JP2004213883A - 情報記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板3上に複数の記録層1を積層した記録媒体4と、複数の記録層1のそれぞれに基板3側から光を収束させて情報を3次元的に記録または再生する光学系を有する3次元記録再生装置において、
λ/4≦(1/8NB)(1/NB2−1)NAF4Δd
ただし、λ :光の波長
NB :基板3の屈折率
NAF:光を収束させる絞り込みレンズ8の開口数
Δd :光を収束させるべき記録層が存在する光軸方向の位置範囲
を満足することを特徴とする3次元情報記録再生装置。
【効果】多層膜構造のディスクの各層に光スポットを絞り込み、高い信頼性を持って、データの高密度記録再生できる。
【選択図】図1
Description
局所的な光照射によって、光学的性質が局所的に変化する記録膜層と、記録膜層の働きの補助として反射防止,多重反射,光吸収,記録膜層の光学的局所変化の転写,断熱,吸熱,発熱または補強を目的とした層、または層の重ねあわせである中間層膜を光学的に透明な基板の上に多層に積み重ねたディスクを有し、各層に絞り込まれた光スポット照射によって各層の局所的光学的性質を2次元的に(独立に)変化させることで、変調後のデータ“1”,“0”に対応した記録を行う。さらに、上記局所的光学的性質の変化を各層への光スポット照射によって反射光量(または透過光量)の変化として検出し、データを再生する3次元記録再生装置において、
1.ディスクの構造を、光学的に透明な基板の屈折率をNB、厚さをd0とする。さらに、中間層と記録膜層を一つの層として区ぎり、上層から順に1からN層割り当てる。各層間の距離は隣あう記録膜層k番目と(k−1)番目の膜厚中心間の距離dkで示す。また、任意のk番目の記録層と中間層の膜厚をdFk,dMkさらに屈折率の実数部をそれぞれ、NFk,NMkとする。また、各層の平面上での局所的光学的性質の変化の周期b[μm]とする。絞り込み光学系は、光源として、例えば波長λ[μm]の半導体レーザを用い、コリメートレンズによって、平行光に変換し、偏向ビームスプリッタを介して、絞り込みレンズに入射させる。ここで、絞り込みレンズの開口数をNAF,有効半径をa[mm],焦点距離をfF(≒a/NAF)とする。また、ディスクからの反射光は、絞りレンズを通り、ビームスプリッタによって受光用の像レンズに導かれる。像レンズの焦点付近に位置する光検出器によって、反射光量の変化を電気信号に変換する。像レンズの開口数をNAI,焦点距離をfI(≒a/NAI)とする。光検出器の受光面直径をDとした場合、k番目の層を目標層とし、焦点を合わせたときの目標層からの反射光は、像レンズの焦点位置に結像され、この焦平面上のスポット径Uk′は、
Uk′=λ/NAI=λ×(fI/a)
m;受光光学系の横倍率
次に、k番目の目標層から層間距離d離れた隣接層(k±1)番目の層からの焦平面でのスポット径U(k±1)′は、
U(k±1)′≒a×m2d/fI
=NAI・m2d
上式より光検出器の直径Dを、
D=Uk′=λ/NAIとし、
検出される他の層からの反射光量は、目標k層と他のj層の間の透過率δjk、及び反射率の比αjkとして
光検出器での、n層からの反射受光量をInとすると
=δ2(k−1),k×α(k−1),k×(D/U(k−1)′)2 (数17.5)
上式が成り立つように、ディスク構造,光学系を設定する。
2.さらに、2次元周期bの最小値bminを(λ/NAF)とし、2次元周期 bの最大値bmaxを(d×NAF)よりも小さくする。
ここで、層間距離dの値で焦点ずれが生じた場合の光学的特性関数H1(S)について、H1(S)=0となるSより、上記周期bの最大繰返しbmaxを規定する。このように、層面上の局所的光学的性質の変化の周期bとディスク構造、及び受光光学系の関係を規定することで、層間クロストークの成分を局所的光学的性質の変化の周期bよりも、長くする。
3.さらに、隣接層におけるスポット径(2d×NAF)の領域に含まれる局所的光学変化(マーク)の領域の総面積が常に一定値である符号を用いる。
4.さらに、
dk=dF(k−1)+dMk+dFk
≒dMk (数1)
かつ、中間層の実効的屈折率NMkを基板と同じ屈折率NBであるとする。多層ディスクのN層番目までの厚さdが
W40=|(1/(8×NB))×((1/NB2)−1)×NAF4×Δd| (数3)
W40≦λ/4となるように、各層の中間層の厚さdk,総数Nを組み合わせる。なお、W40の右辺の絶対値の中は通常は負となる(NB≧1の場合)。
5.さらに、k番目の記録膜層1の光学定数は、透過率Tk,反射率Rk,吸収率Akとする。ここで、Tk+Rk+Ak=1の関係が成り立つ。記録によって、局所的光学的性質が変化した場合の光学定数には、以下、ダッシュ記号「′」で表わす。一般に、熱記録における、熱構造変化が生じるためには、必ずエネルギーしきい値Eth[nJ]が存在する。記録目標層に回折限界に絞り込まれた光スポットが線速度V[m/s]でディスク上を走査している。
Sk;k層に焦点をあわせた場合での1/e2スポット面積
Sk=π(0.5×λ/NAF)2
k層における光強度Pk[mW]は
δkは、ディスク上の光入射面とk番目の記録層の間の透過率である。
(数6)式より、k層で記録できるために必要な最小の記録パワーPminは、
Pmin≧Ikth×Sk/δk (数7)
また、k層に記録を行うため、k層に焦点を合わせた時の、j層での光強度密度Ijk[mW]は
Sjkは、k層に焦点を合わせた時の、j層での光スポット面積であり、
TANφ=a/fF≒NAF
(数6,7)(数9,10,11)式が同時に成り立つように絞り込み光学系,ディスク構造,記録条件を設定する。
6.各層の役割として、ユーザデータを記録再生する層と共に、ROM(Read Only Memory)層またはWOM(Write Once Memory)を設ける。
7.層データの管理層として、各層のデータ状態、例えば、データの有無,エラー管理,有効なデータ領域,書替え(オーバーライト)回数を随時、記録しておく。
8.項1において、交替層として、記録誤りを検出した層のかわりに情報を入れる。
9.項1において、ディスクの各層面内における管理フォーマットとして、セクタとトラックを設け、1→k→N層と上層から順に記録を行う。ただし、各層ではすべてのユーザセクタとトラックに情報を記録してから次の層に記録する。
10.N→k→1層と下層から順に記録を行う。ただし、各層ではすべてのユーザセクタとトラックに情報を記録してから次の層に記録する。
11.各層ではすべてのユーザセクタとトラックに情報を記録してから次の層に記録するが、記録する層の順番はランダムアクセスとする。
12.記録する層の順番はランダムアクセスとするが、ひとつの層においてある当該セクタ内にすべてデータ記録してから、次の層の当該セクタを埋めていき、すべての層の当該セクタを埋めてから、次のセクタのデータを記録する。
13.当該トラックにおいて、層方向にランダムアクセスを行う。この場合、セクタによる固定ブロック管理ではなく、可変長ブロックを適用する。
14.項1において、光スポット位置決め機構として、絞り込みレンズを層方向とディスク半径方向に駆動する2次元アクチゥエータ、または、絞り込みレンズを層方向だけに駆動する1次元アクチゥエータと絞り込みレンズに入射させる光束をディスク半径方向に偏向するガルバノミラーを組み合わせたものにおいて、レイヤー番号検出回路において、プリフォーマット部にある層アドレスを読み取るとることで現在いる層の番号を認識し、現在焦点を結んでいるj番目の層から上位コントローラからの指令であるk番目の目標層まで、上下どちらの(sign(k−j))方向に、どれだけの(|k−j|)層数をスポット移動させれば良いかを認識し、レイヤージャンプ信号発生回路にジャンプ強制信号を発生させ、AFアクチゥエータドライバに入力させる。
15.項14において、ジャンプ信号は、1層間の移動にたいし、+−極性のパルスの1対のパルスで構成され、上下の移動方向によって、+−のパルスを入れ替わる。先頭のパルスはスポットを移動方向におよそ移動距離分だけ駆動させるために用い、次の極性反転パルスはスポットが行き過ぎないように静定するためのものである。また、移動する層数の対のパルスをドライバ回路に入力する。次に、レイヤー番号を検出し、j=kとなることを確認する。
16.項14において、上記AF誤差信号のゼロクロスパルスと、総光量パルスをゲートとして用い、各記録層についての合焦点検出を検出するクロスレイヤー信号検出回路を設ける。
17.項16において、上記ゼロクロスパルスと総光量パルス、2種のパルスからアップパルスとダウンパルスを生成しカウントすることで、常にレンズがどの層に位置づけられているかを認識し、ディスクに対してレンズが移動する方向を認識する。
18.項14において、焦点位置がディスク最上層から、最下層まで少なくとも移動するように、AFアクチゥエータ移動信号発生回路からのこぎり波を発生させ、AFアクチゥエータを駆動する場合において、上記クロスレイヤー信号検出回路により、N個の層の合焦点をカウントし、レンズを上側に移動させたときのアップパルスの上限から、最上層(n=1)または、レンズを下側に移動させたときのダウンパルスの下限から、最下層(n=N)を認識し、ディスク層方向における焦点位置を常に認識する。
19.項5において、記録目標であるk層に安定に記録する場合、k層までの透過率(ΣTn(n=0,1,2,…k−1))を考慮して記録パワーP(光強度)を設定する。
20.項5において、k層までの透過率を、層アドレス認識に対して設定する。
21.アドレス認識によって、ディスク出荷時(または設計値)のk層までの透過率ΣTn(n=0,1,2…k−1)と、記録直前のk層までの透過率ΣT′n (n=0,1,2,…k−1)の比、すなわち透過率の変化分Gを考慮して記録パワーを設定する。
22.項6,21において、層データの管理層を設け、どの層が記録されているのかを記録し、目標層記録前に管理層を再生して、記録直前のk層までの透過率 ΣT′(k−1)を認識し、透過率の変化分Gを認識する。
23.項21において、目標層に記録する前に、あらかじめ記録すべき領域を再生し、透過率の変化Gを求める。
24.項23において、あらかじめ記録すべき領域を再生する方法としては、記録モードで初めのディスク1回転で再生チェックを行ってから、次の回転で記録を行い、次の回転で記録エラーチェックを行う。
25.項23において、複数スポットを用い、先行スポットで上記再生チェックを行う。
26.項25において、再生チェックでは、先行スポットについての受光した再生信号C′k(t−τ)を用いる。ここで、τは、先行スポットと記録用スポットのスポット間距離を時間換算したものである。ここで、透過率変化分Gを、記録目標層であるk層に焦点を合わせた状態での再生信号Ck′とディスク出荷時での設計上の再生信号Ckとの比の平方根として求める。
27.項25において、再生チェックでは、再生信号Ckの値は、ディスクフォーマットとして、あらかじめチェック領域として、層方向に対して記録しない領域をディスク面内に設けておく。
28.項23において、再生信号を得る光検出器については、請求項1の形状にする。
29.項1において、再生制御回路として、目標層からの反射光成分の検出に加え、特に層間クロストークの大部分を占める隣接層からの反射光成分も検出し、両者が互いに含んでいる成分を演算によって取り除く。
30.項29において、3つの光検出器を、k層に焦点を合わせたときの受光面側での目標層k,隣接層(k+1),(k−1)の結像面に位置づける。光検出器の形状は、直径D=(λ/NAI)とする、または、ピンホールによる受光面積の制限を行い、k層の光検出器についての再生信号Ck,(k−1)層の光検出器についての再生信号C(k−1)と(k+1)層の光検出器についての再生信号C(k+1)について、次式の演算を行う。
≒CkR+β×C(k−1)R+β×C(k+1)R
−γ×{C(k−1)R+β×CkR+β×C(k−2)R} −γ×{C(k+1)R+β×CkR+β×C(k+2)R}
β:各信号に含まれるクロストーク成分の必要信号成分に対する比C(k−2)R,C(k+2)Rは、十分小さく、周波数成分も低いので無視できる。よって、
F≒(1−2γβ)×CkR+(β−γ)×C(k−1)R
+(β−γ)×C(k+1)R
ここで、演算係数γ≡β<1とすると、
F≒(1−β2)×CkR
上式の演算機能を用いたことによって、目標層の信号成分だけを求める。
31.項29において、複数スポットを用いる。k層に焦点づけた時の隣接層上の焦点ずれスポットと同じスポット径のスポットを2つの隣接層に、スポットに先行させて走査し、再生信号を求め、項30の演算を行う。
32.項31において、図18に示すように、絞りを挿入して、絞り込みレンズについての実効的開口を小さくする。すなわち、有効径a′を[λ/(2d×NAF2)×a]にする。
33.項31において、3つの光軸に分けて、先行する2つの光学系の絞り込みレンズの開口数を小さくする、すなわち、NAF′=λ/(2d×NAF)とする。
34.項31において、先行スポットからの再生信号にスポットの強度分布であるガウシアン分布を三角分布に近似して得られる重み関数を掛けて積分を行う。35.項30において、各演算係数γ(≡β)を設定する重み設定回路において、ディスクフォーマットとして、少なくても上下3層間でマーク記録領域が、同一光束に含まれないように配置し、h(k−1)/hk,h(k+1)/hをβ(−1),β(+1)とする。
36.項1において、複数スポットを用い、各々の層について焦点を合わせることで、2つ以上の層について同時に記録再生を行う、すなわち、並列記録再生を行う。
37.項9において、記録後に透過率が増加する記録媒体を用いる。
38.項1において、多層ディスクにおける各層面内の案内溝,アドレス等のプリピットは、各層ごとに紫外線硬化樹脂層に設け、各層ごとに透明な型を用いて型の面から光を入射させる2P法によって形成する。
39.項1において、中間層に、1/4波長板層を設ける。
1.ディスクの構造を、光学的に透明な基板の屈折率をNB、厚さをd0とする。さらに、中間層と記録膜層を一つの層として区ぎり、上層から順に1からN層割り当てる。各層間の距離は隣あう記録膜層k番目と(k−1)番目の膜厚中心間の距離dkで示す。また、任意のk番目の記録層と中間層の膜厚をdFk,dMkさらに屈折率の実数部をそれぞれ、NFk,NMkとする。また、各層の平面上での局所的光学的性質の変化の周期b[μm]とする。絞り込み光学系は、光源として、例えば波長λ[μm]の半導体レーザを用い、コリメートレンズによって、平行光に変換し、偏向ビームスプリッタを介して、絞り込みレンズに入射させる。ここで、絞り込みレンズの開口数をNAF,有効半径をa[mm],焦点距離をfF(≒a/NAF)とする。また、ディスクからの反射光は、絞りレンズを通り、ビームスプリッタによって受光用の像レンズに導かれる。像レンズの焦点付近に位置する光検出器によって、反射光量の変化を電気信号に変換する。像レンズの開口数をNAI,焦点距離をfI(≒a/NAI)とする。光検出器の受光面直径をDとした場合、k番目の層を目標層とし、焦点を合わせたときの目標層からの反射光は、像レンズの焦点位置に結像され、この焦平面上のスポット径Uk′は、
Uk′=λ/NAI=λ×(fI/a) (数14)
m;受光光学系の横倍率
次に、k番目の目標層から層間距離d離れた隣接層(k±1)番目の層からの焦平面でのスポット径U(k±1)′は、
U(k±1)′≒a×m2d/fI
=NAI・m2d (数16)
上式より光検出器の直径Dを、D=Uk′=λ/NAIとし、検出される他の層からの反射光量は、目標k層と他のj層の間の透過率δjk、及び反射率の比αjkとして光検出器での、n層からの反射受光量をInとすると
=δ2(k−1),k×α(k−1),k×(D/U(k−1)′)2 (数17.5)
上式が成り立つように、ディスク構造,光学系を設定することによって、他の層からの反射光の漏れ込みを低減する。
2.項1において、2次元周期bの最小値bminを(λ/NAF)とし、2次元周期bの最大値bmaxを(d×NAF)よりも小さくする。
ここで、層間距離dの値で焦点ずれが生じた場合の光学的特性関数H1(S)について、H1(S)=0となるSより、上記周期bの最大繰返しbmaxを規定する。このように、層面上の局所的光学的性質の変化の周期bとディスク構造、及び受光光学系の関係を規定することで、層間クロストークの成分を局所的光学的性質の変化の周期bよりも、長くすることで、目標層の信号成分だけを検出することができる。
3.項1において、隣接層におけるスポット径(2d×NAF)の領域に含まれる局所的光学変化(マーク)の領域の総面積が常に一定値である符号を用いることによって、目標層を再生しているときに含まれる隣接層からのクロストーク成分を直流成分一定値にし、直流分を取り除くことで目標層の信号成分だけを抽出する。
4.項1において、
dk=dF(k−1)+dMk+dFk
≒dMk (数1)
かつ、中間層の実効的屈折率NMkを基板と同じ屈折率NBであるとする。多層ディスクのN層番目までの厚さdが
W40=|(1/(8×NB))×((1/NB2)−1)×NAF4×Δd| (数3)
5.項1において、k番目の記録膜層1の光学定数は、透過率Tk,反射率Rk,吸収率Akとする。ここで、Tk+Rk+Ak=1の関係が成り立つ。記録によって、局所的光学的性質が変化した場合の光学定数には、以下、ダッシュ記号「′」で表わす。一般に、熱記録における、熱構造変化が生じるためには、必ずエネルギーしきい値Eth[nJ]が存在する。記録目標層に回折限界に絞り込まれた光スポットが線速度V[m/s]でディスク上を走査している。
ここで、線速度Vと照射時間tが与えられた場合、各層の記録膜についての光強度密度しきい値Ith[mW/μm2]とする。
Sk;k層に焦点をあわせた場合での1/e2スポット面積
Sk=π(0.5×λ/NAF)2
k層における光強度Pk[mW]は
上式より、k層で記録できるために必要な最小の記録パワーPminは、
Pmin≧Ikth×Sk/δk (数7)
また、k層に記録を行うため、k層に焦点を合わせた時の、j層での光強度密度Ijk[mW]は
Pjk=Pk×δjk
=P×δj (数9)
δjk=Π/Π(=(j番目の層までの透過率/k番目の層までの透過率))である。
Sjkは、k層に焦点を合わせた時の、j層での光スポット面積であり、
TANφ=a/fF≒NAF
上式が同時に成り立つように絞り込み光学系,ディスク構造,記録条件を設定することによって、目標層に安定に記録でき、かつ、その時に他の層を破壊しないための入射記録パワーを設定する。
6.各層の役割として、ユーザデータを記録再生する層と共に、ROM(Read Only Memory)層またはWOM(Write Once Memory)を設けることによって、ユーザデータ以外の情報を扱う。
7.層データの管理層として、各層のデータ状態、例えば、データの有無,エラー管理,有効なデータ領域,書替え(オーバーライト)回数を随時、記録しておくことをによって、データの更新及び、アクセスを敏速に行う。
8.項1において、交替層として、記録誤りを検出した層のかわりに情報を入れることによって、データの信頼性を保証する。
9.項1において、ディスクの各層面内における管理フォーマットとして、セクタとトラックを設け、1→k→N層と上層から順に記録を行う。ただし、各層ではすべてのユーザセクタとトラックに情報を記録してから次の層に記録することによって、ユーザデータ記録再生の管理を行う。
10.N→k→1層と下層から順に記録を行う。ただし、各層ではすべてのユーザセクタとトラックに情報を記録してから次の層に記録することによって、ユーザデータ記録再生の管理を行う。
11.各層ではすべてのユーザセクタとトラックに情報を記録してから次の層に記録するが、記録する層の順番はランダムアクセスとすることによって、ユーザデータ記録再生の管理を行う。
12.記録する層の順番はランダムアクセスとするが、ひとつの層においてある当該セクタ内にすべてデータ記録してから、次の層の当該セクタを埋めていき、すべての層の当該セクタを埋めてから、次のセクタのデータを記録することによってユーザデータ記録再生の管理を行う。
13.当該トラックにおいて、層方向にランダムアクセスを行う。この場合、セクタによる固定ブロック管理ではなく、可変長ブロックを適用することよってユーザデータ記録再生の管理を行う。
14.項1において、光スポット位置決め機構として、絞り込みレンズを層方向とディスク半径方向に駆動する2次元アクチゥエータ、または、絞り込みレンズを層方向だけに駆動する1次元アクチゥエータと絞り込みレンズに入射させる光束をディスク半径方向に偏向するガルバノミラーを組み合わせたものにおいて、レイヤー番号検出回路において、プリフォーマット部にある層アドレスを読み取るとることで現在いる層の番号を認識し、現在焦点を結んでいるj番目の層から上位コントローラからの指令であるk番目の目標層まで、上下どちらの(sign(k−j))方向に、どれだけの(|k−j|)層数をスポット移動させれば良いかを認識し、レイヤージャンプ信号発生回路にジャンプ強制信号を発生させ、AFアクチゥエータドライバに入力させることによって、目標層に焦点を合わせる。
15.項14において、ジャンプ信号は、1層間の移動にたいし、+−極性のパルスの1対のパルスで構成され、上下の移動方向によって、+−のパルスを入れ替わる。先頭のパルスはスポットを移動方向におよそ移動距離分だけ駆動させるために用い、次の極性反転パルスはスポットが行き過ぎないように静定するためのものである。また、移動する層数の対のパルスをドライバ回路に入力する。次に、レイヤー番号を検出し、j=kとなることを確認することによって、目標層kにスポットを位置ずける。
16.項14において、上記AF誤差信号のゼロクロスパルスと、総光量パルスをゲートとして用い、各記録層についての合焦点検出を検出するクロスレイヤー信号検出回路を設けることによって、レンズを層方向に移動したときに焦点位置が各層を横切る信号を得る。
17.項16において、上記ゼロクロスパルスと総光量パルス、2種のパルスからアップパルスとダウンパルスを生成しカウントすることで、常にレンズがどの層に位置づけられているかを認識し、ディスクに対してレンズが移動する方向を認識する。
18.項14において、焦点位置がディスク最上層から、最下層まで少なくとも移動するように、AFアクチゥエータ移動信号発生回路からのこぎり波を発生させ、AFアクチゥエータを駆動する場合において、上記クロスレイヤー信号検出回路により、N個の層の合焦点をカウントし、レンズを上側に移動させたときのアップパルスの上限から、最上層(n=1)または、レンズを下側に移動させたときのダウンパルスの下限から、最下層(n=N)を認識し、ディスク層方向における焦点位置を常に認識することによって、層アドレスを設けなくても、層アクセスを可能とする。
19.項5において、記録目標であるk層に安定に記録する場合、k層までの透過率(ΣTn(n=0,1,2,…k−1))を考慮して記録パワーP(光強度)を設定することによって、目標層に最適な記録パワー条件で記録する。
20.項5において、k層までの透過率を、層アドレス認識に対して設定することによって、目標層に最適な記録パワー条件で記録する。
21.アドレス認識によって、ディスク出荷時(または設計値)のk層までの透過率ΣTn(n=0,1,2…k−1)と、記録直前のk層までの透過率ΣTn(n=0,1,2,…k−1)の比、すなわち透過率の変化分Gを考慮して記録パワーを設定することによって、目標層までの層に記録された層があることによって透過率が変化していてもそれを考慮して、目標層に最適な記録パワー条件で記録する。
22.項6,21において、層データの管理層を設け、どの層が記録されているのかを記録し、目標層記録前に管理層を再生して、記録直前のk層までの透過率ΣT′(k−1)を認識し、透過率の変化分Gを認識することによって、目標層までの層に記録された層があることによって透過率が変化していてもそれを考慮して、目標層に最適な記録パワー条件で記録する。
23.項21において、目標層に記録する前に、あらかじめ記録すべき領域を再生し、透過率の変化Gを求めることによって、目標層までの層に記録された層があることによって透過率が変化していてもそれを考慮して、目標層に最適な記録パワー条件で記録する。
24.項23において、あらかじめ記録すべき領域を再生する方法としては、記録モードで初めのディスク1回転で再生チェックを行ってから、次の回転で記録を行い、次の回転で記録エラーチェックを行う。
25.項23において、複数スポットを用い、先行スポットで上記再生チェックを行うことによって、回転待ちを行わなくても良い。
26.請求項25において、再生チェックでは、先行スポットについての受光した再生信号C′k(t−τ)を用いる。ここで、τは、先行スポットと記録用スポットのスポット間距離を時間換算したものである。ここで、透過率変化分Gを、記録目標層であるk層に焦点を合わせた状態での再生信号Ck′とディスク出荷時での設計上の再生信号Ckとの比の平方根として求めることによって、反射光学系において、透過率の変化を求める。
27.項25において、再生チェックでは、再生信号Ckの値は、ディスクフォーマットとして、あらかじめチェック領域として、層方向に対して記録しない領域をディスク面内に設けておくことによって、ディスク間,ディスク内の透過率バラツキの影響を低減する。
28.項23において、再生信号を得る光検出器については、請求項1の形状にすることによって、目標層からの反射成分を特定して検出し、より高精度な透過率変化Gを求める。
29.項1において、再生制御回路として、目標層からの反射光成分の検出に加え、特に層間クロストークの大部分を占める隣接層からの反射光成分も検出し、両者が互いに含んでいる成分を演算によって取り除くことによって、目標層の反射光成分を抽出する。
30.項29において、3つの光検出器を、k層に焦点を合わせたときの受光面側での目標層k,隣接層(k+1),(k−1)の結像面に位置づける。光検出器の形状は、直径D=(λ/NAI)とする、または、ピンホールによる受光面積の制限を行い、k層の光検出器についての再生信号Ck,(k−1)層の光検出器についての再生信号C(k−1)と(k+1)層の光検出器についての再生信号C(k+1)について、次式の演算を行う。
≒CkR+β×C(k−1)R+β×C(k+1)R
−γ×{C(k−1)R+β×CkR+β×C(k−2)R}
−γ×{C(k+1)R+β×CkR+β×C(k+2)R}
β:各信号に含まれるクロストーク成分の必要信号成分
に対する比C(k−2)R,C(k+2)Rは、十分小さく、周波数成分も低いので無視できる。よって、
F≒(1−2γβ)×CkR+(β−γ)×C(k−1)R
+(β−γ)×C(k+1)R
ここで、演算係数γ≡β<1とすると、
F≒(1−β2)×CkR
上式の演算機能を用いたことによって、目標層の信号成分だけを求める。
31.項29において、複数スポットを用いる。k層に焦点づけた時の隣接層上の焦点ずれスポットと同じスポット径のスポットを2つの隣接層に、スポットに先行させて走査し、再生信号を求め、項30の演算を行うことによって、目標層の信号成分だけを求める。
32.項31において、図18に示すように、絞りを挿入して、絞り込みレンズについての実効的開口を小さくする。すなわち、有効径a′を[λ/(2d×NAF2)×a]にすることによって、隣接層に焦点を結ぶ先行スポットのスポット径を(2d×NAF)にする。
33.項31において、3つの光軸に分けて、先行する2つの光学系の絞り込みレンズの開口数を小さくする、すなわち、NAF′=λ/(2d×NAF)とすることによって、隣接層に焦点を結ぶ先行スポットのスポット径を(2d×NAF)にする。
34.項31において、先行スポットからの再生信号にスポットの強度分布であるガウシアン分布を三角分布に近似して得られる重み関数を掛けて積分を行うことによって、実効的に焦点ずれスポットがマーク列を走査している場合の再生信号を得る。
35.項30において、各演算係数γ(≡β)を設定する重み設定回路において、ディスクフォーマットとして、少なくても上下3層間でマーク記録領域が、同一光束に含まれないように配置し、h(k−1)/hk,h(k+1)/hをβ(−1),β(+1)とすることによって、上下層についての、重みをそれぞれ求める。
36.項1において、複数スポットを用い、各々の層について焦点を合わせることで、2つ以上の層について同時に記録再生を行う、すなわち、並列記録再生を行うことによって、転送速度を大きくする。
37.項9において、記録後に透過率が増加する記録媒体を用いることによって、下層に記録するときに与える光強度を低減し、さらに、下層からの反射光を大きくすることで、高効率記録,高SN比再生を行う。
38.項1において、多層ディスクにおける各層面内の案内溝,アドレス等のプリピットは、各層ごとに紫外線硬化樹脂層に設け、各層ごとに透明な型を用いて型の面から光を入射させる2P法によって形成することで、各層ごとに、トラッキングのための案内溝,層の位置を示す層アドレスなどのプリピットを形成し、データの記録再生を行う。
39.項1おいて、中間層に、1/4波長板層を設けることにより、隣接層からの反射光の偏光方向が異なるため、干渉がなくなり、隣接層間のクロストークを低減できる。
(1)本発明の3次元記録再生方法の原理
(2)3次元ディスクフォーマット,データ管理
(3)装置構成
(4)アクセス方法
(5)記録制御方法
(6)再生制御方法
(7)ディスク構造実施例と、ディスク作成方法
の順で実施例を説明する。
図1に本発明の3次元記録再生装置の記録再生の原理図を示す。局所的な光照射によって、光学的性質が局所的に変化する記録膜層1と、記録膜層の働きの補助として反射防止,多重反射,光吸収,記録膜層の光学的局所変化の転写,断熱,吸熱,発熱または補強を目的とした層、またはこれらの層の重ねあわせである中間層膜2を光学的に透明な基板3の上に多層に積み重ねたディスク4を有し、各層に絞り込まれた光スポット照射によって各層の局所的光学的性質を2次元的に、かつ各層間で独立に変化させることで、変調後のデータ“1”,“0”に対応した記録を行い、さらに、上記局所的光学的性質の変化を各層への光スポット照射によって反射光量(または透過光量)の変化として検出し、データを再生する。
dk=dF(k−1)+dMk+dFk≒dMk (数1)
かつ、中間層2は各層とも、基板3と同じ屈折率NBであるとする。この場合、多層ディスクのN層番目までの厚さdは
そこで、W40≦λ/4となるように、絞り込みレンズの設計,ディスク構造を決定する。なお、W40の右辺の絶対値の中は通常は負となる(NB≧1の場合)。一例として、基板3として屈折率NB=1.5 のガラス基板を用い、中間層として、ガラスとほぼ屈折率の等しい紫外線硬化樹脂を用い、絞り込みレンズ8のNAF=0.55 とした場合、(数3)式より、Δd≦50μmである。ここで、
d0=1.2mm−Δd=(1.15〜1.2mm),
(A) 記録目標層に記録に十分でかつ安定な記録パワー密度を与えることができること。
(B) 任意のk層に記録した場合、他の層のデータを破壊しないこと。
Ikth;記録層kでの光強度密度しきい値(mW/μm2)
Sk;k層に焦点をあわせた場合での1/e2スポット面積
Sk=Π(0.5×λ/NAF)2
ただし、回折限界に絞り込まれた光スポット径をλ/NAFとする。
ここでk層における光強度Pk[mW]は
Pmin≧Ikth×Sk/δk (数7)
一般に、光強度が最も小さくなるのは、最下層Nで、n=1〜N−1が記録され、透過率Tnがすべて低下する媒体を用いた場合→Tn′(記録後の透過率)である。
Sjkは、k層に焦点を合わせた時のj層での光スポット面積であり、層間距離dが波長λ以上なら幾何光学的に求めることができる。
TANφ=a/fF≒NAF
ここで、1/Sjk[μm2 ]は面密度を表わし、図3bのようになる。図3aと図3bから光強度密度Ijk[mW/μm2 ]が得られ、図3cのようになる。
となる。
(数8)(数9)(数11)式より
(C) ノイズ成分を最小とする。ここでは、層間クロストークノイズの低減である 。
(D) 目標層からの信号成分を最大にする。
Uk′=mUk=m×(λ/NAF)=(NAF/NAI)×(λ/NAF) =λ/NAI=λ×(fI/a) (数14)
m;受光光学系の横倍率
次に、k番目の目標層から層間距離d離れた(k±1)番目の層からの焦平面でのスポット径U(k±1)′を求める。(k±1)層からの反射光が像レンズ9で焦点を結ぶ位置と焦平面との距離d′は、
d′=Y×d=m2×d (数15)
Y:縦倍率
U(k±1)′=d′×tanφI=d′×a/(fI+d′)
=m2d×a/(fI+m2d)
ここで、fI》m2dならば
U(k±1)′≒a×m2d/fI=NAI・m2d (数16)
上式より光検出器の直径Dを、D=Uk′=λ/NAIとすれば、光検出器の径を制限しない場合と比較して、面積比ε=(D/U(k±1)′)2で、隣接層からの反射光量を低減できるので、目標層からの反射光量の変化を高いSN比で検出できる。
ただし、以下では、目標層k層に対する隣接層(k−1)層だけについて考慮する。他の層からの影響も同様に考慮できるがその値は、十分小さい。
=δ2(k−1),k×α(k−1),k×(D/U(k−1)′)2
(数17.5)
例えば、λ=0.78μm,NAF=0.55,fI=30mmとして(NAI=0.075,m=7.33,m2=53.8)において、D=Uk′≒10.4μm
図10を例にとると、δ23=1.25 ,α23=1より、反射光量の抑制率は、ε×δ223×α23となる。
=δ223×α23×(λ/NAI)2/(NAI×m2d)2
=δ223×α23×(λ/NAF2/d)2 (数18)
(I2/I3)≦1/10上式の成り立つdを求めると、
ここでは、第2層からのクロストークの影響を考慮したが、第1層からのクロストークの影響も同様に計算でき、その値(I1/I3)=0.024(=−32dB)と十分小さく無視できる。
焦点ずれもなく、無収差の場合、光学的特性関数H0(S)は、直線13のようになる。この場合、光学的分解能がゼロとなる遮断周波数は、S=2となる。実際の記録再生装置では、レーザノイズ,アンプノイズなどのノイズ成分が含まれ、さらに、焦点ずれ以外の収差を光学系自体が持っているために、遮断周波数S=2に対応する周期bまでは、検出が困難である。そこで、変調度が半分(−6dB)を変調度の許容値とする。その時、S=1となり、上記周期bの最小繰返しbminを規定する。
一方、層間距離dの値で焦点ずれが生じた場合の光学的特性関数H1(S)について、H1(S)=0となるSより、上記周期bの最大繰返しbmaxを規定する。
焦点ずれdと波面収差量B1の関係は次式で表わせられる。
数値例として、焦点ずれdに対する遮断周波数Sを求め、bmaxを求めた。
B1=−λ
d=10μmの場合→bmax=7.9μm
B1=−1.5λ
また、bmin=(λ/NAF)=1.42μm
例えば、図20のように、スポット走査方向に、可変長の符号である2−7符号を用い、トラックピッチ1.5μm 一定のディスクについて、公知例「特開昭63−53722 号」に示すピットエッジ記録方式を用いた場合、再生可能な最小ビットピッチq(μm)と層間距離dを求めると、図4に示すように、最短パターン繰返し周期は、
3q=bmin=1.42μm
q=0.47μm
ここで、最長パターン繰返しは8qであり、
8q=3.76μm≦bmax
また、ディスク半径方向のマーク周期は、トラックピッチ1.5μm 一定であり、1.5μm≦bmaxである必要がある。よって、d≧5μmで十分である。
。
。
(2)3次元ディスクフォーマット,データ管理
図5に、多層ディスク4のフォーマットの一例を示す。光を入射させる基板3から、光の進行方向に向かって、1〜n層とする。k層でのデータフォーマットはディスクを放射線上に区切ったセクタm,半径方向のデータ位置を管理するトラックl、以上、3個のアドレス(l,m,n)でデータを管理する。ある任意のトラックl,セクタmにおけるフォーマットは、図に示すように、記録再生のタイミングや、アドレス情報をあらかじめ作りつけたプリフォーマット領域と、ユーザデータを記録再生し、さらに、データの有無、読みだしの禁止などを記録し管理するデータ領域からなる。また、各層の役割として、図に示すように、ユーザデータを記録再生する層と共に、ROM(Read Only Memorey)層またはWOM(Write Once Memorey)を設け、上位コントローラのOS(Operating System)、または、後述するように、各層での記録または再生の条件などを、ディスク作成時にプリフォーマット化しておくか、出荷時に記録することもできる。また、層データの管理層として、各層のデータ状態、例えば、データの有無,エラー管理,有効なデータ領域,書替え(オーバーライト)回数を随時、記録しておくこともできる。また、交替層として、記録誤りを検出した層のかわりに情報を入れ直すこともできる。
(a)1→k→N層と上層から順に記録を行う。ただし、各層ではすべてのユーザセクタとトラックに情報を記録してから次の層に記録する。
(b)N→k→1層と下層から順に記録を行う。後は(a)と同じ。
(c)各層ではすべてのユーザセクタとトラックに情報を記録してから次の層に記録するが、記録する層の順番はランダムアクセスとする。
(d)記録する層の順番はランダムアクセスとするが、ひとつの層においてある当該セクタ内にすべてデータ記録してから、次の層の当該セクタを埋めていき、すべての層の当該セクタを埋めてから、次のセクタのデータを記録する。
(e)当該トラックにおいて、層方向にランダムアクセスを行う。この場合、セクタによる固定ブロック管理ではなく、磁気ディスクのデータ管理である可変長ブロックを適用することで、磁気ディスクのシリンダを層に対応させ、磁気ディスクのデータフォーマットをそのまま適用することができる。
(3)装置全体構成
図6に、3次元記録再生装置の全体構成を示す。記録する場合は、ユーザデータ17を変調回路18通して、変調後の2値化データ19を得る。変調後の2値化データは、記録条件設定回路20を通り、光スポットが位置づけられている位置での最適な記録条件で、強度変調されるように、レーザ駆動回路21が駆動され、光ヘッド22内の半導体レーザの光強度が変調され、ディスク4への記録を行う。
(4)アクセス方法
光スポット位置決め機構としては、絞り込みレンズ8を層方向とディスク半径方向に駆動する2次元アクチゥエータ、または、絞り込みレンズ8を層方向だけに駆動する1次元アクチゥエータと絞り込みレンズ8に入射させる光束をディスク半径方向に偏向するガルバノミラーを組み合わせたものがある。
(5)記録制御方法
次に、(1)節で示した本発明の3次元記録方式の原理を達成する記録制御方法について述べる。(1)で述べたように、記録目標であるk層に安定に記録するためには、k層までの透過率42を考慮して記録パワーP(光強度)を設定しなければならない。そこで、図6に示すように、記録条件設定回路20はアドレス認識41と記録目標であるk層までの透過率42を用いる。これを詳細に示した回路ブロック例を図7に示し、信号例を図9に示す。
、k層までの透過率変化は2乗で再生信号に現われるからである。
(6)再生制御方法
次に、本発明の再生方式を達成する図6に示した再生制御回路25を詳細に説明する。ここでは、(1)節で示したような第1から第3の方法である層間クロストークを低減する再生の原理に加え、さらに層間の距離を縮めて高密度化を図る場合に生じるデータ信号帯域の層間クロストーク成分または、光学系の理想状態からのずれが生じた場合に生じる層間クロストーク成分を抑圧する第4の方法について示す。第4の方法は、第1の方法で示したような目標層からの反射光成分の検出に加え、特に層間クロストークの大部分を占める隣接層からの反射光成分も検出し、両者が互いに含んでいる成分を演算によって取り除くことで、目標層の反射光成分を抽出する。
C(k−1)≒C(k−1)R+β×CkR+β×C(k−2)R
C(k+1)≒C(k+1)R+β×CkR+β×C(k+2)R (数22)
ただし、CnRは、n層からだけの反射光についての再生信号成分を表わす。ここでβ<1が成り立っている。上式より、
演算 F≡Ck−γ×C(k−1)−γ×C(k+1)
≒CkR+β×C(k−1)R+β×C(k+1)R
−γ×{C(k−1)R+β×CkR+β×C(k−2)R} −γ×{C(k+1)R+β×CkR+β×C(k+2)R} (数23)
C(k−2)R,C(k+2)Rは、十分小さく、周波数成分も低いので無視できる。よって、
F≒(1−2γβ)×CkR+(β−γ)×C(k−1)R
+(β−γ)×C(k+1)R (数24)
ここで、γ≡β<1とすると、
F≒(1−β2)×CkR (数25)
となり、層間クロストークを抑制でき、演算後の再生信号68は、図14に示すように、再生信号73と一致する。以上の第4の方法を達成する別の構成として複数スポットを用いた例を以下に示す。図14において、焦点ずれスポット70と同じスポット径のスポット75を2つの隣接層に、スポット69に先行させて走査し、再生信号を得る。ただし、図13に示すように、スポット間隔に相当した遅延回路61,62を挿入して、上記と同様の演算を行う。この構成に用いる光学系の一例を図18に示す。図では、光学系の原理を示すため光軸を3つに分けて示してあるが、絞り込みレンズ8を共用した場合も可能である。先行する隣接層に焦点を結ぶスポット75,82のスポット径を(2d×NAF)にするための手段として、一つは、図に示すように、絞り83を挿入して、絞り込みレンズ8についての実効的開口を小さくする。すなわち、有効径a′をλ/(2d×NAF2)×aにすればよい。もちろん、3つの光軸に分けて、先行する2つの光学系の絞り込みレンズの開口数を小さくしても同様の効果が得られる。すなわち、NAF′=λ/(2d×NAF)とする。
(7)ディスク構造実施例とディスク作成法
図11に示すように、直径130mm,厚さ1.1mm のディスク状化学強化ガラス板の表面に、フォトポリメリゼーション法(2P法)によって、1.5μm ピッチのトラッキング用の案内溝と、一周を17セクターに分割し各セクターの始まりで溝と溝の中間の山の部分に凹凸ピットの形で層ののアドレス,トラックアドレスやセクターアドレスなどのプリピット(この部分をヘッダー部と呼ぶ)とを有する紫外線硬化樹脂層を形成したレプリカ基板を作製した。
録膜406,409それぞれ独立に合わせることができる。
6 30
7 100
8 160
9 210
10 250
11 280
12 300
14 310
記録膜403に記録した後にさらに記録膜406に焦点を合わせて記録した。この時の再生信号強度の記録パワー依存性を以下に示す。
7 25
8 95
9 155
10 205
11 245
12 275
13 295
15 305
記録膜403および記録膜406に記録した後にさらに記録膜409に焦点を合わせて記録した。この時の再生信号強度の記録パワー依存性を以下に示す。
8 20
9 90
10 150
11 200
12 240
13 270
14 290
16 300
また、記録膜403に3MHz、記録膜406に4MHz、および記録膜409に5MHzの信号をそれぞれ記録した後、記録膜403,406および409に焦点を合わせて再生信号を読み出した結果を以下に示す。
記録膜403 55dB 23dB 6dB
記録膜406 25dB 53dB 21dB
記録膜409 10dB 23dB 51dB
上記の様に、各層について、CN比が50dB以上、隣接記録膜からの層間クロストークが−25dBより小さく、信頼性の高い再生が可能な信号を得ることができた。
7 15
8 85
9 145
10 195
11 235
12 265
13 285
15 295
記録膜409に記録した後にさらに記録膜406に焦点を合わせて記録した。この時の再生信号強度の記録パワー依存性を以下に示す。
7.5 20
8.5 90
9.5 150
10.5 200
11.5 240
12.5 270
13.5 290
15.5 300
記録膜409および記録膜406に記録した後にさらに記録膜403に焦点を合わせて記録した。この時の再生信号強度の記録パワー依存性を以下に示す。
8 25
9 95
10 155
11 205
12 245
13 275
14 295
16 305
また、記録膜409に5MHz、記録膜406に4MHz、および記録膜403に3MHzの信号をそれぞれ記録した後、記録膜403,406および409に焦点を合わせて読み出した再生信号の各キャリア周波数におけるCN比の測定結果を以下に示す。
記録膜403 54dB 24dB 7dB
記録膜406 26dB 52dB 22dB
記録膜409 11dB 24dB 50dB
上記の様に、各層について、CN比が50dB以上、隣接記録膜からの層間クロストークが−25dBより小さく、信頼性の高い再生が可能な信号を得ることができた。
Claims (3)
- 情報が記録されている複数の記録層を有する媒体の、第1の記録層に光スポットを収束させる工程と、
前記光をスポットを収束させている第1の層のアドレスを読取る工程と、
前記第1の層とは異なる第2の層を指定する工程と、
前記第1の層から前記第2の層までの光スポット移動層数及び移動方向を認識して信号を発生する工程と、
前記信号を光スポットを移動させる手段に入力する工程と、
前記入力された信号に基づいて、前記光スポットを移動させる工程とを有し、
前記信号は、前記光スポットの前記複数の記録層の1層間の移動に対し、極性の異なる1対のパルスで構成され、移動方向によって前記極性を入れ替えることを特徴とする層アクセス方法。 - 情報が記録されている複数の記録層を有する媒体の、第1の層に光スポットを収束させる層アクセス方法において、
前記光スポットの焦点位置が、前記記録媒体の最上層から最下層まで移動するように、光スポット移動手段の移動信号発生回路からのこぎり波を発生させ、前記光スポット移動手段を駆動させる工程を有することを特徴とする層アクセス方法。 - 複数の記録層を積層した媒体の第1の記録層に光スポットを照射することにより情報を記録する情報記録方法において、前記複数の記録層の最上層から最下層の順又は最下層から最上層の順で光スポットを移動させ、情報を記録することを特徴とする情報記録方法。
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