JP2004208867A - 衛生用品 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用中には従来の衛生用品に比べて劣ることのない吸収性能や風合いを発揮でき、使用後にトイレに流した場合には吸水材がトイレ洗浄水で再膨潤することがないため配管詰まりを引き起こすことがなく、屎尿・下水処理場の微生物処理により全ての構成素材が分解されるような水崩壊性及び生分解性を有する衛生用品を提供する。
【解決手段】不透水性シート及び透水性シートともに水崩壊性及び生分解性を有し、両シートの間にある吸水層が、ガラクトマンナン又は/及びその誘導体をホウ素及び/又はホウ素以外の三価以上の多価金属イオンにより架橋した架橋体からなる吸水材を主に含むことを特徴とする水崩壊性及び生分解性を有する衛生用品。
【選択図】 なし
【解決手段】不透水性シート及び透水性シートともに水崩壊性及び生分解性を有し、両シートの間にある吸水層が、ガラクトマンナン又は/及びその誘導体をホウ素及び/又はホウ素以外の三価以上の多価金属イオンにより架橋した架橋体からなる吸水材を主に含むことを特徴とする水崩壊性及び生分解性を有する衛生用品。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、幼児用又は成人用紙おむつ(使い捨てオムツ)やパンツ型おむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パット、小型尿取りパッド、ペット用紙おむつ、ペット用パンツ型おむつ、ペット用生理用品などの衛生用品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
「吸水性樹脂の背景と問題点」
ポリアクリル酸系やポリアクリロニトリル系の吸水材を用いた使い捨て衛生用品(紙おむつや生理用品)は既に1980年代ごろから開発され、現在でも多くのメーカーが漏れ防止、防臭、通気性、風合い改善などを目的としてその構造や構成、吸水材の性能などの改良を行い、多数の特許が出願されている。紙おむつや生理用品は基本的に、透水性シート(トップシート)と不透水性シート(バックシート)との間に吸水材とセルロースフラフなどから成る吸収コアを備えている。近年、このような紙おむつや生理用品はその利便性から幼児用のみならず成人用、室内ペット用を対象としたものまで開発されており、その需要は急増している。このような用途に使用されている吸収コア内の吸水材としては、例えば、架橋ポリアクリル酸部分中和物、澱粉−アクリロニトリル共重合体の部分加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の加水分解物、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とアクリル酸の共重合架橋物、カチオン性モノマーの架橋体、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体などが知られている。
【0003】
ところが、合成高分子系吸水材は生分解性を有しない或いは有していてもそのレベルは非常に低いため、使用後の廃棄が問題である。現状としては、これらの合成高分子系吸水材を含む衛生用品を廃棄時に焼却処理する方法と埋め立てする方法が行われているが、焼却炉で処理する方法では、焼却時に発生する熱による炉材の損傷のほかに、地球の温暖化や酸性雨の原因となるガスの発生源となることが指摘されている。さらに、含水率の高い使用済み紙おむつや小型尿取りパッドなどを焼却する場合、焼却炉へ投入した際には炉内燃焼温度が急激に低下し炉材の劣化を促進するだけでなく、ダイオキシン類が発生し易い燃焼雰囲気となるために後段での排ガス処理設備への負担が大きくなり、より性能の高い排ガス処理設備が必要とされる。埋め立て処理する方法では、プラスチックは容積がかさばる、腐らないため地盤が安定しない等の問題があるうえ、埋め立てに適した場所がなくなってきたことが大きな問題となっている。
【0004】
またナプキンやパンティーライナーなどの生理用品は使用後に専用汚物入れに捨てられるがゴミ回収までに時間が掛かると臭気を発するなど不衛生である。さらに公衆トイレにおいては小型であるため使用済み生理用品を水と共に流してしまい、配管を詰まらせるトラブルの原因となっていた。またこのような非生分解性のアニオン性吸水材は下水のようにカチオンをほとんど含まない水であれば100〜1000倍以上に吸水することが可能であるため、非常に高含水率な汚泥として処理場内に沈殿することになり、高含水汚泥を排出する膨大な労力が必要となってしまう。
すなわち、これらの樹脂は分解性に乏しく、水中や土壌中では半永久的に存在するので、廃棄物処理における環境保全を考えると非常に重大な問題である。
【0005】
「生分解性吸水材」
生分解性を有する吸水材としては、ポリビニルアルコール架橋体、カルボキシル化多糖類架橋体(例えば、特許文献1〜6参照)、アルギン酸架橋体、ポリアミノ酸架橋体(例えば、特許文献7〜9参照)、不飽和カルボン酸系重合体架橋物(例えば特許文献10〜11参照)、ガラクトマンナン架橋物(特許文献13参照)などが知られ、特にポリアミノ酸架橋体はその吸収性能の高さから使い捨て衛生材料への用途が期待されている。
【0006】
しかしながら、カルボキシル化多糖類架橋体やポリアミノ酸架橋体、アルギン酸架橋体はアニオン性ポリマーであり、脱イオン水の吸水能は100〜1000倍程度と高いが、ナトリウムやカルシウムなどのカチオンを含む被吸収液に対しては著しく吸水能が低下し、30〜50倍程度である。さらにタンパク質や固形分を含む粘性の高い血液に対する吸収能は著しく低下し5〜20倍程度である。
このようなアニオン性吸水材を水崩壊性・生分解性衛生材の吸水材として使用した場合、尿や血液をある程度吸収した後にトイレに廃棄しても、便器や配管内のカチオンを含まないトイレ洗浄水(汚物を便器から流去させるための水)を吸水し便器や配管内で極度に再膨潤し、これらが塊状となって配管詰まりの原因となっていた。
【0007】
発明者らもガラクトマンナン又は/及びその誘導体とホウ素及び/又はホウ素以外の三価以上の多価金属イオンから成る生分解性吸水材及びその製造方法に関して出願している(例えば、特許文献14〜17参照)。また粘性の高い血液を吸収する能力に優れた生分解性吸水材及びその製造方法を提案している(特願2002−109404号、特願2002−235723号)。
【0008】
「水崩壊性衛生用品」
上記理由によって、環境保全や地球環境負荷低減の観点から使用済み紙おむつや生理用品の焼却や埋め立てを回避するため、使用後にトイレに流して処分することを想定し構成された衛生用品(水崩壊性衛生用品)に関する特許が出願されている。従来の水崩壊性衛生用品では吸収コアに用いる吸水材としてポリアミノ酸架橋体(特許文献18参照)、パルプ(特許文献19参照)、デンプン−アクリル酸グラフト重合物やポリアクリル酸ナトリウム架橋体のようなアニオン性合成高分子系吸水材(特許文献20参照)、架橋α化デンプン(特許文献21参照)などが知られている。
【0009】
しかしながら、吸水材がアニオン性であったり、さらには合成高分子系のように非生分解性であればこれらを含む衛生用品をトイレに流すことによって種々の問題が生じることは前述したとおりである。またパルプや架橋α化デンプンは生分解性を有するノニオン性吸水材であるため前述のような問題は生じず、水崩壊性・生分解性衛生用品の吸収コアに用いることは可能であるが、パルプや架橋α化デンプンは吸水性能に劣る(生理食塩水でパルプは3倍程度、架橋α化デンプン5.5倍程度)ため、これを使用した衛生用品は従来の衛生用品に比べて著しく吸水性能が低下するか、又は多量の吸水材を使用するため著しく容積が増加した衛生用品となり、装着感や使用感が極度に低下してしまうので実用化できるものではなかった。
【0010】
【特許文献1】
米国特許4650716号公報
【特許文献2】
特開平7−82301号公報
【特許文献3】
特開平8−89796号公報
【特許文献4】
特開平8−196901号公報
【特許文献5】
特開平8−208702公報
【特許文献6】
特表平9−504331号公報
【特許文献7】
特開平7−224163号公報
【特許文献8】
特開平8−59820号公報
【特許文献9】
特開2002−128899号公報
【特許文献10】
特開2002−20406号公報
【特許文献11】
特開2001−302749号公報
【特許文献12】
特開平8−59891号公報
【特許文献13】
特開2001−120992号公報
【特許文献14】
特開2001−226525号公報
【特許文献15】
特開2001−224959号公報
【特許文献16】
特開2002−37924号公報
【特許文献17】
特開2002−265672号公報
【特許文献18】
特開2001−212899号公報
【特許文献19】
特開平6−245956号公報
【特許文献20】
特開平9−276331号公報
【特許文献21】
特開2002−291785号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、使用中には従来の衛生用品に比べて劣ることのない吸収性能や風合いを発揮でき、使用後にトイレに流した場合には吸水材がトイレ洗浄水で再膨潤することがないため配管詰まりを引き起こすことがなく、屎尿・下水処理場の微生物処理により全ての構成素材が分解されるような水崩壊性及び生分解性を有する衛生用品を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鑑み鋭意研究した結果、ガラクトマンナンを金属イオンで架橋した架橋体からなる吸水材を衛生用品の吸収層に含み、水崩壊性と生分解性を有する不透水性シート、透水性シートとともに衛生用品を構成することで上記課題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、不透水性シート及び透水性シートともに水崩壊性及び生分解性を有し、両シートの間にある吸収層が、ガラクトマンナン又は/及びその誘導体をホウ素及び/又はホウ素以外の三価以上の多価金属イオンにより架橋した架橋体からなる吸水材を主に含むことを特徴とする水崩壊性及び生分解性を有する衛生用品を要旨とするものである。また、好ましくは、三価以上の多価金属イオンが、チタンイオン、ジルコニウムイオン、アルミニウムイオン、セリウムイオン、およびイットリウムイオンからなる群から選ばれる1種以上の金属であることを特徴とする前記の衛生用品である。
【0014】
また、前記の吸水材が、尿又は0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に対して下記の少なくとも1つ以上の性能を有することを特徴とするものである。
(1)無荷重下で1時間以内に自重の30倍以上吸水できる。
(2)10倍量吸水後のゲル強度が、15,000×10−7N/mm2以上である。
(3)ボルテックス吸水速度が60秒以内である。
なお、ボルテックス吸水速度はJIS−K7224法に従って測定され、詳しくはビーカーに50gの0.9wt%生理食塩水を注ぎ、これを攪拌子にて600±60rpmで攪拌しているところに吸水材2gを投入してその渦が消えるまでの時間を測定するものである。
【0015】
さらに、前記の吸水材が、血液に対して下記の少なくとも1つ以上の性能を有することを特徴とするものである。
(1)無荷重下での保液量が自重の10倍以上である。
(2)10倍量の血液吸収後のゲル強度が、15,000×10−7N/mm2以上である。
(3)自重の5倍量の血液を180秒以内に吸収でき、1回目吸液終了時から10分後にさらに自重の5倍量の血液を添加した場合にその血液を2回目吸液開始時から600秒以内に吸収することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の衛生用品は、(a)不透水性シート、(b)透水性シート、(c)吸収層の各部分から構成されるものである。
前記構成の(a)不透水性シートは、水崩壊性を有する生分解性ポリマーからなる水を透過しなしシートであり、本発明の衛生用品においてバックシートとして用いられるものである。
【0017】
本発明において「水崩壊性」とは、水との接触によってその構造の一部が溶解し、他の部分(主に短繊維)は溶解せずに分散する「水解性」あるいは「水分散性」という性質と、その構造の全てが水に溶解する「水溶性」のいずれの性質をも含むものである。
【0018】
この不透水性シートに使用される生分解性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール重合体やデンプン、セルロース、グアガム、キサンタンガム、プルラン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、ペクチン、カラギーナン、アラビアガム、カラヤガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、キトサンなどの多糖類又はこれらの誘導体(種々のエーテル化、エステル化物)、コラーゲン、ゼラチン、卵白アルブミン、大豆タンパク質などのタンパク質又はこれらの誘導体、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ポリグルタミン酸ナトリウム、ポリリジンなどのポリアミノ酸又はこれらの誘導体から成る群から選ばれた1種以上のポリマーが挙げられる。これらのポリマーは未変性のままで用いることも可能であるが、使用中の耐水性と廃棄時の水崩壊性及び生分解性が維持される範囲であればこれらのポリマーを種々の架橋剤などで変性して用いることも可能である。
【0019】
これらのポリマーの中では特にポリビニルアルコールが好ましく、その鹸化度が60モル%以上、より好ましくは70〜98モル%であり、およそ40℃以下の水に溶解もしくは膨潤あるいは分散するものがさらに好ましい。鹸化度が60モル%未満、さらには70モル%未満では、この特性が充分なものとして得られなくなる。
【0020】
また好適に用いることができるポリビニルアルコールの変性体としてはポリビニルアルコールにエチレンオキシドを付加させたもの、エチレン含有量が50モル%未満のエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール架橋体等が挙げられる。上記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量は、少なくなると得られる衛生用品用裏面シート及び衛生用品の耐水性が低下して防漏性が低下し、多くなると得られる衛生用品用裏面シート及び衛生用品の水解性が低下するので、3〜40モル%が好ましい。
【0021】
上記ポリビニルアルコール架橋体の架橋剤としては、ホウ酸イオン、銅イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、ジルコニウムイオン、スズイオンなどを含む化合物であるが、反応が速やかであることから好ましくはホウ酸イオンであり、コスト的な観点から四ホウ酸ナトリウムがより好ましい。ポリビニルアルコール中に混合する割合は、各架橋剤のゲル化能力によって異なるが、ポリビニルアルコールのビニルアルコール単位に対して30モル%以下、好ましくは20モル%以下とするのがよい。架橋剤濃度が30モル%を超えると、フィルムの水溶性が充分に得られず、目的とする性能が得られにくい。
【0022】
未変性ポリマー又はその変性体で作成した不透水性シートの強度が不足する場合には、生分解性を有するが水溶性を有しない短繊維を混合してシート化したり、下記(b)に述べる透水性シートを基材としてその表面をポリマーで被覆、積層したりして複合化不透水性シートとしてもよい。
【0023】
不透水性シートに混合可能な短繊維の組成としては、セルロースやレーヨン、ケラチン、フィブロインなど天然繊維の他、ポリビニルアルコール重合体、ポリ乳酸重合体、デンプン−ポリカプロラクトン共重合体、コハク酸エステル系重合体、ポリ3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート共重合体、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸系重合体、ポリ−ε−カプロラクトン系重合体、ポリブチレンサクシネート系重合体、ポリエステルアミド系重合体或いはこれらの変性体などから選ばれる1種以上の樹脂成分を単独又は複合紡糸した繊維が挙げられるが、好ましくはコスト的な観点からセルロース又はレーヨンである。なお、短繊維長さは0.5〜10mmが好適であり、これ以上短いと混合してもその効果がなく、これ以上長いとトイレに流した場合にこれらの繊維が絡まりあって配管詰まりの原因となりやすい。
【0024】
不透水性シートを得る方法としては、特に制限がなく公知の成形方法によりフィルム状に成形される。ポリマーが熱可塑性を有する場合にはT−ダイ成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、熱プレス成型法などにより、フィルム状に成形する方法が挙げられる。またこれらのフィルムは少なくとも一方向に延伸されていてもよい。延伸法として特に制限はないが、ロール延伸法、テンター法、インフレーション法などが挙げられる。不透水性シートの厚さは適度な強度と可とう性を有する範囲であれば特に限定されないが5〜300μmが好ましく、10〜100μmが更に好ましい。これらのフィルムは風合いの観点から適度な可とう性と柔らかさを持っていることが望ましい。このようなフィルムとしては引張破断伸度が100%以上、引張弾性率が1000MPa以下が好ましく、200%以上、600MPa以下であることがさらに好ましい。
【0025】
ポリマーが熱可塑性を有しない場合には、ポリマーを適当な温度の水に溶解、膨潤もしくは分散させた後、必要に応じて短繊維を混合し、脱泡、流延、乾燥という工程を経て製造することができる。フィルム強度を増大させるために、熱処理工程を加えてもよい。また、このフィルムの厚みには特に制限はないが、通常25〜250μmの厚みが好ましく使用される。
【0026】
本発明における不透水性シートは、また下記(b)で述べる透水性シートを基材としてその表面に上記の生分解性ポリマーを塗布或いは基材に積層一体化した複合化不透水性シートであってもよく、それを得る方法としては特に限定されない。基材表面に塗布する場合の坪量は、小さくなると成膜が困難になり、大きくなると得られる不透水性シートの腰が強くなりすぎ、使用感が低下するので、例えばポリビニルアルコール又はその変性体を使用する場合では、5〜100g/m2が好ましく、より好ましくは10〜30g/m2である。基材との積層一体化の方法も基材の水崩壊性が損なわれない範囲であれば特には限定されず、例えば、基材の一面に不透水性シートを構成するポリマーを押出ラミネートする方法、ポリマーを予めフィルムに成形し、該フィルムを基材の一面に接着剤により部分的に接着する方法等が挙げられるが、層間接着強度に優れ、工程も簡易であるので、押出ラミネートによる方法が好ましい。また、押出ラミネートで積層一体化することにより、基材とポリマーが全面にわたって一体化されるので、得られる衛生用品をトイレに流した際、水中で分散し易い基材の分散力が、ポリマーの水散を促進し易くなり、結果として複合化不透水性シートが速やかに水解されるので好ましい。
【0027】
可とう性を向上するために、シートの性能を損なわない程度に可塑剤を添加してもよい。この可塑剤としては、たとえば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、3,3−ブタンジオール、1,3−ブタンンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等が挙げられる。
【0028】
さらに不透水性シートの使用中の耐水性を向上させるためにこのシート上面に撥水処理剤を塗布することも可能である。撥水処理材としては特に限定しないが熱硬化型シリコーン、紫外線又は電子線硬化型シリコーン等のシリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤等が挙げられるが、シリコーン系離型剤が好ましく、ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体とポリメチルハイドロジェンシロキサンとを白金触媒の存在下で反応させることにより硬化して得られるシリコーンがより好ましい。これらを例えば、刷毛に撥水処理材を含浸させてシート上に塗布したり或いは撥水処理剤をシート上にスプレー塗装したりしてシート上に撥水処理剤を薄膜状に塗布し、この撥水処理剤に熱を加えたり又は紫外線若しくは電子線を照射して硬化させて撥水処理する方法等が挙げられる。
【0029】
不透水性シートの通気性を向上させるために、無機及び有機充填材を添加することも可能である。無機充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、珪酸白土などが挙げれ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シルカ、珪藻土、チタン、ゼオライトが好ましい。また有機充填材としては木粉、パルプ粉などのセルロース粉末が挙げられる。充填材の平均粒径としては30μm以下のものが好ましく、10μm以下のものがさらに好ましく、0.7〜5μmのものが特に好ましい。粒径が大きすぎると不透水性シートの気孔の緻密性が悪くなり、小さすぎると樹脂への分散性が悪くなる。平面状の未延伸シートにしたあと、縦方向に一軸延伸することにより、または縦及び横方向に二軸延伸することにより不透水性シートは多孔化し通気性を有する不透水性シートとなる。
【0030】
前記構成の(b)透水性シートは、生分解性ポリマーからなる水崩壊性の透水性シートであり、本発明の衛生用品において主に通液性に優れるトップシート、アクィジション層、トランスポート層とサージマネジメント層や或いは前述(a)のように不透水性シートを複合化する場合の基材として用いられるものである。このシートの形態としては、例えば不織布や連続気孔を有するフィルムなどが好ましい。
【0031】
透水性シートの形態が不織布である場合は、その素材繊維としてセルロースやレーヨン、ケラチン、フィブロインなど天然繊維の他、ポリビニルアルコール重合体、ポリ乳酸重合体、デンプン−ポリカプロラクトン共重合体、コハク酸エステル系重合体、ポリ3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート共重合体、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸系重合体、ポリ−ε−カプロラクトン系重合体、ポリブチレンサクシネート系重合体、ポリエステルアミド系重合体或いはこれらの変性体などから選ばれる1種以上の樹脂成分を単独又は複合紡糸した繊維が挙げられる。皮膚への安全性、加工性、強度、コスト的な観点などから好ましくはセルロース又はレーヨンである。
【0032】
上記不織布を構成する繊維の繊度は、0.5〜10dtex程度であるのが好ましい。構成繊維の繊度が大きすぎると不織布が剛直になるとともに水解性が不十分になりやすく、しかも繊維間の空隙が大きくなりすぎるために保液性も低下する。しかしながら、逆に繊度が小さくなりすぎると不織布の製造工程での取り扱いが難しくなる。また構成繊維の繊維長は、製造工程での通過性等の点から1〜100mm程度であるのが好ましいが、より好ましくは2〜10mmである。
【0033】
本発明に用いられる不織布は、乾式不織布でも湿式不織布でも構わない。乾式不織布は、繊維が3次元方向にランダムに配向するために繊維間に空隙が形成されて嵩高で柔軟性に優れたものとなり、繊維間の空隙が比較的大きいことから一層優れた保液性が奏され、繊維が溶出した後の空隙が大きくなることから不織布の水解性が顕著に向上する。なお、本発明にいう乾式不織布とは、水に分散させることなく得られた不織布、たとえば乾式ウエブを経由して得られた不織布をいい、乾式ウエブに水絡処理を施して得られる不織布を包含するものである。
【0034】
保液性、柔軟性及び水解性の点からは、不織布の嵩密度は嵩密度0.5g/cm3以下(好ましくは0.3g/cm3以下)が好ましい。かかる嵩密度とすることにより、不織布の柔軟性・保液性が向上し、しかも形成される繊維間空隙が大きくなるため、残余の繊維が単繊維状に容易に分散することが可能となって優れた水解性が奏される。けれども、保液材の機械的強度の点、さらに繊維間の空隙が必要以上に大きくなるとかえって保液性が損われる点から嵩密度0.1g/cm3以上とするのがより好ましい。またかかる不織布の目付は20〜200g/m2程度とするのが好ましい。
【0035】
上記不織布の坪量が小さくなると、得られる水解性不織布の強度が低下して使用中に破れ易くなり、大きくなると得られる水解性不織布の柔軟性が低下して使用時の風合が低下し、また得られる水解性不織布の水解性が低下して水中で分散し難くなったり分散するのに時間がかかるので10〜100g/m2が好ましい。
【0036】
水崩壊性透水性の不織布の製造方法は、その性能が損なわれない限り、使用する繊維と水溶性ポリマーバインダーの種類によって適宜選択されるため特に限定されず、各種の方法が使用できる。例えば、水を媒体として用いず、紡績用カードあるいはガーネットその他の装置により繊維シートを形成する方法である乾式法、水あるいはバインダーを含有した液中に原料繊維を分散させ、抄紙機を利用してシート状にする方法である湿式法、繊維を形成すると同時に不織布を作る直接法が挙げられる。
【0037】
上記不織布のバインダーとして使用される水溶性ポリマーは、10〜65℃の範囲に曇点を有するとともに、曇点以上の温度では非水溶性であり、曇点未満の温度では水溶性のものである。水溶性ポリマーの曇点は低くなると、得られる水解性不織布の水解性が低下するのでトイレに流した際などに水解し難くなり、高くなると得られる水解性不織布の使用時に水溶性ポリマーが溶解し易くなり強度や取り扱い性等が低下するので、好ましくは10〜65℃、さらに好ましくは15〜60℃である。尚、上記曇点は、水溶性ポリマーの水溶液を加熱していった際に、水溶液が白濁する温度である。
【0038】
このような水溶性ポリマーとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂が挙げられ、中でも、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。上記セルロース系樹脂の置換度は、小さくても大きくても、セルロース系樹脂の水溶性が低下し、得られる水解性不織布の水解性が低下するので、0.5〜2.95が好ましく、より好ましくは0.7〜2.8である。尚、上記置換度は、セルロースのグルコース環単位当たりで、置換基で置換された水酸基の個数である。
【0039】
さらに必要に応じて上記水溶性ポリマーを不織布へ塗布し、強度や水解性を制御することも可能である。その塗布方法としては従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、グラビアロール法、リバースロール法、トランスファーロール法、キスロール法、キャスト法、スプレー法、カーテン法、カレンダー法、エアドクター法、ブレード法、ロッド法、ナイフ法、スクイズ法等が挙げられ、上記水溶性ポリマーの粘度、塗布パターン等により適宜決定してよい。
【0040】
上記水溶性ポリマーは、不織布に塗布されると大部分は不織布に含浸し、残りの一部は不織布表面に残存する。水溶性ポリマーを部分的に塗布した場合、水溶性ポリマーが含浸した不織布はその強度は大幅に向上するが水溶性ポリマーが含浸されない繊維部分が存在するので該部分が起点になって水解し、水解性を損なうことはないので好ましい。
【0041】
上記水溶性ポリマーを部分的に塗布する場合の塗布パターンは特には限定されず、例えば各々独立した塗布部分が複数存在する不連続パターン、塗布部分が広い範囲にわたってつながって形成されてなる連続パターン等が挙げられる。
【0042】
上記水溶性ポリマーの塗布部分の分散形態は、不連続パターン及び連続パターンとも、塗布面積占有率が上記範囲にあれば特には限定されないが、用途に応じて調整するのが好ましく、例えばライナーなどの液体透過性トップシート、液体吸収部材、バックシート、粘着剤層及び離型紙からなる衛生用品のバックシートに使用される場合は、粘着剤層が形成される部分に重点的に分散されているのが、使用後に下着から衛生用品を剥がす際、紙間強度不足による糊残り・不織布繊維残りが生じ難いので好ましい。また、清掃用シート、洗浄用シート等に使用される場合は全体に略均一に分散されているのが好ましい。
【0043】
また、上記水溶性ポリマーが不連続パターンで塗布されている場合、その不連続な塗布部分1つの面積は小さくなると不織布の繊維同士を結着する結着力が不足し、得られる水解性不織布が使用中にほぐれ易くなる。一方、大きくなると得られる水解性不織布が固くなり、風合が低下するので0.1〜100mm2が好ましく、塗布部分間の間隔は、小さくなると得られる水解性不織布の水解性が低下し、大きくなると不織布の繊維同士を結着する結着力が不足し、得られる水解性不織布が使用中にほぐれ易くなるので0.1〜10mmが好ましい。
【0044】
前記構成部分の(c)吸収層は、生分解性を有する吸水材と必要に応じてセルロース系フラフなどから構成され、衛生用品において目的とする液体を速やかに吸収しゲル化して、加圧しても水分がゲル内に保持されるものである必要がある。本発明で使用することが好ましい生分解性吸水材は、ガラクトマンナン又は/及びその誘導体から成る吸水材であり、その使用目的により下記のいずれかの性能を有することが好ましい。
【0045】
紙おむつや小型尿取りパッドなど尿を対象とする衛生用品に使用する場合は、吸水材が尿又は生理食塩水に対して下記の少なくとも1つ以上、好ましくは2つ以上の性能を有する。
(1)無荷重下で1時間以内に自重の30倍以上吸水できる。
(2)10倍量吸水後のゲル強度が15,000×10−7N/mm2以上である。
(3)ボルテックス吸水速度が60秒以内である。
【0046】
生理用品など血液を対象とする衛生用品に使用する場合には、吸水材が血液に対して下記の少なくとも1つ以上、好ましくは2つ以上の性能を有する。
(1)無荷重下保液量が自重の10倍以上である。
(2)10倍量の血液吸収後のゲル強度が15,000×10−7N/mm2以上である。
(3)自重の5倍量の血液を180秒以内に吸収でき、1回目吸液終了時から10分後にさらに自重の5倍量の血液を添加した場合にその血液を2回目吸液開始時から600秒以内に吸収することができる。
【0047】
上記において、それぞれの性能は、以下の測定により得られた値をいう。
(無荷重下での吸水量の測定)
ティーバッグ法にて0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(以下、生理食塩水という。)を用いて行った。すなわち、250メッシュのナイロン製ティーバッグに吸水材1gを入れ、1Lの生理食塩水にティーバッグを3時間浸し、ティーバッグを引き上げ、10分間水切りを行った後、その重量を測定した。吸水材の吸水量は、3時間水に浸した吸水材が入っていないティーバッグの重量をブランクとし、吸水して膨潤した吸水材が入ったティーバッグの重量から、膨潤前の吸水材の重量とブランクの重量を減じた値を、膨潤前の吸水材の重量で除した値を吸水量(g/g吸水材)とした。
【0048】
(ゲル強度の測定)
500〜1,000μmに篩い分けた吸水材粒子を攪拌しながら自重の10倍量の生理食塩水又は馬血液(抗凝固剤にはヘパリンを使用)に浸して3時間自由吸水させ、サイエンティフィク社のレオメトリック SR−5000を用いて1Hz、室温にて粘弾性G*を測定し、その数値をゲル強度とした。
【0049】
(吸水速度の測定)
JIS−K7224に記載のボルテックス法にて0.9wt%生理食塩水50mlを600±60rpmになるよう攪拌子で攪拌しながら2gの吸水材を加え、流動性(水の渦巻き)が消失するまでの時間を測定した。
【0050】
(無荷重下血液保液量の測定)
ティーバッグに吸水材1gを入れ、馬血液(抗凝固剤にはヘパリンを使用)300ml中に1時間浸漬した後、15分間吊るして液切りし、これを250Gで90秒間遠心脱水し、測定前後の吸水材当たりの重量増加を測定して血液保液量とする。
【0051】
(血液吸収速度の測定)
アルミカップに吸収材0.5gを入れ、自重の5倍量の馬血液(抗凝固剤にはヘパリンを使用)をその中央に滴下して完全に吸収させるまでの時間を測定して1回目の吸収速度とする。次いで1回目の吸収速度測定終了から10分後に再度自重の5倍量の血液を滴下し、完全に吸収するまでの時間を2回目の吸収速度とした。
【0052】
本発明における吸水材に用いられるガラクトマンナンの分子量は、1万以上が好ましく、より好ましくは5万以上である。分子量が1万以下の場合は金属イオンで架橋してもゲルを形成しないので不適当である。
【0053】
本発明に用いるガラクトマンナンから成る吸水材にはその性能を損なわない範囲であれば下記のポリマーを混合することも可能である。混合可能なポリマーとしてはポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール重合体やデンプン、セルロース、グアガム、キサンタンガム、プルラン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、ペクチン、カラギーナン、アラビアガム、カラヤガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、キトサンなどの多糖類又はこれらの誘導体(種々のエーテル化、エステル化物)、コラーゲン、ゼラチン、卵白アルブミン、大豆タンパク質などのタンパク質又はこれらの誘導体、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ポリグルタミン酸ナトリウム、ポリリジンなどのポリアミノ酸又はこれらの誘導体から成る群から選ばれた1種以上のポリマーが挙げられる。特にゲル強度の向上という観点ではカラギーナンやローカストビーンガム、グルコマンナンが好ましい。これらを混合する範囲はガラクトマンナン100部に対して0.1〜20部、好ましくは1〜5部である。
【0054】
ガラクトマンナンを架橋する架橋剤は、ホウ素及び/又はホウ素以外の三価の重金属イオンであり、ホウ素以外の三価の重金属イオンとしては、チタン、アルミニウム、ニオブ、アンチモン、ジルコニウム、セリウム、ランタン、イットリウム、鉄などの3価以上の多価金属イオンからなる群から選ばれるものであり、さらに好ましくはホウ素、チタン、ジルコニウムから選ばれる1種以上である。
【0055】
ガラクトマンナンをホウ素、チタン、ジルコニウムから選ばれる1種以上の架橋剤で架橋して架橋体を得る方法としては、ガラクトマンナン粉末を水に膨潤・水和させてゾルとし、このゾルに架橋剤を加えてゲル化させる方法と、架橋剤を含む水溶液中にガラクトマンナン粉末を投入してから加温するなどして均一に膨潤ゲル化させる方法の2方法があるが、いずれの方法でも性能を損なわない範囲であれば限定しない。
【0056】
架橋剤であるホウ素、チタン、ジルコニウムから選ばれる1種以上のイオンの形態としては、塩化物、硫酸化物、炭酸化物、酢酸化物、蟻酸化物、乳酸化物、アルコキシド誘導体などが挙げられるが、使用する金属によって好ましい形態が異なるので適宜選択する必要がある。ホウ素イオン源としてはホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、過ホウ酸ナトリウムなどである。好ましいチタン源としてはチタニウム(IV)ジイソプロポキシドビスアセチルアセトネート、チタニウム(IV)トリエタノールアミネートイソプロポキシド、チタニウム(IV)テトライソプロポキシド、チタニウム(IV)ジ−n−ブトキシビストリエタノールアミネート、チタニウム(IV)イソプロポキシオクチレングリコネート、チタニウム(IV)ビスアンモニウムラクテートヒドロキサイド、チタニウム(IV)ビストリエタノールアミネートジイソプロポキシド、Tyzor131(Du pont社)、TyzorGBA(Du pont社)などが挙げられる。ジルコニウムイオン源としては塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、酢酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウムなどが挙げられる。
【0057】
ガラクトマンナンの架橋に用いられる多価金属イオン量は、下記に示すようなそれぞれの使用用途に応じた性能を有する必要があり、また架橋剤の種類や形態によっても異なるため一概に規定できないが、概ねホウ素イオン架橋量としてはグアガム1kg当たり0.1〜1,000ミリモルが好ましく1〜200ミリモルがさらに好ましい。チタン又は/及びジルコニウムイオン架橋量としては1〜1,500ミリモルが好ましく、5〜150ミリモルがさらに好ましい。
【0058】
本発明における吸水材が上記した性能を有するためには、さらに必要に応じて架橋後のゲルを溶媒と共に破砕し、破砕液に架橋剤を加えてゲル粒子表面を再度、架橋剤で架橋(表面架橋)することも可能である。この場合に用いる架橋剤としては前述の三価以上の多価金属イオンが好ましい。この場合、常温で処理してもよいが必要に応じて加熱処理することもゲル強度の向上やゲルブロッキングの回避には有用である。
【0059】
架橋ゲルを乾燥する方法としては、乾燥後の吸水能、吸水後のゲル強度を低下させるような方法でなければいかなる乾燥方法でも限定されるものではないが、例えば常温乾燥、加熱乾燥や凍結乾燥、減圧乾燥、真空乾燥などの方法がある。また加熱乾燥や減圧乾燥する前にゲル中の水分を単素数1〜5個の一価のアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)や単素数3〜6個のクトン(アセトンなど)又はこれらの混合液のような吸湿性、揮発性の無水親水性有機溶媒に置換してから乾燥すれば乾燥温度も低く乾燥時間も短くてよくなり、省エネルギー的であるため好ましい。アルコール類を用いる場合は必ずしも無水アルコールを使用する必要はなく、目的とする吸水材の性能に応じて85%以上の純度の含水アルコールも用いることができる。
【0060】
乾燥後の吸水材の形状は、特に限定されるものではないが、使用する目的に合わせて種々の形状とすることができる。例えば、顆粒状、粉末状、断片状、薄片状、棒状、繊維状、不織布状、フィルム状などである。これらの形状は乾燥後に成形されてもよいし、乾燥時にゲルをこのような形状の成形器内に入れて乾燥してもよい。顆粒状または粉末状として使用する場合には表面積が大きく、透水性シートの網目から漏れない大きさの平均粒径が好ましく、さらに好ましくは100〜1000μmである。また比表面積が高ければ液体、特に粘性液体の場合には吸収速度が向上するため、その比表面積は0.1m2/g以上であることが望ましい。
【0061】
こうして得られる吸水材に、さらに必要に応じて、消臭剤、香料、各種の無機粉末、発泡剤、顔料、染料、抗菌剤、親水性短繊維、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化剤、還元剤、水、塩類等を添加し、これにより吸水材に種々の機能を付与してもよい。無機粉末としては、水性液体等に対して不活性な物質、例えば、各種の無機化合物の微粒子、粘土鉱物の微粒子等が挙げられる。
【0062】
本発明における吸収層で必要に応じて用いられるセルロース系フラフとは、針葉樹パルプや広葉樹パルプを乾燥状態で機械的に解繊したもので、綿状の外観を呈している。フラフは単一繊維ないし数本の繊維が結合した結束繊維が機械的に絡みあったものであり、繊維間空隙への毛細管現象により水を迅速に吸収する作用を有し、吸収材部分の吸水速度を高めるために配合される。フラフはそれ自体の膨潤・ゲル化能力が極めて小さいため、繊維間空隙への吸収水は外力により容易に再放出され、保水力が乏しいという欠点を有する。従って本発明の衛生用品は、吸水材とフラフを混合して用いる構成として、吸収速度と吸水量の高いフラフにいったん取り込んだ尿や血液等の体液が、保水量の高い吸水材の方に次第に伝達され、吸水材に移行・吸収・保持されるように設計することが好ましい。
【0063】
吸収層における吸水材とセルロース系フラフとの混合比は特に限定されず、場合によってはセルロース系フラフを含まなくてもよい。セルロース系フラフを混合する場合の混合比は、5/95〜95/5が好ましく、30/70〜70/30がさらに好ましい。一枚の衛生用品の吸収層に含まれる吸水材の量は衛生用品の種類によって異なるが、例えば紙おむつや尿取りパッドの場合は5〜15gが好ましく、10〜12gがさらに好ましい。また例えば女性用生理用品の場合は0.1〜5gが好ましく、0.5〜1.5gがさらに好ましい。
【0064】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
なお、実施例における〔無荷重下での吸水量の測定〕、〔ゲル強度の測定〕、〔吸水速度の測定〕、〔無荷重下血液保液量の測定〕、〔血液吸収速度の測定〕は、前述した方法により行なった。
【0065】
実施例1〔水崩壊性生分解性生理用品の作成〕
(透水性シートの作成)
針葉樹パルプからなる繊維成分を、繊維成分の濃度が0.01質量%になるようにテスト抄紙機に水中分散させ、抄き上げてシートとし、これをパルフシートを介してプレス搾水し、ドライヤーで乾燥させてシートを得た。得られたシートを金網上に移し、水溶性バインダーの水溶液としてのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩1.0質量%水溶液を、乾燥後のシート重量で1.6質量%になるように噴霧し乾燥し水崩壊性の透水性シートを得た。得られた透水性シートの坪量は、20g/m2 であった。
【0066】
(不透水性シートの作成)
上記で得られた透水性シートの片面全面にポリビニルアルコール(重合度600、鹸化度98%モル、融点190℃)を目付量10g/m2で押し出しラミネートすることによって積層し、複合化不透水性シートを得た。
【0067】
(生分解性吸水材の作成)
グアガム100質量部に対して2質量部のラウリル硫酸ナトリウムを純水100mlにあらかじめ溶解させた後、該水溶液に炭酸ジルコニルアンモニウム(ニューテックス社製)をジルコニウムイオン換算量としてグアガム重量1kg当たり50ミリモル、四ホウ酸ナトリウム水溶液をホウ素イオン換算量としてグアガム重量1kg当たり100ミリモルになるようにそれぞれ攪拌しながら添加した。
次に上記水溶液にグアガム粉末(三栄薬品貿易社製)を固形分濃度18質量%になるように攪拌しながら添加し、膨潤・架橋させた。得られた水和物をステンレストレイに約2cm厚となるように広げ、水分が飛ばないようにラップをかけた後、80℃を保持した状態で60分間、熱風乾燥機中で加熱し、その後室温まで冷却し、架橋ゲルを得た。
【0068】
次にゲル中に含まれる水100mlをエタノール100mlで置換し、ブレンダーで破砕した。エタノールで脱水された固形物にチタニウムIV ジイソプロポキシビストリエタノールアミネート(三菱ガス化学社製)溶液をチタンイオン換算量としてグアガム重量1kg当たり50ミリモルになるように添加し、水/エタノール混合溶液(水/エタノール=50/50)中75℃で2時間加熱し、ゲル粒子表面を架橋した。濾過後、反応物をエタノール50mlで2回洗浄、吸引濾過し、その固形分を80℃で10時間真空乾燥し、吸水材を得た。
本吸水材の無荷重下保液量は10.1g/g、血液吸収速度は1回目が43秒、2回目が150秒であり、10倍量の血液吸収後のゲル強度は38,000×10−7N/mm2であった。
【0069】
(吸収層の作成)
上記吸水材とセルロース系フラフとの混合比率を30/70とし、これらを合計重量が3gになるように透水性シートで包み込み、生分解性吸収層を作成した。
【0070】
(水崩壊性生分解性生理用品の作成)
上記の複合化不透水性シートをバックシートとしてその中心部に吸収層を乗せ、さらに透水性シートをトップシート及びトランスポート層としてその上から重ね、これらをカルボキシメチルセルロース溶液で相互に接着し、全て生分解性素材から成る生理用品を作成した。
【0071】
本生理用品を成人女性20人に対して装着し、その肌触りや風合いを官能試験したところ、肌触りや風合いは従来の市販生理用品よりも優れており、何ら劣ることないことが確認された。また実際の生理期間中に装着してもらい、血液の漏れ、吸収性などを官能試験したところ何ら問題はなく実用的に充分の性能を有することを確認した。
上記20名の女性が使用した後の本生理用品を各自宅で水洗トイレ便器に廃棄したところ、速やかに洗浄水によって崩壊・分散し、配管つまりを引き起こすことなく下水へ流去できることを確認した。
【0072】
実施例2〔小型尿取りパッドの作成〕
(生分解性吸水材の作成)
グアガム(三栄薬品貿易社製)6質量%水溶液を、膨潤させ、ゾル液を作製した。30分間膨潤後、そのゾル液100mlにチタニウムIV ビストリエタノールアミネート ジイソプロポキシド(三菱ガス化学社)溶液をチタンイオン換算量としてグアガム1kg当たり15ミリモル、四ホウ酸ナトリウム十水和物水溶液をホウ素イオン換算量としてグアガム1kg当たり250ミリモルになるように添加し、ブレンダーで混合しながら十分に架橋させた。このゲルと等量のエタノールを添加し、ブレンダーでゲルを破砕、脱水した。その溶液にTEATをグアガム1kg当たり85ミリモルになるように添加し、20分間室温で撹拌した。濾過後、反応物をエタノール50mlで2回洗浄、吸引濾過し、その固形分を80℃で10時間真空乾燥し、吸水材を得た。
本吸水材の無荷重下での生理食塩水吸水量は31g/g、ボルテックス吸収速度は20秒であり、生理食塩水10倍量吸収後のゲル強度は25,000×10−7N/mm2であった。
【0073】
(水崩壊性生分解性小型尿取りパッドの作成)
前記の生分解性吸水材を用い、吸収層に含まれる吸水材とセルロース系フラフの合計重量を7gとした以外は実施例1と同様にして男性用の小型尿取りパッドを作成した。
これを軽度の尿漏れを自覚している20名の男性に装着してもらい、その肌触りや風合いを官能試験したところ、肌触りや風合いは従来の市販尿取りパッドよりも優れており、何ら劣ることないことが確認された。また実際に終日装着してもらい、パッドからの尿の漏れ、吸収性などを官能試験したところ何ら問題はなく実用的に充分の性能を有することを確認した。
上記20名の男性が使用した後の本小型尿取りパッドを各自宅で水洗トイレ便器に廃棄したところ、速やかに洗浄水によって崩壊・分散し、配管つまりを引き起こすことなく下水へ流去できることを確認した。
【0074】
【発明の効果】
本発明の衛生用品は、生分解性素材で構成されており、多量の水を吸収するばかりでなく、食塩水や尿などのようにイオンを含んでいる塩溶液或いは血球やタンパク質などの固形分を含んだ血液のような粘液に対しても高い吸水性能を示し、優れた風合いを有しており高い実用性を有する。また使用後に水流で破砕される際に、従来のアニオン性吸水材を用いた時のように塩溶液に不飽和状態の過剰な吸水材が水中で過度に膨潤・ゲル化して固まることが無く、構成成分が容易に分散して小片に千切れるため、配管に詰まることもなく簡単に下水に流せるという特徴を有し衛生的であり、また土壌中、コンポスト中において優れた生分解性を有する。下水処理過程では、生分解可能な素材であるため水と二酸化炭素に分解されてしまい、使い捨ての衛生用品として好適に使用できるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、幼児用又は成人用紙おむつ(使い捨てオムツ)やパンツ型おむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パット、小型尿取りパッド、ペット用紙おむつ、ペット用パンツ型おむつ、ペット用生理用品などの衛生用品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
「吸水性樹脂の背景と問題点」
ポリアクリル酸系やポリアクリロニトリル系の吸水材を用いた使い捨て衛生用品(紙おむつや生理用品)は既に1980年代ごろから開発され、現在でも多くのメーカーが漏れ防止、防臭、通気性、風合い改善などを目的としてその構造や構成、吸水材の性能などの改良を行い、多数の特許が出願されている。紙おむつや生理用品は基本的に、透水性シート(トップシート)と不透水性シート(バックシート)との間に吸水材とセルロースフラフなどから成る吸収コアを備えている。近年、このような紙おむつや生理用品はその利便性から幼児用のみならず成人用、室内ペット用を対象としたものまで開発されており、その需要は急増している。このような用途に使用されている吸収コア内の吸水材としては、例えば、架橋ポリアクリル酸部分中和物、澱粉−アクリロニトリル共重合体の部分加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の加水分解物、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とアクリル酸の共重合架橋物、カチオン性モノマーの架橋体、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体などが知られている。
【0003】
ところが、合成高分子系吸水材は生分解性を有しない或いは有していてもそのレベルは非常に低いため、使用後の廃棄が問題である。現状としては、これらの合成高分子系吸水材を含む衛生用品を廃棄時に焼却処理する方法と埋め立てする方法が行われているが、焼却炉で処理する方法では、焼却時に発生する熱による炉材の損傷のほかに、地球の温暖化や酸性雨の原因となるガスの発生源となることが指摘されている。さらに、含水率の高い使用済み紙おむつや小型尿取りパッドなどを焼却する場合、焼却炉へ投入した際には炉内燃焼温度が急激に低下し炉材の劣化を促進するだけでなく、ダイオキシン類が発生し易い燃焼雰囲気となるために後段での排ガス処理設備への負担が大きくなり、より性能の高い排ガス処理設備が必要とされる。埋め立て処理する方法では、プラスチックは容積がかさばる、腐らないため地盤が安定しない等の問題があるうえ、埋め立てに適した場所がなくなってきたことが大きな問題となっている。
【0004】
またナプキンやパンティーライナーなどの生理用品は使用後に専用汚物入れに捨てられるがゴミ回収までに時間が掛かると臭気を発するなど不衛生である。さらに公衆トイレにおいては小型であるため使用済み生理用品を水と共に流してしまい、配管を詰まらせるトラブルの原因となっていた。またこのような非生分解性のアニオン性吸水材は下水のようにカチオンをほとんど含まない水であれば100〜1000倍以上に吸水することが可能であるため、非常に高含水率な汚泥として処理場内に沈殿することになり、高含水汚泥を排出する膨大な労力が必要となってしまう。
すなわち、これらの樹脂は分解性に乏しく、水中や土壌中では半永久的に存在するので、廃棄物処理における環境保全を考えると非常に重大な問題である。
【0005】
「生分解性吸水材」
生分解性を有する吸水材としては、ポリビニルアルコール架橋体、カルボキシル化多糖類架橋体(例えば、特許文献1〜6参照)、アルギン酸架橋体、ポリアミノ酸架橋体(例えば、特許文献7〜9参照)、不飽和カルボン酸系重合体架橋物(例えば特許文献10〜11参照)、ガラクトマンナン架橋物(特許文献13参照)などが知られ、特にポリアミノ酸架橋体はその吸収性能の高さから使い捨て衛生材料への用途が期待されている。
【0006】
しかしながら、カルボキシル化多糖類架橋体やポリアミノ酸架橋体、アルギン酸架橋体はアニオン性ポリマーであり、脱イオン水の吸水能は100〜1000倍程度と高いが、ナトリウムやカルシウムなどのカチオンを含む被吸収液に対しては著しく吸水能が低下し、30〜50倍程度である。さらにタンパク質や固形分を含む粘性の高い血液に対する吸収能は著しく低下し5〜20倍程度である。
このようなアニオン性吸水材を水崩壊性・生分解性衛生材の吸水材として使用した場合、尿や血液をある程度吸収した後にトイレに廃棄しても、便器や配管内のカチオンを含まないトイレ洗浄水(汚物を便器から流去させるための水)を吸水し便器や配管内で極度に再膨潤し、これらが塊状となって配管詰まりの原因となっていた。
【0007】
発明者らもガラクトマンナン又は/及びその誘導体とホウ素及び/又はホウ素以外の三価以上の多価金属イオンから成る生分解性吸水材及びその製造方法に関して出願している(例えば、特許文献14〜17参照)。また粘性の高い血液を吸収する能力に優れた生分解性吸水材及びその製造方法を提案している(特願2002−109404号、特願2002−235723号)。
【0008】
「水崩壊性衛生用品」
上記理由によって、環境保全や地球環境負荷低減の観点から使用済み紙おむつや生理用品の焼却や埋め立てを回避するため、使用後にトイレに流して処分することを想定し構成された衛生用品(水崩壊性衛生用品)に関する特許が出願されている。従来の水崩壊性衛生用品では吸収コアに用いる吸水材としてポリアミノ酸架橋体(特許文献18参照)、パルプ(特許文献19参照)、デンプン−アクリル酸グラフト重合物やポリアクリル酸ナトリウム架橋体のようなアニオン性合成高分子系吸水材(特許文献20参照)、架橋α化デンプン(特許文献21参照)などが知られている。
【0009】
しかしながら、吸水材がアニオン性であったり、さらには合成高分子系のように非生分解性であればこれらを含む衛生用品をトイレに流すことによって種々の問題が生じることは前述したとおりである。またパルプや架橋α化デンプンは生分解性を有するノニオン性吸水材であるため前述のような問題は生じず、水崩壊性・生分解性衛生用品の吸収コアに用いることは可能であるが、パルプや架橋α化デンプンは吸水性能に劣る(生理食塩水でパルプは3倍程度、架橋α化デンプン5.5倍程度)ため、これを使用した衛生用品は従来の衛生用品に比べて著しく吸水性能が低下するか、又は多量の吸水材を使用するため著しく容積が増加した衛生用品となり、装着感や使用感が極度に低下してしまうので実用化できるものではなかった。
【0010】
【特許文献1】
米国特許4650716号公報
【特許文献2】
特開平7−82301号公報
【特許文献3】
特開平8−89796号公報
【特許文献4】
特開平8−196901号公報
【特許文献5】
特開平8−208702公報
【特許文献6】
特表平9−504331号公報
【特許文献7】
特開平7−224163号公報
【特許文献8】
特開平8−59820号公報
【特許文献9】
特開2002−128899号公報
【特許文献10】
特開2002−20406号公報
【特許文献11】
特開2001−302749号公報
【特許文献12】
特開平8−59891号公報
【特許文献13】
特開2001−120992号公報
【特許文献14】
特開2001−226525号公報
【特許文献15】
特開2001−224959号公報
【特許文献16】
特開2002−37924号公報
【特許文献17】
特開2002−265672号公報
【特許文献18】
特開2001−212899号公報
【特許文献19】
特開平6−245956号公報
【特許文献20】
特開平9−276331号公報
【特許文献21】
特開2002−291785号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、使用中には従来の衛生用品に比べて劣ることのない吸収性能や風合いを発揮でき、使用後にトイレに流した場合には吸水材がトイレ洗浄水で再膨潤することがないため配管詰まりを引き起こすことがなく、屎尿・下水処理場の微生物処理により全ての構成素材が分解されるような水崩壊性及び生分解性を有する衛生用品を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鑑み鋭意研究した結果、ガラクトマンナンを金属イオンで架橋した架橋体からなる吸水材を衛生用品の吸収層に含み、水崩壊性と生分解性を有する不透水性シート、透水性シートとともに衛生用品を構成することで上記課題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、不透水性シート及び透水性シートともに水崩壊性及び生分解性を有し、両シートの間にある吸収層が、ガラクトマンナン又は/及びその誘導体をホウ素及び/又はホウ素以外の三価以上の多価金属イオンにより架橋した架橋体からなる吸水材を主に含むことを特徴とする水崩壊性及び生分解性を有する衛生用品を要旨とするものである。また、好ましくは、三価以上の多価金属イオンが、チタンイオン、ジルコニウムイオン、アルミニウムイオン、セリウムイオン、およびイットリウムイオンからなる群から選ばれる1種以上の金属であることを特徴とする前記の衛生用品である。
【0014】
また、前記の吸水材が、尿又は0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に対して下記の少なくとも1つ以上の性能を有することを特徴とするものである。
(1)無荷重下で1時間以内に自重の30倍以上吸水できる。
(2)10倍量吸水後のゲル強度が、15,000×10−7N/mm2以上である。
(3)ボルテックス吸水速度が60秒以内である。
なお、ボルテックス吸水速度はJIS−K7224法に従って測定され、詳しくはビーカーに50gの0.9wt%生理食塩水を注ぎ、これを攪拌子にて600±60rpmで攪拌しているところに吸水材2gを投入してその渦が消えるまでの時間を測定するものである。
【0015】
さらに、前記の吸水材が、血液に対して下記の少なくとも1つ以上の性能を有することを特徴とするものである。
(1)無荷重下での保液量が自重の10倍以上である。
(2)10倍量の血液吸収後のゲル強度が、15,000×10−7N/mm2以上である。
(3)自重の5倍量の血液を180秒以内に吸収でき、1回目吸液終了時から10分後にさらに自重の5倍量の血液を添加した場合にその血液を2回目吸液開始時から600秒以内に吸収することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の衛生用品は、(a)不透水性シート、(b)透水性シート、(c)吸収層の各部分から構成されるものである。
前記構成の(a)不透水性シートは、水崩壊性を有する生分解性ポリマーからなる水を透過しなしシートであり、本発明の衛生用品においてバックシートとして用いられるものである。
【0017】
本発明において「水崩壊性」とは、水との接触によってその構造の一部が溶解し、他の部分(主に短繊維)は溶解せずに分散する「水解性」あるいは「水分散性」という性質と、その構造の全てが水に溶解する「水溶性」のいずれの性質をも含むものである。
【0018】
この不透水性シートに使用される生分解性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール重合体やデンプン、セルロース、グアガム、キサンタンガム、プルラン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、ペクチン、カラギーナン、アラビアガム、カラヤガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、キトサンなどの多糖類又はこれらの誘導体(種々のエーテル化、エステル化物)、コラーゲン、ゼラチン、卵白アルブミン、大豆タンパク質などのタンパク質又はこれらの誘導体、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ポリグルタミン酸ナトリウム、ポリリジンなどのポリアミノ酸又はこれらの誘導体から成る群から選ばれた1種以上のポリマーが挙げられる。これらのポリマーは未変性のままで用いることも可能であるが、使用中の耐水性と廃棄時の水崩壊性及び生分解性が維持される範囲であればこれらのポリマーを種々の架橋剤などで変性して用いることも可能である。
【0019】
これらのポリマーの中では特にポリビニルアルコールが好ましく、その鹸化度が60モル%以上、より好ましくは70〜98モル%であり、およそ40℃以下の水に溶解もしくは膨潤あるいは分散するものがさらに好ましい。鹸化度が60モル%未満、さらには70モル%未満では、この特性が充分なものとして得られなくなる。
【0020】
また好適に用いることができるポリビニルアルコールの変性体としてはポリビニルアルコールにエチレンオキシドを付加させたもの、エチレン含有量が50モル%未満のエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール架橋体等が挙げられる。上記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量は、少なくなると得られる衛生用品用裏面シート及び衛生用品の耐水性が低下して防漏性が低下し、多くなると得られる衛生用品用裏面シート及び衛生用品の水解性が低下するので、3〜40モル%が好ましい。
【0021】
上記ポリビニルアルコール架橋体の架橋剤としては、ホウ酸イオン、銅イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、ジルコニウムイオン、スズイオンなどを含む化合物であるが、反応が速やかであることから好ましくはホウ酸イオンであり、コスト的な観点から四ホウ酸ナトリウムがより好ましい。ポリビニルアルコール中に混合する割合は、各架橋剤のゲル化能力によって異なるが、ポリビニルアルコールのビニルアルコール単位に対して30モル%以下、好ましくは20モル%以下とするのがよい。架橋剤濃度が30モル%を超えると、フィルムの水溶性が充分に得られず、目的とする性能が得られにくい。
【0022】
未変性ポリマー又はその変性体で作成した不透水性シートの強度が不足する場合には、生分解性を有するが水溶性を有しない短繊維を混合してシート化したり、下記(b)に述べる透水性シートを基材としてその表面をポリマーで被覆、積層したりして複合化不透水性シートとしてもよい。
【0023】
不透水性シートに混合可能な短繊維の組成としては、セルロースやレーヨン、ケラチン、フィブロインなど天然繊維の他、ポリビニルアルコール重合体、ポリ乳酸重合体、デンプン−ポリカプロラクトン共重合体、コハク酸エステル系重合体、ポリ3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート共重合体、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸系重合体、ポリ−ε−カプロラクトン系重合体、ポリブチレンサクシネート系重合体、ポリエステルアミド系重合体或いはこれらの変性体などから選ばれる1種以上の樹脂成分を単独又は複合紡糸した繊維が挙げられるが、好ましくはコスト的な観点からセルロース又はレーヨンである。なお、短繊維長さは0.5〜10mmが好適であり、これ以上短いと混合してもその効果がなく、これ以上長いとトイレに流した場合にこれらの繊維が絡まりあって配管詰まりの原因となりやすい。
【0024】
不透水性シートを得る方法としては、特に制限がなく公知の成形方法によりフィルム状に成形される。ポリマーが熱可塑性を有する場合にはT−ダイ成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、熱プレス成型法などにより、フィルム状に成形する方法が挙げられる。またこれらのフィルムは少なくとも一方向に延伸されていてもよい。延伸法として特に制限はないが、ロール延伸法、テンター法、インフレーション法などが挙げられる。不透水性シートの厚さは適度な強度と可とう性を有する範囲であれば特に限定されないが5〜300μmが好ましく、10〜100μmが更に好ましい。これらのフィルムは風合いの観点から適度な可とう性と柔らかさを持っていることが望ましい。このようなフィルムとしては引張破断伸度が100%以上、引張弾性率が1000MPa以下が好ましく、200%以上、600MPa以下であることがさらに好ましい。
【0025】
ポリマーが熱可塑性を有しない場合には、ポリマーを適当な温度の水に溶解、膨潤もしくは分散させた後、必要に応じて短繊維を混合し、脱泡、流延、乾燥という工程を経て製造することができる。フィルム強度を増大させるために、熱処理工程を加えてもよい。また、このフィルムの厚みには特に制限はないが、通常25〜250μmの厚みが好ましく使用される。
【0026】
本発明における不透水性シートは、また下記(b)で述べる透水性シートを基材としてその表面に上記の生分解性ポリマーを塗布或いは基材に積層一体化した複合化不透水性シートであってもよく、それを得る方法としては特に限定されない。基材表面に塗布する場合の坪量は、小さくなると成膜が困難になり、大きくなると得られる不透水性シートの腰が強くなりすぎ、使用感が低下するので、例えばポリビニルアルコール又はその変性体を使用する場合では、5〜100g/m2が好ましく、より好ましくは10〜30g/m2である。基材との積層一体化の方法も基材の水崩壊性が損なわれない範囲であれば特には限定されず、例えば、基材の一面に不透水性シートを構成するポリマーを押出ラミネートする方法、ポリマーを予めフィルムに成形し、該フィルムを基材の一面に接着剤により部分的に接着する方法等が挙げられるが、層間接着強度に優れ、工程も簡易であるので、押出ラミネートによる方法が好ましい。また、押出ラミネートで積層一体化することにより、基材とポリマーが全面にわたって一体化されるので、得られる衛生用品をトイレに流した際、水中で分散し易い基材の分散力が、ポリマーの水散を促進し易くなり、結果として複合化不透水性シートが速やかに水解されるので好ましい。
【0027】
可とう性を向上するために、シートの性能を損なわない程度に可塑剤を添加してもよい。この可塑剤としては、たとえば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、3,3−ブタンジオール、1,3−ブタンンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等が挙げられる。
【0028】
さらに不透水性シートの使用中の耐水性を向上させるためにこのシート上面に撥水処理剤を塗布することも可能である。撥水処理材としては特に限定しないが熱硬化型シリコーン、紫外線又は電子線硬化型シリコーン等のシリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤等が挙げられるが、シリコーン系離型剤が好ましく、ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体とポリメチルハイドロジェンシロキサンとを白金触媒の存在下で反応させることにより硬化して得られるシリコーンがより好ましい。これらを例えば、刷毛に撥水処理材を含浸させてシート上に塗布したり或いは撥水処理剤をシート上にスプレー塗装したりしてシート上に撥水処理剤を薄膜状に塗布し、この撥水処理剤に熱を加えたり又は紫外線若しくは電子線を照射して硬化させて撥水処理する方法等が挙げられる。
【0029】
不透水性シートの通気性を向上させるために、無機及び有機充填材を添加することも可能である。無機充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、珪酸白土などが挙げれ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シルカ、珪藻土、チタン、ゼオライトが好ましい。また有機充填材としては木粉、パルプ粉などのセルロース粉末が挙げられる。充填材の平均粒径としては30μm以下のものが好ましく、10μm以下のものがさらに好ましく、0.7〜5μmのものが特に好ましい。粒径が大きすぎると不透水性シートの気孔の緻密性が悪くなり、小さすぎると樹脂への分散性が悪くなる。平面状の未延伸シートにしたあと、縦方向に一軸延伸することにより、または縦及び横方向に二軸延伸することにより不透水性シートは多孔化し通気性を有する不透水性シートとなる。
【0030】
前記構成の(b)透水性シートは、生分解性ポリマーからなる水崩壊性の透水性シートであり、本発明の衛生用品において主に通液性に優れるトップシート、アクィジション層、トランスポート層とサージマネジメント層や或いは前述(a)のように不透水性シートを複合化する場合の基材として用いられるものである。このシートの形態としては、例えば不織布や連続気孔を有するフィルムなどが好ましい。
【0031】
透水性シートの形態が不織布である場合は、その素材繊維としてセルロースやレーヨン、ケラチン、フィブロインなど天然繊維の他、ポリビニルアルコール重合体、ポリ乳酸重合体、デンプン−ポリカプロラクトン共重合体、コハク酸エステル系重合体、ポリ3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート共重合体、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸系重合体、ポリ−ε−カプロラクトン系重合体、ポリブチレンサクシネート系重合体、ポリエステルアミド系重合体或いはこれらの変性体などから選ばれる1種以上の樹脂成分を単独又は複合紡糸した繊維が挙げられる。皮膚への安全性、加工性、強度、コスト的な観点などから好ましくはセルロース又はレーヨンである。
【0032】
上記不織布を構成する繊維の繊度は、0.5〜10dtex程度であるのが好ましい。構成繊維の繊度が大きすぎると不織布が剛直になるとともに水解性が不十分になりやすく、しかも繊維間の空隙が大きくなりすぎるために保液性も低下する。しかしながら、逆に繊度が小さくなりすぎると不織布の製造工程での取り扱いが難しくなる。また構成繊維の繊維長は、製造工程での通過性等の点から1〜100mm程度であるのが好ましいが、より好ましくは2〜10mmである。
【0033】
本発明に用いられる不織布は、乾式不織布でも湿式不織布でも構わない。乾式不織布は、繊維が3次元方向にランダムに配向するために繊維間に空隙が形成されて嵩高で柔軟性に優れたものとなり、繊維間の空隙が比較的大きいことから一層優れた保液性が奏され、繊維が溶出した後の空隙が大きくなることから不織布の水解性が顕著に向上する。なお、本発明にいう乾式不織布とは、水に分散させることなく得られた不織布、たとえば乾式ウエブを経由して得られた不織布をいい、乾式ウエブに水絡処理を施して得られる不織布を包含するものである。
【0034】
保液性、柔軟性及び水解性の点からは、不織布の嵩密度は嵩密度0.5g/cm3以下(好ましくは0.3g/cm3以下)が好ましい。かかる嵩密度とすることにより、不織布の柔軟性・保液性が向上し、しかも形成される繊維間空隙が大きくなるため、残余の繊維が単繊維状に容易に分散することが可能となって優れた水解性が奏される。けれども、保液材の機械的強度の点、さらに繊維間の空隙が必要以上に大きくなるとかえって保液性が損われる点から嵩密度0.1g/cm3以上とするのがより好ましい。またかかる不織布の目付は20〜200g/m2程度とするのが好ましい。
【0035】
上記不織布の坪量が小さくなると、得られる水解性不織布の強度が低下して使用中に破れ易くなり、大きくなると得られる水解性不織布の柔軟性が低下して使用時の風合が低下し、また得られる水解性不織布の水解性が低下して水中で分散し難くなったり分散するのに時間がかかるので10〜100g/m2が好ましい。
【0036】
水崩壊性透水性の不織布の製造方法は、その性能が損なわれない限り、使用する繊維と水溶性ポリマーバインダーの種類によって適宜選択されるため特に限定されず、各種の方法が使用できる。例えば、水を媒体として用いず、紡績用カードあるいはガーネットその他の装置により繊維シートを形成する方法である乾式法、水あるいはバインダーを含有した液中に原料繊維を分散させ、抄紙機を利用してシート状にする方法である湿式法、繊維を形成すると同時に不織布を作る直接法が挙げられる。
【0037】
上記不織布のバインダーとして使用される水溶性ポリマーは、10〜65℃の範囲に曇点を有するとともに、曇点以上の温度では非水溶性であり、曇点未満の温度では水溶性のものである。水溶性ポリマーの曇点は低くなると、得られる水解性不織布の水解性が低下するのでトイレに流した際などに水解し難くなり、高くなると得られる水解性不織布の使用時に水溶性ポリマーが溶解し易くなり強度や取り扱い性等が低下するので、好ましくは10〜65℃、さらに好ましくは15〜60℃である。尚、上記曇点は、水溶性ポリマーの水溶液を加熱していった際に、水溶液が白濁する温度である。
【0038】
このような水溶性ポリマーとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂が挙げられ、中でも、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。上記セルロース系樹脂の置換度は、小さくても大きくても、セルロース系樹脂の水溶性が低下し、得られる水解性不織布の水解性が低下するので、0.5〜2.95が好ましく、より好ましくは0.7〜2.8である。尚、上記置換度は、セルロースのグルコース環単位当たりで、置換基で置換された水酸基の個数である。
【0039】
さらに必要に応じて上記水溶性ポリマーを不織布へ塗布し、強度や水解性を制御することも可能である。その塗布方法としては従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、グラビアロール法、リバースロール法、トランスファーロール法、キスロール法、キャスト法、スプレー法、カーテン法、カレンダー法、エアドクター法、ブレード法、ロッド法、ナイフ法、スクイズ法等が挙げられ、上記水溶性ポリマーの粘度、塗布パターン等により適宜決定してよい。
【0040】
上記水溶性ポリマーは、不織布に塗布されると大部分は不織布に含浸し、残りの一部は不織布表面に残存する。水溶性ポリマーを部分的に塗布した場合、水溶性ポリマーが含浸した不織布はその強度は大幅に向上するが水溶性ポリマーが含浸されない繊維部分が存在するので該部分が起点になって水解し、水解性を損なうことはないので好ましい。
【0041】
上記水溶性ポリマーを部分的に塗布する場合の塗布パターンは特には限定されず、例えば各々独立した塗布部分が複数存在する不連続パターン、塗布部分が広い範囲にわたってつながって形成されてなる連続パターン等が挙げられる。
【0042】
上記水溶性ポリマーの塗布部分の分散形態は、不連続パターン及び連続パターンとも、塗布面積占有率が上記範囲にあれば特には限定されないが、用途に応じて調整するのが好ましく、例えばライナーなどの液体透過性トップシート、液体吸収部材、バックシート、粘着剤層及び離型紙からなる衛生用品のバックシートに使用される場合は、粘着剤層が形成される部分に重点的に分散されているのが、使用後に下着から衛生用品を剥がす際、紙間強度不足による糊残り・不織布繊維残りが生じ難いので好ましい。また、清掃用シート、洗浄用シート等に使用される場合は全体に略均一に分散されているのが好ましい。
【0043】
また、上記水溶性ポリマーが不連続パターンで塗布されている場合、その不連続な塗布部分1つの面積は小さくなると不織布の繊維同士を結着する結着力が不足し、得られる水解性不織布が使用中にほぐれ易くなる。一方、大きくなると得られる水解性不織布が固くなり、風合が低下するので0.1〜100mm2が好ましく、塗布部分間の間隔は、小さくなると得られる水解性不織布の水解性が低下し、大きくなると不織布の繊維同士を結着する結着力が不足し、得られる水解性不織布が使用中にほぐれ易くなるので0.1〜10mmが好ましい。
【0044】
前記構成部分の(c)吸収層は、生分解性を有する吸水材と必要に応じてセルロース系フラフなどから構成され、衛生用品において目的とする液体を速やかに吸収しゲル化して、加圧しても水分がゲル内に保持されるものである必要がある。本発明で使用することが好ましい生分解性吸水材は、ガラクトマンナン又は/及びその誘導体から成る吸水材であり、その使用目的により下記のいずれかの性能を有することが好ましい。
【0045】
紙おむつや小型尿取りパッドなど尿を対象とする衛生用品に使用する場合は、吸水材が尿又は生理食塩水に対して下記の少なくとも1つ以上、好ましくは2つ以上の性能を有する。
(1)無荷重下で1時間以内に自重の30倍以上吸水できる。
(2)10倍量吸水後のゲル強度が15,000×10−7N/mm2以上である。
(3)ボルテックス吸水速度が60秒以内である。
【0046】
生理用品など血液を対象とする衛生用品に使用する場合には、吸水材が血液に対して下記の少なくとも1つ以上、好ましくは2つ以上の性能を有する。
(1)無荷重下保液量が自重の10倍以上である。
(2)10倍量の血液吸収後のゲル強度が15,000×10−7N/mm2以上である。
(3)自重の5倍量の血液を180秒以内に吸収でき、1回目吸液終了時から10分後にさらに自重の5倍量の血液を添加した場合にその血液を2回目吸液開始時から600秒以内に吸収することができる。
【0047】
上記において、それぞれの性能は、以下の測定により得られた値をいう。
(無荷重下での吸水量の測定)
ティーバッグ法にて0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(以下、生理食塩水という。)を用いて行った。すなわち、250メッシュのナイロン製ティーバッグに吸水材1gを入れ、1Lの生理食塩水にティーバッグを3時間浸し、ティーバッグを引き上げ、10分間水切りを行った後、その重量を測定した。吸水材の吸水量は、3時間水に浸した吸水材が入っていないティーバッグの重量をブランクとし、吸水して膨潤した吸水材が入ったティーバッグの重量から、膨潤前の吸水材の重量とブランクの重量を減じた値を、膨潤前の吸水材の重量で除した値を吸水量(g/g吸水材)とした。
【0048】
(ゲル強度の測定)
500〜1,000μmに篩い分けた吸水材粒子を攪拌しながら自重の10倍量の生理食塩水又は馬血液(抗凝固剤にはヘパリンを使用)に浸して3時間自由吸水させ、サイエンティフィク社のレオメトリック SR−5000を用いて1Hz、室温にて粘弾性G*を測定し、その数値をゲル強度とした。
【0049】
(吸水速度の測定)
JIS−K7224に記載のボルテックス法にて0.9wt%生理食塩水50mlを600±60rpmになるよう攪拌子で攪拌しながら2gの吸水材を加え、流動性(水の渦巻き)が消失するまでの時間を測定した。
【0050】
(無荷重下血液保液量の測定)
ティーバッグに吸水材1gを入れ、馬血液(抗凝固剤にはヘパリンを使用)300ml中に1時間浸漬した後、15分間吊るして液切りし、これを250Gで90秒間遠心脱水し、測定前後の吸水材当たりの重量増加を測定して血液保液量とする。
【0051】
(血液吸収速度の測定)
アルミカップに吸収材0.5gを入れ、自重の5倍量の馬血液(抗凝固剤にはヘパリンを使用)をその中央に滴下して完全に吸収させるまでの時間を測定して1回目の吸収速度とする。次いで1回目の吸収速度測定終了から10分後に再度自重の5倍量の血液を滴下し、完全に吸収するまでの時間を2回目の吸収速度とした。
【0052】
本発明における吸水材に用いられるガラクトマンナンの分子量は、1万以上が好ましく、より好ましくは5万以上である。分子量が1万以下の場合は金属イオンで架橋してもゲルを形成しないので不適当である。
【0053】
本発明に用いるガラクトマンナンから成る吸水材にはその性能を損なわない範囲であれば下記のポリマーを混合することも可能である。混合可能なポリマーとしてはポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール重合体やデンプン、セルロース、グアガム、キサンタンガム、プルラン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、ペクチン、カラギーナン、アラビアガム、カラヤガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、キトサンなどの多糖類又はこれらの誘導体(種々のエーテル化、エステル化物)、コラーゲン、ゼラチン、卵白アルブミン、大豆タンパク質などのタンパク質又はこれらの誘導体、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ポリグルタミン酸ナトリウム、ポリリジンなどのポリアミノ酸又はこれらの誘導体から成る群から選ばれた1種以上のポリマーが挙げられる。特にゲル強度の向上という観点ではカラギーナンやローカストビーンガム、グルコマンナンが好ましい。これらを混合する範囲はガラクトマンナン100部に対して0.1〜20部、好ましくは1〜5部である。
【0054】
ガラクトマンナンを架橋する架橋剤は、ホウ素及び/又はホウ素以外の三価の重金属イオンであり、ホウ素以外の三価の重金属イオンとしては、チタン、アルミニウム、ニオブ、アンチモン、ジルコニウム、セリウム、ランタン、イットリウム、鉄などの3価以上の多価金属イオンからなる群から選ばれるものであり、さらに好ましくはホウ素、チタン、ジルコニウムから選ばれる1種以上である。
【0055】
ガラクトマンナンをホウ素、チタン、ジルコニウムから選ばれる1種以上の架橋剤で架橋して架橋体を得る方法としては、ガラクトマンナン粉末を水に膨潤・水和させてゾルとし、このゾルに架橋剤を加えてゲル化させる方法と、架橋剤を含む水溶液中にガラクトマンナン粉末を投入してから加温するなどして均一に膨潤ゲル化させる方法の2方法があるが、いずれの方法でも性能を損なわない範囲であれば限定しない。
【0056】
架橋剤であるホウ素、チタン、ジルコニウムから選ばれる1種以上のイオンの形態としては、塩化物、硫酸化物、炭酸化物、酢酸化物、蟻酸化物、乳酸化物、アルコキシド誘導体などが挙げられるが、使用する金属によって好ましい形態が異なるので適宜選択する必要がある。ホウ素イオン源としてはホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、過ホウ酸ナトリウムなどである。好ましいチタン源としてはチタニウム(IV)ジイソプロポキシドビスアセチルアセトネート、チタニウム(IV)トリエタノールアミネートイソプロポキシド、チタニウム(IV)テトライソプロポキシド、チタニウム(IV)ジ−n−ブトキシビストリエタノールアミネート、チタニウム(IV)イソプロポキシオクチレングリコネート、チタニウム(IV)ビスアンモニウムラクテートヒドロキサイド、チタニウム(IV)ビストリエタノールアミネートジイソプロポキシド、Tyzor131(Du pont社)、TyzorGBA(Du pont社)などが挙げられる。ジルコニウムイオン源としては塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、酢酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウムなどが挙げられる。
【0057】
ガラクトマンナンの架橋に用いられる多価金属イオン量は、下記に示すようなそれぞれの使用用途に応じた性能を有する必要があり、また架橋剤の種類や形態によっても異なるため一概に規定できないが、概ねホウ素イオン架橋量としてはグアガム1kg当たり0.1〜1,000ミリモルが好ましく1〜200ミリモルがさらに好ましい。チタン又は/及びジルコニウムイオン架橋量としては1〜1,500ミリモルが好ましく、5〜150ミリモルがさらに好ましい。
【0058】
本発明における吸水材が上記した性能を有するためには、さらに必要に応じて架橋後のゲルを溶媒と共に破砕し、破砕液に架橋剤を加えてゲル粒子表面を再度、架橋剤で架橋(表面架橋)することも可能である。この場合に用いる架橋剤としては前述の三価以上の多価金属イオンが好ましい。この場合、常温で処理してもよいが必要に応じて加熱処理することもゲル強度の向上やゲルブロッキングの回避には有用である。
【0059】
架橋ゲルを乾燥する方法としては、乾燥後の吸水能、吸水後のゲル強度を低下させるような方法でなければいかなる乾燥方法でも限定されるものではないが、例えば常温乾燥、加熱乾燥や凍結乾燥、減圧乾燥、真空乾燥などの方法がある。また加熱乾燥や減圧乾燥する前にゲル中の水分を単素数1〜5個の一価のアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)や単素数3〜6個のクトン(アセトンなど)又はこれらの混合液のような吸湿性、揮発性の無水親水性有機溶媒に置換してから乾燥すれば乾燥温度も低く乾燥時間も短くてよくなり、省エネルギー的であるため好ましい。アルコール類を用いる場合は必ずしも無水アルコールを使用する必要はなく、目的とする吸水材の性能に応じて85%以上の純度の含水アルコールも用いることができる。
【0060】
乾燥後の吸水材の形状は、特に限定されるものではないが、使用する目的に合わせて種々の形状とすることができる。例えば、顆粒状、粉末状、断片状、薄片状、棒状、繊維状、不織布状、フィルム状などである。これらの形状は乾燥後に成形されてもよいし、乾燥時にゲルをこのような形状の成形器内に入れて乾燥してもよい。顆粒状または粉末状として使用する場合には表面積が大きく、透水性シートの網目から漏れない大きさの平均粒径が好ましく、さらに好ましくは100〜1000μmである。また比表面積が高ければ液体、特に粘性液体の場合には吸収速度が向上するため、その比表面積は0.1m2/g以上であることが望ましい。
【0061】
こうして得られる吸水材に、さらに必要に応じて、消臭剤、香料、各種の無機粉末、発泡剤、顔料、染料、抗菌剤、親水性短繊維、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化剤、還元剤、水、塩類等を添加し、これにより吸水材に種々の機能を付与してもよい。無機粉末としては、水性液体等に対して不活性な物質、例えば、各種の無機化合物の微粒子、粘土鉱物の微粒子等が挙げられる。
【0062】
本発明における吸収層で必要に応じて用いられるセルロース系フラフとは、針葉樹パルプや広葉樹パルプを乾燥状態で機械的に解繊したもので、綿状の外観を呈している。フラフは単一繊維ないし数本の繊維が結合した結束繊維が機械的に絡みあったものであり、繊維間空隙への毛細管現象により水を迅速に吸収する作用を有し、吸収材部分の吸水速度を高めるために配合される。フラフはそれ自体の膨潤・ゲル化能力が極めて小さいため、繊維間空隙への吸収水は外力により容易に再放出され、保水力が乏しいという欠点を有する。従って本発明の衛生用品は、吸水材とフラフを混合して用いる構成として、吸収速度と吸水量の高いフラフにいったん取り込んだ尿や血液等の体液が、保水量の高い吸水材の方に次第に伝達され、吸水材に移行・吸収・保持されるように設計することが好ましい。
【0063】
吸収層における吸水材とセルロース系フラフとの混合比は特に限定されず、場合によってはセルロース系フラフを含まなくてもよい。セルロース系フラフを混合する場合の混合比は、5/95〜95/5が好ましく、30/70〜70/30がさらに好ましい。一枚の衛生用品の吸収層に含まれる吸水材の量は衛生用品の種類によって異なるが、例えば紙おむつや尿取りパッドの場合は5〜15gが好ましく、10〜12gがさらに好ましい。また例えば女性用生理用品の場合は0.1〜5gが好ましく、0.5〜1.5gがさらに好ましい。
【0064】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
なお、実施例における〔無荷重下での吸水量の測定〕、〔ゲル強度の測定〕、〔吸水速度の測定〕、〔無荷重下血液保液量の測定〕、〔血液吸収速度の測定〕は、前述した方法により行なった。
【0065】
実施例1〔水崩壊性生分解性生理用品の作成〕
(透水性シートの作成)
針葉樹パルプからなる繊維成分を、繊維成分の濃度が0.01質量%になるようにテスト抄紙機に水中分散させ、抄き上げてシートとし、これをパルフシートを介してプレス搾水し、ドライヤーで乾燥させてシートを得た。得られたシートを金網上に移し、水溶性バインダーの水溶液としてのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩1.0質量%水溶液を、乾燥後のシート重量で1.6質量%になるように噴霧し乾燥し水崩壊性の透水性シートを得た。得られた透水性シートの坪量は、20g/m2 であった。
【0066】
(不透水性シートの作成)
上記で得られた透水性シートの片面全面にポリビニルアルコール(重合度600、鹸化度98%モル、融点190℃)を目付量10g/m2で押し出しラミネートすることによって積層し、複合化不透水性シートを得た。
【0067】
(生分解性吸水材の作成)
グアガム100質量部に対して2質量部のラウリル硫酸ナトリウムを純水100mlにあらかじめ溶解させた後、該水溶液に炭酸ジルコニルアンモニウム(ニューテックス社製)をジルコニウムイオン換算量としてグアガム重量1kg当たり50ミリモル、四ホウ酸ナトリウム水溶液をホウ素イオン換算量としてグアガム重量1kg当たり100ミリモルになるようにそれぞれ攪拌しながら添加した。
次に上記水溶液にグアガム粉末(三栄薬品貿易社製)を固形分濃度18質量%になるように攪拌しながら添加し、膨潤・架橋させた。得られた水和物をステンレストレイに約2cm厚となるように広げ、水分が飛ばないようにラップをかけた後、80℃を保持した状態で60分間、熱風乾燥機中で加熱し、その後室温まで冷却し、架橋ゲルを得た。
【0068】
次にゲル中に含まれる水100mlをエタノール100mlで置換し、ブレンダーで破砕した。エタノールで脱水された固形物にチタニウムIV ジイソプロポキシビストリエタノールアミネート(三菱ガス化学社製)溶液をチタンイオン換算量としてグアガム重量1kg当たり50ミリモルになるように添加し、水/エタノール混合溶液(水/エタノール=50/50)中75℃で2時間加熱し、ゲル粒子表面を架橋した。濾過後、反応物をエタノール50mlで2回洗浄、吸引濾過し、その固形分を80℃で10時間真空乾燥し、吸水材を得た。
本吸水材の無荷重下保液量は10.1g/g、血液吸収速度は1回目が43秒、2回目が150秒であり、10倍量の血液吸収後のゲル強度は38,000×10−7N/mm2であった。
【0069】
(吸収層の作成)
上記吸水材とセルロース系フラフとの混合比率を30/70とし、これらを合計重量が3gになるように透水性シートで包み込み、生分解性吸収層を作成した。
【0070】
(水崩壊性生分解性生理用品の作成)
上記の複合化不透水性シートをバックシートとしてその中心部に吸収層を乗せ、さらに透水性シートをトップシート及びトランスポート層としてその上から重ね、これらをカルボキシメチルセルロース溶液で相互に接着し、全て生分解性素材から成る生理用品を作成した。
【0071】
本生理用品を成人女性20人に対して装着し、その肌触りや風合いを官能試験したところ、肌触りや風合いは従来の市販生理用品よりも優れており、何ら劣ることないことが確認された。また実際の生理期間中に装着してもらい、血液の漏れ、吸収性などを官能試験したところ何ら問題はなく実用的に充分の性能を有することを確認した。
上記20名の女性が使用した後の本生理用品を各自宅で水洗トイレ便器に廃棄したところ、速やかに洗浄水によって崩壊・分散し、配管つまりを引き起こすことなく下水へ流去できることを確認した。
【0072】
実施例2〔小型尿取りパッドの作成〕
(生分解性吸水材の作成)
グアガム(三栄薬品貿易社製)6質量%水溶液を、膨潤させ、ゾル液を作製した。30分間膨潤後、そのゾル液100mlにチタニウムIV ビストリエタノールアミネート ジイソプロポキシド(三菱ガス化学社)溶液をチタンイオン換算量としてグアガム1kg当たり15ミリモル、四ホウ酸ナトリウム十水和物水溶液をホウ素イオン換算量としてグアガム1kg当たり250ミリモルになるように添加し、ブレンダーで混合しながら十分に架橋させた。このゲルと等量のエタノールを添加し、ブレンダーでゲルを破砕、脱水した。その溶液にTEATをグアガム1kg当たり85ミリモルになるように添加し、20分間室温で撹拌した。濾過後、反応物をエタノール50mlで2回洗浄、吸引濾過し、その固形分を80℃で10時間真空乾燥し、吸水材を得た。
本吸水材の無荷重下での生理食塩水吸水量は31g/g、ボルテックス吸収速度は20秒であり、生理食塩水10倍量吸収後のゲル強度は25,000×10−7N/mm2であった。
【0073】
(水崩壊性生分解性小型尿取りパッドの作成)
前記の生分解性吸水材を用い、吸収層に含まれる吸水材とセルロース系フラフの合計重量を7gとした以外は実施例1と同様にして男性用の小型尿取りパッドを作成した。
これを軽度の尿漏れを自覚している20名の男性に装着してもらい、その肌触りや風合いを官能試験したところ、肌触りや風合いは従来の市販尿取りパッドよりも優れており、何ら劣ることないことが確認された。また実際に終日装着してもらい、パッドからの尿の漏れ、吸収性などを官能試験したところ何ら問題はなく実用的に充分の性能を有することを確認した。
上記20名の男性が使用した後の本小型尿取りパッドを各自宅で水洗トイレ便器に廃棄したところ、速やかに洗浄水によって崩壊・分散し、配管つまりを引き起こすことなく下水へ流去できることを確認した。
【0074】
【発明の効果】
本発明の衛生用品は、生分解性素材で構成されており、多量の水を吸収するばかりでなく、食塩水や尿などのようにイオンを含んでいる塩溶液或いは血球やタンパク質などの固形分を含んだ血液のような粘液に対しても高い吸水性能を示し、優れた風合いを有しており高い実用性を有する。また使用後に水流で破砕される際に、従来のアニオン性吸水材を用いた時のように塩溶液に不飽和状態の過剰な吸水材が水中で過度に膨潤・ゲル化して固まることが無く、構成成分が容易に分散して小片に千切れるため、配管に詰まることもなく簡単に下水に流せるという特徴を有し衛生的であり、また土壌中、コンポスト中において優れた生分解性を有する。下水処理過程では、生分解可能な素材であるため水と二酸化炭素に分解されてしまい、使い捨ての衛生用品として好適に使用できるものである。
Claims (4)
- 不透水性シート及び透水性シートともに水崩壊性及び生分解性を有し、両シートの間にある吸収層が、ガラクトマンナン又は/及びその誘導体をホウ素及び/又はホウ素以外の三価以上の多価金属イオンにより架橋した架橋体からなる吸水材を主に含むことを特徴とする水崩壊性及び生分解性を有する衛生用品。
- 三価以上の多価金属イオンが、チタンイオン、ジルコニウムイオン、アルミニウムイオン、セリウムイオン、およびイットリウムイオンからなる群から選ばれる1種以上の金属であることを特徴とする請求項1記載の衛生用品。
- 吸水材が、尿又は0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に対して下記の少なくとも1つ以上の性能を有することを特徴とする請求項1記載の衛生用品。
(1)無荷重下で1時間以内に自重の30倍以上吸水できる。
(2)10倍量吸水後のゲル強度が、15,000×10−7N/mm2以上である。
(3)ボルテックス吸水速度が60秒以内である。 - 吸水材が、血液に対して下記の少なくとも1つ以上の性能を有することを特徴とする請求項1記載の衛生用品。
(1)無荷重下での保液量が自重の10倍以上である。
(2)10倍量の血液吸収後のゲル強度が、15,000×10−7N/mm2以上である。
(3)自重の5倍量の血液を180秒以内に吸収でき、1回目吸液終了時から10分後にさらに自重の5倍量の血液を添加した場合にその血液を2回目吸液開始時から600秒以内に吸収することができる。
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