JP2004218108A - ポリエステル高強度繊維 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステルポリマーから構成される高強度繊維であって、該ポリマーが特定のチタン化合物及びリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルポリマーであり、かつ該繊維強度が7cN/dtex以上であることを特徴とするポリエステル高強度繊維およびそれからなる織編物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル高強度繊維に関し、さらに詳しくは、良好な色相を有し、毛羽が少ないポリエステル高強度繊維に関するものである。該ポリエステル高強度繊維は、シートベルト、エアバック、ロープ、ネット、コンテナバック等に代表される産業用資材繊維、及びその基布、各種織物、各種編物、短繊維不織布、長繊維不織布用、等の各種繊維用途に好適に使用できる。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレートは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているため、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されている。
【0003】
例えばポリエチレンテレフタレートは、通常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させることにより、テレフタル酸のエチレングリコールエステル及び/又はその低重合体を含む反応生成物を調製し、次いでこの反応生成物を重合触媒の存在下で減圧加熱して所定の重合度になるまで重縮合反応させることによって製造されている。また、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートも上記と同様の方法によって製造されている。
【0004】
これらの重縮合反応段階で使用する触媒の種類によって、反応速度および得られるポリエステルの品質が大きく左右されることはよく知られている。ポリエチレンテレフタレートの重縮合触媒としては、アンチモン化合物が、優れた重縮合触媒性能を有し、かつ、色相の良好なポリエステルが得られるなどの理由から最も広く使用されている。
【0005】
しかしながら、アンチモン化合物を重縮合触媒として使用した場合、ポリエステルを長時間にわたって連続的に溶融紡糸すると、口金孔周辺に異物(以下、単に口金異物と称することがある。)が付着堆積し、溶融ポリマー流れの曲がり現象(ベンディング)が発生し、これが原因となって紡糸、延伸工程において毛羽及び/又は断糸などを発生するという成形性の問題がある。
【0006】
一般に特にシートベルトやロープ、エアバックなどの用途では、高い強度が要求され、さらにはゴム補強用途などとは異なり、繊維が露出する用途であるため毛羽の少なくかつ色相が良いなどの外観も重要である。そのため上記の口金異物の堆積による毛羽は製品の重大な欠点であった。
【0007】
この問題を回避するため、該アンチモン化合物以外の重縮合触媒として、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用いることも提案されているが、このようなチタン化合物を使用した場合、上記のような、口金異物堆積に起因する成形性の問題は解決できるが、得られたポリエステル自身が黄色く変色しており、また、溶融熱安定性も不良であるという新たな問題が発生する。
【0008】
上記黄色化問題を解決するために、コバルト化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えることが一般的に行われている。確かにコバルト化合物を添加することによってポリエステルの色調(カラーb値)は改善することができるが、コバルト化合物を添加することによってポリエステルの溶融熱安定性が低下し、ポリマーの分解も起こりやすくなるという新たな問題が発生する。
【0009】
また、他のチタン化合物として、特公昭48−2229号公報には水酸化チタンを、また特公昭47−26597号公報にはα−チタン酸を、それぞれポリエステル製造用触媒として使用することが開示されている。しかしながら、前者の方法では水酸化チタンの粉末化が容易でなく、一方、後者の方法ではα−チタン酸が変質し易いため、その保存、取り扱いが容易でなく、したがっていずれも工業的に採用するには適当ではなく、さらに、良好な色相、色調(カラーb値)のポリマーを得ることも困難である。
【0010】
また、特公昭59−46258号公報にはチタン化合物とトリメリット酸とを反応させて得られた生成物を、また特開昭58−38722号公報にはチタン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生成物を、それぞれポリエステル製造用触媒として使用することが開示されている。確かに、この方法によれば、ポリエステルの溶融熱安定性はある程度向上しているものの、得られるポリマーの色相が十分なものではなく、したがってポリマー色相のさらなる改善が望まれている。
【0011】
さらに、特開平7−138354号公報においては、チタン化合物とリン化合物との錯体をポリエステル製造用触媒とすることが提案されており、この方法によれば溶融熱安定性もある程度は向上するものの、得られるポリマーの色相は十分なものではないという問題があった。
【0012】
【特許文献1】
特公昭48−2229号公報
【特許文献2】
特公昭47−26597号公報
【特許文献3】
特公昭59−46258号公報
【特許文献4】
特開昭58−38722号公報
【特許文献5】
特開平7−138354号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、良好な色相を有し、紡糸口金異物起因の毛羽が抑制されたポリエステル高強度繊維を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステル高強度繊維は、ポリエステルポリマーから構成される高強度繊維であって、該ポリマーが下記式(I)で表されるチタン化合物と下記式(II)で表されるリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルポリマーであり、かつ該繊維強度が7cN/dtex以上であることを特徴とする。
【0015】
【化4】
【0016】
(R1、R2、R3、R4は、それぞれ同一もしくは異なって、アルキル基またはフェニル基であり、kは1〜4の整数である。なお、kが2〜4の場合には、複数のR2およびR3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0017】
【化5】
【0018】
(R5は、炭素原子数1〜20個のアルキル基または炭素原子数6〜20個のアリール基であり、nは1または2である。)
【0019】
また、別の本発明である織編物またはシートベルトは、上記のポリエステル高強度繊維を用いることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるポリエステルの重縮合触媒としては、上記式(I)で表されるチタン化合物と上記式(II)で表されるリン化合物との反応生成物を用いる。特に好ましくは上記式(I)で表されるチタン化合物と上記式(II)で表されるリン化合物とを、グリコール中で加熱することにより精製する析出物として得た触媒である。
【0021】
該チタン化合物としては、上記式(I)で表されるチタン化合物を用い、具体的には、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシドに例示されるチタンテトラアルコキシド、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネートなどのアルキルチタネートを挙げることができるが、なかでも本発明において使用されるリン化合物成分との反応性の良好なチタンテトラアルコキシドを用いることが好ましく、特にチタンテトラブトキシドを用いることが好ましい。
【0022】
一方、該リン化合物としては、具体的には、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノ−n−プロピルホスフェート、モノ−n−ブチルホスフェート、モノヘキシルホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノノニルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノドデシルホスフェート、モノラウリルホスフェート、モノオレイルホスフェート、モノテトラコシルホスフェート、モノフェニルホスフェート、モノベンジルホスフェート、モノ(4−メチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−エチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−プロピルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ドデシルフェニル)ホスフェート、モノトリルホスフェート、モノキシリルホスフェート、モノビフェニルホスフェート、モノナフチルホスフェートおよびモノアントリルホスフェートなどのモノアルキルホスフェートまたはモノアリールホスフェート、並びに、ジエチルホスフェート、ジプロピルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジヘキシルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジオレイルホスフェート、ジテトラコシルホスフェート、ジフェニルホスフェートなどのジアルキルホスフェートまたはジアリールホスフェートを例示することができる。なかでも、上記式(II)においてnが1であるモノアルキルホスフェートまたはモノアリールホスフェートが好ましい。
【0023】
これらのリン化合物は、混合物として用いてもよく、例えばモノアルキルホスフェートとジアルキルホスフェートの混合物、モノフェニルホスフェートとジノフェニルホスフェートの混合物を、好ましい組み合わせとして挙げることができる。特に混合物中、モノアルキルホスフェートが全混合物量を基準として50%以上、特に90%以上を占めるような組成とするのが好ましい。
【0024】
前記触媒の調整方法は特に限定されず、例えば、上記式(I)のチタン化合物と上記式(II)のリン化合物とをグリコール中で加熱することにより製造することができ、該チタン化合物と該リン化合物とを含有するグリコール溶液を加熱すると、グリコール溶液が白濁して析出物が発生する。この析出物を本発明では、ポリエステルの製造用の触媒として用いることができる。
【0025】
ここで用いることのできるグリコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等を例示することができるが、得られた触媒を用いて製造するポリエステルを構成するグリコール成分と同じものを使用することが好ましい。例えば、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合にはエチレングリコール、ポリトリメチレンテレフタレートである場合には1,3−プロパンジオール、ポリテトラメチレンテレフタレートである場合にはテトラメチレングリコールをそれぞれ用いることが好ましい。
【0026】
なお、前記触媒は、式(I)のチタン化合物、式(II)のリン化合物及びグリコールの3者を同時に混合し、加熱する方法によっても製造することができる。しかし、加熱により式(I)のチタン化合物と式(II)のリン化合物とが反応して、グリコールに不溶の析出物として析出するので、この析出までの反応は均一な反応であることが好ましい。したがって、効率よく反応析出物を得るためには、式(I)のチタン化合物と式(II)のリン化合物とのそれぞれについて予めグリコール溶液を調整し、その後、この溶液を混合し加熱させる方法により製造することが好ましい。
【0027】
また、加熱時の温度は、反応温度が余りに低すぎると、反応が不十分であったり、反応に過大に時間を要したりする問題がある。そこで、均一な反応により効率よく反応析出物を得るには、50℃〜200℃の温度で反応させることが好ましく、反応時間は、1分間〜4時間が好ましい。
【0028】
例えば、グリコールとしてエチレングリコールを用いる場合50℃〜150℃が好ましく、ヘキサメチレングリコールを用いる場合100℃〜200℃が好ましい範囲であり、また、反応時間は、30分間〜2時間がより好ましい範囲となる。
【0029】
グリコール中で加熱する式(I)のチタン化合物と式(II)のリン化合物との配合割合は、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率として1.0〜3.0の範囲にあることが好ましく、さらに1.5〜2.5であることが好ましい。該範囲内にあるときには、リン化合物とチタン化合物がほぼ完全に反応して未完全な反応物が存在しなくなるので、該反応生成物をそのまま使用しても得られるポリエステルの色相改善効果は良好であり、また、過剰な未反応のリン化合物もほとんど存在しないので、ポリエステル重合反応性を阻害することがなく生産性も高いものとなる。
【0030】
さらに上記の触媒においては、前記式(I)(但し、k=1)のチタン化合物と、式(II)のリン化合物成分との反応生成物は、下記(IV)により表される化合物を含有するものが好ましい。
【0031】
【化6】
【0032】
(ただし、式(IV)中のR6およびR7基は、それぞれ独立に、前記チタン化合物のR1、R2、R3、R4および前記リン化合物のR5のいずれか1つ以上に由来する2〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または、前記リン化合物のR5に由来する、6〜12個の炭素原子を有するアリール基である。)
式(IV)で表されるチタン化合物とリン化合物との反応生成物は、高い触媒活性を有しているので、これを用いて得られるポリエステルは、良好な色調(低いb値)を有し、実用上十分に低いアセトアルデヒド、残留金属及び芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールとのエステルの環状三量体の含有量を有し、かつ実用上十分なポリマー性能を有する。
【0033】
本発明において、ポリエステル製造用の触媒には、前記一般式(IV)のチタン/りん化合物が50質量%以上含まれていることが好ましく、70質量%以上含まれることがより好ましい。
【0034】
また本発明においては、チタン化合物を予め下記一般式(III)で表される多価カルボン酸及び/又はその酸無水物と反応モル比(2:1)〜(2:5)の範囲で反応させた後、リン化合物と反応させることが好ましい。
【0035】
【化7】
【0036】
(ただし、mは2〜4の整数である。)
該多価カルボン酸及びその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物を好ましく用いることができ、特にチタン化合物との反応性がよく、また得られる重縮合触媒のポリエステルとの親和性の高いトリメリット酸無水物を用いることが好ましい。
【0037】
該チタン化合物と多価カルボン酸又はその無水物との反応は、前記多価カルボン酸又はその無水物を溶媒に混合してその一部又は全部を溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物を滴下し、0℃〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度に40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧で充分である。なお、前記溶媒としては、多価カルボン酸又はその無水物の一部又は全部を溶解し得るものから適宜に選択することができるが、好ましくは、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン、キシレン等から選ばれる。
【0038】
この反応におけるチタン化合物と式(III)の化合物又はその無水物とのモル比は適宜に選択することができるが、チタン化合物の割合が多すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりする傾向があり、逆にチタン化合物の量が少なすぎると重縮合反応が進みにくくなる傾向があるため、チタン化合物と多価カルボン酸化合物又はその無水物との反応モル比は、(2:1)〜(2:5)とすることが好ましい。
【0039】
この反応によって得られる反応生成物は、そのまま前述のリン化合物との反応に供してもよく、あるいはこれをアセトン、メチルアルコール及び/又は酢酸エチルなどによって再結晶して精製した後、これをリン化合物と反応させてよい。
【0040】
このようにして得た析出物を含むグリコール液は、上記反応生成物の存在下にポリエステルを重縮合するにあたって、析出物とグリコールとを分離することなくそのままポリエステル製造用触媒として用いてもよく、遠心沈降処理又は濾過などの手段により析出物を分離した後、該析出物を、再結晶剤、例えばアセトン、メチルアルコール及び/又は水などにより再結晶し精製した後、この精製物を触媒として用いてもよい。なお、該触媒は、固体NMR及びXMAの金属定量分析で、その構造を確認することできる。
【0041】
本発明で用いるポリエステルポリマーを得るに当たっては、上記析出物は、重縮合反応時に反応系内に存在していればよい。このため該析出物の添加は、原料スラリー調製工程、エステル化工程、液相重縮合工程等のいずれの工程で行ってもよい。また、触媒全量を一括添加しても、複数回に分けて添加してもよい。
【0042】
また、重縮合反応では、必要に応じてトリメチルホスフェートなどのリン安定剤をポリエステル製造における任意の段階で加えてもよく、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、整色剤、消泡剤その他の添加剤などを配合してもよい。
【0043】
さらに、得られるポリエステルの色相の改善補助をするために、ポリエステルの製造段階において、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機青色顔料等、無機系以外の整色剤を添加することもできる。
【0044】
本発明は、ポリエステルポリマーから構成される繊維であって、該ポリマーが前記の触媒を用いて重合されたポリエステルポリマーからなる高強度繊維であるが、次に、前記の触媒を用いて、ポリエステルポリマーを重合させる方法について説明する。ここでポリエステルポリマーとは、二官能性芳香族カルボン酸である芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、脂肪族グリコールとを重縮合させたものである。
【0045】
ポリエステルの出発原料となる二官能性芳香族カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を用いることができる。
【0046】
もう一方の出発原料となる脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンメチレングリコール、ドデカメチレングリコールを用いることができる。
【0047】
また、ジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸とともに、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸など又はそのエステル形成性誘導体を原料として使用することができ、ジオール成分としても脂肪族ジオールとともに、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコール、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類などの芳香族ジオールなどを原料として使用することができる。
【0048】
さらに、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物を原料として使用することができる。
【0049】
上記の二官能性芳香族カルボン酸のアルキレングリコールエステル及び/又はその低重合体は、いかなる方法によって製造されたものであってもよいが、通常、二官能性芳香族カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とアルキレングリコール又はそのエステル形成性誘導体とを加熱反応させることによって製造される。
【0050】
例えば、ポリエチレンテレフタレートの原料であるテレフタル酸のエチレングリコールエステル及び/又はその低重合体について説明すると、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか、又はテレフタル酸にエチレンオキサイドを付加反応させる方法が一般に採用される。
【0051】
なお、出発原料としてテレフタル酸及びテレフタル酸ジメチルを用いる場合には、ポリアルキレンテレフタレートを解重合することによって得られた回収テレフタル酸ジメチル又はこれを加水分解して得られる回収テレフタル酸を、ポリエステルを構成する全酸成分の質量を基準として70質量%以上使用することもできる。この場合、前記アルキレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、特に回収されたPETボトル、回収された繊維製品、回収されたポリエステルフィルム製品、さらには、これら製品の製造工程において発生するポリマー屑などをポリエステル製造用原料源とする再生ポリエステルを用いることは、資源の有効活用の観点から好ましいことである。
【0052】
ここで、回収ポリアルキレンテレフタレートを解重合してテレフタル酸ジメチルを得る方法には特に制限はなく、従来公知の方法をいずれも採用することができる。例えば、回収ポリアルキレンテレフタレートを用いて解重合した後、解重合生成物を、低級アルコール、例えばメタノールによるエステル交換反応に供し、この反応混合物を精製してテレフタル酸の低級アルキルエステルを回収し、これをアルキレングリコールによるエステル交換反応に供し、得られたテレフタル酸/アルキレングリコールエステルを重縮合すればポリエステルを得ることができる。また、上記、回収された、テレフタル酸ジメチルからテレフタル酸を回収する方法にも特に制限はなく、従来方法のいずれを用いてもよい。例えばエステル交換反応により得られた反応混合物からテレフタル酸ジメチルを再結晶法及び/又は蒸留法により回収した後、高温高圧化で水とともに加熱して加水分解してテレフタル酸を回収することができる。この方法によって得られるテレフタル酸に含まれる不純物において、4−カルボキシベンズアルデヒド、パラトルイル酸、安息香酸及びヒドロキシテレフタル酸ジメチルの含有量が、合計で1ppm以下であることが好ましい。また、テレフタル酸モノメチルの含有量が、1〜5000ppmの範囲にあることが好ましい。上述の方法により回収されたテレフタル酸と、アルキレングリコールとを直接エステル化反応させ、得られたエステルを重縮合することによりポリエステルを製造することができる。
本発明では、ポリエステルが上記のような再生ポリエステルであることがより好ましい。
【0053】
次に、本発明における重縮合触媒の存在下に、上記で得られた低重合体を、減圧下で、かつポリエステルポリマーの融点以上分解点未満の温度(通常240℃〜280℃)に加熱することにより重縮合させる。この重縮合反応では、未反応の脂肪族グリコール及び重縮合で発生する脂肪族グリコールを反応系外に留去させながら行われることが望ましい。
【0054】
重縮合反応は、1槽で行ってもよく、複数の槽に分けて行ってもよい。例えば、重縮合反応が2段階で行われる場合には、第1槽目の重縮合反応は、反応温度が245〜290℃、好ましくは260〜280℃、圧力が100〜1kPa、好ましくは50〜2kPaの条件下で行われ、最終第2槽での重縮合反応は、反応温度が265〜300℃、好ましくは270〜290℃、反応圧力は通常10〜1000Paで、好ましくは30〜500Paの条件下で行われる。
【0055】
このようにして得られたポリエステルは、通常、溶融状態で押し出しながら、冷却後、粒状(チップ状)のものとなす。得られたポリエステルの固有粘度は0.40〜0.80、さらに好ましくは0.50〜0.70であることが望ましい。
【0056】
上記重縮合工程で得られるポリエステルは、所望によりさらに固相重縮合することも好ましい。固相重縮合は、公知である高温真空条件あるいは高温不活性ガス条件で行うことが可能であり、さらに詳しくは該固相重縮合工程は、少なくとも1段階からなり、温度が190〜230℃、好ましくは195〜225℃であり、圧力が1kPa〜200kPa、好ましくは10kPa〜大気圧の条件下で、窒素、アルゴン、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。使用する不活性ガスとしては窒素ガスが望ましい。
【0057】
このようにして得られた粒状ポリエステルの固有粘度は、0.70〜1.06、さらに好ましくは0.09〜1.02であることが望ましい。固有粘度が0.70より低いと十分な繊維のタフネスが得られにくい傾向にあり、1.06より高いと製糸性が著しく低下し結果的に斑のために強度が低下する傾向にある。
【0058】
このような固相重縮合工程を経て得られた粒状ポリエステルには、必要に応じて、水、水蒸気、水蒸気含有不活性ガス、水蒸気含有空気などと接触させるいわゆる水処理を行って、チップ中に含まれる触媒を失活させてもよい。
上記のようなエステル化工程と重縮合工程とを含むポリエステルの製造工程はバッチ式、半連続式、連続式のいずれでも行うことができる。
【0059】
なお、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体は、使用する芳香族ジカルボン酸成分を基準として80モル%以上、好ましくは90モル%以上を占めるような量で用いられ、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体は脂肪族グリコールを基準として80モル%以上、好ましくは90モル%以上を占める量で用いられることが好ましい。
【0060】
本発明は、このようにして得られるポリエステルポリマーから構成される高強度繊維である。繊維断面形状は特に規定する必要は無く、円形であっても異形であってもどちらでもよいが、高強度とするためには円形であることが好ましい。
【0061】
このような本発明のポリエステル高強度繊維は、上記した方法で得られたポリエステルポリマーを、従来公知のポリエステルの溶融紡糸により紡糸・延伸することにより得ることができる。紡糸・延伸は2ステップであっても1ステップであってもよい。
【0062】
本発明のポリエチレン高強度繊維は、強度が7cN/dtex以上であり、高強力であるほど好ましいが、通常の範囲は、7〜11cN/dtex、さらには7.5〜9.5cN/dtex程度である。強度が7cN/dtex未満の場合は、高強度繊維としての性能が不充分であり、産業資材用途等に適さない。
【0063】
また、別の本発明は上記本発明のポリエステル高強度繊維を用いた織編物である。本発明の織編物は、常法により前述のポリエステル高強度繊維から作成することができる。得られた織編物は、産業資材用途等に広範に用いることができ、たとえばその用途としてはシートベルト、エアバック、ロープ、ネット、コンテナバック等に代表される産業用資材繊維、及びその基布、各種織物、各種編物、短繊維不織布、長繊維不織布用、等の各種繊維用途が挙げられ、本発明の効果を顕著に発現させることができる。
【0064】
このような用途のうち最も顕著な効果が得られるのは、もう一つの発明である、前述のポリエステル高強度繊維よりなるシートベルトである。本発明の高強度繊維を用い、シートベルトウェビングを製織、染色したシートベルトは色相に優れ、染色斑や毛羽欠点の非常に少ないシートベルトとなる。
【0065】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。なお、実施例中の各値は以下の方法に従って求めた。
【0066】
(1)固有粘度:
ポリエステル0.6gをo−クロロフェノール50cc中に加熱溶解した後、一旦冷却させ、その溶液を、オストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で常法に従って測定した溶液粘度から、算出した。
【0067】
(2)金属含有濃度分析:
反応析出触媒のチタン、リン原子濃度は、乾燥したサンプルを走査電子顕微鏡(SEM、日立計測機器サービスS570型)にセットし、それに連結したエネルギー分散型X線マイクロアナライザー(XMA、堀場EMAX−7000)にて定量分析を実施した。
ポリエステル中の触媒金属濃度は、粒状のサンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平面を有する成形体を作成し、蛍光X線装置(理学電機工業3270E型)にて、定量分析した。
【0068】
(3)繊維の強伸度
繊維試料をJIS−L1013の方法により引張試験を行い、破断時の強度、伸度を測定した。
【0069】
(4)紡糸口金に発生する付着物の層:
ポリエステルをチップ形状となし、これを300℃で溶融し、孔径0.6mmφ、孔数96個の紡糸口金から吐出し、680m/分で7日間連続紡糸し、7日目の口金の吐出口外縁に発生する付着物の層の高さを測定した。この付着物層の高さが大きいほど吐出されたポリエステルのフィラメント状流にベンディングが発生しやすく、このポリエステルの成形性は低くなる。すなわち、紡糸口金に発生する付着物層の高低は、当該ポリエステルの成形性の指標であり、0μmに近い方が当然ながら成形性は良好である。
【0070】
(5)色相(L*−b*)値
ポリエステル繊維を12ゲージ丸編機で30cm長の筒編みとし、ミノルタ株式会社製ハンター型色差計CR−200を用い、L*値、b*値を測定し、その差を(L*−b*)値とした。数値が高い方が、色相が好ましいことをあらわしている。94〜99が好ましい範囲である。
【0071】
(6)ベルト毛羽欠点
ポリエステル繊維300本を経糸とし、緯糸には560デシテックス/72フィラメントのポリエステル繊維を用い、51mm幅のシートベルトウェビングを製織・染色して49mm幅のシートベルト用ウェビングとし、目視によりベルト100m当たりの毛羽欠点を評価した。
【0072】
[実施例1]
チタン化合物の調製:
内容物を混合撹拌できる機能を備え付けた2Lの三口フラスコを準備し、その中にエチレングリコール919gと酢酸10gを入れて混合撹拌した中に、チタンテトラブトキシド71gをゆっくり徐々に添加し、チタン化合物のエチレングリコール溶液(透明)を得た。以下、この溶液を「TB溶液」と略記する。本溶液のチタン原子濃度は1.02%であった。
【0073】
リン化合物の調製:
内容物を加熱し、混合撹拌できる機能を備え付けた2Lの三口フラスコを準備し、その中にエチレングリコール656gを入れて撹拌しながら100℃まで加熱した。その温度に達した時点で、モノラウリルホスフェートを34.5g添加し、加熱混合撹拌して溶解し、透明な溶液を得た。以下、この溶液を「P1溶液」と略記する。
【0074】
触媒の調製:
引き続き、100℃に加熱コントロールした上記のP1溶液(約690g)の撹拌状態の中に、先に準備したTB溶液310gをゆっくり徐々に添加し、全量を添加した後、100℃の温度で1時間撹拌保持し、チタン化合物とリン化合物との反応を完結させた。この時のTB溶液とP1溶液との配合量比は、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率が2.0に調整されたものとなっていた。この反応によって得られた生成物は、エチレングリコールに不溶であったため、白濁状態で微細な析出物として存在した。以下、この溶液を「TP1−2.0触媒」と略記する。
【0075】
得られた反応析出物を分析する為、一部の反応溶液を目開き5μのフィルターでろ過し、その析出反応物を固体として採取した後、水洗、乾燥した。得られた析出反応物をXMA分析法で、元素濃度の分析を行った結果、チタン12.0%,リン16.4%であり、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率は、2.1であった。さらに、固体NMR分析を行ったところ、次のような結果を得た。C−13 CP/MAS(周波数75.5Hz)測定法で、チタンテトラブトキシドのブトキシド由来のケミカルシフト14ppm、20ppm、36ppmピークの消失が認められ、また、P−31 DD/MAS(周波数121.5Hz)測定法で、従来モノラウリルホスフェートでは存在しない新たなケミカルシフトピーク−22ppmを確認した。これらより、本条件で得られた析出物は、明らかにチタン化合物とリン化合物とが反応して新たな化合物となっていることを示す。
【0076】
さらに、予め225部のオリゴマーが滞留する反応器内に、撹拌下、窒素雰囲気で255℃、常圧下に維持された条件下に、179部の高純度テレフタル酸と95部のエチレングリコールとを混合して調製されたスラリーを一定速度供給し、反応で発生する水とエチレングリコールを系外に留去ながら、エステル化反応を4時間し反応を完結させた。この時のエステル化率は、98%以上で、生成されたオリゴマーの重合度は、約5〜7であった。
【0077】
このエステル化反応で得られたオリゴマー225部を重縮合反応槽に移し、重縮合触媒として、上記で作成した「TP1−2.0触媒」を3.34部投入した。引き続き系内の反応温度を255から280℃、また、反応圧力を大気圧から60Paにそれぞれ段階的に上昇及び減圧し、反応で発生する水,エチレングリコールを系外に除去しながら重縮合反応を行った。
【0078】
重縮合反応の進行度合いを、系内の撹拌翼への負荷をモニターしなから確認し、所望の重合度に達した時点で、反応を終了した。その後、系内の反応物を吐出部からストランド状に連続的に押し出し、冷却、カッティングして、約3mm程度のポリエチレンテレフタレートチップを得た。
【0079】
次に得られたチップを乾燥し、常法の固相重合法に従って240℃の真空下で、固相重合を実施し固有粘度0.98の高重合度ポリエチレンテレフタレートチップを得た。チップの品質は表1に併せて示した。
【0080】
そうして最終的に得られた高重合度ポリエチレンテレフタレートを用いて溶融押出機に供給し口径0.6mmφの孔数96個の紡糸口金から310℃で吐出し、常法に従って冷却、オイリング後、485m/分で引き取り、ひきつづき巻き取ることなく、5.10倍に延伸して1100dtex、96フィラメント、強度7.8cN/dtexのポリエステル高強度繊維を得た。得られたポリエステル高強度繊維の品質と製糸7日後の口金異物高さを表1に併せて示した。
【0081】
製造開始後隔日毎に得られたポリエステル高強度繊維を経糸に用いて、シートベルトを作成した。製造時の紡糸口金に発生していた異物高さと、その時に製造した繊維を用いたベルトの毛羽欠点箇所を表2に示した。
【0082】
[実施例2]
実施例1のリン化合物の調整において、モノラウリルホスフェートから代えてモノブチルホスフェートを用い、リン化合物の調整、触媒の調整における添加量及び条件についても、併せて下記の通り変更したこと以外は実施例1と同様に行った。
【0083】
すなわちエチレングリコール537gにモノブチルホスフェート28.3gを加熱及び溶解し、(以下、これを「P2溶液」と略記する。)その中にTB溶液435gを入れて反応物を得た。この時のTB溶液とP2溶液との配合量比は、チタン原子を基準としてリン原子のモル比率として2.0に調整されたものとなっている。以下これを「TP2−2.0触媒」と略す。この時の加熱温度は、70℃で、反応時間は1時間とした。
【0084】
本反応析出物を分析する為、一部の反応溶液を5μのフィルターでろ過し、その析出反応物を固体として採取し、その後、水洗、乾燥した。得られた析出反応物の元素濃度分析を同じように行った結果、チタン17.0%,リン21.2%で、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率は、1.9であった。
【0085】
使用した触媒以外は実施例1と同様にして、ポリエステル高強度繊維を作成した。ただし強度を実施例1に合わせるべく延伸倍率を調整している。表1にその物性を併せて示す。
【0086】
[実施例3]
実施例1において、TP1溶液の調整量及びTB溶液添加量を変更したこと以外は、同様の操作を行った。ただし、調整量、添加量については次の通りとした。
【0087】
エチレングリコール594gにモノラウリルホスフェート31.3gを加熱及び溶解し(以下、「P3溶液」と略記する。)、その中にTB溶液375gを入れ反応物を得た。この時のTB溶液とP3溶液との配合量比は、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率が1.5に調整されたものとなっている。以下、これを「TP3−1.5触媒」と略す。
【0088】
使用した触媒以外は実施例1と同様にしてポリエステル高強度繊維を作成した。ただし強度を実施例1に合わせるべく延伸倍率を調整している。表1にその物性を併せて示す。
【0089】
[実施例4]
実施例2において、TP2溶液の調整量及びTB溶液添加量を変更したこと以外は、同様の操作を行った。ただし、調整量、添加量については次の通りとした。
【0090】
エチレングリコール627gにモノブチルホスフェート33.0gを加熱及び溶解し(以下、「P4溶液」と略記する。)、その中にTB溶液340gを入れ反応物を得た。この時のTB溶液とP4溶液の配合量比は、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率が3.0に調整されたものとなっている。以下、これを「TP4−3.0触媒」と略す。
【0091】
使用した触媒以外は実施例1と同様にしてポリエステル高強度繊維を作成した。ただし強度を実施例1に合わせるべく延伸倍率を調整している。表1にその物性を併せて示す。
【0092】
[比較例1]
実施例1において、重縮合触媒を、三酸化アンチモンの1.3%濃度エチレングリコール溶液に変更し、その投入量を4.83部とし、さらに安定剤としてトリメチルホスフェートの25%エチレングリコール溶液0.121部を投入し、強度を実施例1の7.8cN/dtexに合わせるよう延伸倍率を変化させたこと以外は同様の操作を行いポリエステル繊維を作成した。この繊維は延伸倍率が高く、色相も劣ったものであった。結果を表1に示した。
【0093】
製造開始後隔日毎に得られたポリエステル繊維を経糸に用いて、シートベルトを作成した。製造時の紡糸口金に発生していた異物高さと、その時に製造した繊維を用いたベルトの毛羽欠点箇所を表2に示した。
【0094】
[比較例2]
実施例1において、重縮合触媒として、実施例1で調製したTB溶液のみを使用し、その投入量を1.03部とし、強度を実施例1の7.8cN/dtexに合わせるよう延伸倍率を変化させたこと以外は同様の操作を行いポリエステル繊維を作成した。この時の重縮合反応時間は、95分であった。この繊維は延伸倍率が高く、色相も劣ったものであった。結果を表1に示した。
【0095】
【表1】
【0096】
表1からも明らかなように、本発明のポリエステル高強度繊維は良好な色相が得られたのに対して、触媒種に三酸化アンチモンを用いた場合(比較例1)、チタン化合物のみを用いた場合(比較例2)は、色相が不良であった。
【0097】
また、実施例1と比較例1について、紡糸口金に発生する異物高さとベルト毛羽欠点個所について測定した結果は表2に示されている。
【0098】
【表2】
【0099】
表2から明らかなように、本発明のポリエステル高強度繊維の製造における紡糸口金に発生する異物高さ及びポリエステル高強度繊維織物100mあたりの毛羽欠点個所は、アンチモン化合物を触媒として用いた場合に比べ、大幅に減少した。
【0100】
また、該ベルトは毛羽欠点のみでなく染色斑もみられず、実用上問題のない力学特性を持つものであった。
【0101】
【発明の効果】
本発明によれば、良好な色相を有し、紡糸口金異物起因の毛羽が抑制されたポリエステル高強度繊維が提供される。
Claims (7)
- ポリエステルポリマーから構成される高強度繊維であって、該ポリマーが下記式(I)で表されるチタン化合物と下記式(II)で表されるリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルポリマーであり、かつ該繊維強度が7cN/dtex以上であることを特徴とするポリエステル高強度繊維。
- チタン化合物とリン化合物との配合割合が、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率として1.0〜3.0の範囲にある、請求項1記載のポリエステル高強度繊維。
- リン化合物がモノアルキルホスフェートである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル高強度繊維。
- ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル高強度繊維。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載のポリエステル高強度繊維を用いることを特徴とする織編物。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載のポリエステル高強度繊維を用いることを特徴とするシートベルト。
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2003
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