出手段によってノッキングが検出された場合には前記燃料改質器に異常があると判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする改質器異常検出装置。 - 内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、
前記燃料改質器を通過した前記燃料が供給される前記内燃機関においてノッキングが発生する最小の点火進角を検出する点火進角検出手段と、
前記点火進角検出手段で検出されたノッキングが発生する最小の点火進角の検出値と所定の基準値との比較に基づいて前記燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする改質器異常検出装置。 - 内燃機関に供給される燃料を改質する燃料改質器の異常を検出する改質器異常検出装置であって、
前記燃料改質器を通過した前記燃料が供給される前記内燃機関においてノッキングが発生する最小の点火進角で運転した場合のトルクを検出するトルク検出手段と、
前記トルク検出手段で検出されたトルクの検出値と所定の基準値との比較に基づいて前記燃料改質器の異常の有無を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする改質器異常検出装置。
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Cited By (2)
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JP2009002356A (ja) * | 2008-10-03 | 2009-01-08 | Toyota Motor Corp | 燃焼改善手段の故障診断装置 |
KR101855788B1 (ko) * | 2016-11-15 | 2018-06-20 | 현대자동차 주식회사 | 개질 시스템 및 압력센서를 이용한 개질기 고장 진단 방법 |
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2003
- 2003-01-15 JP JP2003007549A patent/JP2004218548A/ja not_active Withdrawn
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