JP2004212613A - 顕微鏡用傾角鏡筒、および該鏡筒を備えた顕微鏡 - Google Patents
顕微鏡用傾角鏡筒、および該鏡筒を備えた顕微鏡 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】倒立像を結像し、俯視角度が調整可能であり、接眼レンズによる観察と撮像装置による撮像とを可能とする顕微鏡用傾角鏡筒、および該鏡筒を備えた顕微鏡を提供する。
【解決手段】顕微鏡本体に設置されて対物レンズからの光が導かれる固定鏡筒部2と、固定鏡筒部2に対して揺動可能に設けられており、接眼レンズが取り付けられる接眼鏡筒部3とからなり、対物レンズからの光を接眼レンズの像面IEPに倒立像として結ぶ顕微鏡用傾角鏡筒1であって、固定鏡筒部2に対して着脱可能に設けられており、撮像装置が取り付けられる撮像鏡筒部4と、固定鏡筒部2内に配設されており、対物レンズからの光を分割して接眼鏡筒部3および撮像鏡筒部4へ導くための光路分割部材6とを有し、対物レンズからの光を撮像装置の像面ITVにも倒立像として結ぶことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】顕微鏡本体に設置されて対物レンズからの光が導かれる固定鏡筒部2と、固定鏡筒部2に対して揺動可能に設けられており、接眼レンズが取り付けられる接眼鏡筒部3とからなり、対物レンズからの光を接眼レンズの像面IEPに倒立像として結ぶ顕微鏡用傾角鏡筒1であって、固定鏡筒部2に対して着脱可能に設けられており、撮像装置が取り付けられる撮像鏡筒部4と、固定鏡筒部2内に配設されており、対物レンズからの光を分割して接眼鏡筒部3および撮像鏡筒部4へ導くための光路分割部材6とを有し、対物レンズからの光を撮像装置の像面ITVにも倒立像として結ぶことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、顕微鏡用傾角鏡筒、および該鏡筒を備えた顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、顕微鏡観察においてエルゴノミーの観点から、アイポイント位置(接眼レンズの射出瞳位置)を観察者個々に最適な位置に配置してできる限り楽な姿勢で観察を行うべく、接眼レンズをのぞき込む方向(俯視角度)などを可変とする鏡筒が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
斯かる鏡筒のうち、主に工業分野などで用いられる顕微鏡では、標本からの光を正立像として接眼レンズへ導く鏡筒が求められている。この正立系の鏡筒は、一般に中間像を一度形成し、再結像リレーレンズ系によって標本像を形成するものであるため、鏡筒全体の光路長が長く設計の自由度が高く、撮像装置を取り付けるためのポートを設けることが容易であった。
一方、生物分野で用いられる顕微鏡では、従来の顕微鏡と同様、標本からの光を倒立像として接眼レンズへ導く鏡筒が求められている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−142473号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の倒立系の鏡筒は、一次像を標本像とするため、光路長の制限が厳しく設計の自由度が大幅に制限されてしまい、撮像装置を取り付けるためのポートを設けることが困難であるという問題がある。
【0005】
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、倒立像を結像し、俯視角度が調整可能であり、接眼レンズによる観察と撮像装置による撮像とを可能とする顕微鏡用傾角鏡筒、および該鏡筒を備えた顕微鏡を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、
顕微鏡本体に設置されて対物レンズからの光が導かれる固定鏡筒部と、
前記固定鏡筒部に対して揺動可能に設けられており、接眼レンズが取り付けられる接眼鏡筒部とからなり、
前記対物レンズからの光を前記接眼レンズの像面に倒立像として結ぶ顕微鏡用傾角鏡筒であって、
前記固定鏡筒部に対して着脱可能に設けられており、撮像装置が取り付けられる撮像鏡筒部と、
前記固定鏡筒部内に配設されており、前記対物レンズからの光を分割して前記接眼鏡筒部および前記撮像鏡筒部へ導くための光路分割部材とを有し、
前記対物レンズからの光を前記撮像装置の像面にも倒立像として結ぶことを特徴とする顕微鏡用傾角鏡筒を提供する。
【0007】
また、請求項2に記載の顕微鏡用傾角鏡筒は、
請求項1に記載の顕微鏡用傾角鏡筒において、
前記接眼鏡筒部は、前記固定鏡筒部に対して揺動可能かつ前記接眼鏡筒部の光軸方向へ伸縮可能に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の顕微鏡用傾角鏡筒は、
請求項1または請求項2に記載の顕微鏡用傾角鏡筒において、
前記光路分割部材は、前記対物レンズからの光を透過光と反射光とに分割して前記透過光を前記接眼鏡筒部へ導き前記反射光を前記撮像鏡筒部へ導く半透過部と、前記対物レンズからの光を全て透過させて透過光とし当該透過光を前記接眼鏡筒部へ導く全透過部とを備えており、前記半透過部と前記全透過部とを切り換えて光路内へ配置するべく前記固定鏡筒部内に移動可能に配設されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の顕微鏡は、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の顕微鏡用傾角鏡筒と、
当該顕微鏡用傾角鏡筒の前記接眼鏡筒部に取り付けられた前記接眼レンズと、
標本からの光を前記顕微鏡用傾角鏡筒の前記固定鏡筒部へ導く前記対物レンズとを備えたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒を図1を参照して説明する。図1(a),(b)はそれぞれ、本発明の第1実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒の構成を示す図,後述の光路分割部材の貼り合わせ面を示す図である。
【0011】
本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒1は、顕微鏡において双眼観察と撮像装置を用いた撮像とを行うための三眼鏡筒であって、図1(a)に示すように顕微鏡本体に固定される固定鏡筒部2と、接眼レンズが取り付けられる双眼鏡筒部3と、撮像装置が取り付けられる撮像鏡筒部4とからなる。
【0012】
固定鏡筒部2は、不図示の顕微鏡本体の対物レンズ側から順に、第1レンズ群5と、光路分割部材6と、該光路分割部材6の透過光路上に配置された第2レンズ群9と反射ミラー10と、光路分割部材6の反射光路上に配置された第4レンズ群11とを備えている。
第1レンズ群5と第2レンズ群9とは、光路分割部材6を挟んで望遠鏡系をなしている。
第2レンズ群9および第4レンズ群11は、それぞれ光路分割部材6からの光束を平行光束にするレンズ群である。
反射ミラー10は、揺動軸Oを中心として揺動可能に固定鏡筒部2内に配置されており、第2レンズ群9からの光束の反射方向を変化させるものである。
【0013】
光路分割部材6は、図1紙面垂直方向(x方向)へ延びる大きさの異なる2つの三角柱プリズム7,8を貼り合わせて構成された五角柱プリズムである。2つの三角柱プリズム7,8の貼り合わせ面6Mには、入射光のうちの一部を透過させ、かつこれ以外の入射光を反射する半透過部6Maと、全ての入射光を透過させる全透過部6Mbとが図1(b)に示すように形成されている。さらに光路分割部材6は、x方向へスライド可能に設けられている。これにより、観察者は手動にて光路分割部材6をx方向へスライドさせることで、第1レンズ群5からの光束の光路内に半透過部6Maと全透過部6Mbとを任意に切り換えて配置することができる。
斯かる構成の下、第1レンズ群5から射出された光束の光路内に半透過部6Maを配置した場合、該半透過部6Maへ入射した光束のうち、半透過部6Maを透過した光束は三角柱プリズム8中を進行して内面8Mに反射されて第2レンズ群9へ導かれ、半透過部6Maにて反射された光束は第4レンズ群11へ導かれる。また、第1レンズ群5からの光束の光路内に全透過部6Mbを配置した場合、該全透過部6Mbへ入射した全ての光束が三角柱プリズム8中を進行して第2レンズ群9へ導かれることとなる。
【0014】
双眼鏡筒部3は、反射ミラー10側から順に、第3レンズ群12と、分割プリズム群13とを備えている。この分割プリズム群13の射出側には双眼観察を行うための左右の目に対応する左右一対の接眼レンズが取り付けられ、双眼鏡筒部3によって接眼レンズの像面IEPに結ばれた像は該接眼レンズによって拡大され標本像としてアイポイントEに結ばれることとなる。
第3レンズ群12は、接眼レンズの像面IEPに反射ミラー10からの平行光束を結像するレンズ群であり、第2レンズ群9と反射ミラー10、第3レンズ群12は平行系をなしている。また分割プリズム群13は、第3レンズ群12からの光束を二分割して左右一対の接眼レンズへそれぞれ導く。
【0015】
斯かる双眼鏡筒部3は、揺動軸Oを中心として揺動可能に固定鏡筒部2に連結されており、双眼鏡筒部3に取り付けられた接眼レンズを一体的に揺動させることができる。したがって、揺動軸Oを中心として双眼鏡筒部3を揺動させることで、接眼レンズをのぞき込む方向(俯視角度)を変化させることができる。本実施形態では、双眼鏡筒部3を図示のように角度αだけ揺動させたときに、これに連動して反射ミラー10を同方向へ角度α/2だけ回転させる、不図示のいわゆる角度1:2機構が設けられている。
【0016】
さらに双眼鏡筒部3は、該双眼鏡筒部3の光軸方向へ伸縮可能に設けられており、双眼鏡筒部3に取り付けられた接眼レンズを一体的に光軸方向へ移動させることができる。双眼鏡筒部3を光軸方向へ移動させることによって、反射ミラー10から第3レンズ群12までの距離d1を変化させて、第3レンズ群12の結像位置を光軸方向へ変化させることができる。したがって、双眼鏡筒部3に取り付けられた接眼レンズを一体的に光軸方向へ移動させることで、アイポイント位置Eを光軸方向へ変化させることができる。このとき、上述のように第2レンズ群9から反射ミラー10、第3レンズ群12は平行系をなしているため、距離d1を変化させても第3レンズ群12の結像性に影響を及ぼすことはなく、アイポイント位置Eで観察される標本像に変化が生じることがない。
【0017】
撮像鏡筒部4は、第4レンズ群11側から順に、第5レンズ群14と、反射ミラー15とを備えており、固定鏡筒部2に対して着脱可能に設けられている。この撮像鏡筒部4の反射ミラー15の射出側には撮像を行うための撮像装置が取り付けられ、撮像鏡筒部4によって撮像装置の像面ITVに結ばれた像は該撮像装置によって標本像として撮像されることとなる。
第5レンズ群14は、第4レンズ群11からの平行光束を反射ミラー15を介して撮像装置の像面ITVに結像するレンズ群であり、第4レンズ群11から第5レンズ群14は平行系をなしている。これにより、撮像鏡筒部4の固定鏡筒部2への着脱が容易となる。
【0018】
次に、上記構成の本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒1の作用について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒1において、不図示の顕微鏡本体の無限遠補正系の対物レンズからの光束は、第1レンズ群5を経て光路分割部材6へ入射する。
光路分割部材6を透過した光束は、第2レンズ群9によって平行光束とされ、反射ミラー10によって反射された後、第3レンズ群12によって不図示の接眼レンズの像面IEPに結像される。したがって、接眼レンズによって標本の拡大像が結像されて双眼観察することができる。尚、対物レンズからの光束は光路分割部材6における内面8Mと反射ミラー10とによって二回反射されるため、標本像は二度反転されることとなる。これにより、接眼レンズを介して観察される標本像は、一般的な顕微鏡の観察像と同様に倒立像となるため、違和感のない双眼観察を行うことができる。
【0019】
一方、光路分割部材6によって反射された光束は、第4レンズ群11によって平行光束とされ、第5レンズ群14によって反射ミラー15を介して不図示の撮像装置の像面ITVへ結像される。したがって、撮像装置よって標本像を撮像することができる。尚、対物レンズからの光束は光路分割部材6における半透過部6Maと反射ミラー15とによって二回反射されるため、標本像は二度反転されることとなる。これにより、撮像装置で撮像される標本像は、上述の双眼観察における標本像と同様に倒立像となる。
【0020】
ここで、上述のように光路分割部材6は、x方向へスライドさせることで、半透過部6Maと全透過部6Mbとを第1レンズ群5から射出された光束の光路内へ切り換えて配置することができる。
半透過部6Maを光路内へ配置した場合、第1レンズ群5から射出された光束は半透過部6Maによって透過光と反射光とに分割される。そして、透過光は双眼鏡筒部3へ導かれ、接眼レンズを介して双眼観察を行うことができる。また、反射光は撮像鏡筒部4へ導かれ、撮像装置によって撮像を行うことができる。
【0021】
全透過部6Mbを光路内へ配置した場合、第1レンズ群5から射出された光束は全て双眼鏡筒部3へ導かれ、接眼レンズを介して双眼観察のみを行うことができる。この場合、撮像鏡筒部4へ光束が導かれることがないため、双眼鏡筒部3はより明るい像を接眼レンズの像面IEPに結ぶことができる。また、光路分割部材6の貼り合わせ面6Mにさらに全反射部(不図示)6Mcを設ければ、光束を全て撮像鏡筒部4へ導くこともできる。さらに、撮像鏡筒部4は固定鏡筒部2に対して容易に着脱可能であるため、撮像を行わない場合は撮像鏡筒部4および撮像装置を取り外しておき、必要に応じて取り付けて使用することができる。
【0022】
以上、本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒1は、俯視角度およびアイポイントEの光軸方向位置をそれぞれ調整可能である。したがって、これら両者の調整を組み合わせることでアイポイントEの高さを調整することが可能となり、観察者はアイポイントEを最適な位置に配置して楽な姿勢で観察を行うことができる。
また、本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒1は、光路分割部材6の半透過部6Maと全透過部6Mbとを切り換える構成とすることで、固定鏡筒部2と双眼鏡筒部3との光路長を延長することなく撮像鏡筒部4を設けることができる。これにより、接眼レンズによる双眼観察と撮像装置による撮像とを選択的に行うことができる。
またこのとき本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒1は、対物レンズからの光束を偶数回反射させて接眼レンズおよび撮像装置へ導くことで、それぞれにおいて倒立像を観察することができる。
【0023】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒を図2,図3を参照して説明する。図2(a),(b)はそれぞれ、本発明の第2実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒の構成を示す図,光路分割部材の貼り合わせ面を示す図である。図3は、本実施形態において、後述のプリズム120,121,122の構成の説明のため、光路分割部材を透過した光束が経由する全ての部材を該光束の光軸上に真っ直ぐ配置した場合のy方向から見た断面を示す図である。
本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒101おいて、上記第1実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒と同様の構成である部分には同じ符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0024】
固定鏡筒部102は、図2(a),図3に示すように、不図示の顕微鏡本体の対物レンズ側から順に、光路分割部材106と、該光路分割部材106の透過光路上に配置された第1レンズ群105と、プリズム120と、プリズム121と、第2レンズ群109と、プリズム122とを備えている。
第1レンズ群105と第2レンズ群109とは、プリズム120,121を挟んで望遠鏡系をなしている。
第2レンズ群109は、光路分割部材106からの光束を平行光束にするレンズ群である。
【0025】
光路分割部材106は、x方向へ延びる同じ大きさの2つの三角柱プリズム107,108を貼り合わせて構成された四角柱プリズムである。2つの三角柱プリズム107,108の貼り合わせ面106Mには、上記第1実施形態と同様に、半透過部106Maと全透過部106Mbとが図2(b)に示すように形成されている。さらに光路分割部材106は、x方向へスライド可能に設けられており、第1レンズ群105からの光束の光路内に半透過部106Maと全透過部106Mbとを任意に切り換えて配置することができる。また、光路分割部材106の貼り合わせ面106Mにさらに全反射部(不図示)106Mcを設ければ、光束を全て撮像鏡筒部104へ導くこともできる。
【0026】
プリズム121およびプリズム122は、それぞれ揺動軸Pおよび揺動軸Qを中心として揺動可能に固定鏡筒部に配置されている。これらのプリズム121,122は、プリズム121を揺動軸Pを中心として揺動させると、プリズム122は揺動軸Qを中心として所定の角度だけ揺動するように構成されている。以下に述べる双眼鏡筒部103は、プリズム122と一体的に揺動可能に固定鏡筒部102に連結されている。したがって、双眼鏡筒部103は、プリズム121の揺動に連動してプリズム122が揺動軸Qを中心として揺動する際に、プリズム122と一体的に揺動することとなる。
【0027】
双眼鏡筒部103は、プリズム122側から順に、第3レンズ群112と、分割プリズム群113とを備えている。
第3レンズ群112は、接眼レンズの像面IEPにプリズム122からの平行光束を結像するレンズ群であり、第2レンズ群109からプリズム122、第3レンズ群112は平行系をなしている。また分割プリズム群113は、第3レンズ群112からの光束を二分割して左右一対の接眼レンズへそれぞれ導く。
斯かる双眼鏡筒部103は、上述のようにプリズム122と一体的に揺動可能に固定鏡筒部102に連結されている。これにより、双眼鏡筒部103に取り付けられた接眼レンズを一体的に揺動させて俯視角度を変化させることができる。
【0028】
さらに双眼鏡筒部103は、上記第1実施形態と同様、双眼鏡筒部103の光軸方向へ伸縮可能に設けられており、双眼鏡筒部103に取り付けられた接眼レンズを一体的に光軸方向へ移動させることができる。双眼鏡筒部103を光軸方向へ移動させることによって、プリズム122から第3レンズ群112までの距離d1を変化させて、第3レンズ群112の結像位置を光軸方向へ変化させることができる。したがって、双眼鏡筒部103に取り付けられた接眼レンズを一体的に光軸方向へ移動させることで、アイポイント位置Eを光軸方向へ変化させることができる。
【0029】
撮像鏡筒部104は、光路分割部材106側から順に、第4レンズ群114と、反射ミラー115とを備えており、固定鏡筒部102に対して着脱可能に設けられている。
第4レンズ群114は、光路分割部材106からの平行光束を反射ミラー115を介して撮像装置の像面ITVに結像するレンズ群であり、この第4レンズ群114には不図示の無限遠系対物レンズからの平行光束が導かれる。これにより、撮像鏡筒部104の固定鏡筒部102への着脱が容易となる。
【0030】
次に、上記構成の本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒101の作用について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒101において、不図示の顕微鏡本体の対物レンズからの光束は、光路分割部材106へ入射する。
光路分割部材106を透過した光束は、第1レンズ群105、プリズム120、およびプリズム121を経て、第2レンズ群109によって平行光束とされる。この平行光束は、プリズム122を経て、第3レンズ群112によって不図示の接眼レンズの像面IEPに結像される。したがって、接眼レンズによって標本の拡大像が結像されて双眼観察することができる。尚、対物レンズからの光束はプリズム120の内面とプリズム121の2つの内面とプリズム122の内面とによって四回反射されるため、標本像は四度反転されることとなる。これにより、接眼レンズを介して観察される標本像は、一般的な顕微鏡の観察像と同様に倒立像となる。
【0031】
一方、光路分割部材106によって反射された平行光束は、第4レンズ群114によって反射ミラー115を介して不図示の撮像装置の像面ITVへ結像される。したがって、撮像装置よって標本像を撮像することができる。尚、対物レンズからの光束は半透過部108Maと反射ミラー115とによって二回反射されるため、標本像は二度反転されることとなる。これにより、撮像装置で撮像される標本像は、上述の双眼観察における観察像と同様に倒立像となる。
尚、本実施形態の上述以外の構成は、上記第1実施形態と同じである。
【0032】
以上、本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒101は、第1レンズ群105の直前に光路分割部材106を配置し、固定鏡筒部102と双眼鏡筒部103との光路長の延長を最小限に抑えて撮像鏡筒部104を設けることができる。
また、本実施形態に係る鏡筒は、上記第1実施形態の奏する効果と同様の効果を奏することができる。
【0033】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る顕微鏡を図4を参照して説明する。
図4は、本発明の第3実施形態に係る顕微鏡を示す概略構成図である。
本実施形態に係る顕微鏡30は、上記第1実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒と同様の構成の顕微鏡用傾角鏡筒201を備えた顕微鏡である。顕微鏡用傾角鏡筒201において、固定鏡筒部202は顕微鏡本体31に設置されており、双眼鏡筒部203および撮像鏡筒部204にはそれぞれ接眼レンズ32および撮像装置33が取り付けられている。
【0034】
図4において、ステージ37上に載置された不図示の標本は、透過照明部34からの照明光にて照明される。そして標本を透過した光は、無限遠系の対物レンズ35によって平行光束とされて傾角鏡筒201へ入射し、該傾角鏡筒201によって接眼レンズ32または撮像装置33へ導かれる。このようにして観察者は標本の双眼観察と撮像とを行うことができる。
傾角鏡筒201には、上記第1実施形態において説明した固定鏡筒部内の光路分割部材をスライドさせるためのレバー36が設けられており、双眼観察と、双眼観察および撮像とを切り換えることができる。尚、光路分割部材の貼り合わせ面にさらに全反射部を設ければ、光束を全て撮像鏡筒部へ導くこともできる。この傾角鏡筒201は、本実施形態に係る顕微鏡30において、上記第1実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒が奏する効果と同様の効果を奏する。
尚、本実施形態に係る顕微鏡30の鏡筒として、第2実施形態に係る顕微鏡用鏡筒を用いることもできる。
【0035】
以上より本実施形態に係る顕微鏡30では、傾角鏡筒201の俯視角度およびアイポイントの光軸方向位置を調整することで楽な姿勢で双眼観察を行うことができ、かつ撮像装置を取り付けて撮像を行うことができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、倒立像を結像し、俯視角度が調整可能であり、接眼レンズによる観察と撮像装置による撮像とを可能とする顕微鏡用傾角鏡筒、および該鏡筒を備えた顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第1実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒の構成を示す図,光路分割部材の貼り合わせ面を示す図である。
【図2】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第2実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒の構成を示す図,光路分割部材の貼り合わせ面を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒において、プリズムの構成の説明のため、光路分割部材を透過した光束が経由する全ての部材を該光束の光軸上に真っ直ぐ配置した場合のy方向から見た断面を示す図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る顕微鏡を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1,101,201 顕微鏡用傾角鏡筒
2,102,202 固定鏡筒部
3,103,203 双眼鏡筒部
4,104,204 撮像鏡筒部
6,106 光路分割部材
E アイポイント
【発明の属する技術分野】
本発明は、顕微鏡用傾角鏡筒、および該鏡筒を備えた顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、顕微鏡観察においてエルゴノミーの観点から、アイポイント位置(接眼レンズの射出瞳位置)を観察者個々に最適な位置に配置してできる限り楽な姿勢で観察を行うべく、接眼レンズをのぞき込む方向(俯視角度)などを可変とする鏡筒が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
斯かる鏡筒のうち、主に工業分野などで用いられる顕微鏡では、標本からの光を正立像として接眼レンズへ導く鏡筒が求められている。この正立系の鏡筒は、一般に中間像を一度形成し、再結像リレーレンズ系によって標本像を形成するものであるため、鏡筒全体の光路長が長く設計の自由度が高く、撮像装置を取り付けるためのポートを設けることが容易であった。
一方、生物分野で用いられる顕微鏡では、従来の顕微鏡と同様、標本からの光を倒立像として接眼レンズへ導く鏡筒が求められている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−142473号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の倒立系の鏡筒は、一次像を標本像とするため、光路長の制限が厳しく設計の自由度が大幅に制限されてしまい、撮像装置を取り付けるためのポートを設けることが困難であるという問題がある。
【0005】
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、倒立像を結像し、俯視角度が調整可能であり、接眼レンズによる観察と撮像装置による撮像とを可能とする顕微鏡用傾角鏡筒、および該鏡筒を備えた顕微鏡を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、
顕微鏡本体に設置されて対物レンズからの光が導かれる固定鏡筒部と、
前記固定鏡筒部に対して揺動可能に設けられており、接眼レンズが取り付けられる接眼鏡筒部とからなり、
前記対物レンズからの光を前記接眼レンズの像面に倒立像として結ぶ顕微鏡用傾角鏡筒であって、
前記固定鏡筒部に対して着脱可能に設けられており、撮像装置が取り付けられる撮像鏡筒部と、
前記固定鏡筒部内に配設されており、前記対物レンズからの光を分割して前記接眼鏡筒部および前記撮像鏡筒部へ導くための光路分割部材とを有し、
前記対物レンズからの光を前記撮像装置の像面にも倒立像として結ぶことを特徴とする顕微鏡用傾角鏡筒を提供する。
【0007】
また、請求項2に記載の顕微鏡用傾角鏡筒は、
請求項1に記載の顕微鏡用傾角鏡筒において、
前記接眼鏡筒部は、前記固定鏡筒部に対して揺動可能かつ前記接眼鏡筒部の光軸方向へ伸縮可能に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の顕微鏡用傾角鏡筒は、
請求項1または請求項2に記載の顕微鏡用傾角鏡筒において、
前記光路分割部材は、前記対物レンズからの光を透過光と反射光とに分割して前記透過光を前記接眼鏡筒部へ導き前記反射光を前記撮像鏡筒部へ導く半透過部と、前記対物レンズからの光を全て透過させて透過光とし当該透過光を前記接眼鏡筒部へ導く全透過部とを備えており、前記半透過部と前記全透過部とを切り換えて光路内へ配置するべく前記固定鏡筒部内に移動可能に配設されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の顕微鏡は、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の顕微鏡用傾角鏡筒と、
当該顕微鏡用傾角鏡筒の前記接眼鏡筒部に取り付けられた前記接眼レンズと、
標本からの光を前記顕微鏡用傾角鏡筒の前記固定鏡筒部へ導く前記対物レンズとを備えたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒を図1を参照して説明する。図1(a),(b)はそれぞれ、本発明の第1実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒の構成を示す図,後述の光路分割部材の貼り合わせ面を示す図である。
【0011】
本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒1は、顕微鏡において双眼観察と撮像装置を用いた撮像とを行うための三眼鏡筒であって、図1(a)に示すように顕微鏡本体に固定される固定鏡筒部2と、接眼レンズが取り付けられる双眼鏡筒部3と、撮像装置が取り付けられる撮像鏡筒部4とからなる。
【0012】
固定鏡筒部2は、不図示の顕微鏡本体の対物レンズ側から順に、第1レンズ群5と、光路分割部材6と、該光路分割部材6の透過光路上に配置された第2レンズ群9と反射ミラー10と、光路分割部材6の反射光路上に配置された第4レンズ群11とを備えている。
第1レンズ群5と第2レンズ群9とは、光路分割部材6を挟んで望遠鏡系をなしている。
第2レンズ群9および第4レンズ群11は、それぞれ光路分割部材6からの光束を平行光束にするレンズ群である。
反射ミラー10は、揺動軸Oを中心として揺動可能に固定鏡筒部2内に配置されており、第2レンズ群9からの光束の反射方向を変化させるものである。
【0013】
光路分割部材6は、図1紙面垂直方向(x方向)へ延びる大きさの異なる2つの三角柱プリズム7,8を貼り合わせて構成された五角柱プリズムである。2つの三角柱プリズム7,8の貼り合わせ面6Mには、入射光のうちの一部を透過させ、かつこれ以外の入射光を反射する半透過部6Maと、全ての入射光を透過させる全透過部6Mbとが図1(b)に示すように形成されている。さらに光路分割部材6は、x方向へスライド可能に設けられている。これにより、観察者は手動にて光路分割部材6をx方向へスライドさせることで、第1レンズ群5からの光束の光路内に半透過部6Maと全透過部6Mbとを任意に切り換えて配置することができる。
斯かる構成の下、第1レンズ群5から射出された光束の光路内に半透過部6Maを配置した場合、該半透過部6Maへ入射した光束のうち、半透過部6Maを透過した光束は三角柱プリズム8中を進行して内面8Mに反射されて第2レンズ群9へ導かれ、半透過部6Maにて反射された光束は第4レンズ群11へ導かれる。また、第1レンズ群5からの光束の光路内に全透過部6Mbを配置した場合、該全透過部6Mbへ入射した全ての光束が三角柱プリズム8中を進行して第2レンズ群9へ導かれることとなる。
【0014】
双眼鏡筒部3は、反射ミラー10側から順に、第3レンズ群12と、分割プリズム群13とを備えている。この分割プリズム群13の射出側には双眼観察を行うための左右の目に対応する左右一対の接眼レンズが取り付けられ、双眼鏡筒部3によって接眼レンズの像面IEPに結ばれた像は該接眼レンズによって拡大され標本像としてアイポイントEに結ばれることとなる。
第3レンズ群12は、接眼レンズの像面IEPに反射ミラー10からの平行光束を結像するレンズ群であり、第2レンズ群9と反射ミラー10、第3レンズ群12は平行系をなしている。また分割プリズム群13は、第3レンズ群12からの光束を二分割して左右一対の接眼レンズへそれぞれ導く。
【0015】
斯かる双眼鏡筒部3は、揺動軸Oを中心として揺動可能に固定鏡筒部2に連結されており、双眼鏡筒部3に取り付けられた接眼レンズを一体的に揺動させることができる。したがって、揺動軸Oを中心として双眼鏡筒部3を揺動させることで、接眼レンズをのぞき込む方向(俯視角度)を変化させることができる。本実施形態では、双眼鏡筒部3を図示のように角度αだけ揺動させたときに、これに連動して反射ミラー10を同方向へ角度α/2だけ回転させる、不図示のいわゆる角度1:2機構が設けられている。
【0016】
さらに双眼鏡筒部3は、該双眼鏡筒部3の光軸方向へ伸縮可能に設けられており、双眼鏡筒部3に取り付けられた接眼レンズを一体的に光軸方向へ移動させることができる。双眼鏡筒部3を光軸方向へ移動させることによって、反射ミラー10から第3レンズ群12までの距離d1を変化させて、第3レンズ群12の結像位置を光軸方向へ変化させることができる。したがって、双眼鏡筒部3に取り付けられた接眼レンズを一体的に光軸方向へ移動させることで、アイポイント位置Eを光軸方向へ変化させることができる。このとき、上述のように第2レンズ群9から反射ミラー10、第3レンズ群12は平行系をなしているため、距離d1を変化させても第3レンズ群12の結像性に影響を及ぼすことはなく、アイポイント位置Eで観察される標本像に変化が生じることがない。
【0017】
撮像鏡筒部4は、第4レンズ群11側から順に、第5レンズ群14と、反射ミラー15とを備えており、固定鏡筒部2に対して着脱可能に設けられている。この撮像鏡筒部4の反射ミラー15の射出側には撮像を行うための撮像装置が取り付けられ、撮像鏡筒部4によって撮像装置の像面ITVに結ばれた像は該撮像装置によって標本像として撮像されることとなる。
第5レンズ群14は、第4レンズ群11からの平行光束を反射ミラー15を介して撮像装置の像面ITVに結像するレンズ群であり、第4レンズ群11から第5レンズ群14は平行系をなしている。これにより、撮像鏡筒部4の固定鏡筒部2への着脱が容易となる。
【0018】
次に、上記構成の本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒1の作用について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒1において、不図示の顕微鏡本体の無限遠補正系の対物レンズからの光束は、第1レンズ群5を経て光路分割部材6へ入射する。
光路分割部材6を透過した光束は、第2レンズ群9によって平行光束とされ、反射ミラー10によって反射された後、第3レンズ群12によって不図示の接眼レンズの像面IEPに結像される。したがって、接眼レンズによって標本の拡大像が結像されて双眼観察することができる。尚、対物レンズからの光束は光路分割部材6における内面8Mと反射ミラー10とによって二回反射されるため、標本像は二度反転されることとなる。これにより、接眼レンズを介して観察される標本像は、一般的な顕微鏡の観察像と同様に倒立像となるため、違和感のない双眼観察を行うことができる。
【0019】
一方、光路分割部材6によって反射された光束は、第4レンズ群11によって平行光束とされ、第5レンズ群14によって反射ミラー15を介して不図示の撮像装置の像面ITVへ結像される。したがって、撮像装置よって標本像を撮像することができる。尚、対物レンズからの光束は光路分割部材6における半透過部6Maと反射ミラー15とによって二回反射されるため、標本像は二度反転されることとなる。これにより、撮像装置で撮像される標本像は、上述の双眼観察における標本像と同様に倒立像となる。
【0020】
ここで、上述のように光路分割部材6は、x方向へスライドさせることで、半透過部6Maと全透過部6Mbとを第1レンズ群5から射出された光束の光路内へ切り換えて配置することができる。
半透過部6Maを光路内へ配置した場合、第1レンズ群5から射出された光束は半透過部6Maによって透過光と反射光とに分割される。そして、透過光は双眼鏡筒部3へ導かれ、接眼レンズを介して双眼観察を行うことができる。また、反射光は撮像鏡筒部4へ導かれ、撮像装置によって撮像を行うことができる。
【0021】
全透過部6Mbを光路内へ配置した場合、第1レンズ群5から射出された光束は全て双眼鏡筒部3へ導かれ、接眼レンズを介して双眼観察のみを行うことができる。この場合、撮像鏡筒部4へ光束が導かれることがないため、双眼鏡筒部3はより明るい像を接眼レンズの像面IEPに結ぶことができる。また、光路分割部材6の貼り合わせ面6Mにさらに全反射部(不図示)6Mcを設ければ、光束を全て撮像鏡筒部4へ導くこともできる。さらに、撮像鏡筒部4は固定鏡筒部2に対して容易に着脱可能であるため、撮像を行わない場合は撮像鏡筒部4および撮像装置を取り外しておき、必要に応じて取り付けて使用することができる。
【0022】
以上、本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒1は、俯視角度およびアイポイントEの光軸方向位置をそれぞれ調整可能である。したがって、これら両者の調整を組み合わせることでアイポイントEの高さを調整することが可能となり、観察者はアイポイントEを最適な位置に配置して楽な姿勢で観察を行うことができる。
また、本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒1は、光路分割部材6の半透過部6Maと全透過部6Mbとを切り換える構成とすることで、固定鏡筒部2と双眼鏡筒部3との光路長を延長することなく撮像鏡筒部4を設けることができる。これにより、接眼レンズによる双眼観察と撮像装置による撮像とを選択的に行うことができる。
またこのとき本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒1は、対物レンズからの光束を偶数回反射させて接眼レンズおよび撮像装置へ導くことで、それぞれにおいて倒立像を観察することができる。
【0023】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒を図2,図3を参照して説明する。図2(a),(b)はそれぞれ、本発明の第2実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒の構成を示す図,光路分割部材の貼り合わせ面を示す図である。図3は、本実施形態において、後述のプリズム120,121,122の構成の説明のため、光路分割部材を透過した光束が経由する全ての部材を該光束の光軸上に真っ直ぐ配置した場合のy方向から見た断面を示す図である。
本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒101おいて、上記第1実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒と同様の構成である部分には同じ符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0024】
固定鏡筒部102は、図2(a),図3に示すように、不図示の顕微鏡本体の対物レンズ側から順に、光路分割部材106と、該光路分割部材106の透過光路上に配置された第1レンズ群105と、プリズム120と、プリズム121と、第2レンズ群109と、プリズム122とを備えている。
第1レンズ群105と第2レンズ群109とは、プリズム120,121を挟んで望遠鏡系をなしている。
第2レンズ群109は、光路分割部材106からの光束を平行光束にするレンズ群である。
【0025】
光路分割部材106は、x方向へ延びる同じ大きさの2つの三角柱プリズム107,108を貼り合わせて構成された四角柱プリズムである。2つの三角柱プリズム107,108の貼り合わせ面106Mには、上記第1実施形態と同様に、半透過部106Maと全透過部106Mbとが図2(b)に示すように形成されている。さらに光路分割部材106は、x方向へスライド可能に設けられており、第1レンズ群105からの光束の光路内に半透過部106Maと全透過部106Mbとを任意に切り換えて配置することができる。また、光路分割部材106の貼り合わせ面106Mにさらに全反射部(不図示)106Mcを設ければ、光束を全て撮像鏡筒部104へ導くこともできる。
【0026】
プリズム121およびプリズム122は、それぞれ揺動軸Pおよび揺動軸Qを中心として揺動可能に固定鏡筒部に配置されている。これらのプリズム121,122は、プリズム121を揺動軸Pを中心として揺動させると、プリズム122は揺動軸Qを中心として所定の角度だけ揺動するように構成されている。以下に述べる双眼鏡筒部103は、プリズム122と一体的に揺動可能に固定鏡筒部102に連結されている。したがって、双眼鏡筒部103は、プリズム121の揺動に連動してプリズム122が揺動軸Qを中心として揺動する際に、プリズム122と一体的に揺動することとなる。
【0027】
双眼鏡筒部103は、プリズム122側から順に、第3レンズ群112と、分割プリズム群113とを備えている。
第3レンズ群112は、接眼レンズの像面IEPにプリズム122からの平行光束を結像するレンズ群であり、第2レンズ群109からプリズム122、第3レンズ群112は平行系をなしている。また分割プリズム群113は、第3レンズ群112からの光束を二分割して左右一対の接眼レンズへそれぞれ導く。
斯かる双眼鏡筒部103は、上述のようにプリズム122と一体的に揺動可能に固定鏡筒部102に連結されている。これにより、双眼鏡筒部103に取り付けられた接眼レンズを一体的に揺動させて俯視角度を変化させることができる。
【0028】
さらに双眼鏡筒部103は、上記第1実施形態と同様、双眼鏡筒部103の光軸方向へ伸縮可能に設けられており、双眼鏡筒部103に取り付けられた接眼レンズを一体的に光軸方向へ移動させることができる。双眼鏡筒部103を光軸方向へ移動させることによって、プリズム122から第3レンズ群112までの距離d1を変化させて、第3レンズ群112の結像位置を光軸方向へ変化させることができる。したがって、双眼鏡筒部103に取り付けられた接眼レンズを一体的に光軸方向へ移動させることで、アイポイント位置Eを光軸方向へ変化させることができる。
【0029】
撮像鏡筒部104は、光路分割部材106側から順に、第4レンズ群114と、反射ミラー115とを備えており、固定鏡筒部102に対して着脱可能に設けられている。
第4レンズ群114は、光路分割部材106からの平行光束を反射ミラー115を介して撮像装置の像面ITVに結像するレンズ群であり、この第4レンズ群114には不図示の無限遠系対物レンズからの平行光束が導かれる。これにより、撮像鏡筒部104の固定鏡筒部102への着脱が容易となる。
【0030】
次に、上記構成の本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒101の作用について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒101において、不図示の顕微鏡本体の対物レンズからの光束は、光路分割部材106へ入射する。
光路分割部材106を透過した光束は、第1レンズ群105、プリズム120、およびプリズム121を経て、第2レンズ群109によって平行光束とされる。この平行光束は、プリズム122を経て、第3レンズ群112によって不図示の接眼レンズの像面IEPに結像される。したがって、接眼レンズによって標本の拡大像が結像されて双眼観察することができる。尚、対物レンズからの光束はプリズム120の内面とプリズム121の2つの内面とプリズム122の内面とによって四回反射されるため、標本像は四度反転されることとなる。これにより、接眼レンズを介して観察される標本像は、一般的な顕微鏡の観察像と同様に倒立像となる。
【0031】
一方、光路分割部材106によって反射された平行光束は、第4レンズ群114によって反射ミラー115を介して不図示の撮像装置の像面ITVへ結像される。したがって、撮像装置よって標本像を撮像することができる。尚、対物レンズからの光束は半透過部108Maと反射ミラー115とによって二回反射されるため、標本像は二度反転されることとなる。これにより、撮像装置で撮像される標本像は、上述の双眼観察における観察像と同様に倒立像となる。
尚、本実施形態の上述以外の構成は、上記第1実施形態と同じである。
【0032】
以上、本実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒101は、第1レンズ群105の直前に光路分割部材106を配置し、固定鏡筒部102と双眼鏡筒部103との光路長の延長を最小限に抑えて撮像鏡筒部104を設けることができる。
また、本実施形態に係る鏡筒は、上記第1実施形態の奏する効果と同様の効果を奏することができる。
【0033】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る顕微鏡を図4を参照して説明する。
図4は、本発明の第3実施形態に係る顕微鏡を示す概略構成図である。
本実施形態に係る顕微鏡30は、上記第1実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒と同様の構成の顕微鏡用傾角鏡筒201を備えた顕微鏡である。顕微鏡用傾角鏡筒201において、固定鏡筒部202は顕微鏡本体31に設置されており、双眼鏡筒部203および撮像鏡筒部204にはそれぞれ接眼レンズ32および撮像装置33が取り付けられている。
【0034】
図4において、ステージ37上に載置された不図示の標本は、透過照明部34からの照明光にて照明される。そして標本を透過した光は、無限遠系の対物レンズ35によって平行光束とされて傾角鏡筒201へ入射し、該傾角鏡筒201によって接眼レンズ32または撮像装置33へ導かれる。このようにして観察者は標本の双眼観察と撮像とを行うことができる。
傾角鏡筒201には、上記第1実施形態において説明した固定鏡筒部内の光路分割部材をスライドさせるためのレバー36が設けられており、双眼観察と、双眼観察および撮像とを切り換えることができる。尚、光路分割部材の貼り合わせ面にさらに全反射部を設ければ、光束を全て撮像鏡筒部へ導くこともできる。この傾角鏡筒201は、本実施形態に係る顕微鏡30において、上記第1実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒が奏する効果と同様の効果を奏する。
尚、本実施形態に係る顕微鏡30の鏡筒として、第2実施形態に係る顕微鏡用鏡筒を用いることもできる。
【0035】
以上より本実施形態に係る顕微鏡30では、傾角鏡筒201の俯視角度およびアイポイントの光軸方向位置を調整することで楽な姿勢で双眼観察を行うことができ、かつ撮像装置を取り付けて撮像を行うことができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、倒立像を結像し、俯視角度が調整可能であり、接眼レンズによる観察と撮像装置による撮像とを可能とする顕微鏡用傾角鏡筒、および該鏡筒を備えた顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第1実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒の構成を示す図,光路分割部材の貼り合わせ面を示す図である。
【図2】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第2実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒の構成を示す図,光路分割部材の貼り合わせ面を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る顕微鏡用傾角鏡筒において、プリズムの構成の説明のため、光路分割部材を透過した光束が経由する全ての部材を該光束の光軸上に真っ直ぐ配置した場合のy方向から見た断面を示す図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る顕微鏡を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1,101,201 顕微鏡用傾角鏡筒
2,102,202 固定鏡筒部
3,103,203 双眼鏡筒部
4,104,204 撮像鏡筒部
6,106 光路分割部材
E アイポイント
Claims (4)
- 顕微鏡本体に設置されて対物レンズからの光が導かれる固定鏡筒部と、
前記固定鏡筒部に対して揺動可能に設けられており、接眼レンズが取り付けられる接眼鏡筒部とからなり、
前記対物レンズからの光を前記接眼レンズの像面に倒立像として結ぶ顕微鏡用傾角鏡筒であって、
前記固定鏡筒部に対して着脱可能に設けられており、撮像装置が取り付けられる撮像鏡筒部と、
前記固定鏡筒部内に配設されており、前記対物レンズからの光を分割して前記接眼鏡筒部および前記撮像鏡筒部へ導くための光路分割部材とを有し、
前記対物レンズからの光を前記撮像装置の像面にも倒立像として結ぶことを特徴とする顕微鏡用傾角鏡筒。 - 請求項1に記載の顕微鏡用傾角鏡筒において、
前記接眼鏡筒部は、前記固定鏡筒部に対して揺動可能かつ前記接眼鏡筒部の光軸方向へ伸縮可能に設けられていることを特徴とする顕微鏡用傾角鏡筒。 - 請求項1または請求項2に記載の顕微鏡用傾角鏡筒において、
前記光路分割部材は、前記対物レンズからの光を透過光と反射光とに分割して前記透過光を前記接眼鏡筒部へ導き前記反射光を前記撮像鏡筒部へ導く半透過部と、前記対物レンズからの光を全て透過させて透過光とし当該透過光を前記接眼鏡筒部へ導く全透過部とを備えており、前記半透過部と前記全透過部とを切り換えて光路内へ配置するべく前記固定鏡筒部内に移動可能に配設されていることを特徴とする顕微鏡用傾角鏡筒。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の顕微鏡用傾角鏡筒と、
当該顕微鏡用傾角鏡筒の前記接眼鏡筒部に取り付けられた前記接眼レンズと、
標本からの光を前記顕微鏡用傾角鏡筒の前記固定鏡筒部へ導く前記対物レンズとを備えたことを特徴とする顕微鏡。
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