JP2004213989A - カードコネクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カードコネクタ10は、互いに異形状の第1及び第2のカード12、14をそれぞれに収容可能な第1及び第2収容部16、18を、それらの一部分を互いに空間的に重畳させて形成する筐体20と、第1及び第2収容部16、18のそれぞれに関連して筐体20に設置される第1及び第2端子部22、24とを備える。第2端子部24は、その接点部分が、第1収容部16に突入する初期位置と第1収容部16の外側に配置される引込位置との間で変位できる。第1収容部16に第1のカード12を収容するときに、第2端子部24の接点部分を引込位置に保持するとともに、第2収容部18に第2のカード14を収容するときに、接点部分を初期位置に配置する第2端子部変位機構56が設けられる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器インタフェースに設置されるコネクタに関し、特に、カード形周辺装置を電子機器に着脱自在に接続するためのカードコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
ノート形パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等の、携帯可能な小型電子機器で好適に使用される周辺装置として、機器本体に着脱自在に装着されるカード形周辺装置(以下、カードと略称する)が知られている。カードは、機能的には種々のメモリやインタフェース等の装置に分類されるが、一般に、電子部品群を搭載した回路基板を中空カード形のケースに内蔵しており、装着対象電子機器に回路基板を接続するための複数の接点が、ケースの所定位置に露出して設置されている。ケースの形状及び寸法、並びにケース上の接点配置は、数種類の異なる呼称で流通しているカードの種類毎に固有値として設定されている。
【0003】
他方、電子機器のインタフェースには、この種のカードを着脱自在に接続するためのカードコネクタが設置されている。カードコネクタは通常、特定種類のカードのみに対応した接続構造を有するので、1つの電子機器に2種類以上のカードを接続しようとする場合には、同様に2種類以上のカードコネクタを電子機器に搭載する必要が有り、電子機器の小型化を妨げる傾向がある。そこで、異なる種類のカードを選択的に接続可能な複合構造を有するカードコネクタが提案されている(例えば特許文献1参照)。このカードコネクタは、形状の異なる第1及び第2のカードをそれぞれに収容可能な第1及び第2収容部を、それらの一部分を互いに空間的に重畳させて備える筐体と、第1及び第2収容部のそれぞれに関連して筐体に設置され、第1及び第2のカードに個々に導通接触可能な第1及び第2端子部とを備えて構成される。第1及び第2収容部は、1つのカード挿入口を共有しており、それによりコネクタ筐体の薄型化(低背化)を実現している。
【特許文献1】
特開2001−223044号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載されるカードコネクタは、筐体を薄型化すべく第1及び第2収容部の一部分を互いに空間的に重畳させているので、第1収容部に関連して設置した第1端子部の複数の端子が、特にそれらの接点部分で、第2収容部に突入する位置に配置されている。この初期状態から、第1収容部に第1のカードを収容すると、第1端子部の端子群は、それらの接点部分を第1のカードに設けた複数の露出接点に押し付けて、弾性的に撓んだ状態で露出接点群に導通接触する。他方、第2収容部に第2のカードを収容するときには、第1端子部の端子群は、それらの接点部分が第2のカードに押されて弾性的に撓み、その弾性反力下で接点部分をカード外面に摺動式に接触させる。
【0005】
このような構成では、特に第2収容部に対する第2のカードの挿抜動作を繰り返すことにより、第1端子部の端子群の接点部分を徒に損耗させたり、第2のカードの外面に擦過傷を付けたりする問題が生じる。この問題を解決すべく、第1端子部の端子群を、それらの接点部分が第2収容部に突入しないように配置すると、それに伴い筐体の厚み方向寸法が増加し、薄型化が阻害されることになる。
【0006】
本発明の目的は、異なる種類のカードを選択的に接続可能な複合型のカードコネクタにおいて、コネクタ筐体の薄型化を促進しつつ、一方の収容部に関連して設けた端子部の接点部分が、他方の収容部に収容されるカードに無用に接触することを未然に防止でき、以って端子部の寿命を向上できるとともにカードの損傷を回避できるカードコネクタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、互いに形状の異なる第1及び第2のカードをそれぞれに収容可能な第1及び第2収容部を、それらの一部分を互いに空間的に重畳させて形成する筐体と、第1及び第2収容部のそれぞれに関連して筐体に設置され、第1及び第2のカードに個々に導通接触可能な第1及び第2端子部とを具備するカードコネクタにおいて、第2端子部は、その接点部分が、第1収容部に突入する初期位置と第1収容部の外側に配置される引込位置との間で変位可能であり、第1収容部に第1のカードを収容するときに、第2端子部の接点部分を引込位置に保持するとともに、第2収容部に第2のカードを収容するときに、接点部分を初期位置に配置する第2端子部変位機構を具備すること、を特徴とするカードコネクタを提供する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカードコネクタにおいて、第2収容部に収容した第2のカードを排出するための第2カード排出機構をさらに具備し、第2端子部変位機構が第2カード排出機構に関連して設けられるカードコネクタを提供する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のカードコネクタにおいて、第2カード排出機構は、第2収容部内で第2のカードに当接されて第2のカードと共に移動する当接部材と、当接部材に連結され、当接部材の移動に伴い、第2端子部に干渉する拘束位置と第2端子部から離脱する解放位置との間で移動する延長部材とを備え、第2端子変位機構は、延長部材を含んで構成され、延長部材が拘束位置にあるときに第2端子部の接点部分を引込位置に保持するとともに、延長部材が解放位置にあるときに接点部分を初期位置に配置するカードコネクタを提供する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のカードコネクタにおいて、第2カード排出機構が、当接部材をカード排出方向に付勢する弾性部材と、弾性部材の付勢に抗して当接部材をカード収容位置に保持できる保持部材とをさらに備えるカードコネクタを提供する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカードコネクタにおいて、第2カード排出機構から独立して動作可能に設けられ、第1収容部に収容した第1のカードを排出するための第1カード排出機構をさらに具備するカードコネクタを提供する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のカードコネクタにおいて、第1カード排出機構は、第1収容部内で第1のカードに当接されて第1のカードと共に移動する当接部材と、当接部材をカード排出方向に付勢する弾性部材と、弾性部材の付勢に抗して当接部材をカード収容位置に保持できる保持部材とを備えるカードコネクタを提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図1は本発明の一実施形態によるカードコネクタ10の分解斜視図、図2はカードコネクタ10の組立斜視図、図3はカードコネクタ10を使用可能な第1のカード12の図、図4はカードコネクタ10を使用可能な第2のカード14の図、図5及び図6はカードコネクタ10に第1のカード12を収容した状態の図、図7及び図8はカードコネクタ10に第2のカード14を収容した状態の図である。カードコネクタ10は、ノート形パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等の、携帯可能な小型電子機器のインタフェースに有利に設置できる低背構造を有するものであるが、設置対象電子機器はこれに限定されない。
【0014】
カードコネクタ10は、互いに形状の異なる第1及び第2のカード12、14をそれぞれに収容可能な第1及び第2収容部16、18を、それらの一部分を互いに空間的に重畳させて形成する筐体20と、第1及び第2収容部16、18のそれぞれに関連して筐体20に設置され、第1及び第2のカード12、14に個々に導通接触可能な第1及び第2端子部22、24とを備えて構成される。第1及び第2のカード12、14はそれぞれ、電子部品群を搭載した回路基板(図示せず)を中空カード形のケース26、28に内蔵しており、装着対象電子機器に回路基板を接続するための複数の接点30、32が、平面視略矩形の板状ケース26、28の所定位置に露出して設置されている。図示実施形態では、第1のカード12は「メモリースティック(商標)」の形態を有し、第2のカード14は「SDメモリーカード」の形態を有し、いずれもケース26、28の形状及び寸法並びに接点30、32の配置が固有のものとなっている。
【0015】
筐体20は、樹脂材料の一体成形品等からなる絶縁部材であり、平面視略矩形の底壁34と、底壁34の両長縁に沿って立設される一対の側壁36、38と、底壁34の一短縁に沿って立設され、両側壁36、38に連結される1つの端壁40とを備える。側壁36、38及び端壁40は、底壁34の上方略同一高さまで突出し、それにより底壁34上に、上方及び一側方に開放された空所を画定する。なお、本明細書では便宜的に、筐体20の底壁34がカードコネクタ10の「下(底)」側にあるものとして、上下(高低)関係を説明する。
【0016】
筐体20には、例えば板金材料からなるカバー42が、側壁36、38及び端壁40の頂面に載置されて取着される。カバー42は、平面視略矩形の天板44と、天板44の両長縁に沿って天板44に略直角に延設される一対の側板46とを備える。カバー42を筐体20に適正に組み付けると、カバー42の両側板46は筐体20の両側壁36、38の外面に重ねて配置され、カバー42の天板44が筐体20の底壁34に対し上記空所を介して略平行に配置される。この状態で、筐体20とカバー42との間に、筐体20の端壁40の反対側に開口する空洞部48が画定される。空洞部48は、第1及び第2収容部16、18を含み、空洞部48の一端の開口が、第1及び第2収容部16、18に共有される1つのカード挿入口50を構成する。
【0017】
第1収容部16は、空洞部48内で、カバー42の天板44に隣接する上方領域に形成される。また第2収容部18は、空洞部48内で、筐体20の底壁34に隣接する下方領域に形成される。第1収容部16と第2収容部18との間は、空間的に連続しており、第1及び第2のカード12、14の厚みに照らして、第1のカード12を受容する第1収容部16の容積範囲と、第2のカード14を受容する第2収容部18の容積範囲とが、互いに空間的に一部重なり合うように構成される(図6及び図8参照)。つまり、第1及び第2収容部16、18を含む空洞部48の厚み方向寸法(すなわち高さ)は、第1及び第2のカード12、14の厚みの合計値よりも小さくなっている。カードコネクタ10では、このような構成により薄型(低背)化が促進されている。
【0018】
第1端子部22は、筐体20の端壁40に沿って、第1のカード12の複数の接点30に対応する所定の離間整列配置で設置される複数の第1端子52を備える。各第1端子52は、一端の接点部分52aと他端のリード部分52bと中間の取付部分52c(図13)とを有し、接点部分52aを第1収容部16内に延出するとともにリード部分52bを筐体20外部に突出させた状態で、好ましくはインサート成形工程により、取付部分52cを介して端壁40に固定的に取り付けられる。各第1端子52は、第1収容部16内で接点部分52aを片持ち梁式に揺動させることができる。したがって、第1収容部16に第1のカード12を適正に収容すると、第1端子部22の複数の第1端子52は、それらの接点部分52aを第1のカード12に設けた対応の接点30に押し付けて、弾性的に撓んだ状態でそれら接点30に導通接触する。
【0019】
第2端子部24は、筐体20の底壁34に沿って、第2のカード14の複数の接点32に対応する所定の離間整列配置で設置される複数の第2端子54を備える。各第2端子54は、一端の接点部分54aと他端のリード部分54bと中間の取付部分54cとを有し(図13)、接点部分54aを第2収容部18内に延出するとともにリード部分54bを筐体20外部に突出させた状態で、好ましくはインサート成形工程により、取付部分54cを介して底壁34に固定的に取り付けられる。なお、筐体20の底壁34には、第2端子部24の設置領域に、複数の第2端子54を強固に安定支持するべく肉厚の補強部分34aが形成されている。
【0020】
第2端子部24の各第2端子54は、第2収容部18内で接点部分54aを片持ち梁式に揺動させることができる。したがって、第2収容部18に第2のカード14を適正に収容すると、第2端子部24の複数の第2端子54は、それらの接点部分54aを第2のカード14に設けた対応の接点32に押し付けて、弾性的に撓んだ状態でそれら接点32に導通接触する。ここで、各第2端子54は、前述した第1及び第2収容部16、18の相互重畳構成に起因して、その接点部分54aが、第1収容部16に突入する初期位置と第1収容部16の外側に配置される(つまり第2収容部18に引き込まれる)引込位置との間で、任意の経路に沿って変位できるようになっている。
【0021】
上記した第2端子部24の構成では、第1収容部16に第1のカード12を収容するときに、第2端子部24の複数の第2端子54が、初期位置にあるそれらの接点部分54aで、第1のカード12のケース外面に摺動式に接触することが危惧される。そこで、カードコネクタ10においては、第1収容部16に第1のカード12を出し入れするときに、第2端子部24の各第2端子54の接点部分54aを上記した引込位置に保持して、第1のカード12に接触させないようにする第2端子部変位機構56が装備されている。第2端子部変位機構56は、第2収容部18に第2のカード14を収容するときには、第2端子部24の各第2端子54の接点部分54aを、上記した初期位置又はその変位経路内で第2のカード14に導通接触可能な位置に配置するように作用する。
【0022】
図示実施形態では、カードコネクタ10は、第2収容部18に収容した第2のカード14を必要に応じて排出するための第2カード排出機構58をさらに備え、上記した第2端子部変位機構56は、この第2カード排出機構58に関連して設けられている。このような構成により、第2端子部変位機構56の所期の機能を実現するための部品点数を削減することができ、カードコネクタ10の薄型化に寄与する。
【0023】
第2カード排出機構58は、第2収容部18内で第2のカード14に当接されて第2のカード14と共に移動する当接部材60と、当接部材60をカード排出方向に付勢する弾性部材62と、弾性部材62の付勢に抗して当接部材60をカード収容位置に保持できる保持部材64とを備える。当接部材60は、例えば樹脂材料の一体成形品からなる棒状部材であり、筐体20の空洞部48内で一方の側壁38に沿って長手方向移動可能に配置される。
【0024】
カバー42に対向配置される当接部材60の上面60aには、図9(a)及び図10に示すように、一方向環状通路を構成するカム溝66が形成される。後述するようにカム溝66は、保持部材64と協働して、当接部材60の移動を制御する。また、筐体底壁34に対向配置される当接部材60の下面60bには、図9(b)に示すように、第2のカード14の所定部位を当接する当接面68が形成される。第2のカード14には、図4に示すように、平面視矩形状のケース28の1つの隅部が斜めに面取りされており、この斜面70が当接部材60の当接面68に当接される。
【0025】
弾性部材62は、例えば図示のように圧縮コイルばねからなり、筐体20の端壁40と当接部材60の長手方向一端面との間に介在して、当接部材60をカード挿入口50に接近する方向へ弾性的に付勢する。好ましくは圧縮コイルばね62は、当接部材60が第2のカード14を当接面68に受けていない初期位置にあるときに、僅かに予圧縮された状態で筐体端壁40と当接部材60との間に介在する(図5)。保持部材64は、図示のように2本の脚64aを有する門形のピンからなる。保持部材64は、一方の脚64aを当接部材60のカム溝66に摺動可能に挿入するとともに、他方の脚64aを筐体側壁38に設けた受け孔72に嵌入して、当接部材60と筐体側壁38との間に、受け孔72を中心として揺動可能に架設される。このような第2カード排出機構58の構成は、後述するようにいわゆる「プッシュプッシュ式」のカード挿抜動作を実現するものであり、部品点数の削減及び挿抜動作の簡素化に寄与する。
【0026】
当接部材60には、筐体側壁38から離れて配置される側に、薄板状の延長部材74が一体的に連結される。延長部材74は、筐体20の空洞部48内で底壁34の上面に略平行に近接して配置され、当接部材60の長手方向移動に伴い、第2端子部24に干渉する拘束位置と第2端子部24から離脱する解放位置との間で移動する。延長部材74は、筐体底壁34に対向するその下面74aに、カード挿入口50に向かう前縁に沿って整列配置される複数の溝76を有し、それら溝76の前縁にそれぞれ傾斜面78が形成されている(図9(b))。
【0027】
延長部材74の各溝76は、筐体底壁34の肉厚の補強部分34aに、第2端子部24の各第2端子54の接点部分54aに関連して形成されるリブ部分34b(図1)を、相対移動可能に受容する。延長部材74の各傾斜面78は、延長部材74が拘束位置にあるときに、対応の第2端子54の接点部分54aに斜め上方から当接され、各第2端子54を弾性的に撓ませて接点部分54aを前述した引込位置に保持するように作用する。また、延長部材74が解放位置にあるときには、延長部材74の各傾斜面78は対応の第2端子54の接点部分54aから離脱し、接点部分54aを前述した初期位置に向けて弾性的に復元させる。このように本実施形態では、第2端子部変位機構56は、延長部材74と、第2カード排出機構58の当接部材60の移動機構とを含んで構成される。延長部材74はそれ自体、薄板状の部材であるから、カードコネクタ10の薄型化を妨げることはない。
【0028】
カードコネクタ10はさらに、第2カード排出機構58から独立して動作可能に設けられ、第1収容部16に収容した第1のカード12を排出するための第1カード排出機構80を備える。第1カード排出機構80は、第1収容部16内で第1のカード12に当接されて第1のカード12と共に移動する当接部材82と、当接部材82をカード排出方向に付勢する弾性部材84と、弾性部材84の付勢に抗して当接部材82をカード収容位置に保持できる保持部材86とを備える。当接部材82は、例えば樹脂材料の一体成形品からなる棒状部材であり、筐体20の空洞部48内で他方の側壁36に沿って長手方向移動可能に配置される。
【0029】
カバー42に対向配置される当接部材82の上面82aには、図11(a)及び図12に示すように、一方向環状通路を構成するカム溝88が形成される。後述するようにカム溝88は、保持部材86と協働して、当接部材82の移動を制御する。また、当接部材82の筐体側壁36から離れて配置される側には、第1のカード12の所定部位を当接する当接面90が形成される。第1のカード12には、図3に示すように、平面視矩形状のケース26の1つの隅部が弧状に面取りされており、この弧面92が当接部材82の当接面90に当接される。
【0030】
なお、当接部材82には、当接面90に隣接して略直交する方向へ薄板状の突起94が延設される。突起94は、第1のカード12のケース26に弧面92に隣接して形成された凹部96に障害無く受容される形状及び寸法を有し、第1のカード12の誤挿入防止構造として機能する。第2のカード14に対する同様の誤挿入防止構造は、筐体20の底壁34と両側壁36、38との交差部位に設けられた突条98(図1)と、第2のカード14のケース28の両長縁に沿って形成された凹部100(図4)との協働により構成される。さらに当接部材82には、突起94に隣接して、第1のカード12を第1収容部16内に仮保持するための仮止め具102が設置される。
【0031】
弾性部材84は、例えば図示のように圧縮コイルばねからなり、筐体20の端壁40と当接部材82の長手方向一端面との間に介在して、当接部材82をカード挿入口50に接近する方向へ弾性的に付勢する。好ましくは圧縮コイルばね84は、当接部材82が第1のカード12を当接面90に受けていない初期位置にあるときに、僅かに予圧縮された状態で筐体端壁40と当接部材82との間に介在する(図7)。
【0032】
保持部材86は、図示のように2本の脚86aを有する門形のピンからなる。保持部材86は、一方の脚86aを当接部材82のカム溝88に摺動可能に挿入するとともに、他方の脚86aを筐体側壁36に設けた受け孔104に嵌入して、当接部材82と筐体側壁36との間に、受け孔104を中心として揺動可能に架設される。なお、カバー42には、後述する第1及び第2のカード12、14の挿抜動作中に、保持部材64、86を対応のカム溝66、88から脱落しないように保持する板ばね状の一対の押え部106(図1)が設けられている。このような第1カード排出機構80の構成も、後述するようにいわゆる「プッシュプッシュ式」のカード挿抜動作を実現するものであり、部品点数の削減及び挿抜動作の簡素化に寄与する。
【0033】
カードコネクタ10はさらに、補足的部品として、第2のカード14用の挿入検出スイッチ108を構成する一対の金具と、第2のカード14用の書込保護スイッチ110を構成する一対の金具とが、それぞれ筐体側壁38、36に取り付けて備えている。これらスイッチ108、110は、第2のカード14の機能上、カードコネクタ10に装備する必要があるものであって、第1のカード12は他の周知構成により挿入検出及び書込保護を行なっている。
【0034】
上記構成を有するカードコネクタ10における、第1及び第2のカード12、14の挿抜動作を、以下に説明する。
カードコネクタ10は、第1及び第2のカード12、14のいずれをも収容していない初期状態で、第1カード排出機構80の当接部材82及び第2カード排出機構58の当接部材60は、対応の弾性部材84、62の付勢により、それぞれの長手方向移動範囲の前端(カード挿入口50に近い方の端)位置に配置される。このとき、第1カード排出機構80の保持部材86及び第2カード排出機構58の保持部材64は、それぞれの一方の脚86a、64aを対応のカム溝88、66内の初期位置(図12及び図10にそれぞれ○で示す)に配置している。
【0035】
上記初期状態では、第2カード排出機構58の当接部材60に連結された延長部材74は、第2端子部24に干渉する拘束位置に配置される。したがって、第2端子部変位機構56を構成する延長部材74は、その複数の傾斜面78が対応の第2端子54の接点部分54aに斜め上方から当接され、それにより各第2端子54を弾性的に撓ませて接点部分54aを前述した引込位置に保持している(図13参照)。
【0036】
そこで、第1のカード12を、接点30を露出させたケース面を下に向けて、カード挿入口50を介して第1収容部16に挿入する。挿入動作中は、第1のカード12の弧面92が第1カード排出機構80の当接部材82の当接面90に当接され、第1のカード12を強制的に押し込むことにより、第1のカード12と共に当接部材82が弾性部材84の付勢に抗して筐体端壁40に接近する方向へ移動する。それに伴い、保持部材86の一方の脚86aは、カム溝88内で、図12に矢印で示す方向へ移動する。カム溝88は、その環状溝路の所定位置に、一様な方向性を有する複数の段差88aを備えており、それにより保持部材86の脚86aが矢印で示す一方向へのみ移動できるようになっている。
【0037】
第1のカード12を第1収容部16内に完全に押し込むと、保持部材86の脚86aはカム溝88の中間凹所88bに進入する(図12に◎で示す)。その状態で押し込み力を解除すれば、弾性部材84の付勢により保持部材86の脚86aが中間凹所88bに拘持され、当接部材82がその長手方向移動範囲の後端(筐体端壁40に近い方の端)のカード収容位置に保持される。この状態で、第1のカード12は第1収容部16内の適正位置に収容され、第1端子部22の複数の第1端子52がそれらの接点部分52aで、第1のカード12の対応の接点30に導通接触する(図5及び図13)。なおこのとき、当接部材82に設置した仮止め具102が、第1のカード12の側縁に係合して、第1のカード12を適正位置に保持している。
【0038】
上記した適正収容状態から、再度、第1のカード12を筐体20の内方へ押し込むと、保持部材86の脚86aがカム溝88の中間凹所88bから脱落して、保持部材86による当接部材保持作用が解除される。その状態で押し込み力を解除すれば、弾性部材84の付勢により、保持部材86の脚86aがカム溝88内を矢印方向へ移動しつつ、当接部材82が長手方向移動範囲の前端位置へ向けて移動する。それに伴い、第1のカード12は、当接部材82によって第1収容部16から排出される方向へ押し出される。
【0039】
上記した第1のカード12の挿抜動作中、第1のカード12は第2カード排出機構58の当接部材60に干渉しないので、当接部材60は初期位置に保持される。したがって、第2端子部24の複数の第2端子54は、前述した第2端子部変位機構56の延長部材74の作用により、それらの接点部分54aが引込位置に保持され続ける。その結果、第1収容部16に第1のカード12を出し入れするときに、第2端子部24の複数の第2端子54は、それらの接点部分54aが第1のカード12に接触しない状態を維持するから、第1のカード12の挿抜動作に起因して第2端子54の接点部分54aを徒に損耗させたり、第1のカード12の外面に擦過傷を付けたりする懸念が確実に排除される。
【0040】
他方、第2のカード14は、前述したカードコネクタ10の初期状態から、接点32を露出させたケース面を下に向けて、カード挿入口50を介して第2収容部18に挿入される。挿入動作中は、第2のカード14の斜面70が第2カード排出機構58の当接部材60の当接面68に当接され、第2のカード14を強制的に押し込むことにより、第2のカード14と共に当接部材60が弾性部材62の付勢に抗して筐体端壁40に接近する方向へ移動する。それに伴い、保持部材64の一方の脚64aは、カム溝66内で、図10に矢印で示す方向へ移動する。カム溝66は、カム溝88と同様に、その環状溝路の所定位置に、一様な方向性を有する複数の段差66aを備えており、それにより保持部材64の脚64aが矢印で示す一方向へのみ移動できるようになっている。
【0041】
第2のカード14を第2収容部18内に完全に押し込むと、保持部材64の脚64aはカム溝66の中間凹所66bに進入する(図10に◎で示す)。その状態で押し込み力を解除すれば、弾性部材62の付勢により保持部材64の脚64aが中間凹所66bに拘持され、当接部材60がその長手方向移動範囲の後端(筐体端壁40に近い方の端)のカード収容位置に保持される。この状態で、第2のカード14は第2収容部18内の適正位置に配置される。
【0042】
上記した第2のカード14の挿入動作に伴い、当接部材60に連結された延長部材74は、前述した拘束位置から、第2端子部54から離脱する解放位置へ向けて移動する。延長部材74は、解放位置において、その複数の傾斜面78が第2端子部24の対応の第2端子54の接点部分54aから離脱し、それにより、複数の第2端子54が弾性的に復元して、それぞれの接点部分54aが前述した初期位置に向けて変位する。当接部材60は、延長部材74が開放位置に達した後にカード収容位置に到達し、第2のカード14が適正位置に収容される。その結果、第2端子部24の複数の第2端子54がそれらの接点部分54aで、第2収容部18に適正に収容された第2のカード14の対応の接点32に導通接触する(図7及び図14)。なお、この適正収容状態で延長部材74は、第1端子部22の端子群52の接点部分52aと筐体底壁34との間の空間に受容される。
【0043】
上記した適正収容状態から、再度、第2のカード14を筐体20の内方へ押し込むと、保持部材64の脚64aがカム溝66の中間凹所66bから脱落して、保持部材64による当接部材保持作用が解除される。その状態で押し込み力を解除すれば、弾性部材62の付勢により、保持部材64の脚64aがカム溝66内を矢印方向へ移動しつつ、当接部材60が長手方向移動範囲の前端位置へ向けて移動する。それに伴い、第2のカード14は、当接部材60によって第2収容部18から排出される方向へ押し出される。なお、このような第2のカード14の挿抜動作中、第2のカード14は第1カード排出機構80の当接部材82に干渉せず、当接部材82は初期位置に保持される。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、異なる種類のカードを選択的に接続可能な複合型のカードコネクタにおいて、コネクタ筐体の薄型化を促進しつつ、一方の収容部に関連して設けた端子部の接点部分が、他方の収容部に収容されるカードに無用に接触することを未然に防止できるようになる。したがって本発明によれば、端子部の寿命を向上できるとともにカードの損傷を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるカードコネクタの分解斜視図である。
【図2】図1のカードコネクタの組立斜視図である。
【図3】図1のカードコネクタを使用可能な第1のカードの斜視図である。
【図4】図1のカードコネクタを使用可能な第2のカードの斜視図である。
【図5】図1のカードコネクタに第1のカードを収容した状態を、カバーを省略して示す平面図である。
【図6】図5の線VI−VIに沿った断面図で、カバーを取り付けた状態で示す。
【図7】図1のカードコネクタに第2のカードを収容した状態を、カバーを省略して示す平面図である。
【図8】図7の線VIII−VIIIに沿った断面図で、カバーを取り付けた状態で示す。
【図9】図1のカードコネクタに組み込まれる第2端子部変位機構の主要部材を示す図で、(a)上方から見た斜視図、及び(b)下方から見た斜視図である。
【図10】図1のカードコネクタに組み込まれる第2カード排出機構のカム溝の概念図である。
【図11】図1のカードコネクタに組み込まれる第1カード排出機構の主要部材を示す図で、(a)上方から見た斜視図、及び(b)下方から見た斜視図である。
【図12】図1のカードコネクタに組み込まれる第1カード排出機構のカム溝の概念図である。
【図13】図1のカードコネクタに第1のカードを適正に収容した状態を示す断面図である。
【図14】図1のカードコネクタに第2のカードを適正に収容した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10…カードコネクタ
12…第1のカード
14…第2のカード
16…第1収容部
18…第2収容部
20…筐体
22…第1端子部
24…第2端子部
30、32…接点
42…カバー
48…空洞部
50…カード挿入口
52…第1端子
52a、54a…接点部分
54…第2端子
56…第2端子部変位機構
58…第2カード排出機構
60、82…当接部材
62、84…弾性部材
64、86…保持部材
66、88…カム溝
68、90…当接面
74…延長部材
78…傾斜面
80…第1カード排出機構
Claims (6)
- 互いに形状の異なる第1及び第2のカードをそれぞれに収容可能な第1及び第2収容部を、それらの一部分を互いに空間的に重畳させて形成する筐体と、該第1及び第2収容部のそれぞれに関連して該筐体に設置され、第1及び第2のカードに個々に導通接触可能な第1及び第2端子部とを具備するカードコネクタにおいて、
前記第2端子部は、その接点部分が、前記第1収容部に突入する初期位置と該第1収容部の外側に配置される引込位置との間で変位可能であり、
前記第1収容部に第1のカードを収容するときに、前記第2端子部の前記接点部分を前記引込位置に保持するとともに、前記第2収容部に第2のカードを収容するときに、該接点部分を前記初期位置に配置する第2端子部変位機構を具備すること、
を特徴とするカードコネクタ。 - 前記第2収容部に収容した第2のカードを排出するための第2カード排出機構をさらに具備し、前記第2端子部変位機構が該第2カード排出機構に関連して設けられる請求項1に記載のカードコネクタ。
- 前記第2カード排出機構は、前記第2収容部内で第2のカードに当接されて該第2のカードと共に移動する当接部材と、該当接部材に連結され、該当接部材の移動に伴い、前記第2端子部に干渉する拘束位置と該第2端子部から離脱する解放位置との間で移動する延長部材とを備え、前記第2端子変位機構は、該延長部材を含んで構成され、該延長部材が該拘束位置にあるときに該第2端子部の前記接点部分を前記引込位置に保持するとともに、該延長部材が該解放位置にあるときに該接点部分を前記初期位置に配置する請求項2に記載のカードコネクタ。
- 前記第2カード排出機構が、前記当接部材をカード排出方向に付勢する弾性部材と、該弾性部材の付勢に抗して該当接部材をカード収容位置に保持できる保持部材とをさらに備える請求項3に記載のカードコネクタ。
- 前記第2カード排出機構から独立して動作可能に設けられ、前記第1収容部に収容した第1のカードを排出するための第1カード排出機構をさらに具備する請求項1〜4のいずれか1項に記載のカードコネクタ。
- 前記第1カード排出機構は、前記第1収容部内で第1のカードに当接されて該第1のカードと共に移動する当接部材と、該当接部材をカード排出方向に付勢する弾性部材と、該弾性部材の付勢に抗して該当接部材をカード収容位置に保持できる保持部材とを備える請求項5に記載のカードコネクタ。
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