JP2004208454A - モータのブレーキ回路、モータ駆動装置、ステージ装置、露光装置、及び半導体デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被駆動物が非常停止限を超えて走行した場合に、早急にモータを停止させることができるモータのブレーキ回路を提供する。
【解決手段】ブレーキ信号が「H」レベルとなるとAND回路31の反転入力が「L」レベルとなるので、AND回路31の出力は「L」レベルとなる。これにより、FET35はオフとなる。また、OR回路33の一方の入力であるブレーキ信号が「H」レベルであるので、FET36はオンとなる。これにより、3相リニアモータ23のU相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wは短絡され、ダイナミックブレーキが働く。また、インバータ37の出力が「L」レベルとなるので、トランジスタ38はオフとなり、リレー39のコイルの励磁が解ける。そのため、リレー接点39bはオンとなる。これにより、3相リニアモータ23のU相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wは短絡され、ダイナミックブレーキが働く。
【選択図】 図2
【解決手段】ブレーキ信号が「H」レベルとなるとAND回路31の反転入力が「L」レベルとなるので、AND回路31の出力は「L」レベルとなる。これにより、FET35はオフとなる。また、OR回路33の一方の入力であるブレーキ信号が「H」レベルであるので、FET36はオンとなる。これにより、3相リニアモータ23のU相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wは短絡され、ダイナミックブレーキが働く。また、インバータ37の出力が「L」レベルとなるので、トランジスタ38はオフとなり、リレー39のコイルの励磁が解ける。そのため、リレー接点39bはオンとなる。これにより、3相リニアモータ23のU相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wは短絡され、ダイナミックブレーキが働く。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータのブレーキ回路、モータ駆動装置、ステージ装置、露光装置、及び半導体デバイスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程においては、レチクル上に形成された所定の回路パターンをウエハに露光転写するリソグラフィ工程が含まれる。この露光転写には露光装置が使用される。露光装置においては、レチクルとウエハをそれぞれレチクルステージ、ウエハステージに固定し、これらレチクルステージ、ウエハステージをリニアモータにより同期して駆動しながら、露光転写を行うことが行われている。
【0003】
レチクルステージ駆動系及びウエハステージ駆動系は、単電源を駆動電源として各リニアモータをそれぞれ駆動するモータ駆動装置を搭載する。このような投影露光装置におけるモータ駆動の例については、例えば特開2002−136177号公報に記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−136177号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような投影露光装置において、何らかの制御の異常により、レチクルステージ駆動系又はウエハステージ駆動系を構成するリニアモータが停止せず、そのため、レチクルステージ、ウエハステージがオーバランし、投影露光装置を破損させる可能性がある。これに対する対策として、レチクルステージ、ウエハステージがオーバランして、非常停止限を通過したことを検出し、その信号に応じて、リニアモータの巻線を機械的に(リレーを用いて)短絡し、ダイナミックブレーキをかけ、設備の破損に至る前にレチクルステージ、ウエハステージがオーバランを停止する方法が採用されてきた。
【0006】
しかしながら、投影露光装置のスループットを上げるため、レチクルステージ、ウエハステージの駆動速度は高速化し、300mm/secに達するようになってきた。このような場合、機械的な接点による巻線の短絡では、機械的接点の動作に100msec程度かかることがあり、その間にステージが30mm進んでしまう。短絡が行われてからダイナミックブレーキがかかってステージが停止するまでにさらにステージは走行を続ける。そのため、ステージが設備を破壊しないような状態で確実に停止させるためには、非常停止限を、それだけ前に設定しておく必要があり、その結果、ステージのストロークを無駄に大型化せざるを得ず、装置が大型化するという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ステージ等の被駆動物が非常停止限を超えて走行した場合に、早急にモータを停止させることができるモータのブレーキ回路、このブレーキ回路を有するモータ駆動装置、ステージ装置、露光装置、さらには、この露光装置を使用した半導体デバイスの製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、モータの巻線への配線を電気的に短絡することによって、モータにブレーキをかけるモータのブレーキ回路であって、モータを駆動するスイッチング回路のスイッチング素子を使用してモータの巻線への配線を電気的に短絡する第1の回路と、リレー接点によりモータの巻線への配線を電気的に短絡する第2の回路を有し、前記第2の回路を構成するリレーの接点は、B接点であることを特徴とするモータのブレーキ回路(請求項1)である。
【0009】
本手段においては、モータを駆動するスイッチング回路のスイッチング素子を使用してモータの巻線への配線を電気的に短絡する第1の回路と、リレー接点によりモータの巻線への配線を電気的に短絡する第2の回路を有している。この第1の回路は、ほぼ遅れ時間無く作動するので、異常が検出された瞬間にモータにダイナミックブレーキをかけることができる。しかしながら、この第1の回路だけでは、装置の電源が落ちたときにはダイナミックブレーキをかけることができない。
【0010】
第2の回路はこのような場合に確実にダイナミックブレーキをかけるためのものであり、リレー回路のB(ブレーク)接点によりモータのコイルへの配線を電気的に短絡するものである。B接点を使用しているので、回路の電源が落ちたとき接点がメークし、モータの巻線への配線が電気的に短絡されてダイナミックブレーキが作動する。この第2の回路の作動は、前述のようにリレーの作動時間だけ遅れる。しかし、通常の場合は第1の回路が先に働くので問題はなく、電源が落ちると同時に非常停止限の検出が行われることは極めて希である。よって、このように、2つの回路でモータの巻線への配線を電気的に短絡する構成とすることにより、通常の場合は遅れ時間無く、電源が落ちた場合でも確実に、ダイナミックブレーキを作動させることができる。
【0011】
なお、本手段は、交流モータ、直流モータを問わず、種々のモータに適用できる。モータのコイルへの配線を電気的に短絡することにより、コイルの損傷が危惧される場合には、電流制限抵抗を入れて、電流を制限するようにしてもよい。
【0012】
前記課題を解決するための第2の手段は、モータへの給電を制御することによってモータを駆動するモータ駆動装置であって、前記第1の手段であるモータのブレーキ回路を備えることを特徴とするモータ駆動装置(請求項2)である。
【0013】
前記課題を解決するための第3の手段は、移動対象物を搭載するステージと、前記移動対象物を移動させるために前記ステージを駆動するモータと、前記モータを駆動するモータ駆動装置とを備え、当該モータ駆動装置が前記第2の手段であるモータ駆動装置であることを特徴とするステージ装置(請求項3)である。
【0014】
前記課題を解決するための第4の手段は、レチクルに形成された所定のパターンを感応基板上に露光転写する露光装置であって、レチクル及び感応基板のいずれか一方を搭載して移動させるステージ装置を備え、当該ステージ装置が前記第3の手段であるステージ装置であることを特徴とする露光装置(請求項4)である。
【0015】
これら、第2の手段から第4の手段においては、いずれも前記第1の手段であるモータのブレーキ回路が設けられているので、通常の場合は遅れ時間無く、電源が落ちた場合でも確実に、モータのダイナミックブレーキを作動させ、停止させることができる。
【0016】
前記課題を解決するための第5の手段は、前記第4の手段である露光装置を使用して、レチクルに形成された所定のパターンをウエハに露光転写する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法(請求項5)である。
【0017】
本手段においては、前記第4の手段である露光装置を使用しているので、安定して半導体デバイスの製造を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態の1例であるモータのブレーキ回路を使用する、モータ駆動装置の回路の概要を示す図である。3相リニアモータ23の速度制御回路等のマイナーループである電流制御回路からの指令信号が、PWM制御回路21に送られる。
【0019】
PWM制御回路は、この信号を受けて、U相、V相、W相に流す電流を制御するためのパルス信号を決定し、それぞれU相PWM駆動増幅器22U、V相PWM駆動増幅器22V、W相PWM駆動増幅器22Wに送出する。U相PWM駆動増幅器22U、V相PWM駆動増幅器22V、W相PWM駆動増幅器22Wは、それぞれ指令されたパルスに相当するパルス駆動電圧を、U相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wに印加し、3相リニアモータ23を駆動する。
【0020】
U相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wは、図に示すようにスター接続されており、その中性点は接地されていない。
【0021】
図2に、本発明の実施の形態の1例であるモータのブレーキ回路の構成の概要を示す。U相PWM駆動増幅器22U、V相PWM駆動増幅器22V、W相PWM駆動増幅器22Wは、それぞれ図2に示すようにAND回路31、インバータ32、オア回路33、レベルシフト回路34、及び実際のスイッチングを行うための直列に接続された2つのFET35、36を有する。
【0022】
通常の場合は、非常停止用のブレーキ信号は「Lレベル」にあり、AND回路31からなるゲートの一方の入力である反転入力は「H」レベルとなるので、AND回路31からなるゲートは「開」となって、U相PWM信号、V相PWM信号、W相PWM信号はこのゲートを通過して、FET35、36をオンオフする。
【0023】
すなわち、OR回路33の一方の入力であるブレーキ信号は「L」レベルであるので、OR回路33の出力、すなわちFET36のゲート信号は、インバータ32の出力と同じもの、すなわち、U相PWM信号、V相PWM信号、W相PWM信号を反転したものとなる。これにより、FET36はU相PWM信号、V相PWM信号、W相PWM信号が「H」レベルのときオフとなり、「L」レベルのときオンとなる。
【0024】
一方、AND回路31の出力はレベルシフト回路34介してFET35のゲートに印加される。これにより、FET35は、U相PWM信号、V相PWM信号、W相PWM信号が「H」レベルのときオンとなり、「L」レベルのときオフとなる。
【0025】
これにより、3相リニアモータ23のU相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wにかかる電圧は、それぞれ、U相PWM信号、V相PWM信号、W相PWM信号が「H」レベルのとき+Eとなり、「L」レベルのとき0(接地電位)となる。
【0026】
非常時に3相リニアモータ23を停止させたいときは、ブレーキ信号が「H」レベルとなる。これにより、AND回路31の反転入力が「L」レベルとなるので、AND回路31の出力は「L」レベルとなる。これにより、FET35はオフとなる。また、OR回路33の一方の入力であるブレーキ信号が「H」レベルであるので、OR回路33の出力は「H」レベルとなり、FET36はオンとなる。すなわち、U相PWM駆動増幅器22U、V相PWM駆動増幅器22V、W相PWM駆動増幅器22Wの出力は共に接地電位となる。
【0027】
これにより、3相リニアモータ23のU相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wは短絡され、ダイナミックブレーキが働く。このダイナミックブレーキ回路は、全て電子回路で構成されているので、ブレーキ信号が「H」レベルとなった瞬間に作動するが、ロジック回路の電源、モータ駆動電源が落ちているときは働かない。
【0028】
一方、ブレーキ信号が「L」となっているときは、インバータ37の出力が「H」レベルとなり、npnトランジスタ38のベースにかかる電圧が「H」レベルとなるので、トランジスタ38はオンとなり、電源E’からリレーコイル39通してアースに電流が流れ、リレー39のコイルは励磁されている。そのため、リレー接点39bはオフとなっており、この回路はモータ制御に関係しない。
【0029】
ブレーキ信号が「H」となると、インバータ37の出力が「L」レベルとなり、npnトランジスタ38のベースにかかる電圧が「L」レベルとなるので、トランジスタ38はオフとなり、電源E’からリレーコイル39通してアースに流れる電流が遮断されて、リレー39のコイルの励磁が解ける。そのため、リレー接点39bはオンとなる。これにより、3相リニアモータ23のU相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wは短絡され、ダイナミックブレーキが働く。このダイナミックブレーキの作動は、リレー39の作動時間だけ遅れるので、通常の場合は、前述のFETによるダイナミックブレーキの方が早く働く。
【0030】
このリレー39によるダイナミックブレーキは、ロジック回路の電源、モータ駆動電源、リレー電源が落ちているときでも、リレー接点39bがB(ブレーク)接点であるため作動する。よって、電源に異常があった場合でも、確実にダイナミックブレーキを作動させることができるようになる。なお、電源E’は、モータを駆動するための電源Eと共用にしてもよい。
【0031】
本発明の実施の形態の1例であるモータ駆動装置は、図1に示すような回路に図2に示すような回路が組み込まれたものであり、その作用については説明を要しないであろう。
【0032】
本発明の実施の形態の1例であるステージ装置、露光装置を図5に示す。この投影露光装置は、レチクルのパターンの縮小像をウエハの各ショット領域に露光するステッパー型(ステップアンドリピート型)の投影露光装置である。図5において、照明光学系1からの露光光ILが、ダイクロイックミラー2により反射されてレチクルRのパターン領域を照明する。ダイクロイックミラー2により反射された後の露光光ILの光軸に平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な2次元平面内で、図5の紙面に平行な方向にX軸、紙面に垂直な方向にY軸を取る。
【0033】
レチクルRは、レチクル側Yステージ3Y及びレチクル側Xステージ3Xを介して、レチクルベース4上に搭載される。レチクル側Xステージ3Xは、レチクルベース4に対して、固定子5A及び可動子5Bからなるリニアモータ(以下、「リニアモータ5」と呼ぶ)によりX方向に駆動される。レチクル側Yステージ3Yは、レチクル側Xステージ3Xに対して、不図示のリニアモータによりY方向に駆動される。
【0034】
また、レチクル側Yステージ3Y上に、X軸用の移動鏡6X及び不図示のY軸用の移動鏡が固定されている。移動鏡6X、及び外部に設置されたX軸用のレチクル側のレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)7Xにより、レチクル側Xステージ3XのX座標XRが計測される。不図示のY軸用の移動鏡、及びY軸用のレチクル干渉計7Yにより、レチクル側Yステージ3YのY座標YRが計測される。計測されたX座標XR及びY座標YRは、装置全体の動作を統括制御する中央制御系8に、コネクタ17,18を介して供給される。レチクル側Yステージ3Y、レチクル側Xステージ3X、レチクルベース4、X軸用のリニアモータ5、及びY軸用のリニアモータからなるステージ系を、レチクルステージ装置3と呼ぶ。
【0035】
露光光ILのもとで、レチクルRのパターンの像は、投影倍率β(βは例えば1/4)の投影光学系PLを介して縮小されて、ウエハWの各ショット領域に投影露光される。ウエハWは、ウエハ側Yステージ10Y及びウエハ側Xステージ10Xを介して、ウエハベース11上に搭載されている。ウエハ側Xステージ10Xは、ウエハベース11に対して、固定子12A及び可動子12Bからなるリニアモータ(以下、「リニアモータ12」と呼ぶ)を介してX方向に駆動される。ウエハ側Yステージ10Yは、ウエハ側Xステージ10Xに対して、不図示のリニアモータによりY方向に駆動される。
【0036】
また、ウエハ側Yステージ10Y上に、X軸用の移動鏡13X及び不図示のY軸用の移動鏡が固定されている。移動鏡13X、及び外部に設置されたX軸用のウエハ側のレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)14Xにより、ウエハ側Xステージ10XのX座標XWが計測される。不図示のY軸用の移動鏡、及びY軸用のウエハ干渉計14Yにより、ウエハ側Yステージ10YのY座標YWが計測される。計測されたX座標XW及びY座標YWは、中央制御系8にコネクタ19,20を介して供給される。ウエハ側Yステージ10Y、ウエハ側Xステージ10X、ウエハベース11、X軸用のリニアモータ12、及びY軸用のリニアモータ、並びにウエハWのZ方向への位置及び傾斜角を制御するZレベリングステージ(図示せず)からなるステージ系を、ウエハステージ装置10と呼ぶ。
【0037】
この例においては、リニアモータとして3相リニアモータを使用している。例えばリニアモータ12を例に説明する。リニアモータ12は、固定子12Aと可動子12Bとで構成され、固定子12Aは3相の電機子巻線(図示せず)からなり、可動子12Bはウエハ側Xステージ10Xの側面に極性が順次反転してX方向に並べて固定された4個の永久磁石(図示せず)からなる。すなわち、リニアモータ12は、ムービング・マグネット型のリニアモータである。
【0038】
中央制御系8は、レチクルステージ駆動系15を介してレチクル側のX軸用のリニアモータ5及びY軸用のリニアモータの動作を制御して、レチクルRの位置決めを行うとともに、ウエハステージ駆動系16を介してウエハ側のX軸用のリニアモータ12及びY軸用のリニアモータの動作を制御して、ウエハWの位置決めを行う。このような制御により、レチクルRのパターンは、ウエハWの各ショット領域に縮小されて露光される。
【0039】
このような投影露光装置のレチクルステージ駆動系15、ウエハステージ駆動系16に、前述のような、本発明の実施の形態の1例であるモータのブレーキ回路を有するモータ駆動装置を用いることで、投影露光装置の安全性を高めることができる。
【0040】
以下、本発明に係る半導体デバイスの製造方法の実施の形態の例を説明する。図3は、本発明の半導体デバイス製造方法の一例を示すフローチャートである。この例の製造工程は以下の各主工程を含む。
▲1▼ウエハを製造するウエハ製造工程(又はウエハを準備するウエハ準備工程)
▲2▼露光に使用するレチクル(マスク)を製作するレチクル(マスク)製造工程(又はレチクル(マスク)を準備するレチクル(マスク)準備工程)
▲3▼ウエハに必要な加工処理を行うウエハプロセッシング工程
▲4▼ウエハ上に形成されたチップを1個ずつ切り出し、動作可能にならしめるチップ組立工程
▲5▼できたチップを検査するチップ検査工程
なお、それぞれの工程はさらにいくつかのサブ工程からなっている。
【0041】
これらの主工程の中で、半導体のデバイスの性能に決定的な影響を及ぼす主工程がウエハプロセッシング工程である。この工程では、設計された回路パターンをウエハ上に順次積層し、メモリやMPUとして動作するチップを多数形成する。このウエハプロセッシング工程は以下の各工程を含む。
▲1▼絶縁層となる誘電体薄膜や配線部、あるいは電極部を形成する金属薄膜等を形成する薄膜形成工程(CVDやスパッタリング等を用いる)
▲2▼この薄膜層やウエハ基板を酸化する酸化工程
▲3▼薄膜層やウエハ基板等を選択的に加工するためにマスク(レチクル)を用いてレジストのパターンを形成するリソグラフィ工程
▲4▼レジストパターンに従って薄膜層や基板を加工するエッチング工程(例えばドライエッチング技術を用いる)
▲5▼イオン・不純物注入拡散工程
▲6▼レジスト剥離工程
▲7▼さらに加工されたウエハを検査する検査工程
なお、ウエハプロセッシング工程は必要な層数だけ繰り返し行い、設計通り動作する半導体デバイスを製造する。
【0042】
図4は、図3のウエハプロセッシング工程の中核をなすリソグラフィ工程を示すフローチャートである。このリソグラフィ工程は以下の各工程を含む。
▲1▼前段の工程で回路パターンが形成されたウエハ上にレジストをコートするレジスト塗布工程
▲2▼レジストを露光する露光工程
▲3▼露光されたレジストを現像してレジストのパターンを得る現像工程
▲4▼現像されたレジストパターンを安定化させるためのアニール工程
以上の半導体デバイス製造工程、ウエハプロセッシング工程、リソグラフィ工程については、周知のものであり、これ以上の説明を要しないであろう。本発明に係る半導体デバイスの製造方法の実施の形態においては、本欄において説明した露光装置を使用してリソグラフィ工程を実施している。よって、安定した操業状態で半導体デバイスを製造することができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ステージ等の被駆動物が非常停止限を超えて走行した場合に、早急にモータを停止させることができるモータのブレーキ回路、このブレーキ回路を有するモータ駆動装置、ステージ装置、露光装置、さらには、この露光装置を使用した半導体デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例であるモータのブレーキ回路を使用するモータ駆動装置の回路の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の1例であるモータのブレーキ回路の構成の概要を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の1例である半導体デバイスの製造法を示すフローチャートである。
【図4】リソグラフィ工程を示すフローチャートである。
【図5】投影露光装置の概要を示す図である。
【符号の説明】
21:PWM制御回路、22U:U相PWM駆動増幅器、22V:V相PWM駆動増幅器、22W:W相PWM駆動増幅器、23:3相にリアモータ、23U:U相コイル、23V:V相コイル、23W:W相コイル、31:AND回路、32:インバータ、33:OR回路、34:レベルシフト回路、35、36:FET、37:インバータ、38:トランジスタ、39:リレー、39b:リレー接点
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータのブレーキ回路、モータ駆動装置、ステージ装置、露光装置、及び半導体デバイスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程においては、レチクル上に形成された所定の回路パターンをウエハに露光転写するリソグラフィ工程が含まれる。この露光転写には露光装置が使用される。露光装置においては、レチクルとウエハをそれぞれレチクルステージ、ウエハステージに固定し、これらレチクルステージ、ウエハステージをリニアモータにより同期して駆動しながら、露光転写を行うことが行われている。
【0003】
レチクルステージ駆動系及びウエハステージ駆動系は、単電源を駆動電源として各リニアモータをそれぞれ駆動するモータ駆動装置を搭載する。このような投影露光装置におけるモータ駆動の例については、例えば特開2002−136177号公報に記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−136177号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような投影露光装置において、何らかの制御の異常により、レチクルステージ駆動系又はウエハステージ駆動系を構成するリニアモータが停止せず、そのため、レチクルステージ、ウエハステージがオーバランし、投影露光装置を破損させる可能性がある。これに対する対策として、レチクルステージ、ウエハステージがオーバランして、非常停止限を通過したことを検出し、その信号に応じて、リニアモータの巻線を機械的に(リレーを用いて)短絡し、ダイナミックブレーキをかけ、設備の破損に至る前にレチクルステージ、ウエハステージがオーバランを停止する方法が採用されてきた。
【0006】
しかしながら、投影露光装置のスループットを上げるため、レチクルステージ、ウエハステージの駆動速度は高速化し、300mm/secに達するようになってきた。このような場合、機械的な接点による巻線の短絡では、機械的接点の動作に100msec程度かかることがあり、その間にステージが30mm進んでしまう。短絡が行われてからダイナミックブレーキがかかってステージが停止するまでにさらにステージは走行を続ける。そのため、ステージが設備を破壊しないような状態で確実に停止させるためには、非常停止限を、それだけ前に設定しておく必要があり、その結果、ステージのストロークを無駄に大型化せざるを得ず、装置が大型化するという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ステージ等の被駆動物が非常停止限を超えて走行した場合に、早急にモータを停止させることができるモータのブレーキ回路、このブレーキ回路を有するモータ駆動装置、ステージ装置、露光装置、さらには、この露光装置を使用した半導体デバイスの製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、モータの巻線への配線を電気的に短絡することによって、モータにブレーキをかけるモータのブレーキ回路であって、モータを駆動するスイッチング回路のスイッチング素子を使用してモータの巻線への配線を電気的に短絡する第1の回路と、リレー接点によりモータの巻線への配線を電気的に短絡する第2の回路を有し、前記第2の回路を構成するリレーの接点は、B接点であることを特徴とするモータのブレーキ回路(請求項1)である。
【0009】
本手段においては、モータを駆動するスイッチング回路のスイッチング素子を使用してモータの巻線への配線を電気的に短絡する第1の回路と、リレー接点によりモータの巻線への配線を電気的に短絡する第2の回路を有している。この第1の回路は、ほぼ遅れ時間無く作動するので、異常が検出された瞬間にモータにダイナミックブレーキをかけることができる。しかしながら、この第1の回路だけでは、装置の電源が落ちたときにはダイナミックブレーキをかけることができない。
【0010】
第2の回路はこのような場合に確実にダイナミックブレーキをかけるためのものであり、リレー回路のB(ブレーク)接点によりモータのコイルへの配線を電気的に短絡するものである。B接点を使用しているので、回路の電源が落ちたとき接点がメークし、モータの巻線への配線が電気的に短絡されてダイナミックブレーキが作動する。この第2の回路の作動は、前述のようにリレーの作動時間だけ遅れる。しかし、通常の場合は第1の回路が先に働くので問題はなく、電源が落ちると同時に非常停止限の検出が行われることは極めて希である。よって、このように、2つの回路でモータの巻線への配線を電気的に短絡する構成とすることにより、通常の場合は遅れ時間無く、電源が落ちた場合でも確実に、ダイナミックブレーキを作動させることができる。
【0011】
なお、本手段は、交流モータ、直流モータを問わず、種々のモータに適用できる。モータのコイルへの配線を電気的に短絡することにより、コイルの損傷が危惧される場合には、電流制限抵抗を入れて、電流を制限するようにしてもよい。
【0012】
前記課題を解決するための第2の手段は、モータへの給電を制御することによってモータを駆動するモータ駆動装置であって、前記第1の手段であるモータのブレーキ回路を備えることを特徴とするモータ駆動装置(請求項2)である。
【0013】
前記課題を解決するための第3の手段は、移動対象物を搭載するステージと、前記移動対象物を移動させるために前記ステージを駆動するモータと、前記モータを駆動するモータ駆動装置とを備え、当該モータ駆動装置が前記第2の手段であるモータ駆動装置であることを特徴とするステージ装置(請求項3)である。
【0014】
前記課題を解決するための第4の手段は、レチクルに形成された所定のパターンを感応基板上に露光転写する露光装置であって、レチクル及び感応基板のいずれか一方を搭載して移動させるステージ装置を備え、当該ステージ装置が前記第3の手段であるステージ装置であることを特徴とする露光装置(請求項4)である。
【0015】
これら、第2の手段から第4の手段においては、いずれも前記第1の手段であるモータのブレーキ回路が設けられているので、通常の場合は遅れ時間無く、電源が落ちた場合でも確実に、モータのダイナミックブレーキを作動させ、停止させることができる。
【0016】
前記課題を解決するための第5の手段は、前記第4の手段である露光装置を使用して、レチクルに形成された所定のパターンをウエハに露光転写する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法(請求項5)である。
【0017】
本手段においては、前記第4の手段である露光装置を使用しているので、安定して半導体デバイスの製造を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態の1例であるモータのブレーキ回路を使用する、モータ駆動装置の回路の概要を示す図である。3相リニアモータ23の速度制御回路等のマイナーループである電流制御回路からの指令信号が、PWM制御回路21に送られる。
【0019】
PWM制御回路は、この信号を受けて、U相、V相、W相に流す電流を制御するためのパルス信号を決定し、それぞれU相PWM駆動増幅器22U、V相PWM駆動増幅器22V、W相PWM駆動増幅器22Wに送出する。U相PWM駆動増幅器22U、V相PWM駆動増幅器22V、W相PWM駆動増幅器22Wは、それぞれ指令されたパルスに相当するパルス駆動電圧を、U相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wに印加し、3相リニアモータ23を駆動する。
【0020】
U相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wは、図に示すようにスター接続されており、その中性点は接地されていない。
【0021】
図2に、本発明の実施の形態の1例であるモータのブレーキ回路の構成の概要を示す。U相PWM駆動増幅器22U、V相PWM駆動増幅器22V、W相PWM駆動増幅器22Wは、それぞれ図2に示すようにAND回路31、インバータ32、オア回路33、レベルシフト回路34、及び実際のスイッチングを行うための直列に接続された2つのFET35、36を有する。
【0022】
通常の場合は、非常停止用のブレーキ信号は「Lレベル」にあり、AND回路31からなるゲートの一方の入力である反転入力は「H」レベルとなるので、AND回路31からなるゲートは「開」となって、U相PWM信号、V相PWM信号、W相PWM信号はこのゲートを通過して、FET35、36をオンオフする。
【0023】
すなわち、OR回路33の一方の入力であるブレーキ信号は「L」レベルであるので、OR回路33の出力、すなわちFET36のゲート信号は、インバータ32の出力と同じもの、すなわち、U相PWM信号、V相PWM信号、W相PWM信号を反転したものとなる。これにより、FET36はU相PWM信号、V相PWM信号、W相PWM信号が「H」レベルのときオフとなり、「L」レベルのときオンとなる。
【0024】
一方、AND回路31の出力はレベルシフト回路34介してFET35のゲートに印加される。これにより、FET35は、U相PWM信号、V相PWM信号、W相PWM信号が「H」レベルのときオンとなり、「L」レベルのときオフとなる。
【0025】
これにより、3相リニアモータ23のU相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wにかかる電圧は、それぞれ、U相PWM信号、V相PWM信号、W相PWM信号が「H」レベルのとき+Eとなり、「L」レベルのとき0(接地電位)となる。
【0026】
非常時に3相リニアモータ23を停止させたいときは、ブレーキ信号が「H」レベルとなる。これにより、AND回路31の反転入力が「L」レベルとなるので、AND回路31の出力は「L」レベルとなる。これにより、FET35はオフとなる。また、OR回路33の一方の入力であるブレーキ信号が「H」レベルであるので、OR回路33の出力は「H」レベルとなり、FET36はオンとなる。すなわち、U相PWM駆動増幅器22U、V相PWM駆動増幅器22V、W相PWM駆動増幅器22Wの出力は共に接地電位となる。
【0027】
これにより、3相リニアモータ23のU相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wは短絡され、ダイナミックブレーキが働く。このダイナミックブレーキ回路は、全て電子回路で構成されているので、ブレーキ信号が「H」レベルとなった瞬間に作動するが、ロジック回路の電源、モータ駆動電源が落ちているときは働かない。
【0028】
一方、ブレーキ信号が「L」となっているときは、インバータ37の出力が「H」レベルとなり、npnトランジスタ38のベースにかかる電圧が「H」レベルとなるので、トランジスタ38はオンとなり、電源E’からリレーコイル39通してアースに電流が流れ、リレー39のコイルは励磁されている。そのため、リレー接点39bはオフとなっており、この回路はモータ制御に関係しない。
【0029】
ブレーキ信号が「H」となると、インバータ37の出力が「L」レベルとなり、npnトランジスタ38のベースにかかる電圧が「L」レベルとなるので、トランジスタ38はオフとなり、電源E’からリレーコイル39通してアースに流れる電流が遮断されて、リレー39のコイルの励磁が解ける。そのため、リレー接点39bはオンとなる。これにより、3相リニアモータ23のU相コイル23U、V相コイル23V、W相コイル23Wは短絡され、ダイナミックブレーキが働く。このダイナミックブレーキの作動は、リレー39の作動時間だけ遅れるので、通常の場合は、前述のFETによるダイナミックブレーキの方が早く働く。
【0030】
このリレー39によるダイナミックブレーキは、ロジック回路の電源、モータ駆動電源、リレー電源が落ちているときでも、リレー接点39bがB(ブレーク)接点であるため作動する。よって、電源に異常があった場合でも、確実にダイナミックブレーキを作動させることができるようになる。なお、電源E’は、モータを駆動するための電源Eと共用にしてもよい。
【0031】
本発明の実施の形態の1例であるモータ駆動装置は、図1に示すような回路に図2に示すような回路が組み込まれたものであり、その作用については説明を要しないであろう。
【0032】
本発明の実施の形態の1例であるステージ装置、露光装置を図5に示す。この投影露光装置は、レチクルのパターンの縮小像をウエハの各ショット領域に露光するステッパー型(ステップアンドリピート型)の投影露光装置である。図5において、照明光学系1からの露光光ILが、ダイクロイックミラー2により反射されてレチクルRのパターン領域を照明する。ダイクロイックミラー2により反射された後の露光光ILの光軸に平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な2次元平面内で、図5の紙面に平行な方向にX軸、紙面に垂直な方向にY軸を取る。
【0033】
レチクルRは、レチクル側Yステージ3Y及びレチクル側Xステージ3Xを介して、レチクルベース4上に搭載される。レチクル側Xステージ3Xは、レチクルベース4に対して、固定子5A及び可動子5Bからなるリニアモータ(以下、「リニアモータ5」と呼ぶ)によりX方向に駆動される。レチクル側Yステージ3Yは、レチクル側Xステージ3Xに対して、不図示のリニアモータによりY方向に駆動される。
【0034】
また、レチクル側Yステージ3Y上に、X軸用の移動鏡6X及び不図示のY軸用の移動鏡が固定されている。移動鏡6X、及び外部に設置されたX軸用のレチクル側のレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)7Xにより、レチクル側Xステージ3XのX座標XRが計測される。不図示のY軸用の移動鏡、及びY軸用のレチクル干渉計7Yにより、レチクル側Yステージ3YのY座標YRが計測される。計測されたX座標XR及びY座標YRは、装置全体の動作を統括制御する中央制御系8に、コネクタ17,18を介して供給される。レチクル側Yステージ3Y、レチクル側Xステージ3X、レチクルベース4、X軸用のリニアモータ5、及びY軸用のリニアモータからなるステージ系を、レチクルステージ装置3と呼ぶ。
【0035】
露光光ILのもとで、レチクルRのパターンの像は、投影倍率β(βは例えば1/4)の投影光学系PLを介して縮小されて、ウエハWの各ショット領域に投影露光される。ウエハWは、ウエハ側Yステージ10Y及びウエハ側Xステージ10Xを介して、ウエハベース11上に搭載されている。ウエハ側Xステージ10Xは、ウエハベース11に対して、固定子12A及び可動子12Bからなるリニアモータ(以下、「リニアモータ12」と呼ぶ)を介してX方向に駆動される。ウエハ側Yステージ10Yは、ウエハ側Xステージ10Xに対して、不図示のリニアモータによりY方向に駆動される。
【0036】
また、ウエハ側Yステージ10Y上に、X軸用の移動鏡13X及び不図示のY軸用の移動鏡が固定されている。移動鏡13X、及び外部に設置されたX軸用のウエハ側のレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)14Xにより、ウエハ側Xステージ10XのX座標XWが計測される。不図示のY軸用の移動鏡、及びY軸用のウエハ干渉計14Yにより、ウエハ側Yステージ10YのY座標YWが計測される。計測されたX座標XW及びY座標YWは、中央制御系8にコネクタ19,20を介して供給される。ウエハ側Yステージ10Y、ウエハ側Xステージ10X、ウエハベース11、X軸用のリニアモータ12、及びY軸用のリニアモータ、並びにウエハWのZ方向への位置及び傾斜角を制御するZレベリングステージ(図示せず)からなるステージ系を、ウエハステージ装置10と呼ぶ。
【0037】
この例においては、リニアモータとして3相リニアモータを使用している。例えばリニアモータ12を例に説明する。リニアモータ12は、固定子12Aと可動子12Bとで構成され、固定子12Aは3相の電機子巻線(図示せず)からなり、可動子12Bはウエハ側Xステージ10Xの側面に極性が順次反転してX方向に並べて固定された4個の永久磁石(図示せず)からなる。すなわち、リニアモータ12は、ムービング・マグネット型のリニアモータである。
【0038】
中央制御系8は、レチクルステージ駆動系15を介してレチクル側のX軸用のリニアモータ5及びY軸用のリニアモータの動作を制御して、レチクルRの位置決めを行うとともに、ウエハステージ駆動系16を介してウエハ側のX軸用のリニアモータ12及びY軸用のリニアモータの動作を制御して、ウエハWの位置決めを行う。このような制御により、レチクルRのパターンは、ウエハWの各ショット領域に縮小されて露光される。
【0039】
このような投影露光装置のレチクルステージ駆動系15、ウエハステージ駆動系16に、前述のような、本発明の実施の形態の1例であるモータのブレーキ回路を有するモータ駆動装置を用いることで、投影露光装置の安全性を高めることができる。
【0040】
以下、本発明に係る半導体デバイスの製造方法の実施の形態の例を説明する。図3は、本発明の半導体デバイス製造方法の一例を示すフローチャートである。この例の製造工程は以下の各主工程を含む。
▲1▼ウエハを製造するウエハ製造工程(又はウエハを準備するウエハ準備工程)
▲2▼露光に使用するレチクル(マスク)を製作するレチクル(マスク)製造工程(又はレチクル(マスク)を準備するレチクル(マスク)準備工程)
▲3▼ウエハに必要な加工処理を行うウエハプロセッシング工程
▲4▼ウエハ上に形成されたチップを1個ずつ切り出し、動作可能にならしめるチップ組立工程
▲5▼できたチップを検査するチップ検査工程
なお、それぞれの工程はさらにいくつかのサブ工程からなっている。
【0041】
これらの主工程の中で、半導体のデバイスの性能に決定的な影響を及ぼす主工程がウエハプロセッシング工程である。この工程では、設計された回路パターンをウエハ上に順次積層し、メモリやMPUとして動作するチップを多数形成する。このウエハプロセッシング工程は以下の各工程を含む。
▲1▼絶縁層となる誘電体薄膜や配線部、あるいは電極部を形成する金属薄膜等を形成する薄膜形成工程(CVDやスパッタリング等を用いる)
▲2▼この薄膜層やウエハ基板を酸化する酸化工程
▲3▼薄膜層やウエハ基板等を選択的に加工するためにマスク(レチクル)を用いてレジストのパターンを形成するリソグラフィ工程
▲4▼レジストパターンに従って薄膜層や基板を加工するエッチング工程(例えばドライエッチング技術を用いる)
▲5▼イオン・不純物注入拡散工程
▲6▼レジスト剥離工程
▲7▼さらに加工されたウエハを検査する検査工程
なお、ウエハプロセッシング工程は必要な層数だけ繰り返し行い、設計通り動作する半導体デバイスを製造する。
【0042】
図4は、図3のウエハプロセッシング工程の中核をなすリソグラフィ工程を示すフローチャートである。このリソグラフィ工程は以下の各工程を含む。
▲1▼前段の工程で回路パターンが形成されたウエハ上にレジストをコートするレジスト塗布工程
▲2▼レジストを露光する露光工程
▲3▼露光されたレジストを現像してレジストのパターンを得る現像工程
▲4▼現像されたレジストパターンを安定化させるためのアニール工程
以上の半導体デバイス製造工程、ウエハプロセッシング工程、リソグラフィ工程については、周知のものであり、これ以上の説明を要しないであろう。本発明に係る半導体デバイスの製造方法の実施の形態においては、本欄において説明した露光装置を使用してリソグラフィ工程を実施している。よって、安定した操業状態で半導体デバイスを製造することができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ステージ等の被駆動物が非常停止限を超えて走行した場合に、早急にモータを停止させることができるモータのブレーキ回路、このブレーキ回路を有するモータ駆動装置、ステージ装置、露光装置、さらには、この露光装置を使用した半導体デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例であるモータのブレーキ回路を使用するモータ駆動装置の回路の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の1例であるモータのブレーキ回路の構成の概要を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の1例である半導体デバイスの製造法を示すフローチャートである。
【図4】リソグラフィ工程を示すフローチャートである。
【図5】投影露光装置の概要を示す図である。
【符号の説明】
21:PWM制御回路、22U:U相PWM駆動増幅器、22V:V相PWM駆動増幅器、22W:W相PWM駆動増幅器、23:3相にリアモータ、23U:U相コイル、23V:V相コイル、23W:W相コイル、31:AND回路、32:インバータ、33:OR回路、34:レベルシフト回路、35、36:FET、37:インバータ、38:トランジスタ、39:リレー、39b:リレー接点
Claims (5)
- モータの巻線への配線を電気的に短絡することによって、モータにブレーキをかけるモータのブレーキ回路であって、モータを駆動するスイッチング回路のスイッチング素子を使用してモータの巻線への配線を電気的に短絡する第1の回路と、リレー接点によりモータの巻線への配線を電気的に短絡する第2の回路を有し、前記第2の回路を構成するリレーの接点は、B接点であることを特徴とするモータのブレーキ回路。
- モータへの給電を制御することによってモータを駆動するモータ駆動装置であって、請求項1に記載のモータのブレーキ回路を備えることを特徴とするモータ駆動装置。
- 移動対象物を搭載するステージと、前記移動対象物を移動させるために前記ステージを駆動するモータと、前記モータを駆動するモータ駆動装置とを備え、当該モータ駆動装置が請求項2に記載のモータ駆動装置であることを特徴とするステージ装置。
- レチクルに形成された所定のパターンを感応基板上に露光転写する露光装置であって、レチクル及び感応基板のいずれか一方を搭載して移動させるステージ装置を備え、当該ステージ装置が請求項3に記載のステージ装置であることを特徴とする露光装置。
- 請求項4に記載の露光装置を使用して、レチクルに形成された所定のパターンをウエハに露光転写する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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