JP2004217880A - 皮革材 - Google Patents
皮革材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004217880A JP2004217880A JP2003010252A JP2003010252A JP2004217880A JP 2004217880 A JP2004217880 A JP 2004217880A JP 2003010252 A JP2003010252 A JP 2003010252A JP 2003010252 A JP2003010252 A JP 2003010252A JP 2004217880 A JP2004217880 A JP 2004217880A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- leather
- mineral
- negative ions
- leather material
- natural
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Treatment And Processing Of Natural Fur Or Leather (AREA)
Abstract
【課題】マイナスイオンを長期間に亘って放出することができるとともにミネラル成分を含有していて、これらマイナスイオンおよびミネラル成分の作用によって健康維持を図ることができ、しかも人体にフィットしてマイナスイオンやミネラル成分を人体に有効に作用させることができ、履物や衣類あるいは家具用の素材として適用範囲の広い皮革材を提供する。
【解決手段】マイナスイオンを放出する鉱物の成分を溶出せしめた水を、タンニンなめしを施した天然皮革に含浸せしめて乾燥し、前記鉱物をトルマリン、前記天然皮革を豚革で構成した。
【選択図】 図1
【解決手段】マイナスイオンを放出する鉱物の成分を溶出せしめた水を、タンニンなめしを施した天然皮革に含浸せしめて乾燥し、前記鉱物をトルマリン、前記天然皮革を豚革で構成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は皮革製品の材料となる皮革材に関し、より詳しくは鉱物由来のミネラル成分を含み、かつマイナスイオンを放出する皮革材に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
皮革材は、従来から靴等の履物類、ジャンパー等の衣類、かばん等の旅行用具類、ソファ等の家具類、乗馬用鞍等の馬具類など多様な皮革製品の材料として利用されている。
【0003】
ところで近年、マイナスイオンが人体の健康に与える影響についての研究が数多くなされ、マイナスイオンが血液の浄化や新陳代謝の活性化という有効な作用を有し、また抗菌、除菌作用や消臭作用をも有しているということが明らかになってきており、マイナスイオンをコロナ放電によって電気的に発生させる機能を備える空気清浄機や空気調和機などが実用に供されている。
【0004】
上述のように人体の健康維持に有効なマイナスイオンを、日常的に人体に触れる履物や衣類あるいは触れる機会の多いかばん類や家具類に用いられる皮革材から放出することができるようにすれば人体に対するマイナスイオンの作用をより一層効果的に利用できるのであるが、現在のところマイナスイオンを放出することができるようにした皮革材はない。
【0005】
皮革材にマイナスイオンを放出する作用を担持させるには、マイナスイオンを放出する性質の鉱物を皮革材の表面に接着剤等のバインダを用いてコーティングして付着させるという手段が考えられるが、人体との接触が多い皮革材はその表面と人体との間に生じる摩擦力を受けるので、表面から脱落してしまい、マイナスイオンの作用が長く続かない。このことが、マイナスイオンを放出することができるようにした皮革材が実用化できない原因と考えられる。
【0006】
【目的】
本発明の目的とするところは、マイナスイオンを長期間に亘って放出することができ、健康維持作用を得ることができる皮革材を提供することにある。
【0007】
【発明の構成】
上記目的を達成するために、本発明に係る皮革材は、マイナスイオンを放出する鉱物の成分を溶出せしめた水を天然皮革に含浸せしめて乾燥した構成のものとしてあり、前記鉱物をトルマリン、前記天然皮革を豚革で構成したものとしてあり、また前記天然皮革を、タンニンなめしを施したものとしてある。
【0008】
【実施例】
以下、本発明に係る皮革材の実施例について詳細に説明する。
本発明に係る皮革材は、マイナスイオンを放出する鉱物の成分を溶出せしめた水を、天然皮革に含浸せしめて乾燥することにより、その内部にマイナスイオンを放出する鉱物の成分を担持せしめたものとしてある。
【0009】
具体的には、電気石と呼ばれるトルマリン等のマイナスイオンを発生する鉱物を微粉末に粉砕し、この微粉末を水に添加して鉱物成分を水に溶出せしめ、鉱物成分が溶出したミネラル水中に天然皮革を浸漬して乾燥し、鉱物成分を担持せしめる。
なお、天然皮革をミネラル水に浸漬する代わりに、天然皮革にミネラル水を噴霧や散布する場合もある。
【0010】
しかして本実施例における皮革材には、天然皮革としてタンニンなめしを施した豚革、牛革、馬革および羊革を用いた。
【0011】
次ぎに、上述のように構成した皮革材から放出されるマイナスイオンの測定試験とその結果について説明する。
【0012】
<試料作成>
まず、マイナスイオンを放出する天然鉱物(鉱石)たるトルマリン粉末10gを精製水1リットル中に加えて攪拌し、常温で24時間放置して精製水中にトルマリンの成分を溶出せしめてミネラル水を作成した。
【0013】
次いで豚革、牛革、馬革および羊革を5cm四方にカットしてそれぞれ上記ミネラル水に1分間漬け、その後120℃に設定した乾燥器中で1分間乾燥して本実施例A乃至Dの試料とした。
また、ミネラル水を精製水に代え、その他の条件を同じとして比較例a乃至dの試料を作成した。
【0014】
なお、上記豚革、牛革、馬革および羊革にはいずれも厚さが0.8mmで、植物タンニンを用いたタンニンなめしを定法にて施したものを用いた。また、牛革にはカーフ素材(生後6か月以内の牛から採取したもの)を用いた。
【0015】
<測定>
上述のように作成した本実施例A乃至Dの試料と、比較例a乃至dの試料から放出されるイオンを、イオンカウンタ(シグマテック社製イオンカウンタSC−50)により計測した。
【0016】
<結果>
図1〜4に示されるイオングラフおよび図5に示される結果一覧表から明らかなように、本実施例A乃至Dの試料によるマイナスイオン数は比較例a乃至dの試料のものに比して格段に大であり、本実施例の試料から多量のマイナスイオンが放出されていることがわかる。
【0017】
上述したマイナスイオンの測定試験とは別に、前記ミネラル水中に含まれるミネラル成分についての測定も行なったところ、図6に示されるように人体に有用であり、かつ人体の免疫力や抵抗力を高めるといわれているミネラル成分たるカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびケイ素が多量に含まれていることが分かった。
したがって、本発明の皮革材にはこれらのミネラル成分が多量に含まれていることが容易に理解できる。
【0018】
次ぎに、本発明に係る皮革材から放出されるマイナスイオンの量が長期間に亘って維持されることを検証するため、装用試験を行なった。
この装用試験においては、図7に示されるように綿糸をパイル織りしてなるタオル地のリストバンド1の内側面に、前述した測定試験の実施例Aの試験片2を綿糸よりなる縫い糸3で縫い付け、装用前におけるマイナスイオンの放出量と、30日間装用後のマイナスイオンの放出量を測定した。
【0019】
なお、装用試験においては20代、30代、40代の各男女1名ずつ計6名が1日8時間連続装用し、これら6名が装用したサンプルのマイナスイオン放出量の平均値を測定結果とした。
【0020】
また、比較例として合成皮革(比較例1)、綿布地(比較例2)、化繊布地(比較例3)をそれぞれ5cm四方にカットし、実施例Aと同様のミネラル水含浸加工を行ない、同様の装用試験およびマイナスイオン測定試験を行なった。なお、ミネラル水の含浸加工をしていないものについてもマイナスイオン放出量の測定を行なった。また、合成皮革にはポリウレタン系のものを、化繊布地にはポリアミド系合成繊維よりなるものをそれぞれ用いた。
【0021】
図8に示される装用試験の結果から、天然皮革である豚革のマイナスイオン放出量は装用の前後とも他の素材のものよりも格段に大であり、しかも装用後には放出量が大となっていることがわかる。
【0022】
実施例Aの豚革と、比較例2の綿布地が比較例1の合成皮革と比較例3の化繊布地よりもマイナスイオンの放出量が大であることは、合成皮革と化繊布地においては鉱物成分が充分に含浸せず表面に付着するだけであり、豚革と綿布地は繊維内部に鉱物成分が含浸したことにより生じた差異であると考えられる。
【0023】
また、豚革のマイナスイオンの放出量が綿布地よりも格段に大であることは、天然皮革たる豚革を構成するコラーゲン繊維が綿布地を構成する綿糸の繊維よりも緻密であることが原因であると考えられる。
【0024】
さらに、豚革と綿布地において装用後にマイナスイオンの放出量が大となったのは装用時における人体表面との摩擦により、マイナスイオンの放出作用が活性化されたためと考えられる。これに対し、合成皮革と化繊布地では摩擦によって静電気が発生し、この静電気がマイナスイオンを中和してしまうことと、鉱物成分が充分に含浸できず、装用時の摩擦で鉱物成分が脱落してしまうことが原因と考えられる。
【0025】
したがって、装用試験の結果から天然皮革である豚革は合成皮革や綿布地、化繊布地よりも鉱物成分を充分に担持し、長期の装用に対してもマイナスイオンの放出作用が低減することがなく、むしろ放出作用が活性化されるという結果が得られた。
【0026】
上述した装用試験においては豚革よりなる試験片を本発明の実施例のものとしたが、他の牛革、馬革および羊革によってもほぼ同様の装用試験結果が得られることは容易に予想することができる。
しかしながら、豚革は皮革材として使用される皮革中においてその原皮の構成が最も人体の皮膚に近く、皮膚の外科的な他家移植にも利用されるほどであり、皮革材としても肌触りや人体表面へのフィット性は他の皮革材よりも優れ、したがって豚革よりなる本発明の皮革材は他の牛皮等よりなるものよりも人体表面に馴染み易く、マイナスイオンやミネラル成分を人体へより確実に与えることができる。
【0027】
ところで、本発明の皮革材は人体と直接あるいは衣服等を介して間接的に接触することによってマイナスイオンやミネラル成分が人体に作用できるようにするので、上述の実施例のように皮革材のなめしをタンニンなめしとすることが望ましい。これはタンニンなめしと並んで広く用いられているクロムなめしに使用される塩基性硫酸クロム塩(三価クロム塩)がアレルギー抗体を生成する感作性を有するからであり、したがってアレルギーの原因となるおそれのないタンニンを用いることが望ましい。
【0028】
また、上記塩基性硫酸クロム塩そのものは無害であるといわれているが、なめし廃液や焼却時の煤煙、灰には有害金属である六価クロムが含まれ、環境汚染の原因となり、その処理には多額の費用が掛かるということからもなめしにはタンニンを用いることが望ましい。
【0029】
上述した実施例においては、マイナスイオンを放出する鉱物として天然鉱石たるトルマリンを用いているが、トルマリン以外にも各種のものがあり、その態様も鉱石でなく泥状あるいは砂状のものである場合もあるし、複数の鉱石から採取した鉱物成分を人工的に混合して粉状、粒状あるいはペースト状にしたものを用いる場合もある。
【0030】
また、上述した実施例では装用試験にリストバンドを用いたが、本発明に係る皮革材はリストバンド以外にも、履物類として靴やサンダル、スリッパ、衣類としてジャンパーやベスト、身装品として帽子やベルト、家具類としてソファや椅子の張り地、かばん類の本体や把手の外装、あるいは各種スポーツ用品のグリップ部などの製品の材料として好適に使用することができる。なお、本願発明の皮革材はこれらの製品全体に使用する場合もあるし、人体に触れる部分だけに使用することもできる。
また、皮革材そのものをソファの上掛けやマットとして使用することもできる。
【0031】
さらに、本発明の皮革材を腰痛治療ベルトの腰椎に接する部分に取り付けて腰痛防止に用いたり、ベストの肩部に取り付けて肩こり防止に用いたり、あるいは帽子やヘアバンドの内装として頭痛の防止に用いたりすることも有効であり、これら腰痛、肩こり及び頭痛の防止や治療にマイナスイオンが有用であることは各種の研究結果にて報告されている。
【0032】
【発明の効果】
上述したように、本発明に係る皮革材は内部に含浸された鉱物成分からマイナスイオンが放出されて、皮革材を用いた製品を使用する人に対して血液の浄化や新陳代謝の活性化がなされ、かつ人体に有用なミネラル成分が多量に含まれ、健康維持に極めて有用である。
【0033】
また本発明の皮革材は、表面に鉱物を付着させるのではなく、鉱物成分を溶出せしめた水を内装材や中敷きに含浸せしめて鉱物成分を担持せしめてあるので、人体との接触により生じる摩擦によって鉱物成分が離脱してしまうようなおそれはなく、マイナスイオンの作用を長期間に亘って持続させることができる。
【0034】
また、マイナスイオンには前述した健康増進作用だけでなく、静電気の防止や抗菌・除菌作用および消臭・脱臭作用があることが知られており、このことから皮革材表面の衛生が保たれるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】豚革よりなる実施例Aの試料に対するマイナスイオンの測定試験結果を、比較例aのものとともに示すイオングラフ。
【図2】牛革よりなる実施例Bの試料に対するマイナスイオンの測定試験結果を、比較例bのものとともに示すイオングラフ。
【図3】馬革よりなる実施例Cの試料に対するマイナスイオンの測定試験結果を、比較例cのものとともに示すイオングラフ。
【図4】羊革よりなる実施例Dの試料に対するマイナスイオンの測定試験結果を、比較例dのものとともに示すイオングラフ。
【図5】マイナスイオンの測定試験結果の一覧表。
【図6】ミネラル水に含まれるミネラル成分の分析結果を示す表。
【図7】装用試験に使用したリストバンドの斜視図。
【図8】装用試験の結果を示す一覧表。
【符号の説明】
1 リストバンド
2 試験片
3 縫い糸
【発明の属する技術分野】
本発明は皮革製品の材料となる皮革材に関し、より詳しくは鉱物由来のミネラル成分を含み、かつマイナスイオンを放出する皮革材に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
皮革材は、従来から靴等の履物類、ジャンパー等の衣類、かばん等の旅行用具類、ソファ等の家具類、乗馬用鞍等の馬具類など多様な皮革製品の材料として利用されている。
【0003】
ところで近年、マイナスイオンが人体の健康に与える影響についての研究が数多くなされ、マイナスイオンが血液の浄化や新陳代謝の活性化という有効な作用を有し、また抗菌、除菌作用や消臭作用をも有しているということが明らかになってきており、マイナスイオンをコロナ放電によって電気的に発生させる機能を備える空気清浄機や空気調和機などが実用に供されている。
【0004】
上述のように人体の健康維持に有効なマイナスイオンを、日常的に人体に触れる履物や衣類あるいは触れる機会の多いかばん類や家具類に用いられる皮革材から放出することができるようにすれば人体に対するマイナスイオンの作用をより一層効果的に利用できるのであるが、現在のところマイナスイオンを放出することができるようにした皮革材はない。
【0005】
皮革材にマイナスイオンを放出する作用を担持させるには、マイナスイオンを放出する性質の鉱物を皮革材の表面に接着剤等のバインダを用いてコーティングして付着させるという手段が考えられるが、人体との接触が多い皮革材はその表面と人体との間に生じる摩擦力を受けるので、表面から脱落してしまい、マイナスイオンの作用が長く続かない。このことが、マイナスイオンを放出することができるようにした皮革材が実用化できない原因と考えられる。
【0006】
【目的】
本発明の目的とするところは、マイナスイオンを長期間に亘って放出することができ、健康維持作用を得ることができる皮革材を提供することにある。
【0007】
【発明の構成】
上記目的を達成するために、本発明に係る皮革材は、マイナスイオンを放出する鉱物の成分を溶出せしめた水を天然皮革に含浸せしめて乾燥した構成のものとしてあり、前記鉱物をトルマリン、前記天然皮革を豚革で構成したものとしてあり、また前記天然皮革を、タンニンなめしを施したものとしてある。
【0008】
【実施例】
以下、本発明に係る皮革材の実施例について詳細に説明する。
本発明に係る皮革材は、マイナスイオンを放出する鉱物の成分を溶出せしめた水を、天然皮革に含浸せしめて乾燥することにより、その内部にマイナスイオンを放出する鉱物の成分を担持せしめたものとしてある。
【0009】
具体的には、電気石と呼ばれるトルマリン等のマイナスイオンを発生する鉱物を微粉末に粉砕し、この微粉末を水に添加して鉱物成分を水に溶出せしめ、鉱物成分が溶出したミネラル水中に天然皮革を浸漬して乾燥し、鉱物成分を担持せしめる。
なお、天然皮革をミネラル水に浸漬する代わりに、天然皮革にミネラル水を噴霧や散布する場合もある。
【0010】
しかして本実施例における皮革材には、天然皮革としてタンニンなめしを施した豚革、牛革、馬革および羊革を用いた。
【0011】
次ぎに、上述のように構成した皮革材から放出されるマイナスイオンの測定試験とその結果について説明する。
【0012】
<試料作成>
まず、マイナスイオンを放出する天然鉱物(鉱石)たるトルマリン粉末10gを精製水1リットル中に加えて攪拌し、常温で24時間放置して精製水中にトルマリンの成分を溶出せしめてミネラル水を作成した。
【0013】
次いで豚革、牛革、馬革および羊革を5cm四方にカットしてそれぞれ上記ミネラル水に1分間漬け、その後120℃に設定した乾燥器中で1分間乾燥して本実施例A乃至Dの試料とした。
また、ミネラル水を精製水に代え、その他の条件を同じとして比較例a乃至dの試料を作成した。
【0014】
なお、上記豚革、牛革、馬革および羊革にはいずれも厚さが0.8mmで、植物タンニンを用いたタンニンなめしを定法にて施したものを用いた。また、牛革にはカーフ素材(生後6か月以内の牛から採取したもの)を用いた。
【0015】
<測定>
上述のように作成した本実施例A乃至Dの試料と、比較例a乃至dの試料から放出されるイオンを、イオンカウンタ(シグマテック社製イオンカウンタSC−50)により計測した。
【0016】
<結果>
図1〜4に示されるイオングラフおよび図5に示される結果一覧表から明らかなように、本実施例A乃至Dの試料によるマイナスイオン数は比較例a乃至dの試料のものに比して格段に大であり、本実施例の試料から多量のマイナスイオンが放出されていることがわかる。
【0017】
上述したマイナスイオンの測定試験とは別に、前記ミネラル水中に含まれるミネラル成分についての測定も行なったところ、図6に示されるように人体に有用であり、かつ人体の免疫力や抵抗力を高めるといわれているミネラル成分たるカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびケイ素が多量に含まれていることが分かった。
したがって、本発明の皮革材にはこれらのミネラル成分が多量に含まれていることが容易に理解できる。
【0018】
次ぎに、本発明に係る皮革材から放出されるマイナスイオンの量が長期間に亘って維持されることを検証するため、装用試験を行なった。
この装用試験においては、図7に示されるように綿糸をパイル織りしてなるタオル地のリストバンド1の内側面に、前述した測定試験の実施例Aの試験片2を綿糸よりなる縫い糸3で縫い付け、装用前におけるマイナスイオンの放出量と、30日間装用後のマイナスイオンの放出量を測定した。
【0019】
なお、装用試験においては20代、30代、40代の各男女1名ずつ計6名が1日8時間連続装用し、これら6名が装用したサンプルのマイナスイオン放出量の平均値を測定結果とした。
【0020】
また、比較例として合成皮革(比較例1)、綿布地(比較例2)、化繊布地(比較例3)をそれぞれ5cm四方にカットし、実施例Aと同様のミネラル水含浸加工を行ない、同様の装用試験およびマイナスイオン測定試験を行なった。なお、ミネラル水の含浸加工をしていないものについてもマイナスイオン放出量の測定を行なった。また、合成皮革にはポリウレタン系のものを、化繊布地にはポリアミド系合成繊維よりなるものをそれぞれ用いた。
【0021】
図8に示される装用試験の結果から、天然皮革である豚革のマイナスイオン放出量は装用の前後とも他の素材のものよりも格段に大であり、しかも装用後には放出量が大となっていることがわかる。
【0022】
実施例Aの豚革と、比較例2の綿布地が比較例1の合成皮革と比較例3の化繊布地よりもマイナスイオンの放出量が大であることは、合成皮革と化繊布地においては鉱物成分が充分に含浸せず表面に付着するだけであり、豚革と綿布地は繊維内部に鉱物成分が含浸したことにより生じた差異であると考えられる。
【0023】
また、豚革のマイナスイオンの放出量が綿布地よりも格段に大であることは、天然皮革たる豚革を構成するコラーゲン繊維が綿布地を構成する綿糸の繊維よりも緻密であることが原因であると考えられる。
【0024】
さらに、豚革と綿布地において装用後にマイナスイオンの放出量が大となったのは装用時における人体表面との摩擦により、マイナスイオンの放出作用が活性化されたためと考えられる。これに対し、合成皮革と化繊布地では摩擦によって静電気が発生し、この静電気がマイナスイオンを中和してしまうことと、鉱物成分が充分に含浸できず、装用時の摩擦で鉱物成分が脱落してしまうことが原因と考えられる。
【0025】
したがって、装用試験の結果から天然皮革である豚革は合成皮革や綿布地、化繊布地よりも鉱物成分を充分に担持し、長期の装用に対してもマイナスイオンの放出作用が低減することがなく、むしろ放出作用が活性化されるという結果が得られた。
【0026】
上述した装用試験においては豚革よりなる試験片を本発明の実施例のものとしたが、他の牛革、馬革および羊革によってもほぼ同様の装用試験結果が得られることは容易に予想することができる。
しかしながら、豚革は皮革材として使用される皮革中においてその原皮の構成が最も人体の皮膚に近く、皮膚の外科的な他家移植にも利用されるほどであり、皮革材としても肌触りや人体表面へのフィット性は他の皮革材よりも優れ、したがって豚革よりなる本発明の皮革材は他の牛皮等よりなるものよりも人体表面に馴染み易く、マイナスイオンやミネラル成分を人体へより確実に与えることができる。
【0027】
ところで、本発明の皮革材は人体と直接あるいは衣服等を介して間接的に接触することによってマイナスイオンやミネラル成分が人体に作用できるようにするので、上述の実施例のように皮革材のなめしをタンニンなめしとすることが望ましい。これはタンニンなめしと並んで広く用いられているクロムなめしに使用される塩基性硫酸クロム塩(三価クロム塩)がアレルギー抗体を生成する感作性を有するからであり、したがってアレルギーの原因となるおそれのないタンニンを用いることが望ましい。
【0028】
また、上記塩基性硫酸クロム塩そのものは無害であるといわれているが、なめし廃液や焼却時の煤煙、灰には有害金属である六価クロムが含まれ、環境汚染の原因となり、その処理には多額の費用が掛かるということからもなめしにはタンニンを用いることが望ましい。
【0029】
上述した実施例においては、マイナスイオンを放出する鉱物として天然鉱石たるトルマリンを用いているが、トルマリン以外にも各種のものがあり、その態様も鉱石でなく泥状あるいは砂状のものである場合もあるし、複数の鉱石から採取した鉱物成分を人工的に混合して粉状、粒状あるいはペースト状にしたものを用いる場合もある。
【0030】
また、上述した実施例では装用試験にリストバンドを用いたが、本発明に係る皮革材はリストバンド以外にも、履物類として靴やサンダル、スリッパ、衣類としてジャンパーやベスト、身装品として帽子やベルト、家具類としてソファや椅子の張り地、かばん類の本体や把手の外装、あるいは各種スポーツ用品のグリップ部などの製品の材料として好適に使用することができる。なお、本願発明の皮革材はこれらの製品全体に使用する場合もあるし、人体に触れる部分だけに使用することもできる。
また、皮革材そのものをソファの上掛けやマットとして使用することもできる。
【0031】
さらに、本発明の皮革材を腰痛治療ベルトの腰椎に接する部分に取り付けて腰痛防止に用いたり、ベストの肩部に取り付けて肩こり防止に用いたり、あるいは帽子やヘアバンドの内装として頭痛の防止に用いたりすることも有効であり、これら腰痛、肩こり及び頭痛の防止や治療にマイナスイオンが有用であることは各種の研究結果にて報告されている。
【0032】
【発明の効果】
上述したように、本発明に係る皮革材は内部に含浸された鉱物成分からマイナスイオンが放出されて、皮革材を用いた製品を使用する人に対して血液の浄化や新陳代謝の活性化がなされ、かつ人体に有用なミネラル成分が多量に含まれ、健康維持に極めて有用である。
【0033】
また本発明の皮革材は、表面に鉱物を付着させるのではなく、鉱物成分を溶出せしめた水を内装材や中敷きに含浸せしめて鉱物成分を担持せしめてあるので、人体との接触により生じる摩擦によって鉱物成分が離脱してしまうようなおそれはなく、マイナスイオンの作用を長期間に亘って持続させることができる。
【0034】
また、マイナスイオンには前述した健康増進作用だけでなく、静電気の防止や抗菌・除菌作用および消臭・脱臭作用があることが知られており、このことから皮革材表面の衛生が保たれるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】豚革よりなる実施例Aの試料に対するマイナスイオンの測定試験結果を、比較例aのものとともに示すイオングラフ。
【図2】牛革よりなる実施例Bの試料に対するマイナスイオンの測定試験結果を、比較例bのものとともに示すイオングラフ。
【図3】馬革よりなる実施例Cの試料に対するマイナスイオンの測定試験結果を、比較例cのものとともに示すイオングラフ。
【図4】羊革よりなる実施例Dの試料に対するマイナスイオンの測定試験結果を、比較例dのものとともに示すイオングラフ。
【図5】マイナスイオンの測定試験結果の一覧表。
【図6】ミネラル水に含まれるミネラル成分の分析結果を示す表。
【図7】装用試験に使用したリストバンドの斜視図。
【図8】装用試験の結果を示す一覧表。
【符号の説明】
1 リストバンド
2 試験片
3 縫い糸
Claims (4)
- マイナスイオンを放出する鉱物の成分を溶出せしめた水を天然皮革に含浸せしめて乾燥してなる皮革材。
- 前記鉱物はトルマリンである請求項1に記載の皮革材。
- 前記天然皮革は豚革である請求項1に記載の皮革材。
- 前記天然皮革はタンニンなめしを施されたものである請求項1または3に記載の皮革材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003010252A JP2004217880A (ja) | 2003-01-17 | 2003-01-17 | 皮革材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003010252A JP2004217880A (ja) | 2003-01-17 | 2003-01-17 | 皮革材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004217880A true JP2004217880A (ja) | 2004-08-05 |
Family
ID=32899514
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003010252A Withdrawn JP2004217880A (ja) | 2003-01-17 | 2003-01-17 | 皮革材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004217880A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008013743A (ja) * | 2006-07-07 | 2008-01-24 | Hyundai Motor Co Ltd | 天然皮革、およびその製造方法 |
CN111172332A (zh) * | 2020-01-13 | 2020-05-19 | 兴业皮革科技股份有限公司 | 一种负氧离子铬鞣剂及其制备方法、应用 |
CN111187866A (zh) * | 2020-01-13 | 2020-05-22 | 兴业皮革科技股份有限公司 | 一种负氧离子皮革及其制备方法 |
-
2003
- 2003-01-17 JP JP2003010252A patent/JP2004217880A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008013743A (ja) * | 2006-07-07 | 2008-01-24 | Hyundai Motor Co Ltd | 天然皮革、およびその製造方法 |
CN111172332A (zh) * | 2020-01-13 | 2020-05-19 | 兴业皮革科技股份有限公司 | 一种负氧离子铬鞣剂及其制备方法、应用 |
CN111187866A (zh) * | 2020-01-13 | 2020-05-22 | 兴业皮革科技股份有限公司 | 一种负氧离子皮革及其制备方法 |
CN111187866B (zh) * | 2020-01-13 | 2022-05-20 | 兴业皮革科技股份有限公司 | 一种负氧离子皮革及其制备方法 |
CN111172332B (zh) * | 2020-01-13 | 2022-05-20 | 兴业皮革科技股份有限公司 | 一种负氧离子铬鞣剂及其制备方法、应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US3922723A (en) | Methods and articles for deodorizing using ion exchange manufacture | |
CA2454902C (en) | Item of clothing | |
US4155123A (en) | Deodorizing manufacture for the foot using ion exchange material | |
JP2004217880A (ja) | 皮革材 | |
Hein et al. | A study on the effect of antimicrobial agent from aloe vera gel on bleached cotton fabric | |
US20040038609A1 (en) | Fabric with oriented and selective activity, in particular antibacterial, method for making same, and uses | |
CN102535007A (zh) | 艾绒无纺布及其生产方法 | |
CN105648754A (zh) | 驱蚊抗菌袜及其制备方法 | |
Chandrasekaran et al. | Analysis of eco-friendly medicinal herb extracts and essential oil applications on textile products for healthcare applications | |
JPH0860547A (ja) | スキンケア性繊維製品 | |
JPH0569880B2 (ja) | ||
JP4534090B2 (ja) | 繊維処理剤、繊維の処理方法及び繊維製品 | |
CN105661666B (zh) | 驱蚊防紫外袜及其制备方法 | |
US5439480A (en) | Method of using a woven cloth to increase oxygen partial pressure in musculature | |
KR102681881B1 (ko) | 소취 테이프와 그 제조방법 및 이를 부착한 의류 | |
US4954334A (en) | Foot powder composition | |
KR20090094479A (ko) | 법제된 유황을 포함하는 천연섬유 및 그의 제조방법 | |
Jagadeesan | Antimicrobial Textiles for Long Duration Space Flight | |
JP2002285471A (ja) | やすらぎのある快適繊維製品とその製造方法 | |
Nayudamma | Leather in our national life | |
JP3022150U (ja) | 快適衣服 | |
KR20100131639A (ko) | 귀사문석옥을 함유한 기능성 섬유 | |
JP2004270059A (ja) | 機能性繊維及びその繊維構造体 | |
KR100603429B1 (ko) | 근골격계 질환의 진통해소용 조성물 및 그를 이용하여제조된 기능성 양말 | |
CN105734960B (zh) | 驱蚊防螨袜及其制备方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20050701 |
|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060404 |