JP2004209912A - 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法並びに光記録材料及び液晶表示用材料 - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルムの製造方法並びに光記録材料及び液晶表示用材料 Download PDF

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Hiroshi Miura
寛史 三浦
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Abstract

【課題】溶融押出しされた樹脂を冷却ロールで冷却する際に、冷却速度の斑により発生する皺やたるみのない平面性に優れた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供するものである。
【解決手段】熱可塑性樹脂を溶融押出し法によってフィルム化する際に、フィルムをダイより冷却ロールに送り出し、該冷却ロールの幅方向に設置したヒーターを幅方向に分割し、各ゾーンで温度調整を行い、フィルム温度を均一に保ちながら冷却し、フィルム幅方向の平面性を向上させることを特徴とする熱可塑性樹脂の製造方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂フィルム(本明細書においてはフィルムまたはシートを総称してフィルムと記す)の製造において平面性改良方法に関するものである。更に詳しくは、平面性が良好で、かつ光学特性および表面平滑性を必要とする光学用途やディスプレイ分野のフィルムとしても利用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来、押出し成型フィルムはTダイもしくはコートハンガーダイなどのフィルム成形用ダイスから溶融押出しされた溶融樹脂を冷却ロール上で冷却固化させ、巻き取り、製造している。該溶融樹脂を冷却ロール上で冷却固化させる際、フィルム成形用ダイスより押出された溶融樹脂の温度分布が不均一な場合、幅方向でフィルムの冷却速度が異なり、フィルムの皺、たるみが発生するといった問題があった。
【0003】
これらの溶融樹脂の温度分布を均一にする手段として、樹脂温度の分布に対応し、ダイの温度を変更する方法があるが、ダイの温度変更により樹脂粘度が変化するためフィルムの厚み分布も変化するといった問題がある。また、ロールへ強密着させる方法もあるが、冷却ロールの温度バランスや密着させた際の平面平滑性に問題がある。
【0004】
特許文献1には、製膜した熱可塑性フィルムを加熱ローラ工程と冷却ローラ工程とを連続的に通過させ、熱可塑性フィルムの平面性改良を行う方法が提案されている。しかしながら、この方法では熱可塑性樹脂の製膜工程に加え、平面性を改良する工程が必要となるため、設備費がかかる上に工程が増えるという欠点を有している。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−142209号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、溶融押出しされた樹脂の温度分布のムラにより発生する皺やたるみのない、平面性に優れた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
従来、溶融押出し法により溶融された熱可塑性樹脂はダイより空気中に送り出され、冷却ロールで引き取り、冷却固化させる。その冷却過程において、フィルムの温度分布が不均一な場合、熱可塑性樹脂の熱収縮により、平面性を著しく低下させる原因となる。この点を鑑み鋭意検討した結果、第一冷却ロールの幅方向にヒーターを設置し、幅方向に対するフィルムの温度分布に対応して、ヒーター温度を調整し、温度分布を均一にすることにより皺やたるみの発生を抑えられることが判明した。
【0008】
即ち本発明は、熱可塑性樹脂を溶融押出し法によってフィルム化する際に、フィルムをダイより冷却ロールに送り出し、該冷却ロールの幅方向に設置したヒーターを幅方向に分割し、各ゾーンで温度調整を行い、フィルム温度を均一に保ちながら冷却し、フィルム幅方向の平面性を向上させることを特徴とする熱可塑性樹脂の製造方法であり、この製造方法により得られる熱可塑性樹脂フィルムを使用してなる光記録材料及び液晶表示用材料である。
【0009】
【発明の実施の形態】
平面性を悪化させる要因として、幅方向に皺、たるみといった問題がある。これらは原反の巻き形状、搬送性等を悪化させる原因となる。この平面性を悪化させている発生原因として冷却過程でのフィルム温度の不均一によるフィルムの熱収縮の差が考えられる。このフィルム温度の不均一を補正すべく、冷却ロールの幅方向にヒーターを設置し、幅方向におけるフィルム温度を均一にすることでフィルムの熱収縮をあわせ、熱可塑性樹脂の熱収縮を制御することで平面性を改善できることが判明した。
【0010】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの平面性改良方法を図面に基づいて説明する。図1は熱可塑性樹脂フィルムの簡単な押出装置図である。溶融押出し法によりダイ1から吐出したフィルム4を第一冷却ロール2で引き取り冷却固化させる。冷却ロール上での冷却過程において、冷却ロール上にヒーター3を設置し、ヒーターの放射加熱によりフィルム温度を任意に設定できるようになっている。フィルムの加熱方法としては、熱風等の熱流体による方法、赤外線等の放射熱による方法などが挙げられるが、熱可塑性樹脂のTg付近まで昇温できるものであれば上記に限定するものではない。ヒーターの温度設定はフィルム表面が、第一冷却ロール温度(T1)近傍になるように設定することが好ましい。その温度範囲は−40℃<T1<+10℃であり、更に好ましくは−15℃<T1<+5℃である。
【0011】
幅方向に発生する皺に対しては、ロール幅方向に設置しているヒーターをある一定範囲に区分し、フィルムの平面性に対応してヒーター温度を調整することで解決できる。ヒーター幅方向の分割は50mmから150mmを一分割とすることが好ましく、ヒーター間の間隔は50mm以下にすることが好ましい。ヒーターの分割が、50mm以下になると制御電源が多数必要となり、設備費が多額になるという欠点があり、150mm以上となると幅方向に発生する短周期な皺に対応することができないためこの数値が決定した。また、ヒーター間の間隔は50mm以上となるとその部分の雰囲気温度が上昇せず、小さな皺が発生するためこの値が決定した。
【0012】
このように溶融押出しされたフィルムを押出し工程内で平面性の改良を行い、巻き取ることで平面性の良好な熱可塑性樹フィルムが製造できる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例>
ポリエーテルサルホンPES4100G(住友化学工業(株)社製)を50mmφ押出し実験機で溶融押出しし、コートハンガーダイによりフィルム状に製膜した。そのフィルムを帯電固定法により周速度3.00m/minの外径300mmφの冷却ロールに密着固定し、樹脂を冷却固化させて200μm厚で600mm幅のフィルムを作製した。冷却ロールでの冷却過程で赤外線ヒーターの有無により平面性がどのように変化するのか観察した。幅方向の平面性に関しては、平面性に対して任意に赤外線ヒーターの温度を調整した。
【0014】
<比較例1>
赤外線ヒーターを使用しない状態で、実施例と同様にフィルムを作製し、評価した。
<比較例2>
赤外線ヒーターのある1ゾーンの温度を大幅に昇温した状態でフィルムを作製し、評価した。
表1は本発明の実施例および比較例によって作製したフィルムの評価結果を示す。平面性の評価は該フィルム2mを平板上に展開し、皺の有無および平板上からの浮き上がりを観察した。
【0015】
【表1】
Figure 2004209912
【0016】
【発明の効果】
本発明方法に従うと、冷却ロール上での冷却斑によるフィルムの皺やたるみなどがない平面性の良好な熱可塑性樹脂フィルムを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における装置配列の概略図を示す。
【符号の説明】
1:コートハンガーダイ
2:第一冷却ロール
3:フィルム
4:シーズヒーター

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂を溶融押出し法によってフィルム化する際に、フィルムをダイより冷却ロールに送り出し、該冷却ロールの幅方向に設置したヒーターを幅方向に分割し、各ゾーンで温度調整を行い、フィルム温度を均一に保ちながら冷却し、フィルム幅方向の平面性を向上させることを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法により得られる熱可塑性樹脂フィルムを使用してなる光記録材料。
  3. 請求項1記載の製造方法により得られる熱可塑性樹脂フィルムを使用してなる液晶表示用材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012060076A1 (ja) * 2010-11-02 2012-05-10 コニカミノルタオプト株式会社 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置

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JP5783181B2 (ja) * 2010-11-02 2015-09-24 コニカミノルタ株式会社 光学フィルムの製造方法

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