JP2004211398A - 貯水槽水道管理システムおよび監視者側システム - Google Patents
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Abstract
【課題】貯水槽の異常を迅速に検知し、これに迅速に対応可能なアウトソーシングサービスを実現する。
【解決手段】ある貯水槽13を測定点とした貯水状態のモニタリングを行い、貯水状態の異常を検出した場合には、測定点の異常を示す異常警報を送信するモニタ装置12と、貯水槽13の現地対応を行う作業者が保有する携帯端末31と、モニタ装置12と携帯端末31とにネットワーク接続された監視者側システム2とを有する。ここで、監視者側システム2は、モニタ装置12より一の測定点に関する異常警報を受信した場合、携帯端末31のネットワーク上のアドレスと測定点とが対応付けて記述されたデータベースを参照することによって、一の測定点に対応するアドレスを特定するとともに、特定されたアドレスの携帯端末31に対して、一の測定点に関する異常通知を送信する。
【選択図】図1
【解決手段】ある貯水槽13を測定点とした貯水状態のモニタリングを行い、貯水状態の異常を検出した場合には、測定点の異常を示す異常警報を送信するモニタ装置12と、貯水槽13の現地対応を行う作業者が保有する携帯端末31と、モニタ装置12と携帯端末31とにネットワーク接続された監視者側システム2とを有する。ここで、監視者側システム2は、モニタ装置12より一の測定点に関する異常警報を受信した場合、携帯端末31のネットワーク上のアドレスと測定点とが対応付けて記述されたデータベースを参照することによって、一の測定点に対応するアドレスを特定するとともに、特定されたアドレスの携帯端末31に対して、一の測定点に関する異常通知を送信する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯水槽水道管理システムおよび監視者側システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
水質管理には高度な専門知識が必要とされるため、最近、その専門知識を有する者が建物に設置された貯水槽の水質管理を行うアウトソーシングサービスに対するニーズが高まっている。例えば、特許文献1には、受水槽モニタ装置によって貯水の水質を監視し、その監視結果に基づいて、貯水の水質に関する報告書を受水槽の設置責任者に送信する建物向け受水糟セキュリティシステムが開示されている。貯水の水質が劣化した場合、このシステムは、受水槽の設置責任者にその旨を通知する。この通知には、今回発生した水質劣化に対する応急措置方法が含まれている。この通知を受けた設置責任者は、通知に含まれる応急措置方法に従い、必要な対策を講じる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−81099号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、設置責任者は、必ずしも専門知識を有していないので、この者による応急措置のみでは、十分な対策を講じることができないケースが想定される。このようなケースの典型例としては、問題解決のために、受水槽の清掃が必要なケース、或いは、修繕工事が必要なケース等が挙げられる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、貯水槽の異常を迅速に検知し、これに迅速に対応可能なアウトソーシングサービスを実現することである。
【0006】
また、本発明の別の目的は、貯水槽の異常検知時における設置責任者の負担を軽減することで、設置責任者にとっての利便性の向上を図ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、第1の発明は、建物毎に設置された貯水槽を多数管理する貯水槽水道管理システムを提供する。このシステムは、ある貯水槽を測定点とした貯水状態のモニタリングを行い、貯水状態の異常を検出した場合には、測定点の異常を示す異常警報を送信するモニタ装置と、貯水槽の現地対応を行う作業者が保有する携帯端末と、モニタ装置と携帯端末とにネットワーク接続された監視者側システムとを有する。ここで、監視者側システムは、モニタ装置より一の測定点に関する異常警報を受信した場合、携帯端末のネットワーク上のアドレスと測定点とが対応付けて記述されたデータベースを参照することによって、一の測定点に対応するアドレスを特定するとともに、特定されたアドレスの携帯端末に対して、一の測定点の異常を知らせる異常通知を送信する。
【0008】
ここで、第1の発明において、監視者側システムは、一の測定点に相当する貯水槽を担当する作業者の現地対応の状況を携帯端末より受信し、受信した対応状況をデータベースで管理することが好ましい。
【0009】
第2の発明は、ある貯水槽を測定点とした貯水状態のモニタリングを行うモニタ装置と、貯水槽の現地対応を行う作業者が保有する携帯端末と、モニタ装置と携帯端末とにネットワーク接続された監視者側システムとで構成された貯水槽水道管理システムにおける監視者側システムを提供する。この監視者側システムは、携帯端末のネットワーク上のアドレスと測定点とが対応付けて記述されたデータベースと、データベースにアクセス可能なサーバとを有する。このサーバは、一の測定点における貯水状態の異常を示す異常警報をモニタ装置より受信した場合、データベースを参照することによって、一の測定点に対応するアドレスを特定するとともに、特定されたアドレスの携帯端末に対して、一の測定点の異常を知らせる異常通知を送信する。
【0010】
ここで、第2の発明において、サーバは、一の測定点に相当する貯水槽を担当する作業者の現地対応の状況を携帯端末より受信した場合、受信した対応状況をデータベースで管理することが好ましい。
【0011】
第1または第2の発明において、貯水状態の異常は、水質の劣化または漏水の少なくとも一方であることが好ましく、水質は、色度、濁度または残留塩素の少なくとも一つであることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、図1を参照しつつ、本アウトソーシングサービスの概要について説明する。このサービスは、貯水槽13の貯水状態をほぼリアルタイムでモニタリングし、異常発生時には、設置責任者に代わって、作業者が現地対応を迅速に行うことを目的とする。このサービスを利用する前提として、貯水槽13をモニタリングするためのモニタ装置12を貯水槽13の付近に設置する必要がある。このモニタ装置12は、通称「アネシス・ウォーター」と呼ばれ、水質の劣化または漏水といった貯水状態の異常を検出した場合、本サービスの提供主体である監視者側に対して異常警報を通知する。これを受けた監視者は、専門知識を有する作業者に現地対応を依頼する。この依頼を受けた作業者は、現地に急行して現地対応を迅速かつ的確に行う。その際、必要に応じて、貯水槽13の調査、清掃および修繕工事といった高度な作業も行う。作業者による現地対応の状況(進捗状況)は、監視者に随時フィードバックされて、監視者側において一元的に管理される。
【0013】
このようなサービスを実現する貯水槽水道管理システムは、貯水槽13に取り付けられたモニタ装置12と、情報の一元的な管理および必要な指示等を行う監視者側システム2と、作業者が保有する携帯端末31とを主体に構成されている。また、監視者側システム2は、モニタ装置12と携帯端末31とにネットワーク接続可能なサーバ21と、各種のデータベースが格納された記憶装置22とを有する。なお、説明の便宜上、図1には、単一の設置責任者のみが示されているが、実際には多数存在する。
【0014】
設置責任者が保有するコンピュータ11は、ネットワーク環境が整備された一般的なものであり、監視者側システム2側からの通知や報告をネットワークを介して受信する。なお、設置責任者がコンピュータ11を保有していない場合、これらの通知や報告は、FAXや郵送等によって行われる。モニタ装置12は、貯水槽13の貯水状態をモニタリングし、必要な各種の測定を行う。本実施形態では、貯水状態の測定として、水質(三項目)と漏水との測定が行われる。これにより得られた各種の測定値は、無線通信網を介して監視者側システム2のサーバ21に送信される。この無線通信網は、モニタ装置12から一般回線の基地局までを接続する。モニタ装置12と基地局との情報伝達を無線通信を介して行うことにより、モニタ装置12の設置作業が容易になる。このような無線通信網を介して、基地局に送信された情報は、一般回線によって、監視者側システム2のサーバ21に送信される。また、モニタ装置12は、各種の測定項目に関する測定値を後述する基準値と比較することにより異常判定を行い、異常であると判断した場合には、無線通信網を介して、監視者側システム2のサーバ21に異常警報を送信する。
【0015】
図2は、貯水槽13をモニタリングするモニタ装置12の説明図である。一般に、ビルなどの建物に設置される貯水槽13は、地上に設置される受水槽13aと、建物の屋上に設置される高架水槽13bとによって構成されている。受水槽13aは、上水道からの取水を地上において一時的に貯水している。高架水槽13bは、ポンプによって受水糟13aから屋上に揚水された貯水を、配水管路を介して階下の各水道栓に供給する。モニタ装置12は、高架水槽13bから階下に供給する貯水を試料として採水することができるように、高架水槽13bの周辺に設置されている。そして、モニタ装置12は、所定の期間毎に、試料として採水した貯水から後述する測定を行い、その測定値を随時メモリに蓄積していく。メモリに蓄積された測定値は、定時処理によって、監視者側システム2のサーバ21に送信される。また、このモニタ装置12が有するROMには、異常判定を行う際に必要となる判定しきい値(上限値および下限値)が記憶されている。
【0016】
モニタ装置12は、水質と漏水とに関する測定を定期的に行い、得られた測定値が所定の基準値の範囲内であるか否かを監視している。貯水の水質に関するデータとしては、「濁度」、「色度」および「残留塩素」がある。「濁度」とは、水の濁りの程度を数値で表したものであり、精製水1リットルの中に1ミリグラムのカオリンという白陶土を含む状態における濁りが「濁度1度」となる。「色度」とは、色の程度を数値で表したものであり、精製水1リットルの中に1ミリグラムの白金および0.5ミリグラムのコバルトを含む状態における色が「色度1度」となる。「残留塩素」は、水道水消毒の指標となる遊離有効塩素濃度(mg/L)を表したものである。水質(三項目)の基準としては、受水槽13aに達するまでの水道水の水質として、色度は5度以下、濁度は2度以下、残留塩素は0.1mg/L以上であることが義務付けられている。しかしながら、受水槽13aの下流側である配水管路および高架水槽13bについては、基準が与えられていないのが現状である。そこで、受水槽13aから各水道栓までの水質の基準を、受水槽13aまでの基準に基づいて設定してもよい。また、高架水槽13bからの漏水については、夜間等の水道の使用が頻繁でない時間帯に測定するとともに、測定対象となる高架水槽13bの内部形状に応じて、所定の基準値が設定されている。
【0017】
なお、本実施形態では、貯水状態として、水質と漏水とをモニタリングしているが、どちらか一方でもよい。また、水質は、三項目のすべてをモニタリングする必要はなく、少なくとも一つであればよい。ただし、すべての項目(水質三項目および漏水)をモニタリングすれば、貯水状態をよりきめ細かに管理することができる。
【0018】
図3は、貯水状態のモニタリングを行うモニタ装置12の測定系統の説明図である。モニタ装置12は、手動ボール弁121a,121b、減圧弁122、フィルタ123、試料液量調整バルブ124、試料廃液バルブ125、測定セル126、廃液ベントバルブ127および圧力検出器128を主体に構成されている。このモニタ装置12において、貯水の水質に関するデータを測定するための測定セル126と、漏水に関するデータを測定する圧力検出器128とには、試料である貯水が別系統で供給されている。モニタ装置12によって貯水のデータが測定される場合、手動ボール弁121aが開いた状態であり、手動ボール弁121bは閉じた状態である。
【0019】
まず、水質測定について説明する。水質を測定する場合、試料の入口から、手動ボール弁121と、減圧弁122と、フィルタ123と、試料液量調整バルブ124と、試料廃液バルブ125とを介して、測定セル126に試料である貯水が供給される。減圧弁122は、高架水槽13bから供給される貯水の圧力を適正な圧力に減圧する。フィルタ123は、貯水に含まれており、後段の検出器の故障の原因になるようなゴミなどを取り除く。したがって、このフィルタ123によって、濁度および色度のデータが変化することはない。試料液量調整バルブ124は、適正にデータの測定をするために、測定セル126に供給する貯水の量を調整する。試料廃液バルブ125は、貯水などの流れる方向を決定する。測定セル126に貯水を供給する場合、この試料廃液バルブ125は、同図における左側から上側に向かって貯水を流す。
【0020】
貯水が一時的に貯められる測定セル126には、濁度・色度検出器126aと、残留塩素検出器126bと、洗浄モータ126cとが取り付けられており、これらの検出器126a,126bに貯水が供給される。濁度・色度検出器126aは、透過光吸光度方式によって、貯水の濁度および色度について測定する。そして、残留塩素検出器126bは、ポーラログラフ方式によって、貯水の残留塩素について測定する。このようにして、これらの検出器126a,126bによる1回分のデータの測定が行われる。洗浄モータ126cにはワイパーが取り付けられており、このワイパーによって、データ測定後の測定セル126内部が洗浄される。そして、測定セル126の洗浄が終わると、廃液ベントバルブ127が開かれ、大気解放口からの空気が測定セル126に流入するために、測定セル126内の圧力が低下する。これによって、測定セル126内の貯水は、試料廃液バルブ125側に流出する。貯水を試料出口に排出する場合には、試料廃液バルブ125は、同図における上側から下側に向かって貯水を排出し、試料出口から貯水を外に排出する。このような測定セル126に対する貯水の供給と、測定セル126からの貯水の排出とがデータの測定毎に行われる。
【0021】
なお、作業者によって貯水槽13の現地対応が行われる場合等には、モニタ装置12による適正なデータを測定するために、所定の校正方式を用いた校正が行われる。具体的には、濁度についてはカオリン標準液を用いた校正が行われ、色度については色度標準液を用いた校正が行われ、残留塩素についてはDPD比色法によって校正が行われる。校正液を用いて校正を行う場合には、貯水が供給された手動ボール弁121aを閉めるとともに、校正液が供給された手動ボール弁121bを開く。これにより、校正液が測定セル126に供給され、校正液についてのデータを測定することができる。この測定データを用いることで、モニタ装置12の校正が行われる。
【0022】
つぎに、高架水槽13bの漏水測定について説明する。圧力検出器128には、貯水が常に供給されており、この貯水によって圧力が加えられている。圧力検出器128は、この圧力から高架水槽13bからの漏水の量を測定する。具体的には、圧力検出器128で測定した圧力および高架水槽13bの内部形状に基づいて、高架水槽13b内における貯水の残存量を算出する。そして、貯水の残存量を連続的に算出することによって、高架水槽13bからの漏水量が算出される。
【0023】
監視者側システム2は、サーバ21および記憶装置22を中心に構成されており、これらはLAN等のネットワークを介して通信可能な状態で接続されている。記憶装置22は、サーバ21に内蔵または外付けされたハードディスクやRAID等のディスクアレイ装置を用いることができ、記憶装置22内には図4に示すリレーショナルデータベースが格納されている(以下、適宜「RDB」という)。ここで、「RDB」とは、複数のデータベース(以下、適宜「DB」という)がいくつかのIDで互いに対応付けられたデータベースの集合体のことをいう。ある貯水槽13で異常が発生した場合、サーバ21は、RDBが格納されている記憶装置22にアクセスし、後述するそれぞれのデータベースにおけるレコードの追加・更新処理を適宜行う。
【0024】
同図に示したリレーショナルデータベースには、図5から図14に示す各種のデータベースが対応付けられている。なお、図4に示したRDBにおいて、「マスタ」と呼ばれるデータベースがある。この「マスタ」データベースは、他のデータベースに対応付けられている。具体的には、「マスタ」データベース中のあるレコードを構成するフィールド群に記載された各種の情報は、固有のIDによって管理されている。そして、マスタ「データベース」と、その他のデータベースとの間の関連付け(リンク)は、IDベースで行われる。したがって、IDが特定されれば、他のデータベース中のレコードも一義的に特定される。本実施形態では、「マスタ」データベースとして、「測定点マスタ」、「測定要素マスタ」および「作業者マスタ」の3つがあり、測定点ID、測定要素IDおよび作業者IDを主体としたデータベース間の関連付けが行われている。
【0025】
ここで、RDBを構成する各種のデータベース間の対応付けについて、図4を参照して説明する。「測定点マスタDB」は、測定点IDによって、「1時間値DB」、「1分値DB」、「緊急通報DB」、「自動収集設定DB」、「自動収集ログDB」、「作業担当DB」および「緊急対応DB」に対応付けられている。また、この測定点IDを用いることで、これらの「測定点マスタDB」に対応付けられたデータベース間において、対応付けられたレコードを特定することが可能である。「測定要素マスタDB」は、測定要素IDによって、「1時間値DB」および「1分値DB」に対応付けられている。また、この測定要素IDを用いることで、これらの「測定要素マスタDB」に対応付けられたデータベース間において、対応付けられたレコードを特定することが可能である。「作業者マスタDB」は、作業者IDによって、「作業担当DB」および「緊急対応DB」に対応付けられている。また、この作業者IDを用いることで、これらの「作業者マスタDB」に対応付けられたデータベース間において、対応付けられたレコードを特定することが可能である。そして、後述するように、モニタ装置12からの異常警報を受信した場合、「緊急通報DB」には、その異常警報に関する新規レコードが追加される。さらに、その異常警報に基づいてサーバ21が現地対応を必要であると判断した場合、「緊急通報DB」には、その異常警報に関する新規レコードが追加される。これらのレコードは、それぞれ別個に生成されるが、同一の異常警報を対象にしているために、「緊急通報DB」の緊急通報IDによって対応付けられた状態で管理される。
【0026】
つぎに、図5から図14に示す各種データベースについて説明する。ここでは、上述したIDについての説明は省略する。図5は、1時間値データベース構造の一例を示す図である。この1時間値データベースは、1時間毎の貯水の水質および漏水に関するデータを管理し、一つのレコードは、「日付・時刻」、「測定点ID」、「測定要素ID」および「測定値」で構成されている。「日付・時刻」は、モニタ装置12がデータの測定を行った日時である。「測定値」には、貯水の水質および漏水のデータの測定値が記述される。なお、図6は、1分値データベース構造の一例を示している。このデータベースは、図5の1時間値データベースと同様の構造を有しており、1分毎の貯水の水質および漏水に関するデータを管理する。
【0027】
図7は、測定点マスタデータベース構造の一例を示す図である。この測定点マスタデータベースは、データを測定した貯水槽13の設置場所、設置責任者等を管理し、一つのレコードは、「測定点ID」、「設置場所名称」、「IPアドレス」、「TCPポート」、「使用・未使用」、「パスワード」、「設置責任者名」、「電話番号」、「FAX番号」および「メールアドレス」で構成されている。「設置場所名称」は、貯水槽13が設置された場所である。「IPアドレス」および「TCPポート」は、ネットワーク上におけるアドレスを管理する。「使用・未使用」には、貯水槽13を監視する本サービスの使用の有無に関する情報が記述されている。「パスワード」は、監視者が、ホームページ等で貯水槽13に関する情報を公開するような場合に用いられる。すなわち、ある貯水槽13の設置責任者が、監視者のホームページにアクセスし、貯水槽13に関する情報を請求した場合、その貯水槽13の設置責任者であるか否かを判断するために用いられる。「設置責任者名」、「電話番号」、「FAX番号」および「メールアドレス」は、設置責任者の名称および連絡先である。ここで、特に、「メールアドレス」は、貯水槽13の異常を知らせるための異常通知(異常警報メール)と、その異常に対する現地対応の報告書とを、設置責任者に自動送信する際に用いられる。
【0028】
図8は、測定要素マスタデータベース構造の一例を示す図である。この測定要素マスタデータベースは、測定したデータの種類を管理し、一つのレコードは、「測定要素ID」、「要素No.」、「要素名」、「単位」、「上限値」および「下限値」で構成されている。「要素No.」および「要素名」は、測定したデータの番号および名称(例えば、No.1=濁度)である。「単位」には、貯水の水質および漏水に関する単位が記述されている。「上限値」および「下限値」には、貯水の水質および漏水のデータが異常であると判断するための上限値および下限値が記述されている。図9は、緊急通報データベース構造の一例を示す図である。この緊急通報データベースは、モニタ装置12からの異常警報に基づいて作成され、一つのレコードは、「緊急通報ID」、「測定点ID」、「発生日時」、「属性」、「漏水値」、「濁度値」、「色度値」および「残塩値」で構成されている。「発生日時」には、異常が発生した日時の情報が記述されている。「属性」は、発生した異常を管理する異常区分の情報が記述されている。「漏水値」、「濁度値」、「色度値」および「残塩値」には、各種測定項目に関する測定値が記述されている。
【0029】
図10および図11に示したデータベースには、モニタ装置12による自動的なデータ測定に関する情報が記載されている。図10は、自動収集設定データベース構造の一例を示す図である。この自動収集設定データベースは、データの測定のタイミングに関する情報が記載されており、一つのレコードは、「測定点ID」、「収集間隔」、「日」、「曜日」、「時刻」および「最終実行日」で構成されている。「収集間隔」、「日」、「曜日」および「時刻」には、データの測定が行われるタイミングに関する情報が記述されている。「最終実行日」には、最後にデータの測定が行われた日時が記述されている。図11は、自動収集ログデータベース構造の一例を示す図である。この自動収集ログデータベースは、データの自動収集が適正に行われているかを管理するためのものであり、一つのレコードは、「測定点ID」、「実行日時」および「処理結果」で構成されている。
【0030】
図12は、作業担当データベース構造の一例を示す図である。この作業担当データベースは、貯水槽13毎の担当の作業者を管理し、一つのレコードは、「測定点ID」、「作業者ID」および「配置年月日」で構成されている。「配置年月日」には、貯水槽13が配置された年月日の情報が記述されている。図13は、緊急対応データベース構造の一例を示す図である。この緊急対応データベースは、作業者の現地対応の状況を管理し、一つのレコードは、「緊急通報ID」、「測定点ID」、「作業者ID」、「作業日」、「作業開始時刻」、「作業終了時刻」、「受信確認」、「現状区分」、「作業区分」および「作業内容」で構成されている。「作業日」には、作業者によって現地対応の作業の行われた日が記述される。「作業開始時刻」および「作業終了時刻」には、その作業の開始および終了の時刻が記述されている。「受信確認」、「現状区分」、「作業区分」および「作業内容」は、後述するように現地対応を行う作業者によって記述される。「受信確認」は、作業者が異常通知(異常警報メール)を受信したこと管理する。「現状区分」は、貯水槽13の状況を管理し、「作業区分」は、作業者が行った作業を管理する。なお、「作業内容」には、作業者が行った作業の内容について、「作業区分」よりも詳しい内容が記述される。図14は、作業者マスタデータベース構造の一例を示す図である。この作業者マスタデータベースは、貯水槽13の異常に対応する作業者を管理し、一つのレコードは、「作業者ID」、「氏名」、「ふりがな」、「生年月日」、「住所」、「電話番号」、「携帯電話番号」、「FAX番号」および「メールアドレス」で構成されている。ここで、特に、「メールアドレス」は、貯水槽13の異常を知らせるための異常通知(異常警報メール)を、作業者に自動送信する際に用いられる。
【0031】
貯水槽13の現地対応を行う作業者は、例えば、携帯電話といった携帯端末31を保有している。監視者側システム2のサーバ21から異常が発生した旨の連絡があった場合、作業者が貯水槽13に急行し、携帯端末31を用いて監視者側システム2側との間で必要な情報伝達を行いながら作業を進める。なお、作業者が入力を効率的に行えるように、入力画面はWeb上に構成され、項目を選択すれば簡単に報告が行えるような方式を用いることが好ましい。このため、緊急対応データベースのフィールドは、「現状区分」および「作業区分」のような構成となっている。
【0032】
図15は、異常発生時の手順を示すフローチャートである。図中に示した記号A〜Cは、図1の同一記号で示したデータの送受信に対応している。ステップ1からステップ5は、監視者側システム2における手順に関する。まず、ステップ1において、監視者側システム2のサーバ21は、貯水の水質および漏水に関する異常を示すモニタ装置12からの異常警報を受信する。ステップ2において、サーバ21は、この異常警報の受信をトリガとして、今回受信した本件について「緊急通報ID」を新たに採番し、図9に示したように、この「緊急通報ID」と、異常警報があった貯水槽13を特定する「測定点ID」と、その他の事項とを対応付けた新規レコードを緊急通報データベースに追加する。ステップ3において、サーバ21は、受信した異常警報のパターンや回数等に基づいて、作業者による現地対応が必要であるか否かを判断する。現地対応が必要でないケースは、例えば、異常警報が一時的、偶発的、または突発的な場合である。この場合には、異常発生時処理を終了する。これに対して、現地対応が必要となる典型的なケースは、異常警報が複数回連続する場合である。この場合には、現地対応が必要な案件として、緊急対応データベースに新規レコードが追加される(ステップ4)。ここで、図13において、このレコードを構成する「緊急通報ID」および「測定点ID」としては、緊急通報データベースのものがそのまま引用される。また、「作業者ID」としては、作業担当データベースに記述されている、本件の測定点IDに対応する作業者IDが記述される。なお、このレコードを構成する「作業日」以降のフィールドは、この時点ではブランクのままである。
【0033】
そして、ステップ5において、作業者側および設置責任者側に異常通知を送信する。ここで、作業者側とは、本件を担当する作業者が保有する携帯端末31である。この携帯端末31のネットワーク上のアドレスを特定するために、まず、「測定点ID」と「作業者ID」とが対応付けて記述された作業担当データベースを参照し、本件の「測定点ID」に対応する「作業者ID」を特定する。そして、「作業者ID」と「メールアドレス」とが対応付けて記述された作業者マスタを参照し、この「作業者ID」に対応付けられた「メールアドレス」を特定する。このように特定された「メールアドレス」が、この携帯電話31のネットワーク上のアドレスである。なお、作業者側に送信する異常通知には、異常が発生した貯水槽13の設置場所を通知するために、本件の「測定点ID」によって特定される「設置場所名称」等の情報が含まれている。また、設置責任者側とは、基本的に、設置責任者が保有するコンピュータ11であり、そのネットワーク上のアドレスは、測定点マスタより特定可能である。
【0034】
ステップ6からステップ11は、作業者側の手順に関する。まず、ステップ6において、先のステップ5において特定されたアドレスの携帯端末31は、監視者側システム2からの異常通知を受信する。そして、ステップ7において、作業者は、自己の携帯端末31を操作して、異常通知を確かに受信したことを示す受信確認報告を監視者側システム2に送信する。ステップ8において、作業者が現地に急行して、異常警報の対象となっている貯水槽13の状況を確認する。そして、作業者は、自己の携帯端末31を操作して、現状報告を監視者側システム2に送信した上で(ステップ9)、現地対応、すなわち、貯水槽13の異常解消に必要な作業等を行う(ステップ10)。例えば、漏水の状態を確認する場合には、相関工法、音聴工法、PD工法または期間積分式工法などが用いられる。最後に、ステップ11において、作業者は、作業の結果報告を監視者側システム2に送信して、現地対応を完了する。
【0035】
ステップ12からステップ19は、監視者側システム2の手順に関するが、特に、ステップ12からステップ17までの手順は緊急対応データベースの更新に関する。監視者側システム2は、作業者側からの受信確認報告を受信すると(ステップ12)、緊急対応データベースの更新を行う(ステップ13)。これにより、この報告に係る案件(緊急通知IDより特定)に対応するレコード中の「受信確認」が変更される。その後、監視者側システム2は、作業者側からの現状報告を受信すると(ステップ14)、緊急対応データベースの更新を行う(ステップ15)。これにより、この報告に係る案件に対応するレコード中の「現状区分」が変更される。そして、監視者側システム2は、作業者側からの結果報告を受信すると(ステップ16)、緊急対応データベースの更新が再度行われる(ステップ17)。これにより、「作業開始時刻」、「作業終了時刻」、「作業区分」および「作業内容」が変更される。なお、「作業日」に関しては、適宜のステップで入力が行われる。ステップ18において、監視者側システム2は、緊急通報データベースおよび緊急対応データベースに基づいて、今回の案件に関する報告書を作成する。そして、ステップ19において、設置責任者側に報告書が送信される。
【0036】
なお、異常発生時における処理の理解を容易にするために、図16を用いて、残留塩素について異常が発生した場合を例に上述した処理の手順とを対応させて説明する。同図の折れ線グラフにおいて、下限値は約0.05mg/L、上限値は、約1.2mg/Lに設定されている。平成14年12月12日の測定値(点線)は、同図のタイミングt1(12:05)において、下限値を下回る。このため、モニタ装置12から監視者側システム2のサーバ21に異常警報が送信される(ステップ1に相当)。そして、サーバ21が複数回の異常警報を受信したタイミングt2(12:25)において、サーバ21は、作業者の携帯端末31に異常警報としての異常警報メールを送信する(ステップ6に相当)。そして、作業者が異常に対する対応を行った結果、残留塩素の測定値が適正に戻ったタイミングt3において、作業者が、携帯端末31を操作して、作業の結果報告をサーバ21に送信する(ステップ16に相当)。なお、同図における前年当月平均値(実線)および、前日値(一点鎖線)などの実際の測定値を、モニタ装置12による異常警報の基準としてもよい。また、リレーショナルデータベースの測定要素マスタデータベースにおける「上限値」および「下限値」としてもよい。
【0037】
このように本実施形態では、モニタ装置12の異常警報によって、監視者側システム2のサーバ21は、作業者に現地対応を依頼する。そして、作業者が現場に急行し、貯水槽13の調査および修繕工事を行う。したがって、貯水槽13の異常発生時に迅速に対応可能なアウトソーシングサービスを実現できる。それとともに、貯水槽13の異常検知時には、設置責任者に代わって作業者が現地対応するため、設置責任者の負担が軽減され、設置責任者にとっての利便性が向上する。
【0038】
なお、上述した実施形態は、監視者側システム2のサーバ21と設置責任者側システムのモニタ装置12とを無線通信網を介して接続した場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その他の周知の有線および無線の通信ネットワークを介して情報伝達が可能であるのは当然である。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、貯水槽の異常を迅速に検知し、これに迅速に対応可能なアウトソーシングサービスを実現できる。それとともに、貯水槽の異常検知時には、設置責任者に代わって作業者が現地対応するため、設置責任者の負担が軽減され、設置責任者にとっての利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】貯水槽水道管理システムの全体構成図
【図2】モニタ装置の説明図
【図3】モニタ装置の測定系統の説明図
【図4】リレーショナルデータベース構造を示す図
【図5】1時間値データベース構造を示す図
【図6】1分値データベース構造を示す図
【図7】測定点マスタデータベース構造を示す図
【図8】測定要素マスタデータベース構造を示す図
【図9】緊急通報データベース構造を示す図
【図10】自動収集設定データベース構造を示す図
【図11】自動収集ログデータベース構造を示す図
【図12】作業担当データベース構造を示す図
【図13】緊急対応データベース構造を示す図
【図14】作業者マスタデータベース構造を示す図
【図15】異常発生時処理の手順を示すフローチャート
【図16】緊急時リアルタイムモニタの表示画面の説明図
【符号の説明】
2 監視者側システム
11 コンピュータ
12 モニタ装置
13 貯水槽
13a 受水糟
13b 高架水糟
21 サーバ
22 記憶装置
31 携帯端末
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯水槽水道管理システムおよび監視者側システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
水質管理には高度な専門知識が必要とされるため、最近、その専門知識を有する者が建物に設置された貯水槽の水質管理を行うアウトソーシングサービスに対するニーズが高まっている。例えば、特許文献1には、受水槽モニタ装置によって貯水の水質を監視し、その監視結果に基づいて、貯水の水質に関する報告書を受水槽の設置責任者に送信する建物向け受水糟セキュリティシステムが開示されている。貯水の水質が劣化した場合、このシステムは、受水槽の設置責任者にその旨を通知する。この通知には、今回発生した水質劣化に対する応急措置方法が含まれている。この通知を受けた設置責任者は、通知に含まれる応急措置方法に従い、必要な対策を講じる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−81099号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、設置責任者は、必ずしも専門知識を有していないので、この者による応急措置のみでは、十分な対策を講じることができないケースが想定される。このようなケースの典型例としては、問題解決のために、受水槽の清掃が必要なケース、或いは、修繕工事が必要なケース等が挙げられる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、貯水槽の異常を迅速に検知し、これに迅速に対応可能なアウトソーシングサービスを実現することである。
【0006】
また、本発明の別の目的は、貯水槽の異常検知時における設置責任者の負担を軽減することで、設置責任者にとっての利便性の向上を図ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、第1の発明は、建物毎に設置された貯水槽を多数管理する貯水槽水道管理システムを提供する。このシステムは、ある貯水槽を測定点とした貯水状態のモニタリングを行い、貯水状態の異常を検出した場合には、測定点の異常を示す異常警報を送信するモニタ装置と、貯水槽の現地対応を行う作業者が保有する携帯端末と、モニタ装置と携帯端末とにネットワーク接続された監視者側システムとを有する。ここで、監視者側システムは、モニタ装置より一の測定点に関する異常警報を受信した場合、携帯端末のネットワーク上のアドレスと測定点とが対応付けて記述されたデータベースを参照することによって、一の測定点に対応するアドレスを特定するとともに、特定されたアドレスの携帯端末に対して、一の測定点の異常を知らせる異常通知を送信する。
【0008】
ここで、第1の発明において、監視者側システムは、一の測定点に相当する貯水槽を担当する作業者の現地対応の状況を携帯端末より受信し、受信した対応状況をデータベースで管理することが好ましい。
【0009】
第2の発明は、ある貯水槽を測定点とした貯水状態のモニタリングを行うモニタ装置と、貯水槽の現地対応を行う作業者が保有する携帯端末と、モニタ装置と携帯端末とにネットワーク接続された監視者側システムとで構成された貯水槽水道管理システムにおける監視者側システムを提供する。この監視者側システムは、携帯端末のネットワーク上のアドレスと測定点とが対応付けて記述されたデータベースと、データベースにアクセス可能なサーバとを有する。このサーバは、一の測定点における貯水状態の異常を示す異常警報をモニタ装置より受信した場合、データベースを参照することによって、一の測定点に対応するアドレスを特定するとともに、特定されたアドレスの携帯端末に対して、一の測定点の異常を知らせる異常通知を送信する。
【0010】
ここで、第2の発明において、サーバは、一の測定点に相当する貯水槽を担当する作業者の現地対応の状況を携帯端末より受信した場合、受信した対応状況をデータベースで管理することが好ましい。
【0011】
第1または第2の発明において、貯水状態の異常は、水質の劣化または漏水の少なくとも一方であることが好ましく、水質は、色度、濁度または残留塩素の少なくとも一つであることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、図1を参照しつつ、本アウトソーシングサービスの概要について説明する。このサービスは、貯水槽13の貯水状態をほぼリアルタイムでモニタリングし、異常発生時には、設置責任者に代わって、作業者が現地対応を迅速に行うことを目的とする。このサービスを利用する前提として、貯水槽13をモニタリングするためのモニタ装置12を貯水槽13の付近に設置する必要がある。このモニタ装置12は、通称「アネシス・ウォーター」と呼ばれ、水質の劣化または漏水といった貯水状態の異常を検出した場合、本サービスの提供主体である監視者側に対して異常警報を通知する。これを受けた監視者は、専門知識を有する作業者に現地対応を依頼する。この依頼を受けた作業者は、現地に急行して現地対応を迅速かつ的確に行う。その際、必要に応じて、貯水槽13の調査、清掃および修繕工事といった高度な作業も行う。作業者による現地対応の状況(進捗状況)は、監視者に随時フィードバックされて、監視者側において一元的に管理される。
【0013】
このようなサービスを実現する貯水槽水道管理システムは、貯水槽13に取り付けられたモニタ装置12と、情報の一元的な管理および必要な指示等を行う監視者側システム2と、作業者が保有する携帯端末31とを主体に構成されている。また、監視者側システム2は、モニタ装置12と携帯端末31とにネットワーク接続可能なサーバ21と、各種のデータベースが格納された記憶装置22とを有する。なお、説明の便宜上、図1には、単一の設置責任者のみが示されているが、実際には多数存在する。
【0014】
設置責任者が保有するコンピュータ11は、ネットワーク環境が整備された一般的なものであり、監視者側システム2側からの通知や報告をネットワークを介して受信する。なお、設置責任者がコンピュータ11を保有していない場合、これらの通知や報告は、FAXや郵送等によって行われる。モニタ装置12は、貯水槽13の貯水状態をモニタリングし、必要な各種の測定を行う。本実施形態では、貯水状態の測定として、水質(三項目)と漏水との測定が行われる。これにより得られた各種の測定値は、無線通信網を介して監視者側システム2のサーバ21に送信される。この無線通信網は、モニタ装置12から一般回線の基地局までを接続する。モニタ装置12と基地局との情報伝達を無線通信を介して行うことにより、モニタ装置12の設置作業が容易になる。このような無線通信網を介して、基地局に送信された情報は、一般回線によって、監視者側システム2のサーバ21に送信される。また、モニタ装置12は、各種の測定項目に関する測定値を後述する基準値と比較することにより異常判定を行い、異常であると判断した場合には、無線通信網を介して、監視者側システム2のサーバ21に異常警報を送信する。
【0015】
図2は、貯水槽13をモニタリングするモニタ装置12の説明図である。一般に、ビルなどの建物に設置される貯水槽13は、地上に設置される受水槽13aと、建物の屋上に設置される高架水槽13bとによって構成されている。受水槽13aは、上水道からの取水を地上において一時的に貯水している。高架水槽13bは、ポンプによって受水糟13aから屋上に揚水された貯水を、配水管路を介して階下の各水道栓に供給する。モニタ装置12は、高架水槽13bから階下に供給する貯水を試料として採水することができるように、高架水槽13bの周辺に設置されている。そして、モニタ装置12は、所定の期間毎に、試料として採水した貯水から後述する測定を行い、その測定値を随時メモリに蓄積していく。メモリに蓄積された測定値は、定時処理によって、監視者側システム2のサーバ21に送信される。また、このモニタ装置12が有するROMには、異常判定を行う際に必要となる判定しきい値(上限値および下限値)が記憶されている。
【0016】
モニタ装置12は、水質と漏水とに関する測定を定期的に行い、得られた測定値が所定の基準値の範囲内であるか否かを監視している。貯水の水質に関するデータとしては、「濁度」、「色度」および「残留塩素」がある。「濁度」とは、水の濁りの程度を数値で表したものであり、精製水1リットルの中に1ミリグラムのカオリンという白陶土を含む状態における濁りが「濁度1度」となる。「色度」とは、色の程度を数値で表したものであり、精製水1リットルの中に1ミリグラムの白金および0.5ミリグラムのコバルトを含む状態における色が「色度1度」となる。「残留塩素」は、水道水消毒の指標となる遊離有効塩素濃度(mg/L)を表したものである。水質(三項目)の基準としては、受水槽13aに達するまでの水道水の水質として、色度は5度以下、濁度は2度以下、残留塩素は0.1mg/L以上であることが義務付けられている。しかしながら、受水槽13aの下流側である配水管路および高架水槽13bについては、基準が与えられていないのが現状である。そこで、受水槽13aから各水道栓までの水質の基準を、受水槽13aまでの基準に基づいて設定してもよい。また、高架水槽13bからの漏水については、夜間等の水道の使用が頻繁でない時間帯に測定するとともに、測定対象となる高架水槽13bの内部形状に応じて、所定の基準値が設定されている。
【0017】
なお、本実施形態では、貯水状態として、水質と漏水とをモニタリングしているが、どちらか一方でもよい。また、水質は、三項目のすべてをモニタリングする必要はなく、少なくとも一つであればよい。ただし、すべての項目(水質三項目および漏水)をモニタリングすれば、貯水状態をよりきめ細かに管理することができる。
【0018】
図3は、貯水状態のモニタリングを行うモニタ装置12の測定系統の説明図である。モニタ装置12は、手動ボール弁121a,121b、減圧弁122、フィルタ123、試料液量調整バルブ124、試料廃液バルブ125、測定セル126、廃液ベントバルブ127および圧力検出器128を主体に構成されている。このモニタ装置12において、貯水の水質に関するデータを測定するための測定セル126と、漏水に関するデータを測定する圧力検出器128とには、試料である貯水が別系統で供給されている。モニタ装置12によって貯水のデータが測定される場合、手動ボール弁121aが開いた状態であり、手動ボール弁121bは閉じた状態である。
【0019】
まず、水質測定について説明する。水質を測定する場合、試料の入口から、手動ボール弁121と、減圧弁122と、フィルタ123と、試料液量調整バルブ124と、試料廃液バルブ125とを介して、測定セル126に試料である貯水が供給される。減圧弁122は、高架水槽13bから供給される貯水の圧力を適正な圧力に減圧する。フィルタ123は、貯水に含まれており、後段の検出器の故障の原因になるようなゴミなどを取り除く。したがって、このフィルタ123によって、濁度および色度のデータが変化することはない。試料液量調整バルブ124は、適正にデータの測定をするために、測定セル126に供給する貯水の量を調整する。試料廃液バルブ125は、貯水などの流れる方向を決定する。測定セル126に貯水を供給する場合、この試料廃液バルブ125は、同図における左側から上側に向かって貯水を流す。
【0020】
貯水が一時的に貯められる測定セル126には、濁度・色度検出器126aと、残留塩素検出器126bと、洗浄モータ126cとが取り付けられており、これらの検出器126a,126bに貯水が供給される。濁度・色度検出器126aは、透過光吸光度方式によって、貯水の濁度および色度について測定する。そして、残留塩素検出器126bは、ポーラログラフ方式によって、貯水の残留塩素について測定する。このようにして、これらの検出器126a,126bによる1回分のデータの測定が行われる。洗浄モータ126cにはワイパーが取り付けられており、このワイパーによって、データ測定後の測定セル126内部が洗浄される。そして、測定セル126の洗浄が終わると、廃液ベントバルブ127が開かれ、大気解放口からの空気が測定セル126に流入するために、測定セル126内の圧力が低下する。これによって、測定セル126内の貯水は、試料廃液バルブ125側に流出する。貯水を試料出口に排出する場合には、試料廃液バルブ125は、同図における上側から下側に向かって貯水を排出し、試料出口から貯水を外に排出する。このような測定セル126に対する貯水の供給と、測定セル126からの貯水の排出とがデータの測定毎に行われる。
【0021】
なお、作業者によって貯水槽13の現地対応が行われる場合等には、モニタ装置12による適正なデータを測定するために、所定の校正方式を用いた校正が行われる。具体的には、濁度についてはカオリン標準液を用いた校正が行われ、色度については色度標準液を用いた校正が行われ、残留塩素についてはDPD比色法によって校正が行われる。校正液を用いて校正を行う場合には、貯水が供給された手動ボール弁121aを閉めるとともに、校正液が供給された手動ボール弁121bを開く。これにより、校正液が測定セル126に供給され、校正液についてのデータを測定することができる。この測定データを用いることで、モニタ装置12の校正が行われる。
【0022】
つぎに、高架水槽13bの漏水測定について説明する。圧力検出器128には、貯水が常に供給されており、この貯水によって圧力が加えられている。圧力検出器128は、この圧力から高架水槽13bからの漏水の量を測定する。具体的には、圧力検出器128で測定した圧力および高架水槽13bの内部形状に基づいて、高架水槽13b内における貯水の残存量を算出する。そして、貯水の残存量を連続的に算出することによって、高架水槽13bからの漏水量が算出される。
【0023】
監視者側システム2は、サーバ21および記憶装置22を中心に構成されており、これらはLAN等のネットワークを介して通信可能な状態で接続されている。記憶装置22は、サーバ21に内蔵または外付けされたハードディスクやRAID等のディスクアレイ装置を用いることができ、記憶装置22内には図4に示すリレーショナルデータベースが格納されている(以下、適宜「RDB」という)。ここで、「RDB」とは、複数のデータベース(以下、適宜「DB」という)がいくつかのIDで互いに対応付けられたデータベースの集合体のことをいう。ある貯水槽13で異常が発生した場合、サーバ21は、RDBが格納されている記憶装置22にアクセスし、後述するそれぞれのデータベースにおけるレコードの追加・更新処理を適宜行う。
【0024】
同図に示したリレーショナルデータベースには、図5から図14に示す各種のデータベースが対応付けられている。なお、図4に示したRDBにおいて、「マスタ」と呼ばれるデータベースがある。この「マスタ」データベースは、他のデータベースに対応付けられている。具体的には、「マスタ」データベース中のあるレコードを構成するフィールド群に記載された各種の情報は、固有のIDによって管理されている。そして、マスタ「データベース」と、その他のデータベースとの間の関連付け(リンク)は、IDベースで行われる。したがって、IDが特定されれば、他のデータベース中のレコードも一義的に特定される。本実施形態では、「マスタ」データベースとして、「測定点マスタ」、「測定要素マスタ」および「作業者マスタ」の3つがあり、測定点ID、測定要素IDおよび作業者IDを主体としたデータベース間の関連付けが行われている。
【0025】
ここで、RDBを構成する各種のデータベース間の対応付けについて、図4を参照して説明する。「測定点マスタDB」は、測定点IDによって、「1時間値DB」、「1分値DB」、「緊急通報DB」、「自動収集設定DB」、「自動収集ログDB」、「作業担当DB」および「緊急対応DB」に対応付けられている。また、この測定点IDを用いることで、これらの「測定点マスタDB」に対応付けられたデータベース間において、対応付けられたレコードを特定することが可能である。「測定要素マスタDB」は、測定要素IDによって、「1時間値DB」および「1分値DB」に対応付けられている。また、この測定要素IDを用いることで、これらの「測定要素マスタDB」に対応付けられたデータベース間において、対応付けられたレコードを特定することが可能である。「作業者マスタDB」は、作業者IDによって、「作業担当DB」および「緊急対応DB」に対応付けられている。また、この作業者IDを用いることで、これらの「作業者マスタDB」に対応付けられたデータベース間において、対応付けられたレコードを特定することが可能である。そして、後述するように、モニタ装置12からの異常警報を受信した場合、「緊急通報DB」には、その異常警報に関する新規レコードが追加される。さらに、その異常警報に基づいてサーバ21が現地対応を必要であると判断した場合、「緊急通報DB」には、その異常警報に関する新規レコードが追加される。これらのレコードは、それぞれ別個に生成されるが、同一の異常警報を対象にしているために、「緊急通報DB」の緊急通報IDによって対応付けられた状態で管理される。
【0026】
つぎに、図5から図14に示す各種データベースについて説明する。ここでは、上述したIDについての説明は省略する。図5は、1時間値データベース構造の一例を示す図である。この1時間値データベースは、1時間毎の貯水の水質および漏水に関するデータを管理し、一つのレコードは、「日付・時刻」、「測定点ID」、「測定要素ID」および「測定値」で構成されている。「日付・時刻」は、モニタ装置12がデータの測定を行った日時である。「測定値」には、貯水の水質および漏水のデータの測定値が記述される。なお、図6は、1分値データベース構造の一例を示している。このデータベースは、図5の1時間値データベースと同様の構造を有しており、1分毎の貯水の水質および漏水に関するデータを管理する。
【0027】
図7は、測定点マスタデータベース構造の一例を示す図である。この測定点マスタデータベースは、データを測定した貯水槽13の設置場所、設置責任者等を管理し、一つのレコードは、「測定点ID」、「設置場所名称」、「IPアドレス」、「TCPポート」、「使用・未使用」、「パスワード」、「設置責任者名」、「電話番号」、「FAX番号」および「メールアドレス」で構成されている。「設置場所名称」は、貯水槽13が設置された場所である。「IPアドレス」および「TCPポート」は、ネットワーク上におけるアドレスを管理する。「使用・未使用」には、貯水槽13を監視する本サービスの使用の有無に関する情報が記述されている。「パスワード」は、監視者が、ホームページ等で貯水槽13に関する情報を公開するような場合に用いられる。すなわち、ある貯水槽13の設置責任者が、監視者のホームページにアクセスし、貯水槽13に関する情報を請求した場合、その貯水槽13の設置責任者であるか否かを判断するために用いられる。「設置責任者名」、「電話番号」、「FAX番号」および「メールアドレス」は、設置責任者の名称および連絡先である。ここで、特に、「メールアドレス」は、貯水槽13の異常を知らせるための異常通知(異常警報メール)と、その異常に対する現地対応の報告書とを、設置責任者に自動送信する際に用いられる。
【0028】
図8は、測定要素マスタデータベース構造の一例を示す図である。この測定要素マスタデータベースは、測定したデータの種類を管理し、一つのレコードは、「測定要素ID」、「要素No.」、「要素名」、「単位」、「上限値」および「下限値」で構成されている。「要素No.」および「要素名」は、測定したデータの番号および名称(例えば、No.1=濁度)である。「単位」には、貯水の水質および漏水に関する単位が記述されている。「上限値」および「下限値」には、貯水の水質および漏水のデータが異常であると判断するための上限値および下限値が記述されている。図9は、緊急通報データベース構造の一例を示す図である。この緊急通報データベースは、モニタ装置12からの異常警報に基づいて作成され、一つのレコードは、「緊急通報ID」、「測定点ID」、「発生日時」、「属性」、「漏水値」、「濁度値」、「色度値」および「残塩値」で構成されている。「発生日時」には、異常が発生した日時の情報が記述されている。「属性」は、発生した異常を管理する異常区分の情報が記述されている。「漏水値」、「濁度値」、「色度値」および「残塩値」には、各種測定項目に関する測定値が記述されている。
【0029】
図10および図11に示したデータベースには、モニタ装置12による自動的なデータ測定に関する情報が記載されている。図10は、自動収集設定データベース構造の一例を示す図である。この自動収集設定データベースは、データの測定のタイミングに関する情報が記載されており、一つのレコードは、「測定点ID」、「収集間隔」、「日」、「曜日」、「時刻」および「最終実行日」で構成されている。「収集間隔」、「日」、「曜日」および「時刻」には、データの測定が行われるタイミングに関する情報が記述されている。「最終実行日」には、最後にデータの測定が行われた日時が記述されている。図11は、自動収集ログデータベース構造の一例を示す図である。この自動収集ログデータベースは、データの自動収集が適正に行われているかを管理するためのものであり、一つのレコードは、「測定点ID」、「実行日時」および「処理結果」で構成されている。
【0030】
図12は、作業担当データベース構造の一例を示す図である。この作業担当データベースは、貯水槽13毎の担当の作業者を管理し、一つのレコードは、「測定点ID」、「作業者ID」および「配置年月日」で構成されている。「配置年月日」には、貯水槽13が配置された年月日の情報が記述されている。図13は、緊急対応データベース構造の一例を示す図である。この緊急対応データベースは、作業者の現地対応の状況を管理し、一つのレコードは、「緊急通報ID」、「測定点ID」、「作業者ID」、「作業日」、「作業開始時刻」、「作業終了時刻」、「受信確認」、「現状区分」、「作業区分」および「作業内容」で構成されている。「作業日」には、作業者によって現地対応の作業の行われた日が記述される。「作業開始時刻」および「作業終了時刻」には、その作業の開始および終了の時刻が記述されている。「受信確認」、「現状区分」、「作業区分」および「作業内容」は、後述するように現地対応を行う作業者によって記述される。「受信確認」は、作業者が異常通知(異常警報メール)を受信したこと管理する。「現状区分」は、貯水槽13の状況を管理し、「作業区分」は、作業者が行った作業を管理する。なお、「作業内容」には、作業者が行った作業の内容について、「作業区分」よりも詳しい内容が記述される。図14は、作業者マスタデータベース構造の一例を示す図である。この作業者マスタデータベースは、貯水槽13の異常に対応する作業者を管理し、一つのレコードは、「作業者ID」、「氏名」、「ふりがな」、「生年月日」、「住所」、「電話番号」、「携帯電話番号」、「FAX番号」および「メールアドレス」で構成されている。ここで、特に、「メールアドレス」は、貯水槽13の異常を知らせるための異常通知(異常警報メール)を、作業者に自動送信する際に用いられる。
【0031】
貯水槽13の現地対応を行う作業者は、例えば、携帯電話といった携帯端末31を保有している。監視者側システム2のサーバ21から異常が発生した旨の連絡があった場合、作業者が貯水槽13に急行し、携帯端末31を用いて監視者側システム2側との間で必要な情報伝達を行いながら作業を進める。なお、作業者が入力を効率的に行えるように、入力画面はWeb上に構成され、項目を選択すれば簡単に報告が行えるような方式を用いることが好ましい。このため、緊急対応データベースのフィールドは、「現状区分」および「作業区分」のような構成となっている。
【0032】
図15は、異常発生時の手順を示すフローチャートである。図中に示した記号A〜Cは、図1の同一記号で示したデータの送受信に対応している。ステップ1からステップ5は、監視者側システム2における手順に関する。まず、ステップ1において、監視者側システム2のサーバ21は、貯水の水質および漏水に関する異常を示すモニタ装置12からの異常警報を受信する。ステップ2において、サーバ21は、この異常警報の受信をトリガとして、今回受信した本件について「緊急通報ID」を新たに採番し、図9に示したように、この「緊急通報ID」と、異常警報があった貯水槽13を特定する「測定点ID」と、その他の事項とを対応付けた新規レコードを緊急通報データベースに追加する。ステップ3において、サーバ21は、受信した異常警報のパターンや回数等に基づいて、作業者による現地対応が必要であるか否かを判断する。現地対応が必要でないケースは、例えば、異常警報が一時的、偶発的、または突発的な場合である。この場合には、異常発生時処理を終了する。これに対して、現地対応が必要となる典型的なケースは、異常警報が複数回連続する場合である。この場合には、現地対応が必要な案件として、緊急対応データベースに新規レコードが追加される(ステップ4)。ここで、図13において、このレコードを構成する「緊急通報ID」および「測定点ID」としては、緊急通報データベースのものがそのまま引用される。また、「作業者ID」としては、作業担当データベースに記述されている、本件の測定点IDに対応する作業者IDが記述される。なお、このレコードを構成する「作業日」以降のフィールドは、この時点ではブランクのままである。
【0033】
そして、ステップ5において、作業者側および設置責任者側に異常通知を送信する。ここで、作業者側とは、本件を担当する作業者が保有する携帯端末31である。この携帯端末31のネットワーク上のアドレスを特定するために、まず、「測定点ID」と「作業者ID」とが対応付けて記述された作業担当データベースを参照し、本件の「測定点ID」に対応する「作業者ID」を特定する。そして、「作業者ID」と「メールアドレス」とが対応付けて記述された作業者マスタを参照し、この「作業者ID」に対応付けられた「メールアドレス」を特定する。このように特定された「メールアドレス」が、この携帯電話31のネットワーク上のアドレスである。なお、作業者側に送信する異常通知には、異常が発生した貯水槽13の設置場所を通知するために、本件の「測定点ID」によって特定される「設置場所名称」等の情報が含まれている。また、設置責任者側とは、基本的に、設置責任者が保有するコンピュータ11であり、そのネットワーク上のアドレスは、測定点マスタより特定可能である。
【0034】
ステップ6からステップ11は、作業者側の手順に関する。まず、ステップ6において、先のステップ5において特定されたアドレスの携帯端末31は、監視者側システム2からの異常通知を受信する。そして、ステップ7において、作業者は、自己の携帯端末31を操作して、異常通知を確かに受信したことを示す受信確認報告を監視者側システム2に送信する。ステップ8において、作業者が現地に急行して、異常警報の対象となっている貯水槽13の状況を確認する。そして、作業者は、自己の携帯端末31を操作して、現状報告を監視者側システム2に送信した上で(ステップ9)、現地対応、すなわち、貯水槽13の異常解消に必要な作業等を行う(ステップ10)。例えば、漏水の状態を確認する場合には、相関工法、音聴工法、PD工法または期間積分式工法などが用いられる。最後に、ステップ11において、作業者は、作業の結果報告を監視者側システム2に送信して、現地対応を完了する。
【0035】
ステップ12からステップ19は、監視者側システム2の手順に関するが、特に、ステップ12からステップ17までの手順は緊急対応データベースの更新に関する。監視者側システム2は、作業者側からの受信確認報告を受信すると(ステップ12)、緊急対応データベースの更新を行う(ステップ13)。これにより、この報告に係る案件(緊急通知IDより特定)に対応するレコード中の「受信確認」が変更される。その後、監視者側システム2は、作業者側からの現状報告を受信すると(ステップ14)、緊急対応データベースの更新を行う(ステップ15)。これにより、この報告に係る案件に対応するレコード中の「現状区分」が変更される。そして、監視者側システム2は、作業者側からの結果報告を受信すると(ステップ16)、緊急対応データベースの更新が再度行われる(ステップ17)。これにより、「作業開始時刻」、「作業終了時刻」、「作業区分」および「作業内容」が変更される。なお、「作業日」に関しては、適宜のステップで入力が行われる。ステップ18において、監視者側システム2は、緊急通報データベースおよび緊急対応データベースに基づいて、今回の案件に関する報告書を作成する。そして、ステップ19において、設置責任者側に報告書が送信される。
【0036】
なお、異常発生時における処理の理解を容易にするために、図16を用いて、残留塩素について異常が発生した場合を例に上述した処理の手順とを対応させて説明する。同図の折れ線グラフにおいて、下限値は約0.05mg/L、上限値は、約1.2mg/Lに設定されている。平成14年12月12日の測定値(点線)は、同図のタイミングt1(12:05)において、下限値を下回る。このため、モニタ装置12から監視者側システム2のサーバ21に異常警報が送信される(ステップ1に相当)。そして、サーバ21が複数回の異常警報を受信したタイミングt2(12:25)において、サーバ21は、作業者の携帯端末31に異常警報としての異常警報メールを送信する(ステップ6に相当)。そして、作業者が異常に対する対応を行った結果、残留塩素の測定値が適正に戻ったタイミングt3において、作業者が、携帯端末31を操作して、作業の結果報告をサーバ21に送信する(ステップ16に相当)。なお、同図における前年当月平均値(実線)および、前日値(一点鎖線)などの実際の測定値を、モニタ装置12による異常警報の基準としてもよい。また、リレーショナルデータベースの測定要素マスタデータベースにおける「上限値」および「下限値」としてもよい。
【0037】
このように本実施形態では、モニタ装置12の異常警報によって、監視者側システム2のサーバ21は、作業者に現地対応を依頼する。そして、作業者が現場に急行し、貯水槽13の調査および修繕工事を行う。したがって、貯水槽13の異常発生時に迅速に対応可能なアウトソーシングサービスを実現できる。それとともに、貯水槽13の異常検知時には、設置責任者に代わって作業者が現地対応するため、設置責任者の負担が軽減され、設置責任者にとっての利便性が向上する。
【0038】
なお、上述した実施形態は、監視者側システム2のサーバ21と設置責任者側システムのモニタ装置12とを無線通信網を介して接続した場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その他の周知の有線および無線の通信ネットワークを介して情報伝達が可能であるのは当然である。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、貯水槽の異常を迅速に検知し、これに迅速に対応可能なアウトソーシングサービスを実現できる。それとともに、貯水槽の異常検知時には、設置責任者に代わって作業者が現地対応するため、設置責任者の負担が軽減され、設置責任者にとっての利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】貯水槽水道管理システムの全体構成図
【図2】モニタ装置の説明図
【図3】モニタ装置の測定系統の説明図
【図4】リレーショナルデータベース構造を示す図
【図5】1時間値データベース構造を示す図
【図6】1分値データベース構造を示す図
【図7】測定点マスタデータベース構造を示す図
【図8】測定要素マスタデータベース構造を示す図
【図9】緊急通報データベース構造を示す図
【図10】自動収集設定データベース構造を示す図
【図11】自動収集ログデータベース構造を示す図
【図12】作業担当データベース構造を示す図
【図13】緊急対応データベース構造を示す図
【図14】作業者マスタデータベース構造を示す図
【図15】異常発生時処理の手順を示すフローチャート
【図16】緊急時リアルタイムモニタの表示画面の説明図
【符号の説明】
2 監視者側システム
11 コンピュータ
12 モニタ装置
13 貯水槽
13a 受水糟
13b 高架水糟
21 サーバ
22 記憶装置
31 携帯端末
Claims (8)
- 建物毎に設置された貯水槽を多数管理する貯水槽水道管理システムにおいて、ある貯水槽を測定点とした貯水状態のモニタリングを行い、貯水状態の異常を検出した場合には、測定点の異常を示す異常警報を送信するモニタ装置と、
貯水槽の現地対応を行う作業者が保有する携帯端末と、
モニタ装置と携帯端末とにネットワーク接続された監視者側システムとを有し、
前記監視者側システムは、
モニタ装置より一の測定点に関する異常警報を受信した場合、携帯端末のネットワーク上のアドレスと測定点とが対応付けて記述されたデータベースを参照することによって、一の測定点に対応するアドレスを特定するとともに、当該特定されたアドレスの携帯端末に対して、一の測定点の異常を知らせる異常通知を送信することを特徴とする貯水槽水道管理システム。 - 前記貯水状態の異常は、水質の劣化または漏水の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載された貯水槽水道管理システム。
- 前記水質は、色度、濁度または残留塩素の少なくとも一つであることを特徴とする請求項2に記載された貯水槽水道管理システム。
- 前記監視者側システムは、一の測定点に相当する貯水槽を担当する作業者の現地対応の状況を携帯端末より受信した場合、受信した対応状況をデータベースで管理することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された貯水槽水道管理システム。
- ある貯水槽を測定点とした貯水状態のモニタリングを行うモニタ装置と、貯水槽の現地対応を行う作業者が保有する携帯端末と、モニタ装置と携帯端末とにネットワーク接続された監視者側システムとで構成された貯水槽水道管理システムにおける監視者側システムにおいて、
携帯端末のネットワーク上のアドレスと測定点とが対応付けて記述されたデータベースと、
前記データベースにアクセス可能なサーバとを有し、
前記サーバは、
一の測定点における貯水状態の異常を示す異常警報をモニタ装置より受信した場合、前記データベースを参照することによって、一の測定点に対応するアドレスを特定するとともに、当該特定されたアドレスの携帯端末に対して、一の測定点の異常を知らせる異常通知を送信することを特徴とする監視者側システム。 - 前記貯水状態の異常は、水質の劣化または漏水の少なくとも一方であることを特徴とする請求項5に記載された監視者側システム。
- 前記水質は、色度、濁度または残留塩素の少なくとも一つであることを特徴とする請求項6に記載された監視者側システム。
- 前記サーバは、一の測定点に相当する貯水槽を担当する作業者の現地対応の状況を携帯端末より受信した場合、当該受信した対応状況を前記データベースで管理することを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載された監視者側システム。
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---|---|---|---|
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009204583A (ja) * | 2008-02-29 | 2009-09-10 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 液漏れ検出センサの校正方法及び液漏れ検出センサ |
KR101200727B1 (ko) * | 2005-10-27 | 2012-11-20 | 에스케이텔레콤 주식회사 | 물탱크 통합 수질관리 시스템 |
JP2017146198A (ja) * | 2016-02-17 | 2017-08-24 | エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 | 漏洩判定装置、漏洩判定方法及び漏洩判定プログラム |
CN109712021A (zh) * | 2018-12-24 | 2019-05-03 | 文婧 | 一种小区管道式直饮水信息管理方法及系统 |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002382342A patent/JP2004211398A/ja active Pending
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