JP2004211563A - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可動鉄心23と弁体24とを板ばね製の戻しばね17に固着し浮遊状態で往復動させることにより応答性にすぐれたものとした。また、固定鉄心10は先端部をスペーサプレート15に設けた保持部材27に嵌込んで中心線N−Nと同心に設置し、その吸引面10Aと可動鉄心23の吸着面23Aとを片当りすることなく全面密着させて偏摩耗による燃料噴射量の狂い、可動鉄心23が傾くことによる動作不良および戻しばね17の早期劣化をなくし、正確且つ安定した開閉動作を行なうものとした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンに供給する燃料を電子式制御装置から送られてくる電気信号により制御して吸気管に噴射する燃料噴射弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの運転状態に応じて電子式制御装置が出力する電気信号の通電時に電磁力による開き動作を弁体に行なわせ、非通電時に戻しばねによる閉じ動作を弁体に行なわせることをきわめて短かい時間で繰返すことによって燃料を継続的に噴射する燃料噴射弁においては、電気信号に弁体が鋭敏に応答すること、長時間に亘って所定の開閉動作を正確に且つ安定して行なうことが必要である。
【0003】
応答性については、戻しばねを例えば実開昭55−180066号公報に記載されているような固定鉄心と可動鉄心との間に装入したコイルばねとしたものに比べて、例えば特開平9−79107号公報に記載されているような周縁部を固定し中心部に可動鉄心と弁体とを固着した円板状の板ばねとしたものの方が有利である。 これは、可動鉄心および弁体が摺動部分をもたずに浮遊状態で往復動することによるものである。
【0004】
図2は円板状の板ばねを戻しばねに用いた燃料噴射弁の一例を示す縦断面図であって、外ケース51に内装したコイルケース53の中心に固定鉄心54が貫通状態で配備されているとともに、固定鉄心54の先端面と向かい合った可動鉄心55および弁座56と向かい合った弁体57が戻しばね58の中心部に固着されている。 コイル52に通電すると外ケース51→スペーサプレート59→可動鉄心55→固定鉄心54→外ケース51からなる磁気回路が形成され、可動鉄心55が固定鉄心54に吸引されて弁体57が弁座58から離れることによって燃料が噴射口60から噴射される。
【0005】
前記の燃料噴射弁において固定鉄心54は図2に示されているように、外ケース51の基端外方部分に設けてあるねじ孔61に基端部を螺装することによって保持されるか、または外ケース51、コイルケース53に基端部分を嵌込んでOリングなどで保持されて可動鉄心55と同一の中心線上に配備される。 しかしながら、ねじや嵌め込み部分に僅かな傾きがあると、固定鉄心54は中心線に対し傾いてコイルケース53を貫通し、その先端面である吸引面54Aとこれに向かい合った可動鉄心55の吸着面55Aとが非平行となり、コイル52に通電したとき吸着面55Aは吸引面54Aに片当たりする。 この片当たりによって吸引面54A、吸着面55Aが偏摩耗すると、弁体57の開弁ストロークが変化して燃料噴射量を変化させる。また、吸着面55Aが吸引面54Aに全面で吸着しようとすると、可動鉄心55が傾いてスペーサプレート59に接触し作動不良となったり、戻しばね58に偏荷重が作用して早期劣化や破損の原因となる、という問題を生じ、長期間に亘って所定の開閉動作を正確に且つ安定して行なわせる、という要求に応じられなくなる。
【0006】
その対策として、ねじ部分や嵌め込み保持部材を長くして傾きが全体として相殺されるようにすることが考えられるが、外ケース51や固定鉄心54が長大化して燃料噴射弁全体を大形化、大重量化するばかりか、そのためにエンジンなどの振動の影響を受けやすくなって吸気管への取り付け個所が緩む心配を生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は戻しばねを板ばねとした燃料噴射弁が第一の要求である応答性にすぐれている反面、所定の開閉動作を長期間正確に且つ安定して行なわせるという第二の要求に対応できないことがある、という前記の課題を解決するためになされたものであって、全体を大形化、大重量化することなく、第一、第二の要求を満足させることができる燃料噴射弁を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は外ケースに内装したコイルケースの中心に基端部を外ケースに保持させた固定鉄心が貫通配備されているとともに、固定鉄心と同一の中心線上に配置されてその先端面と向かい合った可動鉄心および弁座と向かい合った弁体が板ばねからなる戻しばねの中心部に固着されており、コイルへの通電・非通電に対応して可動鉄心と弁体とが浮遊状態で往復動し燃料を断続的に噴射する燃料噴射弁について、次のようにすることによって前記課題を解決した。
【0009】
即ち、固定鉄心の中心線を中心とする嵌込み孔を有する非磁性材料製の保持部材をコイルケースの先端前方に設置し、固定鉄心がコイルケースの先端から突出した先端部を嵌込み孔に密に嵌込んで保持部材に同心に保持されているものとした。
【0010】
このようにした本発明によると、基端部をねじ込みまたは嵌込みによって外ケースに保持させた固定鉄心が先端部を保持部材の嵌込み孔に密に嵌込んで同心に保持されるため、基端部の取り付けによって生じた傾きが矯正され、固定鉄心の吸引面と可動鉄心の吸着面とが平行となる。 従って、すぐれた応答性と長期間に亘る正確且つ安定した開閉動作とを両立させる、という目的が噴射弁全体を大形化、大重量化することなく達成されるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1を参照して本発明の実施の形態を説明すると、外ケース1は円筒形のケース本体2の基端にエンドカバー3を一体に有するとともに保持ナット4をエンドカバー3の中心に装備している。また、コイル6を保持したコイルケース7が基端に突設した筒壁7Aを保持ナット4に嵌装し先端のフランジ7Bに装着したOリング8をケース本体2に内接させることによって外ケース1に同心に内装されている。
【0012】
更に、固定鉄心10が基端部外側周面に設けた雄ねじ11を保持ナット4のねじ孔5に螺装することによって外ケース1に保持され、この固定鉄心10はコイルケース7の筒壁7Aに連続する中心孔9をOリング12に保持されて貫通し、先端部をコイルケース7の先端前方に突出させている。
【0013】
一方、外ケース1の先端にはフランジ7Bに重ねたスペーサプレート15、円板状の板ばねからなる戻しばね17の外側周縁部を挟み込んでスペーサプレート15に重ねた弁座ホルダ18が配置されており、これらはケース本体2を曲げ成形した折込み部2Aによって外ケース1に固定されている。 弁座ホルダ18は中心に弁座19を嵌込み固定して保持しているとともに噴射口20を有し、また戻しばね17と弁座ホルダ18とに挟まれた空間である弁室22に燃料を導入する燃料通口21を弁座19の外側方に有している。
【0014】
戻しばね17の中心には可動鉄心23と弁体24とが互いに反対方向を向き且つ戻しばね17を挟み込んで固着されている。可動鉄心23はスペーサプレート15の中心孔16に緩く嵌込まれており、固定鉄心10の先端面である吸引面10Aと向かい合った面は吸着面23Aを形成する。そして、保持ナット4、コイルケース7、固定鉄心10、可動鉄心23、弁体24および弁座19は同一の中心線N−N上に配置されている。
【0015】
本実施の形態では、固定鉄心10の吸引面10Aに衝突音低減および開放電圧確保のための弾性材料で作られた薄板状緩衝層25が積層されているとともに、この緩衝層25を囲んで硬質金属製円筒体からなる当り部材26が固定鉄心10の先端部外側周面に装着されている。 当り部材26の先端面は緩衝層25の表面よりも少し引込んでおり、この当り部材26は可動鉄心23が固定鉄心10に吸引されたとき緩衝層25を弾性変形範囲内で圧縮した段階で停止させ、過度の圧縮の繰り返しによる緩衝層25の早期劣化を防止するようになっている。
【0016】
スペーサプレート15のコイルケース7と向かい合った面には、中心孔16の開口端を囲んだ環状の保持部材27が環状凹凸の嵌合わせによって固定設置されている。 保持部材27は高硬度の非磁性材料、例えば硬質合成樹脂またはステンレス鋼から選ばれたSUS304にチッ化処理を施したもので作られ、その中空孔である嵌込み孔28は中心線N−Nと同心であってコイルケース7の先端から突出した固定鉄心10の先端部を密に嵌込んでいる。
【0017】
このような構成とした本実施の形態において、コイル6の非通電時に戻しばね17のばね力で弁体24の当り面24Aが弁座19のシート面19Aに密着して弁座22と弁通路19Aとを遮断するとともに、可動鉄心23が固定鉄心10から離れている。 コイル6に通電すると保持部材27が非磁性材料製であることによって、外ケース1→スペーサプレート15→可動鉄心23→固定鉄心10→外ケース1の磁気回路が形成され、可動鉄心23が固定鉄心10に吸引されて弁体24が弁座19から離れることによって、弁室22の燃料が弁通路19Aを通り噴射口20から噴射される。
【0018】
ここで、固定鉄心10の基端部を保持ナット4とのねじ嵌合によって外ケース1に保持させた本実施の形態において、雄ねじ11やねじ孔5のねじに僅かな傾きがあると固定鉄心10は中心線N−Nに対し傾いた状態となり、この傾きはOリング12で補正することができないが、保持部材27の中心線N−Nと同心の嵌込み孔28に先端部が密に嵌込まれることによって傾きが強制的に矯正され、固定鉄心10は中心線N−Nと同心に保持されているものとなる。
【0019】
このため、固定鉄心10の吸引面10Aと可動鉄心23の吸着面23Aとが互いに平行となって、コイル6への通電時に吸着面23Aは吸引面10Aに片当たりすることなく全面で吸着し、これらの面10A、23Aを偏摩耗させて弁体24の開弁ストロークに変化を生じさせ燃料噴射量を狂わせる、という不都合、および全面吸着しようとして可動鉄心23が傾き中心孔16の孔壁に接触して作動不良を生じる、という不都合、更に戻しばね17に偏荷重が作用して早期劣化や破損の原因となる、という不都合が全て解消されることとなる。
【0020】
加えて、可動鉄心23と弁体24は板状の戻しばね17に固着され摺動部分をもたずに浮遊状態で磁力とばね力とによる往往復を行なうので応答性にすぐれているばかりか、保持部材27はコイルケース7とスペーサプレート15との間の空間を利用してスペーサプレート15に固定設置されているので、噴射弁全体を大形化、大重量化することなく固定鉄心10を中心線N−Nと同心に設置することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると全体を大形化、大重量化することなく電気信号に対する弁体の応答性がすぐれたものとすることと、所定の開閉動作を長期間正確に且つ安定して行なえるものとすることとを両立させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す縦断面図。
【図2】従来例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 外ケース、 6 コイル、 7 コイルケース、 10 固定鉄心、 10A 吸引面、 15 スペーサプレート、 17 戻しばね、 19 弁座、 23 可動鉄心、 23A 吸着面、 24 弁体、 27 保持部材、 28嵌込み孔
Claims (2)
- 外ケースに内装したコイルケースの中心に基端部を前記外ケースに保持させた固定鉄心が貫通配備されているとともに、前記固定鉄心と同一の中心線上に配置されてその先端面と向かい合った可動鉄心および弁座と向かい合った弁体が板ばねからなる戻しばねの中心部に固着されており、コイルへの通電・非通電に対応して前記可動鉄心と弁体とが浮遊状態で往復動し燃料を断続的に噴射する燃料噴射弁において、
前記固定鉄心の中心線を中心とする嵌込み孔を有する非磁性材料製の保持部材が前記コイルケースの先端前方に設置されており、前記固定鉄心が前記コイルケースの先端から突出した先端部を前記嵌込み孔に密に嵌込んで前記保持部材に同心に保持されている、
ことを特徴とする燃料噴射弁。 - 前記コイルケースの先端に重ねられ弁座ホルダと協力して前記戻しばねの外周縁部を挟み固定したスペーサプレートに前記保持部材が固定設置されている請求項1に記載した燃料噴射弁。
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-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002379539A patent/JP4106610B2/ja not_active Expired - Lifetime
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