JP2004215429A - 負荷トルク変動低減装置および電動機 - Google Patents
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Abstract
【課題】平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を小さくし、小型化を達成する。
【解決手段】補助磁気回路を構成する固定磁石31および回転磁石32はともに2極であり、1回転中に1回のトルク脈動を発生する。
【選択図】 図3
【解決手段】補助磁気回路を構成する固定磁石31および回転磁石32はともに2極であり、1回転中に1回のトルク脈動を発生する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機の回転により駆動され、電動機の回転に同期して必要な動作を行うために必要な負荷トルクが、電動機の1回転に1回以上変動する負荷トルク変動低減装置に関する。
【0002】
尚、本明細書において、「負荷トルク変動低減装置」は、必要な負荷トルクの変動を低減するようなトルクを発生し得る補助磁気回路を備えるものである。
【0003】
【従来の技術】
電動機の回転により駆動される圧縮機は、電動機の回転に同期して冷媒の吸入、圧縮、吐出を行うため、必要とされる負荷トルクは、冷媒の圧縮から吐出にかけて最大となり、冷媒の吸入時においては0に近くなる。したがって、圧縮機に用いられる電動機は、最大の負荷トルクに合わせて設計される必要があり、平均トルクを最大負荷トルクとする圧縮機に対して大型化し、圧縮機の体積が大きくなり、また、使用材料が増加してコストアップを招いてしまう。
【0004】
このような課題を解決するために、特許文献1には、電動機によって駆動される回転軸の回転に基づく圧縮動作体の圧縮動作によって圧縮室内のガスを圧縮して吐出する動作が1回転に対して少なくとも1回であり、前記圧縮動作体を少なくとも1つ備えた電動圧縮機を対象とし、前記回転軸の1回転にわたる全ての前記圧縮動作体に関する負荷トルクの変化から合成される合成変化トルクの少なくとも1つの極小部と、前記電動機の駆動トルクの極小部とを対応させ、又は前記合成変化トルクの少なくとも1つの極大部と前記電動機の駆動トルクの極大部とを対応させ、さらに前記電動機の駆動トルクが各瞬間毎に前記合成変化トルク以上となるようにした電動圧縮機が記載されている。この電動圧縮機によれば、圧縮機を駆動する上で平均的に過剰な駆動トルクをもたらさない電動機の使用を可能とするとともに、圧縮機を駆動する上で平均的に過剰な駆動トルクをもたらさない電動機の使用を可能とすることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−207971号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の電動圧縮機は、電動機の発生トルクに脈動が大きいことを前提としており、逆に、低振動、低騒音をめざした電動機は、トルク脈動が小さいので特許文献1の電動圧縮機の駆動源とはならない。また、近年では、永久磁石埋込み電動機を効率よく広範囲で運転するために、電流位相を制御した正弦波電流にて駆動する場合も多く、トルク脈動のピーク位置が常に一定であるとは限らない。
【0007】
また、電動機の位置と圧縮機構の位置とを正確に定めるためには、回転軸の、電動機の回転子を嵌合する部分にキー溝を設けるとともに、電動機の固定子の位置決めも正確に行う必要があるため、工数が増加し、また、高度な組立精度が求められる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、電動機の駆動方式によらず、冷媒を圧縮するのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機の発生するトルクをアシストすることにより、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を小さくし、小型化を達成できる、圧縮機を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の負荷トルク変動低減装置は、電動機の回転により駆動され、電動機の回転に同期して必要な動作を行うために必要な負荷トルクが、電動機の1回転に1回以上変動する負荷トルク変動低減装置において、電動機とは別に、1回転中の平均トルクが略0となる補助磁気回路を、負荷トルク最大時に、正トルクが略最大となるように配置したものである。
【0010】
請求項2の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路が、負荷機構の可動部分の取り付け位置を基準として設けられたものである。
【0011】
請求項3の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路として、永久磁石の固定部分と永久磁石の可動部分からなるものを採用するものである。
【0012】
請求項4の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路として、固定部分または可動部分の一方が永久磁石からなり、他方が軟磁性材料からなるものを採用するものである。
【0013】
請求項5の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路の固定部分として電磁石を採用し、電動機への通電に応じてDC電流が流れることにより所定の極に磁化されるように接続されたものである。
【0014】
請求項6の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路の可動部分として、回転軸に対して偏心して回転するものを採用するものである。
【0015】
請求項7の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路が、往復運動により動作する負荷機構部の往復部分に設けられたものである。
【0016】
請求項8の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路が、公転運動により動作する負荷機構部の公転部分に設けられたものである。
【0017】
請求項9の負荷トルク変動低減装置は、電動機の磁気回路と補助磁気回路との間を磁気的に遮断するシールド部材をさらに有するものである。
【0018】
なお、トルク変動負荷としては、圧縮機構、ポンプ、膨張器などが例示できる。
【0019】
請求項10の電動機は、必要な動作を行うために必要な負荷トルクが、1回転に1回以上変動する負荷を駆動する電動機において、電動機の本来の駆動機構とは別に、1回転中の平均トルクが略0となる補助磁気回路を、負荷トルク最大時に、正トルクが略最大となるように配置したものである。
【0020】
【作用】
請求項1の負荷トルク変動低減装置であれば、電動機の回転により駆動され、電動機の回転に同期して必要な動作を行うために必要な負荷トルクが、電動機の1回転に1回以上変動する負荷トルク変動低減装置において、電動機とは別に、1回転中の平均トルクが略0となる補助磁気回路を、負荷トルク最大時に、正トルクが略最大となるように配置したのであるから、電動機の駆動方式によらず、必要な動作を行うのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機の発生するトルクをアシストすることにより、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を小さくし、小型化を達成することができる。
【0021】
請求項2の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路が、圧縮機構の可動部分の取り付け位置を基準として設けられているので、取付け位置を正確に設定できる他、請求項1と同様の作用を達成することができる。
【0022】
請求項3の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路として、永久磁石の固定部分と永久磁石の可動部分からなるものを採用するので、固定部分、可動部分共に永久磁石からなる場合にも、請求項1または請求項2と同様の作用を達成することができる。
【0023】
請求項4の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路として、固定部分または可動部分の一方が永久磁石からなり、他方が軟磁性材料からなるものを採用するので、固定部分、可動部分の一方のみが永久磁石からなる場合にも、請求項1または請求項2と同様の作用を達成することができる。
【0024】
請求項5の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路の固定部分として電磁石を採用し、電動機への通電に応じてDC電流が流れることにより所定の極に磁化されるように接続されているので、電磁石を用いた場合にも、請求項1または請求項2と同様の作用を達成することができる。
【0025】
請求項6の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路の可動部分として、回転軸に対して偏心して回転するものを採用するので、カウンターバランスを兼ねさせることができるほか、請求項1から請求項5の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0026】
請求項7の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路が、往復運動により動作する負荷機構部の往復部分に設けられているので、往復運動により動作させる場合にも、請求項1から請求項5の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0027】
請求項8の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路が、公転運動により動作する負荷機構部の公転部分に設けられているので、公転運動により動作させる場合にも、請求項1から請求項5の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0028】
請求項9の負荷トルク変動低減装置であれば、電動機の磁気回路と補助磁気回路との間を磁気的に遮断するシールド部材をさらに有するので、磁気的影響を排除して請求項1から請求項8の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0029】
請求項10の電動機であれば、必要な動作を行うために必要な負荷トルクが、1回転に1回以上変動する負荷を駆動する電動機において、電動機の本来の駆動機構とは別に、1回転中の平均トルクが0となる補助磁気回路を、負荷トルク最大時に、正トルクが略最大となるように配置したので、電動機の駆動方式によらず、必要な動作を行うのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機の発生するトルクをアシストすることにより、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を小さくし、小型化を達成することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の負荷トルク変動低減装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0031】
【実施形態1】
図1は、本発明の負荷トルク変動低減装置の一実施形態としてのスイング圧縮機(またはロータリー圧縮機)の構成を示す縦断面図である。
【0032】
本圧縮機は、主として、電動機10と、圧縮機構部20と、補助磁気回路30とからなる。
【0033】
電動機10は、固定子11と回転子12とからなり、回転子12は、永久磁石を有し、固定子11に施された巻線13に電流を流すことにより回転磁界が発生し、この回転磁界と永久磁石の磁束との相互作用により軸14を中心に回転する。
【0034】
電動機10により発生した回転(トルク)は、軸14を通して、可動ピストン21に伝えられる。可動ピストン21は、偏心運動をする。可動ピストン21が偏心運動することにより、固定ピストン22との間に形成される圧縮室内に封じ込められた冷媒が、圧縮室の容積の減少に伴って圧縮され、吐出される。
【0035】
この圧縮サイクルにおいて、冷媒の吸入時は、負荷トルクは殆ど0であり、圧縮過程を経て、吐出するとき、負荷トルクが最大となる。しかしながら、補助磁気回路30は、負荷トルクが最大となるとき(このときのトルクの値をTcmaxとする)、最大のトルクTamaxを発生するため、電動機10に要求されるトルクTmmaxは、
Tmmax=Tcmax−Tamax
となる。
【0036】
一方、補助磁気回路30は、何らエネルギーを外部から供給しないため、1回転中の平均トルクはゼロとなる。従って、瞬時トルクが負の方向に最大となるときがあり、電動機10の発生トルクに対してはブレーキとして働く。しかしながら、補助磁気回路30の瞬時トルクが負の方向に最大となるとき(補助磁気回路30のトルク波形が正弦波と仮定すると、このときのトルクは−Tamaxとなる)は、圧縮機の負荷トルクは0に近い値であるため、電動機10に要求されるトルクは、
Tamax+Δ
となる。ここで、Δは、きわめて小さい値となることが予想できる。
従って、TmmaxとTamaxとがほぼ同等か、TmmaxがTamaxより若干大きくなるように、補助磁気回路30を設計すればよいことが分かる。
【0037】
これらのトルクの関係は図2に示すとおりである。補助磁気回路30を用いることにより、電動機10に必要なトルクは、圧縮に必要な負荷トルクの最大値の半分近くにまで低減されていることが分かる。
【0038】
ここで、近年の磁界解析技術や制御技術等の発展により、電動機10が発生するトルク脈動を極めて小さく抑えることが可能である。従って、電動機10は、図2に示すように、圧縮に必要な負荷トルクの変動に比べて極めて変動の小さいトルクを発生すればよく、電動機10の体格を小さくすることが可能とある。また、電動機10に必要とされる電流も減少するため、永久磁石の減磁に対しても制約が小さくなる。
【0039】
図3は、補助磁気回路30の構成として、固定部分も可動部分も永久磁石を用いた例を示す縦断面図である。
【0040】
この例では、固定磁石31および回転磁石32はともに2極であり、1回転中に1回のトルク脈動を発生する。なお、固定磁石31の外周部には、バックヨークを設けても良い。また、固定磁石31は2個でなく1個でも良いし、リング形の磁石を2極着磁した物でも良い。すなわち、固定磁石31、回転磁石32とも、本発明の趣旨に合致すれば、形状等を任意に設定することができる。
【0041】
補助磁気回路30は、圧縮機構部20の可動ピストンを基準に位置決めがなされるようにしている。例えば、圧縮機構部20の可動ピストンの位置が一義的に決まるように加工され、かつ、補助磁気回路30の位置も同様に一義的に決まるように加工された軸を用いればよい。
【0042】
永久磁石としてフェライト磁石、または、ボンド磁石を用いれば、永久磁石内部に渦電流が発生しないので、補助磁気回路30による損失を殆どゼロにすることができる。
【0043】
また、補助磁気回路30と電動機10との間には、磁気的に絶縁するシールド部材33を設けた。補助磁気回路30は、固定磁石31と回転磁石32が同極で対向した場合、シールド部材33が無ければ互いの磁束が外部に漏れるのであるが、シールド部材33を設けることにより、この磁束が電動機側に漏れることを防止することができる。シールド部材33としては鉄等の磁性体が例示できる。また、シールド部材33に固定磁石31を固定しても良い。さらに、シールド部材33をカップ状にして、バックヨークを兼ねても良い。
【0044】
図4は、補助磁気回路30の構成として、固定部分を電磁石34とした例を示す縦断面図である。
【0045】
この例では、鉄心35に巻線36が施され、巻線36には、インバータのDCリンク部の電流を用いる等の方法により、直流電流を流すようにしている。直流電流は、電動機10が停止しているときは流れず、電動機10に通電するとともに流れる。また、電動機10の電流が大きいときには、補助磁気回路30の巻線36にも大きい電流が流れるようにすることが好ましい。なお、補助磁気回路30の巻線36に電流が流れるため、多少の損失は発生するが、流れる電流は直流電流であるので、電動機10に発生する損失に比べれば、十分小さくなる。
【0046】
電動機10は、永久磁石を有する場合、高効率化が図れるが、すべりがなく電流の周波数に同期して回転するため、起動用の回路が必要である。また、状況に応じて運転速度を幅広く変化するようにするためには、インバータが必要であり、高度な制御を必要とする。一方、誘導電動機を用いれば、インバータがなくても起動できる。
【0047】
何れにしても、回転子の位置とトルク脈動との関係は、運転条件に応じて一定ではなく、電動機10の発生トルクを圧縮機が必要とする負荷トルクに合わせて変化させるためには、単なる電動機10の磁気回路の変更で対処することは困難である。
【0048】
本実施形態によれば、電動機10に求められるトルク自体をフラットにするのであるから、電動機10の駆動方式によらず、冷媒を圧縮するのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機10の発生するトルクをアシストするものであり、結果として、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を小さくでき、電動機の小型化を達成することができる。
【0049】
【実施形態2】
図5は本発明の負荷トルク変動低減装置の第2の実施形態の縦断面図である。第2の実施形態のうち、第1の実施形態と同一部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
補助磁気回路40は、図6に示すように、固定磁石41と、回転部が軸14に対して偏心した鉄心42とからなる。即ち、鉄心42が偏心して回ることにより、固定磁石41と鉄心42との距離が変化することで、吸引力によりトルクを変化させることができる。なお、鉄心42を積層鋼板製とすることが好ましく、鉄損を低減することができる。
【0051】
図7は、磁界解析により求めた補助磁気回路40によるトルクを用いて算出した、電動機10に必要なトルクを示す図である。補助磁気回路40を用いることにより、電動機10に必要なトルクを、圧縮に必要な負荷トルクの最大値の3分の2程度にまで低減されていることが分かる。
【0052】
ここで、鉄心42および固定磁石41の形状は、電動機10に要求されるトルクの脈動を最小化できるように、最適化することが可能である。即ち、鉄心42は必ずしも偏心した円筒形でなくてもよく、永久磁石41も円弧形状である必要はない。
【0053】
また、補助磁気回路40と電動機10との間には、磁気的に絶縁するシールド部材43を設けている。
【0054】
なお、本実施形態2においても、固定磁石41の外周にバックヨークを設けても良い。
【0055】
ここで、補助磁気回路40の回転部分が偏心しているため、カウンターバランスとして使用することができる。即ち可動ピストン21、補助磁気回路40の回転部である鉄心42、電動機10の回転子に設けられたカウンターバランス18とで、静バランスおよび動バランスをとることができる。したがって、従来バランスをとるために必要とされていた2個のカウンターバランスのうち1個を、補助磁気回路40に兼ねさせることができる。
【0056】
また、カウンターバランスの軸方向に対向して固定磁石41を設けても良く、永久磁石自体をカウンターバランスとすることも可能である。
【0057】
【実施形態3】
図8は本発明の負荷トルク変動低減装置の第3の実施形態の縦断面図である。なお、圧縮機構としてはレシプロ式の圧縮機構を採用している。
【0058】
この圧縮機は、電動機10の回転運動を往復運動に変換し、可動ピストン51がシリンダ53内部で往復することにより冷媒を圧縮するものである。可動ピストン51の先端付近に可動磁石52が埋設され、シリンダ53にも、固定磁石54が埋設されている。また、可動永久磁石52と固定磁石54とは、同一方向に磁化されていて、互いに対極が対向している。
【0059】
従って、これらは吸引力のみを発生させ、力の必要な圧縮から吐出にかけて、大きなアシスト力を働かせることができる。一方、可動ピストン51を引き離す行程は、吸入行程であるので、力はほとんど必要ない。しかしながら、強い吸引力で引き合っているものを引き離すのであるから、モータには、ある程度のトルクが要求される。即ち、圧縮のためのトルクが必要なときに、永久磁石の吸引力がアシストし、吸入のための、トルクが殆ど要らないときには、永久磁石の吸引力が本来0に近くなるであろう必要トルクを、ある程度の値に引き上げている。
【0060】
これにより、圧縮機を動かすために必要な、電動機10が出すべきトルクのピークを低下させ、最小値のポイントを引き上げることにより、電動機10を小形化することができる。
【0061】
【実施形態4】
図9は本発明の負荷トルク変動低減装置の第4の実施形態の縦断面図である。なお、圧縮機構としてはスクロール式の圧縮機構を採用している。
【0062】
この圧縮機は、電動機10の回転運動を偏心運動(公転運動)に変換し、可動スクロール61と固定スクロール63との間の圧縮室の容積を次第に小さくすることにより冷媒を圧縮するものである。
【0063】
一方、可動スクロール61および固定スクロール63にはそれぞれ永久磁石62、64が取り付けられている。永久磁石62、64は、同一方向に磁化されていて、互いに対極が対向している。
【0064】
従って、これらの永久磁石62,64が近接しようとしているときには、吸引力が電動機のトルクをアシストする形になるので、この位置にて圧縮機に必要な負荷トルクが最大となるようにするとよい。
【0065】
スクロールの場合、スイング式、レシプロ式、ロータリー式の圧縮機に比べて圧縮機が必要とする負荷トルクの変動が小さいので、他の圧縮機構の場合より、補助磁気回路を小さくすることができる。
【0066】
なお、圧縮機構を2個またはそれ以上設けることで、圧縮機が必要とする負荷トルクの脈動を小さくし、また、1回転に2またはそれ以上の脈動を発生させることができるが、この場合は、補助磁気回路も、1回転に2またはそれ以上の脈動を発生させるようにすればよい。
【0067】
もちろん、電動機の極数と、圧縮機構の数とは、全く独立に設定できる。
【0068】
上記の各実施形態は以下の利点を有する。
【0069】
電動機の駆動方法や極数等によらず、冷媒を圧縮するのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機の発生するトルクをアシストすることができ、結果として、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を低減でき、電動機の小型化を達成することができる。また、低速での速度変動を低減できるので、安定した運転が可能で、圧縮機効率も向上させることができる。
【0070】
電動機の回転子および固定子の位置決めを精度良く行う必要が無くなり、製造工数を削減することができる。
【0071】
永久磁石同士の吸引・反発力を使うので、永久磁石が小型でも大きい力を発生することができる。
【0072】
永久磁石と鉄の吸引力の差を使うので、永久磁石の使用量を低減することができる。
【0073】
電動機に流れる電流に応じて、補助磁気回路のアシスト力を調整することができる。
【0074】
カウンターバランスと補助磁気回路の回転部分とを共有できるため、部分点数を減少させることができる。
【0075】
吸引力のみを用いることができ、この場合には、減磁に対して強くなり、また、少ない磁石で大きな力を発生させることが可能になる。また、磁界の変化が少ないため、渦電流による鉄損を低減することができる。
【0076】
補助磁気回路と電動機との間で磁束が干渉することが無くなり、それぞれ、他方の影響を受けることなく、自己の能力を最大限に発揮することができる。例えば、電動機に補助磁気回路の磁束が混ざりこむと、余分なトルク脈動が発生したり、トルクが低下したりするという不都合が発生し、また、電動機の機器定数が変化し、制御が不安定になることもありうるが、磁束の干渉を排除すれば、このような不都合の発生を防止することができる。
【0077】
以上には圧縮機に適用した場合を説明したが、ポンプなどにも適用可能である。
【0078】
【発明の効果】
請求項1の発明は、電動機の駆動方式によらず、必要な動作を行うのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機の発生するトルクをアシストすることにより、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を小さくし、小型化を達成することができるという特有の効果を奏する。
【0079】
請求項2の発明は、取付け位置を正確に設定できる他、請求項1と同様の効果を奏する。
【0080】
請求項3の発明は、固定部分、可動部分共に永久磁石からなる場合にも請求項1または請求項2と同様の効果を奏する。
【0081】
請求項4の発明は、固定部分、可動部分の一方のみが永久磁石からなる場合にも請求項1または請求項2と同様の効果を奏する。
【0082】
請求項5の発明は、電磁石を用いた場合にも請求項1または請求項2と同様の効果を奏する。
【0083】
請求項6の発明は、カウンターバランスを兼ねさせることができるほか、請求項1から請求項5の何れかと同様の効果を奏する。
【0084】
請求項7の発明は、往復運動により動作させる場合にも請求項1から請求項5の何れかと同様の効果を奏する。
【0085】
請求項8の発明は、往復運動により動作させる場合にも請求項1から請求項5の何れかと同様の効果を奏する。
【0086】
請求項9の発明は、磁気的影響を排除して請求項1から請求項8の何れかと同様の効果を奏する。
【0087】
請求項10の発明は、電動機の駆動方式によらず、必要な動作を行うのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機の発生するトルクをアシストすることにより、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を小さくし、小型化を達成することができるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の負荷トルク変動低減装置の一実施形態としてのスイング圧縮機の構成を示す縦断面図である。
【図2】1回転中の、電動機に必要なトルク、圧縮に必要な負荷トルク、および補助磁気回路によるトルクを示す図である。
【図3】補助磁気回路の構成として、固定部分も可動部分も永久磁石を用いた例を示す縦断面図である。
【図4】補助磁気回路の構成として、固定部分を電磁石34とした例を示す縦断面図である。
【図5】本発明の負荷トルク変動低減装置の第2の実施形態の縦断面図である。
【図6】補助磁気回路の他の構成例を示す縦断面図である。
【図7】第2の実施形態における、1回転中の、電動機に必要なトルク、圧縮に必要な負荷トルク、および補助磁気回路によるトルクを示す図である。
【図8】本発明の負荷トルク変動低減装置の第3の実施形態の縦断面図である。
【図9】本発明の負荷トルク変動低減装置の第4の実施形態の縦断面図である。
【符号の説明】
10 電動機 14 回転軸
20 圧縮機構部 21 可動ピストン
22 固定ピストン 30、40 補助磁気回路
31 固定磁石 32 回転磁石
33、43 シールド部材 35 鉄心
41 固定磁石 51 可動ピストン
61 可動スクロール
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機の回転により駆動され、電動機の回転に同期して必要な動作を行うために必要な負荷トルクが、電動機の1回転に1回以上変動する負荷トルク変動低減装置に関する。
【0002】
尚、本明細書において、「負荷トルク変動低減装置」は、必要な負荷トルクの変動を低減するようなトルクを発生し得る補助磁気回路を備えるものである。
【0003】
【従来の技術】
電動機の回転により駆動される圧縮機は、電動機の回転に同期して冷媒の吸入、圧縮、吐出を行うため、必要とされる負荷トルクは、冷媒の圧縮から吐出にかけて最大となり、冷媒の吸入時においては0に近くなる。したがって、圧縮機に用いられる電動機は、最大の負荷トルクに合わせて設計される必要があり、平均トルクを最大負荷トルクとする圧縮機に対して大型化し、圧縮機の体積が大きくなり、また、使用材料が増加してコストアップを招いてしまう。
【0004】
このような課題を解決するために、特許文献1には、電動機によって駆動される回転軸の回転に基づく圧縮動作体の圧縮動作によって圧縮室内のガスを圧縮して吐出する動作が1回転に対して少なくとも1回であり、前記圧縮動作体を少なくとも1つ備えた電動圧縮機を対象とし、前記回転軸の1回転にわたる全ての前記圧縮動作体に関する負荷トルクの変化から合成される合成変化トルクの少なくとも1つの極小部と、前記電動機の駆動トルクの極小部とを対応させ、又は前記合成変化トルクの少なくとも1つの極大部と前記電動機の駆動トルクの極大部とを対応させ、さらに前記電動機の駆動トルクが各瞬間毎に前記合成変化トルク以上となるようにした電動圧縮機が記載されている。この電動圧縮機によれば、圧縮機を駆動する上で平均的に過剰な駆動トルクをもたらさない電動機の使用を可能とするとともに、圧縮機を駆動する上で平均的に過剰な駆動トルクをもたらさない電動機の使用を可能とすることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−207971号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の電動圧縮機は、電動機の発生トルクに脈動が大きいことを前提としており、逆に、低振動、低騒音をめざした電動機は、トルク脈動が小さいので特許文献1の電動圧縮機の駆動源とはならない。また、近年では、永久磁石埋込み電動機を効率よく広範囲で運転するために、電流位相を制御した正弦波電流にて駆動する場合も多く、トルク脈動のピーク位置が常に一定であるとは限らない。
【0007】
また、電動機の位置と圧縮機構の位置とを正確に定めるためには、回転軸の、電動機の回転子を嵌合する部分にキー溝を設けるとともに、電動機の固定子の位置決めも正確に行う必要があるため、工数が増加し、また、高度な組立精度が求められる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、電動機の駆動方式によらず、冷媒を圧縮するのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機の発生するトルクをアシストすることにより、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を小さくし、小型化を達成できる、圧縮機を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の負荷トルク変動低減装置は、電動機の回転により駆動され、電動機の回転に同期して必要な動作を行うために必要な負荷トルクが、電動機の1回転に1回以上変動する負荷トルク変動低減装置において、電動機とは別に、1回転中の平均トルクが略0となる補助磁気回路を、負荷トルク最大時に、正トルクが略最大となるように配置したものである。
【0010】
請求項2の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路が、負荷機構の可動部分の取り付け位置を基準として設けられたものである。
【0011】
請求項3の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路として、永久磁石の固定部分と永久磁石の可動部分からなるものを採用するものである。
【0012】
請求項4の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路として、固定部分または可動部分の一方が永久磁石からなり、他方が軟磁性材料からなるものを採用するものである。
【0013】
請求項5の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路の固定部分として電磁石を採用し、電動機への通電に応じてDC電流が流れることにより所定の極に磁化されるように接続されたものである。
【0014】
請求項6の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路の可動部分として、回転軸に対して偏心して回転するものを採用するものである。
【0015】
請求項7の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路が、往復運動により動作する負荷機構部の往復部分に設けられたものである。
【0016】
請求項8の負荷トルク変動低減装置は、前記補助磁気回路が、公転運動により動作する負荷機構部の公転部分に設けられたものである。
【0017】
請求項9の負荷トルク変動低減装置は、電動機の磁気回路と補助磁気回路との間を磁気的に遮断するシールド部材をさらに有するものである。
【0018】
なお、トルク変動負荷としては、圧縮機構、ポンプ、膨張器などが例示できる。
【0019】
請求項10の電動機は、必要な動作を行うために必要な負荷トルクが、1回転に1回以上変動する負荷を駆動する電動機において、電動機の本来の駆動機構とは別に、1回転中の平均トルクが略0となる補助磁気回路を、負荷トルク最大時に、正トルクが略最大となるように配置したものである。
【0020】
【作用】
請求項1の負荷トルク変動低減装置であれば、電動機の回転により駆動され、電動機の回転に同期して必要な動作を行うために必要な負荷トルクが、電動機の1回転に1回以上変動する負荷トルク変動低減装置において、電動機とは別に、1回転中の平均トルクが略0となる補助磁気回路を、負荷トルク最大時に、正トルクが略最大となるように配置したのであるから、電動機の駆動方式によらず、必要な動作を行うのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機の発生するトルクをアシストすることにより、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を小さくし、小型化を達成することができる。
【0021】
請求項2の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路が、圧縮機構の可動部分の取り付け位置を基準として設けられているので、取付け位置を正確に設定できる他、請求項1と同様の作用を達成することができる。
【0022】
請求項3の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路として、永久磁石の固定部分と永久磁石の可動部分からなるものを採用するので、固定部分、可動部分共に永久磁石からなる場合にも、請求項1または請求項2と同様の作用を達成することができる。
【0023】
請求項4の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路として、固定部分または可動部分の一方が永久磁石からなり、他方が軟磁性材料からなるものを採用するので、固定部分、可動部分の一方のみが永久磁石からなる場合にも、請求項1または請求項2と同様の作用を達成することができる。
【0024】
請求項5の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路の固定部分として電磁石を採用し、電動機への通電に応じてDC電流が流れることにより所定の極に磁化されるように接続されているので、電磁石を用いた場合にも、請求項1または請求項2と同様の作用を達成することができる。
【0025】
請求項6の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路の可動部分として、回転軸に対して偏心して回転するものを採用するので、カウンターバランスを兼ねさせることができるほか、請求項1から請求項5の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0026】
請求項7の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路が、往復運動により動作する負荷機構部の往復部分に設けられているので、往復運動により動作させる場合にも、請求項1から請求項5の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0027】
請求項8の負荷トルク変動低減装置であれば、前記補助磁気回路が、公転運動により動作する負荷機構部の公転部分に設けられているので、公転運動により動作させる場合にも、請求項1から請求項5の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0028】
請求項9の負荷トルク変動低減装置であれば、電動機の磁気回路と補助磁気回路との間を磁気的に遮断するシールド部材をさらに有するので、磁気的影響を排除して請求項1から請求項8の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0029】
請求項10の電動機であれば、必要な動作を行うために必要な負荷トルクが、1回転に1回以上変動する負荷を駆動する電動機において、電動機の本来の駆動機構とは別に、1回転中の平均トルクが0となる補助磁気回路を、負荷トルク最大時に、正トルクが略最大となるように配置したので、電動機の駆動方式によらず、必要な動作を行うのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機の発生するトルクをアシストすることにより、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を小さくし、小型化を達成することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の負荷トルク変動低減装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0031】
【実施形態1】
図1は、本発明の負荷トルク変動低減装置の一実施形態としてのスイング圧縮機(またはロータリー圧縮機)の構成を示す縦断面図である。
【0032】
本圧縮機は、主として、電動機10と、圧縮機構部20と、補助磁気回路30とからなる。
【0033】
電動機10は、固定子11と回転子12とからなり、回転子12は、永久磁石を有し、固定子11に施された巻線13に電流を流すことにより回転磁界が発生し、この回転磁界と永久磁石の磁束との相互作用により軸14を中心に回転する。
【0034】
電動機10により発生した回転(トルク)は、軸14を通して、可動ピストン21に伝えられる。可動ピストン21は、偏心運動をする。可動ピストン21が偏心運動することにより、固定ピストン22との間に形成される圧縮室内に封じ込められた冷媒が、圧縮室の容積の減少に伴って圧縮され、吐出される。
【0035】
この圧縮サイクルにおいて、冷媒の吸入時は、負荷トルクは殆ど0であり、圧縮過程を経て、吐出するとき、負荷トルクが最大となる。しかしながら、補助磁気回路30は、負荷トルクが最大となるとき(このときのトルクの値をTcmaxとする)、最大のトルクTamaxを発生するため、電動機10に要求されるトルクTmmaxは、
Tmmax=Tcmax−Tamax
となる。
【0036】
一方、補助磁気回路30は、何らエネルギーを外部から供給しないため、1回転中の平均トルクはゼロとなる。従って、瞬時トルクが負の方向に最大となるときがあり、電動機10の発生トルクに対してはブレーキとして働く。しかしながら、補助磁気回路30の瞬時トルクが負の方向に最大となるとき(補助磁気回路30のトルク波形が正弦波と仮定すると、このときのトルクは−Tamaxとなる)は、圧縮機の負荷トルクは0に近い値であるため、電動機10に要求されるトルクは、
Tamax+Δ
となる。ここで、Δは、きわめて小さい値となることが予想できる。
従って、TmmaxとTamaxとがほぼ同等か、TmmaxがTamaxより若干大きくなるように、補助磁気回路30を設計すればよいことが分かる。
【0037】
これらのトルクの関係は図2に示すとおりである。補助磁気回路30を用いることにより、電動機10に必要なトルクは、圧縮に必要な負荷トルクの最大値の半分近くにまで低減されていることが分かる。
【0038】
ここで、近年の磁界解析技術や制御技術等の発展により、電動機10が発生するトルク脈動を極めて小さく抑えることが可能である。従って、電動機10は、図2に示すように、圧縮に必要な負荷トルクの変動に比べて極めて変動の小さいトルクを発生すればよく、電動機10の体格を小さくすることが可能とある。また、電動機10に必要とされる電流も減少するため、永久磁石の減磁に対しても制約が小さくなる。
【0039】
図3は、補助磁気回路30の構成として、固定部分も可動部分も永久磁石を用いた例を示す縦断面図である。
【0040】
この例では、固定磁石31および回転磁石32はともに2極であり、1回転中に1回のトルク脈動を発生する。なお、固定磁石31の外周部には、バックヨークを設けても良い。また、固定磁石31は2個でなく1個でも良いし、リング形の磁石を2極着磁した物でも良い。すなわち、固定磁石31、回転磁石32とも、本発明の趣旨に合致すれば、形状等を任意に設定することができる。
【0041】
補助磁気回路30は、圧縮機構部20の可動ピストンを基準に位置決めがなされるようにしている。例えば、圧縮機構部20の可動ピストンの位置が一義的に決まるように加工され、かつ、補助磁気回路30の位置も同様に一義的に決まるように加工された軸を用いればよい。
【0042】
永久磁石としてフェライト磁石、または、ボンド磁石を用いれば、永久磁石内部に渦電流が発生しないので、補助磁気回路30による損失を殆どゼロにすることができる。
【0043】
また、補助磁気回路30と電動機10との間には、磁気的に絶縁するシールド部材33を設けた。補助磁気回路30は、固定磁石31と回転磁石32が同極で対向した場合、シールド部材33が無ければ互いの磁束が外部に漏れるのであるが、シールド部材33を設けることにより、この磁束が電動機側に漏れることを防止することができる。シールド部材33としては鉄等の磁性体が例示できる。また、シールド部材33に固定磁石31を固定しても良い。さらに、シールド部材33をカップ状にして、バックヨークを兼ねても良い。
【0044】
図4は、補助磁気回路30の構成として、固定部分を電磁石34とした例を示す縦断面図である。
【0045】
この例では、鉄心35に巻線36が施され、巻線36には、インバータのDCリンク部の電流を用いる等の方法により、直流電流を流すようにしている。直流電流は、電動機10が停止しているときは流れず、電動機10に通電するとともに流れる。また、電動機10の電流が大きいときには、補助磁気回路30の巻線36にも大きい電流が流れるようにすることが好ましい。なお、補助磁気回路30の巻線36に電流が流れるため、多少の損失は発生するが、流れる電流は直流電流であるので、電動機10に発生する損失に比べれば、十分小さくなる。
【0046】
電動機10は、永久磁石を有する場合、高効率化が図れるが、すべりがなく電流の周波数に同期して回転するため、起動用の回路が必要である。また、状況に応じて運転速度を幅広く変化するようにするためには、インバータが必要であり、高度な制御を必要とする。一方、誘導電動機を用いれば、インバータがなくても起動できる。
【0047】
何れにしても、回転子の位置とトルク脈動との関係は、運転条件に応じて一定ではなく、電動機10の発生トルクを圧縮機が必要とする負荷トルクに合わせて変化させるためには、単なる電動機10の磁気回路の変更で対処することは困難である。
【0048】
本実施形態によれば、電動機10に求められるトルク自体をフラットにするのであるから、電動機10の駆動方式によらず、冷媒を圧縮するのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機10の発生するトルクをアシストするものであり、結果として、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を小さくでき、電動機の小型化を達成することができる。
【0049】
【実施形態2】
図5は本発明の負荷トルク変動低減装置の第2の実施形態の縦断面図である。第2の実施形態のうち、第1の実施形態と同一部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
補助磁気回路40は、図6に示すように、固定磁石41と、回転部が軸14に対して偏心した鉄心42とからなる。即ち、鉄心42が偏心して回ることにより、固定磁石41と鉄心42との距離が変化することで、吸引力によりトルクを変化させることができる。なお、鉄心42を積層鋼板製とすることが好ましく、鉄損を低減することができる。
【0051】
図7は、磁界解析により求めた補助磁気回路40によるトルクを用いて算出した、電動機10に必要なトルクを示す図である。補助磁気回路40を用いることにより、電動機10に必要なトルクを、圧縮に必要な負荷トルクの最大値の3分の2程度にまで低減されていることが分かる。
【0052】
ここで、鉄心42および固定磁石41の形状は、電動機10に要求されるトルクの脈動を最小化できるように、最適化することが可能である。即ち、鉄心42は必ずしも偏心した円筒形でなくてもよく、永久磁石41も円弧形状である必要はない。
【0053】
また、補助磁気回路40と電動機10との間には、磁気的に絶縁するシールド部材43を設けている。
【0054】
なお、本実施形態2においても、固定磁石41の外周にバックヨークを設けても良い。
【0055】
ここで、補助磁気回路40の回転部分が偏心しているため、カウンターバランスとして使用することができる。即ち可動ピストン21、補助磁気回路40の回転部である鉄心42、電動機10の回転子に設けられたカウンターバランス18とで、静バランスおよび動バランスをとることができる。したがって、従来バランスをとるために必要とされていた2個のカウンターバランスのうち1個を、補助磁気回路40に兼ねさせることができる。
【0056】
また、カウンターバランスの軸方向に対向して固定磁石41を設けても良く、永久磁石自体をカウンターバランスとすることも可能である。
【0057】
【実施形態3】
図8は本発明の負荷トルク変動低減装置の第3の実施形態の縦断面図である。なお、圧縮機構としてはレシプロ式の圧縮機構を採用している。
【0058】
この圧縮機は、電動機10の回転運動を往復運動に変換し、可動ピストン51がシリンダ53内部で往復することにより冷媒を圧縮するものである。可動ピストン51の先端付近に可動磁石52が埋設され、シリンダ53にも、固定磁石54が埋設されている。また、可動永久磁石52と固定磁石54とは、同一方向に磁化されていて、互いに対極が対向している。
【0059】
従って、これらは吸引力のみを発生させ、力の必要な圧縮から吐出にかけて、大きなアシスト力を働かせることができる。一方、可動ピストン51を引き離す行程は、吸入行程であるので、力はほとんど必要ない。しかしながら、強い吸引力で引き合っているものを引き離すのであるから、モータには、ある程度のトルクが要求される。即ち、圧縮のためのトルクが必要なときに、永久磁石の吸引力がアシストし、吸入のための、トルクが殆ど要らないときには、永久磁石の吸引力が本来0に近くなるであろう必要トルクを、ある程度の値に引き上げている。
【0060】
これにより、圧縮機を動かすために必要な、電動機10が出すべきトルクのピークを低下させ、最小値のポイントを引き上げることにより、電動機10を小形化することができる。
【0061】
【実施形態4】
図9は本発明の負荷トルク変動低減装置の第4の実施形態の縦断面図である。なお、圧縮機構としてはスクロール式の圧縮機構を採用している。
【0062】
この圧縮機は、電動機10の回転運動を偏心運動(公転運動)に変換し、可動スクロール61と固定スクロール63との間の圧縮室の容積を次第に小さくすることにより冷媒を圧縮するものである。
【0063】
一方、可動スクロール61および固定スクロール63にはそれぞれ永久磁石62、64が取り付けられている。永久磁石62、64は、同一方向に磁化されていて、互いに対極が対向している。
【0064】
従って、これらの永久磁石62,64が近接しようとしているときには、吸引力が電動機のトルクをアシストする形になるので、この位置にて圧縮機に必要な負荷トルクが最大となるようにするとよい。
【0065】
スクロールの場合、スイング式、レシプロ式、ロータリー式の圧縮機に比べて圧縮機が必要とする負荷トルクの変動が小さいので、他の圧縮機構の場合より、補助磁気回路を小さくすることができる。
【0066】
なお、圧縮機構を2個またはそれ以上設けることで、圧縮機が必要とする負荷トルクの脈動を小さくし、また、1回転に2またはそれ以上の脈動を発生させることができるが、この場合は、補助磁気回路も、1回転に2またはそれ以上の脈動を発生させるようにすればよい。
【0067】
もちろん、電動機の極数と、圧縮機構の数とは、全く独立に設定できる。
【0068】
上記の各実施形態は以下の利点を有する。
【0069】
電動機の駆動方法や極数等によらず、冷媒を圧縮するのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機の発生するトルクをアシストすることができ、結果として、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を低減でき、電動機の小型化を達成することができる。また、低速での速度変動を低減できるので、安定した運転が可能で、圧縮機効率も向上させることができる。
【0070】
電動機の回転子および固定子の位置決めを精度良く行う必要が無くなり、製造工数を削減することができる。
【0071】
永久磁石同士の吸引・反発力を使うので、永久磁石が小型でも大きい力を発生することができる。
【0072】
永久磁石と鉄の吸引力の差を使うので、永久磁石の使用量を低減することができる。
【0073】
電動機に流れる電流に応じて、補助磁気回路のアシスト力を調整することができる。
【0074】
カウンターバランスと補助磁気回路の回転部分とを共有できるため、部分点数を減少させることができる。
【0075】
吸引力のみを用いることができ、この場合には、減磁に対して強くなり、また、少ない磁石で大きな力を発生させることが可能になる。また、磁界の変化が少ないため、渦電流による鉄損を低減することができる。
【0076】
補助磁気回路と電動機との間で磁束が干渉することが無くなり、それぞれ、他方の影響を受けることなく、自己の能力を最大限に発揮することができる。例えば、電動機に補助磁気回路の磁束が混ざりこむと、余分なトルク脈動が発生したり、トルクが低下したりするという不都合が発生し、また、電動機の機器定数が変化し、制御が不安定になることもありうるが、磁束の干渉を排除すれば、このような不都合の発生を防止することができる。
【0077】
以上には圧縮機に適用した場合を説明したが、ポンプなどにも適用可能である。
【0078】
【発明の効果】
請求項1の発明は、電動機の駆動方式によらず、必要な動作を行うのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機の発生するトルクをアシストすることにより、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を小さくし、小型化を達成することができるという特有の効果を奏する。
【0079】
請求項2の発明は、取付け位置を正確に設定できる他、請求項1と同様の効果を奏する。
【0080】
請求項3の発明は、固定部分、可動部分共に永久磁石からなる場合にも請求項1または請求項2と同様の効果を奏する。
【0081】
請求項4の発明は、固定部分、可動部分の一方のみが永久磁石からなる場合にも請求項1または請求項2と同様の効果を奏する。
【0082】
請求項5の発明は、電磁石を用いた場合にも請求項1または請求項2と同様の効果を奏する。
【0083】
請求項6の発明は、カウンターバランスを兼ねさせることができるほか、請求項1から請求項5の何れかと同様の効果を奏する。
【0084】
請求項7の発明は、往復運動により動作させる場合にも請求項1から請求項5の何れかと同様の効果を奏する。
【0085】
請求項8の発明は、往復運動により動作させる場合にも請求項1から請求項5の何れかと同様の効果を奏する。
【0086】
請求項9の発明は、磁気的影響を排除して請求項1から請求項8の何れかと同様の効果を奏する。
【0087】
請求項10の発明は、電動機の駆動方式によらず、必要な動作を行うのに必要とされる負荷トルクに応じて電動機の発生するトルクをアシストすることにより、平均トルクに対する最大負荷トルクの割合を小さくし、小型化を達成することができるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の負荷トルク変動低減装置の一実施形態としてのスイング圧縮機の構成を示す縦断面図である。
【図2】1回転中の、電動機に必要なトルク、圧縮に必要な負荷トルク、および補助磁気回路によるトルクを示す図である。
【図3】補助磁気回路の構成として、固定部分も可動部分も永久磁石を用いた例を示す縦断面図である。
【図4】補助磁気回路の構成として、固定部分を電磁石34とした例を示す縦断面図である。
【図5】本発明の負荷トルク変動低減装置の第2の実施形態の縦断面図である。
【図6】補助磁気回路の他の構成例を示す縦断面図である。
【図7】第2の実施形態における、1回転中の、電動機に必要なトルク、圧縮に必要な負荷トルク、および補助磁気回路によるトルクを示す図である。
【図8】本発明の負荷トルク変動低減装置の第3の実施形態の縦断面図である。
【図9】本発明の負荷トルク変動低減装置の第4の実施形態の縦断面図である。
【符号の説明】
10 電動機 14 回転軸
20 圧縮機構部 21 可動ピストン
22 固定ピストン 30、40 補助磁気回路
31 固定磁石 32 回転磁石
33、43 シールド部材 35 鉄心
41 固定磁石 51 可動ピストン
61 可動スクロール
Claims (10)
- 電動機(1略0 )の回転により駆動され、電動機(10)の回転に同期して必要な動作を行うために必要な負荷トルクが、電動機(10)の1回転に1回以上変動する負荷を駆動する装置において、電動機(10)とは別に、1回転中の平均トルクが略0となる補助磁気回路(30)(40)を、負荷トルク最大時に、正トルクが略最大となるように配置したことを特徴とする負荷トルク変動低減装置。
- 前記補助磁気回路(30)は、負荷機構(20)の可動部分(21)の取り付け位置を基準として設けられている請求項1に記載の負荷トルク変動低減装置。
- 前記補助磁気回路(30)は、永久磁石の固定部分(31)と永久磁石の可動部分(32)からなるものである請求項1または請求項2に記載の負荷トルク変動低減装置。
- 前記補助磁気回路(30)は、固定部分または可動部分の一方が永久磁石からなり、他方が軟磁性材料からなるものである請求項1または請求項2に記載の負荷トルク変動低減装置。
- 前記補助磁気回路(30)の固定部分(35)は電磁石であり、電動機(10)への通電に応じてDC電流が流れることにより所定の極に磁化されるように接続されている、請求項1または請求項2に記載の負荷トルク変動低減装置。
- 前記補助磁気回路(40)の可動部分(42)は、回転軸(14)に対して偏心して回転するものである、請求項1から請求項5の何れかに記載の負荷トルク変動低減装置。
- 前記補助磁気回路は、往復運動により動作する負荷機構部の往復部分(51)に設けられている、請求項1から請求項5の何れかに記載の負荷トルク変動低減装置。
- 前記補助磁気回路は、公転運動により動作する負荷機構部の公転部分(61)に設けられている、請求項1から請求項5の何れかに記載の負荷トルク変動低減装置。
- 電動機(10)の磁気回路と補助磁気回路(30)(40)(50)(60)との間を磁気的に遮断するシールド部材(33)(43)をさらに有する請求項1から請求項8の何れかに記載の負荷トルク変動低減装置。
- 必要な動作を行うために必要な負荷トルクが、1回転に1回以上変動する負荷を駆動する電動機において、電動機(10)の本来の駆動機構とは別に、1回転中の平均トルクが略0 となる補助磁気回路(30)(40)を、負荷トルク最大時に、正トルクが略最大となるように配置したことを特徴とする電動機。
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JP (1) | JP2004215429A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10739046B2 (en) | 2014-06-17 | 2020-08-11 | Mitsubishi Electric Corporation | Compressor, refrigeration cycle apparatus, and air conditioner |
WO2021048909A1 (ja) * | 2019-09-10 | 2021-03-18 | 須山弘次 | 多極化ローターと分配システム、その効率を助けるコギング低減装置 |
WO2023144859A1 (ja) * | 2022-01-25 | 2023-08-03 | 須山弘次 | 磁石反転式モーター兼発電機 |
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2003
- 2003-01-07 JP JP2003000881A patent/JP2004215429A/ja active Pending
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