JP2004209332A - 脱硫装置および脱硫方法 - Google Patents
脱硫装置および脱硫方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004209332A JP2004209332A JP2002379668A JP2002379668A JP2004209332A JP 2004209332 A JP2004209332 A JP 2004209332A JP 2002379668 A JP2002379668 A JP 2002379668A JP 2002379668 A JP2002379668 A JP 2002379668A JP 2004209332 A JP2004209332 A JP 2004209332A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbonaceous adsorbent
- exhaust gas
- moving bed
- adsorption tower
- passed
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】炭素質吸着剤の劣化を抑制しつつ、高濃度のSOxを含む排ガスを処理することが可能な乾式の脱硫装置および方法を提供する。
【解決手段】吸着塔1の排ガス流動方向で最上流に位置する第1の移動層16aには、吸着塔1を一度通過した炭素質吸着剤の一部が篩分器(第1の選別除去手段)2で微粉炭・ダスト等を除去された後、ライン(第1の返送手段)L3によって返送されている。他の移動層16b、16cには、脱離・再生器3で再生された炭素質吸着剤が篩分器(第2の選別除去手段)4でダスト等を除去された後、ライン(第2の返送手段)L5によって返送される。
【選択図】 図1
【解決手段】吸着塔1の排ガス流動方向で最上流に位置する第1の移動層16aには、吸着塔1を一度通過した炭素質吸着剤の一部が篩分器(第1の選別除去手段)2で微粉炭・ダスト等を除去された後、ライン(第1の返送手段)L3によって返送されている。他の移動層16b、16cには、脱離・再生器3で再生された炭素質吸着剤が篩分器(第2の選別除去手段)4でダスト等を除去された後、ライン(第2の返送手段)L5によって返送される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は排ガス中の硫黄酸化物を炭素質吸着剤で吸着して除去する脱硫装置および方法に関し、特に高濃度の硫黄酸化物を含む排ガスの処理が可能な脱硫装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
排ガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫処理方法として、従来から、排ガスと炭素質吸着剤とを接触させることにより、排ガス中の硫黄酸化物を含む処理対象成分を炭素質吸着剤に吸着させて除去する手法(乾式脱硫方法)が知られている(例えば、特許文献1参照)。ところで、炭素質吸着剤(活性炭、活性チャー等)には、吸着性能を発揮する適切な温度範囲があり、さらに、その温度が高すぎると、燃焼等による焼損を引き起こす可能性があるため、温度上昇を抑制する必要がある。この温度上昇は排ガス温度が高い場合のみでなく、SOx、酸素等を吸着する際に吸着熱、酸化熱により引き起こされる可能性がある。特許文献1の技術は、排ガス通路に冷風を供給して排ガスを冷却することにより、この温度上昇を抑制するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−191930号公報(段落0016〜0029、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、石炭資源の有効活用のため、特に海外において硫黄含有量の極めて多い石炭であってもボイラー、発電所で燃料として使用されるようになってきた。このように硫黄含有量の極めて多い石炭を燃焼させると1000ppmを超える高濃度の硫黄酸化物(SOx)を含む排ガスが排出される。このような高濃度のSOxを含む排ガスと炭素質吸着剤とを接触させると、吸着熱によって吸着剤が過熱し、運転停止を余儀なくされてしまう可能性が高いため、このような乾式の脱硫方法を適用することは難しいとされていた。
【0005】
そこで本発明は、炭素質吸着剤の過熱に伴う焼損を抑制しつつ、高濃度のSOxを含む排ガスを処理することが可能な乾式の脱硫装置および方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る脱硫装置は、炭素質吸着剤を用いて排ガス中の硫黄酸化物を吸着除去する脱硫装置において、(1)充填された炭素質吸着剤が鉛直方向に流動する移動層を排ガスの流れ方向に2層以上配置している吸着塔と、(2)吸着塔下部から取り出された炭素質吸着剤の一部を導入し、所定粒径未満の炭素質吸着剤と混入物を除去する第1の選別除去手段と、(3)第1の選別除去手段を通過した炭素質吸着剤を吸着塔の排ガス流動方向で最上流側に位置する第1の移動層へと返送する第1の返送手段と、(4)吸着塔を通過して第1の選別除去手段をバイパスした炭素質吸着剤とが導入され、不活性ガス雰囲気中でこの炭素質吸着剤を加熱することで吸着した硫黄酸化物を脱離させて炭素質吸着剤を再生する脱離・再生塔と、(5)脱離・再生塔を通過した炭素質吸着剤、混入物から所定粒径未満の炭素質吸着剤と混入物を除去する第2の選別除去手段と、(6)第2の選別除去手段を通過した炭素質吸着剤を吸着塔の第1の移動層を除く移動層へと返送する第2の返送手段と、を備えているものである。
【0007】
一方、本発明に係る脱硫方法は、炭素質吸着剤を用いて排ガス中の硫黄酸化物を吸着除去する脱硫方法において、(1)充填された炭素質吸着剤が鉛直方向に流動する移動層が2層以上並行に配設されている吸着塔に排ガスを導入して移動層の各層を通過させて排ガス中の硫黄酸化物を吸着させる工程と、(2)吸着塔下部から炭素質吸着剤を取り出し、その一部を第1の選別除去手段へと導入して、所定粒径未満の炭素質吸着剤と混入物を除去する工程と、(3)第1の選別除去手段を通過した炭素質吸着剤を吸着塔の排ガス流動方向で最上流側に位置する第1の移動層へと返送する工程と、(4)吸着塔を通過して第1の選別除去手段をバイパスした炭素質吸着剤とを脱離・再生塔へと導入して、不活性ガス雰囲気中でこの炭素質吸着剤を加熱することで吸着した硫黄酸化物を脱離させて炭素質吸着剤を再生する工程と、(5)脱離・再生塔を通過した炭素質吸着剤、混入物を第2の選別除去手段へと導き、所定粒径未満の炭素質吸着剤と混入物を除去する工程と、(6)第2の選別除去手段を通過した炭素質吸着剤を吸着塔の第1の移動層を除く移動層へと返送する工程と、を備えているものである。
【0008】
本発明によれば、吸着塔内で排ガスと最初に接触する第1の移動層の炭素質吸着剤は、すでに一度吸着塔内で排ガスと接触した炭素質吸着剤であるため、新品または再生直後の炭素質吸着剤に比べて酸素やSOxを吸着する能力(吸着余力)が低く、吸着に伴う発熱を抑制することができる。一方、この第1の移動層においても排ガス中のSOxは一部吸着されるため、下流側の移動層へと導かれる排ガス中のSOx濃度は第1の移動層導入時に比べて低下するため、下流側の移動層における吸着に伴う発熱も抑制できる。また、炭素質吸着剤を第1の移動層へと返送する際に粒径の小さい粉炭やダストを除去するため、第1の移動層を通過する排ガスの圧力損失増大を抑制し、排ガスによる冷却効果を促進して、炭素質吸着剤の過熱を抑制する。
【0009】
さらに、第1の選別除去手段で除去された炭素質吸着剤、混入物を脱離・再生塔へと導く移送手段を備えているとよい。このようにすると、第1の選別除去手段で除去された炭素質吸着剤、混入物が吸着しているSOx等を分離することができるため、その処理が容易になる。
【0010】
この吸着塔の各移動層を通過した炭素質吸着剤を混合する混合手段をさらに備え、混合手段を通過した炭素質吸着剤の一部が第1の選別手段へと導かれるようにしてもよい。あるいは、第1の選別手段には、少なくとも第1の移動層を通過した炭素質吸着剤が導入されてもよい。または、第1の選別手段には、第1の移動層を除いて排ガス流動方向で上流側に位置する移動層を通過した炭素質吸着剤が導入されてもよい。
【0011】
このような構成とすると、第1の移動層へと返送される炭素質吸着剤は、既に比較的高濃度のSOxと接触しているため、吸着余力が小さく、吸着熱を抑制する効果が高まる。
【0012】
移動層は、排ガス流動方向で上流側と下流側の少なくとも2つのグループに区分され、吸着塔はこれらグループの境界位置に炭素質吸着剤が充填されていない空間層を備えていてもよい。この場合、排ガスは各移動層を通過する間に少なくとも一度、移動層間に形成された空間層を通過する。この空間層をはさむ移動層において空間層への放熱が促進されるため、層内の炭素質吸着剤の温度を低下させることが可能となる。
【0013】
少なくとも一つの移動層の上端または下端に鉛直方向かつ排ガスの流動方向と直交する方向に1つないし複数の板が配設されていると好ましい。上端部、下端部では、排ガスの流動方向が乱され、スネークバイと呼ばれる流れを発生させる。このスネークバイが発生すると、炭素質吸着剤の発熱と放熱のバランスが崩れて過熱に至る可能性があるが、上記の板を配設することで、このスネークバイの発生を抑制する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は本発明に係る脱硫装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。本発明に係る脱硫方法は例えば、この装置により実施される。この装置は、炭素質吸着剤が充填された移動層式の吸着塔1と炭素質吸着剤の再生を行う脱離・再生塔3と2つの篩分器2、4とから構成されている。
【0016】
吸着塔1は、排ガスを水平方向、炭素質吸着剤を鉛直方向に流動させて接触させる、いわゆる直交流型の移動層式吸着塔である。すなわち、排ガス入口10と排ガス出口14が容器18の対向する側面にそれぞれ配置されている。容器18の内部には、、いずれも排ガスを透過する入口ルーバ11、隔壁12a、12b、出口ルーバ13が、排ガス入口10側から排ガス出口14側に順にこの順序で鉛直方向に延在して配置されている。入口ルーバ11と隔壁12aの間、隔壁12aと12bの間、隔壁12bと出口ルーバ13の間にはそれぞれ炭素質吸着剤、例えば活性炭が充填されて移動層16a〜16cを形成する。以下、各移動層16a〜16cを区別する必要がある場合には、排ガスの流動方向の上流側から順に第1の移動層16a〜第3の移動層16cと称する。
【0017】
第1の移動層16aの上部にはロータリーバルブV1が、下部にはロールフィーダR1とロータリーバルブV2が配置され、第2の移動層16bと第3の移動層16cの上部には、共通のロータリーバルブV3が、下部には、それぞれ専用のロールフィーダR2、R3と共通のロータリーバルブV4が配置される。各移動層16a〜16cの下部付近には、鉛直方向に延在するスネークバイ防止板15がそれぞれ配置される。
【0018】
脱離・再生塔3は、不活性ガス(例えば、窒素ガス)雰囲気中で炭素質吸着剤を加熱することで吸着したガス(SOx等)を脱離・分解するものであり、上部と下部にそれぞれロータリーバルブV10、V11が配置されている。
【0019】
吸着塔1の下部に設けられたロータリーバルブV2、V4はベルトコンベヤ、ホッパ等からなる移送手段であるラインL1a、L1bを経てラインL1に合流する。その一部は分岐したラインL1cにより篩分器(第1の選別除去手段)2へ接続され、残りはラインL1dにより、脱離・再生塔3の上部のロータリーバルブV10へと接続されている。篩分器2の篩上の炭素質吸着剤を移送するラインが吸着塔1の第1の移動層16aの上部のロータリーバルブV1に接続されるライン(第1の返送手段)L3である。篩分器2の篩下の炭素質吸着剤を移送するラインはラインL1dに接続されるライン(移送手段)L2である。
【0020】
脱離・再生塔3の下部のロータリーバルブV11と篩分器(第2の選別除去手段)4とは、ラインL4によって接続されており、篩分器4の篩上の炭素質吸着剤を移送するラインが吸着塔1の第2、第3の移動層16b、16cの上部のロータリーバルブV3に接続されるライン(第2の返送手段)L5である。
【0021】
この実施形態の動作説明に先立って、吸着塔1に高濃度のSOxを含む排ガスを通過させた場合に、炭素質吸着剤の過熱が発生する要因について説明する。
【0022】
図2は、従来から用いられている移動層を複数含む吸着塔1xの構成を示す概略図である。炭素質吸着剤の過熱は、移動層16の上端付近Aまたは下端付近Bで起こりやすい。
【0023】
まず、上端付近(図3参照)については新品または再生直後の炭素質吸着剤が導入されるため、吸着余力が大きく、酸素、SOxを急激に吸着することで吸着熱の発生量が大きくなる。さらに、上端部からの投入時には未だ鉛直方向の吸着剤の流れが形成されておらず、水平方向への炭素質吸着剤の移動が起こるため、余力のある炭素質吸着剤が排ガス流れの上流側へと供給されやすくなるため、排ガスの吸着量が増大してしまい、発熱へと至る。
【0024】
一方、下端付近(図4参照)では、区画形状が先細りになっている関係で、壁面付近で炭素質吸着剤が滞留しやすくなる。さらに、ガスの流れが乱れたり、炭素質吸着剤も水平方向で混合されることにより、余力のある炭素質吸着剤が排ガス流れの上流側へと供給されやすくなって、排ガスの吸着量が増大してしまい、発熱へと至る。こうしたガスの乱れや炭素質吸着剤の混合を抑制するため、下部ホッパ内に遮断壁19を配置する技術があるが、必ずしも十分とはいえない。
【0025】
これに対し、本発明に係る脱硫装置、脱硫方法では、炭素質吸着剤の供給を工夫することにより移動層16(特に第1の移動層16a)における炭素質吸着剤の過熱を抑制している。以下、第1の実施形態の具体的な動作を説明する。
【0026】
処理対象となる排ガスは、排ガス入口10から吸着塔1内に導入され、移動層16a、16b、16cをこの順序で通過し、排ガスで口14から排出される。一方、移動層16a、16b、16c内の炭素質吸着剤は下部のロールフィーダR1、R2、R3により引き抜かれ、バルブV2、V4、ラインL1a、L1bを経てラインL1で混合される。
【0027】
混合された炭素質吸着剤の一部はラインL1cにより篩分器2へと送られ、所定粒径以下、例えば、1〜2mm以下の破砕した微粉炭・粉塵等が除去される。これらを除去した炭素質吸着剤はラインL3によってロータリーバルブV1から第1の移動層16aへと返送される。つまり、吸着塔1の移動層16を少なくとも一度は通過した炭素質吸着剤が第1の移動層16aへと供給される。
【0028】
ラインL1cと分岐したラインL1dの炭素質吸着剤にはラインL2によって篩分器2で分離された1〜2mm以下の破砕した微粉炭やダスト等が混入された後、ロータリーバルブV10から脱離・再生塔3へと導入される。脱離・再生塔では不活性ガス雰囲気中で加熱することにより、吸着したSOxガス他の脱離・分解を行うことにより炭素質吸着剤の再生を行う。再生された炭素質吸着剤は下部のロータリーバルブV11からラインL4により篩分器4へと送られ、所定粒径以下、例えば、1〜2mm以下の破砕した微粉炭や粉塵等がダストとして除去される。ダスト除去後の再生吸着剤は、ラインL5によりロータリーバルブV3から第2、第3の移動層16b、16cへと返送される。
【0029】
吸着塔の全移動層に再生吸着剤を導入している場合には、吸着剤に残留しているSO2量は極めて少ない(数mg/g.AC)ため、図6に示されるように、単位重量あたりのSO2吸着量は最上流側ほど高く(数百〜千mg/g.AC)、大部分が第1の移動層で吸着されることになる。この結果、吸着熱による吸着剤過熱をもたらす。上述したように、本発明によれば、第1の移動層16aには、吸着塔1の移動層16を少なくとも一度は通過した炭素質吸着剤が供給されている。すなわち、第1の移動層16aに供給された炭素質吸着剤には比較的大量の残留SO2が存在することとなる(数十mg/g.AC)。同様に、残留酸素量も多くなる。この結果、図7に示されるように、最上流部における吸着剤の単位重量あたりのSO2吸着量は、図6の場合の半分以下に抑制されるので、吸着熱も低く、吸着剤過熱を抑制できる。図8はSO2吸着量と活性チャーの温度上昇との関係を示したグラフである。本実施形態によれば、1000ppmを超える高濃度のSO2を含むガスに対しても最上流部での吸着を抑制することで温度上昇を低くする効果が得られる。このため、温度上昇は10℃以下程度に抑制できる。一方、第1の移動層16aで吸着しきれなかったSOxは、第2の移動層16bと第3の移動層16cで吸着・除去することができる。このため、1000ppmを超えるSOx濃度を有する排ガスに対しても適用可能となる。
【0030】
さらに、特に過熱が問題となる下部ホッパ内にスネークバイ防止板15を配置することで、過熱の要因となる排ガスのスネークバイを抑制するので、下部ホッパ部分での吸着剤の過熱が抑制される。
【0031】
第1の移動層16aに返送される吸着剤は、篩分器2により微粉炭、ダストを除去することで、粒径2〜9mm程度に調整しているため、圧力損失を抑制でき、ガス流動が安定するので、排ガスによる吸着剤の冷却効果を促進し、その過熱を抑制できる。
【0032】
篩分器2で分離した微粉炭、ダストもSOxやその他のガス成分を吸着していることから、脱離・再生塔3を経てから篩分器4で再度分離して除去することが好ましい。
【0033】
続いて、本発明に係る脱硫装置のその他の実施形態を具体的に説明する。図9は、本発明に係る脱硫装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。この脱硫装置は吸着塔1aの構成のみが第1の実施形態と相違し、隔壁12aと隔壁12bとの間に中間ルーバ11bが配置され、吸着剤が充填された第2の移動層16は、中間ルーバ11bと隔壁12bの間に形成され、隔壁12aと中間ルーバ11bとの間には、炭素質吸着剤が充填されず中空の空間層17とされている。
【0034】
本実施形態の動作は、基本的に第1の実施形態と同一である。ただし、第1の実施形態と異なり、空間層17が形成されていることにより、活性チャーが充填されている場合を例にとると、その流れ方向での温度分布は図10に示されるようになる(移動層16の中間付近の温度分布に対応する)。なお、第2の実施形態においては、空間層17部分の温度はガス温度に対応する。第1の実施形態では下流側に行くほど活性チャー(炭素質吸着剤)の温度が上昇する。これは、炭素質吸着剤が吸着によって発熱するほか、この発熱により通過する排ガスが加熱されることで下流側ほど温度が上昇するためである。これに対して、第2の実施形態では、空間層17でガスが冷却されるのと、空間層17へのこれをはさむ第1、第2の移動層16a、16bの放熱により下流側の移動層16b、16cのガス温度上昇を抑制する効果が得られる。その他の効果は、第1の実施形態と同様である。
【0035】
図11は、本発明に係る脱硫装置の第3の実施形態を示す概略構成図である。この実施形態は、吸着塔1bの基本構成は第2の実施形態と同一であるが、各ロールフィーダR1〜R3に対応してロータリーバルブV2、V4、V6が設けられ、バルブV2とバルブV6から延びるラインL1f、L1eがラインL1に合流して脱離・再生塔3の上部のロータリーバルブV10に接続される一方、バルブV4から延びるラインL1gが篩分器2に導かれる点が相違している。
【0036】
この実施形態によれば、第1の移動層16aと第3の移動層16cを通過した炭素質吸着剤は全量が脱離・再生器3へと導入される一方、第2の移動層16bを通過した炭素質吸着剤は篩分器2で微粉炭・ダストが除去された後、ラインL3によって第1の移動層16aへと返送される。このため、全移動層の平均よりも残留SO2量の多い炭素質吸着剤を安定的に第1の移動層16aへと返送することができる。図12はこの実施形態における吸着剤の単位重量あたりのSO2吸着量変位を示したグラフであり、上流部におけるSOx吸着を第1、第2の実施形態よりさらに抑制する効果が得られる。
【0037】
本発明の吸着塔の構成は上述の実施形態に限られるものではなく、2層以上の多層構成であればよく、4層以上の構成を有していてもよい。また、空間層を設ける場合には、2つ以上の空間層を配してもよい。さらに、第1の移動層だけでなく、第2の移動層にも少なくとも一度吸着塔を通過した炭素質吸着剤を供給してもよい。炭素質吸着剤の返送方法も上述の実施形態に限られるものではなく、例えば、第2の移動層から排出された炭素質吸着剤の全量に、他の移動層から排出された炭素質吸着剤の一部を混合して返送してもよい。ただし、返送される炭素質吸着剤の量は、入口のSO2濃度に依存するが、循環される炭素質吸着剤のうちの10〜30%程度とすることが好ましい。10%を下回ると、上述した吸着抑制効果が十分に発揮されず、30%を超えると、吸着塔全体の吸着能力が低下し、出口SO2濃度を十分に低下させることが難しくなるからである。
【0038】
本発明の脱硫装置、脱硫方法に使用される炭素質吸着剤としては、石炭などを酸化処理、熱処理あるいは水蒸気などで賦活して得られる活性炭、活性コークス、活性チャーなどが一般的に使用されるが、これらにバナジウム、鉄、マンガンなどの金属化合物を坦持させたものも使用可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、排ガス流動方向の最上流側に位置する第1の移動層へ少なくとも一度吸着塔を通過して排ガスと接触させた炭素質吸着剤を供給するため、その残留酸素量、残留SO2量が多く、吸着余力が小さいため、高濃度のSOx(例えば1000ppm超)を含む排ガスを通過させた場合にも炭素質吸着剤の過熱を抑制して、好適な処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る脱硫装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】従来から用いられている吸着塔の構成を示す概略図である。
【図3】図2の吸着塔の上端部分で発生する炭素吸着剤の過熱要因を説明する図である。
【図4】図2の吸着塔の下部ホッパ部分で発生する炭素吸着剤の過熱要因を説明する図である。
【図5】図4の過熱対策の一例を説明する図である。
【図6】吸着塔の全移動層に再生直後の吸着剤を導入した場合の単位重量あたりのSO2吸着量のガス流れ方向の変化を示すグラフである。
【図7】第1の実施形態における単位重量あたりのSO2吸着量のガス流れ方向の変化を示すグラフである。
【図8】SO2吸着量と活性チャーの温度上昇との関係を示したグラフである。
【図9】本発明に係る脱硫装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図10】排ガスの流れ方向での移動層の中間付近の温度分布を第1の実施形態と第2の実施形態とで比較して示すグラフである。
【図11】本発明に係る脱硫装置の第3の実施形態を示す概略構成図である。
【図12】第3の実施形態における単位重量あたりのSO2吸着量のガス流れ方向の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1…吸着塔、2、4…篩分器(第1、第2の選別除去手段)、3…脱離・再生塔、15…スネークバイ防止板、16(16a〜16c)…移動層、17…空間層、L2…ライン(移送手段)、L3…ライン(第1の返送手段)、L5…ライン(第2の返送手段)。
【発明の属する技術分野】
本発明は排ガス中の硫黄酸化物を炭素質吸着剤で吸着して除去する脱硫装置および方法に関し、特に高濃度の硫黄酸化物を含む排ガスの処理が可能な脱硫装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
排ガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫処理方法として、従来から、排ガスと炭素質吸着剤とを接触させることにより、排ガス中の硫黄酸化物を含む処理対象成分を炭素質吸着剤に吸着させて除去する手法(乾式脱硫方法)が知られている(例えば、特許文献1参照)。ところで、炭素質吸着剤(活性炭、活性チャー等)には、吸着性能を発揮する適切な温度範囲があり、さらに、その温度が高すぎると、燃焼等による焼損を引き起こす可能性があるため、温度上昇を抑制する必要がある。この温度上昇は排ガス温度が高い場合のみでなく、SOx、酸素等を吸着する際に吸着熱、酸化熱により引き起こされる可能性がある。特許文献1の技術は、排ガス通路に冷風を供給して排ガスを冷却することにより、この温度上昇を抑制するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−191930号公報(段落0016〜0029、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、石炭資源の有効活用のため、特に海外において硫黄含有量の極めて多い石炭であってもボイラー、発電所で燃料として使用されるようになってきた。このように硫黄含有量の極めて多い石炭を燃焼させると1000ppmを超える高濃度の硫黄酸化物(SOx)を含む排ガスが排出される。このような高濃度のSOxを含む排ガスと炭素質吸着剤とを接触させると、吸着熱によって吸着剤が過熱し、運転停止を余儀なくされてしまう可能性が高いため、このような乾式の脱硫方法を適用することは難しいとされていた。
【0005】
そこで本発明は、炭素質吸着剤の過熱に伴う焼損を抑制しつつ、高濃度のSOxを含む排ガスを処理することが可能な乾式の脱硫装置および方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る脱硫装置は、炭素質吸着剤を用いて排ガス中の硫黄酸化物を吸着除去する脱硫装置において、(1)充填された炭素質吸着剤が鉛直方向に流動する移動層を排ガスの流れ方向に2層以上配置している吸着塔と、(2)吸着塔下部から取り出された炭素質吸着剤の一部を導入し、所定粒径未満の炭素質吸着剤と混入物を除去する第1の選別除去手段と、(3)第1の選別除去手段を通過した炭素質吸着剤を吸着塔の排ガス流動方向で最上流側に位置する第1の移動層へと返送する第1の返送手段と、(4)吸着塔を通過して第1の選別除去手段をバイパスした炭素質吸着剤とが導入され、不活性ガス雰囲気中でこの炭素質吸着剤を加熱することで吸着した硫黄酸化物を脱離させて炭素質吸着剤を再生する脱離・再生塔と、(5)脱離・再生塔を通過した炭素質吸着剤、混入物から所定粒径未満の炭素質吸着剤と混入物を除去する第2の選別除去手段と、(6)第2の選別除去手段を通過した炭素質吸着剤を吸着塔の第1の移動層を除く移動層へと返送する第2の返送手段と、を備えているものである。
【0007】
一方、本発明に係る脱硫方法は、炭素質吸着剤を用いて排ガス中の硫黄酸化物を吸着除去する脱硫方法において、(1)充填された炭素質吸着剤が鉛直方向に流動する移動層が2層以上並行に配設されている吸着塔に排ガスを導入して移動層の各層を通過させて排ガス中の硫黄酸化物を吸着させる工程と、(2)吸着塔下部から炭素質吸着剤を取り出し、その一部を第1の選別除去手段へと導入して、所定粒径未満の炭素質吸着剤と混入物を除去する工程と、(3)第1の選別除去手段を通過した炭素質吸着剤を吸着塔の排ガス流動方向で最上流側に位置する第1の移動層へと返送する工程と、(4)吸着塔を通過して第1の選別除去手段をバイパスした炭素質吸着剤とを脱離・再生塔へと導入して、不活性ガス雰囲気中でこの炭素質吸着剤を加熱することで吸着した硫黄酸化物を脱離させて炭素質吸着剤を再生する工程と、(5)脱離・再生塔を通過した炭素質吸着剤、混入物を第2の選別除去手段へと導き、所定粒径未満の炭素質吸着剤と混入物を除去する工程と、(6)第2の選別除去手段を通過した炭素質吸着剤を吸着塔の第1の移動層を除く移動層へと返送する工程と、を備えているものである。
【0008】
本発明によれば、吸着塔内で排ガスと最初に接触する第1の移動層の炭素質吸着剤は、すでに一度吸着塔内で排ガスと接触した炭素質吸着剤であるため、新品または再生直後の炭素質吸着剤に比べて酸素やSOxを吸着する能力(吸着余力)が低く、吸着に伴う発熱を抑制することができる。一方、この第1の移動層においても排ガス中のSOxは一部吸着されるため、下流側の移動層へと導かれる排ガス中のSOx濃度は第1の移動層導入時に比べて低下するため、下流側の移動層における吸着に伴う発熱も抑制できる。また、炭素質吸着剤を第1の移動層へと返送する際に粒径の小さい粉炭やダストを除去するため、第1の移動層を通過する排ガスの圧力損失増大を抑制し、排ガスによる冷却効果を促進して、炭素質吸着剤の過熱を抑制する。
【0009】
さらに、第1の選別除去手段で除去された炭素質吸着剤、混入物を脱離・再生塔へと導く移送手段を備えているとよい。このようにすると、第1の選別除去手段で除去された炭素質吸着剤、混入物が吸着しているSOx等を分離することができるため、その処理が容易になる。
【0010】
この吸着塔の各移動層を通過した炭素質吸着剤を混合する混合手段をさらに備え、混合手段を通過した炭素質吸着剤の一部が第1の選別手段へと導かれるようにしてもよい。あるいは、第1の選別手段には、少なくとも第1の移動層を通過した炭素質吸着剤が導入されてもよい。または、第1の選別手段には、第1の移動層を除いて排ガス流動方向で上流側に位置する移動層を通過した炭素質吸着剤が導入されてもよい。
【0011】
このような構成とすると、第1の移動層へと返送される炭素質吸着剤は、既に比較的高濃度のSOxと接触しているため、吸着余力が小さく、吸着熱を抑制する効果が高まる。
【0012】
移動層は、排ガス流動方向で上流側と下流側の少なくとも2つのグループに区分され、吸着塔はこれらグループの境界位置に炭素質吸着剤が充填されていない空間層を備えていてもよい。この場合、排ガスは各移動層を通過する間に少なくとも一度、移動層間に形成された空間層を通過する。この空間層をはさむ移動層において空間層への放熱が促進されるため、層内の炭素質吸着剤の温度を低下させることが可能となる。
【0013】
少なくとも一つの移動層の上端または下端に鉛直方向かつ排ガスの流動方向と直交する方向に1つないし複数の板が配設されていると好ましい。上端部、下端部では、排ガスの流動方向が乱され、スネークバイと呼ばれる流れを発生させる。このスネークバイが発生すると、炭素質吸着剤の発熱と放熱のバランスが崩れて過熱に至る可能性があるが、上記の板を配設することで、このスネークバイの発生を抑制する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は本発明に係る脱硫装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。本発明に係る脱硫方法は例えば、この装置により実施される。この装置は、炭素質吸着剤が充填された移動層式の吸着塔1と炭素質吸着剤の再生を行う脱離・再生塔3と2つの篩分器2、4とから構成されている。
【0016】
吸着塔1は、排ガスを水平方向、炭素質吸着剤を鉛直方向に流動させて接触させる、いわゆる直交流型の移動層式吸着塔である。すなわち、排ガス入口10と排ガス出口14が容器18の対向する側面にそれぞれ配置されている。容器18の内部には、、いずれも排ガスを透過する入口ルーバ11、隔壁12a、12b、出口ルーバ13が、排ガス入口10側から排ガス出口14側に順にこの順序で鉛直方向に延在して配置されている。入口ルーバ11と隔壁12aの間、隔壁12aと12bの間、隔壁12bと出口ルーバ13の間にはそれぞれ炭素質吸着剤、例えば活性炭が充填されて移動層16a〜16cを形成する。以下、各移動層16a〜16cを区別する必要がある場合には、排ガスの流動方向の上流側から順に第1の移動層16a〜第3の移動層16cと称する。
【0017】
第1の移動層16aの上部にはロータリーバルブV1が、下部にはロールフィーダR1とロータリーバルブV2が配置され、第2の移動層16bと第3の移動層16cの上部には、共通のロータリーバルブV3が、下部には、それぞれ専用のロールフィーダR2、R3と共通のロータリーバルブV4が配置される。各移動層16a〜16cの下部付近には、鉛直方向に延在するスネークバイ防止板15がそれぞれ配置される。
【0018】
脱離・再生塔3は、不活性ガス(例えば、窒素ガス)雰囲気中で炭素質吸着剤を加熱することで吸着したガス(SOx等)を脱離・分解するものであり、上部と下部にそれぞれロータリーバルブV10、V11が配置されている。
【0019】
吸着塔1の下部に設けられたロータリーバルブV2、V4はベルトコンベヤ、ホッパ等からなる移送手段であるラインL1a、L1bを経てラインL1に合流する。その一部は分岐したラインL1cにより篩分器(第1の選別除去手段)2へ接続され、残りはラインL1dにより、脱離・再生塔3の上部のロータリーバルブV10へと接続されている。篩分器2の篩上の炭素質吸着剤を移送するラインが吸着塔1の第1の移動層16aの上部のロータリーバルブV1に接続されるライン(第1の返送手段)L3である。篩分器2の篩下の炭素質吸着剤を移送するラインはラインL1dに接続されるライン(移送手段)L2である。
【0020】
脱離・再生塔3の下部のロータリーバルブV11と篩分器(第2の選別除去手段)4とは、ラインL4によって接続されており、篩分器4の篩上の炭素質吸着剤を移送するラインが吸着塔1の第2、第3の移動層16b、16cの上部のロータリーバルブV3に接続されるライン(第2の返送手段)L5である。
【0021】
この実施形態の動作説明に先立って、吸着塔1に高濃度のSOxを含む排ガスを通過させた場合に、炭素質吸着剤の過熱が発生する要因について説明する。
【0022】
図2は、従来から用いられている移動層を複数含む吸着塔1xの構成を示す概略図である。炭素質吸着剤の過熱は、移動層16の上端付近Aまたは下端付近Bで起こりやすい。
【0023】
まず、上端付近(図3参照)については新品または再生直後の炭素質吸着剤が導入されるため、吸着余力が大きく、酸素、SOxを急激に吸着することで吸着熱の発生量が大きくなる。さらに、上端部からの投入時には未だ鉛直方向の吸着剤の流れが形成されておらず、水平方向への炭素質吸着剤の移動が起こるため、余力のある炭素質吸着剤が排ガス流れの上流側へと供給されやすくなるため、排ガスの吸着量が増大してしまい、発熱へと至る。
【0024】
一方、下端付近(図4参照)では、区画形状が先細りになっている関係で、壁面付近で炭素質吸着剤が滞留しやすくなる。さらに、ガスの流れが乱れたり、炭素質吸着剤も水平方向で混合されることにより、余力のある炭素質吸着剤が排ガス流れの上流側へと供給されやすくなって、排ガスの吸着量が増大してしまい、発熱へと至る。こうしたガスの乱れや炭素質吸着剤の混合を抑制するため、下部ホッパ内に遮断壁19を配置する技術があるが、必ずしも十分とはいえない。
【0025】
これに対し、本発明に係る脱硫装置、脱硫方法では、炭素質吸着剤の供給を工夫することにより移動層16(特に第1の移動層16a)における炭素質吸着剤の過熱を抑制している。以下、第1の実施形態の具体的な動作を説明する。
【0026】
処理対象となる排ガスは、排ガス入口10から吸着塔1内に導入され、移動層16a、16b、16cをこの順序で通過し、排ガスで口14から排出される。一方、移動層16a、16b、16c内の炭素質吸着剤は下部のロールフィーダR1、R2、R3により引き抜かれ、バルブV2、V4、ラインL1a、L1bを経てラインL1で混合される。
【0027】
混合された炭素質吸着剤の一部はラインL1cにより篩分器2へと送られ、所定粒径以下、例えば、1〜2mm以下の破砕した微粉炭・粉塵等が除去される。これらを除去した炭素質吸着剤はラインL3によってロータリーバルブV1から第1の移動層16aへと返送される。つまり、吸着塔1の移動層16を少なくとも一度は通過した炭素質吸着剤が第1の移動層16aへと供給される。
【0028】
ラインL1cと分岐したラインL1dの炭素質吸着剤にはラインL2によって篩分器2で分離された1〜2mm以下の破砕した微粉炭やダスト等が混入された後、ロータリーバルブV10から脱離・再生塔3へと導入される。脱離・再生塔では不活性ガス雰囲気中で加熱することにより、吸着したSOxガス他の脱離・分解を行うことにより炭素質吸着剤の再生を行う。再生された炭素質吸着剤は下部のロータリーバルブV11からラインL4により篩分器4へと送られ、所定粒径以下、例えば、1〜2mm以下の破砕した微粉炭や粉塵等がダストとして除去される。ダスト除去後の再生吸着剤は、ラインL5によりロータリーバルブV3から第2、第3の移動層16b、16cへと返送される。
【0029】
吸着塔の全移動層に再生吸着剤を導入している場合には、吸着剤に残留しているSO2量は極めて少ない(数mg/g.AC)ため、図6に示されるように、単位重量あたりのSO2吸着量は最上流側ほど高く(数百〜千mg/g.AC)、大部分が第1の移動層で吸着されることになる。この結果、吸着熱による吸着剤過熱をもたらす。上述したように、本発明によれば、第1の移動層16aには、吸着塔1の移動層16を少なくとも一度は通過した炭素質吸着剤が供給されている。すなわち、第1の移動層16aに供給された炭素質吸着剤には比較的大量の残留SO2が存在することとなる(数十mg/g.AC)。同様に、残留酸素量も多くなる。この結果、図7に示されるように、最上流部における吸着剤の単位重量あたりのSO2吸着量は、図6の場合の半分以下に抑制されるので、吸着熱も低く、吸着剤過熱を抑制できる。図8はSO2吸着量と活性チャーの温度上昇との関係を示したグラフである。本実施形態によれば、1000ppmを超える高濃度のSO2を含むガスに対しても最上流部での吸着を抑制することで温度上昇を低くする効果が得られる。このため、温度上昇は10℃以下程度に抑制できる。一方、第1の移動層16aで吸着しきれなかったSOxは、第2の移動層16bと第3の移動層16cで吸着・除去することができる。このため、1000ppmを超えるSOx濃度を有する排ガスに対しても適用可能となる。
【0030】
さらに、特に過熱が問題となる下部ホッパ内にスネークバイ防止板15を配置することで、過熱の要因となる排ガスのスネークバイを抑制するので、下部ホッパ部分での吸着剤の過熱が抑制される。
【0031】
第1の移動層16aに返送される吸着剤は、篩分器2により微粉炭、ダストを除去することで、粒径2〜9mm程度に調整しているため、圧力損失を抑制でき、ガス流動が安定するので、排ガスによる吸着剤の冷却効果を促進し、その過熱を抑制できる。
【0032】
篩分器2で分離した微粉炭、ダストもSOxやその他のガス成分を吸着していることから、脱離・再生塔3を経てから篩分器4で再度分離して除去することが好ましい。
【0033】
続いて、本発明に係る脱硫装置のその他の実施形態を具体的に説明する。図9は、本発明に係る脱硫装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。この脱硫装置は吸着塔1aの構成のみが第1の実施形態と相違し、隔壁12aと隔壁12bとの間に中間ルーバ11bが配置され、吸着剤が充填された第2の移動層16は、中間ルーバ11bと隔壁12bの間に形成され、隔壁12aと中間ルーバ11bとの間には、炭素質吸着剤が充填されず中空の空間層17とされている。
【0034】
本実施形態の動作は、基本的に第1の実施形態と同一である。ただし、第1の実施形態と異なり、空間層17が形成されていることにより、活性チャーが充填されている場合を例にとると、その流れ方向での温度分布は図10に示されるようになる(移動層16の中間付近の温度分布に対応する)。なお、第2の実施形態においては、空間層17部分の温度はガス温度に対応する。第1の実施形態では下流側に行くほど活性チャー(炭素質吸着剤)の温度が上昇する。これは、炭素質吸着剤が吸着によって発熱するほか、この発熱により通過する排ガスが加熱されることで下流側ほど温度が上昇するためである。これに対して、第2の実施形態では、空間層17でガスが冷却されるのと、空間層17へのこれをはさむ第1、第2の移動層16a、16bの放熱により下流側の移動層16b、16cのガス温度上昇を抑制する効果が得られる。その他の効果は、第1の実施形態と同様である。
【0035】
図11は、本発明に係る脱硫装置の第3の実施形態を示す概略構成図である。この実施形態は、吸着塔1bの基本構成は第2の実施形態と同一であるが、各ロールフィーダR1〜R3に対応してロータリーバルブV2、V4、V6が設けられ、バルブV2とバルブV6から延びるラインL1f、L1eがラインL1に合流して脱離・再生塔3の上部のロータリーバルブV10に接続される一方、バルブV4から延びるラインL1gが篩分器2に導かれる点が相違している。
【0036】
この実施形態によれば、第1の移動層16aと第3の移動層16cを通過した炭素質吸着剤は全量が脱離・再生器3へと導入される一方、第2の移動層16bを通過した炭素質吸着剤は篩分器2で微粉炭・ダストが除去された後、ラインL3によって第1の移動層16aへと返送される。このため、全移動層の平均よりも残留SO2量の多い炭素質吸着剤を安定的に第1の移動層16aへと返送することができる。図12はこの実施形態における吸着剤の単位重量あたりのSO2吸着量変位を示したグラフであり、上流部におけるSOx吸着を第1、第2の実施形態よりさらに抑制する効果が得られる。
【0037】
本発明の吸着塔の構成は上述の実施形態に限られるものではなく、2層以上の多層構成であればよく、4層以上の構成を有していてもよい。また、空間層を設ける場合には、2つ以上の空間層を配してもよい。さらに、第1の移動層だけでなく、第2の移動層にも少なくとも一度吸着塔を通過した炭素質吸着剤を供給してもよい。炭素質吸着剤の返送方法も上述の実施形態に限られるものではなく、例えば、第2の移動層から排出された炭素質吸着剤の全量に、他の移動層から排出された炭素質吸着剤の一部を混合して返送してもよい。ただし、返送される炭素質吸着剤の量は、入口のSO2濃度に依存するが、循環される炭素質吸着剤のうちの10〜30%程度とすることが好ましい。10%を下回ると、上述した吸着抑制効果が十分に発揮されず、30%を超えると、吸着塔全体の吸着能力が低下し、出口SO2濃度を十分に低下させることが難しくなるからである。
【0038】
本発明の脱硫装置、脱硫方法に使用される炭素質吸着剤としては、石炭などを酸化処理、熱処理あるいは水蒸気などで賦活して得られる活性炭、活性コークス、活性チャーなどが一般的に使用されるが、これらにバナジウム、鉄、マンガンなどの金属化合物を坦持させたものも使用可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、排ガス流動方向の最上流側に位置する第1の移動層へ少なくとも一度吸着塔を通過して排ガスと接触させた炭素質吸着剤を供給するため、その残留酸素量、残留SO2量が多く、吸着余力が小さいため、高濃度のSOx(例えば1000ppm超)を含む排ガスを通過させた場合にも炭素質吸着剤の過熱を抑制して、好適な処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る脱硫装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】従来から用いられている吸着塔の構成を示す概略図である。
【図3】図2の吸着塔の上端部分で発生する炭素吸着剤の過熱要因を説明する図である。
【図4】図2の吸着塔の下部ホッパ部分で発生する炭素吸着剤の過熱要因を説明する図である。
【図5】図4の過熱対策の一例を説明する図である。
【図6】吸着塔の全移動層に再生直後の吸着剤を導入した場合の単位重量あたりのSO2吸着量のガス流れ方向の変化を示すグラフである。
【図7】第1の実施形態における単位重量あたりのSO2吸着量のガス流れ方向の変化を示すグラフである。
【図8】SO2吸着量と活性チャーの温度上昇との関係を示したグラフである。
【図9】本発明に係る脱硫装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図10】排ガスの流れ方向での移動層の中間付近の温度分布を第1の実施形態と第2の実施形態とで比較して示すグラフである。
【図11】本発明に係る脱硫装置の第3の実施形態を示す概略構成図である。
【図12】第3の実施形態における単位重量あたりのSO2吸着量のガス流れ方向の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1…吸着塔、2、4…篩分器(第1、第2の選別除去手段)、3…脱離・再生塔、15…スネークバイ防止板、16(16a〜16c)…移動層、17…空間層、L2…ライン(移送手段)、L3…ライン(第1の返送手段)、L5…ライン(第2の返送手段)。
Claims (8)
- 炭素質吸着剤を用いて排ガス中の硫黄酸化物を吸着除去する脱硫装置において、
充填された炭素質吸着剤が鉛直方向に流動する移動層を排ガスの流れ方向に2層以上配置している吸着塔と、
前記吸着塔下部から取り出された炭素質吸着剤の一部を導入し、所定粒径未満の炭素質吸着剤と混入物を除去する第1の選別除去手段と、
前記第1の選別除去手段を通過した炭素質吸着剤を前記吸着塔の排ガス流動方向で最上流側に位置する第1の移動層へと返送する第1の返送手段と、
前記吸着塔を通過して前記第1の選別除去手段をバイパスした炭素質吸着剤とが導入され、不活性ガス雰囲気中で該炭素質吸着剤を加熱することで吸着した硫黄酸化物を脱離させて該炭素質吸着剤を再生する脱離・再生塔と、
前記脱離・再生塔を通過した炭素質吸着剤、混入物から所定粒径未満の炭素質吸着剤と混入物を除去する第2の選別除去手段と、
前記第2の選別除去手段を通過した炭素質吸着剤を前記吸着塔の前記第1の移動層を除く移動層へと返送する第2の返送手段と、
を備えている脱硫装置。 - 前記第1の選別除去手段で除去された炭素質吸着剤、混入物を前記脱離・再生塔へと導く移送手段をさらに備えている請求項1記載の脱硫装置。
- 前記吸着塔の各移動層を通過した炭素質吸着剤を混合する混合手段をさらに備え、前記混合手段を通過した炭素質吸着剤の一部が前記第1の選別手段へと導かれる請求項1または2に記載の脱硫装置。
- 前記第1の選別手段には、少なくとも前記第1の移動層を通過した炭素質吸着剤が導入される請求項1または2に記載の脱硫装置。
- 前記第1の選別手段には、前記第1の移動層を除いて排ガス流動方向で上流側に位置する移動層を通過した炭素質吸着剤が導入される請求項1または2に記載の脱硫装置。
- 前記移動層は、排ガス流動方向で上流側と下流側の少なくとも2つのグループに区分され、前記吸着塔はこれらグループの境界位置に炭素質吸着剤が充填されていない空間層を備えている請求項1〜5のいずれかに記載の脱硫装置。
- 少なくとも一つの移動層の上端または下端に鉛直方向かつ排ガスの流動方向と直交する方向に1つないし複数の板が配設されている請求項1〜6のいずれかに記載の脱硫装置。
- 炭素質吸着剤を用いて排ガス中の硫黄酸化物を吸着除去する脱硫方法において、
充填された炭素質吸着剤が鉛直方向に流動する移動層が2層以上並行に配設されている吸着塔に排ガスを導入して前記移動層の各層を通過させて排ガス中の硫黄酸化物を吸着させる工程と、
前記吸着塔下部から炭素質吸着剤を取り出し、その一部を第1の選別除去手段へと導入して、所定粒径未満の炭素質吸着剤と混入物を除去する工程と、
前記第1の選別除去手段を通過した炭素質吸着剤を前記吸着塔の排ガス流動方向で最上流側に位置する第1の移動層へと返送する工程と、
前記吸着塔を通過して前記第1の選別除去手段をバイパスした炭素質吸着剤とを脱離・再生塔へと導入して、不活性ガス雰囲気中で該炭素質吸着剤を加熱することで吸着した硫黄酸化物を脱離させて該炭素質吸着剤を再生する工程と、
前記脱離・再生塔を通過した炭素質吸着剤、混入物を第2の選別除去手段へと導き、所定粒径未満の炭素質吸着剤と混入物を除去する工程と、
前記第2の選別除去手段を通過した炭素質吸着剤を前記吸着塔の前記第1の移動層を除く移動層へと返送する工程と、
を備えている脱硫方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002379668A JP2004209332A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 脱硫装置および脱硫方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002379668A JP2004209332A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 脱硫装置および脱硫方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004209332A true JP2004209332A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=32816105
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002379668A Pending JP2004209332A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 脱硫装置および脱硫方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004209332A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101129945B1 (ko) | 2010-06-28 | 2012-03-23 | 현대제철 주식회사 | 소결배가스 정제장치 |
KR101278551B1 (ko) * | 2011-05-30 | 2013-06-24 | 현대제철 주식회사 | 배기가스 처리 장치 |
CN104436996A (zh) * | 2014-12-03 | 2015-03-25 | 郑州航空工业管理学院 | 一种两通道错流移动床净化烟气装置及其使用方法 |
CN104474845A (zh) * | 2014-12-03 | 2015-04-01 | 郑州航空工业管理学院 | 一种三通道错流移动床净化烟气装置及其使用方法 |
CN108371873A (zh) * | 2018-04-08 | 2018-08-07 | 中冶长天国际工程有限责任公司 | 一种脱硫脱硝系统 |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002379668A patent/JP2004209332A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101129945B1 (ko) | 2010-06-28 | 2012-03-23 | 현대제철 주식회사 | 소결배가스 정제장치 |
KR101278551B1 (ko) * | 2011-05-30 | 2013-06-24 | 현대제철 주식회사 | 배기가스 처리 장치 |
CN104436996A (zh) * | 2014-12-03 | 2015-03-25 | 郑州航空工业管理学院 | 一种两通道错流移动床净化烟气装置及其使用方法 |
CN104474845A (zh) * | 2014-12-03 | 2015-04-01 | 郑州航空工业管理学院 | 一种三通道错流移动床净化烟气装置及其使用方法 |
CN108371873A (zh) * | 2018-04-08 | 2018-08-07 | 中冶长天国际工程有限责任公司 | 一种脱硫脱硝系统 |
CN108371873B (zh) * | 2018-04-08 | 2023-07-25 | 中冶长天国际工程有限责任公司 | 一种脱硫脱硝系统 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US11400434B2 (en) | Multi-functional composition of matter for removal of mercury from high temperature flue gas streams | |
EP0603178A4 (ja) | ||
CN108114592A (zh) | 再生钙循环系统中的脱硫 | |
CN206837788U (zh) | 一种循环流化床处理含VOCs废气净化系统 | |
US8702845B2 (en) | System and method for low NOx emitting regeneration of desiccants | |
WO2005030641A1 (ja) | 高賦活活性コークス粉及びその製造方法 | |
CN108014613A (zh) | 一种基于炭材料氧化脱硝的半干式烟气净化系统及方法 | |
JP2004209332A (ja) | 脱硫装置および脱硫方法 | |
US6251164B1 (en) | Fluid separation process and separation system therefor | |
JPH0952015A (ja) | 溶剤処理装置及び溶剤処理方法 | |
CN216395818U (zh) | 一种具有流化床反应器的烟气净化系统 | |
JPS61245827A (ja) | 廃ガスから二酸化硫黄および酸化窒素を除去する方法および装置 | |
JP3225082B2 (ja) | 排ガス処理方法 | |
JP5431288B2 (ja) | 排ガス処理装置 | |
KR102106894B1 (ko) | 연속식 흡착 카트리지를 이용한 유해성 화합물 흡착 장치 및 그 방법 | |
JP3007200B2 (ja) | 燃焼ガスの処理方法及び装置 | |
JPH03293017A (ja) | 燃焼排ガスの処理方法 | |
JP2002058962A (ja) | 排ガス処理装置および方法 | |
JP4846939B2 (ja) | 排ガス処理装置 | |
JP7057050B2 (ja) | 処理ガス反応塔 | |
JP3467222B2 (ja) | 排ガス処理装置の間欠運転方法 | |
JP3206871B2 (ja) | 溶剤ガス処理装置及び溶剤ガス処理方法 | |
JP2007175595A (ja) | 排ガス処理設備及び排ガス処理方法 | |
JP7317254B1 (ja) | 脱硫脱硝装置、及び脱硫脱硝方法 | |
CN212800255U (zh) | 一种高炉煤气吸附脱硫的装置 |