JP2004205362A - スポットピンおよびスポットピン用ホルダー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、生体分子が溶解もしくは分散した生体分子溶液を基板表面に接触させて付着させ、上記基板表面に上記生体分子を配列し固定化するために用いるスポットピンであって、毛管現象を生じる毛管構造を有する毛管流路が軸線方向に形成されており、上記毛管構造が複数の溝および複数の孔の少なくとも一方の構造であり、さらに上記基板表面に接触する側の端部に上記毛管流路の開口部が形成されていることを特徴とするスポットピンを提供することにより上記目的を達成するものである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオチップの作製に用いられるスポットピンおよびスポットピン用ホルダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
分子生物学の分野では、DNAやタンパク質などの生体分子を高密度に固定化したバイオチップが近年急速に注目を集めている。バイオチップを用いた実験においては、膨大な種類の試料(サンプル)を固定化した支持体(チップ)を大量に複製し、それぞれのチップ上のサンプルを、調査対象の試料(ターゲット)と反応させる。1回の実験により1チップ上のサンプル間における反応の違いを、また、条件の異なる実験を繰り返すことによって複数チップ間の同じサンプル集合の間における反応の違いを検出することができる。
【0003】
このようなバイオチップには、通常数百から数万種類の異種の生体分子が基板上に配列されている。
【0004】
このように生体分子を配列してバイオチップを製造する方法として、特許文献1では、毛管流路を有する細長い部材を用い、毛管現象を利用して基板上に生体分子をスポットさせる方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2では、ホルダーと、外部サンプルチャネルおよび平らな先端を有するスポットピンとからなるマイクロアレイ印刷用デバイスが開示されており、完全にフラットでない基板上に複数のスポットピンが同時に接触可能なように、スポットピンが軸線方向に移動できる構造を有し、かつ、スポットピンがホルダーから外れないようにストッパーが設けられた構成が開示されている。
【0006】
しかしながら、これらのスポットピンはいずれも毛管流路の開口部面積が比較的大きなサイズであり、しかも先端が平坦であったために、スポットピンが少しでも基板に対して垂直に接触しない場合には、安定して同一形状のスポットを形成することは困難であった。また、スポットピンを繰り返し使用するために、洗浄工程が不可欠であり、数多くの異種生体分子をスポットするのに多大な時間を費やしていた。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第5807522号公報
【特許文献2】
米国特許第6101946号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、基板上に生体分子溶液を接触させて付着させる際に同一形状のスポットを安定して形成することのできるスポットピンおよびスポットピン用ホルダーを提供することを主目的とするものである。
【0009】
【課題が解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明においては、請求項1に記載するように、生体分子が溶解もしくは分散した生体分子溶液を基板表面に接触させて付着させ、上記基板表面に上記生体分子を配列し固定化するために用いるスポットピンであって、毛管現象を生じる毛管構造を有する毛管流路が軸線方向に形成されており、上記毛管構造が複数の溝および複数の孔の少なくとも一方の構造であり、さらに上記基板表面に接触する側の端部に上記毛管流路の開口部が形成されていることを特徴とするスポットピンを提供する。
【0010】
本発明によれば、毛管流路の毛管構造が複数の溝および複数の孔の少なくとも一方の構造であるので、毛管流路内に生体分子溶液の所定の量を保持することができるので、複数回にわたり基板上に同一形状のスポットを安定して形成することができる。
【0011】
上記請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載するように、上記毛管構造が、中心部から外周方向へ向かって形成された複数の溝からなることが好ましく、また上記請求項1または請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載するように、上記毛管構造が、同心円上に形成された複数の溝からなることが好ましく、さらには、上記請求項2または請求項3に記載の発明においては、請求項4に記載するように、上記毛管構造が、中空構造であることが好ましい。いずれも、このような形状の毛管構造を有することにより、毛管現象をより効果的なものとすることができるからである。
【0012】
上記請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項5に記載するように、上記スポットピンを軸線方向に対し垂直に切断して得られた上記毛管流路の横断面形状が、軸線方向の任意の位置で同一形状となることが好ましい。これにより、毛管流路内に生体高分子溶液を所定量確保することが可能となり、複数枚の基材表面に同一形状のスポットを安定して形成することができるからである。
【0013】
上記請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項6に記載するように、上記毛管流路が、上記基板表面に接触する側と反対側の端部にも開口部を有することが好ましい。毛管流路の両端が開放されていることにより、毛管現象をより効果的なものとすることができるからである。
【0014】
上記請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項7に記載するように、生体分子溶液を基板表面に接触させ付着させる側の先端部分が、曲面形状を有しており、かつ上記先端部分に形成された毛管流路の開口部が、上記曲面形状を呈する側面部分にまで形成されていることが好ましい。曲面形状を有し、かつ曲面形状を呈する部分の側面部分にまで、毛管流路の開口部が形成されていることにより、スポットピンが基板に対して垂直に接触していない場合でも、側面部分から生体分子溶液を供給することができるので、安定して同一形状のスポットを形成することができるといった利点を有するからである。
【0015】
上記請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項8に記載するように、スポットピンを軸線方向に移動可能に保持するホルダーから外れないようにするためのストッパーを有することが好ましい。ホルダーの構造を簡略化することが可能となるからである。
【0016】
本発明においては、上記請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載のスポットピンを軸線方向に移動可能に保持してなることを特徴とするスポットピン用ホルダーを提供する。このようなスポットピン用ホルダーを用いることにより、スポットピンを軸線方向に移動可能に保持できるので、基板表面に凹凸があるような場合でも、すべてのスポットピンが基板に接触することができ、基板上に安定して同一形状のスポットを形成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のスポットピンおよびスポットピン用ホルダーについてそれぞれ詳細に説明する。
【0018】
A.スポットピン
本発明のスポットピンは、上述したように、生体分子が溶解もしくは分散した生体分子溶液を基板表面に接触させて付着させ、上記基板表面に上記生体分子を配列し固定化するために用いるスポットピンであって、毛管現象を生じる毛管構造を有する毛管流路が軸線方向に形成されており、上記毛管構造が複数の溝および複数の孔の少なくとも一方の構造であり、さらに上記基板表面に接触する側の端部に上記毛管流路の開口部が形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
本発明においては、スポットピンにこのような毛管流路を設けることにより、毛管流路内に所定量の生体分子溶液を保持することが可能となり、同一形状のスポットを複数枚の基板上に安定して形成できるという利点を有するものである。
【0020】
このようなスポットピンの構造について、図面を参照して説明する。図1は、本発明のスポットピンの一例を示す概略正面図である。この例のスポットピンは、ピン本体1と、このピン本体1の基材表面に接触する側の端部に形成された曲面形状の先端部2と、上記先端部2と反対側の端部に形成されたストッパー3とを有するものである。
【0021】
上記先端部2には、毛管流路の開口部4が形成されており、基板表面に接触された際には、この開口部から生体分子が溶媒に分散もしくは溶解されてなる生体分子溶液(以下、生体分子溶液とする場合がある。)が供給され、基板表面に生体分子溶液を付着させる。そしてこれを乾燥させることにより、基板表面に生体分子からなるスポットが形成される。
【0022】
一方、ストッパー3は、ピン本体1より大きな径で形成されており、ピン本体1より大きく、ストッパー3より小さな径を有するホルダに装着した際、ホルダに保持するための部材として機能する。
【0023】
以下、上記ピン本体1、先端部2、およびストッパー3、さらにはスポットピンの材料、製造方法等についてそれぞれ説明する。
【0024】
1.ピン本体
本発明のスポットピンのピン本体は、毛管現象を生じる毛管構造を有する毛管流路が軸線方向に形成されてなることを特徴とするものである。
【0025】
このようなピン本体は、通常細い筒状を呈するものであり、一般的には円筒状のものが好適に用いられる。このようなピン本体は、特に限定するものではないが、その径は、通常0.1mm〜10mmの範囲内、さらに好ましくは、0.2mm〜2mmの範囲内である。また、その長さは装着する装置により大幅に異なるものではあるが、通常5mm〜100mmの範囲内、さらに好ましくは、10mm〜50mmの範囲内である。
【0026】
以下、このようなスポットピン本体に形成されている毛管流路について詳細に説明する。
【0027】
(毛管流路)
本発明のスポットピンは、そのピン本体に毛管現象を生じる毛管構造を有する毛管流路が軸線方向に形成されており、上記毛管構造が複数の溝または複数の孔、もしくはその両者からなることを特徴としている。また、上記毛管流路は、少なくとも上記基板表面に接触する側の端部(すなわち、先端部、以下先端部とする場合がある。)に開口部を有するものである。
【0028】
このように複数の溝および/または複数の孔からなる微細な毛管構造を有することにより、上記先端部の開口部を生体分子溶液中に浸漬させた際に、毛管流路内に効果的に毛管現象を生じることができ、毛管流路内に必要量の生体分子溶液を保持することができる。したがって、例えば複数の基板表面に対してでも、同一形状のスポットを安定して形成することが可能となるのである。
【0029】
このような複数の溝からなる毛管構造としては、毛管現象を生じうる細長い切り欠きからなるものであればその形状等は特に限定されるものではなく、複数の溝が規則正しく配置されたものでもよく、ランダムに配置されたものであってもよい。
【0030】
具体的には、中心部から外周方向へ向かって形成された複数の溝からなるもの、または、同心円上に形成された複数の溝からなるもの、さらにはこれらの組合せ等を好ましい例として挙げることができる。
【0031】
毛管構造が複数の溝からなる場合に、中心部から外周方向へ向かって形成された複数の溝は、放射状に伸びたものであることが好ましく、その一部が互いに結合していてもよい。また、溝は分岐構造を有するものであってもよく、複数の形状を組み合わせたものであってもよい。
【0032】
また、同心円上に形成された複数の溝は、対照的に配置されていてもよく、非対照的に配置されていてもよいが、横断面全体にわたって平均的に溝が分布していることが好ましい。
【0033】
また、本発明においてはこのような毛管構造が、ピン本体の外周に上述したような溝を有するものであってもよいが、横断面において中空構造であることが好ましい。中空構造であれば、毛管現象が効率的に生じ、またピン本体内に保持された生体分子溶液が空気に触れる面積が小さく、乾燥等の問題が生じない点で好ましい。
【0034】
図2は、本発明のスポットピンの一例における、ピン本体の横断面を示すものである。この例では、溝4は、ピン本体1の外周に設けられている。図3は、毛管構造がピン本体内部で、中空構造を有するものを示すものであり、中心部から外周方向に向かって形成された溝4は、ピン本体1の内部に形成されている。
【0035】
図4は、毛管構造が同心円上に形成された複数の溝4から形成されたピン本体1の例を示すものであり、図5は、毛管構造が、上記中心部から外周方向に向かって形成された溝と、同心円上に形成された溝との複合構造を有する例を示すものである。
【0036】
一方、本発明においては、このような毛管構造が溝である点に限定されるものではなく、複数の孔からなるものであってもよい。このような毛管構造としては、毛管現象を生じうるものであれば孔の形状や大きさ等は特に限定されるものではなく、複数の孔が均一に配置されたものでもよく、ランダムに配置されたものでもよい。また、このような孔は溝と複合された毛管構造としてもよい。
【0037】
図6は、このような毛管構造の一例を示すものであり、径の異なる孔5がピン本体の横断面においてランダムに配置されている状態を示すものである。
【0038】
このような複数の溝または複数の孔の配置や、横断面における総面積等は特に限定されるものではなく、要求されるスポットの形状や大きさ等により適宜選択することができる。
【0039】
本発明においては、このような上記スポットピン、すなわちピン本体を軸線方向に対し垂直に切断して得られた上記毛管流路の横断面形状が、軸線方向の任意の位置で同一形状となるように形成されたものであることが好ましい。このような構造とすることにより、ピン本体内における生体分子溶媒の保持量を多くすることが可能となり、1回の生体分子溶液の補給に対して、多数の基板へのスポットの形成が可能となるといった利点を有する。ここで、同一形状とは、目視により同一形状と認識しうる範囲を含むものとする。
【0040】
また、本発明においては、上記毛管流路が先端部側および先端部と反対側の端部側の両方において開口部を有することが好ましい。このように、毛管流路の両端が開放されていることにより、生体分子溶液中に先端部を浸漬した際に、より効果的に毛管現象を生ずることができ、毛管流路内に生体分子溶媒を充分に導入することができるからである。
【0041】
2.先端部
本発明のスポットピンは、上記ピン本体の基板側に接触する端部、すなわち先端部を有するものであり、その先端部には、上述したように毛管流路の開口部が形成されている。
【0042】
本発明においては、この先端部が、曲面形状を有しており、かつ、上記先端部分に形成された毛管流路の開口部が、上記曲面形状を呈する側面部分にまで形成されていることが好ましい。先端部がこのような形状を有することにより、例えば凹凸のあるような基板に対して生体分子のスポットを形成する際に、斜めに当接した場合でも、基板表面に生体分子溶液を付着させることが可能となり、安定して基板上に同一形状のスポットを形成することが可能となる。
【0043】
このような曲面形状は特に限定されるものではないが、一般的には半球形状であることが好ましい。
【0044】
3.ストッパー
また、本発明のスポットピンには、必要に応じて、スポットピンを軸線方向に移動可能に保持するホルダーから外れないようにするためのストッパーを有することが好ましい。このようなストッパー3は、本発明のスポットピンに外れ防止機能を付与できるものであれば特に限定されるものではなく、通常、ホルダーに取り付ける側のピン本体端部の外周に設けることが好ましい。その径は、一般的には、スポットピンを保持するホルダーのスポットピン取付孔より大きく、かつピン本体の径より大きければ特に限定されるものではない。
【0045】
4.材料
本発明のスポットピンを製造するための材料としては、上述のような微細な毛管構造をスポットピン内部に形成することのできるものであれば特に限定されるものではなく、例えば金属材料からなるものや、無機材料の多孔質焼結体等であってもよい。しかしながら、成形が容易であり、かつ安価であることから押出成形可能な樹脂材料であることが好ましく、具体的には熱可塑性樹脂が好ましい。
【0046】
熱可塑性樹脂としては、耐久性および耐磨耗性を考慮すると、ポリアセタール、ポリアセタールコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルサルファイド等が最適である。
【0047】
また、本発明のスポットピンが、上述のようにスポットピンを軸線方向に移動可能に保持するホルダーから外れないようにするためのストッパーを有する場合には、上記熱可塑性樹脂はストッパーの材料としても最適である。この場合、成形が容易となることから、スポットピンで用いたものよりも融点の低いものを用いるのが好ましい。
【0048】
5.製造方法
このような本発明のスポットピンを製造する方法は、特に限定されるものではない。例えば、スポットピンの材料として熱可塑性樹脂を使用する場合には、押出成形機のダイスにより溶融樹脂をスポットピンの横断面形状として押出した後、または押出成形機における相互多数近接した小孔を開口したダイスから溶融樹脂を吐出させ、瞬時に相互の表面の一部を接触融着させた後、それぞれ冷却固化するまでに所望の寸法まで引き伸ばして成形することにより、軸線方向に目的の微細な毛管構造の毛管流路を形成した棒状体を成形する。そして、このようにして成形した棒状体を所望の寸法に切断し、必要に応じて表面を研磨することにより本発明のスポットピンとすることができる。製造装置としては、例えば、特公昭56−17240号公報に記載される装置を参照することができる。
【0049】
また、本発明のスポットピンに外れ防止機能を付与するストッパーを設ける場合には、上述のようにして棒状体を成形した後、スポットピンの材料として用いたものよりも融点の低い熱可塑性樹脂をスポットピン外周に熱融着により巻き付け、冷却固化した後に、切削加工により所定の形状とすることにより製造することができる。
【0050】
スポットピンの材料として金属を使用する場合には、外周をエッチングする方法や横断面において中空構造にする場合は、メタルインジェクションモールディング法等を用いることができる。
【0051】
B.スポットピン用ホルダー
次に、本発明のスポットピン用ホルダーについて説明する。
【0052】
本発明のスポットピン用ホルダーは、本発明のスポットピンを軸線方向に移動可能に保持してなることを特徴としている。
【0053】
本発明のスポットピン用ホルダーを用いて製造するバイオチップは、通常異種の生体分子を数百から数万種類配列してなるものであるため、本発明のスポットピン用ホルダーは、本発明のスポットピンが複数本固定されたものであることが好ましい。一度の接触・付着により複数個のスポットを形成することができるからである。
【0054】
本発明のスポットピン用ホルダーが保持することのできるスポットピンの個数は、通常4本〜2000本の範囲内であり、特に20本〜1000本の範囲内であることが好ましい。
【0055】
また、これらのスポットピンは一定間隔に配置されていることが好ましく、具体的に、隣接したスポットピン同士の間隔は、通常0.2mm〜50mmの範囲内であり、特に1mm〜10mmの範囲内であることが好ましい。
【0056】
本発明のスポットピン用ホルダーは、スポットピンが軸線方向に移動可能に保持されているため、完全にフラットでない基板上にすべてのスポットピンが同時に接触することができるものである。
【0057】
このように、軸線方向に移動可能にスポットピンを保持するホルダーの構造としては、例えば、図7に示すような構造を挙げることができる。この例においては、ストッパー3を有するスポットピンを用いたものであり、支持板11に貫通孔12が形成されており、この貫通孔12の径は上記ストッパー3の径より小さく形成されている。そしてこの貫通孔12にスポットピンのピン本体1を挿入することにより、スポットピンをその軸線方向に移動自在に支持するものである。
【0058】
C.バイオチップ
このような本発明のスポットピンを軸線方向に移動可能に保持したスポットピン用ホルダーは、基板上に異種の生体分子を数百から数万種類配列してなるバイオチップの製造に好適に使用することができる。
【0059】
このようなバイオチップは、基板上に異種の生体分子溶液を、上述の本発明のスポットピン用ホルダーを用いて接触転移させることにより製造される。
【0060】
基板の材料は、平滑な表面を有するものであれば特に限定されるものではないが、容易に入手できることから、スライドガラス、プラスチックシート等が好適に用いられる。
【0061】
また、基板表面への生体分子溶液の付着が良好となることから、生体分子溶液が適度に濡れる程度の親水性を有するものであることが好ましい。
【0062】
また、生体分子溶液と基板表面との結合をより強固なものとするため、例えば、生体分子がDNAのようにマイナス電荷を有する場合には、ポリリジン等のプラス電荷を有する薄膜を基板表面全体もしくはパターン状に形成してもよい。
【0063】
このような本発明のスポットピン用ホルダーを用いて製造したバイオチップは、スポットピンを軸線方向に移動可能に支持するものであるので、基板に多少凹凸がある場合でも安定したスポットを形成することができる。
【0064】
また、上述した本発明のスポットピンを用いて製造したバイオチップは、内部に生体分子溶液を必要量保持したスポットピンで製造されたものであるので、生体分子溶液を一度補充すると、複数回にわたり生体分子溶液を付着させることができる。したがって、製造時間を短縮することが可能であり、コストを低減させることができる。
【0065】
さらに、本発明のスポットピンの材料として熱可塑性樹脂を用いた場合には、安価であることからスポットピンをディスポーザブルとすることができ、従来洗浄工程に要していた時間分だけバイオチップの製造時間を短縮することが可能となり、この面でもコストダウンを図ることができる。
【0066】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0067】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
【0068】
(実施例1)
熱可塑性樹脂としてポリアセタールコポリマー(ポリプラスチック株式会社製、商品名「ジュラコン」)を使用し、特公昭56−17240号公報に記載の製造装置を用い、成形するスポットピンの横断面形状と相似形の整形開口部と、この整形開口部の後方のメルト流量調整孔を有するダイスから、溶融状態の溶融樹脂を、メルト流量調整孔で流量調整し、かつ、整形開口部で所要の横断面形状に整形して押し出し、延伸することにより、毛管構造が横断面において微細構造を有している、径が0.8mmの円柱を製造した。得られた毛管構造の横断面形状を図5に示した。
【0069】
さらに、円柱の外周に、円柱の構成材料より融点の低いポリアセタールコポリマーを熱融着により巻き付け、その後に切削加工によりホルダーのストッパーを形成した。所要の長さに切断した後、先端部分を曲面形状に研磨して成形し、スポットピンを製造した。
【0070】
【発明の効果】
本発明のスポットピンは、軸線方向に有する毛管現象を生じる毛管構造の毛管流路を、複数の溝および/または複数の孔からなる微細な毛管構造とすることにより、毛管流路内に生体分子溶液の必要量を確保することができるので、複数回にわたり基板上に同一形状のスポットを安定して形成できるといった効果を奏する。
【0071】
また、スポットピンの生体分子溶液を接触・付着させる側の先端部分を曲面形状とし、かつ、曲面形状の側面部分にも複数の溝または複数の孔の開口部を形成することにより、スポットピンが基板に対して垂直に接触していないような場合でも、安定して同一形状のスポットを形成できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスポットピンの一例を示す概略正面図である。
【図2】本発明のスポットピンの他の例を示す概略横断面図である。
【図3】本発明のスポットピンの他の例を示す概略横断面図である。
【図4】本発明のスポットピンの他の例を示す概略横断面図である。
【図5】本発明のスポットピンの他の例を示す概略横断面図である。
【図6】本発明のスポットピンの他の例を示す概略横断面図である。
【図7】本発明のスポットピン用ホルダーの一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1 … ピン本体
2 … 先端部
3 … ストッパー
4 … 溝
5 … 孔
Claims (9)
- 生体分子が溶解もしくは分散した生体分子溶液を基板表面に接触させて付着させ、前記基板表面に前記生体分子を配列し固定化するために用いるスポットピンであって、毛管現象を生じる毛管構造を有する毛管流路が軸線方向に形成されており、前記毛管構造が複数の溝および複数の孔の少なくとも一方の構造であり、さらに前記基板表面に接触する側の端部に前記毛管流路の開口部が形成されていることを特徴とするスポットピン。
- 前記毛管構造が、中心部から外周方向へ向かって形成された複数の溝からなることを特徴とする請求項1に記載のスポットピン。
- 前記毛管構造が、同心円上に形成された複数の溝からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスポットピン。
- 前記毛管構造が、中空構造であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のスポットピン。
- 前記スポットピンを軸線方向に対し垂直に切断して得られた前記毛管流路の横断面形状が、軸線方向の任意の位置で同一形状となることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のスポットピン。
- 前記毛管流路が、前記基板表面に接触する側と反対側の端部にも開口部を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のスポットピン。
- 生体分子溶液を基板表面に接触させ付着させる側の先端部分が、曲面形状を有しており、かつ前記先端部分に形成された毛管流路の開口部が、前記曲面形状を呈する側面部分にまで形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のスポットピン。
- スポットピンを軸線方向に移動可能に保持するホルダーから外れないようにするためのストッパーを有することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載のスポットピン。
- 請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載のスポットピンを軸線方向に移動可能に保持してなることを特徴とするスポットピン用ホルダー。
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JP2016118450A (ja) * | 2014-12-19 | 2016-06-30 | 住友ベークライト株式会社 | スポットピン及びマイクロアレイの製造方法 |
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