JP2004206769A - ハードディスクドライブ搭載型携帯機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハードディスクドライブを組み込んだ携帯機器において、回転外乱によるハードディスクドライブ内でのオフトラックの発生および転送レートの低下を防止する。
【解決手段】ハードディスクドライブ19はピボット・ベアリング36の回転中心に対して同軸的に携帯機器の本体2のベアリング21に回転フリーな状態で支持されている。ドライブの二軸上の重心位置を上記回転中心と一致させるためにドライブにダミーウエイト39を配置する。また、回転外乱によってドライブに発生した角速度を検出する角速度センサー25をドライブに取りつける。CPU20は角速度センサー25により検出されたドライブの回転外乱による角速度を打ち消すように、検出された角速度をドライブ回転駆動の制御量に変換し、この制御信号によりドライブ回転駆動機構28を制御してドライブに逆向きの角速度を付与する。
【選択図】 図4
【解決手段】ハードディスクドライブ19はピボット・ベアリング36の回転中心に対して同軸的に携帯機器の本体2のベアリング21に回転フリーな状態で支持されている。ドライブの二軸上の重心位置を上記回転中心と一致させるためにドライブにダミーウエイト39を配置する。また、回転外乱によってドライブに発生した角速度を検出する角速度センサー25をドライブに取りつける。CPU20は角速度センサー25により検出されたドライブの回転外乱による角速度を打ち消すように、検出された角速度をドライブ回転駆動の制御量に変換し、この制御信号によりドライブ回転駆動機構28を制御してドライブに逆向きの角速度を付与する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記憶媒体としてハードディスクドライブを搭載したタイプの、たとえばディジタルビデオカメラレコーダなどの携帯機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルビデオカメラレコーダのような、動画や静止画などの大容量のデータを取り扱う携帯機器には軽量でかつ大容量のデータ記録装置が搭載される。近年、ハードディスク装置は記録密度の向上により大容量で小型のものが普及してきており、ディジタルビデオカメラのような携帯機器への実用に好適な条件を満足するようになってきた。
【0003】
しかし、携帯機器にハードディスク装置を搭載した場合、振動によりハードディスクドライブ内のHSA(Head Stack Assembly) が外乱を受けた際のオフトラックの発生を如何に阻止するかが重要課題となってくる。
【0004】
オフトラックが頻発するとデータ記録再生のエラー発生頻度を高くなり、データ転送レートの低下を招いてしまう。特にディジタルビデオカメラレコーダの場合には、動画データの記録時のデータ転送レートの低下によってキャッシュオーバーフローが発生し、フレーム落ちが発生するなど、高品位な動画記録が行えなくなる。
【0005】
ハードディスク装置のオフトラックが外乱によって発生する原理を以下に示す。図6を参照してハードディスクドライブ内部の機構について説明する。ハードディスクドライブ51は矩形箱状のケース52を備えている。ケース52内には両面に磁気記録層がそれぞれ設けられたディスク状の記憶媒体であるディスク(プラッター)53と、このディスク53を支持および回転させるディスク駆動機構としてのスピンドルモータ(SPM)54と、HSA(Head Stack Assembly) 55とが配置されている。HSA55は、ディスク53に対する信号の読み書きを行う素子であるヘッドを搭載した磁気ヘッドスライダを先端部にもつHGA(Head Gimble Assembly)と56、このHGA56を先端に支持した複数のアーム57と、これらのアーム57をディスク53の面に沿って移動させるように回動自在に支持するピボット・ベアリング58と、ボイスコイルモータ(VCM)59で構成されている。
【0006】
ボイスコイルモータ59に電流を流すと外部に配置されている磁石との間に発生した磁場の力によってHSA55はピボット・ベアリング58を中心に回転する。このHSA55の回転により、ヘッドをディスク53の半径方向に移動(シーク)させ、ディスク53上の目的のトラックに位置決め(トラッキング)する。
【0007】
ハードディスクドライブ51では、記録密度の向上によりトラックピッチが1umをきる程度にまで狭くなってきており、その狭い範囲に精度良く(例えば、10nm精度で)ヘッドを位置決めする必要がある。
【0008】
通常、HSAの重心は精度良くピボット・ベアリング58の回転中心に配置されており、これによって例えば、図6でX軸あるいはY軸の方向に外乱振動が加わったとしても、その力は主にHSA55の重心すなわちピボット・ベアリング58の回転中心にかかり、HSA55を回転させようとする力はほとんど発生しない。
【0009】
しかし、回転方向の外乱には弱く、特にピボット・ベアリング58の回転中心を軸とするような回転の外乱を受けた場合、その影響を受けてオフトラックを生じやすい(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−176180号公報(段落番号[0008]、図1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
かかるオフトラック現象を実験的にまとめた結果を図7ないし図10に示す。
【0012】
図7ないし図9はそれぞれ外乱としてX軸、Y軸、Z軸方向の直動振動を加えた場合の実験結果である。直線振動の加速度は0.3Gとし、周波数を5Hz〜500Hzの範囲で可変してその都度ディスク上のデータゾーンごとの転送レートを測定した結果を縦軸にとって示している。また、図10は上記回転方向の振動を加えた場合の実験結果であり、振動の周波数は15Hz、角度変位は0.2°とし、角加速度αを0〜約80の範囲で可変してその都度ディスク上のデータゾーンごとの転送レートを測定した結果を縦軸にとって示している。
【0013】
これらの表で分かるように、直線振動を受けた場合には周波数の広い範囲にわたって転送レートの低下はほとんど現れず、オフトラックはほとんど発生していないことが分かる。一方、回転振動を受けた場合には転送レートの大幅な低下が見られ、多くのオフトラックが発生していることが考えられる。
【0014】
デスクトップPCなどの据え置型の機器にハードディスクドライブが組み込まれる場合には回転方向の外乱を受けることは考えにくい。しかし、たとえばディジタルビデオカメラレコーダのような携帯機器にハードディスクドライブを組み込んだ場合、撮影時等の手振れが回転外乱となってオフトラックを発生させるおそれがある。このように回転外乱によるオフトラック問題は携帯機器に特有の課題と言える。
【0015】
実際に回転外乱がオフトラックに対してどの程度の影響を与えるかをシミュレーションにより推定を行ってみた。その結果を図11に示す。このグラフにおいて、縦軸はヘッドのギャップ中心とトラック中心とのずれ量のトラックピッチに対する割合(%)、横軸は経過時間に相当する、読み込んだサーボフレームの総数である。ヘッドのギャップ中心とトラック中心とのずれ量がトラックピッチの20%以内にある状態をオントラックとし、この範囲を逸脱した場合にオフトラックと定義する。Aの線は回転振動の波形、Bの線はこの回転振動に起因するヘッドのギャップ中心とトラック中心とのずれ量の変化を示している。このように、回転外乱がハードディスクドライブに対して加わった場合は、オントラックの範囲からの逸脱する状況が頻繁に発生し、転送レートが低下することが確認できた。
【0016】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、回転外乱によるオフトラックの発生および転送レートの低下を防止することのできるハードディスクドライブ搭載型携帯機器を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明のハードディスクドライブ搭載型携帯機器は、携帯機器の本体と、ヘッドを支持するとともに当該ヘッドをディスクの面に沿って移動させる回転自在なアームを備え、当該アームの回転中心に対して同軸的に前記携帯機器の本体にベアリングを介して回転自在に支持されたハードディスクドライブとを具備するものである。
【0018】
この発明によれば、ディジタルビデオカメラレコーダの本体が回転振動を起しても、ハードディスクドライブは慣性により回転振動に追従して動くことはない。したがって、ハードディスクドライブの回転外乱によるオフトラックの発生、データ転送レートの低下を効果的に抑止することが可能になる。
【0019】
この発明のハードディスクドライブ搭載型携帯機器において、前記ハードディスクドライブの重心を前記アームの回転中心と一致させるためのダミーウエイトをさらに設ける。これにより、アームの回転中心がハードディスクの重心位置にない場合でも、アームの回転中心とハードディスクドライブの重心を一致させることができる。
【0020】
また、この発明のハードディスクドライブ搭載型携帯機器において、回転外乱によって前記ハードディスクドライブに発生した角速度を検出する角速度センサーと、前記ハードディスクドライブを前記本体に対して回転させるように駆動する駆動機構と、前記角速度センサーによって検出された角速度がキャンセルされるように前記駆動機構による前記ハードディスクドライブの回転を制御する制御手段とをさらに具備することとしてもよい。
【0021】
これにより、上記の発明のハードディスクドライブ搭載型携帯機器において、ハードディスクドライブに回転外乱による角速度が万が一発生した場合には、即座にハードディスクドライブはその角速度を打ち消すように回転され、回転外乱に起因したオフトラックの発生、データ転送レートの低下をより確実に防止することが可能となる。
【0022】
角速度センサーは、アームの回転中心上に位置するようにハードディスクドライブに取り付けられていることで、ハードディスクドライブの直動外乱をキャンセルして回転外乱のみを検出することができ、ハードディスクドライブの角速度を確実に検出することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0024】
図1に、本発明を適用した実施の一形態である携帯電子機器としてのディジタルビデオカメラレコーダの外観と発明要部の構成を示す斜視図である。
【0025】
このディジタルビデオカメラレコーダ1は、利用者が片手で持って操作可能な形状とサイズの本体2を有する。本体2にはレンズ部3、LCD(Liquid Crystal Display)パネル4、さらには図示しない種々の操作ボタンやスイッチが設けられている。LCDパネル4は、撮影されている被写体、内蔵されている記憶媒体であるハードディスクドライブ19から再生した画像を表示したり、さらにはディジタルビデオカメラレコーダ1の操作に必要な情報が表示される。
【0026】
図2に、このディジタルビデオカメラレコーダ1の電気的な構成を示す。
レンズ部3とCCD(Charge Coupled Device)11とによって撮像部が構成される。レンズ部3はCPU20からの制御信号によって自動絞り制御動作、自動焦点制御動作がなされる。CCD11の出力信号はA/D変換器12にてデジタル映像信号に変換された後、映像信号処理部13に送られる。
【0027】
映像信号処理部13はデジタル映像信号から輝度信号および色差信号からなるディジタルコンポーネント信号を生成し、メモリコントローラ14に供給する。メモリコントローラ14には表示信号処理部15と、CPU20のバス10とが接続されている。表示信号処理部15はコンポーネント信号を処理することによって、RGB信号を生成し、RGB信号をLCDパネル4に出力する。
【0028】
バス10にはDRAM(Dynamic Random Access Memory)などからなるバッファメモリ16、CPU20、映像圧縮符号・復号化部17、ハードディスクコントローラ18が接続されている。
【0029】
映像圧縮符号・復号化部17は、たとえばJPEG(Joint Photographic Experts Group)を使用して静止画を圧縮または伸張したり、MPEG(Moving Picture Experts Group)を使用して動画を圧縮または伸張する。ハードディスクコントローラ18は、CPU20からの制御命令を解釈してハードディスクドライブ19に対するデータの記録、再生の制御を行う。CPU20は、本体2に設けられた操作ボタンやスイッチからの操作信号を受け、その操作を実行するための命令を撮像部、メモリコントローラ14、映像圧縮符号・復号化部17、ハードディスクコントローラ18などに対して実行する。
【0030】
角速度センサー25は回転外乱によってハードディスクドライブ19に発生した角速度を検出する。角速度センサー25の出力はA/D変換器26にてデジタル信号に変換された後、CPU20に送出される。CPU20は、この入力に基づいて回転外乱によってハードディスクドライブ19に生じた角速度を打ち消すようにドライブ回転駆動機構28に制御信号を供給する。なお、ドライブ回転駆動機構28について後で述べる。
【0031】
次に、このディジタルビデオカメラレコーダ1により画像を撮影して内蔵記憶媒体であるハードディスクドライブ19に記録する動作を説明する。
【0032】
撮像部にて撮像され、映像信号処理部13にて処理された静止画あるいは動画などの映像データはメモリコントローラ14の制御によってバッファメモリ16に格納される。一定量の映像データがバッファメモリ16に格納されると、CPU20の制御によって映像データが映像圧縮符号・復号化部17によって圧縮符号化され、バッファメモリ16に格納される。
【0033】
この後、CPU20の制御によってバッファメモリ16から圧縮符号化された映像データが読み出され、所定のファイルシステムで操作可能な形式のファイルに変換される。そしてCPU20はハードディスクコントローラ18に対してライト命令を送る。ハードディスクコントローラ18はライト命令を受けて、バッファメモリ16から映像ファイルをバス10を通じて取り込み、ハードディスクドライブ19に記録するよう制御を行う。
【0034】
ハードディスクドライブ19に記録されている映像データを再生する時は、CPU20からハードディスクコントローラ18に対して、再生対象のファイル名を含むリード命令が与えられる。ハードディスクコントローラ18は、このリード命令を受けると、ファイルシステムに従ってハードディスクドライブ19から該当するファイルを読み出すように制御し、ハードディスクドライブ19から読み出されたファイルのデータをバス10を通じてバッファメモリ16に転送する。
【0035】
この後、CPU20の制御により、バッファメモリ16から映像データが読み出され、読み出された映像データは映像圧縮符号・復号化部17にて伸長復号化されてバッファメモリ16に戻される。さらに、CPU20の制御によってメモリコントローラ14はバッファメモリ16から復号化された映像データを読み出し、表示信号処理部15に転送し、LCDパネル4によって表示する。
【0036】
このディジタルビデオカメラレコーダ1では内蔵記憶媒体としてハードディスクドライブ19を採用している。この場合、先述したようにディジタルビデオカメラレコーダ1の本体2に加わる回転振動に対してオフトラックが発生しやすいという課題があり、この課題を解決するために、次のような構造を採り入れている。
【0037】
図3および図4に本実施形態のディジタルビデオカメラレコーダ1でのハードディスクドライブ19の懸架構造を示す。図3はディスク面に対して垂直方向から見た側面図、図4はディスク面に沿った方向から見た側面図である。
【0038】
ハードディスクドライブ19は、ディジタルビデオカメラレコーダ1の本体2にはベアリング21を介して回動自在に支持されている。ハードディスクドライブ19は矩形箱状のケース31を備えている。ケース31内には両面に磁気記録層がそれぞれ設けられたディスク状の記憶媒体であるディスク(プラッター)23と、このディスク23を支持および回転させるディスク駆動機構としてのスピンドルモータ(SPM)32と、HSA(Head Stack Assembly) 33とが配置されている。HSA33は、ディスク23に対する信号の読み書きを行う素子であるヘッドを搭載した磁気ヘッドスライダを先端部にもつHGA(Head Gimble Assembly)と34、このHGA34を先端に支持した複数のアーム35と、これらのアーム35をディスク23の面に沿って移動させるように回動自在に支持するピボット・ベアリング36と、ボイスコイルモータ(VCM)37とで構成されている。また、ケース31には、スピンドルモータ(SPM)32、ボイスコイルモータ(VCM)37およびヘッドの制御を行うためのコントローラ、メモリ、ハードディスクコントローラ、その他の回路を搭載したプリント回路基板(図示せず)が装着されている。
【0039】
ハードディスクドライブ19は、ピボット・ベアリング36の回転中心に対して同軸的にディジタルビデオカメラレコーダ1の本体2にベアリング21を介して回転フリーな状態で支持されている。すなわち、ハードディスクドライブ19にはピボット・ベアリング36の回転中心上に位置するようにシャフト29が固定されており、このシャフト29が本体2に固定されているベアリング21に回転自在に軸支されている。したがって、ハードディスクドライブ19の重心の二軸上(図1に示すX−Y軸上)の位置はシャフト29の回転中心から偏倚した位置に存在することになる。そこで、このハードディスクドライブ19の二軸上の重心位置がシャフト29の回転中心と一致させるためにハードディスクドライブ19にはダミーウエイト39が配置されている。ダミーウエイト39はハードディスクドライブ19のどちらの面に取り付けても構わない。
【0040】
このハードディスクドライブ19の懸架構造によって、ディジタルビデオカメラレコーダ1の本体2が回転振動を起しても、ハードディスクドライブ19は慣性により回転振動に追従して動くことはない。したがって、ハードディスクドライブ19の回転外乱によるオフトラックの発生、データ転送レートの低下を効果的に抑止することが可能になる。
【0041】
ただし、ハードディスクドライブ19内で運動量の大きいシークが実行された場合などには、HSA33に角運動量の大きな変化が発生し、この変化に追従するようにしてハードディスクドライブ19全体が移動(角速度が発生)してしまう危険は以前残っている。
【0042】
そこで、次に述べる構成が付加されている。ハードディスクドライブ19は、自身とディジタルビデオカメラレコーダ1の本体2との間に設けられた前述のドライブ回転駆動機構28によって、ディジタルビデオカメラレコーダ1の本体2に対してシャフト29を支点に回転させることができるようになっている。このドライブ回転駆動機構28としては、回転角制御の精度を満足するもの、たとえばボイスコイルモータなどが用いられる。
【0043】
さらに、ハードディスクドライブ19には、回転外乱によってハードディスクドライブ19に発生した角速度を検出する角速度センサー25が、ピボット・ベアリング36の回転中心上に位置するように取り付けられている。この角速度センサー25は地球に対して自身の軸芯を回転中心とした回転時の角速度を検出して電気信号を発生するセンサーである。
【0044】
図5に、この角速度センサー25の出力に基づく制御の手順を示す。ステップ51にて生成された角速度センサー25の出力はA/D変換器26にてデジタル信号に変換された後(ステップ52)、CPU20内に入力される。CPU20は、この角速度センサー25により検出されたハードディスクドライブ19の回転外乱による角速度を打ち消すように、例えばPIフィルターなどの制御系フィルターを用いて、検出された角速度をドライブ回転駆動の制御量に変換する(ステップ53)。その後、D/A変換後(ステップ54)、この制御信号によりドライブ回転駆動機構28を制御してハードディスクドライブ19に逆向きの角速度を付与する(ステップ55)。
【0045】
このようにハードディスクドライブ19に回転外乱による角速度が万が一発生した場合には、即座にハードディスクドライブ19はその角速度を打ち消すように回転され、回転外乱に起因したオフトラックの発生、データ転送レートの低下をより確実に防止することが可能となる。
【0046】
なお、角速度センサー25として感度の周波数帯域が狭いものを使用した場合、ハードディスクドライブ19内でのシーク動作による回転振動のような高い周波数の振動の角速度を検知できない場合が考えられる。そこで、ピボット・ベアリング36の回転中心上に位置する角速度センサー25に加えて、ピボット・ベアリング36の回転中心から適切な距離離間した位置に加速度センサーを配置し、これらの2つのセンサーのそれぞれの出力を組み合わせてハードディスクドライブ19に発生した角速度の検出を行うようにしてもよい。
【0047】
本発明のハードディスクドライブ搭載型携帯機器は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0048】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、ディジタルビデオカメラレコーダのような携帯電子機器の内蔵記憶媒体としてハードディスクドライブを組み込んだ場合の、回転外乱によるオフトラックの発生および転送レートの低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した実施の一形態である携帯電子機器としてのディジタルビデオカメラレコーダの外観と発明要部の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のディジタルビデオカメラレコーダの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】図1のディジタルビデオカメラレコーダにおけるハードディスクドライブ懸架構造をディスク面に対して垂直方向から見た側面図である。
【図4】図1のディジタルビデオカメラレコーダにおけるハードディスクドライブ懸架構造をディスク面に沿った方向から見た側面図である。
【図5】角速度センサーの出力に基づく制御手順を示すフローチャートである。
【図6】一般的なハードディスクドライブの内部の機構を示す平面図である。
【図7】X軸の直動振動と転送レート低下との相関を示すグラフである。
【図8】Y軸の直動振動と転送レート低下との相関を示すグラフである。
【図9】Z軸の直動振動と転送レート低下との相関を示すグラフである。
【図10】回転振動と転送レート低下との相関を示すグラフである。
【図11】回転外乱によるオフトラックに対する影響をシミュレーションした結果を示す図である。
【符号の説明】
1 ディジタルビデオカメラレコーダ
2 本体
18 ハードディスクコントローラ
19 ハードディスクドライブ
20 CPU
21 ベアリング
23 ディスク
25 角速度センサー
28 ドライブ回転駆動機構
29 シャフト
33 HSA
36 ピボット・ベアリング
39 ダミーウエイト
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記憶媒体としてハードディスクドライブを搭載したタイプの、たとえばディジタルビデオカメラレコーダなどの携帯機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルビデオカメラレコーダのような、動画や静止画などの大容量のデータを取り扱う携帯機器には軽量でかつ大容量のデータ記録装置が搭載される。近年、ハードディスク装置は記録密度の向上により大容量で小型のものが普及してきており、ディジタルビデオカメラのような携帯機器への実用に好適な条件を満足するようになってきた。
【0003】
しかし、携帯機器にハードディスク装置を搭載した場合、振動によりハードディスクドライブ内のHSA(Head Stack Assembly) が外乱を受けた際のオフトラックの発生を如何に阻止するかが重要課題となってくる。
【0004】
オフトラックが頻発するとデータ記録再生のエラー発生頻度を高くなり、データ転送レートの低下を招いてしまう。特にディジタルビデオカメラレコーダの場合には、動画データの記録時のデータ転送レートの低下によってキャッシュオーバーフローが発生し、フレーム落ちが発生するなど、高品位な動画記録が行えなくなる。
【0005】
ハードディスク装置のオフトラックが外乱によって発生する原理を以下に示す。図6を参照してハードディスクドライブ内部の機構について説明する。ハードディスクドライブ51は矩形箱状のケース52を備えている。ケース52内には両面に磁気記録層がそれぞれ設けられたディスク状の記憶媒体であるディスク(プラッター)53と、このディスク53を支持および回転させるディスク駆動機構としてのスピンドルモータ(SPM)54と、HSA(Head Stack Assembly) 55とが配置されている。HSA55は、ディスク53に対する信号の読み書きを行う素子であるヘッドを搭載した磁気ヘッドスライダを先端部にもつHGA(Head Gimble Assembly)と56、このHGA56を先端に支持した複数のアーム57と、これらのアーム57をディスク53の面に沿って移動させるように回動自在に支持するピボット・ベアリング58と、ボイスコイルモータ(VCM)59で構成されている。
【0006】
ボイスコイルモータ59に電流を流すと外部に配置されている磁石との間に発生した磁場の力によってHSA55はピボット・ベアリング58を中心に回転する。このHSA55の回転により、ヘッドをディスク53の半径方向に移動(シーク)させ、ディスク53上の目的のトラックに位置決め(トラッキング)する。
【0007】
ハードディスクドライブ51では、記録密度の向上によりトラックピッチが1umをきる程度にまで狭くなってきており、その狭い範囲に精度良く(例えば、10nm精度で)ヘッドを位置決めする必要がある。
【0008】
通常、HSAの重心は精度良くピボット・ベアリング58の回転中心に配置されており、これによって例えば、図6でX軸あるいはY軸の方向に外乱振動が加わったとしても、その力は主にHSA55の重心すなわちピボット・ベアリング58の回転中心にかかり、HSA55を回転させようとする力はほとんど発生しない。
【0009】
しかし、回転方向の外乱には弱く、特にピボット・ベアリング58の回転中心を軸とするような回転の外乱を受けた場合、その影響を受けてオフトラックを生じやすい(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−176180号公報(段落番号[0008]、図1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
かかるオフトラック現象を実験的にまとめた結果を図7ないし図10に示す。
【0012】
図7ないし図9はそれぞれ外乱としてX軸、Y軸、Z軸方向の直動振動を加えた場合の実験結果である。直線振動の加速度は0.3Gとし、周波数を5Hz〜500Hzの範囲で可変してその都度ディスク上のデータゾーンごとの転送レートを測定した結果を縦軸にとって示している。また、図10は上記回転方向の振動を加えた場合の実験結果であり、振動の周波数は15Hz、角度変位は0.2°とし、角加速度αを0〜約80の範囲で可変してその都度ディスク上のデータゾーンごとの転送レートを測定した結果を縦軸にとって示している。
【0013】
これらの表で分かるように、直線振動を受けた場合には周波数の広い範囲にわたって転送レートの低下はほとんど現れず、オフトラックはほとんど発生していないことが分かる。一方、回転振動を受けた場合には転送レートの大幅な低下が見られ、多くのオフトラックが発生していることが考えられる。
【0014】
デスクトップPCなどの据え置型の機器にハードディスクドライブが組み込まれる場合には回転方向の外乱を受けることは考えにくい。しかし、たとえばディジタルビデオカメラレコーダのような携帯機器にハードディスクドライブを組み込んだ場合、撮影時等の手振れが回転外乱となってオフトラックを発生させるおそれがある。このように回転外乱によるオフトラック問題は携帯機器に特有の課題と言える。
【0015】
実際に回転外乱がオフトラックに対してどの程度の影響を与えるかをシミュレーションにより推定を行ってみた。その結果を図11に示す。このグラフにおいて、縦軸はヘッドのギャップ中心とトラック中心とのずれ量のトラックピッチに対する割合(%)、横軸は経過時間に相当する、読み込んだサーボフレームの総数である。ヘッドのギャップ中心とトラック中心とのずれ量がトラックピッチの20%以内にある状態をオントラックとし、この範囲を逸脱した場合にオフトラックと定義する。Aの線は回転振動の波形、Bの線はこの回転振動に起因するヘッドのギャップ中心とトラック中心とのずれ量の変化を示している。このように、回転外乱がハードディスクドライブに対して加わった場合は、オントラックの範囲からの逸脱する状況が頻繁に発生し、転送レートが低下することが確認できた。
【0016】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、回転外乱によるオフトラックの発生および転送レートの低下を防止することのできるハードディスクドライブ搭載型携帯機器を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明のハードディスクドライブ搭載型携帯機器は、携帯機器の本体と、ヘッドを支持するとともに当該ヘッドをディスクの面に沿って移動させる回転自在なアームを備え、当該アームの回転中心に対して同軸的に前記携帯機器の本体にベアリングを介して回転自在に支持されたハードディスクドライブとを具備するものである。
【0018】
この発明によれば、ディジタルビデオカメラレコーダの本体が回転振動を起しても、ハードディスクドライブは慣性により回転振動に追従して動くことはない。したがって、ハードディスクドライブの回転外乱によるオフトラックの発生、データ転送レートの低下を効果的に抑止することが可能になる。
【0019】
この発明のハードディスクドライブ搭載型携帯機器において、前記ハードディスクドライブの重心を前記アームの回転中心と一致させるためのダミーウエイトをさらに設ける。これにより、アームの回転中心がハードディスクの重心位置にない場合でも、アームの回転中心とハードディスクドライブの重心を一致させることができる。
【0020】
また、この発明のハードディスクドライブ搭載型携帯機器において、回転外乱によって前記ハードディスクドライブに発生した角速度を検出する角速度センサーと、前記ハードディスクドライブを前記本体に対して回転させるように駆動する駆動機構と、前記角速度センサーによって検出された角速度がキャンセルされるように前記駆動機構による前記ハードディスクドライブの回転を制御する制御手段とをさらに具備することとしてもよい。
【0021】
これにより、上記の発明のハードディスクドライブ搭載型携帯機器において、ハードディスクドライブに回転外乱による角速度が万が一発生した場合には、即座にハードディスクドライブはその角速度を打ち消すように回転され、回転外乱に起因したオフトラックの発生、データ転送レートの低下をより確実に防止することが可能となる。
【0022】
角速度センサーは、アームの回転中心上に位置するようにハードディスクドライブに取り付けられていることで、ハードディスクドライブの直動外乱をキャンセルして回転外乱のみを検出することができ、ハードディスクドライブの角速度を確実に検出することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0024】
図1に、本発明を適用した実施の一形態である携帯電子機器としてのディジタルビデオカメラレコーダの外観と発明要部の構成を示す斜視図である。
【0025】
このディジタルビデオカメラレコーダ1は、利用者が片手で持って操作可能な形状とサイズの本体2を有する。本体2にはレンズ部3、LCD(Liquid Crystal Display)パネル4、さらには図示しない種々の操作ボタンやスイッチが設けられている。LCDパネル4は、撮影されている被写体、内蔵されている記憶媒体であるハードディスクドライブ19から再生した画像を表示したり、さらにはディジタルビデオカメラレコーダ1の操作に必要な情報が表示される。
【0026】
図2に、このディジタルビデオカメラレコーダ1の電気的な構成を示す。
レンズ部3とCCD(Charge Coupled Device)11とによって撮像部が構成される。レンズ部3はCPU20からの制御信号によって自動絞り制御動作、自動焦点制御動作がなされる。CCD11の出力信号はA/D変換器12にてデジタル映像信号に変換された後、映像信号処理部13に送られる。
【0027】
映像信号処理部13はデジタル映像信号から輝度信号および色差信号からなるディジタルコンポーネント信号を生成し、メモリコントローラ14に供給する。メモリコントローラ14には表示信号処理部15と、CPU20のバス10とが接続されている。表示信号処理部15はコンポーネント信号を処理することによって、RGB信号を生成し、RGB信号をLCDパネル4に出力する。
【0028】
バス10にはDRAM(Dynamic Random Access Memory)などからなるバッファメモリ16、CPU20、映像圧縮符号・復号化部17、ハードディスクコントローラ18が接続されている。
【0029】
映像圧縮符号・復号化部17は、たとえばJPEG(Joint Photographic Experts Group)を使用して静止画を圧縮または伸張したり、MPEG(Moving Picture Experts Group)を使用して動画を圧縮または伸張する。ハードディスクコントローラ18は、CPU20からの制御命令を解釈してハードディスクドライブ19に対するデータの記録、再生の制御を行う。CPU20は、本体2に設けられた操作ボタンやスイッチからの操作信号を受け、その操作を実行するための命令を撮像部、メモリコントローラ14、映像圧縮符号・復号化部17、ハードディスクコントローラ18などに対して実行する。
【0030】
角速度センサー25は回転外乱によってハードディスクドライブ19に発生した角速度を検出する。角速度センサー25の出力はA/D変換器26にてデジタル信号に変換された後、CPU20に送出される。CPU20は、この入力に基づいて回転外乱によってハードディスクドライブ19に生じた角速度を打ち消すようにドライブ回転駆動機構28に制御信号を供給する。なお、ドライブ回転駆動機構28について後で述べる。
【0031】
次に、このディジタルビデオカメラレコーダ1により画像を撮影して内蔵記憶媒体であるハードディスクドライブ19に記録する動作を説明する。
【0032】
撮像部にて撮像され、映像信号処理部13にて処理された静止画あるいは動画などの映像データはメモリコントローラ14の制御によってバッファメモリ16に格納される。一定量の映像データがバッファメモリ16に格納されると、CPU20の制御によって映像データが映像圧縮符号・復号化部17によって圧縮符号化され、バッファメモリ16に格納される。
【0033】
この後、CPU20の制御によってバッファメモリ16から圧縮符号化された映像データが読み出され、所定のファイルシステムで操作可能な形式のファイルに変換される。そしてCPU20はハードディスクコントローラ18に対してライト命令を送る。ハードディスクコントローラ18はライト命令を受けて、バッファメモリ16から映像ファイルをバス10を通じて取り込み、ハードディスクドライブ19に記録するよう制御を行う。
【0034】
ハードディスクドライブ19に記録されている映像データを再生する時は、CPU20からハードディスクコントローラ18に対して、再生対象のファイル名を含むリード命令が与えられる。ハードディスクコントローラ18は、このリード命令を受けると、ファイルシステムに従ってハードディスクドライブ19から該当するファイルを読み出すように制御し、ハードディスクドライブ19から読み出されたファイルのデータをバス10を通じてバッファメモリ16に転送する。
【0035】
この後、CPU20の制御により、バッファメモリ16から映像データが読み出され、読み出された映像データは映像圧縮符号・復号化部17にて伸長復号化されてバッファメモリ16に戻される。さらに、CPU20の制御によってメモリコントローラ14はバッファメモリ16から復号化された映像データを読み出し、表示信号処理部15に転送し、LCDパネル4によって表示する。
【0036】
このディジタルビデオカメラレコーダ1では内蔵記憶媒体としてハードディスクドライブ19を採用している。この場合、先述したようにディジタルビデオカメラレコーダ1の本体2に加わる回転振動に対してオフトラックが発生しやすいという課題があり、この課題を解決するために、次のような構造を採り入れている。
【0037】
図3および図4に本実施形態のディジタルビデオカメラレコーダ1でのハードディスクドライブ19の懸架構造を示す。図3はディスク面に対して垂直方向から見た側面図、図4はディスク面に沿った方向から見た側面図である。
【0038】
ハードディスクドライブ19は、ディジタルビデオカメラレコーダ1の本体2にはベアリング21を介して回動自在に支持されている。ハードディスクドライブ19は矩形箱状のケース31を備えている。ケース31内には両面に磁気記録層がそれぞれ設けられたディスク状の記憶媒体であるディスク(プラッター)23と、このディスク23を支持および回転させるディスク駆動機構としてのスピンドルモータ(SPM)32と、HSA(Head Stack Assembly) 33とが配置されている。HSA33は、ディスク23に対する信号の読み書きを行う素子であるヘッドを搭載した磁気ヘッドスライダを先端部にもつHGA(Head Gimble Assembly)と34、このHGA34を先端に支持した複数のアーム35と、これらのアーム35をディスク23の面に沿って移動させるように回動自在に支持するピボット・ベアリング36と、ボイスコイルモータ(VCM)37とで構成されている。また、ケース31には、スピンドルモータ(SPM)32、ボイスコイルモータ(VCM)37およびヘッドの制御を行うためのコントローラ、メモリ、ハードディスクコントローラ、その他の回路を搭載したプリント回路基板(図示せず)が装着されている。
【0039】
ハードディスクドライブ19は、ピボット・ベアリング36の回転中心に対して同軸的にディジタルビデオカメラレコーダ1の本体2にベアリング21を介して回転フリーな状態で支持されている。すなわち、ハードディスクドライブ19にはピボット・ベアリング36の回転中心上に位置するようにシャフト29が固定されており、このシャフト29が本体2に固定されているベアリング21に回転自在に軸支されている。したがって、ハードディスクドライブ19の重心の二軸上(図1に示すX−Y軸上)の位置はシャフト29の回転中心から偏倚した位置に存在することになる。そこで、このハードディスクドライブ19の二軸上の重心位置がシャフト29の回転中心と一致させるためにハードディスクドライブ19にはダミーウエイト39が配置されている。ダミーウエイト39はハードディスクドライブ19のどちらの面に取り付けても構わない。
【0040】
このハードディスクドライブ19の懸架構造によって、ディジタルビデオカメラレコーダ1の本体2が回転振動を起しても、ハードディスクドライブ19は慣性により回転振動に追従して動くことはない。したがって、ハードディスクドライブ19の回転外乱によるオフトラックの発生、データ転送レートの低下を効果的に抑止することが可能になる。
【0041】
ただし、ハードディスクドライブ19内で運動量の大きいシークが実行された場合などには、HSA33に角運動量の大きな変化が発生し、この変化に追従するようにしてハードディスクドライブ19全体が移動(角速度が発生)してしまう危険は以前残っている。
【0042】
そこで、次に述べる構成が付加されている。ハードディスクドライブ19は、自身とディジタルビデオカメラレコーダ1の本体2との間に設けられた前述のドライブ回転駆動機構28によって、ディジタルビデオカメラレコーダ1の本体2に対してシャフト29を支点に回転させることができるようになっている。このドライブ回転駆動機構28としては、回転角制御の精度を満足するもの、たとえばボイスコイルモータなどが用いられる。
【0043】
さらに、ハードディスクドライブ19には、回転外乱によってハードディスクドライブ19に発生した角速度を検出する角速度センサー25が、ピボット・ベアリング36の回転中心上に位置するように取り付けられている。この角速度センサー25は地球に対して自身の軸芯を回転中心とした回転時の角速度を検出して電気信号を発生するセンサーである。
【0044】
図5に、この角速度センサー25の出力に基づく制御の手順を示す。ステップ51にて生成された角速度センサー25の出力はA/D変換器26にてデジタル信号に変換された後(ステップ52)、CPU20内に入力される。CPU20は、この角速度センサー25により検出されたハードディスクドライブ19の回転外乱による角速度を打ち消すように、例えばPIフィルターなどの制御系フィルターを用いて、検出された角速度をドライブ回転駆動の制御量に変換する(ステップ53)。その後、D/A変換後(ステップ54)、この制御信号によりドライブ回転駆動機構28を制御してハードディスクドライブ19に逆向きの角速度を付与する(ステップ55)。
【0045】
このようにハードディスクドライブ19に回転外乱による角速度が万が一発生した場合には、即座にハードディスクドライブ19はその角速度を打ち消すように回転され、回転外乱に起因したオフトラックの発生、データ転送レートの低下をより確実に防止することが可能となる。
【0046】
なお、角速度センサー25として感度の周波数帯域が狭いものを使用した場合、ハードディスクドライブ19内でのシーク動作による回転振動のような高い周波数の振動の角速度を検知できない場合が考えられる。そこで、ピボット・ベアリング36の回転中心上に位置する角速度センサー25に加えて、ピボット・ベアリング36の回転中心から適切な距離離間した位置に加速度センサーを配置し、これらの2つのセンサーのそれぞれの出力を組み合わせてハードディスクドライブ19に発生した角速度の検出を行うようにしてもよい。
【0047】
本発明のハードディスクドライブ搭載型携帯機器は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0048】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、ディジタルビデオカメラレコーダのような携帯電子機器の内蔵記憶媒体としてハードディスクドライブを組み込んだ場合の、回転外乱によるオフトラックの発生および転送レートの低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した実施の一形態である携帯電子機器としてのディジタルビデオカメラレコーダの外観と発明要部の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のディジタルビデオカメラレコーダの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】図1のディジタルビデオカメラレコーダにおけるハードディスクドライブ懸架構造をディスク面に対して垂直方向から見た側面図である。
【図4】図1のディジタルビデオカメラレコーダにおけるハードディスクドライブ懸架構造をディスク面に沿った方向から見た側面図である。
【図5】角速度センサーの出力に基づく制御手順を示すフローチャートである。
【図6】一般的なハードディスクドライブの内部の機構を示す平面図である。
【図7】X軸の直動振動と転送レート低下との相関を示すグラフである。
【図8】Y軸の直動振動と転送レート低下との相関を示すグラフである。
【図9】Z軸の直動振動と転送レート低下との相関を示すグラフである。
【図10】回転振動と転送レート低下との相関を示すグラフである。
【図11】回転外乱によるオフトラックに対する影響をシミュレーションした結果を示す図である。
【符号の説明】
1 ディジタルビデオカメラレコーダ
2 本体
18 ハードディスクコントローラ
19 ハードディスクドライブ
20 CPU
21 ベアリング
23 ディスク
25 角速度センサー
28 ドライブ回転駆動機構
29 シャフト
33 HSA
36 ピボット・ベアリング
39 ダミーウエイト
Claims (4)
- 携帯機器の本体と、
ヘッドを支持するとともに当該ヘッドをディスクの面に沿って移動させる回転自在なアームを備え、当該アームの回転中心に対して同軸的に前記携帯機器の本体にベアリングを介して回転自在に支持されたハードディスクドライブと
を具備することを特徴とするハードディスクドライブ搭載型携帯機器。 - 請求項1に記載のハードディスクドライブ搭載型携帯機器であって、
前記ハードディスクドライブの重心を前記アームの回転中心と一致させるためのダミーウエイトをさらに具備することを特徴とするハードディスクドライブ搭載型携帯機器。 - 請求項1に記載のハードディスクドライブ搭載型携帯機器であって、
回転外乱によって前記ハードディスクドライブに発生した角速度を検出する角速度センサーと、
前記ハードディスクドライブを前記本体に対して回転させるように駆動する駆動機構と、
前記角速度センサーによって検出された角速度がキャンセルされるように前記駆動機構による前記ハードディスクドライブの回転を制御する制御手段と
をさらに具備することを特徴とするハードディスクドライブ搭載型携帯機器。 - 請求項3に記載のハードディスクドライブ搭載型携帯機器であって、
前記角速度センサーが、前記アームの回転中心上に位置するように前記ハードディスクドライブに取り付けられていることを特徴とするハードディスクドライブ搭載型携帯機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002373077A JP2004206769A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | ハードディスクドライブ搭載型携帯機器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002373077A JP2004206769A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | ハードディスクドライブ搭載型携帯機器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004206769A true JP2004206769A (ja) | 2004-07-22 |
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Family Applications (1)
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JP2002373077A Pending JP2004206769A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | ハードディスクドライブ搭載型携帯機器 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004206769A (ja) |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002373077A patent/JP2004206769A/ja active Pending
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