JP2004211163A - 貴金属金属造形用粘土組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】無公害で、手への付着もほとんどなく、適度の保水性、粘り気、強い粘着力、優れた造形性を有し、しかも乾燥強度も強いという、理想的な貴金属粘土組成物を提供する。
【解決手段】貴金属粉末と有機系バインダ水性液とを混練してなる銀金属造形用粘土組成物において、貴金属粉末として高級脂肪族アミンの有機酸塩で表面処理を施したものを使用する。この場合、バインダ水性液として、(A)ポリビニルアルコール及びセルロース系バインダの少なくとも一種と、(B)平均分子量が1000〜130000である、ポリカルボン酸塩、ポリオキシカルボン酸塩およびポリアミノカルボン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種とを、配合し、凝集生成させたゼリー状増粘物を使用するのが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】貴金属粉末と有機系バインダ水性液とを混練してなる銀金属造形用粘土組成物において、貴金属粉末として高級脂肪族アミンの有機酸塩で表面処理を施したものを使用する。この場合、バインダ水性液として、(A)ポリビニルアルコール及びセルロース系バインダの少なくとも一種と、(B)平均分子量が1000〜130000である、ポリカルボン酸塩、ポリオキシカルボン酸塩およびポリアミノカルボン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種とを、配合し、凝集生成させたゼリー状増粘物を使用するのが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貴金属金属宝飾品、美術工芸品、貴金属金属備品類等の工芸的要素の大きい貴金属造形物を製作するための素形材として有用な金属造形用粘土組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
工芸的な分野で貴金属造形物を作る場合、貴金属粉末と少量の有機性バインダを基本構成とする粘土組成物を用い、これを所望の形状に造形し、乾燥した後、加熱焼結することにより、バインダ組成物を蒸発、分解、燃焼の過程で除去し、貴金属粉末の粒子相互を焼結させ、目的の貴金属造成物を製造することが行われている。
【0003】
一般に使用される貴金属造形用粘土組成物は、バインダ中に混合促進剤として表面活性剤を、更に貴金属粘土組成物が手に付着して汚れるのを防止するための粘着防止剤としてセルロース繊維やフタール酸−nジブチル、油脂等を数パーセント配合されているのが実情である(特許文献1〜3参照)。
【0004】
しかし、セルロース繊維等をバインダに配合しても、実際手に取って練った場合、貴金属粘土組成物は手に付着し、手が汚れるのを防止できない。
【0005】
同時に、このような貴金属粘土組成物を所望の形に造形して焼成する際に、環境ホルモンの一種で内分泌攪乱物質としていわれているフタル酸−nジブチル等が造形、乾燥、焼結の過程で大気中に拡散し、室内を汚染するため、カルチャー文化を楽しむ多くの人達にとって、その大気を吸うことにより、身体が蝕まれることを避けがたいものとなる。
【0006】
【特許文献1】特開平4−6605号公報
【特許文献2】特開平4−218603号公報
【特許文献3】特開平10−212506号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の欠点を解消し、無公害で、手への付着もほとんどなく、適度の保水性、粘り気、強い粘着力、優れた造形性を有し、しかも乾燥強度も強いという、理想的な貴金属粘土組成物を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明では、銀、金、白金等の貴金属粉末と有機系バインダ水性液とを混練してなる貴金属造形用粘土組成物において、使用する貴金属粉末微粒子を、高級脂肪酸による表面処理を施したものとすることによって、粉末微粒子間の凝集を防止すると同時に微粒子間の摩擦係数の低減を計り、また微粒子表面の若干の発水性を保持させることにより、バインダ量の低減を計り、バインダ中の含水率を少なくすることで、貴金属粘土組成物中の貴金属の純分の向上に務めると同時に所望の造形物の収縮率を低減させることを可能とする。
【0009】
バインダとしては、(A)ポリビニルアルコールやセルロース系バインダ(例えばヒドロキシメチルセルロース、ソジウムカルボキシメチルセルロース、アンモニウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース等)の少なくとも1種に、(B)分子量が1000〜130000である、ポリカルボン酸塩(ポリアクリル酸塩等)、ポリオキシカルボン酸塩およびポリアミノカルボン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を配合し、反応生成させたところの立体化構造をもったゼリー状増粘物質を取り出したものを使用するのがよい。
【0010】
なお、(A)成分としてはポリビニルアルコール又はヒドロキシプロピルセルロースの使用が特に好ましく、(B)成分としてはポリカルボン酸塩の使用が好ましい。
【0011】
また、バインダにおける(A)成分と(B)成分の配合割合は、有効成分比率で1:0.4〜1:20程度、特に1:0.45〜1:16程度であるのが好ましい。なお、バインダ水性液中の有効成分において、(A)成分は5重量%以上、5〜50重量%が好ましく、特に10〜30重量%程度であるのがよく、(B)成分は10重量%以上、10〜100重量%が好ましく、特に15〜80重量%程度であるのがよい。
【0012】
かかる本発明で私用するバインダは、従来のバインダのように表面活性剤、油脂粘着防止剤等を添加しなくとも一品においてそれらの性能性質をも十分持ち合わせており、粘着力が強く、水分保持性も良好で、粘土組成物による貴金属造形品の創作時間を長くできる。また、長期安定性にも優れている。更に、表面処理した貴金属微粒子と混練しても、手への付着もほとんどなく、練り具合も良好である。
【0013】
〔作用〕
本発明の貴金属粘土組成物は従来品の構成内容とは全く異なる組成物である。当然のことであるが、可塑剤、表面活性剤、油脂等は使用する必要がないため、貴金属粘土組成物の取り扱いは極めて安全であり、無害で、衛生的で、造形作業中の手への汚れも殆どない。また、造形物を乾燥して焼結する際にも、有害ガスは排出しない。
【0014】
本発明の貴金属粘土組成物中の貴金属微粒子は表面処理され、若干の発水作用
(効果)があるため、滑り易く、粒子間の摩擦が軽減される。
このような効能によって含水率が少なくても練り具合は良好である。
一方バインダにおいて、立体構造になったゼリー状増粘物質が水を吸収し、含水状態にするため、貴金属粘土組成物に水を加えて柔らかく、練り易いようにしても手が汚れることはない。しかし、ゼリー状増粘物質が水を保持できず、過飽和状態以上になった時点から、手が汚れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施例に従って、更に詳しく説明する。なお、実施例において%とあるのは、特に断らない限り、重量%を示す。
実施例1−バインダとして使用するゼリー状増粘物質の製造−
ポリビニルアルコールの5%、10%、20%の各水溶液100gにポリアクリル酸アンモニウム(分子量10,000)の5%、10%、20%、40%の各水溶液100gを配合して、攪拌し、ゼリー状増粘物質の生成の有無を表1に示した。
別に、ヒドロキシプロピルセルロースの5%、10%、20%の各水溶液100gにポリアクリル酸ナトリウム(分子量10,000)の10%、20%、40%、80%の各水溶液100gを配合して、攪拌し、ゼリー状増粘物質の生成の有無を表2に示した。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
表1に示す如く、ポリビニルアルコールは5%溶液以上の濃度において、一方ポリアクリル酸アンモニウムは20%以上の各濃度の組み合わせて両者を配合・攪拌することにより、凝集反応を起こし、ゼリー状増粘物質が生成し、表2に示す如く、セルロース系高分子であるヒドロキシプロピルセルロースは5%以上、ポリアクリル酸ナトリウムは20%以上での組み合わせによって、凝集反応を起こし、ゼリー状増粘物質が生成した。
ただし、セルロース系高分子濃度が5%のように低濃度である場合は、ポリアクリル酸ナトリウムの濃度は80%の高濃度でなければ、ゼリー状増粘物質は生成しなかった。
【0019】
実施例2−銀粘土組成物の製造−
ヒドロキシプロピルセルロース20%溶液500mlにポリアクリル酸アンモニウム20%溶液500mlを加えて攪拌し、凝集反応させて、ゼリー状増粘物質を生成させた。
このゼリー状増粘物質40gに高級脂肪酸で表面処理した銀微粒子700gを混練し、銀粘土組成物とした。この時点での、銀粘土は最適な練り具合の状態であった。
なお、その上に練りながら水を少量づつ加えていき、柔らかくしていく過程での、手への付着状態(手の汚れ具合)を表3に示す。但し、水の添加量は銀粘土組成物の含水率%で表した。
【0020】
【表3】
【0021】
表3の結果から、銀粘土組成物に水を少量づつ加えて、標準の練り具合から含水率を132%増加しても、手への付着はなく、手が汚れることはないことが分かった。
これは、バインダとしているゼリー状増粘物質が立体構造をもっているため、その構造中に水が取り込められるためと思われる。
ただし、立体構造中に保水しきれない過剰な水を加えた場合は、手はベタベタに汚れる。
しかし、再度、過剰な水分を蒸発させて取り除けば、元の付着しない銀粘土組成物に戻る。
このように所望する造形物により銀粘土組成物に水を増減しながら、調整し、含水率に幅をもたせながら、手を汚すことなく、造形作業を行うことができるということは、過去に例をみない画期的なことである。
【0022】
実施例3−造形品の製造−
実施例2で得たゼリー状増粘組成物20gに、高級脂肪酸で表面処理した銀の還元微粒子粉350gを混練し、10cm×4cm×0.3cmの板状に成形し、105℃で60分間乾燥した後、電気炉で、任意の速度で昇温し、850℃で20分間焼結後、急冷し、取り出した。焼結した製品は、銀表面の白化現象が非常に少なく、銀色に輝いて、光沢があり、一目で銀製品と判明する美しさを保持している。これは、市販の銀粘土組成物では、焼結後、白化現象が強く、研磨しなければ、銀製品と判明できなかったのに対し、非常に実用的である。
このような結果から、焼結後、造形品を研磨することなく、鮮明な透明の黄色七宝釉薬を塗って再度電気炉内で、850℃で2分間焼成した後、200℃まで除冷し、取り出した。製品における七宝釉薬の濁り具合を観察したが、鮮明な透明黄色を保持しており、何ら問題なく、また、七宝釉薬のひび割れも生じていなかった。
【0023】
実施例4−造形品の製造−
ゼリー状増粘組成物20gと高級脂肪酸で表面処理した銀の還元微粒子粉350gを混練し、8cm×1cm×0.1cmの板状に成形した。
なお、銀の還元微粒子粉は下記AとBを67:33の重量比率で混合使用した。
〔粉末A〕
見掛密度 3.22g/cm3
比表面積 0.85m2 /g
50%平均粒径 0.9μm
〔粉末B〕
見掛密度 2.98g/cm3
比表面積 0.35m2 /g
50%平均粒径 4.85μm
105℃で30分間乾燥した後、電気炉で、任意の速度で昇温し、850℃で20分間焼結した。その後300℃まで放冷した後、製品を取り出し、常温まで放置した後、収縮率を測定した。
その結果、収縮率は、径2.0%、横2.3%、厚さ0.4%と、非常に少ないものであった。
【0024】
【発明の効果】
従来の貴金属金属可塑性組成物は、次の三大欠点を有していた。
1)焼結後の収縮率が10〜20%前後と非常に大きい。
2)焼結後の銀金属の場合、白化現象がきつい。
3)造形作業中の手の汚れが強い。
これに対して、本発明の貴金属可塑性組成物は前記三大欠点を全て解消し、焼結後の寸法精度がよく、貴金属表面も美麗な色調がそのまま造形物に現れる、非常に実用性あるものとなる。更に、貴金属微粒子として表面処理したものを使用するため、凝集することなく、粘土組成物の長期保存性にも優れる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、貴金属金属宝飾品、美術工芸品、貴金属金属備品類等の工芸的要素の大きい貴金属造形物を製作するための素形材として有用な金属造形用粘土組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
工芸的な分野で貴金属造形物を作る場合、貴金属粉末と少量の有機性バインダを基本構成とする粘土組成物を用い、これを所望の形状に造形し、乾燥した後、加熱焼結することにより、バインダ組成物を蒸発、分解、燃焼の過程で除去し、貴金属粉末の粒子相互を焼結させ、目的の貴金属造成物を製造することが行われている。
【0003】
一般に使用される貴金属造形用粘土組成物は、バインダ中に混合促進剤として表面活性剤を、更に貴金属粘土組成物が手に付着して汚れるのを防止するための粘着防止剤としてセルロース繊維やフタール酸−nジブチル、油脂等を数パーセント配合されているのが実情である(特許文献1〜3参照)。
【0004】
しかし、セルロース繊維等をバインダに配合しても、実際手に取って練った場合、貴金属粘土組成物は手に付着し、手が汚れるのを防止できない。
【0005】
同時に、このような貴金属粘土組成物を所望の形に造形して焼成する際に、環境ホルモンの一種で内分泌攪乱物質としていわれているフタル酸−nジブチル等が造形、乾燥、焼結の過程で大気中に拡散し、室内を汚染するため、カルチャー文化を楽しむ多くの人達にとって、その大気を吸うことにより、身体が蝕まれることを避けがたいものとなる。
【0006】
【特許文献1】特開平4−6605号公報
【特許文献2】特開平4−218603号公報
【特許文献3】特開平10−212506号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の欠点を解消し、無公害で、手への付着もほとんどなく、適度の保水性、粘り気、強い粘着力、優れた造形性を有し、しかも乾燥強度も強いという、理想的な貴金属粘土組成物を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明では、銀、金、白金等の貴金属粉末と有機系バインダ水性液とを混練してなる貴金属造形用粘土組成物において、使用する貴金属粉末微粒子を、高級脂肪酸による表面処理を施したものとすることによって、粉末微粒子間の凝集を防止すると同時に微粒子間の摩擦係数の低減を計り、また微粒子表面の若干の発水性を保持させることにより、バインダ量の低減を計り、バインダ中の含水率を少なくすることで、貴金属粘土組成物中の貴金属の純分の向上に務めると同時に所望の造形物の収縮率を低減させることを可能とする。
【0009】
バインダとしては、(A)ポリビニルアルコールやセルロース系バインダ(例えばヒドロキシメチルセルロース、ソジウムカルボキシメチルセルロース、アンモニウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース等)の少なくとも1種に、(B)分子量が1000〜130000である、ポリカルボン酸塩(ポリアクリル酸塩等)、ポリオキシカルボン酸塩およびポリアミノカルボン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を配合し、反応生成させたところの立体化構造をもったゼリー状増粘物質を取り出したものを使用するのがよい。
【0010】
なお、(A)成分としてはポリビニルアルコール又はヒドロキシプロピルセルロースの使用が特に好ましく、(B)成分としてはポリカルボン酸塩の使用が好ましい。
【0011】
また、バインダにおける(A)成分と(B)成分の配合割合は、有効成分比率で1:0.4〜1:20程度、特に1:0.45〜1:16程度であるのが好ましい。なお、バインダ水性液中の有効成分において、(A)成分は5重量%以上、5〜50重量%が好ましく、特に10〜30重量%程度であるのがよく、(B)成分は10重量%以上、10〜100重量%が好ましく、特に15〜80重量%程度であるのがよい。
【0012】
かかる本発明で私用するバインダは、従来のバインダのように表面活性剤、油脂粘着防止剤等を添加しなくとも一品においてそれらの性能性質をも十分持ち合わせており、粘着力が強く、水分保持性も良好で、粘土組成物による貴金属造形品の創作時間を長くできる。また、長期安定性にも優れている。更に、表面処理した貴金属微粒子と混練しても、手への付着もほとんどなく、練り具合も良好である。
【0013】
〔作用〕
本発明の貴金属粘土組成物は従来品の構成内容とは全く異なる組成物である。当然のことであるが、可塑剤、表面活性剤、油脂等は使用する必要がないため、貴金属粘土組成物の取り扱いは極めて安全であり、無害で、衛生的で、造形作業中の手への汚れも殆どない。また、造形物を乾燥して焼結する際にも、有害ガスは排出しない。
【0014】
本発明の貴金属粘土組成物中の貴金属微粒子は表面処理され、若干の発水作用
(効果)があるため、滑り易く、粒子間の摩擦が軽減される。
このような効能によって含水率が少なくても練り具合は良好である。
一方バインダにおいて、立体構造になったゼリー状増粘物質が水を吸収し、含水状態にするため、貴金属粘土組成物に水を加えて柔らかく、練り易いようにしても手が汚れることはない。しかし、ゼリー状増粘物質が水を保持できず、過飽和状態以上になった時点から、手が汚れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施例に従って、更に詳しく説明する。なお、実施例において%とあるのは、特に断らない限り、重量%を示す。
実施例1−バインダとして使用するゼリー状増粘物質の製造−
ポリビニルアルコールの5%、10%、20%の各水溶液100gにポリアクリル酸アンモニウム(分子量10,000)の5%、10%、20%、40%の各水溶液100gを配合して、攪拌し、ゼリー状増粘物質の生成の有無を表1に示した。
別に、ヒドロキシプロピルセルロースの5%、10%、20%の各水溶液100gにポリアクリル酸ナトリウム(分子量10,000)の10%、20%、40%、80%の各水溶液100gを配合して、攪拌し、ゼリー状増粘物質の生成の有無を表2に示した。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
表1に示す如く、ポリビニルアルコールは5%溶液以上の濃度において、一方ポリアクリル酸アンモニウムは20%以上の各濃度の組み合わせて両者を配合・攪拌することにより、凝集反応を起こし、ゼリー状増粘物質が生成し、表2に示す如く、セルロース系高分子であるヒドロキシプロピルセルロースは5%以上、ポリアクリル酸ナトリウムは20%以上での組み合わせによって、凝集反応を起こし、ゼリー状増粘物質が生成した。
ただし、セルロース系高分子濃度が5%のように低濃度である場合は、ポリアクリル酸ナトリウムの濃度は80%の高濃度でなければ、ゼリー状増粘物質は生成しなかった。
【0019】
実施例2−銀粘土組成物の製造−
ヒドロキシプロピルセルロース20%溶液500mlにポリアクリル酸アンモニウム20%溶液500mlを加えて攪拌し、凝集反応させて、ゼリー状増粘物質を生成させた。
このゼリー状増粘物質40gに高級脂肪酸で表面処理した銀微粒子700gを混練し、銀粘土組成物とした。この時点での、銀粘土は最適な練り具合の状態であった。
なお、その上に練りながら水を少量づつ加えていき、柔らかくしていく過程での、手への付着状態(手の汚れ具合)を表3に示す。但し、水の添加量は銀粘土組成物の含水率%で表した。
【0020】
【表3】
【0021】
表3の結果から、銀粘土組成物に水を少量づつ加えて、標準の練り具合から含水率を132%増加しても、手への付着はなく、手が汚れることはないことが分かった。
これは、バインダとしているゼリー状増粘物質が立体構造をもっているため、その構造中に水が取り込められるためと思われる。
ただし、立体構造中に保水しきれない過剰な水を加えた場合は、手はベタベタに汚れる。
しかし、再度、過剰な水分を蒸発させて取り除けば、元の付着しない銀粘土組成物に戻る。
このように所望する造形物により銀粘土組成物に水を増減しながら、調整し、含水率に幅をもたせながら、手を汚すことなく、造形作業を行うことができるということは、過去に例をみない画期的なことである。
【0022】
実施例3−造形品の製造−
実施例2で得たゼリー状増粘組成物20gに、高級脂肪酸で表面処理した銀の還元微粒子粉350gを混練し、10cm×4cm×0.3cmの板状に成形し、105℃で60分間乾燥した後、電気炉で、任意の速度で昇温し、850℃で20分間焼結後、急冷し、取り出した。焼結した製品は、銀表面の白化現象が非常に少なく、銀色に輝いて、光沢があり、一目で銀製品と判明する美しさを保持している。これは、市販の銀粘土組成物では、焼結後、白化現象が強く、研磨しなければ、銀製品と判明できなかったのに対し、非常に実用的である。
このような結果から、焼結後、造形品を研磨することなく、鮮明な透明の黄色七宝釉薬を塗って再度電気炉内で、850℃で2分間焼成した後、200℃まで除冷し、取り出した。製品における七宝釉薬の濁り具合を観察したが、鮮明な透明黄色を保持しており、何ら問題なく、また、七宝釉薬のひび割れも生じていなかった。
【0023】
実施例4−造形品の製造−
ゼリー状増粘組成物20gと高級脂肪酸で表面処理した銀の還元微粒子粉350gを混練し、8cm×1cm×0.1cmの板状に成形した。
なお、銀の還元微粒子粉は下記AとBを67:33の重量比率で混合使用した。
〔粉末A〕
見掛密度 3.22g/cm3
比表面積 0.85m2 /g
50%平均粒径 0.9μm
〔粉末B〕
見掛密度 2.98g/cm3
比表面積 0.35m2 /g
50%平均粒径 4.85μm
105℃で30分間乾燥した後、電気炉で、任意の速度で昇温し、850℃で20分間焼結した。その後300℃まで放冷した後、製品を取り出し、常温まで放置した後、収縮率を測定した。
その結果、収縮率は、径2.0%、横2.3%、厚さ0.4%と、非常に少ないものであった。
【0024】
【発明の効果】
従来の貴金属金属可塑性組成物は、次の三大欠点を有していた。
1)焼結後の収縮率が10〜20%前後と非常に大きい。
2)焼結後の銀金属の場合、白化現象がきつい。
3)造形作業中の手の汚れが強い。
これに対して、本発明の貴金属可塑性組成物は前記三大欠点を全て解消し、焼結後の寸法精度がよく、貴金属表面も美麗な色調がそのまま造形物に現れる、非常に実用性あるものとなる。更に、貴金属微粒子として表面処理したものを使用するため、凝集することなく、粘土組成物の長期保存性にも優れる。
Claims (5)
- 高級脂肪族アミンの有機酸塩で表面処理を施した貴金属金属粉末と有機系バインダ水性液とを混練してなる貴金属金属造形用粘土組成物。
- 前記高級脂肪族アミンの有機酸塩が、炭素原子数12〜22の脂肪族炭化水素を有する脂肪族モノアミン、またはジアミンと炭素原子数2〜23の脂肪族炭化水素を有するか、あるいは炭素原子数7〜8の芳香族炭化水素基を有するモノまたはジカルボン酸とからなる塩で表面処理されたものであることを特徴とする請求項1の粘土組成物。
- 前記有機系バインダ水性液が、(A)ポリビニルアルコール及びセルロース系バインダの少なくとも一種と、(B)平均分子量が1000〜130000である、ポリカルボン酸塩、ポリオキシカルボン酸塩およびポリアミノカルボン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種とを配合し、凝集生成させたゼリー状増粘物であることを特徴とする請求項1又は2の粘土組成物。
- 前記有機系バインダ水性液が、前記(A)成分と前記(B)成分を有効成分で1:0.4〜1:20の割合で含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項の粘土組成物。
- 前記貴金属金属粉末が見掛密度2.5g/cm3 以上、比表面積0.1〜2.0m2 /gを有するものであり、50%平均粒径0.7〜3μmであるもの50〜80重量%と、50%平均粒径3〜8μmのもの20〜50重量%を併含することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項の粘土組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003000101A JP2004211163A (ja) | 2003-01-06 | 2003-01-06 | 貴金属金属造形用粘土組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003000101A JP2004211163A (ja) | 2003-01-06 | 2003-01-06 | 貴金属金属造形用粘土組成物 |
Publications (1)
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JP2004211163A true JP2004211163A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=32818528
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003000101A Pending JP2004211163A (ja) | 2003-01-06 | 2003-01-06 | 貴金属金属造形用粘土組成物 |
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JP (1) | JP2004211163A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008138287A (ja) * | 2006-11-09 | 2008-06-19 | Aida Kagaku Kogyo Kk | 貴金属装飾品の製造方法、及び貴金属装飾品 |
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2003
- 2003-01-06 JP JP2003000101A patent/JP2004211163A/ja active Pending
Cited By (2)
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JP2008138287A (ja) * | 2006-11-09 | 2008-06-19 | Aida Kagaku Kogyo Kk | 貴金属装飾品の製造方法、及び貴金属装飾品 |
JP2008137381A (ja) * | 2006-11-09 | 2008-06-19 | Aida Kagaku Kogyo Kk | 貴金属装飾品の製造方法、及び貴金属装飾品 |
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