JP2004216708A - 上張地およびインテリア部材 - Google Patents
上張地およびインテリア部材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004216708A JP2004216708A JP2003006322A JP2003006322A JP2004216708A JP 2004216708 A JP2004216708 A JP 2004216708A JP 2003006322 A JP2003006322 A JP 2003006322A JP 2003006322 A JP2003006322 A JP 2003006322A JP 2004216708 A JP2004216708 A JP 2004216708A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- skin material
- fiber
- fabric
- carbonized
- imparted
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
Abstract
【解決手段】難燃性を付与した熱可塑性合成繊維を含む布帛からなる表皮材と、難燃性を付与した炭化型繊維を含む布帛からなる裏基材を積層させ上張地とする。また、難燃性を付与した熱可塑性合成繊維を含む布帛からなる表皮材とクッション材の間に、表皮材の裏基材として難燃性を付与した炭化型繊維を有する布帛を挟持させインテリア部材とする。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子等に好適に使用される上張地およびインテリア部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、椅子などに適用される上張地において防炎性が強く要望され、その素材等に関して種々の研究が行われている。
これらの上張地は、一般に極めて易燃性のクッション材たるウレタンフォームを被包しているため、上張地にはこれらクッション材へ延焼しない防炎機能を有することが強く望まれている。
このような要望に対し、難燃性アクリル繊維と炭化性のレーヨン繊維および再生ポリエステル繊維を組み合わせたニット組織の上張り素材が〔特許文献1〕や〔特許文献2〕により出願されている。しかしながら、布帛中の繊維の組成を種々変更することは容易でなく意匠性が限定されてしまうという問題があった。また、繊維を種々複合化しているため、布帛での染色が困難であり、糸染めを行なった後に織りや編みによって意匠性を付与することになり、価格的にも高価なものとなっていた。
【0003】
また、車輛用内装材において、上張地をウレタンフォームなどのクッション材に張り合わせ、さらにそのクッション材の裏基材として、難燃処理をしたセルロース系の平織物又は不織布を用いることにより全体として防炎性の安定を向上させたものが〔特許文献3〕や〔特許文献4〕により提案されている。これは、米国における自動車安全基準(FMVSSのNo.302)による規格をクリアするもので、単に燃焼スピードを遅らせるものであり、椅子などに前述の発明を使用した場合は、ウレタンフォームからなるクッション材への延焼を防止するという防炎機能を満足させることができない。
また、前記発明と類似の方法として、不燃素材であるガラス繊維を表皮材裏面にラミネートする方法も考えられるが、ガラス繊維を用いた場合、防炎性においては非常に効果を発揮することができるが、素材が高価であるとともに、伸縮性をほとんど有していないため、素材の柔軟性が大きく影響する座り心地において良好な感触が得られず、さらに上張地を裁断する場合に、糸解れが発生し易く裁断し難い等の不具合がある。
なお、本願において「防炎」は椅子などの家具やインテリア製品など製品における場合に使用し、「難燃」は繊維や合成樹脂など素材における場合に使用することとする。
〔特許文献1〕特開2000−154446号公報
〔特許文献2〕特開2002―61047号公報
〔特許文献3〕特公平1−34792号公報
〔特許文献4〕特開平8−238708号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
熱可塑性合成繊維単独又は天然繊維との複合繊維からなる布帛を表皮材とする上張地において、前述したウレタンフォーム等からなるクッション材への延焼を防止する防炎機能を有し、意匠性に優れ、座り心地や手触り感のよい柔軟性を有する上張地素材は殆ど存在しないのが実状である。
すなわち、本発明の目的は、椅子などのインテリア製品において、そのクッション部分への延焼がなく、またそれ自体も防炎性を有し意匠性が良好で、さらに感触が良好な上張地およびインテリア部材を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、本発明者らは、鋭意研究した結果、難燃性を付与した熱可塑性合成繊維を含む布帛に難燃性を付与した炭化型繊維を含む布帛を積層させることで防炎機能と好感触を両立させ更に意匠性にも考慮した上張地及びインテリア部材が得られることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
(1)難燃性を付与した熱可塑性合成繊維を含む布帛を表皮材とする上張地であって、前記表皮材の一方の面に裏基材として難燃性を付与した炭化型繊維を含む布帛を積層させたことを特徴とする上張地に存する。
また、本発明は(2)前記表皮材及び前記裏基材のLOI値がいずれも26以上であることを特徴とする(1)に記載の上張地に存する。
そしてまた、本発明は(3)炭化型繊維の可視光透過率が1〜60%であることを特徴とする(1)〜(2)に記載の上張地に存する。
さらにまた、本発明は(4)炭化型繊維がセルロース系繊維であることを特徴とする(1)〜(3)に記載の上張地に存する。
次いでまた、本発明は(5)難燃性を付与した熱可塑性合成繊維を含む表皮材とクッション材からなるインテリア部材であって、前記表皮材とクッション材の間に、表皮材の裏基材として難燃性を付与した炭化型繊維を有する布帛が挟持されてなることを特徴とするインテリア部材に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、難燃性を付与した熱可塑性合成繊維からなる布帛の一方の面に難燃性を付与した炭化型繊維からなる布帛を設けているので、燃焼した場合に該炭化型繊維が炭化膜あるいは炭化層を形成し、この炭化膜や炭化層が防炎性を示し形態を保持することで上張地の内部に配設してなるウレタンフォーム等の易燃性クッション材の燃焼を有効に防止するという作用を有する。
【0007】
本発明の表皮材に使用される熱可塑性合成繊維としては、ポリエステル系合成繊維、ナイロン等のポリアミド系合成繊維、アクリル系合成繊維、ポリプロピレンなどのオレフィン系合成繊維等の一般的な合成繊維が挙げられる。また、これら合成繊維同士を複合したものを用いてもよく、使用する糸種はフィラメント糸でもスパン糸でもよく、特に限定されるものではない。
また本発明における表皮材は、熱可塑性合成繊維を含んでいれば良く、天然繊維や再生繊維との複合体でも良い。天然繊維としては綿、麻等のセルロース系天然繊維、および羊毛、絹等のたんぱく質系天然繊維が挙げられる。また、セルロース系再生繊維としてはレーヨン、テンセル等が挙げられる。これら表皮材の組織としては、ダブルラッセル、トリコット、丸編等の編物、平織り、ツイル、モケット等の織物が好ましく用いられる。
さらに使用する熱可塑性合成繊維を含む布帛への難燃性の付与は市販の繊維加工用の難燃剤を使用して付与すればよく、ハロゲン系、リン化合物系、アンチモン系、およびこれらを複合化した繊維用の難燃剤が使用できる。これら難燃剤を付与する加工方法としては吸尽法やサーモゾル法が挙げられるが、加工方法についても特に限定するものではない。付与する難燃性能は難燃剤の付与量の調整によりJIS−K 7201法によるLOI値(Limited Oxygen Index;限界酸素指数)が26以上を満足するものが好ましく、この性能を満足するものであれば上述の難燃剤の種類および加工方法は特に限定されるものではない。なお、LOI値が26未満であると、ウレタンフォーム等からなるクッション材が用いられるインテリア部材において上張地を使用した場合に、クッション材への延焼を防止する防炎機能を発揮することができないという問題がある。
【0008】
また、裏基材となる炭化型繊維としては、綿、麻等のセルロース系天然繊維、および羊毛、絹等のたんぱく質系天然繊維またはレーヨン等のセルロース系再生繊維、およびこれらの混合繊維が挙げられるが、低コストで手触りが良好である点から、綿やレーヨンなどのセルロース系繊維が好ましい。
表皮材に積層させる炭化型繊維布帛の組織としては、編物,織物,不織布など特に限定されないが、低コストである不織布が好ましい。また、これら炭化型繊維布帛への難燃性の付与方法としては、例えば、セルロース系繊維を使用する場合は、市販のセルロース系繊維加工用の難燃剤でハロゲン系、リン化合物系、アンチモン系およびこれらを複合化した難燃剤が使用できる。例えば、一時性の難燃性の付与であれば、丸菱油化工業(株)製のノンネンNV−18、日華化学(株)製ニッカファイノンS−200等の繊維用加工薬剤が挙げられる。また、耐久性のある難燃性の付与であれば、日本チバガイギー(株)製のピロバテックスCPや丸菱油化工業(株)製のノンネンC−210等が挙げられる。加工方法としてはスプレーによる難燃剤の布帛への吹き付けまたはパディング法により付与した後、乾燥およびキュアリングさせる方法などが好ましく使用できる。
付与する難燃性能は難燃剤の付与量を調整することによりJIS−K 7201法によるLOI値が26以上を満足する性能とすることが好ましい。なお、LOI値が26未満であると、表皮材の場合と同様に、ウレタンフォーム等からなるクッション材が用いられるインテリア部材において上張地を使用した場合に、クッション材への延焼を防止する防炎機能を発揮することができない。
【0009】
本発明に使用される炭化型繊維布帛はクッション材への延焼防止をより効果的に実現するものである。この炭化型繊維布帛は、布帛の厚みが厚ければ防炎性が得られるというものでもなく、布帛の目付が大きければ防炎性が得られるというものでもない。また、布帛の繊維密度が高ければ防炎性が得られるというものでもなければ、繊維間の空隙が小さければ防炎性が得られるというものでもない。
これらの要素が複雑に絡み合って防炎性が得られているものと考えられる。
したがって、性能を満足する炭化型繊維布帛の選定は実際に防炎の評価を実施しなければならず非常に面倒な作業となる。
しかし、本発明者らはこれら複数の要素に変わって炭化型繊維布帛の可視光透過率を1〜60%に限定することによって簡単に防炎性を維持することが出来ることを見いだした。可視光透過率としてより好ましくは1〜40%である。60%より可視光透過率が高いと、燃焼時に炎からの防炎に有効な炭化膜あるいは炭化層が形成され難く、上張地が被包しているウレタンフォームへの延焼を防止することが難しい。また、可視光透過率が1%より小さいと燃焼後の防炎性は良好であるが、製品とした場合に通気性が低下し、ムレ感などの不快感が生じる虞がある。
このように使用する素材が製品になった場合に防炎性を有しているかどうかの判断として、布帛の厚みや目付、繊維密度や空隙の大きさ以外に可視光透過率で評価することが非常に有効である。
【0010】
表皮材と裏基材とを貼着するために用いられる接着剤の例としては、ポリエチレン等のポリオレフィン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体系、エチレン−エチルアクリレート、エチレン−イソブチルアクリレート等のアクリル酸共重合体系、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン10、ナイロン12、N−メトキシメチル化ナイロン等のポリアミド系、テレフタル酸系等のポリエステル系、ポリビニルブチラール系、ポリ酢酸ビニル系、アセテート、メチルセルロース、アセテートブチレート等のセルロース誘導体系、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリル酸エステル系、ポリビニルメチルエーテルなどのポリビニルエーテル系、ポリウレタン系、ポリカーボネート系、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンなどのスチレン系ブロック共重合体系、スチレンブタジエン、イソプレン、ブチルゴム等の合成ゴム系またはこれらに含まれない特殊ゴム系、または以上に含まれないアクリル共重合体などから選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられるが、環境対応型であることおよび加工性が容易であることなどから、ポリエチレン系、ポリアミド系、ポリウレタン系及びポリエステル系などのホットメルト系接着剤が好ましく使用される。
【0011】
ホットメルト接着剤を使用する場合は、表皮材又は裏基材のどちらかにホットメルトの樹脂粉末を散布し加熱固化させるか、またはホットメルト樹脂粉末をグラビアロール(半球状の多数の窪みが形成された彫刻ロール、ドットロール、窪みロール、とも呼ばれる)を用いてドット状に転写し、加熱固化させた後、接着剤を付与していない表皮材又は裏基材を重ねて加熱圧着する方法、ホットメルト樹脂粉末を分散した水系ペーストを、多孔性のロータリースクリーンロールを用いて表皮材又は裏基材のどちらかにドット状に塗布し、加熱乾燥固化させた後、接着剤を付与していない表皮材又は裏基材を重ねて加熱圧着する方法、またホットメルト樹脂を加熱溶融してカーテンスプレー方式やメルトブローン方式等によりホットメルト接着樹脂を表皮材又は裏基材の表面部に細線状に付与し、その後加熱圧着する方法等が挙げられる。
さらに、湿気硬化型のウレタン系ホットメルト樹脂を表皮材又は裏基材のいずれかにグラビアロールを用いてドット状に転写し、圧着して貼り合せる方法も好ましく使用できる。
また、貼り合わせた後の上張地の難燃性能を高めるため、必要とする接着強度が維持できる範囲で、接着剤には難燃剤を添加又はホットメルトの場合、樹脂への難燃剤の練り込みを行なうことが好ましい。
【0012】
また、接着剤の配置の状態としては、座り心地が損なわれないようにドット状あるいは細線状で配置されることが好ましい。上述の接着剤の使用量は、表皮材と裏基材との接着強度が必要とする強度を保持できる量であれば特に限定するものではなく、貼り合せるそれぞれの素材の状態により決定すればよい。但し、接着剤の付与量が増加すると防炎性能の低下が生じるため、接着剤の付与量としては1m2あたり20g以下が好ましく、より好ましくは10g以下である。さらに使用する接着剤の表皮材や裏基材の面積に対して占める割合は1〜80%が好ましく、より好ましくは1〜50%であり、特に好ましくは1〜20%である。
接着剤の占める面積の割合が80%より高いと柔軟性が低下し、座り心地が悪くなったり、通気性も損なわれるためムレ感などの不快感が生じたり、さらに、防炎性能を悪化させる危険性があり好ましくない。また、1%以下では接着が不十分である。
【0013】
本発明の使い方としては、上述のように表皮材と裏基材を貼り合わせた本発明の上張地にクッション材を積層させて使用してもよいし、また、クッション材が表皮材に被包された構造において表皮材とクッション材の間に裏基材を単に挟み込んだ本発明のインテリア部材の形態で使用してもよい。どちらの構成においても良好な製品での防炎性能を発揮する。インテリア製品において、接着剤などにより予め貼り合わせた上張地を使用するか、表皮材と裏基材とクッション材を積層したインテリア部材を使用するかは、インテリア製品の製造工程における加工性、生産性、及びコスト等を考慮して決定すればよい。
【0014】
上述のように説明した構成のものならば、仮に火事等が発生して表皮材に炎が燃え移っても、上張地やインテリア部材の防炎機能により内部に存在する易燃性のウレタンフォームが燃焼することを防止して火事の被害拡大を阻止することが可能となる。
以下、本発明の実施例について説明する。
なお、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0015】
【実施例】
〔実施例1〕
再生ポリエステル100%を原料とした仮撚加工糸167dtex−48f(帝人ファイバー)を用い、丸編機で18ゲージ、口径30インチ(鹿ノ子メッシュ)で編立てして、仕上げ巾130cm、目付300g/m2、密度31ウエール/インチ×56コース/インチとなる丸編素材を得た。
前記の丸編素材を精練、プレセット後、液流染色機により、ホスコンMK−10(明成化学工業(株)製、ハロゲン系難燃剤)を15%owfとなる処方により染料とともに130℃で60分の条件にて吸尽処理し、染料及び難燃剤を付与した表皮材を得た。作成した表皮材のLOI値を測定したところ29であった。裏基材として用いる炭化型繊維布帛としては、オイコスAP2080(日清紡績(株)製 綿不織布、可視光透過率28%)を使用した。次いで、この布帛にノンネンC−210(丸菱油化工業(株)製 リン化合物系難燃剤)をマングルにて見かけピックアップ率50%owfとなるようにパディングし、さらに120℃で3分間乾燥した後、165℃にて3分キュアリングを行なった。これにより裏基材を得た。裏基材のLOI値を測定したところ29であった。
次にそれぞれの表皮材と裏基材を以下の方法により貼り合わせ、図1のような目的とする椅子用上張地を作成した。
貼り合わせ方法は、半球状の多数の窪みからなるグラビアロールを用いて、加熱ロールにより加温された裏基材の表面に約45個/cm2のポイント数でホットメルト接着樹脂粉末842P14(東レ(株)製ポリアミド系ホットメルト樹脂パウダー、平均粒径250ミクロン)をドット状に転写し、その後赤外線ヒーターを用いて加熱固化させて、ホットメルト接着樹脂粉末を裏基材の表面に固着させた。ホットメルト接着剤の裏基材に対する占有面積は約5%であった。そして加熱により固着させたホットメルト接着樹脂を活性な状態で維持させながら連続的に表皮材を重ね、さらに加熱したニップロールにより圧着して目的とする上張地を得た。さらに作成した上張地を用いて、ウレタンフォームからなるクッション材を積層させた。
【0016】
〔実施例2〕
経糸としてポリエステル仮撚加工糸660dtex−96f(鐘紡合繊)、緯糸としてカチオン可染ポリエステル仮撚加工糸660dtex−96f(ユニチカファイバー)を使用し、ドビー装置付きレピア織機(レギュラーポリエステル/カチオンの交織ドビー織)により製織して、仕上げ巾130cm、目付250g/m2、経糸密度50本/インチ、緯糸密度40本/インチとなる織り素材を得た。
上記素材を精練、プレセット後、液流染色機により、ホスコンMK−10を15%owfとなる処方により染料とともに130℃で60分の条件にて吸尽処理し、染料及び難燃剤を付与した表皮材を得た。作成した表皮材のLOI値を測定したところ28であった。
炭化型繊維布帛としては、ウールギャバジン(可視光透過率22%)を使用した。
次いで、この布帛にノンネンR−2(丸菱油化工業(株)製、リン化合物系難燃剤)を見かけピックアップ率40%owfとなるようにパディングし、130℃で2分乾燥を行ない、裏基材を作成した。作成した裏基材のLOI値を測定したところ30であった。
次に、裏基材に、実施例1と同様な接着樹脂のペレットを加熱溶融してカーテンスプレー方式により細線状に付与し、その後表皮材と加熱圧着する方法により貼り合わせ、接着剤の裏基材に対する面積が10%の目的とする上張地を得た。次いで、この上張地にウレタンフォームからなるクッション材を積層した。
【0017】
〔実施例3〕
ウレタンフォームからなるクッション材に、実施例2と同様な方法により裏基材として難燃性を付与した炭化型繊維布帛(日清紡績(株)製 綿不織布オイコスAP2100、可視光透過率21%)を被覆した。作成した裏基材のLOI値を測定したところ29であった。次いで、その上に実施例1で作成した難燃性を付与した再生ポリエステル100%からなる表皮材を被覆して、表皮材、裏基材、クッション材の三層構造からなるインテリア部材を作成した。
【0018】
〔実施例4〕
実施例1において作成した難燃性を付与した再生ポリエステル100%からなる表皮材と実施例1と同様な加工方法により難燃性を付与した日清紡績(株)製綿不織布オイコスTDP2040(可視光透過率55%)からなる裏基材を実施例1と同様な方法により貼り合わせ、上張地を得た。次いで、この上張地にウレタンフォームからなるクッション材を積層した。
【0019】
〔比較例1〕
実施例1と同じ表皮材を使用し、難燃性を付与した炭化型繊維布帛を積層せずに上張地を得た。次いで、この上張地にウレタンフォームからなるクッション材を積層した。
【0020】
〔比較例2〕
丸編機で18ゲージ、口径30インチ(鹿ノ子メッシュ)となる編立て条件において、表面層及び裏面層の編成を別個に行なうとともに前記両面層を一体的に編み込んだニット組織により構成させたもので、表面層に防炎機能を有するアクリル系繊維及びレーヨンを複合して形成した難燃糸を使用し、また裏面層を再生ポリエステル糸である仮撚加工糸167dtex−48f(帝人ファイバー)により編成する事により目的とする丸編みの上張地を作成した。(図2参照)
編成物は仕上げ巾130cm、目付360g/m2、密度31ウエール/インチ×56コース/インチであった。
この上張地は、前記再生ポリエステル糸により裏面層を、また、該再生ポリエステル糸に対して難燃糸をオーバーフィードすることによってループ状の複数のパイルを裏面層の上面に形成して表面層としている。
また、全素材に占める前記各素材の混用率(重量比)を、アクリル系繊維=41%、レーヨン=8%、再生ポリエステル=51%としている。
次いで、この上張地にウレタンフォームからなるクッション材を積層した。
【0021】
〔比較例3〕
実施例1において作成した難燃性を付与した再生ポリエステル100%からなる表皮材と旭シュエーベル(株)製ガラス繊維1084(タテ密度55本/インチ、ヨコ密度53本/インチ、)を実施例1と同様な方法により貼り合わせ、椅子用上張地を得た。次いで、この上張地にウレタンフォームからなるクッション材を積層した。
【0022】
上張地及びインテリア部材の評価
〔裏基材の可視光透過率〕
島津製作所製分光光度計 UV−3100PCを使用して測定(測定波長550nm、測定面積は32mm2)測定N数10の平均値を求めた。
〔意匠性〕
表皮材のバリエーション(柄選択)で無地,織り柄,編み柄,プリント柄4種の柄についての実施の可能性について評価した。
○ すべての柄が可能
△ 一部の柄が可能
× 無地のみ可能
〔通気度〕
JIS−L1096 通気性 A法により評価
実施例3については表皮材と裏基材を単に重ねた状態で評価を実施した。
〔加工性(縫製性)〕
縫製の作業性について以下のように評価した。
○ 良好(生地裁断性良好,糸抜け,糸解れ発生なし)
△ やや不良(生地裁断性良好,糸抜け,糸解れ若干発生あり)
× 不良(生地裁断性不良,糸抜け,糸解れ発生あり)
〔コスト〕
コストについて以下のように判定した。
比較例1のコストを100としたときの各実施例及び比較例のコストを算出し判定した。
○ 200未満
△ 200以上400未満
× 400以上
〔限界酸素指数(LOI値)〕
JIS−K 7201 酸素指数による燃焼性の試験方法に準拠した形で測定した。
〔燃焼試験〕
45°エアーミックスバーナー金網法およびクレビスバーナー法(いずれも財団法人 日本防炎協会)に準拠した形で防炎性の評価を行った。
実施例3については表皮材と炭化型繊維布帛を単に重ねた状態で評価を実施した。
1.45°エアーミックスバーナー金網法
(1)溶融穴
○ 発生なし
△ 若干発生あり
× 発生あり
(2)炭化長
最大70mm以下、平均50mm以下…合格
2.クレビスバーナー法
(3)残炎
120秒以下の場合…合格
(4)残じん
120秒以下の場合…合格
〔総合評価〕
◎ 非常に良好
○ 良好
△ 使用は可能
× 不可
【0023】
実施例1〜4および比較例1〜3で得られた上張地及びインテリア部材を上記の方法を用いて各評価を実施した。なお、クレビスバーナー法による防炎評価は、それぞれ作成した上張地とウレタンフォーム製クッション材とを積層させた形で評価を行なった。
作成した上張地とインテリア部材の性量を表1に示す。また、作成した上張地とインテリア部材の防炎性の判定結果についてその詳細を表2に示す。
【表1】
【表2】
【0024】
【発明の効果】
本発明の上張地は、椅子の座面及び背部など易燃性のクッション材を被包するインテリア製品の部材として使用されることにより、高い防炎性と快適性を発揮する。
また、本発明の上張地は、実施例及び比較例から明らかなように、意匠性、縫製による加工性、コスト、及び通気性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の上張地の断面図である
【図2】従来例の正面図である
【符号の説明】
1・・表皮材
2・・裏基材
3・・表面層
4・・裏面層
5・・防炎糸
6・・再生ポリエステル糸
A・・ニット組織
Claims (5)
- 難燃性を付与した熱可塑性合成繊維を含む布帛を表皮材とする上張地であって、前記表皮材の一方の面に裏基材として難燃性を付与した炭化型繊維を含む布帛を積層させたことを特徴とする上張地。
- 前記表皮材及び前記裏基材のLOI値がいずれも26以上であることを特徴とする請求項1に記載の上張地。
- 炭化型繊維の可視光透過率が1〜60%であることを特徴とする請求項1〜2に記載の上張地。
- 炭化型繊維がセルロース系繊維であることを特徴とする請求項1〜3に記載の上張地。
- 難燃性を付与した熱可塑性合成繊維を含む表皮材とクッション材からなるインテリア部材であって、前記表皮材とクッション材の間に、表皮材の裏基材として難燃性を付与した炭化型繊維を有する布帛が挟持されてなることを特徴とするインテリア部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003006322A JP2004216708A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | 上張地およびインテリア部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003006322A JP2004216708A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | 上張地およびインテリア部材 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008067346A Division JP4489819B2 (ja) | 2008-03-17 | 2008-03-17 | 上張地およびインテリア部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004216708A true JP2004216708A (ja) | 2004-08-05 |
Family
ID=32896739
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003006322A Pending JP2004216708A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | 上張地およびインテリア部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004216708A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011051137A (ja) * | 2009-08-31 | 2011-03-17 | Asahi Kasei Fibers Corp | 複合成型体 |
GB2627010A (en) * | 2023-02-13 | 2024-08-14 | White Roger | Coated fabrics |
-
2003
- 2003-01-14 JP JP2003006322A patent/JP2004216708A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011051137A (ja) * | 2009-08-31 | 2011-03-17 | Asahi Kasei Fibers Corp | 複合成型体 |
GB2627010A (en) * | 2023-02-13 | 2024-08-14 | White Roger | Coated fabrics |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
AU725200B2 (en) | Decorative composite floor coverings | |
EP1852249A1 (en) | Composite fabric material undergoing three-dimensional structure change upon water absorption and textile product | |
CA2881104C (en) | Flame resistant fiber blends and flame resistant yarns, fabrics, and garments formed thereof | |
EP1565310B1 (en) | Barrier fabric | |
JPH0849143A (ja) | 間隔テクスタイル材料及びその製造方法 | |
WO2012121759A2 (en) | Flame resistant composite fabrics | |
KR20180041926A (ko) | 차량 시트용 직물 및 차량용 시트 | |
JP2006264309A (ja) | 吸水により立体的に構造変化する多層構造体および繊維製品 | |
WO2005034684A1 (ja) | 座席用シート材 | |
CN102416735A (zh) | 分层涂覆型抗紫外线复合面料 | |
CA2732696A1 (en) | Fire retardant fabric | |
JP2004216708A (ja) | 上張地およびインテリア部材 | |
JP4489819B2 (ja) | 上張地およびインテリア部材 | |
JP5890101B2 (ja) | 繊維製品 | |
KR102570989B1 (ko) | 매트용 입체구조 편물원단 및 이의 제조방법 | |
CN1578633A (zh) | 隔热的纺织复合材料 | |
JP2006225790A (ja) | 機能性織編物および繊維製品 | |
JP4567500B2 (ja) | 吸水により立体的に構造変化する布帛および繊維製品 | |
JP2007327156A (ja) | 織編物およびその製造方法および繊維製品 | |
WO2020218178A1 (ja) | 合成皮革および被覆物品 | |
JP2008144305A (ja) | 織編物およびその製造方法および繊維製品 | |
JP5437822B2 (ja) | 蓄熱性布帛および繊維製品 | |
JP3716329B2 (ja) | 寝具 | |
KR102479185B1 (ko) | 한지를 활용한 친환경 그래핀 시트용 원단 및 그 제조방법 | |
JP6704706B2 (ja) | ユニフォーム衣料用難燃防水性布帛 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050613 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070928 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20071005 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071130 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080115 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080519 |