JP2004209516A - アルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法、アルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備、アルミニウム合金連続鋳造棒、アルミニウム合金鋳造棒の検査装置、アルミニウム合金鋳造棒の検査方法およびアルミニウム合金鋳造棒 - Google Patents
アルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法、アルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備、アルミニウム合金連続鋳造棒、アルミニウム合金鋳造棒の検査装置、アルミニウム合金鋳造棒の検査方法およびアルミニウム合金鋳造棒 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】品質の安定したアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法を提供する。
【解決手段】連続鋳造工程301でアルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造した後、外周除去工程801でアルミニウム合金連続鋳造棒の外周部分を除去するアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法において、連続鋳造工程301と外周除去工程801との間に、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部を検査する非破壊検査工程701を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】連続鋳造工程301でアルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造した後、外周除去工程801でアルミニウム合金連続鋳造棒の外周部分を除去するアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法において、連続鋳造工程301と外周除去工程801との間に、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部を検査する非破壊検査工程701を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法、アルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備、アルミニウム合金連続鋳造棒、アルミニウム合金鋳造棒の検査装置、アルミニウム合金鋳造棒の検査方法およびアルミニウム合金鋳造棒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的にアルミニウム合金連続鋳造棒は、アルミニウム合金溶湯から円柱状、角柱状あるいは中空柱状の長尺鋳塊を鋳造して製造する。鋳造方法には気体加圧連続鋳造方法、気体加圧ホットトップ連続鋳造方法、水平連続鋳造方法などがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、鋳造された状態では、鋳塊表面に逆偏析層を代表とした不均一組織が形成されている。この不均一組織はアルミニウム合金連続鋳造棒を原材料として用いる塑性加工において割れなどの原因になるので、アルミニウム合金連続鋳造棒の製造工程には、切削加工で不均一組織の部分を除去する外周除去工程が必要である。そのため、従来は得られたアルミニウム合金連続鋳造棒を外周除去装置へ投入して鋳肌部分(“黒皮”とも称する。)を除去している。
【0004】
さらに、鋳肌部分が除去されたアルミニウム合金連続鋳造棒は、人間の目視検査または渦電流による表面検査、超音波またはX線を用いた内部検査を組み合わせた非破壊検査工程によって品質検査が行われる(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−104751号公報
【非特許文献1】
『超音波技術便覧』日刊工業新聞社、昭和60年12月30日発行、p721〜737
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の非破壊検査工程は、外周面削の表面・表層部については渦電流探傷検査方法を用い、さらに、内部については超音波探傷検査方法あるいはX線透過検査方法を用いて検査するのが一般的である。すなわち、複数の検査手法を組み合わせることにより、アルミニウム合金連続鋳造棒(被検査体)の検査領域を全領域(表面・表層部、内部)カバーできるようにしていた。
【0007】
しかし、各方法の原理の違いにより、検出可能な欠陥の形態が異なるので、各方法で検出される欠陥の相関関係を合わせる必要があった。
また、表面・表層部を検査する渦電流探傷検査方法は、外周面削の状態によって探傷結果が大きく左右されるので、外周面削の状態によって表面性状改質処理(例えば、矯正機を用いてみがき矯正を施す。)を予め施した後、検査する必要があった。
【0008】
一方、内部を検査する超音波探傷検査方法は、探触子の近距離音場や被検査体のガタ(搬送ガタ)のため、表面部分を探傷することは困難である。これを解決する超音波探傷の手法として斜角探傷方検査法など表面部の探傷を行う手法があるが、この手法は被検査体の表面性状の影響を受け易く、また搬送ガタの影響を除去しきれないなどの理由から実質的に実施不可能である。
【0009】
この発明は、上記したような不都合を解消するためになされたもので、品質の安定したアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法、アルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備、アルミニウム合金連続鋳造棒、アルミニウム合金鋳造棒の検査装置、アルミニウム合金鋳造棒の検査方法、および、アルミニウム合金鋳造棒を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、以下のような発明である。
(1)連続鋳造工程でアルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造した後、外周除去工程でアルミニウム合金連続鋳造棒の外周部分を除去するアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法において、連続鋳造工程と外周除去工程との間に、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部を検査する非破壊検査工程を設けたことを特徴とするアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(2)非破壊検査工程における検査方法は、超音波探傷検査方法であることを特徴とする上記(1)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(3)超音波探傷検査方法は、長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒の円周上に配設した複数の探触子でアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(2)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(4)超音波探傷検査方法は、回転しながら長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒に対して固定した探触子が螺旋状にトレースしてアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(2)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(5)超音波探傷検査方法は、長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒の円周上で回転する探触子によってアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(2)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(6)超音波探傷検査方法は、回転するアルミニウム合金連続鋳造棒の長手方向へ探触子を移動させてアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(2)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(7)外周除去工程で除去する外周部分が、超音波探傷検査方法における探傷不感帯を含むことを特徴とする上記(2)から(6)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(8)外周除去工程で除去する外周部分が、アルミニウム合金連続鋳造棒の鋳肌部分を含むことを特徴とする上記(1)から(7)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(9)外周除去工程における外周除去方法は、ピーリングマシンまたは旋盤による切削加工であることを特徴とする上記(1)から(8)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(10)連続鋳造装置でアルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造した後、外周除去装置でアルミニウム合金連続鋳造棒の外周部分を除去するアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備において、連続鋳造装置と外周除去装置との間に、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部を検査する非破壊検査装置を設けたことを特徴とするアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(11)非破壊検査装置は、超音波探傷検査装置であることを特徴とする上記(10)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(12)超音波探傷検査装置は、長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒の円周上に配設した複数の探触子でアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(13)超音波探傷検査装置は、回転しながら長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒に対して固定した探触子が螺旋状にトレースしてアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(14)超音波探傷検査装置は、長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒の円周上で回転する探触子によってアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(15)超音波探傷検査装置は、回転するアルミニウム合金連続鋳造棒の長手方向へ探触子を移動させてアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(16)外周除去装置で除去する外周部分が、超音波探傷検査装置における探傷不感帯を含むことを特徴とする上記(11)から(15)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(17)外周除去装置で除去する外周部分が、アルミニウム合金連続鋳造棒の鋳肌部分を含むことを特徴とする上記(10)から(16)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(18)外周除去装置は、ピーリングマシンまたは旋盤であることを特徴とする上記(10)から(17)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(19)上記(1)から(18)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法または製造設備で製造されたアルミニウム合金連続鋳造棒の直径が、20mm〜200mmであることを特徴とするアルミニウム合金連続鋳造棒。
(20)Siの含有量が7質量%〜14質量%、鉄の含有量が0.1質量%〜0.5質量%、銅の含有量が1.0質量%〜9.0質量%、Mnの含有量が0質量%〜0.5質量%、Mgの含有量が0.1質量%〜1.0質量%であることを特徴とする上記(19)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒。
(21)アルミニウム合金鋳造棒に対して超音波を発射し、アルミニウム合金鋳造棒からの超音波を捕捉する探触子を有する検査装置であって、アルミニウム合金鋳造棒に対して探触子が螺旋状にトレースすることを特徴とするアルミニウム合金鋳造棒の検査装置。
(22)アルミニウム合金鋳造棒に対して探触子を螺旋状にトレースさせるための、アルミニウム合金鋳造棒を回転させながら長手方向へ移動させる螺旋搬送手段がアルミニウム合金鋳造棒の曲がり矯正手段を兼ねることを特徴とする上記(21)に記載のアルミニウム合金鋳造棒の検査装置。
(23)アルミニウム合金鋳造棒に対して探触子を螺旋状にトレースさせるための、アルミニウム合金鋳造棒を回転させながら長手方向へ移動させる螺旋搬送手段がアルミニウム合金鋳造棒の外周部分を除去する外周除去手段の一部を兼ねることを特徴とする上記(21)に記載のアルミニウム合金鋳造棒の検査装置。(24)アルミニウム合金鋳造棒に対して探触子を螺旋状にトレースさせるための手段が、アルミニウム合金鋳造棒の外周部分を除去する外周除去手段のアルミニウム合金鋳造棒を長手方向へ移動させる搬送手段と、切削工具を回転させる切削具回転駆動手段とを兼ねることを特徴とするアルミニウム合金鋳造棒の検査装置。
(25)上記(21)から(24)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金鋳造棒の検査装置を用い、探傷不感帯が検査の後で除去される外周部分に含まれるように探傷範囲を設定したことを特徴とするアルミニウム合金鋳造棒の検査方法。
(26)上記(21)から(25)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金鋳造棒の検査方法または検査装置を用いて製造されたアルミニウム合金鋳造棒の直径が、20mm〜200mmであることを特徴とするアルミニウム合金鋳造棒。
(27)Siの含有量が7質量%〜14質量%、鉄の含有量が0.1質量%〜0.5質量%、銅の含有量が1.0質量%〜9.0質量%、Mnの含有量が0質量%〜0.5質量%、Mgの含有量が0.1質量%〜1.0質量%であることを特徴とする上記(26)に記載のアルミニウム合金鋳造棒。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態ついて説明する。
【0012】
図1はこの発明の一実施形態であるアルミニウム合金連続鋳造棒製造設備の工程図である。
図1において、101は溶解保持炉(溶解工程)を示し、アルミニウム合金用の原材料を溶解し、アルミニウム合金溶湯を得るためのものである。
201は溶湯処理装置(溶湯処理工程)を示し、溶解保持炉101からのアルミニウム合金溶湯中のアルミニウム酸化物および水素ガスを除去するためのものである。
301は連続鋳造装置(連続鋳造工程)を示し、溶湯処理装置201から供給されるアルミニウム合金溶湯から、後述するように、アルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造するものである。
401は切断装置(切断工程)を示し、連続鋳造装置301で鋳造したアルミニウム合金連続鋳造棒を、後述するように、定尺に切断するものである。
【0013】
501は熱処理装置(熱処理工程)を示し、切断装置401で切断した定尺のアルミニウム合金連続鋳造棒を熱処理するものである。
601は第1矯正機(第1矯正工程:曲がり矯正手段)を示し、熱処理装置501で熱処理したアルミニウム合金連続鋳造棒の内部を次の非破壊検査装置701で検査する場合、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部を精度よく検査できるようにするためにアルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを矯正するものである。
701は非破壊検査装置(非破壊検査工程)を示し、第1矯正機601で曲がりを矯正したアルミニウム合金連続鋳造棒の内部に、欠陥があるかないかを検査するものである。
【0014】
801は外周除去装置(外周除去工程)を示し、第1矯正機601で曲がりを矯正したアルミニウム合金連続鋳造棒の外周部分を除去するものである。
901は第2矯正機(第2矯正工程:曲がり矯正手段)を示し、外周除去工程で発生したアルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを除去し、次の表面検査装置1001で表面検査をする場合、アルミニウム合金連続鋳造棒の表面検査の精度を向上させるためのものであり、曲がりの程度、表面性状の供給される品質に応じて用いられるが、外周除去工程の前に設けてもよい。
1001は表面検査装置(表面検査工程)を示し、外周部分を除去したアルミニウム合金連続鋳造棒の外周表面近傍に欠陥があるかないかを検査するものである。
【0015】
図2は連続鋳造装置301の一例を示す説明図である。
図2において、202はアルミニウム合金溶湯1を溜めるタンディッシュを示し、側壁に開口203が設けられている。
204は耐火性板状体を示し、タンディッシュ202の外側に開口203を囲むように取り付けられ、開口203に連通する注湯孔205が設けられている。
302は筒状の鋳型を示し、中心軸がほぼ水平となるように耐火性板状体204に取り付けられ、鋳型302とアルミニウム合金溶湯1との間の円周上へ、耐火性板状体204と鋳型302との間から気体を供給する気体供給路303と、鋳型302とアルミニウム合金連続鋳造棒2との間の円周上へ潤滑油を供給する潤滑油供給路304と、出口でアルミニウム合金連続鋳造棒2の周囲へ冷却水を供給する冷却水供給路305とが設けられている。
【0016】
次に、アルミニウム合金連続鋳造棒2の鋳造について説明する。
図示を省略した溶湯処理装置201からタンディッシュ202内へ供給されたアルミニウム合金溶湯1は、耐火性板状体204の注湯孔205から、中心軸がほぼ水平となるように保持された鋳型302内へ供給され、鋳型302の出口で強制冷却されてアルミニウム合金連続鋳造棒2となる。
【0017】
ここで、タンディッシュ202内に貯留するアルミニウム合金溶湯1の組成について説明する。
アルミニウム合金溶湯は、Siを7質量%〜14質量%(より好ましくは8質量%〜13質量%、さらに好ましくは12質量%〜13質量%)含有しているのが好ましい。
他の成分としては、鉄を0.1質量%〜0.5質量%、銅を2.0質量%〜9.0質量%、Mnを0質量%〜0.5質量%、Mgを0.2質量%〜1.0質量%含有しているのが好ましい。
特に、Siを7質量%〜14質量%含有するものは、アルミニウム合金連続鋳造棒2中のアルミニウムとケイ素が微細な層状構造を構成するため、機械的特性に優れ、かつ、硬質なケイ素により耐摩耗性が向上するために好ましい。
【0018】
アルミニウム合金連続鋳造棒の合金成分の組成比は、例えば、JIS H 1305に記載されているような光電測光式発光分光分析装置(例えば、島津製作所製PDA−5500)により確認できる。
【0019】
図3(a),(b)は切断装置401の一例を示す説明図であり、図3(a)は側面図、図3(b)は平面図に相当する。
図3において、306はガイドローラを示し、鋳型302の出口付近に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を支持して誘導するものである。
307はピンチローラを示し、ガイドローラ306に隣接させて下流(アルミニウム合金連続鋳造棒2の移動する方向、以下、同じ)に設けられ、上下のローラでアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を挟持し、図示を省略した駆動機構によって鋳型302の鋳造速度と同一速度でアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を引き出して移送するものである。
【0020】
402は同調クランプ機構を示し、ピンチローラ307に隣接させて下流に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を油圧機構によって押圧把持したり、解放するものである。
403は駆動機構を示し、同調クランプ機構402の下側に設けられ、同調クランプ機構402をアルミニウム合金連続鋳造棒2の列に沿って上流(アルミニウム合金連続鋳造棒2の移動する方向と逆方向、以下、同じ)へ駆動したり、同調クランプ機構402の動きを自由にするものである。
404は支持ローラを示し、同調クランプ機構402の移動に支障をきたさない下流に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を支持するものである。
【0021】
405は移動架台を示し、支持ローラ404の下流に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列に沿って往復動するものである。
406A,406Bは軌条を示し、移動架台405に、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列に直交させて所定間隔で設けられている。
407A,407Bはモータを示し、モータ407Aは軌条406Aに対応させてアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の幅方向の外側の移動架台405に設けられ、モータ407Bは軌条406Bに対応させてアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の幅方向の外側の移動架台405に設けられている。
【0022】
408A,408Bは切断機を示し、モータ407A,407Bによって駆動され、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列の半分ずつを切断するものである。
409は移動架台クランプ機構を示し、移動架台405に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を油圧機構によって押圧把持したり、解放するものである。
410は駆動機構を示し、移動架台405の下側に設けられ、移動架台405をアルミニウム合金連続鋳造棒2の列に沿って上流へ駆動したり、移動架台クランプ機構409の動きを自由にするものである。
411は長さ検出器を示し、移動架台405の下流側に取り付けられ、切断するアルミニウム合金連続鋳造棒2の長さを検出するものである。
【0023】
次に、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列の切断について説明する。
まず、鋳型302から出るアルミニウム合金連続鋳造棒2の列は、ガイドローラ306で支持されて誘導された後、ピンチローラ307によって平列に挟持され、図示を省略した駆動機構の駆動力によって鋳造速度で移送される。
そして、移送されるアルミニウム合金連続鋳造棒2の列は、同調クランプ機構402で押圧挟持される。このとき、駆動機構403は同調クランプ機構402の移動を自由にしているので、同調クランプ機構402は、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列の移送に伴って移動する。
【0024】
この間、移動架台405は駆動機構410によって上流側、すなわち、ピンチローラ307の方向へ移動させられ、所定の位置に達して停止し、駆動装置410が移動架台405に対して移動自由な待機状態となる。
そして、移送されているアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の先端が長さ検出器411に当接すると同時に、移動架台クランプ機構409がアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を把持し、切断機408A,408Bが作動するが、移動架台405はアルミニウム合金連続鋳造棒2の列とともに移動するので、アルミニウム合金連続鋳造棒2は移送方向に対して直角に切断される。
【0025】
この際、切断機408A,408Bは平行に設けられた2条の軌条406A,406Bの上を移動し、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列の幅方向の外側から内側へ向かってアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の半分ずつを切断するので、切断されたアルミニウム合金連続鋳造棒(3)列の先端は図示のように段違いとなるが、次の切断において切断機408A,408Bからアルミニウム合金連続鋳造棒(3)列の先端までの長さはいずれも同一になる。
そして、切断が終了すると、切断機408A,408Bは、元の位置に戻り、同時に移動架台クランプ機構409が解放され、移動架台405は駆動機構410によって上流側へ移動させられ、所定の位置に達して停止するとともに、駆動装置410が移動自由となって待機状態になる。
【0026】
一方、同調クランプ機構402は、移動架台クランプ機構409がアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を把持した直後にアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を解放し、駆動機構403によって上流側へ移動させられ、所定の位置に達して停止するとともに、駆動装置403が移動自由となって待機状態になる。
この待機状態の同調クランプ機構402は、切断機408A,408Bによるアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の切断が終了し、移動架台クランプ機構409がアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を解放する直前にアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を把持し、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列とともに移動する。
【0027】
このようにして鋳造、切断されたアルミニウム連続鋳造棒は、表面に逆偏析層を代表とした不均一組織が形成されている。この不均一組織の個所は、塑性加工で割れなどの原因になるので、除去する必要がある。
しかし、鋳造した状態の細径のアルミニウム合金連続鋳造棒は長さ方向に曲がりを有しており、鋳造後に熱処理を施した場合、さらに曲がりは大きくなり、例えば直径60mm以下の細径では非破壊検査装置などへ投入するに際して無視できないレベルとなる。例えば、曲がりが5mm/1000mm以上になると、非破壊検査装置としての超音波検査装置などで検出器と被検査面であるアルミニウム合金鋳造棒側面との隙間にバラツキが生じ、検出結果にバラツキが生じる恐れがある。また、非破壊検査装置などの投入口に設けられている、隙間のバラツキを抑えるためのガイドブッシュを通過させる際、ガイドブッシュに接触してアルミニウム合金連続鋳造棒の表面に傷が付いてしまう恐れがある。
ここで、5mm/1000mmとは、長手方向1000mmに対して曲がり量が5mmであることを意味する。
【0028】
例えば曲がりが5mm/1000mm以上になると、アルミニウム合金連続鋳造棒の搬送ガタが大きく、ガイドブッシュ通過時の通材性が悪くなるので、音超音波検査で表面波、底面波を欠陥エコーとして検出しまうなどの問題が生じる。そこで、曲がりを5mm/1000mm未満(より好ましくは、2mm/1000mm以下)に抑えられていることが望ましい。その結果、安定した一貫連続運転をより容易に実施できる。
【0029】
上記のようにアルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを矯正する矯正機は、ロール矯正機を用いることが好ましい。これは、側面が凹形状のローラと、側面が凸形状のローラとの間にアルミニウム合金連続鋳造棒を通過させることによって曲がりを小さくするものである。加工条件は、ロール角度、圧下荷重、ローラの回転数を調整することによって設定する。その結果、曲がりが減少するので、搬送時、装置への投入持のトラブルが減少するため、一貫連続運転をより容易に実施できる。
【0030】
また、外周除去工程の、外周面削加工において被切削材であるアルミニウム合金連続鋳造棒に曲がりが、例えば5mm/1000mm以上存在すると、外周切削時に偏芯が起こって外周部に削り残しが生じたり、削りが不均一になる原因となる。そこで、表面状態の品質を一定に保ったアルミニウム合金連続鋳造棒を連続一貫製造するためには、アルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを5mm/1000mm未満(好ましくは、2mm/1000mm以下)にした状態で外周除去工程に投入するのが望ましい。
【0031】
図4(a),(b)は第1矯正機601の一例を示す説明図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は側面図に相当する。
図4において、602はロール対を示し、平面に見て軸線が交差するように配設された上下一対の凹形ローラ603、凸形ローラ604で構成され、隣り合うロール対602同士は、矯正すべきアルミニウム合金連続鋳造棒3の外径に対応させた最適値に設定されている。
αはロール角度を示す。
なお、第2矯正機901も、同様な構成とされている。
【0032】
次に、アルミニウム合金連続鋳造棒3の曲がりの矯正について説明する。
まず、各ロール対602の各ローラ603,604の少なくとも一方を、図示を省略した駆動機構で回転させる。
そして、例えば右端のロール対602の各ローラ603,604の間へアルミニウム合金連続鋳造棒3を導入することにより、アルミニウム合金連続鋳造棒3は回転しながら左側へ送られ、曲がりを矯正されるとともに、真円に矯正される。
【0033】
このようにして曲がりを矯正したアルミニウム合金連続鋳造棒の内部に欠陥があると、塑性加工した製品が不良品となるので、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部に欠陥があるかないかを非破壊検査装置で検査する必要がある。
【0034】
この非破壊検査装置として超音波探傷検査装置を用いるのが好ましい。超音波探傷は探触子から照射された超音波の被検査体、すなわち、アルミニウム合金連続鋳造棒中での挙動により内部検査を行うことができるからである。内部検査の方式としては、他にX線透過検査があるが、X線を発生させるために高電圧装置が必要なことなど、設備の管理に手間がかかる。また、X線透過検査は、その原理上、異物などの体積を有する欠陥の検出能力が高いが、体積が小さく、品質特性上甚大な影響を及ぼす割れのような欠陥の検出能力が劣る。
一方、超音波探傷は割れに対しても検出能力が高く、また、検出した電気信号を処理することにより、画像処理が必要なX線と比較して、欠陥の自動判定が容易に可能となり、検査の精度が高く安定した検査ができる。
【0035】
この発明で利用する超音波探傷方法としては、反射法、透過法、斜角法、表面波法、共振法、直接接触法などがあり、媒質としては、例えば、水、機械油、水ガラス、グリース、ワセリンなどが用いられる。また、測定方法としては、接触法、水浸法、パルス波法、連続波法、2探触子法、1探触子法、多重反射法などを挙げることができる。この発明の方法としては、パルス状の超音波信号を送り出して反射もしくは透過する信号を受け、その受信信号の変化(反射、遮蔽、減衰)から欠陥の存在を検知する方法を用いることができる。
【0036】
しかし、超音波探傷はアルミニウム合金連続鋳造棒の内部より外周表面近傍での検査精度が劣る非破壊検査方法である。外周表面近傍での検査精度が劣る理由として、超音波探傷検査方法には探傷不感帯が生じるためである。
そこで、この発明では、非破壊検査を外周除去工程の前に施し、その後に外周部分(外周表面)の除去を行うこととした。外周不均一部を除去する前に非破壊検査を行い、その後超音波探傷で不感帯となる領域を含んだ部分を外周除去工程で除去する。その結果、外周表面表層部を検査するための渦電流探傷検査を省略でき、また超音波探傷検査方法単一の検査であるため、探傷領域による検出能力に差のない健全な材料が得られる。
【0037】
このように非破壊検査が超音波探傷検査方法に限らずアルミニウム合金連続鋳造棒の内部より外周表面近傍での検査精度が劣る非破壊検査方法によるものであれば、この発明の効果を大きく得られるので好ましい。
その結果、連続鋳造工程において鋳型、潤滑油と接触した際に発生する欠陥、連続鋳造時に発生する鋳塊割れなどの発生を検出することができるので、一貫連続運転をより容易に実施できる。
また、後工程の塑性加工時、機械加工時に障害となる部分(範囲)が、この発明で除去すべき鋳肌の部分(範囲)である。そこで、不感帯の領域が、削除すべき鋳肌の範囲より小さくなることが好ましい。
【0038】
除去すべき鋳肌の一例である逆偏析層は、鋳造時のアルミニウム合金連続鋳造棒の組成、鋳型の構造、鋳造条件などによってその範囲がきまる。例えば、その厚さは、表面から1mm程度までの範囲である。
また、表面から1mm程度までの範囲は、アルミニウム合金溶湯が鋳型、潤滑油、気体と接触することによる欠陥が発生している可能性の有る範囲であり、除去すべき鋳肌の別の一例である。
好ましくは、表面から上記の領域の2倍以上の範囲である。
これらの範囲を含んで外周除去工程で削除するので、この範囲以下に不感帯を抑えることが好ましい。その結果、最終的に不感帯の範囲は面削されて削除されることになる。
不感帯の範囲(表面からの距離)をAとし、外周除去工程で除去する範囲(表面からの距離)をBとすると、A<Bであるのが好ましい。より好ましくは、A≦0.8×Bである。より確実に不感帯を削除することができるからである。
【0039】
図5は非破壊検査方法である、超音波パルス反射法による垂直探傷方法の説明図である。
なお、アルミニウム合金連続鋳造棒3の下側には、表示部に表示される各反射波(エコー)をアルミニウム合金連続鋳造棒3に対応させて図示してある。
図5において、711は反射型超音波探傷装置を示し、同期信号、掃引信号および距離目盛り信号を出力する同期部712と、この同期部712からの同期信号に同期した超高周波信号の電圧を出力する送信部713と、この送信部713からの超高周波信号の電圧に基づいた超高周波信号をアルミニウム合金連続鋳造棒3に向けて送出するとともに、アルミニウム合金連続鋳造棒3の表面、欠陥3aなどからの反射波を捕捉して電圧に変換する探触子714と、送信部713の出力を探触子714へ供給したり、探触子714の反射波を捕捉した電圧を、後述する受信部716へ供給する切換部715と、この切換部715を介した、反射波を捕捉した探触子714の電圧を増幅して出力する受信部716と、この受信部716の出力、同期部712の掃引信号および距離目盛り信号に基づいて反射波の時間的変化を表示する表示部717とで構成されている。
Ssは表面エコー範囲、Sはアルミニウム合金連続鋳造棒3の表面エコー、Fsはアルミニウム合金連続鋳造棒3の探傷エコー範囲、Fはアルミニウム合金連続鋳造棒3の欠陥3aに基づく欠陥エコー、Bsは底面エコー範囲、Bはアルミニウム合金連続鋳造棒3の底面エコー、Nは探傷エコー範囲Fsの両側に位置する不感帯を示す。
なお、表示部717の波形は、表面エコーSで同期をとって表示したものである。
【0040】
次に、アルミニウム合金連続鋳造棒3の欠陥3aの探傷について説明する。
まず、表面エコー範囲Ssの表面エコーSが閾値を越えると、探傷を開始する。そして、底面エコー範囲Bsの表底エコーBが閾値を下回ると、探傷を終了する。
したがって、表面エコー範囲Ssと底面エコー範囲Bsとの間の探傷エコー範囲Fsに、閾値を越える欠陥エコーFがあると、この欠陥エコーFの位置に欠陥3aがあることを検出できる。
【0041】
この反射型超音波探傷装置で探傷する場合、周波数は2MHz〜8MHzの範囲が好ましい。
探触子は直径、材質、指向角などを考慮し、適したものを選択する。
なお、アルミニウム合金連続鋳造棒に入射した超音波は、直線的に進んだ後にやがて広がっていくが、直線進行距離が長すぎると、細径の探傷には使えないので、アルミニウム合金連続鋳造棒のサイズに応じて最適感度が得られるものを選択する必要がある。また、S/N比をよくするため、低い増幅度でも十分な波形が得られるように材質などを考慮する必要がある。また、探触子の数を減らしたり、探傷速度を速くするなどのため、指向角についても検討する必要がある。
【0042】
探触子とアルミニウム合金連続鋳造棒の表面との間に空隙を設け、その空隙を媒質で満たして探傷するのが好ましい。これは、アルミニウム合金連続鋳造棒の表面の粗さがばらついても、超音波を安定させて入射させることができるからである。また、媒質は、水、マシン油とすると、超音波の減衰が小さくなるので、好ましい。
【0043】
探傷感度の調整方法は、底面エコー方式、試験片方式のいずれかを用いることができる。底面エコー方式とは、試験体の健全部における底面からのエコーが定められた出力値になるように探傷装置の感度を調整するものである。底面エコー方式は、アルミニウム合金連続鋳造棒の表面の粗さの影響を受け、感度が不安定になるので、注意が必要である。試験片方式とは、標準穴を有する標準試験片のエコーの値が定められた出力値となるように探傷装置の感度を調整するものである。
【0044】
この発明のアルミニウム合金連続鋳造棒の場合、表面粗さにバラツキがあること、複数の探触子を併用するなどを考慮すると、試験片方式が好ましい。
【0045】
次に、不感帯について説明する。
図5において、アルミニウム合金連続鋳造棒3の外周部分(点線の外側に部分)が不感帯3nである。
この不感帯3nの発生する要因には、搬送ガタ、アルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりによるブレ、送信パルス(超音波)幅の広がり、近距離音場などを挙げることができる。特に、搬送ガタを小さくすることが効果的である。この搬送ガタが一番、不感帯3nへの影響の度合いが大きいからである。
【0046】
ここで、不感帯を抑える方法の例を具体的に説明する。
なお、これらを適宜組み合わせることにより、不感帯の幅を所定の幅以下に抑えることができる。
そして、この発明で肝要なことは、必要以上に不感帯の幅を抑える必要がないということである。外周除去工程で削除する範囲内に不感帯を抑えることができればよいので、設備装置をことさら高価なものにする必要がない。
【0047】
まず、ガタの対策について説明する。
探触子の前後にガイドブッシュ、ガイドローラを設置し、アルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりや搬送時のガタを抑えることが挙げられる。これにより、探傷中に被探傷体(アルミニウム合金連続鋳造棒)が急激に振られて所定の波形が探傷エコー範囲からはずれることがなくなる。また、搬送ローラ乗り継ぎ時の振動を抑える構造とすることにより、ガタを所望の値より小さくすることができる。
【0048】
次に、近距離音場の対策について説明する。
垂直探触子において、探触子の近傍で音波が広がらずに音場が乱れている範囲は近距離音場といわれている。この近距離音場よりも遠い部分では超音波は、距離が大きくなると、音圧が小さくなる関係を有している。その範囲を近距離音場限界(x)といい、x=d2/(4×λ)で一般的に表される。dは探触子の直径[mm]、λは超音波の波長[mm]である。
そのため、近距離音場は表面波(S波)のダレ部分に相当し、この部分は探傷不可能または探傷結果が不安定となるので、その範囲は不感帯となる。
しかし、被探傷体を挟んで対向位置に探触子を配置し、各探触子は被探傷体の中心から遠方側を探傷範囲とすることにより(表面波と底面波との中心から底面寄りで探傷)、近距離音場の影響を排除することができるので好ましい。
また、近距離音場の小さい探触子、周波数条件を採用することも重要なポイントとなる。
【0049】
次に、曲がりによるブレの対策について説明する。
被探傷体は多少曲がっており、これが搬送装置によって分速数十メートルで長手方向に走行して、超音波検査の探触子が配置された測定個所に投入される。例えば、曲がりが5mm/1000mm以上あると、探触子の設置してあるホルダへ出入りする時、被探傷体の曲がりによって多少なりともホルダへの接触が生じ、ガタが発生する。このガタが探傷上悪影響を及ぼす。
この対策としては、前述したように、矯正加工により曲がりを除去するのが好ましい。また、探触子の被探傷体への倣いをよくすることも重要である。
【0050】
その他の対策について説明する。
探触子から被探傷体への距離の大きい水浸式では探触子からの絶対位置で探傷エコー範囲を設定すると、被探傷体の位置精度によって探傷領域が変化するなどの不具合が発生する。そのため、予め表面波の発生位置近傍に十分な幅を持つ表面エコー範囲を設定し、この位置を起点として探傷エコー範囲を設定する。また、探傷エコー範囲は常時かつ高速に表面エコー範囲の情報によって設定する。これにより被探傷体の搬送ガタ等による影響を除去できる。
【0051】
超音波探傷検査方法の好ましい例について説明する。
超音波探傷検査方法は、図6に示すように、長手方向へ移動する被検査体(被探傷体:アルミニウム合金連続鋳造棒3)の円周上に配設した複数の探触子714で被検査体の全領域をカバーするのが好ましい。被検査体の搬送が長手方向への直線運動のみであるので、搬送装置が安価で済むからである。被検査体を長手方向へ移動させる手段として、ローラコンベアを挙げることができる。ここで、探触子の配置は傷(欠陥3a)の検出感度が所定の感度低下におさまる範囲となるように配置する。この配置は許容される感度の低下幅、探触子の指向角などによって設定される。
【0052】
超音波探傷検査方法は、図7に示すように、回転しながら長手方向へ移動する被検査体に対して固定した探触子714が螺旋状にトレースして被検査体の全領域をカバーするのが好ましい。探触子が少数で済むため、探傷装置が安価で済むからである。被検査体を回転させながら長手方向へ移動させる手段は、図4に示した矯正装置、スパイラル送りコンベアを挙げることができる。ここで、螺旋状とは、螺旋軌道のピッチが超音波の広がり幅以内であることが好ましい。検出能力を低下させることなく全範囲を検査することができるからである。
【0053】
超音波探傷検査方法は、図8に示すように、長手方向へ移動する被検査体の円周上で回転する探触子714によって被検査体の全領域をカバーするのが好ましい。探触子が少数で、被検査体の搬送は長手方向の直線運動となり、高速探傷が可能であるからである。
【0054】
超音波探傷検査法は、図9に示すように、その場で回転する被検査体の長手方向へ探触子714を移動させて被検査体の全領域をカバーするのが好ましい。少数の探触子で探傷可能であり、また、場合によっては切削加工の前後で加工しながら探傷することが可能となるからである。被検査体を回転させる手段は、旋盤などを挙げることができる。ここで、被検査体の回転速度と被検査体の長手方向への移動速度とは、1ピッチが超音波の広がり幅以内であることが好ましい。検出能力を低下させることなく全範囲を検査することができるからである。
【0055】
しかし、上記した検査方法では、黒皮のために表面性状がよくないので、音波の入射を一定に保つため、水浸式あるいは粘性媒体によるギャップ式が好ましい。ギャップ式の場合、探触子の被検査体への倣い性が重要となる。
また、表面波、底面波のエコー高さは常にモニタリングすることが好ましい。表面波の高さをモニタリングすることにより、探傷異常を検知できるためである。また、鋳肌の悪い部分から入った音波は散乱するため、表面波、底面波のエコー高さをモニタリングすることにより、ブレークアウトや表面割れなどによる鋳肌異常を検出できるからである。
【0056】
図10(a),(b)は外周除去装置801の一例を示す説明図であり、図10(a)は切削刃駆動機構を除いた斜視図、図10(b)は支持ローラを示す側面図に相当する。
図10において、811は搬送ローラを示し、側面から見てアルミニウム合金連続鋳造棒3を上下分割で搬送保持する4つで構成され、隣り合う搬送ローラ811同士は、搬送するアルミニウム合金連続鋳造棒3の長さに応じて所定間隔に設定されている。
816は切削刃を示し、搬送ロール811で長手方向へ搬送されるアルミニウム合金連続鋳造棒3の円周上に、外周部分を削り残しがなく切削できるように、90度分割で4つ配設され、図示を省略した切削刃駆動機構で回転駆動される。
817は外周を除去されるアルミニウム合金連続鋳造棒3をガタつかないように支持する支持ローラ、818は外周を除去されたアルミニウム合金連続鋳造棒4をガタつかないように支持する支持ローラを示し、アルミニウム合金連続鋳造棒3,4を60度分割で支持する。
【0057】
次に、アルミニウム合金連続鋳造棒3の外周除去について説明する。
まず、各搬送ローラ811を、図示を略した駆動機構で回転させるるとともに、図示を省略した切削刃駆動機構で切削刃816を回転させる。
そして、搬送ローラ811の間へアルミニウム合金連続鋳造棒3を導入することにより、アルミニウム合金連続鋳造棒3は順次搬送ローラ811で左側へ送られ、回転する切削刃916で外周部分(不均一組織である鋳肌や不感帯3nを含む部分)を削り残しなく切削され、所定の外径のアルミニウム合金連続鋳造棒4となる。
【0058】
この外周除去装置によれば、従来用いられている旋盤に比べ、被切削体(アルミニウム合金連続鋳造棒)が旋回せず、切削機構部(カッターヘッド、切削刃)が回転し、被切削体は搬送ロール対で推進力を与えられ、切削機構部を通過することで切削が完了するため、ハンドリング時間がゼロで連続的に加工を行えること、被切削体の旋回加工はハンドリングの制約上、被切削体の長さは有限だが、このピーリング加工は、理論的には被切削体の長さが無限であることから生産性がよく、ピーリングマシンが有利である。特に細径材(例えば、直径20mm〜80mm)では被切削体自身が有する曲がりが大きいため、削り残しの問題の起き易い被切削体の旋回加工よりもピーリング加工の方が有利である。
また、外周除去工程において鋳肌を除去する際に発生した切粉を連続的に破砕して溶解工程へ戻すことが好ましい。例えば、切粉破砕機を用いて切粉を微小にし、その微小な切粉を加圧エアを用いて圧送する。その結果、発生した切粉を一次的に貯留し、オペレータが貯留した切粉をフークリフトなどで運搬する手間がなくなるため、一貫連続運転をより容易に実施できる。
【0059】
次に、外周除去後の表面検査(表面検査工程)について説明する。
この表面検査は、必要に応じて用いられるので、外周を除去する外周除去工程(面削工程)の後に、面削工程のモニタを目的として実施するのが好ましく、人間による目視検査、渦電流探傷検査方法を挙げることができる。
なお、渦電流探傷検査方法は、電磁誘導現象を利用して被検査体表面に発生させた渦電流の変化によって欠陥の有無を判定する検査方法である。
そして、渦電流探傷検査方法における貫通コイル法と回転プローブ法を組み合わせて用いることが好ましい。
【0060】
貫通コイル法は、コイル内を被検査体(アルミニウム合金連続鋳造棒)が貫通していく過程で発生する渦電流の変化を検出するものである。この貫通コイル方は表層の範囲の検査に用いるのが好ましい。検査範囲は、コイルの発振周波数を調整して設定できる。検査範囲を、例えば、表面下3mm以内の範囲とするのが好ましい。
一方、回転プローブ法は、被検査体上方に配置した小さなコイルが回転することにより、被検査体全体を検査する方法である。この回転プローブ法はプローブを小さくできるため、微小欠陥の検出までが可能である。回転型渦電流探傷は極表面の範囲の検査に用いるのが好ましい。検査範囲は、コイルの発振周波数を調整して設定できる。検査範囲を、例えば、表面下1mm以内の範囲とするのが好ましい。
表面検査結果をもとに、面削工程の切削条件を制御することが好ましい。
【0061】
次に、検査結果のフィードバックについて説明する。
まず、従来の検査工程、すなわち、外周除去後に非破壊検査(渦電流探傷検査、超音波探傷検査の組合せ)を行う工程で、検査を実施した。この場合、渦電流検査で検出された表面傷欠陥が多かった。その原因を調査したところ、外周除去工程に起因する加工傷と、鋳造工程に起因する鋳造欠陥との双方が認められたため、検査結果の解析が複雑となった。
次に、この発明による工程で検査を実施したところ、外周除去前の検査(超音波探傷検査)では鋳造工程に起因する鋳造欠陥を検出し、外周除去後の表面検査(渦電流探傷検査)では、外周除去工程に起因する加工傷が検出された。
したがって、外周除去前の検査結果をそのまま鋳造工程へ、また、外周除去後の検査結果を外周除去工程へフィードバックさせることができた。
このように、フィードバックが簡便に実施できるので、各検査結果をモニタし、フィードバックすることにより、安定した一貫連続運転を容易に実現することができる。
【0062】
次に、この発明のアルミニウム合金連続鋳造棒の検査装置について説明する。
アルミニウム合金連続鋳造棒の検査装置は、図7に示すように、アルミニウム合金連続鋳造棒を長手方向へ回転させながら移動させる螺旋移動手段、固定した探触子を有するものとした場合、螺旋搬送手段の回転速度と、長手方向の送り速度とは使用する探触子の性能、個数によって設定することができる。
そして、アルミニウム合金連続鋳造棒の螺旋搬送手段が、例えば図4に示すように、アルミニウム合金連続鋳造棒の曲がり矯正機(手段)を兼ねることが好ましい。曲がり矯正機におけるアルミニウム合金連続鋳造棒の螺旋状の動きをそのまま利用することができ、設備の簡略化ができるからである。
この発明の検査装置は、例えば曲がり矯正機の出口側に超音波探傷検査装置の探触子を配置すると、曲がり矯正機から回転しながら長手方向へ送られてくるアルミニウム合金連続鋳造棒が検査に充分な程度まで曲がりを小さくされて出口側から出てくるので、アルミニウム合金連続鋳造棒が探触子の下を通過することになる。その結果、アルミニウム合金連続鋳造棒に対して螺旋状にトレースすることになる探触子によって超音波探傷検査が行われる。その後、アルミニウム合金連続鋳造棒は外周部分を除去される。
【0063】
また、検査装置の搬送手段を螺旋搬送手段とし、その搬送手段をアルミニウム合金連続鋳造棒の外周除去装置の一部を兼ねさせたものとし、切削刃を固定した外周除去装置でアルミニウム合金連続鋳造棒の外周を除去することが好ましい。検査装置におけるアルミニウム合金連続鋳造棒を回転させながら長手方向へ搬送する搬送手段の動きをそのまま外周除去装置で利用することができ、設備の簡略化ができるからである。
この発明の検査装置は、切削工具の入り口側に超音波探傷検査装置の探触子を配置する。その結果、回転しながら長手方向へ送られて外周除去装置へ入るアルミニウム合金連続鋳造棒は探触子の下を通過することになり、アルミニウム合金連続鋳造棒は探触子によって螺旋状に全領域がトレースされ、探触子によって超音波探傷検査が行われる。その直後、アルミニウム合金連続鋳造棒は外周部分を除去される。
【0064】
また、検査装置の搬送手段を螺旋搬送手段とし、その搬送手段をアルミニウム合金連続鋳造棒の外周除去装置の一部を兼ねさせたものとし、切削刃が回転する外周除去装置でアルミニウム合金連続鋳造棒の外周を除去することが好ましい。検査装置におけるアルミニウム合金連続鋳造棒を長手方向へ搬送する搬送手段の動きをそのまま外周除去装置で利用することができ、設備の簡略化ができるからである。
この発明の検査装置は、回転する切削工具に超音波探傷検査装置の探触子を配置する。その結果、長手方向へ送られて外周除去装置へ入るアルミニウム合金連続鋳造棒は回転する探触子の内側を通過することになり、アルミニウム合金連続鋳造棒は探触子によって螺旋状に全領域がトレースされ、探触子によって超音波探傷検査が行われる。その直後、アルミニウム合金連続鋳造棒は外周部分を除去される。
【0065】
この発明の検査方法における探傷不感帯は、検査の後に除去される外周部分に含まれるように探傷範囲を設定すると、外周除去により、探傷不感帯部分を除去できるので、好ましい。
【0066】
この検査装置の被検査体であるアルミニウム合金鋳造棒としては、アルミニウム合金連続鋳造棒、棒状鋳型によるアルミニウム合金鋳造棒、または、これらの押出材を挙げることができる。
【0067】
次に、図11と図12とに基づき、この発明の実施例と、比較例(従来例)とを説明する。
ここで、使用した素材は、6061合金で、直径が70mmで、長さが200mmmである。
そして、面削代を2.5mm(すなわち、直径が65mmになるまで切削する。)とした。
また、超音波探傷装置はマルチUST(クラウトクレーマー製)、探触子は5C0.25″、探傷感度は欠陥エコーを30dBまで増幅し、25dB以上を検出し、探傷流域領域はDAC(距離振幅特性曲線)によって減衰を補正し、探傷媒体はマシン油とした。
なお、黒皮探傷時および面削後の不感帯は2mmであった。これは、不感帯が面削代(外周除去部)に含まれる。
【0068】
図11(a)の実施例1および図12(a)の比較例1は面削前および面削後も十分に探傷範囲内である中心から15mmの位置に欠陥3a(直径1mm)が存在する場合、図11(b)の実施例2および図12(b)の比較例2は面削前に探傷範囲内であり、面削後に探傷範囲外となる中心から31.0mmの位置に欠陥3a(直径1mm)が存在する場合、図11(c)の実施例3および図12(c)の比較例3は面削前に探傷範囲外であり、面削によって除去される中心から33.5mmの位置に欠陥3a(直径1mm)が存在する場合である。
なお、各図の下側に反射型超音波探傷装置における表示部の波形を示した。
【0069】
図12(b)から解るように、従来例では面削後に超音波探傷装置の不感帯を補完するために渦電流探傷検査が必要になる。しかし、渦電流探傷検査は検出感度が悪い(低い)ので、欠陥を見逃し易く、健全なアルミニウム合金連続鋳造棒を提供することができなくなる。
一方、この発明の図11(b)場合、面削前に内部の欠陥の検査を行うので、欠陥を検出でき、健全なアルミニウム合金連続鋳造棒を提供することができる。
なお、図11(c)および図12(c)の場合、欠陥を検出できないが、欠陥部分は面削されるので、健全なアルミニウム合金連続鋳造棒を提供することができる。
【0070】
次に、上記のようにして製造されるアルミニウム合金連続鋳造棒について説明する。
アルミニウム合金連続鋳造棒の直径は20mm〜200mmの範囲とすることができる。この範囲以外でも対応は可能であるが、アルミニウム合金連続鋳造棒の直径を20mm〜200mmの範囲内にすると、後工程の塑性加工、例えば鍛造、ロールフォージング、引抜き加工、転動加工、インパクト加工などの設備が小規模かつ安価になるため、好ましい。なお、アルミニウム合金連続鋳造棒の直径が200mmを超えると、超音波探傷に用いる装置が大掛かりとなるので、設備的効率が好ましくなくなる。
【0071】
従来のアルミニウム合金連続鋳造棒は、外周表面部、例えば外周表面から3mm以内の部分は、渦電流探傷検査方法で検査して内部を超音波探傷検査方法で検査していた。その結果、超音波探傷検査では検出できるが、渦電流探傷検査方法では検出が不得意である欠陥が検出できないで残る恐れがあった。しかし、この発明のアルミニウム合金連続鋳造棒は、例えば、前述した製造方法を用いているので、断面全体が超音波探傷で検査されたものとなり、そのような鋳造欠陥の個数を充分低減させたものとすることができる。
【0072】
上記した説明は、アルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造し、そのアルミニウム合金連続鋳造棒を定尺に切断した後、そのアルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを矯正して非破壊検査し、さらに、アルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを矯正して外周部分を除去した後に表面検査を行っているが、第1矯正工程の後、アルミニウム合金連続鋳造棒に何の加工も行わないので、第2矯正工程を省略することができ、また、外周除去工程が充分に工程管理されてピーリング痕がアルミニウム合金連続鋳造棒に残らない場合は、表面検査工程を省略することができる。
また、検査工程は、アルミニウム合金鋳造棒全体に対して行えるので、アルミニウム合金連続鋳造棒に限定されるものではない。
【0073】
【発明の効果】
以上のように、この発明のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法および製造設備によれば、品質の安定したアルミニウム合金連続鋳造棒を製造することができる。
また、この発明のアルミニウム合金鋳造棒の検査方法および検査装置によれば、品質の安定したアルミニウム合金鋳造棒を得ることができる。
また、この発明のアルミニウム合金連続鋳造棒またはアルミニウム合金鋳造棒によれば、機械的特性に優れ、かつ、耐摩耗性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態であるアルミニウム合金連続鋳造棒製造設備の工程図である。
【図2】連続鋳造装置の一例を示す説明図である。
【図3】(a),(b)は切断装置の一例を示す説明図である。
【図4】(a),(b)は第1矯正機の一例を示す説明図である。
【図5】超音波パルス反射法による垂直探傷方法の説明図である。
【図6】超音波探傷検査方法の例を示す説明図である。
【図7】超音波探傷検査方法の例を示す説明図である。
【図8】超音波探傷検査方法の例を示す説明図である。
【図9】超音波探傷検査方法の例を示す説明図である。
【図10】(a),(b)は外周除去装置の一例を示す説明図である。
【図11】(a),(b),(c)はこの発明の実施例1、実施例2および実施例3を示す説明図である。
【図12】(a),(b),(c)は従来例の比較例1、比較例2および比較例3を示す説明図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム合金溶湯
2,3,4 アルミニウム合金連続鋳造棒
3a 欠陥
3n 不感帯
101 溶解保持炉(溶解工程)
201 溶湯処理装置(溶湯処理工程)
301 連続鋳造装置(連続鋳造工程)
302 鋳型
401 切断装置(切断工程)
407A 切断機
407B 切断機
501 熱処理装置(熱処理工程)
601 第1矯正機(第1矯正工程:曲がり矯正手段)
602 ロール対
701 非破壊検査装置(非破壊検査工程)
711 反射型超音波探傷装置
714 探触子
801 外周除去装置(外周除去工程)
811 搬送ロール
816 切削刃
901 第2矯正機(第2矯正工程:曲がり矯正手段)
1001 表面検査装置(表面検査工程)
【発明の属する技術分野】
この発明は、アルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法、アルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備、アルミニウム合金連続鋳造棒、アルミニウム合金鋳造棒の検査装置、アルミニウム合金鋳造棒の検査方法およびアルミニウム合金鋳造棒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的にアルミニウム合金連続鋳造棒は、アルミニウム合金溶湯から円柱状、角柱状あるいは中空柱状の長尺鋳塊を鋳造して製造する。鋳造方法には気体加圧連続鋳造方法、気体加圧ホットトップ連続鋳造方法、水平連続鋳造方法などがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、鋳造された状態では、鋳塊表面に逆偏析層を代表とした不均一組織が形成されている。この不均一組織はアルミニウム合金連続鋳造棒を原材料として用いる塑性加工において割れなどの原因になるので、アルミニウム合金連続鋳造棒の製造工程には、切削加工で不均一組織の部分を除去する外周除去工程が必要である。そのため、従来は得られたアルミニウム合金連続鋳造棒を外周除去装置へ投入して鋳肌部分(“黒皮”とも称する。)を除去している。
【0004】
さらに、鋳肌部分が除去されたアルミニウム合金連続鋳造棒は、人間の目視検査または渦電流による表面検査、超音波またはX線を用いた内部検査を組み合わせた非破壊検査工程によって品質検査が行われる(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−104751号公報
【非特許文献1】
『超音波技術便覧』日刊工業新聞社、昭和60年12月30日発行、p721〜737
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の非破壊検査工程は、外周面削の表面・表層部については渦電流探傷検査方法を用い、さらに、内部については超音波探傷検査方法あるいはX線透過検査方法を用いて検査するのが一般的である。すなわち、複数の検査手法を組み合わせることにより、アルミニウム合金連続鋳造棒(被検査体)の検査領域を全領域(表面・表層部、内部)カバーできるようにしていた。
【0007】
しかし、各方法の原理の違いにより、検出可能な欠陥の形態が異なるので、各方法で検出される欠陥の相関関係を合わせる必要があった。
また、表面・表層部を検査する渦電流探傷検査方法は、外周面削の状態によって探傷結果が大きく左右されるので、外周面削の状態によって表面性状改質処理(例えば、矯正機を用いてみがき矯正を施す。)を予め施した後、検査する必要があった。
【0008】
一方、内部を検査する超音波探傷検査方法は、探触子の近距離音場や被検査体のガタ(搬送ガタ)のため、表面部分を探傷することは困難である。これを解決する超音波探傷の手法として斜角探傷方検査法など表面部の探傷を行う手法があるが、この手法は被検査体の表面性状の影響を受け易く、また搬送ガタの影響を除去しきれないなどの理由から実質的に実施不可能である。
【0009】
この発明は、上記したような不都合を解消するためになされたもので、品質の安定したアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法、アルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備、アルミニウム合金連続鋳造棒、アルミニウム合金鋳造棒の検査装置、アルミニウム合金鋳造棒の検査方法、および、アルミニウム合金鋳造棒を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、以下のような発明である。
(1)連続鋳造工程でアルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造した後、外周除去工程でアルミニウム合金連続鋳造棒の外周部分を除去するアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法において、連続鋳造工程と外周除去工程との間に、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部を検査する非破壊検査工程を設けたことを特徴とするアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(2)非破壊検査工程における検査方法は、超音波探傷検査方法であることを特徴とする上記(1)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(3)超音波探傷検査方法は、長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒の円周上に配設した複数の探触子でアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(2)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(4)超音波探傷検査方法は、回転しながら長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒に対して固定した探触子が螺旋状にトレースしてアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(2)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(5)超音波探傷検査方法は、長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒の円周上で回転する探触子によってアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(2)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(6)超音波探傷検査方法は、回転するアルミニウム合金連続鋳造棒の長手方向へ探触子を移動させてアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(2)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(7)外周除去工程で除去する外周部分が、超音波探傷検査方法における探傷不感帯を含むことを特徴とする上記(2)から(6)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(8)外周除去工程で除去する外周部分が、アルミニウム合金連続鋳造棒の鋳肌部分を含むことを特徴とする上記(1)から(7)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(9)外周除去工程における外周除去方法は、ピーリングマシンまたは旋盤による切削加工であることを特徴とする上記(1)から(8)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(10)連続鋳造装置でアルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造した後、外周除去装置でアルミニウム合金連続鋳造棒の外周部分を除去するアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備において、連続鋳造装置と外周除去装置との間に、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部を検査する非破壊検査装置を設けたことを特徴とするアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(11)非破壊検査装置は、超音波探傷検査装置であることを特徴とする上記(10)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(12)超音波探傷検査装置は、長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒の円周上に配設した複数の探触子でアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(13)超音波探傷検査装置は、回転しながら長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒に対して固定した探触子が螺旋状にトレースしてアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(14)超音波探傷検査装置は、長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒の円周上で回転する探触子によってアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(15)超音波探傷検査装置は、回転するアルミニウム合金連続鋳造棒の長手方向へ探触子を移動させてアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーすることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(16)外周除去装置で除去する外周部分が、超音波探傷検査装置における探傷不感帯を含むことを特徴とする上記(11)から(15)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(17)外周除去装置で除去する外周部分が、アルミニウム合金連続鋳造棒の鋳肌部分を含むことを特徴とする上記(10)から(16)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(18)外周除去装置は、ピーリングマシンまたは旋盤であることを特徴とする上記(10)から(17)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。
(19)上記(1)から(18)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法または製造設備で製造されたアルミニウム合金連続鋳造棒の直径が、20mm〜200mmであることを特徴とするアルミニウム合金連続鋳造棒。
(20)Siの含有量が7質量%〜14質量%、鉄の含有量が0.1質量%〜0.5質量%、銅の含有量が1.0質量%〜9.0質量%、Mnの含有量が0質量%〜0.5質量%、Mgの含有量が0.1質量%〜1.0質量%であることを特徴とする上記(19)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒。
(21)アルミニウム合金鋳造棒に対して超音波を発射し、アルミニウム合金鋳造棒からの超音波を捕捉する探触子を有する検査装置であって、アルミニウム合金鋳造棒に対して探触子が螺旋状にトレースすることを特徴とするアルミニウム合金鋳造棒の検査装置。
(22)アルミニウム合金鋳造棒に対して探触子を螺旋状にトレースさせるための、アルミニウム合金鋳造棒を回転させながら長手方向へ移動させる螺旋搬送手段がアルミニウム合金鋳造棒の曲がり矯正手段を兼ねることを特徴とする上記(21)に記載のアルミニウム合金鋳造棒の検査装置。
(23)アルミニウム合金鋳造棒に対して探触子を螺旋状にトレースさせるための、アルミニウム合金鋳造棒を回転させながら長手方向へ移動させる螺旋搬送手段がアルミニウム合金鋳造棒の外周部分を除去する外周除去手段の一部を兼ねることを特徴とする上記(21)に記載のアルミニウム合金鋳造棒の検査装置。(24)アルミニウム合金鋳造棒に対して探触子を螺旋状にトレースさせるための手段が、アルミニウム合金鋳造棒の外周部分を除去する外周除去手段のアルミニウム合金鋳造棒を長手方向へ移動させる搬送手段と、切削工具を回転させる切削具回転駆動手段とを兼ねることを特徴とするアルミニウム合金鋳造棒の検査装置。
(25)上記(21)から(24)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金鋳造棒の検査装置を用い、探傷不感帯が検査の後で除去される外周部分に含まれるように探傷範囲を設定したことを特徴とするアルミニウム合金鋳造棒の検査方法。
(26)上記(21)から(25)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金鋳造棒の検査方法または検査装置を用いて製造されたアルミニウム合金鋳造棒の直径が、20mm〜200mmであることを特徴とするアルミニウム合金鋳造棒。
(27)Siの含有量が7質量%〜14質量%、鉄の含有量が0.1質量%〜0.5質量%、銅の含有量が1.0質量%〜9.0質量%、Mnの含有量が0質量%〜0.5質量%、Mgの含有量が0.1質量%〜1.0質量%であることを特徴とする上記(26)に記載のアルミニウム合金鋳造棒。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態ついて説明する。
【0012】
図1はこの発明の一実施形態であるアルミニウム合金連続鋳造棒製造設備の工程図である。
図1において、101は溶解保持炉(溶解工程)を示し、アルミニウム合金用の原材料を溶解し、アルミニウム合金溶湯を得るためのものである。
201は溶湯処理装置(溶湯処理工程)を示し、溶解保持炉101からのアルミニウム合金溶湯中のアルミニウム酸化物および水素ガスを除去するためのものである。
301は連続鋳造装置(連続鋳造工程)を示し、溶湯処理装置201から供給されるアルミニウム合金溶湯から、後述するように、アルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造するものである。
401は切断装置(切断工程)を示し、連続鋳造装置301で鋳造したアルミニウム合金連続鋳造棒を、後述するように、定尺に切断するものである。
【0013】
501は熱処理装置(熱処理工程)を示し、切断装置401で切断した定尺のアルミニウム合金連続鋳造棒を熱処理するものである。
601は第1矯正機(第1矯正工程:曲がり矯正手段)を示し、熱処理装置501で熱処理したアルミニウム合金連続鋳造棒の内部を次の非破壊検査装置701で検査する場合、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部を精度よく検査できるようにするためにアルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを矯正するものである。
701は非破壊検査装置(非破壊検査工程)を示し、第1矯正機601で曲がりを矯正したアルミニウム合金連続鋳造棒の内部に、欠陥があるかないかを検査するものである。
【0014】
801は外周除去装置(外周除去工程)を示し、第1矯正機601で曲がりを矯正したアルミニウム合金連続鋳造棒の外周部分を除去するものである。
901は第2矯正機(第2矯正工程:曲がり矯正手段)を示し、外周除去工程で発生したアルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを除去し、次の表面検査装置1001で表面検査をする場合、アルミニウム合金連続鋳造棒の表面検査の精度を向上させるためのものであり、曲がりの程度、表面性状の供給される品質に応じて用いられるが、外周除去工程の前に設けてもよい。
1001は表面検査装置(表面検査工程)を示し、外周部分を除去したアルミニウム合金連続鋳造棒の外周表面近傍に欠陥があるかないかを検査するものである。
【0015】
図2は連続鋳造装置301の一例を示す説明図である。
図2において、202はアルミニウム合金溶湯1を溜めるタンディッシュを示し、側壁に開口203が設けられている。
204は耐火性板状体を示し、タンディッシュ202の外側に開口203を囲むように取り付けられ、開口203に連通する注湯孔205が設けられている。
302は筒状の鋳型を示し、中心軸がほぼ水平となるように耐火性板状体204に取り付けられ、鋳型302とアルミニウム合金溶湯1との間の円周上へ、耐火性板状体204と鋳型302との間から気体を供給する気体供給路303と、鋳型302とアルミニウム合金連続鋳造棒2との間の円周上へ潤滑油を供給する潤滑油供給路304と、出口でアルミニウム合金連続鋳造棒2の周囲へ冷却水を供給する冷却水供給路305とが設けられている。
【0016】
次に、アルミニウム合金連続鋳造棒2の鋳造について説明する。
図示を省略した溶湯処理装置201からタンディッシュ202内へ供給されたアルミニウム合金溶湯1は、耐火性板状体204の注湯孔205から、中心軸がほぼ水平となるように保持された鋳型302内へ供給され、鋳型302の出口で強制冷却されてアルミニウム合金連続鋳造棒2となる。
【0017】
ここで、タンディッシュ202内に貯留するアルミニウム合金溶湯1の組成について説明する。
アルミニウム合金溶湯は、Siを7質量%〜14質量%(より好ましくは8質量%〜13質量%、さらに好ましくは12質量%〜13質量%)含有しているのが好ましい。
他の成分としては、鉄を0.1質量%〜0.5質量%、銅を2.0質量%〜9.0質量%、Mnを0質量%〜0.5質量%、Mgを0.2質量%〜1.0質量%含有しているのが好ましい。
特に、Siを7質量%〜14質量%含有するものは、アルミニウム合金連続鋳造棒2中のアルミニウムとケイ素が微細な層状構造を構成するため、機械的特性に優れ、かつ、硬質なケイ素により耐摩耗性が向上するために好ましい。
【0018】
アルミニウム合金連続鋳造棒の合金成分の組成比は、例えば、JIS H 1305に記載されているような光電測光式発光分光分析装置(例えば、島津製作所製PDA−5500)により確認できる。
【0019】
図3(a),(b)は切断装置401の一例を示す説明図であり、図3(a)は側面図、図3(b)は平面図に相当する。
図3において、306はガイドローラを示し、鋳型302の出口付近に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を支持して誘導するものである。
307はピンチローラを示し、ガイドローラ306に隣接させて下流(アルミニウム合金連続鋳造棒2の移動する方向、以下、同じ)に設けられ、上下のローラでアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を挟持し、図示を省略した駆動機構によって鋳型302の鋳造速度と同一速度でアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を引き出して移送するものである。
【0020】
402は同調クランプ機構を示し、ピンチローラ307に隣接させて下流に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を油圧機構によって押圧把持したり、解放するものである。
403は駆動機構を示し、同調クランプ機構402の下側に設けられ、同調クランプ機構402をアルミニウム合金連続鋳造棒2の列に沿って上流(アルミニウム合金連続鋳造棒2の移動する方向と逆方向、以下、同じ)へ駆動したり、同調クランプ機構402の動きを自由にするものである。
404は支持ローラを示し、同調クランプ機構402の移動に支障をきたさない下流に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を支持するものである。
【0021】
405は移動架台を示し、支持ローラ404の下流に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列に沿って往復動するものである。
406A,406Bは軌条を示し、移動架台405に、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列に直交させて所定間隔で設けられている。
407A,407Bはモータを示し、モータ407Aは軌条406Aに対応させてアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の幅方向の外側の移動架台405に設けられ、モータ407Bは軌条406Bに対応させてアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の幅方向の外側の移動架台405に設けられている。
【0022】
408A,408Bは切断機を示し、モータ407A,407Bによって駆動され、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列の半分ずつを切断するものである。
409は移動架台クランプ機構を示し、移動架台405に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を油圧機構によって押圧把持したり、解放するものである。
410は駆動機構を示し、移動架台405の下側に設けられ、移動架台405をアルミニウム合金連続鋳造棒2の列に沿って上流へ駆動したり、移動架台クランプ機構409の動きを自由にするものである。
411は長さ検出器を示し、移動架台405の下流側に取り付けられ、切断するアルミニウム合金連続鋳造棒2の長さを検出するものである。
【0023】
次に、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列の切断について説明する。
まず、鋳型302から出るアルミニウム合金連続鋳造棒2の列は、ガイドローラ306で支持されて誘導された後、ピンチローラ307によって平列に挟持され、図示を省略した駆動機構の駆動力によって鋳造速度で移送される。
そして、移送されるアルミニウム合金連続鋳造棒2の列は、同調クランプ機構402で押圧挟持される。このとき、駆動機構403は同調クランプ機構402の移動を自由にしているので、同調クランプ機構402は、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列の移送に伴って移動する。
【0024】
この間、移動架台405は駆動機構410によって上流側、すなわち、ピンチローラ307の方向へ移動させられ、所定の位置に達して停止し、駆動装置410が移動架台405に対して移動自由な待機状態となる。
そして、移送されているアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の先端が長さ検出器411に当接すると同時に、移動架台クランプ機構409がアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を把持し、切断機408A,408Bが作動するが、移動架台405はアルミニウム合金連続鋳造棒2の列とともに移動するので、アルミニウム合金連続鋳造棒2は移送方向に対して直角に切断される。
【0025】
この際、切断機408A,408Bは平行に設けられた2条の軌条406A,406Bの上を移動し、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列の幅方向の外側から内側へ向かってアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の半分ずつを切断するので、切断されたアルミニウム合金連続鋳造棒(3)列の先端は図示のように段違いとなるが、次の切断において切断機408A,408Bからアルミニウム合金連続鋳造棒(3)列の先端までの長さはいずれも同一になる。
そして、切断が終了すると、切断機408A,408Bは、元の位置に戻り、同時に移動架台クランプ機構409が解放され、移動架台405は駆動機構410によって上流側へ移動させられ、所定の位置に達して停止するとともに、駆動装置410が移動自由となって待機状態になる。
【0026】
一方、同調クランプ機構402は、移動架台クランプ機構409がアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を把持した直後にアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を解放し、駆動機構403によって上流側へ移動させられ、所定の位置に達して停止するとともに、駆動装置403が移動自由となって待機状態になる。
この待機状態の同調クランプ機構402は、切断機408A,408Bによるアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の切断が終了し、移動架台クランプ機構409がアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を解放する直前にアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を把持し、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列とともに移動する。
【0027】
このようにして鋳造、切断されたアルミニウム連続鋳造棒は、表面に逆偏析層を代表とした不均一組織が形成されている。この不均一組織の個所は、塑性加工で割れなどの原因になるので、除去する必要がある。
しかし、鋳造した状態の細径のアルミニウム合金連続鋳造棒は長さ方向に曲がりを有しており、鋳造後に熱処理を施した場合、さらに曲がりは大きくなり、例えば直径60mm以下の細径では非破壊検査装置などへ投入するに際して無視できないレベルとなる。例えば、曲がりが5mm/1000mm以上になると、非破壊検査装置としての超音波検査装置などで検出器と被検査面であるアルミニウム合金鋳造棒側面との隙間にバラツキが生じ、検出結果にバラツキが生じる恐れがある。また、非破壊検査装置などの投入口に設けられている、隙間のバラツキを抑えるためのガイドブッシュを通過させる際、ガイドブッシュに接触してアルミニウム合金連続鋳造棒の表面に傷が付いてしまう恐れがある。
ここで、5mm/1000mmとは、長手方向1000mmに対して曲がり量が5mmであることを意味する。
【0028】
例えば曲がりが5mm/1000mm以上になると、アルミニウム合金連続鋳造棒の搬送ガタが大きく、ガイドブッシュ通過時の通材性が悪くなるので、音超音波検査で表面波、底面波を欠陥エコーとして検出しまうなどの問題が生じる。そこで、曲がりを5mm/1000mm未満(より好ましくは、2mm/1000mm以下)に抑えられていることが望ましい。その結果、安定した一貫連続運転をより容易に実施できる。
【0029】
上記のようにアルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを矯正する矯正機は、ロール矯正機を用いることが好ましい。これは、側面が凹形状のローラと、側面が凸形状のローラとの間にアルミニウム合金連続鋳造棒を通過させることによって曲がりを小さくするものである。加工条件は、ロール角度、圧下荷重、ローラの回転数を調整することによって設定する。その結果、曲がりが減少するので、搬送時、装置への投入持のトラブルが減少するため、一貫連続運転をより容易に実施できる。
【0030】
また、外周除去工程の、外周面削加工において被切削材であるアルミニウム合金連続鋳造棒に曲がりが、例えば5mm/1000mm以上存在すると、外周切削時に偏芯が起こって外周部に削り残しが生じたり、削りが不均一になる原因となる。そこで、表面状態の品質を一定に保ったアルミニウム合金連続鋳造棒を連続一貫製造するためには、アルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを5mm/1000mm未満(好ましくは、2mm/1000mm以下)にした状態で外周除去工程に投入するのが望ましい。
【0031】
図4(a),(b)は第1矯正機601の一例を示す説明図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は側面図に相当する。
図4において、602はロール対を示し、平面に見て軸線が交差するように配設された上下一対の凹形ローラ603、凸形ローラ604で構成され、隣り合うロール対602同士は、矯正すべきアルミニウム合金連続鋳造棒3の外径に対応させた最適値に設定されている。
αはロール角度を示す。
なお、第2矯正機901も、同様な構成とされている。
【0032】
次に、アルミニウム合金連続鋳造棒3の曲がりの矯正について説明する。
まず、各ロール対602の各ローラ603,604の少なくとも一方を、図示を省略した駆動機構で回転させる。
そして、例えば右端のロール対602の各ローラ603,604の間へアルミニウム合金連続鋳造棒3を導入することにより、アルミニウム合金連続鋳造棒3は回転しながら左側へ送られ、曲がりを矯正されるとともに、真円に矯正される。
【0033】
このようにして曲がりを矯正したアルミニウム合金連続鋳造棒の内部に欠陥があると、塑性加工した製品が不良品となるので、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部に欠陥があるかないかを非破壊検査装置で検査する必要がある。
【0034】
この非破壊検査装置として超音波探傷検査装置を用いるのが好ましい。超音波探傷は探触子から照射された超音波の被検査体、すなわち、アルミニウム合金連続鋳造棒中での挙動により内部検査を行うことができるからである。内部検査の方式としては、他にX線透過検査があるが、X線を発生させるために高電圧装置が必要なことなど、設備の管理に手間がかかる。また、X線透過検査は、その原理上、異物などの体積を有する欠陥の検出能力が高いが、体積が小さく、品質特性上甚大な影響を及ぼす割れのような欠陥の検出能力が劣る。
一方、超音波探傷は割れに対しても検出能力が高く、また、検出した電気信号を処理することにより、画像処理が必要なX線と比較して、欠陥の自動判定が容易に可能となり、検査の精度が高く安定した検査ができる。
【0035】
この発明で利用する超音波探傷方法としては、反射法、透過法、斜角法、表面波法、共振法、直接接触法などがあり、媒質としては、例えば、水、機械油、水ガラス、グリース、ワセリンなどが用いられる。また、測定方法としては、接触法、水浸法、パルス波法、連続波法、2探触子法、1探触子法、多重反射法などを挙げることができる。この発明の方法としては、パルス状の超音波信号を送り出して反射もしくは透過する信号を受け、その受信信号の変化(反射、遮蔽、減衰)から欠陥の存在を検知する方法を用いることができる。
【0036】
しかし、超音波探傷はアルミニウム合金連続鋳造棒の内部より外周表面近傍での検査精度が劣る非破壊検査方法である。外周表面近傍での検査精度が劣る理由として、超音波探傷検査方法には探傷不感帯が生じるためである。
そこで、この発明では、非破壊検査を外周除去工程の前に施し、その後に外周部分(外周表面)の除去を行うこととした。外周不均一部を除去する前に非破壊検査を行い、その後超音波探傷で不感帯となる領域を含んだ部分を外周除去工程で除去する。その結果、外周表面表層部を検査するための渦電流探傷検査を省略でき、また超音波探傷検査方法単一の検査であるため、探傷領域による検出能力に差のない健全な材料が得られる。
【0037】
このように非破壊検査が超音波探傷検査方法に限らずアルミニウム合金連続鋳造棒の内部より外周表面近傍での検査精度が劣る非破壊検査方法によるものであれば、この発明の効果を大きく得られるので好ましい。
その結果、連続鋳造工程において鋳型、潤滑油と接触した際に発生する欠陥、連続鋳造時に発生する鋳塊割れなどの発生を検出することができるので、一貫連続運転をより容易に実施できる。
また、後工程の塑性加工時、機械加工時に障害となる部分(範囲)が、この発明で除去すべき鋳肌の部分(範囲)である。そこで、不感帯の領域が、削除すべき鋳肌の範囲より小さくなることが好ましい。
【0038】
除去すべき鋳肌の一例である逆偏析層は、鋳造時のアルミニウム合金連続鋳造棒の組成、鋳型の構造、鋳造条件などによってその範囲がきまる。例えば、その厚さは、表面から1mm程度までの範囲である。
また、表面から1mm程度までの範囲は、アルミニウム合金溶湯が鋳型、潤滑油、気体と接触することによる欠陥が発生している可能性の有る範囲であり、除去すべき鋳肌の別の一例である。
好ましくは、表面から上記の領域の2倍以上の範囲である。
これらの範囲を含んで外周除去工程で削除するので、この範囲以下に不感帯を抑えることが好ましい。その結果、最終的に不感帯の範囲は面削されて削除されることになる。
不感帯の範囲(表面からの距離)をAとし、外周除去工程で除去する範囲(表面からの距離)をBとすると、A<Bであるのが好ましい。より好ましくは、A≦0.8×Bである。より確実に不感帯を削除することができるからである。
【0039】
図5は非破壊検査方法である、超音波パルス反射法による垂直探傷方法の説明図である。
なお、アルミニウム合金連続鋳造棒3の下側には、表示部に表示される各反射波(エコー)をアルミニウム合金連続鋳造棒3に対応させて図示してある。
図5において、711は反射型超音波探傷装置を示し、同期信号、掃引信号および距離目盛り信号を出力する同期部712と、この同期部712からの同期信号に同期した超高周波信号の電圧を出力する送信部713と、この送信部713からの超高周波信号の電圧に基づいた超高周波信号をアルミニウム合金連続鋳造棒3に向けて送出するとともに、アルミニウム合金連続鋳造棒3の表面、欠陥3aなどからの反射波を捕捉して電圧に変換する探触子714と、送信部713の出力を探触子714へ供給したり、探触子714の反射波を捕捉した電圧を、後述する受信部716へ供給する切換部715と、この切換部715を介した、反射波を捕捉した探触子714の電圧を増幅して出力する受信部716と、この受信部716の出力、同期部712の掃引信号および距離目盛り信号に基づいて反射波の時間的変化を表示する表示部717とで構成されている。
Ssは表面エコー範囲、Sはアルミニウム合金連続鋳造棒3の表面エコー、Fsはアルミニウム合金連続鋳造棒3の探傷エコー範囲、Fはアルミニウム合金連続鋳造棒3の欠陥3aに基づく欠陥エコー、Bsは底面エコー範囲、Bはアルミニウム合金連続鋳造棒3の底面エコー、Nは探傷エコー範囲Fsの両側に位置する不感帯を示す。
なお、表示部717の波形は、表面エコーSで同期をとって表示したものである。
【0040】
次に、アルミニウム合金連続鋳造棒3の欠陥3aの探傷について説明する。
まず、表面エコー範囲Ssの表面エコーSが閾値を越えると、探傷を開始する。そして、底面エコー範囲Bsの表底エコーBが閾値を下回ると、探傷を終了する。
したがって、表面エコー範囲Ssと底面エコー範囲Bsとの間の探傷エコー範囲Fsに、閾値を越える欠陥エコーFがあると、この欠陥エコーFの位置に欠陥3aがあることを検出できる。
【0041】
この反射型超音波探傷装置で探傷する場合、周波数は2MHz〜8MHzの範囲が好ましい。
探触子は直径、材質、指向角などを考慮し、適したものを選択する。
なお、アルミニウム合金連続鋳造棒に入射した超音波は、直線的に進んだ後にやがて広がっていくが、直線進行距離が長すぎると、細径の探傷には使えないので、アルミニウム合金連続鋳造棒のサイズに応じて最適感度が得られるものを選択する必要がある。また、S/N比をよくするため、低い増幅度でも十分な波形が得られるように材質などを考慮する必要がある。また、探触子の数を減らしたり、探傷速度を速くするなどのため、指向角についても検討する必要がある。
【0042】
探触子とアルミニウム合金連続鋳造棒の表面との間に空隙を設け、その空隙を媒質で満たして探傷するのが好ましい。これは、アルミニウム合金連続鋳造棒の表面の粗さがばらついても、超音波を安定させて入射させることができるからである。また、媒質は、水、マシン油とすると、超音波の減衰が小さくなるので、好ましい。
【0043】
探傷感度の調整方法は、底面エコー方式、試験片方式のいずれかを用いることができる。底面エコー方式とは、試験体の健全部における底面からのエコーが定められた出力値になるように探傷装置の感度を調整するものである。底面エコー方式は、アルミニウム合金連続鋳造棒の表面の粗さの影響を受け、感度が不安定になるので、注意が必要である。試験片方式とは、標準穴を有する標準試験片のエコーの値が定められた出力値となるように探傷装置の感度を調整するものである。
【0044】
この発明のアルミニウム合金連続鋳造棒の場合、表面粗さにバラツキがあること、複数の探触子を併用するなどを考慮すると、試験片方式が好ましい。
【0045】
次に、不感帯について説明する。
図5において、アルミニウム合金連続鋳造棒3の外周部分(点線の外側に部分)が不感帯3nである。
この不感帯3nの発生する要因には、搬送ガタ、アルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりによるブレ、送信パルス(超音波)幅の広がり、近距離音場などを挙げることができる。特に、搬送ガタを小さくすることが効果的である。この搬送ガタが一番、不感帯3nへの影響の度合いが大きいからである。
【0046】
ここで、不感帯を抑える方法の例を具体的に説明する。
なお、これらを適宜組み合わせることにより、不感帯の幅を所定の幅以下に抑えることができる。
そして、この発明で肝要なことは、必要以上に不感帯の幅を抑える必要がないということである。外周除去工程で削除する範囲内に不感帯を抑えることができればよいので、設備装置をことさら高価なものにする必要がない。
【0047】
まず、ガタの対策について説明する。
探触子の前後にガイドブッシュ、ガイドローラを設置し、アルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりや搬送時のガタを抑えることが挙げられる。これにより、探傷中に被探傷体(アルミニウム合金連続鋳造棒)が急激に振られて所定の波形が探傷エコー範囲からはずれることがなくなる。また、搬送ローラ乗り継ぎ時の振動を抑える構造とすることにより、ガタを所望の値より小さくすることができる。
【0048】
次に、近距離音場の対策について説明する。
垂直探触子において、探触子の近傍で音波が広がらずに音場が乱れている範囲は近距離音場といわれている。この近距離音場よりも遠い部分では超音波は、距離が大きくなると、音圧が小さくなる関係を有している。その範囲を近距離音場限界(x)といい、x=d2/(4×λ)で一般的に表される。dは探触子の直径[mm]、λは超音波の波長[mm]である。
そのため、近距離音場は表面波(S波)のダレ部分に相当し、この部分は探傷不可能または探傷結果が不安定となるので、その範囲は不感帯となる。
しかし、被探傷体を挟んで対向位置に探触子を配置し、各探触子は被探傷体の中心から遠方側を探傷範囲とすることにより(表面波と底面波との中心から底面寄りで探傷)、近距離音場の影響を排除することができるので好ましい。
また、近距離音場の小さい探触子、周波数条件を採用することも重要なポイントとなる。
【0049】
次に、曲がりによるブレの対策について説明する。
被探傷体は多少曲がっており、これが搬送装置によって分速数十メートルで長手方向に走行して、超音波検査の探触子が配置された測定個所に投入される。例えば、曲がりが5mm/1000mm以上あると、探触子の設置してあるホルダへ出入りする時、被探傷体の曲がりによって多少なりともホルダへの接触が生じ、ガタが発生する。このガタが探傷上悪影響を及ぼす。
この対策としては、前述したように、矯正加工により曲がりを除去するのが好ましい。また、探触子の被探傷体への倣いをよくすることも重要である。
【0050】
その他の対策について説明する。
探触子から被探傷体への距離の大きい水浸式では探触子からの絶対位置で探傷エコー範囲を設定すると、被探傷体の位置精度によって探傷領域が変化するなどの不具合が発生する。そのため、予め表面波の発生位置近傍に十分な幅を持つ表面エコー範囲を設定し、この位置を起点として探傷エコー範囲を設定する。また、探傷エコー範囲は常時かつ高速に表面エコー範囲の情報によって設定する。これにより被探傷体の搬送ガタ等による影響を除去できる。
【0051】
超音波探傷検査方法の好ましい例について説明する。
超音波探傷検査方法は、図6に示すように、長手方向へ移動する被検査体(被探傷体:アルミニウム合金連続鋳造棒3)の円周上に配設した複数の探触子714で被検査体の全領域をカバーするのが好ましい。被検査体の搬送が長手方向への直線運動のみであるので、搬送装置が安価で済むからである。被検査体を長手方向へ移動させる手段として、ローラコンベアを挙げることができる。ここで、探触子の配置は傷(欠陥3a)の検出感度が所定の感度低下におさまる範囲となるように配置する。この配置は許容される感度の低下幅、探触子の指向角などによって設定される。
【0052】
超音波探傷検査方法は、図7に示すように、回転しながら長手方向へ移動する被検査体に対して固定した探触子714が螺旋状にトレースして被検査体の全領域をカバーするのが好ましい。探触子が少数で済むため、探傷装置が安価で済むからである。被検査体を回転させながら長手方向へ移動させる手段は、図4に示した矯正装置、スパイラル送りコンベアを挙げることができる。ここで、螺旋状とは、螺旋軌道のピッチが超音波の広がり幅以内であることが好ましい。検出能力を低下させることなく全範囲を検査することができるからである。
【0053】
超音波探傷検査方法は、図8に示すように、長手方向へ移動する被検査体の円周上で回転する探触子714によって被検査体の全領域をカバーするのが好ましい。探触子が少数で、被検査体の搬送は長手方向の直線運動となり、高速探傷が可能であるからである。
【0054】
超音波探傷検査法は、図9に示すように、その場で回転する被検査体の長手方向へ探触子714を移動させて被検査体の全領域をカバーするのが好ましい。少数の探触子で探傷可能であり、また、場合によっては切削加工の前後で加工しながら探傷することが可能となるからである。被検査体を回転させる手段は、旋盤などを挙げることができる。ここで、被検査体の回転速度と被検査体の長手方向への移動速度とは、1ピッチが超音波の広がり幅以内であることが好ましい。検出能力を低下させることなく全範囲を検査することができるからである。
【0055】
しかし、上記した検査方法では、黒皮のために表面性状がよくないので、音波の入射を一定に保つため、水浸式あるいは粘性媒体によるギャップ式が好ましい。ギャップ式の場合、探触子の被検査体への倣い性が重要となる。
また、表面波、底面波のエコー高さは常にモニタリングすることが好ましい。表面波の高さをモニタリングすることにより、探傷異常を検知できるためである。また、鋳肌の悪い部分から入った音波は散乱するため、表面波、底面波のエコー高さをモニタリングすることにより、ブレークアウトや表面割れなどによる鋳肌異常を検出できるからである。
【0056】
図10(a),(b)は外周除去装置801の一例を示す説明図であり、図10(a)は切削刃駆動機構を除いた斜視図、図10(b)は支持ローラを示す側面図に相当する。
図10において、811は搬送ローラを示し、側面から見てアルミニウム合金連続鋳造棒3を上下分割で搬送保持する4つで構成され、隣り合う搬送ローラ811同士は、搬送するアルミニウム合金連続鋳造棒3の長さに応じて所定間隔に設定されている。
816は切削刃を示し、搬送ロール811で長手方向へ搬送されるアルミニウム合金連続鋳造棒3の円周上に、外周部分を削り残しがなく切削できるように、90度分割で4つ配設され、図示を省略した切削刃駆動機構で回転駆動される。
817は外周を除去されるアルミニウム合金連続鋳造棒3をガタつかないように支持する支持ローラ、818は外周を除去されたアルミニウム合金連続鋳造棒4をガタつかないように支持する支持ローラを示し、アルミニウム合金連続鋳造棒3,4を60度分割で支持する。
【0057】
次に、アルミニウム合金連続鋳造棒3の外周除去について説明する。
まず、各搬送ローラ811を、図示を略した駆動機構で回転させるるとともに、図示を省略した切削刃駆動機構で切削刃816を回転させる。
そして、搬送ローラ811の間へアルミニウム合金連続鋳造棒3を導入することにより、アルミニウム合金連続鋳造棒3は順次搬送ローラ811で左側へ送られ、回転する切削刃916で外周部分(不均一組織である鋳肌や不感帯3nを含む部分)を削り残しなく切削され、所定の外径のアルミニウム合金連続鋳造棒4となる。
【0058】
この外周除去装置によれば、従来用いられている旋盤に比べ、被切削体(アルミニウム合金連続鋳造棒)が旋回せず、切削機構部(カッターヘッド、切削刃)が回転し、被切削体は搬送ロール対で推進力を与えられ、切削機構部を通過することで切削が完了するため、ハンドリング時間がゼロで連続的に加工を行えること、被切削体の旋回加工はハンドリングの制約上、被切削体の長さは有限だが、このピーリング加工は、理論的には被切削体の長さが無限であることから生産性がよく、ピーリングマシンが有利である。特に細径材(例えば、直径20mm〜80mm)では被切削体自身が有する曲がりが大きいため、削り残しの問題の起き易い被切削体の旋回加工よりもピーリング加工の方が有利である。
また、外周除去工程において鋳肌を除去する際に発生した切粉を連続的に破砕して溶解工程へ戻すことが好ましい。例えば、切粉破砕機を用いて切粉を微小にし、その微小な切粉を加圧エアを用いて圧送する。その結果、発生した切粉を一次的に貯留し、オペレータが貯留した切粉をフークリフトなどで運搬する手間がなくなるため、一貫連続運転をより容易に実施できる。
【0059】
次に、外周除去後の表面検査(表面検査工程)について説明する。
この表面検査は、必要に応じて用いられるので、外周を除去する外周除去工程(面削工程)の後に、面削工程のモニタを目的として実施するのが好ましく、人間による目視検査、渦電流探傷検査方法を挙げることができる。
なお、渦電流探傷検査方法は、電磁誘導現象を利用して被検査体表面に発生させた渦電流の変化によって欠陥の有無を判定する検査方法である。
そして、渦電流探傷検査方法における貫通コイル法と回転プローブ法を組み合わせて用いることが好ましい。
【0060】
貫通コイル法は、コイル内を被検査体(アルミニウム合金連続鋳造棒)が貫通していく過程で発生する渦電流の変化を検出するものである。この貫通コイル方は表層の範囲の検査に用いるのが好ましい。検査範囲は、コイルの発振周波数を調整して設定できる。検査範囲を、例えば、表面下3mm以内の範囲とするのが好ましい。
一方、回転プローブ法は、被検査体上方に配置した小さなコイルが回転することにより、被検査体全体を検査する方法である。この回転プローブ法はプローブを小さくできるため、微小欠陥の検出までが可能である。回転型渦電流探傷は極表面の範囲の検査に用いるのが好ましい。検査範囲は、コイルの発振周波数を調整して設定できる。検査範囲を、例えば、表面下1mm以内の範囲とするのが好ましい。
表面検査結果をもとに、面削工程の切削条件を制御することが好ましい。
【0061】
次に、検査結果のフィードバックについて説明する。
まず、従来の検査工程、すなわち、外周除去後に非破壊検査(渦電流探傷検査、超音波探傷検査の組合せ)を行う工程で、検査を実施した。この場合、渦電流検査で検出された表面傷欠陥が多かった。その原因を調査したところ、外周除去工程に起因する加工傷と、鋳造工程に起因する鋳造欠陥との双方が認められたため、検査結果の解析が複雑となった。
次に、この発明による工程で検査を実施したところ、外周除去前の検査(超音波探傷検査)では鋳造工程に起因する鋳造欠陥を検出し、外周除去後の表面検査(渦電流探傷検査)では、外周除去工程に起因する加工傷が検出された。
したがって、外周除去前の検査結果をそのまま鋳造工程へ、また、外周除去後の検査結果を外周除去工程へフィードバックさせることができた。
このように、フィードバックが簡便に実施できるので、各検査結果をモニタし、フィードバックすることにより、安定した一貫連続運転を容易に実現することができる。
【0062】
次に、この発明のアルミニウム合金連続鋳造棒の検査装置について説明する。
アルミニウム合金連続鋳造棒の検査装置は、図7に示すように、アルミニウム合金連続鋳造棒を長手方向へ回転させながら移動させる螺旋移動手段、固定した探触子を有するものとした場合、螺旋搬送手段の回転速度と、長手方向の送り速度とは使用する探触子の性能、個数によって設定することができる。
そして、アルミニウム合金連続鋳造棒の螺旋搬送手段が、例えば図4に示すように、アルミニウム合金連続鋳造棒の曲がり矯正機(手段)を兼ねることが好ましい。曲がり矯正機におけるアルミニウム合金連続鋳造棒の螺旋状の動きをそのまま利用することができ、設備の簡略化ができるからである。
この発明の検査装置は、例えば曲がり矯正機の出口側に超音波探傷検査装置の探触子を配置すると、曲がり矯正機から回転しながら長手方向へ送られてくるアルミニウム合金連続鋳造棒が検査に充分な程度まで曲がりを小さくされて出口側から出てくるので、アルミニウム合金連続鋳造棒が探触子の下を通過することになる。その結果、アルミニウム合金連続鋳造棒に対して螺旋状にトレースすることになる探触子によって超音波探傷検査が行われる。その後、アルミニウム合金連続鋳造棒は外周部分を除去される。
【0063】
また、検査装置の搬送手段を螺旋搬送手段とし、その搬送手段をアルミニウム合金連続鋳造棒の外周除去装置の一部を兼ねさせたものとし、切削刃を固定した外周除去装置でアルミニウム合金連続鋳造棒の外周を除去することが好ましい。検査装置におけるアルミニウム合金連続鋳造棒を回転させながら長手方向へ搬送する搬送手段の動きをそのまま外周除去装置で利用することができ、設備の簡略化ができるからである。
この発明の検査装置は、切削工具の入り口側に超音波探傷検査装置の探触子を配置する。その結果、回転しながら長手方向へ送られて外周除去装置へ入るアルミニウム合金連続鋳造棒は探触子の下を通過することになり、アルミニウム合金連続鋳造棒は探触子によって螺旋状に全領域がトレースされ、探触子によって超音波探傷検査が行われる。その直後、アルミニウム合金連続鋳造棒は外周部分を除去される。
【0064】
また、検査装置の搬送手段を螺旋搬送手段とし、その搬送手段をアルミニウム合金連続鋳造棒の外周除去装置の一部を兼ねさせたものとし、切削刃が回転する外周除去装置でアルミニウム合金連続鋳造棒の外周を除去することが好ましい。検査装置におけるアルミニウム合金連続鋳造棒を長手方向へ搬送する搬送手段の動きをそのまま外周除去装置で利用することができ、設備の簡略化ができるからである。
この発明の検査装置は、回転する切削工具に超音波探傷検査装置の探触子を配置する。その結果、長手方向へ送られて外周除去装置へ入るアルミニウム合金連続鋳造棒は回転する探触子の内側を通過することになり、アルミニウム合金連続鋳造棒は探触子によって螺旋状に全領域がトレースされ、探触子によって超音波探傷検査が行われる。その直後、アルミニウム合金連続鋳造棒は外周部分を除去される。
【0065】
この発明の検査方法における探傷不感帯は、検査の後に除去される外周部分に含まれるように探傷範囲を設定すると、外周除去により、探傷不感帯部分を除去できるので、好ましい。
【0066】
この検査装置の被検査体であるアルミニウム合金鋳造棒としては、アルミニウム合金連続鋳造棒、棒状鋳型によるアルミニウム合金鋳造棒、または、これらの押出材を挙げることができる。
【0067】
次に、図11と図12とに基づき、この発明の実施例と、比較例(従来例)とを説明する。
ここで、使用した素材は、6061合金で、直径が70mmで、長さが200mmmである。
そして、面削代を2.5mm(すなわち、直径が65mmになるまで切削する。)とした。
また、超音波探傷装置はマルチUST(クラウトクレーマー製)、探触子は5C0.25″、探傷感度は欠陥エコーを30dBまで増幅し、25dB以上を検出し、探傷流域領域はDAC(距離振幅特性曲線)によって減衰を補正し、探傷媒体はマシン油とした。
なお、黒皮探傷時および面削後の不感帯は2mmであった。これは、不感帯が面削代(外周除去部)に含まれる。
【0068】
図11(a)の実施例1および図12(a)の比較例1は面削前および面削後も十分に探傷範囲内である中心から15mmの位置に欠陥3a(直径1mm)が存在する場合、図11(b)の実施例2および図12(b)の比較例2は面削前に探傷範囲内であり、面削後に探傷範囲外となる中心から31.0mmの位置に欠陥3a(直径1mm)が存在する場合、図11(c)の実施例3および図12(c)の比較例3は面削前に探傷範囲外であり、面削によって除去される中心から33.5mmの位置に欠陥3a(直径1mm)が存在する場合である。
なお、各図の下側に反射型超音波探傷装置における表示部の波形を示した。
【0069】
図12(b)から解るように、従来例では面削後に超音波探傷装置の不感帯を補完するために渦電流探傷検査が必要になる。しかし、渦電流探傷検査は検出感度が悪い(低い)ので、欠陥を見逃し易く、健全なアルミニウム合金連続鋳造棒を提供することができなくなる。
一方、この発明の図11(b)場合、面削前に内部の欠陥の検査を行うので、欠陥を検出でき、健全なアルミニウム合金連続鋳造棒を提供することができる。
なお、図11(c)および図12(c)の場合、欠陥を検出できないが、欠陥部分は面削されるので、健全なアルミニウム合金連続鋳造棒を提供することができる。
【0070】
次に、上記のようにして製造されるアルミニウム合金連続鋳造棒について説明する。
アルミニウム合金連続鋳造棒の直径は20mm〜200mmの範囲とすることができる。この範囲以外でも対応は可能であるが、アルミニウム合金連続鋳造棒の直径を20mm〜200mmの範囲内にすると、後工程の塑性加工、例えば鍛造、ロールフォージング、引抜き加工、転動加工、インパクト加工などの設備が小規模かつ安価になるため、好ましい。なお、アルミニウム合金連続鋳造棒の直径が200mmを超えると、超音波探傷に用いる装置が大掛かりとなるので、設備的効率が好ましくなくなる。
【0071】
従来のアルミニウム合金連続鋳造棒は、外周表面部、例えば外周表面から3mm以内の部分は、渦電流探傷検査方法で検査して内部を超音波探傷検査方法で検査していた。その結果、超音波探傷検査では検出できるが、渦電流探傷検査方法では検出が不得意である欠陥が検出できないで残る恐れがあった。しかし、この発明のアルミニウム合金連続鋳造棒は、例えば、前述した製造方法を用いているので、断面全体が超音波探傷で検査されたものとなり、そのような鋳造欠陥の個数を充分低減させたものとすることができる。
【0072】
上記した説明は、アルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造し、そのアルミニウム合金連続鋳造棒を定尺に切断した後、そのアルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを矯正して非破壊検査し、さらに、アルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを矯正して外周部分を除去した後に表面検査を行っているが、第1矯正工程の後、アルミニウム合金連続鋳造棒に何の加工も行わないので、第2矯正工程を省略することができ、また、外周除去工程が充分に工程管理されてピーリング痕がアルミニウム合金連続鋳造棒に残らない場合は、表面検査工程を省略することができる。
また、検査工程は、アルミニウム合金鋳造棒全体に対して行えるので、アルミニウム合金連続鋳造棒に限定されるものではない。
【0073】
【発明の効果】
以上のように、この発明のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法および製造設備によれば、品質の安定したアルミニウム合金連続鋳造棒を製造することができる。
また、この発明のアルミニウム合金鋳造棒の検査方法および検査装置によれば、品質の安定したアルミニウム合金鋳造棒を得ることができる。
また、この発明のアルミニウム合金連続鋳造棒またはアルミニウム合金鋳造棒によれば、機械的特性に優れ、かつ、耐摩耗性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態であるアルミニウム合金連続鋳造棒製造設備の工程図である。
【図2】連続鋳造装置の一例を示す説明図である。
【図3】(a),(b)は切断装置の一例を示す説明図である。
【図4】(a),(b)は第1矯正機の一例を示す説明図である。
【図5】超音波パルス反射法による垂直探傷方法の説明図である。
【図6】超音波探傷検査方法の例を示す説明図である。
【図7】超音波探傷検査方法の例を示す説明図である。
【図8】超音波探傷検査方法の例を示す説明図である。
【図9】超音波探傷検査方法の例を示す説明図である。
【図10】(a),(b)は外周除去装置の一例を示す説明図である。
【図11】(a),(b),(c)はこの発明の実施例1、実施例2および実施例3を示す説明図である。
【図12】(a),(b),(c)は従来例の比較例1、比較例2および比較例3を示す説明図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム合金溶湯
2,3,4 アルミニウム合金連続鋳造棒
3a 欠陥
3n 不感帯
101 溶解保持炉(溶解工程)
201 溶湯処理装置(溶湯処理工程)
301 連続鋳造装置(連続鋳造工程)
302 鋳型
401 切断装置(切断工程)
407A 切断機
407B 切断機
501 熱処理装置(熱処理工程)
601 第1矯正機(第1矯正工程:曲がり矯正手段)
602 ロール対
701 非破壊検査装置(非破壊検査工程)
711 反射型超音波探傷装置
714 探触子
801 外周除去装置(外周除去工程)
811 搬送ロール
816 切削刃
901 第2矯正機(第2矯正工程:曲がり矯正手段)
1001 表面検査装置(表面検査工程)
Claims (27)
- 連続鋳造工程でアルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造した後、外周除去工程でアルミニウム合金連続鋳造棒の外周部分を除去するアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法において、
連続鋳造工程と外周除去工程との間に、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部を検査する非破壊検査工程を設けた、
ことを特徴とするアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。 - 非破壊検査工程における検査方法は、超音波探傷検査方法である、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。 - 超音波探傷検査方法は、長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒の円周上に配設した複数の探触子でアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーする、
ことを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。 - 超音波探傷検査方法は、回転しながら長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒に対して固定した探触子が螺旋状にトレースしてアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーする、
ことを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。 - 超音波探傷検査方法は、長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒の円周上で回転する探触子によってアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーする、
ことを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。 - 超音波探傷検査方法は、回転するアルミニウム合金連続鋳造棒の長手方向へ探触子を移動させてアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーする、
ことを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。 - 外周除去工程で除去する外周部分が、超音波探傷検査方法における探傷不感帯を含む、
ことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。 - 外周除去工程で除去する外周部分が、アルミニウム合金連続鋳造棒の鋳肌部分を含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。 - 外周除去工程における外周除去方法は、ピーリングマシンまたは旋盤による切削加工である、
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。 - 連続鋳造装置でアルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造した後、外周除去装置でアルミニウム合金連続鋳造棒の外周部分を除去するアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備において、
連続鋳造装置と外周除去装置との間に、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部を検査する非破壊検査装置を設けた、
ことを特徴とするアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。 - 非破壊検査装置は、超音波探傷検査装置である、
ことを特徴とする請求項10に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。 - 超音波探傷検査装置は、長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒の円周上に配設した複数の探触子でアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーする、
ことを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。 - 超音波探傷検査装置は、回転しながら長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒に対して固定した探触子が螺旋状にトレースしてアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーする、
ことを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。 - 超音波探傷検査装置は、長手方向へ移動するアルミニウム合金連続鋳造棒の円周上で回転する探触子によってアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーする、
ことを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。 - 超音波探傷検査装置は、回転するアルミニウム合金連続鋳造棒の長手方向へ探触子を移動させてアルミニウム合金連続鋳造棒の全領域をカバーする、
ことを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。 - 外周除去装置で除去する外周部分が、超音波探傷検査装置における探傷不感帯を含む、
ことを特徴とする請求項11から請求項15のいずれか1項に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。 - 外周除去装置で除去する外周部分が、アルミニウム合金連続鋳造棒の鋳肌部分を含む、
ことを特徴とする請求項10から請求項16のいずれか1項に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。 - 外周除去装置は、ピーリングマシンまたは旋盤である、
ことを特徴とする請求項10から請求項17のいずれか1項に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造設備。 - 請求項1から請求項18のいずれか1項に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法または製造設備で製造されたアルミニウム合金連続鋳造棒の直径が、20mm〜200mmである、
ことを特徴とするアルミニウム合金連続鋳造棒。 - Siの含有量が7質量%〜14質量%、鉄の含有量が0.1質量%〜0.5質量%、銅の含有量が1.0質量%〜9.0質量%、Mnの含有量が0質量%〜0.5質量%、Mgの含有量が0.1質量%〜1.0質量%である、
ことを特徴とする請求項19に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒。 - アルミニウム合金鋳造棒に対して超音波を発射し、アルミニウム合金鋳造棒からの超音波を捕捉する探触子を有する検査装置であって、
アルミニウム合金鋳造棒に対して探触子が螺旋状にトレースする、
ことを特徴とするアルミニウム合金鋳造棒の検査装置。 - アルミニウム合金鋳造棒に対して探触子を螺旋状にトレースさせるための、アルミニウム合金鋳造棒を回転させながら長手方向へ移動させる螺旋搬送手段がアルミニウム合金鋳造棒の曲がり矯正手段を兼ねる、
ことを特徴とする請求項21に記載のアルミニウム合金鋳造棒の検査装置。 - アルミニウム合金鋳造棒に対して探触子を螺旋状にトレースさせるための、アルミニウム合金鋳造棒を回転させながら長手方向へ移動させる螺旋搬送手段がアルミニウム合金鋳造棒の外周部分を除去する外周除去手段の一部を兼ねる、
ことを特徴とする請求項21に記載のアルミニウム合金鋳造棒の検査装置。 - アルミニウム合金鋳造棒に対して探触子を螺旋状にトレースさせるための手段が、アルミニウム合金鋳造棒の外周部分を除去する外周除去手段のアルミニウム合金鋳造棒を長手方向へ移動させる搬送手段と、切削工具を回転させる切削具回転駆動手段とを兼ねる、
ことを特徴とするアルミニウム合金鋳造棒の検査装置。 - 請求項21から請求項24のいずれか1項に記載のアルミニウム合金鋳造棒の検査装置を用い、探傷不感帯が検査の後で除去される外周部分に含まれるように探傷範囲を設定した、
ことを特徴とするアルミニウム合金鋳造棒の検査方法。 - 請求項21から請求項25のいずれか1項に記載のアルミニウム合金鋳造棒の検査装置または検査方法を用いて製造されたアルミニウム合金鋳造棒の直径が、20mm〜200mmである、
ことを特徴とするアルミニウム合金鋳造棒。 - Siの含有量が7質量%〜14質量%、鉄の含有量が0.1質量%〜0.5質量%、銅の含有量が1.0質量%〜9.0質量%、Mnの含有量が0質量%〜0.5質量%、Mgの含有量が0.1質量%〜1.0質量%である、
ことを特徴とする請求項26に記載のアルミニウム合金鋳造棒。
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