JP2004216498A - ねじ類の捩じ込み調節具 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的小さい磁石によっても周辺の磁束密度に基づく十分な吸着力を確保し、捩じ込み箇所の確認や長時間の動力ドライバーの保持が容易でありながらビット頭に嵌め込んだねじ類が外れにくいものであり、多数のねじ類を連続して均一の深さに捩じ込む作業の効率を上げることのできる捩じ込み調節具を安価に提供すること。
【解決手段】両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してこのビット軸Bに支持されうる筒体1と、この筒体1の先端付近に内設されビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、この磁石2に接して筒体1に内設された強磁性体板3と、筒体1を任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止する抜け止め手段と、ビット軸Bに対して筒体1を正逆方向へ回動可能とする回動手段とからなる。
【選択図】 図3
【解決手段】両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してこのビット軸Bに支持されうる筒体1と、この筒体1の先端付近に内設されビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、この磁石2に接して筒体1に内設された強磁性体板3と、筒体1を任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止する抜け止め手段と、ビット軸Bに対して筒体1を正逆方向へ回動可能とする回動手段とからなる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、動力ドライバーのビット軸に取り付けて使用するねじ類の捩じ込み調節具に関する。
【0002】
【従来の技術】
木ねじ等を動力ドライバーで捩じ込む際には、必要に応じてねじ類の捩じ込み調節具が用いられる。これは、捩じ込み面に対する木ねじ等の捩じ込み量を任意の深さに調節して、ねじ類のねじ頭の先端が捩じ込み面より沈む状態まで捩じ込む、いわゆる沈み打ち(図8の上段)や、ねじ頭の先端が捩じ込み面と同一となる、いわゆる面合わせ(図8の中段)や、ねじ頭の先端が捩じ込み面から突き出すように浮かせた状態で捩じ込みを終える、いわゆる浮かし打ち(図8の下段)を、均一かつ容易に行うものである。
【0003】
これにより、均一の深さに捩じ込むことで、多数のねじ類を連続して捩じ込む際の作業効率を上げることが可能となる。また、捩じ込み終了時においてねじ類が捩じ込み面から沈みすぎた状態或いは浮きすぎた状態となるのを防ぐと共に、必要最小限の捩じ込み量を確保して、捩じ込み過ぎによる捩じ込み対象物の破損或いは捩じ込み不足による捩じ込み接続の不良を防ぐことや、捩じ込み後の捩じ込み面の体裁を良くすることができる。
【0004】
このようなねじ類の捩じ込み調節具として、従来、動力ドライバーのビット軸のビット頭の一部を突き出すようにしてビット軸に回転自在に取り付けられる回転筒を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。このねじ類の捩じ込み調節具は、ビット軸の軸方向にスライド自在に取り付けられるガイド筒と、このガイド筒の前方に突出して任意の位置に回転自在に取り付けられる回転筒と、前記ガイド筒の外壁から内壁に向かって捩じ込まれるように設けられた止めねじとからなり、ねじ類を捩じ込んでいるときにはビット軸に伴って回転しているが、ねじ類の捩じ込みが終了したときには捩じ込み面に接触し回転が止まるようになっている。
【0005】
ところが、上記ねじ類の捩じ込み調節具には、嵌め込んだねじ類がビット頭から外れやすいという問題があり、このため多数のねじ類を連続して均一の深さに捩じ込む際には、動力ドライバーを持たないもう一方の手でねじ類を保持することが必要であり、常に両手で作業しなければならず、作業効率に優れたものといえないという問題があった。
【0006】
前記問題に関連して、予めドライバー軸に磁気を帯びさせ、この着磁された刃先の磁性によってねじ類を吸着するドライバーが存在した(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
一方で、前記問題に関連して、ドライバー軸の刃先の周囲に環状の磁着体を取り付けて、この磁着体の磁性によってねじ類を吸着するものが存在した(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平9−141561号公報
【特許文献2】登録実用新案第3070564号公報
【非特許文献1】岡野機器株式会社、「Profesional Tool」内リンク 「正しい作業工具の使い方」右フレーム内 “INDEX”「9.ドライバー」、〔online〕、岡野機器株式会社のホームページ、〔平成15年1月10日検索〕、インターネット<URL:http://www.okanokiki.co.jp/gijutsu/kougu/9.htm>
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、耐衝撃性、耐磨耗性を必要とするビット軸の多くは、ねじり等に対する強度を高めるべく炭素を多く含む鋼合金を熱処理したものからなるところ、このような鋼合金は保磁力が小さいため、吸着力が弱く、また繰り返し使用することにより減磁しやすいものである。このため、前記予め磁気を帯びさせたドライバー軸(例えば、非特許文献1参照)を動力ドライバーのビット軸に適用し、予め着磁されたビット軸を用いた場合であっても、前記問題(嵌め込んだねじ類がこのビット頭から外れやすいという問題)を解決するには至らなかった。
【0010】
特に、着磁されたビット軸とねじ類の捩じ込み調節具とを使用して前記「浮かし打ち」や「面合わせ」(図8の下段や同中段右図)を行う場合には、捩じ込み調節具の回転筒がビット頭の刃部の先端付近までを覆い、ビット頭の先端の一部が、捩じ込み調節具の回転体からわずかしか突出しない。このため、ねじ類のねじ頭が刃部の先端のわずか一部分にしか接触しない状態(例えば図3のような状態)となる。そもそも保持力が小さく減磁しやすい鋼合金のビット軸は、このような状態においては必要な吸着力を到底発揮することができず、したがって、予め着磁されたビット軸による吸着力を使用しても、ねじ類の捩じ込み調節具を使用する際の前記問題は解決できなかった。
【0011】
また、前記環状の磁着体(例えば、特許文献2参照)をねじ類の捩じ込み調節具に適用するために、捩じ込み調節具の回転筒に磁着体を設けたものとするには、非常に大きな周辺磁束密度の磁着体が必要となる。
【0012】
すなわち、回転筒の内部に磁着体を設けたねじ類の捩じ込み調節具を使用して前記「沈み打ち」や「面合わせ」(図8の上段や同中段左図)を行う場合には、捩じ込み調節具の回転筒の先端がねじ類のねじ頭と完全に接触していない状態、或いは全く接触していない状態(例えば図4のような状態)となる。このような状態において、磁着体から離れたビット頭の位置における吸着力を確保するためには、磁着体の周辺磁束密度を大きくする必要がある。
【0013】
ここで、磁着体の体積を大きくする等によって周辺磁束密度の大きな磁着体を使用した場合には、軸頭の先端付近にて磁着体が非常に大きな体積を占め、軸頭の先端付近にある磁着体の重量が嵩んでバランスが不安定となるため、捩じ込み箇所の確認や長時間の動力ドライバーの保持が困難となり、多数の捩じ込みをする際の作業効率がむしろ落ちてしまう。更に、安価なものとして提供することができない。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、このような点を解決すべくなされたものであって、効率的な磁束回路を形成し或いは両端刃ビット軸の動力ドライバーへの固定用溝(ボール溝)を利用した軸方向へのスライド手段を設けることで、周辺磁束密度の比較的小さい磁石によっても十分な吸着力を確保し、もって、捩じ込み箇所の確認や長時間の動力ドライバーの保持が容易でありながらビット頭に嵌め込んだねじ類が外れにくいものであり、多数のねじ類を連続して均一の深さに捩じ込む際の作業効率を上げることのできる捩じ込み調節具を、安価に提供することを主たる目的としている。
【0015】
すなわち、この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してこのビット軸Bに支持されうる筒体1と、この筒体1の先端付近に内設されビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、この磁石2に接して筒体1に内設された強磁性体板3と、筒体1を任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止する抜け止め手段と、ビット軸Bに対して筒体1を正逆方向へ回動可能とする回動手段とからなることを特徴としている。
【0016】
このようなものであれば、強磁性体板3と磁石2とでキャップマグネット式磁束回路に類似の磁束回路が形成され、磁石2の周囲近傍の磁束密度が大きくなり、筒体1に挿入したビット軸Bのビット頭Bhが側周囲の磁石2により効率的に磁化される。
【0017】
これにより、周辺磁束密度の大きな磁石を使用しなくても、ビット頭Bhの刃部Btはねじ類への大きな吸着力を得ることができ、磁石2の体積や重量を大きくすることなく、安価なものとしてビット頭Bhの位置における必要な吸着力を確保することができる。
【0018】
また、筒長調節手段4によって筒体1の筒長L1である全長を任意長に調節することで、ビット軸Bを保持する動力ドライバー本体のチャックCに筒体1の基端を当接させた状態で、筒体1の先端から突出するビット頭Bhの突出量を、確実に所望のものとすることができる。
【0019】
これにより、筒長L1を調節された筒体1が、チャックCと捩じ込み対象とに挟まれる状態となるまで捩じ込むことで、確実に一定の捩じ込み量を確保することができる。
【0020】
前記抜け止め手段及び回動手段は、筒体1の内側面に配設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのボール溝Bcに嵌入すると共にボール溝Bcの周方向に摺動しうる嵌入構造5からなるものとしてもよい。
【0021】
すなわち、この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してビット軸Bに支持されうる筒体1と、筒体1の先端付近に内設されビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、この磁石2の先端側の面(すなわち、この磁石2表面のうち筒体1の先端側の面)に接して筒体1に内設された強磁性体板3と、筒体1を任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1の内側面に配設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのボール溝Bcに嵌入すると共にボール溝Bcの周方向に摺動しうる嵌入構造5と、からなるものとし、嵌入構造5によって筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止する抜け止め手段、及び筒体1をビット軸Bに対して正逆方向へ回動可能とする回動手段を達成するものとしてもよい。
【0022】
このようなものであれば、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに嵌入することにより効率的かつ確実に抜け止め手段を達成するとともに、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに摺接して筒体1を正逆方向へ回動可能に摺動することにより簡易な構造で回動手段を達成することができる。
【0023】
そして、嵌入構造5のみを設けることで抜け止め手段及び回動手段が同時にかつ効率的に達成され、比較的小型で軽量性に優れた安価なねじ類の捩じ込み調節具となる。
【0024】
また、前記強磁性体板3は、筒体1の先端にそれ自体の一面を開放して内設され、前記磁石2を保護する保護板であるものとしても良い。
【0025】
すなわち、この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してこのビット軸Bに支持されうる筒体1と、筒体1の先端付近に内設されビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、筒体1の先端にそれ自体の一面たる先端面を開放してなると共にそれ自体の他面たる基端面をこの磁石2に接して前記磁石2を保護するように筒体1に内設された保護板である強磁性体板3と、筒体1を伸縮させてその筒長L1を保持することで任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止する抜け止め手段と、ビット軸Bに対して筒体1を正逆方向へ回動可能とする回動手段とからなるものとしても良い。
【0026】
このようなものであれば、強磁性体板3は、一般に脆く欠けやすい性質の磁石2を、使用時に衝撃の加わるその先端面にて保護することができる。また同時に、磁石2と接して強力に磁化された強磁性体板3がねじ頭と近接或いは当接することとなり、磁化されたビット頭Bhの刃部Btと共に、ねじ類への大きな吸着力を効率的に得ることができる。これにより、磁石2の体積や重量を大きくすることなく、ビット頭Bhの位置における吸着力を更に大きなものとすることができる。
【0027】
或いは、この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してこのビット軸Bに支持されうる筒体1と、筒体1の先端付近に内設されビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、筒体1の先端にそれ自体の一面(先端面)を開放してなると共にそれ自体の他面(基端面)をこの磁石2に接して前記磁石2を保護するように筒体1に内設された強磁性体板3と、筒体1を任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止する抜け止め手段と、ビット軸Bに対して筒体1を正逆方向へ回動可能とする回動手段と、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの刃部Btの少なくとも一部ないし全部が筒体1の先端から突出する範囲において、筒体1を軸方向へスライド可能とするスライド手段とからなることを特徴としている。
【0028】
このようなものであれば、ねじ類のねじ頭にあるねじ溝をビット頭Bhの刃部Btに嵌め込んだ際に、筒体1をビット軸Bの先端側へスライドさせて、筒体1の先端に開放される磁化された強磁性体板3を、その吸着力によりねじ頭に容易に当接させることができる。そして、筒体1をスライドさせて強磁性体板3をねじ頭と当接させることで、磁石2に接して強力に磁化された強磁性体板3と、磁化されたビット頭Bhの刃部Btとにより、ねじ類への極めて大きな吸着力を確実かつ効率的に得ることができる。
【0029】
これにより、頻繁に使用する一定の範囲の筒長L1に調節して使用する際に、ビット頭Bhの位置における吸着力を更に大きなものとすることができ、磁石2の体積や重量を更に小さなものとしうる。
【0030】
前記抜け止め手段及び回動手段及びスライド手段は、筒体1の内側面に配設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのボール溝Bcに嵌入すると共に嵌入したボール溝Bc上を軸方向に摺動しうる嵌入構造5からなるものとしてもよい。
【0031】
すなわち、この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してこのビット軸Bに支持されうる筒体1と、筒体1の先端付近に内設されビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、筒体1の先端にそれ自体の一面(先端面)を開放してなると共にそれ自体の他面(基端面)をこの磁石2に接して前記磁石2を保護するように筒体1に内設された強磁性体板3と、筒体1を任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1の内側面に配設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのボール溝Bcに嵌入すると共に嵌入したボール溝Bc上を軸方向に摺動しうる嵌入構造5とからなるものでも良い。
【0032】
このようなものであれば、ビット頭Bhの先端側のボール溝Bcを利用することで、より簡易な構造でスライド手段を達成することができる。またこれと同時に、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに嵌入することにより効率的かつ確実に抜け止め手段を達成するとともに、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに摺接して筒体1を正逆方向へ回動可能に摺動することにより簡易な構造で回動手段を達成することができる。
【0033】
これにより、嵌入構造5のみを設けることで抜け止め手段及び回動手段が同時にかつ効率的に達成され、比較的小型で軽量性に優れた安価なねじ類の捩じ込み調節具となる。
【0034】
より具体的には、前記抜け止め手段及び回動手段及びスライド手段は、いずれも、筒体1の内側面に配設された、中心方向へ突出する嵌入構造5からなり、嵌入構造5は、筒体1の中心方向へ突出する嵌入部51を有する環状の弾性体からなり、筒体1の先端から嵌入構造5の嵌入部51の軸方向中心までの軸方向距離L51がビット軸Bのビット頭Bhの軸方向長さLBh(すなわちビット軸Bの先端から近傍のボール溝Bcの先端側端部までの軸方向距離)と略同一であると共に、嵌入部51の軸方向幅W51がボール溝Bcの軸方向長さLBcより小さいものとすることができる。
【0035】
このようなものであれば、「筒体1の先端から嵌入構造5の嵌入部51の軸方向中心までの軸方向距離L51」によって嵌入構造5の軸方向の位置が定まり、嵌入構造5の嵌入部51をビット軸Bのボール溝Bc内に位置させた状態で、ビット軸Bの刃部Btの少なくとも一部ないし全部が筒体1の先端から突出するようになる。また、「ボール溝Bcの軸方向長さLBcより小さい嵌入部51の軸方向幅W51」によって、ボール溝Bcに嵌入した嵌入構造5の嵌入部51がボール溝Bc上を軸方向に摺動しうるようになる。
【0036】
これらにより、極めて簡易な構造の嵌入構造5となり、抜け止め手段及び回動手段及びスライド手段が、同時にかつ効率的に達成され、比較的小型で軽量性に優れた、より安価なねじ類の捩じ込み調節具となる。
【0037】
尚、本発明においては、動力ドライバーのチャックCに固定されたビット軸Bのうち、ねじ類を嵌め込んで使用する側の刃部Bt付近を先端(或いは先端側)とし、使用せずチャックCの内部に挿入される側ないしチャックC付近を基端(或いは基端側)という。本発明の捩じ込み調節具やその筒体1においても同様に、このビット軸Bに挿入したときにビット軸Bの先端付近に位置する側を先端(或いは先端側)、チャックC付近に位置する側を基端(或いは基端側)という。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の構成を、実施例として示した各図面に基づいて詳細に説明する。図1〜図5は、この発明のねじ類の捩じ込み調節具の一実施例を示すものであり、図6は、ビット軸Bを備えた動力ドライバーにこれを取り付けた概観図である。図7は、これを取り付けるビット軸Bの説明図である。図8は、この発明のねじ類の捩じ込み調節具により可能となる、前記「沈み打ち」「面合わせ」「浮かし打ち」の三種類の捩じ込み終了時のねじ類等の状態を示すものである。
【0039】
図1〜図6に示すこの発明のねじ類の捩じ込み調節具は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してこのビット軸Bに支持されうる筒体1と、筒体1の先端付近に内設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、この磁石2に接して筒体1に内設された強磁性体板3と、筒体1を任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止する抜け止め手段と、ビット軸Bに対して筒体1を正逆方向へ回動可能とする回動手段と、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの刃部Btの少なくとも一部ないし全部が筒体1の先端から突出する範囲において、筒体1を軸方向へスライド可能とするスライド手段と、からなる。
【0040】
この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、図1及び図6に示すように、動力ドライバーのチャックCにそれ自体の一端を挿入して固定されたビット軸B(図1の点線又は図7に示すもの)に取り付けて使用するものである。
【0041】
本発明においては、動力ドライバーのチャックCに固定されたビット軸Bのうち、使用する側の刃部Bt付近を先端(側)とし、使用せずチャックCの内部に挿入される側ないしチャックC付近を基端(側)という。本発明の捩じ込み調節具やその筒体1においても同様に、このビット軸Bに挿入したときにビット軸Bの先端付近に位置する側を先端(側)、チャックC付近に位置する側を基端(側)という。
【0042】
使用するビット軸Bは、図7の実線で示すように、丸軸又は多角形軸からなる軸本体Bsの両端にボール溝Bcを設け、更にその両先には刃部Btを有するビット頭Bhを設けたもの、つまり、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸である。そして、このビット軸Bは、図7の点線で示すように、動力ドライバーのチャックCに挿入され動力ドライバーに固定される。
【0043】
ボール溝Bcは、図7に示すように、両端に刃部を有するビット軸Bの両端付近において、ビット軸Bの軸本体Bsと両端のビット頭Bhとの間に対称に設けられたものであり、具体的には、ボール溝Bcは、軸本体Bs或いはビット頭Bhより小さい径の円断面からなる滑らかな軸方向長さLBcのくびれ曲面を表面に有する、一段又は多段のくびれ溝である。そして、ビット軸Bを動力ドライバーのチャックCに挿入したとき、このチャックC内部のボールチャック構造に設けられた略球体の固定用ボールCbの一部が嵌入することにより、ビット軸Bが動力ドライバーに固定される。尚、このボール溝Bcは多種の動力ドライバーのボールチャック構造に対して互換性を有し、このボール溝Bcの軸方向長さLBcは、多くのビット軸Bに略共通のものである。
【0044】
ビット軸Bの両端のうちいずれか一端の刃部Btを使用するときには、他端である基端側をチャックCに挿入し、この基端側のボール溝Bcに固定用ボールCbを嵌入させることで、ビット軸Bを動力ドライバーに固定する。つまり、ビット軸Bの先端側のボール溝Bcは、ビット頭Bhを入れ替えて動力ドライバー本体に固定するときに使用するものである。
【0045】
筒体1は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを、筒体1自体の内側面により形成される筒孔に挿入して、このビット軸Bに支持されうるものであり(図1、図3〜図6)、それ自体の内側面に後述の嵌入構造5を配設して一体のものとしてなる先端筒11と、後述の筒長調節手段4を介してこの先端筒11の基端側に連結されて伸びる基端筒12とからなる(図2〜図6)。具体的には、先端筒11は、それ自体の基端側にて外ねじを設けると共にそれ自体の先端にて捩じ込み面に当接するものであり、基端筒12は、それ自体の先端側にて前記先端筒11の外ねじに螺合する内ねじを設けると共にそれ自体の基端にて動力ドライバーのチャックCの先端に当接するものである。
【0046】
このように筒体1は、先端筒11が後述のスライド手段たる嵌入構造5をそれ自体の内側面に配設して一体のものとしてなり、この先端筒11と別体の基端筒12のみが後述の筒長調節手段4により基端側に伸縮するので、嵌入構造5たる環状の弾性体(の嵌入部51)は、筒体1を伸縮させた場合でも常に筒体1の先端から一定の軸方向距離L51のところに位置する(図2等)。
【0047】
これにより、後述のスライド手段により筒体1をビット軸Bに対してスライドさせても、筒体1の先端付近の磁石2は常にビット頭Bhの側周囲に位置しうる(図3ないし図5)。また、ビット頭Bhの突出量LOの範囲(すなわち筒体1の先端からビット頭Bhが突出する軸方向長さの範囲)は常にスライド幅LSと同一のものとなる。
【0048】
また、先端筒11は、常磁性体であるアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、その先端側にて後述の磁石2及び強磁性体板3の側周囲をかしめ止めにより固定してなる(図2)と共に、その外側面に回動認識手段11aたる模様を付している(図1、図6)。
【0049】
先端筒11は常磁性体からなるので磁石2の周囲の磁界に影響を与えることがなく、後述の磁石2及び強磁性体板3によって任意の磁界を形成することが容易となる。更に常磁性体の中でも軽量なアルミニウム又は軽量性と強度性を有するアルミニウム合金からなるので、捩じ込み調節具を軽量なものとしうる。
【0050】
また、回動認識手段11aによって、捩じ込み対象とチャックCとに挟まれ筒体1の回転速度が激減する捩じ込み終了時を容易に認識することができ、連続した捩じ込み作業を行う際などの作業効率を上げることができる。
【0051】
磁石2は、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲むように、ビット軸Bの先端側である筒体1の先端付近に内設される。この磁石2は、ビット頭Bhの軸方向長さLBhと略同一長さL2の円筒形状をしており、前記筒体1の先端筒11により磁石2の外側周囲をかしめ止めされることにより、磁石2の内側面を開放して筒体1に内接される(図2等)。
【0052】
強磁性体板3は、この磁石2の表面のうち筒体1の更に先端側の面、つまりこの磁石2の先端側の面に接して、筒体1の先端側の開放端に内設されている(図2〜図4)。具体的には、前記強磁性体板3は、筒体1の先端側に開放されてなる一面たる先端面と、前記磁石2の先端側の面と接する他面たる基端面と、を有し、それ自体の一面たる先端面を開放してなると共にそれ自体の他面たる基端面をこの磁石2の更に先端側に接してなり、それ自体の側周囲をかしめ止めされて筒体1の先端に内設される。
【0053】
このようなものであれば、磁石2に接する強磁性体板3と磁石2とでキャップマグネット式磁束回路に類似の磁束回路が形成され、磁石2の周囲近傍の磁束密度が大きくなり効率的に磁化されたビット頭Bhがねじ類への大きな吸着力を有することとなる。また、このキャップマグネット式磁束回路に類似の磁束回路が形成されることで、磁力線が磁石2から遠くに伸びないようになり、磁石2から基端側に離れた位置の磁束密度が小さくなる。
【0054】
これにより、抜け止め手段とビット軸Bとの接する部分は磁石2の磁束に大きな影響を受けず、後述のスライド手段によるスライド操作を容易に行える。また、筒長調節手段4による筒長調節操作をする際に、磁石2の磁束に大きな影響を受けず、筒長調節操作を容易に行えるものとなる。
【0055】
この強磁性体板3は、また、筒体1の先端にそれ自体の一面を開放して内設され、前記磁石2の先端側の面を保護する保護板でもある。すなわち、強磁性体板3の開放される一面(先端面)は、ねじ類のねじ類或いは捩じ込み対象の捩じ込み面と当接するものであり、一般に脆く欠けやすい性質の磁石2を、使用時に衝撃の加わる先端面にて保護することができる。
【0056】
筒長調節手段4は、筒体1の筒長L1を伸縮させる筒長伸縮手段と、伸縮させた筒長L1を保持する筒長保持手段とからなり、筒長伸縮手段により筒体1を任意の筒長L1に調節しさらに筒長保持手段によりこの筒長L1を保持固定しうるものである(図2〜図4)。
【0057】
これにより、筒体1の基端をチャックCに当接させた図3、図4の状態で、筒体1の先端からビット頭Bhを所望の突出量LOだけ確実に突出させることができ、捩じ込み量の微細かつ確実な調節が可能となる。
【0058】
筒長伸縮手段は、前記先端筒11と基端筒12とを螺合させる螺合構造41である(図2等)。具体的には、前記先端筒11の基端側にて設けられた外ねじと、この先端筒11の外ねじに螺合するように基端筒12の先端側にて設けられた内ねじとからなる。
【0059】
そして、この先端筒11と基端筒12との螺合を緩めることで、筒体1の軸方向長さである筒長L1を伸縮させ、筒体1の先端からビット軸Bのビット頭Bhを所望の突出量LOだけ突出させることができる。
【0060】
筒長保持手段は、前記先端筒11の外ねじに螺合して前記基端筒12の先端側に設けられた筒長固定ナット42と、この筒長固定ナット42と基端筒12とに挟まれて先端筒11の外ねじの外周に設けられた環状の弾性体である筒長固定パッキン43と、からなり、先端筒11と基端筒12との螺合構造41のガタツキを無くして、筒長L1を保持し固定するものである(図2〜図4)。具体的には、この筒長固定ナット42を基端側に捩じ込んで基端筒12の先端に近接させることで、基端筒12は弾性体からなる筒長固定パッキン43によって軸方向基端側に弾性付勢される。これによって、先端筒11と基端筒12とを連結する螺合構造41は、基端筒12を緩めた状態のままでもガタツキの無いものとなり、筒長L1を任意長に伸縮させたまま保持し固定することができる。
【0061】
筒長調節手段4は、この磁石2の後端から磁石2の軸方向長さL2と同一の距離以上離れた位置に設けられていることが好ましい(図2)。
【0062】
このような位置においては、前述の磁石2と強磁性体板3とで形成される磁束回路によって、磁束密度が磁石2の表面磁束密度の半分以下となるので、筒長調節手段4による筒長調節操作をする際に、磁石2の吸着力の影響を受けず、筒長調節手段による筒長調節操作を容易に行えるものとなる。
【0063】
抜け止め手段は、筒体1の内側面に配設された、嵌入部51を有する嵌入構造5からなり、筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止するものである。この抜け止め手段は、磁石2の後端から磁石2の軸方向長さL2と同一の距離以上離れた位置に設けられ、図2において筒先端からの嵌入部51の距離L51が磁石の長さL2の倍以上となっている。
【0064】
このような位置においては、前述の磁石2と強磁性体板3とで形成される磁束回路によって、磁束密度が磁石2の表面磁束密度の半分以下となる。これにより、抜け止め手段とビット軸Bとの接する部分は磁石2の磁束に大きな影響を受けず、後述のスライド手段のスライドが容易に行えるものとなる。
【0065】
すなわち、ビット軸Bのほとんどは強磁性体である硬鋼線材(クロムバナジウム鋼)を主成分とするところ、磁着体の磁束密度を大きくした場合には、この磁着体はビット軸Bへも強力に吸着してしまい、後述のスライド作業に影響を及ぼしうるという問題点があった。この問題点に対して、前述の磁石2と強磁性体板3とで形成される磁束回路と抜け止め手段の位置を前述のものとすることで、抜け止め手段の位置における磁束密度を後述のスライド作業に影響のないものとなる。
【0066】
回動手段は、ビット軸Bに対して筒体1を正逆方向へ回動可能とするものである。そして、前記抜け止め手段の嵌入構造5と、筒孔を有する前記筒体1とにより達成される。
【0067】
実施例では、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに遊嵌すると共に、筒体1の内側面とビット軸Bの軸本体Bsの外側面とが摺動することによって、筒体1がボール溝Bc上にて軸周方向に回動しうるものとしている(図3、図4)。このほかに、ビット軸Bのボール溝Bcに摺接してボール溝Bc上を周方向に摺動して回動しうるものとしても良い。これにより嵌入構造5を有する筒体1は、正逆方向へ回動可能に摺動する。
【0068】
スライド手段は、スライド幅LSの範囲内で筒体1を軸方向へスライド可能とするものである(図4、図5)。このスライド手段により、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの刃部Btの全部が筒体1の先端から突出する状態(図4に示す状態)から、刃部Btの少なくとも一部が筒体1の先端から突出する状態(図5に示す状態)へと変位させることができる。
【0069】
かかる変位の範囲は、図4(又は図5)に示す縮められた状態における筒長L1から、図3に示す伸ばされた状態における筒長L1までの、筒長L1の調節範囲量に対応するものである。そして、かかる筒長L1の調節範囲は、面合わせ及び沈み打ちに対応し、ねじ類の捩じ込み調節具において頻繁に使用する一定の範囲である。
【0070】
そして、筒体1をスライドさせて強磁性体板3をねじ頭と当接させること(図5の状態とすること)で、磁石2に接して強力に磁化された強磁性体板3と、磁化されたビット頭Bhの刃部Btとにより、ねじ類への極めて大きな吸着力を確実かつ効率的に得ることができる。
【0071】
よって、スライド手段を、刃部Btの少なくとも一部(図5に示す状態)ないし全部(図4に示す状態)が筒体1の先端から突出する状態へ変位しうるものとしたことで、頻繁に使用する一定の範囲の筒長L1に調節して使用する際に、いずれの筒長L1であっても筒体1の先端に開放する強磁性体板3をねじ頭に当接させることができる。これにより、ビット頭Bhの位置における吸着力を更に大きなものとすることができ、磁石2の体積や重量を更に小さなものとしうる。
【0072】
前記抜け止め手段及び回動手段及びスライド手段は、筒体1の内側面に配設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのボール溝Bcに嵌入すると共に(ボール溝Bcに摺接して)嵌入したボール溝Bc上を軸方向に摺動しうる嵌入構造5を有する筒体1によって、達成される。この嵌入構造5は、筒体1の内側面に配設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのボール溝Bcに遊嵌すると共にボール溝Bc上を軸方向に遊動しうるものでも良い。
【0073】
このようなものであれば、ビット軸Bの先端側のボール溝Bcを利用することで、ボール溝Bcの軸方向長さLBc内のスライド幅(LS)において、より簡易な構造で確実にスライド手段を達成することができる。
【0074】
またこれと同時に、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに嵌入することにより効率的かつ確実に抜け止め手段を達成するとともに、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに摺接して筒体1を正逆方向へ回動可能に摺動することにより簡易な構造で回動手段を達成することができる。
【0075】
尚、ビット軸Bの先端側のボール溝Bcは、本来、ビット軸Bの端部を入れ替えて動力ドライバー本体に固定するときに使用するものであるから、この先端側にある状態のボール溝Bcは機能していない。この嵌入構造5は、この機能していないボール溝Bcを利用することで、簡易な構造により効率的にスライド手段を達成するものである。
【0076】
前記スライド手段及び抜け止め手段及び回動手段は、筒体1の内側面に配設され、軸中心方向へ突出する嵌入部51を有する嵌入構造5からなる。
【0077】
より具体的には、嵌入構造5は図2〜図5に示すように、筒体1の中心方向へ突出して筒体1に挿入したビット軸Bのボール溝Bcへ嵌入する嵌入部51を有して筒体1のうち先端筒11の内側面に配設される。具体的には、嵌入構造5は、環状の弾性体たるOリングからなり、このOリングの内周側部にて、ビット軸Bのボール溝Bcへ嵌入する嵌入部51が構成される。
【0078】
尚、嵌入構造5の形状および構造はこの他に、筒体1の内側面から中心方向へ突出するように弾性付勢された硬質材からなるもの、例えば略球体の固定用ボールCbを板バネ等により弾性付勢した、ボールチャック構造と類似の構造とすることもできる。
【0079】
この嵌入構造5が内設される位置は、筒体1の先端から嵌入構造5の嵌入部51の軸方向中心までの軸方向距離L51が、ビット軸Bのビット頭Bhの軸方向長さLBhと略同一であるような位置である。また、ビット頭Bhの軸方向長さLBhは、ビット軸Bの先端から近傍のボール溝Bcの先端側端部までの軸方向距離である(図7)。
【0080】
嵌入構造5(の嵌入部51)を筒体1の内側面の前記位置に設けたことにより、ビット軸Bを挿入してビット頭Bhの刃部Btの少なくとも一部ないし全部が筒体1の先端から突出した図3ないし図5の状態で、嵌入部51が常にボール溝Bc内に嵌入することとなる。換言すれば、嵌入構造5の嵌入部51をビット軸Bのボール溝Bc内に位置させた状態で、ビット軸Bの刃部Btの少なくとも一部ないし全部が筒体1の先端から突出するようになる。
【0081】
この嵌入構造5の嵌入部51の軸方向幅W51(図2)は、ボール溝Bcの軸方向長LBc(図7)より小さいものとしている。これにより、ボール溝Bcに嵌入した嵌入構造5の嵌入部51がボール溝Bc上を軸方向に摺動しうることとなり、図3の状態や、図4の実線で示す状態から図5の状態とすることが可能となる。よって、スライド手段のスライド幅LSを確実に確保することができる。
【0082】
具体的には、嵌入部51の軸方向幅W51は、ボール溝Bcの軸方向長さLBcの約半分以下であることが好ましく、本実施例においては約三分の一の長さである。これにより、必要なスライド幅LSを確保しうる。本実施例においてはボール溝Bcの長さLBcの約3分の2のスライド幅LSとなる(図4、図5)。
【0083】
嵌入部51の位置(筒体1の先端からの軸方向距離L51)及び軸方向幅W51を前記のようなものとすれば、きわめて簡易な構造の嵌入構造5となり、抜け止め手段及び回動手段及びスライド手段が同時にかつ効率的に達成され、ひいては比較的小型で軽量性に優れた、より安価なねじ類の捩じ込み調節具となる。
【0084】
以上のように構成されたこの発明のねじ類の捩じ込み調節具は、以下のようにして使用する。
【0085】
まず、筒体1の筒孔に動力ドライバーのチャックCに固定したビット軸B(図7の状態のビット軸)を挿入することで、筒体1をビット軸Bに取り付けて、筒体1がビット軸Bに支持されるようにする(図1、図6)。このとき、筒体1の嵌入構造5の嵌入部51がビット軸Bの先端側のボール溝Bcに嵌入する、図3、図4のような状態となるまでビット軸Bを挿入する。
【0086】
次に、筒長調節手段4によって筒体1の筒長L1を伸縮させ固定する(図3、4)。具体的には、まず、筒長調節手段4のうち筒長保持手段たる筒長固定ナット42を緩める。そして、先端筒11或いは基端筒12を廻し、筒長調節手段4のうち筒長伸縮手段たる螺合構造41によって、筒体1の先端からビット頭Bhを所望の突出量LOだけ突出させるように筒長L1を伸縮させて調節する。さらに、筒長固定ナット42を基端筒12に近接するように捩じ込んで、基端筒12のガタツキを無くし、筒長L1を固定する。
【0087】
次に、筒体1の先端から突出したビット頭Bhの先端にねじ類のねじ頭の溝を嵌め込み、図3、図4の点線を含む状態とする。
【0088】
このとき、筒長L1が縮められた図4の状態の場合には、ねじ類のねじ頭にあるねじ溝をビット頭Bhの刃部Btに嵌め込んだ際に、図4の太矢印で示すように筒体1をビット軸Bの先端側へスライドさせ、強磁性体板3をねじ頭に当接させた状態(図5の状態)とする。
【0089】
次に、ねじ類を捩じ込み面へ捩じ込む。動力ドライバーの作動によりビット軸Bが回転すると、ビット軸Bに取り付けられた筒体1も共に回転する。
【0090】
捩じ込み対象への捩じ込みは、全長たる筒長L1を調節固定された筒体1が、チャックCの端面と捩じ込み対象の捩じ込み面とに挟まれて回転しなくなる状態となるまで行う(図示せず)。
【0091】
捩じ込み終了時には、筒体1の(先端筒11の)先端および(基端筒12の)基端が、それぞれチャックCの端面と捩じ込み対象の捩じ込み面に当接する。チャックCの端面及び捩じ込み面に当接すると、ビット軸と共に回転していた筒体1は、これらの面による面摩擦力と、これら両面による圧縮力とを同時に受けて、その回転が止まる。このとき、筒体1の回転が止まったことを先端筒11に設けられた回動認識手段11aにより認識して、捩じ込みが完了したことを知ることができる。
【0092】
このように固定された筒長L1を有する筒体1全体が挟まれるまで捩じ込むことにより、確実かつ正確に一定の捩じ込み量を確保することができ、連続して一定量の捩じ込みを行うときに優れたものとなる。
【0093】
詳述すれば、従来、ねじ類の捩じ込み調節具は、ビット軸Bに止着する止着手段を有するものであった。この止着手段は、ビット軸Bを止着する止着状態においても、筒体1をビット軸Bからずらすことで捩じ込み量を容易に調節しうるものであった。このため、連続捩じ込み作業中において、止着位置がずれて捩じ込み量が意図せずに変動することがあった。このようなことは、止着手段を有するねじ類の捩じ込み調節具を使用する際にしばしば起こっており、一定の捩じ込み深さの連続捩じ込み作業を確実かつ容易に行うことができないという問題点があった。
【0094】
これに対し、本発明のねじ類の捩じ込み調節具の捩じ込み方式はこの問題点を解消するものであり、筒体1の全長である筒長L1にて捩じ込み量を確実、正確に調節するとともに、チャックCの端面と捩じ込み面とにこの筒体1が挟まれた時点で捩じ込みを完了する、という方式である。このような方式の捩じ込み調節具とすることで、従来のようなビット軸Bに止着する止着手段を不要としたものである。これにより、捩じ込み量が意図せずに変動することがなくなり、一定の捩じ込み深さの連続捩じ込み作業を、確実かつ容易に行うことができると共に、簡易な構造の捩じ込み調節具としうる。
【0095】
その他、この発明は、各部の具体的な構成を含めて上述した実施例に限定されるものでなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形及び組み合わせが可能である。
【0096】
【発明の効果】
この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、以上に述べたように構成されているので、捩じ込み箇所の確認や長時間の動力ドライバーの保持が容易でありながらビット頭に嵌め込んだねじ類が外れにくいものであり、多数のねじ類を連続して確実に均一の深さに捩じ込むことができ、作業効率を上げることができると共に簡易な構造のものとして軽量かつ安価に提供することができるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のねじ類の捩じ込み調節具の一実施例の概観斜視図である。
【図2】第一実施例のねじ類の捩じ込み調節具の断面説明図である。
【図3】第一実施例のねじ類の捩じ込み調節具において、「面合わせ」の捩じ込みを行う際の状態を示す断面説明図である。
【図4】第一実施例のねじ類の捩じ込み調節具において、「沈み打ち」の捩じ込みを行う際の状態を示す断面説明図である。
【図5】第一実施例のねじ類の捩じ込み調節具において、「沈み打ち」の捩じ込みを行う際に筒体をスライドさせた状態を示す断面説明図である。
【図6】ビット軸を備えた動力ドライバーに第一実施例のねじ類の捩じ込み調節具を取り付けた状態を示す概観図である。
【図7】この発明のねじ類の捩じ込み調節具を取り付けるビット軸の説明図である。
【図8】ねじ類の捩じ込み調節具によって可能となる捩じ込み終了時の状態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 筒体
2 磁石
3 強磁性体板
4 筒長調節手段
5 嵌入構造
51 嵌入部
B ビット軸
Bc ボール溝
Bh ビット頭
Bt 刃部
L1 筒長
L51 筒体の先端から嵌入部までの距離
LBc ボール溝の軸方向長さ
LBh ビット頭の軸方向長さ
W51 嵌入部の幅
【発明の属する技術分野】
この発明は、動力ドライバーのビット軸に取り付けて使用するねじ類の捩じ込み調節具に関する。
【0002】
【従来の技術】
木ねじ等を動力ドライバーで捩じ込む際には、必要に応じてねじ類の捩じ込み調節具が用いられる。これは、捩じ込み面に対する木ねじ等の捩じ込み量を任意の深さに調節して、ねじ類のねじ頭の先端が捩じ込み面より沈む状態まで捩じ込む、いわゆる沈み打ち(図8の上段)や、ねじ頭の先端が捩じ込み面と同一となる、いわゆる面合わせ(図8の中段)や、ねじ頭の先端が捩じ込み面から突き出すように浮かせた状態で捩じ込みを終える、いわゆる浮かし打ち(図8の下段)を、均一かつ容易に行うものである。
【0003】
これにより、均一の深さに捩じ込むことで、多数のねじ類を連続して捩じ込む際の作業効率を上げることが可能となる。また、捩じ込み終了時においてねじ類が捩じ込み面から沈みすぎた状態或いは浮きすぎた状態となるのを防ぐと共に、必要最小限の捩じ込み量を確保して、捩じ込み過ぎによる捩じ込み対象物の破損或いは捩じ込み不足による捩じ込み接続の不良を防ぐことや、捩じ込み後の捩じ込み面の体裁を良くすることができる。
【0004】
このようなねじ類の捩じ込み調節具として、従来、動力ドライバーのビット軸のビット頭の一部を突き出すようにしてビット軸に回転自在に取り付けられる回転筒を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。このねじ類の捩じ込み調節具は、ビット軸の軸方向にスライド自在に取り付けられるガイド筒と、このガイド筒の前方に突出して任意の位置に回転自在に取り付けられる回転筒と、前記ガイド筒の外壁から内壁に向かって捩じ込まれるように設けられた止めねじとからなり、ねじ類を捩じ込んでいるときにはビット軸に伴って回転しているが、ねじ類の捩じ込みが終了したときには捩じ込み面に接触し回転が止まるようになっている。
【0005】
ところが、上記ねじ類の捩じ込み調節具には、嵌め込んだねじ類がビット頭から外れやすいという問題があり、このため多数のねじ類を連続して均一の深さに捩じ込む際には、動力ドライバーを持たないもう一方の手でねじ類を保持することが必要であり、常に両手で作業しなければならず、作業効率に優れたものといえないという問題があった。
【0006】
前記問題に関連して、予めドライバー軸に磁気を帯びさせ、この着磁された刃先の磁性によってねじ類を吸着するドライバーが存在した(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
一方で、前記問題に関連して、ドライバー軸の刃先の周囲に環状の磁着体を取り付けて、この磁着体の磁性によってねじ類を吸着するものが存在した(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平9−141561号公報
【特許文献2】登録実用新案第3070564号公報
【非特許文献1】岡野機器株式会社、「Profesional Tool」内リンク 「正しい作業工具の使い方」右フレーム内 “INDEX”「9.ドライバー」、〔online〕、岡野機器株式会社のホームページ、〔平成15年1月10日検索〕、インターネット<URL:http://www.okanokiki.co.jp/gijutsu/kougu/9.htm>
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、耐衝撃性、耐磨耗性を必要とするビット軸の多くは、ねじり等に対する強度を高めるべく炭素を多く含む鋼合金を熱処理したものからなるところ、このような鋼合金は保磁力が小さいため、吸着力が弱く、また繰り返し使用することにより減磁しやすいものである。このため、前記予め磁気を帯びさせたドライバー軸(例えば、非特許文献1参照)を動力ドライバーのビット軸に適用し、予め着磁されたビット軸を用いた場合であっても、前記問題(嵌め込んだねじ類がこのビット頭から外れやすいという問題)を解決するには至らなかった。
【0010】
特に、着磁されたビット軸とねじ類の捩じ込み調節具とを使用して前記「浮かし打ち」や「面合わせ」(図8の下段や同中段右図)を行う場合には、捩じ込み調節具の回転筒がビット頭の刃部の先端付近までを覆い、ビット頭の先端の一部が、捩じ込み調節具の回転体からわずかしか突出しない。このため、ねじ類のねじ頭が刃部の先端のわずか一部分にしか接触しない状態(例えば図3のような状態)となる。そもそも保持力が小さく減磁しやすい鋼合金のビット軸は、このような状態においては必要な吸着力を到底発揮することができず、したがって、予め着磁されたビット軸による吸着力を使用しても、ねじ類の捩じ込み調節具を使用する際の前記問題は解決できなかった。
【0011】
また、前記環状の磁着体(例えば、特許文献2参照)をねじ類の捩じ込み調節具に適用するために、捩じ込み調節具の回転筒に磁着体を設けたものとするには、非常に大きな周辺磁束密度の磁着体が必要となる。
【0012】
すなわち、回転筒の内部に磁着体を設けたねじ類の捩じ込み調節具を使用して前記「沈み打ち」や「面合わせ」(図8の上段や同中段左図)を行う場合には、捩じ込み調節具の回転筒の先端がねじ類のねじ頭と完全に接触していない状態、或いは全く接触していない状態(例えば図4のような状態)となる。このような状態において、磁着体から離れたビット頭の位置における吸着力を確保するためには、磁着体の周辺磁束密度を大きくする必要がある。
【0013】
ここで、磁着体の体積を大きくする等によって周辺磁束密度の大きな磁着体を使用した場合には、軸頭の先端付近にて磁着体が非常に大きな体積を占め、軸頭の先端付近にある磁着体の重量が嵩んでバランスが不安定となるため、捩じ込み箇所の確認や長時間の動力ドライバーの保持が困難となり、多数の捩じ込みをする際の作業効率がむしろ落ちてしまう。更に、安価なものとして提供することができない。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、このような点を解決すべくなされたものであって、効率的な磁束回路を形成し或いは両端刃ビット軸の動力ドライバーへの固定用溝(ボール溝)を利用した軸方向へのスライド手段を設けることで、周辺磁束密度の比較的小さい磁石によっても十分な吸着力を確保し、もって、捩じ込み箇所の確認や長時間の動力ドライバーの保持が容易でありながらビット頭に嵌め込んだねじ類が外れにくいものであり、多数のねじ類を連続して均一の深さに捩じ込む際の作業効率を上げることのできる捩じ込み調節具を、安価に提供することを主たる目的としている。
【0015】
すなわち、この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してこのビット軸Bに支持されうる筒体1と、この筒体1の先端付近に内設されビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、この磁石2に接して筒体1に内設された強磁性体板3と、筒体1を任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止する抜け止め手段と、ビット軸Bに対して筒体1を正逆方向へ回動可能とする回動手段とからなることを特徴としている。
【0016】
このようなものであれば、強磁性体板3と磁石2とでキャップマグネット式磁束回路に類似の磁束回路が形成され、磁石2の周囲近傍の磁束密度が大きくなり、筒体1に挿入したビット軸Bのビット頭Bhが側周囲の磁石2により効率的に磁化される。
【0017】
これにより、周辺磁束密度の大きな磁石を使用しなくても、ビット頭Bhの刃部Btはねじ類への大きな吸着力を得ることができ、磁石2の体積や重量を大きくすることなく、安価なものとしてビット頭Bhの位置における必要な吸着力を確保することができる。
【0018】
また、筒長調節手段4によって筒体1の筒長L1である全長を任意長に調節することで、ビット軸Bを保持する動力ドライバー本体のチャックCに筒体1の基端を当接させた状態で、筒体1の先端から突出するビット頭Bhの突出量を、確実に所望のものとすることができる。
【0019】
これにより、筒長L1を調節された筒体1が、チャックCと捩じ込み対象とに挟まれる状態となるまで捩じ込むことで、確実に一定の捩じ込み量を確保することができる。
【0020】
前記抜け止め手段及び回動手段は、筒体1の内側面に配設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのボール溝Bcに嵌入すると共にボール溝Bcの周方向に摺動しうる嵌入構造5からなるものとしてもよい。
【0021】
すなわち、この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してビット軸Bに支持されうる筒体1と、筒体1の先端付近に内設されビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、この磁石2の先端側の面(すなわち、この磁石2表面のうち筒体1の先端側の面)に接して筒体1に内設された強磁性体板3と、筒体1を任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1の内側面に配設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのボール溝Bcに嵌入すると共にボール溝Bcの周方向に摺動しうる嵌入構造5と、からなるものとし、嵌入構造5によって筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止する抜け止め手段、及び筒体1をビット軸Bに対して正逆方向へ回動可能とする回動手段を達成するものとしてもよい。
【0022】
このようなものであれば、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに嵌入することにより効率的かつ確実に抜け止め手段を達成するとともに、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに摺接して筒体1を正逆方向へ回動可能に摺動することにより簡易な構造で回動手段を達成することができる。
【0023】
そして、嵌入構造5のみを設けることで抜け止め手段及び回動手段が同時にかつ効率的に達成され、比較的小型で軽量性に優れた安価なねじ類の捩じ込み調節具となる。
【0024】
また、前記強磁性体板3は、筒体1の先端にそれ自体の一面を開放して内設され、前記磁石2を保護する保護板であるものとしても良い。
【0025】
すなわち、この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してこのビット軸Bに支持されうる筒体1と、筒体1の先端付近に内設されビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、筒体1の先端にそれ自体の一面たる先端面を開放してなると共にそれ自体の他面たる基端面をこの磁石2に接して前記磁石2を保護するように筒体1に内設された保護板である強磁性体板3と、筒体1を伸縮させてその筒長L1を保持することで任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止する抜け止め手段と、ビット軸Bに対して筒体1を正逆方向へ回動可能とする回動手段とからなるものとしても良い。
【0026】
このようなものであれば、強磁性体板3は、一般に脆く欠けやすい性質の磁石2を、使用時に衝撃の加わるその先端面にて保護することができる。また同時に、磁石2と接して強力に磁化された強磁性体板3がねじ頭と近接或いは当接することとなり、磁化されたビット頭Bhの刃部Btと共に、ねじ類への大きな吸着力を効率的に得ることができる。これにより、磁石2の体積や重量を大きくすることなく、ビット頭Bhの位置における吸着力を更に大きなものとすることができる。
【0027】
或いは、この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してこのビット軸Bに支持されうる筒体1と、筒体1の先端付近に内設されビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、筒体1の先端にそれ自体の一面(先端面)を開放してなると共にそれ自体の他面(基端面)をこの磁石2に接して前記磁石2を保護するように筒体1に内設された強磁性体板3と、筒体1を任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止する抜け止め手段と、ビット軸Bに対して筒体1を正逆方向へ回動可能とする回動手段と、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの刃部Btの少なくとも一部ないし全部が筒体1の先端から突出する範囲において、筒体1を軸方向へスライド可能とするスライド手段とからなることを特徴としている。
【0028】
このようなものであれば、ねじ類のねじ頭にあるねじ溝をビット頭Bhの刃部Btに嵌め込んだ際に、筒体1をビット軸Bの先端側へスライドさせて、筒体1の先端に開放される磁化された強磁性体板3を、その吸着力によりねじ頭に容易に当接させることができる。そして、筒体1をスライドさせて強磁性体板3をねじ頭と当接させることで、磁石2に接して強力に磁化された強磁性体板3と、磁化されたビット頭Bhの刃部Btとにより、ねじ類への極めて大きな吸着力を確実かつ効率的に得ることができる。
【0029】
これにより、頻繁に使用する一定の範囲の筒長L1に調節して使用する際に、ビット頭Bhの位置における吸着力を更に大きなものとすることができ、磁石2の体積や重量を更に小さなものとしうる。
【0030】
前記抜け止め手段及び回動手段及びスライド手段は、筒体1の内側面に配設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのボール溝Bcに嵌入すると共に嵌入したボール溝Bc上を軸方向に摺動しうる嵌入構造5からなるものとしてもよい。
【0031】
すなわち、この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してこのビット軸Bに支持されうる筒体1と、筒体1の先端付近に内設されビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、筒体1の先端にそれ自体の一面(先端面)を開放してなると共にそれ自体の他面(基端面)をこの磁石2に接して前記磁石2を保護するように筒体1に内設された強磁性体板3と、筒体1を任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1の内側面に配設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのボール溝Bcに嵌入すると共に嵌入したボール溝Bc上を軸方向に摺動しうる嵌入構造5とからなるものでも良い。
【0032】
このようなものであれば、ビット頭Bhの先端側のボール溝Bcを利用することで、より簡易な構造でスライド手段を達成することができる。またこれと同時に、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに嵌入することにより効率的かつ確実に抜け止め手段を達成するとともに、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに摺接して筒体1を正逆方向へ回動可能に摺動することにより簡易な構造で回動手段を達成することができる。
【0033】
これにより、嵌入構造5のみを設けることで抜け止め手段及び回動手段が同時にかつ効率的に達成され、比較的小型で軽量性に優れた安価なねじ類の捩じ込み調節具となる。
【0034】
より具体的には、前記抜け止め手段及び回動手段及びスライド手段は、いずれも、筒体1の内側面に配設された、中心方向へ突出する嵌入構造5からなり、嵌入構造5は、筒体1の中心方向へ突出する嵌入部51を有する環状の弾性体からなり、筒体1の先端から嵌入構造5の嵌入部51の軸方向中心までの軸方向距離L51がビット軸Bのビット頭Bhの軸方向長さLBh(すなわちビット軸Bの先端から近傍のボール溝Bcの先端側端部までの軸方向距離)と略同一であると共に、嵌入部51の軸方向幅W51がボール溝Bcの軸方向長さLBcより小さいものとすることができる。
【0035】
このようなものであれば、「筒体1の先端から嵌入構造5の嵌入部51の軸方向中心までの軸方向距離L51」によって嵌入構造5の軸方向の位置が定まり、嵌入構造5の嵌入部51をビット軸Bのボール溝Bc内に位置させた状態で、ビット軸Bの刃部Btの少なくとも一部ないし全部が筒体1の先端から突出するようになる。また、「ボール溝Bcの軸方向長さLBcより小さい嵌入部51の軸方向幅W51」によって、ボール溝Bcに嵌入した嵌入構造5の嵌入部51がボール溝Bc上を軸方向に摺動しうるようになる。
【0036】
これらにより、極めて簡易な構造の嵌入構造5となり、抜け止め手段及び回動手段及びスライド手段が、同時にかつ効率的に達成され、比較的小型で軽量性に優れた、より安価なねじ類の捩じ込み調節具となる。
【0037】
尚、本発明においては、動力ドライバーのチャックCに固定されたビット軸Bのうち、ねじ類を嵌め込んで使用する側の刃部Bt付近を先端(或いは先端側)とし、使用せずチャックCの内部に挿入される側ないしチャックC付近を基端(或いは基端側)という。本発明の捩じ込み調節具やその筒体1においても同様に、このビット軸Bに挿入したときにビット軸Bの先端付近に位置する側を先端(或いは先端側)、チャックC付近に位置する側を基端(或いは基端側)という。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の構成を、実施例として示した各図面に基づいて詳細に説明する。図1〜図5は、この発明のねじ類の捩じ込み調節具の一実施例を示すものであり、図6は、ビット軸Bを備えた動力ドライバーにこれを取り付けた概観図である。図7は、これを取り付けるビット軸Bの説明図である。図8は、この発明のねじ類の捩じ込み調節具により可能となる、前記「沈み打ち」「面合わせ」「浮かし打ち」の三種類の捩じ込み終了時のねじ類等の状態を示すものである。
【0039】
図1〜図6に示すこの発明のねじ類の捩じ込み調節具は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを挿入してこのビット軸Bに支持されうる筒体1と、筒体1の先端付近に内設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲む磁石2と、この磁石2に接して筒体1に内設された強磁性体板3と、筒体1を任意の筒長L1に調節しうる筒長調節手段4と、筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止する抜け止め手段と、ビット軸Bに対して筒体1を正逆方向へ回動可能とする回動手段と、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの刃部Btの少なくとも一部ないし全部が筒体1の先端から突出する範囲において、筒体1を軸方向へスライド可能とするスライド手段と、からなる。
【0040】
この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、図1及び図6に示すように、動力ドライバーのチャックCにそれ自体の一端を挿入して固定されたビット軸B(図1の点線又は図7に示すもの)に取り付けて使用するものである。
【0041】
本発明においては、動力ドライバーのチャックCに固定されたビット軸Bのうち、使用する側の刃部Bt付近を先端(側)とし、使用せずチャックCの内部に挿入される側ないしチャックC付近を基端(側)という。本発明の捩じ込み調節具やその筒体1においても同様に、このビット軸Bに挿入したときにビット軸Bの先端付近に位置する側を先端(側)、チャックC付近に位置する側を基端(側)という。
【0042】
使用するビット軸Bは、図7の実線で示すように、丸軸又は多角形軸からなる軸本体Bsの両端にボール溝Bcを設け、更にその両先には刃部Btを有するビット頭Bhを設けたもの、つまり、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸である。そして、このビット軸Bは、図7の点線で示すように、動力ドライバーのチャックCに挿入され動力ドライバーに固定される。
【0043】
ボール溝Bcは、図7に示すように、両端に刃部を有するビット軸Bの両端付近において、ビット軸Bの軸本体Bsと両端のビット頭Bhとの間に対称に設けられたものであり、具体的には、ボール溝Bcは、軸本体Bs或いはビット頭Bhより小さい径の円断面からなる滑らかな軸方向長さLBcのくびれ曲面を表面に有する、一段又は多段のくびれ溝である。そして、ビット軸Bを動力ドライバーのチャックCに挿入したとき、このチャックC内部のボールチャック構造に設けられた略球体の固定用ボールCbの一部が嵌入することにより、ビット軸Bが動力ドライバーに固定される。尚、このボール溝Bcは多種の動力ドライバーのボールチャック構造に対して互換性を有し、このボール溝Bcの軸方向長さLBcは、多くのビット軸Bに略共通のものである。
【0044】
ビット軸Bの両端のうちいずれか一端の刃部Btを使用するときには、他端である基端側をチャックCに挿入し、この基端側のボール溝Bcに固定用ボールCbを嵌入させることで、ビット軸Bを動力ドライバーに固定する。つまり、ビット軸Bの先端側のボール溝Bcは、ビット頭Bhを入れ替えて動力ドライバー本体に固定するときに使用するものである。
【0045】
筒体1は、両端にボール溝Bcと刃部Btとを有するビット軸Bを、筒体1自体の内側面により形成される筒孔に挿入して、このビット軸Bに支持されうるものであり(図1、図3〜図6)、それ自体の内側面に後述の嵌入構造5を配設して一体のものとしてなる先端筒11と、後述の筒長調節手段4を介してこの先端筒11の基端側に連結されて伸びる基端筒12とからなる(図2〜図6)。具体的には、先端筒11は、それ自体の基端側にて外ねじを設けると共にそれ自体の先端にて捩じ込み面に当接するものであり、基端筒12は、それ自体の先端側にて前記先端筒11の外ねじに螺合する内ねじを設けると共にそれ自体の基端にて動力ドライバーのチャックCの先端に当接するものである。
【0046】
このように筒体1は、先端筒11が後述のスライド手段たる嵌入構造5をそれ自体の内側面に配設して一体のものとしてなり、この先端筒11と別体の基端筒12のみが後述の筒長調節手段4により基端側に伸縮するので、嵌入構造5たる環状の弾性体(の嵌入部51)は、筒体1を伸縮させた場合でも常に筒体1の先端から一定の軸方向距離L51のところに位置する(図2等)。
【0047】
これにより、後述のスライド手段により筒体1をビット軸Bに対してスライドさせても、筒体1の先端付近の磁石2は常にビット頭Bhの側周囲に位置しうる(図3ないし図5)。また、ビット頭Bhの突出量LOの範囲(すなわち筒体1の先端からビット頭Bhが突出する軸方向長さの範囲)は常にスライド幅LSと同一のものとなる。
【0048】
また、先端筒11は、常磁性体であるアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、その先端側にて後述の磁石2及び強磁性体板3の側周囲をかしめ止めにより固定してなる(図2)と共に、その外側面に回動認識手段11aたる模様を付している(図1、図6)。
【0049】
先端筒11は常磁性体からなるので磁石2の周囲の磁界に影響を与えることがなく、後述の磁石2及び強磁性体板3によって任意の磁界を形成することが容易となる。更に常磁性体の中でも軽量なアルミニウム又は軽量性と強度性を有するアルミニウム合金からなるので、捩じ込み調節具を軽量なものとしうる。
【0050】
また、回動認識手段11aによって、捩じ込み対象とチャックCとに挟まれ筒体1の回転速度が激減する捩じ込み終了時を容易に認識することができ、連続した捩じ込み作業を行う際などの作業効率を上げることができる。
【0051】
磁石2は、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの側周囲を囲むように、ビット軸Bの先端側である筒体1の先端付近に内設される。この磁石2は、ビット頭Bhの軸方向長さLBhと略同一長さL2の円筒形状をしており、前記筒体1の先端筒11により磁石2の外側周囲をかしめ止めされることにより、磁石2の内側面を開放して筒体1に内接される(図2等)。
【0052】
強磁性体板3は、この磁石2の表面のうち筒体1の更に先端側の面、つまりこの磁石2の先端側の面に接して、筒体1の先端側の開放端に内設されている(図2〜図4)。具体的には、前記強磁性体板3は、筒体1の先端側に開放されてなる一面たる先端面と、前記磁石2の先端側の面と接する他面たる基端面と、を有し、それ自体の一面たる先端面を開放してなると共にそれ自体の他面たる基端面をこの磁石2の更に先端側に接してなり、それ自体の側周囲をかしめ止めされて筒体1の先端に内設される。
【0053】
このようなものであれば、磁石2に接する強磁性体板3と磁石2とでキャップマグネット式磁束回路に類似の磁束回路が形成され、磁石2の周囲近傍の磁束密度が大きくなり効率的に磁化されたビット頭Bhがねじ類への大きな吸着力を有することとなる。また、このキャップマグネット式磁束回路に類似の磁束回路が形成されることで、磁力線が磁石2から遠くに伸びないようになり、磁石2から基端側に離れた位置の磁束密度が小さくなる。
【0054】
これにより、抜け止め手段とビット軸Bとの接する部分は磁石2の磁束に大きな影響を受けず、後述のスライド手段によるスライド操作を容易に行える。また、筒長調節手段4による筒長調節操作をする際に、磁石2の磁束に大きな影響を受けず、筒長調節操作を容易に行えるものとなる。
【0055】
この強磁性体板3は、また、筒体1の先端にそれ自体の一面を開放して内設され、前記磁石2の先端側の面を保護する保護板でもある。すなわち、強磁性体板3の開放される一面(先端面)は、ねじ類のねじ類或いは捩じ込み対象の捩じ込み面と当接するものであり、一般に脆く欠けやすい性質の磁石2を、使用時に衝撃の加わる先端面にて保護することができる。
【0056】
筒長調節手段4は、筒体1の筒長L1を伸縮させる筒長伸縮手段と、伸縮させた筒長L1を保持する筒長保持手段とからなり、筒長伸縮手段により筒体1を任意の筒長L1に調節しさらに筒長保持手段によりこの筒長L1を保持固定しうるものである(図2〜図4)。
【0057】
これにより、筒体1の基端をチャックCに当接させた図3、図4の状態で、筒体1の先端からビット頭Bhを所望の突出量LOだけ確実に突出させることができ、捩じ込み量の微細かつ確実な調節が可能となる。
【0058】
筒長伸縮手段は、前記先端筒11と基端筒12とを螺合させる螺合構造41である(図2等)。具体的には、前記先端筒11の基端側にて設けられた外ねじと、この先端筒11の外ねじに螺合するように基端筒12の先端側にて設けられた内ねじとからなる。
【0059】
そして、この先端筒11と基端筒12との螺合を緩めることで、筒体1の軸方向長さである筒長L1を伸縮させ、筒体1の先端からビット軸Bのビット頭Bhを所望の突出量LOだけ突出させることができる。
【0060】
筒長保持手段は、前記先端筒11の外ねじに螺合して前記基端筒12の先端側に設けられた筒長固定ナット42と、この筒長固定ナット42と基端筒12とに挟まれて先端筒11の外ねじの外周に設けられた環状の弾性体である筒長固定パッキン43と、からなり、先端筒11と基端筒12との螺合構造41のガタツキを無くして、筒長L1を保持し固定するものである(図2〜図4)。具体的には、この筒長固定ナット42を基端側に捩じ込んで基端筒12の先端に近接させることで、基端筒12は弾性体からなる筒長固定パッキン43によって軸方向基端側に弾性付勢される。これによって、先端筒11と基端筒12とを連結する螺合構造41は、基端筒12を緩めた状態のままでもガタツキの無いものとなり、筒長L1を任意長に伸縮させたまま保持し固定することができる。
【0061】
筒長調節手段4は、この磁石2の後端から磁石2の軸方向長さL2と同一の距離以上離れた位置に設けられていることが好ましい(図2)。
【0062】
このような位置においては、前述の磁石2と強磁性体板3とで形成される磁束回路によって、磁束密度が磁石2の表面磁束密度の半分以下となるので、筒長調節手段4による筒長調節操作をする際に、磁石2の吸着力の影響を受けず、筒長調節手段による筒長調節操作を容易に行えるものとなる。
【0063】
抜け止め手段は、筒体1の内側面に配設された、嵌入部51を有する嵌入構造5からなり、筒体1がビット軸Bから容易に抜けることを防止するものである。この抜け止め手段は、磁石2の後端から磁石2の軸方向長さL2と同一の距離以上離れた位置に設けられ、図2において筒先端からの嵌入部51の距離L51が磁石の長さL2の倍以上となっている。
【0064】
このような位置においては、前述の磁石2と強磁性体板3とで形成される磁束回路によって、磁束密度が磁石2の表面磁束密度の半分以下となる。これにより、抜け止め手段とビット軸Bとの接する部分は磁石2の磁束に大きな影響を受けず、後述のスライド手段のスライドが容易に行えるものとなる。
【0065】
すなわち、ビット軸Bのほとんどは強磁性体である硬鋼線材(クロムバナジウム鋼)を主成分とするところ、磁着体の磁束密度を大きくした場合には、この磁着体はビット軸Bへも強力に吸着してしまい、後述のスライド作業に影響を及ぼしうるという問題点があった。この問題点に対して、前述の磁石2と強磁性体板3とで形成される磁束回路と抜け止め手段の位置を前述のものとすることで、抜け止め手段の位置における磁束密度を後述のスライド作業に影響のないものとなる。
【0066】
回動手段は、ビット軸Bに対して筒体1を正逆方向へ回動可能とするものである。そして、前記抜け止め手段の嵌入構造5と、筒孔を有する前記筒体1とにより達成される。
【0067】
実施例では、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに遊嵌すると共に、筒体1の内側面とビット軸Bの軸本体Bsの外側面とが摺動することによって、筒体1がボール溝Bc上にて軸周方向に回動しうるものとしている(図3、図4)。このほかに、ビット軸Bのボール溝Bcに摺接してボール溝Bc上を周方向に摺動して回動しうるものとしても良い。これにより嵌入構造5を有する筒体1は、正逆方向へ回動可能に摺動する。
【0068】
スライド手段は、スライド幅LSの範囲内で筒体1を軸方向へスライド可能とするものである(図4、図5)。このスライド手段により、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのビット頭Bhの刃部Btの全部が筒体1の先端から突出する状態(図4に示す状態)から、刃部Btの少なくとも一部が筒体1の先端から突出する状態(図5に示す状態)へと変位させることができる。
【0069】
かかる変位の範囲は、図4(又は図5)に示す縮められた状態における筒長L1から、図3に示す伸ばされた状態における筒長L1までの、筒長L1の調節範囲量に対応するものである。そして、かかる筒長L1の調節範囲は、面合わせ及び沈み打ちに対応し、ねじ類の捩じ込み調節具において頻繁に使用する一定の範囲である。
【0070】
そして、筒体1をスライドさせて強磁性体板3をねじ頭と当接させること(図5の状態とすること)で、磁石2に接して強力に磁化された強磁性体板3と、磁化されたビット頭Bhの刃部Btとにより、ねじ類への極めて大きな吸着力を確実かつ効率的に得ることができる。
【0071】
よって、スライド手段を、刃部Btの少なくとも一部(図5に示す状態)ないし全部(図4に示す状態)が筒体1の先端から突出する状態へ変位しうるものとしたことで、頻繁に使用する一定の範囲の筒長L1に調節して使用する際に、いずれの筒長L1であっても筒体1の先端に開放する強磁性体板3をねじ頭に当接させることができる。これにより、ビット頭Bhの位置における吸着力を更に大きなものとすることができ、磁石2の体積や重量を更に小さなものとしうる。
【0072】
前記抜け止め手段及び回動手段及びスライド手段は、筒体1の内側面に配設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのボール溝Bcに嵌入すると共に(ボール溝Bcに摺接して)嵌入したボール溝Bc上を軸方向に摺動しうる嵌入構造5を有する筒体1によって、達成される。この嵌入構造5は、筒体1の内側面に配設され、ビット軸Bを挿入したときにビット軸Bのボール溝Bcに遊嵌すると共にボール溝Bc上を軸方向に遊動しうるものでも良い。
【0073】
このようなものであれば、ビット軸Bの先端側のボール溝Bcを利用することで、ボール溝Bcの軸方向長さLBc内のスライド幅(LS)において、より簡易な構造で確実にスライド手段を達成することができる。
【0074】
またこれと同時に、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに嵌入することにより効率的かつ確実に抜け止め手段を達成するとともに、嵌入構造5がビット軸Bのボール溝Bcに摺接して筒体1を正逆方向へ回動可能に摺動することにより簡易な構造で回動手段を達成することができる。
【0075】
尚、ビット軸Bの先端側のボール溝Bcは、本来、ビット軸Bの端部を入れ替えて動力ドライバー本体に固定するときに使用するものであるから、この先端側にある状態のボール溝Bcは機能していない。この嵌入構造5は、この機能していないボール溝Bcを利用することで、簡易な構造により効率的にスライド手段を達成するものである。
【0076】
前記スライド手段及び抜け止め手段及び回動手段は、筒体1の内側面に配設され、軸中心方向へ突出する嵌入部51を有する嵌入構造5からなる。
【0077】
より具体的には、嵌入構造5は図2〜図5に示すように、筒体1の中心方向へ突出して筒体1に挿入したビット軸Bのボール溝Bcへ嵌入する嵌入部51を有して筒体1のうち先端筒11の内側面に配設される。具体的には、嵌入構造5は、環状の弾性体たるOリングからなり、このOリングの内周側部にて、ビット軸Bのボール溝Bcへ嵌入する嵌入部51が構成される。
【0078】
尚、嵌入構造5の形状および構造はこの他に、筒体1の内側面から中心方向へ突出するように弾性付勢された硬質材からなるもの、例えば略球体の固定用ボールCbを板バネ等により弾性付勢した、ボールチャック構造と類似の構造とすることもできる。
【0079】
この嵌入構造5が内設される位置は、筒体1の先端から嵌入構造5の嵌入部51の軸方向中心までの軸方向距離L51が、ビット軸Bのビット頭Bhの軸方向長さLBhと略同一であるような位置である。また、ビット頭Bhの軸方向長さLBhは、ビット軸Bの先端から近傍のボール溝Bcの先端側端部までの軸方向距離である(図7)。
【0080】
嵌入構造5(の嵌入部51)を筒体1の内側面の前記位置に設けたことにより、ビット軸Bを挿入してビット頭Bhの刃部Btの少なくとも一部ないし全部が筒体1の先端から突出した図3ないし図5の状態で、嵌入部51が常にボール溝Bc内に嵌入することとなる。換言すれば、嵌入構造5の嵌入部51をビット軸Bのボール溝Bc内に位置させた状態で、ビット軸Bの刃部Btの少なくとも一部ないし全部が筒体1の先端から突出するようになる。
【0081】
この嵌入構造5の嵌入部51の軸方向幅W51(図2)は、ボール溝Bcの軸方向長LBc(図7)より小さいものとしている。これにより、ボール溝Bcに嵌入した嵌入構造5の嵌入部51がボール溝Bc上を軸方向に摺動しうることとなり、図3の状態や、図4の実線で示す状態から図5の状態とすることが可能となる。よって、スライド手段のスライド幅LSを確実に確保することができる。
【0082】
具体的には、嵌入部51の軸方向幅W51は、ボール溝Bcの軸方向長さLBcの約半分以下であることが好ましく、本実施例においては約三分の一の長さである。これにより、必要なスライド幅LSを確保しうる。本実施例においてはボール溝Bcの長さLBcの約3分の2のスライド幅LSとなる(図4、図5)。
【0083】
嵌入部51の位置(筒体1の先端からの軸方向距離L51)及び軸方向幅W51を前記のようなものとすれば、きわめて簡易な構造の嵌入構造5となり、抜け止め手段及び回動手段及びスライド手段が同時にかつ効率的に達成され、ひいては比較的小型で軽量性に優れた、より安価なねじ類の捩じ込み調節具となる。
【0084】
以上のように構成されたこの発明のねじ類の捩じ込み調節具は、以下のようにして使用する。
【0085】
まず、筒体1の筒孔に動力ドライバーのチャックCに固定したビット軸B(図7の状態のビット軸)を挿入することで、筒体1をビット軸Bに取り付けて、筒体1がビット軸Bに支持されるようにする(図1、図6)。このとき、筒体1の嵌入構造5の嵌入部51がビット軸Bの先端側のボール溝Bcに嵌入する、図3、図4のような状態となるまでビット軸Bを挿入する。
【0086】
次に、筒長調節手段4によって筒体1の筒長L1を伸縮させ固定する(図3、4)。具体的には、まず、筒長調節手段4のうち筒長保持手段たる筒長固定ナット42を緩める。そして、先端筒11或いは基端筒12を廻し、筒長調節手段4のうち筒長伸縮手段たる螺合構造41によって、筒体1の先端からビット頭Bhを所望の突出量LOだけ突出させるように筒長L1を伸縮させて調節する。さらに、筒長固定ナット42を基端筒12に近接するように捩じ込んで、基端筒12のガタツキを無くし、筒長L1を固定する。
【0087】
次に、筒体1の先端から突出したビット頭Bhの先端にねじ類のねじ頭の溝を嵌め込み、図3、図4の点線を含む状態とする。
【0088】
このとき、筒長L1が縮められた図4の状態の場合には、ねじ類のねじ頭にあるねじ溝をビット頭Bhの刃部Btに嵌め込んだ際に、図4の太矢印で示すように筒体1をビット軸Bの先端側へスライドさせ、強磁性体板3をねじ頭に当接させた状態(図5の状態)とする。
【0089】
次に、ねじ類を捩じ込み面へ捩じ込む。動力ドライバーの作動によりビット軸Bが回転すると、ビット軸Bに取り付けられた筒体1も共に回転する。
【0090】
捩じ込み対象への捩じ込みは、全長たる筒長L1を調節固定された筒体1が、チャックCの端面と捩じ込み対象の捩じ込み面とに挟まれて回転しなくなる状態となるまで行う(図示せず)。
【0091】
捩じ込み終了時には、筒体1の(先端筒11の)先端および(基端筒12の)基端が、それぞれチャックCの端面と捩じ込み対象の捩じ込み面に当接する。チャックCの端面及び捩じ込み面に当接すると、ビット軸と共に回転していた筒体1は、これらの面による面摩擦力と、これら両面による圧縮力とを同時に受けて、その回転が止まる。このとき、筒体1の回転が止まったことを先端筒11に設けられた回動認識手段11aにより認識して、捩じ込みが完了したことを知ることができる。
【0092】
このように固定された筒長L1を有する筒体1全体が挟まれるまで捩じ込むことにより、確実かつ正確に一定の捩じ込み量を確保することができ、連続して一定量の捩じ込みを行うときに優れたものとなる。
【0093】
詳述すれば、従来、ねじ類の捩じ込み調節具は、ビット軸Bに止着する止着手段を有するものであった。この止着手段は、ビット軸Bを止着する止着状態においても、筒体1をビット軸Bからずらすことで捩じ込み量を容易に調節しうるものであった。このため、連続捩じ込み作業中において、止着位置がずれて捩じ込み量が意図せずに変動することがあった。このようなことは、止着手段を有するねじ類の捩じ込み調節具を使用する際にしばしば起こっており、一定の捩じ込み深さの連続捩じ込み作業を確実かつ容易に行うことができないという問題点があった。
【0094】
これに対し、本発明のねじ類の捩じ込み調節具の捩じ込み方式はこの問題点を解消するものであり、筒体1の全長である筒長L1にて捩じ込み量を確実、正確に調節するとともに、チャックCの端面と捩じ込み面とにこの筒体1が挟まれた時点で捩じ込みを完了する、という方式である。このような方式の捩じ込み調節具とすることで、従来のようなビット軸Bに止着する止着手段を不要としたものである。これにより、捩じ込み量が意図せずに変動することがなくなり、一定の捩じ込み深さの連続捩じ込み作業を、確実かつ容易に行うことができると共に、簡易な構造の捩じ込み調節具としうる。
【0095】
その他、この発明は、各部の具体的な構成を含めて上述した実施例に限定されるものでなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形及び組み合わせが可能である。
【0096】
【発明の効果】
この発明のねじ類の捩じ込み調節具は、以上に述べたように構成されているので、捩じ込み箇所の確認や長時間の動力ドライバーの保持が容易でありながらビット頭に嵌め込んだねじ類が外れにくいものであり、多数のねじ類を連続して確実に均一の深さに捩じ込むことができ、作業効率を上げることができると共に簡易な構造のものとして軽量かつ安価に提供することができるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のねじ類の捩じ込み調節具の一実施例の概観斜視図である。
【図2】第一実施例のねじ類の捩じ込み調節具の断面説明図である。
【図3】第一実施例のねじ類の捩じ込み調節具において、「面合わせ」の捩じ込みを行う際の状態を示す断面説明図である。
【図4】第一実施例のねじ類の捩じ込み調節具において、「沈み打ち」の捩じ込みを行う際の状態を示す断面説明図である。
【図5】第一実施例のねじ類の捩じ込み調節具において、「沈み打ち」の捩じ込みを行う際に筒体をスライドさせた状態を示す断面説明図である。
【図6】ビット軸を備えた動力ドライバーに第一実施例のねじ類の捩じ込み調節具を取り付けた状態を示す概観図である。
【図7】この発明のねじ類の捩じ込み調節具を取り付けるビット軸の説明図である。
【図8】ねじ類の捩じ込み調節具によって可能となる捩じ込み終了時の状態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 筒体
2 磁石
3 強磁性体板
4 筒長調節手段
5 嵌入構造
51 嵌入部
B ビット軸
Bc ボール溝
Bh ビット頭
Bt 刃部
L1 筒長
L51 筒体の先端から嵌入部までの距離
LBc ボール溝の軸方向長さ
LBh ビット頭の軸方向長さ
W51 嵌入部の幅
Claims (6)
- 両端にボール溝と刃部とを有するビット軸を挿入してこのビット軸に支持されうる筒体と、この筒体の先端付近に内設されビット軸を挿入したときにビット軸のビット頭の側周囲を囲む磁石と、この磁石に接して筒体に内設された強磁性体板と、筒体を任意の筒長に調節しうる筒長調節手段と、筒体がビット軸から容易に抜けることを防止する抜け止め手段と、ビット軸に対して筒体を正逆方向へ回動可能とする回動手段とからなることを特徴とするねじ類の捩じ込み調節具。
- 前記抜け止め手段及び回動手段は、筒体の内側面に配設され、ビット軸を挿入したときにビット軸のボール溝に嵌入する嵌入構造からなるものとした請求項1記載のねじ類の捩じ込み調節具。
- 前記強磁性体板は、筒体の先端にそれ自体の一面を開放して内設され、前記磁石を保護する保護板である請求項1又は2記載のねじ類の捩じ込み調節具。
- 両端にボール溝と刃部とを有するビット軸を挿入してこのビット軸に支持されうる筒体と、この筒体の先端付近に内設されビット軸を挿入したときにビット軸のビット頭の側周囲を囲む磁石と、筒体の先端にそれ自体の一面を開放してなると共にそれ自体の他面をこの磁石に接して前記磁石を保護するように筒体に内設された保護板である強磁性体板と、筒体を任意の筒長に調節しうる筒長調節手段と、筒体がビット軸から容易に抜けることを防止する抜け止め手段と、ビット軸に対して筒体を正逆方向へ回動可能とする回動手段と、ビット軸を挿入したときにビット軸のビット頭の刃部の少なくとも一部ないし全部が筒体の先端から突出する範囲において、筒体を軸方向へスライド可能とするスライド手段とからなることを特徴とするねじ類の捩じ込み調節具。
- 前記抜け止め手段及び回動手段及びスライド手段は、筒体の内側面に配設され、ビット軸を挿入したときにビット軸のボール溝に嵌入すると共に嵌入したボール溝上を軸方向に摺動しうる嵌入構造からなる請求項4記載のねじ類の捩じ込み調節具。
- 前記嵌入構造は、筒体の中心方向へ突出する嵌入部を有する環状の弾性体からなり、筒体の先端から嵌入構造の嵌入部の軸方向中心までの軸方向距離がビット軸のビット頭の軸方向長さと略同一であり、嵌入部の軸方向幅がボール溝の軸方向長さより小さいものとした請求項3又は5記載のねじ類の捩じ込み調節具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003006064A JP2004216498A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | ねじ類の捩じ込み調節具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003006064A JP2004216498A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | ねじ類の捩じ込み調節具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004216498A true JP2004216498A (ja) | 2004-08-05 |
Family
ID=32896562
Family Applications (1)
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JP2003006064A Pending JP2004216498A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | ねじ類の捩じ込み調節具 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004216498A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100932704B1 (ko) | 2008-03-10 | 2009-12-21 | 이성구 | 드라이버 비트용 어댑터 |
CN105269505A (zh) * | 2014-05-27 | 2016-01-27 | 昆山义成工具有限公司 | 多功能接杆 |
CN105522522A (zh) * | 2014-10-17 | 2016-04-27 | 仲展实业有限公司 | 接头 |
-
2003
- 2003-01-14 JP JP2003006064A patent/JP2004216498A/ja active Pending
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CN105269505A (zh) * | 2014-05-27 | 2016-01-27 | 昆山义成工具有限公司 | 多功能接杆 |
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